コンクリートブロックの製造方法と、このブロックの製造で使用される補強ケージ
【課題】コンクリートの鋳造中にコンクリート2中に埋め込まれる補強ケージ3を有し、荷重を受けた時に主としてコンクリート2によって吸収される圧縮応力を受ける圧縮部分と主として補強ケージ3の少なくとも一つの縦方向緊張補強材31によって吸収される引張応力を受ける緊張部分とを有するコンクリート部材1の製造方法と、この方法で使用される補強ケージ。
【解決手段】少なくとも各縦方向補強材31が長方形の断面の平らな帯体4から成り、この帯体4はコンクリート部材1の内部に少なくとも2つの締付け領域B、B’とこの締付け領域の間の少なくとも一つの摺動領域Cとを形成し、締付け領域では緊張補強材4の対応する部分44が自由に伸びることができる。
【解決手段】少なくとも各縦方向補強材31が長方形の断面の平らな帯体4から成り、この帯体4はコンクリート部材1の内部に少なくとも2つの締付け領域B、B’とこの締付け領域の間の少なくとも一つの摺動領域Cとを形成し、締付け領域では緊張補強材4の対応する部分44が自由に伸びることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート部材の製造方法に関するものであり、特に、多くの利点、特に有害なクラックが発生する応力レベルを大幅に上げることができる新規なタイプの補強材の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートの原理は互いに相補な特性を有する2種の材料、すなわち圧縮強度は高いが引張強度が低いコンクリートと、引張強度に優れ且つコンクリート中に埋め込まれて空気中の腐食から守られる鋼とを組み合せることにあるということは知られている。これら2つの材料は膨張係数が類似しているので、両者を組み合せることでコンクリートの耐久性を有し且つ曲げモーメントまたは荷重に抵抗できる複合部材を製造することができる。この部材は応力を受けたときに、中立軸線の両側に2つの部分、すなわち主としてコンクリートによって吸収される圧縮応力を受ける圧縮部分と、主としてコンクリート中に埋め込まれた補強ケージの少なくとも一つの縦方向補強材によって吸収される引張応力を受ける緊張部部とを有する。
【0003】
上記補強材は空気を遮断し、腐食を避けるためにコンクリート部材の外側面から「被覆距離(distance de enrobage)」とよばれる最小距離だけ離れた所に配置しなければならない。しかし、応力の作用下でコンクリート部材が変形し、緊張部分が伸び、外装コンクリート中にクラックが発生するのは避けられない。このクラックの発生は避けられないが、クラックの幅がかなり小さく、例えば3/10ミリメートル以下であれば空気および水が浸透して補強材に接触するのを防ぐことができる。
【0004】
加わる荷重が一定閾値を超えない限り、鉄筋コンクリート部材は上記2つの成分の間の応力伝達によって一体的に変形する複合部材として挙動する。そのために、一般には補強材とコンクリートとの間の応力伝達リンクを改善するために、例えば全長に溝を付けたいわゆる高接着性ロッドを用いている。一般に、このロッドの両端は曲げられ、アンカー用クロスヘッドが形成されて、コンクリート中に埋め込まれる補強材の長さ、従って補強材とコンクリートとの間の内部応力伝達長さを長くしている。
【0005】
しかし、応力が一定閾値を超えた場合にはクラックが広がり、一つのクラックの互いに対向する面の間にあるフリーな短い緊張補強材の部分がクラックの厚さに対応する伸びを支え、それに隣接した部分はコンクリート中にロックされた状態になっている。従って、加わる応力によって緊張面が伸び易くなる傾向は補強材のフリーな部分に集中し、その部分の長さは短いため、加わる伸びによって金属が弾性限度を超え、それによって補強材が締付けられ、構造物が破壊する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解決した新規なタイプの補強材を使用することによって同じ応力に対してクラック発生の危険を減らすことができるコンクリート成形部材の新規な製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明方法では大きな応力に対する抵抗力を大幅に高くすることができ、本発明方法で製造されたコンクリート部材は可撓性が高く、初期クラックの発生から構造物の完全な破壊までの安全係数が高いという利点がある。この利点は地震が起きやすい地域の土木構造物または建物の構築で特に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は一般に、コンクリートの鋳造中にコンクリート中に埋め込まれる補強ケージを有するコンクリート部材の製造方法に適用され、このコンクリート部材は、荷重を受けた時に、中立軸線の両側に2つの部分、すなわち、主としてコンクリートによって吸収される圧縮応力を受ける圧縮部分と、主として補強ケージの少なくとも一つの縦方向緊張補強材によって吸収される引張応力を受ける緊張部分とを有し、縦方向補強材はコンクリート部材の縦方向緊張表面から短い被覆距離の所を引張応力が加わる縦方向に沿って延びており且つ加わる応力の関数で決まる断面を有する。
本発明では、少なくとも各縦方向緊張補強材が長方形の断面と、広い方の面と狭い方の面とを有する少なくとも一つの平らな帯体から成り、この帯体は、コンクリート部材の内部に、少なくとも2つの締付け領域と、これら締付け領域の間の少なくとも一つの摺動領域とを形成し、上記締付け領域では縦方向緊張補強材の一部が、吸収された引張応力と反対の方向で、コンクリート中に支持され、上記摺動領域では吸収された応力の作用で縦方向緊張補強材の対応部分が自由に伸びることができ、張力はこの部分の全長にわたって均一に分散する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下で詳細に示すように、鉄筋コンクリート技術は一般に、各補強材の全長を補強材を覆うコンクリートと連結させて荷重作用下で全体的に変形する複合部材を作るものであるが、本発明の考えはこれとは逆に、締付け領域を間をあけて離して配置する。この締付け領域では平らな帯体から成る補強材がコンクリート中に広い方の面で支持され、コンクリートの許容圧縮限度を超える危険は全くない。応力が一定閾値を超えると、2つの圧縮領域の間の補強材の部分がコンクリートから離れ、それを覆うコンクリートに対してわずかに自由摺動し、それによって、加わる引張応力で生じる補強材の伸び作用は2つの締付け領域間の全長にわたって常に分散され、それによって応力の集中を避けることができ、極度の応力の場合の補強材の破壊を避けることができる。
【0010】
特に有利な実施例では、帯体の広い方の面の向きを部材の縦方向緊張面に対して徐々に且つ連続的に変化させて帯体の形をした緊張補強材の対応部分をズラして各締付け領域を作る。
第1実施例では、帯体の広い方の面を帯体の縦方向軸線を中心に徐々に少なくとも1/4回転させ、一定長さにわたって帯体を捻ることによって各締付け領域を作る。しかし、より長い長さにわたってコンクリートに支持されるように帯体の捻り部分を完全回転またはそれ以上に回転させることもできる。
別の実施例では、平らな帯体を横方向軸線の回りに曲げて広い方の面によってコンクリートに支持されるアンカー用クロスヘッドを形成し、それによって各締付け領域を作る。
【0011】
しかし、横方向に延びる少なくとも一本の剛性ロッド部分を所望の位置で平らな帯体に固定して、平らな帯体の両側でコンクリート中に支持し、それによって締付け領域を作ることもできる。この横方向ロッドは横方向分散ロッドで形成できる。
【0012】
従来法と同様に、補強ケージは縦方向の主ロッドに対して直角なロッドから成る横方向分散ロッドで複数の縦方向セクタを互いに連結し、その全体で補強ウエブを構成する。横方向分散ロッドは縦方向ロッドに溶接でき、縦方向ロッドを平らな帯体の形にすると、耐久性のある溶接部を作ることができる。
各溶接接合部で締付け領域を構成することができ、分散ロッドは縦方向ロッドの両側でコンクリート中に支持される。一般に、補強ケージの各セクタは少なくとも2つの縦方向ロッド(圧縮ロッドと縦方向緊張ロッド)を有し、これらは連結用あばら筋によって互いに連結される。圧縮補強材も平らな帯体で形成するのが好ましい。
同様に、別の有利な配置では、各連結用あばら筋は少なくとも一つの平らな帯体で形成でき、それを帯体の幅に等しい長さにわたって延びた溶接ビードまたは接着部で補強材に連結できる。従って、特に耐久性がある。
【0013】
さらに、あばら筋を構成する各帯体を緊張ロッドの方向に対して傾け、互いに向きが異なるこれらの平らな帯体の間の溶接部全体でコンクリートに支持される一種のくさびを形成する。従って、緊張補強材とコンクリートとの間の各締付け領域は、この緊張補強材と帯体の形をした連結用あばら筋との間の連結接合部によって形成できる。
【0014】
緊張補強材を作るのに平らな帯体を使用すると、さらに他の可能性もできる。すなわち、締付け領域を形成するために、帯体の形をした緊張補強材を一定長さにわたって軸線方向に切り開くことができ、こうして形成された帯体の2つの部分を互いに離して配置し、少なくとも一つの剛性ロッド部分を横方向から挿入するための開口部を形成し、剛性ロッド部分を縦方向補強材に加わる引張応力に逆らう方向で縦方向帯体の両側でコンクリートに当接することができる。この剛性ロッドはその面内を縦方向帯体が通り抜ける分散ロッドにするか、その面に対して直角に縦方向帯体が通り抜ける単一のロッドにすることができる。
【0015】
平らな帯体を使用する本発明方法には多くの実施可能性がある。特に、各縦方向補強材は互いに組和された少なくとも2つの帯体を有することができる。これらは互いにほぼ整合して縦方向へ延び且つ互いに反対の方向へ引張応力を受ける。組合された2つの帯体は一定長さにわたって重なり合い、それぞれの端は重なり合った部分の両側で2つのクロスヘッドとなり、互いに対向する。従って、両方の対応する帯体に加わる対向する引張応力の作用でこれらは互いに近づこうとする傾向を示し、被覆長さにわたって両クロスヘッドの間のコンクリートのコアを圧縮する。
【0016】
補強ケージが分散ロッドを介して連結される平行なセクタで形成される一般的な場合には、2つの互いに隣接するセクタのクロスヘッド内を分散ロッド要素が通ることができ、対向するクロスヘッドの互いに近づこうとする傾向によって各セクタ内に生じる圧縮応力は上記セクタ間のコンクリート部分に伝達される。
特殊な配置では、ケージの各セクタの縦方向補強材を成す2つの帯体の組が単一帯体からなる2つの片を構成する。これらの片は2つの互いに離れて配置されたレベルの間にループを形成し、両端が対向するクロスヘッドを形成し、互いに反対の方向に加わる引張応力の作用で上記ループを縦方向補強材の2つの片で締め付けることによってコンクリートのコアを圧縮する。
【0017】
特に有利な実施例では、各セクタ内で、縦方向補強材を一連の複数の帯体で形成する。各帯体はクロスヘッドの形をした2つの湾曲端を有し、2つの連続した帯体の互いに隣接したクロスヘッドは互いに隣接配置されて一部が重なり、互いに連続した帯体間に連結ピンを形成する少なくとも一つのロッド部分を挿入するための横方向空間を区画する。この場合、縦方向補強材は複数のリンクで形成された緊張鎖のような挙動をする。各リンクは帯体で形成され、互いにキー止めされた隣接する対を成すクロスヘッドによって2つずつ連結されている。
【0018】
さらに別の有利な実施例では、各セクタ内で、縦方向緊張補強材が少なくとも2つの平らな帯体を重ね合わせた積層体から成る。この積層体はコンクリート部材の縦方向緊張面に最も近い第1レベルを有するし、この第1レベルはコンクリート部材の内側を向いたクロスヘッドの形をした両端を有する帯体を有する。少なくとも一つの第2レベルは互いに並んで配置されたほぼ平行な少なくとも2つの平らな帯体を有し、各平らな帯体の両端はクロスヘッド(それぞれ内側および外側クロスヘッド)の形をしている、第2レベルの上記帯体は一定長さにわたって重なり合い、クロスヘッドの形をした内側端は互いに対向している。こうして作られたコンクリート部材は、対応帯体上で対向する方向に加わる引張応力の作用で互いに近づこうとする内側クロスヘッドの傾向によって圧縮され、両帯体の内側クロスヘッドの間のコアを形成する少なくとも一つの部分と、第1レベルと第2レベルの帯体の外側クロスヘッドの間の2つの端部分の間にあり且つ第1レベルの帯体の各外側クロスヘッドが帯体によって支持される引張応力の作用で内側へ近づこうとする傾向によって圧縮される2つの端部分とを有し、従って、コンクリート部材のコンクリート全体が圧縮できる。
以下、添付図面を参照して本発明の可能な他の配置および多くの有利な特徴を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0019】
[図1][図2]は本発明に従って製造したコンクリート部材の縦断面と横断面とを示している。
このコンクリート部材1は従来のものと同様に2つの面(図示した実施例では下側面20と上側面21)を有するスラブから成る。このスラブはケース中に補強ケージ(cage de ferraillage)3を入れた後、コンクリート2を鋳造して成形する。補強ケージ3はスラブ1の2つの面20、21とほぼ平行な2つの補強ウエブ(それぞれ下側補強ウエブ30と上側補強ウエブ30’)を有している。
【0020】
補強ケージ3は一般に、コンクリート部材1の縦軸線(従って[図1]の面)に平行な面P1、P2・・内にそれぞれ中心を有する複数のセクタS1、S2・・から成る。各セクタは下側縦方向補強材31と上側縦方向補強材31’とから成る。これらの補強材31、31’はセクタS1(S2)の面P1(P2)内であばら筋(etriers)とよばれる横方向補強要素([図1][図2]には示されていない)によって互いに連結されている。
また、補強ケージ3の各セクタS1、S2・・は[図1]の面に直角な横方向ロッド32、32’によって互いに連結されている。
【0021】
周知のように、例えば上側表面21に垂直荷重Mが加わるとコンクリート部材1は中立軸線10の両側にある2つの部分、すなわち中立軸線と荷重が加わる面21との間の圧縮部分(partie comprimee)11’と、荷重が加わる面とは反対側の面20まで延びた緊張部分(partie tendue)11とに分けられる。
これら構造、配置は全ての一般的なものであり、詳細な説明は省略する。
【0022】
本発明の補強ケージ3が一般的なケージと異なる点は、コンクリート部材の緊張部分11中で下側表面20から短い被覆距離の所に延びている少なくとも一つの縦方向補強材31が広い方の面41と狭い面42とを有する断面が長方形の金属帯体(バンド)(本出願人の下記文献に記載のもの)から成る点にある。この金属帯体(バンド)は幅lが厚さeよりはるかに大きい平らな金属ロッド4から成る。
【特許文献1】本出願人のフランス国特許出願第2,814,480号公報
【0023】
圧縮補強材31’も平らなロッドで構成するのが好ましいが、経済的な観点からは一般的な丸ロッドを使用することができる。
上記金属帯体4の断面(l×e)は、本出願人の上記特許文献1(本出願人のフランス国特許出願第2,814,480号公報)に記載のようにコンクリート部材1に加わる荷重を考慮し、支持すべき引張応力の関数で計算できる。すなわち、荷重Mが加わるとコンクリート部材1はわずかに反る傾向があり、下側補強ウエブ30の各縦方向補強材31に引張応力が加わり、伸びる。
【0024】
鉄筋コンクリートの従来の技術では、補強材とコンクリートとの間の伝達リンクを強化するために一般に溝付き補強ロッドを用いて複合部材を形成しているが、有害なクラックの発生を避けるためにこの複合部材の剛性を高めることが求められている。しかし、コンクリート部材の変形は避けられず、緊張補強材とそれを被覆するコンクリートが伸び、このコンクリートの引張強度は小さいため、ある荷重を超えるとクラックが発生する。
【0025】
従来技術はでは補強材をその全長でコンクリートと連結させているが、本発明ではそれとは逆に、コンクリート2の中に、各縦方向緊張補強材31に沿ったコンクリート部材の横断方向中間面Qの両側に、2つの締付け領域 (zone de blocage) B、B’を設ける。この2つの締付け領域B、B’はこの中心領域 (zone centrale) Cよって互いに分離され、荷重が加わった時にはこの中心領域Cでは縦方向補強材31が自由に伸びることができ、その縦方向補強材31を被覆したコンクリートに対して摺動することができる。
【0026】
本発明では縦方向補強材として平らな帯体を使用するので、緊張補強材31の対応部分を湾曲するだけで上記の各締付け領域B、B’を作ることができる。すなわち、縦方向緊張面20の広い方の面の向きをその縦方向緊張面20の長い方の面に対して少しづつ且つ連続的に変化させることで作ることができる。縦方向補強材31を形成する帯体4はこの締付け領域B、B’では主としてその広い方の面41を介して吸収される引張応力の方向に逆らうようにコンクリート中に支持される。
【0027】
[図1]〜[図4]に示す実施例では、帯体4をその軸線40を中心としてその広い方の面41を徐々に回転させ、帯体4を一定の長さL1にわたって捻ることで締付け領域B、B’を形成している。
[図3]に示した実施例では、帯体4を捻って一完全回転させている。水平な帯4に右方向の引張応力Tが加わった場合、中間面Pの両側に完全一回転だけ捻られた部分43があるとすると、引張りネジの場合と同様に、帯体4に加わる引張応力Tはコンクリート中で帯体4の両面41、41’によって支持される。帯体4は平らな2つの広い方の面を介してコンクリート中に支持されるのでコンクリートが剪断されることはなく、圧縮応力は小さい。さらに、帯体4の幅lは、コンクリートに加わる圧縮応力が許容限界値以下となるように、加わる応力の関数で決めることができる。
【0028】
上記の締付け領域B、B’を構成する両方の捻り部分43、43’を介してコンクリートに連結された補強材の帯体4は、2つの捻り部分43、43’の間の中心部分44では逆に自由に伸びることができる。
コンクリートと補強材との間にはコンクリートを鋳造した後にその全長にわたって接着結合が存在する。従来の技術とは違って、この接着性を例えば溝を付けて高くする必要はない。
【0029】
すなわち、本発明では縦方向補強材31を構成する各帯体4が、互いに間隔をあけて配置された2つの締付け領域B、B’のみでコンクリートと連結し、補強材を伸ばす応力が加わった場合、その力は2つの捻り部分43、43’の間の中心部分44の全長L2に均一に分散させることができ、この中心部分44は応力が一定閾値を超えた時にコンクリートとの接着が外れる。
コンクリート2は補強材と同じようには変形しないので、クラックの発生は避けられないが、クラッキングの危険は中心部分44の全長L2にわたって均一に分散でき、悪影響を及ぼさない小さい幅の多数のクラックにすることができる。
【0030】
その結果、従来技術のようにコンクリート部材の変形を減らすためにコンクリート部材の剛性を高くする必要がなく、逆に、相対的に可撓性のあるコンクリート部材に作ることができる。
加わる応力が小さい場合、本発明のコンクリート部材は従来と同様な複合部材として挙動し、コンクリートは補強材と同様に変形する。
【0031】
応力が一定の閾値を超えると、補強材はその締付け部分43、43’のみでコンクリートとの連結を維持した状態で、中心部分44が補強材を被覆したコンクリートから離れ、わずかに相対摺動する。その結果、張力(すなわち補強材を伸ばす傾向)は中心部分44の全長L2にわたってほぼ均一に分散し、引張応力が補強材上の短い長さの所に集中するのが避けられ、それによってクラックの近くで過剰な応力作用で補強材が破談する危険が避けられる。
【0032】
本発明に従って作ったスラブに加える荷重を徐々に増やしていく曲げ試験を行ったところ、本発明スラブは、驚くべきことに、破断前に大きな曲げを許容でき、クラックが相対的に狭いということが観察されている。
さらに、特許文献1(フランス国特許出願第2,814,480号公報)に記載のように、補強材として平らな帯体を使用することでスラブの厚さ全体を小さくすることができる。すなわち、同じく平らな帯体から成るあばら筋(必要に応じて捻り部を付けてもよい)は上記の各帯体の内側表面に溶接でき、各帯体の外側表面はスラブの表面20から規則によって決まった最小被覆距離だけ離せばよい。
【0033】
従来法で製造した鉄筋コンクリート部材では補強材とコンクリートとの間の力の伝達長さを長くするために縦方向緊張ロッドの両端をクロスヘッドの形に湾曲させる必要がある。しかし、使用する鋼の硬度を考えた場合、ロッドに与える湾曲度は必然的に制限され、また、クロスヘッドの曲率直径はロッド直径の少なくとも10倍にすることが規則で決められている。そのため、コンクリート部材は最小厚さを緊張ロッドの直径の20倍にしなければならず、最小被覆厚さの2倍の最小厚さを追加しなければならない。
【0034】
本発明の平らなロッドを使用した場合にも[図5]の投影図に示すようにロッドの両端にクロスヘッド5を設けることもできるが、このクロスヘッド5の内径Dは丸ロッド(複数本でもよい)の場合より小さくすることができる。なぜなら、長方形断面を有する平らなロッドの厚さeは同じ断面を有する丸ロッドの直径より小さいからである。
【0035】
さらに、平らなロッドを用いた場合、弾性強度の高い鋼を用いることで湾曲部分の直径Dをさらに小さくすることができる。すなわち、帯体の広い方面の面に対して平行な軸線50の回りにより容易に曲げることができる。さらに、[図20]に示すように、クロスヘッドを垂直軸線を中心として回転させることでスラブ1の厚さをさらに小さくすることができる。その結果、補強材料の重量が同じ場合、鉄筋コンクリートで従来つくることができる部材よりも薄い部材を作ることができる。さらに、各クロスヘッド5はコンクリート2中で締付け領域B1にもなる。
【0036】
本発明では、縦方向補強材が締付け領域43、5内でコンクリートに一定程度アンカーされ、中心部分44は自由に伸びることができるので、補強材を介してコンクリートに加えられる応力は従来の補強材(この場合には補強材の全長にわたって連結することが求められていた)よりも大きい。これは締付け領域ではコンクリート中の圧縮応力がより大きいこと、正確にはコンクリートが優れた圧縮強度を示すことを意味することは明らかでる。
【0037】
さらに、コンクリートの圧縮応力が所定の限界値を超えないように加わる荷重に対して各平ロッドの幅lを決めることができるので、丸ロッドの場合のようなコンクリートの剪断作用の危険はない。
帯体4が大きな引張応力T(これはクロスヘッド5の内側にある締付け領域B1によって吸収される)を受けた場合、帯体4とコンクリートとの間の接着性が十分でない場合、クロスヘッド5の巻きが戻ることがある。
【0038】
この巻きが戻る現象を避けるために、直径をわずかに小さくした反対方向を向いた補助クロスヘッド51をクロスヘッド5に追加することができる。
さらに、[図1]に示す好ましい実施例では、平らな帯体4から成る各緊張ロッド31の広い方の面41をコンクリート部材の緊張面20とほぼ平行になるように向けていることに注目されたい。この配置では平らな帯体4の曲げに対する抵抗は小さく、コンクリート部材の撓みは補強材の伸びだけに表れるので、スラブの可撓性が増加する。
【0039】
しかし、曲げ強度を強化するために[図7]に示すような向きを有する帯体4を使用することもできる。このような場合には各補強帯4を互いに間隔をあけて配置された2つの部分43、43’で捻るが、1/4回転だけ捻り、中心部分44’ではその全長にわたって帯体4の広い方の面41をコンクリート部材の緊張面20に対して直角な面内に配置する。
【0040】
この場合には、コンクリート中での帯体4の締め付けは、帯体4の両端に設けたクロスヘッド5、5’の内側の実質的に領域B1、B1’の所で実現され、締付け部分43、43’での締付け効果は小さくなる。一方、各補強帯4の中心部分44’は緊張面20に対して直角に向いているので、一定の曲げ強度を有し、コンクリート部材の剛性を高め、加わる荷重によって生じる撓みを減らすことができる。
【0041】
従来のものと同様に、下側ウエブ30および上側ウエブ30’の縦方向ロッド31、31’はあばら筋で互いに連結することができ、このあばら筋は上記特許文献1(フランス国特許出願第2,814,480号公報)に示すような平らな波形の帯体13で形成するのが有利であり、この平らな波形帯体13は波形の頂点で縦方向補強材に溶接または接着で連結される。
しかし、本発明方法を実施する場合には各帯体4の中心部分44が自由に伸びることができるようにするために、[図9]に示すように緊張補強材31を構成する波形帯13と帯体4との間の溶接はコンクリート部材1の両端近傍のみ行うのが好ましい。
【0042】
逆に、あばら筋は各波形の上側部分で圧縮ロッド31’に溶接または接着できる。そのためには各圧縮ロッド31’を少なくとも一枚の平ロッドで形成し、溶接ビードを波形帯13の全幅にわたって作るのが好ましい。
各ロッド4とこのロッド4に対して一定の角度を成すあばら筋の対応部分13との間の各溶接または接着部34はくさび作用によって締付け領域Bを構成する。従って、この場合には帯体4に捻れ部分を付ける意味がない。この場合には両端をクロスヘッド5の形に湾曲し、前回と同様に、補強材31の両端に締付け領域B1、B1’を設けるのが有利である。
【0043】
本発明は上記以外にも変更できる。特に、縦方向補強材の締付け領域によってコンクリート中に加えられる支持荷重を十分に利用することができる。例えば[図10]〜[図20]に概念的に示した種々の変形ができる。これらの図では図を簡単にするために圧縮補強材31’は図示していない。
【0044】
[図10]に示す第1変形例では、補強ケージ3の下側ウエブ30が2つの互いに重ね合わされたレベルのものから成る。コンクリート部材の下側緊張面20に最も近い最低レベルは補強ケージの各セクタはコンクリート部材1の全長にわたって延びた平らな帯体から成る縦方向補強材31を有する。この縦方向補強材31の両端5、5’は既に述べたようにクロスヘッドの形に湾曲されている。
この縦方向ロッド31には上側にズレた第2レベルの縦方向ロッドが組み合わされている。この第2レベルの縦方向ロッドのケージは各セクタに2つのロッド33、34を有し、各ロッド33、34は平らな帯体で形成され且つ並んで配置されている。各ロッド33、34にはクロスヘッドの形をした湾曲端部51、51’、52、52’が形成されている。
【0045】
さらに、同じセクタで組み合わされたの帯体33、34は互いに縦方向にズラされ、各帯体33(34)の両端に作られた2つのクロスヘッド51、51’(52、52’)は横断方向中間面Qの両側でコンクリート部材1の横断方向中間面Qから互いに異なる距離の所に配置されている。すなわち、[図10]の左側に配置されているロッド33の外側クロスヘッド51は、右側に配置された同じ帯体31の外側クロスヘッド51’よりも、中間面Qからさらに離れており、第2の縦方向帯体34の場合にはこの配置が逆になる。一方、縦方向ロッド33、34の長さは、横断方向中間面Qの同じ側に配置された各クロスヘッド5、51,52がコンクリート部材1の端部11からコンクリート部材1の一定長さだけ分布するように決定される。
【0046】
従って、コンクリート部材1は下記の複数の隣接領域に分割される:
(a)横断方向中間面Qの右側に配置された縦方向補強材33の内側クロスヘッド51’とこの面Qの左側に配置された補強材34の内側クロスヘッド52との間の中心領域B3。
(b)中間面Qの左側および右側にそれぞれ配置された2つの横方向領域B2、B2’(左側領域B2は帯体33の外側クロスヘッド51と、ロッド34の内側クロスヘッドの間の領域であり、右側領域B2’は帯体34の外側クロスヘッド52’と、ロッド33の内側クロスヘッド51’の間の領域である)。
(c)左側および右側にそれぞれ配置された、下側帯体31のクロスヘッド5、5’と上側帯体33、34の外側クロスヘッド51、52’との間の2つの端領域B1、B1’。
【0047】
コンクリート部材1を下側へ曲げる荷重をコンクリート部材1に加えたときには、縦方向補強材が引張応力を受け、クロスヘッドの形をしたその両端を介してコンクリートと当接、支持され、両端が内側へ歪む。
コンクリート部材の中心部分で互いに重なり合う縦方向補強材33、34は互いに異なる方向へ伸びるので、中心締付け領域B3は両補強材33、34の内側クロスヘッド51’、52が互いに近づこうとする傾向によって圧縮される。
【0048】
同様に、外側クロスヘッド51、52’はロッド33、34に加わる引張応力の作用で中間面Qに近づこうとする傾向があり、この傾向によって横方向領域B2、B’2は圧縮される。
同じ理由から、端領域B1、B’1も補強材31に加わる引張応力に反作用するクロスヘッド5、5’によって圧縮される。
【0049】
従って、各種補強材のクロスヘッドが内側へ互いに近づこうとする傾向によって、コンクリート部材1はその全長にわたって圧縮され、この圧縮現象はクロスヘッドによって制限され、さらに、コンクリートの全厚にわたって従来通り中立軸線10上にも作用する。
従って、緊張面20の近傍でのコンクリート部材のクラッキングの危険は大幅に低下する。さらに、上記構造のコンクリート部材に対して行った荷重試験から、このコンクリート部材は壊れる前に、鉄筋コンクリート部材ではあまり普通ではない極めて大きな撓みを受けるということがわかっている。
上記の実施例では、互いに組合せた帯体33、34の内側クロスヘッド52、51’間のコンクリート部材の中心領域B3の圧縮がこれら帯体33、34を重ね合わせることで生じ、横断方向中間面Qの両側へ互いに反対の方向に生じる。
【0050】
しかし、ケージ3の緊張補強材を[図11]に示すように長さの異なる縦方向帯体を単に積み重ねることで形成することもできる。第1帯体35はコンクリート部材の長さよりもわずかに短い長さl1にわたって延び、第2帯体36はl1よりも短い長さl2にわたって延び、各帯体の端はコンクリート部材の内側を向いたクロスヘッドの形をしている。
【0051】
この場合もコンクリート部材の撓み、帯体35、36に加わる引張応力を吸収するクロスヘッド5、5’、51、51’によってコンクリートが圧縮される。
この観点から、コンクリート部材に加わる荷重の分布の関数で調整するために、クロスヘッドによって加えられる圧縮応力を互いに異なる機械的特徴を有する複数の金属帯体で実現するのが有利である。
補強ロッドとして平らな帯体を使用すると弾性率を容易に変えることができるということは理解できよう。すなわち、平らな帯体は金属板を切断して作ることができ、様々な特徴を有する金属板が市販されているが、コンクリートの丸ロッドでは可能な選択肢の数が平らな帯体よりも少ない。
【0052】
さらに、補強材とこの補強材を被覆したコンクリートとを連結することを重要視する通常の技術とは逆に、2つの積層帯体31、35を互いに接して配置でき、この場合には積層帯体は板バネのように挙動する。
[図12][図13]は[図10]の実施例の一変形例を示している。この変形例では2つの隣接する帯体33、34が閉ループを形成する単一帯体からなり、対向する両クロスヘッド51’、52はケージ3の上側レベル30’にある帯体の部分37で作られている。
【0053】
各縦方向補強材はコンクリートB3のコアを取り囲む単一帯体33、37、34で形成され、このコンクリートコアは、部材1が垂直荷重を受けたときに、縦方向補強材の両片33、34に互いに反対の方向に加わる引張応力の作用で、こうして形成されたループが締め付けられることによって圧縮されている。
この場合、ループを形成する各縦方向補強材の上側部分37か補強ケージ3の上側ウエブ30’の部分を構成できることは理解されたい。
【0054】
一方、[図10]の場合には[図12]のようにコンクリートのコアB3を圧縮する互いに対向するクロスヘッド51’、52を部材1の横断方向中間面Qの両側に必ずしも対称に離して配置する必要はない。すなわち、加わる荷重によってコンクリート中に生じる引張応力が最大となるコンクリート部材1の部分はコンクリート部材に加わる加重モードに応じて決定でき、荷重によって生じる引張応力の少なくとも一部が補償されるように補強材とそのクロスヘッドを配置することができ、引張応力によって2つのクロスヘッド間のコンクリートのコアに加わる同じ領域内での互いの逆方向の圧縮力によって補償される。
【0055】
上記の各図では一般に縦方向軸線に対して平行な垂直面の中心に配置された補強ケージのセクタと2つの互いに隣接するセクタの補強材上に形成したクロスヘッドとはほぼ同じ高さに位置している。従って、内側へ応力を受ける横方向タイロッド32はセクタS1、S2、S3の整合した締付け領域を通る。これらのタイロッドはクロスヘッド5、51、52によって加えられる圧縮応力を2つの隣接するセクタの間にあるコンクリート上に分散させる。これらの分散横方向ロッド(filants de repartitions)は図示するように円形または長方形断面にすることができる。しかし、平らなロッドを使用することで縦方向ロッドと横方向ロッドとの間の溶接ビードを容易に作ることができる。
【0056】
[図14]に概念的に示した別の実施例では、ケージ3の各縦方向緊張補強材6が複数の一連の帯体6a、6b・・から成り、各帯体はクロスヘッド5a、5’a、5b、5’bの形をした2つの湾曲端を有し、互いに連続する2つの帯体6a、6bの互いに隣接するクロスヘッド5’a、5bの対がほぼ同じレベルに位置するように配置され且つ空間Eを取り囲むようにわずかに重ね合わされる。この空間Eには横方向分散ロッドを構成するロッド38が挿入できる。
【0057】
2つの対向するクロスヘッド5’a、5bによって圧縮される空間E中に挿入された各ロッド38は互いに連続した2つの帯体6a、6bの間の連結ピンを構成する。一連の複数の帯体6a、6b、6c・・から成る各縦方向補強材6は鎖のように挙動する。この鎖のリンク6a、6b、6c・・はコンクリート部材1に加わる荷重の作用下で緊張する。
本発明は上記各実施例の詳細に制限されるものではなく、本発明の範囲から逸脱せずに他の変形例にすることもできる。
【0058】
例えば、縦方向補強ロッドに形成された開口部に挿入された横方向ロッドを使用するだけで各締付け領域を得ることもできる。すなわち、[図17]に示すように、縦方向補強ロッドとして平ロッド4を使用し、この平ロッドに中央孔45を形成する。この中央孔45は一定の長さにわたって延びて2つの横方向部分46、47を区画する。これらの横方向部分46、47を互いに離すことで横方向ロッド48を通すための開口部45’を開けるたとができる。帯体4に例えば[図16]の矢印の方向へ引張応力が加わると、帯体4は横方向ロッド48に支持され、この横方向ロッド48はコンクリート中に支持され、帯体4の締付けが実現する。
【0059】
[図16]の場合には帯体の両部分46、47は帯体の面に支持された状態で伸び、従って、横方向ロッド48はこの面に対して直角である。
しかし、[図17]に示すように、両部分46、47を帯体の面Sに直角に互いに離して配置し、そこに横方向ロッド48を挿入することもできる。この場合には横方向ロッド48は帯体の面に平行である。このロッドは補強ケージの複数のセクタの間の横方向分散ロッド32を構成する。
【0060】
締付け領域を形成するために帯体を捻る場合、この捻り部分43にも中央孔を形成することができる。[図18]に示すように、この中央孔によって帯体の2つの部分を互いに離し、横方向分散ロッド32を挿入するための開口部45’を形成することができる。
さらに、[図19]に示すように、横方向ロッド52を挿入するためのオリフィス45’をクロスヘッド5の両部分に設けることによってクロスヘッド5の締付け作用を高めることができる。この横方向ロッド52はさらに、帯体4に加わる引張応力の作用でクロスヘッドの巻きが戻るのを阻止する。
【0061】
さらに、縦方向補強ロッドとして平ロッド4を使用することによって、ロッドの端に設けられるクロスヘッドの向きを変えることができることは理解できよう。一般には平ロッド4はその面に平行な軸線の回りに容易に曲げることができるので、[図20]に示すように、帯体4の端を1/4回転捻り、クロスヘッド5を垂直軸線50を中心に曲げて作ることができる。この場合、クロスヘッドの高さを帯体4の幅eに制限することによって同じ締付け作用を得ることができる。この配置は細い部材、例えば両端の狭いスラブを製造するときに特に有利である。特に、平らな帯体4を使用することで、必要に応じて、例えば[図20]に示すように、平らな帯体4の向きを変え、部材の一定部分を狭くすることができる。
【0062】
既に述べたように、平らな帯体の形をした圧縮補強材31’を作るのが有利であるが、経済上の理由で通常のロッドも使用できる。しかし、平ロッドの使用によってもたらされる利点は補強材の見込まれる追加費用を補って余りあるということは理解できよう。
この観点からはロッドをステンレス鋼で作るのが有利である。ステンレス鋼は外装厚さを減らしても腐食強度を確保でき、しかも、疲労強度とエネルギー吸収能力と高める延性が高い。この利点は不等沈下、場合によっては地震衝撃に対する抵抗力が強度できるので、土木構造物では特に重要である。
【0063】
図を簡単にするためにスラブまたは平らなビームを図示したが、補強ロッドとして平らな帯体を使用することは湾曲したコンクリート部材や、反ったコンクリート部材の製造において多くの利点を有するということは理解できよう。すなわち、コンクリート部材のフェーシング表面に平行な広い側面を有する平らな帯体は、コンクリート部材の湾曲断面形状に容易に整合せせることができる。
【0064】
特に、湾曲したコンクリート部材に使用可能な平らな補強ケージをつくり、この補強ケージを鋳型中に置いたときに鋳型の底部の断面形状を自重で自然に取らせることができる。
縦方向および横方向の補強材を構成する平らな帯体を互いに反対方向に湾曲させて、平行でない横方向母線を有する曲面のような横方向に反った断面形状に合せることもできる。これは例えば一端から他端へ各種の角度で横方向に傾いた橋の外装の場合で、この補強材は従来法では製造するのが難しい。
【0065】
また、かなり大きい撓みを許容できる可撓性のあるコンクリート部材を製造することもできるので、本発明は湾曲断面形状を有する堤防下通路構造の製造に特に適している。この堤防下通路構造はその形状からその両端で堤防に横方向に当接するように加わる荷重下でわずかに変形することができる。
さらに、上述のとおり、コンクリートが圧縮される締付け領域と締付け領域との間の締付け領域は計算によって決定された位置に配置でき、この場所は、コンクリートが最大引張応力を受け、クラッキングの危険が最大となる場所である。従って、本発明は典型的なモデルから、各コンクリート部材の補強材を加わる荷重を考慮に入れて予測可能な応力分布に適合させることができる。
【0066】
例えば、垂直方向に均一に加重されるスラブまたはビームでは下側面に加わる引張応力が最大である中心領域と、スラブが剪断応力を受ける2つの横方向領域と、2つの支持端とを区別できる。しかし、既に述べたように、圧縮領域の配置は必ずしも、コンクリート部材の中間面に対称にする必要はない。
本発明によって、補強材を複雑にせずに、コンクリート部材の各部分で吸収すべき主な荷重に補強材を合せることができる。すなわち、補強材を構成する平らな帯体の向きを適切に変えることによって最も伸びる部分に締付け領域が来るようにしてコンクリートの圧縮作用によって張力を補償する。
【0067】
さらに、上述のとおり、[図8]に示すように緊張帯体を垂直方向に向けて曲げ強度を強くしたり、[図20]に示すように帯体を傾けて剪断応力に対して最適に抵抗するようにしたり、[図20]に示すように水平なクロスヘッドを作って支持ポイントにおける部材の厚さを小さくしたりすることができ、これらの種々の変形例は組み合わせることもできる。
さらに、既に述べたように、圧縮領域はコンクリート部材の中間面に関して対称に配置する必要はない。
従って、本発明の配置によって補強ケージの形状を変えることができ、使用時にコンクリート部材に加わる荷重を関数として補強材の作用を調整、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に従って製造したコンクリート部材の概念的縦断面図。
【図2】図1の線II−IIによる部分断面図。
【図3】補強材の捻り部分の投影図。
【図4】捻り部分の横断方向中間面による断面図。
【図5】クロスヘッドの形をした部分の部分投影図。
【図6】二重クロスヘッドの部分側面図。
【図7】本発明の別の実施例に従って製造したコンクリート部材の縦断面図。
【図8】図7の実施例に適用される捻り部分の投影図。
【図9】本発明のさらに別の実施例に従って製造したコンクリート部材の縦断面図。
【図10】複数の補強層を用いる本発明の別の実施例の縦断面図。
【図11】複数の補強層を用いる本発明の別の実施例の縦断面図。
【図12】閉ループ補強材を用いる図10に示す形式のコンクリート部材の縦断面図。
【図13】閉ループ補強材の投影図。
【図14】鎖の形をした補強材を用いる本発明の別の実施例の縦断面図。
【図15】図14に示す形式の2つの補強材要素の間の接合部の投影図。
【図16】締付け領域の別の実施例を示す投影図。
【図17】締付け領域の別の実施例を示す投影図。
【図18】締付け領域の別の実施例を示す投影図。
【図19】クロスヘッドの形をした締付け領域の投影図。
【図20】クロスヘッドの形をした補強材の一端の別の実施例の投影図。
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート部材の製造方法に関するものであり、特に、多くの利点、特に有害なクラックが発生する応力レベルを大幅に上げることができる新規なタイプの補強材の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートの原理は互いに相補な特性を有する2種の材料、すなわち圧縮強度は高いが引張強度が低いコンクリートと、引張強度に優れ且つコンクリート中に埋め込まれて空気中の腐食から守られる鋼とを組み合せることにあるということは知られている。これら2つの材料は膨張係数が類似しているので、両者を組み合せることでコンクリートの耐久性を有し且つ曲げモーメントまたは荷重に抵抗できる複合部材を製造することができる。この部材は応力を受けたときに、中立軸線の両側に2つの部分、すなわち主としてコンクリートによって吸収される圧縮応力を受ける圧縮部分と、主としてコンクリート中に埋め込まれた補強ケージの少なくとも一つの縦方向補強材によって吸収される引張応力を受ける緊張部部とを有する。
【0003】
上記補強材は空気を遮断し、腐食を避けるためにコンクリート部材の外側面から「被覆距離(distance de enrobage)」とよばれる最小距離だけ離れた所に配置しなければならない。しかし、応力の作用下でコンクリート部材が変形し、緊張部分が伸び、外装コンクリート中にクラックが発生するのは避けられない。このクラックの発生は避けられないが、クラックの幅がかなり小さく、例えば3/10ミリメートル以下であれば空気および水が浸透して補強材に接触するのを防ぐことができる。
【0004】
加わる荷重が一定閾値を超えない限り、鉄筋コンクリート部材は上記2つの成分の間の応力伝達によって一体的に変形する複合部材として挙動する。そのために、一般には補強材とコンクリートとの間の応力伝達リンクを改善するために、例えば全長に溝を付けたいわゆる高接着性ロッドを用いている。一般に、このロッドの両端は曲げられ、アンカー用クロスヘッドが形成されて、コンクリート中に埋め込まれる補強材の長さ、従って補強材とコンクリートとの間の内部応力伝達長さを長くしている。
【0005】
しかし、応力が一定閾値を超えた場合にはクラックが広がり、一つのクラックの互いに対向する面の間にあるフリーな短い緊張補強材の部分がクラックの厚さに対応する伸びを支え、それに隣接した部分はコンクリート中にロックされた状態になっている。従って、加わる応力によって緊張面が伸び易くなる傾向は補強材のフリーな部分に集中し、その部分の長さは短いため、加わる伸びによって金属が弾性限度を超え、それによって補強材が締付けられ、構造物が破壊する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解決した新規なタイプの補強材を使用することによって同じ応力に対してクラック発生の危険を減らすことができるコンクリート成形部材の新規な製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明方法では大きな応力に対する抵抗力を大幅に高くすることができ、本発明方法で製造されたコンクリート部材は可撓性が高く、初期クラックの発生から構造物の完全な破壊までの安全係数が高いという利点がある。この利点は地震が起きやすい地域の土木構造物または建物の構築で特に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は一般に、コンクリートの鋳造中にコンクリート中に埋め込まれる補強ケージを有するコンクリート部材の製造方法に適用され、このコンクリート部材は、荷重を受けた時に、中立軸線の両側に2つの部分、すなわち、主としてコンクリートによって吸収される圧縮応力を受ける圧縮部分と、主として補強ケージの少なくとも一つの縦方向緊張補強材によって吸収される引張応力を受ける緊張部分とを有し、縦方向補強材はコンクリート部材の縦方向緊張表面から短い被覆距離の所を引張応力が加わる縦方向に沿って延びており且つ加わる応力の関数で決まる断面を有する。
本発明では、少なくとも各縦方向緊張補強材が長方形の断面と、広い方の面と狭い方の面とを有する少なくとも一つの平らな帯体から成り、この帯体は、コンクリート部材の内部に、少なくとも2つの締付け領域と、これら締付け領域の間の少なくとも一つの摺動領域とを形成し、上記締付け領域では縦方向緊張補強材の一部が、吸収された引張応力と反対の方向で、コンクリート中に支持され、上記摺動領域では吸収された応力の作用で縦方向緊張補強材の対応部分が自由に伸びることができ、張力はこの部分の全長にわたって均一に分散する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下で詳細に示すように、鉄筋コンクリート技術は一般に、各補強材の全長を補強材を覆うコンクリートと連結させて荷重作用下で全体的に変形する複合部材を作るものであるが、本発明の考えはこれとは逆に、締付け領域を間をあけて離して配置する。この締付け領域では平らな帯体から成る補強材がコンクリート中に広い方の面で支持され、コンクリートの許容圧縮限度を超える危険は全くない。応力が一定閾値を超えると、2つの圧縮領域の間の補強材の部分がコンクリートから離れ、それを覆うコンクリートに対してわずかに自由摺動し、それによって、加わる引張応力で生じる補強材の伸び作用は2つの締付け領域間の全長にわたって常に分散され、それによって応力の集中を避けることができ、極度の応力の場合の補強材の破壊を避けることができる。
【0010】
特に有利な実施例では、帯体の広い方の面の向きを部材の縦方向緊張面に対して徐々に且つ連続的に変化させて帯体の形をした緊張補強材の対応部分をズラして各締付け領域を作る。
第1実施例では、帯体の広い方の面を帯体の縦方向軸線を中心に徐々に少なくとも1/4回転させ、一定長さにわたって帯体を捻ることによって各締付け領域を作る。しかし、より長い長さにわたってコンクリートに支持されるように帯体の捻り部分を完全回転またはそれ以上に回転させることもできる。
別の実施例では、平らな帯体を横方向軸線の回りに曲げて広い方の面によってコンクリートに支持されるアンカー用クロスヘッドを形成し、それによって各締付け領域を作る。
【0011】
しかし、横方向に延びる少なくとも一本の剛性ロッド部分を所望の位置で平らな帯体に固定して、平らな帯体の両側でコンクリート中に支持し、それによって締付け領域を作ることもできる。この横方向ロッドは横方向分散ロッドで形成できる。
【0012】
従来法と同様に、補強ケージは縦方向の主ロッドに対して直角なロッドから成る横方向分散ロッドで複数の縦方向セクタを互いに連結し、その全体で補強ウエブを構成する。横方向分散ロッドは縦方向ロッドに溶接でき、縦方向ロッドを平らな帯体の形にすると、耐久性のある溶接部を作ることができる。
各溶接接合部で締付け領域を構成することができ、分散ロッドは縦方向ロッドの両側でコンクリート中に支持される。一般に、補強ケージの各セクタは少なくとも2つの縦方向ロッド(圧縮ロッドと縦方向緊張ロッド)を有し、これらは連結用あばら筋によって互いに連結される。圧縮補強材も平らな帯体で形成するのが好ましい。
同様に、別の有利な配置では、各連結用あばら筋は少なくとも一つの平らな帯体で形成でき、それを帯体の幅に等しい長さにわたって延びた溶接ビードまたは接着部で補強材に連結できる。従って、特に耐久性がある。
【0013】
さらに、あばら筋を構成する各帯体を緊張ロッドの方向に対して傾け、互いに向きが異なるこれらの平らな帯体の間の溶接部全体でコンクリートに支持される一種のくさびを形成する。従って、緊張補強材とコンクリートとの間の各締付け領域は、この緊張補強材と帯体の形をした連結用あばら筋との間の連結接合部によって形成できる。
【0014】
緊張補強材を作るのに平らな帯体を使用すると、さらに他の可能性もできる。すなわち、締付け領域を形成するために、帯体の形をした緊張補強材を一定長さにわたって軸線方向に切り開くことができ、こうして形成された帯体の2つの部分を互いに離して配置し、少なくとも一つの剛性ロッド部分を横方向から挿入するための開口部を形成し、剛性ロッド部分を縦方向補強材に加わる引張応力に逆らう方向で縦方向帯体の両側でコンクリートに当接することができる。この剛性ロッドはその面内を縦方向帯体が通り抜ける分散ロッドにするか、その面に対して直角に縦方向帯体が通り抜ける単一のロッドにすることができる。
【0015】
平らな帯体を使用する本発明方法には多くの実施可能性がある。特に、各縦方向補強材は互いに組和された少なくとも2つの帯体を有することができる。これらは互いにほぼ整合して縦方向へ延び且つ互いに反対の方向へ引張応力を受ける。組合された2つの帯体は一定長さにわたって重なり合い、それぞれの端は重なり合った部分の両側で2つのクロスヘッドとなり、互いに対向する。従って、両方の対応する帯体に加わる対向する引張応力の作用でこれらは互いに近づこうとする傾向を示し、被覆長さにわたって両クロスヘッドの間のコンクリートのコアを圧縮する。
【0016】
補強ケージが分散ロッドを介して連結される平行なセクタで形成される一般的な場合には、2つの互いに隣接するセクタのクロスヘッド内を分散ロッド要素が通ることができ、対向するクロスヘッドの互いに近づこうとする傾向によって各セクタ内に生じる圧縮応力は上記セクタ間のコンクリート部分に伝達される。
特殊な配置では、ケージの各セクタの縦方向補強材を成す2つの帯体の組が単一帯体からなる2つの片を構成する。これらの片は2つの互いに離れて配置されたレベルの間にループを形成し、両端が対向するクロスヘッドを形成し、互いに反対の方向に加わる引張応力の作用で上記ループを縦方向補強材の2つの片で締め付けることによってコンクリートのコアを圧縮する。
【0017】
特に有利な実施例では、各セクタ内で、縦方向補強材を一連の複数の帯体で形成する。各帯体はクロスヘッドの形をした2つの湾曲端を有し、2つの連続した帯体の互いに隣接したクロスヘッドは互いに隣接配置されて一部が重なり、互いに連続した帯体間に連結ピンを形成する少なくとも一つのロッド部分を挿入するための横方向空間を区画する。この場合、縦方向補強材は複数のリンクで形成された緊張鎖のような挙動をする。各リンクは帯体で形成され、互いにキー止めされた隣接する対を成すクロスヘッドによって2つずつ連結されている。
【0018】
さらに別の有利な実施例では、各セクタ内で、縦方向緊張補強材が少なくとも2つの平らな帯体を重ね合わせた積層体から成る。この積層体はコンクリート部材の縦方向緊張面に最も近い第1レベルを有するし、この第1レベルはコンクリート部材の内側を向いたクロスヘッドの形をした両端を有する帯体を有する。少なくとも一つの第2レベルは互いに並んで配置されたほぼ平行な少なくとも2つの平らな帯体を有し、各平らな帯体の両端はクロスヘッド(それぞれ内側および外側クロスヘッド)の形をしている、第2レベルの上記帯体は一定長さにわたって重なり合い、クロスヘッドの形をした内側端は互いに対向している。こうして作られたコンクリート部材は、対応帯体上で対向する方向に加わる引張応力の作用で互いに近づこうとする内側クロスヘッドの傾向によって圧縮され、両帯体の内側クロスヘッドの間のコアを形成する少なくとも一つの部分と、第1レベルと第2レベルの帯体の外側クロスヘッドの間の2つの端部分の間にあり且つ第1レベルの帯体の各外側クロスヘッドが帯体によって支持される引張応力の作用で内側へ近づこうとする傾向によって圧縮される2つの端部分とを有し、従って、コンクリート部材のコンクリート全体が圧縮できる。
以下、添付図面を参照して本発明の可能な他の配置および多くの有利な特徴を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0019】
[図1][図2]は本発明に従って製造したコンクリート部材の縦断面と横断面とを示している。
このコンクリート部材1は従来のものと同様に2つの面(図示した実施例では下側面20と上側面21)を有するスラブから成る。このスラブはケース中に補強ケージ(cage de ferraillage)3を入れた後、コンクリート2を鋳造して成形する。補強ケージ3はスラブ1の2つの面20、21とほぼ平行な2つの補強ウエブ(それぞれ下側補強ウエブ30と上側補強ウエブ30’)を有している。
【0020】
補強ケージ3は一般に、コンクリート部材1の縦軸線(従って[図1]の面)に平行な面P1、P2・・内にそれぞれ中心を有する複数のセクタS1、S2・・から成る。各セクタは下側縦方向補強材31と上側縦方向補強材31’とから成る。これらの補強材31、31’はセクタS1(S2)の面P1(P2)内であばら筋(etriers)とよばれる横方向補強要素([図1][図2]には示されていない)によって互いに連結されている。
また、補強ケージ3の各セクタS1、S2・・は[図1]の面に直角な横方向ロッド32、32’によって互いに連結されている。
【0021】
周知のように、例えば上側表面21に垂直荷重Mが加わるとコンクリート部材1は中立軸線10の両側にある2つの部分、すなわち中立軸線と荷重が加わる面21との間の圧縮部分(partie comprimee)11’と、荷重が加わる面とは反対側の面20まで延びた緊張部分(partie tendue)11とに分けられる。
これら構造、配置は全ての一般的なものであり、詳細な説明は省略する。
【0022】
本発明の補強ケージ3が一般的なケージと異なる点は、コンクリート部材の緊張部分11中で下側表面20から短い被覆距離の所に延びている少なくとも一つの縦方向補強材31が広い方の面41と狭い面42とを有する断面が長方形の金属帯体(バンド)(本出願人の下記文献に記載のもの)から成る点にある。この金属帯体(バンド)は幅lが厚さeよりはるかに大きい平らな金属ロッド4から成る。
【特許文献1】本出願人のフランス国特許出願第2,814,480号公報
【0023】
圧縮補強材31’も平らなロッドで構成するのが好ましいが、経済的な観点からは一般的な丸ロッドを使用することができる。
上記金属帯体4の断面(l×e)は、本出願人の上記特許文献1(本出願人のフランス国特許出願第2,814,480号公報)に記載のようにコンクリート部材1に加わる荷重を考慮し、支持すべき引張応力の関数で計算できる。すなわち、荷重Mが加わるとコンクリート部材1はわずかに反る傾向があり、下側補強ウエブ30の各縦方向補強材31に引張応力が加わり、伸びる。
【0024】
鉄筋コンクリートの従来の技術では、補強材とコンクリートとの間の伝達リンクを強化するために一般に溝付き補強ロッドを用いて複合部材を形成しているが、有害なクラックの発生を避けるためにこの複合部材の剛性を高めることが求められている。しかし、コンクリート部材の変形は避けられず、緊張補強材とそれを被覆するコンクリートが伸び、このコンクリートの引張強度は小さいため、ある荷重を超えるとクラックが発生する。
【0025】
従来技術はでは補強材をその全長でコンクリートと連結させているが、本発明ではそれとは逆に、コンクリート2の中に、各縦方向緊張補強材31に沿ったコンクリート部材の横断方向中間面Qの両側に、2つの締付け領域 (zone de blocage) B、B’を設ける。この2つの締付け領域B、B’はこの中心領域 (zone centrale) Cよって互いに分離され、荷重が加わった時にはこの中心領域Cでは縦方向補強材31が自由に伸びることができ、その縦方向補強材31を被覆したコンクリートに対して摺動することができる。
【0026】
本発明では縦方向補強材として平らな帯体を使用するので、緊張補強材31の対応部分を湾曲するだけで上記の各締付け領域B、B’を作ることができる。すなわち、縦方向緊張面20の広い方の面の向きをその縦方向緊張面20の長い方の面に対して少しづつ且つ連続的に変化させることで作ることができる。縦方向補強材31を形成する帯体4はこの締付け領域B、B’では主としてその広い方の面41を介して吸収される引張応力の方向に逆らうようにコンクリート中に支持される。
【0027】
[図1]〜[図4]に示す実施例では、帯体4をその軸線40を中心としてその広い方の面41を徐々に回転させ、帯体4を一定の長さL1にわたって捻ることで締付け領域B、B’を形成している。
[図3]に示した実施例では、帯体4を捻って一完全回転させている。水平な帯4に右方向の引張応力Tが加わった場合、中間面Pの両側に完全一回転だけ捻られた部分43があるとすると、引張りネジの場合と同様に、帯体4に加わる引張応力Tはコンクリート中で帯体4の両面41、41’によって支持される。帯体4は平らな2つの広い方の面を介してコンクリート中に支持されるのでコンクリートが剪断されることはなく、圧縮応力は小さい。さらに、帯体4の幅lは、コンクリートに加わる圧縮応力が許容限界値以下となるように、加わる応力の関数で決めることができる。
【0028】
上記の締付け領域B、B’を構成する両方の捻り部分43、43’を介してコンクリートに連結された補強材の帯体4は、2つの捻り部分43、43’の間の中心部分44では逆に自由に伸びることができる。
コンクリートと補強材との間にはコンクリートを鋳造した後にその全長にわたって接着結合が存在する。従来の技術とは違って、この接着性を例えば溝を付けて高くする必要はない。
【0029】
すなわち、本発明では縦方向補強材31を構成する各帯体4が、互いに間隔をあけて配置された2つの締付け領域B、B’のみでコンクリートと連結し、補強材を伸ばす応力が加わった場合、その力は2つの捻り部分43、43’の間の中心部分44の全長L2に均一に分散させることができ、この中心部分44は応力が一定閾値を超えた時にコンクリートとの接着が外れる。
コンクリート2は補強材と同じようには変形しないので、クラックの発生は避けられないが、クラッキングの危険は中心部分44の全長L2にわたって均一に分散でき、悪影響を及ぼさない小さい幅の多数のクラックにすることができる。
【0030】
その結果、従来技術のようにコンクリート部材の変形を減らすためにコンクリート部材の剛性を高くする必要がなく、逆に、相対的に可撓性のあるコンクリート部材に作ることができる。
加わる応力が小さい場合、本発明のコンクリート部材は従来と同様な複合部材として挙動し、コンクリートは補強材と同様に変形する。
【0031】
応力が一定の閾値を超えると、補強材はその締付け部分43、43’のみでコンクリートとの連結を維持した状態で、中心部分44が補強材を被覆したコンクリートから離れ、わずかに相対摺動する。その結果、張力(すなわち補強材を伸ばす傾向)は中心部分44の全長L2にわたってほぼ均一に分散し、引張応力が補強材上の短い長さの所に集中するのが避けられ、それによってクラックの近くで過剰な応力作用で補強材が破談する危険が避けられる。
【0032】
本発明に従って作ったスラブに加える荷重を徐々に増やしていく曲げ試験を行ったところ、本発明スラブは、驚くべきことに、破断前に大きな曲げを許容でき、クラックが相対的に狭いということが観察されている。
さらに、特許文献1(フランス国特許出願第2,814,480号公報)に記載のように、補強材として平らな帯体を使用することでスラブの厚さ全体を小さくすることができる。すなわち、同じく平らな帯体から成るあばら筋(必要に応じて捻り部を付けてもよい)は上記の各帯体の内側表面に溶接でき、各帯体の外側表面はスラブの表面20から規則によって決まった最小被覆距離だけ離せばよい。
【0033】
従来法で製造した鉄筋コンクリート部材では補強材とコンクリートとの間の力の伝達長さを長くするために縦方向緊張ロッドの両端をクロスヘッドの形に湾曲させる必要がある。しかし、使用する鋼の硬度を考えた場合、ロッドに与える湾曲度は必然的に制限され、また、クロスヘッドの曲率直径はロッド直径の少なくとも10倍にすることが規則で決められている。そのため、コンクリート部材は最小厚さを緊張ロッドの直径の20倍にしなければならず、最小被覆厚さの2倍の最小厚さを追加しなければならない。
【0034】
本発明の平らなロッドを使用した場合にも[図5]の投影図に示すようにロッドの両端にクロスヘッド5を設けることもできるが、このクロスヘッド5の内径Dは丸ロッド(複数本でもよい)の場合より小さくすることができる。なぜなら、長方形断面を有する平らなロッドの厚さeは同じ断面を有する丸ロッドの直径より小さいからである。
【0035】
さらに、平らなロッドを用いた場合、弾性強度の高い鋼を用いることで湾曲部分の直径Dをさらに小さくすることができる。すなわち、帯体の広い方面の面に対して平行な軸線50の回りにより容易に曲げることができる。さらに、[図20]に示すように、クロスヘッドを垂直軸線を中心として回転させることでスラブ1の厚さをさらに小さくすることができる。その結果、補強材料の重量が同じ場合、鉄筋コンクリートで従来つくることができる部材よりも薄い部材を作ることができる。さらに、各クロスヘッド5はコンクリート2中で締付け領域B1にもなる。
【0036】
本発明では、縦方向補強材が締付け領域43、5内でコンクリートに一定程度アンカーされ、中心部分44は自由に伸びることができるので、補強材を介してコンクリートに加えられる応力は従来の補強材(この場合には補強材の全長にわたって連結することが求められていた)よりも大きい。これは締付け領域ではコンクリート中の圧縮応力がより大きいこと、正確にはコンクリートが優れた圧縮強度を示すことを意味することは明らかでる。
【0037】
さらに、コンクリートの圧縮応力が所定の限界値を超えないように加わる荷重に対して各平ロッドの幅lを決めることができるので、丸ロッドの場合のようなコンクリートの剪断作用の危険はない。
帯体4が大きな引張応力T(これはクロスヘッド5の内側にある締付け領域B1によって吸収される)を受けた場合、帯体4とコンクリートとの間の接着性が十分でない場合、クロスヘッド5の巻きが戻ることがある。
【0038】
この巻きが戻る現象を避けるために、直径をわずかに小さくした反対方向を向いた補助クロスヘッド51をクロスヘッド5に追加することができる。
さらに、[図1]に示す好ましい実施例では、平らな帯体4から成る各緊張ロッド31の広い方の面41をコンクリート部材の緊張面20とほぼ平行になるように向けていることに注目されたい。この配置では平らな帯体4の曲げに対する抵抗は小さく、コンクリート部材の撓みは補強材の伸びだけに表れるので、スラブの可撓性が増加する。
【0039】
しかし、曲げ強度を強化するために[図7]に示すような向きを有する帯体4を使用することもできる。このような場合には各補強帯4を互いに間隔をあけて配置された2つの部分43、43’で捻るが、1/4回転だけ捻り、中心部分44’ではその全長にわたって帯体4の広い方の面41をコンクリート部材の緊張面20に対して直角な面内に配置する。
【0040】
この場合には、コンクリート中での帯体4の締め付けは、帯体4の両端に設けたクロスヘッド5、5’の内側の実質的に領域B1、B1’の所で実現され、締付け部分43、43’での締付け効果は小さくなる。一方、各補強帯4の中心部分44’は緊張面20に対して直角に向いているので、一定の曲げ強度を有し、コンクリート部材の剛性を高め、加わる荷重によって生じる撓みを減らすことができる。
【0041】
従来のものと同様に、下側ウエブ30および上側ウエブ30’の縦方向ロッド31、31’はあばら筋で互いに連結することができ、このあばら筋は上記特許文献1(フランス国特許出願第2,814,480号公報)に示すような平らな波形の帯体13で形成するのが有利であり、この平らな波形帯体13は波形の頂点で縦方向補強材に溶接または接着で連結される。
しかし、本発明方法を実施する場合には各帯体4の中心部分44が自由に伸びることができるようにするために、[図9]に示すように緊張補強材31を構成する波形帯13と帯体4との間の溶接はコンクリート部材1の両端近傍のみ行うのが好ましい。
【0042】
逆に、あばら筋は各波形の上側部分で圧縮ロッド31’に溶接または接着できる。そのためには各圧縮ロッド31’を少なくとも一枚の平ロッドで形成し、溶接ビードを波形帯13の全幅にわたって作るのが好ましい。
各ロッド4とこのロッド4に対して一定の角度を成すあばら筋の対応部分13との間の各溶接または接着部34はくさび作用によって締付け領域Bを構成する。従って、この場合には帯体4に捻れ部分を付ける意味がない。この場合には両端をクロスヘッド5の形に湾曲し、前回と同様に、補強材31の両端に締付け領域B1、B1’を設けるのが有利である。
【0043】
本発明は上記以外にも変更できる。特に、縦方向補強材の締付け領域によってコンクリート中に加えられる支持荷重を十分に利用することができる。例えば[図10]〜[図20]に概念的に示した種々の変形ができる。これらの図では図を簡単にするために圧縮補強材31’は図示していない。
【0044】
[図10]に示す第1変形例では、補強ケージ3の下側ウエブ30が2つの互いに重ね合わされたレベルのものから成る。コンクリート部材の下側緊張面20に最も近い最低レベルは補強ケージの各セクタはコンクリート部材1の全長にわたって延びた平らな帯体から成る縦方向補強材31を有する。この縦方向補強材31の両端5、5’は既に述べたようにクロスヘッドの形に湾曲されている。
この縦方向ロッド31には上側にズレた第2レベルの縦方向ロッドが組み合わされている。この第2レベルの縦方向ロッドのケージは各セクタに2つのロッド33、34を有し、各ロッド33、34は平らな帯体で形成され且つ並んで配置されている。各ロッド33、34にはクロスヘッドの形をした湾曲端部51、51’、52、52’が形成されている。
【0045】
さらに、同じセクタで組み合わされたの帯体33、34は互いに縦方向にズラされ、各帯体33(34)の両端に作られた2つのクロスヘッド51、51’(52、52’)は横断方向中間面Qの両側でコンクリート部材1の横断方向中間面Qから互いに異なる距離の所に配置されている。すなわち、[図10]の左側に配置されているロッド33の外側クロスヘッド51は、右側に配置された同じ帯体31の外側クロスヘッド51’よりも、中間面Qからさらに離れており、第2の縦方向帯体34の場合にはこの配置が逆になる。一方、縦方向ロッド33、34の長さは、横断方向中間面Qの同じ側に配置された各クロスヘッド5、51,52がコンクリート部材1の端部11からコンクリート部材1の一定長さだけ分布するように決定される。
【0046】
従って、コンクリート部材1は下記の複数の隣接領域に分割される:
(a)横断方向中間面Qの右側に配置された縦方向補強材33の内側クロスヘッド51’とこの面Qの左側に配置された補強材34の内側クロスヘッド52との間の中心領域B3。
(b)中間面Qの左側および右側にそれぞれ配置された2つの横方向領域B2、B2’(左側領域B2は帯体33の外側クロスヘッド51と、ロッド34の内側クロスヘッドの間の領域であり、右側領域B2’は帯体34の外側クロスヘッド52’と、ロッド33の内側クロスヘッド51’の間の領域である)。
(c)左側および右側にそれぞれ配置された、下側帯体31のクロスヘッド5、5’と上側帯体33、34の外側クロスヘッド51、52’との間の2つの端領域B1、B1’。
【0047】
コンクリート部材1を下側へ曲げる荷重をコンクリート部材1に加えたときには、縦方向補強材が引張応力を受け、クロスヘッドの形をしたその両端を介してコンクリートと当接、支持され、両端が内側へ歪む。
コンクリート部材の中心部分で互いに重なり合う縦方向補強材33、34は互いに異なる方向へ伸びるので、中心締付け領域B3は両補強材33、34の内側クロスヘッド51’、52が互いに近づこうとする傾向によって圧縮される。
【0048】
同様に、外側クロスヘッド51、52’はロッド33、34に加わる引張応力の作用で中間面Qに近づこうとする傾向があり、この傾向によって横方向領域B2、B’2は圧縮される。
同じ理由から、端領域B1、B’1も補強材31に加わる引張応力に反作用するクロスヘッド5、5’によって圧縮される。
【0049】
従って、各種補強材のクロスヘッドが内側へ互いに近づこうとする傾向によって、コンクリート部材1はその全長にわたって圧縮され、この圧縮現象はクロスヘッドによって制限され、さらに、コンクリートの全厚にわたって従来通り中立軸線10上にも作用する。
従って、緊張面20の近傍でのコンクリート部材のクラッキングの危険は大幅に低下する。さらに、上記構造のコンクリート部材に対して行った荷重試験から、このコンクリート部材は壊れる前に、鉄筋コンクリート部材ではあまり普通ではない極めて大きな撓みを受けるということがわかっている。
上記の実施例では、互いに組合せた帯体33、34の内側クロスヘッド52、51’間のコンクリート部材の中心領域B3の圧縮がこれら帯体33、34を重ね合わせることで生じ、横断方向中間面Qの両側へ互いに反対の方向に生じる。
【0050】
しかし、ケージ3の緊張補強材を[図11]に示すように長さの異なる縦方向帯体を単に積み重ねることで形成することもできる。第1帯体35はコンクリート部材の長さよりもわずかに短い長さl1にわたって延び、第2帯体36はl1よりも短い長さl2にわたって延び、各帯体の端はコンクリート部材の内側を向いたクロスヘッドの形をしている。
【0051】
この場合もコンクリート部材の撓み、帯体35、36に加わる引張応力を吸収するクロスヘッド5、5’、51、51’によってコンクリートが圧縮される。
この観点から、コンクリート部材に加わる荷重の分布の関数で調整するために、クロスヘッドによって加えられる圧縮応力を互いに異なる機械的特徴を有する複数の金属帯体で実現するのが有利である。
補強ロッドとして平らな帯体を使用すると弾性率を容易に変えることができるということは理解できよう。すなわち、平らな帯体は金属板を切断して作ることができ、様々な特徴を有する金属板が市販されているが、コンクリートの丸ロッドでは可能な選択肢の数が平らな帯体よりも少ない。
【0052】
さらに、補強材とこの補強材を被覆したコンクリートとを連結することを重要視する通常の技術とは逆に、2つの積層帯体31、35を互いに接して配置でき、この場合には積層帯体は板バネのように挙動する。
[図12][図13]は[図10]の実施例の一変形例を示している。この変形例では2つの隣接する帯体33、34が閉ループを形成する単一帯体からなり、対向する両クロスヘッド51’、52はケージ3の上側レベル30’にある帯体の部分37で作られている。
【0053】
各縦方向補強材はコンクリートB3のコアを取り囲む単一帯体33、37、34で形成され、このコンクリートコアは、部材1が垂直荷重を受けたときに、縦方向補強材の両片33、34に互いに反対の方向に加わる引張応力の作用で、こうして形成されたループが締め付けられることによって圧縮されている。
この場合、ループを形成する各縦方向補強材の上側部分37か補強ケージ3の上側ウエブ30’の部分を構成できることは理解されたい。
【0054】
一方、[図10]の場合には[図12]のようにコンクリートのコアB3を圧縮する互いに対向するクロスヘッド51’、52を部材1の横断方向中間面Qの両側に必ずしも対称に離して配置する必要はない。すなわち、加わる荷重によってコンクリート中に生じる引張応力が最大となるコンクリート部材1の部分はコンクリート部材に加わる加重モードに応じて決定でき、荷重によって生じる引張応力の少なくとも一部が補償されるように補強材とそのクロスヘッドを配置することができ、引張応力によって2つのクロスヘッド間のコンクリートのコアに加わる同じ領域内での互いの逆方向の圧縮力によって補償される。
【0055】
上記の各図では一般に縦方向軸線に対して平行な垂直面の中心に配置された補強ケージのセクタと2つの互いに隣接するセクタの補強材上に形成したクロスヘッドとはほぼ同じ高さに位置している。従って、内側へ応力を受ける横方向タイロッド32はセクタS1、S2、S3の整合した締付け領域を通る。これらのタイロッドはクロスヘッド5、51、52によって加えられる圧縮応力を2つの隣接するセクタの間にあるコンクリート上に分散させる。これらの分散横方向ロッド(filants de repartitions)は図示するように円形または長方形断面にすることができる。しかし、平らなロッドを使用することで縦方向ロッドと横方向ロッドとの間の溶接ビードを容易に作ることができる。
【0056】
[図14]に概念的に示した別の実施例では、ケージ3の各縦方向緊張補強材6が複数の一連の帯体6a、6b・・から成り、各帯体はクロスヘッド5a、5’a、5b、5’bの形をした2つの湾曲端を有し、互いに連続する2つの帯体6a、6bの互いに隣接するクロスヘッド5’a、5bの対がほぼ同じレベルに位置するように配置され且つ空間Eを取り囲むようにわずかに重ね合わされる。この空間Eには横方向分散ロッドを構成するロッド38が挿入できる。
【0057】
2つの対向するクロスヘッド5’a、5bによって圧縮される空間E中に挿入された各ロッド38は互いに連続した2つの帯体6a、6bの間の連結ピンを構成する。一連の複数の帯体6a、6b、6c・・から成る各縦方向補強材6は鎖のように挙動する。この鎖のリンク6a、6b、6c・・はコンクリート部材1に加わる荷重の作用下で緊張する。
本発明は上記各実施例の詳細に制限されるものではなく、本発明の範囲から逸脱せずに他の変形例にすることもできる。
【0058】
例えば、縦方向補強ロッドに形成された開口部に挿入された横方向ロッドを使用するだけで各締付け領域を得ることもできる。すなわち、[図17]に示すように、縦方向補強ロッドとして平ロッド4を使用し、この平ロッドに中央孔45を形成する。この中央孔45は一定の長さにわたって延びて2つの横方向部分46、47を区画する。これらの横方向部分46、47を互いに離すことで横方向ロッド48を通すための開口部45’を開けるたとができる。帯体4に例えば[図16]の矢印の方向へ引張応力が加わると、帯体4は横方向ロッド48に支持され、この横方向ロッド48はコンクリート中に支持され、帯体4の締付けが実現する。
【0059】
[図16]の場合には帯体の両部分46、47は帯体の面に支持された状態で伸び、従って、横方向ロッド48はこの面に対して直角である。
しかし、[図17]に示すように、両部分46、47を帯体の面Sに直角に互いに離して配置し、そこに横方向ロッド48を挿入することもできる。この場合には横方向ロッド48は帯体の面に平行である。このロッドは補強ケージの複数のセクタの間の横方向分散ロッド32を構成する。
【0060】
締付け領域を形成するために帯体を捻る場合、この捻り部分43にも中央孔を形成することができる。[図18]に示すように、この中央孔によって帯体の2つの部分を互いに離し、横方向分散ロッド32を挿入するための開口部45’を形成することができる。
さらに、[図19]に示すように、横方向ロッド52を挿入するためのオリフィス45’をクロスヘッド5の両部分に設けることによってクロスヘッド5の締付け作用を高めることができる。この横方向ロッド52はさらに、帯体4に加わる引張応力の作用でクロスヘッドの巻きが戻るのを阻止する。
【0061】
さらに、縦方向補強ロッドとして平ロッド4を使用することによって、ロッドの端に設けられるクロスヘッドの向きを変えることができることは理解できよう。一般には平ロッド4はその面に平行な軸線の回りに容易に曲げることができるので、[図20]に示すように、帯体4の端を1/4回転捻り、クロスヘッド5を垂直軸線50を中心に曲げて作ることができる。この場合、クロスヘッドの高さを帯体4の幅eに制限することによって同じ締付け作用を得ることができる。この配置は細い部材、例えば両端の狭いスラブを製造するときに特に有利である。特に、平らな帯体4を使用することで、必要に応じて、例えば[図20]に示すように、平らな帯体4の向きを変え、部材の一定部分を狭くすることができる。
【0062】
既に述べたように、平らな帯体の形をした圧縮補強材31’を作るのが有利であるが、経済上の理由で通常のロッドも使用できる。しかし、平ロッドの使用によってもたらされる利点は補強材の見込まれる追加費用を補って余りあるということは理解できよう。
この観点からはロッドをステンレス鋼で作るのが有利である。ステンレス鋼は外装厚さを減らしても腐食強度を確保でき、しかも、疲労強度とエネルギー吸収能力と高める延性が高い。この利点は不等沈下、場合によっては地震衝撃に対する抵抗力が強度できるので、土木構造物では特に重要である。
【0063】
図を簡単にするためにスラブまたは平らなビームを図示したが、補強ロッドとして平らな帯体を使用することは湾曲したコンクリート部材や、反ったコンクリート部材の製造において多くの利点を有するということは理解できよう。すなわち、コンクリート部材のフェーシング表面に平行な広い側面を有する平らな帯体は、コンクリート部材の湾曲断面形状に容易に整合せせることができる。
【0064】
特に、湾曲したコンクリート部材に使用可能な平らな補強ケージをつくり、この補強ケージを鋳型中に置いたときに鋳型の底部の断面形状を自重で自然に取らせることができる。
縦方向および横方向の補強材を構成する平らな帯体を互いに反対方向に湾曲させて、平行でない横方向母線を有する曲面のような横方向に反った断面形状に合せることもできる。これは例えば一端から他端へ各種の角度で横方向に傾いた橋の外装の場合で、この補強材は従来法では製造するのが難しい。
【0065】
また、かなり大きい撓みを許容できる可撓性のあるコンクリート部材を製造することもできるので、本発明は湾曲断面形状を有する堤防下通路構造の製造に特に適している。この堤防下通路構造はその形状からその両端で堤防に横方向に当接するように加わる荷重下でわずかに変形することができる。
さらに、上述のとおり、コンクリートが圧縮される締付け領域と締付け領域との間の締付け領域は計算によって決定された位置に配置でき、この場所は、コンクリートが最大引張応力を受け、クラッキングの危険が最大となる場所である。従って、本発明は典型的なモデルから、各コンクリート部材の補強材を加わる荷重を考慮に入れて予測可能な応力分布に適合させることができる。
【0066】
例えば、垂直方向に均一に加重されるスラブまたはビームでは下側面に加わる引張応力が最大である中心領域と、スラブが剪断応力を受ける2つの横方向領域と、2つの支持端とを区別できる。しかし、既に述べたように、圧縮領域の配置は必ずしも、コンクリート部材の中間面に対称にする必要はない。
本発明によって、補強材を複雑にせずに、コンクリート部材の各部分で吸収すべき主な荷重に補強材を合せることができる。すなわち、補強材を構成する平らな帯体の向きを適切に変えることによって最も伸びる部分に締付け領域が来るようにしてコンクリートの圧縮作用によって張力を補償する。
【0067】
さらに、上述のとおり、[図8]に示すように緊張帯体を垂直方向に向けて曲げ強度を強くしたり、[図20]に示すように帯体を傾けて剪断応力に対して最適に抵抗するようにしたり、[図20]に示すように水平なクロスヘッドを作って支持ポイントにおける部材の厚さを小さくしたりすることができ、これらの種々の変形例は組み合わせることもできる。
さらに、既に述べたように、圧縮領域はコンクリート部材の中間面に関して対称に配置する必要はない。
従って、本発明の配置によって補強ケージの形状を変えることができ、使用時にコンクリート部材に加わる荷重を関数として補強材の作用を調整、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に従って製造したコンクリート部材の概念的縦断面図。
【図2】図1の線II−IIによる部分断面図。
【図3】補強材の捻り部分の投影図。
【図4】捻り部分の横断方向中間面による断面図。
【図5】クロスヘッドの形をした部分の部分投影図。
【図6】二重クロスヘッドの部分側面図。
【図7】本発明の別の実施例に従って製造したコンクリート部材の縦断面図。
【図8】図7の実施例に適用される捻り部分の投影図。
【図9】本発明のさらに別の実施例に従って製造したコンクリート部材の縦断面図。
【図10】複数の補強層を用いる本発明の別の実施例の縦断面図。
【図11】複数の補強層を用いる本発明の別の実施例の縦断面図。
【図12】閉ループ補強材を用いる図10に示す形式のコンクリート部材の縦断面図。
【図13】閉ループ補強材の投影図。
【図14】鎖の形をした補強材を用いる本発明の別の実施例の縦断面図。
【図15】図14に示す形式の2つの補強材要素の間の接合部の投影図。
【図16】締付け領域の別の実施例を示す投影図。
【図17】締付け領域の別の実施例を示す投影図。
【図18】締付け領域の別の実施例を示す投影図。
【図19】クロスヘッドの形をした締付け領域の投影図。
【図20】クロスヘッドの形をした補強材の一端の別の実施例の投影図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの鋳造中にコンクリート(2)中に埋め込まれる補強ケージ(3)を有するコンクリート部材(1)の製造方法であって、コンクリート部材(1)は、荷重を受けた時に、中立軸線の両側に2つの部分、すなわち、主としてコンクリート(2)によって吸収される圧縮応力を受ける圧縮部分と、主として補強ケージ(3)の少なくとも一つの縦方向緊張補強材(31)によって吸収される引張応力を受ける緊張部分とを有し、縦方向補強材(31)はコンクリート部材(1)の縦方向緊張表面(20)から短い被覆距離の所を引張応力が加わる縦方向に沿って延びており且つ加わる応力の関数で決まる断面を有する、コンクリート部材(1)の製造方法において、
少なくとも各縦方向緊張補強材(31)が長方形の断面と、広い方の面(41)と狭い方の面(41’)とを有する少なくとも一つの平らな帯体(4)から成り、この帯体(4)は、コンクリート部材(1)の内部に、少なくとも2つの締付け領域(B、B’)と、これら締付け領域(B、B’)の間の少なくとも一つの摺動領域(C)とを形成し、上記締付け領域(B、B’)では縦方向緊張補強材(31)の一部(43、43’)が、吸収された引張応力と反対の方向で、コンクリート(2)中に支持され、上記摺動領域(C)では吸収された応力の作用で縦方向緊張補強材(31)の対応部分(44)が自由に伸びることができ、張力はこの部分(44)の全長にわたって均一に分散することを特徴とする方法。
【請求項2】
一定の応力閾値を過ぎたときに上記締付け領域(B、B’)の間の縦方向緊張補強材(31)の少なくとも一部分(44)が補強材を被覆したコンクリートから離れ、コンクリートに対してわずかに摺動できる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
弾力範囲内で最大応力を吸収するのに十分な断面を確保し且つ各締付け領域内で帯体(4)の広い方の面(41)を支持するコンクリートの部分が許容可能な閾値以下の圧縮応力を受けるように、帯体(4)から成る縦方向緊張補強材の幅(l)と厚さ(e)を吸収すべき最大引張応力の関数で決定する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
帯体(4)の広い方の面(41)の向きをコンクリート部材(1)の縦方向緊張面(20)に対して少しづつ且つ連続的に変化させて帯体(4)から成る緊張補強材(31)の対応部分(43)の向きを変えることで各締付け領域(B)を作る請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
帯体(4)の広い方の面(41)を帯体(4)の縦方向軸線(40)を中心とし少しづつ少なくとも1/4回転させ、一定長さ(L1)にわたって帯体(4)の一部(43)を捻ることによって各締付け領域(B)を作る請求項4に記載の方法。
【請求項6】
帯体(4)の捻り部分(43)を縦方向軸線(41)を中心に一完全回転して捻って作る請求項5に記載の方法。
【請求項7】
平らな帯体(4)の一端を横方向軸線(50)の回りに曲げて、広い方の面(41)によってコンクリート中に支持されるアンカー用クロスヘッド(5)を形成し、このクロスヘッド(5)で各締付け領域(B)を作る請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各締付け領域(B)が2つの連続するクロスヘッドから成り、その第1クロスヘッド(5)は帯体(4)に加わる引張応力の方向を向いた凹部を有し、その延長上に第2クロスヘッド(50)があり、この第2クロスヘッド(50)は平らな帯体(4)に加わる引張応力の作用で第1クロスヘッド(15)の巻きが戻る傾向に逆らうために反対方向を向いている請求項7に記載の方法。
【請求項9】
補強ケージが緊張部分および圧縮部分に2つの縦方向補強材ウエブを有し、圧縮縦方向補強材(31’)も平らなロッドで形成される請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コンクリート部材(1)が横方向に分布したロッド(32)によって互いに連結された少なくとも2つの縦方向セクタ(51、52)を有する補強ケージ(3)を有し、各縦方向セクタ(51、52)が平らな帯体(4)の形をした圧縮補強材(31’)と緊張補強材(31)とから成る少なくとも2つの縦方向補強材を有し、圧縮補強材(31’)と緊張補強材(31)は帯体の形をして少なくとも2つの連結用あばら筋(33)によって連結され、このあばら筋(33)は補強材(31)の各縦方向端の近傍に形成された少なくとも一つの接合部(34)によって緊張補強材(31)と一体化されて、各接合部(34)の所に締付け領域(B)を形成し、緊張補強材(31)の中心部分(44)は自由に伸びることができる請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
圧縮補強材(31’)の全長にわたって分布した点で、連結用あばら筋(33)の上側部分が圧縮補強材(31’)に連結される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
縦方向緊張補強材(31)とコンクリート(2)との間に締付け領域(B)を形成するために、帯体(4)の形をした補強材(31)を一定の長さにわたって軸線方向に切り開き、形成された帯体の2つの部分(46、47)を互いに分離して少なくとも一つの剛性ロッド部分(48)を挿入するための開口部(45’)を形成し、この剛性ロッド部分(48)は縦方向補強材(31)を構成する帯体(4)に加わる引張応力に逆らってコンクリート(2)と当接する請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
各縦方向補強材が互いに組合された少なくとも2つの帯体(33、34)を有し、これらの帯体(33、34)は互いにほぼ整合して縦方向へ延び且つ互いに反対の方向へ引張応力を受け、帯体(33、34)の内側端は一定長さ(l1)にわたって重なり合い、各内側端は互いに対向した内側クロスヘッド(51’、52)で終わり、対応する帯体(33、34)に加わる互いに反対向きの引張応力の作用で互いに応力を加え、上記被覆長さ(l2)の所で上記内側クロスヘッド(51’、52)間にあるコンクリートのコア(B3)を圧縮する請求項7または8に記載の方法。
【請求項14】
互いに対向する2つのクロスヘッド(51’、52)の間にあるコンクリートのコア(B3)がコンクリート部材(1)に加わる荷重によって生じる引張応力をコンクリートが受けるコンクリート部材(1)の部分の中にあり、引張応力の少なくとも一部が上記2つの対向するクロスヘッド(51’、52)の間のコンクリート(B3)のコアの圧縮によって補償される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
縦方向補強材を形成する互いに組合された2つの帯体(33、34)が互いに間隔をあけて配置された2つのレベル(30、30’)の間でループを形成する単一の帯体の2つの片を構成し、縦方向補強材の2つの片(33、34)の所で互いに反対方向に加わる引張応力の作用で上記ループが締め付けられ、コンクリート(B3)のコアが圧縮される請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
荷重を受けた時に、中立軸線の両側に2つの部分、すなわち、主としてコンクリート(2)によって吸収される圧縮応力を受ける圧縮部分と、主として補強ケージ(3)の少なくとも一つの縦方向緊張補強材(31)によって吸収される引張応力を受ける緊張部分とを有し、縦方向補強材(31)はコンクリート部材(1)の縦方向緊張表面(20)から短い被覆距離の所を引張応力が加わる縦方向に沿って延びており且つ加わる応力の関数で決まる断面を有する、荷重を受ける一体部品のコンクリート部材(1)の内部に埋め込まれる補強ケージ(3)において、
各縦方向緊張補強材(31)が長方形の断面と、広い方の面(41)と狭い方の面(41’)とを有する少なくとも一つの平らな帯体(4)から成り、縦方向緊張補強材(31)を形成する各平らな帯体(4)が広い方の面(41)と狭い方の面(41’)とを有する互いに離れた少なくとも2つの部分(43、43’)を有し、広い方の面(41)の向きはコンクリート部材(1)の縦方向緊張面(20)に対して徐々に変化し、コンクリート部材(1)の内部に、少なくとも2つの締付け領域(B、B’)とこれら締付け領域(B、B’)の間の少なくとも一つの摺動領域(C)とを形成し、上記締付け領域(B、B’)では縦方向緊張補強材(31)の一部(43、43’)が、吸収された引張応力と反対の方向で、コンクリート(2)中に支持され、上記摺動領域(C)では引張応力の作用で上記締付け部分(43、43’)の間の部分(44)の全長で自由に伸びることができることを特徴とする補強ケージ。
【請求項17】
平らな帯体(4)の広い方の面(41)を平らな帯体(4)の縦方向軸線(40)を中心に徐々に少なくとも1/4回転させて一定長さ(L1)にわたって平らな帯体(4)の部分(43、43’)を捻ることによって各締付け領域(B、B’)を形成する請求項16に記載の補強ケージ。
【請求項18】
帯体(4)の捻り部分(43)を縦方向軸線(41)を中心に完全回転させて捻る請求項17に記載の補強ケージ。
【請求項19】
平らな帯体(4)の一端を横方向軸線(50)を中心に曲げて広い方の面(41)によってコンクリートに支持される少なくとも一つのアンカー用クロスヘッド(5)を形成し、それによって各締付け領域(B)を作る請求項16に記載の補強ケージ。
【請求項20】
平らな帯体(4)の各端を湾曲させて2つの連続するクロスヘッドを作り、第1クロスヘッド(5)は帯体(4)に加わる引張応力の方向へ向けられた凹部を有し、この第1クロスヘッド(5)の延長上の第2クロスヘッド(50)は平らな帯体(4)に加わる引張応力の作用で第1クロスヘッド(15)の巻きが戻る傾向に逆らうように上記と反対の方向を向いている請求項19に記載の補強ケージ。
【請求項21】
少なくとも一つのセクタの内部に緊張(31)と圧縮(31’)用の2つの縦方向補強材を有し、圧縮用縦方向補強材(31’)も平らな帯体から成る請求項16〜20のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項22】
圧縮補強材(31’)と緊張補強材(31)とから成る縦方向補強材が、少なくとも2つの連結用あばら筋(33)によってケージの各セクタで互いに連結され、各連結用あばら筋(33)は少なくともケージの両端近傍でケージと一定角度を成し、平らな帯体(4)の形をした補強材(31、31’)に一端で溶接された平らな帯体で形成され、緊張補強材(31)とあばら筋(33)との間の各溶接部がくさび作用で締付け領域(B)を形成する請求項20または21に記載の補強ケージ。
【請求項23】
緊張補強材(31、4)と圧縮補強材(31’)との間の連結用あばら筋(33)が波形帯で形成され、この波形帯はその両端近傍のみで緊張補強材(31、4)に溶接されて2つの締付け領域を形成し、緊張補強材の中心の部分(44)はこれら2つの締付け領域の間で自由に伸びることができる請求項22に記載の補強ケージ。
【請求項24】
縦方向緊張補強材(31)とコンクリート(2)との間に締付け領域(B)を形成するために、帯体(4)の形をした補強材(31)を一定長さにわたって軸線方向に切り開き、こうして形成された帯体の2つの部分(46、47)を互いに離して少なくとも一つの剛性ロッド部分(48)を挿入するための開口部(45’)を形成し、この剛性ロッド部分(48)は縦方向補強材(31)を構成する帯体(4)に加わる引張応力に逆らう方向でコンクリート(2)と当接する請求項16〜23のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項25】
縦方向帯体(4)の2つの部分(46、47)を軸線方向孔(45)の両側に互いに離れて配置し、締付けロッドの一部(48)を帯体の面内に対して直角に挿入する請求項24に記載の補強ケージ。
【請求項26】
縦方向補強材(31)の両仕切り(46、47)を軸線方向孔(45)の両側に帯体(4)の面に対して直角に互いに離して配置し、横方向分散ロッド(32)として締付けロッドを上記面に対して平行に挿入する請求項24に記載の補強ケージ。
【請求項27】
各縦方向緊張補強材が少なくとも2つのレベルで互いに重ね合わされた帯体(4)の形をした複数の平らなロッドから成り、その第1レベルはコンクリート部材(1)の縦方向緊張面(20)に最も近い所にあり、この第1レベルには内側を向いたクロスヘッド(5、5’)の形をした両端を有する少なくとも一つの緊張平ロッド(35)がコンクリート部材(1)のほぼ全長にわたって延び、少なくとも一つの第2レベルでは下側レベルのロッド(35)より短い少なくとも一本の平ロッド(36)が配置され、この平ロッドの両端は内側を向いたクロスヘッド(51、51’)の形をしており且つ横断方向中間面の両側に縦方向に互いに離れて配置され、クロスヘッド(51)と(51’)との間の圧縮領域(B3)と少なくとも2つの横方向圧縮領域(B2、B’2)とを下側レベルのロッド(35)のクロスヘッド(5、5’)によって区画する請求項19〜26のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項28】
各縦方向補強材が広い方の面に沿って互いに押圧して積み重ねた少なくとも2つの平ロッドで構成され、その全断面は加わる応力の関数で決定され、この積層体は同じ断面の単一ロッドと同じ引張強度を有し且つ板バネとして変形に抵抗する請求項16〜26のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項29】
積層平ロッド(35、36)が様々な機械的特徴を有する請求項27または28に記載の補強ケージ。
【請求項30】
少なくとも一つの縦方向緊張補強材(31)がステンレス鋼から成る請求項16〜29のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項31】
各縦方向緊張補強材が複数の連続した帯体(6a、6b・・)で形成され、各帯体はクロスヘッド(5a、5’a)(5b、5’b)・・の形をした2つの湾曲端を有し、2つの連続した帯体(6a、6b)の互いに隣接するクロスヘッドは互いに一部が重なるように配置され、上記連続帯体(6a、6b)間に連結ピンを形成する少なくとも一つの剛性ロッド部分(58)を挿入するための空間Eを横方向に区画し、縦方向補強材は帯体(6a、6b・・)で形成された複数のリンクから成る緊張鎖として挙動し、各リンクはピンで固定された互いに隣接する一対のクロスヘッド(5a、5’a)(5b、5’c)によって2つずつ連結されている請求項19に記載の補強ケージ。
【請求項32】
横方向分散ロッド(32)によって互いに連結される少なくとも2つのセクタを有し、互いに隣接する2つのセクタの補強材のクロスヘッド(5、51、52、6)はコンクリート部材(1)の内側でほぼ同じレベルに配置され、上記横方向分散ロッド(32)はクロスヘッド(5、51、52、6)中に挿入されてそのレベルに配置されたコンクリート(2)の全体を圧縮する請求項19〜31のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項33】
請求項16〜32のいずれか一項に記載の補強ケージを、湾曲した底を有する鋳型または型枠の内部に置き、コンクリートを鋳型に流し込んで鋳造して湾曲した部材を製造する方法において、平らな帯体を使用して補強ケージ(3)を平らに作り、この補強ケージ(3)は十分な可撓性を有し、鋳型内に置いた後にその自重で鋳型の底の湾曲形状にすることを特徴とする湾曲した部材の製造方法。
【請求項34】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法によって製造されたコンクリート部材(1)。
【請求項35】
請求項16〜32のいずれか一項に記載の補強ケージを有する鉄筋コンクリート部材(1)。
【請求項1】
コンクリートの鋳造中にコンクリート(2)中に埋め込まれる補強ケージ(3)を有するコンクリート部材(1)の製造方法であって、コンクリート部材(1)は、荷重を受けた時に、中立軸線の両側に2つの部分、すなわち、主としてコンクリート(2)によって吸収される圧縮応力を受ける圧縮部分と、主として補強ケージ(3)の少なくとも一つの縦方向緊張補強材(31)によって吸収される引張応力を受ける緊張部分とを有し、縦方向補強材(31)はコンクリート部材(1)の縦方向緊張表面(20)から短い被覆距離の所を引張応力が加わる縦方向に沿って延びており且つ加わる応力の関数で決まる断面を有する、コンクリート部材(1)の製造方法において、
少なくとも各縦方向緊張補強材(31)が長方形の断面と、広い方の面(41)と狭い方の面(41’)とを有する少なくとも一つの平らな帯体(4)から成り、この帯体(4)は、コンクリート部材(1)の内部に、少なくとも2つの締付け領域(B、B’)と、これら締付け領域(B、B’)の間の少なくとも一つの摺動領域(C)とを形成し、上記締付け領域(B、B’)では縦方向緊張補強材(31)の一部(43、43’)が、吸収された引張応力と反対の方向で、コンクリート(2)中に支持され、上記摺動領域(C)では吸収された応力の作用で縦方向緊張補強材(31)の対応部分(44)が自由に伸びることができ、張力はこの部分(44)の全長にわたって均一に分散することを特徴とする方法。
【請求項2】
一定の応力閾値を過ぎたときに上記締付け領域(B、B’)の間の縦方向緊張補強材(31)の少なくとも一部分(44)が補強材を被覆したコンクリートから離れ、コンクリートに対してわずかに摺動できる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
弾力範囲内で最大応力を吸収するのに十分な断面を確保し且つ各締付け領域内で帯体(4)の広い方の面(41)を支持するコンクリートの部分が許容可能な閾値以下の圧縮応力を受けるように、帯体(4)から成る縦方向緊張補強材の幅(l)と厚さ(e)を吸収すべき最大引張応力の関数で決定する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
帯体(4)の広い方の面(41)の向きをコンクリート部材(1)の縦方向緊張面(20)に対して少しづつ且つ連続的に変化させて帯体(4)から成る緊張補強材(31)の対応部分(43)の向きを変えることで各締付け領域(B)を作る請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
帯体(4)の広い方の面(41)を帯体(4)の縦方向軸線(40)を中心とし少しづつ少なくとも1/4回転させ、一定長さ(L1)にわたって帯体(4)の一部(43)を捻ることによって各締付け領域(B)を作る請求項4に記載の方法。
【請求項6】
帯体(4)の捻り部分(43)を縦方向軸線(41)を中心に一完全回転して捻って作る請求項5に記載の方法。
【請求項7】
平らな帯体(4)の一端を横方向軸線(50)の回りに曲げて、広い方の面(41)によってコンクリート中に支持されるアンカー用クロスヘッド(5)を形成し、このクロスヘッド(5)で各締付け領域(B)を作る請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各締付け領域(B)が2つの連続するクロスヘッドから成り、その第1クロスヘッド(5)は帯体(4)に加わる引張応力の方向を向いた凹部を有し、その延長上に第2クロスヘッド(50)があり、この第2クロスヘッド(50)は平らな帯体(4)に加わる引張応力の作用で第1クロスヘッド(15)の巻きが戻る傾向に逆らうために反対方向を向いている請求項7に記載の方法。
【請求項9】
補強ケージが緊張部分および圧縮部分に2つの縦方向補強材ウエブを有し、圧縮縦方向補強材(31’)も平らなロッドで形成される請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コンクリート部材(1)が横方向に分布したロッド(32)によって互いに連結された少なくとも2つの縦方向セクタ(51、52)を有する補強ケージ(3)を有し、各縦方向セクタ(51、52)が平らな帯体(4)の形をした圧縮補強材(31’)と緊張補強材(31)とから成る少なくとも2つの縦方向補強材を有し、圧縮補強材(31’)と緊張補強材(31)は帯体の形をして少なくとも2つの連結用あばら筋(33)によって連結され、このあばら筋(33)は補強材(31)の各縦方向端の近傍に形成された少なくとも一つの接合部(34)によって緊張補強材(31)と一体化されて、各接合部(34)の所に締付け領域(B)を形成し、緊張補強材(31)の中心部分(44)は自由に伸びることができる請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
圧縮補強材(31’)の全長にわたって分布した点で、連結用あばら筋(33)の上側部分が圧縮補強材(31’)に連結される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
縦方向緊張補強材(31)とコンクリート(2)との間に締付け領域(B)を形成するために、帯体(4)の形をした補強材(31)を一定の長さにわたって軸線方向に切り開き、形成された帯体の2つの部分(46、47)を互いに分離して少なくとも一つの剛性ロッド部分(48)を挿入するための開口部(45’)を形成し、この剛性ロッド部分(48)は縦方向補強材(31)を構成する帯体(4)に加わる引張応力に逆らってコンクリート(2)と当接する請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
各縦方向補強材が互いに組合された少なくとも2つの帯体(33、34)を有し、これらの帯体(33、34)は互いにほぼ整合して縦方向へ延び且つ互いに反対の方向へ引張応力を受け、帯体(33、34)の内側端は一定長さ(l1)にわたって重なり合い、各内側端は互いに対向した内側クロスヘッド(51’、52)で終わり、対応する帯体(33、34)に加わる互いに反対向きの引張応力の作用で互いに応力を加え、上記被覆長さ(l2)の所で上記内側クロスヘッド(51’、52)間にあるコンクリートのコア(B3)を圧縮する請求項7または8に記載の方法。
【請求項14】
互いに対向する2つのクロスヘッド(51’、52)の間にあるコンクリートのコア(B3)がコンクリート部材(1)に加わる荷重によって生じる引張応力をコンクリートが受けるコンクリート部材(1)の部分の中にあり、引張応力の少なくとも一部が上記2つの対向するクロスヘッド(51’、52)の間のコンクリート(B3)のコアの圧縮によって補償される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
縦方向補強材を形成する互いに組合された2つの帯体(33、34)が互いに間隔をあけて配置された2つのレベル(30、30’)の間でループを形成する単一の帯体の2つの片を構成し、縦方向補強材の2つの片(33、34)の所で互いに反対方向に加わる引張応力の作用で上記ループが締め付けられ、コンクリート(B3)のコアが圧縮される請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
荷重を受けた時に、中立軸線の両側に2つの部分、すなわち、主としてコンクリート(2)によって吸収される圧縮応力を受ける圧縮部分と、主として補強ケージ(3)の少なくとも一つの縦方向緊張補強材(31)によって吸収される引張応力を受ける緊張部分とを有し、縦方向補強材(31)はコンクリート部材(1)の縦方向緊張表面(20)から短い被覆距離の所を引張応力が加わる縦方向に沿って延びており且つ加わる応力の関数で決まる断面を有する、荷重を受ける一体部品のコンクリート部材(1)の内部に埋め込まれる補強ケージ(3)において、
各縦方向緊張補強材(31)が長方形の断面と、広い方の面(41)と狭い方の面(41’)とを有する少なくとも一つの平らな帯体(4)から成り、縦方向緊張補強材(31)を形成する各平らな帯体(4)が広い方の面(41)と狭い方の面(41’)とを有する互いに離れた少なくとも2つの部分(43、43’)を有し、広い方の面(41)の向きはコンクリート部材(1)の縦方向緊張面(20)に対して徐々に変化し、コンクリート部材(1)の内部に、少なくとも2つの締付け領域(B、B’)とこれら締付け領域(B、B’)の間の少なくとも一つの摺動領域(C)とを形成し、上記締付け領域(B、B’)では縦方向緊張補強材(31)の一部(43、43’)が、吸収された引張応力と反対の方向で、コンクリート(2)中に支持され、上記摺動領域(C)では引張応力の作用で上記締付け部分(43、43’)の間の部分(44)の全長で自由に伸びることができることを特徴とする補強ケージ。
【請求項17】
平らな帯体(4)の広い方の面(41)を平らな帯体(4)の縦方向軸線(40)を中心に徐々に少なくとも1/4回転させて一定長さ(L1)にわたって平らな帯体(4)の部分(43、43’)を捻ることによって各締付け領域(B、B’)を形成する請求項16に記載の補強ケージ。
【請求項18】
帯体(4)の捻り部分(43)を縦方向軸線(41)を中心に完全回転させて捻る請求項17に記載の補強ケージ。
【請求項19】
平らな帯体(4)の一端を横方向軸線(50)を中心に曲げて広い方の面(41)によってコンクリートに支持される少なくとも一つのアンカー用クロスヘッド(5)を形成し、それによって各締付け領域(B)を作る請求項16に記載の補強ケージ。
【請求項20】
平らな帯体(4)の各端を湾曲させて2つの連続するクロスヘッドを作り、第1クロスヘッド(5)は帯体(4)に加わる引張応力の方向へ向けられた凹部を有し、この第1クロスヘッド(5)の延長上の第2クロスヘッド(50)は平らな帯体(4)に加わる引張応力の作用で第1クロスヘッド(15)の巻きが戻る傾向に逆らうように上記と反対の方向を向いている請求項19に記載の補強ケージ。
【請求項21】
少なくとも一つのセクタの内部に緊張(31)と圧縮(31’)用の2つの縦方向補強材を有し、圧縮用縦方向補強材(31’)も平らな帯体から成る請求項16〜20のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項22】
圧縮補強材(31’)と緊張補強材(31)とから成る縦方向補強材が、少なくとも2つの連結用あばら筋(33)によってケージの各セクタで互いに連結され、各連結用あばら筋(33)は少なくともケージの両端近傍でケージと一定角度を成し、平らな帯体(4)の形をした補強材(31、31’)に一端で溶接された平らな帯体で形成され、緊張補強材(31)とあばら筋(33)との間の各溶接部がくさび作用で締付け領域(B)を形成する請求項20または21に記載の補強ケージ。
【請求項23】
緊張補強材(31、4)と圧縮補強材(31’)との間の連結用あばら筋(33)が波形帯で形成され、この波形帯はその両端近傍のみで緊張補強材(31、4)に溶接されて2つの締付け領域を形成し、緊張補強材の中心の部分(44)はこれら2つの締付け領域の間で自由に伸びることができる請求項22に記載の補強ケージ。
【請求項24】
縦方向緊張補強材(31)とコンクリート(2)との間に締付け領域(B)を形成するために、帯体(4)の形をした補強材(31)を一定長さにわたって軸線方向に切り開き、こうして形成された帯体の2つの部分(46、47)を互いに離して少なくとも一つの剛性ロッド部分(48)を挿入するための開口部(45’)を形成し、この剛性ロッド部分(48)は縦方向補強材(31)を構成する帯体(4)に加わる引張応力に逆らう方向でコンクリート(2)と当接する請求項16〜23のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項25】
縦方向帯体(4)の2つの部分(46、47)を軸線方向孔(45)の両側に互いに離れて配置し、締付けロッドの一部(48)を帯体の面内に対して直角に挿入する請求項24に記載の補強ケージ。
【請求項26】
縦方向補強材(31)の両仕切り(46、47)を軸線方向孔(45)の両側に帯体(4)の面に対して直角に互いに離して配置し、横方向分散ロッド(32)として締付けロッドを上記面に対して平行に挿入する請求項24に記載の補強ケージ。
【請求項27】
各縦方向緊張補強材が少なくとも2つのレベルで互いに重ね合わされた帯体(4)の形をした複数の平らなロッドから成り、その第1レベルはコンクリート部材(1)の縦方向緊張面(20)に最も近い所にあり、この第1レベルには内側を向いたクロスヘッド(5、5’)の形をした両端を有する少なくとも一つの緊張平ロッド(35)がコンクリート部材(1)のほぼ全長にわたって延び、少なくとも一つの第2レベルでは下側レベルのロッド(35)より短い少なくとも一本の平ロッド(36)が配置され、この平ロッドの両端は内側を向いたクロスヘッド(51、51’)の形をしており且つ横断方向中間面の両側に縦方向に互いに離れて配置され、クロスヘッド(51)と(51’)との間の圧縮領域(B3)と少なくとも2つの横方向圧縮領域(B2、B’2)とを下側レベルのロッド(35)のクロスヘッド(5、5’)によって区画する請求項19〜26のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項28】
各縦方向補強材が広い方の面に沿って互いに押圧して積み重ねた少なくとも2つの平ロッドで構成され、その全断面は加わる応力の関数で決定され、この積層体は同じ断面の単一ロッドと同じ引張強度を有し且つ板バネとして変形に抵抗する請求項16〜26のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項29】
積層平ロッド(35、36)が様々な機械的特徴を有する請求項27または28に記載の補強ケージ。
【請求項30】
少なくとも一つの縦方向緊張補強材(31)がステンレス鋼から成る請求項16〜29のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項31】
各縦方向緊張補強材が複数の連続した帯体(6a、6b・・)で形成され、各帯体はクロスヘッド(5a、5’a)(5b、5’b)・・の形をした2つの湾曲端を有し、2つの連続した帯体(6a、6b)の互いに隣接するクロスヘッドは互いに一部が重なるように配置され、上記連続帯体(6a、6b)間に連結ピンを形成する少なくとも一つの剛性ロッド部分(58)を挿入するための空間Eを横方向に区画し、縦方向補強材は帯体(6a、6b・・)で形成された複数のリンクから成る緊張鎖として挙動し、各リンクはピンで固定された互いに隣接する一対のクロスヘッド(5a、5’a)(5b、5’c)によって2つずつ連結されている請求項19に記載の補強ケージ。
【請求項32】
横方向分散ロッド(32)によって互いに連結される少なくとも2つのセクタを有し、互いに隣接する2つのセクタの補強材のクロスヘッド(5、51、52、6)はコンクリート部材(1)の内側でほぼ同じレベルに配置され、上記横方向分散ロッド(32)はクロスヘッド(5、51、52、6)中に挿入されてそのレベルに配置されたコンクリート(2)の全体を圧縮する請求項19〜31のいずれか一項に記載の補強ケージ。
【請求項33】
請求項16〜32のいずれか一項に記載の補強ケージを、湾曲した底を有する鋳型または型枠の内部に置き、コンクリートを鋳型に流し込んで鋳造して湾曲した部材を製造する方法において、平らな帯体を使用して補強ケージ(3)を平らに作り、この補強ケージ(3)は十分な可撓性を有し、鋳型内に置いた後にその自重で鋳型の底の湾曲形状にすることを特徴とする湾曲した部材の製造方法。
【請求項34】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法によって製造されたコンクリート部材(1)。
【請求項35】
請求項16〜32のいずれか一項に記載の補強ケージを有する鉄筋コンクリート部材(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2007−511689(P2007−511689A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540557(P2006−540557)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050600
【国際公開番号】WO2005/049934
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(500425828)ソシエテ シヴィル デ ブルヴェ マティエール (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050600
【国際公開番号】WO2005/049934
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(500425828)ソシエテ シヴィル デ ブルヴェ マティエール (2)
【Fターム(参考)】
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