説明

コルセットカップ

【課題】スイムウェア又はレジャーウェアに使用するのに適したコルセットカップ、とりわけ水に接した後に比較的早く乾き、濡れた状態でも美しい外観を呈するコルセットカップを提供する。
【解決手段】2つの予備成形された、少なくともその縁部で互いに接合された、織物製のスペーサー層12、14を備えて成り、2つのスペーサー層の間に充填層を収納するための室16が形成されたコルセットカップ10において、各スペーサー層がその内側に、少なくとも部分的にスペーサー層と連結されたインナー層18を有し、室が完全にインナー層で取り囲まれ、且つ当該インナー層が防水性及び/又は水不透過性の材料から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの予備成形され、少なくともその外縁部で互いに接合された織物製のスペーサー層(Abstandslagen, spacing layers)を備えて成るコルセットカップ(補整用カップ)に関するものであり、2つのスペーサー層の間に充填層を収容するための室(チャンバー)が形成されている。
【背景技術】
【0002】
コルセットカップは例えばブラジャーのカップの中に、バストをより大きく見せるため、しばしば組み入れられる。コルセットカップには普通、発泡材、フリース、又はスペーサーファブリック(立体織物、Abstandstextilien, spacing textiles)から成るクッション層(パッド層)が用いられる。これらの材料は十分なクッション性をもたらし、それによりバストのより大きな外観をもたらすとはいえ、これらの材料には水と結びつくとスポンジのように作用し、水分をその内部に引き込むという欠点がある。その結果、これらの材料は非常に乾きが悪く、また高い水分含有量により濡れた状態で非常に重くなる。
【0003】
上記クッション材の乾きが悪く、また濡れた状態で非常に重いという事実は、コルセットカップを特にスイムウェアに使用する際、非常に不都合である。特にスイムウェアにおいては、衣類による低い吸水性と濡れた衣類の速乾性が求められている。乾きが悪いことを別にしてもなお、上記材料でクッションを詰めたカップを備える濡れた水着やビキニのトップスは、尋常でないほど重くなり、このことがスイムウェアの全体的な外観を著しく損なう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の課題は、スイムウェア又はレジャーウェアに使用するのに適したコルセットカップ、とりわけ水に接れた後に比較的早く乾き、濡れた状態でも美しい外観を呈するコルセットカップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明に従い、2つの予備成形された、少なくともその縁部で互いに接合された、織物製のスペーサー層を備えて成り、2つのスペーサー層の間に充填層を収納するための室が形成されたコルセットカップであって、各スペーサー層がその内側に、少なくとも部分的にスペーサー層に連結されたインナー層を有し、室(収納部)が完全にインナー層で取り囲まれ、且つ当該インナー層が防水性(疎水性)及び/又は水不透過性の材料から成ることを特徴とするコルセットカップにより解決される。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、2つの織物製のスペーサー層の間に水密な室が形成され、またコルセットカップのボリュームアップのために使用可能な材料、つまり発泡材、繊維素材、又はスペーサーファブリックが水密な室に収納可能であるという長所を有する。従って、基本的に吸水性の高い傾向にあるクッション材又は充填材は水との接触を免れ、このためコルセットカップが水に接した場合、特に水泳中、水をいっぱいに吸い込むことがない。その結果、当該コルセットカップを備えるスイムウェア又はレジャーウェアは比較的わずかな水しか受容せず、そのため比較的素早く乾燥する。更に本発明に従い、水との接触でコルセットカップに追加的に重量が加算されないので、スイムウェア又はレジャーウェアは濡れた状態でも良好な外観を呈する。
【0007】
織物製のスペーサー層が水密な室に対してコルセットカップの外側に間隔を保つので、着用者の肌と防水性の室の間で空気の循環が可能であり、これが心地よい着用感をもたらす。この時、織物製のスペーサー層がスペーサーファブリック、例えばスペーサー・ニットやスペーサー・メリヤスなどの材料で製造されていれば特に有利であることが実証されている。
【0008】
有利な実施例では、インナー層はプラスチック・フィルム層である。プラスチック・フィルム層は重さがわずかであり、また予備成形されたスペーサー層にうまく適合可能である。
【0009】
着用快適性を更に向上させるため、別の有利な実施例ではインナー層を通湿性と通気性のあるメンブラン(薄膜)で形成することで、コルセットカップに空気の循環が備えられている。
【0010】
インナー層とスペーサー層の確かな連結を保持するため、インナー層とスペーサー層が少なくとも部分的に共に接着、とりわけ共にラミネート加工されていれば有利である。
【0011】
更に、2つのインナー層が互いに水密に結合、とりわけ共にシールされていれば有利である。この方法では、充填材、又はクッション材により再び吸収される怖れのあるいかなる液体、特に水が室に浸入しないことが確実に保証される。
【0012】
スイムウェア又はレジャーウェアは洗濯され、或いはまた水泳の際の比較的高い温度、例えば36/37℃で使用されるので、インナー層が所定の温度範囲において実質的に形態安定であり、とりわけ収縮しなければ有利である。インナー層の収縮はインナー層をスペーサー層から引き離したり、或いはスペーサー層を縮ませたりするかもしれず、いずれの場合もコルセットカップを備えたスイムウェア又はレジャーウェアの醜い外観を引き起こしかねない。
【0013】
所定の温度範囲は、有利には0℃から100℃のレンジを有する。
【0014】
充填層が発泡材、繊維素材、又はスペーサーファブリックの少なくとも1つを備えていれば有利である。その際、充填層が1つの多層の充填核であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】好適な実施例に従うコルセットカップの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の有利な実施例を添付した図面を基に詳説する。
【0017】
図1は好適な実施例に従うコルセットカップ10の横断面図を示している。コルセットカップ10は2つの予備成形されたスペーサー層12と14を備えて成り、当該スペーサー層はスペーサー・メリヤスやスペーサー・ニット、つまりスペーサーファブリックで製造される。2つのスペーサー層12と14は互いに異なる形状に成形され、その縁部で互いに接合されている。2つのスペーサー層12と14の間には室16が形成されている。各スペーサー層12,14の内側にはインナー層18が設けられている。室16には充填材が詰められている。
【0018】
インナー層は、例えばプラスチックのような防水性(疎水性)及び/又は水不透過性の材料であって良い。コルセットカップの通気性を保つため、図示した実施例は通湿性で通気性のメンブランを有する。
【0019】
インナー層18はスペーサー層12,14を夫々ほぼ全面的に覆い、スペーサー層にしっかりと接合されている。特に、インナー層18と各スペーサー層12,14は共にラミネート加工されている。室16はインナー層18で完全に内張りされている。2つのインナー層18が相接する箇所で、つまりスペーサー層12と14の縁部領域において、2つのインナー層18は共にしっかりと接合され、防水性の結合を形成する。
【0020】
従って、室16は水密な中空の空間である。それ故、コルセットカップが水と接触した時、室16に配された充填材−例えば発泡材、繊維素材、又はスペーサーファブリックから成る層であって良い−は乾いたままである。従って、本発明に従うコルセットカップを利用した場合、水と接触した時はスペーサー層だけが濡れる。
【0021】
インナー層は更に、ある温度範囲内−0℃から100℃の範囲であって良い−では形態安定である。とりわけフィルムは高い水温に接した場合でも縮まない。従って、スイムウェア又はレジャーウェアが乾いた後も、コルセットカップは所望の形状を維持する。
【0022】
本発明に従うコルセットカップは、有利には、その用途に従い、度々濡れる運命にあるスイムウェアに好適である。更に本発明に従うコルセットカップは、例えばスポーツウェアやレジャーウェアなどの頻繁に洗濯する必要のある衣類では、充填層が濡れないので、衣類が素早く再び乾き、すぐに使用出来るという長所がある。
【0023】
単層の充填材の代わりに、代替として、多層から成る充填核を利用しても良い。本発明の枠組みの中で、室にいかなる充填材も詰めないこともまた可能である。
【0024】
本発明により製造されたコルセットカップは、例えば視覚的な理由から、片面又は両面に、図示しない外側織物層を有していても良い。
【0025】
図示されたコルセットカップはブラジャー等のブラカップに取り付けるのに適しているのみならず、例えば肩パッドとして、或いはスポーツパンツやズボン下のパッドとしても好適である。
【符号の説明】
【0026】
10 コルセットカップ
12 スペーサー層
14 スペーサー層
16 室(充填層収納部)
18 インナー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの予備成形された織物製のスペーサー層(12,14)であって、少なくともその縁部で互いに接合された織物製のスペーサー層(12,14)を備えて成り、前記2つのスペーサー層(12,14)の間に充填層を収容するための室(16)が形成されているコルセットカップにおいて、
各スペーサー層(12,14)がその内側に少なくとも部分的にインナー層(18)を有し、当該インナー層が前記スペーサー層(12,14)に連結されていて、前記室(8)が完全に前記インナー層(18)で取り囲まれていること、及び
前記インナー層(18)が防水性及び/又は水不透過性の材料から成ること、を特徴とするコルセットカップ。
【請求項2】
前記織物製のスペーサー層(12,14)がスペーサーファブリックから成ることを特徴とする、請求項1に記載のコルセットカップ。
【請求項3】
前記インナー層(18)がプラスチック・フィルム層であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコルセットカップ。
【請求項4】
前記インナー層(18)が通湿性と通気性のあるメンブランであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のコルセットカップ。
【請求項5】
前記インナー層(18)と前記スペーサー層(12,14)が少なくとも部分的に共に接着されていること、とりわけ共にラミネート加工されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のコルセットカップ。
【請求項6】
2つのインナー層(18)が共に液密に連結されていること、とりわけ相互にシールされていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のコルセットカップ。
【請求項7】
前記インナー層(18)が所定の温度範囲にて実質的に形態安定であり、とりわけ収縮しないことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のコルセットカップ。
【請求項8】
所定の温度範囲が約0℃から100℃のレンジであることを特徴とする、請求項7に記載のコルセットカップ。
【請求項9】
充填層が発泡材、繊維素材、スペーサーファブリックの少なくとも1つを備えて成ることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のコルセットカップ。
【請求項10】
充填層が多層から成る充填核であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のコルセットカップ。

【図1】
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