コンクリートセグメントの製造方法

【課題】特定の性質を持つコンクリートセグメントを効率良く製造可能とする。
【解決手段】コンクリートセグメントの製造方法は、遠心成型装置の遠心ドラム内に円筒状のセグメント型枠を同心で設置する工程と、前記遠心ドラムを回転させながら前記セグメント型枠内へコンクリートを充填する充填工程であって、遠心成型されるコンクリートが複数の層を有するように、異なる複数種類のコンクリートを時系列に前記セグメント型枠に充填する充填工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートセグメントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道や共同溝のシールド工事(トンネル工事)にて適用される鉄筋コンクリート(RC)セグメントに対し、その使用条件に応じて機能として、以下のようなものが望まれている。
(1)セグメント外面に難透水性の層を設け、漏水を防止したい。
(2)セグメント内面に耐食性,或いは耐火性を有する層を設けたい。
【0003】
従来、RCセグメントの製造では、上方に向かって弓なりとなった円弧状の鋼性の型枠内に鉄筋や継手金具などをセットし、型枠の上方からコンクリートを型枠内に充填(打設)している。このようなコンクリートの打設方法では、コンクリートが型枠内にセグメントの内面側から充填される。また、型枠内にコンクリートが均一に行き渡るように水平方向の振動が型枠に与えられる。このため、充填されたコンクリートは、型枠内で均質化する。従って、セグメントの外面側又は内面側にコンクリートで難透水性や耐食性のような特殊な機能を持たせることは困難であった。
【0004】
このため、従来では、セグメントを形成するコンクリートに特殊な機能を持たせるための混入材や配合剤を添加し、セグメント全体を特殊なコンクリートで形成したり、セグメントの外面(背面)に塗装を施したりしていた。また、坑内で組み立てられたセグメントリングの内面を高密度ポリエチレン製のライニング材で被覆することによって止水性等を高めたり、高密度ポリエチレン製の突起付き成形板,ジンクロペンタジエン樹脂製突起付き成形板,或いは樹脂製ネット付きビニルエステル樹脂FRP(繊維強化プラスチック)成形板を上記したような円弧状の型枠内にコンクリート打設前に設置することによって、完成品のセグメントの内面に止水層を設けたりすることが行われていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ライニング材を用いる施工法では、坑内へのライニング材の搬入や、ライニング作業のような二次覆工に関わる作業が発生するので、手間がかかっていた。一方、樹脂製或いはFRP製の成形板を用いるセグメントの製造方法では、型枠内に成形板を設置する作業が必要であった。ここで、型枠一つにつき、一つのセグメントピースが製造されるので、成形板の設置作業はセグメントピース毎に行わなければならず、面倒な作業となっていた。
【0006】
また、上述したライニング材を用いる施工法や、内面に樹脂又はFRP層を設けるセグメントの製造方法では、ライニング材や成形板が高価であったので、セグメント自体が高価となってしまっていた。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、特定の性質を有する層を持つセグメントを効率良く製造可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上述した課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明の態様の一つは、遠心成型装置の遠心ドラム内の内面に円筒状のセグメント型枠を同心で設置する工程と、
前記遠心ドラムを回転させながら搬送手段により前記セグメント型枠内へコンクリートを充填する充填工程であって、遠心成型されるコンクリートが複数の層を有するように、異なる複数種類のコンクリートを時系列に前記セグメント型枠に充填する充填工程と
を含むコンクリートセグメントの製造方法である。
【0009】
上記製造方法によれば、コンクリートの充填工程において、異なる複数種類のコンクリートが時系列にセグメント型枠に充填される。ここで、時系列に充填されるコンクリートの少なくとも一つに特定の性質を有するコンクリートを適用すれば、特定の性質を有する層を持つコンクリートセグメントを製造することが可能となる。ここに、特定の性質として、例えば、難透水性,耐食性(耐薬品性,抗菌性を含む),耐火性を挙げることができる。また、型枠に充填されるコンクリートの種類数に応じて、複数の特定の性質を持つ複数の層を持つコンクリートセグメントを製造することができる。このとき、一つの層が複数の特定の性質を持つようにすることもできる。
【0010】
上記製造方法によれば、コンクリートの充填工程において、成形(製造)されるセグメントに特定の性質を持たせることができるため、コンクリートの充填工程とは別に、成形板を設置する工程や、セグメントリングにライニング材が取り付ける作業が不要となる。よって、特定の性質を持つコンクリートセグメントを効率良く製造することが可能となる。
【0011】
上記した製造方法は、前記充填工程において最初に充填されるコンクリートとして、難透水性を有するコンクリートを充填するように構成することができる。このようにすれば、コンクリートセグメントが難透水性を有する外層(最外層)を有するコンクリートセグメントを得ることができる。
【0012】
また、上記した製造方法は、前記充填工程において最後に充填されるコンクリートとして、耐食性,耐薬品性,及び耐火性の少なくとも一つを有するコンクリートを充填するように構成することができる。このようにすれば、耐食性,耐薬品性,及び耐火性の少なくとも一つを有する内層を持つコンクリートセグメントを得ることができる。
【0013】
また、上記した製造方法は、前記セグメント型枠として、
一対の円形部材と、
前記一対の円形部材が間隔を空けて対向配置されるように、前記一対の円形部材間を掛け渡す状態で各端部が前記一対の円形部材の各内面に固定手段によって着脱自在に固定される複数の仕切部材と、
前記複数の仕切部材が前記一対の円形部材に固定された状態において、前記一対の円形部材により円筒状に挟持される少なくとも一つの背板と、
を含むコンクリートセグメントの遠心成型用型枠を前記遠心ドラム内に着脱自在に設置するように構成することができる。
【0014】
このようなセグメント型枠を用いれば、セグメント型枠を遠心ドラム内に配置し、遠心ドラムを回転させながら複数種類のコンクリートを打設し、円形部材、仕切部材及び背板で囲まれた空間が複数種類のコンクリートで層状に満たされることで、コンクリートセグメントが製造される。コンクリートがある程度硬化した時点で、遠心ドラムからセグメント型枠を取り出し、コンクリートを養生することができる。従って、コンクリートの養生が済むまで遠心ドラムを休止させる必要がない。従って、遠心ドラムの稼働率を高めることができ、セグメントの製造効率を高めることができる。
【0015】
なお、組み立てられた遠心成型用型枠における、円形部材、仕切部材及び背板で囲まれた空間に鉄筋を配置することで、コンクリートの打設によりRCセグメントを得ることも
できる。
【0016】
また、セグメント型枠は、前記一対の円形部材の各内面には環状の溝が形成されており、前記背板の幅方向の各端部が前記各内面の溝に挿入された状態で前記一対の円形部材により挟持されるように構成可能である。これによって、複数の背板を適正に狭持することができる。
【0017】
また、セグメント型枠は、前記一対の円形部材の各内面には複数の環状の溝が形成されており、前記複数の背板の幅方向の各端部が前記各内面の前記複数の円形溝のいずれか一つに嵌め込まれた状態で前記一対の円形部材によって挟持されるように構成可能である。このように、円形溝の位置に応じた背板を挟持することで、製造すべきコンクリートセグメントのサイズを容易に変更することができる。
【0018】
また、セグメント型枠は、前記複数の仕切部材の少なくとも一つに密着した状態で着脱自在に取り付けられる少なくとも一つの板状部材をさらに含むように構成することができる。このようにすれば、仕切部材と板状部材とが密着する部位にコンクリートが接するのを防止でき、遠心成型用型枠からの脱型作業を容易にすることができる。
【0019】
さらに、セグメント型枠における前記板状部材は、前記仕切部材に密着させる第1の面と、打設されるコンクリート内に埋設される少なくとも一つのアンカー部材が突出する第2の面とを含むように構成することができる。このようにすれば、第1の面がコンクリートセグメントの周方向端面とされたコンクリートセグメントを得ることができる。このため、脱型後に板状部材をコンクリートセグメントから離脱させる必要がないので、コンクリートセグメントから板状部材の離脱作業を省略することができる。
また、上記した製造方法は、前記セグメント型枠として、
一対の円形部材と、
円弧状の複数の外枠体が分離可能な状態で周方向に連結されてなる円筒体であって、軸方向の両端部に前記一対の円形部材のそれぞれが同軸で分離可能に連結される円筒体と、前記円筒体における外枠体の境界部分から当該円筒体の内側に延出し、且つ前記一対の円形部材の内面間を掛け渡すように配置される複数の仕切板とを含む型枠を適用することもできる。
【0020】
当該型枠によれば、円筒体に一対の円形部材を同軸で連結するとともに、仕切板を配置することで、コンクリートセグメントの遠心成型用型枠を組み立てることができる。その後、組み立てられた遠心成型用型枠を遠心ドラム内に配置し、遠心ドラムを回転させながらコンクリートを打設し、円形部材、外枠体及び仕切板で囲まれた空間がコンクリートで満たされることで、コンクリートセグメントが製造される。コンクリートがある程度硬化した時点で、遠心ドラムから遠心成型用型枠を取り出し、コンクリートを養生することができる。従って、コンクリートの養生が済むまで遠心ドラムを休止させる必要がない。従って、遠心ドラムの稼働率を高めることができ、セグメントの製造効率を高めることができる。
【0021】
また、前記各外枠体の内径中心が前記円筒体の中心から径方向に所定量だけ後退している前記円筒体を含む前記遠心成型用型枠が設置されるようにするのが好ましい。このようにすれば、型枠から取り出される複数のコンクリート成型物(セグメントピース)の真円度を高めることができる。
【0022】
なお、組み立てられた遠心成型用型枠における、円形部材、外枠体及び仕切板で囲まれた空間に鉄筋を配置することで、コンクリートの打設によりRCセグメントを得ることもできる。
【0023】
このような遠心成型用型枠において、前記外枠体の外面にスティフナが形成されているようにしても良い。このようにすれば、円筒体、ひいては型枠に十分な強度を持たせることができる。
【0024】
例えば、スティフナは、前記外枠体の長さ方向両端部に形成された第1のフランジ部と、前記外枠体の幅方向両端部に形成された第2のフランジ部と、前記外枠体の外面上に立設された少なくとも一つのリブとを含み、前記第1のフランジ部は、隣接する他の外枠体と直接に又は仕切板を介して連結され、前記第2のフランジ部は、前記一対の円形部材の夫々の内面との当接状態において固定手段により円形部材と連結されるようにしても良い。
【0025】
また、本発明の他の態様の一つは、遠心成型によって形成された複数の層を有し、各層が種類の異なるコンクリートで形成されているコンクリートセグメントである。
【0026】
上記したコンクリートセグメントは、前記複数の層中の最外層が難透水性を有する第1のコンクリートで遠心成型されており、前記複数の層中の最内層が耐食性及び耐火性の少なくとも一つを有するように構成することができる。
【0027】
上記したコンクリートセグメントは、最外層と最内層との間に第1及び第2のコンクリートと異なる少なくとも一種類のコンクリートで形成された中間層を有することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、特定の性質を有する層を持つセグメントを効率良く製造可能することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】実施形態に係る遠心成型用型枠を用いて製造されるセグメントにより構成されるセグメントリングの例を示す。
【図1B】図1Aに示したセグメントリングを構成するセグメントの例を示す。
【図1C】図1Aに示したセグメントリングの径方向の断面図を模式的に示す。
【図2】実施形態に係るコンクリートセグメントの遠心成型用型枠の分解説明図である。
【図3】図2に示した仕切部材及び脱型用板の例を示す図である。
【図4】円形部材の内面の一部を示す図である。
【図5】背板を挟持した状態における一対の円形部材の断面図である。
【図6】円形部材に対する仕切部材及び脱型用板の取り付け状態の説明図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】複数の遠心成型用型枠が設置された状態の遠心成型装置を側面から見た図である。
【図9】図8に示した遠心成型装置を正面から見た図である。
【図10】コンクリートセグメントの製造工程を示すフローチャートである。
【図11】脱型用板の変形例を示す図である。
【図12】円形部材の変形例を示す図であり、内面に複数の円形溝が設けられた円形部材を示す。
【図13A】実施形態に係る遠心成型用型枠を用いて製造されるセグメントにより構成されるセグメントリングの例を示す。
【図13B】図1に示したセグメントリングを構成するセグメントの例を示す。
【図14】実施形態に係るコンクリートセグメントの遠心成型用型枠の分解説明図である。
【図15】図15(A)は、円形部材の外面を示す図であり、図15(B)は、円形部材の内面を示す図である。
【図16】図16(A)は、複数の背板を連結して得られる円筒体を正面図(軸方向から見た図)であり、図16(B)は、円筒体の側面を示す図である。
【図17】図17(A)は、仕切板の正面図であり、図17(B)は、仕切板の右側面図である。
【図18】図18は、ピース間継手を形成するための継手部材の例を示す図であり、図18(A)は、仕切板に継手部材を取り付けた状態を示す側面図であり、図18(B)は、継手部材が取り付けられた仕切板を上方から見た図であり、図18(C)は、継手部材に含まれる連結箱を示す図である。
【図19】図19は、円筒体の形成方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの製造方法及び該製造方法に適用されるセグメント型枠(遠心成型用型枠)について説明する。
【0031】
図1A及び図1Bは、遠心成型用型枠を用いて製造されるコンクリートセグメント(以下、単に「セグメント」と表記)の例を示す。図1Aには、円筒状のセグメントリング1が示されており、図1Bには、図1Aに示したセグメントリング1を形成するセグメント(セグメントピース)2の一つが示されている。
【0032】
図1Aにおいて、セグメントリング1は、遠心成型方法により製造された4つのセグメント2A,2B,2C及び2Dから形成されている(以下、セグメント2A,2B,2C及び2Dを区別しない場合には、「セグメント2」との表記を用いる。)
各セグメント2は、二つの周方向端面2a,2bを有する円弧状に形成されており、周方向の端部の一方が、金属部材(継手部材12:後述)で被覆された状態となっており、金属部材によって端面2aが形成されている。
【0033】
また、各セグメント2の一方の端面2b側には、セグメント2同士をセグメント2の周方向で連結するためのインサートナット12d,12d(図3参照)が埋設されており、端面2bには、インサートナット12d,12dのナット穴2c,2cが開口されている。一方、セグメント2の他方の端面2aを形成する金属部材には、ナット穴2c,2cに挿入されるピース間連結用の各ボルト(図示せず)が挿通するための貫通孔12e,12eが形成されており、貫通孔12e,12eは、セグメント2の端面2a側に設けられた凹部2d,2dに連通している。このようにして、各ボルトが凹部2d,2dから貫通孔12e,12eに挿入され、他のセグメント2の端面2bに設けられたナット穴2c,2cに挿入されてインサートナット12d,12dと螺合されることによって、セグメント2同士が周方向に連結(ピース間接続)されるようになっている。
【0034】
また、セグメント2の幅方向の各端面には、セグメントリング1をその軸方向にリング間継手(図示せず)で連結するための複数の穴2eが設けられている。さらに、セグメント2の周方向の端面2b及び幅方向の各端面には、止水用のシール部材(例えば、リング状のゴム、或いはゴムカバー)をセグメント2の全側面に亘って掛け留めるための溝2fが形成されている。また、端面2aを形成する金属部材には、溝2fと連続するように形成された溝12gが形成されている。
【0035】
このようなセグメント2(セグメントリング1)は、シールド工法を用いたトンネル工事に適用される。例えば、上下水道、又は共同溝の工事において適用される。トンネル工事において、セグメント2A〜2Dがボルト(セグメント間継手)によって周方向に連結
されることでセグメントリング1が組み立てられる。各セグメントリング1は、セグメントリング1の外周面が掘削されたトンネルの内周面に接するように配置され、穴2eを用いてトンネル(セグメントリング1)の軸方向に図示しないボルト(リング間継手)で連結される。このように連結された複数のセグメントリング1は、上下水道や共同溝における送水用のパイプ(管)として利用される。
【0036】
なお、図1Aには、セグメントの例として、各セグメント2の端面がセグメントリング1の軸に対して平行な矩形のセグメント群2A〜2Dを示している。但し、本実施形態の遠心成型用型枠10を用いて、テーパー付きセグメント(例えば、ABKタイプ、或いは曲線対応タイプ)を製造することも可能である。
【0037】
図1Cは、図1に示したセグメントリング1の幅方向の中間部分をセグメントリング1の中心軸に直交する平面で切断した状態を模式的に示す図である。図1Cにおいて、セグメント2A〜2Dの接合部分に位置する金属部材(継手部材12)は図示が省略されている。
【0038】
各セグメント2A〜2Dは、異なる複数種類のコンクリートで形成された複数の層を有し、複数の層の少なくとも一つが特定の性質を有する特殊なコンクリートで形成される。
【0039】
図1Cに示す例では、各セグメント2A〜2Dは、セグメントリング1の径方向の外側から順に、外層(最外層)41と、中間層42と、内層(最内層)43とから形成されている。外層41,中間層42,及び内層43は、相互に異なる種類のコンクリートが積層されることによって形成されている。
【0040】
図1Cに示す例では、外層41及び内層43のそれぞれは、特定の性質を持つコンクリートで形成されている。ここに、外層41は、難透水性を有するコンクリートで形成されている。難透水性を有するコンクリートとして、例えば、AE減水剤や膨張剤等が配合された水密コンクリートや、樹脂系,ガラス系,金属系の少なくとも一つの繊維が混入されたコンクリートが適用される。
【0041】
これに対し、内層43は、耐食性(抗菌性,耐薬品性を含む),耐火性の少なくとも一つを有するコンクリートで形成されている。耐食性、耐薬品性を有するコンクリートとして、例えば、セラミックパウダーが配合されたコンクリート(例えば、商品名「ゼオマイティ」)を適用することができる。また、耐火性を有するコンクリートとして、例えば、ポリプロピレン短繊維が混入されたコンクリートが適用される。また、中間層42は、この例では、上記した特定の性質を持たせるための混入材や配合剤を含まないコンクリートが適用されている。
【0042】
但し、セグメント2が有するコンクリート層の層数は、必要に応じて適宜設定可能である。例えば、外層と内層とからなる二層構成とすることが可能である。また、各層に適用するコンクリートの種類は適宜設定可能である。また、一つのコンクリートに複数種類の混入材や配合剤を混入して、複数の特定の性質を持つコンクリート層を形成することも可能である。
【0043】
なお、図1Cは例示であって、例えば、図1Cの外層41の外側に別のコンクリートで形成された最外層が設けられても良く、内層43の内側に別のコンクリートで形成された最内層が設けられても良い。
【0044】
図2は、図1に示したような複数のセグメント2(2A〜2D)を製造するために使用される遠心成型用型枠10(以下、単に「型枠10」と表記する)の分解説明図である。
【0045】
図2において、型枠10は、大略して、一対の円形部材(リング部材)11,11と、複数の仕切部材としての複数の継手部材12と、複数の背板13とを備える。
【0046】
一対の円形部材11,11は、同様の構成を備える。円形部材11は、円形のリング状に形成された金属製(例えば、鋼製)の平板である。円形部材11は、外面11aと内面11bとを有し、内面11bには、背板13の幅方向端部が挿入される円形の溝14Aが設けられている(図4参照)。また、内面11bには、溝14Aの内側に、溝14Aと同心で、セグメント2の溝2f(図1B)を形成するためのリング状の凸部14Bが形成されている。
【0047】
また、各円形部材11には、所定の間隔を空けて、複数の貫通孔15Aが設けられている。各貫通孔15Aは、継手部材12を円形部材11に固定手段であるボルト16で固定するためのボルト孔として使用される。さらに、各円形部材11には、セグメント2の穴2eを形成するための複数の貫通孔15Bが形成されている。ボルト孔15Bを用いてリング間継手用の埋設金物が設置される。なお、図2に示す例では、貫通孔15A間に、三つの貫通孔15Bが形成され、セグメント2の側面に三つの穴2eが形成されるようにしている。但し、穴2eの数は適宜設定可能であり、穴2eの数に応じた貫通孔15Bを設けることができる。
【0048】
型枠10は、組み立て後に、遠心成型装置30の遠心ドラム33内に設置される(図8参照)。このため、一対の円形部材11,11の外径は、遠心ドラム33の内径に応じたサイズを有する。
【0049】
また、円形部材11のリング幅長さL(図5)は、セグメント2の厚さ以上となるように形成されている。なお、本実施形態における円形部材11は、型枠10が遠心ドラム内に配置された場合において、型枠10内をコンクリート供給ノズルのような機器等が通過可能とするために、円形部材11の中央部を大きく開口してリング状に形成している。従って、円形部材11の開口部の形状及び数は、遠心成型用型枠が遠心ドラム内に配置された場合の状況に鑑みて適宜設定可能である。
【0050】
図3は、継手部材12の構成例を示す図である。継手部材12は、帯状の矩形に形成された鋼製の平板状部材である仕切板12aと、仕切板12aの内面23aにおける長手方向の両端部から同方向に延出するようにそれぞれ取り付けられた支持板12b,12bとを備えたコの字状に形成されている。仕切板12aの長手方向の長さは、型枠10で成形されるセグメント2の幅長さで形成されている。仕切板12aの中間部分には、セグメント2間の連結用のボルトを挿入するための貫通孔12e,12eと、ボルトを貫通孔12e,12eに通すための凹部2d,2d(図2)を形成するための箱抜き用部材12f,12fとが設けられている。また、仕切板12aの長手方向の両端面21,21と、長手方向の支持板12b,12bが取り付けられた内面23aと逆側の外面23bには、連続する溝12gが形成されている。長手方向端面に設けられた溝12gは、リング状部材11の内面11bに設けられた凸部14Bが挿入されるように設けられ、完成したセグメント2における溝2f(図1B)と連続するように設けられている。各支持板12b,12bは、継手部材12を一対の円形部材11,11に固定支持するための鋼板であり、ボルト孔12cをそれぞれ有している。
【0051】
継手部材12は、一対の円形部材11,11が所定の間隔(セグメント2の幅方向長さ)を空けた状態で対向するように、継手部材12の各端部が円形部材11,11の各内面11b,11bに固定手段であるボルト16によって着脱自在に固定される(図2、図6参照)。
【0052】
すなわち、継手部材12は、図6に示すように、一対の円形部材11,11の間に配置され、支持板12b,12bのボルト孔12c,12cと各円形部材11の貫通孔15とが位置合わせされた状態で、ボルト16が円形部材11の外面11a側から貫通孔15及びボルト孔12cを挿入することによって、各円形部材11の内面11bに固定される。
【0053】
継手部材12の各支持板12bが各円形部材11にボルト16によって固定されることにより、一対の円形部材11,11は、図5に示すように、所定の間隔を空けて平行且つ同軸で対向配置された状態となる。
【0054】
継手部材12は、型枠10に対するコンクリート打設時において、型枠10によって製造される複数のセグメント2の境界を規定する仕切壁として機能する。すなわち、コンクリートの打設により、仕切板12aを挟んだ両側に異なるセグメント2が形成される。コンクリートの打設により、継手部材12はコンクリートに接触ないし埋設され、セグメント2の一部となる(図1B参照)。
【0055】
図6に示す例では、テーパーを有しないセグメント2を製造すべく、継手部材12の仕切板12aは、円形部材11の軸に対して平行に配置される。これに対し、テーパーを有するセグメント(ABK型セグメント、台形及び平行四辺形のセグメントピースから形成されるセグメントリング)が製造される場合には、仕切板12aが円形部材11の軸に対して斜めに配置される。
また、一対の円形部材11,11の内側にテーパー状の円筒部材(スペーサ)を分割して設置することで、曲線用のテーパーセグメントリングを容易に作製することができる。要は、型枠10や後述する型枠10Aを用いて、様々な形状のセグメントピースから形成されるセグメントリングを製造することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、説明を簡単にするため、継手部材12の各端部が一つのボルト16で固定されるように構成されている。但し、実際には、継手部材12の回転を防止するために、継手部材12の端部が複数のボルトで固定されるように、各仕切板12bが複数のボルト孔12cを有し、且つ円形部材11,11が各仕切板12bに設けられた複数のボルト孔に対応する複数のボルト孔15Aを有するように構成される。
【0057】
図2に戻って、背板13は、セグメント2の長手方向(リング周方向)の外面形状に合わせて形成された円弧状部材である。各背板13の幅方向の各端部13aは、継手部材12を一対の円形部材11,11に固定する際に、各円形部材11の内面11bに設けられた溝14A(図4)に挿入される(図5参照)。そして、継手部材12の各端部が円形部材11,11間にボルト16で固定される(ボルト締めされる)ことによって、円形部材11,11によって挟持された状態となる。環状の溝14Aは、円形部材11と同心となるように形成されており、複数の背板13で形成される円筒体と円形部材11,11とは同心(同軸)となる。
【0058】
図6は、一対の円形部材11,11間に背板13,13が挟持された状態で、継手部材12がボルト16,16によって固定された状態を示し、図7は、図6のA−A断面を示す。
【0059】
図6に示すように、継手部材12の固定状態では、仕切板12aの長手方向の端面21,21は、円形部材11,11の内面11b,11bと密着するように設けられる。また、図7に示すように、継手部材12の固定状態において、仕切板12aの短手方向の外側の端面22は、背板13,13と密着するように設けられる。
【0060】
このようにして、円形部材11,11と、仕切板12aと、背板13とで囲まれた空間Sが形成される。この空間Sにコンクリートが打設(充填)され、硬化した後に脱型されることで、セグメント2(図1)が得られる。
【0061】
また、図6及び図7に示すように、仕切板12aの箱抜き用部材12f,12fが設けられていない側の端面23bに対し、脱型用部材である脱型用板17の正面17a(図3)が密着するように設置される。脱型用板17は例えば薄手の鋼板であり、外縁形状が仕切板12aとほぼ同形状に形成されている。
【0062】
図3に示すように、脱型用板17の中間部分には、仕切板12aの貫通孔12e,12eに対応する貫通孔17b,17bが設けられている。また、脱型用板17の長手方向の両端面17c,17cには、仕切板12aの溝12gに対応する溝17d,17dがそれぞれ設けられている。さらに、脱型用板17の背面17eには、セグメント2の端面2b(図1B)に溝2fを形成するための直線状の凸部17fが、脱型用板17の長手方向に亘って設けられている。
【0063】
また、脱型用板17の背面17e側には、インサートナット12d,12dが、ナット穴2c,2cを貫通孔17b,17bに合わせて配置される。これにより、ナット穴2c,2cが仕切板12の貫通孔12e,12eに対向した状態となる。その後、例えば、各凹部12f,12fから貫通穴12e,12eに挿入された各ボルトが貫通穴17b,17bを通ってナット穴2c,2cに挿入され、ボルト締めされることによって、脱型用板17及びインサートナット12d,12dが継手部材12に固定された状態とすることができる。尤も、脱型用板17及びインサートナット12d,12dは、他の固定器具を用いて型枠10内に固定配置されるようにしても良い。例えば、脱型用板17は、図6に示すように、円形部材11,11間に挟持されることで、型枠10の回転によって容易に脱落しないように支持される。或いは、脱型用板17は、仕切板12aの端面23bに接着されるようにしても良い。脱型用板17は、コンクリートが端面23bに接触した状態で硬化し、コンクリートが端面23bに強固に接着して脱型作業を困難にするのを防止するために設けられる。但し、脱型用板17は必須の構成要素ではない。
【0064】
なお、図7に示す例では、仕切板12aの端面22と密接する背板13,13は、隙間を空けて配置された状態となっているが、背板13,13同士が接触しても良い。
【0065】
また、図2に示す例では、4つの背板13を用いる例が示されている。これに対し、背板13の数は、背板13間が継手部材12の端面21で塞がれるようにすることができれば、継手部材12の数を採用することができる。例えば、図2に示す例において、二つの背板を適用したり、円筒状の一つの背板を採用したりすることができる。また、本実施形態では、溝14Aは、一続きの円形溝として形成されているが、同一円周上に配置された複数の円弧の溝から構成されていても良い。
【0066】
次に、上記した型枠10を用いたセグメント2の製造方法について説明する。本製造方法は、外径が3m程度のヒューム管の規格に応じた既存の遠心成型装置を用いてセグメントリングを形成する複数のセグメント2(セグメントピース)を一つの型枠10で一度に成型する例について説明する。なお、本実施形態の型枠10を用いて製造されるセグメントリング1の外径は、例えば2〜3mで、セグメント2の幅は0.5〜1mである。
【0067】
最初に、型枠10を組み立てる。すなわち、一対の円形部材11,11の内面11b,11b間に、4つの背板13と4つの継手部材12とが挟まれた状態で、各継手部材12を固定手段としてのボルト16で円形部材11にボルト締めすることにより固定する。これによって、型枠10が組み立てられる。型枠10は、複数のボルト16の除去により円
形部材11,11と継手部材とを離間可能となっている。型枠10の組み立て工程では、少なくとも、一度に遠心ドラム33内に配置可能な数の型枠10が組み立てられる。
【0068】
この型枠10の組み立て工程において、円形部材11,11,仕切板12a及び背板13で囲まれた空間S(図6,図7)に鉄筋を配置したり、セグメント2に設けられるピース間継手やリング間継手用のスペースを設けるための型を設置したり、空間Sを形成する部位に剥離剤を塗布したりすることができる。上述した脱型用板17やインサートナット12d,12dの配置は、このときに行われる。さらに、組み立てられた型枠12の部材間に止水工を実施することで、水密性の高いコンクリート打設空間(空間S)を形成することができる。
【0069】
図8は、型枠10が適用される遠心成型装置30の側面図であり、図9は、図8に示した遠心成型装置30の正面図である。図10は、コンクリートセグメントの製造工程の概要を示すフローチャートである。
【0070】
図8及び図9に示すように、遠心成型装置30は、平行配置されたローラ31,32と、ローラ31,32上に載置された円筒状の遠心ドラム33とを備える。
【0071】
遠心ドラム33内には、型枠10を設置するための円柱状の内部空間34が設けられており、組み立て工程(図10のステップS01)にて組み立てられた型枠10の中心軸は、遠心ドラム33内において、遠心ドラム33の回転軸と同軸(同心)になる状態で着脱自在に取り付けられる(型枠の設置工程:図10のステップS02)。また、図8に示されるように、遠心ドラム33内には、複数の型枠10(図8では3つ)が一度に設置される。但し、遠心ドラム33内に一度に設置される型枠10の数は適宜決定することができる。
【0072】
ローラ31は、図示しない駆動装置(例えばモータ)と接続されており、駆動装置からの動力をチェーン又はベルトを介して得て回転する(遠心ドラム駆動:図10のステップS03)。ローラ31が回転することによって、遠心ドラム33は、所定速度で回転することができる。
【0073】
遠心ドラム33の回転中に、遠心ドラム33の内部空間34に配置された搬送手段としてのコンクリート供給装置35からコンクリートが型枠10内に流し込まれる充填工程が行われる(図10のステップS04〜S06)。
【0074】
コンクリート供給装置35は、遠心ドラム33内を軸方向に渡されたコンクリート供給用のパイプと、パイプから各型枠10の空間Sへ向かって上方からコンクリートを供給するための供給口とを有し、パイプに送り込まれるコンクリートが各供給口から下方の空間Sへ落ちることによって、空間Sにコンクリートが充填される。コンクリート供給装置35の代わりに、ベルトコンベアを適用することもできる。充填工程においては、回転する遠心ドラム33内の各型枠10の空間Sにコンクリートが充填(打設)され、遠心締め固めが行われる。
【0075】
このような充填工程において、コンクリートの充填開始時には、最初に、外層41(図1C)を成形すべく、難透水性を有するコンクリート(第1のコンクリート)が充填される(図10のステップS04)。難透水性のコンクリートが所定量充填されると、次に、中間層42を成形すべく、通常のコンクリートが所定量充填される(図10のステップS05)。最後に、内層43を成形すべく、耐食性又は耐火性を有するコンクリート(第2のコンクリート)が所定量充填される(ステップS06)。
【0076】
充填工程が終了してから所定時間が経過すると、ローラ31、すなわち遠心ドラム33の回転が停止され(図10のステップS07)、各型枠10の継手部材12周辺のコンクリート仕上げが行われる(図10のステップS08)。このとき、継手部材12の短手方向長さを定規としてコンクリート仕上げを行うことができ、コンクリート仕上げを容易に行うことができる。
【0077】
その後、遠心ドラム33から各型枠10が取り出され(図10のステップS09)、養生のために所定時間放置される。遠心ドラム33から各型枠10が取り出されると、予め組み立てておいた複数の型枠10を直ちに遠心ドラム33に設置し、次の打設工程を行うことができる。
【0078】
養生が済むと、型枠10を分解することで、脱型作業が行われる(図10のステップS10)。このとき、型枠10からボルト16を抜き取ることで、円形部材11,11が離脱される。このとき、円筒状の成型物は、仕切板12aを境界として分離される。脱型用板17が仕切板12aの端面22に密着してコンクリートの端面22への接触が防止されているので、円筒状の成型物は、容易に4つのピースに分割することができる。
【0079】
そして、各ピースから脱型用板17及び背板13を取り外すことで、図1Aに示したようなセグメントリング1を形成するための複数のセグメント2が得られる。継手部材12は、そのままセグメント2の一部として使用される(図1B)。このため、脱型作業を簡易にすることができる。また、複数のピースへの分解後、仕上げ工程が行われる。この仕上げ工程において、継手部材12は、セグメント2の端部に残置されており、仕切板12aの短手方向長さを基準として、端部仕上げ時における定規の役目を果たすことができる。
【0080】
上述した実施形態によれば、型枠10に供給された複数種類のコンクリートがセグメントの外側から順次層状に重なってセグメントの躯体が形成される。このため、充填工程の最初、又は初期に、水密コンクリートや繊維混入コンクリートのような難透水性コンクリートを充填することで、セグメント2の最外層又は外面側に難透水層を容易に形成することができる。また、充填工程の終期、又は最後に耐食性コンクリートや耐火性コンクリートを充填することで、セグメント2の最内層又は内面側に耐食性又は耐火性を高めた層を容易に形成することができる。これによって、セグメント2に要求される各種の品質に対応する層を製造時に同心円状に合理的に配置することができる、また、ピース間における各層の一体性も確保することができる。
【0081】
また、上述した実施形態によれば、型枠10は、円形部材11,11に挟持される背板13を有しており、セグメント2の外側面は背板13により成型される。すなわち、遠心ドラム33の内部空間34の面が型枠の一部として使用されないので、養生が終了する前に型枠10を遠心ドラム33内から取り出して、遠心成型装置を次のセグメント製造に用いることができる。すなわち、遠心成型装置の休止時間を短くし、稼働時間を長くすることができる。これによって、多数の型枠10を予め用意すれば、所定時間当たりに製造可能なセグメント数を増やすことが可能となる。
【0082】
また、型枠10を構成する一対の円形部材11,11、及び複数の背板13は繰り返し使用が可能である。このため、セグメント2の製造に要求される主な鋼材は継手部材12となるので、セグメント2の製造に必要な鋼材費を抑えることができる。従って、型枠費用、鋼材費が抑えられるので、セグメントを2を安価に作成することができる。
【0083】
また、本実施形態では、一つの型枠10で、セグメントリング1を形成する全てのセグメント2のピースが製造されるように構成し、さらに、遠心ドラムの軸方向長さを考慮し
て、複数の型枠10を設置できる長さになるように、セグメントの幅方向長さが決められている。これによって、セグメントリング1の製造効率を向上させることができる。
【0084】
さらに、本実施形態によれば、セグメント2の一側面のみが継手部材12で被覆された状態となるので、セグメント2に使用される鋼材の量を減らすことができ、セグメント2の単価を下げることができる。また、型枠10のセグメント端部部分に継手部材12及び脱型用板17を配置し、継手部材12はそのままセグメント2の一部とし、脱型用板17は、型枠10の分解後にセグメント2から剥がせば良い。従って、セグメント2の欠損が生じにくく、セグメントリング1の真円度を良好にすることができる。さらに、型枠10の部材間の繋ぎ目(接合部分)に止水工を施すことで、止水性の高い打設空間(空間S:図7)を形成することができる。
【0085】
本実施形態の型枠10は、以下の変形が可能である。図11は、脱型用板の変形例を示す図である。本実施形態で説明した脱型用板17は、脱型を容易にするために用いられ、最終製品としてのセグメント2からは除去される。
【0086】
これに対し、図11に示すように、脱型用板17の仕切板12aの端面23bと接触させる正面(第1の面)17aと逆側の背面(第2の面)17eにアンカー部材17Bを設け、アンカー部材17Bがコンクリートの打設によってコンクリート内に埋設されるようにしても良い。この場合には、脱型用板17をセグメントから除去する工程を省略可能となる。また、この場合には、脱型部材17の正面17aに対し、仕切板12の溝12gと同様の溝17gが形成され、セグメント2にシール部材を掛け留めるために使用される。
【0087】
図12は、円形部材11の変形例を示す断面図である。図12に示すように、円形部材11は、複数の環状溝(円形溝)14A,14B及び14Cを形成することができる。この場合、円形溝14A,14B,14Cは円形部材11と同心となるように形成される。
【0088】
このような円形部材11では、円形溝14A,14B,14Cに応じた背板13及び継手部材12が用意される。そして、使用する円形溝に応じた背板13及び継手部材12を選択することで、外径サイズの異なるセグメントリングを同一の円形部材を用いて製造することができる。このため、型枠10に要する費用を抑えることができる。
【0089】
<変形例>
上述したセグメントの製造方法は、上述した型枠10の代わりに、以下のような型枠10Aを適用することもできる。
【0090】
図13A及び図13Bは、遠心成型用型枠を用いて製造されるコンクリートセグメント(以下、単に「セグメント」と表記)の例を示す。図13Aには、円筒状のセグメントリング100が示されており、図13Bには、図13Aに示したセグメントリング100を形成するセグメント(セグメントピース)102の一つが示されている。
【0091】
図13Aにおいて、セグメントリング100は、遠心成型方法により製造された5つのセグメント102A,102B,102C,102D,102Eから形成されている(以下、セグメント102A〜102Eを区別しない場合には、「セグメント102」との表記を用いる。)各セグメント102は、二つの周方向端面102a,102bを有する円弧状に形成されている。
【0092】
また、各セグメント102の一方の端面102b側には、セグメント102同士をセグメント102の周方向で連結するためのインサートナット137,137(図6参照)が埋設されており、端面102bには、インサートナット137,137のナット穴102
c,102cが開口されている。一方、セグメント102の他方の端面102a側には、ナット穴102c,102cに挿入されるピース間連結用の各ボルト(図示せず)を挿通するための貫通孔102g,102gが形成されており、貫通孔102g,102gは、セグメント102の端面102a側に設けられた凹部102d,102dに連通している。このようにして、各ボルトが凹部102d,102dから貫通孔102g,102gに挿入され、他のセグメント102の端面102bに設けられたナット穴102c,102cに挿入されてインサートナット137,137と螺合されることによって、セグメント102同士が周方向に連結(ピース間接続)されるようになっている。
【0093】
また、セグメント102の幅方向(セグメントリング100の軸方向)の各端面には、セグメントリング100をその軸方向にリング間継手(図示せず)で連結するための複数の穴102eが設けられている。さらに、セグメント102の周方向の端面102a,102b及び幅方向の各端面には、止水用のシール部材(例えば、リング状のゴム、或いはゴムカバー)をセグメント102の全側面に亘って掛け留めるための溝102fが形成されている。
【0094】
このようなセグメント102(セグメントリング100)は、シールド工法を用いたトンネル工事に適用される。例えば、上下水道、又は共同溝の工事において適用される。トンネル工事において、セグメント102A〜102Eがボルト(セグメント間継手)によって周方向に連結されることでセグメントリング100が組み立てられる。各セグメントリング100は、セグメントリング100の外周面が掘削されたトンネルの内周面に接するように配置され、穴102eを用いてトンネル(セグメントリング1)の軸方向に図示しないボルト(リング間継ぎ手)で連結される。このように連結された複数のセグメントリング100は、上下水道や共同溝における送水用のパイプ(管)として利用される。 なお、図13Aには、セグメントリング100の例として、ABKタイプのセグメントリング100をなすセグメント群102A〜102Eを示している。但し、本実施形態の遠心成型用型枠10Aを用いて、他のタイプのテーパー付きセグメント(例えば、曲線対応テーパータイプ)を製造することも可能である。また、各セグメント102の端面がセグメントリング100の軸に対して平行な矩形のセグメント群からなるセグメントリングを製造することも可能である。
【0095】
また、一対の円形部材111,111の内側にテーパー状の円筒部材(スペーサ)を設置することで、曲線用のテーパーセグメントリングを容易に作製することができる。
【0096】
図14は、図13に示したような複数のセグメント102(102A〜102E)を製造するために使用される遠心成型用型枠10A(以下、単に「型枠10A」と表記する)の分解説明図である。図15(A)は、円形部材の外面を示す図であり、図15(B)は、円形部材の内面を示す図である。図16(A)は、複数の背板を連結して得られる円筒体を正面図(軸方向から見た図)であり、図16(B)は、円筒体の側面を示す図である。
【0097】
図14において、型枠10Aは、大略して、一対の円形部材(リング部材)111,111と、複数の円弧状の外枠体である複数の背板113と、複数の仕切板114とを備える。
【0098】
一対の円形部材111,111は、同様の構成を備える。円形部材111は、円形のリング状に形成された金属製(例えば、鋼製)の平板である。円形部材111は、外面111aと内面111bとを有している。内面111bには、セグメント102の溝102f(図13B)を形成するための円形の凸部115が、円形部材111と同心で形成されている(図3(B))。
【0099】
また、各円形部材111には、円形部材111の外縁と同心円上において、所定の間隔を空けて複数の貫通孔116が形成されている。各貫通孔116は、背板113を円形部材111に固定手段であるボルト117及び図示しないナットで固定するためのボルト孔として使用される。
【0100】
さらに、各円形部材111には、貫通孔116よりも内側にセグメント102の穴102eを形成するための複数の貫通孔118が形成されている。貫通孔118も、円形部材111の同心円上に形成されている。貫通孔118を用いてリング間継手用の埋設金物が設置される。なお、貫通孔116の数は、背板113との良好な連結状態を得るために適宜設定可能である、また、貫通孔118の数は、セグメント102に形成する穴102eの数に応じて適宜設定可能である。
【0101】
型枠10Aは、組み立て後に、遠心成型装置30の遠心ドラム33(図8)内に設置される。このため、一対の円形部材111,111の外径は、遠心ドラム33の内径に応じたサイズを有する。
【0102】
また、円形部材111のリング幅長さL(図15(B))は、セグメント102の厚さ以上となるように形成されている。なお、本実施形態における円形部材111は、型枠10Aが遠心ドラム33内に配置された場合において、型枠10A内をコンクリート供給ノズルのような機器等が通過可能とするために、円形部材111の中央部を大きく開口してリング状に形成している。従って、円形部材111の開口部の形状及び数は、遠心成型用型枠10Aが遠心ドラム33内に配置された場合の状況に鑑みて適宜設定可能である。
図14には、図13Aに示したABKタイプのセグメントリング100を形成するための複数の背板113A〜113Eが示されている。以下、背板113A〜113Eを区別しない場合には、背板113と表記する。
【0103】
背板113は、円弧状に形成された金属製(例えば鋼製)の基板113aと、基板113aの補強部材であるスティフナ113bとを備える。スティフナ113bは、基板113aの長さ方向の外縁から外側に向かって基板113aに対してほぼ垂直に立設されたフランジ119,119と、基板113aの幅方向の外縁から外側に向かってほぼ垂直に立設されたフランジ120,120とを含む。
【0104】
フランジ119,119は、リブ121,121で区切られた各領域のほぼ中央に貫通孔123をそれぞれ有している(図16(B))。貫通孔123は、背板113同士を連結するためのボルト孔として使用される。
【0105】
また、フランジ120,120は、円形部材111の貫通孔116に対応する複数の貫通孔124を有している(図16(A))。貫通孔124は、ボルト117が挿通されるボルト孔であり、背板113を円形部材111に固定するために使用される。
【0106】
さらに、スティフナ113bは、基板113aの外面上にほぼ垂直に立設されたリブ121,121を含んでいる。リブ121,121は、フランジ120,120と平行な状態で基板113aの長さ方向に延びており、リブ121,121の両端部はそれぞれフランジ119,119に接続されている。なお、リブ121,121は、フランジ120とリブ121との間、リブ121間がほぼ等間隔となるように形成されている。但し、これらの間隔は適宜設定可能である。また、リブ121の数も適宜設定可能である。さらに、基板113aの幅方向において基板113aの外面に基板113aの幅方向に延びるリブをさらに設けることもできる。このように、背板113がスティフナ113bを有することで、背板113の剛性が高められ、結果として後述する円筒体122の強度、ひいては
型枠10Aが好適な強度を得ることができる。
【0107】
背板113A〜113Eは、その長手方向で連結されることによって、図16(A)に示すような円筒体122を形成する。図14に示すように、背板113間の連結時には、連結される二つの背板113のフランジ119同士が対向する状態とされ、フランジ119間に仕切板114が配置され、ボルト117Aが各フランジ119の貫通孔123と仕切板114に設けられた貫通孔123に対応する貫通孔125を挿通した状態で、ナット126(図17(B))によりボルト117Aによるボルト締めが行われる。このようにして、背板113間が連結される。
【0108】
背板113同士の連結により、仕切板114は、背板113のフランジ119間に介装され、ボルト117Aを用いたボルト締めによりフランジ119間に挟持された状態となる。仕切板114を背板113間に介装させた状態で背板113同士がその長さ方向に連結されることによって、図16(A)に示すような円筒体122を形成することができる。円筒体122において、背板113間に介装された各仕切板114は、円筒体122の内側へ向かって延出する延出部114aを有する状態となる。
【0109】
このような円筒体122の両側に円形部材111をボルト117で固定することにより、型枠10Aを組み立てることができる。すなわち、円筒体122の軸方向に設けられた各貫通孔124と円形部材111の貫通孔116とを位置合わせし、ボルト117を円形部材111の外面111a側から貫通孔116及び貫通孔124に挿入し、貫通孔124から飛び出したボルト117の先端に図示しないナットを嵌めて締めることで、各円形部材111を円筒体122に固定することができる。このとき、円形部材111,111は、円筒体122と同軸(同心)となる。円筒体122に円形部材111,111が固定された状態において、背板113の内面、円形部材111,111の内面111b,111b及び仕切板114(延出部114a)で囲まれた空間が、セグメント102の成型用コンクリートを充填する空間をなす。ここで、型枠10Aが軸中心に回転する状態でコンクリートが充填されることで、図16(A)において破線で示したような円筒形のコンクリート成型物ができる。ここで、円筒形のコンクリート成型物は、仕切板114を境に分離することができる。よって、コンクリート成型物を仕切板114を境に分割することで、図13Aに示したようなセグメントリング100を形成するセグメント102A〜102Eを得ることができる。
【0110】
図17は、仕切板114の構成の詳細を示す図である。図17(A)は、仕切板114の正面を示す図であり、図17(B)は、図17(A)におけるA−A断面を示す説明図である。図17(A)には、図16(A)に示した背板113Bの左側の端部に位置合わせされて配置された仕切板114を、図16(A)の紙面の左側から見た状態が示されている。
【0111】
図17(A)(B)に示すように、仕切板114は、背板113と同じ幅長さを有しており、仕切板114の下端部を背板113Bのフランジ119の下端と一致させると、各貫通孔125がフランジ119の各貫通孔123と一致するようになっている。そして、フランジ119より上側の部分が延出部114aとなる。
【0112】
背板113の連結時には、図17(B)に示すように、仕切板114の両面に連結対象の二つの背板113(図17(B)では背板113Bと背板113C)の各フランジ119,119を当接させる。この状態で、一方の側(図17(B)では背板113B側)からボルト117Aを貫通孔123,貫通孔125及び貫通孔123を通過させ、他方の側に飛び出したボルト117Aの先端にナット126を嵌めて締める。これによって、仕切板114が背板113間に挟まれた状態で、背板113と一体に連結される。この状態において、仕切板114のフランジ119の高さより高い部分は、円筒体122において円筒体1
22の内側へ延出する延出部114aとなる。
【0113】
このように、仕切板114を背板113間に介装し、連結具であるボルト117A及びナット126で背板113と一体に連結することで、円筒体122に容易に仕切板114を配置することができ、型枠10Aの組み立てを容易にすることができる。
延出部114aは、型枠10Aによって成形されるセグメント102の境界を規定する部材として機能する。すなわち、図17(B)に示す例では、背板113B側にセグメント102Bが成形され、背板113C側にセグメント102Cが成形される。
【0114】
延出部114aの下部には、仕切板114の幅方向に延びた直線状の凸部114bが仕切板114の両側に形成されている(図17(B))。各凸部114bは、図13Bに示したようなシール用の溝102fをセグメント102の周方向端面に形成するために設けられている。各凸部114bの端部には、溝114c,114cが形成されており、各溝114cは、円形部材111の内面111bに設けられた凸部115(図14)が挿入される。
【0115】
また、延出部114aの中間部分には、セグメント102の両端部にナット穴102c,102c,穴102g,102g,及び凹部102d、すなわち、ピース間継手を形成するための継手部材を支持するための貫通孔114d,114dが形成されている。さらに、延出部114aの上端部は仕切板114の高さ方向に対してほぼ直交する方向に張り出した張出部を有しており、この張出部114eは、セグメント102に目地を形成するために使用される。
【0116】
図18は、ピース間継手を形成するための継手部材の例を示す図である。図18(A)は、仕切板114に継手部材を取り付けた状態を示す側面図であり、図18(B)は、継手部材が取り付けられた仕切板114を上方から見た図であり、図18(C)は、継手部材に含まれる連結箱を示す図である。
【0117】
図18(A)(B)(C)において、継手部材は、仕切板114の背面側に配置される端面部材127及び連結箱128と、仕切板114の正面側に配置されるインサートナット137とを含んでいる。
【0118】
端面部材127は、コンクリートへの埋設によりセグメント102の端面102aの一部となる矩形の金属板(例えば、鋼板)127aと、金属板127aの背面から延出する4つのアンカー筋127bとを備えている。金属板127aのほぼ中央には、セグメント102の穴102gとなる貫通孔127cが形成されている。
【0119】
連結箱128は、図18(C)に示されるように、半円柱状の箱体128aと蓋体128bとを含む。箱体128aには、上部が開口された中空部(凹部)128cと、この中空部128cと箱体128aの一方の軸方向端面とを連通するように設けられた貫通孔128dとが設けられている。また、箱体128aの上面には、蓋体128bで箱体128aの上面を蓋体128bで被覆した状態で蓋体128bをボルト129により固定するためのナット穴128eが設けられている。
【0120】
蓋体128bにもナット穴128eに対応する貫通孔128fが設けられており、箱体128aの上面に、貫通孔128fとナット穴128eとの位置あわせをした状態で蓋体128bをかぶせ、ボルト129を貫通孔128fから挿入し、貫通孔128f及びナット穴128eと螺合させることで、蓋体128bを固定することができる。
【0121】
図18(A)に示すように、端面部材127の金属板127aの上縁を張出部114eの
下部に接触させた状態で、金属板127aの正面を仕切板114の背面に密着させると、金属板127aの貫通孔127cと仕切板114の貫通孔114dとが連通した状態となる。この状態において、箱体128aを貫通孔127cと貫通孔128dとを位置合わせした状態でアンカー筋127b間に配置し、中空部128cからボルト136を挿入してボルト136の先端が貫通孔128d,127c,114dを通って仕切板114の正面から飛び出した状態にする。この状態で、ボルト136の先端にインサートナット137を螺合させて締めると、端面部材127及び箱体128aがボルト136とインサートナット137との間に挟まれて仕切板114に固定された状態となる。このような状態において、箱体128aに蓋体128bがかぶせられ、ボルト129で蓋体128bが固定される。なお、この状態における張出部114及び蓋体128bの上面と同じ高さになるまで、型枠10Aにコンクリートが充填される。
【0122】
型枠10Aは、上述したような、外径が3m程度のヒューム管の規格に応じた既存の遠心成型装置を用いて、セグメントリングを形成する複数のセグメント102(セグメントピース)を一つの型枠10Aで一度に成型することができる。
【0123】
製造方法は、型枠10を用いる場合とほぼ同様の工程(ステップS1〜S10)を適用することができる。最初に、型枠10Aを組み立てる。例えば、複数の背板113間に複数の仕切板114を挟み、背板113同士をボルト締めすることで、図16(A)に示したような円筒体122を形成し、円筒体122の両側に円形部材111,111をボルト117及び図示しないナットで固定することで、型枠10Aを組み立てることができる。
型枠10Aは、複数のボルト117の除去により円形部材111,111と円筒体122とを分離可能となっている。また、ボルト117Aの除去により円筒体122を複数の背板113(外枠体)に分離することもできる。
【0124】
型枠10Aの組み立て工程において、仕切板114に上述した手法で継手部材を固定する(図18(A))。また、円形部材111,111の貫通孔118を用いて、リング間継手用の金物をコンクリート打設空間に設置する。さらに、円形部材111,111,仕切板114及び背板113で囲まれた空間に鉄筋を配置することもできる。さらにコンクリート打設空間を形成する部位、すなわち基板113aの内面、円形部材111の内面111b,及び仕切板114(延出部114a)に、コンクリート剥離剤を塗布したり、これらの部材間に止水工を施したりすることができる。このようにして、水密性の高いコンクリート打設空間を形成することができる。型枠10Aの組み立て工程では、少なくとも、一度に遠心ドラム33(図8)内に配置可能な数の型枠10Aが組み立てられる。
型枠10Aは、遠心ドラム33内において、遠心ドラム33と同軸になる状態で着脱可能に取り付けられる。また、図7に示されるように、遠心ドラム33内には、複数の型枠10A(図7では3つ)が一度に配置される。
【0125】
その後、遠心ドラム33を回転させて、遠心ドラム33の内部空間34に配置されたコンクリート供給装置35の供給口(型枠10A内に設置)からコンクリートが型枠10A内に流し込まれる。これによって、コンクリートが型枠10Aに設けられたコンクリート打設空間に充填(打設)され、遠心締め固めが行われる。このとき、上述したような充填工程、すなわち、外層、中間層、内層用のコンクリートが夫々充填される(ステップS04〜S06)。
【0126】
コンクリートの打設から所定時間が経過すると、遠心ドラム33の回転が停止され、各型枠10Aの仕切板114周辺のコンクリート仕上げが行われる。このとき、仕切板114の張出部114eの上面や蓋体128bの上面を定規としてコンクリート仕上げを行うことができ、コンクリート仕上げを容易に行うことができる。
【0127】
その後、遠心ドラム33から各型枠10Aが取り出され、養生のために所定時間放置される。遠心ドラム33から各型枠10Aが取り出されると、予め組み立てておいた複数の型枠10Aを直ちに遠心ドラム33に設置し、次の打設工程を行うことができる。
【0128】
養生が済むと、型枠10Aを分解することで、脱型作業が行われる。このとき、型枠10Aから複数のボルト117を抜き取ることで、円形部材111,111が円筒体122と分離される。さらに、蓋体128bを外すことで、セグメント102の凹部102dを形成することができる。この凹部102d(中空部128c)を用いてボルト136(図1
8(A)(B))を外し、且つ複数のボルト117Aを抜き取ることで、円筒体122が複数
の背板113に分離される。このとき、円筒体122の内側に形成された円筒形のコンクリート成型物は、仕切板114を境界として分離される。これによって、円筒形のコンクリート成型物は、容易に5つのピースに分割される。
【0129】
そして、各ピースから背板113、場合によっては仕切板114を取り外すことで、図13Aに示したようなセグメントリング100を形成するための複数のセグメント102A〜102Eが得られる。また、複数のピースへの分解後、最終的な仕上げ工程が行われる。この仕上げ工程において、端面部材127は、セグメント102の端部に残置されており、端面部材127の正面を基準として、セグメント102の端面102aを平らに仕上げることができる。
【0130】
型枠10Aによれば、円筒体122をなす複数の背板113(外枠体)と、円筒体122の両側に同軸で対向する状態で固定される円形部材111,111と、円筒体122において、背板間113に挟持される仕切板114とを有しており、セグメント102の外側面は背板113(基板113a)により成型される。すなわち、遠心ドラム33の内部空間34の面が型枠の一部として使用されないので、養生が終了する前に型枠10Aを遠心ドラム33内から取り出して、遠心成型装置30を次のセグメント製造に用いることができる。すなわち、遠心成型装置30の休止時間を短くし、稼働時間を長くすることができる。これによって、多数の型枠10Aを予め用意すれば、所定時間当たりに製造可能なセグメント数を増やすことが可能となる。
【0131】
また、外枠体である背板113にスティフナ121が形成されているので、円筒体122は十分な剛性を持ち、円形部材111,111間を円筒体122で連結することで、十分な剛性を持つ型枠10Aを形成できるようにしている。すなわち、円形部材111,111間を継手部材で連結する必要がなくなっている。これにより、型枠10Aの部品点数を少なくし、組み立て及び分解が容易となっている。
【0132】
また、型枠10Aを構成する一対の円形部材111,111、複数の背板113,及び複数の仕切板114は繰り返し使用が可能である。このため、セグメント102の製造に要求される主な鋼材は端面部材127となるので、セグメント102の製造に必要な鋼材費を抑えることができる。従って、型枠費用、鋼材費が抑えられるので、セグメント102を安価に作成することができる。
【0133】
また、本実施形態では、一つの型枠10Aで、セグメントリング100を形成する全てのセグメントピース102A〜102Eが製造されるように構成し、さらに、遠心ドラム33の軸方向長さを考慮して、複数の型枠10Aを設置できる長さになるように、セグメント102の幅方向長さが決められている。これによって、セグメントリング100の製造効率を向上させることができる。
【0134】
また、実施形態で説明した円筒体122(筒状体)は、以下のように構成することが可能である。円筒体122を形成するに当たり、各背板113の内径中心(背板113の内
面の円弧を周の一部とする円の中心)と、円筒体122の中心(型枠10Aの回転中心)とを一致させて形成すると、背板113間には仕切板114が挟まれるため、型枠10Aから取り出された複数のコンクリート成型物(セグメントピース)の端部を接触させて円形を作ろうとすると、仕切板114の厚さだけ周長さが足りないので、その端面形状は円形にはならず花びら状となる可能性がある。
【0135】
図19は、円筒体の形成方法を示す。図19は、90°で4分割されたセグメント2(セグメントピース)からなるセグメントリングを製造するための円筒体22が例示されている。図19に示すように、円筒体122を形成する際には、各背板113の内径中心01が円筒体122の中心0(0,0)から所定量だけ径方向に後退する(偏心する)状態で、仕切板114を挟んで連結する。具体的には、仕切板114の位置を固定して、二つの仕切板114の中心と円筒体122の中心0とを結ぶ二つの線(図19の例ではx軸及びy軸)を二等分する線L1上で背板113の内径中心01(x,y)がx方向及びy方向の双方向において等しく後退し、型枠10Aから取り出される複数のコンクリート成型物(セグメントピース)の周方向長さの合計が、作製すべきセグメントリングの周長さと一致するように後退量(偏心量)が決定される。このようにして、円筒体122を形成することで、型枠10Aから取り出される複数のコンクリート成型物(セグメントピース)を組み立てたときの真円度を高めることができる。
【0136】
また、仕切板114を挟んで背板113を連結する際には、各背板113は、偏心量だけ円筒体122の中心から後退することで、仕切板114の外側端部よりも外側に後退した状態にされる。このように、連結される背板113間に間隙Iを設けることで、型枠10Aを分解してコンクリート成型物を取り出す作業を容易にすることができる。もっとも、本発明は、背板113の内径中心を円筒体122の中心(型枠10Aの回転中心)と一致させる場合と偏心させる場合との双方を含む。
【符号の説明】
【0137】
S・・・コンクリート打設空間
1・・・セグメントリング
2・・・セグメント
2a,2b・・・周方向の端面
2c,2c・・・ナット穴
2d、2d・・・凹部
2e・・・穴
2f・・・溝
10・・・遠心成型用型枠
11・・・円形部材
12・・・継手部材(仕切部材)
12a・・・仕切板
12b・・・支持板
12c・・・孔
12d・・・インサートナット
12e・・・貫通孔
12f,12f・・・箱抜き用部材
13・・・背板
13a・・・幅方向端部
14A・・・溝
14B・・・凸部
15A・・・貫通孔
15B・・・ボルト孔
16・・・ボルト
17・・・脱型用板
17a・・・脱型用板の正面
17b,17b・・・貫通孔
17c,17c・・・脱型用板の長手方向の端面
17d,17d・・・溝
17e・・・脱型用板の背面
17f・・・凸部
21,21・・・仕切板の長手方向の端面
22・・・仕切板の短手方向の外側の端面
23a・・・仕切板の内面
23b・・・仕切板の外面30・・・遠心成型装置
31,32・・・ローラ
33・・・遠心ドラム
34・・・内部空間
35・・・コンクリート供給装置
41・・・外層
42・・・中間層
43・・・内層
100・・・セグメントリング
102・・・セグメント
102a,2b・・・周方向の端面
102c,2c・・・ナット穴
102d、2d・・・凹部
102e・・・穴
102f・・・溝
102g・・・穴
10A・・・遠心成型用型枠
111・・・円形部材
111a・・・円形部材外面
111b・・・円形部材内面
113,113A〜113E・・・背板(外枠体)
113a・・・基板
113b・・・スティフナ
114・・・仕切板
114a・・・延出部
114b・・・凸部
114c・・・溝
114d,125・・・貫通孔
115・・・凸部
116,118・・・円形部材の貫通孔
117,117A・・・ボルト
119・・・フランジ(第1のフランジ)
120・・・フランジ(第2のフランジ)
121・・・リブ
123,124・・・貫通孔
126・・・ナット
127・・・端面部材
127a・・・金属板
127b・・・アンカー筋
128・・・連結箱
128a・・・箱体
128b・・・蓋体
128c・・・中空部(凹部)
128d,128f・・・貫通孔
128e・・・ナット穴
129・・・ボルト
136・・・ボルト
137・・・インサートナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心成型装置の遠心ドラム内に円筒状のセグメント型枠を同心で設置する工程と、
前記遠心ドラムを回転させながら前記セグメント型枠内へコンクリートを充填する充填工程であって、遠心成型されるコンクリートが複数の層を有するように、異なる複数種類のコンクリートを時系列に前記セグメント型枠に充填する充填工程と
を含むコンクリートセグメントの製造方法。
【請求項2】
前記充填工程の最初又は初期に充填されるコンクリートとして、難透水性を有するコンクリートを充填する
請求項1に記載のコンクリートセグメントの製造方法。
【請求項3】
前記充填工程の終期又は最後に充填されるコンクリートとして、耐食性,耐薬品性,又は耐火性の少なくとも一つを有するコンクリートを充填する
請求項1に記載のコンクリートセグメントの製造方法。
【請求項4】
前記セグメント型枠として、
一対の円形部材と、
前記一対の円形部材が一定の間隔を空けて平行且つ同軸で対向配置されるように、前記一対の円形部材間を掛け渡す状態で各端部が前記一対の円形部材の各内面に固定手段によって着脱自在に固定される複数の仕切部材と、
前記複数の仕切部材が前記一対の円形部材に固定された状態において、前記一対の円形部材により円筒状に同軸で挟持される少なくとも一つの背板と、
を含むコンクリートセグメントの遠心成型用型枠を設置する
請求項1から3のいずれか1項に記載のコンクリートセグメントの製造方法。
【請求項5】
前記セグメント型枠として、
一対の円形部材と、
円弧状の複数の外枠体が分離可能な状態で周方向に連結されてなる円筒体であって、軸方向の両端部に前記一対の円形部材のそれぞれが同軸で分離可能に連結される円筒体と、前記円筒体における外枠体の境界部分から当該円筒体の内側に延出し、且つ前記一対の円形部材の内面間を掛け渡すように配置される複数の仕切板とを含むコンクリートセグメントの遠心成型用型枠を設置する
請求項1から3のいずれか1項に記載のコンクリートセグメントの製造方法。
【請求項6】
前記各外枠体の内径中心が前記円筒体の中心から径方向に所定量だけ後退している前記円筒体を含む前記遠心成型用型枠が設置される
請求項5に記載のコンクリートセグメントの製造方法。
【請求項7】
遠心成型によって形成された複数の層を有し、各層が種類の異なるコンクリートで形成されている
コンクリートセグメント。
【請求項8】
前記複数の層中の外層が難透水性を有する第1のコンクリートで遠心成型されており、前記複数の層中の内層が耐食性、耐薬品性、及び耐火性の少なくとも一つを有する第2のコンクリートで遠心成型されている
請求項7に記載のコンクリートセグメント。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−177996(P2011−177996A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43485(P2010−43485)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000112749)フジミ工研株式会社 (24)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【出願人】(303056368)東急建設株式会社 (225)
【出願人】(000224215)藤村ヒューム管株式会社 (24)
【出願人】(390000332)栗本コンクリート工業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】