説明

コルホルシンダロパートを含む骨疾患の予防または治療用組成物

本発明は、コルホルシンダロパート(Colforsin Daropate)を含む骨疾患の予防または治療用薬学的組成物に関し、詳細に本発明の薬学的組成物は、破骨細胞の分化及びそれによる骨吸収を抑制し、造骨細胞の分化及びそれの活性を促進させ、骨折及び骨粗鬆症のような骨疾患の予防または治療用組成物、 及び健康機能食品用組成物として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルホルシンダロパート(Colforsin Daropate)を含む骨疾患の予防または治療用薬学的組成物に関するものであって、詳細に本発明の薬学的組成物は、破骨細胞の分化及びそれによる骨吸収を抑制し、造骨細胞の分化及びそれの活性を促進させ、骨折及び骨粗鬆症のような骨疾患の予防または治療用組成物、及び健康機能食品用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
骨組織は、軟骨と骨格系を構成し、機械的機能として支持と筋付着の役割を果たし、生体器官及び骨髓を保護する機能をし、カルシウムとリンイオンの恒常性維持のためにそれらを保存する機能を担当する。このような機能をする骨組織は、膠原質、糖タンパク質のような細胞基質と造骨細胞、破骨細胞及び骨細胞など様々な種類の細胞などからなる。それらのうち、破骨細胞は造血母細胞から由来した細胞であって、老化された骨の吸収を担当し、造骨細胞は骨髓内間質細胞(bone marrow stromal cell)から由来した細胞であって、骨形成に主な役割を担当する。
【0003】
そのうち、破骨細胞はマウスのRAW264.7単核球 細胞がRANKL(receptor activator of nuclear factor κB (RANK) ligand)によって多核破骨細胞(multinucleated osteoclasts)に分化される。このような分化過程は細胞外部のRANKLがRANKに結合してマイトジェン活性タンパク質キナーゼ(mitogen−activated protein kinase,MAPK)の活性を促進し、これはNF−κBという転写因子が核内に入り込んで破骨細胞分化と関連したTRAP(tartrate−resistant acid phosphatase)、MMP−9(matrix metalloproteinase−9)、c−Srcチロシンキナーゼ(tyrosine kinase)などの発現を増加させることによって可能であるが、このような過程で形成された多核破骨細胞は無機質骨(mineralized bone)を吸収する役割を果たす。また、RANKLがRANKに結合すると、TRAF6(tumor necrosis factor receptor−associated factor 6)の活性を促進させてMAPK、またはNF−κB、AP−1、NFATc1のような転写因子などの活性を促進させる(Lee ZH,Kim HH.Signal transduction by receptor activator of nuclear factor kappa B in osteoclasts.Biochem Biophys Res Commun.2003 May 30,305,211−4)。従って、RANKLによって活性化される信号伝逹経路の遮断は骨粗鬆症とその他の骨疾患の治療のための治療的接近方法中の一つとして認知されている。
【0004】
一方、造骨細胞は間葉幹細胞から起源して形成されるが、造骨細胞の分化によるカルシウム形成のような無機質化は骨の強さを維持させてくれるだけでなく、身体全体のカルシウム及びホルモン代謝の恒常性にも非常に重要な機能をしている。造骨細胞の分化によるカルシウム形成はビタミンD及び副甲状線ホルモン(parathyroid hormone)などによって調節され、造骨細胞の分化による骨形成は細胞内で骨形態形成タンパク質(bone morphogenetic protein,BMP)、Wnt、MAPキナーゼ、カルシニューリン−カルモジュリンキナーゼ(calcineurin−calmodulin kinase)、NF−κB、AP−1などの様々な信号伝逹体系の相互作用(cross−talk)によって造骨細胞の分化と関連したアルカリ性ホスファターゼ(alkaline phosphatase,ALP)が初期分化段階で合成された後、無機質化と関連したオステオポンチン(osteopontin)、オステオカルシン(osteocalcin)、タイプIコラーゲンなどが合成されることによってなされると知られている(Pittenger,M.F.; Mackay,A.M.; Beck,S.C.; Jaiswal,R.K.; Douglas,R.; Mosca,J.D.; Moorman,M.A.,Simmonetti,D.W.; Craig,S.; Marshak,D.R.Multilineage Potential of Adult Human Mesenchymal Stem Cells.Science 1999,284,143−147)。従って、アルカリ性ホスファターゼの活性を促進する化合物などは、骨細胞の分化を促進するようになって骨疾患の治療として開発され得る。
【0005】
このように骨形成は、破骨細胞(osteoclast)による骨吸収(bone resoprtion)と、造骨細胞(osteoblast)による骨形成との対等な作用によるリモデリング過程が持続的に調節されることによって維持される。しかし、破骨細胞の過度な活性や造骨細胞の活性低下は、骨形成のリモデリング過程で不均衡をもたらし、生体内で破骨細胞と造骨細胞との平衡が崩れることによって骨疾患を誘発するようになる。
【0006】
骨疾患の代表的な例として骨粗鬆症は、骨形成と骨吸収の平衡が崩れて骨吸収が優越に起こることによって骨の密度が弱化されて起こる疾患であって、現在、米国のみで約1000万人が既に骨粗鬆症にかかっており、1800万人が低い骨密度を持っているから骨粗鬆症の危険に置かれている。また、一生をかけて女性2人のうち1人、男性の場合は8人のうち1人が骨粗鬆症と関連した骨折を経験し、既に200万人以上の米国男性らが骨粗鬆症疾患を病んでいる。米国では骨粗鬆症と関連した疾病と骨折による直接的な支出が毎年140億ドルに達している。大韓民国内での場合にも約400万人が骨粗鬆症にかかっているとかその危険にあり、これは老令化社会に入りながらもっと増加すると推定され、これによる社会的支出と家族構成員の精神的、経済的支出が大きいと予想される。
【0007】
前記のような骨疾患を治療するためには破骨細胞と造骨細胞との均衡を調節することが必要であり、従って、これに対する治療剤として大きく骨吸収抑制剤と骨形成刺激剤がある。これらのうち、骨形成刺激剤に対する研究が活発に進行されているが、骨形成刺激剤による骨密度強化が必ず骨折の減少を意味しないので、骨形成刺激剤が臨床的に広く使用されるためにはもっと多い研究が必要である。それだけでなく、このように骨形成を刺激するための製剤で造骨細胞を活性化させるための促進剤及び破骨細胞の骨吸収を抑制するための抑制剤は、一般的に患者に長期投与しなければならないから毒性が少なく、経口投与が可能なものが好ましいので、これに対する研究が切実に必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは破骨細胞と造骨細胞との骨形成メカニズムの不均衡によって発生する骨疾患の予防または治療用薬学的組成物を開発するために鋭意努力した結果、コルホルシンダロパートが造骨細胞及び破骨細胞の均衡を維持することによって骨疾患治療効果を示すことを確認し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、コルホルシンダロパート(Colforsin Daropate)を含む骨疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、前記薬学的組成物を個体に投与する段階を含む骨疾患を治療する方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、コルホルシンダロパートを含む骨疾患の予防または改善用健康機能食品組成物を提供することである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるコルホルシンダロパートを含む薬学的組成物は、破骨細胞の分化及び骨吸収を効果的に抑制し、造骨細胞の分化及び無機質化を促進させて骨形成を増進させるので、骨粗鬆症を含んだ骨疾患の予防及び治療に有用に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コルホルシンダロパートの単核球細胞の増殖に及ぶ影響を評価したグラフである。
【図2】コルホルシンダロパートのRANKLによって誘導された破骨細胞分化マーカーであるTRAPの活性を抑制することを示したグラフである。
【図3】コルホルシンダロパートの造骨細胞の分化マーカーであるALPの活性に及ぶ影響を示したグラフである(A:MC3T3−E1細胞、B:C3H/10T1/2)。
【図4】卵巣摘出骨粗鬆症モデルにおける本発明のコルホルシンダロパートの骨密度増加効果を生体用高画質微細電算断層撮影システムで検証した写真(A)及び定量化グラフ(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記目的を達成するための一つの態様として、本発明は、コルホルシンダロパート(Colforsin Daropate)を含む骨疾患の予防または治療用組成物に関するものであっって、好ましくは下記の化学式1で表記される化合物または薬剤学的に許容可能なその塩を含む骨疾患の予防または治療用組成物に関するものである。
【0015】
本発明における用語“コルホルシンダロパート”とは、(+)−(3R、4aR、5S、6S、6aS、10S、10aR、10bS−5−アセトキシル−6−(3−ジメチルアミノプロピオニルオキシ)−ドデカヒドロ−10、10b−ジヒドロキシ−3、4a、7、7、10a−ペンタメチル−3−ビニル−1H−ナフト[2、1−b]ピラン−1−ワンモノハイドロクロライドであって、分子式はC2744ClNOであり、分子量は546.09316(g/mol)であり、下記の化学式1で表記される。
【0016】
【化1】

【0017】
コルホルシンダロパートは、水溶性フォルスコリン(forskolin)誘導体であって、陽性心筋変力(positive inotropic)、血管平滑筋弛緩作用及びアデニルシクラーゼ活性化作用をすると知られており、心室機能不全(ventricular dysfunction)の治療に有用な血管弛緩効果があると知られたことがある。しかし、いままでコルホルシンダロパートの骨吸収抑制及び骨形成増進と関連した生物学的有用性に対する研究は報告されたことがない。好ましくは本発明のコルホルシンダロパートは、RANKLによって誘導される信号伝逹経路を遮断することによって破骨細胞の活性を抑制することができ、アルカリ性ホスファターゼ(ALP)の活性を増加させることによって造骨細胞活性を促進することができる。より好ましくは本発明の組成物は、RANKLによって誘導されたTARPの発現を阻害させることができ、ALPによって誘導されたオステオポンチン(osteopontin)、オステオカルシン(osteocalcin)、タイプIコラーゲンの合成を増加させ得る。また、本発明の組成物は、このような効果を毒性なく示すことができる。好ましい本発明の実施例では、単核球細胞でコルホルシンダロパートを処理した結果、活性を示す濃度で細胞毒性がないことを確認した(図1)。
【0018】
本発明の薬学組成物は、前記化学式1のコルホルシンダロパートを有効成分として含み、本発明において使用されるコルホルシンダロパートは、公知の製造方法によって当業者が容易く製造して使用することができ、或いは、商業的に利用可能な製造されたコルホルシンダロパートを使用することができる。好ましく本発明では、公知の製造方法で天然植物体からコルホルシンダロパートの前駆物質であるフォルスコリン(forskolin)を分離精製し(Shan Y,et al.,Chem Pharm Bull(Tokyo).2007,55,376−81.)、前記分離精製したフォルスコリンを対象に公知の製造方法によってコルホルシンダロパートを合成した(Tatee T,et al.,Chem Pharm Bull(Tokyo).1996,44,2274−9.)。
【0019】
本発明の薬学的組成物は、前記化学式1のコルホルシンダロパートまたは薬剤学的に許容可能なその塩の形態で使用され得るが、塩としては薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩が有用である。酸付加塩は、通常の方法、例えば、化合物を過量の酸水溶液に溶解させ、この塩を水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、アセトンまたはアセトニトリルを使用して沈澱させて製造する。同モル量の化合物及び水中の酸またはアルコール(例えば、グリコールモノメチルエーテル)を加熱し、引き継いで前記混合物を蒸発させて乾燥させるとか、または析出された塩を吸引ろ過させ得る。この時、遊離酸としては有機酸と無機酸を使用することができ、無機酸としては塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、スズ酸などを使用することができ、有機酸としてはメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸(maleic acid)、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸(fumaric acid)、マンデル酸、プロピオン酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルクロン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、カルボン酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸などを使用することができ、これらに制限されない。
【0020】
また、塩基を使用して薬学的に許容可能な金属塩を作ることができる。アルカリ金属またはアルカリ土金属塩は、例えば、化合物を過量のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土金属水酸化物溶液の中に溶解させ、非溶解化合物塩をろ過した後、ろ液を蒸発、乾燥させて得る。この時、金属塩としては、特にナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩を製造するのが製薬上適合するが、これらに制限されるのではない。また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属またはアルカリ土金属塩を適当な銀塩(例えば、硝酸銀)と反応させて得ることができる。
【0021】
前記化学式1のコルホルシンダロパートの薬剤学的に許容可能な塩は、他に指示されない限り、コルホルシンダロパートの化合物に存在できる酸性または塩基性基の塩をほとんど含む。例えば、薬学的に許容可能な塩としては、ヒドロキシル基のナトリウム、カルシウム及びカリウム塩などが含まれることができ、アミノ基のその他の薬学的に許容可能な塩としては、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、及びp−トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)などがあり、当業界で知られた塩の製造方法を介して製造され得る。
【0022】
本発明の組成物は、造骨細胞及び破骨細胞の不均衡によって誘発される骨関連疾患に制限なく使用することができ、このような疾患の例としては、成長期発育不振、骨折、過度な破骨細胞の骨吸収による骨粗鬆症、リウマチ性関節炎、歯周疾患(periodontal disease)、パジェット病(Paget disease)及び転移性癌(metastatic cancers)などのような病理学的骨疾患であって、骨破壊を促進する疾患が含まれるが、前記骨疾患に限定されるのではない。
【0023】
本発明における用語“骨疾患の予防または治療”とは、前記骨疾患の予防及び完全なまたは部分的な治療を含む。これは、また骨疾患症状の減少、改善、その症状の苦痛軽減、骨疾患発生率の減少または治療結果を増加させる患者のいかなる他の変化を含む。
【0024】
好ましい一つの態様として、本発明の組成物は破骨細胞の分化または骨吸収を抑制することを特徴とする。
【0025】
本発明における用語“破骨細胞”とは、大食細胞前駆体(macrophage precursor)から派生される細胞であって、破骨細胞前駆細胞などは大食細胞コロニー刺激因子(macrophage colony stimulating factor,M−CSF)、NF−κBの受容体活性因子リガンド(RANKL)などによって破骨細胞に分化され、融合を通じて多核破骨細胞(multinucleated osteoclast)を形成する。破骨細胞は、αvβ3インテグリン(integrin)などを通じて骨に結合し、酸性環境を造成する一方、各種コラゲナーゼ及びプロテアーゼを分泌して骨吸収(bone resorption)を起こす。破骨細胞は、完全に分化された細胞で増殖せず、約2週間の寿命が終えれば細胞死滅(apoptosis)を起こす。
【0026】
好ましい本発明の実施例では破骨細胞に分化したマウス単核球細胞に本発明の組成物を投与した後、破骨細胞分化標識因子であるTRAP(tarrate−resistant acid phosphate)染色を実施した結果、TRAP活性を濃度依存的に阻害させることを確認した(図2)。このように本発明の組成物は、TRAP活性抑制を通じて破骨細胞の分化を効果的に抑制するので、破骨細胞の活性増加による骨粗鬆症のような骨疾患を予防または治療することができる。
【0027】
また、本発明の組成物は、造骨細胞の分化または活性を促進することを特徴とする。
【0028】
本発明における用語“造骨細胞(osteoblast)”とは、間葉幹細胞から分化して生成される細胞であって、骨質を作って骨密度を増加させる役割を果たし、時には造骨細胞の活性が過度に増加されると、骨密度が増加されて骨の奇形や骨石火症などを起きるようにする。
【0029】
本発明の好ましい実施例でコルホルシンダロパートを含む組成物を造骨細胞に処理すると、造骨細胞分化初期段階で分化標識因子であるALP(alkaline phosphatase)の活性が著しく増加することを確認した(実施例3及び図3)。また卵巣摘出を通じる骨密度低下実験マウスに本発明のコルポシンを経口から投与した結果、骨密度が著しく増加することを確認した(実施例4及び図4)。このような結果は、本発明の組成物が細胞水準で造骨細胞の分化をさせることができることを立証するだけでなく、実際の動物においても骨密度を増加させることを示唆することであり、これで本発明の組成物が造骨細胞の分化または活性を促進させて骨疾患の予防または治療効果があることを裏付けることである。本発明の組成物は、ALP活性増加を通じてオステオポンチン (osteopontin)、 オステオカルシン(osteocalcin)、タイプIコラーゲンなどの合成を促進することができ、これを通じて窮極的に造骨細胞の分化及び活性を促進することができるから、造骨細胞の分化及び活性抑制に応じて誘発される疾患を効果的に予防及び治療することができる。
【0030】
また、好ましく本発明の薬学的組成物は、有効成分としてコルホルシンダロパートを組成物の総重量を基準に0.0001〜50重量%、より好ましくは0.01〜1重量%の量で含有することができる。
【0031】
好ましい一つの態様として、本発明の薬学的組成物は薬学的に許容可能な担体を更に含むことができる。前記薬学的に許容される担体は、経口投与の時には、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを使用することができ、注射剤の場合には、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張剤、安定化剤などを混合して使用することができ、局所投与用の場合には、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などを使用することができる。本発明の薬学的組成物の剤形は、上述したような薬学的に許容される担体と混合して多様に製造され得る。例えば、経口投与の時には、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤(elixir)、サスペンション、シロップ、ウェーハなどの形態で製造することができ、注射剤の場合には、単位投薬アンプルまたは多数回投薬の形態で製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル、徐方形製剤などに剤形することができる。
【0032】
この時、使用可能な適合した担体、希釈剤または賦形剤の実例としては、澱粉、糖、及びマンニトールのような賦形剤;リン酸カルシウム及び珪酸誘導体のような充填剤及び増量剤;カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ゼラチン、アルギン酸塩、及びポリビニルピロリドンのような結合剤;滑石、ステアリン酸カルシウムまたはマグネシウム、水素化ヒマシ油、及び固相ポリエチレングリコールのような潤滑剤;ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、及びクロスポビドンのような崩壊剤;ポリソルベート、セチル(cetyl)アルコール、及びグリセロールモノステアレートなどのような界面活性剤などを挙げることができる。
【0033】
また一つの態様として、本発明は前記薬学的組成物を個体に投与する段階を含む骨疾患を治療する方法に関する。
【0034】
本発明における用語“個体”とは、マウス、家畜、ヒトなどを含む哺乳動物を制限なく含む。
【0035】
また、本発明による薬学的組成物は、多くの経路を介して投与され得る。本発明における投与は、いかなる適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、前記結合体の投与経路は、薬物が目的組織に到逹できる限りいかなる一般的な経路を介して投与され得る。具体的に、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与され得るが、これに制限されない。しかし、経口投与の時、ペプチドは消化されるから経口用組成物は活性薬剤をコーティングするとか胃での分解から保護されるように剤形化することが好ましい。好ましくは注射剤形態で投与され得る。また、製薬組成物は、活性物質が標的細胞に移動することができる任意の装置によって投与され得る。
【0036】
本発明におけるコルホルシンダロパートを含む薬学的組成物の実際投与量は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別及び体重、及び疾患の重症度などの多くの関連因子とともに、活性成分である薬物の種類に応じて決定される。好ましく、有効成分としてのコルホルシンダロパートは、ヒトを含む哺乳動物に一日間1〜20mg/kg、より好ましくは1〜10mg/kgで1回または分割して投与され得る。
【0037】
また他の一つの態様として、本発明は前記化学式1の化合物または食品学的に許容可能なその塩を含む骨疾患の予防または改善用健康機能食品組成物に関する。本発明の組成物を食品添加物として使用する場合、前記コルホルシンダロパートをそのまま添加するとか、他の食品または食品成分とともに使用することができ、通常的な方法によって適切に使用することができる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて適合に決定され得る。
【0038】
本発明における用語“健康機能食品”とは、健康補助の目的で特定成分を原料にするとか食品原料に入っている特定成分を抽出、濃縮、精製、混合などの方法で製造、加工した食品をいい、前記成分によって生体防御、生体リズムの調節、疾病の防止と回復などの生体調節機能を生体に対して十分に発揮するように設計されて加工された食品をいうものであって、前記健康食品用組成物は疾病の予防及び疾病の回復などと関連した機能を行うことができる。
【0039】
また、本発明の組成物が使用され得る健康食品の種類には制限がない。合わせて、本発明のコルホルシンダロパートを含む活性成分として含む組成物は、当業者の選択によって健康機能食品に含有され得る適切なその他の補助成分と公知の添加剤を混合して製造することができる。添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含んだ酪農製品、各種スープ、飲料水、車、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、本発明による抽出物を主成分にして製造した汁、お茶、ゼリー及びジュースなどに添加して製造することができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を下記実施例を参照して具体的に説明する。ただ、下記実施例は本発明の理解を助けるためのものであって、本発明の範囲が下記実施例に限定されない。
【0041】
実施例1:単核球細胞培養及び細胞毒性評価
単核球細胞としてマウスのRAW264.7細胞(ATTC TIB−71)を10%FBSが含まれたDMEM培地で培養しながら2日間隔で培地を入れ替った。細胞培養と関連した試薬は、ハイクローン(Hyclone)社で購入して使用した。RAW264.7細胞が70%程度育った時、採取した細胞を96−ウェルプレートに1×10/ウェルに分株して、24時間培養した。引き継いで、コルホルシンダロパートを濃度別(0、10、20及び30μM)に処理した後、96時間培養した。培養1日、2日及び4日目に、それぞれのウェルの細胞に対してCCK−8キット(Dojindo,日本)を用いて化合物毒性を測定した。
【0042】
その結果、コルホルシンダロパートは活性を示す濃度で細胞毒性がないことを確認した(図1)。
【0043】
実施例2:破骨細胞への分化、及びTRAP染色及び活性測定
RAW264.7細胞が70%程度育った時、採取した細胞を96−ウェルプレートに1×10/ウェルになるように再び分株し、この時、細胞を浮游させる培地としては、100ng/mlのRANKL(R&D systems)及び10%FBSが含まれたα−MEMを使用した。24時間後、コルホルシンダロパートを濃度別(0、0.2、1、2、10、及び20μM)に処理した後、3日後にLeukocyte acid phosphataseキット(Sigma)を用いてTRAP染色を行った。染色された細胞は、先ず10%ホルマリンで10分間固定させた後、95%エタノールで脱水させて常温でよく乾燥させた。引き継いで、10mMの酒石酸ナトリウムと5mMのp−ニトロフェニルリン酸が添加された100μlのクエン酸塩緩衝液(50mM、pH4.6)をそれぞれのウェルに添加して20〜30分間反応させた。次に、新しい96−ウェルプレートに酵素反応液を移し、100μlの0.1NのNaOHで反応を終決させた後、405nmで吸光度を測定した。TRAP活性は、対照群に対するパーセント(%)値にして、同時にt−テストで有意性検証を行った(パルモルファミン処理、p<0.01;コルホルシンダロパート処理、p<0.001)。比較化合物としてはパルモルファミン(purmorphamine)を使用した。
【0044】
その結果、コルホルシンダロパートが単核球RAW264.7細胞でRANKLによって誘導されるTRAP活性を濃度依存的に阻害したことを確認した(図2)。また、コルホルシンダロパートは、細胞毒性なく破骨細胞への分化を抑制する効能を示すことが分かる(図1及び図2)。
【0045】
実施例3:造骨細胞のアルカリ性ホスファターゼ(ALP)の活性分析
コルホルシンダロパートの造骨細胞分化の初期段階で活性及び発現が増加されると知られたALPの活性に及ぶ影響を調べるために、次のような方法で実験を行った。
【0046】
マウス造骨細胞として、MC3T3−E1サーブクローン4(MC3T3−E1 subclone 4,ATCC CRL−2593)にコルホルシンダロパートを処理した後、8日後に細胞を溶菌溶液(10mMのTris−HCl、pH7.5、0.5mMのMgCl、0.1% Triton X−100)を用いて30分間常温で溶菌し、これを12、000rpm、4℃で20分間遠心分離した。その次、得られた上層液からBCAキット(Bio−Rad)を用いてALPを定量し、ラボアッセイALPキット(LabAssay ALP kit)(Wako,日本)を用いてALP活性を測定した。この時、測定された活性は対照群に対する相対パーセントで示した。また、有意性検証をt−テストで行った(コルホルシンダロパート処理、p<0.05;比較化合物としてパルモルファミン処理、p<0.05)。同様の実験を多分化細胞(骨細胞を含んで多様な細胞に分化可能な細胞)C3H/10T1/2で実施した。
【0047】
その結果、コルホルシンダロパート処理によって造骨細胞分化初期マーカーであるALPの活性が著しく増加した(図3A)。また、多分化細胞であるC3H/10T1/2においでもALPの活性を著しく増加させることを確認した(図3B)。すなわち、コルホルシンダロパートがマウス造骨細胞であるMC3T3−E1サーブクローン4に処理の時、細胞増殖には何らの影響を及ぼさないのに、造骨細胞の分化に関連したALPの活性を1mMの濃度で比較化合物であるパルモルファミン(purmorphamine)よりもっと増加させることを確認した。
【0048】
実施例4:実験動物でのコルポシンの骨密度増加効果検証
骨粗鬆症治療剤としての効果を検証するために多い研究が進行されているが、ヒトを対象にする研究には限界があるから大部分動物を用いている。そのうち、閉経期後の骨粗鬆症の標本として最も多く用いられるモデルが卵巣を摘出したマウスであるが、これは卵巣摘出マウスが初期閉経女性の特徴とよほど似ているため、骨粗鬆症治療剤研究で多く利用されている。本発明者らは、5週齢DDYマウスのメスを対象に卵巣摘出手術を行った。ペントバルビタールナトリウム(中外製薬)25mg/kgを腹腔内注入して全身痲酔させた後、腓腹部の毛を削毛した後、腹部上で毛を削毛して手術部位を消毒して手術を行った。腓部下側から約1.5cmの皮膚及び筋肉と腹膜まで切開した後、卵巣を露出させた後、卵巣を切除し、腹膜、筋肉そして皮膚を縫合した。そして、一部に対しては腹膜までのみに同様な方法で接近し、卵巣は摘出しないまま再び縫合する偽手術(sham operation)を行ってこれを対照群として使用した。
【0049】
卵巣摘出後の骨消失が誘発されたモデルマウスにコルポシン化合物を経口(p.o.)にそれぞれ5mg/kgと10mg/kgで濃度を異なりにして4週間一日に一回投与してその効果を生体用高画質微細電算断層撮映システム(high resolution in−vivo micro−CT system、 explore Locus scanner,GE Health Care,米国)で撮影後、骨密度を分析した。その結果、図4に示したように、卵巣摘出によって減少された骨密度がコルポシン投与4週後に著しく増加されることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表記される化合物または薬剤学的に許容可能なその塩を含む骨疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【化1】

【請求項2】
前記組成物は、破骨細胞の分化または骨吸収を抑制することを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記組成物は、造骨細胞の分化または活性を促進することを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記骨疾患は、骨粗鬆症、パジェット病、歯周疾患、骨成長障害、骨転移癌及びリウマチ性関節炎から構成された群から選択されたものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
薬学的に許容可能な担体を更に含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記化学式1で表記される化合物を0.01〜1重量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
下記化学式1で表記される化合物または食品学的に許容可能なその塩を含む骨疾患の予防または改善用健康機能食品組成物。
【化2】

【請求項8】
請求項1〜6のうち、いずれか1項に記載の組成物を個体に投与する段階を含む骨疾患を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−533537(P2012−533537A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520546(P2012−520546)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004672
【国際公開番号】WO2011/008052
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(501245997)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (15)
【出願人】(510256159)コリア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー (4)
【Fターム(参考)】