説明

コンクリートバイブレータ

【課題】 所定温度以下に低下すると固化する性質を有する特定の打設物を所定温度以上に加熱しながら振動締固めを行う。
【解決手段】 回転力を発生する回転駆動源と、この回転駆動源の回転軸に連結され回転して振動を発生する振動軸7を有し、且つこの振動軸7を回転可能に覆う金属製のケーシング8aを有する振動部2とを備え、コンクリートの締固めを行うコンクリートバイブレータにおいて、上記振動部2の振動軸7又は上記振動軸7に対し回転駆動源の回転力を伝達する連結シャフトに永久磁石15を設け、該永久磁石15の磁力線による電磁誘導加熱によって上記ケーシング8aを加熱するものである。これにより、所定温度以下に低下すると固化する性質を有する特定の打設物を所定温度以上に加熱しながら振動締固めを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの打設において練り混ぜた生コンクリートの振動締固めを行うコンクリートバイブレータに関し、詳しくは、所定温度以下に低下すると固化する性質を有する特定の打設物を所定温度以上に加熱しながら振動締固めを行う簡単な構造のコンクリートバイブレータに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンクリートバイブレータは、回転力を発生する回転駆動源と、この回転駆動源の回転軸に連結され回転して振動を発生する振動軸を有し、且つこの振動軸を回転可能に覆う金属製のケーシングを有する振動部とを備えて成っている。具体的には、回転駆動源としての把手付きのモータに棒状の振動部が接続してあり、その接続部分には防振ゴムを介在させている。上記振動部は、中空のケーシング内に、先端側に偏心ウエイトを有する振動軸が回転可能に挿入してあり、該振動軸の基端部が連結シャフト及び連結スプリングを介して上記モータの回転軸に連結されている。なお、上記防振ゴムは、上記振動部の振動がモータへ伝達されるのを防止して、杷手を把持して操作する作業者の受ける振動を軽減するためである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−80606号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来のコンクリートバイブレータは、セメント・砂・砂利・水等を混合して練り混ぜた通常の生コンクリートの振動締固めに用いられるものであり、該通常の生コンクリートの固化性質に対応させて上記振動部からの発熱を極力抑えるような構造とされていた。すなわち、上記振動部内の振動軸や連結シャフトを回転支持する内部ベアリング等の機械損による発熱が主であり、わずかな熱量しか発生しない。
【0004】
ところが、近年、常温では固体で所定温度以上に加熱されることにより溶融して流動状態となる資材として、常温では固体でありおよそ119℃(凝固点)を超えると溶融するという硫黄の性質に着目し、この硫黄に所定の試料を配合して、土木用、建設用の資材の一つとして利用することが試みられている。上記硫黄を使用した資材は、セメントを使用する通常のコンクリートと仕上がりや取り扱いが見かけ上類似していることから、硫黄コンクリート(又は硫黄固化体)と呼ばれることがある。上記硫黄コンクリートは、溶融させた硫黄に、砂や砂利、石炭灰等を混合して、およそ119℃〜159℃を保持しながら練り混ぜ、これを冷却硬化させて製造される(特開2004−160693号公報参照)。
【0005】
このような硫黄コンクリートの打設において練り混ぜた生硫黄コンクリートを打設物として振動締固めを行うのに、上記従来のコンクリートバイブレータを用いると、外気温で冷えた棒状の振動部を、およそ119℃以上に保持しながら練り混ぜた生硫黄コンクリートの中に挿入した際に、上記棒状の振動部の外表面に接する生硫黄コンクリートが熱を奪われて凝固点以下に低下し、その周囲から固化が起こり打設中に固まってしまうことがある。したがって、生硫黄コンクリートの中に混入している不要な空気を十分に除去できず、強度が高く且つきれいな資材が得られないことがある。
【0006】
これに対処して、従来のコンクリートバイブレータの棒状の振動部に、該振動部自体を加熱又は発熱させるために電気ヒーター等を付設することが考えられるが、この場合は、上記電気ヒーターの付設により振動部の構造が複雑になると共に、上記電気ヒーターが機械構造的に強固でないため高速回転による振動で破損することがあり、実用的ではない。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、所定温度以下に低下すると固化する性質を有する特定の打設物を所定温度以上に加熱しながら振動締固めを行う簡単な構造のコンクリートバイブレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によるコンクリートバイブレータは、回転力を発生する回転駆動源と、この回転駆動源の回転軸に連結され回転して振動を発生する振動軸を有し、且つこの振動軸を回転可能に覆う金属製のケーシングを有する振動部とを備え、コンクリートの締固めを行うコンクリートバイブレータにおいて、上記振動部に、上記ケーシングを加熱する加熱手段を設けたものである。
【0009】
このような構成により、振動軸とケーシングを有する振動部に設けた加熱手段によって、上記振動軸を回転可能に覆う金属製のケーシングを加熱する。
【0010】
また、上記加熱手段として、上記振動部の振動軸又は上記振動軸に対し回転駆動源の回転力を伝達する連結シャフトに永久磁石を設けてもよい。これにより、上記振動部の振動軸又は連結シャフトに設けられた永久磁石が回転することで、該永久磁石の磁力線による電磁誘導加熱によって上記ケーシングを加熱する。
【0011】
さらに、上記永久磁石は、上記振動軸又は連結シャフトの外周面に、そのN極、S極が交互に配置されるように複数個設けてもよい。これにより、N極、S極が交互に配置された複数個の永久磁石の磁力線による電磁誘導加熱によって上記ケーシングを加熱する。
【0012】
さらにまた、上記加熱手段として、上記振動部の振動軸自体又は上記振動軸に対し回転駆動源の回転力を伝達する連結シャフト自体を永久磁石としてもよい。これにより、永久磁石から成る振動軸又は連結シャフトが回転することで、該永久磁石の磁力線による電磁誘導加熱によって上記ケーシングを加熱する。
【0013】
また、上記振動部のケーシングは、一層構造に形成されているものとしてもよい。
【0014】
或いは、上記振動部のケーシングは、内側に位置する内筒ケーシングとその外側に位置する外筒ケーシングの二層構造に形成され、且つ内筒ケーシングは外筒ケーシングよりも固有抵抗値が小さい材料で形成されているものとしてもよい。これにより、外筒ケーシングよりも固有抵抗値が小さい材料で形成された内筒ケーシングに電流が流れ易いようにして、より発熱し易くなる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、振動軸とケーシングを有する振動部に設けた加熱手段によって、上記振動軸を回転可能に覆う金属製のケーシングを加熱することができる。したがって、所定温度以下に低下すると固化する性質を有する特定の生コンクリートを所定温度以上に加熱しながら振動締固めを行うことができる。これにより、例えば生硫黄コンクリートの振動締固めにおいて、練り混ぜた生硫黄コンクリートが凝固点以下に低下しないように加熱しながら打設することができる。その結果、生硫黄コンクリートの中に混入している不要な空気を十分に除去して、強度が高く且つきれいな資材を得ることができる。
【0016】
また、請求項2に係る発明によれば、上記振動部の振動軸又は連結シャフトに設けられた永久磁石が回転することで、該永久磁石の磁力線による電磁誘導加熱を利用して、簡単な構造により振動部のケーシングを加熱することができる。
【0017】
さらに、請求項3に係る発明によれば、上記振動軸又は連結シャフトの外周面に、N極、S極が交互に配置された複数個の永久磁石の磁力線による電磁誘導加熱を利用して、簡単な構造により振動部のケーシングを加熱することができる。したがって、上記複数個の永久磁石によって、より強力に振動部のケーシングを加熱することができる。
【0018】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、永久磁石から成る振動軸又は連結シャフトが回転することで、該永久磁石の磁力線による電磁誘導加熱を利用して、簡単な構造により振動部のケーシングを加熱することができる。
【0019】
また、請求項5に係る発明によれば、上記振動部のケーシングは一層構造に形成されていることにより、該振動部の構造を簡単とすることができる。
【0020】
さらに、請求項6に係る発明によれば、外筒ケーシングよりも固有抵抗値が小さい材料で形成された内筒ケーシングに電流が流れ易いようにしてより発熱し易いものとすることができ、該内筒ケーシングを発熱体とし、上記外筒ケーシングは主に耐摩耗部材として機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明によるコンクリートバイブレータの実施形態を示す一部断面した正面図である。このコンクリートバイブレータは、コンクリートの打設において練り混ぜた生コンクリートの振動締固めを行うもので、モータ1と、振動部2と、防振ゴム3とを備えて成る。
【0022】
上記モータ1は、回転力を発生する回転駆動源となるもので、後述の振動部2に対して回転力を与えるようになっている。上記モータ1の一端部には、作業者が手持ち式に操作するための杷手4が備えられ、先端部には回転軸5が突出している。なお、符号6は、上記モータ1に外部から電力を供給するための電源コードを示している。
【0023】
上記モータ1の先端部側には、棒状の振動部2が連結されている。この振動部2は、上記モータ1の回転力によって振動を発生するもので、振動軸7とケーシング8を有している。上記振動軸7は、上記モータ1の回転軸5に連結され回転して振動を発生するもので、例えば金属で作製されており、先端側に偏心ウエイト9を備えている。この偏心ウエイト9は、上記振動軸7の回転中心軸に沿って所定長さの間だけ一半部側の肉を削り取った断面形とされ、その回転中心軸に対する重量がアンバランスとされている。したがって、振動軸7が高速回転することにより、上記偏心ウエイト9の重量アンバランスによって該振動軸7が振動を発生するようになる。そして、この振動軸7の基端部側には、フレキシブルジョイント10及び連結シャフト11が接続され、この連結シャフト11が連結スプリング12を介して上記モータ1の回転軸5に連結されている。
【0024】
上記ケーシング8は、上記振動軸7及びフレキシブルジョイント10並びに連結シャフト11等を回転可能に覆うもので、金属で中空状(例えば円筒状)に作製されている。そして、上記モータ1の先端部と振動部2の基端部との接続部分には、防振ゴム3が介在されている。この防振ゴム3は、上記振動部2の振動がモータ1へ伝達されるのを防止して、杷手4を把持して操作する作業者の受ける振動を軽減するもので、ゴムにより筒状に形成されている。このように棒状に形成された振動部2が、打設物としての生コンクリートの中に挿入されて、その高速振動により振動締固めを行うようになっている。
【0025】
ここで、本発明においては、上記振動部2に、上記ケーシング8(特に先端部のケーシング8a)を加熱する加熱手段が設けられている。具体的には、上記加熱手段として、上記振動部2の振動軸7に1個又は複数個の永久磁石15が設けられている。以下、この加熱手段の取付構造について、図2を参照して説明する。
【0026】
図2は、上記振動部2の先端部を示す拡大断面図である。この実施形態では、振動部2のケーシング8において、先端部のケーシング8aが内側に位置する内筒ケーシング13aとその外側に位置する外筒ケーシング13bの二層構造に形成されており、それぞれ円筒状に作製されている。そして、上記内筒ケーシング13aは外筒ケーシング13bよりも固有抵抗値が小さい金属材料で形成されており、例えば、内筒ケーシング13aはアルミニウム(Al)で形成され、外筒ケーシング13bは鉄(Fe)で形成されている。これは、後述する永久磁石15の磁力線による電磁誘導加熱によって、内筒ケーシング13aに対して電流が流れ易いようにしてより発熱し易いものとし、該内筒ケーシング13aが発熱体として作用するようにするためである。この場合、上記外筒ケーシング13bは、主に耐摩耗部材として機能する。なお、内筒ケーシング13a及び外筒ケーシング13bの材料は、上記のものに限られず、他の金属であってもよい。
【0027】
前記振動軸7は、上記先端部の二層構造のケーシング8aにて内筒ケーシング13aの内部に挿入されて、その両端部がベアリング14,14により回転自在に支持されている。この振動軸7は、前述のような偏心ウエイト9を備えており、この偏心ウエイト9の長手方向の中央部が回転中心軸側にくびれており、このくびれ部分に1個又は複数個の永久磁石15,15,…が設けられている。
【0028】
図3は、図2のA−A線断面図であり、振動軸7に対する永久磁石15の取り付け方を示している。図3においては、中央部にて断面が正方形状に形成された振動軸7の外周面上に、例えば4個の永久磁石15a,15b,15c,15dが取り付けられている。この場合、4個の永久磁石15a〜15dは、上記内筒ケーシング13aの内周面との間に僅かな隙間を有するように配置され、該内筒ケーシング13aの内周面に対向する磁極として、N極、S極が交互に配置されるように位置決めされている。
【0029】
このような状態で、図3において、上記内筒ケーシング13a内で振動軸7が例えば矢印B方向に回転すると、該振動軸7に付設された偏心ウエイト9の重量アンバランスによってその振動軸7が振動を発生する。これと同時に、上記振動軸7に設けられた永久磁石15a〜15dが回転することで、該永久磁石15の磁力線による電磁誘導加熱によって上記内筒ケーシング13aを加熱する。
【0030】
ここで、電磁誘導加熱とは、磁性部材から発生する磁力線(交番磁界)を電気導体である金属に照射すると、電磁誘導現象によって上記金属に渦電流(I)が誘導され、この誘導電流が金属内に流れてその電気抵抗(R)によりジュール熱(I2R)が発生することを利用して、導電性被加熱部材を所定温度まで加熱するものである。図3の実施形態においては、4個の永久磁石15a〜15dが回転することで、交番磁界が内筒ケーシング13aに照射され、該内筒ケーシング13aに誘導電流が流れてジュール熱が発生し、その内筒ケーシング13aを加熱するようになる。
【0031】
このような電磁誘導加熱における永久磁石の極数をpとし、その永久磁石の回転数をN(rpm)とし、交番磁界の周波数をf(Hz)とすると、永久磁石の回転数Nは、
N=120f/p
と表される。図3において、永久磁石15の極数pは4であり、その回転数Nを例えば12000rpmとすると、周波数fは、
f=Np/120=12000×4/120=400(Hz)
となる。そして、この400Hzの交番磁界による電磁誘導加熱によって、被加熱部材としての内筒ケーシング13aを例えば190℃〜200℃まで加熱することができる。
【0032】
なお、図3においては、振動軸7の中央部断面形状を正方形に形成したものとしたが、これに限られず、六角形又は八角形等としてもよい。また、永久磁石15も4個に限られず、2個、6個又は8個としてもよい。さらに、例えば4個の永久磁石15の周りを包み込むようにして、高速回転に対する飛散防止層を設けてもよい。なお、図2において、符号16は、棒状の振動部2の先端部を閉塞するヘッド部材を示している。
【0033】
このように構成されたコンクリートバイブレータを使用するには、所定の型枠内に打設物として、例えば前述の119℃〜159℃を保持しながら練り混ぜた生硫黄コンクリートを充填しておき、この生硫黄コンクリートを振動締固めを行うのに使用する。このとき、作業者は、図1に示すコンクリートバイブレータのモータ1の杷手4を把持し、電源コード6を電源コンセントに差し込んでスイッチを投入し、モータ1を例えば12000rpm程度で回転させる。すると、図3に示す内筒ケーシング13a内で振動軸7が例えば矢印B方向に回転し、該振動軸7に付設された偏心ウエイト9の重量アンバランスによってその振動軸7が振動を発生する。これと同時に、上記振動軸7に設けられた永久磁石15a〜15dが回転することで、該永久磁石15の磁力線による電磁誘導加熱によって上記内筒ケーシング13aを加熱する。
【0034】
この内筒ケーシング13aが加熱されることで、その熱が図2において外筒ケーシング13bに伝達され、該外筒ケーシング13bも加熱される。そして、振動部2の先端部及びその周辺部が加熱されて硫黄の凝固点である119℃以上になったら、上記振動部2の先端部側から、上記型枠内に充填された生硫黄コンクリート内に差し込んで振動を与え締固めを行う。このとき、上記振動部2の先端部の温度が130±20℃となるように温度制御するのが望ましい。これにより、例えば生硫黄コンクリートの振動締固めにおいて、練り混ぜた生硫黄コンクリートが凝固点以下に低下しないように加熱しながら打設することができる。その結果、生硫黄コンクリートの中に混入している不要な空気を十分に除去して、強度が高く且つきれいな資材を得ることができる。
【0035】
図4は、振動部2に対する永久磁石15の取付構造の他の実施形態を示す拡大断面図である。この実施形態は、図2に示す偏心ウエイト9が付設された振動軸7の先端部を更に延長して、その延長部分に他の永久磁石17を設けると共に、上記偏心ウエイト9が付設された振動軸7の基端部側に延びる振動軸7上に更に他の永久磁石18を設けたものである。この場合は、それぞれの永久磁石15,17,18の回転による電磁誘導加熱がそれぞれの部分の内筒ケーシング13aに発生して、振動部2の先端部以外の部分までも発熱状態となる。したがって、例えば生硫黄コンクリートが凝固点以下に低下しないように広い範囲で加熱しながら打設することができる。
【0036】
図5は、本発明が適用されるコンクリートバイブレータの他のタイプを示す一部断面した正面図である。このタイプは、振動部2内の振動軸7をモータ1の先端部の回転軸5に連結するのに、例えばワイヤを螺旋状に巻いて棒状に形成したフレキシブルシャフト19で連結し、その外周側を柔軟な材料から成るフレキシブルホース20で覆って、モータ1と振動部2とをフレキシブル部材21で結合したものである。この場合は、フレキシブル部材21の柔軟性によって、振動部2をモータ1の回転軸5の延長線上から外れた方向に対しても湾曲して挿入し、打設物に対して振動締固めを行うことができる。なお、図1に示すタイプのコンクリートバイブレータを「電棒タイプ」と呼び、図5に示すタイプのコンクリートバイブレータを「フレキシブルタイプ」と呼ぶことがある。
【0037】
なお、図1及び図2においては、振動軸7の部分に永久磁石15を設けたものとしたが、本発明はこれに限られず、連結シャフト11の部分に永久磁石15を設けてこの部分で電磁誘導加熱によりケーシング8を加熱してもよい。また、上記振動軸7又は連結シャフト11の部分に永久磁石15を設ける代わりに、上記振動軸7自体又は連結シャフト11自体を永久磁石で形成し、該永久磁石の磁力線による電磁誘導加熱によって上記ケーシング8a,8を加熱してもよい。また、以上の説明では、ケーシング8aは、内筒ケーシング13aと外筒ケーシング13bの二層構造に形成されたものとしたが、一つの円筒状部材から成る一層構造に形成してもよい。この場合は、一層構造のケーシング8で発熱体としての機能と、耐摩耗部材としての機能との両方が発揮できるような金属材料を選択するのが望ましい。
【0038】
また、以上の説明では、ケーシング8を加熱する加熱手段として、振動部2に永久磁石を設けたものとしたが、本発明はこれに限らず、簡単な構造でケーシング8を加熱することができるものであれば、他の加熱手段を設けてもよい。さらに、振動締固めを行う打設物の一例として生硫黄コンクリートを上げたが、所定温度以下に低下すると固化する性質を有する打設物であるならば、どのようなものにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明によるコンクリートバイブレータの実施形態を示す一部断面した正面図である。
【図2】上記コンクリートバイブレータにおける振動部の先端部を示す拡大断面図である。
【図3】図2のA−A線断面図であり、振動軸に対する永久磁石の取り付け方を示す図である。
【図4】振動部に対する永久磁石の取付構造の他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図5】本発明が適用されるコンクリートバイブレータの他のタイプを示す一部断面した正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1…モータ
2…振動部
3…防振ゴム
5…回転軸
7…振動軸
8…ケーシング
8a…先端部のケーシング
9…偏心ウエイト
11…連結シャフト
12…連結スプリング
13a…内筒ケーシング
13b…外筒ケーシング
15,17,18…永久磁石
19…フレキシブルシャフト
20…フレキシブルホース
21…フレキシブル部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転力を発生する回転駆動源と、
この回転駆動源の回転軸に連結され回転して振動を発生する振動軸を有し、且つこの振動軸を回転可能に覆う金属製のケーシングを有する振動部と、
を備え、コンクリートの締固めを行うコンクリートバイブレータにおいて、
上記振動部に、上記ケーシングを加熱する加熱手段を設けたことを特徴とするコンクリートバイブレータ。
【請求項2】
上記加熱手段として、上記振動部の振動軸又は上記振動軸に対し回転駆動源の回転力を伝達する連結シャフトに永久磁石を設け、該永久磁石の磁力線による電磁誘導加熱によって上記ケーシングを加熱することを特徴とする請求項1記載のコンクリートバイブレータ。
【請求項3】
上記永久磁石は、上記振動軸又は連結シャフトの外周面に、そのN極、S極が交互に配置されるように複数個設けたことを特徴とする請求項2記載のコンクリートバイブレータ。
【請求項4】
上記加熱手段として、上記振動部の振動軸自体又は上記振動軸に対し回転駆動源の回転力を伝達する連結シャフト自体を永久磁石とし、該永久磁石の磁力線による電磁誘導加熱によって上記ケーシングを加熱することを特徴とする請求項1記載のコンクリートバイブレータ。
【請求項5】
上記振動部のケーシングは、一層構造に形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のコンクリートバイブレータ。
【請求項6】
上記振動部のケーシングは、内側に位置する内筒ケーシングとその外側に位置する外筒ケーシングの二層構造に形成され、且つ内筒ケーシングは外筒ケーシングよりも固有抵抗値が小さい材料で形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のコンクリートバイブレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−183430(P2006−183430A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381003(P2004−381003)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【出願人】(391040397)エクセン株式会社 (22)
【Fターム(参考)】