説明

コロイド状粒子のような粒子を使用するテンプレーティングのシステムおよび方法

本発明は、一般的に、粒子テンプレーティングを用いて、例えば、複合材料、個々に独立した粒子などを作製するための系および方法に関する。一部の実施形態において、本発明は、一般的に、テンプレート構造内のテンプレーティング要素間の間隙空間を用いた粒子の作製に関する。例えば、複数のテンプレーティング要素(コロイド状粒子が挙げられ得る)は、テンプレート構造を形成するように配置され得る。テンプレーティング要素同士の隙間により、流体が導入され得る領域が提供され得る。流体は、一部の場合において、例えば、テンプレーティング要素と間隙セグメントで構成される複合材料を形成するために硬化(例えば、凝固)され得る。一部の特定の実施形態では、硬化した流体を、例えば複数の個々に独立した粒子として離型させるために、次いでテンプレート構造が破壊され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2009年3月13日に出願された表題「Systems and Methods of Templating Using Particles such as Colloidal Particles」の米国仮特許出願第61/160,040号(これは、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に、粒子テンプレーティング(templating)を用いて、例えば、複合材料、個々に独立した粒子、網目様構造、発泡体様構造などを作製するための系および方法に関する。一部の実施形態において、本発明は、一般的に、テンプレート構造の間隙空間を用いた有機物の構造化形態組織の作製、特に、有機物の網目様構造および/または粒子の作製に関する。特定の実施形態において、該粒子は医薬活性成分を含むものである。
【背景技術】
【0003】
コロイド系は、ある物質が別の物質全体に分散されている混合物の一類型である。分散される物質は、典型的には、(例えば、溶液の場合のように溶解されているのではなく)混合物中に懸濁されている。したがって、コロイド系は、典型的には、少なくとも2つの別々の相:分散相(または内部相)と連続相(または分散媒体)を有する。コロイド系は、各相に、固体成分、液体成分および/または気体成分を含むものであり得る。例えば、コロイド系は、液体連続相に囲まれた固体もしくは気体の粒子を含むもの、または固体連続相に囲まれた固体粒子を含むものであり得る。液体連続相に囲まれた固体粒子のコロイド系の一例は、血液または一部の特定の型の塗料などの分散液(またはゾル)である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一般的に、粒子テンプレーティングを用いて、例えば、複合材料、個々に独立した粒子、網目様構造、発泡体様構造などを作製するための系および方法に関する。本発明の主題は、一部の場合において、交互関連型生成物、特定の課題に対する代替解決手段、および/または1種類以上の系および/または物品の複数の異なる使用を含む。
【0005】
本発明の一態様は、テンプレーティング要素間の1つ以上の間隙空間を画定し得る複数のテンプレーティング要素から形成されたテンプレート構造の使用に関する。一部の場合では、実質的に均一な大きさおよび/または形状の粒子が、本明細書に記載のものなどの手法を用いて形成され得る。以下に論考するように、かかる粒子の大きさおよび形状を適応させることができることは、種々の分野、中でも、例えば、医薬品、農芸化学、薬物送達、化粧料、飼料および食品、ならびに光学などにおいて適用用途を有し得る。
【0006】
一部の実施形態では、方法を記載する。一部の場合では、該方法は、相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造を提供する工程を含み、ここで、該1つ以上の間隙空間内に含まれる点の少なくとも約80%はテンプレーティング要素から約1000nm以内に存在する。一部の実施形態において、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である。該方法は、さらに、該間隙空間の少なくとも一部分に流体を導入する工程、および該流体を硬化させ、該テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程を含むものであってもよい。
【0007】
該方法は、いくつかの例において、相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造を提供する工程を含み、ここで、該間隙空間の少なくとも約80%は少なくとも4つの制御線によって画定され、各制御線は、近接した2つのテンプレーティング要素間に延在する最も短い想像線を含み、該制御線の中心点群は1つ以上の多面体を画定し、該多面体の各々は約(750nm)以下の体積を有する。一部の実施形態において、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である。該方法は、さらに、該間隙空間の少なくとも一部分に流体を導入する工程、および該流体を硬化させ、該テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程を含むものであってもよい。
【0008】
一部の場合では、該方法は、相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造を提供する工程を含み、ここで、該間隙空間の少なくとも約80%は少なくとも4つの制御線によって画定され、各制御線は、近接した2つのテンプレーティング要素間に延在する最も短い想像線を含み、該制御線の中心点群は1つ以上の多面体を画定し、該多面体は各々、該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の3乗の約50%以下の体積を有する。該方法は、さらに、該間隙空間の少なくとも一部分に流体を導入する工程、および該流体を硬化させ、該テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程を含むものであってもよい。
【0009】
該方法は、一部の実施形態において、テンプレーティング要素の網目を提供する工程を含み、該テンプレーティング要素の少なくとも約70%は少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、該2つのテンプレーティング要素の2つの表面間の最小間隔が該2つのテンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約20%以下となるように非常に近接している。一部の実施形態において、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である。該方法は、さらに、該テンプレーティング要素の網目の少なくとも一部分に流体を、該テンプレーティング要素の全面が流体で完全に覆われないように、該流体がテンプレーティング要素間の隙間の少なくとも一部分を占有するように導入する工程を含むものであってもよい。また、該方法は、硬化した流体内に含まれる点群の少なくとも約80%がテンプレーティング要素から約1000nm以内に存在するように、該流体を硬化させ、該テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程を含むものであってもよい。
【0010】
一部の実施形態では、粒子の作製方法を記載する。一部の実施形態において、該方法は、相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定するテンプレーティング要素の網目を含むテンプレート構造を提供する工程を含み、ここで、該間隙空間内に含まれる点群の少なくとも約80%がテンプレーティング要素から約1000nm以内に存在する。一部の実施形態において、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である。また、該方法は、該間隙空間の少なくとも一部分に少なくとも1種類の流体を導入する工程、該流体を硬化させ、テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程、および少なくとも一部において、該複合材料を解離させて粒子を形成させる工程を含むものであってもよい。
【0011】
一部の実施形態では、活性な粒子の作製方法を記載する。該方法は、いくつかの例において、相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定するテンプレーティング要素の網目を含むテンプレート構造を提供する工程を含むものであり得、ここで、該間隙空間の少なくとも約80%は少なくとも4つの制御線によって画定され、各制御線は、2つのテンプレーティング要素間に延在する最も短い想像線を含み、該制御線の中心点群は1つ以上の多面体を画定し、該多面体の各々は約(750nm)以下の体積を有する。一部の実施形態において、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である。また、該方法は、該間隙空間の少なくとも一部分に少なくとも1種類の流体を導入する工程、該流体を硬化させ、テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程、ならびに少なくとも一部において、該複合材料を解離させて化学的および/または生物学的に活性な粒子を形成させることを含むものであってもよい。
【0012】
別の態様では、物品を提供する。一部の実施形態において、物品は、相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造と、該間隙空間の少なくとも一部分内の硬化した流体を含むものであり得る。いくつかの例において、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である。一部の場合では、硬化した流体は、過剰の水性溶媒中で、約10分以内に実質的に完全に溶解し得るものである。
【0013】
物品は、一部の実施形態において、相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造と、該間隙空間の少なくとも一部分内の硬化した流体を含み、該硬化した流体が、過剰の水性溶媒中、周囲条件下で、同じ体積を有するがテンプレーティング要素が存在しない硬化した流体の試料の該過剰の水性溶媒中での対照溶解速度よりも少なくとも約2倍大きい溶解速度を示すものであり得る。
【0014】
一例において、物品は、相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造と、該間隙空間の少なくとも一部分内の硬化した流体を含み、該物品の体積が、第1体積を有する第1サブ複合材料と、第1体積の最大でも10分の1である第2体積を有する第2サブ複合材料とが形成されるように縮小可能なものであり得る。一部の実施形態において、第1サブ複合材料中の硬化した流体が、過剰の水性溶媒中でゼロでない第1溶解時間を示し、第2サブ複合材料中の硬化した流体が、該過剰の水性溶媒中でゼロでない第2溶解時間を示す。一部の場合では、第1溶解時間は、第1溶解時間と第2溶解時間の短い方と比べて、第2溶解時間の約25%以内であり得る。
【0015】
物品は、一部の実施形態において、約1mm未満の最大断面寸法を有し、相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数の実質的に球状のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造と、該間隙空間の少なくとも一部分内の硬化した流体を含み、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5であるものであり得る。
【0016】
本発明の他の態様、実施形態および特徴は、添付の図面とともに検討すると以下の詳細説明から明らかとなろう。添付の図面は模式的であり、縮尺比に注目することを意図しない。明瞭にする目的で、当業者が本発明を理解するのに図示が必要でない場合は、各図において各成分に符号表示をせず、本発明の各実施形態の各成分を図示していない。引用により本明細書に組み込まれる特許出願および特許はすべて、引用によりその全体が組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書(定義など)に支配される。
【0017】
本発明の非限定的な実施形態を、一例として、添付の図面を参照しながら説明する。添付の図面は模式的であり、縮尺比に注目することを意図しない。図において、図示した同一またはほぼ同一の各成分は、典型的には単一の数字で示している。明瞭にする目的で、当業者が本発明を理解するのに図示が必要でない場合は、各図において各成分に符号表示をせず、本発明の各実施形態の各成分を図示していない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、一連の実施形態によるテンプレート構造の模式図を含む。
【図2】図2は、一連の実施形態によるテンプレーティング要素の模式図を含む。
【図3】図3A〜3Cは、一部の実施形態による硬化した流体の粒子の解離を示す。
【図4】図4は、一連の実施形態によるテンプレート構造の模式図を含む。
【図5】図5は、一部の実施形態によるテンプレート構造の模式図を含む。
【図6】図6は、一連の実施形態によるテンプレーティングプロセスの模式図を含む。
【図7】図7は、一部の実施形態によるスリップキャスト法の手順の写真および顕微鏡写真を含む。
【図8】図8は、一部の実施形態による、テンプレート構造への流体の導入を示す写真を含む。
【図9】図9A〜9Cは、一連の実施形態によるテンプレート構造の顕微鏡写真を含む。
【図10】図10A〜10Dは、一連の実施形態によるテンプレート構造の顕微鏡写真を含む。
【図11】図11A〜11Bは、一連の実施形態による、コレステロールの添加前(a)および後(b)のテンプレート構造の顕微鏡写真を含む。
【図12】図12A〜12Cは、一部の実施形態によるテンプレート構造を含む。
【図13】図13A〜13Bは、一連の実施形態による、流体が導入されたテンプレート構造の顕微鏡写真を含む。
【図14】図14A〜14Bは、一連の実施形態による硬化した流体の網目の顕微鏡写真を含む。
【図15】図15は、時間の関数としての吸光度の例示的なプロットを含む。
【図16】図16は、一連の実施形態による複合材料の破壊を示す一連の共焦点顕微鏡画像を含む。
【図17】図17は、時間の関数としての吸光度の例示的なプロットを含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細説明
本発明は、一般的に、粒子テンプレーティングを用いて、例えば、複合材料、個々に独立した粒子、網目様構造、発泡体様構造などを作製するための系および方法に関する。一部の実施形態において、本発明は、一般的に、テンプレート構造内のテンプレーティング要素間の間隙空間を用いた有機物の構造化形態組織の作製、特に、有機物の網目様構造および/または粒子の作製に関する。例えば、複数のテンプレーティング要素(コロイド状粒子が挙げられ得る)は、テンプレート構造を形成するように配置され得る。テンプレーティング要素間の間隙空間により、流体が導入され得る領域が提供され得る。間隙流体は、一部の場合において、例えば、テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成するために硬化(例えば、凝固)され得る。一部の特定の実施形態では、例えば、複数の個々に独立した硬化した流体の粒子が形成するために、テンプレート構造が次いで破壊され得、硬化させた間隙流体が解離され得る。
【0020】
本明細書で用いる場合、用語「硬化させる」は、物質の粘度を大幅に増大させるプロセスをいうために用い、必ずしも物質を凝固させることに限定されない(が、一実施形態では、該物質は、固体に変換されることにより硬化される)。例えば、液相をゲル化させることにより該物質を硬化させてもよく、重合(例えば、IR−またはUV誘導型重合)を用いて物質を硬化させてもよい。一部の実施形態において、硬化させる物質は、相変化が生じるものであってもよい(例えば、該物質の温度を、その凝固点より下またはガラス転移温度より下まで下げる)。また、溶液から溶媒を除去し(例えば、溶媒相の蒸発によって)、それにより固相物質を残留させることによって該物質を硬化させてもよい。一部の実施形態において、該物質は、融点降下因子を除去すること(例えば、塩もしくは他の種を水溶媒から除去すること、または例えば、尿素もしくは塩化コリンなどの化合物を除去すること(例えば、抽出によって)など)により硬化され得る。
【0021】
かかるテンプレート構造の非限定的な一例として、ここで図1を参照すると、この図はテンプレート構造12の模式図を含む。図1において、複数の球状のテンプレーティング要素10が配置され、テンプレート構造12を形成している。図1では、便宜上、球状のテンプレーティング要素を使用しているが、他の実施形態において、球状でないテンプレーティング要素を単独で、または球状のテンプレート構造と組み合わせて使用してもよい。より詳細に以下に論考するように、一般的に、間隙空間は、図1に14に示すように、テンプレーティング要素間の空間または領域として画定される。このような間隙空間は、例えば、流体が導入され得る領域を提供するために使用され得る。テンプレーティング要素は、テンプレート構造内で、少なくともいくつかが物理的に接触するように配置され得る(例えば、テンプレーティング要素10Aと10B)。特に、必ずしもすべてではないが、テンプレーティング要素は互いに物理的に接触している(例えば、テンプレーティング要素10Cと10D)。
【0022】
一部の実施形態において、テンプレート構造は、テンプレーティング要素のほとんど(例えば、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ以上)が、少なくとも1つの他のテンプレーティング要素に触れているか、または少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と非常に近接しているかのいずれかとなるように、テンプレーティング要素を配置することにより形成される。本明細書で用いる場合、2つの要素は、該2つの要素の2つの表面間の最小間隔が該2つの要素の最大断面寸法の幾何平均の約20%以下である場合、「非常に近接している」。一連のn個の数の幾何平均には、その当該技術分野における通常の意味が与えられ、該一連のn個の数の積のn乗根として計算される。本明細書で用いる場合、「最大断面寸法」は、測定され得る個々の構造の対向する2つの境界間の最大間隔をいう。例えば、図2において、楕円体Eの最大断面寸法はdであるが、楕円体Eの最大断面寸法はdである。また、この図において、楕円体EとEの2つの表面間の最小間隔はaである。楕円体EとEは、aがdとdの幾何平均(すなわち、d×dの平方根)の約20%以下である場合、非常に近接しているという。一部の実施形態において、テンプレーティング要素の少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、少なくとも約99%、または実質的にすべてが少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、2つのテンプレーティング要素間の間隔が、該2つのテンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約10%以下、約5%以下、または約2%以下となるように近接している。
【0023】
テンプレーティング要素は、一部の場合において、比較的高い密度のテンプレーティング要素が得られるように密に充填されてもよい。一部の実施形態において、テンプレート構造、該要素から形成された懸濁物、および/または該要素から形成された複合材料におけるテンプレーティング要素の体積含有率(すなわち、充填密度)は、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.65、少なくとも約0.7、少なくとも約0.75、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9、または少なくとも約0.95である。当業者であれば、例えば、テンプレート構造、懸濁物または複合材料の体積を測定し、続いて、隙間内に形成された物質(あれば)を排除し、テンプレーティング要素の体積を測定することにより、テンプレーティング要素の体積含有率を計算することができよう。テンプレーティング要素の体積は、例えば、テンプレーティング要素を流体中に入れ、溢れた流体の容量を測定することにより測定され得る。
【0024】
一部の実施形態において、懸濁物における流体に対するテンプレーティング要素の質量比、および/または複合材料における硬化した流体に対するテンプレーティング要素の質量比は、比較的高いのがよい。例えば、一部の場合では、懸濁物における流体の質量に対するテンプレーティング要素の質量の比率は、少なくとも約1.5:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、または少なくとも約5:1であり得る。一部の実施形態において、複合材料における硬化した流体の質量に対するテンプレーティング要素の質量の比率は、少なくとも約1.5:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、または少なくとも約5:1であり得る。
【0025】
一部の場合では、形成されたままの懸濁物および/または複合材料と比べて、懸濁物および/または複合材料におけるテンプレーティング要素の相対体積および/または質量を増大させるために、1種類以上の方法が使用され得る。任意の適当な方法が使用され得る。例えば、一部の場合では、懸濁物および/または複合材料に加圧し、それにより、テンプレーティング要素間の間隔を小さくすることができる。加圧は、例えば、遠心分離によって、プレスによって、または任意の他の適当な方法を用いて行なわれ得る。一部の実施形態において、テンプレーティング要素が圧縮され得る度合いが増すように、複合材料の温度を上昇させることができる。温度の上昇によりテンプレーティング要素間の流体の粘度の低下がもたらされ得、一部の場合では、テンプレーティング要素が、重力下または加圧下のいずれかで、間隙流体を排除するため、互いに、より密に充填されることが可能になり得る。一部の実施形態において、懸濁物および/または複合材料におけるテンプレーティング要素の相対体積および/または質量は、系から流体(例えば、液体)を除去することにより増大され得る。流体の除去は、例えば、蒸発、濾過および/または反応によってなされ得る。一部の場合では、流体の除去は、加圧および/または温度上昇後に行なわれ得る。例えば、加圧および/または温度上昇により、流体高含有の下位容積部(sub−volume)の形成がもたらされ得、これを系から除去すると、テンプレーティング要素高含有の懸濁物および/または複合材料が生成され得る。
【0026】
一部の実施形態において、複合材料は該プロセスの所望の生成物であり得る。例えば、テンプレーティング要素によって画定される隙間内で流体を硬化させると、被検体への投与のための医薬用複合材料が形成され得る。
【0027】
しかしながら、他の実施形態において、複合材料は、テンプレーティング要素が該構造から除去されるように加工処理され得る。テンプレーティング要素を複合材料から除去するための方法としては、数ある方法(以下で、より詳細に記載する)の中で、例えば、蒸発、溶解および/または揮発性もしくは可溶性の成分を形成するための反応、あるいは、これらの方法または他の方法の組合せによるものが挙げられる。
【0028】
また、一部の実施形態では、硬化させた間隙流体を解離させて複数の硬化した流体の粒子を形成させる。硬化した流体の粒子の解離は、数ある方法(以下で、より詳細に記載する)の中で、例えば、粉砕、一部の硬化した流体の分解、もしくは圧縮、またはこれらの方法もしくは他の方法の組合せによってなされ得る。一部の実施形態では、単一の工程で、テンプレーティング要素が該構造から除去され得、硬化させた間隙流体の粒子が解離され得る。例えば、一連の実施形態において、複合材料を破砕または粉砕すると、テンプレーティング要素が、解離された硬化した流体の粒子から分離されて残る。図3A〜3Cは、硬化間隙流体116とテンプレーティング要素114の複合材料からの硬化した流体の粒子118の解離の模式図を含む。
【0029】
上記に論考したように、本発明の一部の態様によれば、複数のテンプレーティング要素を用いてテンプレート構造が作製され得る。一部の場合では、テンプレート構造は、テンプレーティング要素の空間的配置によって画定される。例えば、テンプレーティング要素の一部または全部が、少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と物理的に接触しているか、または非常に近接している状態であり得、このようなテンプレーティング要素の凝集によってテンプレート構造が形成され、間隙空間が画定されてもよい。
【0030】
テンプレーティング要素は各々、独立して、規則的または不規則な任意の適当な形状、例えば、限定されないが、球形、立方形、ピラミッド形などを有するものであり得る。また、テンプレーティング要素は、各々、任意の適当な大きさに形成され得る。例えば、テンプレーティング要素は、約1mm未満、約300ミクロン未満、約100ミクロン未満、約30ミクロン、約10ミクロン未満、約1ミクロン未満、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、約75nm未満、約50nm未満、約25nm未満、約10nm、または一部の場合では約5nm未満の平均最大断面寸法を有するものであり得る。一部の場合では、テンプレーティング要素は、種々のアスペクト比(例えば、少なくとも約2:1、少なくとも約5:1、少なくとも約10:1、少なくとも約20:1、またはそれ以上のアスペクト比)を有する棒状体または小板体を含むものであり得る。
【0031】
一部の実施形態において、テンプレーティング要素は、実質的に同じ形状および/または大きさ(「単分散」)であり得る。例えば、テンプレーティング要素は、テンプレーティング要素の平均最大断面寸法の約10%より大きく異なる最大断面寸法を有するテンプレーティング要素が約10%以下であるような、一部の場合では、テンプレーティング要素の平均最大断面寸法の約10%より大きく異なる最大断面寸法を有するテンプレーティング要素が約8%、約5%、約3%、約1%、約0.3%、約0.1%、約0.03%または約0.01%以下であるような寸法分布を有するものであり得る。一部の場合では、テンプレーティング要素の平均最大断面寸法の約5%、約3%、約1%、約0.3%、約0.1%、約0.03%または約0.01%より大きく異なる最大断面寸法を有するテンプレーティング要素は約5%以下である。本明細書で用いる場合、複数の対象物(例えば、テンプレーティング要素)の「平均最大断面寸法」は、特に明示していない限り、各対象物の最大断面寸法の相加平均である。
【0032】
一例において、テンプレーティング要素は、形状および/または大きさが実質的に異なっていてもよい(「多分散」)。例えば、テンプレーティング要素は、少なくとも約10%のテンプレーティング要素が、テンプレーティング要素の平均最大断面寸法の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、または少なくとも約100%異なる最大断面寸法を有するような最大断面寸法分布を有するものであり得る。一部の場合では、少なくとも約20%、少なくとも約30%、または少なくとも約50%のテンプレーティング要素が、テンプレーティング要素の平均最大断面寸法の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、または少なくとも約100%異なる最大断面寸法を有する。
【0033】
本明細書に記載のテンプレーティング要素は、任意の適当な相および/または組成(例えば、固相、液相または気相)のものであり得る。具体的な一例として、テンプレーティング要素は気泡を含むものであり得る。気体は、任意の適当な気体、例えば、空気、O、CO、CO、CH、N、Arなど、ならびにこれらの物質および/または他の物質の組合せを含むものであり得る。他の場合では、テンプレーティング要素は、不混和性液体マトリックス中で起泡および/または懸濁させた液体を含むものであり得る。例えば、液体は水、クロロホルム、ベンゼンなどであり得るか、または液体は、水溶液(すなわち、水に混和性のもの)もしくは有機溶液(すなわち、水に混和性でないもの)であり得る。
【0034】
したがって、一部の実施形態において、テンプレーティング要素は流体を含むものである。本明細書で用いる場合、用語「流体」は、一般的に、流動する傾向、およびその容器の外形に従う傾向を有する物質をいう。典型的には、流体は、静的剪断応力に耐えることができない物質であり、流体は、剪断応力がかかると、継続的かつ永久的な歪みが生じる。流体は、その少なくとも一部の流動を可能にする任意の適当な粘度を有するものであり得る。流体の非限定的な例としては、液体および気体が挙げられるが、自由流動性の固体粒子(例えば、細胞、小胞など)、粘弾性流体なども挙げられ得る。
【0035】
さらに他の実施形態において、テンプレーティング要素は、固体粒子を含むものであり得る。テンプレーティング要素は、さまざまな物質を含むものであってもよい。一部の場合では、テンプレーティング要素は有機系であり得るが、他の場合では、テンプレーティング要素は無機系であり得る。テンプレーティング要素に含まれ得る好適な無機系物質の例としては、例えば、ガラス(例えば、水晶、シリカ(例えば、アモルファスシリカ)など)、セラミック、および金属(例えば、ステンレス鋼、真鍮、チタン)、ならびに金属塩、例えば、金属の酸化物、塩化物、ケイ酸塩、炭酸塩(例えば、CO2−、HCOなど)、リン酸塩(例えば、PO3−、HPO2−、HPOなど)、窒化物、硝酸塩、硫酸塩(例えば、SO2−、HSOなど)、および硫化物などが挙げられる。金属は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、遷移金属などであり得る。有機系テンプレーティング要素物質の例としては、数ある物質の中でも、限定されないが、ポリマー(ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロ(fluor)エチレンなど)、カーボンブラック、およびグラファイトが挙げられる。
【0036】
一例において、テンプレーティング要素は、間隙流体(もしくはその成分)に対して不活性なもの(すなわち、少なくとも対象時間枠において化学反応しない)および/または不溶性のものであり得る。例えば、一連の実施形態において、間隙流体と反応し得る、および/または間隙流体に溶解し得るテンプレーティング要素物質は、約10wt%、約5wt%、約1wt%、約0.5wt%または約0.1wt%未満であり得る。具体的な一例として、テンプレーティング要素は炭酸カルシウムから形成されたものであり得、一方、間隙流体は、炭酸カルシウムと実質的に非反応性の溶液を含むものである。別の例では、窒素ガスを使用し、窒素が不溶性の活性薬剤の液相内で、テンプレーティング要素としての機能を果たす気泡を形成させ得る。本明細書で用いる場合、ある相が別の相に「不溶性」であるとは、298℃および雰囲気圧(1気圧)で、対象時間枠において、該別の相に溶解する該相の1つが約10wt%、約5wt%、約1wt%、約0.5wt%または約1wt%未満である場合である。例えば、一部の実施形態において、間隙流体中に溶解するテンプレーティング要素物質は、約10wt%(または約5wt%、約1wt%、約0.5wt%、もしくは約1wt%)未満であり得る。間隙流体(またはその成分)と反応しない、または該流体に溶解しないテンプレーティング要素を使用することにより、間隙流体の硬化中、テンプレーティング要素の秩序が保持され得る。
【0037】
他の実施形態において、1種類以上の間隙流体に可溶性および/または該流体と反応性のテンプレーティング要素を使用することが望ましい場合があり得る。テンプレーティング要素内の成分の溶解および/または反応は、一例において、間隙流体の硬化を誘発することがあり得る。例えば、テンプレーティング要素は、架橋剤またはラジカル開始剤と、間隙流体に不溶性の溶媒との溶液または分散液を含むものであり得る。架橋剤がテンプレーティング要素から間隙流体中に拡散するにつれて、間隙流体中のポリマー前駆体(例えば、アクリル酸、アクリレート、メタクリレート、スチレン、ブタジエン、α−オレフィン、またはその誘導体もしくは混合物などのモノマー)の重合が起こり、間隙空間内に硬化マトリックスの形成がもたらされ得る。具体的な一例として、間隙流体はアクリルアミドを含むものであり得、一方、テンプレーティング要素は過硫酸アンモニウムを含むものである。過硫酸アンモニウムが間隙流体中に拡散するにつれて、アクリルアミドの重合が開始され、ポリアクリルアミドが形成され得る。硬化反応は、当該技術分野で知られた任意の方法、例えば限定されないが、ラジカル重合化学反応、熱または放射線照射(例えば、UV照射)によって誘発され得る。一部の実施形態において、テンプレーティング要素は、本質的に反応性成分の固体粒子を含むものである。
【0038】
テンプレーティング要素は、一部の場合では、間隙空間内に形成された硬化した流体を破壊することなく除去され得るような分解性物質を含むものであり得る。したがって、一連の実施形態において、流体は、テンプレーティング要素間の間隙空間の少なくとも一部分に導入され得、該流体は、テンプレーティング要素が分解あるいは除去される前に硬化される。例えば、該要素が分解されると、ガス状生成物、揮発性液体および/または溶解度が改変された分解生成物が形成され得る。一部の実施形態において、該要素が分解されると、テンプレーティング要素が作製された元の物質よりも、間隙流体中への可溶性が高い生成物が形成され得る。他の実施形態において、該要素が分解されると、テンプレーティング要素が作製された元の物質よりも、間隙流体中への可溶性が低いが、間隙流体と非混和性の第3の流体中への可溶性は高い生成物が形成され得る(例えば、間隙流体の硬化後)。例えば、一部の実施形態では、テンプレーティング要素は炭酸カルシウムを含むものである。炭酸カルシウム製テンプレーティング要素を塩酸で処理すると、ガス状分解生成物(二酸化炭素)と塩化カルシウムが生成され、塩化カルシウムは、炭酸カルシウムとは異なり、ほとんどのpH(例えば、pH7以上の水中)で水溶性である。溶解された塩化カルシウムは、間隙流体が水溶性でない場合は、洗い流すとよい。別の実施形態では、塩化カルシウムは水性間隙流体中に溶解され得る。別の一連の実施形態において、テンプレーティング要素は二酸化ケイ素またはシリケートを含むものである。二酸化ケイ素またはシリケートは、フッ化水素酸を用いて分解され、揮発性の四フッ化ケイ素、あるいは揮発性および/または溶解度が改変された他の分解生成物のいずれかが形成され得る。また、一部の場合では、アジドなどの不安定物質が使用され得る。
【0039】
一部の実施形態において、テンプレート構造は、間隙空間内に含まれた硬化した流体の融点より低い沸点を有するテンプレーティング要素を含むものであり得る(例えば、雰囲気圧で、約30℃より高い、約70℃より高い、100℃より高い、150℃より高い、またはさらに高い沸点を有する)。テンプレーティング要素と硬化した流体のこの複合材料が加熱されるにつれて、テンプレーティング要素は揮発し、該複合材料から、例えば、該マトリックス内にテンプレーティング要素によって形成された相互連結連絡路を介して逸出され得る。具体的な非限定的な一例として、テンプレート構造には、水を含む(例えば、液体および/または氷として)テンプレーティング要素が含まれ得る。テンプレーティング要素は、活性薬剤の液相中に懸濁され得る。活性薬剤の液相が凝固されると、水を含むテンプレーティング要素が配置された硬化活性薬剤相が得られ得る。テンプレートが加熱されるにつれて、水が蒸発するとともに、凝固された活性薬剤が残留する。一部の実施形態において、テンプレーティング要素は水または氷を含むものであり、硬化した流体は、ラジカル硬化性またはUV硬化性モノマーを含むものである。硬化性の系は、水性テンプレーティング要素の少なくとも一部分に導入され、硬化され得る(例えば、UV照射により)。次いで、水分を蒸発させるために複合材料が加熱され得る。別の一連の実施形態において、テンプレーティング要素は、適当な沸点および/または昇華する傾向を有するワックス滴および/または炭化水素を含むものであり、一方、硬化させる流体は水性モノマー系を含むものである。該モノマー系を慣用的な重合手法によって硬化させると、テンプレーティング要素は溶融し、除去され得る。
【0040】
テンプレーティング要素として液体が使用される場合、適当な揮発性を有する液体を使用することが好都合な場合があり得る。例えば、一部の場合では、低揮発性の液体が所望され得る(例えば、雰囲気圧で、約100℃より高い、約150℃より高い、約200℃より高い、約300℃より高い、またはさらに高い沸点を有する)。低揮発性の液体は、例えば、間隙空間内の硬化した流体が高温(例えば、高融点、高い分解温度など)に耐え得るものである場合に有用であり得る。かかる場合では、テンプレーティング要素を形成する液体の容易な取り扱いを可能にするため、および/または好ましくない蒸発を抑制するために、低揮発性の液体の使用が望ましいことがあり得る。他の場合では、高揮発性の液体が使用され得る(例えば、雰囲気圧で、約100℃より低い、約50℃より低い、またはさらに低い沸点を有する)。高揮発性の液体は、例えば、間隙空間内の硬化した流体が溶融する、および/または低温で分解する場合に有用であり得る。高揮発性の液体を使用することにより、間隙空間内の硬化した流体からのテンプレーティング要素の除去は、比較的低い温度を用いてなされ得、したがって、硬化した流体構造および/または硬化した流体内の成分に対する損傷が回避され得る。
【0041】
一部の場合では、テンプレーティング要素は、流体媒体中で、表面活性存在体の使用により安定化され得る。例えば、一部の場合では、数ある中でも、非イオンポリマー、アニオンポリマー、カチオンポリマー、または両性イオンポリマーが使用され得る。界面活性剤、例えば、数ある中でも、非イオン界面活性剤、電荷を有する界面活性剤(例えば、正電荷もしくは負電荷を有する界面活性剤)、またはピッカリング安定剤などが、一部の場合において使用され得る。また、かかる表面活性存在体の混合物も使用され得る。表面活性存在体は、例えば、流体のテンプレーティング要素(例えば、疎水性の気泡が親水性マトリックス中に分散されたものなど)の好ましくない再結合を抑制し、したがって、テンプレート構造の分解(起こり得る場合)の前に間隙流体の硬化を可能にするために使用され得る。
【0042】
一部の場合では、テンプレーティング要素は親水性であり得る。他の実施形態では、テンプレーティング要素は疎水性であり得る。一般的に、親水性の液体は水と混和性であるが、疎水性の液体はそうでない。親水性の固体は、一般的に、水滴と90°未満の接触角(水滴を通して測定時)を構成するが、疎水性の固体は、一般的に、水滴と90°より大きい接触角(水滴を通して測定時)を構成する。一部の実施形態において、固体のテンプレーティング要素は高度に親水性であり得る。他の場合では、固体のテンプレーティング要素 は高度に疎水性であり得る。本明細書で用いる場合、「高度に疎水性」の固体は、水滴と110°より大きい接触角(該滴を通して測定時)を構成し、「高度に親水性」の固体は、水滴と30°より小さい接触角(該滴を通して測定時)を構成する。
【0043】
上記に論考したように、テンプレート構造には、いくつかの間隙空間が含まれ得、該間隙空間は、テンプレート構造を構成するテンプレーティング要素間に存在する空間または領域内に形成される。一連の実施形態において、テンプレート構造は、テンプレート構造内に流体が導入されると存在する。別の一連の実施形態において、テンプレート構造は、間隙流体の少なくとも一部分が硬化されると形成され得る。テンプレーティング要素は、これ自体がテンプレート構造内で互いに間隔があいているが非常に近接していてもよい(例えば、図1の要素10Aと10C)、および/またはテンプレーティング要素は、互いに物理的に接触しており(例えば、図1の要素10Aと10B)、それにより、テンプレーティング要素間に含まれる間隙空間が画定されてもよい。一部の実施形態において、テンプレート構造内のテンプレーティング要素の少なくとも約80%(個数基準)、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または実質的にすべてが、少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、一部の場合では、1つより多くの他のテンプレーティング要素と物理的に接触した、または非常に近接した状態であり得る。間隙空間の形状および/または大きさは、例えば、テンプレーティング要素の形状および/または大きさ、間隙流体の粘度、間隙流体の組成、間隙流体の表面張力、テンプレーティング要素の充填の発生度合いなどの要素に応じて異なり得る。
【0044】
テンプレーティング要素の適用用途ならびに大きさおよび形状に応じて、テンプレーティング要素間には1つ以上の間隙空間が画定され得る。一部の実施形態において、間隙空間の容積は「制御線」によって画定され得る。本明細書で用いる場合、「制御線」は、間隙空間を画定する近接したテンプレーティング要素間の最小間隔にまたがる線に相当する。各制御線の中心点群により、1つ以上の多面体が画定され得る。凸型テンプレーティング要素(例えば、球状、楕円体など)の場合、該多面体の容積は、制御線によって画定される間隙空間の容積よりも大きい。凹型テンプレーティング要素の場合では、制御線によって画定される多面体の容積は、間隙空間の容積と同じ規模の大きさであるか、または小さい。一部の実施形態において、間隙空間の少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%が少なくとも4つの制御線によって画定される、該制御線の中心点群は1つ以上の多面体を画定し、該多面体は各々、該間隙空間を画定しているテンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の3乗の約500%以下の容積を有する。一部の実施形態において、間隙空間の少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%は、少なくとも4つの制御線によって画定され、該制御線の中心点群は1つ以上の多面体を画定し、該多面体は各々、該間隙空間を画定しているテンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の3乗の約250%、約100%、約50%、約25%、約10%、約5%、または約1%以下の容積を有する。テンプレーティング要素の大きさおよび/または間隔は、例えば、光学顕微鏡検査、走査型電子顕微鏡検査(SEM)などを用いて測定され得る。
【0045】
例えば、図4は、3つのテンプレーティング要素201が各々、2つの他のテンプレーティング要素と接触しているテンプレート構造200の模式図を含む。図4において、制御線は、テンプレーティング要素間の接点202の点群である。図4において、多面体204の容積は、制御線によって画定される間隙空間206の容積よりも大きい。また、多面体204の容積は、間隙空間206を画定しているテンプレーティング要素201の最大断面寸法の幾何平均(最大断面寸法208を用いて計算)の3乗の約100%未満である。
【0046】
一部の場合では、間隙空間は相互に連結されたものであり得る、すなわち、テンプレーティング要素に侵入することなく、ある間隙空間から別の間隙空間への連通が可能である。したがって、一部の場合では、間隙空間を画定するテンプレーティング要素が物理的に接触している場合であっても、1つ以上の間隙空間が相互に連結されたものであり得る。例えば、図1において、領域20は、隣接する間隙空間14’と、該模式図の面外に存在する連結点によって相互に連結されている。一部の実施形態において、テンプレート構造内の間隙空間の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が、なんらかの様式で相互に連結されている。
【0047】
相互に連結された構造において、必ずしもすべての間隙空間が互いに直接連結されているわけではなく、相互に連結された構造内の各間隙空間は、該相互に連結された構造内の少なくとも1つの他の間隙空間に、該相互に連結された構造内の任意の2つの間隙空間同士の連通が、必ずしもテンプレーティング要素に侵入せずに、該相互に連結された構造内の他の間隙空間のみを通して可能であるように連結されていることを理解されたい。一部の場合では、相互に連結された構造内のほとんどの間隙空間同士を、該相互に連結された構造内の他の間隙空間のみを通して連通させることが可能であり得る。図1のテンプレート構造の例は、4つのみのテンプレーティング要素を含むものであるが、これは例示にすぎず、典型的なテンプレート構造は、多数(例えば、少なくとも約10、少なくとも約100、少なくとも約1000など)の個々のテンプレーティング要素を含む。テンプレーティング要素は、テンプレート構造内に任意の適当な立体配置で配置され得る。一部の特定の例では、例えば、テンプレーティング要素は、実質的に不規則なパターンに従って配置され得る。一部の実施形態では、テンプレーティング要素は、実質的に規則的なパターンに従って配置され得る。例えば、テンプレーティング要素は、三斜晶系、単斜晶系、斜方晶系、六方晶系、菱面体晶系、正方晶系、立方晶系、または任意の他の適当な規則的なパターンで配置され得る。しかしながら、一部の実施形態において、テンプレーティング要素は、実質的に準周期的に配置されてもよく、ランダムに配置されてもよい。一部の実施形態において、テンプレーティング要素は、系全体の容積に対するテンプレーティング要素の体積含有率が約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9以上、またはそれ以上となるように充填される。
【0048】
一部の実施形態において、間隙空間は比較的小さい。例えば、一連の実施形態において、1つ以上の間隙空間内に含まれる点群の少なくとも約80%(容積基準)、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または実質的にすべてが、テンプレーティング要素から約1000nm以内、約500nm以内、約250nm以内、約100nm以内、約50nm以内、約25nm以内、約10nm以内、約5nm、または約1nm以内に存在する。例えば、図5は、テンプレーティング要素210間に形成された間隙空間212の模式図を示す。点213とテンプレーティング要素間の最小間隔を線214で示す。
【0049】
テンプレート構造が、充填された球状のテンプレーティング要素を含む一部の場合では、相互に連結している間隙空間のうちの多数(例えば、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ以上)が、凹面を有する相互に連結している四面体と類似した形状を有する。かかる構造は、例えば、図6に示したものである。
【0050】
別の一連の実施形態において、間隙空間の少なくとも約80%(個数基準)、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または実質的にすべてが少なくとも4つの制御線によって、各制御線が、近接した2つのテンプレーティング要素間に延在する最も短い想像線を含むように画定されており、該制御線の中心点群は1つ以上の多面体を画定し、該多面体は各々、約(750nm)以下、約(500nm)以下、約(200nm)以下、約(100nm)以下、約(50nm)以下、約(25nm)以下、約(10nm)以下、約(5nm)以下、約(3nm)、約1nm以下の、または一部の場合では、それより小さい体積を有する。別の一連の実施形態において、テンプレーティング要素の少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または実質的にすべてが、少なくとも1つの他のテンプレーティング要素から、その最大断面寸法の約10%未満に存在し得る。
【0051】
流体は間隙空間内に、該流体が該間隙空間の少なくとも一部分を占有するように導入され得る。流体は、間隙空間の少なくとも一部分を占有している場合、間隙空間を占有しているという。一部の場合では、流体が間隙空間を占有しているとは、該空間全体に充填されている場合である。一部の実施形態において、流体は、テンプレーティング要素の全面が流体で完全に覆われないように導入され得る。一部の実施形態において、テンプレーティング要素の少なくとも約50%(個数基準)、テンプレーティング要素の少なくとも約75%、テンプレーティング要素の少なくとも約90%、テンプレーティング要素の少なくとも約95%、テンプレーティング要素の少なくとも約99%、またはテンプレーティング要素の実質的に全体が流体で完全に覆われていない。任意の適当な流体が使用され得る。一部の場合では、流体は硬化性であり得る、すなわち、流体は、後述するように、固体またはゲルの形成を引き起こすことが可能である。適当な間隙流体の非限定的な例としては、数ある中でも、ポリマー溶融物、ポリマー前駆体の溶液または懸濁物、活性薬剤の液相(例えば、溶融物)、活性薬剤の溶液、活性薬剤の混合物、および融点降下剤(例えば、尿素、塩化コリンなど)、活性薬剤の分散液、ならびにタンパク質懸濁物が挙げられる。一部の実施形態において、流体は親水性であり得る。他の場合では、流体は疎水性であり得る。
【0052】
流体は間隙空間内に、任意の適当な手法を用いて導入され得る。例えば、流体は、周囲条件下で(例えば、流体中へのテンプレート構造の浸漬、もしくはその逆)、または一部の場合では高圧下で導入され得る。一部の実施形態において、テンプレーティング要素を形成するために設計されたテンプレーティング要素または前駆体を流体中に分散させ、テンプレート構造を該流体中で形成させる(一部の場合では、該前駆体をテンプレーティング要素に変換させるための後続の反応が必要であり得る)。例えば、一部の実施形態において、テンプレートは、流体中でのテンプレーティング要素の沈降によって形成され得る(例えば、流体中でのテンプレーティング要素懸濁物の遠心分離)。一部の実施形態において、テンプレーティング要素は、尿素、塩化コリン、アルカリ金属塩(例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウムなど)などの水溶性化合物を含むものであり得、間隙流体は、該水溶性化合物と非混和性の有機系物質(例えば、活性成分の溶液または液相)を含むものであり得る。次いで、テンプレート構造の形成が、例えば、遠心分離または温度変更によって誘発され得る。間隙流体を硬化させた後、水溶性化合物は、例えば、水で洗い流すことができる。コロイド結晶が流体連続相中に形成され得、一部の場合では、続いて転位させ、テンプレート構造が形成され得る(例えば、「ナイフブレーディング(knife−blading)」によって)。ナイフブレーディングは、厳密な深さ(例えば、100ミクロン)の空洞を含むツールを、空洞側を下に向けて、基材上のコロイド分散液全面において引きずる(drag)と、該基材上にコロイド状粒子の規則的なアレイが生成される、当業者に知られたプロセスをいう。一部の場合では、流体は、窒素または二酸化炭素などの溶存ガスを含むものであり得る。急速に圧力が下がると、窒素が核となり、液体中に気泡が形成され得る。液体の粘度は、該液体が気泡の逸出前に硬化され得るように選択され得る。硬化に比較的長時間かかる系では(例えば、長いエポキシの硬化)、高い液体粘度が必要とされ得るが、高速硬化系では、低い液体粘度が適切であり得る。
【0053】
一部の場合では、流体は他の種を含むものであり得る。例えば、流体は、化学的および/または生物学的に活性な薬剤を含むものであり得る。本明細書で用いる場合、「活性(な)薬剤」は、生理学的または生物学的活性を有する化学物質の化合物をいう。使用され得る活性薬剤の例としては、薬物または医薬活性成分、ホルモン、ビタミン類、ダイエタリーサプリメント、農薬、化粧料成分などが挙げられる。一部の場合では、流体は、活性薬剤の溶液(例えば、活性薬剤またはその塩が溶媒中に溶解されたもの)を含むものであり得る。他の場合では、流体は、活性薬剤の液相(例えば、溶媒なしの活性薬剤の溶融物)を含むものであり得る。溶液および溶融物は、純粋なものであってもよく(すなわち、活性薬剤のみおよび/または1種類の溶媒を含む)、添加剤(例えば、界面活性剤、さらなる溶媒など)を含むものであってもよい。物品(例えば、硬化した流体の粒子、複合材料など)は、一連の実施形態において、1種類以上の薬学的に許容され得る担体
を含むものであり得る。一部の実施形態において、活性薬剤は疎水性であり得る。他の場合では、活性薬剤は親水性であり得る。
【0054】
本明細書で用いる場合、用語「薬学的に許容され得る担体」は、任意の型の無毒性で不活性な固形、半固形または液状の充填剤、希釈剤、賦形剤、カプセル封入材料 または製剤化助剤を意味する。薬学的に許容され得る担体としての機能を果たし得る物質の一例は、糖類(ラクトース、グルコースおよびスクロースなど);デンプン(コーンスターチおよびイモデンプンなど);セルロースおよびその誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなど);粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(ココアバターおよび坐剤用ワックスなど);油類(ピーナッツ油、綿実油;ベニバナ油;ゴマ油;オリーブ油;コーン油およびダイズ油など);グリコール(ポリエチレングリコールなど);エステル(オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど);寒天;デタージェント(Tween 80など);緩衝剤(水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど);アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;およびリン酸緩衝溶液、ならびに他の無毒性の適合性の滑沢剤(ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど)、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、フレーバー剤および香料剤、保存量および酸化防止剤である。また、薬学的に許容され得るポリマー、例えば、よく知られたKollidon(登録商標)またはEudragit(登録商標)等級などを存在させてもよい。
【0055】
一部の実施形態では、テンプレーティング要素を凝集させてテンプレート構造が、一部の実施形態において、枯渇、橋かけ、遠心分離または他の適当な手法によって形成され得る。一例では、テンプレーティング要素を、1種類以上の溶媒を系から蒸発させることにより凝集させてテンプレート構造が形成され得る。一部の実施形態において、テンプレーティング要素の懸濁物を石膏基材などの多孔質基材上に供給または配置することにより(例えば、スリップキャスト法によって)、テンプレーティング要素を凝集させてテンプレート構造を形成させてもよい。多孔質基材は、溶媒相の少なくとも一部を粒子懸濁物から除去し、それによりテンプレートを形成させるために使用され得る。
【0056】
一部の場合では、テンプレート構造は、いくつかの位置では密度が増大するが他の位置では増大しないように、流体連続相の特性(例えば、温度、圧力、電解質濃度など)を改変することにより形成され得る。他の場合では、テンプレート構造は、分散液粒子(例えば、エマルジョン滴)のコロイド安定性が改変されるように、流体連続相の特性(例えば、温度、圧力、電解質濃度など)を改変することにより形成され得る。温度および/または電解質の添加によって分散液を不安定化させる方法は当業者に知られている。また、テンプレート構造は、1種類以上の成分を流体連続相に添加することによっても形成され得る。例えば、塩またはイオン性の液体の添加により、流体連続相中に不連続相の形成がもたらされ得る。コロイドテンプレーティング要素は流体相中に、一部の場合において、析出によって生成され得る。また、流体相を一部乾燥させてテンプレーティング要素を生成させてもよい。
【0057】
一部の実施形態において、間隙流体を硬化させると、テンプレーティング要素と、間隙空間内に含まれる硬化した流体(すなわち、硬化した流体の間隙セグメントが形成される)を含む複合材料が形成され得る。硬化した流体の間隙セグメントは、したがって、上記の間隙空間と実質的に同じ寸法を有することになり得る。例えば、一部の場合では、硬化した流体内に含まれる点群の少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または実質的にすべてが、テンプレーティング要素から約1000nm以内、約500nm以内、約250nm以内、約100nm以内、約50nm以内、約25nm以内、約10nm、5nm以内、1nm以内、またはそれより近くに存在する。
【0058】
間隙流体は、さまざまな手法を用いて硬化させ得る。一部の実施形態において、例えば、溶媒を間隙流体から蒸発させると、該流体が硬化され、複合材料が形成され得る。また、流体の硬化は、例えば、温度、圧力または電解質含有量などの間隙流体の特性を改変することによってもなされ得る。例えば、間隙流体を冷却すると、該流体が硬化され、複合材料が形成され得る(例えば、溶融物を、その溶融温度またはガラス転移温度より下まで冷却する)。他の実施形態において、間隙流体の硬化は、経時的な化学反応によってなされ得る(例えば、エポキシ樹脂の硬化)。また、硬化は、例えば、架橋剤、急冷剤、重合開始剤、または他の化合物(1種類もしくは複数種)などの他の化合物の添加によってもなされ得る。一部の実施形態において、硬化させる物質は、相変化が生じるものであってもよい(例えば、該物質の温度を、その凝固点より下またはガラス転移温度より下まで下げる)。また、溶液から溶媒を除去し(例えば、溶媒相の蒸発によって)、それにより固相物質を残留させることによって該物質を硬化させてもよい。一部の実施形態において、該物質は、融点降下因子を除去すること(例えば、塩もしくは他の種を水溶媒から除去すること、または例えば、尿素もしくは塩化コリンなどの化合物を除去すること(例えば、抽出によって)など)により硬化され得る。また、他の場合では、本明細書に記載のものなどの他の硬化手法が使用され得る。
【0059】
一部の実施形態では、次いで、テンプレーティング要素の網目が硬化した流体の間隙セグメントから分離され得る。テンプレーティング要素の分離には、使用される該物質の型に応じて、解重合、蒸発、溶解、化学反応などの手法、または他の方法が含まれ得る。テンプレーティング要素は、硬化させた相(例えば、活性薬剤が含まれている)が実質的にインタクトなまま(例えば、乾燥生成物として)であるように分離され得る。例えば、テンプレーティング要素が炭酸カルシウムを含むものである複合材料が形成され得る。複合材料を酸(例えば、HCl)中に沈めると、炭酸カルシウムは溶解し、硬化した流体の網目が得られる。別の例として、複合材料は、ポリエチレンを含むポリマー型テンプレーティング要素を用いて形成され得る。複合材料がポリエチレンの燃焼温度より上まで加熱されるにつれて、テンプレーティング要素が反応してCO、COおよび蒸気が形成される。一部の場合では、テンプレーティング要素は、例えば、SiOガラスを含むものであり得る。SiOガラスをHFを用いて溶解させると、インタクトな硬化した流体が得られる。また別の例では、テンプレーティング要素はポジ型フォトレジストを含むものであり得、該フォトレジストは、適当な波長の放射線(例えば、UV放射線)に曝露すると、現像液中に、より可溶性となる。
【0060】
テンプレーティング要素の網目が硬化した流体の間隙セグメントから分離されたら、一部の特定の場合では多孔質構造が得られ得るが、他の場合では、該構造は多孔質でないことがあり得る。一部の実施形態において、多孔質構造は、硬化した流体の質量あたり高い露出表面積を含むものである。例えば、多孔質構造は、硬化した流体の単位質量あたり、少なくとも約1m/g、約2m/g、約5m/g、約10m/g、約20m/g、約50m/g、約100m/g、約200m/g、約500m/g、約1000m/g、またはそれより大きい露出表面積を有する。露出表面積は、例えば、BET解析を用いて測定され得る。BET表面積は、例えば、標準試験法ASTM−D4365に従って測定され得る。
【0061】
本発明の一部の特定の実施形態では、硬化した流体の間隙セグメントを解離させて複数の硬化した流体の粒子が形成してもよい。テンプレート構造からの硬化した流体の粒子の解離は、例えば、機械的に(例えば、粉砕、圧密化、伸縮などによって)なされ得る。いくつかの例において、硬化した流体の間隙セグメントは化学的に解離され得る(例えば、間隙セグメント間を連結する硬化した流体の比較的薄い領域に溶解する、および/または該領域と反応する化学薬品を適用することにより)。
【0062】
硬化した流体の粒子は、さまざまな形状および大きさ(これらは、少なくとも一部において、上記の硬化した流体の粒子を形成するために使用されるテンプレート構造によって決定され得る)に形成され得る。例えば、一部の実施形態において、複数の硬化した流体の粒子の少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%は、それぞれの各硬化した流体の粒子内のいずれも点も、それぞれの硬化した流体の粒子の表面から約1ミクロン、約500nm、約100nm、約50nm、約25nm、約10nm、約5nm、約2nmまたは約1nm以内に存在するように成形される。一部の実施形態において、複数の硬化した流体の粒子の少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または実質的にすべてが、約5マイクロメートル以下、約2マイクロメートル以下、約1マイクロメートル以下、約500nm以下、約250nm以下、約100nm以下、約50nm以下、約10nm以下、約5nm以下、約1nm以下の、またはそれより小さい最大断面寸法を有する。
【0063】
一部の実施形態において、複数の硬化した流体の粒子は、実質的に同じ形状および/または大きさ(「単分散」)である。例えば、硬化した流体の粒子は、硬化した流体の粒子の平均最大断面寸法の約10%より大きい最大断面寸法を有する硬化した流体の粒子が約10%以下であるような、一部の場合では、硬化した流体の粒子の平均最大断面寸法の約10%より大きく異なる最大断面寸法を有するものが約8%、約5%、約3%、約1%、約0.3%、約0.1%、約0.03%または約0.01%以下であるような寸法分布を有するものであり得る。一部の場合では、硬化した流体の粒子の平均最大断面寸法の約5%より大きく、約3%より大きく、約1%より大きく、約0.3%より大きく、約0.1%より大きく、約0.03%より大きくまたは約0.01%より大きく異なる最大断面寸法を有する硬化した流体の粒子は約5%以下である。
【0064】
一部の実施形態において、化学的および/または生物学的に活性な薬剤を含む複数の粒子(例えば、本明細書に記載のようにして作製される粒子)は、該化学的および/または生物学的に活性な薬剤が反応または生物学的結合を行なう環境中に配備される。一例において、化学的および/または生物学的に活性な薬剤を含む粒子は、例えば、テンプレーティング要素、薬学的に許容され得る担体、カプセル充填物質などの他の成分を含む生成物の一部として配備され得る。例えば、一部の実施形態において、テンプレーティング物質は、生体適合性である(例えば、CaCO)および/または製剤の投与後に溶解する(例えば、胃もしくは腸内の酸性条件下で)ものであり得る。
【0065】
本明細書に記載の複合材料(またはその一部分)は、一部の実施形態において、過剰の溶媒中(例えば、過剰の水性溶媒中)に、比較的速やかに溶解および/または分散されるものであり得る。過剰の溶媒は、本文脈において、溶媒は、少なくとも、溶媒中の溶質(例えば、複合材料中の硬化した流体)の固溶限界が回避されるのに充分な量で存在することを意味する。当業者であれば、所与の量の溶質(例えば、硬化した流体)および所与の溶質/溶媒ペアでの、固溶限界を回避するために必要な溶媒の量を決定するすることができよう。一部の場合では、テンプレーティング要素間の硬化した流体は、過剰の溶媒に比較的速やかに溶解し得る。一部の実施形態では、複合材料全体が、過剰の溶媒中に比較的速やかに分散され得る(すなわち、硬化した流体は溶解および/または分散され得、テンプレーティング要素は分散され得る)。
【0066】
なんら理論に拘束されることを望まないが、複合材料を溶解および/または分散させる溶媒は、複合材料中の小規模の亀裂または同様の構造部に輸送され得る。このような亀裂は、一部の場合では、複合材料の形成中に、例えば、テンプレーティング物質と硬化した流体の熱膨張係数の差によって生じる内部応力に起因するものであり得る。この効果は、一例において、硬化した流体が、ある親水性/疎水性のものであり、テンプレーティング要素が、別の親水性/疎水性のものである場合、増強され得る。一部の場合では、テンプレーティング要素は親水性であり得るが、硬化した流体が疎水性である。他の例では、テンプレーティング要素が疎水性であり得るが、硬化した流体は親水性である。なんら理論に拘束されることを望まないが、テンプレーティング要素と硬化した流体間の疎水性と親水性における差により、複合材料の分解を補助する反発力が発生するのであろう。このような反発力は、一部の場合において、固体表面と侵入液体間の界面張力のため、および/または溶存分子種による浸透圧のために発生し得る。
【0067】
一部の実施形態において、複合材料は、過剰の溶媒(例えば、水、水溶液、油類など)に、約10分以内、約5分以内、約1分以内、約30秒以内、約10秒以内、約5秒〜約10分間または約5秒〜約5分間で、実質的に完全に溶解および/または分散し得るものである。一部の場合では、上記の溶解および/または分散時間は、溶解および/または分散時間を向上させる設計された薬剤(例えば、酸)を溶媒に添加せずに達成され得る。例えば、上記の溶解および/または分散時間は、一部の場合において、実質的に純粋な水中で達成され得る。当業者であれば、例えば、以下の実施例2およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,第2版,第1巻,James Swarbrick,James C.Boylan編(Marcel Dekker,Inc.出版)に記載のUV/Vis分光計を用いて複合材料(またはその一部分)が実質的に完全に溶解および/または分散された時点を決定して、溶解および/または分散時間を計算することができよう。
【0068】
周囲条件下での過剰の溶媒(例えば、水、水溶液、油類など)への複合材料中の硬化した流体の溶解および/または分散速度は、一例において、同じ体積を有するがテンプレーティング要素は存在しない硬化した流体の試料対照溶解および/または分散速度と比べて、比較的高いものであり得る。対照溶解および/または分散速度は、本文脈において、テンプレーティング要素の存在以外は同様または同一の条件下(例えば、溶媒の型、温度、混合有効性など)で測定されるものである。同じ体積を有するがテンプレーティング要素は存在しない硬化した流体は、例えば、約1ミクロン〜約1mmの最大断面寸法を有する複数の結晶(例えば、活性成分の結晶)を含むものであり得る。
【0069】
なんら理論に拘束されることを望まないが、複合材料中の硬化した流体の溶解および/または分散速度が、テンプレーティング要素が存在しない硬化した流体の試料の溶解および/または分散速度と比べて高いのは、溶媒に曝露されている複合材料内の硬化した流体の表面積の量が、テンプレーティング要素が存在しない試料において溶媒に曝露されている曝露硬化した流体表面積と比べて多いからかもしれない。また、この効果は、一部の場合では、結晶性状態と比べて高い割合でのアモルファス状態の薬物の存在よって、および/または該隙間内における、より小さいクリスタライトの存在によって生じることがあり得る。また、テンプレーティング要素と硬化した流体間の相互作用(例えば、親水性/疎水性相互作用)により、この効果がさらに増強されることがあり得る。
【0070】
一部の実施形態において、複合材料中の硬化した流体(例えば、活性薬剤が含まれている)によって示され得る、周囲条件下で過剰の溶媒(例えば、過剰の水性溶媒)中における溶解および/または分散速度は、同じ溶媒中における、複合材料と同じ体積を有するがテンプレーティング要素は存在しない硬化した流体の試料(例えば、実質的に純粋な活性薬剤の試料)の対照溶解および/または分散速度よりも少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約15倍、約2倍〜約20倍、または約5倍〜約20倍大きい。
【0071】
複合材料の溶解および/または分散時間は、一部の実施形態において、複合材料の大きさに実質的に非依存性であり得る。本文脈において、溶解時間は、複合材料中に存在する硬化した流体の全量の80%が溶解するのに必要とされる時間に相当する。一部の実施形態では、種々の粒度の粉末が複合材料から形成され得、粗製粉末の溶解および/または分散時間は、微粉末の溶解および/または分散時間と類似したものであり得る。比較的小さい複合材料(例えば、比較的微細な複合材料粉末)は、比較的大きな複合材料(例えば、比較的粗製の複合材料粉末)よりも速やかに溶解および/または分散されることが予測され得ることから、かかる結果は予想外である。なんら理論に拘束されることを望まないが、複合材料の大きさに対する溶解および/または分散時間の非依存性は、テンプレーティング要素と硬化した流体間の相互作用(例えば、疎水性/親水性相互作用)によるものかもしれない。
【0072】
一部の場合では、複合材料は、第1体積を有する第1サブ複合材料と、第1体積の最大でも約10分の1、最大でも約10分の1、最大でも約10分の1、約10分の1〜約1012分の1、約10分の1〜約1012分の1、約10分の1〜約1012分の1である第2体積を有する第2サブ複合材料とが形成されるように縮小可能である。複合材料は第1および第2サブ複合材料に、例えば、元の複合材料片を切り離して2つのサブ複合材料を形成させることにより縮小され得る。一部の場合では、第1体積を有する第1の複合材料中の硬化した流体は、過剰の溶媒(例えば、過剰の水性溶媒)中で第1のゼロでない溶解および/または分散時間を示すものであり得、第2体積を有する第2の複合材料は、該過剰の溶媒中で第2のゼロでない溶解および/または分散時間を示すものであり得る。一部の実施形態では、驚くべきことに、複合材料自体が、先に上記したような劇的にばらついた(例えば、少なくとも約10倍、少なくとも約10倍異なるなど)体積を有する実施形態であっても、第1および第2の短い方の溶解および/または分散時間と比べて、第1の溶解および/または分散時間は、第2の溶解および/または分散時間の約25%以内、約10%以内、約5%以内、または約1%以内であり得る。
【0073】
2009年3月13日に出願された、発明の名称「Systems and Methods of Templating Using Particles such as Colloidal Particles」の米国特許仮出願第61/160,040号は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0074】
以下の実施例は、本発明の一部の特定の実施形態の説明を意図し、本発明の全範囲を例示したものではない。
【実施例】
【0075】
実施例1
この実施例では、一連の実施形態による複合材料および個々に独立した粒子を作製するためのテンプレーティングの使用を説明する。水への溶解性が比較的不充分であることは、現在、開発中の潜在的に価値のある薬物候補のほぼ半数に共通する特徴である。本明細書に記載の方法を使用すると、水中での疎水性の医薬成分の溶解速度およびバイオアベイラビリティが改善され得る。一般に、疎水性の薬物の水への溶解は、薬物を表面積の大きい小粒子の形態で送達すること、薬物をアモルファス状態に維持すること、および/または薬物の表面化学特性を水中での濡れ性が改善されるように変更することにより向上され得る。
【0076】
隙間に活性成分を充填したテンプレート構造の調製には、2つのアプローチ:
(1)懸濁物のスリップキャストによるシリカ粒子の高密度アレイの形成後、テンプレート間の隙間への薬物の導入;(2)薬物とサブミクロンシリカ粒子の乾燥混合物の直接ホットプレス法を使用した。続いて、薬物を導入したテンプレート構造内のシリカを除去すると、短い特性長を有する薬物粒子が生成され得る。これらのアプローチを評価するために使用される物質および実験手順を、以下に記載する。
【0077】
450、250および100nmの平均粒径を有するシリカ粒子をテンプレート構造の調製に使用した。100および450nmの平均粒径を有する粒子は、日産化学工業(MP1040およびMP4540等級,40wt%固形分の水性懸濁物,日産化学工業,東京,日本)から取得し、一方、20および250nmを有する粒子は、それぞれ、Aldrich(Ludox HS−40,40wt%固形分の水性懸濁物,Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USA)およびFiber Optic Center,Inc.(SIOP025−01等級,AngstromSphere,New Bedford,MA,USA)から入手した。多孔質基材の調製に使用した半水石膏は、Riedel−de Haoen(97.0%以上,Riedel−de Haoen/Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USA)から取得するか、または170℃で少なくとも24時間の水和石膏(Gypsum Plaster Accelerator,USG,Home Depot,Watertown,MA,USA)の焼成によって得るかのいずれかとした。
【0078】
コレステロール(96%,Alfa Aesar,Ward Hill,MA,USA)を、予備実験において、比較的水難溶性の化合物のモデルとして使用した。その後、フェノフィブラート、シンナリジンおよびファモチジン(BASF SE(ドイツ)により供給)を、比較的疎水性の医薬成分または比較的水難溶性の医薬成分の典型例として使用した。実験では、18MΩcmより高い電気抵抗を有する超純水を使用した(Milli−Q Synthesis System,Millipore Corp.,Billerica,MA,USA)。トルエンをSigma−Aldrich(St.Louis,MO,USA)から取得し、受領したとおりのまま使用した。
【0079】
テンプレート構造を得るため、セラミック製品の作製に広く適用されているスリップキャスト法を使用した。この方法では、分散またはわずかに凝集した粒子を含む流体の懸濁物を、特定の形状の多孔質基材上に堆積させることを使用する。多孔質基材上に堆積させると、この懸濁物の流体連続相は、毛管圧によって基材の細孔内に吸引され、基材壁近傍に、高密度に充填された粒子の層の形成がもたらされた。一例として多孔質石膏基材と、40wt%の100nmシリカ粒子を含む水性懸濁物を用いた、このプロセスを図7に示す。石膏基材は、40グラムの半水石膏を23グラムの水と激しく混合し、水性ペースト(これは、円筒状のプラスチック製鋳型内に配置され得る)を形成させることにより調製した。混合後、最初の数時間の間に、半水石膏から水性相中へのCa2+およびSO−2イオンの溶解が起こった。その後、溶存イオンが含水石膏中に沈殿し、図7に示す硬質の多孔質物質が形成された。硬化後、この石膏基材を70℃の炉内で少なくとも1日中乾燥させた。
【0080】
充填テンプレート構造は、多孔質石膏基材上への40wt%シリカ懸濁物のスリップキャストによって得た(図7)。亀裂の発生を回避するため、キャスティング後の最初の40〜60分間は、シリカテンプレートにプラスチック製のコップを被せ、その後は外し、硬質多孔質基材から除いたが、依然として湿潤状態であった。これにより、テンプレートが、乾燥中に亀裂が形成されることなく、側方に収縮することが可能であった。基材から除去後、得られたテンプレートを70℃の炉内で少なくとも2時間、充分に乾燥させた。
【0081】
テンプレート構造内への疎水性化合物の導入によって3Dアレイ内で粒子の転位がもたらされないようにすることを確実にするため、一部のテンプレートを、導入工程前に焼結させた。700〜1200℃の焼結温度を使用し、最初の充填構造に歪みが生じることなく、強力な粒子間ネックを形成させるのに必要とされる条件を評価した。焼結は、0.7L/分のOガス流下で行ない(Thermo Scientific Lindberg Blue M Three−Zone Tube Furnace,Cole−Parmer,Vernon Hills,Illinois,USA)、2時間の滞留時間を適用した。充填粒子アレイの隙間への疎水性化合物の導入は、まず、テンプレートを所定の温度のホットプレート上に配置し、その後、粉末状の疎水性化合物を、加熱されたテンプレートの上面に堆積させることにより行なった。ホットプレートの温度は、テンプレート表面上での疎水性化合物の溶融が可能となるように調整した。液状形態になったら、該化合物は、毛管力によってテンプレート構造の隙間に吸引された。テンプレート内への流体の完全な導入は、屈折率ミスマッチの高いシリカ−空気界面からミスマッチの低いシリカ−液体界面に置き換わることによる基材の透明性の増大によって容易に知得された(図8)。流体導入後、テンプレートをホットプレートから取り出し、大気中で周囲温度にて冷却した。流体を導入したテンプレートは、電子顕微鏡での流体導入効率の評価を可能にするため、最後に破砕した。
【0082】
また、隙間に活性成分が充填されたテンプレート構造を生成させるための直接的手段としての、サブミクロン粒子と疎水性化合物を含む乾燥混合物のホットプレス法も評価した。この評価は、100nmシリカ粒子と、モデル系としてフェノフィブラートを用いて行なった。
【0083】
均一な混合物を得るため、該粒子と疎水性化合物を、最初にトルエン溶液に添加し、超音波処理を用いて脱凝集させた。その後、得られた懸濁物の液体内容物を蒸発させると、該粒子と疎水性化合物の乾燥粉末状の混合物が形成された。この混合物を、温度制御装置(BT15−B2−K−2,HTS/Amptek Company,Stafford,TX,USA)に連結した特注加熱ジャケット(A510−HARV1008−22,HTS/Amptek Company,Stafford,TX,USA)で囲んだ金属製の円筒鋳型内に注入した。次いで、加熱ジャケットの温度を上げながら、水圧プレス機(モデル#3912,Carver Laboratory Equipment,Inc.,Wabash,IN,USA)を用いて乾燥混合物に圧力を加えた。最初に10秒間、100MPaの予備圧力を加え、その後、解除し、粉末内部からの封入空気の除去を可能にした。温度がフェノフィブラートの融点よりわずかに上の値(79〜82℃)に達したら、粉末/薬物混合物に430MPaの一定の圧力を10分間加えた。最後に、加圧を解除し、流体を導入したテンプレートを大気中で周囲温度にて冷却した。
【0084】
流体の導入前と後で得られたテンプレートの構造を、走査型電子顕微鏡(Supra 55VP,Carl Zeiss NTS GmbH,Oberkochen,Germany)での破砕表面の観察が可能となるように破砕した。構造解析の前に、試料をPt/Pd薄層で被覆し、表面導電性試験片を得た。この金属コーティングは、40mAの電流を20〜60秒間使用し、アルゴン雰囲気中でのスパッタリングによって適用した。一部の複合材料には、シリカ粒子をテンプレートから除去し、したがって、疎水性化合物単独で多孔質構造が形成されるようにするため、希NHF−HF水溶液(緩衝酸化物エッチング液(Buffered Oxide Etch))で5分間のエッチングを行なった。また、得られ構造を走査型電子顕微鏡下でも観察した。
【0085】
多孔質石膏基材上への懸濁物のスリップキャスティングにより、図9A〜9Cに示すような高度に充填された3次元テンプレート構造の形成がもたらされた。充填粒子間隙間は、異なる大きさのコロイド状粒子を使用することにより適応させることができた。これらのコロイド構造の画像解析によって、100(図9A)、250(図9B)、および450nm(図9C)の平均粒径を有する粒子により、それぞれ、10〜50nm、30〜100nm、50〜150nmの範囲内の大きさを有する隙間を含むテンプレートの形成がもたらされることが示された。異なる温度でテンプレートを加熱処理すると、100nmの粒径の粒子を有する700〜1000℃で処理したテンプレートについて図10A〜10Dに例示したように、焼結および緻密化プロセスの開始のため、元のコロイドの構造が変化した。900〜1000℃で処理したテンプレート内のシリカ粒子の液相焼結(それぞれ、図10Cおよび10D)により、元の構造に歪みが生じ、一部に独立型細孔および充分に高密度のシリカ領域が形成された。対照的に、700〜800℃で加熱処理したテンプレートでは(それぞれ、図10Aおよび10B)、元の構造と実質的に同じ連続型細孔が示された。特に、800℃での焼結(図10B)では、元の形状および粒子間隙間の大きさに歪みが生じることなく該構造の剛性および強度を有意に増大させる固体ネックの形成が粒子間にもたらされた。
【0086】
テンプレート内にコレステロールを導入すると、高密度に充填されたシリカ粒子と、コレステロールが充填されたが粒子間隙間を有する複合材料構造が得られた(図11A〜11B)。図11A〜11Bは、100nmシリカ懸濁物のスリップキャストによって作製された非焼結テンプレート構造のコレステロールの導入前(a)および後(b)の顕微鏡写真を含む。このテンプレート構造は、流体導入プロセス中、事前に焼結させなかった試料であっても歪みは生じなかった。その結果、粒子の周囲に生成されたコレステロール膜の代表長さは、元のテンプレートによって設定された10〜50nmの所望の範囲内に維持された。
【0087】
また、このアプローチを使用し、図12A〜12Cに示したような、隙間に医薬成分フェノフィブラートの相互連結網目を充填した、異なる大きさのシリカ粒子を有する複合材料を得た。図12A〜12Cに、フェノフィブラートの導入後の、(a)100、(b)250および(c)450nmの粒子を有する懸濁物のスリップキャストによって作製した非焼結コロイドのテンプレートを示す。流体導入プロセス中、テンプレート構造に歪みが生じなかったため、10〜50nm、30〜100nmおよび50〜150nmの範囲の代表長さを有するフェノフィブラートが、それぞれ、100、250および450nmの直径を有するシリカ粒子を用いて成功裡に得られた。他の医薬成分での実験では、溶融化合物を有するテンプレート内への流体の導入は、分解せずに溶融し得るフェノフィブラートおよびシンナリジンなどの薬物に容易に適用され得ることが示された。
【0088】
あるいはまた、テンプレート構造内への高融点化合物の導入は、単一工程または多重工程で、まず、該物質を溶媒に溶解させ、次いで、これをテンプレート構造内に導入し、薬物溶液を乾燥させることにより実現可能なはずである。
【0089】
低融点薬物を含む試料は、スパッタリング手順中および電子顕微鏡での観察中、構造歪みに感受性であった。図13A〜13Bは、(a)60秒間および(b)20秒間のPt/Pd層でのスパッタリング後にフェノフィブラートが導入された100nmのSiO粒子を含むコロイドのテンプレートの顕微鏡写真を含む。テンプレートを800℃で2時間焼結させた後、流体導入およびスパッタリングを行なった。スパッタリング中に生じた高電界および電子顕微鏡検査時に使用した高電圧電子ビームにより、一部の場合において、テンプレート表面上に局所溶融および大きな薬物ドメインの形成がもたらされた(図13A)。また、この効果は、テンプレートを高度に焼結させ、したがって、流体導入時にコロイド構造内での粒子転位が関係しない一部の例でも観察された。この人為的生成物を回避するため、試料の調製時は、20秒間という最小限のスパッタリング時間を使用し、電子顕微鏡解析では比較的低い電圧を使用し、電子ビームへの試料の曝露は最小限にして行なった。
【0090】
薬物/粒子混合物を薬物の融点よりわずかに上の温度でプレスすることにより、高密度に充填されたコロイド状粒子間の隙間内に薬物を含む複合材料構造の直接的な調製が可能であった。粒子−薬物複合材料構造は、体積含有率0.48に相当する1:2の質量比のフェノフィブラート:SiO混合物のホットプレス法によって得た。しかしながら、このような比率は一例にすぎず、上記のものと同様の手法を用いて他の充填率(ずっと高い体積含有率など)も得られ得ることを理解されたい。この質量比では、均一な構造が得られた。また、粒子−薬物複合材料構造を、体積含有率0.31に相当する1:1の質量比のフェノフィブラート:SiO混合物のホットプレス法によっても得た。この質量比で得られた複合材料では、粒子高含有相と粒子無含有相の高度に不均一な構造が示された。0.63というランダム最密充填分率(random close packing fraction)を考慮すると、過剰の薬物は、評価した両方の組成に存在した。混合物中に過剰の薬物が存在している場合であっても、高密度に充填された粒子のアレイが得られた。なんら理論に拘束されることを望まないが、これは、粒子間の求引性のファンデルワールス力の結果、最終的に、薬物連続相全体において凝集粒子の高密度網目の形成がもたらされたものと思われる。凝集塊間に小さい隙間が形成されることにより、溶融薬物が毛管力によって、高密度に充填された粒子のアレイ内に吸引され、先に記載の2工程キャスティング/導入手順を用いて得られるものと同様の薬物導入コロイドの構造の形成がもたらされたと思われる。薬物が過剰であっても粒子が高密度に充填されたアレイに自己組織化するという観察結果は、流体導入前での高密度テンプレート構造の形成は、必ずしも、粒子間の小さい隙間の形成の必須条件でないようであることを示唆する。
【0091】
低濃度の粒子(薬物:粒子の質量比1:1)を含む混合物では、粒子高含有相と粒子無含有相からなる不均一な構造が示された。かかる不均一な構造が数マイクロメートルの大きさの薬物ドメインに含まれていることを考慮すると、かかる薬物粒子複合材料では、バイオアベイラビリティが低いことが予測された。対照的に、薬物と比べて多い量の粒子を含む混合物(薬物:粒子の質量比1:2)では、複合材料の構造全体において薬物と粒子の均一な分布が示された。該薬物は、100nmよりも小さい特徴的な長さを示すものであり、ミクロン粒径の薬物ドメインは存在しなかったため、このような複合材料中の活性成分のバイオアベイラビリティは、規則的なミクロン粒径の薬物粒子のものよりも有意に高いはずである。
【0092】
シリカ粒子は、フッ化水素酸溶液で該粒子を化学エッチングすることによって除去され得る。化学エッチングによるコロイド状粒子の除去により、30〜100nm厚のラメラが疎水性化合物から構成されたサブミクロン連続型細孔からなる発泡体構造の形成がもたらされた。これを、モデル疎水性化合物としてコレステロールの場合で図14A〜14Bに示す。フッ化水素酸溶液でのエッチングによる発泡体の内部の多孔質構造の歪みはないようであり、著しい比表面積を有する物質がもたらされた。試料表面上の粗製外形は、スパッタリングおよび電子ビームへの曝露中でのコレステロールの部分溶融によって引き起こされたと考えられる。薬物で構成されたナノ粒径の構造要素を有する発泡体の調製により、比較的水難溶性の医薬成分のバイオアベイラビリティがかなり増大すると予測された。
【0093】
実施例2
米国薬局方の基準に従うように設計した手製の溶解設備を使用し、溶解試験を行なった。この結果、さまざまな薬物−テンプレート複合材料(シリカ、d=100nmおよびd=360nm;CaCO、d=70nm)が、純粋な未加工処理の結晶性薬物(ミクロン粒径の結晶)と比べて溶解速度の増大を示すことが示された。原料のままの未加工処理の結晶性薬物の溶解速度と比べて溶解速度の有意な改善を達成するために、溶解前でのテンプレートの浸出は必要でなかった。それどころか、高密度薬物−テンプレート複合材料では、水性溶解媒体中で急速な崩壊および溶解が示された。
【0094】
試料の調製。純粋な未加工処理薬物の試料を以下のようにして調製した。結晶性薬物の粉末をBASFから大量に入手した(99wt%純粋)。光学顕微鏡検査により、この薬物の粉末は、大きさに分布(約1ミクロン〜約100ミクロン)を有する大きな結晶の形態であることが示された。溶解用の試料粉末は、手のひらサイズの乳鉢と乳棒を用いて、試料を軽く粉砕することにより調製した。粉砕しても結晶の粒径分布に有意な変化は観察されなかった。該粉末は、なんらの賦形剤と合わせず、封入もせず、粉末形態の溶解媒体に添加した。
【0095】
薬物−テンプレート複合材料を以下のようにして調製した。テンプレートを水性コロイド分散液から、先に記載のスリップキャスティング法を用いて調製した。スリップキャスティング後、テンプレートを110℃の炉内で12時間乾燥させた。次いで、テンプレートを、薬物の融点のほぼ5℃〜10℃上の温度のホットプレート上に置いた。少量の原料のままの結晶性薬物を、高温テンプレートの表面上に配置した。薬物は、溶融するにつれて、毛管作用によってテンプレート内に誘引された。これらの工程を、テンプレートが完全に充填されるまで繰り返した。薬物の充分な浸透は、目視(液状薬物がテンプレート内に広がるにつれて、テンプレートは透明になった)ならびに質量測定によって確認した。溶解用の薬物−テンプレート複合材料は、手のひらサイズの乳鉢と乳棒を用いて、試料を軽く粉砕することにより調製した。粉砕後、光学顕微鏡検査により、該複合材料粉末が、ほぼ1ミクロン〜0.5mmの粒径分布を有することが示された。
【0096】
溶解設備およびプロトコル。水性媒体への薬物溶解速度を測定した。試料粉末を300mLの溶解媒体中に分散させ、50回転/分の速度で撹拌した。溶解媒体を、シリコーン製チューブを介してメイン貯蔵部の底部から、0.45ミクロンPTFE(Teflon)フィルターを通して、UV−Vis分光測光計に据付の水晶フロースルーセル(0.1または1cmの光路長)内に吸引し、次いで、メイン貯蔵部の上部に戻して閉鎖ループを形成した。流れは、15mL/分の速度の蠕動ポンプによって起こした。UV吸光度は、各薬物に対して特異的な波長で測定した。溶解試験は「シンク(sink)」条件下で行なった;すなわち、溶解媒体に添加する薬物の量を溶解媒体中の飽和濃度の3分の1にした。吸光度Aを1未満に維持するために適切な光路長(0.1cmまたは1cm)を有するフロースルーセルを選択した。純粋な溶解媒体を溶媒ブランクとして使用した。開始時点(t=0)は、試料粉末(純粋または複合材料)を撹拌溶解媒体に添加した時点に対応させた。溶解プロフィールをほぼ30〜120分間測定した。
【0097】
1.5のpHを有する溶解媒体を、蒸留水への塩酸の添加によって調製した。溶解媒体中への薬物の溶解度を増大させるため、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)をCSDS=10mMの濃度で添加した。非浸出性テンプレートでの溶解を示すものとして、純粋な結晶性のフェノフィブラートと、2種類の異なるシリカテンプレート(d=100nmおよびd=360nm)の間隙空間内に誘引されたフェノフィブラートの溶解を比較するプロットを図15に示す。フェノフィブラートは、この実施例においてモデル薬物として使用した。図15において、吸光度A(溶解されたフェノフィブラートの量を示す)は、波長290nmで測定し、時間の関数としてプロットした。試料はすべて、10+/−0.5mgのフェノフィブラートを含み、ほぼ1.1のAは薬物の完全な溶解を表した。溶解前に薬物表面積量を大きくするためにテンプレートを浸出除去する必要はなかった。この効果は、粉砕した複合材料の粒径に感受性でなかった。mm粒径の塊を有する粉末であっても速やかに溶解した。
【0098】
図16の一連の共焦点顕微鏡画像は、フェノフィブラート−シリカ(d=100nm)複合材料の急速崩壊を示す。乳鉢と乳棒で粉砕後、複合材料粉末を水性蛍光染料(ローダミン6G,明領域)を含む溶解媒体(pH=1.5,CSDS=10mM)中に分散させ、懸濁物滴を直接、密閉顕微鏡セル内に入れ、画像形成した。複合材料(矢印で表示)は、10分未満で、その機械的完全性を失った。おそらく媒体の一部蒸発によって誘発されたものであり、懸濁物の最前部に観察され、見られる位置が右側底部に移動する少量の移流により、脆性複合材料の崩壊がもたらされる。
【0099】
浸出性のテンプレートでの溶解を示すものとして、水性媒体(pH=1.5,CSDS=10mM)への純粋な結晶性のフェノフィブラートおよびCaCOテンプレート(d=70nm)の間隙空間内に吸収されたフェノフィブラートの溶解を示すプロットを図17に示す。この実験の組では、吸光度Aを波長290nmで測定した。どちらの試料も10+/−0.5mgのフェノフィブラートを含み、ほぼ1.1のAは薬物の完全な溶解を表した。薬物複合材料では、未加工処理薬物よりも有意に速い溶解速度が示された。
【0100】
フェノフィブラート(融点,T=80)での上記の手法を、シンナリジン(T=120℃)、クロトリマゾール(T=148℃)、ケトコナゾール(T=150℃)、イトラコナゾール(T=166℃)、およびエストラジオール(T=179℃)を含むさらなる高融点医薬活性物質に拡張した。これらの活性物質はすべて、大気圧条件下での溶融時に安定であり、SiOおよびCaCOのどちらのテンプレートにも充分に浸透した。シンナリジン、クロトリマゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、およびエストラジオールは、その融点よりやや上(例えば、<10℃)の温度で大気圧条件下での分解に対して熱安定性であることが予測され、いずれにおいても、溶融および複合材料への浸透時に視認可能な変色は示されなかったが、分解がないことをさらに確認するため、各々についてプロトンNMRを行なった。
【0101】
NMR用の試料は、以下の手順によって調製した。未加工処理の結晶性の粉末(BASF)を重水素化溶媒に、ほぼ10mg/mLの濃度で溶解させ、0.2マイクロメートルPTFEフィルターに通して濾過し、固形不純物(あれば)を除去した後、NMR測定を実施した。薬物−ケイ酸複合材料を、手のひらサイズの乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、重水素化溶媒にほぼ10mg/mLの(薬物)濃度で溶解させ、0.2マイクロメートルPTFEフィルターに通して濾過し、シリカテンプレートおよびさらなる固形不純物(あれば)を除去した後、NMR測定を実施した。フェノフィブラート、ケトコナゾール、クロトリマゾールおよびシンナリジンは、重水素化クロロホルムに溶解させた。エストラジオールは重水素化DMSOに溶解させた。5種類の薬物はすべて、溶融および浸透の前後においてプロトンNMRスペクトルで、なんら分解の兆候は示されなかった(データ表示なし)。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を、本明細書において説明および図示したが、当業者には、本明細書に記載の機能を発揮させるため、および/または結果および/または1つ以上の利点を得るための、さまざまな他の手段および/または構造が容易に想到されよう。かかる変形例および/または修正例は各々、本発明の範囲に含まれるものとする。より一般的には、当業者には、本明細書に記載のパラメータ、寸法、物質および立体配置はすべて、例示であることを意図していること、ならびに実際のパラメータ、寸法、物質および/または立体配置は、本発明の教示が使用される具体的な適用用途(1種類または複数種)に依存することが容易に認識されよう。当業者には、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物が認識され、または常套的な範囲内の実験手法を用いて確認できよう。したがって、前述の実施形態は、一例として提示したものにすぎないこと、ならびに添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲において、本発明は、具体的に記載したものおよび特許請求の範囲に示したもの以外の方法で実施され得ることが理解されよう。本発明は、本明細書に記載の個々の各特徴、系、物品、物質、キットおよび/または方法に関する。また、2種類以上のかかる特徴、系、物品、物質、キットおよび/または方法の任意の組合せが、かかる特徴、系、物品、物質、キットおよび/または方法が互いに矛盾しないなら、本発明の範囲に含まれる。
【0103】
不定冠詞「a」および「an」は、本文書において本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、そうでないことを明示していない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されたい。
【0104】
語句「および/または」は、本文書において本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、その等位要素の「いずれか、または両方」、すなわち、一部の場合では接続的に存在する要素、他の場合では選言的に存在する要素を意味すると理解されたい。そうでないことを明示していない限り、「および/または」節で具体的に特定された要素以外の他の要素(具体的に特定された該要素に関係するものであれ、無関係のものであれ)が任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な一例として、「Aおよび/またはB」に対する言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンドの文言とともに用いている場合、一実施形態では、BのないA(任意選択で、B以外の要素を含む);別の実施形態では、AのないB(任意選択で、A以外の要素を含む);また別の実施形態では、AとBの両方(任意選択で、他の要素を含む)などに対する言及であり得る。
【0105】
本文書において本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、「または」は、上記に規定した「および/または」と同じ意味を有すると理解されたい。例えば、列挙された項目を分離する場合、「または」あるいは「および/または」は包含的であると解釈されたい、すなわち、いくつかの要素または列挙された要素の少なくとも1つを含むだけでなく、1つより多くも含み、任意選択で、列挙していないさらなる項目も含む。「〜のうちの一方のみ」または「〜のうちの厳密に一方」、あるいは特許請求の範囲で使用される「〜からなる」などの、そうでないことを明示する用語のみ、いくつかの要素または列挙された要素のうちの厳密に一方の要素を含むことを示す。一般に、用語「または」は、本明細書で用いる場合、「いずれか」、「〜のうちの一方」、「〜のうちの一方のみ」または「〜のうちの厳密に一方」などの排他性を示す用語が前にある場合、排他的選択肢(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)を示しているにすぎないと解釈されたい。「本質的に〜からなる」は、特許請求の範囲で用いる場合、特許法の領域で使用されている通常の意味を有するものとする。
【0106】
本文書において本明細書および特許請求の範囲で用いる場合、列挙された1つ以上の要素に関する語句「少なくとも1つ」は、列挙された要素の任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも、列挙された要素内の具体的に列挙された1つ1つの要素の少なくとも1つを含むものでなくてよく、列挙された要素内の要素の任意の組合せを排除しないことを理解されたい。また、この規定により、語句「少なくとも1つ」によって言及される列挙された要素内で具体的に特定された要素以外の要素(具体的に特定された該要素に関係するものであれ、無関係のものであれ)が任意選択で存在してもよいことになる。したがって、非限定的な一例として、「AとBの少なくとも1つ」(あるいは、同等の「AまたはBの少なくとも1つ」あるいは同等の「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない少なくとも1つのA(任意選択で、1つより多くを含む)(および任意選択で、B以外の要素を含む);別の実施形態では、Aが存在しない少なくとも1つのB(任意選択で、1つより多くを含む)(および任意選択で、A以外の要素を含む);また別の実施形態では、少なくとも1つのA(任意選択で、1つより多くを含む)と、少なくとも1つのB(任意選択で、1つより多くを含む)(および任意選択で、他の要素を含む)などに対する言及であり得る。
【0107】
特許請求の範囲ならびに上記の本明細書において、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する」、「有する」、「含む(containing)」、「伴う」、「保有する」などの移行句はすべて、オープンエンドである、すなわち、限定されないが、〜を含むを意味すると理解されたい。移行句「〜からなる」および「本質的に〜からなる」のみが、それぞれ、米国特許庁の審査手続便覧,セクション2111.03に示されたクローズドまたはセミクローズドの移行句であるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造を提供する工程であって、ここで、該1つ以上の間隙空間内に含まれる点の少なくとも約80%はテンプレーティング要素から約1000nm以内に存在し、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である、工程;
該間隙空間の少なくとも一部分に流体を導入する工程;および
該流体を硬化させ、該テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程
を含む、方法。
【請求項2】
相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造を提供する工程であって、ここで、該間隙空間の少なくとも約80%は少なくとも4つの制御線によって画定され、各制御線は、近接した2つのテンプレーティング要素間に延在する最も短い想像線を含み、該制御線の中心点群は1つ以上の多面体を画定し、該多面体の各々は約(750nm)以下の体積を有し、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である、工程;
該間隙空間の少なくとも一部分に流体を導入する工程;および
該流体を硬化させ、該テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程
を含む、方法。
【請求項3】
相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造を提供する工程であって、ここで、該間隙空間の少なくとも約80%は少なくとも4つの制御線によって画定され、各制御線は、近接した2つのテンプレーティング要素間に延在する最も短い想像線を含み、該制御線の中心点群は1つ以上の多面体を画定し、該多面体は各々、該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の3乗の約50%以下の体積を有する、工程;
該間隙空間の少なくとも一部分に流体を導入する工程;および
該流体を硬化させ、該テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程
を含む、方法。
【請求項4】
テンプレーティング要素の網目を提供する工程であって、該テンプレーティング要素の少なくとも約70%は少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、該2つのテンプレーティング要素の2つの表面間の最小間隔が該2つのテンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約20%以下となるように非常に近接しており、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である、工程;
該テンプレーティング要素の網目の少なくとも一部分に流体を、該テンプレーティング要素の全面が該流体で完全に覆われないように、該流体が該テンプレーティング要素間の隙間の少なくとも一部分を占有するように導入する工程;および
該流体を硬化させ、該テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を、該硬化した流体内に含まれる点群の少なくとも約80%がテンプレーティング要素から約1000nm以内に存在するように形成する工程
を含む、方法。
【請求項5】
相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定するテンプレーティング要素の網目を含むテンプレート構造を提供する工程であって、ここで、該間隙空間内に含まれる点群の少なくとも約80%はテンプレーティング要素から約1000nm以内に存在し、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である、工程;
該間隙空間の少なくとも一部分に少なくとも1種類の流体を導入する工程;
該流体を硬化させ、テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程;および
少なくとも一部において、該複合材料を解離させて粒子を形成させる工程
を含む、粒子の作製方法。
【請求項6】
相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定するテンプレーティング要素の網目を含むテンプレート構造を提供する工程であって、ここで、該間隙空間の少なくとも約80%は少なくとも4つの制御線によって画定され、各制御線は、2つのテンプレーティング要素間に延在する最も短い想像線を含み、該制御線の中心点群は1つ以上の多面体を画定し、該多面体の各々は約(750nm)以下の体積を有し、該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率は少なくとも約0.5である、工程;
該間隙空間の少なくとも一部分に少なくとも1種類の流体を導入する工程;
該流体を硬化させ、テンプレーティング要素と硬化した流体の間隙セグメントを含む複合材料を形成する工程;および
少なくとも一部において、該複合材料を解離させて粒子を形成させる工程
を含む、粒子の作製方法。
【請求項7】
前記複数のテンプレーティング要素が固体を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のテンプレーティング要素が流体を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のテンプレーティング要素が液体を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のテンプレーティング要素が気体を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記間隙空間の少なくとも一部分内の前記流体が、ポリマー前駆体を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記間隙空間の少なくとも一部分内の前記流体が、薬剤を含む液相を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記間隙空間内に含まれる点群の少なくとも約80%が、テンプレーティング要素から約500nm以内に存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記間隙空間内に含まれる点群の少なくとも約80%が、テンプレーティング要素から約250nm以内に存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記間隙空間内に含まれる点群の少なくとも約80%が、テンプレーティング要素から約100nm以内に存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記テンプレーティング要素の少なくともいくつかが球状である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記テンプレーティング要素の少なくともいくつかが不規則な形状である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
テンプレート構造を提供する工程がテンプレーティング要素の懸濁物を提供することを含み、該懸濁物が多孔質基材上に存在している、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記基材が石膏を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記流体が導入される前の前記テンプレート構造中のテンプレーティング要素が少なくとも約0.6の体積含有率を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記流体が導入される前の前記テンプレート構造中のテンプレーティング要素が少なくとも約0.7の体積含有率を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記複合材料中のテンプレーティング要素が少なくとも約0.5の体積含有率を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記複合材料中のテンプレーティング要素が少なくとも約0.6の体積含有率を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記複合材料中のテンプレーティング要素が少なくとも約0.7の体積含有率を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
さらに、前記複合材料中のテンプレーティング要素の相対体積および/または質量比を増大させる工程を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記テンプレーティング要素の相対体積および/または質量比を増大させる工程が、前記複合材料の少なくとも一部分に加圧することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
さらに、加圧しながら前記複合材料の温度を上げる工程を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記流体が前記間隙空間の一部分に、該流体に対する前記テンプレーティング要素の質量比が少なくとも約1.5:1となるように導入される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記複合材料が、少なくとも約1.5:1の硬化した流体に対するテンプレーティング要素の質量比を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記テンプレーティング要素の少なくともいくつかが親水性である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記テンプレーティング要素の少なくともいくつかが疎水性である、請求項1〜29いずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記流体が水中で混和性である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記流体が水中で混和性でない、請求項1〜31いずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記多面体の各々が約(500nm)以下の体積を有する、請求項2、3または6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記多面体の各々が約(200nm)以下の体積を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記多面体の各々が約(100nm)以下の体積を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記流体を硬化させる工程が該流体を重合させることを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記流体を硬化させる工程が該流体を凝固させることを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記流体を硬化させる工程がゲルを形成させることを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記多面体の各々が、前記テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の3乗の約25%以下の体積を有する、請求項2、3または6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記多面体の各々が、前記テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の3乗の約10%以下の体積を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記多面体の各々が、前記テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の3乗の約5%以下の体積を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
個数基準で、前記テンプレーティング要素の少なくとも約50%が前記流体で完全に覆われていない、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
個数基準で、前記テンプレーティング要素の少なくとも約75%が前記流体で完全に覆われていない、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
個数基準で、前記テンプレーティング要素の少なくとも約90%が前記流体で完全に覆われていない、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
個数基準で、前記テンプレーティング要素の少なくとも約95%が前記流体で完全に覆われていない、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記2つの要素の2つの表面間の最小間隔が、2つの該要素の最大断面寸法の幾何平均の約10%以下である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記テンプレーティング要素の少なくとも約80%が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、2つの該テンプレーティング要素の2つの表面間の間隔が、2つの該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約5%以下となるように近接している、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記テンプレーティング要素の少なくとも約90%が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、2つの該テンプレーティング要素の2つの表面間の間隔が、2つの該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約10%以下となるように近接している、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記テンプレーティング要素の少なくとも約95%が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、2つの該テンプレーティング要素の2つの表面間の間隔が、2つの該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約10%以下となるように近接している、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記テンプレーティング要素の少なくとも約99%が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、2つの該テンプレーティング要素の2つの表面間の間隔が、2つの該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約10%以下となるように近接している、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
実質的にすべての前記テンプレーティング要素が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と接触している、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記複合材料を解離させて粒子を形成させる工程が該複合材料を粉砕することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項54】
前記複合材料を解離させて粒子を形成させる工程が前記テンプレーティング要素を溶解させることを含む、請求項5または53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記複合材料を解離させて粒子を形成させる工程が前記テンプレーティング要素を蒸発させることを含む、請求項5、53または54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記複合材料を解離させて粒子を形成させる工程が前記テンプレーティング要素を反応させることを含む、請求項5または53〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記テンプレーティング要素を反応させることが該テンプレーティング要素を燃焼させることを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
さらに、前記テンプレーティング要素の網目を前記硬化した流体の間隙セグメントから分離する工程を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
さらに、該硬化した流体の間隙セグメントを解離させて複数の硬化した流体の粒子を形成させる工程を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記硬化した流体の間隙セグメントを機械的に解離させる工程を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記硬化した流体の間隙セグメントを化学的に解離させる工程を含む、請求項59または60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
さらに、前記テンプレーティング要素を前記複合材料から除去する工程を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記複数の硬化した流体の粒子の少なくとも約75%が、それぞれの各硬化した流体の粒子内の点群の少なくとも約80%がそれぞれの該硬化した流体の粒子の表面から約100nm以内に存在するように成形される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記複数の硬化した流体の粒子が有する最大断面寸法が約5マイクロメートル以下である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記複数の硬化した流体の粒子が実質的に単分散である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記複数の硬化した流体の粒子の少なくとも約75%が約5マイクロメートル以下の最大断面寸法を有するように成形される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
硬化させる工程が前記流体を冷却して前記複合材料を形成することを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
硬化させる工程が、前記流体から溶媒を蒸発させて前記複合材料を形成することを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法によって作製される粒子を含む物品。
【請求項70】
さらに、1種類以上の薬学的に許容され得る担体を含む、請求項69に記載の物品。
【請求項71】
相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造と、
該間隙空間の少なくとも一部分内の硬化した流体
を含む物品であって、
該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率が少なくとも約0.5であり、
該硬化した流体が、過剰の水性溶媒中で約10分以内に実質的に完全に溶解し得るものである、
物品。
【請求項72】
相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造と、
該間隙空間の少なくとも一部分内の硬化した流体
を含む物品であって、
該硬化した流体が、過剰の水性溶媒中、周囲条件下で、同じ体積を有するが該テンプレーティング要素が存在しない該硬化した流体の試料の該過剰の水性溶媒中での対照溶解速度よりも少なくとも約2倍大きい溶解速度を示す、
物品。
【請求項73】
相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造と、
該間隙空間の少なくとも一部分内の硬化した流体
を含む物品であって、
該物品の体積が、第1体積を有する第1サブ複合材料と、該第1体積の最大でも10分の1である第2体積を有する第2サブ複合材料とが形成されるように縮小可能であり、該第1サブ複合材料中の該硬化した流体が、過剰の水性溶媒中でゼロでない第1溶解時間を示し、該第2サブ複合材料中の該硬化した流体が、該過剰の水性溶媒中でゼロでない第2溶解時間を示し、該第1溶解時間と該第2溶解時間の短い方と比べて、該第1溶解時間が該第2溶解時間の約25%以内である、
物品。
【請求項74】
約1mm未満の最大断面寸法を有し、相互に連結している1つ以上の間隙空間を画定する複数の実質的に球状のテンプレーティング要素を含むテンプレート構造と、
該間隙空間の少なくとも一部分内の硬化した流体
を含む物品であって、
該テンプレート構造内の該テンプレーティング要素の体積含有率が少なくとも約0.5である、
物品。
【請求項75】
前記テンプレーティング要素が親水性であり、前記硬化した流体が疎水性である、請求項71〜74のいずれか1項に記載の物品。
【請求項76】
前記テンプレーティング要素が疎水性であり、前記硬化した流体が親水性である、請求項71〜75のいずれか1項に記載の物品。
【請求項77】
前記水性溶媒が実質的に純粋な水である、請求項71〜76のいずれか1項に記載の物品。
【請求項78】
前記硬化した流体が、前記過剰の水性溶媒中、周囲条件下で、同じ体積を有するが前記テンプレーティング要素が存在しない該硬化した流体の試料の該過剰の水性溶媒中での対照溶解速度よりも少なくとも約2倍大きい溶解速度を示す、請求項71〜77のいずれか1項に記載の物品。
【請求項79】
前記物品が、第1体積を有する第1サブ複合材料と、該第1体積の最大でも10分の1である第2体積を有する第2サブ複合材料とが形成されるように縮小可能であり、該第1サブ複合材料中の前記硬化した流体が、前記過剰の水性溶媒中でゼロでない第1溶解時間を示し、該第2サブ複合材料中の該硬化した流体が、該過剰の水性溶媒中でゼロでない第2溶解時間を示し、該第1溶解時間と該第2溶解時間の短い方と比べて、該第1溶解時間が該第2溶解時間の約25%以内である、請求項71〜78のいずれか1項に記載の物品。
【請求項80】
前記テンプレーティング要素が約10ミクロン未満の平均最大断面寸法を有する、請求項71〜79のいずれか1項に記載の物品。
【請求項81】
前記間隙空間内に含まれる点群の少なくとも約80%が、テンプレーティング要素から約500nm以内に存在する、請求項71〜80のいずれか1項に記載の物品。
【請求項82】
前記間隙空間内に含まれる点群の少なくとも約80%が、テンプレーティング要素から約250nm以内に存在する、請求項71〜81のいずれか1項に記載の物品。
【請求項83】
前記間隙空間内に含まれる点群の少なくとも約80%が、テンプレーティング要素から約100nm以内に存在する、請求項71〜82のいずれか1項に記載の物品。
【請求項84】
前記テンプレーティング要素の少なくともいくつかが球状である、請求項71〜83のいずれか1項に記載の物品。
【請求項85】
前記テンプレーティング要素の少なくともいくつかが不規則な形状である、請求項71〜84のいずれか1項に記載の物品。
【請求項86】
前記テンプレート構造内の前記テンプレーティング要素が少なくとも約0.5の体積含有率を有する、請求項71〜85のいずれか1項に記載の物品。
【請求項87】
前記テンプレート構造内の前記テンプレーティング要素が少なくとも約0.7の体積含有率を有する、請求項71〜86のいずれか1項に記載の物品。
【請求項88】
前記硬化した流体に対する前記テンプレーティング要素の質量比が少なくとも約1.5:1である、請求項71〜87のいずれか1項に記載の物品。
【請求項89】
前記テンプレーティング要素の少なくともいくつかが親水性である、請求項71〜88のいずれか1項に記載の物品。
【請求項90】
前記テンプレーティング要素の少なくともいくつかが疎水性である、請求項71〜89のいずれか1項に記載の物品。
【請求項91】
前記硬化した流体が親水性である、請求項71〜90のいずれか1項に記載の物品。
【請求項92】
前記硬化した流体が疎水性である、請求項71〜90のいずれか1項に記載の物品。
【請求項93】
個数基準で、前記テンプレーティング要素の少なくとも約50%が前記流体で完全に覆われていない、請求項71〜92のいずれか1項に記載の物品。
【請求項94】
個数基準で、前記テンプレーティング要素の少なくとも約75%が前記流体で完全に覆われていない、請求項71〜93のいずれか1項に記載の物品。
【請求項95】
個数基準で、前記テンプレーティング要素の少なくとも約90%が前記流体で完全に覆われていない、請求項71〜94のいずれか1項に記載の物品。
【請求項96】
個数基準で、前記テンプレーティング要素の少なくとも約95%が前記流体で完全に覆われていない、請求項71〜95のいずれか1項に記載の物品。
【請求項97】
個数基準で、前記テンプレーティング要素の少なくとも約99%が前記流体で完全に覆われていない、請求項71〜96のいずれか1項に記載の物品。
【請求項98】
実質的にすべての前記テンプレーティング要素が前記流体で完全に覆われていない、請求項71〜97のいずれか1項に記載の物品。
【請求項99】
前記2つの要素の2つの表面間の最小間隔が該2つの要素の最大断面寸法の幾何平均の約10%以下である、請求項71〜98のいずれか1項に記載の物品。
【請求項100】
前記テンプレーティング要素の少なくとも約80%が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、2つの該テンプレーティング要素の2つの表面間の間隔が2つの該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約5%以下となるように近接している、請求項71〜99のいずれか1項に記載の物品。
【請求項101】
前記テンプレーティング要素の少なくとも約90%が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、2つの該テンプレーティング要素の2つの表面間の間隔が2つの該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約10%以下となるように近接している、請求項71〜100のいずれか1項に記載の物品。
【請求項102】
前記テンプレーティング要素の少なくとも約95%が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、2つの該テンプレーティング要素の2つの表面間の間隔が2つの該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約10%以下となるように近接している、請求項71〜101のいずれか1項に記載の物品。
【請求項103】
前記テンプレーティング要素の少なくとも約99%が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、2つの該テンプレーティング要素の2つの表面間の間隔が2つの該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約5%以下となるように近接している、請求項71〜102のいずれか1項に記載の物品。
【請求項104】
実質的にすべての前記テンプレーティング要素が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と、2つの該テンプレーティング要素の2つの表面間の間隔が2つの該テンプレーティング要素の最大断面寸法の幾何平均の約10%以下となるように近接している、請求項71〜103のいずれか1項に記載の物品。
【請求項105】
実質的にすべての前記テンプレーティング要素が少なくとも1つの他のテンプレーティング要素と接触している、請求項71〜104のいずれか1項に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図15】
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【図17】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−520173(P2012−520173A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554050(P2011−554050)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/000748
【国際公開番号】WO2010/104593
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(507403735)プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ (15)
【出願人】(510217013)ベーアーエスエフ・エスエー (3)
【Fターム(参考)】