説明

コンクリートブロックの施工方法。

【課題】コンクリート境界ブロック間のコンクリートモルタルセメントを充填する際従来は、手作業で数回詰め込み大変手間が掛かり又、ブロック本体にコンクリートモルタルセメントが付着し,除去清掃に手間と時間が掛かっていた。
【解決手段】この課題を解消するため、コンクリート境界ブロック本体1の一端の接合面左右両端部に目地枠となる棒状の伸縮材5を固着しておき、順次同方向にコンクリート境界ブロック本体20を並べ、伸縮材5とブロック間に充填溝8を確保し上方から充填溝8にコンクリートモルタルセメント9を流し込みブロック本体1と20を固定することを特徴とするコンクリートブロックの施工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事又は、土地境界の施工に使用され目地充填作業を容易にできる目地枠を有するコンクリート境界等のブロックの施工方法を提供するもの。
【背景技術】
【0002】
従来、道路工事や土地境界の施工等の土木工事に於いて、コンクリート境界ブロックを使用する際、ブロックとブロックの間にコンクリートモルタルセメントを手作業で数回充填し面倒であり、又ブロック間の目地充填幅は、1センチと施工規定されており施工時1センチの目地充填幅を確保することも面倒であった。
【0003】
目地充填には、コンクリートモルタルセメントが充填剤として多く使用される。これは、将来の道路高、位置変更等により一時的に取り外す場合、ブロックを再使用しなくてはならず、他の充填剤を使用すると再利用出来なったことから充填剤として剥がし易いコンクリートモルタルセメントが使用に適しているためである。このため、上記作業性が悪いという問題が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案 第3022288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の実用新案登録第3022288号には、ブロック間に別体の目地板を挿入し、目地板の上部の小さな溝より充填剤を充填する方法が示されている。しかしながら、ここに示された技術は、目地板もブロックに合わせる必要があり面倒で、且つ小さな溝なので充填手間が余計に掛かり、後に目地板を取り外す必要があり面倒であった。
【0006】
従来の目地板を用いない方法及び、上記実用新案登録の目地板を用いる方法においても予め並べられたブロック間の目地充填幅の隙間が狭くなったり広くなったりする為、1センチの充填溝を確保するために、後方のブロックを前後に移動させなければならず面倒であった。
【0007】
コンクリートモルタルセメントを充填する際は、従来よりビニール手袋を装着し両手にコンクリートモルタルセメントを掴みブロック本体の外側両側面及び上方から押し込み詰め込み作業であり、詰め込み付近にコンクリートモルタルセメントが大量に付着し除去、清掃に手間が掛かり面倒であった。
【0008】
これを解決するため本発明は、コンクリート境界ブロックを順次並べることで充填幅も自動的、必然的に確保され、上方からのコンクリートモルタルセメントを流し込むだけの作業で済み、不慣れな作業員も容易に出来、ブロック本体に固着する伸縮材も安価で費用も大幅に削減できるコンクリート境界ブロックの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ブロック本体1の一端の接合面の溝穴3及びその上方部分を除く左右両端部に目地枠となる棒状の伸縮材5を固着した後、前記ブロック本体1の伸縮材5にブロック本体20の接合面とを当接させて並べ、前記ブロック本体1、20と伸縮材5間の充填溝8にコンクリートモルタルセメント9を前記上方部分より充填し、前記ブロック本体1、20を固定することを特徴とするコンクリート境界ブロックの施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブロック本体の一端接合面の左右両側に、目地枠となる棒状の伸縮材を固着したブロックに別のブロック本体を当接し並べることにより目地充填幅が必然的に確保され、且つ上方からのコンクリートモルタルセメント充填作業で済み、外部にコンクリートモルタルセメントが漏れることなく目地に充填でき、ブロックが固定できる。さらに本発明は、目地枠に伸縮材を使用することにより充填したモルタルのひび割れ防止も可能となり、この取り外しも不要である。
【0011】
さらに本発明は、ブロック本体の一端の接合面の溝穴及び、その上方部分を除く左右両端部に目地枠を固着したことにより、充填溝への目地充填作業の効率が向上し、充填溝の両側の目地枠の存在によりコンクリートモルタルセメントは溝穴部分にも迅速に充填され、ブロック本体にコンクリートモルタルセメントが付着しない為不慣れな作業員も容易に出来る効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】多種あるコンクリート境界ブロックの中で最も多く使用されているブロック本体と両端に溝穴が有ることを示す斜視図である。
【図2】軟質製である伸縮材の定尺物を示す図である。
【図3】ブロック本体の一端の接合面に固着する伸縮材を示す図である。
【図4】ブロック本体に伸縮材を固着した状態を示す図である。
【図5】重機等で吊り上げ機具、ワイヤーを使用しブロック本体を吊り上げた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明にかかるブロック本体を順次並べ図3の伸縮材の固着位置と充填溝にコンクリートモルタルセメントを充填する状態を斜視図である。
【図7】本発明にかかるブロック本体を順次並べ図3の伸縮材の固着位置と充填溝にコンクリートモルタルセメントを充填する状態を示す上面図である。
【図8】本発明にかかるブロック本体を順次並べ図3の伸縮材の固着位置と充填溝にコンクリートモルタルセメントを充填する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(イ)ブロック本体1の一端の接合面左右両端部に伸縮材5を固着する。
【0013】
図1は、多種あるコンクリート境界ブロックの中で最も多く使用されている15センチ角、長さ60センチのコンクリート境界ブロック1に合わせて作成したものであり、溝穴3は持ち運び及びブロック同士の接合固定用に形成されている。
【0014】
図2は、軟質製のコンクリートモルタルセメント用伸縮材4で寸法は厚み1センチ100センチ四方の定尺物でコンクリートモルタルセメント工事には不可欠な素材である。コンクリートモルタルセメントは、打設後長期間に渡って硬化し続け伸縮する性質があり通常のコンクリート工事では、ひび割れ防止の為にコンクリート間に必ず伸縮材4が挟み込まれる。
【0015】
図3は上記で説明した伸縮材4を図1のブロック本体1に合わせカッターナイフ等で1センチ角の長さ15センチに切断した棒状の伸縮材5を示す。このように伸縮材5は容易に軟質製伸縮材4の切断にて作成出来、好都合であり、伸縮材4の切断にて、660本の伸縮材5を得ることができ、伸縮材5も安価である。
【0016】
図4は、コンクリート境界ブロック本体1の一端の接合面の溝穴3及びその上方部分を除く左右両端部に伸縮材5を接着剤(例えば両面テープ 商品名)で固着した形態を示す。なお接着剤は、液状のコンクリートプライマー、コンクリートボンドを用いることも出来る。
【0017】
図5は、重量があるコンクリート境界ブロック本体1を運搬する手段として重機等で吊り上げ機具等を使用し、上部両端中心部を機械的に挟み込みワイヤーロープ7で吊り上げた状態を示し吊り上げ機具6と伸縮材5が接触しないことを示す。このように、伸縮材5を両端部に固着しているため、吊り上げ作業は伸縮材5を痛めることなく容易に行うことができる。
【0018】
ブロック本体1を所定の位置に設置した後、別の境界ブロック1を並説する。図6は、ブロック本体1の両側に重機等を用いてブロック本体20,21を並設した状態を示し、図7,8は上面、側面の状態を示す。
【0019】
ブロック本体1と20は、本体1に固着された伸縮材5を介して当接させると、角棒状の1センチの伸縮材5の厚みにて1センチの目地幅が確保された充填溝8が自動的に必然的に形成される。すなわち伸縮材5は目地枠として機能し、本体1,20と伸縮材5間の空間が充填溝8となる。なおブロック本体21の一端接合面にも本体1と同様に伸縮材5が固着されており、本体1に21を当接し併設させるとブロック本体1と21の間にも同様の充填溝8が形成される。次にこの充填溝8にコンクリートモルタルセメント9を上方から流し込み、溝8にセメント9を充填し、本体1,20,21を接合する。このとき伸縮材5が存在するために、作業性は良好となる。と共に、溝穴3にも容易かつ確実にセメント9を迅速に充填することができ、強固な接合を得ることができる。
【0020】
上記のように実施したことにより、一連の作業が上方からの充填作業で済み且つ外部にコンクリートモルタルセメントが漏れ、付着することなく労力と時間が半減され下記の対比表で効果を示す。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、様々な寸法、形状のコンクリート境界ブロック等の施工に適用できる。
【符号の説明】
【0022】
1.コンクリート境界ブロック
3.溝穴
4.軟質製コンクリートモルタル伸縮材定尺物
5.固着する伸縮材を切断した目地枠
6.吊り上げ機具
7.吊り上げワイヤーロープ
8.コンクリートモルタルセメント充填溝
9.コンクリートモルタルセメント
20.当接させるコンクリート境界ブロック
21.当接させるコンクリート境界ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック本体1の一端の接合面の溝穴3及びその上方部分を除く左右両端部に、目地枠となる棒状の伸縮材5を固着した後、前記ブロック本体1の伸縮材5にブロック本体20の接合面とを当接させて並べ、前記ブロック本体1,20と伸縮材5間の充填溝8にコンクリートモルタルセメント9を、前記上方部分より充填し、前記ブロック本体1,20を固定することを特徴とするコンクリートブロックの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−215069(P2012−215069A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−136330(P2012−136330)
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【出願人】(304031759)
【Fターム(参考)】