説明

コレステリック液晶材料

本発明の態様は、フェイルセーフ動作、偏光不感受性、低い所要電力消費、および少数の電気的接続を与えるための、電気活性素子において使用され得るコレステリック液晶材料に関する。コレステリック液晶材料は、該電気活性素子の活性化状態において90%超の回折効率または集束効率、および該電気活性素子の不活性化状態において10%未満の回折効率または集束効率を与えるための電気活性素子において使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、以下の仮出願からの優先権を主張し、その全てを参照によって組入れる。
【0002】
2007年1月22日に出願され、「オフ状態で実質的に屈折力を示さないコレステリック液晶材料を含む偏光不感受型の電気活性な回折レンズ」と題された米国出願第60/881,516号。
【0003】
発明の背景
発明の分野
本発明はコレステリック液晶材料に関する。より具体的には、本発明は、電気活性素子または電気活性レンズの活性化状態において屈折力を提供するため、および電気活性素子または電気活性レンズの不活性化状態において実質的に屈折力を提供しないための、電気活性素子または電気活性レンズにおいて使用可能なコレステリック液晶材料に関する。
【0004】
関連技術の記載
電気活性素子は、電気エネルギーの適用によって変化し得る屈折力を有するデバイスである。電気活性素子は、2つの基板から構築され得る。電気活性材料は、2つの基板の間に配置され得る。基板は、電気活性材料が基板間内に含まれ、かつ漏れ出し得ないことを保証するように成形され、大きさとされ得る。1つ以上の電極が、電気活性材料に接触する基板の各表面上に配置され得る。電気活性素子は、各電極に1以上の電圧を印加するためのコントローラーを含み得る。電気活性素子は、制御可能なようにコントローラーと接続された電源を含み得る。電気エネルギーが電極によって電気活性材料に印加されるとき、電気活性材料の屈折率は変化し、それによって例えばその焦点距離または回折効率のような電気活性材料の光学特性を変化させる。
【0005】
電気活性な素子は、ベースレンズと光学的に連通し得る。電気活性素子は、電気活性レンズを形成するために、ベースレンズ内に埋め込まれるか、またはベースレンズの表面に取り付けられる。ベースレンズは、光学基板または通常の光学レンズであり得る。光学基板はレンズブランクであり得る。レンズブランクは、レンズに成形され得る光学材料から作られるデバイスである。レンズブランクは、該レンズブランクがその両方の外表面を屈折性の外表面に成形されることを意味する「仕上げられた」ものであり得る。仕上げられたレンズブランクは、ゼロまたはプラノ(plano)屈折力を含む任意の屈折力であり得る屈折力を持つ。レンズブランクは、レンズブランクが、ただ1つの仕上げられた屈折性の外表面を持つように成形されていることを意味する「半仕上げされた」ものであり得る。レンズブランクは、レンズブランクのいずれの外表面も屈折性の表面に成形されていないことを意味する「仕上げられていない」ものであり得る。仕上げられていないレンズブランクまたは半仕上げされたレンズブランクの仕上げられていない表面は、フリーフォーミングとして知られる加工プロセスによって、またはより伝統的な表面仕上げおよび研磨によって仕上げられ得る。仕上げられたレンズブランクは、眼鏡フレームにフィットさせるために成形、縁取りまたは変形された周辺端部を持っていない。
【0006】
また、電気活性素子は、電気活性レンズを形成するために通常の光学レンズ内に埋め込まれるか、または光学レンズの表面に取り付けられ得る。通常の光学レンズは、光に集束または発散を生じさせる任意のデバイスまたはデバイスの一部である。レンズは屈折性または回折性であり得る。レンズは、両表面において凹面、凸面または平面のいずれかであり得る。レンズは球形、円筒形、プリズム形またはその組合せであり得る。レンズは、光学ガラス、プラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、ガラスと樹脂の複合体、または異なる光学グレードの樹脂もしくはプラスチックの複合体から作られ得る。レンズは、光学要素、光学プリフォーム、光学ウェーハ、仕上げられたレンズブランク、または光学子と呼ばれ得る。光学産業内では、デバイスの屈折力がゼロである場合(プラノまたは無屈折力として知られる)であってもレンズと呼ばれ得ることに注目すべきである。通常の光学レンズは、単焦点レンズ、または累進屈折力レンズ(Progressive Addition Lens)もしくは2焦点もしくは3焦点レンズのような多焦点レンズであり得る。
【0007】
電気活性素子は、電気活性レンズの全視野またはその一部のみに配置され得る。電気活性素子は、電気活性レンズが眼鏡フレームのために縁取りされ得るように、光学基板または通常の光学レンズの周囲端部から距離をあけて配置され得る。電気活性素子は、レンズの頂部、中間部または底部近くに配置され得る。電気活性素子は、独自に光を集束させることが可能であり得、かつ光学基板または通常の光学レンズと組合わせる必要がないことに注目すべきである。
【0008】
電気活性素子は、第1の屈折力と第2の屈折力との間のスイッチングが可能なものであり得る。電気活性素子は、不活性化状態において第1の屈折力を持ち得、活性化状態において第2の屈折力を持ち得る。電気活性素子は、電気活性素子の電極に印加された1以上の電圧が第1の予め定められた閾値未満である場合は不活性化状態にあり得る。電気活性素子は、電気活性素子の電極に印加された1以上の電圧が第2の予め定められた閾値を超える場合は活性化状態にあり得る。代替的に、電気活性素子は、電気活性素子が第1の屈折力と第2の屈折力との間で、連続的または実質的に連続的な屈折力の変化を与えることができるように、その屈折力を「チューニング」し得る。このような態様において、電気活性素子は不活性化状態において第1の屈折力を持ち得、活性化状態において第3の屈折力と第2の屈折力との間の屈折力を持ち得、該第3の屈折力は該第1の屈折力を予め定められた量だけ上回る。
【0009】
電気活性レンズは、眼の通常の誤差または異常な誤差を矯正するために使用され得る。該矯正は、電気活性素子によって、光学基板もしくは通常の光学レンズによって、または該2者の組合せによって与えられ得る。眼の通常の誤差は、近視、遠視、老視および乱視のような低い程度の異常を含む。異常な眼の誤差は、眼層の異常によって生じ得る高度の異常を含む。
【0010】
電気活性素子は、液晶を含み得る。液晶は、液晶を横切る電場を発生させることによって変えることができる屈折率を持つので、電気活性レンズに特に適切である。最後に、ディスプレイ用途のためのいくつかの市販の液晶の動作電圧は、典型的に5ボルト未満である。さらに、いくつかの液晶は、電力消費を減らす1011 Ωcm以上の程度のバルク抵抗率を持つ。
【0011】
眼科用途のための電気活性レンズ技術の開発は、その成功に決定的である技術上のいくつかの要求を課す。1つのこのような要求は、故障時に、電気活性レンズの使用者が危険な状況に置かれてはならないということである。このような要求は、フェイルセーフ動作(fail-safe operation)として知られる。例えば、使用者は、老視の矯正のために設計された電気活性眼鏡レンズを持ち得る。老視は、加齢に伴う人の眼の水晶体の遠近調節力の欠如である。この調節力の欠如は、まず、近距離の物に焦点を合わせることができなくなり、その後、中間距離の物に焦点を合わせることができなくなる。使用者の電気活性眼鏡レンズにおいて、通常の光学子は、遠距離の屈折誤差を、もしあれば矯正し得る。電気活性素子は、活性化されたときに、使用者の近距離および/または中間距離の屈折誤差を矯正するためにさらなる屈折力を提供し得る。使用者が、運転のような遠距離の仕事に携わる場合、電気活性素子は不活性化され、それによって使用者に適切な遠距離の矯正を与える。使用者が、読書またはコンピューター画面を見るような、近距離または中間距離の仕事に携わる場合、電気活性レンズが活性化され、それによって使用者に適切な近距離の矯正を与える。使用者が車を運転しているときに電気活性レンズの電源またはコントローラーが故障した場合、使用者が適切な遠距離の矯正を与えられるように、電気活性素子が不活性化状態に初期化されることが可能であることが極めて重要である。
【0012】
電気活性レンズ技術のための第2の要求は、電気活性レンズが偏光に対し不感受性のものでなければならない、すなわち集束を意図したものでなければならないことである。光は、光波の伝播方向に対して垂直に振動する電磁場ベクトルで構成される横波である。与えられた場ベクトルがやがてたどる経路(大抵の光学子において電場ベクトルのみを考慮する)は、偏光状態(直線経路についての線偏光、円形経路についての円偏光など)として考えることができる。大抵の発光源(例えば、太陽、白熱灯および蛍光灯)から放出された光は、偏光されていないか、または電場ベクトルが時間とともにランダムに振動する、ランダムに偏光されたものとして表現され得る。電場ベクトルのランダムな振動に拘らず、任意の瞬間に、該電場ベクトルは完全偏光に関してなされ得るように2つの直交するベクトル成分に分解され得る。当技術分野で既知のことであるが、これらのベクトル成分は、単なる一例であるが、自身が直線形に偏光してカルテシアン式に直交するか、または円形に偏光して右捻れおよび捻れで伝播して直交し得る。他の例において、電場ベクトルは、楕円偏光した(円偏光はその特定の形態)2つの直交成分に分解され得る。
【0013】
有効な電気活性レンズ技術は、偏光に対し不感受性のものでなければならない、すなわち任意の偏光状態を持つ光を集束させることができなければならない。しかしながら、大抵の液晶材料は複屈折性(屈折率の異方性を示す)であり、そうであるから高度に偏光感受性である。複屈折性媒体を通って進行する異なる偏光状態の光波は、進行方向に依存して異なる屈折率を示し得る。液晶ディスプレイ用途についての偏光感受性の問題は、直線偏光しかディスプレイに入れないようにするために、二色性偏光フィルムの使用によって処理される。先述したように、ランダムに偏光された光波は、時間とともにランダムに振動する電場ベクトルを持つ。マリュス則によれば、直線偏光子を通過する光波の強度はcos2 (θ)に比例し、ここでθは光波の偏光方向(電場ベクトルの方向)と直線偏光子の方向との間の角度である。入射光波がランダムに偏光されるので、入射光波は全ての角度θをランダムに含む。それ故に、線形偏光子を通過する光波の強度は、cos2 (θ)の平均であって、それは50%である。したがって、偏光フィルムの使用は、ランダムに偏光された入射光の50%をブロックし、偏光フィルムを、電気活性レンズに対して魅力の無い選択肢にしてしまう。全ての入射光を集束させることが重要だからである。
【0014】
偏光感受性は、主に、適用される特定の液晶の光学特性に依存して別々に取組まれる。ネマチック液晶は光学的に一軸性であり、その光学特性に関して単一の対称軸を持つ。この軸は「ディレクタ」として知られる。ディレクタの方向はネマチック液晶層のバルクに渡って変化するが、配向膜の使用によって、平均的に、配向方向と呼ばれる単一の方向に向かせることができる。配向膜は、単なる一例としてであるが、100ナノメートル未満の厚さであり得、かつポリイミド材料で構築され得る薄膜である。薄膜は、液晶と直接接触する基板の表面に適用される。電気活性素子の組立てに先立って、薄膜はベルベットのような布で一方向(配向方向)にバフ掛けされる。液晶分子が、バフ掛けされたポリイミド層と接触するとき、液晶分子は基板平面内に優先的に横たわり、かつ、ポリイミド層がラビングされた方向(すなわち、基板の表面に平行)に配向される。代替的に、配向膜は、直線偏光されたUV光に暴露されたときに、バフ掛けされた配向膜が使用された場合と同じ結果をもたらす感光性材料で構成され得る。したがって、電場が無いとき、液晶分子のディレクタは、配向方向と同じ方向を向く。電場があるとき、液晶分子は電場の方向を向く。電気活性素子において、電場は配向膜に対して垂直である。したがって、電場が十分強い場合、液晶分子のディレクタは配向方向に対して垂直であろう。電場が十分強くない場合は、液晶分子のディレクタは、配向方向と配向方向に垂直な方向の間のどこかの方向を向くであろう。
【0015】
一軸性光学材料は、2つの独特な屈折率である常屈折率(no)および異常屈折率(ne)を持つ。一軸性光学材料の複屈折率であるΔnは、Δn = ne-noと定義される。当技術分野で周知なように、光波が、電場(屈折率に起因して位相遅延を生じる波の部分)が伝播方向に垂直な方向に振動している横波であるので、液晶のディレクタに平行に伝播する光波は、光波の偏光の状態に拘らず常屈折率(no)を生じる。しかしながら、その他の経路に沿って伝播する光波は、noとneの間の値の屈折率を生じ得る;屈折率の正確な値は、光波の偏光の状態、および材料を通る光波の経路に依存する。先述したように、一軸性材料が配向膜と接触し、かつ電場が適用されない場合は、一軸性材料のディレクタは配向方向と同じ方向にあるだろう。それ故に、一軸性材料の層に垂直な方向に進行する (そうであるから、ディレクタに平行に偏光される)入射光波は、入射光波の偏光状態に依存してnoとneの間の屈折率を生じるであろう。電場が増大するにつれて、材料のディレクタは、配向方向と該配向方向に垂直な方向との間のどこかの方向を向き始める。一軸性材料の層に垂直な方向に伝播する入射光波は、もはや材料のディレクタと平行に偏光されず、ディレクタと垂直にも偏光されない。それ故に、この光波はその偏光状態に依存して異なる屈折率を生じるであろう。電場が十分強い場合は、液晶分子のディレクタは配向方向に対して垂直であろう。この場合、入射光波はディレクタおよび印加された電場と平行に伝播し、入射光波は、ディレクタおよび印加された電場と垂直な方向に偏光されるであろう。このシナリオにおいて、光波は、その偏光状態に拘らず常屈折率(no)を生じるであろう。
【0016】
電気活性レンズにとって重要な特徴は、レンズの集束力を変えることのできる能力である。レンズの集束力の変更は、電気活性素子の電気活性材料の屈折率を変えることによって達成される。しかしながら、一軸性材料の屈折率を、noとneの間の意図された屈折率に変更することは、偏光感受性である。先述したように、全ての偏光されていない光波は、偏光の方向は時間とともにランダムに変化する直線偏光と考えることができる。したがって、ランダムに偏光された光の50%しか直線偏光子を通過しないことと同じ理由で、ランダムに偏光された入射光の50%しか意図された屈折率を生じないであろう。それ故に、偏光されていない周辺光の存在下で作動する電気活性レンズは、単層のネマチック液晶で構築されるが、それは入射光の半分のみしか集束しないであろう。これは、着用者に対して視力の激烈かつ許容されない低下をもたらすであろう。
【0017】
全ての入射光を集束するネマチック液晶を使用した偏光不感受正の電気活性レンズは、典型的に、連続的に配置され、かつ該層の配向方向が互いに直交するように配置される2つの液晶の層を必要とする。偏光は、2つの直交する成分に分解され得、配向方向が直交する配列は、任意の偏光の光の直交成分が液晶の第1の層によって、または液晶の第2の層によってのいずれかで適切に集束されることを保証する。このアプローチの欠点は、レンズの製造および動作(例えば、材料、電気的接続、および電力消費)が事実上倍になるであろうということである。
【0018】
電気活性レンズ技術のための第3の要求は、電力消費が可能な限り小さくなければならないということである。先述したように、2層のネマチック液晶を使用することは、所要電力が事実上倍になるので、魅力的な選択肢ではない。同様に、Nishiokaらによって米国特許第7,009,757号に記載されたような、単層の偏光不感のポリマー分散液晶は、作動電圧が眼鏡レンズ用途のためには極端に高いので有望ではない。
【0019】
電気活性レンズ技術のための第4の要求は、レンズあたりの電気的接続の数が最少に保たれなければならないことである。理想的には、電気的接続の数は2つに抑えられるべきである;一方はゼロ電圧参照(一般的には「アース」と呼ばれる)を与えるため、他方はゼロDCバイアス時間の関数である電圧を与えるためである(すなわち、DCオフセットが無いように、時間平均電圧がゼロである)。これは、単層の偏光不感のポリマー分散液晶によって達成することができるが、この液晶の動作のために必要な電圧は、眼鏡レンズにおける技術の使用を妨げる。
【0020】
したがって、先述した要求の4つ全てに見合う電気活性レンズ技術についての需要がある。
【0021】
発明の概要
本発明の一つの態様において、電気活性レンズは、単層の電気活性材料を含み得、該電気活性レンズは活性化状態において屈折力を持ち、該電気活性レンズは不活性化状態において実質的に屈折力を持たない。
【0022】
本発明の態様において、コレステリック液晶材料はおよそ0.20以上の複屈折率を持つネマチック液晶を含み得る。コレステリック液晶材料は、およそ1.1以上の大きさを持ったヘリカルツイスト力を持ったカイラルドーパントをさらに含み得る。
【0023】
本発明の一つの態様において、電気活性素子は、屈折率および該屈折率の第1の分散を持った第1の基板を含み得る。電気活性素子は、該屈折率および該屈折率の第1の分散を持った第2の基板をさらに含み得る。電気活性素子は、第1および第2の基板の間に配置されたコレステリック液晶材料をさらに含み得、該コレステリック液晶材料は、該屈折率に概ね等しい平均屈折率、該屈折率の第1の分散に概ね等しい平均屈折率の第2の分散を持つ。電気活性素子は、コレステリック液晶材料に面する第1の基板の側に配置された連続電極をさらに含み得る。電気活性素子は、コレステリック液晶材料に面する第2の基板の側に配置された1つ以上の電極をさらに含み得る。
【0024】
本発明の一つの態様において、電気活性レンズはベースレンズを含み得る。電気活性レンズは、屈折率および該屈折率の第1の分散を持った第1の基板を含み得る電気活性素子をさらに含み得る。電気活性素子は、屈折率および該屈折率の第1の分散を持った第2の基板をさらに含み得る。電気活性素子は、第1および第2の基板の間に配置されたコレステリック液晶材料をさらに含み得、コレステリック液晶材料は、該屈折率に概ね等しい平均屈折率、および該屈折率の第1の分散に概ね等しい平均屈折率の第2の分散を持つ。電気活性素子は、該コレステリック液晶材料に面する第1の基板の側に配置された連続電極をさらに含み得る。電気活性素子は、該コレステリック液晶に面する第2の基板の側に配置された1つ以上の電極をさらに含み得る。
【0025】
本発明の態様は、図と関連した以下の詳細な記載からより完全に理解され、認識され得、該図は寸法どおりではなく、同じ参照番号は、関連する同一または類似の要素を示す。
【0026】
好ましい態様の説明
本発明の一つの態様において、液晶材料は偏光不感受性であり、かつ低い所要動作電圧を持つ。本発明の一つの態様において、本発明の液晶材料は電気活性素子に含まれ得る。本発明の電気活性素子はフェイルセーフであり得、かつ動作のために2つの電気的接続しか必要とし得ないであろう。本発明の一つの態様において、本発明の電気活性素子は、静的電気活性レンズに含まれ得る。静的電気活性レンズは、近視、遠視、乱視、老視、および高度な異常のような、眼の屈折異常を少なくとも部分的に矯正し得る。電気活性素子は、先述した屈折異常のいずれか、またはその全てを少なくとも部分的に矯正し得る。
【0027】
本発明の液晶材料は、コレステリック液晶の一種である。コレステリック液晶材料は、ネマチック液晶のように、光学的に一軸性であり、それ故に複屈折性(すなわち、それらはnoおよびneの屈折率値によって特徴付けられる)である。しかしながら、コレステリック液晶において、ディレクタは材料の厚さに渡って螺旋状に回転する。ディレクタの螺旋回転は、回転軸、掌性(右か左かのいずれか)、および「ツイストピッチ」pによって特徴付けられる。ツイストピッチは、ディレクタが全360°回転し終わるまでの回転軸に沿った長さとして定義される。ツイストピッチに相当する波長を持ち、液晶のディレクタと垂直な方向に伝播する(したがって、該ディレクタと平行に偏光されている)光波は、navg =(no+ne) / 2である「平均」屈折率値navgを持つであろう。navgの値が、入射光波の偏光状態に対して実質的に一定なので、コレステリック液晶材料は偏光不感である。配向膜に垂直な方向に印加された電場の存在下で、殆どの材料のディレクタは電場と整列し、これにより、ディレクタの螺旋は効率的に巻戻される。したがって、ディレクタの回転軸に沿って伝播する光波は、平均値(navg)と通常値(no)との間屈折率値内の連続的かつ偏光不感の変化を受けるであろう。電場が十分強い場合、コレステリック液晶材料のディレクタは、印加された電場と実質的に平行であり、コレステリック液晶材料の層と垂直な方向に進行する光波は、通常値(no)となるであろう。
【0028】
コレステリック液晶材料が配向膜と接触し、かつ電場が印加されていない場合、配向膜とコレステリック液晶材料との間の界面にある材料のディレクタは、配向方向と同じ方向になるであろう。それ故に、コレステリック液晶材料の層に垂直な方向に、かつ回転軸に平行な方向に進行する入射光波は、入射光波の偏光状態に拘らず、navgに相当する屈折率となるであろう。電場が増大するにつれて、材料のディレクタは、配向方向と該配向方向に垂直な方向との間のどこかを向き始め、入射光は、その偏光状態に拘らず平均値(navg)と通常値(no)との間の屈折率となるであろう。電場が十分に強い場合、液晶分子のディレクタは配向方向と実質的に垂直になり得る。この場合、コレステリック液晶材料の層と実質的に垂直かつ回転軸と平行に進行する入射光波は、その偏光状態に拘らず、常屈折率(no)となるであろう。
【0029】
図1は、電気活性素子110が電気活性レンズ100内に埋め込まれている、本発明の態様を示す。電気活性素子は、コレステリック液晶材料を含み得る。電気活性レンズは、通常の光学レンズまたは光学基板から作られ得る。
【0030】
図2a〜2bは、電気活性素子110の態様の詳細図を示す。電気活性素子は、その間にコレステリック液晶材料130を持つ、2つ以上の光学的に透明な基板120から構築され得る。 基板は、コレステリック液晶材料の薄層を拘束するように構成され得る。層の厚さは、例えば100μm未満であり得るが、好ましくは10μm未満である。図2aにおいて、基板は実質的に平坦かつ平行なものとして示されるが、図2bにおいては基板は実質的に湾曲状、かつ平行なものとして示される。基板は、電気活性レンズの曲率に適合するように湾曲され得る。複数の基板は、既知かつ実質的に同一の屈折率(nsub)を持つ。基板は、コレステリック液晶材料に接触する基板の側を、光学的に透明な電極140で被覆され得る。光学的に透明な電極は、液晶に電場を印加するために使用され、例えば任意の既知の透明導電性酸化物(ITOのような)、または導電性有機材料(PEDOT:PSSまたはカーボンナノチューブのような)を含み得る。光学的に透明な電極層の厚さは、例えば1μm未満であり得るが、好ましくは0.1μm未満である。基板の最大横寸法は、10 mmないし80 mmのオーダーであり得る。しかしながら、基板は、コンタクトレンズまたは眼内レンズのような、眼鏡レンズ以外の眼科用途についてはより小さくなり得る。基板は、電気活性眼鏡レンズの周辺端部を切削して特定の(例えば縁取られた)眼鏡レンズフレーム内にフィットさせることを可能にするサイズおよび構造を持ち得る一方で、コレステリック液晶材料が前記基板の間に拘束されたままであることを保証する。
【0031】
本発明のいくつかの態様において、電気活性素子は、通常の光学レンズから物理的に隔てられた基板または光学基板から組立てられ得る。これらの態様において、基板の厚さは、例えば100μm超1 mm未満であり得、好ましくは250μmのオーダーである。本発明の他の態様において、基板の1つは、仕上げられた眼鏡レンズの一部を形成し、したがって一方の基板は他方よりも実質的に厚くなり得る。これらの態様において、例えば、仕上げられた電気活性眼鏡レンズの一部を形成する基板は、1 mmないし12 mm厚のオーダーであり得る。他の基板の厚さは100μm超1 mm未満であり得るが、好ましくは250μmのオーダーであり得る。
【0032】
図3は本発明の一つの態様を示し、ここでは電気活性素子200が、概ね平坦な表面を有する第1の基板220とパターン化された表面を有する第2の基板230との間に位置するコレステリック液晶材料を含む。コレステリック液晶材料に面する2つの基板の表面は、光学的に透明な単一の電極で各々が被覆される。第2の基板のパターン化された表面は、予め決定された深さdを持つ表面レリーフ光学子である。パターン化された表面は、屈折性(表面レリーフ屈折性光学子)または回折性(表面レリーフ回折性光学子)のいずれかであり得るが、回折性であることが好ましい。表面レリーフ光学子は、多くの構造で構築され得、図3においては、老視の矯正に適切なアドパワー、すなわち+0.00 Dないし+3.00 Dを有する表面レリーフ回折性光学子として示される。
【0033】
予め決定された閾値未満の第1の電圧が、電気活性素子に印加された場合、該素子は、実質的に屈折力を与えない不活性化状態にあり得る。換言すれば、第1の予め決定された閾値未満の電圧が印加された場合(または実質的に電圧が印加されない場合)は、コレステリック液晶材料は、基板の屈折率(nsub)と実質的に同一の屈折率(navg)を持ち得る。この場合、電気活性素子の屈折率はその厚さに渡って実質的に一定であり、屈折力の変化を生じない。コレステリック液晶材料のディレクタを、もたらされる電場と平行に配列させるために十分な電圧(該電圧は第2の予め決定された閾値を超える)が印加された場合、電気活性素子は、屈折力の増大を与えるような活性化状態にあり得る。換言すれば、第2の予め決定された閾値を超える電圧が印加された場合、コレステリック液晶材料は、基板の屈折率とは異なる屈折率(no)を持ち得る。この屈折率の差(noとnsubの差)は、液晶の厚さに渡って生じる光学的な相遅延をもたらす。この相遅延はd(nsub-no)と等しい。最大回折効率(すなわち、回折要素を用いて集束をもたらされる入射光の割合)のためには、波長λの全ての入射光が焦点にて積極的に干渉することが必要であり、ここでλは、電気活性素子が集束させることを意図した光の波長である。これが生じるためには、焦点で集束される光が同位相にあることを要する。各回折領域に渡る相遅延が全波長(λ)の整数倍のとき、全ての光は焦点にて同位相にあり得、電気活性素子は高い回折効率を持ち得る。したがって、d(nsub-no) = λである場合、波長λの入射光が高回折効率で集束され得る。
【0034】
電気活性素子が屈折によって屈折力を生じる(例えば表面レリーフ屈折性光学子が使用される)本発明の態様において、まず、活性化状態において所望される屈折力が決定される。その後、曲率半径Rが、式R = (nsub-no) / (所望される屈折力)を満たすように選択される。複屈折性材料と光学的に連通した屈折性光学子は、直交する光の偏光成分について異なる屈折率を持つ。これは2つの異なる焦点距離をもたらし、ここで焦点距離の一方は意図された焦点距離であり、他方の焦点距離は所望されない焦点距離である。屈折性光学子のための集束効率は、所望の焦点距離に屈折される入射光の割合として定義され得る。
【0035】
コレステリック液晶材料は、本質的にコレステリック状態(すなわち、カイラルまたは捻れ)であるか、またはネマチック液晶をカイラルツイスト剤と混合することによって形成されるかのいずれかである。後者のアプローチが用いられた場合、得られたコレステリック液晶は、コレステリック液晶がそれから作られるネマチック液晶と同じである多くの特性を持つ。例えば、得られたコレステリック液晶材料は、同じ屈折率の分散を持ち得る。また、得られたコレステリック液晶材料は、コレステリック液晶がそれから作られるネマチック液晶と同じ常屈折率、および異常屈折率を持つ(しかしながら、これは今やコレステリックなので、屈折率の有意な変化はnoとnaveの間である)。本発明の態様において、ネマチック材料はコレステリック液晶よりも多く市販されているので後者のアプローチは好ましく、したがって後者のアプローチは、よりおおきな設計の柔軟性を与える。
【0036】
ネマチック液晶の選択は、3つの基礎的な要求によって支配されている。液晶のスイッチング時間は、厚さについて少なくとも二次(quadratic)であることが周知である。それ故に、第1の要求は、液晶が、最小d値について、高回折効率についての上記の条件d(nsub-no) =λを満足することである(同様に、屈折性の、動的な電気活性な光学子の場合は、液晶層の中心または縁のいずれかにおいて厚さを最小化するために、屈折性表面についての、最大曲率半径Rを用いることが必要であろう)。これは、最大複屈折率(Δn = ne-no)を有する液晶を必要とする。コレステリック液晶は、ネマチック液晶と比較して、それらの屈折率に関して小さいダイナミックレンジを持つ(navg-no < ne-no)。この特性は、高い回折効率の条件を満足するために、より大きなd値を必然的に要する。したがって、第2の要求は、ネマチック液晶が可能な限り大きな複屈折率を持つことである。第3の要求は、不活性化状態において、液晶が、基板の屈折率の分散に可能な限り近似して一致する屈折率の分散(波長λの関数としての屈折率)を持つことである。したがって、navgの分散は、nsubの分散と可能な限り近似して一致すべきである。そうでない場合は、不活性化状態において、navgは、広範な波長に渡ってnsubと実質的に同一ではなく、所望されない集束ともなり得る。
【0037】
本発明の態様において、市販のネマチック液晶BL037(Merck製)は、非常に大きな複屈折率(ne = 1.8080、no=1.5260、Δn =0.2820)を持つので使用され得る。代替的に、全てMerck製のネマチック液晶BL036、BL038、BL087、BL093、BL111、TL213、TL216、E7、E63、MLC-6621-000、MLC-6621-100、ZLI-5049-000およびZLI-5049-100が使用され得る。しかしながら、本発明の態様において使用可能な全てのネマチック液晶を記載することは不可能であることが理解されるべきである。それ故に、本発明の態様において、およそ0.20よりも大きな複屈折率Δnを持つ任意のネマチック液晶が使用され得る。
【0038】
このネマチック液晶には、ネマチック液晶をコレステリック液晶材料にするためにカイラルツイスト剤が添加される。カイラルドーパントは、それらがネマチック液晶中で誘起する掌性(左または右)によって、およびヘリカルツイスト力によって表されるツイスト力によって表される。ヘリカルツイスト力は100/(P*C)で定義され、ここでPはカイラルドーパントによって誘起されるツイストピッチ(液晶が全360°だけ回転し終わるミクロンで測定される)であり、Cは混合物中のカイラルドーパントの重量パーセンテージである。ツイストピッチは、左手系の場合に負で、右手系の場合に正と表示されることに注意すべきである。カイラル剤もMerckから市販されており、右手系のツイストを誘起するための材料(CB15、ZLI-3786、ZLI-4572、MLC-6248)および左手系のツイストを誘起するための材料(C15、ZLI-811、ZLI-4571、MLC-6247)を含む。表1は、先述した液晶についてのヘリカルツイスト力の典型的な値を示す。しかしながら、示された値は、使用された個々のカイラルドーパントおよびそれと混合されるネマチック液晶の両方に依存し、したがって、典型的な値である。本発明の態様に使用可能な全てのカイラルドーパントを記載することは不可能であることが理解されるべきである。それ故に、本発明の態様において、およそ1.1を超える大きさ(絶対値)のヘリカルツイスト力を持つ任意のカイラルドーパントが使用され得る。代替的に、およそ1.8を超える大きさ(絶対値)のヘリカルツイスト力を持つ任意のカイラルドーパントが使用され得る。代替的に、およそ5.9を超える大きさ(絶対値)のヘリカルツイスト力を持つ任意のカイラルドーパントが使用され得る。代替的に、およそ8.1を超える大きさ(絶対値)のヘリカルツイスト力を持つ任意のカイラルドーパントが使用され得る。
【表1】

【0039】
材料ZLI-4571は、コレステリック液晶材料のツイストピッチpの値の低下を誘起するために、BL037中に高濃度で溶解され得る。任意の先述したカイラル剤が使用され得るが、他の材料よりも低い濃度でより低いp値を誘起するので、カイラル剤ZLI-4571が本発明の態様には好ましいであろう。
【0040】
一旦、コレステリック液晶材料が選択されると、基板材料の選択はnavgの値によって決定される。ネマチック液晶BL037については、navg = 1.6670である。この値に近似して適合する屈折率を有する光学材料は、A09 (nsub = 1.66、Brewer Science製)、MR-10 (nsub = 1.67、Mitsui製)およびRadel R 5000 NT (nsub = 1.675、Solvay製)を含む。nsubの値がBL037についてのnavgの値に広範な波長に渡って近似して適合する、すなわち2つの材料の屈折率の分散が似ているので、Brewer science製の材料A09は好ましい選択である。
【0041】
選択されたコレステリック液晶材料および基板材料対して、コレステリック液晶材料の表面レリーフ光学構造の深さ(または、領域高さ(zone height)、d)が選択されなければならない。nsubおよびnoが今や既知であるので、領域高さは、意図された動作波長λにて高い回折効率についての条件d(nsub-no) =λを満足するように選択される。意図された動作波長は、通常は、人体の最大明順応反応の波長である550 nmである。この工程は、明瞭な視界を保証するために、活性化状態にある電気活性素子の、可能な限り大きくあるべきである回折効率を決定する。より高い回折効率は、式d(nsub-no) = λによって示され得るものとは若干異なる領域高さによって達成され得ることに注目すべきである。このより高い回折効率は、先述した式によって決定された値の10%内で領域高さを見積もることによって実験的に決定され得る。単なる一例としてであるが、表面レリーフ回折光学子が材料A09から構築され、コレステリック液晶材料がBL037から作られた場合、理想的な領域高さはおよそ4.0 μmである。
【0042】
コレステリック液晶材料のツイストピッチは、不活性化状態の残存の回折効率を決定する(すなわち、不活性化状態における残存の集束)この値は可能な限り低くあるべきであり、例えばおよそ10%未満であるが、好ましくはおよそ5%未満である。活性化状態および不活性化状態における電気活性素子の回折効率または集束効率は、実験的に決定される。与えられたツイストピッチを達成するために必要なカイラル剤の量は、ネマチック液晶と既知の濃度のカイラル剤との異なる混合物を生成することによって実験的に容易に決定される。コレステリックのツイストピッチを決定することは、楔形のセルを使用することによって達成され得る。楔形セルの使用は、コレステリック液晶の層が、配向膜で被覆された2つの平行でない基板の間に挟まれているような、当技術分野で周知の技術であって、該基板の間の角度および距離は既知である。楔形セルにおいて、コレステリック液晶は、セルの厚さが変化するにつれてドメインの切れ目を呈するであろう。切れ目の間の距離は、セルの厚さがコレステリック液晶のツイストピッチの1/4だけ変化し終わる距離に相当する。切れ目の間の距離の測定、および2つの基板の間の既知の角度によって、コレステリック液晶のツイストピッチを決定することは、単純な三角法の問題である。
【0043】
回折効率は、特定の回折次数(diffractive order)で現れる入射光の割合である。本発明の態様による電気活性素子について、回折効率は、意図された焦点距離での集束をもたらされる入射光の割合である。回折効率の測定は、回折要素に光を通過させ、各々の回折次数で力の量(光電子屈折力計を使用し、ワットで)を測定し、全ての回折次数に渡って力を合算し、その後、意図された焦点距離に相当する回折次数における力を、力の総計で除することによって為される。この測定が該要素の下流で実行されるので、全ての伝達ロスが明らかとなるであろう。測定がレンズ面積、位置および波長の関数としてなされ得、したがって回折性光学子の詳細な特徴づけが可能となるので、これは特に有用な方法である。回折効率は、活性化状態において可能な限り高く(90%超)あるべきであり、不活性化状態において可能な限り低く(10%未満、好ましくは5%未満)あるべきである。
【0044】
屈折性の電気活性素子において、直交する偏光成分の間の屈折率の差は2つのわずかに異なる焦点距離をもたらし得、ここで一方は意図される焦点距離に相当し、他方は所望されない焦点距離に相当する。このような例において、一方は意図された焦点距離に屈折された入射光の割合として定義される集束効率を定義することができる。集束効率の測定は、屈折要素に光を通過させ、各々の焦点距離で別個に力の量(光電子屈折力計を使用し、ワットで)を測定し、その後、意図された焦点距離における力を、力の総計で除することによって達成される。力は、他の焦点距離からの光をブロックするために、偏光子を使用することによって各々の焦点距離についてそれぞれ測定され得る。集束効率は、一般に活性化状態において可能な限り高く(90%超)あるべきであり、不活性化状態において可能な限り低く(10%未満、好ましくは5%未満)あるべきである。
【0045】
図5は、550 nmで作動するように設計され、先述した材料(BL037、ZLI-4571およびA09)から構築された電気活性レンズの一つの態様についての波長の関数として示された、活性化状態および不活性化状態の回折効率両方についての測定を示す。図5において、不活性化状態の回折効率の2つの曲線は、2つの異なるd/p比、コレステリック液晶材料のツイストピッチに対する領域高さの比として示される。d/p比は、不活性化状態における回折効率について有用な測定基準である。図に示すように、活性化状態の回折効率は、意図された波長550 nmで殆ど100%である。しかしながら、不活性化状態の回折効率は、より大きなdip比について減少する。回折効率は、d/p比3.5について9.9%、d/p比7.0について2.3%である。nsubの値が、およそnavgないしおよそnavg+0.02の範囲内に収まる場合、不活性化状態の残存の回折効率が低下することがわかっている。
【0046】
先述したBL037、ZLI-4571およびA09から構築された例のレンズにおいて、d/p比7が所望される場合、要求されるツイストピッチはおよそ0.53μmである。およそ0.5μmのツイストピッチは、6重量%のカイラル剤ZLI-457lがネマチック液晶BL037と混合された場合に達成され得ることがわかっている。例えば、本発明のいくつかの態様において、2重量%のカイラル剤ZLI-4571がネマチック液晶BL037と混合される。この態様のコレステリック液晶材料は、およそ0.7μmないしおよそ0.8μmのツイストピッチを持つが、十分低い回折効率および低い作動電圧を持つ。他の態様において、コレステリック液晶材料のツイストピッチはおよそ0.10μm以上であり得る。代替的に、本発明のいくつかの態様においては、およそ10重量%以下のカイラル剤ZLI-4571がネマチック液晶BL037と混合される。より小さなツイストピッチ(より高いd/p比)は不活性化状態において典型的により低い回折効率をもたらすが、また、電気活性素子について典型的により高い作動電圧をもたらす。したがって、不活性化状態における低い回折効率は、所要作動電圧に対してしばしば考慮されなければばらない。
【0047】
先述したように、コレステリック液晶材料は、ネマチック液晶およびカイラルドープ剤から作られ得る。一定量のネマチック液晶の質量が測定され、カイラルドープ剤の適切な質量が、液晶の質量および所望されるカイラルドープ剤の重量パーセンテージに基づいて決定される。換言すれば、6%のカイラル剤が所望される場合は、94グラムのネマチック液晶が、6グラムのカイラルドープ剤と混合され得る。所望される質量のカイラルドープ剤が液晶に添加され、ミキシングマシンによって、または磁気攪拌子を入れて混合物を磁気攪拌プレート上に置くことによって物理的に攪拌され得る。
【0048】
図6に示された本発明の他の態様において、電気活性素子300は、間の厚みが実質的に一定であるように配置された2つの基板310を含む。コレステリック液晶材料320は、基板の間に配置され得る。このような態様は、表面レリーフ光学子が含まれていないことに注目すべきである。表面レリーフ光学子が無い場合、パターン化またはピクセル化(pixilated)された電極330は、他の単一の電極340とともに使用される。異なる振幅の複数の電圧が、パターン化またはピクセル化された電極に印加され得る。これらの電極は、電圧が電極に印加されたときに、コレステリック液晶材料の層中で生じた偏光不感受性の屈折率プロファイルが、光を回折または屈折によって集束するように働くような仕方で配列され得る。
【0049】
パターン化された電極は、電極のサイズ、形状、および配置に拘らず、電極への適切な電圧の印加により、液晶によって作られた屈折力が回折的に生じるように、電気活性素子に利用される電極である。例えば、回折性光学効果は、同心円状に成形された電極を使用することによって液晶内で動的に作られ得る。ピクセル化された電極は、電極のサイズ、形状、および配置に拘らず、個別にアドレス可能な電気活性素子に利用される電極である。さらに、電極が個別にアドレス可能なので、任意のパターンの電圧が電極に印加され得る。例えば、ピクセル化された電極は、直交アレイに配置された正方形もしくは長方形、または六面体のアレイ中に配列された六角形であり得る。ピクセル化された電極は、グリッドにフィットするような規則正しい形状である必要はない。例えば、ピクセル化された電極は、全ての円が個別にアドレス可能な場合は同心円となり得る。同心ピクセル化電極は、回折性光学効果を生じさせるために、個別にアドレスされ得る。
【0050】
本発明の態様において、電気活性素子は、電気活性レンズを形成するために、屈折性の眼鏡レンズ内、または光学基板内に埋め込まれ得る(例えば、成形、注型のいずれかによって)。電気活性素子の縁が、仕上げられた電気活性レンズの中で見えないことを保証するために、眼鏡レンズまたは光学基板は、電気活性素子の基板と実質的に同じ屈折率を持ち得る。電気活性素子がA09(nsub = 1.66、Brewer Science製)から製造される態様において、市販の眼科レンズ樹脂MR-10(n = 1.67、Mitsui製)は適切な選択であろう。代替的に、他の材料が使用され得る。所望される場合は、屈折性眼鏡レンズまたは光学基板の屈折率の分散は、電気活性素子の基板の屈折率の分散に適合され得る。
【0051】
本発明の態様において、電気活性素子は小型化され得、電気活性なコンタクトレンズ、電気活性な角膜インレー、電気活性な角膜アンレー、または電気活性な眼内レンズ内に利用され得る。電気活性素子は、累進屈折力レンズまたは二焦点または三焦点のようなその他の多焦点レンズと組合わせることもできる。電気活性素子は、単視野レンズと組合わせることもできる。
【0052】
本発明の態様は、回折性の電気活性素子のための材料を選択すること、および以下の順序でこれらの材料の特性を選択することを示している:
1) 高い複屈折率を持つネマチック液晶を選択すること
2) より小さなp値を誘起するために必要な濃度に基づいてカイラルツイスト剤を選択すること
3) 広範な波長に渡ってネマチック液晶の平均屈折率(navg)に適合するような屈折率(nsub)を持った(すなわち、2つの材料の屈折率の分散が実質的に同一)、電気活性な基板材料を選択すること
4) 動作可能な波長λを選択すること
5) d(nsub - no) =λを満足する値に基づいて領域高さdを選択すること
6) 不活性化状態において低い回折効率および低い動作電圧を生じるような所望されるpを達成するために、ネマチック液晶に添加するカイラルドープ剤の重量パーセンテージを実験的に決定すること。
【0053】
本発明の態様は、屈折性の電気活性素子のために材料を選択すること、および以下の順序でこれらの材料の特性を選択することを示している:
1) 高い複屈折性を持つネマチック液晶を選択すること
2) より小さなp値を誘起するために必要な濃度に基づいてカイラルツイスト剤を選択すること
3) 広範な波長に渡ってネマチック液晶の平均屈折率(navg)に適合するような屈折率(nsub)を持った(すなわち、2つの材料の屈折率の分散が実質的に同一)、電気活性な基板材料を選択すること、
4) 動作可能な波長λを選択すること
5) R = (nsub-no) / (所望される屈折率)を満足する値に基づいて曲率半径Rを選択すること、
6) 不活性化状態において低い集束効率および低い動作電圧を生じるような所望されるpを達成するために、ネマチック液晶に添加するカイラルドーパントの重量パーセンテージを実験的に決定すること。
【0054】
これらの工程が順不同で実行され得ることが理解される。例えば、はるかに多くの基板材料が市販されているので、基板の前にネマチック液晶が選択され得る。したがって、与えられた基板材料に適合する屈折率および屈折率の分散の特性を有するネマチック液晶を探すよりも、与えられたネマチック液晶に適合する屈折率および屈折率の分散の特性を有する基板を探すことの方が簡単である。しかしながら、所望される場合は、ネマチック液晶の前に基板材料を選択してもよい。
【0055】
本発明の態様は、先に記載された4つ全ての要求を満足する。すなわち、電気活性素子は、不活性化状態において低い回折効率または集束効率を持つので、不活性化状態においては実質的に屈折力を与えないため、フェイルセーフである。また、電気活性素子は、偏光不感受性であり、したがって全ての入射光を集束することができるコレステリック液晶材料を含む。電気活性レンズは、活性化状態において作動するためにおよそ5ボルトしか必要をせず(いくつかの態様においては、およそ10ボルトないしおよそ15ボルトを必要とするが、20ボルト超を要する場合はない)、したがって低い所要電力を有する(典型的に1ミリワット未満)。最後に、図2a、2bおよび3において示された態様のような2つの連続電極を持つ、電気活性レンズのいくつかの態様においては、たった2つの電気的接続しか必要とされない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、電気活性素子が電気活性レンズ内に埋め込まれている本発明の態様を示す。
【図2a】図2aは、実質的に平坦かつ平行な基板を持つ図1に示された電気活性素子の態様の詳細図を示す。
【図2b】図2bは、実質的に湾曲し、かつ平行な基板を持つ図1に示された電気活性素子の態様の詳細図を示す。
【図3】図3は、電気活性素子が、殆ど平坦な表面を有する第1の基板とパターン化された表面を有する第2の基板との間に位置するコレステリック液晶材料を含む、本発明の態様を示す。
【図4】図4は、可視スペクトルにわたるネマチック液晶BL037と基板材料A09の平均屈折率の分散(navg)を示す。
【図5】図5は、550 nmで動作するように設計された電気活性レンズの態様についての波長の関数として示された、活性化状態および不活性化状態両方の回折効率についての測定を示す。
【図6】図6は、間の厚さが実質的に一定であるように配置された2つの基板を含む電気活性素子の態様を示し、該第1の基板はその上に配置された単一の連続電極を持ち、該第2の基板はその上に配置された複数の電極を持つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層の電気活性材料を含む電気活性レンズであって、前記電気活性レンズは活性化状態において屈折力を持ち、前記電気活性レンズは不活性化状態において実質的に屈折力を持たない、電気活性レンズ。
【請求項2】
第1の屈折率を持つ第1の基板と、
前記第1の屈折率を持つ第2の基板と
をさらに含み、前記電気活性材料は前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置され、前記電気活性材料は前記電気活性レンズが前記不活性化状態にあるときに前記第1の屈折率と概ね等しい第2の屈折率を持つ、請求項1の電気活性レンズ。
【請求項3】
前記第1の基板が表面レリーフ回折性要素である請求項2の電気活性レンズ。
【請求項4】
前記電気活性レンズが、前記不活性化状態においておよそ10%未満の回折効率を持つ請求項3の電気活性レンズ。
【請求項5】
前記電気活性レンズが、前記不活性化状態においておよそ5%未満の回折効率を持つ請求項3の電気活性レンズ。
【請求項6】
前記電気活性レンズが、前記活性化状態においておよそ90%超の回折効率を持つ請求項3の電気活性レンズ。
【請求項7】
前記電気活性材料に面する前記第1の基板の側に配置された連続電極と、
前記電気活性材料に面する前記第2の基板の側に配置された1つ以上の電極と
をさらに含む請求項2の電気活性レンズ。
【請求項8】
前記1つ以上の電極がパターン化されている請求項7の電気活性レンズ。
【請求項9】
前記1つ以上の電極がピクセル化されている請求項7の電気活性レンズ。
【請求項10】
前記電気活性材料がコレステリック液晶材料である請求項1の電気活性レンズ。
【請求項11】
前記コレステリック液晶材料が、ネマチック液晶およびカイラルドープ剤から構成される請求項10の電気活性レンズ。
【請求項12】
前記ネマチック液晶が、およそ0.20以上の複屈折率を持ち、前記カイラルドープ剤がおよそ1.1以上の大きさのツイスト力を持つ請求項11の電気活性レンズ。
【請求項13】
前記ネマチック液晶が、BL036、BL037、BL038、BL087、BL093、B111、TL213、TL216、E7、E63、MLC-6621-000、MLC-6621-100、ZLI-5049-000およびZLI-5049-100からなる群より選択される請求項11の電気活性レンズ。
【請求項14】
前記カイラルドープ剤が、C15、CB15、ZLI-811、ZLI-3786、ZLI-4571、ZLI-4572、MLC-6247およびMLC-6248からなる群より選択される請求項11の電気活性レンズ。
【請求項15】
前記コレステリック液晶材料が、およそ10重量%以下のZLI-4571を持つ請求項11の電気活性レンズ。
【請求項16】
前記コレステリック液晶材料が、およそ0.10 μm以上のツイストピッチを持つ請求項11の電気活性レンズ。
【請求項17】
前記第1および第2の基板が前記第1の屈折率の第1の分散を持ち、前記電気活性材料が前記第2の屈折率の第2の分散を持ち、前記第1の屈折率の前記第1の分散が、前記第2の屈折率の第2の分散と実質的に等しい、請求項2の電気活性レンズ。
【請求項18】
ベースレンズをさらに含み、前記ベースレンズが、仕上げられたレンズブランク、半仕上げされたレンズブランク、仕上げられていないレンズブランク、単焦点レンズ、および多焦点レンズからなる群より選択される請求項1の電気活性レンズ。
【請求項19】
およそ0.20以上の複屈折率を持つネマチック液晶と、
およそ1.1以上の大きさのヘリカルツイスト力を持つカイラルドープ剤と
を含むコレステリック液晶材料。
【請求項20】
前記ネマチック液晶が、BL036、BL037、BL038、BL087、BL093、BL111、TL213、TL216、E7、E63、MLC-6621-000、MLC-6621-100、ZLI-5049-000およびZLI-5049-100からなる群より選択される請求項19のコレステリック液晶材料。
【請求項21】
前記カイラルドーパントが、C15、CB15、ZLI-811、ZLI-3786、ZLI-4571、ZLI4572、MLC-6247およびMLC-6248からなる群より選択される請求項19のコレステリック液晶材料。
【請求項22】
前記コレステリック液晶材料が、およそ10重量%以下のZLI-4571を持つ請求項19のコレステリック液晶材料。
【請求項23】
前記コレステリック液晶材料が、およそ0.10μm以上のツイストピッチを持つ請求項19のコレステリック液晶材料。
【請求項24】
屈折率および前記屈折率の第1の分散を持つ第1の基板と、
前記屈折率および前記屈折率の第1の分散を持つ第2の基板と、
前記第1の基板と第2の基板の間に配置されたコレステリック液晶材料であって、前記コレステリック液晶材料が、前記屈折率と概ね等しい平均屈折率、および前記屈折率の前記第1の分散と概ね等しい前記平均屈折率の第2の分散を持つコレステリック液晶材料と、
前記コレステリック液晶材料に面する前記第1の基板の側に配置された連続電極と、
前記コレステリック液晶材料に面する前記第2の基板の側に配置された1つ以上の電極と
を含む電気活性素子。
【請求項25】
前記コレステリック液晶材料が、ネマチック液晶およびカイラルドープ剤から構成される請求項24の電気活性素子。
【請求項26】
前記ネマチック液晶が、およそ0.20以上の複屈折率を持ち、前記カイラルドープ剤がおよそ1.1以上の大きさのヘリカルツイスト力を持つ請求項25の電気活性素子。
【請求項27】
前記ネマチック液晶が、BL036、BL037、BL038、BL087、BL093、BL111、TL213、TL216、E7、E63、MLC-6621-000、MLC-6621-100、ZLI-5049-000およびZLI-5049-100からなる群より選択される請求項25の電気活性素子。
【請求項28】
前記カイラルドープ剤が、C15、CB15、ZLI-811、ZLI-3786、ZLI-4571、ZLI-4572、MLC-6247およびMLC-6248からなる群より選択される請求項25の電気活性素子。
【請求項29】
前記コレステリック液晶材料が、およそ10重量%以下のZLI-4571を持つ請求項25の電気活性素子。
【請求項30】
前記コレステリック液晶材料が、およそ0.10μm以上のツイストピッチを持つ請求項25の電気活性素子。
【請求項31】
前記第1の基板が、表面レリーフ光学子である請求項24の電気活性素子。
【請求項32】
前記第1の基板が、表面レリーフ屈折性光学子である請求項31の電気活性素子。
【請求項33】
前記第1の基板が、領域高さを持つ表面レリーフ回折性光学子である請求項31の電気活性素子。
【請求項34】
前記領域高さが、前記屈折率と前記コレステリック液晶材料の常屈折率との差で除された前記電気活性素子の動作波長と概ね等しい、請求項33の電気活性素子。
【請求項35】
前記電気活性素子が、不活性化状態においておよそ10%未満の回折効率を持つ請求項33の電気活性素子。
【請求項36】
前記電気活性素子が、不活性化状態においておよそ5%未満の回折効率を持つ請求項35の電気活性素子。
【請求項37】
前記1つ以上の電極がパターン化されている請求項24の電気活性素子。
【請求項38】
前記1つ以上の電極がピクセル化されている請求項24の電気活性素子。
【請求項39】
前記電気活性素子が活性化状態においておよそ90%超の回折効率を持つ請求項24の電気活性素子。
【請求項40】
ベースレンズ、および
前記ベースレンズと光学的に連通する電気活性レンズであって、
屈折率および前記屈折率の第1の分散を持つ第1の基板と、
前記屈折率および前記屈折率の前記第1の分散を持つ第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置されたコレステリック液晶材料であって、前記コレステリック液晶材料が、前記屈折率と概ね等しい平均屈折率、および前記屈折率の前記第1の分散に概ね等しい前記平均屈折率の第2の分散を持つコレステリック液晶材料と、
前記コレステリック液晶材料に面する前記第1の基板の側に配置された連続電極と、
前記コレステリック液晶材料に面する前記第2の基板の側に配置された1つ以上の電極と
を含む電気活性レンズ
を備える電気活性レンズ。
【請求項41】
前記コレステリック液晶材料が、ネマチック液晶およびカイラルドープ剤から構成される請求項40の電気活性レンズ。
【請求項42】
前記ネマチック液晶がおよそ0.20以上の複屈折率を持ち、前記カイラルドープ剤がおよそ1.1以上の大きさのヘリカルツイスト力を持つ請求項41の電気活性レンズ。
【請求項43】
前記ネマチック液晶が、BL036、BL037、BL038、BL087、BL093、BL111、TL213、TL216、E7、E63、MLC-6621-000、MLC-6621-100、ZLI-5049-000およびZLI-5049-100からなる群より選択される請求項41の電気活性レンズ。
【請求項44】
前記カイラルドーパントがC15、CB15、ZLI-811、ZLI-3786、ZLI-4571、ZLI-4572、MLC-6247およびMLC-6248からなる群より選択される請求項41の電気活性レンズ。
【請求項45】
前記コレステリック液晶材料が、およそ10重量%以下のZLI-4571を持つ請求項41の電気活性レンズ。
【請求項46】
前記コレステリック液晶材料が、およそ0.10 μm以上のツイストピッチを持つ請求項41の電気活性レンズ。
【請求項47】
前記第1の基板が表面レリーフ光学子である請求項40の電気活性レンズ。
【請求項48】
前記第1の基板が表面レリーフ屈折性光学子である請求項47の電気活性レンズ。
【請求項49】
前記第1の基板が領域高さを持った表面レリーフ回折性光学子である請求項47の電気活性レンズ。
【請求項50】
前記領域高さが、前記屈折率と前記コレステリック液晶材料の常屈折率との差で除された電気活性素子の動作波長に概ね等しい請求項49の電気活性レンズ。
【請求項51】
前記電気活性素子が、不活性化状態においておよそ10%未満の回折効率を持つ請求項49の電気活性レンズ。
【請求項52】
前記電気活性素子が、不活性化状態においておよそ5%未満の回折効率を持つ請求項51の電気活性レンズ。
【請求項53】
前記1つ以上の電極がパターン化されている請求項40の電気活性レンズ。
【請求項54】
前記1つ以上の電極がピクセル化されている請求項40の電気活性レンズ。
【請求項55】
前記電気活性素子が、活性化状態においておよそ90%超の回折効率を持つ請求項40の電気活性レンズ。
【請求項56】
前記ベースレンズが、仕上げられたレンズブランク、半仕上げされたレンズブランク、仕上げられていないレンズブランク、単焦点レンズ、および多焦点レンズからなる群より選択される請求項40の電気活性レンズ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−517082(P2010−517082A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546578(P2009−546578)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/051709
【国際公開番号】WO2008/091896
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(508366570)ピクセルオプティクス, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】