説明

コロナ帯電装置及び画像形成装置

【課題】第2支持体や第2対向部材との密着によって振動吸収部材の振動吸収機能を失ってしまうことを回避する。
【解決手段】第1支持体と第2支持体105との間で張架しているワイヤー103と、自らの貫通穴にワイヤー103を貫通させた状態で、第2支持体105と所定の間隙を介して対向する第2対向部材107と、ワイヤー103における張架領域のうち、第2支持体105と第2対向部材107との間の領域に取り付けられた振動吸収部材120とを有するコロナ帯電装置100において、振動吸収部材120における第2支持体105との対向面、及び第2対向部材107との対向面にそれぞれ、複数の微小突起120bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張架されたワイヤーから発したコロナ放電によって被帯電体を帯電せしめるコロナ帯電装置や、かかるコロナ帯電装置を用いる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、次のようなプロセスで画像を形成するのが一般的である。即ち、まず、帯電手段によって一様に帯電せしめた感光体等の潜像担持体に対して光走査を施して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置によって現像する。次いで、現像によって潜像担持体上で得たトナー像を、直接あるいは中間転写体を介して記録シートに転写するプロセスである。
【0003】
かかる電子写真方式の画像形成装置に用いられる帯電手段として、特許文献1に記載のコロナ帯電装置が知られている。このコロナ帯電装置は、張架されたワイヤーと、ワイヤーの長さ方向の一端側を支持する第1支持体と、ワイヤーの長さ方向の他端側を支持する第2支持体と、振動吸収部材とを有している。ワイヤーの長さ方向における全域のうち、一端側が係止された第1支持体と、他端側が係止された第2支持体との間の張架領域は、被帯電体たる感光体と所定の間隙を介して対向している。そして、ワイヤーから発したコロナ放電により、回転する感光体の表面を一様に帯電せしめる。
【0004】
コロナ放電のための高電圧が印加されるワイヤーは、その高電圧の影響によって振動することがある。かかる振動は、帯電効率の低下を招いたり、感光体に帯電ムラを引き起こしたりする。そこで、特許文献1に記載のコロナ帯電装置においては、ワイヤーの振動を吸収するゴム等の弾性材料からなる振動吸着部材を、ワイヤーにおける第1支持体と第2支持体との間の張架領域に取り付けている。この振動吸収部材は、自らが取り付けられているワイヤーだけよって支持されており、ワイヤーが振動すると、その振動を打ち消すように動くことで、ワイヤーの振動を吸収する。これにより、ワイヤーの振動を抑えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このコロナ帯電装置においては、長期の使用に伴って、振動吸収部材に対して振動吸収能力を発揮させることができなくなる事態に陥りやすいという問題があった。具体的には、コロナ帯電装置のワイヤーに異物が固着すると、ワイヤー長さ方向において電気抵抗のバランスが崩れることから、異物の固着箇所だけでなく、異物が固着していない箇所においても放電量がばらついてしまう。上述した振動吸収部材を接着剤によってワイヤーに固定した場合、ワイヤーに固着した接着剤が異物の固着と同様にワイヤー長さ方向の電気抵抗のバランスを崩してしまう。このため、振動吸収部材については、接着剤等によってワイヤーに固定するのではなく、振動吸収部材に設けたスリットでワイヤーを挟み込むことでによってワイヤーに取り付けるのが一般的である。このように、自らのスリットに挟み込んでいるワイヤーだけによって支持されている状態の振動吸収部材は、ワイヤー上をワイヤー長さ方向に沿って自由に移動してしまう。この移動を抑えるために、振動吸収部材におけるスリットの箇所には、粘着剤を塗布してワイヤーとの摩擦抵抗を高めることが行われるが、それによって振動吸収部材のワイヤー上での移動を完全に阻止することはできない。長期の使用に伴って、振動吸収部材をワイヤー上で長さ方向に徐々に移動させていき、第1支持体や第2支持体に密着させると、ワイヤーの振動を打ち消す方向に振動吸収部材を自在に移動させることができなくなる。そして、振動吸収部材を固定端としてワイヤーを振動させるようになって、振動吸収部材に対してワイヤーの振動を吸収させることができなくなってしまう。
【0006】
なお、振動吸収部材については、ワイヤーの張架領域のうち、第1支持体あるいは第2支持体に近い端部領域に取り付けざるを得ないことから、ワイヤー上において振動吸収部材をワイヤー長さ方向に沿って僅かに移動させただけでも第1支持体あるいは第2支持体に密着させてしまう。具体的には、ワイヤーの張架領域の殆どは、感光体に対向しながら感光体に対してコロナ放電を発生させる領域になっている。このような領域に振動吸着部材を取り付けると、振動吸着部材によって良好なコロナ放電の発生を阻害してしまう。このため、振動吸着部材については、ワイヤーの張架領域のうち、感光体との対向領域から外れている端部領域に取り付けざるを得ないのである。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、振動吸収部材の振動吸収機能を良好に維持することができるコロナ帯電装置や画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、コロナ放電を発生させるワイヤーと、自らに引っ掛けられた前記ワイヤーの長さ方向の一端側を支持する第1支持体と、自らに引っ掛けられた前記ワイヤーの長さ方向の他端側を支持する第2支持体と、前記ワイヤーにおける前記第1支持体と前記第2支持体との間の張架領域であって且つ前記第2支持体の近傍領域に取り付けられて前記張架領域の振動を吸収する振動吸収部材とを有し、前記張架領域から被帯電体に向けて発したコロナ放電によって前記被帯電体を帯電せしめるコロナ帯電装置において、前記振動吸収部材と前記第2支持体とが接触した際における両者の接触面積を低減する接触面積低減手段を、前記振動吸収部材における前記第2支持体との対向面、あるいは、前記第2支持体における前記振動吸収部材との対向面、に設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、振動吸収部材を、ワイヤーの張架領域のうち、第2支持体の近傍の端部領域に取り付けている。そして、振動吸収部材における第2支持体との対向面、あるいは第2支持体における振動吸収部材との対向面に設けた接触面積低減手段により、ワイヤー上の振動吸着部材を第2支持体に接触させた際の両者の接触面積を低減することで、第2支持体に接触した振動吸着部材であってもワイヤーの振動を打ち消す方向に移動できるようにする。これにより、振動吸収部材の振動吸収機能を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタのコロナ帯電装置の部分的に分解した状態を示す分解斜視図。
【図3】同コロナ帯電装置における長手方向の一端部を示す拡大分解側面図。
【図4】同コロナ帯電装置における長手方向の一端部を示す拡大分解平面図。
【図5】変形例に係るプリンタのコロナ帯電装置における長手方向の一端部を示す拡大分解側面図。
【図6】同コロナ帯電装置における長手方向の一端部を示す拡大分解平面図。
【図7】従来の画像形成装置に搭載されているコロナ帯電装置の主要部を示す主要構成図。
【図8】同コロナ帯電装置の長手方向における他端部を拡大して示す拡大構成図。
【図9】振動吸収部材を第2支持体に密着させてしまった状態の同他端部を示す拡大構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、感光体1、コロナ帯電装置100、現像装置5、転写チャージャー6、除電ランプ7、感光体クリーニング装置8、定着装置10、光書込装置20などを備えている。
【0012】
同図において、ドラム状の感光体1は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向回転駆動される。感光体1の周囲には、コロナ帯電装置100、現像装置5、転写チャージャー6、除電ランプ7、感光体クリーニング装置8が配設されている。感光体1の表面は、感光体1の回転駆動に伴って、コロナ帯電装置100、現像装置5、転写チャージャー6、除電ランプ7、感光体クリーニング装置8との対向位置を順に通過する。
【0013】
コロナ帯電装置100は、図示しない駆動手段によって図中時計周り方向に回転せしめられる感光体1に所定の間隙を介して対向するように配設され、図示しないワイヤーから発したコロナ放電により、暗中にて感光体1の表面を一様に帯電せしめる。一様帯電後の感光体1表面は、光書込装置20から発せられる走査光Lによって光走査される。この光走査によって露光された感光体1表面箇所は、電位を一様帯電電位よりも減衰させる。この減衰により、感光体1の表面には静電潜像が担持される。なお、実施形態に係るプリンタにおいては、光書込装置20として、レーザーダイオードから発したレーザー光をポリゴンミラーによって主走査方向に偏向せしめながら感光体1の表面に照射する方式のものを設けている。かかる方式に代えて、LEDアレイ方式のものを設けてもよい。
【0014】
感光体1に対する光書込によって感光体1表面に形成された静電潜像は、感光体1の回転に伴って現像装置5との対向位置を通過する際に現像されてトナー像になる。なお、本実施形態においては、現像装置5として、装置のケーシング内に収容しているトナーを現像ローラ5aの表面に担持しながら、現像ローラ5aの表面上のトナーを感光体1と現像ローラ5aとが対向する現像領域で感光体1上の静電潜像に転移させることで、静電潜像を現像する1成分現像方式のものを設けている。トナーと磁性キャリアとを含有する2成分現像剤を用いて感光体上の静電潜像を現像する2成分現像方式のものを設けてもよい。
【0015】
現像装置5によって現像されたトナー像は、感光体1の回転に伴って、感光体1と転写チャージャー6とが対向している転写位置に進入する。この転写位置に対しては、図示しないレジストローラ対により、記録シートPが送り込まれる。この送り込みは、記録シートPを転写位置にて感光体1上のトナー像に同期させ得るタイミングで行われる。
【0016】
転写位置では、転写チャージャー6が記録紙Pの裏面に電荷を付与することで、記録シートPと感光体1上の静電潜像との間に転写電界を形成する。この転写電界により、感光体1上のトナー像が記録シートPの表面に静電転写される。なお、転写チャージャー方式に代えて、ニップ転写方式を採用してもよい。ニップ転写方式は、中間転写ベルトや転写ローラなどを感光体の表面に当接させて転写ニップを形成し、この転写ニップ内において、中間転写ベルトや転写ローラに印加した転写バイアスの作用によって転写電界を形成する方式である。
【0017】
転写位置を通過した後の感光体1の表面は、除電ランプ7による光照射で除電された後、感光体クリーニング装置8によって転写残トナーがクリーニングされる。クリーニング後の感光体1表面は、再びコロナ帯電装置100との対向位置に進入して一様に帯電せしめられる。なお、光照射による除電に代えて、除電部材と感光体1との間に形成した交番電界による放電で感光体1の表面を除電する方式を採用してもよい。
【0018】
転写位置を通過した記録シートPは、定着装置10に送られる。定着装置10は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包している定着ローラ11と、これに向けて押圧される加圧ローラ12との当接によって定着ニップを形成している。定着装置10に送られた記録シートPは、この定着ニップを通過する際に、加圧されたり加熱されたりすることにより、トナー像が定着せしめられる。定着後の記録シートPは、図示しない排紙ローラ対を経た後、機外へと排出される。
【0019】
次に、従来の画像形成装置について説明する。
図7は、従来の画像形成装置に搭載されているコロナ帯電装置100’の主要部を示す主要構成図である。同図において、コロナ帯電装置100’のワイヤー103’は、感光体との間でコロナ放電を発生させるためのものである。ワイヤー103’における一端は、コロナ帯電装置100’のケーシングの第1側板101’における内壁に固定されている。また、ワイヤー103’における長さ方向の一端よりも少しだけ他端側にシフトした箇所は、第1支持体104’の天端に係止(引っ掛け)されている。
【0020】
コロナ帯電装置100’の第2側板102’の近傍においては、代位側板102’と第2支持体105’との間に設けられた凸部に、コイルスプリング109’の他端部が固定されている。そして、このコイルスプリング109’の一端部は、ワイヤー103’の長さ方向の他端に接続された状態で、ワイヤー103’を長さ方向の一端側から他端側に向けて引っ張る。
【0021】
ワイヤー103’における長さ方向の他端よりも少しだけ一端側にシフトした箇所は、第2支持体105’の天端に係止(引っ掛け)されている。この状態で、コイルスプリング109’がワイヤー103’を長さ方向の一端側から他端側に引っ張ることにより、ワイヤー103’における第1支持体104’と第2支持体105’との間の領域に張力(テンション)が加えられる。以下、この領域を、「張架領域」という。
【0022】
図8は、従来のコロナ帯電装置100’の長手方向における他端部を拡大して示す拡大構成図である。同図において、ワイヤー103’の他端側を支持している第2支持体105’よりも少しだけ一端側にシフトした位置には、第2対向部材107’が、第2支持体105’と所定の間隙を介して対向するように配設されている。この第2対向部材107’には、図示しない貫通穴が設けられており、ワイヤー103’は、その貫通穴を貫通しているため、第2対向部材107’とは非接触の状態が維持されている。
【0023】
第2支持体105’と第2対向部材107’との間の空間においては、ワイヤー103’に振動吸収部材120’が取り付けられている。先に示した図7において、ワイヤー103の「張架領域」は、コロナ放電のための高電圧が印加されると、図中点線で示されるように振動しようとする。第1支持体104’と第2支持体105’とをそれぞれ固定端として長さ方向の中央部で最大振幅を生起せしめる山形の形状で振動する。軽度の場合には、上下方向だけに波打つ上下振動となるが、重度の場合にはロール状に回転するロール振動になることもある。図8に示される振動吸収部材120’は、自らの弾性や重量の作用により、ワイヤー103’の固有振動を共振しない方向にずらすことで、振動を吸収することが可能である。かかる構成の振動吸収部材120’は、自らに設けられたスリットがワイヤー103’に係止(引っ掛け)されているだけなので、ワイヤー103’上をその長手方向に沿って自由に移動してしまう。第2対向部材107’は、振動吸収部材120’を第2対向部材107’の近傍に拘束する役割を担っている。
【0024】
従来のコロナ帯電装置100’においては、図8に示されるように、ワイヤー103’における第2支持体105’と第2対向部材107’との間のほぼ中央の領域に振動吸収部材120’を取り付けた状態で出荷している。しかしながら、ユーザーのもとで長期間使用される過程で、振動吸収部材120’が少しずつワイヤー103’の長さ方向に移動して、図9に示されるように、第2支持体105’における振動吸収部材120’との対向面に密着することがあった。このように密着すると、ワイヤー103’の他端側が、振動吸収部材120’を固定端として振動するようになるため、振動吸収部材120’による振動吸収機能が失われてしまうという問題が発生する。
【0025】
また、振動吸収部材120’が長期の使用に伴ってワイヤー中央側に向けて徐々に移動すると、第2支持体105’ではなく、第2対向部材107’における振動吸収部材120’との対向面に密着することもある。この場合にも、ワイヤー103’が振動吸収部材120’を固定端として振動してしまうため、振動吸収部材120’による振動吸収機能が失われてしまうという問題が発生する。
【0026】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
図2は、実施形態に係るプリンタのコロナ帯電装置100の部分的に分解した状態を示す分解斜視図である。同図において、コロナ帯電装置100は、第1支持体104と第2支持体105との間に張架した2本のワイヤー103を有している。これらワイヤー103は、実際には、無端状に繋がった1本のワイヤーからなるが、本稿では、便宜上、同間に張架される2本のワイヤー103がそれぞれ独立しているものとして説明する。
【0027】
2本のワイヤー103はそれぞれ、長手方向の一端がコロナ帯電装置100のケーシングの第1側板101における内壁に固定されている。また、長さ方向の一端よりも少しだけ他端側にシフトした箇所は、第1支持体104の天端に係止(引っ掛け)されている。
【0028】
コロナ帯電装置100の第2側板102の近傍においては、第2側板102と第2支持体105との間に設けられた凸部に、コイルスプリング109の他端部が固定されている。そして、このコイルスプリング109の一端部は、2本のワイヤー103の長さ方向における他端にそれぞれ接続された状態で、それら2本のワイヤー103を長さ方向の一端側から他端側に向けて引っ張る。
【0029】
2本のワイヤー103は、それぞれ、コイルスプリング109に接続されている他端よりも少しだけ一端側にシフトした箇所が第2支持体105の天端に係止(引っ掛け)されている。この状態で、コイルスプリング109が2本のワイヤー103をそれぞれ長さ方向の一端側から他端側に引っ張ることにより、2本のワイヤー103における第1支持体104と第2支持体105との間の領域が「張架領域」となって、所定の張力(テンション)が加えられている。
【0030】
このようにして張架されているワイヤー103としては、例えば直径60〜100[μm]のタングステン線であって、感光体1の回転軸線方向長さに相当する長さのものを例示することができる。
【0031】
2本のワイヤー103の他端側をそれぞれ支持している第2支持体105よりも少しだけ一端側にシフトした位置には、第2対向部材107が、第2支持体105と所定の間隙を介して対向するように配設されている。この第2対向部材107には、2つの貫通穴(図4の107a)が2つ設けられており、2本のワイヤー103は、それぞれ貫通穴を貫通しているため、第2対向部材107とは非接触の状態が維持されている。
【0032】
第1側板101、第2側板102、第1支持体104、第2支持体105、第1対向部材106、及び第2対向部材107は、ワイヤー103を内包するように合成樹脂材によって矩形箱状に一体的に成型された成型部材からなる。
【0033】
第2支持体105と第2対向部材107との間の空間においては、2本のワイヤー103におけるそれぞれの「張架領域」に対してそれぞれ個別の振動吸収部材120が取り付けられている。これら振動吸収部材120は、それぞれ自らが取り付けられているワイヤー103における「張架領域」で発生した振動を吸収する。振動吸収部材120の材料としては、例えば、シリコーンゴム等の弾性を有する弾性部材からなる、縦8[mm]×横8[mm]×暑さ2[mm]のものを例示することができる。振動吸収部材120には、一辺の中間点から重心点まで延びるスリット120aが設けられている。振動吸収部材120は、このスリット120aにワイヤー103を挟み込むことで、ワイヤー103に取り付けられている。スリット120aの箇所には、粘着剤の塗布によって粘着性が高められている。このようにしてワイヤー103に取り付けられた振動吸収部材120は、図3や図4に示されるように、第2支持体105と第2対向部材107との間の空間内に保持される。
【0034】
振動吸収部材120における第2支持体105との対向面や、第2対向部材107との対向面には、それぞれ複数の微小突起120bが設けられている。振動吸収部材120が長期間の使用に伴ってワイヤー長さ方向の一端側から他端側に向けて徐々に移動して第2支持体105に接触したとする。この場合、振動吸収部材120は、複数の微小突起120bをそれぞれ第2支持体105に点接触させることで、第2支持体105への密着を阻止する。複数の微小突起120bをそれぞれ第2支持体105に点接触させているだけで、その接触面積は非常に小さいものであるので、全面を密着させた場合とは異なり、ワイヤー103の振動に追従して自在に動くことが可能である。このように、振動吸収部材120は、第2支持体105に接触したとしても、ワイヤー103の振動に追従して自在に動くことで、振動吸収機能を維持する。よって、本プリンタにおいては、振動吸収部材120の振動吸収機能を失ってしまうことを回避することができる。
【0035】
なお、振動吸収部材120が第2支持体105に接触した場合を例にして説明したが、振動吸収部材120が第2対向部材107に接触した場合にも、同様にして振動吸収機能を維持することができる。具体的には、振動吸収部材120における第2対向部材107との対向面に設けられた複数の微小突起120bが第2対向部材107それぞれ点接触することで、振動吸収部材120の第2対向部材107への密着を阻止する。これにより、第2対向部材107に接触してしまった振動吸収部材120はワイヤー103の振動に追従して自在に動くことが可能であるため、振動吸収機能を維持することができるのである。
【0036】
図5は、実施形態に係る帯電装置100の変形例における長手方向の一端部を示す拡大分解側面図である。また、図6は、同変形例における長さ方向の一端部を示す拡大分解平面図である。変形例に係る帯電装置100においては、振動吸収部材120には、接触面積低減手段としての複数の微小突起を設けていない。その代わりに、次のような構成を設けている。即ち、第2支持体105における振動吸収部材120との対向面に複数の微小突起105aを設けている。また、第2対向部材107における振動吸収部材120との対向面にも、複数の微小突起107bを設けている。
【0037】
振動吸収部材120が長期間の使用に伴ってワイヤー長さ方向の一端側から他端側に向けて徐々に移動して第2支持体105に接触したとする。この場合、第2支持体105は、複数の微小突起105aをそれぞれ振動吸収部材120に点接触させることで、振動吸収部材120への密着を阻止する。振動吸収部材120は、第2支持体105から複数の微小突起150aの点接触を受けているだけで、その接触面積は非常に小さいものであるので、第2支持体105の全面を密着せしめられた場合とは異なり、ワイヤー103の振動に追従して自在に動くことが可能である。このように、振動吸収部材120は、第2支持体105に接触したとしても、ワイヤー103の振動に追従して自在に動くことで、振動吸収機能を維持する。よって、本プリンタにおいては、振動吸収部材120の振動吸収機能を失ってしまうことを回避することができる。
【0038】
なお、振動吸収部材120が第2支持体105に接触した場合を例にして説明したが、振動吸収部材120が第2対向部材107に接触した場合にも、同様にして振動吸収機能を維持することができる。具体的には、第2対向部材107における振動吸収部材120との対向面に設けられた複数の微小突起107bが振動吸収部材120にそれぞれ点接触することで、第2対向部材107の振動吸収部材120への全面密着を阻止する。これにより、第2対向部材107に接触してしまった振動吸収部材120はワイヤー103の振動に追従して自在に動くことが可能であるため、振動吸収機能を維持することができるのである。
【0039】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
コロナ放電を発生させるワイヤー(例えばワイヤー103)と、自らに係止された前記ワイヤーの長さ方向の一端側を支持する第1支持体(例えば第1支持体104)と、自らに係止された前記ワイヤーの長さ方向の他端側を支持する第2支持体(例えば第2支持体105)と、前記ワイヤーにおける前記第1支持体と前記第2支持体との間の張架領域であって且つ前記第2支持体の近傍領域に取り付けられて前記張架領域の振動を吸収する振動吸収部材(例えば振動吸収部材120)とを有し、前記張架領域から被帯電体(例えば感光体1)に向けて発したコロナ放電によって前記被帯電体を帯電せしめるコロナ帯電装置において、前記振動吸収部材と前記第2支持体とが接触した際における両者の接触面積を低減する接触面積低減手段を、前記振動吸収部材における前記第2支持体との対向面、あるいは、前記第2支持体における前記振動吸収部材との対向面、に設けたことを特徴とするものである。
【0040】
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記ワイヤーを自らの貫通穴(例えば貫通穴107a)に貫通させた状態で、前記第2支持体に対向しつつ、自らと前記第2支持体との間に前記ワイヤーに取り付けられた前記振動吸収部材を介在させる対向部材(例えば第2対向部材107)を設け、前記振動吸収部材を前記対向部材と前記第2支持体との間に保持させるようにしたことを特徴とするものである。かかる構成では、振動吸収部材を第2支持体と対向部材との間の空間内に保持し続けることができる。
【0041】
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、前記接触面積低減手段としての複数の前記微小突起(例えば微小突起120a)を、前記振動吸収部材における前記第2支持体との対向面、及び前記対向部材との対向面にそれぞれ設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、振動吸収部材に設けられた複数の微小突起が、第2支持体や対向部材にそれぞれ点接触することで、振動吸収部材の第2支持体への密着や、振動吸収部材の対向部材への密着を阻止することができる。
【0042】
[態様D]
態様Dは、態様Bにおいて、前記接触面積低減手段としての複数の前記微小突起(例えば微小突起105aや微小突起107b)を、前記第2支持体における前記振動吸収部材との対向面、及び前記対向部材における前記振動吸収部材との対向面にそれぞれ設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、第2支持体に設けられた複数の微小突起や、対向部材に設けられた複数の微小突起が、振動吸収部材にそれえぞれ点接触することで、振動吸収部材の第2支持体への密着や、振動吸収部材の対向部材への密着を阻止することができる。
【符号の説明】
【0043】
1:感光体(被帯電体、潜像担持体)
5:現像装置(現像手段)
20:光書込装置(潜像書込手段)
100:コロナ帯電装置
103:ワイヤー
104:第1支持体
105:第2支持体
105:微小突起(接触面積低減手段)
107:第2対向部材(対向部材)
107a:貫通穴
107b:微小突起(接触面積低減手段)
120:振動吸収部材
120a:微小突起(接触面積低減手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開平6−242661号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナ放電を発生させるワイヤーと、自らに係止された前記ワイヤーの長さ方向の一端側を支持する第1支持体と、自らに係止された前記ワイヤーの長さ方向の他端側を支持する第2支持体と、前記ワイヤーにおける前記第1支持体と前記第2支持体との間の張架領域であって且つ前記第2支持体の近傍領域に取り付けられて前記張架領域の振動を吸収する振動吸収部材とを有し、前記張架領域から被帯電体に向けて発したコロナ放電によって前記被帯電体を帯電せしめるコロナ帯電装置において、
前記振動吸収部材と前記第2支持体とが接触した際における両者の接触面積を低減する接触面積低減手段を、前記振動吸収部材における前記第2支持体との対向面、あるいは、前記第2支持体における前記振動吸収部材との対向面、に設けたことを特徴とするコロナ帯電装置。
【請求項2】
請求項1のコロナ帯電装置において、
前記ワイヤーを自らの貫通穴に貫通させた状態で、前記第2支持体に対向しつつ、自らと前記第2支持体との間に前記ワイヤーに取り付けられた前記振動吸収部材を介在させる対向部材を設け、
前記振動吸収部材を前記対向部材と前記第2支持体との間に保持させるようにしたことを特徴とするコロナ帯電装置。
【請求項3】
請求項2のコロナ帯電装置において、
前記接触面積低減手段としての複数の前記微小突起を、前記振動吸収部材における前記第2支持体との対向面、及び前記対向部材との対向面にそれぞれ設けたことを特徴とするコロナ帯電装置。
【請求項4】
請求項2のコロナ帯電装置において、
前記接触面積低減手段としての複数の前記微小突起を、前記第2支持体における前記振動吸収部材との対向面、及び前記対向部材における前記振動吸収部材との対向面にそれぞれ設けたことを特徴とするコロナ帯電装置。
【請求項5】
潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体の表面を一様に帯電せしめる帯電手段と、一様帯電後の前記潜像担持体の表面に潜像を書き込む潜像書込手段と、前記潜像担持体の表面上の潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置において、
前記帯電手段として、請求項1乃至4の何れかのコロナ帯電装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−64788(P2013−64788A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202208(P2011−202208)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】