説明

コロイド物質の製造方法、コロイド物質およびその使用

【課題】コロイド物質の製造方法、コロイド物質およびその光学機器製造での使用
【解決手段】得られるコロイド材料は式Anmで表される(Aは周期表のII、III、IV族から選択される元素であり、Xは周期表のV又はVI族から選択される金属、(A、X)のペアの選択においては周期表のA及びXの族はそれぞれ(II族、VI族)、(III族、V族)、(IV族、VI族)からなる群から選択され、n及びmはAnmが中性化合物とするような数。本発明方法で得られるコロイド化合物の例はCdS、InP、PbSである。本発明方法は非配位又は弱配位溶媒中でXと式A(R−COO)pで表されるカルボキシレートとの混合液を液相分解する段階と、酢酸塩又は酢酸をこの混合液に加える段階とを含む(pは1又は2の整数、Rは直鎖または分岐C1-30アルキル基)本発明のコロイド材料は例えばレーザーや光電子工学デバイスの製造に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロイド物質の製造方法と、この方法で製造されたコロイド物質と、このコロイド物質の光学機器での使用とに関するものである。
【0002】
本発明の方法で得られるコロイド物質の例はCdS、InP、PbSであるが、その他の多くの例は以下で示す。
【0003】
本発明のコロイド物質は例えばレーザーや光学機器の製造で用いることができる。例えば、本発明実施例では本発明のコロイド物質をMBEやMOCVD半導体材料の代わりに用いることができる。
【0004】
本発明の物質は量子閉じ込め理論の研究でも用いることもできる。
以下の説明で括弧付きの太字の参照文献([X])は、引用文献及び公開公報に添付され、本明細書の「実施例」の後のリストに示した文献である。
【背景技術】
【0005】
ナノメートルサイズの無機物質は広範囲の電気的及び光学的性質を示し、これは組成、寸法、形態表面配位子に依存する。これらはいずれもYin, Y.達のコロイドナノ結晶合成及び無機−有機界面(非特許文献1〜3)に開示されるように基本的かつ技術的に価値のある性質である。
【0006】
ゼロ次元システムの形成方法は非特許文献4〜6に詳しく記載されている。
【0007】
それとは対照的に光学活性を有する二次元の溶解性粒子を作る方法はない。
【0008】
しかし、分子線エピタキシーにより基板上でエピタキシャルに形成したII−VI及びIII−V半導体の極薄フィルム(量子井戸)は例えば電子工学の基礎研究及び応用性のいずれにも極めて有用であることが非特許文献7で示されている。
【0009】
フィルム用の2次元ワイヤーは分子線エピタキシー(molecular beam epitaxy :MBE)や非特許文献7に開示された他の技術で基板上への気相合成あるいは非特許文献8に開示の蒸気液相固相プロセスによる融解クラスタからの気相合成で形成できる。また、フィルム用2次元ワイヤーは非特許文献9に開示の水性あるいは非加水分解性媒体中での液相コロイド合成によっても形成できる。気相でのアプローチに関しては非特許文献1に開示される制御されたナノメータサイズ及び形体の0次〜1次の結晶を非加水分解性液相合成で得ることができる。この結晶は非特許文献10〜13に開示の蒸気液相固相プロセスで容易に製造できるという利点がある。いわゆる量子井戸(quantam well)である2D半導体結晶は例えばMBEを用いた基板上でのエピタキシャル成長のみで合成されていることは興味深いことである。
【0010】
2Dfコロイドナノ結晶、ナノプレートレット、ナノディスクの合成は非特許文献14〜16に開示されたいくつかの金属(非特許文献14、15)、ランタニド酸化物(非特許文献16)、硫化銅および同様材料(非特許文献17)、硫化ニッケル(非特許文献18)の例に限定される。
【0011】
単分散コロイドナノ結晶の一般合成則は核合成段階と、成長段階とを別々に行うことをベースにしている。種子成長が1方向の場合にはナノロッドが得られ、成長が一方向で阻止されると2D結晶が形成される。
【0012】
簡単に書くと、3次元未満のコロイドナノ結晶の合成は温度、先駆物質のタイプ及び濃度、リガンド(界面活性剤)に依存し、分子レベルで製造プロセスの正確な理解によるものではない。
【0013】
コロイド半導体ナノ結晶合成の主たる利点はセレン化カドミウム(CdSe)を用いたときに得られ、1993年に量子ドットを用いたのが初めてであり(非特許文献4)、2000年にはナノロッド合成が用いられた(非特許文献6)。
【0014】
しかし、先行技術に見られる方法は非常に高価なため、実施が難しく、コロイド材料を容易に合成することができず、材料の均一性及び再現性を得るという可能性は全く見出すことができない。さらに、先行技術の方法で得られる材料の構造は基本的に(1D、2D)構造のみであり、厚さは不確定、不均一で、横方向寸法(3D)も不均一なものとなる。
【0015】
これらの問題を克服した先行技術は存在しない。それゆえ、これらの問題及び短所を解決する方法がいまだ強く望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】[I] Yin, Y. & Alivisatos, AP. Colloidal nanocrystal synthesis and the organic-inorganic interface. Nature 437, 664-670 (2005).
【非特許文献2】[2] Hu, JT. , Odom, T.W. & Lieber, CM. Chemistry and physics in one dimension: Synthesis and properties of nanowires and nanotubes.Accounts Chem Res 32, 435-445 (1999).
【非特許文献3】[3] Geim, A.K. & Novoselov, K.S. The rise of graphene. Nature Materials 6, 183-191 (2007).
【非特許文献4】[4] Murray, C. B., Norris, D.J. & Bawendi, M. G. Synthesis and Characterization of Nearly Monodisperse Cde (E = S, Se, Te)Semiconductor Nanocrystallites. J Am Chem Soc 115, 8706-8715 (1993).
【非特許文献5】[5] Duan, X.F. & Lieber, CM. General synthesis of compound semiconductor nanowires. Adv Mater 12, 298-302 (2000).
【非特許文献6】[6] Peng, X.G. et al. Shape control of CdSe nanocrystals. Nature 404, 59-61 (2000).
【非特許文献7】[7] Weisbuch, C. & Vinter, B. Quantum Semiconductor Structures : fundamentals and applications. (Academic Press, 1991 ).
【非特許文献8】[8] Morales, A.M. & Lieber, CM. A laser ablation method for the synthesis of crystalline semiconductor nanowires. Science 279, 208-211 (1998).
【非特許文献9】[9] Jun, Y.W., Choi, J. S. & Cheon, J. Shape control of semiconductor and metal oxide nanocrystals through nonhydrolytic colloidal routes. Angew Chem lnt Edit 45, 3414-3439 (2006).
【非特許文献10】[10] Michalet, X. et al. Quantum dots for live cells, in vivo imaging, and diagnostics. Science 307, 538-544 (2005).
【非特許文献11】[11] Hines, M.A. & GuyotSionnest, P. Synthesis and characterization of strongly luminescing ZnS- Capped CdSe nanocrystals. J Phys Chem- Us 100, 468-471 (1996).
【非特許文献12】[12] Redl, F.X., Cho, K.S., Murray, CB. & O'Brien, S. Three-dimensional binary superlattices of magnetic nanocrystals and semiconductor quantum dots. Nature 423, 968-971 (2003).
【非特許文献13】[13] Caruge, J.M., Halpert, J. E., Wood, V., Bulovic, V. & Bawendi, M. G. Colloidal quantum-dot light-emitting diodes with metal-oxide charge transport layers. Nat. Photonics 2, 247-250 (2008).
【非特許文献14】[14] Puntes, V.F., Zanchet, D., Erdonmez, CK. & Alivisatos, AP. Synthesis of hep-Co nanodisks. J Am Chem Soc 124, 12874-12880 (2002).
【非特許文献15】[15] Xu, R., Xie, T., Zhao, Y.G. & Li, Y.D. Single-crystal metal nanoplatelets: Cobalt, nickel, copper, and silver. Cryst. Growth Des. 7, 1904-1911 (2007).
【非特許文献16】[16] Si, R., Zhang, Y.W., You, LP. & Yan, CH.Rare-earth oxide nanopolyhedra, nanoplates, and nanodisks. Angew Chem I nt Edit 44, 3256-3260 (2005).
【非特許文献17】[17] Sigman, M. B. et al. Solventless synthesis of monodisperse Cu2S nanorods, nanodisks, and nanoplatelets. J Am Chem Soc 125, 16050-16057 (2003).
【非特許文献18】[18] Ghezelbash, A., Sigman, M. B. & Korgel, B.A. Solventless synthesis of nickel sulfide nanorods and triangular nanoprisms. Nano Letters 4,537-542 (2004).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、従来技術が解決できなかった上記の問題及び欠点の解決法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の方法は、式Anmで表されるコロイド材料を製造する方法である。本発明方法は下記の第一段階および第二段階からなる:
非配位または弱配位結合性の溶媒中で以下の3つの中の2つを反応させる第一段階:
試薬(i):XまたはXの水溶性形、
試薬(ii):R’(COOH)または酢酸塩、
試薬(iii):A(R−COO)p
第一段階で得られた混合試薬に第三の試薬を加える第二段階。
(ここで、
pは1又は2;
Rは直鎖または分岐C1-30アルキル基;
R’は直鎖または分岐C1-20アルキル基;
試薬(i)、(ii)、(iii)の選択は、Rが−CH3の場合には(ii)はR’(COOH)であり、Rが直鎖または分岐C1-20アルキル基の場合には、試薬(iii)は酢酸塩であり;
Xは周期表のVまたはVI族から選択される金属;
Aは周期表のII、IIIまたはIV族から選択される元素;
A及びXはそれぞれ以下の組み合わせから選択される:
AをII族から、XをVI族から選択;または
AをIII族から、XをV族から選択;または
AをIV族から、XをVI族から選択。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】異なる方法で製造されたCdSeコロイドプレートレットナノ結晶の透過電子顕微鏡(TEM)画像。a)195℃で酢酸亜鉛(酢酸カドミウム)を添加し、240℃で10分間加熱。b)とc)195℃で多量のCd(Ac)2を添加し、240℃で20分間加熱(aと同様)をしながらの第二前駆物質を添加。d)b)の高解像度TEM。e)酢酸カドミウムの代わりに酢酸マンガンを用いたa)と同様な処理。f)加熱前に他の前駆物質を添加し、室温で酢酸カドミウムを添加した場合。縮尺は(a〜d):10nm、(e,f):20nm。
【図2】(a)はヘキサン中のプレートレット溶液の発光及び吸収スペクトル。図1e)のTEMに対応するサンプル。プレートレットはエタノール沈殿の反応溶液から分離した。(b)は(a)と同様な蛍光発光スペクトルをプロットしたログ/均等目盛。
【図3】異なるプレートレット合成の発光(破線)及び光ルミネセンス励起スペクトル(実線)スペクトル。a)低温(195℃)で酢酸亜鉛(酢酸カドミウム)を添加し、240℃で10分間加熱。b)195℃で多量のCd(Ac)2を添加し、240℃で20分間加熱。c)(aと同様)後、第二前駆物質を添加し、240℃で20分間加熱。
【図4】本発明方法で得られたCdSeのプレートレットの概略図。
【図5】本発明の法で合成したCdTeの写真(縮尺:30nm)
【図6】510nmで発光するCdSeプレートレットのXRDパターン。ZB CdSeの標準回折ピーク位置を示す。
【図7】CdSeコロイドプレートレットナノ結晶の透過電子顕微鏡(TEM)画像。プレートレットは写真の右側端が写っている。画像を左に追うと正面がドミノのように倒れている(縮尺:10nm)。
【図8】沿面成長前のCdSeコロイドプレートの透過電子顕微鏡(TEM)画像(実施例7)(縮尺:50nm)
【図9】沿面成長後のCdSeコロイドプレートの透過電子顕微鏡(TEM)画像(実施例7)(縮尺:50nm)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第一の実施例では、式Anmで表されるコロイド材料の製造方法を示す。この製造方法は非配位または弱配位結合性の溶媒中で、XとA(R−COO)pのカルボン酸塩との混合物を溶液分離する段階と、この混合物に酢酸塩又は酢酸を注入する段階とからなる。ここで、Aは周期表のII、IIIまたはIV族から選択される元素であり;pは1または2の整数値であり、Rは直鎖または分岐C1-30アルキル基であり;Xは周期表のVまたはVI族から選択される金属であり;n及びmはAnmが中性化合物となるように選択される数であり;AとXの組み合わせ(A,X)ではAおよびXがそれぞれ周期表の以下の族の組み合わせの中から選択される:(II族、VI族)、(III族、V族)、(IV族、VI族)。
【0021】
この実施例において、本発明の製造方法は以下の段階から成る:
(a)非配位結合性溶液中でAカルボン酸塩及びXを用意し、
(b)上記段階(a)で得た混合物を脱気し、
(c)上記段階(b)で得た脱気した混合物を100〜280℃、好ましくは120〜240℃で加熱し、混合物Aカルボン酸塩及びXを分離した溶液相からAnmコロイド材料を生成し、
(d)上記段階(a)と(b)の間または段階(b)中または段階(b)と(c)の間または加熱段階(c)中、好ましくは段階(c)中に酢酸塩又は酢酸を加え、
(e)プレートレット状のAnmコロイド材料を回収する。
【0022】
この第一の実施例では、Aカルボン酸塩はA(R−COO)pに対応する。ここで、Rは直鎖または分岐C2-30アルキル基であり、塩酸塩又は塩酸はそれぞれCH3COOHの塩又は酢酸を生じる酸である。
【0023】
この実施例によれば、本発明の方法は、非配位又は弱配位結合性の溶液中で、Xと上記定義の式(R−COO)pで表されるAカルボン酸塩の混合物を溶液相分解(solution phase decomposition)段階を含む。
【0024】
第二の実施例では、本発明の方法は、以下の段階からなる:
(a1)非配位結合性の溶液中でAアセテート及びカルボン酸を用意し、
(b1)上記段階(a1)で得た混合物を脱気し、
(c1)上記段階(b1)で得た混合物を100〜280℃、好ましくは120〜240℃で加熱し、
(d1)上記段階(c1)で加熱及び脱気した混合物にXを加え、Anmで表されるコロイド材料を生成し、
(e1)プレートレット状のAnmコロイド材料を回収する。
【0025】
第二の実施例において、AアセテートはA(R−COO)pに対応し、Rは−CH3である。カルボン酸はR’(COOH)に対応し、R’は直鎖または分岐C2-30アルキル基である。
【0026】
第三の実施例では、本発明の方法は、以下の段階からなる:
(a2)非配位結合性の溶液中でカルボン酸及びXを用意し、
(b2)上記段階(a2)で得た混合物を脱気し、
(c2)上記段階(b2)で得た混合物を100〜280℃、好ましくは120〜240℃で加熱し、
(d2)上記段階(c2)で加熱及び脱気した混合物にAアセテートを加え、Anmで表されるコロイド材料を生成し、
(e1)プレートレット状のAnmコロイド材料を回収する。
【0027】
この第三の実施例では、A酢酸塩はA(R−COO)pに対応し、Rは−CH3である。カルボン酸はR’(COOH)に対応し、R’は直鎖または分岐C2-30アルキル基である。
【0028】
第四の実施例では、本発明の方法は、以下の段階からなる:
(a3)非配位結合性の溶液中でAアセテート塩及びXを用意し、
(b3)上記段階(a3)で得た混合物を脱気し、
(c3)上記段階(b3)で得た混合物を100〜280℃、好ましくは120〜240℃で加熱し、
(d3)上記段階(a3)及び(b3)の間、又は段階(b3)の最中、又は段階(b3)及び(c3)の間、又は加熱段階(c3)の最中に、好ましくは段階(c3)の最中にカルボン酸を加え、Anmで表されるコロイド材料を生成し、
(e3)プレートレット状のAnmコロイド材料を回収する。
【0029】
第四の実施例では、AアセテートはA(R−COO)pに対応し、Rは−CH3である。カルボン酸はR’(COOH)に対応し、R’は直鎖または分岐C2-30アルキル基である。
【0030】
本発明において、「周期表」はメンデレーエフの元素周期表を用いる。
【0031】
本発明において、「弱配位結合性の溶液」とは、金属や半導体の配位結合性の溶液ではない、オクタデセンのような溶液を意味する。しかし、長アルキル鎖中に二重結合が存在するために、生成したナノ粒子の表面にODE(オクタデセン)の錯体形成が少ないことを本発明者は指摘しておく。本発明によれば、非配位結合性の溶液中は例えばオクタデセン、ジクロロメタン、テトラハイドロフラン(THF)、トリオクチルアミン、オクタデカン、ディーゼル油である。
【0032】
本発明では、A(R−COO)pにおいて、Rは直鎖または分岐C1-30アルキル基、好ましくは直鎖または分岐C1-20アルキル基、最も好ましくは直鎖または分岐C4-18アルキル基である。例えば、「C1-30アルキル−COOH」はメリシン酸、オクタコサン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、アセチル酸、プロピオン酸、ブチル酸あるいはこれらの混合にすることができる。
【0033】
本発明によれば、試薬(iii)のカルボン酸塩R−COO-、すなわちA(R−COO)pは例えばアセテート、ラウレート、ミスチリン酸塩、パルミテート、ステアレートあるいはこれらの混合からなる群から選択される上記カルボン酸のカルボン酸塩イオンからなる群から選択される。
【0034】
例えば、(a1)、(a2)、(d3)では、メリシン酸、オクタコサン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、アセチル酸、プロピオン酸、ブチル酸あるいはこれらの混合からなる群から選択することができる。
【0035】
本発明によれば、試薬(ii)のR’(COOH)は、Rは直鎖または分岐C2-30アルキル基にすることができる。例えば、上記カルボン酸のカルボン酸塩イオン、例えば、ラウレート、ミスチリン酸塩、パルミテート、ステアレートあるいはこれらの混合からなる群から選択することができる。
【0036】
本発明によれば、試薬(ii)の酢酸塩は金属酢酸塩にすることができ及び/又は酢酸塩は水和物であってもなくてもよい。
【0037】
本発明によれば、試薬(ii)において、酢酸塩は金属酢酸塩であり、その金属すなわちAは、例えばCd、Mn、Co、Na、In、K、あるいはこれらの混合からなる群から選択することができる。
【0038】
本発明によれば、例えば酢酸塩は例えば酢酸カドミウム二水和物、Mn(Ac)2・4H2O、Zn(Ac)2、Mg(Ac)2・4H2O、Co(Ac)2・4H2O、NaAcあるいはこれらの混合からなる群から選択することができる。
【0039】
本発明によれば、X又は水溶性のXが用いられる。Xは周期表のVまたはVI族から選択される。例えば、XはSe、Te、S、P、As、Sbあるいはこれらの混合からなる群から選択することができる。Xが水溶性の場合、例えば段階(d1)においては、トリオクチルホスフィンオキシド(TOP)、トリブチルホスフィンオキシド(TBP)、オクタデセン(ODE)から選択される溶媒を用いて可溶化することができる。XがTe又はSeのとき、それぞれTOP、TBP、ODE Te、及びTOP、TBP、ODE Seとなる。
【0040】
例えばSeのとき、CH4N2Se(セレノ尿素)を用いることもできる。本発明方法において、第一段階、例えば(a)、(a1)、(a2)、(a3)は混合段階である。この段階は、カルボン酸塩とXの混合物が配位結合性溶液中で混合可能な温度で行われる。例えば、第一段階、例えば(a)、(a1)、(a2)、(a3)は室温、すなわち非配位結合性の溶液の沸点より低い温度、一般には5〜100℃、例えば5〜90℃、例えば5〜60℃例えば70〜90℃、例えば10〜90℃、例えば10〜45℃、好ましくは20〜30℃で行うことができる。
【0041】
本発明によれば、本発明方法は脱気段階を含む。脱気段階、例えば脱気段階(b)、(b1)、(b2)、(b3)は当業者に公知の任意の方法で大気圧以下の低い圧力で行うことができる。この段階は、例えば10〜105Pa以下でも行うことができる。好ましくは、脱気段階、例えば(b)、(b1)、(b2)、(b3)は、真空まで行われる。脱気段階、例えば(b)、(b1)、(b2)、(b3)は(a)、(a1)、(a2)、(a3)とそれぞれ同じ温度で行うことができる。例えば脱気段階は20〜90℃で行うことができる。例えばCd(Ac)2において、脱気していようがいまいが、温度は70〜90℃、例えば80℃で行うことができる。
【0042】
本発明によれば、第二段階は好ましくは混合物の加熱と共に行われる。加熱段階、例えば(c)、(c1)、(c2)、(c3)は、例えば段階(c)のXとカルボン酸塩A(R−COO)pの混合物の液相分解を行うことができる任意の温度で行うことができる。加熱段階は例えば100〜300℃、例えば140〜260℃で行うことができる。
【0043】
本発明によれば、加熱段階とも呼ばれる第二段階、例えば段階(c)、(c1)、(c2)、(c3)は不活性雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気は、窒素その他当業者に公知の不活性ガスにすることができる。
【0044】
本発明によれば、加熱段階、例えば(c)、(c1d1)、(c2d2)、(c3)は例えばXとカルボン酸塩A(R−COO)pの混合物の液相分解ができる任意の時間の間行うことができる。加熱段階は1分〜1時間、好ましくは1〜30分の期間で行うことが好ましい。
【0045】
本発明によれば、本発明方法は回収段階、例えば回収段階(e)、(e1)、(e2)、(e3)を含む。この段階は、段階(c)、(c1)、(c2)、(c3)でそれぞれ得たAnmで表されるコロイド材料の沈殿後に行うことができる。この回収段階は当業者に公知の任意の適切な方法、好ましくはアルコール沈殿で行うことができる。アルコール沈殿を行う場合、用いるアルコールは、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールからなる群から選択できる。
【0046】
他の方法には、示差滴定が含まれる。例えば、合成の最後にオレイン酸及びヘキサンを室温、例えば15〜30℃で導入することができる。多面体QDは、ヘキサンとオレイン酸の混合物に溶解するが、プレートレットは遠心分離で沈殿する。他の実施例では、合成物質はエタノールを加えることで沈殿する。遠心分離後、沈殿をテトラハイドロフラン(THF)中に懸濁する。ヘキサン及び/又はエタノールを、例えばゆっくりと、かすかに濁った混合液が得られるまで加える。遠心分離によりQDからプレートレットが分離される。サイズ選択沈殿については非特許文献4の開示を参照されたい。
【0047】
本発明によれば、本発明の最終段階、例えば段階(d)、(d1)、(d2)、(d3)で回収されるAnmコロイド材料は、Anmコロイド材料と反応しない溶媒中、例えばヘプタン、ヘキサン、テトラハイドロフラン、又はテトラクロロエチレン中に懸濁することが好ましい。コロイド材料と反応しない他の同等の溶媒を用いることもできる。
【0048】
化学反応が起こりさえすれば、試薬(i)、(ii)、(iii)は任意の濃度で用いることができる。
【0049】
XとAのモル比は例えば1:100〜100:1、好ましくは1:50〜50:1、例えば6:1〜2:1にできる。
【0050】
本発明方法において、試薬(ii)と(iii)のモル比は、1:1000〜1000:1、例えば1:50〜50:1、例えば1:6〜6:1、例えば1:1にするのが好ましい。
【0051】
例えば、本発明によれば、Aカルボン酸塩とXの混合物の液相分解はカルボン酸塩A(R−COO)pとXのモル比すなわちA/Xが1:99〜99:1、例えば20:80〜80:20、例えば40:60〜60:40、例えば45:55〜55:45であるのが好ましい。例えば、A(R−COO)pとXの混合物の液相分解はAとXの等モル又は実質的に等モル比で行うことができる。モル比は1A:1X〜6A:1Xであるのが好ましい。
【0052】
本発明では、Aカルボン酸塩とXの液相分解は例えばAカルボン酸塩、X、塩酸塩のそれぞれ等モル又は実質的に等モル比で行うことができる。
【0053】
本発明によれば、上記第一実質的において、塩酸塩は、加熱した混合液にオレンジ色が観察できる加熱段階(c)で加えることが好ましい。つまり、段階(d)は加熱段階(c)中に行うことが好ましい。加熱段階で加えることでプレートレット数を反応の初期段階で酢酸塩を加えた場合よりも少なくすることができる。
【0054】
本発明によれば、酢酸塩は加熱段階中、例えば加熱段階(c)又は(d2)中に、温度が少なくとも100℃に達したとき、例えば180℃、例えば195℃に達したときに加えるのが好ましい。実際、高温で加えることで、プレートレット厚の範囲を広げることができる。
【0055】
特定の実施例では、本発明の方法はさらに、例えば加熱段階(c)、(c1)、(c2)、(c3)と回収段階(e)、(e1)、(e2)、(e3)の間にそれぞれ不飽和脂肪酸を加える段階を含む。この段階により合成後に多面体QD(QDは「量子ドット」の意味)とプレートレット型QDとの間が分離し易くなる。
【0056】
本発明方法により、Anmコロイド材料の製造が可能になる。Anmの定義は上述の通りである。例えば、本発明はCdSe、CdTe、CdS、InP、CuInSe、CuInS2、PbSe、PbS、InAs、InSbからなる群から選択されるコロイド材料の製造に特に適している。
【0057】
例えば、本発明の方法によりCdSeの製造が可能になる。この例では、本製造方法は、例えば非配位結合性または弱配位結合性の溶媒と上記定義の塩酸塩の存在下で上記定義のカドミウムカルボン酸塩とセレニウムとの混合物を液相分解する段階を含む。
【0058】
本発明によれば、セレニウムは、セレニウムメッシュフォーム、超音波分解セレニウムメッシュフォーム、オクタデカン、トリオクチルホスフィン、トリブチルホスフィン、アルキルアルミニウムセレノカルバメート、セレノ尿酸、その他の弱配位結合性溶媒中に溶解したセレニウムからなる群から選択される形で用いることが好ましい。すなわち、Se源としては任意の形状の反応性Se前駆物質を用いることができる。
【0059】
本発明の特定の実施例では、加えたカルボン酸塩を例えばR’’−Coo-で表される式で本発明の過程に加えることができる。この不飽和脂肪酸は、例えば第一又は第二段階の混合物に加えることができる。
【0060】
例えば下記段階で加えることができる:
段階(a)または(a1)または(a2)または(a3)と段階(b)または(b1)または(b2)または(b3)との間
段階(b)、(b1)、(b2)、(b3)中、
段階(b)、(b1)、(b2)、(b3)と段階(c)、(c1)、(c2)、(c3)の間、
加熱段階(c)、(c1)、(c2)、(c3)中、
好ましくは段階(c)、(c1)、(c2)、(c3)中。
【0061】
好ましくは、R’’はR及び/又はR’と同一又は異なり、R’’は直鎖または分岐C1-30アルキル基であり、好ましくは直鎖または分岐C1-20アルキル基であり、最も好ましくは直鎖または分岐C4-18アルキル基である。例えば、これらのアルキル基は上記定義の通りであり、すなわち、アセテート、ラウレート、ミスチリン酸塩、パルミテート、ステアレート、あるいはこれらの混合からなる群中のR及び/又はR’から独立して選択される。
本発明の特定の実施例では、カルボン酸塩は、酢酸塩の量に対して0.1〜1000%の超過モル量で加えるのが好ましい。
【0062】
特定の実施例では、本発明の方法は、式Anmコロイド材料がプレートレット状のとき、その面に沿った成長の追加段階も含む。
【0063】
この合成後の沿面成長は溶液中で起こる。この場合、プレートレットは合成後に直接回収でき、沿面成長の適切な条件に置くことができる。合成の最終段階で、ナノプレートレットは、例えばヘキサン、トルエン、THFなどの溶媒に、例えば1M〜0.2Mの間、例えば500μM〜100μMの間、例えば50μM〜10nMの間の濃度で再分散することができる。この溶液の一部、10ml、例えば5ml、例えば2mlを適切なフラスコ、例えば三つ首フラスコに、例えばオクタデセン及び/又はトリオクチルアミンなどの非配位結合性又は弱配位結合性の溶媒に入れる。
【0064】
ナノプレートレットを入れたフラスコは、一般に5〜100℃、例えば5〜90℃、例えば5〜60℃、例えば70〜90℃、例えば10〜90℃、例えば10〜45℃、好ましくは20〜30℃で真空下で脱気できる。
【0065】
次にアセテートの前駆物質、Aの前駆物質、Xの前駆物質を、プレートレットの沿面成長をさせるためにプレートレットに加える。
【0066】
これらの前駆物質は全て同時に、例えばフラスコに直接加え等でプレートレットを含む混合物に加えることができる。その後フラスコを、20〜100℃、例えば30〜80℃で、真空下で脱気する。
【0067】
他の変形例では、アセテートの前駆物質とAの前駆物質を、プレートレットを入れたフラスコに加える。その後フラスコを、20〜100℃、例えば30〜80℃で、真空下で脱気し、続いて不活性雰囲気、例えばアルゴン流下に80〜240℃、例えば140〜200℃で置く。前駆物質Xと残りの前駆物質Aをその後フラスコに加える。
【0068】
前駆物質A及びXは混合物として適切な溶媒、例えばオクタデセン、及び/又はトリオクチルアミンなどに随意に加えることができる。A及びXは上記定義の通りである。
【0069】
前駆物質A及びXの添加率は、例えば注入の場合、例えば10〜5ml/h、例えば2〜ml/h、例えば0.1〜0.01ml/hである。
【0070】
アセテートの前駆物質は、酢酸塩でもよい。酢酸塩は例えば酢酸カドミウム二水和物、Mn(Ac)2・4H2O、Zn(Ac)2、Mg(Ac)2・4H2O、Co(Ac)2・4H2O、NaAcあるいはこれらの混合からなる群から選択できる。
【0071】
最終混合物内の前駆物質AとXのモル比は、1:100〜100:1、例えば1:50〜50:1、例えば1:2〜2:1である。
【0072】
本発明によれば、Aの前駆物質は上記定義のカルボキシレートA(R−COO)pあるいはその混合物にすることができる。
【0073】
合成後の沿面成長は基板上でも実現する。この場合、プレートレットの沿面成長は大きい方の面で例えば1mm2〜1m2を有する基板上で起こる。本発明においては、基板は金属、固体、液体、可撓性又は硬性のプレートレットが横方向に成長できる半導体、レーザー、光起電性電池、ダイオード、発光ダイオード(LED)への使用に好適なもの全て意味する。基板は等方性又は混成でもよい。基板はガラス、石英、雲母、シリコン、ゲルマニウム、シリコンカーバイド、スズインジウム酸化物、チタニウム酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物、チタニウム、亜鉛、マグネシウム、ニオブ、銅、白金、鉄、アルミニウム、銀、白金などからなる群から選択できる。基板はプラスチック又は可撓性ポリマーなどの可撓性材料から選択することもできる。この場合、プレートレットを合成してから、例えば疎水性相互作用、ゾルーゲル技術、ディープコーティング、スピンコーティング(非特許文献32)などで所望の基板に塗布する。
【0074】
プレートレットは基板を単一膜状に被覆する。膜の厚さはその用途に応じて制御できる。例えば、厚さ10nm未満の膜を得ることもできる。
【0075】
成長温度を変えることで横方向成長速度を制御できる。例えば注入による前駆物質の添加速度、伸長するプレートレットの量を変化させることで沿面成長率を制御できる。
【0076】
実施例7及び図8、9はこの特定の実施例を示す。
【0077】
本発明は本発明方法で得られるAnmコロイド材料にも関する。これは、以下に実験で観察される。
【0078】
本発明によれば、コロイド材料はナノプレートレット及び/又はナノ結晶の形にすることができる。これは以下の実験で観察される。本発明者は例えば擬似2DAnmプレートレット、例えば擬似2DCdSeプレートレットが異なる厚さ例えばCdSeの単一層等のAnm単一層により定量化される厚さで合成できることを示した。
【0079】
本発明によれば、コロイド材料は擬似2D半導体結晶にできる。これは、以下に実験的に観察される。
【0080】
本発明によれば、本発明のAnmコロイド材料は、II−VI、IV−VI、III−V半導体結晶からなる群から選択できる。例えばコロイド材料はCdSeにすることができる。例えば、本発明者はまず初めに厚さが原子レベルまで薄くなったII−VIカドミウムセレン化物プレートレットが溶液中で合成されることを示した。
【0081】
例えば、CdSeコロイド材料の横方向サイズは10nm〜数百m、例えば10nm〜100mm、例えば100nm〜100ミクロン、例えば100nm〜10ミクロンである。
【0082】
既述の通り、プレートレットの沿面成長は大きな方の面、例えば1mm2〜1m2を有する基板上で実現する。この場合、プレートレットは、例えば単一層状に基板上に沈着する。層の厚さは最終付着物に応じて制御できる。例えば、厚さが10nm未満の層を得ることもできる。
【0083】
本発明のコロイド材料は例えばレーザーの製造及び/又はMBEやMOCVD半導体材料の代りに用いることができる。
【0084】
本発明の材料Anmは光電子工学デバイスの製造やデバイスそのもの、例えばレーザー、光起電性電池、ダイオードに用いることができる。
【0085】
例えば、ダイオードへの応用は非特許文献13を参照されたい。そこで本発明の材料を有利に用いることができる。例えば、光起電性電池向けには、非特許文献31を参照されたい。ここでは、本発明の材料を有利に用いることができる。例えば、レーザーへの適用は、非特許文献29を参照されたい。ここでは、本発明の材料を有利に用いることができる。
【0086】
従って、本発明は、本発明による材料による光電子工学デバイスにも関する。
【0087】
従って、本発明は、本発明による材料によるレーザー、光起電性電池、発光ダイオード(LED)、又はダイオードにも関する。
【0088】
本発明は、これら新規なナノ結晶の製造方法を開示し、構造的かつ光学的な特徴を有する。
【0089】
ここで開示するように、CdSeの例において、発光極大が462nm、513nm、550nmで対応する厚さの推定がそれぞれ1.9nm、2.2nm、2.5nmである3つのプレートレット固体群を特定した。固体群内のプレートレットのアスペクト比が4〜数百にわたるにもかかわらず、各固体群の発光スペクトル半値全幅(FWHM)は、量子収率が30%に達する室温で、10nm未満であった。
【0090】
本発明者が合成したプレートレットは、基板上でエピキャシタルに成長した量子井戸の延長上にあり、溶液中で安価、容易に合成でき、より良い構造のための構築ブロックとして用いることができ、一つのCdSeモノマー内で調整できる単一の厚さを有し、例えば10〜100nmの有限の寸法を有するという利点がある。
【0091】
本発明の材料の他の興味深い特徴、例えばこれらのプレートレットは、室温で非常に低いFWHMを有する点にある。これらは、例えば非特許文献30に開示するように、光学バーコードを用いてビーズ(beads)を合成するような、興味深い適用に繋がる。この適用において、本発明の材料は本明細書に開示する材料に置き換えることができる。これらのプレートレットの発光は量子井戸の場合は偏光される。この特性により、いくつかの適用に利点が見いだせる。
【0092】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照してさらに説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0093】
実施例1
本発明によるCdSe材料の製造
全ての化学薬品はSigma Aldrichから購入し、そのまま使用した。蛍光放出および励起スペクトルはJobin Yvon Fluoromax3で記録した。吸収スペクトルはVarian Cary 50のProbe UV-Vis分光計で記録した。source.TEM像はフィールド電子銃を有するTEM JEOL 2010で得た。粉末X線回折(PXRD)実験はCu Ka源を有するPhylips X'Pert回折計で得た。
【0094】
この実施例でのナノプレートレット合成は非配位結合性溶剤および酢酸塩の存在下でのカドミウムミリステートおよびセレンメッシュ前駆体の溶液相化学分解をベースにしたものである。
この実験では3つ口フラスコ中で170mg(0.3mmol)、85mg(0.15mmol)のカドニウム・ミリステートと、12mg(0.15mmol)のSeメッシュとを15mlのオクタデセン中で混合し、減圧の下に10分間脱気した。次いで、混合物を240℃でアルゴン下に加熱した。温度が195℃に達した時に溶液がオレンジ色になる)、55mg(0.3mmol)の酢酸亜鉛と、40mg(0.15mmol)の脱水した酢酸カドミウムとをフラスコに迅速に導入した。240℃で10分加熱した後加熱マントルを外して反応を停止させる。
【0095】
合成された粒子はエタノール沈殿で分離し、ヘキサン中に懸濁させた。ブタノール沈殿による多面体の量子ドットからプレートレットを分離し、ヘキサン中に再懸濁した。ナノパーティクル(図1aを参照)のTEM(フィールド電子銃を有するTEMJOEL 2010)観察から6ナノメートルから40ナノメートルの側部寸法を有するCdSeプレートレットの形成が証明された。このプレートレットは亜鉛-混合物結晶構造(図6)を有するし、同じ合成を酢酸塩無しで行ったYang, Y.A. et al., Synthesis of CdSe and CdTe nanocrystals without precursor injection. Angew Chem lnt Edit 44, 6712-6715 (2005) [19]に開示の場合に形成されるCdSe多面体の亜鉛-混合物形成と一致している。
【0096】
プレートレットの厚さはエッジを積み重ねて(図1d、図7)測定でき、約2.2±0.3nmであることが分かった。TEM像を用いることでプレートレットの厚さに相違は観測されなかった。しかし、図1bに見られるように、プレートレットをTEMグリッドに平らに並べたときに、異なる灰色レベルが認められ、異なる厚さのプレートレットが合成されたことが示唆している。
このプレートレットの形成は反応媒体中に酢酸塩が存在下することで得られた。
【0097】
実施例2
他の酢酸塩で実施例1に従ってCdSe材料を製造
この実施例2ではこの例では異なる酢酸塩でテストをした。実験は実施例1と同じ方法で実行したが、実施例で使った酢酸塩塩とは異なるMn(Ac)2 4H2O、Zn(Ac)2、Mg(Ac)2 4H2O、Co(Ac)2 4H2O、Na(Ac)または酢酸塩無しで実験した。これらの実験は、幾何形状が少し異なっていてもCdSeプレートレットが形成できることを示している。
【0098】
全ての場合で、元素分析結果は他の金属イオンの存在しても洗浄段階後、プレートレット結晶はカドニウムとセレニウムのみを含むことを示す。
酢酸塩を合成の初めに導入すると、大きな擬似CdSe2Dフィルムが得られる(図1f)。このフィルムの側部寸法はミクロンに達し、ロールまたはシートに巻き取り、折り重ねることができる。大部分は溶剤に可溶でない。
【0099】
CdSe結晶結晶核の形成後に酢酸塩を導入したばあいには、正方形または矩形またはより複雑な対面平面形の小さいCdSeプレートレットができる(図1a〜e)。
酢酸塩を入れないばあいには、多面体CdSe量子ドットだけが得られる。
発明者はさらに、プレートレットの形、縦横比、厚さは反応時間、噴射および成長温度およびカドニウムオレアート、酢酸塩およびセレニウムの比を系統的に変化させて制御できる。
【0100】
実施例3
本発明材料の研究
発明者は室温で合成したプレートレットの光学特性を研究した。洗浄段階およびヘキサン中への再懸濁後の全溶液の放出スペクトル(図1のTEM)をFluoromax 3 Jobin Yvon蛍光計で測定した(図2参照)。
【0101】
第1の注目に値する特徴は主螢光放出ピークの513ナノメートルでの最高放出の幅半分最高が41meV(すなわち8ナノメートル)であることにある。約500ナノメートルを発光する量子ドットまたは量子ロッドは25ナノメートルおよび35ナノメートルのFWHMを有する(合成法に依存)。こうした狭いFWHMはこの波長を発するナノパーティクルは少なくともこの放出方向において寸法が極めて均一であることを示唆している。
【0102】
放出スペクトル(図2b)の他の注目に値する特徴は、2.68eV、2.42eV、2.25eV、2.17eVにそれぞれ蛍光最大数を有する4つの個体群(以下、個体群1〜4)が溶液中に存在することである。個体群1〜3のFWHMは41meVで、これは300Kで1.6kBTである。
【0103】
本発明者が今までにテストした全ての合成CdSeプレートレットは2.68±0.01eV、2.42±0.01eVおよび2.25±0.01eVで最大発光する蛍光個体群である。
一方または他方の個体群が他方と比較して大過剰に得られる(合成法に依存)。寸法選択的沈殿を用いてさらにサブ個体群4を単離する。
一般に、最高エネルギーを発するプレートレット個体群は他に比べてヘキサンへの可溶性が低い。
【0104】
TEM像(図1)ではプレートレットの横方向寸法の大きな変化が観測されるが、非常に幅の狭いFWHMが測定される、これはプレートレットの縦横比が放出波長に対して小さな影響しか与えないことを意味する。
プレートレット個体群間の主たる相違点は厚さになるようである。
【0105】
興味深いことに、放出およびプレートレットの吸収スペクトル(図2a)は無限一次元潜在量子ウエルモデルを使用して簡単に解釈できる。このフレームワークでは吸収係数は重ホールと電子との間の第n番目のトランジションのための閾エネルギーで階段状構造[7]を有する:
hwn=Eg+Ehhn+Een = Eg+h2n2p2/2mhh*d2+h2n2p2/2me*d2 (式l)
【0106】
ルミネセンススペクトルはエネルギーhw =Eg+Ehhl+Eelでのスペクトル〜kBTのピークから成る。ここで、Egは半導体のバンドギャップであり、nは中間帯トランジションの数であり、mhh*およびme*は重ホールおよび電子の有効質量であり、dは量子井戸の厚さである。
【0107】
図2aに示す吸収スペクトルの主たる特徴は過剰個体群1、2または3を示す3つの異なる合成のホトルミネセント励起(PLE)スペクトル(図3)にも見られる。各PLEスペクトルでn=1での重ホールおよび軽ホールトランジションが明らかに見える。
【0108】
発明者は、亜鉛混合-CdSe:Eg=1.67eVの場合(Kim, Y.D. et al. Optical-Properties of Zincblende Cdse and Zn(X)Cd(I -X)Se Films Grown on Gaas.Phys Rev B 49, 7262-7270 (1994) [20]参照)に対して、n=1で、以下の数値、me*=0.11m0およびmhh*=1.14m0 ((Norris, D.J. et al., M. G. Measurement and assignment of the size-dependent optical spectrum in CdSe quantum dots. Phys Rev B 53, 16338-16346 (1996) [21])で 式1を使用して各プレートレット個体群の厚さを計算し、d=2.55 nm、2.24 nm、1.93 nmであることを見出した。より薄いプレートレットはより大きな放出エネルギーを有する。軽ホールトランジションおよび有効質量を用いて同じ操作をしてmih=0.31 m0(引例[21]参照)で、d=1.97nm、2.25 nmおよび2.54 nmの厚さを得た。
【0109】
2つのセット間の値は良く一致しており、軽ホールおよび重ホール・トランジションによることが確認される。
3つの個体群の厚さ違いは0.31±0.01 nm(ほぼ亜鉛混合CdSe結晶(a=0.608nm)の格子パラメータの正確に半分)である。このことは発明者が合成したCdSeプレートレットが一層のCdSe単層で定量化された厚さを有することを示唆している。
【0110】
各プレートレット個体群のスペクトルはFWHM<10ナノメートルで、第1エキシトンとプレートレット放出との間のストークスシフトは<10meVである。これは量子ドットおよび量子ロッドで大きなストークスシフトが観測されるのと対照的である。このようにストークスシフトが小さいことはBastard, G. et al., M. Low-Temperature Exciton Trapping on Interface Defects in Semiconductor Quantum Wells. Phys Rev B 29, 7042-7044 (1984) [22]に開示のように、正確に制御された厚さを有する量子ウエルの特徴であり、プレートレット個体群の厚さが正確に制御されていることを示唆する。式1を使用することによって、n=1でプレートレットの厚さを図3または図2bの発光スペクトルから推論できる。大きなストークスシフトがないのでこの計算は上記と全く同じ値で計算できる。
【0111】
より薄いプレートレット個体群の場合、第1の狭帯域-ギャップ輝線は小さいCdSe量子ドットで容易に観測される深いトラップ放出の大きい赤いシフトの放出特徴に先行する。
【0112】
量子井戸の場合のように、プレートレット(図2a)の吸収スペクトルはn=1のための重ホール−電子および軽ホール−電子遷移に対応する2つのメジャーなピークを有する。一つの段階はn=2の重ホール−電子遷移による。これらの特徴がプレートレット個体群に対応する2.42eVで発する。この場合、これが支配的な個体群である。他の個体群の貢献は小さく2.25eVおよび2.68eVで見られる。
【0113】
これらの光学的および構造上の観察に基づいて、本発明者はプレートレット形成が小さい亜鉛混合CdSe結晶核の形成によって予め起こると考える。この結晶核は酢酸塩塩による極めて急速な前駆体反応に先行する。プレートレットの厚さはCdSe結晶核の寸法によって固定されるようである。
【0114】
酢酸塩は出発溶液中に室温で存在し、大部分が460ナノメートルで発光する大きいCdSeフィルムだけが合成され、それに酢酸塩が導入されてより厚いプレートレットになる。
【0115】
大きなCdSe(直径>3nm)結晶核が形成された後に酢酸塩が導入した場合にはプレートレット形成の証明は見られず、極めて大きい多分散した亜鉛混合CdSe量子ドットが形成される。これとは対照的に、プレートレット溶液に前駆体を予備注入するとプレートレット厚さは変わらず、溶液中に既に存在する各プレートレット個体群の吸収および放出強度が変化する。
【0116】
本発明者はさらに、亜鉛混合結晶核の2つの平行面にミリステートが吸着するとそのエネルギーが強く下がり、より高いエネルギー表面のこれら2つの面に対して垂直な成長だけが進むと考える。CdSe結晶核をより小さくすると、横方向へのプレートレット伸長が速くなり、厚いものより高いエネルギーを有する薄いエッビになる。
【0117】
原子レベルでプレートレットの厚さを制御するのがこの成長プロセスの「自然な」結果であるが、発明者は文献[22]に開示のような子井戸成長の場合のようなプレートレット厚さの変化を排除するものではない。発明者が得たスペクトルデータは合成した大部分のプレートレットが均一な厚さを有することを示唆している。PbSeナノ結晶での形状制御における酢酸鉛の重大な役割については既にHoutepen, A.J. et al., The hidden role of acetate in the PbSe nanocrystal synthesis. J Am Chem Soc 128, 6792-6793 (2006) [23]に記載されている。発明者は発明者がCdSeナノプレートレットのために開発した合成法は他の半導体化合物にも一般化できると考える。
【0118】
単一プレートレット蛍光放出は蛍光顕微鏡および水銀ランプを励起源として使用して簡単に視覚化できる。目にはCdSe量子ドットとして強い瞬きで、ホトブリーチングに対して低い耐性を有する極めて明るいソースとしてみえる。コア/シェルプレートレット構造が合成できるかどうか分かることは興味深い。
【0119】
この種の構造はホトブリーチングに対して耐久性を増やさなければならず、瞬きを減少しなければならない(Mahler, B. et al. Towards non-blinking colloidal quantum dots. Nature Materials 7, 659-664 (2008) [24])これらは画期的なウエル・ヘテロ構造に匹敵するが、Vandermerwe, J. H. Crystal Interfaces .2. Finite Overgrowths. J Appl Phys 34, 123-& (1963) [25]に開示のように、コア/シェル間の格子のミスマッチでプレートレット上に機械的ストレスか誘発され、バックリングとツイスティグが生じるようになる。
【0120】
原子レベルでの調整可能な厚さと制御された横方向寸棒とを有するコロイド状プレートレットは2D量子ボックス用に作られる予測テストで有用である(Bryant, G.W., Excitons in Quantum Boxes - Correlation-Effects and Quantum Confinement. Phys Rev B 37, 8763-8772 (1988) [26])。例えば、エキシトンの横方向拘束を強くすることでプレートレットの振動子強度は強く増加することが予測される。
【0121】
この現象はCuCIでは既に観測されている(Nakamura, A. et al., Size-Dependent Radiative Decay of Excitons in Cud Semiconducting Quantum Spheres Embedded in Glasses. Phys Rev S 40, 8585-8588 (1989) [27]、これは量子ドットであるが、量子プレートレットではない)。
【0122】
この振動子の強化された強度でChemla, D. S. & Miller, D.A.B.Room-Temperature Excitonic Nonlinear-Optical Effects in Semiconductor Quantum-Well Structures. J. Opt. Soc. Am. B-Opt. Phys. 2, 1155-1173 (1985) [28])に開示の興味のある非線形特性が生じ、このコロイド状プレートレットを非線型光学装置の政策に適用することが可能になる。多重量子井戸の成長によってFaist, J. et al. Quantum Cascade Laser. Science 264, 553-556 (1994) [29]に記載のような量子カスケードレーザーを含むいくつかの用途の開発ができる。
【0123】
本発明者は本発明のプレートレットを積み重ね、コア/シェルプレートレットが合成でき、電気的に連結できた場合、類似装置を作ることができると考える。
【0124】
実施例4
本発明のCdS材料の製造
CdSプレートレット
3つ口フラスコ中に170mgのCd(ミリステート)2(0.3mmol)と、55mg のZn(Ac)2(0.3mmol)と、1.5mlの0.1M(0.15mmol)SODEと、13.5mlのオクタデセンとを導入し、30分間減圧下に脱気する。それから、混合物を180度で10分間アルゴン流下で加熱する。次に、ナノ結晶をエチルアルコール中に沈澱させ、ヘキサン中に懸濁する。これらはヘキサンに可溶性でない。
【0125】
実施例5
本発明のCdTe材料の製造
3つ口フラスコ中400mgのCd(酢酸)2xH2Oと、150マイクロリットルのオレイン酸と、10mlのオクタデセンとを導入し、30分間減圧下で100度で脱気する。それから混合物を150度でアルゴン流下で加熱し、その後、150マイクロリットルのTOPTe(TOP =トリオクチルホスフィン)1Mを注入する。10分間180℃で反応させる。加熱マントルを除去して室温に戻した後に、ナノ結晶をエチルアルコール中に沈澱させ、ヘキサンまたはTHF中に懸濁させる。
【0126】
実施例6
オクタデセン(ODE)でのCdSeの製造の実施例
(ODE=オクタデセン)
(1) 脱気した容器中にCd(ミリステート)2、SeメッシュおよびODEを導入し、240℃の温度で加熱する。温度が190℃に達したら酢酸塩、例えばZn(Ac)2、Cd(Ac)2xH2OまたはMn(Ac)2xH2Oを導入する。配合に従って460nm、510nmまたは550nmに最大発光を有するプレートレットが得られる。
(2) 脱気した容器中にCd(ミリステート)2、Seメッシュおよび酢酸塩、例えばZn(Ac)2、Cd(Ac)2xH2OまたはMn(Ac)2xH2O)およびODEを導入する。180〜240℃の温度で加熱する。
(3) 脱気した容器中でCd(ミリステート)2、オレイン酸およびODEを強く攪拌しながら加熱する。170℃の温度でTOPSeを導入する。220℃で再加熱して深いトラップを減らす。
(4) 脱気した容器中にSeメッシュ、オレイン酸およびODEを入れ、240℃の温度でCd(Ac)2を加える。240℃で20分間再加熱して厚いプレートレットを得る。
(5) 脱気した容器中にCdアセテート、セレニウム・メッシュおよびODEを入れ、強く攪拌しながら加熱する。170の温度でオレイン酸を導入する。220℃で再加熱し、て深いトラップを減らす。
【0127】
実施例7
CdSeプレートレットの横方向成長
CdSeプレートレットは実施例1に従って合成した。合成の最後にフラスコの内容物を冷却し、1mlのオレイン酸とヘキサンとを注入し、混合物を遠心分離した。量子ドットを含む上澄を除去し、沈降物をヘキサンに懸濁させる。媒体が懸濁するごとに遠心分離し、プレートレットを上澄から回収する。上記プロセスを510nmで発光するプレートレットが最高量で回収できるまで何度か実行する。不溶部分はCd(myr)の過剰である。
プレートレットを10mlのヘキサンへ再度懸濁させる。
【0128】
丸底フラスコ中に3mlのCdSeプレートレット溶液と、3mlのODEと、28mg(0.15mmol)のZn(Ac)2と、43mg(0.075mmol)のCd(myr)2とを導入する。フラスコを室温(20℃)で脱気し、アルゴン下に置く。
【0129】
温度は200℃にセットする。3.5 mlのトリオクチルアミンと、43mgのCd(myr)2と、1.5mlの0.1M SeODEとを注射針で3ml/時の速度で注入する。射出前にトリオクチルアミンおよびCd(myr)2の混合物を加熱してCd(myr)2を可溶化する。
【0130】
この追加の合成後段階によって、プレートレットが溶液中で横方向に合成後に成長し続けることができる。これは原子レベルで寸法が調整された制御された厚さを有するプレートレットが合成できることの証拠である。
【0131】
参照文献
[I] Yin, Y. & Alivisatos, AP. Colloidal nanocrystal synthesis and the organic-inorganic interface. Nature 437, 664-670 (2005).
[2] Hu, JT. , Odom, T.W. & Lieber, CM. Chemistry and physics in one dimension: Synthesis and properties of nanowires and nanotubes.
Accounts Chem Res 32, 435-445 (1999).
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
非-または弱-配位結合した溶剤の存在下で下記の3つの試薬:
試薬(i):XまたはXの可溶性形
試薬(ii):R≡(COOH)または酢酸塩、
試薬(iii):A(R−COO)p
中の2つを一緒に反応させる第1の段階と、
第1段階で得られる反応液に第3の試薬を加える第2段階と
を有する、式:AnXmのコロイド状材料の製造方法
(ここで、
pは1または2であり、
Rは直鎖または分岐したC1〜30アルキル基であり、
R'は直鎖または分岐したC2〜30アルキル基にあり、
試薬(i)、(ii)および(iii)は、Rが−CH3の時は、試薬(ii)はR≡(COOH)であり、Rが直鎖または分岐したC1〜30アルキル基の時は試薬(ii)は酢酸塩となるように選択し、
Xは周期律表のVまたはVl族から選択される金属であり、
Aは周期律表のII、IIIまたはIV族から選択される元素であり、
AおよびXはそれぞれ下記の組合せの中から選択される:
AがII族でXがVl族またはAがIII族でXがV族またはAがIV族でXがVl族。
【請求項2】
第1段階が非-または弱-配位結合した溶剤の存在下でのXと式A(R−COO)Pのカルボン酸塩との混合物の溶液相化学分解であり、第2段階が第1段階で得られた混合物中への酢酸塩または酢酸の注入段階である請求項1に記載の方法:(ここで、
Aは周期律表のII、IIIまたはIV族から選択される元素、
pは1および2の間の整数、
Rは直鎖または分岐したC1〜30アルキル基、
Xは周期律表のVまたはVl族から選択される金属、
nおよびmはAnXmが中性化合物となるような値であり、
(A、X)のペアーの選択ではAおよびXの周期律表の族が(II族、Vl族)(III族、V族)または(IV族、Vl族)の組合せの中から選択される。
【請求項3】
下記工程から成る請求項1または2に記載の方法:
(a) 非配位性溶剤中にAカルボン酸塩とXとを用意し、
(b) 段階(a)で得られる混合物を脱気し、
(c) 段階(b)で得られた脱気した混合物を100〜280℃、好ましくは120〜240℃の温度に加熱してAカルボン酸塩とXとの混合物を溶液相化学分解し、AnXmコロイド状材料を作り、
(d) 段階(a)と段階(b)との間または段階(b)中または段階(b)と段階(c)との間または段階(c)の加熱中、好ましくは段階(c)中に酢酸塩または酢酸を注入し、
(e) プレートレットの形のAnXmコロイド状材料を回収する。
【請求項4】
上記カルボン酸塩がアセテート、ラウリレート、ミリステート、パルミタート、ステアラートまたはC1−C30アルキル−COO−基、好ましくはC1〜20アルキル基、さらに好ましくはC4〜18アルキル基である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
非配位性溶剤がオクタデセン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、トリオクチルアミン、オクタデカナル、ディーゼルエンジン油である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
酢酸塩が、金属がCd、Mn、Zn、Mg、Co、NaまたはKである金属の金属酢酸塩である請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
酢酸塩は酢酸カドミウム二水化物、Mn(Ac)24H2O、Zn(Ac)2、Mg(Ac)24H2O、Co(Ac)24H2OまたはNaAcである請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1段階を10〜90℃の温度で実行する請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
脱気を減圧下に20〜90℃の温度で実行する請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
加熱段階を140〜260℃の温度で実行する請求項3〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
加熱段階を不活性雰囲気下で実行する請求項2〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
加熱段階を1分〜1時間の時間行う請求項2〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
アルコール沈殿で回収段階を実行する請求項2〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
Aカルボン酸塩とXとの混合物の溶液相化学分解をAカルボン酸塩とXのモル比を2A:1Xから6A:1Xで実行する請求項2〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
プロセス中に不飽和脂肪酸を加える段階をさらに有する請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
AnXmがCdSe、CdS、CdTe、InP、CuInSe、CuInS2、PbSe、PbS、InAs、InSbから成る群の中から選択される化合物である請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
AnXmがCdSeで、カドニウム・カルボン酸塩とセレニウムとの混合物を非−または弱−配位結合性溶剤および酢酸塩の存在下で溶液相化学分解する段階をさらに有する請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
式R’’−COOの追加のカルボン酸塩が段階(a)と段階(b)の間または段階(b)中または段階(b)と段階(c)の間または段階(c)中、好ましくは加熱段階(c)で下記の段階で混合物中に注入され、R''はRと同一でもことなっていてもよく、R''は直鎖または分岐したC1〜30アルキル基、好ましくは直鎖または分岐したC1〜20アルキル基基、最も好ましくは直鎖または分岐したC4−18アルキル基である請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記材料がプレートレットの形の場合に、コロイド状材料を横方向成長させる追加の段階をさらに有する請求項1−19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法で得られる式:AnXmのプレートレット材料。
【請求項21】
請求項20のAnXmコロイド状の材料、
そこにおいて、
コロイド状の材料が、プレートレットの形の下にある。
【請求項22】
コロイド状材料がナノ結晶の形をしている請求項20または21に記載のAnXmコロイド状材料。
【請求項23】
コロイド状材料は疑似2D半導体結晶である請求項20または21に記載のAnXmコロイド状材料。
【請求項24】
コロイド状材料がM−Vl、IV−VIまたはMl−V半導体結晶である請求項20または21に記載のAnXmコロイド状材料。
【請求項25】
材料がCdSeである請求項20または21に記載のAnXmコロイド状材料。
【請求項26】
コロイド状材料が10ナノメートル〜100mmの間の横方向寸法を有するプレートレットの形をした請求項20または21に記載のコロイド状材料。
【請求項27】
請求項20〜26のいずれか一項に記載の材料のレーザー製造での使用。
【請求項28】
MBEまたはMOCVD半導体材料の代用としての請求項20〜26のいずれか一項に記載の材料の使用。
【請求項29】
請求項20に記載のCdSeコロイド状材料から成る半導体ナノ粒子材料。
【請求項30】
請求項20〜26のいずれか一項に記載の材料から成る光学装置。
【請求項31】
請求項20〜26のいずれか一項に記載の材料から成るレーザー、光起電力電池またはダイオード。

【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−502157(P2012−502157A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526611(P2011−526611)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053960
【国際公開番号】WO2010/029508
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(511064306)
【Fターム(参考)】