説明

コロイド状二酸化ケイ素を含むペレット製剤

本発明は、界面活性剤及び可塑剤のどちらか1つ又はその両方と、コロイド状二酸化ケイ素(CSD)とを含む、ペレット製剤を提供する。前記製剤の製造プロセスも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物及びペレット製剤、特に医薬製剤、へのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
押出し/球状化(spheronization)プロセスにより、いくつもの主要な医薬ペレット製剤が調製される。活性成分及び賦形剤を液体(通常は水)と混合して、ペーストを作り、これは、引き続き、メッシュに押し通してストランドを形成する。次いで、これらのストランドをシリンダー中で回転する水平板上に置くと、砕かれ、丸められて球形ペレットになる。ペレットを乾燥させ、所望の場合は、例えば、腸溶コーティングで被覆してもよい。
【0003】
市販のペレット製剤は、賦形剤として微結晶セルロース(MCC)を含むことが多い。幾つもの代替賦形剤、例えば、粉末セルロース(Lindner et al,J.Pharm.Pharmacol,1994,46,2〜7)、ワックス、デンプン及びマルトデキストリンの組み合わせ(Zhou et al,Int.J.Pharm.,1996,133,155〜160)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース(Chatlapalli et al,Int.J.Pharm.,1998,161,179〜193)、β−シクロデキストリン(Gazzaniga et al,Drug Dev.Ind.Pharm.,1998,24,869〜873)、ペクチニン酸(Tho et al,Eur.J.Pharm.Sci.,2002,54,95〜99)、キトサン(Steckel et al,Eur.J.Pharm.Biopharm.,2004,57,197〜114)、モノステアリン酸グリセリン(Newton et al,Pharm.Technol.Eur.,2004,16(10)21〜27)及びデンプン−デキストリン(Almeida Prieto et al,Eur.J.Pharm.Biopharm.,2005,59,511〜521) が提案されたが、これら材料の何れも、MCCの適切な代替品として認められなかった。MCCは、ペレット製剤中に賦形剤として一般に使用されるが、特定の薬物、例えばラニチジン、と不適合性である。
【0004】
コロイド状二酸化ケイ素(CSD)は、ケイ素化合物、例えば四塩化ケイ素、の蒸気相加水分解により製造されたヒュームドシリカである。生成物自体は、通常、サブミクロンのふんわりした、軽い、ルーズな青白色無味無臭非晶質粉末であり、これは、Cabot Corporation(商標名Cab−O−Sil)、Degussa,Inc.(商標名Aerosil)、Huber Engineered Materials(Huber GL100及びGL200)、Wacker(Wacker HDK(登録商標))及びE.I.DuPont&Co.を含む多数の会社から市販されている。CSDは、コロイド状ケイ素、ヒュームドシリカ、軽質無水ケイ酸、無水ケイ酸、及び特に二酸化ケイ素ヒュームドとしても公知である。さまざまな商用銘柄のCSDが、製造プロセスを変化させることにより製造される。
【0005】
CSDは、流動促進剤、即ち、粉末流を改良するために添加される物質、として、錠剤及びカプセル製剤中に使用される。錠剤及びカプセル中に含まれる二酸化ケイ素量は、通常、非常に制限されており、例えば0.1〜0.5重量%である。このことは、錠剤及びカプセルの製造に使用される粉末混合物中の二酸化ケイ素の量を増加させると、混合物が非常によく流動するようになり、その結果、錠剤又はカプセルの重量を変化させ、不均一な含量分布を引き起こすという事実に部分的に起因する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、CSDが、界面活性剤及び/又は可塑剤1種以上と組み合せると、製剤、特にペレット製剤中へ賦形剤として使用するのに特に好適であるという発見に、少なくとも一部、基づく。更に詳細には、CSDと界面活性剤及び/又は可塑剤との化合物は、ペレット製剤用球状化助剤として、MCCに代わって有効に機能する代替物を提供することが判明した。
【0007】
従って、本発明は、界面活性剤及び可塑剤のどちらか1つ又はその両方とCSDとを含むペレット製剤を提供する。
【0008】
本発明のペレット製剤の製造プロセスも提供され、このプロセスは、コロイド状二酸化ケイ素(CSD)を界面活性剤及び可塑剤のどちらか1つ又はその両方と混合するステップと、生じた混合物から1つ以上のペレットを形成するステップとを含む。
【0009】
詳細には、製剤は、押出し/球状化プロセスにより得ることができる。これは、界面活性剤及び/又は可塑剤を含有する水溶液と、CSDと、場合により、例えば、治療薬、診断薬、除草剤、殺虫剤、肥料、動物飼料から選択される他の成分1種以上とを混合することにより、湿塊又はペーストを形成するステップを含んでよい。湿塊は、例えば、充填剤、崩壊剤、保存剤、安定剤、抗酸化剤及び結合剤から選択される他成分1種以上を含んでもよい。次いで、湿塊は、メッシュもしくはスクリーン又は細長押型(long die)システム(例えばラム、回転シリンダー又は回転ギア)を使用して押し出すことができる。次いで、押し出された材料を球形にし、所要の場合は乾燥させて、1つ以上のペレットを形成し、これに、コーティングを施し、及び/又は例えばカプセルに充填することができる。
【0010】
本発明の製剤は、医薬製剤であってよいか、又は農業又は園芸で使用するのに適するものであってよい。例えば、製剤は、治療薬(ワクチンを含む)、診断薬、除草剤、殺虫剤、肥料又は動物飼料の送達に有用なこともある。本発明の医薬製剤は、等価のMCC系製剤と比較して、その薬剤含量をより迅速に放出することができる。CSD含有ペレットは、MCC含有ペレットと比較して、より迅速な水中分解速度を有することが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】製剤1、2、3、4、11及び12の溶解プロフィルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、界面活性剤及び/又は可塑剤と一緒にCSDを含有するペレット製剤を提供する。製剤は、医薬製剤であってよい。ペレットは、固体製剤、例えばカプセル又はパッケージ、を製造するのに使用することができる。
【0013】
CSDは、親水性及び疎水性形態を含む種々の形態で存在してよい。CSDは、平均一次粒度に基づいて、約1ナノメートル(nm)から約100ミクロン(μm)までのサイズを有する粒子を含んでよい。賦形剤は、乾燥減量にして約0.5〜2.5%(LOD)という含水率、詳細には約0.5〜約1.8%LOD、更に詳細には0.8〜1.5%LOD、殊に約0.8〜約1.2%LODの含水率を有する。
【0014】
CSDの表面積は、約50m/gm〜約500m/gmの範囲であってよい。平均一次粒径は、約5nm〜約50nmの範囲であってよい。市販のコロイド状二酸化ケイ素生成物においては、これらの粒子は、種々の範囲まで集塊するか又は凝集する。CSDのバルク密度は、約20g/l〜約100g/lの範囲であってよい。
【0015】
CSDは、軽質又は高密度形態であってよい。軽質CSDは、概して、約40g/l〜約80g/l(例えば、約50g/l〜約60g/l)のタップ密度値を有し、他方高密度CSDは、概して、約80g/l〜約200g/l(例えば、約90g/l〜約120g/l)のタップ密度値を有する。軽質CSDの例には、Cab−O−Sil M−5(36.8g/l,Cabot)及びCab−O−Sil S−17(72g/l,Cabot)がある。高密度CSDの例には、Aerosil 200VV(134g/l,Degussa)、Aerosil 130VV(118g/l,Degussa)、Aerosil R972V(115g/l,Degussa)、Aerosil R974V(105g/l,Degussa)、Cab−O−Sil M−7D(100g/l,Cabot)、Wacker HDK H2000(220g/l)、H2015(200g/l)及びH2050(200g/l)がある。
【0016】
市販のCSD生成物は、例えば、約50±15m/gm(Aerosil OX50)から約400±20m/gm(Cab−O−Sil S−17)又は390±40m/gm(Cab−O−Sil EH−5)までの範囲のBET表面積を有する。市販の平均粒度は、公称粒径7nm(例えばCab−O−Sil S−17又はCab−O−Sil EH−5)から平均一次粒度40nm(Aerosil OX50)までの範囲にある。これらの生成物の4%水分散液のpHは、pH3.5からpH4.5の範囲にある。これらの市販生成物は、市販CSD材料の性質を例示するために記載されているのであって、これらに限定されると解釈すべきではない。
【0017】
MCCを実質的に含まない製剤、特にMCC不含製剤、が記述される。
【0018】
製剤は、非イオン性、イオン性及び両性界面活性剤から選択できる界面活性剤(即ち表面活性薬剤)1種以上を含んで良い。非イオン性界面活性剤の例には、クレモホール(例えばCremophor ELP(登録商標名))、プルロニック(pluronic)化合物、Tween化合物(例えばTween 80(登録商標名))及びこれらの混合物がある。イオン性界面活性剤は、アニオン又はカチオン界面活性剤であってよい。アニオン界面活性剤の例には、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸石鹸、アルキルスルホネート、アルキルホスフェート、エーテルホスフェート、塩基性アミノ酸の脂肪酸塩、トリエタノールアミン石鹸及びアルキル第四アンモニウム塩があり、他方、カチオン界面活性剤例は、セトリミドである。両性界面活性剤には、レシチン、ベタイン及びアミノカルボン酸塩がある。製剤は、界面活性剤の水溶液を含むことができる。
【0019】
製剤は、可塑剤、例えばグリセリド、例えばモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド又はこれらの混合物、を1種以上含んでよい。
【0020】
製剤は、スクロース脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル(例えばトリオレイン酸ソルビタン)、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、メトキシポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルチオエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド及びアルキルアミンオキシド並びに胆汁酸及びその塩(例えばケノデオキシコール酸、コール酸、デオキシコール酸、デヒドロコール酸及びこれらの塩並びにこれらのグリシン又はタウリン抱合体)のうちの1つ以上を含んでよい。
【0021】
製剤は、界面活性剤及び可塑剤を含んでよい。前記可塑剤、特にグリセリド、のうちの1種以上及び界面活性剤を含有する水溶液を使用して得られる製剤が、特に記述される。
【0022】
製剤は、ペレット(即ち球形)形状であり、即ち、製剤は、CSD及び界面活性剤及び/又は可塑剤を含むペレット1つ以上を含む。製剤は、複数のペレットを含んでよい。1実施形態では、各ペレットは、実質的に回転楕円形(spheroidal)である。一例として、各ペレットは、約0.1mm〜約5.0mm、例えば約0.5mm〜約5.0mm、特に約0.5mm〜約2.5mm、更に特に約0.8mm〜約1.5mmの直径を有してよい。ペレットは、押出物、カプセル、錠剤、粉末、顆粒等の製造に使用することができる。
【0023】
本発明のペレット製剤は、CSDを界面活性剤及び/又は可塑剤と混合し、生じた混合物から1つ以上のペレットを形成ことにより得ることができる。ペレット製剤の特性は、CSD及び界面活性剤及び/又は可塑剤の量を変えることにより最適化することができる。成分の好適な割合は、本明細書中に記載の実施例中に示されるが、限定するものではない。実施形態では、CSDは、少なくとも1重量%、例えば約5〜約50重量%、特に約10〜約40重量%の量で使用される。
【0024】
製剤は、当技術分野で公知の任意の好適な技術を使用して製造でき、そのような技術には、押出し/球状化、回転パン(rotating pan)、遠心回転処理(centrifugal rotary processing)、流動床凝集、造粒/球状化及び直接球状化がある
【0025】
詳細には、製剤は、押出し/球状化プロセスにより得ることができる。押出し/球状化には、一般に、乾燥成分(例えば薬物及び賦形剤)の乾燥ブレンドステップ、乾燥ブレンドの湿式造粒ステップ、湿塊をメッシュに通し、圧縮円筒形ストランドを生じる押出しステップ及びこのストランドをスフェロナイザーで球状化するステップが含まれる。一般に、組成物の乾燥ブレンドがまず調製される。次いで、絶えず混合しながら、必要な密度の粒状化が得られるまで、水をゆっくりと添加する。あるいは、薬物又は他の活性成分が水に可溶ならば、水に溶解させ、この溶液を粒子組成物に添加することができる。湿式造粒では、適切なサイズのメッシュを通して押し出し、研削表面を備えた回転ディスクを使用して、球状化する。球状化装置は、典型的には、水平回転プレートを備えた中空円筒からなり、これは、通常、溝が掘られているか又は鋸歯状にされている。フィラメントは、短いセグメントに砕かれ、一般に約200rpm〜約2000rpmの範囲の速度で回転するプレートの上面で、球形又は準球形粒子に変形される。必要な速度は、これらの例示の値より小さいか又は大きくてよく、一般に、荷重と同様に球状化プレート、サイズ及びデザインに依存することが、認識されよう。回転ディスクのひっくり返し(tumbling)/囲い込み(roping)動作のもとで、円筒状ストランドが、より小さいセグメントに砕かれ、該セグメントは、平滑化及び丸み付けを受けて、回転楕円体を形成し、次いでこれを乾燥させる。球状化粒子は、例えば、空気乾燥又は静状態(static condition)で、又はこれらの組み合わせのような、任意の好適な手段で乾燥させることができる。具体的には、球体は、流動床又は慣用のオーブン中で、通常、約0.5%〜約5%の水分レベルまで乾燥させることができる。粒子は、そのまま使用するか、又は被覆して、錠剤、カプセル、パケット及び他の製剤に使用するための顆粒が得られる。
【0026】
製剤は、例えば腸溶コーティング及び当技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティング又はシェルを1つ以上含んでよい。これらは、場合により、乳白剤を含有してもよく、かつ活性成分のみを放出するか、又は好ましくは腸管の特定の部分で、及び/又は、遅延方式で、放出するように構成することもできる。製剤は、CSDと界面活性剤を含むコア上が活性成分で被覆されているノンパレイル(non−pareil)製剤であってよい。
【0027】
製剤は、親水性コーティング又は疎水性コーティングを含んでよい。親水性コーティングとして使用するのに好適な材料例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Colorcon,West Point,Pa.から市販のOpadry(登録商標名)及びKollicoat SR30)である。疎水性コーティングとして有用な材料には、アクリル酸の誘導体(例えば、メタクリル酸、アクリル酸のエステル及びこれらのコポリマー)、セルロース及びこれらの誘導体(例えばエチルセルロース)、ポリビニルアルコール等がある。
【0028】
コーティングは、当業者に公知の任意の方法で施与することができる。例えば、1実施形態では、コーティングは、流動床を介して、又はコーティングパン中で施与する。
【0029】
製剤は、更に、a)充填剤又は増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸;b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアカシア;c)保湿剤、例えばグリセリン;d)無機化合物を含む崩壊剤、例えば酸化鉄、硫酸バリウム及び炭酸カルシウム;e)溶解遅延剤、例えばワックス;f)吸収促進剤、例えば第四アンモニウム化合物;g)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセリン;h)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイト粘土;i)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの混合物;のうちの1種以上を含んでよい。製剤は、更に緩衝剤を含んでよい。
【0030】
製剤は、特に医薬製剤である。そのため、本発明製剤は、薬剤活性成分1種以上を含んでよい。医薬製剤は、主に固体形状である。経口投与用製剤が詳細に記述される。ペレットを使用して、医薬製剤、例えば、カプセル、錠剤、粉末及び顆粒、を製造することができる。製剤は、パレイル又はノンパレイル製剤であってよい。
【0031】
医薬製剤では、特定の患者、組成及び投与形態に関して所望の治療応答を得るのに効果のある活性成分量を得るために、製剤中の活性成分の実際の投与量レベルを変えることができる。選択された投与量レベルは、特定化合物の活性、投与経路、治療される病状の重症度及び治療される患者の状態及び過去の病歴に依存しよう。しかしながら、所望の治療効果を得るのに必要な量より低いレベルの化合物投与量で開始し、所望の効果が得られるまで、この投与量を徐々に増加させることは、当技術分野のスキルの範囲内である。
【0032】
単回投与又は複数回投与で投与され得る活性成分の典型的投与量レベルは、1日当たり、患者の体重の1kg当たり、約0.01〜約500mgである。詳細には、投与量レベルは、1日当たり、約0.1〜約250mg/kg、例えば1日当たり、約0.5〜約100mg/kg、であってよい。好適な投与量レベルは、1日当たり、約0.01〜250mg/kg、1日当たり、約0.05〜100mg/kg、又は1日当たり、約0.1〜50mg/kgであってよい。この範囲内で、投与量は、1日当たり0.05〜0.5、0.5〜5又は5〜50mg/kgであってよい。経口投与に関しては、治療すべき患者の症状に合わせた投薬量を投与するために、製剤は、活性成分を1.0〜1000mg、詳細には、1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0.800.0、900.0及び1000.0mg含有してよい。製剤は、1日当たり1〜4回、好ましくは1回か2回のレジメ(regime)で投与することができる。投薬量レジメは、最適の治療応答を提供するように調整することができる。
【0033】
製剤は、全身的に活性のある治療薬、局所的に活性のある治療薬、殺菌剤、化学的含浸剤、清浄薬、デオドラント、香料、染料、動物忌避剤、防虫剤、肥沃剤、農薬、除草剤、防かび剤及び植物成長促進剤等から選択される活性成分1種以上を含むことができる。製剤中に存在する活性成分の割合は、約0.001%〜約90%、特に約0.1%〜約60%の範囲であってよい。
【0034】
多種多様の治療剤を、本発明と共に使用することができる。本発明の組成物中に使用される治療剤(例えば、医薬品)として、水溶性及び水不溶性の両方の薬物を挙げることができる。好適な薬剤の例には、抗ヒスタミン剤(例えば、ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン及びマレイン酸デクスクロルフェニラミン)、鎮痛薬(例えば、アスピリン、コデイン、モルヒネ、ジヒドロモルホン、オキシコドン等々)、非ステロイド系抗炎症剤(例えば、ナプロキシン(naproxyn)、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェン、スリンダク)、制吐剤(例えば、メトクロプラミド)、抗てんかん薬(例えば、フェニトイン、メプロバメート及びニトレゼパム)、血管拡張剤(例えば、ニフェジピン、パパベリン、ジルチアゼム及びニカルジリン(nicardirine))、鎮咳剤及び去痰剤(例えば、リン酸コデイン)、抗喘息薬(例えば、テオフィリン)、制酸剤、鎮痙薬(例えば、アトロピン、スコポラミン)、抗糖尿病薬(例えば、インスリン)、利尿剤(例えば、エタクリン酸、ベンドロフルアジド)、抗降圧薬(例えば、プロプラノロール、クロニジン)、抗高血圧薬(例えば、クロニジン、メチルドーパ)、気管支拡張剤(例えば、アルブテロール)、ステロイド剤(例えば、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、プレドニゾン)、抗生物質(例えば、テトラサイクリン)、抗痔性剤、催眠薬、向精神薬、下痢止め薬、粘液溶解薬、鎮静剤、充血除去剤、緩下薬、ビタミン、刺激剤(フェニルプロパノールアミンなどの食欲抑制剤を含む)がある。活性成分として、塩酸エフェドリンが、特に、記述され、これは、鼻充血除去剤として使用できるか又は感冒の治療に使用できる。パラセタモール、イブプロフェン及びラニチジンも記述される。
【0035】
多種多様な局所的活性薬剤を使用でき、水溶性及び水不溶性の両方の薬剤がある。場合によっては活性薬剤が、周囲粘膜を介して血中へと吸収されて全身に活性を及ぼすこともあるが、本発明の制御放出製剤中に含まれ得る局所的活性薬剤は、使用する環境、例えば口腔、内でその効果を発揮することが意図される。局所的活性薬剤には、抗真菌剤(例えば、アンホテリシンB、クロトリマゾール、ニスタチン、ケトコナゾール、ミコナゾール等々)、抗生物質(ペニシリン、セファロスポリン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド等々)、抗ウィルス剤(例えば、アシクロビル、イドクスウリジン等々)、呼気清涼剤(例えば、クロロフィル)、鎮咳剤(例えば、塩酸デキストロメトルファン)、抗虫歯発生(anti-cariogenic)化合物(例えば、フッ化物の金属塩、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ、フッ化アミン)、鎮痛薬(例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸等々)、局所麻酔薬(例えば、ベンゾカイン)、口腔消毒薬(例えば、クロルヘキシジン及びその塩、ヘキシルレゾルシノール、塩化デクアリニウム、塩化セチルピリジニウム)、抗炎症剤(例えば、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン等々)、ホルモン剤(エストリオール)、抗歯垢剤(例えば、クロルヘキシジン及びその塩、オクテニジン、及びチモール、メントール、サリチル酸メチル(methysalicylate)、オイカリプトールの混合物)、酸度降下剤(例えば、リン酸水素二カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の緩衝剤)及び歯減感剤(例えば、硝酸カリウム)がある。本発明製薬剤として、他の局所的活性剤、例えば、風味剤及び甘味料も挙げることができる。
【0036】
以下の実施例により、本発明を説明する。
【実施例】
【0037】
例1
以下の成分を混合して、ペーストを形成した。
【表1】

【0038】
次いで、混合物を直径1mmの押型により、長さ4mmに押し出し、500rpmの12.5cmプレート上で5分間かけて球形にし、一定の重量になるまで60℃で乾燥させて、ペレット製剤を製造した。
【0039】
例2
以下の成分を混合して、ペーストを形成した。
【表2】

【0040】
次いで、混合物を1.5mmのスクリーンを通して押し出し、12.5cmプレート上で低速度により球形にし、かつ一定の重量になるまで乾燥させて、ペレット製剤を製造した。
【0041】
例3
以下の成分を含有するペレット製剤を、例2に記載の手順により調製した。
【表3】

【0042】
例4
以下の成分を含有するペレット製剤を、例2に記載の手順により調製した。
【表4】

【0043】
例5
種々のCSD含有ペレット製剤を製造した。各製剤を製造するのに使用した出発材料及び方法は、以下の表にまとめた。
【表5】

【0044】
親水性グレードCSD(Aerosil 200(登録商標名),Degussa)を、各製剤に使用した。ラクトースは、BPグレードのラクトース一水和物であった。界面活性剤は、蒸留水中に、Cremophor ELP(BASF)5%を含むCMP溶液であった。可塑剤として、Imwitor 742(登録商標名)を使用した。製剤1〜5、11及び12に使用した薬物は、塩酸エフェドリンであった。製剤15と16では、薬物はパラセタモールであるが、製剤17ではイブプロフェンを使用した。
【0045】
各場合に使用したスフェロナイザーは、低速にセットした12.5cmクロスハッチプレートを包含した。前記表に示されたスフェロナイザーの速度は、設備ユニット内で測定したものである。製剤1〜14の球状化時間は、10分であった。製剤15〜18に関しては、球状化時間は5分であった。1.5mmラジアルスクリーン(radial screen)並びに1mm直径及び4mm長さの細長押型を含むラムを使用した。
【0046】
各ペレット製剤の特性を以下の表にまとめる。製剤1、2、3、4、11及び12の溶解プロフィルは、図1に示す。各製剤に関し、70%溶解に達するのにかかった時間は、ただの10分であった。BP2005の共通基準並びに他の全ての欧州、US及び日本の薬局方の共通基準は、70%溶解について、最大45分であった。
【0047】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤及び可塑剤のどちらか1つ又はその両方と、コロイド状二酸化ケイ素(CSD)とを含むペレット製剤。
【請求項2】
前記製剤が、ペレット1つ以上を含み、かつ該1つのペレット、または、各ペレットが、約0.5mm〜約5.0mmの直径を有する請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
該1つのペレット、または、各ペレットが、約0.5mm〜約2.5mmの直径を有する請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
界面活性剤を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤を含む請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
クレモホールまたはプルロニック化合物を含む請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
Cremophor ELP(登録商標名)を含む請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
Tween 80(登録商標名)を含む請求項5乃至7のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
イオン性界面活性剤を含む請求項4乃至8のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項10】
アニオン界面活性剤を含む請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
ラウリル硫酸ナトリウムを含む請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
カチオン界面活性剤を含む請求項9に記載の製剤。
【請求項13】
セトリミドを含む請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
両性界面活性剤を含む請求項4乃至13のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項15】
レシチンを含む請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
可塑剤を含む請求項1乃至15のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項17】
グリセリド、例えばモノグリセリド、ジグリセリド又はこれらの混合物を含む請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
界面活性剤及び可塑剤を含む請求項1乃至17のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項19】
前記CSDが、親水性である請求項1乃至18のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項20】
前記CSDが、疎水性である請求項1乃至19のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項21】
更に賦形剤を含む請求項1乃至20のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項22】
前記賦形剤が、炭酸マグネシウム又はラクトース一水和物である請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
微結晶セルロース(MCC)を実質的に含まない請求項1乃至22のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項24】
治療薬を含む請求項1乃至23のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項25】
塩酸エフェドリン、パラセタモール、イブプロフェン又はラニチジンを含む請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
診断薬、除草剤、殺虫剤、肥料又は動物飼料を含む請求項1乃至23のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項27】
治療に使用するための請求項24又は25に記載の製剤。
【請求項28】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載のペレット製剤を製造するプロセスであって、コロイド状二酸化ケイ素(CSD)を界面活性剤及び可塑剤のどちらか1つ又はその両方と混合するステップと、生じた混合物から1つ以上のペレットを形成するステップとを含む製造プロセス。
【請求項29】
前記CSD及び界面活性剤及び/又は可塑剤と、治療薬、診断薬、除草剤、殺虫剤、肥料及び動物飼料から選択される成分1種以上とを混合するステップを含む請求項27に記載のプロセス。
【請求項30】
前記CSD及び界面活性剤及び/又は可塑剤と、充填剤、崩壊剤、保存剤、安定剤、抗酸化剤及び結合剤から選択される成分1種以上とを混合するステップを含む請求項28又は29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記可塑剤が、グリセリドであ請求項28乃至30のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記CSDと、界面活性剤及び/又は可塑剤を含有する溶液(例えば、水溶液)とを混合して、湿塊又はペーストを形成するステップを含む請求項28に記載のプロセス。
【請求項33】
前記CSD及び前記溶液と、請求項29乃至31のいずれか1項に記載の成分1種以上とを混合するステップを含む請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記湿塊又はペーストを押し出すステップを更に含む請求項32又は33に記載のプロセス。
【請求項35】
湿塊又はペーストが、メッシュもしくはスクリーン又は細長押型システム(例えばラム、回転シリンダー又は回転ギア)を使用して押し出す請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記押し出された材料を球形にして、1つ以上のペレットを形成するステップを更に含む請求項34又は35に記載のプロセス。
【請求項37】
該1つのペレット、または、各ペレットが、約0.5mm〜約5.0mmの直径を有する請求項28乃至36のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記ペレットにコーティングを施すステップを更に含む請求項28乃至37のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項39】
前記界面活性剤が、請求項5乃至15のいずれか1項に記載のものである請求項28乃至38のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項40】
界面活性剤及び可塑剤のどちらか1つ又はその両方を含有するペレット製剤中への賦形剤としてのコロイド状二酸化ケイ素(CSD)の使用。
【請求項41】
前記製剤が、治療薬、診断薬、除草剤、殺虫剤、肥料又は動物飼料を含む請求項40に記載の使用。
【請求項42】
ペレット製剤の製造における球状化助剤としてのコロイド状二酸化ケイ素(CSD)の使用。
【請求項43】
医薬製剤を製造するための請求項1乃至25のいずれか1項に記載のペレット製剤の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−544578(P2009−544578A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517443(P2009−517443)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050367
【国際公開番号】WO2008/001140
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(508043109)ユニヴァーシティ・オヴ・サンダーランド (4)
【Fターム(参考)】