説明

コンクリートブロック及びコンクリートブロックの印刷方法

【課題】インクジェット印刷を建築用のコンクリートブロックに適用し、コンクリート特有の質感を生かしたコンクリートブロックを得る。
【解決手段】コンクリートブロック10のフェイスシェル面10aに印刷画像をインクジェット印刷するためのコンクリートブロック10の印刷方法であって、ゼロスランプのコンクリートを型枠に投入して締め固めた後に即時脱形して製造したコンクリートブロック10を使用し、インクジェット印刷を行う前に、前記フェイスシェル面10aにショットブラスト、サンドブラスト、研磨加工の少なくともいずれかを施した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリートブロック及びコンクリートブロックの印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築材にインクジェット印刷を施すことで、様々な意匠の建築材を提供することが検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、インクジェットプリントにて画像が形成された建築板に係る発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−167334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記したようなインクジェット印刷を建築用のコンクリートブロックに適用し、コンクリート特有の質感を生かしたコンクリートブロックを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
(請求項1)
【0007】
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
(請求項1)
【0008】
すなわち、請求項1に記載のコンクリートブロックの印刷方法は、コンクリートブロックのフェイスシェル面に印刷画像をインクジェット印刷するためのコンクリートブロックの印刷方法であって、ゼロスランプのコンクリートを型枠に投入して締め固めた後に即時脱形して製造したコンクリートブロックを使用し、インクジェット印刷を行う前に、前記フェイスシェル面にショットブラスト、サンドブラスト、研磨加工、切削加工、ビシャン加工の少なくともいずれかを施したことを特徴とする。
(請求項2)
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0010】
すなわち、前記インクジェット印刷を施す面積は、前記フェイスシェル面の5〜30%であることを特徴とする。
(請求項3)
【0011】
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載のコンクリートブロックの印刷方法を使用して印刷を施したコンクリートブロックである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記の通りであり、ゼロスランプのコンクリートを型枠に投入して締め固めた後に即時脱形して製造したコンクリートブロック(いわゆる「即脱式」で得たコンクリートブロック)を使用する。このため、流し込みで製造したブロックに比べ、フェイスシェル面が粗面であり、独特の質感を得ることができる。
【0013】
しかも、このフェイスシェル面にインクジェット印刷を行う前に、フェイスシェル面にショットブラスト、サンドブラスト、研磨加工、切削加工、ビシャン加工の少なくともいずれかを施した。このため、単なる粗面とはまた違った表情を得ることができる。
【0014】
すなわち、ショットブラスト、サンドブラスト、切削加工、ビシャン加工処理を行った場合、表面のセメントペースト層が取られ、内部の骨材の一部が露出した面となる。このとき、使用する骨材の色を変えることとすれば、凹凸感に色の変化も加わり、重厚な質感となる。このような加工面に印刷を行えば、インクジェット印刷と相まって、質感を生かした画像を得ることができる。
【0015】
また、研磨処理を行った場合、内部の骨材の一部が露出し、その色も見えるようになり、コンクリート面に光沢を出すことができる。このような加工面に印刷を行えば、ショットブラストやサンドブラストとは違った質感を生かした表面を得ることができる。
【0016】
なお、インクジェット印刷を施す面積は、フェイスシェル面の5〜30%であることが望ましい。さらに望ましくは5〜20%がよい。すなわち、加工を施したコンクリートブロックの質感を生かすためには、印刷面があまり多くては効果が得られないためである。また、印刷範囲を減らすことでインク使用量を減らすことができ、製造コストも下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コンクリートブロックの(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図である。
【図2】(a)被写体を示す図、(b)印刷を施したコンクリートブロックの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るコンクリートブロック10を示す図である。このコンクリートブロック10は、ゼロスランプのコンクリートを型枠に投入して締め固めた後に即時脱形して製造したもの(いわゆる「即脱式」で得たコンクリートブロック)であり、縦190mm、横398mmのサイズとなっている。
【0020】
このコンクリートブロック10は、この図1に示すように、表裏にフェイスシェル面10aを有している。このフェイスシェル面10aには、ショットブラスト、サンドブラスト、研磨加工、切削加工、ビシャン加工の少なくともいずれかが施されており、内部の骨材の一部が露出した面となっている。
【0021】
本実施形態においては、フェイスシェル面10aの全体にショットブラスト、サンドブラスト、研磨加工の少なくともいずれかが施されていることとするが、これに限らず、フェイスシェル面10aの一部にのみショットブラスト、サンドブラスト、研磨加工の少なくともいずれかを施してもよい。一部にのみ加工を施すこととすれば、非加工面と加工面との質感の違いによってもデザインの幅を広げることができる。
【0022】
本実施形態においては、このフェイスシェル面10aに対して、図2(a)に示すような被写体Aを撮影した画像を使用してインクジェット印刷を施す。
【0023】
被写体Aは、石A1を複数枚並べ、それぞれの石A1の間に目地A2を設けたものである。この被写体Aをデジタルカメラなどで撮影し、撮影した画像をパソコンなどに取り込み、画像編集ソフトなどでトリミングを行うことにより、印刷画像を得る。
【0024】
本実施形態においては、撮影した画像のうち、目地A2の部分のみを抽出し、これを印刷画像として使用する。すなわち、図2(b)の印刷領域Pが示すように、目地A2の部分のみを印刷する。
【0025】
なお、この印刷領域Pは、フェイスシェル面10aの5〜30%であることが望ましい。さらに望ましくは5〜20%がよい。本実施形態においては、190×398=75620ミリ平方メートルのフェイスシェル面10aに対して、41.5×73.2=3037.8ミリ平方メートルの石A1が4×5=20個配置されており、各石A1の間に幅8ミリメートルの目地A2を設けたデザインとなっている。このため、目地A2の面積(すなわち印刷領域P)は、14864ミリ平方メートルであり、フェイスシェル面10aの約19.7%となっている。
【0026】
上記実施形態によれば、いわゆる「即脱式」で得たコンクリートブロック10を使用するため、流し込みで製造したブロックに比べ、フェイスシェル面10aが粗面であり、独特の質感を得ることができる。
【0027】
しかも、このフェイスシェル面10aにインクジェット印刷を行う前に、フェイスシェル面10aにショットブラスト、サンドブラスト、研磨加工、切削加工、ビシャン加工の少なくともいずれかを施した。このため、単なる粗面とはまた違った表情を得ることができる。
【0028】
例えば、ショットブラスト、サンドブラスト、切削加工、ビシャン加工を行った場合、表面のセメントペースト層が取られ、内部の骨材の一部が露出した面となる。このとき、使用する骨材の色を変えることとすれば、凹凸感に色の変化も加わり、重厚な質感となる。このような加工面に印刷を行えば、インクジェット印刷と相まって、質感を生かした画像を得ることができる。
【0029】
また、研磨処理を行った場合、内部の骨材の一部が露出し、その色も見えるようになり、コンクリート面に光沢を出すことができる。このような加工面に印刷を行えば、ショットブラストやサンドブラストとは違った質感を生かした表面を得ることができる。
【0030】
また、インクジェット印刷を施す面積を、フェイスシェル面10aの5〜30%、さらに望ましくは5〜20%としたため、印刷を施していない部分において加工面が露出する。これにより、加工を施したコンクリートブロック10の質感を生かしたデザインとすることができる。また、印刷範囲を減らすことでインク使用量を減らすことができ、印刷コストを低減させることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 コンクリートブロック
10a フェイスシェル面
A 被写体
A1 石
A2 目地
P 印刷領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートブロックのフェイスシェル面に印刷画像をインクジェット印刷するためのコンクリートブロックの印刷方法であって、
ゼロスランプのコンクリートを型枠に投入して締め固めた後に即時脱形して製造したコンクリートブロックを使用し、
インクジェット印刷を行う前に、前記フェイスシェル面にショットブラスト、サンドブラスト、研磨加工の少なくともいずれかを施したことを特徴とする、コンクリートブロックの印刷方法。
【請求項2】
前記インクジェット印刷を施す面積は、前記フェイスシェル面の5〜30%であることを特徴とする、請求項1記載のコンクリートブロックの印刷方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコンクリートブロックの印刷方法を使用して印刷を施したコンクリートブロック。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−196795(P2012−196795A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61112(P2011−61112)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(594033260)エスビック株式会社 (9)
【Fターム(参考)】