説明

コンクリートの補修方法

【課題】 様々な寸法のひび割れが発生したコンクリートの補修が可能であり、しかもひび割れ内の充填物とコンクリートとの接着性にも優れたコンクリートの補修方法を提供すること。
【解決手段】 アルカリ金属ケイ酸塩が溶解した第1の水溶液を、硬化したコンクリートの表面に発生したひび割れの内部に浸入させてから、周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した第2の水溶液を前記ひび割れの内部に浸入させて、コンクリートを補修する。第2の水溶液がさらに微粒子セメントを含有することによって、より大きいひび割れをより早く閉塞させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの補修方法に関する。特に、アルカリ金属ケイ酸塩が溶解した水溶液と、周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した水溶液とを使用するコンクリートの補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化後のコンクリートには、さまざまな要因によってひび割れ(亀裂)が発生する。例えば、硬化時の収縮、温度変化による膨張と収縮の繰り返し、荷重による変形などがひび割れ発生の主要因である。このようにして発生したひび割れによって、コンクリート自体の強度が低下したり、漏水が引き起こされたりする。また、ひび割れから浸入した水分や空気によって、内部の鉄筋が腐食したり、ひび割れ周辺のコンクリートが炭酸ガスと反応して中性化して強度が低下したりすることもある。一旦発生したひび割れをそのまま放置していたのでは、ひび割れが成長して、問題がさらに深刻になるおそれがある。したがって、ひび割れの発生したコンクリートを補修することが重要である。
【0003】
ひび割れが発生したコンクリートを補修する方法として、さまざまな方法が行われている。例えば、コンクリートの表面全体にセメントペーストやポリマーモルタルなどを塗布してひび割れを覆う方法や、ひび割れ内部にエポキシ樹脂や微粒子セメント分散液などの封止剤を充填する方法などが知られている。しかしながら、セメントペーストなどを塗布してひび割れを覆う場合には、ひび割れの内部まで補修することは困難である。これに対し、ひび割れ内部に封止剤を充填する場合には、ひび割れの内部まで補修することが可能である。しかしながら、エポキシ樹脂や微粒子セメント分散液などの封止剤を使用する場合には、以下のような問題点がある。
【0004】
エポキシ樹脂で封止する場合には、通常、コンクリート表面のひび割れに注入プラグを取り付けて、周辺のひび割れを封止した上でひび割れの内部にエポキシ樹脂を圧入する。しかしながら、現在使用されているエポキシ樹脂の場合、比較的小さいひび割れに対応できるとされているものであっても、コンクリート表面でのひび割れの幅が0.2mm程度は必要であり、ひび割れ先端で幅が0.05mmよりも狭いところまでは入っていくことができない。したがって、微細なひび割れの内部に充填することは困難である。また、エポキシ樹脂の場合には、ひび割れ内部が汚染されている場合に接着力が低下する場合があるし、経年劣化の発生も避けられない。さらに、一旦硬化したエポキシ樹脂に対するエポキシ樹脂の接着性が必ずしも良好ではないために、再施工が困難である。
【0005】
また、微粒子セメント分散液を使用した場合も上記エポキシ樹脂と同様に、コンクリート表面でのひび割れの幅が0.2mm程度は必要であり、ひび割れ先端で幅が0.05mmよりも狭いところまでは入っていくことができない。しかも、ひび割れ内部が乾燥している場合には、浸入させる分散液中の水分がひび割れ内壁からコンクリートに吸収されるので、ひび割れ中を進行しているうちに流動性を失って、深い部分まで充填できなくなるおそれがある。逆にひび割れ内部が濡れている場合には、分散液の水分率が大きくなりすぎ、水とセメントの比が好適範囲から外れて、硬化物の強度が低下するおそれもある。
【0006】
一方、微細なひび割れが発生したコンクリートを補修する方法としては、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をひび割れ内部に浸入させる方法が有効であるとされている。例えば、特開2001−294461号公報(特許文献1)には、水ガラスに多価カルボン酸又はその誘導体を配合してなるコンクリート改質剤が記載されている。その実施例1には、当該コンクリート改質剤で処理することによって、コンクリートのひび割れを埋め、細孔を減少させることが示されている。アルカリ金属のケイ酸塩はコンクリート表面近傍のカルシウム塩、特に水酸化カルシウムと反応してケイ酸カルシウムの結晶を形成すると考えられており、これによってコンクリートの主成分であるケイ酸カルシウムと一体化してひび割れを充填し、強化することができると考えられているものである。
【0007】
しかしながら、このようなアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を使用する場合には、微細なひび割れ内部を充填することは可能であるが、逆にひび割れの幅が大きい場合には完全に封止することが困難である。これに対し、特開平7−26674号公報(特許文献2)には、大きな亀裂の場合、先にカルシウムを注入し、その後ケイ酸ナトリウムを主成分とした無機質浸透性防水材を塗布又は注入して乾燥と散水を数回繰り返すコンクリート建築物の防水工法が記載されている。しかしながら、予めカルシウム塩が付着しているひび割れの内部では浸入するアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が増粘又はゲル化するので、ひび割れの先端までアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が到達しにくい。また、カルシウム塩自体は、直接コンクリートと強く接着するものではないので、アルカリ金属ケイ酸塩が届く部分であっても、ひび割れ内に形成される硬化物とコンクリートとの接着性は不十分である。この方法と同様に、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を注入する前にアルカリ土類金属イオンを加えた溶液を浸透させる方法については、特開2002−179479号公報(特許文献3)にも記載されている。
【0008】
特表2002−508404号公報(特許文献4)には、ケイ酸ナトリウムと酸化カルシウムを含有し、かつ酸化カルシウムの溶解度を向上させるための有機化合物(サッカロースやグリセリン)を含有する水溶液を水槽などに塗布して防水処理する方法が記載されている。しかしながら、ケイ酸ナトリウムとカルシウム塩を同時に含有する水溶液は粘度が高いので、微細なひび割れに浸透させるのは容易ではない。
【0009】
以上のように、大きいひび割れ内に充填するのに適した補修方法の場合には、微細なひび割れ内を充填することが困難であるし、微細なひび割れ内を充填するのに適した補修方法の場合には、大きいひび割れ内に充填することが困難である。したがって、様々な寸法のひび割れの補修が可能であり、しかも、ひび割れ内の充填物とコンクリートとの接着性にも優れた補修方法は未だ見出されていない状況である。
【0010】
【特許文献1】特開2001−294461号公報(特許請求の範囲、実施例1)
【特許文献2】特開平7−26674号公報(請求項5、[0018])
【特許文献3】特開2002−179479号公報(請求項5、[0009]、実施例4、実施例5)
【特許文献4】特表2002−508404号公報(特許請求の範囲、[0002])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、様々な寸法のひび割れが発生したコンクリートの補修が可能であり、しかもひび割れ内の充填物とコンクリートとの接着性にも優れたコンクリートの補修方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、アルカリ金属ケイ酸塩が溶解した第1の水溶液を硬化したコンクリートの表面に発生したひび割れの内部に浸入させてから、周期律表第2族に属する金属(以下、2族金属ということがある)の塩が溶解した第2の水溶液を前記ひび割れの内部に浸入させることを特徴とするコンクリートの補修方法を提供することによって解決される。
【0013】
第1の水溶液は、アルカリ金属ケイ酸塩が溶解した水溶液であり、コンクリートに発生した微細なひび割れ内に浸入させることが容易である。アルカリ金属のケイ酸塩は、ひび割れ内部のコンクリート表面近傍のカルシウム塩、特に水酸化カルシウムと反応してケイ酸カルシウムの結晶を形成すると考えられており、これによってコンクリートの主成分であるケイ酸カルシウムと一体化してひび割れ内部が充填されると考えられる。しかしながら、ひび割れ内部のコンクリート表面近傍に存在するカルシウム塩の量は必ずしも多くなく、ケイ酸カルシウムと反応してゲル化あるいは結晶化に寄与することのできる量は限られている。そのため、ひび割れの幅が広い場合には、ケイ酸カルシウムで充填することが困難である。
【0014】
これに対し、本発明では、第1の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、さらに第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させる。ここで、第2の水溶液は2族金属塩が溶解したものである。2族金属塩は水溶液中でアルカリ金属ケイ酸塩と反応して増粘し、ゲル化し、さらにはケイ酸カルシウムの結晶など、2族金属のケイ酸塩を生じると考えられている。これにより、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液のみを用いた処理では不十分な充填状態にある幅の広いひび割れ内部に対する充填が可能になる。
【0015】
すなわち、微細なひび割れに対しては第1の水溶液が均一に深く浸透することによって充填がなされ、それでも充填が不可能であった大きいひび割れに対してはさらに第2の水溶液を浸入させることによって充填がなされる。これによって、様々な寸法のひび割れが混在するコンクリートに対して、効果的な補修が可能になる。このとき、浸透させる順番が重要である。第2の水溶液に含まれる2族金属塩自体は、直接コンクリートと強く接着するものではないので、これが先に充填されているところへ後から第1の水溶液を浸入させても、コンクリートと充填物との接着性は十分ではない。また、予め2族金属塩が付着しているひび割れの内部では浸入する第1の水溶液が増粘又はゲル化するので、ひび割れの先端まで第1の水溶液が到達しにくい。したがって、第1の水溶液を浸入させてから第2の水溶液を浸入させることが重要である。
【0016】
このとき、第1の水溶液にカルボン酸が配合され、該カルボン酸によって前記アルカリ金属ケイ酸塩の一部が中和されていることが好適である。また、第1の水溶液が、不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液であることも好適であり、この場合にはコンクリートの表面に第1の水溶液を塗布することによって、ひび割れの内部に第1の水溶液を浸入させることが好ましい。周期律表第2族に属する金属の塩がマグネシウム塩又はカルシウム塩であること、あるいはカルボン酸塩であることが好適である。また、第2の水溶液に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量が、金属元素換算で0.01重量%以上であることも好適である。第2の水溶液が、不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液であることが好適な実施態様である。この場合、第2の水溶液に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量が、金属元素換算で0.5重量%以上であることが好ましい。またこの場合、コンクリートの表面に第2の水溶液を塗布することによって、ひび割れの内部に第2の水溶液を浸入させることも好ましい。第2の水溶液がさらに微粒子セメントを含有することも好適な実施態様である。この場合、第2の水溶液に分散している微粒子セメントの含有量が33〜67重量%であり、かつ第2の水溶液に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量が金属元素換算で0.01〜0.2重量%であることが好ましい。またこの場合、第2の水溶液を、圧力をかけてひび割れの内部に注入することも好ましい。
【0017】
上記コンクリートの補修方法において、第1の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させるまでの間に、ひび割れ内部に水分を供給する方法が好適な実施態様である。このとき、第1の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、コンクリートの表面に水をかけることによって漏水の有無を確認し、漏水を確認してから第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させることが好適である。第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させる際に、2種類の第2の水溶液を使用し、先に不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、微粒子セメントを含有する第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させる方法も好適な実施態様である。また、第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、周期律表第2族に属する金属の塩が溶解していない微粒子セメント分散液をコンクリートのひび割れの内部に注入する方法も好適な実施態様である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のコンクリートの補修方法によれば、様々な寸法のひび割れが発生したコンクリートの補修が可能であり、ひび割れ発生状態に応じた適切な補修ができる。しかも、当該方法によってひび割れ内に形成される充填物とコンクリートとの接着性が優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のコンクリートの補修方法は、アルカリ金属ケイ酸塩が溶解した第1の水溶液を硬化したコンクリートの表面に発生したひび割れの内部に浸入させてから、周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した第2の水溶液を前記ひび割れの内部に浸入させることを特徴とするものである。
【0020】
第1の水溶液は、アルカリ金属ケイ酸塩が溶解したものである。そのカチオン種は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが例示されるが、入手の容易さやコストの面などからナトリウムイオンであることが好ましい。また、そのアニオン種も特に限定されず、オルトケイ酸アニオン[SiO44-]やメタケイ酸アニオン[SiO32-]などのアニオン種のみならず、ケイ酸[SiO2]単位が複数個連結してアニオン種を形成したものであっても良い。
【0021】
具体的な化合物としては、オルトケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸カリウム、オルトケイ酸リチウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、メタケイ酸リチウム、水ガラスなどが例示される。
【0022】
中でも本発明で好適に使用されるのは水ガラスである。水ガラスはアルカリ金属のケイ酸塩の水溶液であって、ケイ酸[SiO2]単位が複数個連結してアニオン種を形成したものである。ここで使用されるアルカリ金属はカリウムの場合もあるが通常ナトリウムである。ケイ酸ナトリウムの場合の固形分の一般式はNa2O・nSiO2で示される。
【0023】
ケイ酸塩中の金属原子数とケイ素原子数の比[金属/ケイ素]は0.1〜2の範囲であることが好ましい。前記比[金属/ケイ素]が0.1未満の場合には、水溶性が低下し、微細なひび割れ中で、深部まで第1の水溶液が到達しないおそれがある。より好適には0.2以上であり、さらに好適には0.3以上である。逆に比[金属/ケイ素]が2を超える場合には、硬化のために大量の2族金属塩が必要となり、硬化性が低下するおそれがある。より好適には1.5以下であり、さらに好適には1以下である。
【0024】
第1の水溶液中のアルカリ金属ケイ酸塩の濃度が高いほど第1の水溶液の比重は高くなる。第1の水溶液の好適な比重は1.05〜1.4である。このような濃度とすることによって、ひび割れの深部に十分に浸透できるとともに、十分な量のアルカリ金属ケイ酸塩をひび割れの内部に供給することができる。比重はより好適には1.1以上であり、さらに好適には1.15以上である。一方、より好適には1.35以下であり、さらに好適には1.3以下である。
【0025】
また、第1の水溶液に酸が配合され、その酸によって前記アルカリ金属ケイ酸塩の一部が中和されていることが好ましい。中和されることによって、第1の水溶液のpHが高くなりすぎず、ひび割れ内のコンクリート表面に生成している炭酸カルシウムが溶出しやすくなり、コンクリート表面に強く接着したケイ酸カルシウムが形成されやすくなると考えられる。酸の種類は特に限定されるものではないが、第1の水溶液を適切なpHとすることができ、コンクリートの安定性や内部の鉄筋などに悪影響を及ぼさないという点から、カルボン酸が好適である。
【0026】
使用されるカルボン酸は特に限定されるものではなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸;グリコール酸、乳酸、グルコン酸などのオキシモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸などの多価カルボン酸;リンゴ酸、クエン酸などのヒドロキシ多価カルボン酸;アクリル酸重合体、無水マレイン酸重合体などの多価カルボン酸重合体などを使用することができる。これらの中でも揮発性が低く、水溶性の良好なオキシカルボン酸や多価カルボン酸が好適であり、多価カルボン酸がより好適である。マレイン酸、フマル酸のような不飽和多価カルボン酸も好適である。
【0027】
第1の水溶液にカルボン酸を配合する場合、ケイ酸塩中の金属原子数とカルボン酸中のカルボキシル基の数との比[金属/カルボキシル基]は1〜200であることが好適である。比[金属/カルボキシル基]が1未満の場合には、水溶性が低下し、微細なひび割れ中で、深部まで第1の水溶液が到達しないおそれがある。より好適には2以上であり、さらに好適には5以上であり、最適には10以上である。逆に比[金属/カルボキシル基]が200を超えると、硬化のために大量の2族金属塩が必要となり、硬化性が低下するおそれがある。より好適には100以下であり、さらに好適には50以下である。
【0028】
第1の水溶液は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その他の成分を含有しても構わない。しかしながら、不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液であることが好ましい。これによって、微細なひび割れの深部まで第1の水溶液が浸透していくことが容易になる。この場合、コンクリートの表面に第1の水溶液を塗布することによって、ひび割れの内部に第1の水溶液を浸入させることが好適である。
【0029】
第2の水溶液は、周期律表第2族に属する金属の塩が溶解したものである。周期律表第2族に属する塩としては、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩などが挙げられるが、入手の容易性や毒性などを考慮すれば、マグネシウム塩又はカルシウム塩が好適に使用される。なかでもマグネシウム塩が大きいひび割れを迅速に閉塞させる効果に優れていて好ましい。
【0030】
周期律表第2族に属する金属の塩のアニオン種も特に限定されないが、コンクリートに悪影響を与えず、しかも水に対する溶解度の大きい塩が多いことから、カルボン酸塩が好適に使用される。カルボン酸塩としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩などが好適なものとして例示される。
【0031】
第2の水溶液に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量が、金属元素換算で0.01重量%以上であることが好ましい。一定量以上の2族金属イオンが溶解していることによって、大きいひび割れの内部を充填できるだけの2族金属イオンを容易に提供することができるからである。上記塩の含有量は金属元素換算でより好適には0.5重量%以上であり、さらに好適には1重量%以上である。一方、上記塩の含有量は、通常金属元素換算で20重量%以下である。
【0032】
第2の水溶液には、その中に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩以外の成分を含有していても良い。第2の水溶液が、不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である場合には、コンクリートの表面に第2の水溶液を塗布することによって、ひび割れの内部に第2の水溶液を浸入させることが容易である。この場合、上記塩の含有量は金属元素換算で好適には0.5重量%以上であり、より好適には1重量%以上であり、さらに好適には2重量%以上である。第2の水溶液が不溶成分を含有していてもよいが、不溶成分が2族金属元素を含有していても、上記「溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量」には含めないものとする。
【0033】
ひび割れの幅が大きい場合には、第2の水溶液がさらに微粒子セメントを含有することも好適である。この場合には、2族金属塩とアルカリ金属ケイ酸塩との間で進行する急速な増粘あるいはゲル化反応によってひび割れ内部の充填物の流動性を低下させてから、セメントの硬化によって充填物全体を十分に硬化させることが可能である。この場合、微粒子セメントを配合した分だけ第2の水溶液の流動性は低下するので、細かいひび割れへの浸透性は低下する。したがって、微粒子セメントを含まない第2の水溶液を使用したのではなお充填が不完全であるほど大きいひび割れに対して有効な処方である。ここで使用される微粒子セメントは、JIS R5201に基づいて測定した比表面積が、通常5000cm/g以上であり、好適には8000cm/g以上であり、より好適には10000cm/g以上である。また比表面積は、通常30000cm/g以下であり、入手のしやすさの点からは20000cm/g以下であることが好ましい。なお、普通ポルトランドセメントの比表面積が、通常2500〜3300cm/g程度である。また、比表面積が8000cm/g以上のセメントは、超微粒子セメントと呼ばれることもある。
【0034】
第2の水溶液に分散している微粒子セメントの含有量が33〜67重量%であることが好ましい。微粒子セメントの含有量が33重量%未満である場合には、硬化物の強度が不十分となるおそれがあり、より好適には50重量%以上であり、さらに好適には55重量%以上である。一方、微粒子セメントの含有量が67重量%を超える場合には、ひび割れ内部への充填性が低下するおそれがあり、より好適には63重量%以下である。また、第2の水溶液に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量が金属元素換算で0.01〜0.2重量%であることも好ましい。微粒子セメントを含有する第2の水溶液を使用する場合には、不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である第2の水溶液を使用する場合に比べて2族金属塩の含有量が少ないほうが好ましい。2族金属塩の含有量が0.01重量%未満である場合には、ゲル化促進効果が不十分になるおそれがあり、より好適には0.02重量%以上である。一方、2族金属塩の含有量が0.2重量%を超える場合には、ゲル化速度が速すぎてひび割れへの注入が困難になりやすいだけでなく、硬化物の強度が不十分となるおそれもあり、より好適には0.1重量%以下である。ここで、2族金属塩の含有量は分散液全体の重量に対する配合割合である。このように、微粒子セメントを含有する場合には、圧力をかけてひび割れの内部に注入することが好ましい。
【0035】
以上、本発明で使用する第1の水溶液と第2の水溶液について説明した。以下、これらの水溶液を用いてコンクリートを補修する方法について説明する。
【0036】
本発明の補修方法では、まず、アルカリ金属ケイ酸塩が溶解した第1の水溶液を、硬化したコンクリートの表面に発生したひび割れの内部に浸入させる。補修の対象とされるコンクリートは既に硬化したものである。本発明の補修対象であるコンクリートは、セメントと水と骨材との混合物が硬化したものであり、骨材として粗骨材を含まず細骨材(砂)のみを含むものであるモルタルを包含するものである。補修されるコンクリートによっては、第1の水溶液を浸入させる前にコンクリート表面やひび割れ内部を清掃することが好ましい。その場合、例えば、予め水をひび割れの内部に浸入させてから、一旦乾燥させ、その後第1の水溶液を浸入させるような方法が採用される。
【0037】
硬化したコンクリートの表面には、肉眼で容易に認識される大きなものから、非常に微細なものまで様々な寸法のひび割れが発生していることが多い。このようなひび割れの内部に第1の水溶液を浸入させる。ひび割れの内部に第1の水溶液を浸入させる方法としては、ひび割れの発生したコンクリート表面の広い範囲に亘って塗布してもよいし、ひび割れの部分にだけ選択的に注入してもよい。補修対象や目的によって適宜選択される。
【0038】
微細なひび割れが広範囲に発生している場合や、ひび割れの発生箇所の特定が困難な場合には、コンクリートの表面の広い範囲に塗布することが好ましい。第1の水溶液を使用することによって、視認の困難な微細なひび割れ内の深部にまで溶液を浸入させることができる。障害物があってコンクリート表面のひび割れに対して直接塗布することができない場合や、管の中などコンクリート表面のひび割れを視認することが困難な場合にも広い範囲に塗布することが好ましい。第1の水溶液は、通常比較的低粘度であり、不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である場合が多く、このようにコンクリート表面の広い範囲に対して塗布することが容易である。
【0039】
ただし、コンクリートの補修すべき面が下向きになっている場合や、補修すべきひび割れが明らかな場合や、圧力をかけて注入したいような場合には、第1の水溶液をひび割れの部分にだけ選択的に注入してもよい。
【0040】
第1の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させるまでの間に、一旦乾燥させることが好ましい。そうすることによって第2の水溶液が浸入しやすくなる。ここでいうところの「乾燥させる」というのは、厳密に乾燥させる場合のみを意味するものではなく、コンクリート表面やひび割れ内部において、肉眼で観察される遊離水が認められなくなる程度まで乾燥させる場合をも含むものである。したがって例えば、乾燥後にコンクリート表面が湿っていても構わない。
【0041】
また、第1の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させるまでの間に、ひび割れ内部に水分を供給することも好ましい。ひび割れ内部に浸入したアルカリ金属ケイ酸塩と、コンクリート由来のカルシウム成分とが反応したり、反応物の結晶が成長したりするのは、水が存在するときであるから、ひび割れ内部を長時間湿潤状態に保つことによって、充填物がひび割れ内部でより強固に接着することが可能になる。具体的には、霧状の水を散布して、コンクリートの表面を水が流れない程度に湿潤させる方法が好適である。したがって、第1の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、一旦乾燥させ、コンクリートの表面に水をかけ、一旦乾燥させ、必要であればさらに湿潤と乾燥とを繰り返し、それから第2の水溶液を浸入させるような方法が好適な方法として採用される。
【0042】
また、第1の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、コンクリートの表面全体に水をかけることによって漏水の有無を確認し、漏水を確認してから第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させる方法も好適である。水をかけることによって得られる効果は前述のとおりであるが、特に漏水の止水が目的である場合には、このような手法が好適に採用される。この場合、漏水を確認するためには遊離水が出る程度に多めに水をかけた方がよい。この操作によって漏水が認められない場合には、第1の水溶液での補修だけで目的が達成される。そして漏水があった場合にだけ第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させればよい。このとき、もう一度第1の水溶液を浸入させてから第2の水溶液を浸入させてもよい。
【0043】
第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させる方法としては、第1の水溶液のときと同じ方法が採用できる。ひび割れの発生したコンクリート表面の広い範囲に亘って塗布してもよいし、ひび割れの部分にだけ選択的に注入してもよい。しかしながら第2の水溶液は、第1の水溶液で閉塞させることができなかった大きなひび割れを中心に補修するものであるから、ひび割れの部分にだけ選択的に注入することが好適な場合も多い。ただし、障害物があってコンクリート表面のひび割れに対して直接塗布することができない場合や、管の中などコンクリート表面のひび割れを視認することが困難な場合などには、コンクリート表面の広い範囲に対して塗布するのが好ましい。
【0044】
第2の水溶液をひび割れの部分にだけ選択的に注入するに際しては、油さしやスポイトなどを使用してひび割れに沿って垂らしても良いし、圧力をかけて注入しても良い。第2の水溶液は、ひび割れ中に存在するアルカリ金属ケイ酸塩と反応し、増粘しながらひび割れ内に浸入するので、より深部まで到達させるには、圧力をかけて注入することが好ましい。圧力をかけて注入する方法としては、例えばコンクリート表面のひび割れに注入プラグを適当な数だけ取り付けて、周辺のひび割れをエポキシ樹脂等で封止した上でひび割れの内部に圧入するような方法が例示される。特に、第2の水溶液として周期律表第2族に属する金属の塩に加えて、さらに微粒子セメントを含有する場合には、流動性が低下しているので、圧力をかけて注入することが好ましい。
【0045】
第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させる際に、2種類の第2の水溶液を使用し、先に不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、微粒子セメントを含有する第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させる方法も好適である。微細なひび割れを第1の水溶液を使用して閉塞させ、それで閉塞できなかった比較的大きなひび割れを不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である第2の水溶液を使用して閉塞させ、さらにそれでも閉塞できなかったより大きなひび割れを微粒子セメントを含有する第2の水溶液で閉塞させるというものである。例えば、第1の水溶液及び均一な水溶液である第2の水溶液については、コンクリート表面の広い範囲に対して塗布しておき、これら両者を使用してもなお閉塞困難な場合にだけ、微粒子セメントを含有する第2の水溶液を、圧力をかけて注入するような方法が採用される。注入プラグを取り付けて圧入する操作は、手間がかかるので、施工現場で確認しながら、必要な場合にだけ採用するという考え方である。同様の考え方から、第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、周期律表第2族に属する金属の塩が溶解していない微粒子セメント分散液をコンクリートのひび割れ部分にのみ注入する方法も好適に採用される。
【0046】
第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させた後、ひび割れ内部に水分を供給することも好ましい。ひび割れ内部を長時間湿潤状態に保つことによって、ひび割れ内部の反応物の結晶が成長し、充填物がひび割れ内部でコンクリートに対してより強固に接着することが可能になる。具体的には、霧状の水を散布して、コンクリートの表面を水が流れない程度に湿潤させる方法などが採用される。
【0047】
以上、本発明の補修方法によれば、各種の寸法のひび割れを的確に閉塞させることが容易である。微細なひび割れに対してはアルカリ金属ケイ酸塩が溶解した第1の水溶液を使用し、それより少し大きいひび割れに対しては不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である第2の水溶液を使用し、さらに大きいひび割れには微粒子セメントを含有する分散液を使用するというものである。微粒子セメントを含有する分散液を使用する場合において、速硬性が要求される場合には周期律表第2族に属する金属の塩が溶解しているものを使用することもできる。これらを適宜現場の判断で組み合わせることによって、最適なひび割れの補修方法が提供される。簡単な操作で補修可能なものは簡単な操作で施工を完了させ、必要な場合にだけさらに補修操作を付け加えることができ、作業効率の良い施工方法が提供される。
【0048】
本発明の補修方法は、様々な場所や目的に対して適用することが可能である。例えば、屋上、ベランダ、地下室、駐車場などの床、壁、天井などに発生したひび割れを補修することができ、特に漏水を伴う場合の止水に有効である。コンクリート硬化物におけるジャンカ部や打ち継ぎ部の補修にも適している。コンクリート管内の漏水の止水や、床タイル下のコンクリート躯体のひび割れなど、ひび割れ部分を直接観察できない場合であっても補修することもできる。また、プールや水槽などの漏水を、水を溜めたままで止水するのにも適している。
【実施例】
【0049】
以下、実施例を使用して本発明をさらに詳細に説明する。また、本発明のメカニズムを推定する上で参考になる参考試験も行ったので、それも併せて説明する。
【0050】
実施例1[第1の水溶液+第2の水溶液(セメントなし)]
材令24日のコンクリートテストピース(直径100mm、長さ200mm)を準備し、当該テストピースに対して割裂引張強度試験(JIS A1113−1999に準拠)を行い、応力カーブが降伏点を過ぎた直後に停止して、主として試料の縦方向に沿ってひび割れが入った試料を作製した。当該試料において、コンクリートを硬化させた際の上面のひび割れ形状と幅を観察し、幅0.2mm程度のひび割れから、微細なひび割れまでを有するものを3本選び出した。
【0051】
上記選び出したテストピース3本を使用して、図1に示すような方法で水溶液をひび割れに注入した。テストピース1の側面2に透明プラスチック粘着テープを巻きつけ、内部からの溶液の漏出を防止するとともに溶液の浸入状況が観察できるようにした。コンクリートを硬化させた際に上側を向いていた上面3において、ひび割れ4の幅が0.2mm程度である場所に注入プラグ5を速硬性のエポキシ樹脂で貼り付け、注入プラグ5が貼り付けられていない部分のひび割れ4を速硬性のエポキシ樹脂で封止した。テストピース1を横向きにして、注入シリンダー6を注入プラグ5にネジ止めした。注入シリンダー6は、ピストン7が輪ゴム8で引っ張られていて、一定の圧力をかけてひび割れ4の内部に水溶液を注入できるようになっている。
【0052】
第1の水溶液は、以下のようにして調製した。水温60℃の水15重量部を入れた容器に、フマル酸0.15重量部を投入し、撹拌して溶解させた。引き続き、撹拌を継続しながら、東曹産業(株)製水ガラス「JIS3号珪酸ソーダ」25重量部を加えた。このとき、水ガラスを加えた部分では一時的に粘度が大きく上昇するが、撹拌することによって全体が均質化された。この操作を繰り返して水ガラスの全量を加えて、全体として均一な不溶物のない水溶液を調製した。なお、ここで使用した水ガラスは、酸化ナトリウム(Na2O:MW=61.98)成分を9〜10重量%、二酸化ケイ素(SiO2:MW=60.09)成分を28〜30重量%含有するものである。中央値を採用して、酸化ナトリウム成分を9.5重量%、二酸化ケイ素成分を29重量%含有するとした場合、比[金属/ケイ素]の値は0.64である。ナトリウム原子数と、2価の酸であるフマル酸(C4H4O4:MW=116.07)中のカルボキシル基の数との比[金属/カルボキシル基]の値は、30であった。また、水溶液の比重は1.24であった。
【0053】
第2の水溶液(セメントなし)として、60℃の温水100重量部に無水乳酸カルシウム(CH10OCa:MW=218.22)15重量部を溶かしてから室温まで冷却した均一な水溶液を使用した。この水溶液のカルシウム塩の含有量は、金属元素換算で2.4重量%であった。
【0054】
注入シリンダー6に第1の水溶液を入れて注入プラグ5に固定し、圧力をかけた状態で60秒間保持した。透明プラスチックテープで覆った側面2や底面9から観察したところ、肉眼では見えないような微細なひび割れに第1の水溶液が浸入していることが、ひび割れに沿った濡れ色によって観察された。その後、注入シリンダー6を外したところ、注入口から第1の水溶液が流出し、大きなひび割れ内部の水溶液が流出することがわかった。引き続き、別の注入シリンダー6に第2の水溶液(セメントなし)を入れて注入プラグ5に固定し、圧力をかけた状態で30分間保持してから、注入シリンダー6を外したところ、第2の水溶液は注入口から流出しなかった。
【0055】
以上の処理を行った試料を2週間室内に放置し、図2に示す要領で透水性試験を行った。まず、試験後のテストピース1の上面3に貼り付けていた注入プラグ5を外し、ひび割れ4を封止していたエポキシ樹脂をサンドペーパーで除去した。台10の上に試験後のテストピース1を上面3が上に、底面9が下になるように載置し、内径100mm、長さ500mmの塩ビパイプ11をその上に載せて、境目をエポキシ樹脂12でシールした。塩ビパイプ11一杯に水を注ぎ、12時間放置してから、再度塩ビパイプ11一杯になるように水を補充した。また、試験場所に内径100mmの容器を置き、そこから12時間の間に蒸発する水の量を測定した。水を補充した量から蒸発する水の量を引いた値が、テストピース1の透水量に相当する。この操作を繰り返し、120時間後までの12時間ごとの透水量(mL)を測定した。測定結果を表1及び図3に示す。
【0056】
実施例2[第1の水溶液+第2の水溶液(セメント入り)]
実施例1において使用した第2の水溶液(セメントなし)の代わりに第2の水溶液(セメント入り)を使用した以外は、実施例1と同様に試験を行った。第2の水溶液(セメント入り)は、以下のようにして調製した。三菱マテリアル株式会社製超微粒子セメント「アーマー#600」(JIS R5201に基づいて測定した比表面積:12200cm/g)100重量部に、水68重量部を加えて練り混ぜてから、これに実施例1で使用した第2の水溶液(セメント入り)4重量部を添加し混合したものを、第2の水溶液(セメント入り)として使用した。当該第2の水溶液(セメント入り)は、58重量%の超微粒子セメントを含有しており、その中に溶解しているカルシウム塩の含有量は、金属元素換算で、0.056重量%であった。
【0057】
注入シリンダー6に第1の水溶液を入れて注入プラグ5に固定し、圧力をかけた状態で60秒間保持した。透明プラスチックテープで覆った側面2や底面9から観察したところ、肉眼では見えないような微細なひび割れに第1の水溶液が浸入していることが、ひび割れに沿った濡れ色によって観察された。その後、注入シリンダー6を外したところ、注入口から第1の水溶液が流出し、大きなひび割れ内部の水溶液が流出することがわかった。引き続き、別の注入シリンダー6に第2の水溶液(セメント入り)を入れて注入プラグ5に固定し、圧力をかけた状態で30分間保持してから、注入シリンダー6を外したところ、第2の水溶液は注入口から流出しなかった。以上の処理を行った試料を2週間室内に放置した後、実施例1と同様に透水性試験を行った。測定結果を表1及び図3に示す。
【0058】
比較例1[第1の水溶液]
実施例1において、第2の水溶液(セメントなし)を使用せず、第1の水溶液のみを使用した以外は、実施例1と同様に試験を行った。注入シリンダー6に第1の水溶液を入れて注入プラグ5に固定し、圧力をかけた状態で30分間保持した。透明プラスチックテープで覆った側面2や底面9から観察したところ、肉眼では見えないような微細なひび割れに第1の水溶液が浸入していることが、ひび割れに沿った濡れ色によって観察された。その後、注入シリンダー6を外したところ、注入口から第1の水溶液が流出し、大きなひび割れ内部の水溶液が流出することがわかった。以上の処理を行った試料を2週間室内に放置した後、実施例1と同様に透水性試験を行った。測定結果を表1及び図3に示す。
【0059】
比較例2[微粒子セメント分散液]
実施例1において第1の水溶液と第2の水溶液(セメントなし)のいずれも使用せず、その代わりに微粒子セメント分散液のみを使用した以外は、実施例1と同様に試験を行った。微粒子セメント分散液は、実施例2で使用したのと同じ超微粒子セメント100重量部に水60重量部を混合し、ダマをストッキングで除去して調製した。注入シリンダー6に微粒子セメント分散液を入れて注入プラグ5に固定し、圧力をかけた状態で30分間保持した。透明プラスチックテープで覆った側面2や底面9から観察したところ、肉眼では見えないような微細なひび割れにも水分が浸入していることが、ひび割れに沿った濡れ色によって観察された。しかしながら、底面から浸み出してきた液体は濁っておらず透明であり、微粒子セメントがひび割れ内で分離して、水分のみが微細なひび割れを通過したことがわかった。その後、注入シリンダー6を外したところ、注入口から微粒子セメント分散液が流出し、大きなひび割れ内部の分散液が流出することがわかった。以上の処理を行った試料を2週間室内に放置した後、実施例1と同様に透水性試験を行った。測定結果を表1及び図3に示す。
【0060】
比較例3[処理なし]
実施例1において第1の水溶液と第2の水溶液(セメントなし)のいずれも使用せず、割裂引張強度試験後の試料をそのまま使用した以外は、実施例1と同様に透水性試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1及び図3からわかるように、何の処理もしない比較例3では透水性試験において全量の水が抜けてしまう。これに対し、第1の水溶液のみを使用した比較例1では、時間の経過にしたがって徐々に止水効果が向上していることがわかる。これは、湿潤状態に置かれることで、ひび割れ内部での化学反応と結晶成長が徐々に進行していることを示唆するものである。したがって、第1の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させるまでの間に、ひび割れ内部に水分を供給することが有効であることが裏付けられている。しかしながら、120時間が経過してもその止水効果は十分ではない。微粒子セメント分散液のみを使用した比較例2では、処理直後からある程度の止水効果を発揮するが、時間を経過しても透水量はあまり変化がなく、止水効果はやはり不十分である。それに対し、第1の水溶液と第2の水溶液(セメントなし)を使用した実施例1では、処理直後の透水量は比較的大きいものの、時間が経つにつれて減少し、120時間後では10数mlまで減少した。この数値が30mlくらいになると、テストピースの底部に遊離した水滴が見られなくなり、実用的な観点からの止水効果は十分である。また、第1の水溶液と第2の水溶液(セメント入り)を使用した実施例2では、比較例2同様に処理直後からある程度の止水効果を発揮し、しかも透水量は時間が経つにつれて減少し、120時間後では10数mlまで減少し、実用的な観点からの止水効果は十分である。
【0063】
実施例3
200×400×100mmの貫通孔が3つ形成されているコンクリート製の建築用ブロック13を試験に用いた。当該建築用ブロック13は、特に顕著なひび割れが発生しているものではないが、細かい隙間を通じて水分が浸透することが可能なものであり、ひび割れ閉塞試験のためのモデル試料として使用した。図4に示すように、建築用ブロック13を200×400の面が水平になるような向きに横たえ、3つの貫通孔14の真上に内径50mm、長さ250mmの塩ビパイプ15をのせ、エポキシ樹脂16で固定して建築用ブロック13の上面全体をシールした。塩ビパイプ15一杯に水を注ぎ、減った水の量だけ補充する操作を繰り返し、1時間の間に補充した水の量を測定した。また、試験場所に内径50mmの容器を置き、そこから1時間の間に蒸発した水の量を測定した。水を補充した量から蒸発した水の量を引いた値が、試料の透水量に相当する。本実施例では、透水量が多いものから少ないものへと、3種類の試料(実施例3−a、実施例3−b及び実施例3−c)を選び出し、以下の試験に供した。
【0064】
第1の水溶液として、実施例1で使用したのと同じ第1の水溶液を使用した。また、第2の水溶液として、33.3重量%の酢酸マグネシウム(C4HO4Mg:MW=142.40)の水溶液(マグネシウム塩の含有量は、金属元素換算で5.7重量%)を使用した。上述の要領で処理前の透水量を測定した3種類の試料(実施例3−a、実施例3−b及び実施例3−c)を24時間放置して乾燥させてから、第1の水溶液を塩ビパイプの中に10g流し込み、24時間放置して乾燥させた。引き続き、第2の水溶液を10g流し込み、24時間放置して乾燥させてから透水性試験を開始した。透水性試験は処理前の試料を測定したときと同様に行い、1時間の測定を行った。ただし、試験開始直後から1時間後までの間は、透水量を30分ごとに測定し、1時間当たりの量に換算した。試験間隔が長くなる場合には、途中で水を適宜追加して、できるだけ試料が湿潤状態に保たれるようにした。測定結果を表2及び図5〜7に示す。
【0065】
実施例4
第2の水溶液として、28.6重量%の酢酸カルシウム(C4HO4Ca:MW=158.18)の水溶液(カルシウム塩の含有量は、金属元素換算で7.2重量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして3種類の試料(実施例4−a、実施例4−b及び実施例4−c)を選び出し、透水性試験を行った。測定結果を表2及び図5〜7に示す。
【0066】
比較例4
第2の水溶液を使用せず、第1の水溶液を使用し、24時間放置して乾燥させてから透水性試験に供した以外は、実施例3と同様にして3種類の試料(比較例4−a、比較例4−b及び比較例4−c)を選び出し、透水性試験を行った。測定結果を表2及び図5〜7に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
処理前の透水量が多い試料(実施例3−a、実施例4−a及び比較例4−a)についての評価結果を図5に示す。第1の水溶液のみではなく、第2の水溶液を使用することで止水効果が向上し、マグネシウム塩の方がカルシウム塩よりも有効であることがわかる。第2の水溶液としてマグネシウム塩を使用した場合には、168時間後の透水量が12mLまで減少しており、これはわずかににじむ程度の量であり、大量の漏水に対して、ほぼ止水できることがわかる。処理前の透水量が少ない試料(実施例3−b、実施例4−b及び比較例4−b)についての評価結果を図6に示す。第1の水溶液のみではなく、第2の水溶液を使用することで止水効果が向上し、30分経過後には完全に止水することができた。これに対し、第1の水溶液のみでは、完全な止水はできなかった。処理前の透水量がさらに少ない試料(実施例3−c、実施例4−c及び比較例4−c)についての評価結果を図7に示す。第1の水溶液のみではなく、第2の水溶液を使用することで止水効果が向上し、30分経過後には完全に止水することができた。第1の水溶液のみでも完全に止水することができたが、2時間要した。以上のように、処理前の透水量によっては、第1の水溶液のみで止水できる場合もあるし、カルシウム塩で止水できる場合もあるし、マグネシウム塩でないと止水できない場合もある。漏水状態に対応して、適切な止水方法を適宜選択することができる。
【0069】
参考試験[第1の水溶液及び第2の水溶液を用いた確認試験]
ひび割れ内部で進行していると想定される現象を把握するためのモデル試験を行った。試験に用いた第1の水溶液及び第2の水溶液は、いずれも実施例1で使用したものと同じものである。
【0070】
・混合試験
第1の水溶液と第2の水溶液を同時に容器に注ぎ、混合した。その結果、混合と同時に白い結晶が大量に発生して、全体が流動性を失った。ケイ酸カルシウムの結晶が生成したものと推定され、ひび割れ内部でもこれと類似した現象が進行しているものと推定される。
【0071】
以下の5通りの方法で、300×300mmのコンクリート板の上への塗布試験を行った。
・塗布試験1
第1の水溶液及び第2の水溶液をほぼ同時に塗布し、コンクリート板の上で混ぜ合わせた。その結果、瞬時に反応生成物である固体が発生し、それはコンクリートには付着せず浮いた状態であり、乾燥すると剥離した。
・塗布試験2
コンクリート板に第1の水溶液を0.1kg/m塗布し、10分後に第2の水溶液を0.1kg/m塗布した。その結果、コンクリートに付着した状態で瞬時に反応生成物である固体が発生した。乾燥すると厚い部分を中心に20%ほどの面積の部分が剥離した。
・塗布試験3
コンクリート板に第1の水溶液を0.1kg/m塗布し、24時間経過して乾燥した上に第2の水溶液を0.1kg/m塗布した。その結果、ゆっくりと反応生成物である固体が発生し、2時間後には当該固体によってコンクリート板の全体が覆われた。乾燥しても剥離は全く認められなかった。
・塗布試験4
コンクリート板に第2の水溶液を0.1kg/m塗布し、10分後に第1の水溶液を0.1kg/m塗布した。その結果、瞬時に反応生成物である固体が発生し、それはコンクリートには付着せず浮いた状態であり、乾燥すると剥離した。
・塗布試験5
コンクリート板に第2の水溶液を0.1kg/m塗布し、24時間経過して乾燥した上に第1の水溶液を0.1kg/m塗布した。その結果、ゆっくりと反応生成物である固体が発生し、2時間後には当該固体によってコンクリート板の全体が覆われた。しかしながら、乾燥すると全体が剥離した。
【0072】
塗布試験2及び3と、塗布試験4及び5とを比較すれば、コンクリートに対して直接アルカリ金属ケイ酸塩が溶解した第1の水溶液を塗布して、その後に周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した第2の水溶液を塗布することによって、接着性の良好な反応生成物が得られることがわかる。すなわち、第1の水溶液と第2の水溶液をこの順番でひび割れ内部に浸入させる順番が重要であることがわかる。また、塗布試験3と塗布試験4とを比較すれば、第1の水溶液をひび割れに浸入させた後、一旦乾燥させるか、あるいは所定の時間を経過させてから第2の水溶液を浸入させたほうが良いこともわかる。
【0073】
実施例5[漏水を伴う駐車場のひび割れの補修]
建築物の屋上のコンクリート駐車場で発生しているひび割れによって引き起こされている漏水を止める試験を行った。第1の水溶液として、実施例1で使用したのと同じものを使用した。第2の水溶液としては、熱湯(80℃以上)100重量部に無水乳酸カルシウム20重量部を溶かしたものを熱いまま使用した。当該第2の水溶液のカルシウム塩の含有量は、金属元素換算で3.1重量%である。
【0074】
まず第1の水溶液を、目に見える大きなひび割れに対して油差しを使用して流し込んだ。これを12時間放置して乾燥させた後で、第2の水溶液を熱いままで油差しを使用して当該ひび割れに沿って流し込んだ。引き続き24時間放置した後、補修部分全体に、ローラーを用いて0.2kg/mの第1の水溶液を均一に塗布した。これらの操作によって、屋上からの漏水を止めることができた。
【0075】
実施例6[水槽下面からの漏水を伴うひび割れの補修]
コンクリート水槽の下面に発生している漏水を、水槽の水を抜かずに止水する試験を行った。第1の水溶液、第2の水溶液(セメントなし)は実施例1で使用したのと同じものを使用し、第2の水溶液(セメント入り)は、実施例2で使用したのと同じものと同じものを使用した。水槽底面のコンクリートに発生するひび割れは場所によって大きさが異なるのが普通であり、柱や梁から遠い部分(たわみの大きい部分)に大きなひび割れが発生しやすく、柱や梁に近い部分では、それよりも小さいひび割れが発生しやすい。通常、大きいひび割れを伝わって漏水しているときに、大きいひび割れのみを閉塞させても、その後は小さいひび割れを伝わって漏水する。これによって、漏水量は減少することになるが、異なる漏水場所からの漏水が継続するので、根本的な解決にはなりにくい。本実施例は、そのような場合の好適な止水方法に関するものである。本実施例で補修した水槽では、その中央部の大きなひび割れから水が流出していた。
【0076】
まず、水の流出している大きなひび割れに対し、コンクリート下面のひび割れから100mm離れた位置の数箇所に、斜め上方45度の角度で径10mm、長さ150mmの孔を開け、この孔がひび割れと交差するようにした。これによって、それまでひび割れから流出していた水の多くをこの孔から流出させるようにした。次に、周辺部の水の流出していない小さめのひび割れに実施例1で使用したのと同様の注入プラグを速硬性のエポキシ樹脂で複数個貼り付け、その周辺のひび割れを速硬性のエポキシ樹脂で封止した。実施例1と同様の注入シリンダーに第1の水溶液を入れて注入プラグに固定し、圧力をかけた状態で30分間保持した。その後、注入シリンダーを外したところ、注入口から第1の水溶液が流出した。引き続き、別の注入シリンダーに第2の水溶液(セメントなし)を入れて注入プラグに固定し、圧力をかけた状態で60分間保持してから、注入シリンダーを外したところ、第2の水溶液(セメントなし)は注入口から流出しなかった。以上の操作中、削孔箇所からの水の流出は継続させた。
【0077】
その後、水が流出している前記孔に外径が10mmのホースを取り付け、ホースの周りを止水セメントで固定してから、ホースに第1の水溶液を入れた注入シリンダーを取り付けて圧力をかけて30分間保持した。このとき、孔周辺のひび割れから少量の水が流出した。引き続き、ホースを折り曲げて孔内部から水溶液が流出しないようにしてから、ホースに第2の水溶液(セメント入り)を入れた注入シリンダー取り付けて圧力をかけてからホースの折り曲げを伸ばし、翌日まで圧力をかけて保持した。翌日、注入シリンダー及びホースを取り外したところ、第2の水溶液(セメント入り)は削孔箇所から流出せず、周辺部も含め全体の漏水を停止させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例1、2及び比較例1〜3における水溶液の注入方法を示した図である。
【図2】実施例1、2及び比較例1〜3における透水性の測定方法を示した図である。
【図3】実施例1、2及び比較例1、2における透水量の経時変化を示したグラフである。
【図4】実施例3、4及び比較例4における透水性の測定方法を示した図である。
【図5】実施例3−a、4−a及び比較例4−aにおける透水量の経時変化を示したグラフである。
【図6】実施例3−b、4−b及び比較例4−bにおける透水量の経時変化を示したグラフである。
【図7】実施例3−c、4−c及び比較例4−cにおける透水量の経時変化を示したグラフである。
【符号の説明】
【0079】
1 テストピース
4 ひび割れ
5 注入プラグ
6 注入シリンダー
11、15 塩ビパイプ
13 建築用ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属ケイ酸塩が溶解した第1の水溶液を硬化したコンクリートの表面に発生したひび割れの内部に浸入させてから、周期律表第2族に属する金属の塩が溶解した第2の水溶液を前記ひび割れの内部に浸入させることを特徴とするコンクリートの補修方法。
【請求項2】
第1の水溶液にカルボン酸が配合され、該カルボン酸によって前記アルカリ金属ケイ酸塩の一部が中和されている請求項1記載のコンクリートの補修方法。
【請求項3】
第1の水溶液が、不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である請求項1又は2記載のコンクリートの補修方法。
【請求項4】
コンクリートの表面に第1の水溶液を塗布することによって、ひび割れの内部に第1の水溶液を浸入させる請求項3記載のコンクリートの補修方法。
【請求項5】
周期律表第2族に属する金属の塩がマグネシウム塩又はカルシウム塩である請求項1〜4のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項6】
周期律表第2族に属する金属の塩がカルボン酸塩である請求項1〜5のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項7】
第2の水溶液に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量が、金属元素換算で0.01重量%以上である請求項1〜6のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項8】
第2の水溶液が、不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である請求項1〜7のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項9】
第2の水溶液に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量が、金属元素換算で0.5重量%以上である請求項8記載のコンクリートの補修方法。
【請求項10】
コンクリートの表面に第2の水溶液を塗布することによって、ひび割れの内部に第2の水溶液を浸入させる請求項8又は9記載のコンクリートの補修方法。
【請求項11】
第2の水溶液がさらに微粒子セメントを含有する請求項1〜7のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項12】
第2の水溶液に分散している微粒子セメントの含有量が33〜67重量%であり、かつ第2の水溶液に溶解している周期律表第2族に属する金属の塩の含有量が金属元素換算で0.01〜0.2重量%である請求項11記載のコンクリートの補修方法。
【請求項13】
第2の水溶液を、圧力をかけてひび割れの内部に注入する請求項11又は12記載のコンクリートの補修方法。
【請求項14】
第1の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させるまでの間に、ひび割れ内部に水分を供給する請求項1〜13のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項15】
第1の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、コンクリートの表面に水をかけることによって漏水の有無を確認し、漏水を確認してから第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させる請求項14記載のコンクリートの補修方法。
【請求項16】
第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させる際に、2種類の第2の水溶液を使用し、先に不溶成分を実質的に含有しない均一な水溶液である第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、微粒子セメントを含有する第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させる請求項1〜15のいずれか記載のコンクリートの補修方法。
【請求項17】
第2の水溶液をひび割れの内部に浸入させてから、周期律表第2族に属する金属の塩が溶解していない微粒子セメント分散液をコンクリートのひび割れの内部に注入する請求項1〜16のいずれか記載のコンクリートの補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−36563(P2006−36563A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216194(P2004−216194)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(592199102)株式会社アストン (9)
【Fターム(参考)】