説明

コルチコステロイド組成物およびそれの治療方法

本発明は、上気道および下気道の疾患を治療する上で有用な医薬品および医薬製品を製造するためのステロイド溶液に関するものである。本発明の各種実施形態が、吸入に適し、上気道および/または下気道の疾患の治療に用いることができる溶解した状態でのフロ酸モメタゾンを含む組成物、組成物および製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上気道および下気道の疾患を治療する上で有用な医薬および製剤の製造のためのステロイド組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非常に多くの人々が、アレルギー性鼻炎および喘息などの炎症状態のような上気道および下気道の状態を患っている。コルチコステロイド類は、上気道および下気道の炎症を軽減することが承認されている。例えば、鼻腔内コルチコステロイドは、(1)炎症細胞浸潤の低減、(2)鼻道およびそれの分泌物での好塩基球、好酸球、好中球および肥満細胞の数の減少、(3)細胞からの炎症シグナル放出の低減、(4)粘液産生の低減、(5)血管収縮および(6)浮腫の軽減などの粘膜炎症を阻害する広い効果を発揮する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コルチコステロイドは、これまで気道疾患の治療において有効であったが、コルチコステロイドによるそのような治療は、コルチコトロピン(ACTH)産生の低減による視床下部・下垂体・副腎皮質(「HPA」)軸機能の抑制によって生じる副腎によるコルチゾール分泌の低下発生などの全身性副作用を引き起こす場合が多い。
【0004】
安全かつ有効なステロイド組成物を設計すべく多大な努力が払われてきた。いくつかのコルチコステロイドが、水系懸濁液として良好に製剤されている。しかしながら、懸濁液組成物は、状況によっては完全に望ましいものとは限らない場合がある。特定の条件下では、溶液組成物が一定の利点がある場合がある。患者のHPA軸機能を抑制する可能性がある全身吸収量増加のため、ステロイド溶液組成物が許容できない安全性プロファイルを有する可能性があると考えられてきた。従って、ステロイド活性医薬を含み、許容される安全性および効力プロファイルを有する吸入に適した溶液組成物を提供することが望ましいものと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の複数の実施形態は、ステロイド濃度が約0.1マイクログラム(mcg)/mLから約500mcg/mLである、吸入に適したステロイド溶液を含む医薬組成物を提供する。その溶液に使用される溶媒は、水系または非水系であることができる。好適な非水系溶媒には、1,1,1,2テトラフルオロエタン(ethance)(HFA134)および1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロエタン(HFA227)などのCFC類または非CFC類のような推進剤等がある。好適なステロイド類には、フロ酸モメタゾン(MF)、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、ブデソニド、トリアムシノロン・アセトニド、プレドニゾロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、シクレソニドおよびフルニソリドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態は、治療上有効量で溶解した形でMFなどのステロイドを含む乳濁液、マイクロエマルションまたはミセル組成物などがあり得る共溶媒系、錯体形成系、シクロデキストリン系または脂質系を含み得る溶液組成物を提供する。
【0007】
本発明の各種実施形態は、フロ酸モメタゾン濃度が約0.1mcg/mLから約500mcg/mLである、吸入に適したフロ酸モメタゾン水溶液を含む医薬組成物を提供する。あるいは、フロ酸モメタゾンの濃度は、約5mcg/mLから約100mcg/mL、約25mcg/mLから約75mcg/mL、約50mcg/mLから約75mcg/mL、約25mcg/mLから約50mcg/mL、約60mcg/mLから約65mcg/mLまたは約62.5mcg/mLであることができる。
【0008】
本発明の各種実施形態は、少なくとも一つの共溶媒を含むことができる。その少なくとも一つの共溶媒は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、エタノールおよびグリセリンまたはこれらの2以上の組み合わせであることができる。特に有用な共溶媒はポリエチレングリコールである。前記少なくとも一つの共溶媒は、約0.01から約60重量%または約5から約15重量%の量で存在することができる。
【0009】
本発明の各種実施形態は、少なくとも一つの界面活性剤または少なくとも一つの界面活性剤および少なくとも一つのオイルを含むことができる。界面活性剤は、約0.01から約40重量%または約1から約20%の量で存在することができる。オイルは、約0.01から約40重量%または約1から約20%の量で存在することができる。
【0010】
好適なオイル類には、短鎖、中鎖および長鎖モノグリセリド類、ジグリセリド類およびトリグリセリド類などがあるが、これらに限定されるものではない。好適なオイルには特には、カプリル酸およびカプリン酸トリグリセリドなどがあり、有用な界面活性剤にはマクロゴール−15−ヒドロキシステアレートとも称され、ソルトール(Solutol)HS15の商品名で市販されているポリエチレングリコール660−12ヒドロキシステアレートなどがある。
【0011】
本発明の各種実施形態は、少なくとも一つのレオロジー改良剤を含むことができる。好適なレオロジー改良剤には、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0012】
本発明の各種実施形態は、少なくとも一つの別の活性医薬(APA)を含むことができる。好適な別のAPA類には、充血除去剤、抗ヒスタミン薬、β作動薬および抗コリン作用薬ならびにこれらの組み合わせなどがある。特に有用な別のAPAは、オキシメタゾリンなどの充血除去剤である。
【0013】
本発明の他の実施形態は、吸入器および約0.1mcg/mLから約500mcg/mLの濃度で溶液中にフロ酸モメタゾンを含む吸入に適した水溶液を含む医薬製品を提供する。他の有用なMF濃度は、約5mcg/mLから約100mcg/mLまたは約25mcg/mLから約75mcg/mLであることができる。有用な吸入器には、鼻腔用スプレー、ソフトミスト吸入器、加圧計量式吸入器;ネブライザーなどがある。本発明の別の実施形態は、吸入器を鼻の各鼻孔に当て、吸入器を少なくとも1回各鼻孔に駆動して溶液を鼻腔に送達させることで、医薬製品を投与する方法を提供する。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態は、吸入に適したフロ酸モメタゾン溶液を1日1回上気道に投与する段階を有し;フロ酸モメタゾンの総1日用量が約0.04から約200マイクログラムであるアレルギー性鼻炎の治療方法を提供する。フロ酸モメタゾンの他の好適な1日用量には、約5から約100マイクログラム;約5から約50マイクログラム;約10から約45マイクログラムまたは約20から約25マイクログラムなどがある。そのような量は、季節性または通年性アレルギー性鼻炎を治療する上で有用である。
【0015】
本発明の他の実施形態は、1日1回または2回上気道に吸入に適したフロ酸モメタゾン溶液を投与する段階を有し;フロ酸モメタゾンの総1日用量がフロ酸モメタゾン約5から約200マイクログラムである鼻ポリープの治療方法を提供する。別の有用な総1日用量には、フロ酸モメタゾン約0.04から約100マイクログラム、フロ酸モメタゾン約40から約50マイクログラムなどがある。
【0016】
本発明の別の実施形態は、吸入に適したフロ酸モメタゾン溶液を1日1回上気道もしくは下気道に投与する段階を有し;フロ酸モメタゾンの総1日用量が約0.04から約200マイクログラムである気道疾患の治療方法を提供する。フロ酸モメタゾンの総1日用量は、フロ酸モメタゾン約5から約100マイクログラムまたは約10から約50であることができる。この方法によって治療可能な気道疾患には、喘息、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎および/または鼻ポリープおよびこれらの組み合わせなどがある。
【0017】
さらに別の実施形態は、患者の気道の表面に、治療上有効量のコルチコステロイド応答性疾患を治療する上で有効なフロ酸モメタゾン溶液を投与する段階を有する、当該疾患を患っている患者での上気道もしくは下気道の当該疾患の治療方法を提供する。その溶液は1日1回投与することができ、フロ酸モメタゾン約0.04から約200マイクログラム、フロ酸モメタゾン約0.04から約100マイクログラムまたはフロ酸モメタゾン約5から約50マイクログラムを含むことができる。
【0018】
各種他の実施形態は、フロ酸モメタゾン溶液を標的に当てて、投与から1時間未満というフロ酸モメタゾンの最大血漿濃度(Tmax)までの時間を得る、医薬組成物の投与方法を提供する。好適なフロ酸モメタゾン濃度量には、約0.1mcg/mLから約500mcg/mL約5mcg/mLから約100mcg/mLなどがある。投与されるフロ酸モメタゾンの総1日用量は約5から約50マイクログラムであることができ、その組成物は1日1回投与することができる。
【0019】
各種他の実施形態は、フロ酸モメタゾン;界面活性剤;適宜にオイル;および水を含む吸入に適した水溶液を含む医薬組成物を提供する。その溶液は、マイクロエマルションまたはミセル組成物であることができる。
【0020】
複数の実施形態が、約5mcg/mLから約100mcg/mLの濃度でのフロ酸モメタゾン;約0.01から約20%の濃度での少なくとも一つの界面活性剤;適宜に約0.01から約20%の濃度での少なくとも一つのオイル;および水を含む吸入に適した水溶液を含む医薬組成物を提供する。少なくとも一つのレオロジー改良剤を含めることもできる。
【0021】
他の実施形態は、フロ酸モメタゾン;約3から約18の親水性−親油性バランス(HLB)値を有する少なくとも一つの界面活性剤;適宜に脂肪酸炭素鎖長C−C22脂肪酸を含む少なくとも一つのオイル;および水を含む吸入に適した水溶液を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
他の実施形態は、フロ酸モメタゾン;少なくとも一つの共溶媒;および水を有する吸入に適した水溶液を有する医薬組成物を提供する。好適な共溶媒には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、エタノールおよびグリセリンおよびこれらの組み合わせなどがある。
【0023】
さらに別の実施形態は、フロ酸モメタゾン;親水性部分および疎水性部分を有する少なくとも一つの賦形剤;および水を含む吸入に適した水溶液を有する医薬組成物を提供する。賦形剤はシクロデキストリンであることができる。
【0024】
別の実施形態は、フロ酸モメタゾン;少なくとも一つの推進剤;少なくとも一つの共溶媒;適宜に少なくとも一つの界面活性剤を含み;フロ酸モメタゾンの濃度が約0.1mcg/mLから約500mcg/mLであるか約5mcg/mLから約100mcg/mL;約25mcg/mLから約75mcg/mL;約60mcg/mLから約65mcg/mL;約25mcg/mLから約50mcg/mL;または約62.5mcg/mLである吸入に適した溶液を含む医薬組成物を提供する。好適な少なくとも一つの共溶媒には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、エタノール、N,Nジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびグリセリンおよびこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。特に、一つの特に好適な共溶媒はエタノールなどである。少なくとも一つの共溶媒は、約0.01から約60重量%または約5から約15重量%の量で存在することができる。少なくとも一つの界面活性剤は、約0.01から約40重量%または約1から約10重量%の量で存在することができる。別の実施形態は、計量式吸入器缶、バルブおよび本組成物を含む医薬製品を提供する。少なくとも一つの推進剤は、1,1,1,2テトラフルオロエタン(ethance)(HFA134)および1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロエタン(HFA227)およびこれらの組み合わせであることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】200mcg用量で同一機器から送達した場合のナゾネックス(登録商標)懸濁液鼻腔用スプレーとMFマイクロエマルション溶液鼻腔用スプレーの経時的平均ヒト血漿レベルの比較を示す図である。
【図2】20重量%ソルトールHS15および各種量の各種オイルからなるマイクロエマルション中の無水物および1水和物の形態のMFの溶解度を示す図である。
【図3】pH4.5の3mMクエン酸緩衝液中での濃度に対するコンホメーションおよび置換を変えた各種シクロデキストリンを含むMFの溶解度を示す図である。
【図4】各種0.2Mスルホブチルエーテルβシクロデキストリン(カプチソール(登録商標))緩衝溶液でのMFの溶解度(mcg/mL)に対する添加剤の効果を示す図である。
【図5】10重量%の各種賦形剤および90重量%の水での無水MFの溶解度(mcg/mL)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のいくつかの実施形態は、吸入に適したステロイド溶液である組成物を提供する。驚くべきことに、その組成物は、治療上有効量で難水溶性ステロイドを含む水系または非水系溶液を提供することができる。その溶液で使用される溶媒は、水系または非水系であることができる。好適な非水系溶媒には、1,1,1,2テトラフルオロエタン(ethance)(HFA134)および1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロエタン(HFA227)などのCFC類または非CFC類のような推進剤などがある。好適なステロイドには、フロ酸モメタゾン(MF)、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、ブデソニド、トリアムシノロン・アセトニド、プレドニゾロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、シクレソニドおよびフルニソリドなどがあるが、これらに限定されるものではない。特に有用なステロイドはフロ酸モメタゾンである。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態は、溶解した状態でMFなどのコルチコステロイドのような少なくとも一つのAPAを含む組成物を提供する。溶解状態での少なくとも一つのAPAを含むそのような組成物は溶液と称される。溶解状態で少なくとも一つのAPAを含む組成物は、共溶媒、錯体形成剤、シクロデキストリン類の使用など(これらに限定されるものではない)のいずれか好適な方法によって溶液として調製することができ、または溶液は、乳濁液、マイクロエマルションまたはミセル溶液など(これらに限定されるものではない)の脂質系組成物であることができる。
【0028】
MFなどのAPAの溶液での提供は、薬剤が分子レベルで分散していることで、薬剤製品が驚くほど高度に吸収される本発明の各種実施形態によって行われる。MFを含む溶液は、驚くほど急速な血中レベル上昇を示す(図1参照)。炎症部位での急速な吸収は、鼻症状および非鼻症状(目の充血、かゆみおよび涙、のどでの分泌物、のどの刺激、咳、聴力低下、ポッピング(popping)、耳のかゆみ、頭痛および/または顔面圧迫感など)などの多くの上気道および下気道疾患を治療する良好な治療効果を生じ得るものである。炎症部位での吸収増加によって、作用開始時間が短縮される可能性もある。患者に対する最大効果に至るまでの時間も短縮されるものと考えられる。
【0029】
より少ない噴霧量を用いることができて、それは噴霧容量低下につながると考えられ、組成物中の保存剤および他の不活性成分への1日曝露量が減るものと考えられる。さらに、噴霧容量が低下すると、「したたり」の感覚が軽減でき、患者が鼻をすする傾向が低下するが、鼻すすりを行うと組織上での保持時間を短くなって、薬剤の効果が低下するように思われる。したたり感が小さくなると、その性質を不快に思っている患者での患者の薬剤使用遵守も上がるものと考えられる。
【0030】
好適な溶液には、共溶媒組成物などがあり、その場合に共溶媒は水の誘電率を低下させ、薬剤分子と溶媒系との間の疎水性相互作用を促進する。好適な共溶媒には、エタノール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなどの有機溶媒などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
好適な溶液は、カプチソール(登録商標)ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンなど(これらに限定されるものではない)のシクロデキストリンを含むことができる。
【0032】
好適な溶液には、乳濁液およびマイクロエマルションなどがあり、それらは水、少なくとも一つの界面活性剤および少なくとも一つのオイルの系である。望ましくは、それらは光学的に単一相に見えるものである。
【0033】
好適な溶液には、ミセル溶液などがあり、それは代表的には光学的に透明であり、熱力学的に安定であり、親油性のコアと親水性の表面を有する凝集体を形成するだけの界面活性剤を有する。
【0034】
本発明の複数の実施形態の組成物は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール12オキシ−ステアレート、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、ポリオキシエチレン、モノオレイン酸ソルビタン、マクロゴールヒドロキシステアレート、ポロキサマー類、ラウリン酸エチルおよび短鎖、中鎖および長鎖モノグリセリド類、ジグリセリド類およびトリグリセリド類などのオイルならびにそれらに組み合わせを含む溶液によって調製することができる。
【0035】
好適な界面活性剤および/または可溶化剤には、サソール(Sasol)によってイムウィトール(IMWITOR)(S)(登録商標)として販売されている中鎖モノグリセリドおよびジグリセリド;イーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Company)によってマイバセット9−45(登録商標)として販売されている蒸留アセチル化モノグリセリド;ガテフォッセ(Gattefosse)によってペセオール(PECEOL)(登録商標)(モノオレイン酸グリセリル)、マイシン(MAISINE)(登録商標)(モノリノール酸グリセリル)(S)として販売されている長鎖モノグリセリド;ガテフォッセによってカプリオール(CAPRYOL)90(S)(登録商標)として販売されているプロピレングリコールモノカプリレート;ガテフォッセによってカプリオールPGMC(S)(登録商標)として販売されているプロピレングリコールカプリレート;ガテフォッセによってトランスキトール(S)(登録商標)として販売されているジエチレングリコールモノエチルエーテル;BASFによってソルトールHS−15(登録商標)として販売されているポリエチレングリコール660−12ヒドロキシステアレート;ガテフォッセによってゲルシレ(GELUCIRE)(登録商標)33/01、39/01、43/01、44/14、50/13として販売されているポリオキシグリセリド類;BASFによってクレモフォールRH40(登録商標)として販売されているポリオキシル40水素化ヒマシ油;BASFによってクレモフォールEL(登録商標)として販売されているポリオキシル35ヒマシ油;イーストマン・コダック(Eastman Kodak)によってビタミンE TPGS(登録商標)として販売されているd−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート;ガテフォッセによってラブラフィル(LABRAFIL)M−2125CS(登録商標)として販売されているPEG300リノール酸グリセリド;ガテフォッセによってラブラゾル(LABRASOL)(登録商標)として販売されているPEG400カプリル酸/カプリン酸グリセリド;ガテフォッセによってラブラピルム(LABRAPILM)−1944CS(登録商標)として販売されているPEG300オレイン酸グリセリド;ガテフォッセによってソフチゲン(SOFTIGEN)767(登録商標)として販売されているPEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリド;BASFによってポロキサマー類/プルロニック類として販売されているポリエチレンオキサイド/ポリ−(プロピレンオキサイド)/ポリ(エチレンオキサイド)トリブロックコポリマー;シグマ(Sigma)によってTWEEN20/TWEEN80(登録商標)(ポリソルベート20、ポリソルベート80)として販売されているポリオキシエチレン20ソルビタン・モノオレエート;ICIアメリカズ社(ICI Americas,Inc)によってSPAN20/SPAN80(登録商標)として販売されているソルビトン(Sorbiton)モノオレエート;マクロゴール−グリセリンヒドロキシステアレート(DAB)またはポリオキシエチレングリセリントリヒドロキシステアレート(DAC)およびこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。ポリエチレングリコール660−12ヒドロキシステアレートが、特に有用な界面活性剤である。
【0036】
界面活性剤の好適な濃度は、使用される他の賦形剤およびステロイドの量に応じて変動する。好適な界面活性剤量には、約0.001%から約80重量%;0.01から約80重量%;約0.01から約60重量%;約0.01から約40重量%;約0.01から約20重量%;約1%から約15重量%;約1%から約10重量%;約1から約5重量%または約0.01から約5重量%などがある。
【0037】
MFは非常に親油性が高い。MFを可溶化するのに用いられる賦形剤は望ましくは、それがMFと会合するのを助ける親油性成分を有する。界面活性剤は、親油性部分と親水性部分の両方を有する両親媒性分子であることで、水に分散させた場合に、オイルと疎水性薬剤を含む疎水性コアを形成する。界面活性剤濃度が臨界ミセル濃度より高いと、界面活性剤凝集体の親油性コアが、親油性分子を包み込んだミセルを形成する。界面活性剤の親水性成分は水と会合する。
【0038】
良好な界面活性剤を選択するに際しては、分子上の親水性部分と親油性部分のパーセントについて、望ましい形でバランスを取る。10%賦形剤/水を評価する場合、ビタミンE TPGS溶液が多量のMFを可溶化することが認められた。分子の親油性部分は、MFを可溶化する上で役立つと考えられる12炭素飽和アルキル鎖およびベンゼン環を含むものであった。
【0039】
界面活性剤の親水性−親油性バランス(HLB)は、界面活性剤が親水性または親油性である程度を決定するのに用いられる尺度である。HLB値は、グリフィン(Griffin)とデービス(Davis)が報告している方法に従って、分子の異なる領域についての値を計算することで求める。好適な界面活性剤は代表的には、約3以上;約3から約18または約8から約18のHLB値を有する。オイル/水乳濁液は、HLB値約8から約18を有する界面活性剤/界面活性剤混合物を用いて製剤することができ、水/オイル乳濁液はHLB値約3から約6で製剤することができる。
【0040】
好適な中鎖トリグリセリドには、サソールによってミグリオール840として販売されているプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートとして、そしてアビテック(Abitech)によってカプムル(CAPMUL)200(S)(登録商標)として販売されているカプリル酸およびカプリン酸トリグリセリド類;サソール・ノース・アメリカ(Sasol North America)によるミグリオール812/ミグリオール810(登録商標);サソール・ノース・アメリカによってミグリオール818(登録商標)として販売されているカプリル酸およびカプリン酸リノール酸トリグリセリド類;アビテック社によってカプテクス(CAPTEX)300/カプテクス850(登録商標)として販売されているヤシ油からのトリグリセリド;アビテック社によってカプテクス355(登録商標)として販売されているカプリル酸/カプリル酸トリグリセリド;アビテック社によってカプテクス350(登録商標)として販売されているカプリル酸/カプリル酸/ラウリン酸トリグリセリド;アビテック社によってカプテクス810(登録商標)として販売されているカプリル酸/カプリル酸/リノール酸トリグリセリド;アビテック社によってカプテクスSBE(登録商標)として販売されているカプリル酸/カプリル酸/ステアリン酸トリグリセリド;ステファン(Stephan)によってネオビーム−5(登録商標)として販売されているトリカプリル酸/カプリル酸トリグリセリドエステルならびにこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
好適な長鎖トリグリセリドには、クローダ(Croda)によってスーパーリファイン(SUPER−REFINED)大豆油USP(登録商標)として販売されている大豆油;クローダによってスーパーリファイントウモロコシ油NF(登録商標)として販売されているトウモロコシ油;クローダによってスーパーリファイン綿実油NF(登録商標)として販売されている綿実油;クローダによってスーパーリファインオリーブ油NF(登録商標)として販売されているオリーブ油;クローダによってスーパーリファイン落花生油BF(登録商標)として販売されている落花生油;クローダによってスーパーリファイン紅花油USP(登録商標)として販売されている紅花油;クローダによってスーパーリファイン・セサミ(SESAME)NF(登録商標)として販売されているゴマ油;クローダによってスーパーリファイン・シャーク・レバー(SHARK LIVER)(登録商標)として販売されているサメ肝油;ヒマシ油;クローダによってモノ不飽和ω−9脂肪酸として販売されているオレイン酸;ハッカ油;サソールによってソフチサン(SOFTISAN)154(登録商標)として販売されている水素化パーム油ならびにこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
オイルの好適な濃度は、使用される他の賦形剤およびステロイドの量に応じて変動する。好適な量には、約0.001%から約80重量%;0.01から約80重量%;約0.01から約60重量%;約0.01から約40重量%;約0.01から約20重量%;約1%から約15重量%;約1%から約10重量%;約5から約10重量%または約0.01から約0.25重量%などがある。
【0043】
好適な共溶媒には、プロピレングリコール、PEG300、PEG400、エタノール、N,Nジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、グリセリンおよびこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。溶液の55%までが共溶媒であることができる。好ましくは、共溶媒は、約0.01から約60重量%、約1から約20重量%、約5から約20重量%、約1から約10重量%、約5から約15重量%または約5から約10重量%の範囲である。ポリエチレングリコールが特に有用な溶媒である。
【0044】
シクロデキストリンは、デンプンから誘導される環状炭水化物である。未修飾のシクロデキストリンは、柱状構造で連結されているグルコピラノースの数によって異なる。親シクロデキストリンは6、7または8個のグルコピラノース単位を含み、それぞれα、βおよびγ−シクロデキストリンと称される。各シクロデキストリンサブユニットは、2位および3位に2級ヒドロキシル基および6位に1級ヒドロキシ基を有する。シクロデキストリンは、親水性外部表面および疎水性内部空洞部を有する中空円錐台として描くことができる。水溶液では、これらの疎水性空洞部は、構造の全てまたは一部がこれらの空洞部に入り込むことができる疎水性有機化合物に対して避難所を提供する。包接錯体形成と称されるこのプロセスにより、錯体形成した薬剤について見かけの水溶解度および安定性が高くなる可能性がある。その錯体は疎水性相互作用によって安定化され、それには共有結合の形成は関与しない。
【0045】
好適なシクロデキストリンには、ステラ(Stella)らに対する米国特許第5376645号および同5134,127号(これらの開示内容は全て、参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のものなどがある。それの製造方法は、シクロデキストリンを、それの可能な最も高い濃度で例えば70から80℃の適切な温度で水系基剤に溶かす段階を有することができる。例えば、本明細書におけるシクロデキストリン誘導体を製造するには、存在する1級CDヒドロキシル基のモル数に相当する量の適切なアルキルスルトンを、高撹拌下に加えることで、不均一相の接触が最大となるようにする。好適なシクロデキストリンには、サイデックス社(Cydex,Inc.)から入手可能なSBE−7−β−CD(カプチソール(登録商標))またはSBE−4−β−CDなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
モメタゾン溶液組成物は、フロ酸モメタゾンを水および他の製薬上許容される賦形剤と混合することで調製することができる(実施例1参照)。溶液組成物は、特に、水および/または微結晶セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロースなどの懸濁剤;グリセリンおよびプロピレングリコールなどの保湿剤;クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウムならびにクエン酸緩衝液とリン酸緩衝液の混合物などのpHを調節するための酸、塩基または緩衝剤物質;ポリソルベート80などの界面活性剤;および塩化ベンザルコニウム、フェニルエチルアルコールおよびソルビン酸カリウムなどの抗菌性保存剤などの1以上の賦形剤を含むことができる。これらの製薬上許容される賦形剤のいずれかの組み合わせも使用可能である。
【0047】
本発明の別の実施形態は、驚くほど低用量のステロイド溶液を用いる季節性および/または通年性アレルギー性鼻炎、喘息、COPD、鼻副鼻腔炎または鼻ポリープなどの上気道および下気道の疾患の治療方法を提供する。
【0048】
同じ種類の機器から200mcg用量で投与した場合に、ヒトにおけるフロ酸モメタゾン溶液組成物鼻腔用スプレーからのフロ酸モメタゾンの全身曝露は、ナゾネックス(登録商標)フロ酸モメタゾン・1水和物懸濁液組成物鼻腔用スプレーからの全身曝露の約9から約10倍であることが発見された。各対象者について測定した時間点での血漿レベルの曲線下面積(AUC)の幾何平均を取ることで、イン・ビボ全身曝露を求めた。他の経鼻投与コルチコステロイドについて実施された過去の研究を考慮した場合、MF溶液とMF懸濁液の間の全身曝露におけるこの差の大きさは驚くべきものであり、(a)トリアムシノロン・アセトニド鼻腔用スプレーの懸濁液と溶液の間では、認められた相対的な生物学的利用能の差はわずか1から2倍であり(Hochhaus 2002,J Clin Pharmacol)、(b)経口吸入でのジプロピオン酸ベクロメタゾンの懸濁液と溶液の間では、認められた相対的な生物学的利用能の差はわずか2.5倍であった(Vanden Burgt 2000 J Alergy Clin Immunol)。従って、相対的に高い総1日用量で製造された以前のコルチコステロイド溶液を考慮すると、本発明の組成物は驚くべきものである。本発明の各種実施形態の溶液の生物学的利用能における大幅な上昇のため、総1日用量は驚くほど低い。
【0049】
図1は、時間との関係で記載された健常人に対する二つの組成物の投与後のMFの全身曝露を比較したものである。各対象者について測定した時間点での血漿レベルの曲線下面積(AUC)の幾何平均を取ることで、イン・ビボ全身曝露を求めた。いずれも200mcgでナゾネックス(登録商標)懸濁液(上側の線−円)をフロ酸モメタゾン溶液(下側の線−正方形)と比較すると、両方の組成物を同一用量で、同じ種類の機器を用いて投与した場合であっても、フロ酸モメタゾン溶液からのMF曝露は、ナゾネックス(登録商標)懸濁液からのものより大幅に大きかった(約9から約10倍)。投与後12時間では、溶液として投与した後のMFの濃度は、懸濁液の形態でのMF投与後に認められたMF濃度と比較して、なおも約6倍であった。最大濃度に至るまでの時間(Tmax)は、1時間未満であり、驚くほど急速である。最大濃度(Cmax)は望ましくは、約1ピコグラム(pg)/mLから約75pg/mL、約5pg/mLから約20pg/mL;または約5pg/mLから約10pg/mLである。
【0050】
フロ酸モメタゾンの好適な濃度には、約0.1マイクログラム(mcg)/mLから約500mcg/mL;1mcg/mLから約500mcg/mL約5mcg/mLから約500mcg/mL;5mcg/mLから約250mcg/mL;約5mcg/mLから約100mcg/mL;約10mcg/mLから約100mcg/mL;約50mcg/mLから約100mcg/mL;約25mcg/mLから約75mcg/mL;約50mcg/mLから約75mcg/mL;約5mcg/mLから約50mcg/mL;約60mcg/mLから約65mcg/mL;約5mcg/mL;約10mcg/mL;約15mcg/mL;約20mcg/mL;約25mcg/mL;約30mcg/mL;約35mcg/mL;約40mcg/mL;約45mcg/mL;約50mcg/mL;約60mcg/mL;約65mcg/mL;または約70mcg/mLなどがある。
【0051】
例えば、25マイクログラム(mcg)用量を投与するには、スプレー駆動1回当たり約100マイクロリットル(mcL)のスプレー容量での鼻腔用スプレーアクチュエータのスプレー4回から、62.5mcg/ミリリットル(mL)のフロ酸モメタゾン濃度を有する組成物を送出することができる。
【0052】
フロ酸モメタゾンの有用な総1日用量には、約0.04から約800マイクログラム(「mcg」)/日、約0.04から約400mcg/日、約0.04から約200mcg/日、約0.04から約100mcg/日、約1から約100mcg/日、約5から約100mcg/日、約5から約75mcg/日、約5mcgから約50mcg/日、約10mcgから約50mcg/日、約10mcgから約45mcg/日、約10から約30mcg/日、約40から約50mcg/日、約15mcgから約25mcg/日、約20から約25mcg/日、約10mcg/日、約15mcg/日、20mcg/日、約22.5mcg/日、約25mcg/日、約27.5mcg/日、約30mcg/日約40mcg/日または約45mcg/日の範囲などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
投与は、1日1回、2回、3回または4回であることができる。特に好適な投与は、1日1回または1日2回のいずれかである。
【0054】
いずれか好適な形態のフロ酸モメタゾンを用いることができ、無水フロ酸モメタゾンおよびフロ酸モメタゾン・1水和物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
担当の臨床関係者の判断に基づいて、投与されるフロ酸モメタゾンの量および用いられる治療法は、当然のことながら、治療を受ける患者の年齢、性別および病歴、具体的な喘息もしくは非悪性肺疾患状態の重度ならびに局所毒性(例えば、鼻の炎症および/または鼻血)および全身性副作用(例:コルチゾールレベル)によって明らかな治療法に対する患者の耐容性によって決まる。コルチゾール(ヒドロコルチゾンとも称される)は、副腎皮質によって産生される主要な天然グルココルチコステロイドである。
【0056】
治療可能である好適な疾患には、フロ酸モメタゾンなどのコルチコステロイド類を投与することで治療可能な、上気道もしくは下気道または肺のアレルギー性、非アレルギー性および/または炎症性の疾患等の気道および肺のコルチコステロイド応答性疾患などがある。代表的なコルチコステロイド応答性疾患には、アレルギー性および非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)ならびに気道および肺の非悪性増殖性および炎症性疾患などがある。
【0057】
本発明は、気道および肺のアレルギー性および非アレルギー性鼻炎ならびに非悪性増殖性および/または炎症性疾患を治療する上でも有用である。本発明の各種実施形態に従って治療または改善することができる上気道および下気道のアレルギー性または炎症性状態の例には、季節性アレルギー性鼻炎、間欠性アレルギー性鼻炎、持続性アレルギー性鼻炎および/または通年性アレルギー性鼻炎などのアレルギー性鼻炎関連の鼻症状ならびに中等度ないし重度の季節性アレルギー性鼻炎患者における鬱血などがある。治療または予防可能な他の状態には、コルチコステロイド応答性疾患、鼻ポリープ、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ライノウイルス、急性鼻副鼻腔炎および慢性鼻副鼻腔炎などの鼻副鼻腔炎、鬱血、全ての鼻症状(鼻づまり/鬱血、鼻汁、鼻のかゆみ、くしゃみ)および非鼻症状(目のかゆみ/焼けるような痛み、涙/涙目、目の充血、耳/口蓋のかゆみ)および副鼻腔炎、真菌誘発副鼻腔炎、細菌性副鼻腔炎関連の鼻の閉塞などがある。
【0058】
本発明で使用される「アレルギー性鼻炎」という用語は、あらゆる鼻粘膜のアレルギー反応を意味し、季節性または通年性のくしゃみ、鼻汁、鼻充血、心因掻痒および目のかゆみ、目の充血および涙を特徴とする花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)および通年性鼻炎(非季節性アレルギー性鼻炎)などがある。
【0059】
本明細書で使用される「非アレルギー性鼻炎」という用語は、皮膚試験陰性の患者および鼻の分泌物に好酸球が多い患者で認められる好酸球性非アレルギー性鼻炎を意味する。
【0060】
本明細書で使用される「喘息」という用語には、気管支の痙攣性収縮(いわゆる「気管支痙攣」)による喘鳴を伴う運動時呼吸困難(すなわち、「可逆性閉塞性気道疾患」)の再発性発作を特徴とする喘息状態などがある。本発明に従って治療または予防可能な喘息状態には、運動、特別に激しい運動(「運動誘発性気管支攣縮」)、刺激性粒子(花粉、ほこり、綿、ネコのふけ)ならびに軽度ないし中等度の喘息、慢性喘息、重度慢性喘息、重度および不安定喘息、夜間喘息および心理的ストレスなどの多様な要素によって引き起こされる感作を受けた人における症状を特徴とするアレルギー性喘息および気管支アレルギーなどがある。本発明は、下気道および肺の可逆性閉塞性疾患ならびに運動誘発性気管支攣縮を患うヒトなどの哺乳動物での喘息の発症を予防する上で特に有用である。
【0061】
肺系に関連して本明細書で使用される「非悪性増殖性および/または炎症性疾患」という用語は、(1)外因性アレルギー性肺胞炎などの肺胞炎および例えば細胞傷害剤および/またはアルキル化剤によって引き起こされるものなどの薬物毒性;(2)ヴェグナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫症、肺血管腫症および特発性肺線維症、慢性好酸球性肺炎、好酸球性肉芽腫およびサルコイドーシスなどの脈管炎のうちの1以上を意味する。
【0062】
「治療上有効量」という表現は、投与した時に、含まれている1以上の医薬活性剤を供給することで疾患もしくは疾患状態の治療もしくは管理において治療的効果を提供する医薬品の量を意味する。
【0063】
投与は、ネブライザー、計量式ポンプ噴霧器、ソフトミスト吸入器および加圧式計量式投与吸入器など(これらに限定されるものではない)の吸入器を用いて行うことができる。1個の加圧式計量式吸入器を、単に鼻投与用に設計されたアクチュエータと経口投与用に設計されたアクチュエータの間で切り換えを行うことで経口または経鼻吸入経路用に調整することができる。
【0064】
溶液は、各鼻孔に適切な機器(ナゾネックス(登録商標)鼻腔用スプレーを投与するのに用いられる鼻腔用スプレー瓶およびアクチュエータなど)を挿入することで経鼻投与することができる。次に、活性薬剤を鼻腔用スプレー器から駆出する。効力は、鼻症状および非鼻症状(例:くしゃみ、かゆみ、鬱血および鼻汁)の軽減によって二重盲検的に評価することができる。他の客観的測定(例えば、鼻最大流量および抵抗)を、効力の支持的指標として用いることができる。シェリングプラウによって販売されているナゾネックス(登録商標)またはシェリングプラウによって販売されているAFRIN(登録商標)に用いられるポンプ式スプレーなどの、いずれか好適なポンプ式スプレーを用いることができる。
【0065】
喘息患者の気道表面へのフロ酸モメタゾンの投与は、治療指数を最大とすることができる。本明細書で使用される「治療指数」という用語は、局所効力の全身効力に対する比を意味する。
【0066】
加圧式計量式投与吸入器(「MDI」)は、推進剤、例えばクロロフルオロカーボン推進剤、例えば、CFC−11、CFC−12、ヒドロフルオロカーボン推進剤、例えばHFC−134A、HFC−227またはこれらの組み合わせを含むことで、装置に含まれる正確な量の医薬エアロゾルを提供し、それがエアロゾルを経鼻的に吸入させて投与されることで鼻粘膜および/または洞部の治療を行う。
【0067】
好適なMDI組成物は、1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパンなどの推進剤;アルコール類、ミグリオール(登録商標)812、ミグリオール(登録商標)840、PEG−400、メントール、ラウログリコール、バートレル(登録商標)_245、トランスクトール(TRANSCUTOL)(登録商標)、ラブラファク(LABRAFAC)(登録商標)Hydro WL1219、パーフルオロシクロブタン、ユーカリ油、短鎖脂肪酸およびこれらの組み合わせなど(これらに限定されるものではない)の賦形剤、;ステロイドおよび適宜に界面活性剤を含む。MDFは、低温充填または加圧充填などの従来の方法によって調製することができる。
【0068】
「ソフトミスト」吸入器は、代表的には水系溶液医薬を経口吸入を介して肺に送達させるのに用いられる多用量計量式エアロゾル投与装置である。それが作り出すエアロゾル噴霧塊は、速度が小さく、しかも代表的なpMDIの場合の約6倍(例えば、ミリ秒単位に対して代表的には1から2秒)続く。そのような機器の1例としては、臭化イプラトロピウムを肺に送達するのに現在用いられているべーリンガーインゲルハイム(BI)のレスピマット(登録商標)があると考えられる。
【0069】
本発明の医薬組成物は、ネブライザー装置を用いて投与することもできる。代表的な商業的ネブライザー装置は、二つの方法のうちの一つによって気体流中の液滴を分散させる。ジェットネブライザーは、圧縮空気源を用いて管でベンチュリー作用によってオリフィスから液体の引き上げを行い、それを、懸濁した液滴として流動気流に導入し、その後、その流体は1以上の固定バッフルに衝突させられることで、過剰に大きい液滴が除去される。超音波ネブライザーは、電気駆動式変換器を用いて、流体に高周波振動を与えて液滴雲を発生させ、それを移動する気流に同伴させることができる。これらの装置は、懸濁液を投与するにはあまり好ましくない。例えば、フロ酸モメタゾン溶液約1から約4mLをプラスチック製ネブライザー容器に入れることができ、患者は1から30分間にわたって吸入することになると考えられる。そのような容器に入れる総用量は、0.2から約100mcgの範囲になると考えられる。
【0070】
スクイーズバルブ式エアー源で液体を微粒化する携帯型ネブライザーも利用可能であるが、比較的広く使用される装置には電動コンプレッサーが組み込まれているか、圧縮ガスのシリンダーに連結されている。市販されている各種装置において、それぞれの呼吸域液滴の排出量が理想量からはほど遠いことから、所定の医薬品についての送達効率にはかなりの変動があるが、各特定の装置に充填すべき医薬組成物の正確な量を処方者が指定している場合は、いずれの装置も本発明の医薬品投与に用いることができる。
【0071】
本発明の他の実施形態は、ステロイドおよび少なくとも一つの充血除去剤、抗ヒスタミン薬、β作動薬および抗コリン作用薬などの別のAPAの組み合わせを含む医薬組成物を提供する。詳細には、APA類の有用な組み合わせには、フロ酸モメタゾンとオキシメタゾリン、フロ酸モメタゾンとフォルモテロール、サルメテロールまたはインダカテロールなどのβ作動薬、フロ酸モメタゾンとチオトロピウム、グリコピロレートまたはイプラトロピウムなどの抗コリン作用薬などがある。
【0072】
ある特に有用な組み合わせは、フロ酸モメタゾンと充血除去剤である。好適な充血除去剤の例には、1−デスオキシエフェドリン、エフェドリン、エフェドリン塩酸塩、硫酸エフェドリン、ナファゾリン、ナファゾリン塩酸塩、オキシメタゾリンおよびそれの製薬上許容される塩、オキシメタゾリン塩酸塩、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、メナゾリン(menazoline)、フェニレフリン塩酸塩、プロピルヘキセドリン、キシロメタゾリンおよびキシロメタゾリン塩酸塩などがある。オキシメタゾリンが好ましい充血除去剤である。
【0073】
オキシメタゾリンの有用な有効総1日量には、単回投与または分割投与で、約5から約5000マイクログラム(「mcg」)/日、約5から約2000mcg/日、約12.5から約1000mcg/日、約25から約1000mcg/日、約12.5から約800mcg/日、約12.5から約600mcg/日、約25から約500mcg/日、25から約400マイクログラム、約50から約500、約50から約300mcg/日、約50から約200マイクログラム、約100から約300mcg/日、約100mcg/日または約200mcg/日または約300mcg/日などがある。総1日用量は、両方の鼻孔に投与する薬剤の総量を含む。各鼻孔には、1回もしくは2回の噴霧を行うことができる。
【0074】
上気道もしくは下気道の疾患を治療するのに投与されるフロ酸モメタゾンは、単独療法として、または例えばクロモリンナトリウムまたはネドクロミルナトリウム(ファイゾンズ(Fisons)から入手可能);アルブテロール(商標名プロベンティル(登録商標)下にシェリング社から入手可能)またはオキシメタゾリン(シェリングプラウからアフリン(登録商標)として入手可能)などの気管支拡張薬との補助療法として用いることができる。
【0075】
本発明の複数の実施形態の組成物は特には、水、補助剤および/または例えば微結晶セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロースなどの懸濁剤;グリセリンおよびプロピレングリコールなどの保湿剤;クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウムならびにクエン酸緩衝液とリン酸緩衝液の混合物などのpHを調節するための酸、塩基または緩衝剤物質;ポリソルベート80などの界面活性剤;および塩化ベンザルコニウム、フェニルエチルアルコールおよびソルビン酸カリウムなどの抗菌性保存剤などの1以上の賦形剤を含むことができる。
【0076】
所期の用途に応じて、約5重量%以下、より代表的には約0.5から約5重量%のポリマーその他の材料などの別のレオロジー改良剤を組み込むことが望ましい場合がある。有用な材料には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン、カラギーナン類、カルボマー類、ガラクトマンナン類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルキチン、ナトリウムカルボキシメチルデキストラン、ナトリウムカルボキシメチルデンプンおよびキサンタンガムなどがあるが、これらに限定されるものではない。前記のもののいずれか2以上の組み合わせも有用である。
【0077】
微結晶セルロースおよびアルカリ金属カルボキシアルキルセルロースの混合物は市販されており、本発明での使用に現在好ましい混合物はアビセル(登録商標)RC−591としてFMC社(FMC Corporation,Philadelphia,Pa.U.S.A.)によって販売されている。この材料は、約89重量%の微結晶セルロースおよび約11重量%のナトリウムカルボキシメチルセルロースを含み、各種医薬懸濁液および乳濁液を調製する上での懸濁剤として用いられることが知られている。本発明の組成物は、少なくとも約1.0から約10重量%または約1から約4重量%のセルロース/カルボキシアルキルセルロース化合物混合物の混合物を含むことができる。
【0078】
非常に関連性のある混合物が、アビセル(登録商標)RC−581と同じ供給先から入手可能であり、それはRC−591と同じバルク化学組成を有するものであり、この材料も本発明において有用である。微結晶セルロースおよびアルカリ金属カルボキシアルキルセルロースは別個に市販されており、本発明での使用において所望の割合で混合することができ、微結晶セルロースの量は、別個に混合された混合物と一緒に処理された混合物の両方について、混合物の約85から約95重量%であることができる。
【0079】
本発明の組成物を感受性粘膜に適用しようとする場合、自然のpHがまだ好適なものでない場合には、酸もしくは塩基を用いて、pHを比較的中性の値に調節することが望ましい場合がある。概して、約3から約8のpH値が組織適合性には好ましいものであり、選択される正確な値は、組成物の化学的および物理的安定性も促進すべきである。場合によっては、緩衝剤を包含させて、選択されたpH値の維持に役立てることになる。代表的な緩衝剤は当業界では公知であり、リン酸塩、クエン酸塩およびホウ酸塩系などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
組成物は、保湿剤、保存剤、酸化防止剤、キレート剤、粘膜接着剤および芳香剤などの多くの適宜の成分のいずれかを含むことができる。グリセリン、ポリエチレンまたは他のグリコール、多糖類などの吸湿性材料である保湿剤は、組成物からの水の喪失を阻止する作用を行い、保湿性を与えることができる。有用な芳香剤には、カンファー、メントール、オイカリプトールなど、香味剤および香料などがある。保存剤は代表的には、病原体のない状態を確立および維持するために組み込まれるものである。代表的な成分には、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、フェネチルアルコール(芳香添加物でもある)、酢酸フェニル水銀および塩化ベンザルコニウムなどがある。
【0081】
本発明のある種の態様が、下記の実施例にさらに説明されている。本発明の実施系チアの説明は、例示と説明を目的として提供されている。それらは全てを網羅しているわけではなく、開示されている正確な形態に本発明を限定するものでもなく、上記の説明を考慮すれば、多くの改変および変形形態が可能であることは明白である。「含む」という用語は、「など(これらに限定されるものではない)の」と定義される。
【0082】
文脈によって他の意味が明瞭に示されていない限り、パーセントは重量基準で表されるものである。本明細書および特許請求の範囲でのいずれか具体的な医薬物質についての言及は、基礎となる薬剤だけでなく、その薬剤の製薬上許容される塩、エステル、水和物および他の形態も包含するものである。薬剤の特定の塩または他の形態に言及する場合、他の塩または形態を代わりに用いることが可能であることが想到される。
【0083】
実施例
実施例1:ミセルおよびマイクロエマルション組成物
各賦形剤を所定量でビーカー中にて量ることで、組成物A、C、DおよびGなどの各種フロ酸モメタゾンミセル溶液を調製する。必要に応じて、65℃に維持された水浴を用いて約30分間にわたり、賦形剤を溶融させる。水で組成物を50gとし、オーバーヘッド/ライトニング(lightening)ミキサーを用いて混合する。50gに対する濃度に基づいてMFを加え、溶液をライトニングミキサーで1000rpmで約7分間混合する。
【0084】
各賦形剤を所定量でビーカー中にて量ることで、組成物B、EおよびFなどの各種MFマイクロエマルション溶液を調製する。必要に応じて、65℃に維持された水浴を用いて約30分間にわたり、賦形剤を溶融させる。オイル成分を加え、直ちにオーバーヘッド/ライトニングミキサーで1000rpmで5分間混合する。50gに対する濃度に基づいてMFを加え、溶液をライトニングミキサーで1000rpmで20分間混合する。組成物を水で50gとし、オーバーヘッド/ライトニングミキサーで混合する。
【0085】
組成物A
無水フロ酸モメタゾン1.25mg
d−アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート5g
水45g。
【0086】
組成物B
1.25mg無水フロ酸モメタゾン
ラウリン酸エチル2.5g
ポリエチレングリコール660−12ヒドロキシステアレート10g
水37.5g。
【0087】
組成物C
無水フロ酸モメタゾン1.25mg
ポリエチレングリコール12オキシ−ステアレート5g
水45g。
【0088】
組成物D
無水フロ酸モメタゾン1.25mg
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノオレエート5g
水45g。
【0089】
組成物E
フロ酸モメタゾン・1水和物1.25mg
中鎖トリグリセリド類2.5g
ポリエチレングリコール660−12ヒドロキシステアレート10g
水37.5g。
【0090】
組成物F
無水フロ酸モメタゾン6.25mg
中鎖トリグリセリド類2.5g
ポリエチレングリコール660−12ヒドロキシステアレート10g
水37.5g。
【0091】
組成物G
無水フロ酸モメタゾン1.25mg
ポロキサマー4075g
水45g。
【0092】
実施例2:ミセル溶解度測定
各種溶液中のMFの溶解度を求めるため、各賦形剤をビーカー中で10重量%の濃度で量ることで、各種MF溶液を調製する。必要に応じて、65℃に維持された水浴を用いて約30分間にわたり、賦形剤を溶融させる。組成物を水で50gとし、オーバーヘッド/ライトニングミキサーで混合する。無水フロ酸モメタゾン約50から60mgを各混合物に加える。溶液を、振盪器(Eberbacher)で低速にて約48から約72時間にわたって混合する。各懸濁液約20mLを取り、1200rpmで12分間遠心する。上清約5mLを、0.22μmシリンジフィルターを用いて濾過する。サンプル1mLを各濾過サンプルから採取し、HPLCを用いてアッセイを行う。結果は表1に示してある。
【表1】

【0093】
ソルトール(登録商標)HS15、ポリソルベート80およびクレモフォール(登録商標)RH40からは、高い溶解度が認められる。それらは約75重量%の分子の親油性部分でエステル化されたPEGを有する。
【0094】
ビタミンE TPGSは、ほぼ500μg/gの高い溶解度を有し、クレモフォール(登録商標)RH40、ソルトールHS(登録商標)15およびポリソルベート80は約180から200μg/mLの溶解度を有していた。10%ポリオキサマー(polyoxamer)類およびポリビニルピロリドン類(やはり非常に極性が高い)を含む溶液は、30μg/mL未満のMF溶解度を示す。
【0095】
実施例3:マイクロエマルション溶解度測定
量を変動させた各種オイルと20%のソルトール(登録商標)HS−15からなるソルトール(登録商標)HS−15系のマイクロエマルション組成物で、フロ酸モメタゾンの平衡溶解度を測定する(図2、表2)。水を加えた後に、溶液に過剰量の薬剤を加える。バイアルを72時間にわたって振盪する。各種時間間隔で溶液を遠心および濾過してから、HPLCによってサンプルの分析を行う。薬剤溶解度は、300mcg/mLから600mcg/gの範囲であった。代替のオイルについても調べる(表3)。
【0096】
5%のミグリオール(登録商標)、20重量%のソルトール(登録商標)HS−15および75%のリン酸緩衝液系(PBS)を用いて、538mcg/mLのフロ酸モメタゾン濃度を得た。PBSを水に代えた同様の組成物では、濃度は約519mcg/mLであった。正確に500mcg/mLの濃度を得るには、薬剤ほぼ5mgを秤量し、磁気撹拌バーを用いて混合しておいたソルトール(登録商標)HS−15 2gおよびミグリオール(登録商標)812 0.5gの混合物に加えた。薬剤を予備濃縮液に溶かした後、蒸留水7.5gを上記混合物に加えて、フロ酸モメタゾンのマイクロエマルションを製剤した。薬剤濃度をHPLCによって測定したところ、約500mcg/mLであることが認められた。フロ酸モメタゾンのオイルを入れたミセル溶液組成物は、高温で少なくとも2週間にわたり、そして少なくとも3回の冷凍−解凍サイクルにわたって物理的および化学的に安定であった。
【表2】

【表3】

【0097】
実施例4:シクロデキストリン溶液
0.05、0.01および0.2Mの4つの異なるシクロデキストリン、すなわち置換されていないγ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル(SBE)β−シクロデキストリン(カプチソール)および2種類の置換されているSBEγ−シクロデキストリンを用いて、フロ酸モメタゾン6mg/mLの組成物を二連で調製した。0.05および0.1Mのシクロデキストリンのみについて、置換されていないγ−シクロデキストリンの評価を行った。全ての組成物を、pH4.5の3mMクエン酸緩衝液中で調製した。組成物を、光から保護したローラーミキサー(Stuart Scientific SRT2 33rpmライズ/フォール 16mm)に乗せ、約3日間混合した。3日間の平衡化後、0.22ミクロメートルPVDFシリンジフィルターを用いて組成物を濾過し、HPLCによって分析した。データを図3および表4に示したが、それは二つのより多く置換されたγ−スルホンブチルエーテルシクロデキストリン(6.1、6.2)がより多量のMFを溶かすことを示していた。
【表4】

【0098】
0.2Mカプチソール(SBEβ−シクロデキストリン)の原液を調製した。表5および図4に、この溶液のMF溶解度に対する各種添加剤の効果を挙げてある。
【表5】

【0099】
実施例5:MDI組成物
計量式吸入器(MDI)組成物を下記の方法によって調製する。すなわち、適切な加圧容器で、オレイン酸を加え、エタノールに溶かす。次に、MFをそのアルコール混合物に加え、高速撹拌により、ホモジナイザーを用いて溶解させる。次に、薬剤溶液をMDI缶に充填し、推進剤を圧力充填によって加える。
【表6】

【0100】
実施例6:臨床試験
シェリングプラウが実施した最近間欠した臨床試験は、(A)市販のナゾネックス懸濁液鼻腔用スプレーおよび(B)ナゾネックス(登録商標)に用いられるものと同じ装置によって投与されるMF溶液からのMFの全身曝露を比較した。
【0101】
臨床試験の計画および方法
実施した臨床試験は、健常成人志願者で実施したMFの部分無作為化交差非盲検試験であった。男性および女性被験者を合計12名登録した。各試験期間に関して、各被験者には、本人の無作為化投与順序に従って各期間内に下記に示した2種類の投与のうちの1種類の投与を行った。
【0102】
投与A:ナゾネックス(登録商標)鼻腔用スプレーからの水系懸濁液としてMF 200μgを投与する(各鼻孔で交互に2回スプレー×50μg/回)。
【0103】
投与B:ナゾネックス(登録商標)からのポンプスプレーを用いて溶液としてMF200μgを投与する(各鼻孔で2回スプレー×50μg/回)。
【0104】
ナゾネックス(登録商標)鼻腔用スプレーからの4回のスプレーのそれぞれを、交互に鼻孔に投与して、したたり/流れを最小限とし、鼻腔沈着を最大とした(例:左鼻孔、右鼻孔、左鼻孔、右鼻孔)。
【0105】
採血
3つの試験期間のそれぞれの第1日の0時間(投与前)、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間および12時間に、MFの薬物動態分析のため、各被験者から、留置静脈カテーテルから、6.5mLの採血(サンプル6mL+廃棄0.5mL)を行った。
【0106】
アッセイ方法
高速液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析法を用いることで、ヒト血漿サンプル中のMF濃度を求めた。PPD(Richmond,VA)によって開発およびバリデーションされたこの独自の方法はMFに対して特異的である。すなわち、MFの代謝物は検出されなかった。アッセイサンプル容量はヒト血漿1.00mLであった。定量の下限は0.25pg/mLであった。
【0107】
結果
図1は、同一の装置から同一用量で懸濁液および溶液組成物の投与を行った後のMFの全身曝露を比較したものである。MF曝露は、測定した時間点での血漿レベルの曲線下面積(AUC)を測定することで求められる。ナゾネックス(登録商標)懸濁液(上側の線−円)をフロ酸モメタゾン溶液(下側の線−正方形)と比較すると、両方の組成物を同じ用量で同じ種類の装置を用いて投与した場合であっても、MF溶液からのMF血中レベルがナゾネックス(登録商標)懸濁液からのものより有意に大きかった(約1000%)。投与から12時間後に、溶液として投与後のMF濃度はなおも、懸濁液の形態でのMF投与後に認められたMF濃度の約600%高かった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロ酸モメタゾンの濃度が約0.02mcg/mLから約500mcg/mLである、吸入に適したフロ酸モメタゾン水溶液を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記フロ酸モメタゾンの濃度が約5mcg/mLから約100mcg/mLである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記フロ酸モメタゾンの濃度が約25mcg/mLから約75mcg/mLである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記フロ酸モメタゾンの濃度が約50mcg/mLから約75mcg/mLである請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記フロ酸モメタゾンの濃度が約60mcg/mLから約65mcg/mLである請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記フロ酸モメタゾンの濃度が約5mcg/mLから約50mcg/mLである請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が少なくとも一つの共溶媒を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物がプロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、エタノール、N−Nジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびグリセリンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの共溶媒をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物がポリエチレングリコールを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも一つの共溶媒が約0.01から約60重量%の量で存在する請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも一つの共溶媒が約5から約15重量%の量で存在する請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が少なくとも一つの界面活性剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が少なくとも一つの界面活性剤および少なくとも一つのオイルを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも一つの界面活性剤が約0.01から約40重量%の量で存在する請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも一つの界面活性剤が約1から約10重量%の量で存在する請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも一つのオイルが約0.01から約40重量%の量で存在する請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも一つのオイルが約1から約10重量%の量で存在する請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が短鎖、中鎖もしくは長鎖のモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのオイルを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が一つのプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;カプリル酸およびカプリン酸;カプリル酸およびカプリン酸およびリノール酸;ヤシ油;カプリル酸/カプリル酸/ラウリン酸トリグリセリド;カプリル酸/カプリル酸/リノール酸トリグリセリド;カプリル酸/カプリル酸/ステアリン酸トリグリセリドおよびトリカプリル酸/カプリル酸トリグリセリドエステルおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのオイルを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
カプリル酸およびカプリン酸トリグリセリドをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が大豆油;トウモロコシ油;綿実油;オリーブ油;落花生油;紅花油;ゴマ油;サメ肝油;ヒマシ油;モノ不飽和ω−9脂肪酸オレイン酸;ハッカ油;および水素化パーム油ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのオイルを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、中鎖モノグリセリドおよびジグリセリド;蒸留アセチル化モノグリセリド;長鎖モノグリセリド;プロピレングリコールモノカプリレート;プロピレングリコールカプリレート;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;ポリエチレングリコール660−12ヒドロキシステアレート;ポリオキシグリセリド類;ポリオキシル40水素化ヒマシ油;ポリオキシル35ヒマシ油;d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート;PEG300リノール酸グリセリド;PEG400カプリル酸/カプリン酸グリセリド;PEG300オレイン酸グリセリド;PEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリド;ポリエチレンオキサイド/ポリ−(プロピレンオキサイド)/ポリ(エチレンオキサイド)トリブロックコポリマー;ポリオキシエチレン20ソルビタン・モノオレエート;およびソルビトン・モノオレエートならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの界面活性剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
ポリエチレングリコール660−12ヒドロキシステアレートをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも一つのレオロジー改良剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン、カラギーナン類、カルボマー類、ガラクトマンナン類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルキチン、ナトリウムカルボキシメチルデキストラン、ナトリウムカルボキシメチルデンプンおよびキサンタンガムならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのレオロジー改良剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
ナトリウムカルボキシメチルセルロースをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも一つの別の活性医薬をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
充血除去剤、抗ヒスタミン薬、β作動薬および抗コリン作用薬ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの別の活性医薬をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
充血除去剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
オキシメタゾリンをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
吸入器および濃度約0.1mcg/mLから約500mcg/mLでフロ酸モメタゾンを含む吸入に適した水溶液組成物を含む医薬製品。
【請求項32】
フロ酸モメタゾンの濃度が約5mcg/mLから約100mcg/mLである請求項31に記載の医薬製品。
【請求項33】
フロ酸モメタゾンの濃度が約25mcg/mLから約75mcg/mLである請求項31に記載の医薬製品。
【請求項34】
フロ酸モメタゾンの濃度が約25mcg/mLから約50mcg/mLである請求項31に記載の医薬製品。
【請求項35】
前記吸入器が鼻腔用スプレーである請求項31に記載の医薬製品。
【請求項36】
前記吸入器がネブライザーである請求項31に記載の医薬製品。
【請求項37】
前記吸入器を鼻の各鼻孔に当て、前記吸入器を少なくとも1回各鼻孔に駆動して前記溶液を鼻腔に送達させる段階を有する、請求項31に記載の医薬製品を投与する方法。
【請求項38】
吸入に適したフロ酸モメタゾン溶液を1日1回上気道に投与する段階を有し;フロ酸モメタゾンの総1日用量が約0.04から約200マイクログラムであるアレルギー性鼻炎の治療方法。
【請求項39】
フロ酸モメタゾンの総1日用量が、フロ酸モメタゾン約5から約100マイクログラムである請求項38に記載の方法。
【請求項40】
フロ酸モメタゾンの総1日用量が、フロ酸モメタゾン約5から約50マイクログラムである請求項38に記載の方法。
【請求項41】
フロ酸モメタゾンの総1日用量が、フロ酸モメタゾン約10から約30マイクログラムである請求項38に記載の方法。
【請求項42】
フロ酸モメタゾンの総1日用量が、フロ酸モメタゾン約20から約25マイクログラムである請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記アレルギー性鼻炎が季節性および/または通年性アレルギー性鼻炎である請求項38に記載の方法。
【請求項44】
吸入に適したフロ酸モメタゾン溶液を上気道に投与する段階を有し;フロ酸モメタゾンの総1日用量がフロ酸モメタゾン約5から約100マイクログラムである鼻ポリープの治療方法。
【請求項45】
鼻道への総1日用量がフロ酸モメタゾン約40から約50マイクログラムである請求項44に記載の方法。
【請求項46】
吸入に適したフロ酸モメタゾン溶液を1日1回上気道もしくは下気道に投与する段階を有し;フロ酸モメタゾンの総1日用量が約0.04から約200マイクログラムである気道疾患の治療方法。
【請求項47】
フロ酸モメタゾンの総1日用量が約5から約100マイクログラムである請求項46に記載の方法。
【請求項48】
フロ酸モメタゾンの総1日用量が約10から約50マイクログラムである請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記気道疾患が喘息、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎または鼻ポリープである請求項46に記載の方法。
【請求項50】
患者の気道の表面に、治療上有効量のコルチコステロイド応答性疾患を治療する上で有効なフロ酸モメタゾン溶液を投与する段階を有する、当該疾患を患っている患者での上気道もしくは下気道のコルチコステロイド応答性疾患の治療方法。
【請求項51】
前記溶液を1日1回投与する請求項50に記載の方法。
【請求項52】
フロ酸モメタゾンの総1日用量がフロ酸モメタゾン約0.04から約100マイクログラムである請求項50に記載の方法。
【請求項53】
フロ酸モメタゾンの総1日用量がフロ酸モメタゾン約5から約50マイクログラムである請求項50に記載の方法。
【請求項54】
フロ酸モメタゾン溶液を標的に当てて、投与から1時間未満というフロ酸モメタゾンの最大血漿濃度(Tmax)までの時間を得る、医薬組成物の投与方法。
【請求項55】
前記医薬組成物が濃度約0.1mcg/mLから約500mcg/mLでフロ酸モメタゾンを含む請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記医薬組成物が濃度約5mcg/mLから約100mcg/mLでフロ酸モメタゾンを含む請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記医薬組成物を1日1回投与する請求項54に記載の方法。
【請求項58】
投与されるフロ酸モメタゾンの総1日用量が約5から約50マイクログラムである請求項54に記載の方法。
【請求項59】
フロ酸モメタゾンを含む吸入に適した水溶液;界面活性剤;適宜にオイル;および水を含む医薬組成物。
【請求項60】
前記組成物がマイクロエマルションを含む請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記組成物がミセル組成物を含む請求項59に記載の組成物。
【請求項62】
前記医薬組成物が濃度約0.1mcg/mLから約500mcg/mLでフロ酸モメタゾンを含む請求項59に記載の組成物。
【請求項63】
前記医薬組成物が濃度約5mcg/mLから約100mcg/mLでフロ酸モメタゾンを含む請求項59に記載の組成物。
【請求項64】
前記界面活性剤が約0.01から約40重量%の量で存在する請求項59に記載の組成物。
【請求項65】
前記界面活性剤が約1から約10重量%の量で存在する請求項59に記載の組成物。
【請求項66】
前記オイルが約0.01から約40重量%の量で存在する請求項59に記載の組成物。
【請求項67】
前記オイルが約1から約10重量%の量で存在する請求項59に記載の組成物。
【請求項68】
濃度約5mcg/mLから約100mcg/mLでのフロ酸モメタゾン;濃度約0.01から約20重量%での少なくとも一つの界面活性剤;適宜に濃度約0.01から約20重量%での少なくとも一つのオイル;および水を含む吸入に適した水溶液を含む医薬組成物。
【請求項69】
前記少なくとも一つのオイルが、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;カプリル酸およびカプリン酸;カプリル酸およびカプリン酸およびリノール酸;ヤシ油;カプリル酸/カプリル酸/ラウリン酸トリグリセリド;カプリル酸/カプリル酸/リノール酸トリグリセリド;カプリル酸/カプリル酸/ステアリン酸トリグリセリドおよびトリカプリル酸/カプリル酸トリグリセリドエステルならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
前記少なくとも一つのオイルが大豆油;トウモロコシ油;綿実油;オリーブ油;落花生油;紅花油;ゴマ油;サメ肝油;ヒマシ油;モノ不飽和ω−9脂肪酸オレイン酸;ハッカ油;および水素化パーム油ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項68に記載の組成物。
【請求項71】
前記少なくとも一つの界面活性剤が、中鎖モノグリセリドおよびジグリセリド;蒸留アセチル化モノグリセリド;長鎖モノグリセリド;プロピレングリコールモノカプリレート;プロピレングリコールカプリレート;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;ポリエチレングリコール660−12ヒドロキシステアレート;ポリオキシグリセリド類;ポリオキシル40水素化ヒマシ油;ポリオキシル35ヒマシ油;d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート;PEG300リノール酸グリセリド;PEG400カプリル酸/カプリン酸グリセリド;PEG300オレイン酸グリセリド;PEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリド;ポリエチレンオキサイド/ポリ−(プロピレンオキサイド)/ポリ(エチレンオキサイド)トリブロックコポリマー;ポリオキシエチレン20ソルビタン・モノオレエート;およびソルビトン・モノオレエートならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項68に記載の組成物。
【請求項72】
少なくとも一つのレオロジー改良剤をさらに含む請求項68に記載の組成物。
【請求項73】
ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン、カラギーナン類、カルボマー類、ガラクトマンナン類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルキチン、ナトリウムカルボキシメチルデキストラン、ナトリウムカルボキシメチルデンプンおよびキサンタンガムならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのレオロジー改良剤をさらに含む請求項68に記載の組成物。
【請求項74】
フロ酸モメタゾン;約4から約18の親水性−親油性バランス値を有する少なくとも一つの界面活性剤;適宜に脂肪酸炭素鎖長C−C22脂肪酸を含む少なくとも一つのオイル;および水を含む吸入に適した水溶液を含む医薬組成物。
【請求項75】
フロ酸モメタゾン;少なくとも一つの共溶媒;および水を含む吸入に適した水溶液を含む医薬組成物。
【請求項76】
前記組成物がプロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、エタノールおよびグリセリンならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの共溶媒を含む請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
ステロイドの濃度が約0.1mcg/mLから約500mcg/mLである吸入に適したステロイド水溶液を含む医薬組成物。
【請求項78】
前記ステロイドがフロ酸モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、ブデソニド、トリアムシノロン・アセトニド、プレドニゾロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、シクレソニドおよびフルニソリドからなる群から選択される請求項77に記載の組成物。
【請求項79】
前記ステロイドの濃度が約5mcg/mLから約100mcg/mLである請求項77に記載の組成物。
【請求項80】
前記ステロイドの濃度が約25mcg/mLから約75mcg/mLである請求項77に記載の組成物。
【請求項81】
フロ酸モメタゾン;親水性部分および疎水性部分を有する少なくとも一つの賦形剤;および水を含む吸入に適した溶液を含む医薬組成物。
【請求項82】
前記賦形剤がシクロデキストリンである請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項83】
フロ酸モメタゾン;推進剤;少なくとも一つの共溶媒および適宜に少なくとも一つの界面活性剤を含み;フロ酸モメタゾンの濃度が約0.1mcg/mLから約500mcg/mLである吸入に適した溶液を含む医薬組成物。
【請求項84】
前記フロ酸モメタゾンの濃度が約5mcg/mLから約100mcg/mLである請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
前記フロ酸モメタゾンの濃度が約25mcg/mLから約75mcg/mLである請求項83に記載の組成物。
【請求項86】
前記フロ酸モメタゾンの濃度が約60mcg/mLから約65mcg/mLである請求項83に記載の組成物。
【請求項87】
前記フロ酸モメタゾンの濃度が約5mcg/mLから約50mcg/mLである請求項83に記載の組成物。
【請求項88】
前記少なくとも一つの共溶媒がプロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、エタノール、N−Nジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびグリセリンならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項83に記載の組成物。
【請求項89】
前記少なくとも一つの共溶媒がエタノールである請求項83に記載の組成物。
【請求項90】
前記少なくとも一つの共溶媒が約0.01から約60重量%の量で存在する請求項83に記載の組成物。
【請求項91】
前記少なくとも一つの共溶媒が約1から約15重量%の量で存在する請求項83に記載の組成物。
【請求項92】
前記組成物が、中鎖モノグリセリドおよびジグリセリド;蒸留アセチル化モノグリセリド;長鎖モノグリセリド;プロピレングリコールモノカプリレート;プロピレングリコールカプリレート;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;ポリエチレングリコール660−12ヒドロキシステアレート;ポリオキシグリセリド類;ポリオキシル40水素化ヒマシ油;ポリオキシル35ヒマシ油;d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート;PEG300リノール酸グリセリド;PEG400カプリル酸/カプリン酸グリセリド;PEG300オレイン酸グリセリド;PEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリド;ポリエチレンオキサイド/ポリ−(プロピレンオキサイド)/ポリ(エチレンオキサイド)トリブロックコポリマー;ポリオキシエチレン20ソルビタン・モノオレエート;およびソルビトン・モノオレエートならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの界面活性剤を含む請求項83に記載の組成物。
【請求項93】
前記少なくとも一つの界面活性剤が約0.01から約40重量%の量で存在する請求項83に記載の組成物。
【請求項94】
前記少なくとも一つの界面活性剤が約1から約10重量%の量で存在する請求項83に記載の組成物。
【請求項95】
計量式吸入器缶、バルブおよび請求項83に記載の組成物を含む医薬製品。
【請求項96】
前記少なくとも一つの推進剤が1,1,1,2テトラフルオロエタン(HFA134)および1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロエタン(HFA227)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項83に記載の組成物を含む医薬製品。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−505236(P2012−505236A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531169(P2011−531169)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/059970
【国際公開番号】WO2010/042701
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】