説明

コンクリートブロックの製造方法

【課題】低コストで、色鮮やかかつ汚れ難いコンクリートブロックを製造することができるコンクリートブロックの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の化粧コンクリートブロックの製造方法は、結合材と骨材とを含み、前記結合材が30重量%以上の高炉スラグ微粉末を含有するコンクリート素材を打設してコンクリートブロックを成形する工程と、前記コンクリートブロックの表面に意匠加工を施す工程と、前記コンクリートブロックの意匠加工面を酸化処理する工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートブロックの製造方法に関し、さらに詳しくは、低コストで、色鮮やかかつ汚れ難いコンクリートブロックを製造することができるコンクリートブロックの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、色鮮やかなコンクリートブロックは、結合材として白色セメントが用いられているとともに、着色剤として無機系顔料が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−272842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、白色セメントの価格は、普通ポルトランドセメントの3倍程と高価であるばかりではなく、コンクリートブロックを色鮮やかに着色しても、カビや白華などにより、その表面が汚れてしまい、外観を損ねるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、低コストで、色鮮やかかつ汚れ難いコンクリートブロックを製造することができるコンクリートブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコンクリートブロックの製造方法は、結合材と骨材とを含み、前記結合材が30重量%以上の高炉スラグ微粉末を含有するコンクリート素材を打設してコンクリートブロックを成形する工程と、前記コンクリートブロックの表面に意匠加工を施す工程と、前記コンクリートブロックの意匠加工面を酸化処理する工程と、を有することを特徴とする。
【0006】
前記結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が70重量%以上であることが好ましい。
【0007】
前記酸化処理は、前記意匠加工面への酸化剤を含む液の吹き付けにより行うことが好ましい。
【0008】
また、前記酸化処理は、前記意匠加工面への酸化剤とフッ素系撥水剤を含む混合液の吹き付けにより行うことが好ましい。
【0009】
また、前記酸化処理は、前記意匠加工面への酸化剤とフッ素系撥水剤とイミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を含む混合液の吹き付けにより行うことが好ましい。
【0010】
前記結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が90重量%を超える場合、前記結合材にアルカリ金属水酸化物を添加することが好ましい。
【0011】
前記コンクリートブロックを成形する工程の後、前記コンクリートブロックを促進養生する工程を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明者等は、コンクリート素材を構成する結合材における高炉スラグ微粉末の含有量が多くなるほど、また、このようなコンクリート素材を用いて打設してなるコンクリートブロックの促進養生を行うほど、コンクリートブロック内部は青色を呈するようになり、これは、高炉スラグ微粉末に含まれる硫黄成分がセメント中の酸化物と反応して硫黄塩となって、この硫黄塩が発色することに起因していることを見出した。
【0013】
そこで、本発明のコンクリートブロックの製造方法によれば、結合材と骨材とを含み、前記結合材が30重量%以上の高炉スラグ微粉末を含有するコンクリート素材を打設してコンクリートブロックを成形する工程と、前記コンクリートブロックの表面に意匠加工を施す工程と、前記コンクリートブロックの意匠加工面を酸化処理する工程と、を有するので、意匠加工面の青色を短時間に消失させることができるから、低コストで、色鮮やかかつ汚れ難いコンクリートブロックを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のコンクリートブロックの製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
本発明のコンクリートブロックの製造方法は、結合材と骨材とを含み、前記結合材が30重量%以上の高炉スラグ微粉末を含有するコンクリート素材を打設してコンクリートブロックを成形する工程と、前記コンクリートブロックの表面に意匠加工を施す工程と、前記コンクリートブロックの意匠加工面を酸化処理する工程と、を有するコンクリートブロックの製造方法である。
【0016】
コンクリート素材は、結合材、骨材および水を所定の割合で含む混合物を、ミキサーなどの混練装置により練り混ぜたものである。
【0017】
高炉スラグ微粉末は、銑鉄を製造する際の副生成物であり、潜在水硬性などの性質を有するため、コンクリートの混和材料や混合セメント(高炉セメント)として用いられるものである。
このような高炉スラグ微粉末としては、価格が低いことから比表面積4000cm/gのものが好ましく、より初期強度を高めたい場合には比表面積6000cm/gのものが好適であり、比表面積8000cm/gのものがさらに好適である。なお、比表面積4000cm/gの高炉スラグ微粉末の市場価格は、概ね白色セメントの1/4であるので好ましい。
【0018】
また、結合材における高炉スラグ微粉末の含有率は30重量%以上であり、70重量%以上かつ100重量%以下であることが好ましい。
結合材における高炉スラグ微粉末の含有率を30重量%以上とした理由は、結合材が30重量%以上の高炉スラグ部粉末を含み、その他の結合材として、例えば、白色セメントを用いれば、結合材における高炉スラグ微粉末以外のセメント成分の含有率が小さくなるとともに、コンクリートブロックに白華が極めて発生し難くなり、非常に鮮やかな色のコンクリートブロックが得られるからである。
【0019】
ここで、白華とは、セメント成分に含まれるアルカリ性の灰汁が、コンクリートブロックの表面に析出して、その外観を損ねることである。この白華の主成分は、炭酸カルシウム(CaCO)であり、発生の主な要因としては、セメントの主成分の酸化カルシウム(CaO)が水や炭酸ガスと反応して析出するものである。なお、普通ポルトランドセメントにおける酸化カルシウムの含有率は65重量%程度であるのに対し、高炉スラグ微粉末における酸化カルシウムの含有率は40重量%程度と非常に少ない。したがって、本発明では、結合材として高炉スラグ微粉末を用いることにより、白華の発生を抑制することができる。
【0020】
ここで、一般的なコンクリート構造物(成形物)に用いられる結合材に含まれる高炉セメントとしては、JIS R 5210に規定される高炉セメントA種、高炉セメントB種、高炉セメントC種などが挙げられる。そして、これらの高炉セメントの結合材における含有率は、高炉セメントA種が5重量%〜30重量%、高炉セメントB種が30重量%〜60重量%、高炉セメントC種が60重量%〜70重量%である。
【0021】
また、普通ポルトランドセメントの明度が52程度、高炉セメントB種の明度が59程度、高炉セメントC種の明度が65程度であるのに対し、高炉スラグ微粉末の明度は88程度と非常に高い。したがって、本発明のように、結合材における高炉スラグ微粉末の含有率は30重量%以上、好ましくは70重量%以上かつ100重量%以下であれば、低コストで、色鮮やかなコンクリートブロックが得られる。
【0022】
また、結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が90重量%を超える場合、特に結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が100重量%である場合、結合材に水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を添加することが好ましい。
高炉スラグ微粉末は、アルカリ刺激のもとで固化する性質(潜在水硬性)を有するため、高炉スラグ微粉末以外の結合材の割合が低くなると、十分に固化しないため、結合材にアルカリ金属水酸化物を添加する。
【0023】
また、アルカリ金属水酸化物を添加する割合(添加率)は、コンクリート素材を100重量部とした場合、アルカリ金属水酸化物が0.05重量部〜1.0重量部であることが好ましい。
コンクリート素材100重量部に対するアルカリ金属水酸化物の添加率が0.05重量部未満では、コンクリートの固化が不十分で、十分な強度が得られない。一方、コンクリート素材100重量部に対するアルカリ金属水酸化物の添加率が1.0重量部を超えると、コストが上がるだけでなく、アルカリ骨材反応を引き起こす要素となり得るので、コンクリートの耐久性に不具合を生じかねない。
【0024】
高炉スラグ微粉末以外の結合材としては、白色セメントや普通ポルトランドセメントなどの各種セメント、消石灰などから選択される1種または2種以上が用いられる。
骨材としては、砂、砂利、砕砂、砕石、各種スラグなどが用いられる。
【0025】
また、コンクリート素材には、上記の材料以外にも、AE剤や減水剤などの混和剤や、酸化クロム、酸化鉄、ベンガラ、酸化チタンなどの着色剤が添加されていてもよい。
【0026】
骨材としては、川砂などの天然骨材、岩石や玉石を破砕して得られる砕石、砕砂などから選択される1種または2種以上が用いられる。
【0027】
本発明を、ヒートアイランド対策として、保水性舗装用コンクリートブロックに適用すれば、保水性の機能を長く維持することができる。
保水性の機能を長く維持するためには、骨材は粒径が5mm以下の粒子からなり、この骨材は粒径が2.5mm〜5mmの粒子を5重量%以下含有し、かつ、粒径が1.2mm〜2.5mmの粒子を30重量%以上40重量%以下含有することが好ましい。なお、骨材として、材質や密度が異なるものを混合して用いる場合、その粒度別の割合に、容積率を適用する。
このように骨材を、粒径が5mm以下の粒子からなり、粒径が2.5mm〜5mmの粒子を5重量%以下含有し、かつ、粒径が1.2mm〜2.5mmの粒子を30重量%以上40重量%以下含有するものとすることにより、コンクリートブロックの保水量および吸水率を向上することができる。具体的には、本発明によって得られたコンクリートブロックの保水量は0.20g/cm以上(社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会規格値0.15g/cm以上)、30分後の吸い上げ高さは90%以上(社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会規格値70%以上)となる。
また、この骨材において、粒径が2.5mm〜5mmの粒子の含有率が5重量%を超えると、本発明によって得られたコンクリートブロックの保水量および吸水高さが低下する。また、粒径が1.2mm〜2.5mmの粒子の含有率が30重量%未満では、コンクリートブロックの保水量および吸水率が低下する。一方、粒径が1.2mm〜2.5mmの粒子の含有率が40重量%を超えると、コンクリートブロックの保水量が増えるものの、吸水率が低下する。
【0028】
また、コンクリート素材の全容積に対する骨材の含有率は40%以上、70%以下であることが好ましい。
コンクリート素材の全容積に対する骨材の含有率が40%未満では、コンクリートブロックの保水量および吸水率が低下する。一方、骨材の含有率が70%を超えると、コンクリートブロックの保水量が増えるものの、吸水率が低下する。
【0029】
また、保水性、吸水性は骨材の粒度のみならず、コンクリート素材における単位結合材量や単位水量も大きく関係している。単位結合材量、単位水量が過剰であると、セメントペースト分が骨材間を埋めてしまい、保水率、吸水率ともに低下する。一方、単位セメント量、単位水量が過小であると、保水性、吸水性は向上する傾向にあるが、セメントペーストの結合力が低下し、強度低下を招く。したがって、本発明にあっては、コンクリート素材は、単位結合材量を250kg/m以上、550kg/m以下、単位骨材量を1400kg/m以上、1800kg/m以下、単位水量を60kg/m以上、120kg/m以下の範囲で含むことが好ましい。
通常のコンクリートの単位水量は150kg/m前後であるが、本発明では、コンクリート素材の単位水量を60kg/m以上、120kg/m以下とすることにより、流動性のない、硬練りのコンクリート素材とする。
【0030】
コンクリートブロックが、結合材として高炉スラグ微粉末を30重量%以上含んでいれば、長期に渡って保水性および吸水性に優れたものとなる。なぜならば、上述のように高炉スラグ微粉末における酸化カルシウムの含有率は非常に少ないので、この酸化カルシウムに起因するカルシウム系水和生成物の生成も非常に少ないから、この水和生成物がコンクリートの微細な空隙を埋めて、毛細管現象が機能しなくなるという不具合が生じることがないからである。
【0031】
さらに、コンクリートブロックに保水性および吸水性を付与する場合、コンクリート素材は、イミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を含有していてもよい。
イミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤としては、耐アルカリ性のものが用いられる。
コンクリート素材がイミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を含有していれば、コンクリートブロックの意匠加工面を酸化処理する工程において、後述するように、意匠加工面に対するフッ素系撥水剤を含む混合液の吹き付けや、フッ素系撥水剤と耐アルカリ性の抗菌・防カビ剤を含む混合液の吹き付けを行うことなく、意匠加工面に防汚処理を施すことができる。また、上述のように、骨材の粒径、骨材の粒度分布、コンクリート素材の全容積に対する骨材の含有率、コンクリート素材の単位水量などを調整することにより、コンクリートブロックの保水量および吸水率を向上することができるが、コンクリート素材がイミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を含有していれば、この保水性能(保水量および吸水率)の耐久性を向上することができる。なぜならば、従来の保水性ブロックは、カビや菌類(死骸や糞も含めて)の繁殖が空隙の目詰まりを引き起こし、毛細管現象が低下するからであり、予めコンクリート素材にイミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を添加しておけば、カビや菌類の繁殖を防ぎ、結果として、保水性能の耐久性を向上することができるからである。
【0032】
このようなコンクリート素材を所定形状の型枠内に流し込み、この型枠内にコンクリートブロックを打設した後、脱型してコンクリートブロックを成形する(コンクリートブロック成形工程)。
【0033】
コンクリートブロック成形工程の後、蒸気養生設備を用いた蒸気養生により、コンクリートブロックを促進養生する(コンクリートブロック促進養生工程)ことが好ましい。
このようにコンクリートブロックを促進養生すれば、結合材における高炉スラグ微粉末の含有量が多くても、コンクリートブロックの初期強度を増進することができる。
【0034】
養生が完了したコンクリートブロックには、その表面に研磨、切削または割肌などの意匠加工が施される。
【0035】
なお、高炉スラグ微粉末の含有量が多くなるほど、また、促進養生を行うほど、コンクリートブロック内部は青色を呈するようになる。これは、高炉スラグ微粉末に含まれる硫黄成分がセメント中の酸化物と反応して硫黄塩となり、この硫黄塩が発色することに起因していると推定される。したがって、上記のように、養生が完了したコンクリートブロックの表面に意匠加工を施すと、コンクリートブロック内部が露出し、その青色が露呈すると、外観を損ねるという不具合が生じる。しかも、このコンクリートブロック内部の露出面(意匠加工により形成された意匠加工面)の青色は、時間の経過とともに退色するものの、完全に消失するまでには1ヶ月以上もかかってしまい、コンクリートブロックの色の検品や、コンクリートブロックの出荷に大きな支障となる。
図1に、一般的な化粧コンクリートブロック10と、その意匠加工面11を示す。
【0036】
そこで、本発明では、コンクリートブロックの意匠加工面を酸化処理する(酸化処理工程)ことにより、意匠加工面の青色を消失させる。
具体的には、コンクリートブロックの意匠加工面に対する酸化処理としては、(1)意匠加工面への過酸化水素、オゾン、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を含む液の吹き付けにより行う方法、(2)意匠加工面への上記の酸化剤を含む液とフッ素系撥水剤を含む混合液の吹き付けにより行う方法、(3)意匠加工面への上記の酸化剤を含む液とフッ素系撥水剤とイミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を含む混合液の吹き付けにより行う方法などが挙げられる。
【0037】
(1)意匠加工面への上記の酸化剤を含む液の吹き付けにより行う方法では、吹き付け装置を用いて、意匠加工面に、上記の酸化剤を含む液を0.1重量%以上含む液を吹き付ける。この際、吹き付ける量は、意匠加工面の単位面積(1cm)当たり0.01ml〜0.1ml程度であることが好ましい。
この方法によれば、意匠加工面の青色を短時間(数秒)に消失させることができる。
【0038】
(2)意匠加工面への上記の酸化剤を含む液とフッ素系撥水剤を含む混合液の吹き付けにより行う方法では、(1)の方法と同様の装置を用いて、意匠加工面に、上記の酸化剤を含む液とフッ素系撥水剤を含む混合液を吹き付ける。この際、混合溶液を吹き付ける量は、意匠加工面の単位面積(1cm)当たり0.01ml〜0.1ml程度であることが好ましい。
【0039】
また、この混合溶液における上記の酸化剤を含む液の含有率は、過酸化水素の場合で、0.1重量%以上かつ35.0重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.0重量%以上かつ10.0重量%以下である。
上記の酸化剤を含む液の含有率が0.1重量%以上かつ35.0重量%以下であることが好ましい理由は、上記の酸化剤を含む液の含有率が0.1重量%未満では、意匠加工面の青色を消失させる効果が低下するからであり、一方、上記の酸化剤を含む液の含有率が35.0重量%を超えると、刺激性が高まるので、取り扱いに注意を要するばかりでなく、コンクリート表面が中和されて変色するからである。また、過酸化水素を含む液は弱酸性であり、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を混ぜて中性にすると変色も抑えられ呈した青色の脱色も一層の効果が得られる。
【0040】
この方法によれば、意匠加工面の青色を短時間に消失させることができるとともに、意匠加工面に撥水性および撥油性を付与することができる。したがって、意匠加工面におけるカビの発生や、排気ガスの煤汚れの付着などを抑制することができる。さらに、撥水性を付与することにより、酸性雨からコンクリートブロックを保護することができるとともに、コンクリートブロックの表面が長期間アルカリ性を呈するので、カビの繁殖を防止することもできる。
【0041】
なお、本発明では、フッ素系撥水剤の代わりに、防汚効果は低いものの、シリコン系撥水剤なども用いることができる。
【0042】
(3)意匠加工面への上記の酸化剤を含む液とフッ素系撥水剤とイミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を含む混合液の吹き付けにより行う方法では、(1)の方法と同様の装置を用いて、意匠加工面に、上記の酸化剤を含む液とフッ素系撥水剤とイミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を含む混合液を吹き付ける。この際、混合溶液を吹き付ける量は、意匠加工面の単位面積(1cm)当たり0.01ml〜0.1ml程度であることが好ましい。
【0043】
また、この混合溶液における上記の酸化剤を含む液の含有率は、0.1重量%以上かつ35.0重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5重量%以上かつ3.0重量%以下である。
【0044】
また、この混合溶液の配合割合は、フッ素系撥水剤が2重量%〜20重量%、イミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤が0.5重量%〜5.0重量%であることが好ましい。
この混合溶液の配合割合が上記の通りであることが好ましい理由は、意匠加工面への撥水性および撥油性の付与、および、意匠加工面への抗菌・防カビ性の付与を両立することができるからである。
【0045】
イミダゾール系を主成分とした理由は、この抗菌・防カビ剤は、耐アルカリ性があるからである。
【0046】
本発明のコンクリートブロックの製造方法によれば、意匠加工面の青色を短時間に消失させることができるとともに、意匠加工面に撥水性および撥油性に加えて、抗菌・防カビ性を付与することができる。したがって、意匠加工面におけるカビの発生や、排気ガスの煤汚れの付着などを抑制することができる。さらに、撥水性を付与することにより、酸性雨からコンクリートブロックを保護することができるとともに、コンクリートブロックの表面が長期間アルカリ性を呈するので、カビの繁殖を防止することもできる。また、撥水性の付与のみでは、抗菌・防カビ性が不十分である場合、イミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤により、コンクリートブロックの表面がアルカリ性を呈していても、長期間抗菌・防カビ性を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のコンクリートブロックの製造方法は、塀用ブロックや床用ブロックの製造をはじめとして、特に意匠性が要求される用途に用いられるコンクリートブロックの製造に好適に用いられる。また、保水性舗装用コンクリートブロックの製造にも好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】一般的な化粧コンクリートブロックを示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
10・・・化粧コンクリートブロック、11・・・意匠加工面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合材と骨材とを含み、前記結合材が30重量%以上の高炉スラグ微粉末を含有するコンクリート素材を打設してコンクリートブロックを成形する工程と、前記コンクリートブロックの表面に意匠加工を施す工程と、前記コンクリートブロックの意匠加工面を酸化処理する工程と、を有することを特徴とするコンクリートブロックの製造方法。
【請求項2】
前記結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が70重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートブロックの製造方法。
【請求項3】
前記酸化処理は、前記意匠加工面への酸化剤を含む液の吹き付けにより行うことを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートブロックの製造方法。
【請求項4】
前記酸化処理は、前記意匠加工面への酸化剤とフッ素系撥水剤を含む混合液の吹き付けにより行うことを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートブロックの製造方法。
【請求項5】
前記酸化処理は、前記意匠加工面への酸化剤とフッ素系撥水剤とイミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を含む混合液の吹き付けにより行うことを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートブロックの製造方法。
【請求項6】
前記結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が90重量%を超える場合、前記結合材にアルカリ金属水酸化物を添加することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のコンクリートブロックの製造方法。
【請求項7】
前記コンクリートブロックを成形する工程の後、前記コンクリートブロックを促進養生する工程を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のコンクリートブロックの製造方法。



【図1】
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【公開番号】特開2009−91207(P2009−91207A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264464(P2007−264464)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(592088622)マチダコーポレーション株式会社 (8)
【Fターム(参考)】