説明

コレステロール低下用組成物

【課題】フトモモ科ミルキア属の植物、特にペドラ・ウメ・カアの新たな作用を明らかにする。
【解決手段】フトモモ科ミルキア属の植物またはその抽出物を有効成分とするコレステロール低下用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコレステロール低下用組成物と3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-コエンザイムA (HMG-CoA)還元酵素阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
フトモモ科ミルキア属の植物であるペドラ・ウメ・カアは、糖尿病に広く用いられ、植物インスリンの俗称があり、樹皮又は葉を茶剤又は煎剤として摂取することが知られている。また、アルドース還元酵素阻害作用(非特許文献1)、活性酸素消去作用(特許文献1)が知られている。
【特許文献1】特開2000−143482
【非特許文献1】ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレタン(Chem Pharm Bull (Tokyo)). 1998 Jan;46(1):113-9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、フトモモ科ミルキア属の植物、特にペドラ・ウメ・カアの新たな作用を明らかにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、フトモモ科ミルキア属の植物1種であるペドラ・ウメ・カアの薬理作用について検討した結果、この植物またはその抽出物が、HMG-CoA還元酵素の阻害作用を有し、コレステロールの低下、動脈硬化の予防、さらには、循環器疾患(脳梗塞、心筋梗塞、脳卒中)や肝臓疾患(脂肪肝、肝硬変、肝がん)の予防ないし治療効果を有することを見出した。
【0005】
本発明は、以下のコレステロール低下用組成物とHMG-CoA還元酵素阻害剤を提供するものである。
1. フトモモ科ミルキア属の植物またはその抽出物を有効成分とするコレステロール低下用組成物。
2. フトモモ科ミルキア属の植物がペドラ・ウメ・カアである、項1に記載の組成物。
3. 前記抽出物が水抽出物である、項1または2に記載の組成物。
4. 高コレステロール症の予防または治療用である項1〜3のいずれかに記載の組成物。
5. コレステロール低下を目的とする食品または経口医薬品である項1〜4のいずれかに記載の組成物。
6. フトモモ科ミルキア属の植物またはその抽出物を有効成分とするHMG-CoA還元酵素阻害剤。
7. フトモモ科ミルキア属の植物がペドラ・ウメ・カアである、項6に記載のHMG-CoA還元酵素阻害剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明において使用されるフトモモ科ミルキア属の植物またはその抽出物、例えばペドラ・ウメ・カアまたはその抽出物は、原産地ブラジルで茶剤又は煎剤として摂取されている安全性の高い素材である。この素材のコレステロール低下作用とHMG-CoA還元酵素阻害作用が明らかにされたことで、安全なコレステロール低下用組成物とHMG-CoA還元酵素阻害剤が提供できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、コレステロール低下作用、HMG-CoA還元酵素阻害作用を有する有効成分は、フトモモ科ミルキア属の植物に由来し、これら植物の抽出物が好ましく使用される。
【0008】
フトモモ科ミルキア属の植物としては、ペドラ・ウメ・カア、ムルタ・カベルーダ、マピシー、ゴヤベイラ・ブラーヴァ、ピタンガ・ミウーダなどが挙げられ、好ましくはペドラ・ウメ・カアが例示される。
【0009】
ペドラ・ウメ・カア(学名:Myrcia multiflora(Lam.) DC., Myrcia sphaerocarpa DC., Eugenia multiflora Lam., Aulomyrcia sphaerocarpa (DC.) O.Berg, Aulomyrcia caerulescens O.Berg, Aulomyrcia perforata O.Bergなどとしても知られている)は、フトモモ科ミルキア属に属し、南米に分布する亜高木である。南米ではカンブイーとも呼ばれ、また、発音による表記の違いでペドラ・ウマ・カア、ペドラ・ウメカ、カンブイなど表記されることがあるが、これらは同一の植物を指し、糖尿病の予防または治療に広く用いられている。
【0010】
本発明で使用するフトモモ科ミルキア属の植物(例えばペドラ・ウメ・カア)の抽出物とは、該植物の葉、樹皮(茎ないし幹)、樹皮、花、実、根等の植物体の一部又は全草/全植物体から抽出して得られるものである。植物がペドラ・ウメ・カアの場合、好ましくは葉、樹皮からの抽出物が好ましく例示される。抽出物の製造方法は特に限定されず、例えば、適当な抽出溶媒を用いて常温ないし加熱抽出したものが例示される。抽出溶媒としては、例えば、水、含水アルコール(例えば含水エタノール)、炭素数1〜4の低級アルコール(例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール)、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、多価アルコール(エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサンなどの有機溶媒が挙げられる。好ましくは、水、含水溶媒、或いは水混和性溶媒であり、特に好ましくは、水、エタノール、含水エタノールが挙げられる。これらの溶媒は単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0011】
植物抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過等の処理をして用いてもよく、抽出液を蒸発乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物(粉末)として用いても良い。
【0012】
本発明の組成物は、食品または経口医薬品として摂取されるのが好ましい。このような製剤としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、ドリンク剤、液剤、シロップ剤、チュアブル剤、トローチ剤などが挙げられる。
【0013】
本発明の組成物は、抽出物の固形分として1日当たり好ましくは0.001g〜10g、より好ましくは0.01〜1g、さらに好ましくは0.03g〜0.3gを摂取することで、血中のコレステロール低下作用、HMG-CoA還元酵素阻害作用などを発揮することができる。
【0014】
本発明の組成物を摂取する対象としては、ヒト、ネコ、イヌなどのペット、ウシ、ブタ、ニワトリ、ウマなどの家畜、マウス、ラット、ウサギ、サルなどの哺乳類が好ましく例示される。
【0015】
抽出は、例えば植物(葉、樹皮など)0.1gから100gに対し溶媒を1Lの割合で使用し低温抽出ないし高温抽出を行なえばよい。抽出時間は特に限定されず、短時間でも長時間でもよい。
実施例
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
ペドラ・ウメ・カアの熱水抽出物の作製
(i)ペドラ・ウメ・カアの乾燥葉(5g)に190 mLの水を加え、30分加熱し、熱水抽出した。
(ii)熱時、自然ろ過し(ろ紙No.1 アドバンティック社)、抽出液を得た。
(iii)その抽出液を凍結乾燥し、熱水抽出物(0.46g)を得た。ぺドラ・ウメ・カアの乾燥葉に対する収率は9.2%であった。
HMG-CoA還元酵素活性測定
(i)ウィスターラット肝臓由来のHMG-CoA還元酵素を用いた。
(ii)100mMリン酸緩衝液(pH 7.5、8mM グルコース-6-リン酸(G-6-P)、1mM ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADP)、4mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2mM ジチオスレイトール(DTT)、0.6 U グルコース-6-リン酸-デヒドロゲナーゼ(G-6-PDH)を含む)を80μL分注し、10μLの酵素(28.4 μg/mL)を加え、37℃15分間インキュベーションした。
(iii) (ii)に基質[14C]HMG-CoAを10μL加え、全量100μLとした(反応液A)。
(iv)参考例にて作製した抽出物を、最終試験濃度がそれぞれ約60μg/mL、6μg/mL、0.6μg/mL、0.06μg/mLとなるよう反応液Aに添加した。
(v)反応液に基質2.5μM[14C]HMG-CoAを添加することにより反応を開始し、さらに15分間反応させた。1N のHCl(塩酸)の5μLを加えることにより終了させた。
(vi) [14C]メバロン酸の量を液体シンチレーションカウンタ(Liquid scintillation counter, Wallac DSA, 1409)を用いて測定した。
(vii)酵素無添加、基質無添加をブランク(0)とし、酵素添加、基質添加、サンプル無添加を100%としてサンプル添加時の酵素活性を測定し、HMG−CoA還元酵素の阻害活性を%で示した。尚、測定は各々2回行い、その平均値を用いた。またポジティブコントロールにはロバスタチンを用いた。
(viii)測定値から50%阻害活性を示す濃度IC50を求めた。
【0017】
結果を表1、表2、図1、図2に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
【表2】

[実施例1]
【0020】
茶葉
ペドラ・ウメ・カアの葉を必要に応じて滅菌加工をした後、短冊状、刻み状、粉末あるいは顆粒に粉砕加工した後、大袋、ティーパック、スティックあるいは三方シールに充填し包装した。また、滅菌処理後に焙煎工程を加えてもよい。
[実施例2]
【0021】
錠剤
ペドラ・ウメ・カアのエキス300.0kg
乳糖150.0kg
澱粉30.0kg
予めゲル化したとうもろこし澱粉 15.0kg
ステアリン酸マグネシウム 1.0kg
まず、ペドラ・ウメ・カアのエキスを乳糖、澱粉及び予めゲル化したとうもろこし澱粉と混合した後、精製水を適当量添加して顆粒化させた。この顆粒を乾燥した後、ステアリン酸マグネシウムと混合し、約1,000,000粒の錠剤を得た。
[実施例3]
【0022】
茶飲料
ペドラ・ウメ・カア茶葉100gを70℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した後、濾紙を用いて濾過し、2600gのペドラ・ウメ・カア茶抽出液を得た。この抽出液をイオン交換水で希釈し、L−アスコルビン酸を1000gあたり0.3g加え、炭酸水素ナトリウムを加えてpHを6に調整し、茶飲料調合液を得た。この茶飲料調合液をペットボトルに500mlずつ80℃で充填して密封し、茶飲料を製造した。
[実施例4]
【0023】
ソフトカプセル
実施例3と同様にして得たペドラ・ウメ・カアの抽出液を蒸発乾固してエタノールに溶解し、このエタノール溶液に中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)であるアクターM−2(理研ビタミン(株):脂肪酸組成はC8:C10=99:1)を混合し、約80℃に保温しながら約1時間撹拌した後、減圧濃縮によりエタノールを除去した。吸引濾過により不溶分を分離して、油脂含有組成物を得た。得られた組成物を常法によりゼラチン皮膜に圧入してソフトカプセルを得た。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ペドラ・ウメ・カアのHMG-CoA還元酵素阻害活性の測定結果を示す。
【図2】ロバスタチンのHMG-CoA還元酵素阻害活性の測定結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フトモモ科ミルキア属の植物またはその抽出物を有効成分とするコレステロール低下用組成物。
【請求項2】
フトモモ科ミルキア属の植物がペドラ・ウメ・カアである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抽出物が水抽出物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
高コレステロール症の予防または治療用である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
コレステロール低下を目的とする食品または経口医薬品である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
フトモモ科ミルキア属の植物またはその抽出物を有効成分とする3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-コエンザイムA(HMG-CoA)還元酵素阻害剤。
【請求項7】
フトモモ科ミルキア属の植物がペドラ・ウメ・カアである、請求項6に記載のHMG-CoA還元酵素阻害剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−297230(P2008−297230A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143614(P2007−143614)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(598162665)株式会社山田養蜂場本社 (32)
【Fターム(参考)】