説明

コレステロール定量用試料の前処理方法およびこれを利用する特定のリポ蛋白中のコレステロール定量法

【課題】 基本的にポリアニオン等を必須とせず、簡便な操作で正確に、かつ効率よく特定画分中のコレステロールを定量する事ができ、種々の自動分析装置に好適に使用される方法を提供すること。

【解決手段】 試料中の特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールを測定するに先立ち、リポ蛋白を含む試料に遊離型コレステロールを基質とする酵素および必要により反応促進物質を作用させることを特徴とするコレステロール定量用試料の前処理方法およびこれを利用する特定のリポ蛋白中のコレステロール定量法並びにこの定量法に用いられる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少ない試料で簡便な操作により、正確に、効率良く特定画分に存在するコレステロールを分離定量するための前処理方法およびこれを用いる特定画分中のコレステロール測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステロール等の脂質は、血中においてアポ蛋白と共にリポ蛋白質を形成している。このリポ蛋白質は物理的な性状の違いにより、カイロミクロン、超低比重リポ蛋白(VLDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、高比重リポ蛋白(HDL)等に分類される。これらのリポ蛋白のうち、LDLは動脈硬化を引き起こす原因物質の一つであり、一方、HDLは抗動脈硬化作用を示す事が知られている。
【0003】
すなわち、疫学的にいえば、LDL中のコレステロール値は、動脈硬化性疾患の発症頻度と正相関を示し、一方、HDL中のコレステロール値は動脈硬化性疾患の発症頻度と逆相関を示す事が知られている。従って、今日では、虚血性心疾患の予防や診断を目的としてLDL中やHDL中のコレステロールの測定が広く行われている。
【0004】
このLDLやHDL中のコレステロールの測定法としては、たとえば超遠心分離によってLDLやHDLを、他のリポ蛋白と分離した後、コレステロール測定に供する方法や、電気泳動によって分離した後に脂質の染色を行って、その発色強度を測定する方法が知られている。しかしながら、これらの方法は、いずれも、操作が煩雑であったり、多数の検体を処理できないなどの問題があり、日常的にほとんど用いられていない。
【0005】
現在、HDL中のコレステロールの測定方法として、臨床検査の領域で用いられている方法には、検体に沈澱剤を加えてHDL以外のリポ蛋白を凝集させ、これを遠心分離によって取り除き、分離されたHDLのみを含む上清中のコレステロールを測定する沈澱法がある。この方法は、超遠心法や電気泳動法に比較して簡便であるものの、沈澱剤を加えて分離する操作を含むために、比較的多量の検体量を要し、また、分析誤差を生じる可能性も高く、全分析工程を完全に自動化する事はできなかった。
【0006】
一方、酵素的にHDL中のコレステロールを分別定量する方法も検討されている。たとえば、胆汁酸塩及び非イオン系界面活性剤の存在下に、酵素反応を行う方法(特開昭63−126498号)が知られている。この方法は、反応初期の酵素反応はLDL中のコレステロール濃度に比例し、その後の反応速度はHDL中のコレステロール濃度に比例する事を利用したものであるが、HDL中のコレステロールと他のリポ蛋白中のコレステロールの反応を完全に分別する事はできず、正確性に問題があった。
【0007】
また、HDL以外のリポ蛋白をあらかじめ凝集させておき、HDL中のコレステロールのみを酵素的に反応させた後に、酵素を失活させると同時に凝集を再溶解して吸光度を測定するという方法(特開平6−242110号)が知られている。しかしながら、この方法は少なくとも3回の試薬を添加する操作が必要であるため、限定された自動分析装置にしか適用できず、汎用性の点で問題があった。また、沈澱の再溶解に際しては、高濃度の塩を使う等、分析器機に対するダメージや試薬廃棄の点でも満足できるものではなかった。
【0008】
更に第一反応中に、特殊な界面活性剤の存在下でコレステロールオキシダーゼ及びコレステロールエステラーゼをHDL以外のリポ蛋白に作用させ、これらに含まれるコレステロールを優先的に作用させたのち、HDL以外のコレステロールに対する反応を抑制しながらHDL中のコレステロールを測定する方法(特開平9−299号)も知られているが、第一反応中でHDL以外のリポ蛋白の遊離型及びエステル型コレステロールの両方を反応系外に導くための特殊な界面活性剤とコレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼを同時に必要とする点などで本発明と大きく異なっている。
【0009】
更にまた、特許第2600065号では、HDL以外のリポ蛋白を沈澱させる沈澱試薬とコレステロール測定試薬を組み合わせて使用し、沈澱しないHDL中のコレステロール(HDL−C)を測定する方法が開示されるが、実際には修飾した酵素と硫酸化α−シクロデキストリンを沈澱剤として用いる場合に実施可能性がある方法であり、また沈殿剤の効果によって生じる濁りが測定系に妨害を与えてしまうなど、精度の点でも問題のある測定法であった。
【0010】
上記の特許方法についての論文発表とされる「生物試料分析」、第19巻、第5号の第305頁から第320頁では、修飾酵素によるHDL−Cの測定について、修飾酵素を反応系に導入するだけではプラス誤差を与える(沈殿法に比べ、高い値が出る)ため、高脂血症患者血清中のHDL−Cは測定できないことを認めた上で、これをさけるためにポリアニオンの1種である硫酸化シクロデキストリンと塩化マグネシウムを沈殿剤として用い、HDL−Cを測定したことを報告している。
【0011】
上記特許方法の沈澱剤によって生ずる濁りの影響を軽減するために界面活性剤を共存させる(特開平8−116996号)技術や、抗体を使用する(特開平9−96637号)、糖化合物を使用する(特開平7−301636号)等の技術もあるが、これらはいずれも凝集生成を引き起こす試薬が含まれることを条件とするものであり、基本的にポリアニオン等の沈殿剤の使用はさけられないものであった。
【0012】
最近本発明者らは、特定のリポ蛋白のみに作用する物質を利用することにより、沈殿剤を使用しなくても特定画分中のコレステロールを正確に定量しうることを見いだし、特許出願した(特願平9−244821号)。この方法は、従来の沈殿法とは極めて相関性が高いものであるが、沈殿法との測定値の関係では、上記「生物試料分析」で報告されたのと同様な傾向が認められており、医療機関などで従来の沈殿法と継続したデータを得るために、ポリアニオン等が添加されていた。
【0013】
しかしながら、ポリアニオン等を加え、測定系中に沈殿を生じさせることは、セルの汚れ等の問題や、測定値のばらつきの関係から望ましいものでなく、系中からの沈殿物の追放が強く求められていた。更に、測定原理上は不必要なポリアニオン等を、データを一致させるためだけに用いることは経済的にも不合理なことであり、その解決も求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は基本的にポリアニオン等を必須とせず、簡便な操作で正確に、かつ効率よく特定画分中のコレステロールを定量する事ができ、種々の自動分析装置に好適に使用される方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者等は、前記「生物試料分析」中で報告された、HDL等の特定のリポ蛋白のみに作用する物質を利用した特定画分中のコレステロールの定量値が沈殿法の値より高くでる原因について追求していたところ、測定されるべきでないHDL画分以外のリポ蛋白(LDL、VLDL等)からも表面ないしその極近傍に存在する少量の遊離型コレステロールが引き出され、これが正誤差を生じる原因であるとの結論を得た。そして、この知見に基づき、リポ蛋白が実質的に変化しない条件で遊離型コレステロールのみを予め消費してからコレステロール値を測定すれば、特定のリポ蛋白のみに作用する物質を利用した定量法の値と沈殿法での値が一致することを見いだし、本発明を完成した。
【0016】
すなわち本発明は、試料中の特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールを測定するに先立ち、リポ蛋白を含む試料に遊離型コレステロールを基質とする酵素を作用させることを特徴とするコレステロール定量用試料の前処理方法を提供するものである。
【0017】
また本発明は、リポ蛋白を含む試料に遊離型コレステロールを基質とする酵素を作用させた後、特定のリポ蛋白のみに作用する物質を利用して特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールを測定することを特徴とする特定のリポ蛋白コレステロール定量法を提供するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遠心分離などの機械的前処理はもちろん、ポリアニオン等を用いることなく、簡便な操作で効率良く特定画分中のコレステロールを定量することが可能となる。そして、ポリアニオン等での沈殿を生じることがないので、測定装置(特にセル)等が汚れることがなく、また、測定値のばらつきも生じないないので、従来のコレステロール測定方法に比べ優れたものである。
【0019】
また、後記実施例に示すように、中性脂肪レベルが高い検体についても従来の沈殿法と相関の高い測定値が得られるものであり、試料を選ばない点でも優れたものである。
【0020】
更に、反応促進剤を使用した場合は、前処理での遊離型コレステロールを基質とする酵素の使用量を少なくすることが可能となる。
【0021】
このように、本発明方法は少ない試料で、簡便な操作により、広い範囲の試料について正確で、かつ特異的な測定が可能であるため、種々の自動分析装置に適用でき、臨床検査の領域に置いても極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1における本発明と沈殿法の相関関係を示す図面。
【図2】実施例2における本発明と沈殿法の相関関係を示す図面。
【図3】実施例5における反応促進物質の効果を示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明においては、試料中の特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールを測定するに先立ち、まず前処理として試料に遊離型コレステロールを基質とする酵素を作用させ、遊離型コレステロールを消費する。
【0024】
遊離型コレステロールを基質とする酵素としては、例えばコレステロールデヒドロナゲーゼ、コレステロールオキシダーゼなど遊離型コレステロールを基質とするものならばいずれでも差し支えない。これらは、微生物由来、動物由来、植物由来など、いずれでも、また遺伝子操作により作られたものでも良い。また化学修飾の有無も問わない。上記酵素は、一般的には0.001単位〜100単位/mlで、好ましくは0.1単位〜100単位/mlで使用される。
【0025】
試料に上記遊離型コレステロールを基質とする酵素を作用させるための条件は、特に制約はなく、当該酵素について推奨される条件でよい。しかしながら、試料に遊離型コレステロールを基質とする酵素を作用させる段階において、エステル型コレステロールを遊離型コレステロールに変換する反応が生じないように注意する必要がある。すなわち、コレステロールエステラーゼの有無は問題ではないが、これを実質的に作用せしめない条件を維持する必要がある。
【0026】
前記の遊離型コレステロールを基質とする酵素は必要に応じて、補酵素を使用することができ、補酵素としてはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドなどが使用できる。これらの酵素は、単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いる事ができ、またその使用量は酵素によって異なり、特に制限されるものではないが0.001単位〜100単位/mlで、好ましくは0.1単位〜100単位/mlで使用される。
【0027】
本発明において使用される遊離型コレステロールを基質とする酵素は、前記のようにその由来についての制約はなく、濃度などは所望の性能、操作性を満たすように適宜選択できる。従って、例えば一定の時間内に前処理を完了させるためには、酵素を増量すれば良いし、逆に、酵素を節約したいなら、前処理時間を延長すれば良い。
【0028】
しかしながら、自動分析機での測定を前提とした検査薬の場合には、両方を同時に満たすことが要望される。すなわち、少量の酵素の利用で短時間に前処理を完了させることが求められる場合である。このような場合、以下の群から選ばれる反応促進物質を共存させることで、遊離型コレステロールを基質とする酵素を使用する前処理において、前処理の時間を延長することなく、酵素量を低減し、所望の性能を得ることが可能である。
【0029】
上記の目的のために利用される反応促進物質としては、例えば、フルフェナム酸、メフェナム酸、2,2',6',2"−テルピリジン、チグリン酸、フシジン酸、酢酸ベータメタゾン、モネンシン、メビノリン等(反応促進物質の塩あるいは反応促進物質の金属誘導体(アルミニウム誘導体等)が存在するものはそれらも同様)が挙げられる。このうち、フルフェナム酸およびメフェナム酸は、非ステロイド系抗炎症剤、フシジン酸およびモネンシンは抗生物質として知られている物質である。
【0030】
これら化合物の反応促進物質としての使用に当たっては、それぞれの物性や、測定系のpH、イオン強度、混在物の種類、濃度などを考慮し、濃度等を適宜選択することが必要である。
【0031】
反応促進剤の使用濃度は、測定系の条件に合わせ実験的に決めることが可能であるが、一般的には、フルフェナム酸の場合は、0.01〜100mM程度、フシジン酸の場合は、0.01〜10mM程度、メフェナム酸、2,2',6',2"−テルピリジン、酢酸ベータメタゾンの場合は、0.01〜5mM程度、モネンシン、メビノリンの場合は、0.01〜1mM程度、チグリン酸の場合は、1〜500mM程度で使用すればよい。
【0032】
上記の反応促進剤を利用することにより、遊離型コレステロールを基質とする酵素の使用量を数分の一ないし数十分の一にすることが可能となる。また、同じ酵素量で反応時間を短縮することも可能となる。
【0033】
上記の遊離型コレステロールを基質とする酵素(および必要な場合は反応促進剤)による前処理においては、更に測定の特異性を損なわず酵素の作用を調整する目的で、また、特定のリポ蛋白の凝集を生じない範囲で、他の酵素(リポ蛋白に実質的に影響を与えるものを除く)や塩、pH調整のための緩衝剤、界面活性剤(リポ蛋白に実質的に影響を与えるものを除く)、防腐剤、アルブミンなどの蛋白質類、抗体、抗生物質、サポニン、レクチン、ポリアニオンなど特定のリポ蛋白に親和性を有する試薬を使用することもできる。
【0034】
従って、本発明において、試料中の特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールを測定するための前処理剤として、次のような構成成分を含んだものを利用することができる。
【0035】
(必須成分)
例えばコレステロールデヒドロナゲーゼ、コレステロールオキシダーゼな
どの遊離型コレステロールを基質とする酵素。
(任意成分)
例えば、フルフェナム酸、メフェナム酸、2,2',6',2"−テルピリジン
、チグリン酸、フシジン酸、酢酸ベータメタゾン、モネンシン、メビノリ
ン等の反応促進物質。
(その他成分)
例えばNAD等の補酵素、パーオキシダーゼ、カタラーゼ、ジアホラーゼ
、アスコルビン酸酸化酵素などの他の酵素、ピルビン酸などの酸、塩、p
H調整のための緩衝剤、リポ蛋白に実質的に影響を与えない界面活性剤、
防腐剤、アルブミンなどの蛋白質類、抗体、抗生物質、サポニン、レクチ
ン、ポリアニオン、4−アミノアンチピリン等のカップラー、トリンダー
試薬等の水素供与体など酸化系発色試薬類、フェナジンメトサルフェート
等の電子受容体類、ニトロブルーテトラゾリウム等の還元系発色試薬類。
【0036】
本発明においては、上記前処理によりリポ蛋白中の遊離型コレステロールを消費させた後、試料中の特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールを測定する。
【0037】
試料中の特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールを測定する方法としては、特定のリポ蛋白のみに作用する物質を利用して当該リポ蛋白中に存在するコレステロールを測定することができる方法であれば何れの方法をも利用することができる。
【0038】
その方法の一例としては、例えば、特開平11−56395号に開示のポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルから選ばれる界面活性剤を特定のリポ蛋白のみに作用する物質とし、その存在下、コレステロール測定用酵素試薬を添加し、リポ蛋白のうち、高比重リポ蛋白中のコレステロールが優先的にコレステロール測定用酵素試薬と反応する時間内にそのコレステロールの反応量を測定する方法が挙げられる。
【0039】
このうち前者のポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテルの市販品の例としてはエマルゲンA−60(花王社製)などが、後者のポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルの市販品の例としてはエマルゲンB66(花王社製)等があげられる。
【0040】
更に、別の方法としては、生物試料分析、第19巻、第5号の第305頁から第320頁に開示の修飾酵素を、特定のリポ蛋白のみに作用する物質として用いる方法が挙げられる。この文献の方法では、HDL以外のリポ蛋白画分の反応を抑制するために硫酸化α−シクロデキストリンと塩化マグネシウムを用いているが、本発明の前処理方法を利用すればこれらを使用する必要はなくなる。
【0041】
特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールを測定する方法は、特定のリポ蛋白のみに作用する物質を利用する以外は、通常のコレステロールの測定方法に用いる試薬により実施することができる。用いられる試薬に含まれる成分としては、例えば、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、イソクエン酸デヒドロゲーゼ、ジアホラーゼ、パーオキシダーゼなどの酵素類、発色剤、補酵素、電子受容体、蛋白質(アルブミン等)、防腐剤、界面活性剤、塩、酸、pH調整のための緩衝剤等が挙げられる。
【0042】
上記成分のうち、界面活性剤としては、イオン性、非イオン性のいずれのものも使用することができ、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、胆汁酸類等が挙げられる。この界面活性剤の使用量は化合物によって異なり、特に制限されるものではないが0.0001%〜5%で、好ましくは0.001%〜5%で使用される。
【0043】
また、緩衝剤としては、特に制約なく、グッドの緩衝剤、りん酸、トリス、フタル酸塩など一般的なものを使用できる。また、その使用量も特に制限させるものではないが0.005M〜2M、好ましくは0.01〜1Mで使用される。
【0044】
本発明により特定のリポ蛋白画分中のコレステロールを定量する方法は、典型的には、まず測定試料中に遊離型コレステロールのみに作用する前処理剤を添加作用させた後に、特定のリポ蛋白のみに作用する物質と通常のコレステロールの測定方法に用いる試薬を含むコレステロール定量試薬(以下、「定量試薬」という)を添加混合して特定リポ蛋白画分中のコレステロール量を測定する方法である。
【0045】
その具体的な例としては、検体にコレステロールデヒドロゲナーゼと補酵素(NAD)を混和し、ついでコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼなどを含有するコレステロール測定試薬を添加する方法、検体にコレステロールデヒドロゲナーゼとNADを混和し、ついでコレステロールエステラーゼなどを含有するコレステロール測定試薬を添加する方法、検体とコレステロールオキシダーゼをパーオキシダーゼ、4−アミノアンチピリンあるいはカタラーゼなどと共に混合したのちコレステロールエステラーゼなどを含有するコレステロール測定試薬を添加する方法、検体とコレステロールオキシダーゼをパーオキシダーゼ、4−アミノアンチピリンなどと共に混合したのちコレステロールエステラーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、NADなどを含有するコレステロール測定試薬を添加する方法などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
特定のリポ蛋白画分中のコレステロールを測定する方法としては、公知の酵素的測定法のいずれも用いる事ができるが、例えば酵素試薬としてコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを組み合わせて用いる方法、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールデヒドロゲナーゼを組み合わせて用いる方法等が挙げられる。
【0047】
本発明においては、前処理反応である第一反応に使用される酵素と、定量方法である第二反応のコレステロール測定に使用される酵素は、同一でもまた異なっていても差し支えない。また第一反応において、過剰量の酵素を使用しこれを第二反応に使用しても差し支えない。要は、リポ蛋白表面に存在する少量の遊離型コレステロールを消費し(第一反応/前処理反応)、次いで測定すべき特定のリポ蛋白のみに酵素が作用する状態として当該リポ蛋白を構成する大部分のコレステロール(遊離型コレステロール+エステル型コレステロール)を定量できるようにすればよいのである。
【0048】
また、これらのコレステロール測定用酵素試薬を添加した後、最終的にコレステロールを検出する方法は特に制限されず、例えばパーオキシダーゼと色原体や、ジアホラーゼあるいは電子受容体と還元系発色試薬をさらに組み合わせて行う吸光度分析、補酵素や過酸化水素を直接検出する方法なども利用することができる。補酵素は補酵素サイクリング系により増幅しても良い。
【0049】
本発明方法を容易に実施するためには、これに適した特定のリポ蛋白中のコレステロールを測定するための定量用キットを用いることが好ましい。
このようなキットは、上での説明に基づき容易に設計することができるが、その例を、遊離型コレステロールを基質とする酵素の代表としてコレステロールオキシダーゼを用いる場合と、コレステロールデヒドロゲナーゼを用いる場合に分けて示せば次の通りである。
【0050】
[コレステロールオキシダーゼの場合のキット]
(イ)次の試薬(1)および(2)
(1)コレステロールオキシダーゼおよび過酸化水素消費物質(場合によって
更に反応促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質、コレステロールエステラーゼおよ
び発色剤を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
(ロ)次の試薬(1)および(2)
(1)コレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼおよび過酸
化水素消費物質(場合によって更に反応促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質および発色剤を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
(ハ)次の試薬(1)、(2)および(3)
(1)コレステロールオキシダーゼおよび過酸化水素消費物質(場合によって
更に反応促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質を含む第2試薬、
(3)コレステロールエステラーゼおよび発色剤を含む第3試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【0051】
上記キットにおいて、過酸化水素消費物質とは、コレステロールオキシダーゼとコレステロールの反応により生じる過酸化水素を消費し、消失させる物質をいい、その例としては、カタラーゼ、4−アミノアンチピリン等のカップラー、トリンダー試薬等の水素供与体を含む酸化還元系発色試薬などが挙げられる。
【0052】
このうち、4−アミノアンチピリン等のカップラーおよびトリンダー試薬等の水素供与体はこれらを組み合わせ、過酸化水素と反応させることにより発色するものであり、上記の(2)または(3)の発色剤として用いられるものである。
しかし、本発明の前処理工程で用いる試薬(1)としては、カップラーまたは水素供与体の一方のみを用い、非発色反応で過酸化水素を消費させることが好ましい。もちろん、発色反応させ、測定値の方で調整することも可能である(試薬(1)での発色値を、試薬(2)または試薬(3)の発色値から差し引くことにより調整できる)。
【0053】
[コレステロールデヒドロゲナーゼの場合のキット]
(ニ)次の試薬(1)および(2)
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼおよび補酵素(場合によって更に反応
促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質およびコレステロールエステラーゼ
を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
(ホ)次の試薬(1)および(2)
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼおよび補酵素(場合によって更に反応
促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質、コレステロールオキシダーゼ、コ
レステロールエステラーゼ、パーオキシダーゼおよび発色剤を含む第2
試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
(ヘ)次の試薬(1)および(2)
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼ、補酵素およびコレステロールエステ
ラーゼ(場合によって更に反応促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
(ト)次の試薬(1)および(2)
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼ、補酵素およびコレステロールエステ
ラーゼ(場合によって更に反応促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質、コレステロールオキシダーゼ、パ
ーオキシダーゼおよび発色剤を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
(チ)次の試薬(1)、(2)および(3)
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼおよび補酵素(場合によって更に反応
促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質を含む第2試薬、
(3)コレステロールエステラーゼを含む第3試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
(リ)次の試薬(1)、(2)および(3)
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼおよび補酵素(場合によって更に反応
促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質を含む第2試薬、
(3)コレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼ、パーオキ
シダーゼおよび発色剤を含む第3試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
(ヌ)次の試薬(1)および(2)
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼ、補酵素および補酵素反応生成物消費
物質(場合によって更に反応促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質およびコレステロールエステラーゼ
を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
(ル)次の試薬(1)および(2)
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼ、補酵素および補酵素反応生成物消費
物質(場合によって更に反応促進物質)を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質、コレステロールエステラーゼおよ
び発色剤を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【0054】
上記のコレステロールデヒドロゲナーゼを用いるキットにおいて、補酵素反応生成物消費物質とは、コレステロール、コレステロールデヒドロゲナーゼおよび補酵素(例えばNAD)の反応により生じる還元型補酵素(例えばNADH)を再び元の補酵素に戻す物質をいい、その例としては、乳酸脱水素酵素とピルビン酸(基質)の例が挙げられる。上記のキットでは、いずれも試薬(1)の添加により補酵素の反応生成物が生じるが、このうち、(ニ)、(ヘ)、(チ)および(ヌ)において、反応生成物を消費せずに、そのまま、測定段階において試薬(1)添加による発色と同じ波長の光を測定する場合には、試薬(2)または試薬(3)による発色値から、試薬(1)を添加した前処理の段階での発色値を差し引くことにより、特定のリポ蛋白中のコレステロールを定量することができる。また試薬(1)に、予め反応生成物を消費する物質を添加しておき、これを消費してから試薬(2)または試薬(3)を添加して発色させてもよい。この際、試薬(2)または試薬(3)には、反応生成物を消費する物質の作用を減じる物質を配合した方がよい。一方、キット(ホ)、(ト)、(リ)および(ル)では、前処理の発色とは別の波長の発色を測定することになるので、必ずしも測定値から前処理の発色値を差し引かなくてもよい。
【0055】
なお、前述したフルフェナム酸、メフェナム酸、2,2’,6’,2"−テルピリジン、チグリン酸、フシジン酸、酢酸ベータメタゾン、モネンシン、メビノリン等の反応促進物質の用途は、本発明の前処理方法(剤)およびこれを利用する本発明の特定のリポ蛋白中のコレステロールの定量方法(キット)に限定されるものではない。
【0056】
遊離型コレステロールを基質とする酵素を使用するコレステロールの定量方法、例えば、コレステロールオキシダーゼ、パーオキシダーゼ、発色剤等を使用して組み立てられる遊離型コレステロールの定量方法あるいはコレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼ、パーオキシダーゼ、発色剤等を使用して組み立てられる総コレステロールの定量方法にフルフェナム酸等の反応促進物質を共存させれば、遊離型コレステロールを基質とする酵素(ここではコレステロールオキシダーゼ)の使用量を低減すること、酵素反応の反応時間の短縮等の効果を得ることが当然に可能である。
【0057】
そして、コレステロール定量方法に関する本明細書等の記載(例えば、界面活性剤を選択して特定のリポ蛋白を測定対象にすること等)を参照すれば、より具体的に所望の定量方法を組み立てられる。
【実施例】
【0058】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。
【0059】
実 施 例 1
下記に示す本発明法および沈殿法により、リポ蛋白を含む30例の血清検体について、下記のようにHDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。
【0060】
( 本 発 明 法 )
検体3μlに、0.1単位/mlのコレステロールデヒドロゲナーゼ(天野製薬製)、2.5mMのNADおよび4−アミノアンチピリン0.03%を含む10mMのりん酸緩衝液(第1試薬;pH8.5)300μlを添加した(前処理)。約5分後、エマルゲンB−66 1%、コレステロールエステラーゼ(旭化成)1.3単位/ml、コレステロールオキシダーゼ(旭化成)2単位/ml、パーオキシダーゼ(東洋紡)5単位/ml及びジスルホブチルメタトルイジン0.04%を含む100mMのMES緩衝液(pH6)からなるコレステロール測定試薬(第2試薬)100μlを加えた。
【0061】
第2試薬添加直前と添加後5分後の600nmにおける吸光度を測定し、その差より血清検体中のHDLコレステロール濃度を求めた(2ポイント法)。また、較正用物質として濃度既知のコントロール血清を用いた。なお、以上の操作は、日立7150型自動分析装置を用いて行った。
【0062】
( 沈 殿 法 )
HDLC2「第一」分画試薬(第一化学薬品株式会社製)200μlを検体200μlと混和し、3000rpmで10分間遠心分離を行った。この上清50μlを採取し、TritonX−100 1%、コレステロールエステラーゼ1単位/ml、コレステロールオキシダーゼ1単位/ml、パーオキシダーゼ5単位/ml及びジスルホブチルメタトルイジン0.04%、4−アミノアンチピリン0.04%を含む100mMのMES緩衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬3mlと混合し、37℃で10分間インキュベートした後、600nmにおける吸光度を測定し、HDL中のコレステロール濃度を求めた。
【0063】
( 結 果 )
結果を表1および図1に示す。
【表1】

【0064】
この結果より明らかなごとく、本発明方法はポリアニオン等を使用しないにもかかわらず、従来の沈澱法と極めて良好な相関を示していた。
【0065】
実 施 例 2
実施例1の第1試薬のコレステロールデヒドロゲナーゼ、NADおよびりん酸緩衝液を5単位/mlのコレステロールオキシダーゼ(東洋紡)、5単位/mlのパーオキシダーゼ(東洋紡製)および100mMMES(pH6)に代え、測定値を比較した。
【0066】
( 結 果 )
結果を表2および図2に示す。
【表2】

【0067】
この結果より明らかなごとく、本発明方法はポリアニオン等を使用しないにもかかわらず、従来の沈澱法と極めて良好な相関を示していた。
【0068】
実 施 例 3
実施例1及び実施例2の試薬を用い、中性脂肪レベルの異なる血清5検体を測定し、従来法と測定値を比較した。この結果を表3に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
表3に示すように、本発明によれば中性脂肪レベルが高い検体についても従来法と同レベルの測定値が得られた。
【0071】
実 施 例 4
実施例2の第一試薬における5単位/mlのコレステロールオキシダーゼを、下記表4の濃度、組合せになる組成に変えて、実施例1と同様の測定を行い、その測定値を沈殿法および実施例2の方法(基準試験系)と比較した。なお第二試薬は実施例1と同一のものを使用した。この結果を表5に示す。
【0072】
( 試験用試薬組成 )
【表4】

【0073】
( 結 果 )
【表5】

【0074】
この結果より、基準試験系(実施例2)に比べコレステロールオキシダーゼを1/5に減らした場合(試験系A)、相関係数は若干低くなり、切片の値も若干増加したが、反応促進物質を使用した場合は、コレステロールオキシダーゼが1/5であっても基準試験系とほぼ同様な結果が得られ、反応促進物質を用いることによりコレステロールオキシダーゼの使用量を減らすことができることが明らかとなった。
【0075】
実 施 例 5
1.25単位/ml パーオキシダーゼ(東洋紡)、0.01% 4−アミノアンチピリン、0.02% ジスルホブチルメタトルイジン、50mM NaClを共通して含み、緩衝液の種類とpH、コレステロールオキシダーゼ(東洋紡)およびフルフェナム酸(シグマ)の濃度の異なる下記表6に記載の試薬(J〜L)を調製した。
【表6】

【0076】
血清検体3μlに、試薬J〜Lを300μl添加し、37℃で5分間反応させた後、600nmにおける吸光度を測定した。以上の操作は、日立7150型自動分析機を用いて行った。
4例の血清検体を試薬J〜Lで測定した。
試薬J〜Lそれぞれについて、5.0単位/ml コレステロールオキシダーゼ、0mM
フルフェナム酸の試薬で得られた吸光度を100として、各コレステロールオキシダーゼ、フルフェナム酸濃度の試薬毎に相対吸光度を計算した。
【0077】
( 結 果 )
4検体の相対吸光度を平均した結果を図3に示す。なお、図中でコレステロールオキシダーゼはCODと表記した。
【0078】
この結果、いずれのpHにおいても、フルフェナム酸の濃度依存的に相対吸光度が増加した。反応促進物質の使用により、コレステロールオキシダーゼの使用量を減らすことができることが確認された。
【0079】
また、反応促進物質が、遊離型コレステロールを基質とする酵素を使用する遊離型コレステロールの測定法あるいは総コレステロールの測定法にも使用できることが明らかとなった。
以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールを測定するに先立ち、リポ蛋白を含む試料に遊離型コレステロールを基質とする酵素を作用させることを特徴とするコレステロール定量用試料の前処理方法。
【請求項2】
遊離型コレステロールを基質とする酵素が、コレステロールオキシダーゼまたはコレステロールデヒドロゲナーゼである請求項第1項記載の前処理方法。
【請求項3】
リポ蛋白を含む試料に遊離型コレステロールを基質とする酵素を作用させた後、特定のリポ蛋白のみに作用する物質を利用して特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールを測定することを特徴とする特定のリポ蛋白中のコレステロール定量法。
【請求項4】
遊離型コレステロールを基質とする酵素が、コレステロールオキシダーゼおよび/またはコレステロールデヒドロゲナーゼである請求項第3項記載の定量法。
【請求項5】
特定のリポ蛋白が高比重リポ蛋白である請求項第3項または第4項記載の定量法。
【請求項6】
遊離型コレステロールを基質とする酵素を含み、リポ蛋白に作用する物質を実質的に含まないコレステロール測定用試料の前処理剤。
【請求項7】
遊離型コレステロールを基質とする酵素を含み、コレステロールエステラーゼを実質的に含まないコレステロール測定用試料の前処理剤。
【請求項8】
遊離型コレステロールを基質とする酵素がコレステロールデヒドロナゲーゼまたはコレステロールオキシダーゼである請求項第6項または第7項記載のコレステロール測定用試料の前処理剤。
【請求項9】
次の試薬、
(1)コレステロールオキシダーゼおよび過酸化水素消費物質を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質、コレステロールエステラーゼおよび発色剤
を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項10】
次の試薬、
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼおよび補酵素を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質およびコレステロールエステラーゼを含む第
2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項11】
次の試薬、
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼおよび補酵素を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質、コレステロールオキシダーゼ、コレステロ
ールエステラーゼ、パーオキシダーゼおよび発色剤を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項12】
次の試薬、
(1)コレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼおよび過酸化水素消
費物質を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質および発色剤を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項13】
次の試薬、
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼ、補酵素およびコレステロールエステラーゼを
含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項14】
次の試薬、
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼ、補酵素およびコレステロールエステラーゼを
含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質、コレステロールオキシダーゼ、パーオキシ
ダーゼおよび発色剤を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項15】
次の試薬、
(1)コレステロールオキシダーゼおよび過酸化水素消費物質を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質を含む第2試薬、
(3)コレステロールエステラーゼおよび発色剤を含む第3試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項16】
次の試薬、
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼおよび補酵素を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質を含む第2試薬、
(3)コレステロールエステラーゼを含む第3試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項17】
次の試薬、
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼおよび補酵素を含む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質を含む第2試薬、
(3)コレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼ、パーオキシダーゼ
および発色剤を含む第3試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項18】
次の試薬、
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼ、補酵素および補酵素反応生成物消費物質を含
む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質およびコレステロールエステラーゼを含む第
2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項19】
次の試薬、
(1)コレステロールデヒドロゲナーゼ、補酵素および補酵素反応生成物消費物質を含
む第1試薬、
(2)特定のリポ蛋白のみに作用する物質、コレステロールエステラーゼおよび発色剤
を含む第2試薬
よりなる特定のリポ蛋白中のコレステロール定量用キット。
【請求項20】
フルフェナム酸、メフェナム酸、2,2’,6’,2"−テルピリジン、チグリン酸、フシジン酸、酢酸ベータメタゾン、モネンシンおよびメビノリンから選ばれる遊離型コレステロールを基質とする酵素の反応促進物質。
【請求項21】
遊離型コレステロールを基質とする酵素が、コレステロールオキシダーゼまたはコレステロールデヒドロゲナーゼである請求項第20項記載の反応促進物質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−172346(P2010−172346A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113013(P2010−113013)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【分割の表示】特願2000−183053(P2000−183053)の分割
【原出願日】平成12年6月19日(2000.6.19)
【出願人】(390037327)積水メディカル株式会社 (111)
【Fターム(参考)】