コンクリートブロック及びマスコンクリート構造物の構築方法
【課題】 作業が危険な現場や工期が短い場所にマスコンクリート構造物を構築するに際し、作業条件が良く安全な別の場所でコンクリートブロックを製造し、これを現場に運搬し、堅固に安全に短期間に簡単に積み上げる。このような用途に使用するコンクリートブロックを開発する。
【解決手段】 直方体形状の本体部と、その上面の四隅から延出する四角錐台形状の4本の上脚部と、その下面の四隅から延出する逆四角錐台形状の4本の下脚部とを有し、本体部はその上面中央部には上嵌入部を、下面中央部には下嵌入部を有する基本コンクリートブロックであって、当該ブロック同士を上下方向に相互に嵌合させ、前後左右及び上下に密に接触させて配置することができるもの。このブロックでマスコンクリート構造物を構築するに際しては、各層におけるブロックの平面形における位置を、前後左右にブロック半個ずつずらせて配置する。
【解決手段】 直方体形状の本体部と、その上面の四隅から延出する四角錐台形状の4本の上脚部と、その下面の四隅から延出する逆四角錐台形状の4本の下脚部とを有し、本体部はその上面中央部には上嵌入部を、下面中央部には下嵌入部を有する基本コンクリートブロックであって、当該ブロック同士を上下方向に相互に嵌合させ、前後左右及び上下に密に接触させて配置することができるもの。このブロックでマスコンクリート構造物を構築するに際しては、各層におけるブロックの平面形における位置を、前後左右にブロック半個ずつずらせて配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堰堤、コンクリート堤防、擁壁、堤防法面下部の土留擁壁等のマスコンクリート構造物を構築するためのコンクリートブロックであって、コンクリートブロック同士を前後左右及び上下に密に接触させて配置することができ、且つ互いに上下方向に堅固に嵌合させることで、これらを堅牢に固定することが可能なコンクリートブロック(以下、単に「ブロック」と称することがある)と、そのようなコンクリートブロックを、堅固に、安全に、短期間に、簡単に積み上げるマスコンクリート構造物の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に山間部は地形条件が悪く、交通の便が悪く、資材の運搬やコンクリートの打設作業も困難である。また、山間僻地の治山、治水作業現場は、急斜面や狭い谷底であり、転落、斜面崩壊、落石、鉄砲水などが発生する可能性のある危険な場所である。従来は、このような危険な場所に人が立入り、堰堤や擁壁等のマスコンクリート構造物を構築していた。これは非常に危険な作業であり、短期間に作業を終了させることが安全に繋がっていた。また、災害緊急対策工事等の場合には、現地における作業ヤードの確保が困難であるとか、現地における作業可能な時間が非常に短い等、悪条件下での作業が必要とされることが多かった。また、演習場内の工事では、1年間に確保できる工期が大変短く、小規模な工事でも竣工までに数年を要していた。そこで、予め別の作業条件の良い場所でコンクリートブロックを製造し、それを現場に運搬して積み上げれば、現地での作業が安全に、しかも簡単且つ短時間で済むようになる。
【0003】
上記の観点から、別の場所で製造されたコンクリートブロックを積み上げることによって構築物とする技術が提案された。例えば特許文献1乃至3には、上面に二つの凸部、下面に二つの凹部を有し、それらのブロックの凸部と凹部とを係合させて積み上げる、擁壁や護岸壁形成用のコンクリートブロックが開示されている。特許文献1乃至3には、これらのブロックを上下段で半単位(幅方向半分)ずつずらして積み上げることにより、擁壁や護岸壁等の壁面を構築することも記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1乃至3に開示されたブロックは、いずれも上下及び左右にのみ積み上げられるもの、すなわち壁面構築用のものであり、前後に、すなわち厚みが要求されるマスコンクリート構造物の構築における使用は考慮されておらず、したがって、そのような用途に使用するのに十分な構造となってはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−45797
【特許文献2】特開2000−291029
【特許文献3】特開平07−138968
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
治山、治水のためにマスコンクリート構造物を構築するに際し、その場所が山間部の急斜面や狭い谷底である場合には、転落、斜面崩壊、落石、鉄砲水などで、作業を行う場所自体が危険であり、作業を行う人が居るだけでも危険である。そこで、本発明者らは、作業工程を分析検討し、実際に人が現地で行わなければならない作業のみを現地で行うマスコンクリート構造物の構築方法について研究した。その結果、前後左右及び上下に密に接触させて配置することができ、互いに上下方向に堅固に嵌合可能な形状で、結果として前後左右のブロックも堅牢に固定でき、例えば軽トラックや小型トラックで運搬できる程度の大きさのブロックを、コンクリートの打設が容易な場所で製造すれば、現場では、そのようなブロックを単に載置する、或いは積み上げる作業のみを行うことで、堅固に、安全に、短期間に、簡単に、空隙率が小さく、堅牢で且つ見かけの比重が大きいマスコンクリート構造物を構築することができるとの結論に達した。
【0007】
そこで、本発明者らは、マスコンクリート構造物、特に、堅牢で且つ見かけの比重が大きいマスコンクリート構造物を構築するためのコンクリートブロックであって、各ブロックを前後左右及び上下に密に接触させて配置することができ、且つ互いに上下方向に堅固に嵌合することができるコンクリートブロックと、そのようなコンクリートブロックを用いる、隣接する上下の層ごとにブロックの平面形の位置を前後左右にブロック半個ずつずらせて配置すること、ブロック同士を上下方向に堅固に嵌合すること、及びブロック同士を前後左右及び上下に密に接触させて配置することができるマスコンクリート構造物の構築方法について鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、直方体形状の本体部2と、本体部2の上面19の四隅から延出する四角錐台形状の4本の上脚部4,4,4,4と、本体部2の下面20の四隅から延出する逆四角錐台形状の4本の下脚部5,5,5,5とを有する基本コンクリートブロックに関する。前記本体部2は、その上面19の中央部には逆四角錐台形状の上嵌入部8を、下面20の中央部には四角錐台形状の下嵌入部11を有する。前記4本の上脚部4,4,4,4は、互いに同形状且つ同じ大きさである。但し、方向は異なる。前記4本の上脚部4,4,4,4の各々は、本体部2の側面3A,3Bに各々共通する側面9c,9dと、側面9cに隣接する内側の側面9b及び側面9dに隣接する内側の側面9aとを有する。前記4本の下脚部5,5,5,5の各々は、本体部2の側面3A,3Bに各々共通する側面10c,10dと、側面10cに隣接する内側の側面10b及び側面10dに隣接する内側の側面10aとを有する。但し、本体部2は、ブロックの配置に方向性が出ないために、その水平横断面(又は平面)形状が正方形の直方体であり、且つ、上脚部4及び下脚部5、上嵌入部8及び下嵌入部11も、各々、その水平横断面(又は平面)形状が正方形であることが好ましい。
【0009】
前記本発明の基本コンクリートブロックにおいて、上嵌入部8の底面6aは、本体部2の上面19と平行であり、上嵌入部8の上端である外周の位置は、上嵌入部8が上脚部4,4,4,4と重ならず且つ当該外周を形成する四辺すべての外側に上面19が存在することが必要であり、上嵌入部8の側面7a1,7a2の傾斜角は、各々、下脚部5の内側の側面10a,10bの傾斜角と同一の角度である。ここで、上脚部4,4,4,4が上面19の四隅から延出しているとの記載からも明らかなように、「上面19」の定義には、上脚部4,4,4,4が存在する部分、換言すれば、上脚部4の底面も含まれる。また、「上嵌入部8が上脚部4,4,4,4と重ならず」とは、上脚部4,4,4,4の下に上嵌入部8が潜り込まないことをいう。
【0010】
同様に、下嵌入部11の天井6bは、本体部2の下面20と平行であり、下嵌入部11の下端である外周の位置は、下嵌入部11が下脚部5,5,5,5と重ならず且つ当該外周を形成する四辺すべての外側に下面20が存在することが必要であり、下嵌入部11の側面7b1,7b2の傾斜角は、各々、上脚部4の内側の側面9a,9bの傾斜角と同一の角度である。ここで、下脚部5,5,5,5が下面20の四隅から延出しているとの記載からも明らかなように、「下面20」の定義には、下脚部5,5,5,5が存在する部分、換言すれば、下脚部5の天井も含まれる。また、「下嵌入部11が下脚部5,5,5,5と重ならず」とは、下脚部5,5,5,5の上に下嵌入部8が潜り込まないことをいう。
【0011】
上嵌入部8の上端である外周の位置は、4本の上脚部4,4,4,4の中、隣り合う2本の上脚部4,4の底面の内側角部x,x同士を結ぶ直線と同じであるか又はそれよりも内側であることが好ましく、内側角部x,x同士を結ぶ直線と同じであることが特に好ましい。また、下嵌入部11の下端である外周の位置は、4本の下脚部5,5,5,5の中、隣り合う2本の下脚部5,5の天井面の内側角部y,y同士を結ぶ直線と同じであるか又はそれよりも内側であることが好ましく、内側角部y,y同士を結ぶ直線と同じであることが特に好ましい。
【0012】
前記本発明の基本コンクリートブロックにおいて、上嵌入部8の形状は、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部5,5,5,5を、下脚部5の外側の二側面10c,10dの境界である辺42が中央に来るように集結させたものの形状とほぼ同じである。上嵌入部8の深さは、下脚部5の高さよりも大きく(好ましくはやや大きく)、上嵌入部8の大きさは、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部5,5,5,5を、下脚部5の外側の二側面10c,10dの境界である辺42が中央に来るように集結させた大きさよりも大きく(好ましくはやや大きく)、したがって、上嵌入部8には、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部5,5,5,5を、下脚部5の外側の二側面10c,10dの境界である辺42が中央に来るように集結させて挿入することができる。また、下嵌入部11の形状は、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部4,4,4,4を、上脚部4の外側の二側面9c,9dの境界である辺41が中央に来るように集結させたものの形状とほぼ同じである。下嵌入部11の深さは、上脚部4の高さよりも大きく(好ましくはやや大きく)、下嵌入部11の大きさは、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部4,4,4,4を、上脚部4の外側の二側面9c,9dの境界である辺41が中央に来るように集結させた大きさよりも大きく(好ましくはやや大きく)、したがって、下嵌入部11には、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部4,4,4,4を、上脚部4の外側の二側面9c,9dの境界である辺41が中央に来るように集結させて挿入することができる。
【0013】
上記の上嵌入部8の深さと下脚部5の高さとの関係、及び、上嵌入部8の容積と4本の下脚部5,5,5,5の総容積との関係は、上嵌入部8に4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部5,5,5,5が上記のように挿入できるという条件の下、略同一であること、具体的には、上嵌入部8の深さが下脚部5の高さよりもやや大きく、上嵌入部8の大きさが4本の下脚部5,5,5,5の総容積よりもやや大きいことが好ましい。すなわち、土木工事の施工の観点から、これらの関係が全く同一の大きさであると、マスコンクリート構造物を構築するブロックの積み上げ作業に当たって、上嵌入部8に4個の下脚部5,5,5,5を挿入することが殆ど困難となるが、一方、大きさの相違が大きすぎると、すなわち、上嵌入部8の大きさに対して相対的に下脚部5の大きさが小さすぎると、下脚部5のせん断強度が不足したり、コンクリートブロックを上下方向に嵌合させたときに空隙が多すぎて、マスコンクリート構造物全体としての比重が小さくなってしまうからである。基本コンクリートブロックを積み上げたマスコンクリート構造物の容積空隙率は、当該構造物の見掛けの比重を大きくし且つ安定性を大きくするため、ブロックの製作誤差、ブロックを配置する基礎面の凹凸、及びブロックの積上げ施工に必要な余裕に配慮すると、5乃至15容積%であることが好ましく、5乃至10容積%であることがさらに好ましい。なお、マスコンクリート構造物の見掛けの比重を大きくするためには、工事施工に支障が生じないことを条件に、上記容積空隙率を0容積%に近付けることが特に好ましい。
【0014】
ここで、上脚部4の形状は四角錐台、下脚部5の形状は逆四角錐台と規定しているが、後記するように、直線で切り欠かれた切欠き面を有する態様では、その切欠いた個所も一辺と数えれば(逆)五角錐台又は(逆)六角錐台ということができる。また、曲線で切り欠かれた切欠き面を有する態様は、厳密には角錐台と呼称することはできない。しかし、本願明細書においては、上脚部4や下脚部5の形状の名称に関しては、切欠き面(これは、「面取り」ということもできる)は一辺としては数えずに、四角錐台、逆四角錐台と呼称する。
【0015】
上記基本コンクリートブロックにおいて、下嵌入部11を更に深く穿設して吊り金具収納部15を設けてもよい。
【0016】
上記基本コンクリートブロックは、上嵌入部8の中心には、その横断面形状が上嵌入部8の底面6aの4辺と斜角で、すなわち、ある角度をもって交わる直線によって囲まれた四辺形の貫通孔12が、下嵌入部11の天井6bに達するように又は吊り金具収納部15の天井6cに達するように穿設され、本体部2の四隅と上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位には、各々が貫通孔12の一辺と平行な直線で切欠かれた4個所の切欠き面13,13,13,13が設けられているものであってもよい。また、貫通孔12の各辺と底面6aの各辺との角度、及び、切欠き面13とブロックの外周面を構成する各辺との角度は、45°であることが最も好ましい。
【0017】
上記基本コンクリートブロックは、上嵌入部8の中心には、その横断面形状が円形又は楕円形の貫通孔12が、下嵌入部11の天井6bに達するように又は吊り金具収納部15の天井6cに達するように穿設され、本体部2の四隅と上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位には、各々が内側に向かって凸となっている円又は楕円の1/4の円弧状の切欠き面13,13,13,13が設けられているものであってもよい。
【0018】
上記基本コンクリートブロックは、上嵌入部8の中心には、その横断面形状が上嵌入部8の底面6aの4辺と斜角で、すなわち、ある角度(好ましくは45°)をもって交わる直線によって囲まれた四辺形の貫通孔12が、下嵌入部11の天井6bに達するように又は吊り金具収納部15の天井6cに達するように穿設され、本体部2の四隅と上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位には、各々が内側に向かって凸となっている円又は楕円の1/4の円弧状の切欠き面13,13,13,13が設けられているものであってもよい。
【0019】
上記基本コンクリートブロックは、上嵌入部8の中心には、その横断面形状が円形又は楕円形の貫通孔12が、下嵌入部11の天井6bに達するように又は吊り金具収納部15の天井6cに達するように穿設され、本体部2の四隅と上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位には、各々が直線で切欠かれた切欠き面13,13,13,13が設けられているものであってもよい。
【0020】
上記の切欠き面13,13,13,13が設けられている基本コンクリートブロックが、さらに、各上脚部4には内側の二側面9a,9bの境界である辺31を通り且つ側面9aと側面9bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面16があり、各下脚部5には内側の二側面10a,10bの境界である辺32を通り且つ側面10aと側面10bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面17があり、上嵌入部8は、その側面の四隅の各々に、すなわち、側面7a1と側面7a2との境界部に、下脚部5の切欠き面17に対応するハンチ面26を有し、下嵌入部11は、その側面の四隅の各々に、すなわち、側面7b1と側面7b2との境界部に、上脚部4の切欠き面16に対応するハンチ面27を有するものであってもよい。
【0021】
ここで、「ハンチ部面27」は、「上脚部4の切欠き面16に対応する」のであるが、これは、4本の上脚部4,4,4,4が下嵌入部11に入ることができるという条件の下、ハンチ面27の形状が上脚部4の切欠き面16の形状と略同一であり、ハンチ面27の大きさが上脚部4の切欠き面16の大きさよりもやや大きく、ハンチ面27の傾斜角度は上脚部4の切欠き面16の傾斜角度と略同一であることを意味する。また、「下脚部(5)の切欠き面17に対応するハンチ面26」も同様である。
【0022】
本発明は、上記いずれかの基本コンクリートブロックであって同じもの2体を、同形状且つ同寸法の一側面を共通にして連結した後、一方の基本コンクリートブロックを、連結した面と平行な面で且つ中央で切断した形状を有する、基本コンクリートブロック1.5体の端辺用コンクリートブロックにも関する。なお、切断する個所は「中央」であるが、これは、「厳密に中央」である場合のみならず、「中央付近」である場合をも含み、したがって、「1.5体」も「約1.5体」を意味する。
【0023】
さらに、本発明は、上記の端辺用コンクリートブロックを、基本コンクリートブロック同士を連結した面と直交する面で且つ中央で切断した形状を有する、角部用コンクリートブロックにも関する。角部用コンクリートブロックには、切断した面に対して対称な二種類が存在する。「中央」の意味は、端辺用コンクリートブロックの場合と同様である。
【0024】
上記の本発明に係るコンクリートブロックは、粗骨材の一部又は全部に電気炉酸化スラグを使用してなるもの、及び/又は、細骨材の一部又は全部に銅スラグを使用してなるものであってもよい。
【0025】
本発明は、マスコンクリート構造物の建設地に、本発明の基本コンクリートブロックであって、本体部の四隅に切欠き面を有さないコンクリートブロックであって同じもの4個を、各ブロックにおいて二側面の境界である4本の辺の中の1本が中央に来るように集結させて一単位を構成させて第1のブロック層を構築し、ここで、第1のブロック層は、一単位以上を備えるものであり、且つ、一単位の平面形状は長方形(ここでは、「正方形」を含む意味で使用されている)であり、次いで、第1のブロック層の各コンクリートブロックの上嵌入部に、第2のブロック層の構成要素となる1乃至4個のコンクリートブロックであって第1のブロック層を構成するものと同じものの各々に由来する1乃至4本の下脚部を挿入し且つ第2のブロック層の構成要素となる各コンクリートブロックの下嵌入部に、第1のブロック層の1乃至4個のコンクリートブロックの各々に由来する1乃至4本の上脚部を挿入して第2のブロック層を構築し、第3のブロック層以降は第2のブロック層と同様にコンクリートブロックを積み上げることを特徴とするコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法に関する。
【0026】
本発明は、マスコンクリート構造物の建設地に、本体部の四隅に切欠き面を有する本発明の基本コンクリートブロックであって同じもの4個を、各ブロックの本体部四隅の切欠き面を集結させることにより、その横断面形状が四辺形、円形又は楕円形の見掛け上の貫通孔を形成させて一単位を構成させ、第1のブロック層を構築し、ここで、第1のブロック層は、一単位以上を備えるものであり、且つ、一単位の平面形状は切欠き面を有する長方形(ここでは、「正方形」を含む意味で使用されている)であり、次いで、第1のブロック層の各コンクリートブロックの上嵌入部に、第2のブロック層の構成要素となる1乃至4個のコンクリートブロックであって第1のブロック層を構成するものと同じものの各々に由来する1乃至4本の下脚部を挿入し且つ第2のブロック層の構成要素となる各コンクリートブロックの下嵌入部に、第1のブロック層の1乃至4個のコンクリートブロックの各々に由来する1乃至4本の上脚部を挿入して第2のブロック層を構築し、これにより、第1のブロック層の貫通孔の上に、第2のブロック層のコンクリートブロックの見掛け上の貫通孔が重なり、第3のブロック層以降は第2のブロック層と同様にコンクリートブロックを積み上げることを特徴とするコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法にも関する。
【0027】
上記いずれの構築方法であっても、構築されるマスコンクリート構造物は、コンクリートブロック層の縦横の端部それぞれにおいて、コンクリートブロック層一層につき、下層から上層に向かって基本コンクリートブロックの幅の1/2ずつ減少しているか又は増加しているものとなる。即ち、マスコンクリート構造物の外縁部は、階段状又は逆階段状となる。
【0028】
さらに、本発明のコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法は、上記いずれかの構築方法において、偶数層のブロック層を積み上げるにあたり、マスコンクリート構造物の端辺には、前記基本コンクリートブロック1.5体の端辺用コンクリートブロックを、その側面の中、基本コンクリートブロックの中央で切断した切断面に相当する側面がマスコンクリート構造物の端辺を構成するように配置し、マスコンクリート構造物の角部には前記角部用コンクリートブロックを配置することを包含する方法であってもよい。このような方法では、その外縁壁が鉛直であるマスコンクリート構造物を構築することができる。
【0029】
本発明は、上記した基本コンクリートブロックの中のいずれかの、本体部2をその一側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる本体部2の1/2とした部分であって実質的に上嵌入部8を有さない部分2a(以下、「1/2とした部分2a」という)と、二つの下脚部5,5と、前記1/2とした部分2aの上面19上に形成された傾斜部70とを有する水撥ね部50と、上記した基本コンクリートブロックの中のいずれか(但し、1/2とした部分2aを提供した基本コンクリートブロックと同じもの)をその一側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる他の1/2残部60とを有し、水撥ね部50と他の1/2残部60とが切断面同士で結合されてなる小段用コンクリートブロックにも関する。他の1/2残部60は、基本コンクリートブロックを側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる基本コンクリートブロックの1/2とした部分であるから、それぞれ2本の上脚部4,4及び下脚部5,5と、上嵌入部8の半分及び下嵌入部11の半分を有する1/2本体部2からなる。
【0030】
上記の小段用コンクリートブロックにおいて、傾斜部70は、1/2とした部分2aの側面3Aから延出した側面80Aと、1/2とした部分2aの側面3Aの両側に位置する側面3B’,3B’の各々から延出した側面80B,80Bと、二つの側面80B,80Bを繋ぐ側面80Cと、上面80Dとを有する。基本コンクリートブロックが貫通孔12を有する場合には、側面80Cの幅方向中央部に、当該貫通孔12の大きさ及び形状を変化させないための鉛直方向の凹部80Eを有する。また、側面80Aは、その少なくとも一部(例えばその下方を除いた部分、或いはその上方を除いた部分)、好ましくは全部が内側に傾斜しており、二つの側面80B,80Bの各々は、1/2とした部分2aの側面3B’,3B’に共通する側面であり、側面80Cは、他の1/2残部60の内側の面(切断面)と水撥ね部50の1/2とした部分2aの内側の面(切断面)とが結合された位置よりも、水撥ね部50の内側に若干後退した位置にある。また、側面80Cは、上嵌入部8の底面6aまで延出している。小段用コンクリートブロックの上嵌入部8は、他の1/2残部60側から、水撥ね部50の1/2とした部分2a側に、側面80Cに結合するように若干延長されている。換言すれば、水撥ね部50の1/2とした部分2aには、上嵌入部8は、前記結合された位置と前記若干後退した位置との間にのみ存在する。なお、側面80Aの下端は、1/2とした部分2aの上端より下方に存在していてもよい。
【0031】
前記基本コンクリートブロックが切欠き面13を有するものである場合には、水撥ね部50の外周の二隅には、側面3Aと側面3B’との境界である辺を通り、側面3Aと側面3B’との角度を二等分する鉛直面に対して左右対称であり、且つ切欠き面13と同一の幅を有する切欠き面13aが、下脚部5から側面80Aの下端までの部分に存在している。そして、傾斜部70の高さは、通常は1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/3であり、好ましくは1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/2であり、且つ、傾斜面80Aの勾配(すなわち、水平面からの立ち上がり勾配)は、35度乃至70度であることが望ましく、45度乃至60度であることがさらに望ましい。
【0032】
本発明は、上記した基本コンクリートブロックの中のいずれかと同形状の基本コンクリートブロック部と、当該基本コンクリートブロック部の本体部2をその一側面3Aに平行で且つ中央の面3Cで縦に切断してなる本体部2の1/2とした部分であって上嵌入部8を有さない部分2b(以下、「1/2とした部分2b」という)、二つの下脚部5,5、及び1/2とした部分2bの上面19上に形成された傾斜部75とを有する水撥ね部55とを有し、前記基本コンクリートブロック部の一側面3Aと水撥ね部55の一側面3Aとが結合されてなる1.5体の小段用コンクリートブロックにも関する。
【0033】
上記の1.5体の小段用コンクリートブロックにおいて、基本コンクリートブロック部が貫通孔12を有する場合には、水撥ね部55の前記面3C(これは、小段用のコンクリートブロックにおいては外側面に位置する)の幅方向中央部に、後記する切欠き面13aを二つ結合したものと同様の部分12aを有する。この部分12aは、見掛け上の貫通孔14を構成することとなる。
【0034】
傾斜部75は、前記面3Cから延出した側面85Aと、前記面3Cの両側に位置する側面3B’,3B’の各々から延出した側面85B,85Bと、二つの側面85B,85Bを直接又は間接的に繋ぎ且つ前記の結合された面3Aに平行な側面85Cと、上面85Dとを有し、ここで、側面85Aは、その少なくとも一部(例えばその下方を除いた部分、或いはその上方を除いた部分)、好ましくは全部が内側に傾斜しており、二つの側面85B,85Bの各々は、1/2とした部分2bの側面3B’,3B’に共通する側面であり、側面85Cは、前記の結合された面3Aよりも水撥ね部55側において内側に若干後退した位置にあり、したがって、基本コンクリートブロック部の水撥ね部55との結合部側に存在する、二つの上脚部4,4と上面部19は、水撥ね部55の側面85Cに結合するように延長されている。但し、側面85Aの下端は、1/2とした部分2bの上端より下方に存在していてもよい。
【0035】
前記基本コンクリートブロック部が切欠き面13を有するものである場合には、水撥ね部55には、前記の結合された面3Aと側面3B’との境界である辺を通り、側面3Aと側面3B’との角度を二等分する鉛直面に対して左右対称であり且つ切欠き面13と同一の幅を有する切欠き面13aが存在する。切欠き面13及び13aは見掛け上の貫通孔となる。その切欠き面13aは、下脚部5から1/2とした部分2bを通って傾斜部75の上端までの部分に存在している。そして、傾斜部75の高さは、通常は、1/2とした部分2bの高さと同一乃至その1/3であり、好ましくは1/2とした部分2bの高さと同一乃至その1/2であり、且つ、傾斜面85Aの勾配(すなわち、水平面からの立ち上がり勾配)は、35度乃至70度であることが望ましく、45度乃至60度であることがさらに望ましい。
【0036】
さらに、本発明は、上記したマスコンクリート構造物の構築方法において、堰堤水通し部には、上記した小段用コンクリートブロックと1.5体の小段用コンクリートブロックのいずれか又は両者を配置することを特徴とするマスコンクリート構造物の構築方法にも関する。
【0037】
本発明に係るコンクリートブロックの寸法や形状は、土木工事での使用に支障のない限り、正確でなくてもよい。また、上記のマスコンクリート構造物の構築方法は、土木工事であるから、例えば、相互のブロックの同形状の側面同士を互いに接触させるに際し、側面同士が完全に接触せず、概ね接触している状態であってもよく、コンクリートブロックの層を建設する際のコンクリートブロックの配置も、完全に水平ではなく、概ね水平に配置されていればよい。さらに、例えば、第一のブロック層における貫通孔の位置と第二のブロック層における見掛け上の貫通孔の位置とは、概ね同じ位置であればよい。また、上嵌入部の側面の傾斜角と下脚部の内側の二側面の傾斜角とは、マスコンクリート構造物の構築に支障のない範囲で略同一であればよい。下嵌入部の側面の傾斜角と上脚部の内側の二側面の傾斜角との関係も同様である。さらに、上脚部や下脚部の内側の切欠き面と、下嵌入部や上嵌入部のハンチ面との対応関係も、コンクリート構造物の構築に支障のない範囲で、下嵌入部に上脚部を、また上嵌入部に下脚部を挿入することができるような同一性、対応性があればよい。加えて、「直方体」、「長方形」、「四辺形」、「円」、「楕円」等の形状を示す用語や、「平行」、「同一」、「中央」等の位置を表す用語も、それらの用語の厳密な意味のみではなく、土木工事での使用に支障のない限りにおいて、大凡そのような形状であるとか大凡そのような位置である場合を含む用語として用いている。
【0038】
上記いずれかのマスコンクリート構造物の構築方法において、本体部の四隅に切欠き面を有するコンクリートブロックを用いた場合には、第1のブロック層の貫通孔の平面位置は、第3のブロック層の貫通孔の平面位置に重なる。したがって、本体部の四隅に切欠き面を有するコンクリートブロックを用いた場合には、一段おきに交互に重なった貫通孔と見掛け上の貫通孔を通して、剛性棒を挿入することが出来るので、さらに、少なくとも3層の連続するブロック層において、見掛け上の貫通孔を中に挟んで、上層の貫通孔の上端と下層の貫通孔の下端とを結んで剛性棒を挿入し、上下方向のブロックを連結する工程を実施することが好ましい。
【0039】
具体的には、例えば、マスコンクリート構造物を積み上げた後、貫通孔及び見掛け上の貫通孔に、剛性棒を全ての層を貫通するように挿入する工程を実施する。或いは、コンクリートブロック層を3層積み上げる毎に、貫通孔及び見掛け上の貫通孔に剛性棒を挿入する、すなわち3層を一組として上下のコンクリートブロックを剛性棒で連結する工程を実施する。平面的にみると、貫通孔と見掛け上の貫通孔とが交互に現れる。従って、3層を一組としてコンクリートブロックを剛性棒で連結する場合、選択される3層(一組)は、隣接する孔間で、一層ずれる。なお、剛性棒で連結するのは3層又は全ての層に限定されず、例えば5層や7層を一組として剛性棒で連結してもよいことは勿論である。
【0040】
また、例えば、あるブロック層において、ある貫通孔を有するブロックが、剛性棒によってそのブロック層よりも下に位置するブロック層のブロックと結合される場合、その隣に位置するブロックは、剛性棒によってそのブロック層よりも上に位置するブロック層のブロックと結合されるというように、一つの層の中に、その層よりも上層のブロックと結合されたブロックと、その層よりも下層のブロックと結合されたブロックとが存在するように、剛性棒での連結を行うことも好ましい。より具体的に説明すると、剛性棒は、第1のブロック層の貫通孔、第2のブロック層の見掛け上の貫通孔及び第3のブロック層の貫通孔を貫通してそれらの層を構成するブロックを連結するが、他の剛性棒は、第3のブロック層の貫通孔、第4のブロック層の見掛け上の貫通孔及び第5のブロック層の貫通孔を貫通してそれらの層を構成するブロックを連結するというような構成である。
【発明の効果】
【0041】
本発明により、危険な場所で人間が作業する時間を極端に短縮でき、安全性を大幅に向上させることに成功した。本発明に係るコンクリートブロックを使用すれば、軽トラックや小型トラックを用いて、或いはロープと滑車とを用いて、場合によってはヘリコプターを用いて、ブロックを運搬し、現場では、単に載置する、或いは積み上げる作業のみを行っても、全体が一体化した、堅固な堰堤、擁壁、堤防あるいは堤防法面下部の土留擁壁等のマスコンクリート構造物を構築することができる。そして、本発明の構築方法は、コンクリートが硬化しがたい寒冷地や作業可能な時間が1日の中の短時間に限定されている、例えば災害の緊急・応急復旧工事や山間僻地や演習場のような場所での工事にも対応することができる。さらに、構築されたマスコンクリート構造物は、必要な場合にはクレーン作業のみで解体することも可能である。本発明のマスコンクリート構造物の構築方法では、上脚部は上層に隣接するブロックの下嵌入部に、下脚部は下層に隣接するブロックの上嵌入部に挿入されるので、ブロック同士が互いに堅固に上下方向に嵌合しあっており且つブロック同士が前後左右及び上下に密に接触して配置された堅牢なマスコンクリート構造物が、安全に、短期間に、簡単に構築される。この際、ブロックを密に積み上げて容積空隙率を小さくすれば、見かけの比重の大きなマスコンクリート構造物を構築することができる。
【0042】
本発明の方法では、使用する一つ一つのコンクリートブロックは、マスコンクリート構造物全体の大きさと比べると、非常に小さい(例えば、重量を2t以下とすることができる)ので、現場では、ロボットによる施工も可能である。本発明のマスコンクリート構造物の構築方法では、コンクリートブロック同士が堅固に上下方向に嵌合しあうので、堅牢なマスコンクリート構造物を構築することができる。また、コンクリートブロックの製造に際し、コンクリートブロック同士を嵌合させた後の容積空隙率(具体的には、基礎地盤面の凹凸均しやブロックの前後左右上下の隙間を少なくする組み立て施工精度の他、上嵌入部の容積と4本の下脚部の総容積との差の、上嵌入部の容積に対する割合や、同様に、下嵌入部の容積と4本の上脚部の総容積との差の、下嵌入部の容積に対する割合を考慮したもの)が小さくなるように、究極的には、ブロック製作及び施工における精度を高めれば、見掛け比重が大きいマスコンクリート構造物を構築することが可能となる。そのため、マスコンクリート構造物の横断面積を、従来のものに比べて小さくすることができ、これは、コスト削減にも繋がる。そして、本発明の方法で構築された構造物は、一つの大きな一体化したコンクリート構造物に近い強度を発揮し得る。
【0043】
さらに、本発明のコンクリートブロックを用いれば、マスコンクリート構造物の工事現場において、その現場の形状や大きさ(広さ)に応じて、随時、マスコンクリート構造物の形状や大きさを自由自在に設計できると共に、工事完成後においても設計変更が可能である。具体的には、使用するコンクリートブロックの数を増減させたり、端辺用や角部用のコンクリートブロックを使用したりしなかったりすることで、現場に応じた任意の高さ・法勾配・断面のマスコンクリート構造物を構築することができる。
【0044】
本発明の方法の実施のために使用するコンクリートブロックの製造に際し、使用する型枠片はかなりの部分が共通しているため、型枠片を効率的に使用することができる。
【0045】
コンクリートブロックの製造に際し、粗骨材として電気炉酸化スラグを配合したり、細骨材として銅スラグを配合することにより、コンクリート自体の比重を高めることができる。このようなコンクリートブロックを使用すれば、マスコンクリート構造物の比重が増大し、より安定なものとなる。また、コンクリート自体の比重を大きくすれば、構築するマスコンクリート構造物の横断面積を従来のものに比べてさらに小さくすることが可能となるので、設計・施工コストをさらに低減させることも可能となる。
【0046】
貫通孔を有するコンクリートブロックを使用し、この貫通孔と見掛け上の貫通孔を貫通するように綱棒を挿入する態様においては、上下のコンクリートブロック間の結合が一層強固となる。
【0047】
また、本体部四隅の切欠き面や上脚部及び下脚部の内側の二側面の境界を中心として切り欠いた切欠き面を有するコンクリートブロックや、あるいは上嵌入部や下嵌入部の角部にハンチ面を有するコンクリートブロックを使用した場合には、角部における応力集中が緩和されるので、コンクリートブロック角部の欠けやクラックを、防止又は減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の基本コンクリートブロックの一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のコンクリートブロックの平面図である。
【図3】図3は、図1のコンクリートブロックの中心線断面図である(脚部の傾斜角θを表示)。
【図4】図4は、図1のコンクリートブロックの側面図である。
【図5】図5は、本発明の基本コンクリートブロックであって、貫通孔、吊り金具収納部及び四隅の切欠き面を有するものの一例を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5のコンクリートブロックの平面図である。
【図7】図7は、図5のコンクリートブロックの中心線断面図である。
【図8】図8は、図5のコンクリートブロックの側面図である。
【図9】図9は、本発明の基本コンクリートブロックであって、その四隅に切欠き面を有すると共に、上脚部及び下脚部の内側の二側面の境界を中心とする切欠き面、上嵌入部及び下嵌入部の二側面の境界を中心とするハンチ面、平面形状が正方形の貫通孔をも有するものの一例を示す斜視図である。
【図10】図10(1)は、図9のコンクリートブロックの上面図であり、図10(2)は、その底面図である。
【図11】図11は、本発明の基本コンクリートブロックであって、その四隅に1/4円弧の切欠き面を有すると共に、上脚部及び下脚部の内側の二側面の境界を中心とする切欠き面及び平面形状が円形の貫通孔をも有するものの他の一例を示す上面図である。
【図12】図12は、図11のコンクリートブロックの底面図である。
【図13】図13は、図5の基本コンクリートブロックと共に使用される本発明の端辺用コンクリートブロックの一例を示す平面図である。
【図14】図14は、図5の基本コンクリートブロックと共に使用される本発明の角部用コンクリートブロックの一例を示す平面図である。
【図15】図15は、図14に示したコンクリートブロックに対して、切断面に対して対称な角部用コンクリートブロックを示す平面図である。
【図16】図16は、マスコンクリート構造物の構築に際し、第1のブロック層のブロックの配列を破線で示し、第2のブロック層についてはブロック1個のみを実線で示した平面説明図である。
【図17】図17は、マスコンクリート構造物の一部の縦方向断面の透視図である。
【図18】図18は、外縁部を鉛直に積み上げてマスコンクリート構造物を構築する際し、第1のブロック層のブロックの配列を破線で示し、第2のブロック層のブロックの配列は実線で示した平面説明図である。
【図19】図19は、本発明の小段用コンクリートブロックの一例を示す斜視図である。
【図20】図20は、図19の小段用コンクリートブロックの、図19とは180°異なる角度から俯瞰した斜視図である。
【図21】図21は、図19及び図20のコンクリートブロックの上面図である。
【図22】図22は、図19乃至図21のコンクリートブロックの変形例の斜視図である。
【図23】図23は、図19乃至図21のコンクリートブロックの他の変形例の斜視図である。
【図24】図24は、本発明の1.5体の小段用コンクリートブロックの一例を示す斜視図である。
【図25】図25は、図24の1.5体の小段用コンクリートブロックの、図24とは180°異なる角度から俯瞰した斜視図である。
【図26】図26は、図24及び図25の1.5体の小段用コンクリートブロックの平面(上面)図である。
【図27】図27は、図24及び図25の1.5体の小段用コンクリートブロックの側面図である。
【図28】図28は、図19乃至図21の小段用コンクリートブロックを使用したマスコンクリート構造物の一部の縦(鉛直)方向断面の透視図である。
【図29】図29は、図24乃至図27の1.5体の小段用コンクリートブロックを使用したマスコンクリート構造物の一部の縦(鉛直)方向断面の透視図である。
【図30】図30は、本発明の基本コンクリートブロックにおいて、ブロックの平面形状が正方形で、脚部及び嵌入部の平面形状が長方形(ここでは、「正方形」を含まない意味で使用している)である場合の、上嵌入部の底面及び上嵌入部の上端である外周が形成する四辺形の形状及び大きさと、本体部の上面の形状及び大きさとの関係を説明するための平面図である。
【図31】図31は、本発明の基本コンクリートブロックにおいて、ブロックの平面形状が長方形(ここでは、「正方形」を含まない意味で使用している)で、脚部及び嵌入部の平面形状が正方形である場合の、上嵌入部の底面及び上嵌入部の上端である外周が形成する四辺形の形状及び大きさと、本体部の上面の形状及び大きさとの関係を説明するための平面図である。
【図32】図32は、本発明の基本コンクリートブロックにおいて、ブロックの平面形状、脚部及び嵌入部の平面形状がいずれも長方形(ここでは、「正方形」を含まない意味で使用している)である場合の、上嵌入部の底面及び上嵌入部の上端である外周が形成する四辺形の形状及び大きさと、本体部の上面の形状及び大きさとの関係を説明するための平面図である。
【図33】図33は、本発明の基本コンクリートブロックにおいて、ブロックの平面形状が長方形(ここでは、「正方形」を含まない意味で使用している)で、脚部及び嵌入部の平面形状が正方形であるが、上面と下面の脚部及び嵌入部大きさが異なる場合を示す。図33(1)は、上嵌入部の底面及び上嵌入部の上端である外周が形成する四辺形の形状及び大きさと、本体部の上面の形状及び大きさとの関係を説明するための平面図であり、図33(2)は、下嵌入部の天井及び下嵌入部の下端である外周が形成する四辺形の形状及び大きさと、本体部の下面の形状及び大きさとの関係を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明に使用するコンクリートにおいて、使用するセメントは特に限定がなく、普通ポルトランドセメント、高強度ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、スラグセメント、シリカセメント等の各種セメントを使用することができる。
【0050】
本発明に係るコンクリートブロックを、山間部における山崩れや火山噴火による災害に備え、火山泥流、土石流、熔岩流等の流れを変更させて、人家の密集地を避けて流れるように、且つ、これらの流れが山地斜面の浅いガリー浸蝕谷を堰き止めて人家の密集地の方向に流れて行かないように、誘導する目的で構築する堰堤や導流堤等のマスコンクリート構造物の構築に使用する場合には、通常の水流よりも比重が大きく且つ高速で破壊エネルギーの大きい上記のような流れに対抗するため、高比重のコンクリートブロックが好ましい。そのような高比重コンクリートを製造する場合には、骨材として電気炉酸化スラグや銅スラグを配合することが好ましい。
【0051】
電気炉酸化スラグは、鉄鉱石ではなく屑鉄を原料とするため有害物質を含有するおそれが殆どなく、しかも比重は3.5〜3.6と高い。銅スラグも同様に比重が高く、有害金属を殆ど含有しないことが確認されている。電気炉酸化スラグは比較的粒度が大粒であるため、主として粗骨材に配合して使用されるが、粒径の小さいものは細骨材に配合してもよい。銅スラグは比較的粒度が小粒であるため、主として細骨材に配合して使用されるが、大粒のものは粗骨材に配合してもよい。粗骨材、細骨材をこれらのスラグのみで構成してもよい。しかし、例えばこれらスラグの粒度分布がコンクリートの骨材として好ましくない場合には、好ましい粒度分布とするために、他の骨材と共に使用する。これらのスラグ類の使用は、廃棄物の有効利用につながると共に、泥流、土石流、熔岩流等により押し流されるおそれの小さい、堅牢で比重の大きいマスコンクリート構造物の構築を可能とする。
【実施例】
【0052】
次に、図面を参照して、本発明に係るコンクリートブロックの形状を説明する。
(1)基本コンクリートブロック(その1)
図1は、本発明の基本コンクリートブロックの平面形状が正方形の場合の一例を示す斜視図であり、図2はその平面図であり、図3は、その中心線断面図であり、図4は、その側面図である。
【0053】
図1乃至図4に示すように、本発明の基本コンクリートブロック100は、図1において、上側と下側の破線−実線−破線で区切られている直方体形状の本体部2と、本体部2の上面19の四隅から延出する四角錐台形状の4本の上脚部4,4,4,4と、本体部2の下面20の四隅から延出する逆四角錐台形状の4本の下脚部5,5,5,5とを有する。なお、破線は仮想線であり、実際には破線の個所における分離はない。
【0054】
上脚部4は、本体部2の側面3A,3Bと各々共通する側面9c,9dと、側面9cに隣接する内側の側面9b及び側面9dに隣接する内側の側面9aとを有し、下脚部5は、本体部2の側面3A,3Bと各々共通する側面10c,10dと、側面10cに隣接する内側の側面10b及び側面10dに隣接する内側の側面10aとを有する。ここで、「側面3A,3Bと各々共通する側面9c,9d(又は10c,10d)」とは、側面9c(又は10c)は、側面3Aをそのまま延出していったときに形成される側面であり、側面9d(又は10d)は、側面3Bをそのまま延出していったときに形成される側面であるという意味である。また、本明細書において、直方体の定義には立方体が包含される。
【0055】
基本コンクリートブロック100は、その平面(又は上面)形状が正方形である。上脚部4は、4本が同形状且つ同寸法の四角錐台形状である。この四角錐台の四側面9a,9b,9c,9dの中で、内側の二側面9a,9bは、互いに同形状(具体的には台形)且つ同寸法であり、それらの境界である辺31を通り且つ側面9aと側面9bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して対称であり、各々が本体部2の上面19に対して鈍角θの斜面(図3を参照のこと、θ=100乃至150度程度)であり、外側の二側面9c,9dは、互いに同形状(具体的には台形)且つ同寸法であり、それらの境界である辺41を通り且つ側面9cと側面9dとの間の角度を二等分する鉛直面に対して対称であり、前記したように、本体部2の側面3A,3Bと各々共通する側面(すなわち鉛直な側面)である。
【0056】
同様に、下脚部5も、4本が同形状且つ同寸法の四角錐台形状である。但し、下脚部5の上面はその下面よりも面積が大きいので、逆四角錐台と称している。下脚部5の四側面10a,10b,10c,10dの中で、内側の二側面10a,10bは、互いに同形状(具体的には台形)且つ同寸法であり、それらの境界である辺32を通り且つ側面10aと側面10bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して対称であり、各々が本体部2の下面20に対して鈍角θの斜面(図3を参照のこと、θ=100乃至150度程度)であり、外側の二側面10c,10dは、互いに同形状(具体的には台形)且つ同寸法であり、それらの境界である辺42を通り且つ側面10cと側面10dとの間の角度を二等分する鉛直面に対して対称であり、前記したように、本体部2の側面3A,3Bと各々共通する側面(すなわち鉛直な側面)である。
【0057】
図1乃至図4に示された例では、上脚部4と下脚部5は、上下は逆向きではあるが、同形状且つ同寸法である。しかし、後記するように、上脚部4の形状及び寸法は下嵌入部11の形状及び寸法との関係で、また、下脚部5の形状及び寸法は上嵌入部8の形状及び寸法との関係で規定される。したがって、上脚部4と下脚部5とは、異なる形状、寸法であってもよい。但し、上脚部4と下脚部5とが、同形状、同寸法であることが好ましい。
【0058】
本体部2の上面19の中央部には、上嵌入部8が形成されている。上嵌入部8の形状は、逆四角錐台である。この形状は、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部5,5,5,5を、下脚部5の外側の二側面10c,10dの境界である辺42が中央(但し、厳密に中央である必要はなく、中央付近でよい)に来るように集結させたものの形状及び大きさとほぼ同じである。但し、4本の下脚部5,5,5,5が余裕を持って上嵌入部8に入るような形状及び大きさである。「余裕を持って」とはいっても、前記したように、上嵌入部8の容積に対する、上嵌入部8の容積と4本の下脚部5,5,5,5の総容積との差の割合は、小さいことが好ましい。
【0059】
基本コンクリートブロック100では、上嵌入部8の上端である外周は、上脚部4,4,4,4の底面の内側角部である点x,x,x,xで、上脚部4,4,4,4と接触している。上嵌入部8の底面6aは、本体部2の上面19と平行である。上嵌入部8の底面6aの形状は正方形(1)、上嵌入部8の上端である外周が形成する形状は正方形(2)、且つ、本体部2の上面19の形状は正方形(3)である。そして、正方形(1)のいずれかの辺と正方形(2)のいずれかの辺とは、互い平行な関係にあるが、同時に、それらの辺は、正方形(3)のいずれかの辺とも平行な位置関係にある。上嵌入部8の四つの側面7a1,7a2,7a1,7a2は、いずれも同一の傾斜角を有する。また、下脚部5の内側の二側面10a,10bの傾斜角は、それぞれ、上嵌入部8の側面7a1,7a2とほぼ同一の傾斜角を有する。
【0060】
図1乃至図4に示す例では、上嵌入部8の底面6aの形状、上嵌入部8の上端である外周が形成する形状及び本体部2の上面19の形状は、いずれも正方形であるが、本発明において、これらは正方形である必要はなく、長方形(ここでは、「正方形」を含む概念)であればよい。また、図1乃至図4に示す例では、上嵌入部8の上端である外周の位置は点x,x,x,xを結ぶ線と一致しているが、本発明では、上嵌入部8の上端である外周の位置は、その外周を形成している四辺すべての外側に上面19(上脚部4が存在している個所も含む)が存在し、且つ、上嵌入部8が上脚部4,4,4,4と重ならなければ(上嵌入部8が上脚部4,4,4,4の下に潜り込まなければ)よい。但し、上嵌入部8の上端である外周の位置は、点x,x,x,xを結ぶ線と一致していることが望ましい。
【0061】
図1乃至図4に示す基本コンクリートブロック100は、その高さ方向中央の横断面(水平断面)に対し、上半分と下半分とが面対称となっている。したがって、本体部2の下面20の中央部には、下脚部5,5,5,5の天井面の内側角部の点y,y,y,yで下脚部5,5,5,5と接触する下嵌入部11を有する。下嵌入部11の形状は四角錐台である。下嵌入部11の天井6bは、本体部2の下面20と平行である。天井6bの形状は正方形であり、下嵌入部11の下端である外周(点y,y,y,yを結ぶ線)が形成する形状も正方形である。上嵌入部8の底面6aと下嵌入部11の天井6bとの間の鉛直高さ寸法は、コンクリートブロックが所望の強度を示すかぎり、特に限定されないが、本体部2の高さの1/4乃至2/3であることが好ましく、2/5乃至3/5であることがさらに好ましい。
【0062】
本体部2の下面20の中央部には、下嵌入部11が形成されている。下嵌入部11の形状は、四角錐台である。この形状は、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部4,4,4,4を、上脚部4の外側の二側面9c,9dの境界である辺41が中央(但し、厳密に中央である必要はなく、中央付近でよい)に来るように集結させたものの形状及び大きさとほぼ同じである。但し、4本の上脚部4,4,4,4が余裕を持って下嵌入部11に入るような形状及び大きさである。「余裕を持って」とはいっても、前記したように、下嵌入部11の容積に対する、下嵌入部11の容積と4本の上脚部4,4,4,4の総容積との差の割合は、小さいことが好ましい。下嵌入部11の四つの側面7b1,7b2,7b1,7b2は、いずれも同一の傾斜角を有する。また、上脚部4の内側の二側面9a,9bの傾斜角は、それぞれ、下嵌入部11の側面7b1,7b2とほぼ同一の傾斜角を有する。
【0063】
図1乃至図4に示す例では、下嵌入部11の天井6bの形状、下嵌入部11の下端である外周が形成する形状及び本体部2の下面20の形状は、いずれも正方形であるが、本発明において、これらは正方形である必要はなく、長方形(ここでは、「正方形」を含む概念)であればよい。また、図1乃至図4に示す例では、下嵌入部11の下端である外周の位置は、下脚部5,5,5,5の天井面の内側角部の点y,y,y,yを結ぶ線と一致しているが、本発明では、下嵌入部11の下端である外周の位置は、その外周を形成している四辺すべての外側に下面20(下脚部5が存在している個所も含む)が存在し、且つ、下嵌入部11が下脚部5,5,5,5と重ならなければ(下嵌入部11が下脚部5,5,5,5の上に存在しなければ)よい。但し、下嵌入部11の下端である外周の位置は、下脚部5,5,5,5の天井面の内側角部の点y,y,y,yを結ぶ線と一致していることが望ましい。
【0064】
上脚部4及び下脚部5の高さは、それぞれ、下嵌入部11及び上嵌入部8の深さとの関係で規定されるのみであるが、上脚部4及び下脚部5の高さは、それぞれ、本体部2の高さの1/6乃至3/8であることが好ましく、1/5乃至3/10であることがさらに好ましい。
【0065】
次に、上嵌入部8の形状及び大きさ、下脚部5の形状及び大きさ、そしてブロックの平面(又は上面)形状の変形例について、図30乃至図33を参照して説明する。
【0066】
図30に、基本コンクリートブロック101の上面図を示す。基本コンクリートブロック101は、その本体部の平面(又は上面)形状は正方形であるが、上脚部4及び下脚部5、上嵌入部8及び下嵌入部11の形状は長方形(ここでは、「正方形」を含まない概念)である。加えて、上脚部4,4,4,4と下脚部5,5,5,5とが、同形状且つ同寸法であり、上嵌入部8と下嵌入部11とが、同形状且つ同寸法である。上嵌入部8内に示した破線は、下脚部5,5,5,5が挿入された状態を示すためのものである。上嵌入部8の底面6aは、辺j1,k1,j2,k2で囲まれた長方形であり、上嵌入部8の上端の外周は、辺p1,n1,p2,n2で囲まれた長方形である。辺j1と辺p1、辺k1と辺n1、辺j2と辺p2、辺k2と辺n2は、各々、平行の位置にある。また、辺j1、辺p1、辺j2及び辺p2は、いずれもブロックの上面19の外周を構成する辺mと平行の位置にあり、辺k1、辺n1、辺k2及び辺n2は、いずれもブロックの上面19の外周を構成する辺l(エル)と平行の位置にある。この場合、コンクリートブロックを積み上げるに当たって、ブロックの平面の方向を一致させる必要がある。また、この例では、一つのブロックにおける本体部2の上面19と上脚部4,4,4,4との接合面積及び下面20と下脚部5,5,5,5との接合面積が小さくなり、ブロック脚部のせん断抵抗力が小さくなるので、脚部のせん断強度をその分大きくすることが望ましい。
【0067】
辺j1及び辺j2の長さは、いずれも、下脚部5の底面の形状である長方形の短辺の長さ(=上脚部4の上面の形状である長方形の短辺の長さs1)のほぼ2倍(但し、2倍以下であってはならない)であり、辺k1及び辺k2の長さは、いずれも、下脚部5の底面の形状である長方形の長辺の長さ(=上脚部4の上面の形状である長方形の長辺の長さt1)のほぼ2倍(但し、2倍以下であってはならない)である。辺p1及び辺p2の長さは、いずれも、下脚部5の天井の形状である長方形の短辺の長さ(=上脚部4の底面の形状である長方形の短辺の長さs2)のほぼ2倍(但し、2倍以下であってはならない)であり、辺n1及び辺n2の長さは、いずれも、下脚部5の天井の形状である長方形の長辺の長さ(=上脚部4の底面の形状である長方形の長辺の長さt2)のほぼ2倍(但し、2倍以下であってはならない)である。
【0068】
辺p1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x1,x2を結ぶ線上に、辺p2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x3,x4を結ぶ線上に存在するが、辺n1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x2,x3を結ぶ線よりも内側に、また、辺n2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x4,x1を結ぶ線よりも内側に存在する。
【0069】
図31に、基本コンクリートブロック102の上面図を示す。基本コンクリートブロック102は、その本体部の平面(又は上面)形状は長方形(ここでは、「正方形」を含まない概念)であるが、上脚部4及び下脚部5、上嵌入部8及び下嵌入部11の平面形状は正方形である。加えて、上脚部4,4,4,4と下脚部5,5,5,5とが、同形状且つ同寸法であり、上嵌入部8と下嵌入部11とが、同形状且つ同寸法である。上嵌入部8内に示した破線は、下脚部5,5,5,5が挿入された状態を示すためのものである。上嵌入部8の底面6aを構成する辺、上嵌入部8の上端の外周を構成する辺、ブロックの上面19の外周を構成する辺の相対的な位置関係は、基本コンクリートブロック101の場合と同様であるので、説明を省略する。また、上嵌入部8の各部分の大きさ(辺の長さ)と下脚部5の各部分の大きさ(辺の長さ)との関係も、基本コンクリートブロック101の場合と同様であるので、説明を省略する。この場合、コンクリートブロックを積み上げるに当たって、ブロックの平面の方向を一致させる必要がある。また、この例では、一つのブロックにおける本体部2の上面19と上脚部4,4,4,4との接合面積及び下面20と下脚部5,5,5,5との接合面積が小さくなり、ブロック脚部のせん断抵抗力が小さくなるので、脚部のせん断強度をその分大きくすることが望ましい。
【0070】
基本コンクリートブロック102において、辺p1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x1,x2を結ぶ線よりも内側に、また、辺p2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x3,x4を結ぶ線よりも内側に存在するが、辺n1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x2,x3を結ぶ線上に、また、辺n2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x4,x1を結ぶ線上に存在する。
【0071】
図32に、基本コンクリートブロック103の上面図を示す。基本コンクリートブロック103は、その本体部の平面(又は上面)形状は長方形(ここでは、「正方形」を含まない概念)であり、上脚部4及び下脚部5、上嵌入部8及び下嵌入部11の平面形状も長方形(ここでは、「正方形」を含まない概念)である。加えて、上脚部4,4,4,4と下脚部5,5,5,5とが、同形状且つ同寸法であり、上嵌入部8と下嵌入部11とが、同形状且つ同寸法である。上嵌入部8内に示した破線は、下脚部5,5,5,5が挿入された状態を示すためのものである。この場合、コンクリートブロックを積み上げるに当たって、ブロックの平面の方向を一致させる必要がある。また、この例では、ブロックを積み上げるにあたって、本体部2の上面19及び下面20が上層及び下層に隣接する他のブロックの本体部2の下面20及び上面19と接する面積が小さくなることと、本体部2の上面19及び下面20における一方の枠幅wが狭くなることから、ブロックの圧縮強度並びに曲げ強度をその分大きくすることが望ましい。
【0072】
基本コンクリートブロック103において、辺p1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x1,x2を結ぶ線よりも内側に、また、辺p2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x3,x4を結ぶ線よりも内側に存在するが、辺n1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x2,x3を結ぶ線よりも外側に、また、辺n2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x4,x1を結ぶ線よりも外側に存在する。しかし、この例でも、上嵌入部8は上脚部4,4,4,4のいずれとも重なってはおらず、且つ、上嵌入部8の外周を形成する四辺p1,n1,p2,n2のすべての外側に上面19が存在する。
【0073】
図33に示す基本コンクリートブロック104は、その本体部の平面(又は上面)形状は長方形(ここでは、「正方形」を含まない概念)であり、上脚部4及び下脚部5、上嵌入部8及び下嵌入部11の平面形状は正方形であるが、上脚部と下脚部との大きさ並びに上嵌入部と下嵌入部との大きさが異なる。4本の上脚部4,4,4,4は互いに同形状且つ同寸法であり、且つ、4本の下脚部5,5,5,5も、互いに同形状且つ同寸法である。このように、基本コンクリートブロック104は、上脚部4,4,4,4と下脚部5,5,5,5とは、同形状ではあるが寸法が異なり、したがって、上嵌入部8と下嵌入部11も同形状ではあるが寸法が異なる例である。図33(1)は、基本コンクリートブロック104の上面図であり、図33(2)は、その下面図である。この場合、コンクリートブロックを積み上げるに当たって、ブロックの脚部と嵌入部の形状が合うように、ブロックの上下方向を一致させる必要がある。また、コンクリートブロックを積み上げるに当たって、ブロックの平面の方向も一致させる必要がある。この例では、一つのブロックにおける本体部2の上面19と上脚部4,4,4,4との接合面積が小さく、ブロック上脚部4,4,4,4のせん断抵抗力が小さくなるので、上脚部4,4,4,4のせん断強度をその分大きくすることが望ましい。また、ブロックを積み上げるにあたって、一つのブロックの本体部2の上面19及び下面20が、その上層及び下層に隣接する他のブロックの本体部2の下面19及び上面20と接する面積が小さくなることと、本体部2の上面19の枠幅w1が狭くなることから、ブロックの圧縮強度並びに曲げ強度をその分大きくすることが望ましい。
【0074】
基本コンクリートブロック104において、上嵌入部8の上端の外周を構成する辺p1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x1,x2を結ぶ線上に、また、辺p2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x3,x4を結ぶ線上に存在するが、辺n1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x2,x3を結ぶ線よりも外側に、また、辺n2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x4,x1を結ぶ線よりも外側に存在する。しかし、この例でも、上嵌入部8は上脚部4,4,4,4のいずれとも重なってはおらず、且つ、上嵌入部8の外周を形成する四辺p1,n1,p2,n2のすべての外側に上面19が存在する。
【0075】
同様に、基本コンクリートブロック104において、下嵌入部11の下端の外周を構成する辺r1は、二つの下脚部5,5の天井の内側角部である点y1,y2を結ぶ線上に、また、辺r2は、二つの下脚部5,5の天井の内側角部である点y3,y4を結ぶ線上に存在するが、辺q1は、二つの下脚部4,4の天井の内側角部である点y2,y3を結ぶ線よりも外側に、また、辺q2は、二つの下脚部5,5の天井の内側角部である点y4,y1を結ぶ線よりも外側に存在する。しかし、この例でも、下嵌入部11は下脚部5,5,5,5のいずれとも重なってはおらず、且つ、下嵌入部11の外周を形成する四辺r1,q1,r2,q2のすべての外側に下面20が存在する。
【0076】
図30乃至図33において、符号s1は、上脚部4の上面の一辺(側面9a及び側面9cの一辺であって、上脚部4の上面を構成する辺)の長さであり、符号s2は、上脚部4の底面の一辺(側面9a及び側面9cの一辺であって、上脚部4の底面を構成する辺)の長さであり、符号s3は、下脚部5の下面の一辺(側面10a及び側面10cの一辺であって、下脚部5の下面を構成する辺)の長さであり、符号s4は、下脚部5の天井の一辺(側面10a及び側面10cの一辺であって、下脚部5の天井を構成する辺)の長さである。符号t1は、上脚部4の上面の一辺(側面9b及び側面9dの一辺であって、上脚部4の上面を構成する辺)の長さであり、符号t2は、上脚部4の底面の一辺(側面9b及び側面9dの一辺であって、上脚部4の底面を構成する辺)の長さであり、符号t3は、下脚部5の下面の一辺(側面10b及び側面10dの一辺であって、下脚部5の下面を構成する辺)の長さであり、符号t4は、下脚部5の天井の一辺(側面10b及び側面10dの一辺であって、下脚部5の天井を構成する辺)の長さである。
【0077】
本発明のブロックの実際の寸法(「製作寸法」ということがある)において、ブロックの一辺の長さに対する上脚部4や下脚部5の、その一辺上に存在する辺の長さの比率、すなわち、s2/辺m,t2/辺l(エル),s4/辺m,t4/辺l(エル)は、0.15乃至0.35であることが好ましく、0.15乃至0.30であることが更に好ましく、0.20乃至0.25であることがさらにより好ましく、0.22乃至0.24であることが特に好ましい。
【0078】
図30乃至図33において、符号v,v1は、上面19の枠幅、すなわち、上面19の辺mと上嵌入部8の上端である外周の、辺mに平行な辺p1(又は辺p2)との間の長さであり、符号w,w1は、上面19のもう一つの枠幅、すなわち、上面19の辺l(エル)と上嵌入部8の上端である外周の、辺l(エル)に平行な辺n1(又は辺n2)との間の長さであり、符号v2は、下面20の枠幅、すなわち、下面20の辺mと下嵌入部11の下端である外周の、辺mに平行な辺r1(又は辺r2)との間の長さであり、符号w2は、下面20のもう一つの枠幅、すなわち、下面20の辺l(エル)と下嵌入部11の下端である外周の、辺l(エル)に平行な辺q1(又は辺q2)との間の長さである。一辺l(エル)の長さに対する枠幅v,v1,v2の比率は、0.15乃至0.35であることが好ましく、0.15乃至0.30であることが更に好ましく、0.20乃至0.25であることがさらにより好ましく、0.22乃至0.24であることが特に好ましい。また、一辺mの長さに対する枠幅w,w1,w2の比率は、0.15乃至0.35であることが好ましく、0.15乃至0.30であることが更に好ましく、0.20乃至0.25であることがさらにより好ましく、0.22乃至0.24であることが特に好ましい。なお、図1乃至図4に示す基本コンクリートブロック100では、一辺l(エル)又はmに対する枠幅の比率は、0.25弱である。基本コンクリートブロック100の平面図は製作寸法での図であるが、基本コンクリートブロックの設計寸法(設計寸法とは、ブロック内の各部の寸法にブロックの積上げ施工に必要な余裕を配慮してブロックを製作するための製作寸法を決める以前におけるブロックの基本的な寸法をいう)において、上嵌入部6aの上端を構成する辺及び下嵌入部6bの下端を構成する辺の長さは、いずれも設計寸法におけるブロック外周を構成する辺の長さの約1/2であり、望ましくは1/2であるが、製作寸法におけるブロック上面19及び下面20の枠幅は、ブロック製作時の製作誤差、ブロックを設置する基礎面の凹凸及びブロック積み上げ施工における僅かの余裕の必要性に配慮して、製作寸法におけるブロック外周を構成する辺の長さに対して、0.15乃至0.35であることが好ましく、0.15乃至0.30であることが更に好ましく、0.20乃至0.25であることがさらにより好ましく、0.22乃至0.24であることが特に好ましい。
【0079】
(2)基本コンクリートブロック(その2)
図5は、その平面形状が後記するように切欠き面13を有するために正確な正方形ではない、即ち略正方形の本発明の基本コンクリートブロック110であって、本体部の四隅と、上脚部及び下脚部の本体部の四隅から延出する個所に切欠き面13を有し、且つ、貫通孔12及び吊り金具収納部15を有するものの一例を示す斜視図であり、図6はその平面図であり、図7は、その中心線断面図であり、図8は、その側面図である。以下の説明では、図1乃至図4に示した基本コンクリートブロック100と同様の個所については説明を省略する。
【0080】
図5乃至図8に示す本発明の切欠き面13を有する基本コンクリートブロック110は、基本コンクリートブロック100に、四隅の切欠き面13,13,13,13と、下嵌入部11の上に位置する吊り金具収納部15と、上嵌入部8の中心の位置であって吊り金具収納部15の天井6cにまで到達する貫通孔12とを設けたものである。
【0081】
貫通孔12は、上嵌入部8の中心に設けられており、その横断面形状は、上嵌入部8の底面6aの4辺と45°の角度で交わる直線によって囲まれた正方形である。ここで、貫通孔12の横断面形状は、正方形でなくてもよく、上嵌入部8の底面6aの4辺と斜角で交わる直線によって囲まれた四辺形であればよい。斜角の角度は限定されないが、30乃至60°が好ましく、40乃至50°が寄り好ましく、45°±2°であると、貫通孔の横断面形状が正方形に近い形状となるので特に好ましい。本明細書では、この正方形に近い形状を、「略正方形」という場合がある。
【0082】
基本コンクリートブロック110では、貫通孔12は、吊り金具収納部15の天井6cに達するように穿設されている。基本コンクリートブロックが吊り金具収納部15を有さないものである場合には、貫通孔12は、下嵌入部11の天井6bに達するように穿設される。
【0083】
本発明に係るコンクリートブロックを運搬、設置するためには、当該ブロックをクレーン等で吊り上げる必要がある。吊り金具は、通常、コンクリートブロックの4本の上脚部に設けられ、吊り金具収納部15は、そのような吊り上げに使用される金具を収納するための空間である。したがって、吊り金具が収納できる大きさであればよい。
【0084】
本体部2の四隅と、上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位には、各々、貫通孔12の一辺と平行であり且つその一辺の長さよりも少し大きい幅を有する切欠き面13が設けられている。4個の基本コンクリートブロック110,110,110,110を、2個ずつ2列にそれらの側面同士を接触させて並べると、中心部に貫通孔12とほぼ同形状であり、且つ、少し大きい寸法の見掛け上の貫通孔14(図16乃至図18を参照のこと)ができる。なお、その横断面形状が四辺形の見掛け上の貫通孔14を提供する切欠き面13は、四隅を貫通孔12の一辺と平行な直線で切欠いた形状であればよい。
【0085】
図5乃至図8に記載した例では、貫通孔12は、その横断面形状が正方形であり、切欠き面13は直線で切欠かかれている。この他、図11及び12を参照して後述するように、貫通孔の横断面形状が円形であり、四隅には内側に向かって凸となっている1/4円の円弧で切欠いて形成された切欠き面が存在するものも、本発明の基本コンクリートブロックに包含される。さらには、貫通孔の横断面形状が楕円形であり、四隅には内側に向かって凸となっている楕円の1/4円弧で切欠いて形成された切欠き面が存在するものも、本発明の基本コンクリートブロックに包含される。貫通孔の横断面形状と見掛け上の貫通孔の横断面形状が、いずれも円形(又はいずれも楕円形)である必要はない。円と楕円との組合せも可能である。
【0086】
貫通孔の横断面形状である円や楕円の面積と、4個の基本コンクリートブロックの切欠き面を集結させることによって形成される見掛け上の貫通孔の横断面形状である円や楕円の面積とは、必ずしも同一である必要はない。しかし、施工の観点からは、貫通孔の横断面形状である円又は楕円の面積と、見掛け上の貫通孔の横断面形状である円又は楕円の面積とを比べた場合に、見掛け上の貫通孔の横断面形状である円又は楕円の面積の方がやや大きいことが好ましい。
【0087】
なお、貫通孔の横断面形状を円形又は楕円形とし、切欠き面は直線で切り欠いて形成する(すなわち、見掛け上の貫通孔の横断面形状は四辺形である)ことは可能であり、逆に、貫通孔の横断面形状を四辺形とし、切欠き面は円又は楕円の1/4円弧で切り欠いて形成する(すなわち、見掛け上の貫通孔の横断面形状は円形又は楕円形である)ことも可能である。
【0088】
(3)基本コンクリートブロック(その3)
図9は、その平面形状が後記するように切欠き面13を有するために正確な正方形ではない、即ち略正方形の本発明の基本コンクリートブロック150であって、その本体部2、上脚部4及び下脚部5の平面形状は各々略正方形であり、その四隅に直線で切り欠いた切欠き面13を有すると共に、上脚部4の内側の二側面9a,9bの境界である辺31を通り且つ側面9aと側面9bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の切欠き面16及び下脚部5の内側の二側面10a,10bの境界である辺32を通り且つ側面10aと側面10bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の切欠き面17をも有するものの一例を示す斜視図であり、図10(1)はその上面図、図10(2)はその底面図である。また、図11及び図12は、本発明の基本コンクリートブロック160であって、その本体部2、上脚部4及び下脚部5の平面形状は各々略正方形であり、その四隅に曲線(1/4円)で切り欠いた切欠き面13を有すると共に、上脚部4の内側の二側面9a,9bの境界である辺31を通り且つ側面9aと側面9bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の切欠き面16及び下脚部5の内側の二側面10a,10bの境界である辺32を通り且つ側面10aと側面10bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の切欠き面17をも有するものの一例を示す上面図及び底面図である。
【0089】
図9及び図10に示す本発明の基本コンクリートブロック150は、図5乃至図8に示す基本コンクリートブロック110(但し、吊り金具収納部15は形成していない)において、上脚部4の内側の二側面9a,9bの境界である辺31を通り且つ側面9aと側面9bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面16を設け、下脚部5の内側の二側面10a,10bの境界である辺32を通り且つ側面10aと側面10bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面17を設け、そして、上嵌入部8の側面7aの四隅には下脚部5の切欠き面17に対応するハンチ面26を設け、下嵌入部11の側面7bの四隅には上脚部4の切欠き面16に対応するハンチ面27を設けたものに相当する。したがって、上脚部4及び下脚部5の形状は、厳密には六角錐台であるといえる。
【0090】
図11及び図12に示す本発明の基本コンクリートブロック160の、図9及び図10に示す本発明の基本コンクリートブロック150との相違は、上嵌入部8の中心に、下嵌入部11に通じるように穿設された貫通孔12の横断面形状が円形であることと、本体部2の四隅と、上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位に設けられた切欠き面13の形状が、内側に向かって凸となっている円の1/4の円弧状であるという点である。
【0091】
次に、本発明のマスコンクリート構造物を構築する場合に、その端部に配置される1.5体の端辺用コンクリートブロックと、その角部に配置される角部用コンクリートブロックについて説明する。ここでは、図5乃至図8に示した貫通孔12及び切欠き面13を有する基本コンクリートブロック110と共に使用されるものについて説明するが、基本コンクリートブロック100(図1乃至4を参照のこと),150(図9及び10を参照のこと)及び160(図11及び12を参照のこと)と共に使用されるものも同様である。
【0092】
図13は、本発明のマスコンクリート構造物を構築する場合に、その端部に配置される1.5体の端辺用コンクリートブロック120の平面図である。コンクリートブロック120は、2体の基本コンクリートブロック110,110を、同形状且つ同寸法の一側面を共通にして連結した後、一方の基本コンクリートブロックを、連結した面18と平行な面で且つ中央で切断した形状である。「中央」は、厳密に、すなわち正に中央でなくともよい。切断され、ほぼ1/2となった基本コンクリートブロックを、符号115で示した。また、連結した面18は、実際には繋がっていて存在しないので、破線で示した。
【0093】
図14及び図15は、本発明のマスコンクリート構造物を構築する場合に角部に配置される、角部用コンクリートブロック130及び140の平面図である。コンクリートブロック130及び140は、端辺用コンクリートブロック120を、前記連結した面18と直交する面で且つ中央で切断した形状を有する。「中央」は、厳密に、すなわち正に中央でなくともよい。したがって、これらのコンクリートブロック130及び140は、互いにほぼ面対称である。
【0094】
後述するように、鉛直な側面を有するマスコンクリート構造物を構築する場合に、上記端辺用コンクリートブロック120と、角部用コンクリートブロック130及び140が使用される。
【0095】
次に、本発明のマスコンクリート構造物を構築する場合に、例えば堰堤水通し部に配置され得る、小段用コンクリートブロックについて説明する。このコンクリートブロックは、落下水流や土石の小段部への衝撃を緩和するものである。ここでは、先ず、基本コンクリートブロック150と共に使用される、図19乃至図21に示した貫通孔12、切欠き面13及び切欠き面16を有する小段用コンクリートブロックについて説明する。
【0096】
図19及び図20は、本発明の小段用コンクリートブロックの一例を示す斜視図である。図19と図20とは、その俯瞰した方向が180度異なっている。また、図21は、図19及び図20のコンクリートブロックの上面図である。
【0097】
本発明の小段用コンクリートブロック170は、基本コンクリートブロック150の、本体部2をその一側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる本体部2の1/2とした部分であって実質的に上嵌入部8を有さない部分2aと、二つの下脚部5,5と、1/2とした部分2aの上面19上に形成された傾斜部70とを有する水撥ね部50(図19において、一点鎖線より奥側、図21において、一点鎖線より下側)と、他の1/2残部60とが、切断面同士で結合されてなるものである。他の1/2残部60は、基本コンクリートブロック150を側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる基本コンクリートブロック150の1/2とした部分であって、それぞれ2本の上脚部4,4及び下脚部5,5と、上嵌入部8の半分及び下嵌入部11の半分を有する1/2本体部2からなる。
【0098】
傾斜部70は、本体部2の側面3Aから延出した側面80Aと、本体部2の側面3Aの両側に位置する側面3B’,3B’の各々から延出した側面80B,80Bと、二つの側面80B,80Bを繋ぐ側面80Cと、上面80Dとを有する。
【0099】
側面80Aは、下方に位置し、形状が長方形で本体部2の側面3Aに共通する側面80A(1)と、側面80A(1)に続いてその上方に存在し、内側に向かって傾いている側面80A(2)とからなる(図20参照)。二つの側面80B,80Bの各々は、本体部2の側面3B’に共通する側面であり、その下方は長方形部分80B(1)であり、長方形部分80B(1)に続いてその上方に存在する部分は略台形部分80B(2)である。
【0100】
側面80Cは、他の1/2残部60の内側の面(切断面)と、水撥ね部50の1/2とした部分2aの内側の面(切断面)とが結合された位置(図19乃至図21において、一点鎖線で示されている位置)よりも、水撥ね部50の内側に若干後退した位置にある。上嵌入部8は、他の1/2残部60と、それから延長された水撥ね部50の一部に存在する。より具体的には、側面80Cに結合するように延長されている。したがって、水撥ね部50には、上嵌入部8が、前記結合された位置と前記若干後退した位置の側面80Cとの間にのみ存在する。したがって、「実質的に上嵌入部8を有さない」と表現している。なお、側面80Cの位置をこのように設計したのは、側面80Cを、前記結合された位置と同じ個所に形成すると、ブロック製作時の製作誤差、ブロックを配置する基礎面の凹凸及びブロック積み上げ施工における僅かの余裕の必要性が満たされず、施工時に上嵌入部8に下脚部5が挿入され得ない事態を招来する可能性があり、それを防ぐためである。また、側面80Cは、上嵌入部8の底面6aまで延出している。
【0101】
水撥ね部50には、側面3Aと側面3B’との境界である辺を通り、側面3Aと側面3B’との角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の切欠き面13aが存在し、その切欠き面13aは、下脚部5から1/2とした部分2aを通って傾斜部70の側面80A(1)まで、及び、同じく下脚部5から1/2とした部分2aを通り、さらに傾斜部70の長方形部分80B(1)を通って略台形部分80B(2)の一部にまで続いている(図20参照)。
【0102】
小段用コンクリートブロック170は、貫通孔12を有する。したがって、側面80Cの幅方向中央には、当該貫通孔12の大きさ及び形状を変化させないための鉛直方向の凹部80Eが形成されている。「貫通孔12の大きさ及び形状を変化させない」とは、凹部80Eが、貫通孔12に剛性棒を挿入することができるような空間を与えていることをいう。また、傾斜部70の高さは、通常は1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/3であり、好ましくは1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/2である。
【0103】
図19乃至図21に示された傾斜部70の側面80Aは、その一部(符号80A(2)で示されている部分)が内側に傾斜しており、残部(符号80A(1)で示されている下の方の部分)は傾斜していない。しかし、下の方の部分が鉛直ではなく、その上方(符号80A(2)で示されている部分)とは異なる角度で傾斜していてもよい。また、図22や図23に示された例のように、傾斜部70の側面80Aは、その全部が内側に傾斜していてもよい。さらに、その一部が内側に傾斜している態様として、側面80Aの下方が内側に傾斜しており、上方は鉛直である又は下方とは異なる角度で傾斜しているような態様であってもよい。
【0104】
図23に示された例のように、側面80Aの下端は、本体部2の1/2とした部分2aの上端(図23における側面3B’と側面80Bとの境界の破線で示されている位置)より下方に存在していてもよい。これは、側面3Aの上部が側面80Aの下方として内側に傾斜している態様ということもできる。
【0105】
本発明の小段用コンクリートブロックの「基本コンクリートブロックxxをその一側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる他の1/2残部60」は、基本コンクリートブロックxxを、ブロックの中央で、その一側面3Aに平行な面で縦に切断して1/2としたものと、形状及び大きさが同一である。したがって、切欠き面及び貫通孔のない基本コンクリートブロック100(図1乃至4を参照のこと)や、切欠き面13及び貫通孔12が存在する基本コンクリートブロック110(図5乃至8を参照のこと)に対応する小段用コンクリートブロックも、本発明の外周部用コンクリートブロックである。
【0106】
次に、同じく基本コンクリートブロック150(図9及び10を参照のこと)と共に使用される、図24乃至図27に示した貫通孔12、切欠き面13、切欠き面13a、切欠き面16、切欠き面17、ハンチ面26及びハンチ面27を有する1.5体の小段用コンクリートブロックについて説明する。図24は、基本コンクリートブロック150の1.5倍の大きさの、本発明の1.5体の小段用コンクリートブロックの一例を示す斜視図であり、図25は、図24とは180°異なる角度から俯瞰した斜視図であり、図26は上面図であり、図27は側面図である。
【0107】
小段用のコンクリートブロック180は、基本コンクリートブロック部150(図26及び図27において、一点鎖線よりも左側)と、水撥ね部55(図26及び図27において、一点鎖線よりも右側)とが、各々の一側面3A同士で結合されてなる。水撥ね部55は、基本コンクリートブロック150の本体部2をその一側面3Aに平行で且つ中央の面3Cで縦に切断してなる本体部2の1/2とした部分であって上嵌入部8を有さない部分2bと、二つの下脚部5,5と、1/2とした部分2bの上面19b(図24及び図26を参照のこと)上に形成された傾斜部75とを有する。前記基本コンクリートブロック部150の一側面3Aと水撥ね部55の一側面3Aとが結合されている。
【0108】
基本コンクリートブロック部150(図9及び10を参照のこと)が貫通孔12を有するので、水撥ね部55には、本体部2を中央で縦に切断した結果現れた面(1.5体の小段用コンクリートブロック180の外側面)3Cの幅方向中央部に、切欠き面13aを二つ結合したものと同様の部分12aを有する。この部分12aは、見掛け上の貫通孔14を構成することとなる。
【0109】
傾斜部75は、本体部2の中央で縦に切断してなる面(1.5体の小段用コンクリートブロック180の外側面)3Cから延出した側面85Aと、面3Cの両側に位置する側面3B’,3B’の各々から延出した側面85B,85Bと、二つの側面85B,85Bを切欠き面13a,13aを介して間接的に繋ぎ且つ結合面3Aに平行な側面85Cと、上面85Dとを有する。ここで、1.5体の小段用コンクリートブロック180では、側面85Aは、その全部が内側に傾斜しており、また、その下端は、1/2とした部分2bの上端(図27における上方の水平破線部の位置)と一致している。しかし、小段用コンクリートブロック170についての説明に記載したように、側面85Aは、その一部のみが内側に傾斜しているものであってもよいし、また、その下端は、1/2とした部分2bの上端より下方に存在していてもよい。
【0110】
二つの側面85B,85Bの各々は、側面3B’に共通する側面である。側面85Cは、基本コンクリートブロック部150との結合面3Aよりも、1/2とした部分2b側において、若干内側に後退した位置にある。これは、側面80Cを、結合面3Aと同じ個所に形成すると、ブロック製作時の製作誤差、ブロックを配置する基礎面の凹凸及びブロック積み上げ施工における僅かの余裕の必要性が満たされず、基本コンクリートブロック部150の上嵌入部8に下脚部5が挿入され得ない事態を招来する可能性があり、それを防ぐためである。なお、図24乃至図27に示した例は、切欠き面13aを有するため、側面85Cは二つの側面85B,85Bを間接的に繋いでいるが、切欠き面13並びに13aを有さない態様の場合には、側面85Cは二つの側面85B,85Bを直接繋ぐ。
【0111】
傾斜部75の高さは、通常は1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/3であり、好ましくは1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/2である。
【0112】
基本コンクリートブロック100(図1乃至4を参照のこと)に対応する小段用コンクリートブロックの場合には、貫通孔12及び凹部80Eが存在しない。基本コンクリートブロック110(図5乃至8を参照のこと)に対応する小段用のコンクリートブロックの場合には、傾斜部70の形状及び大きさは、小段用コンクリートブロック170の傾斜部70と同様である。異なるのは、基本コンクリートブロックの形状及び大きさに対応した部分、即ち、「基本コンクリートブロックxxをその一側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる他の1/2残部60」の形状及び大きさである。
【0113】
端辺用コンクリートブロック120をその基本形状とする、小段用コンクリートブロックもある。この場合には、図13において符号115で示された1/2部分の代わりに、水撥ね部55を設ける。
【0114】
続いて、本発明のマスコンクリート構造物の構築方法について説明する。先ず、図5乃至図8に示した貫通孔12及び切欠き面13を有する基本コンクリートブロック110のみを使用する場合について説明し、次いで、基本コンクリートブロック110、端辺用のコンクリートブロック120及び角部用のコンクリートブロック130及び140を使用して、外縁壁が鉛直な又は外縁壁勾配が自由に設定可能なマスコンクリート構造物を構築する場合について説明する。
【0115】
図16は、マスコンクリート構造物の構築に際し、第1のブロック層の配置を破線で示し、第2のブロック層については、基本コンクリートブロック110Eを1個のみ実線で示した平面図である。図17は、第1乃至第3のブロック層を積み上げた状態を示す透視断面図である。第1のブロック層の構築のために、4個のコンクリートブロック110A,110B,110C,110Dを、各ブロックの切欠き面13,13,13,13を集結させることにより、その横断面形状が貫通孔12の横断面形状と同様の見掛け上の貫通孔14を形成させて一単位を構成させる。図16においては、見掛け上の貫通孔14は、第2のブロック層のコンクリートブロック110Eの貫通孔12の真下に位置している。第1のブロック層は、一単位以上を備えるものであるが、「一単位以上」とは、必ずしも整数単位を意味するものではなく、例えば6個の基本コンクリートブロック110を使用して第1のブロック層を構築すれば、1.5単位ということになる。
【0116】
一単位の平面形状は、略長方形である。略長方形の概念には、略正方形が包含される。「略」と称しているのは、切欠き面13に由来する凹部が存在し、厳密な意味での長方形ではないからである。また、「略長方形」と規定したのは、基本コンクリートブロック110の平面形状が長方形である場合に、4個のコンクリートブロックの側面同士を連結させると、その平面形状がT字型、I字型、風車型の集合体(一単位)も得られるが、それらを排除するためである。
【0117】
図16には、7個の基本コンクリートブロック110(図5乃至8を参照のこと)を使用して構築された第1のブロック層が記載されている。これは、4個の基本コンクリートブロック110D,110C,110,110を同形状且つ同寸法の側面同士を接触させて横に並べ、次いで、図16においてはその下列となる位置に、3個の基本コンクリートブロック110A,110B,110を横に並べたものである。
【0118】
第2のブロック層は、第1のブロック層の各基本コンクリートブロック110の上嵌入部8に、第2のブロック層となる1乃至4個の基本コンクリートブロック110に由来する1乃至4本の下脚部5を挿入し、且つ、第1のブロック層の1乃至4個の基本コンクリートブロック110に由来する1乃至4本の上脚部4を、第2のブロック層となる基本コンクリートブロック110の下嵌入部11に挿入して構築する。図16においては、第1のブロック層の基本コンクリートブロック110Aの上嵌入部8A、基本コンクリートブロック110Bの上嵌入部8B、基本コンクリートブロック110Cの上嵌入部8C及び基本コンクリートブロック110Dの上嵌入部8Dの各々に、第2のブロック層の基本コンクリートブロック110Eの下脚部5,5,5,5が1本ずつ挿入されている。
【0119】
第1のブロック層を構成するブロックであって、1個の基本コンクリートブロック110の上嵌入部8に、第2のブロック層の各々が異なる基本コンクリートブロック110に由来する4本の下脚部5,5,5,5が挿入されると、第1のブロック層の基本コンクリートブロック110の貫通孔12の上に、第2のブロック層の基本コンクリートブロック4個によって形成された見掛け上の貫通孔14が重なる。
【0120】
第2のブロック層を構成する各基本コンクリートブロック110は、第1のブロック層を構成する4個の基本コンクリートブロック110,110,110,110の各々の、上面の面積の1/4の部分の上に載ることになる。この際、図17から明らかなように、第1のブロック層の基本コンクリートブロック110の突出している上脚部4は、第2のブロック層の基本コンクリートブロック110の下嵌入部11中に嵌入する。上脚部4の内側面の傾斜角度と下嵌入部11の側面の傾斜角度は一致しているため、換言すれば、下嵌入部11の側面7b1,7b2は、上脚部4の内側の二側面9a,9bの傾斜角とほぼ同一の傾斜角を有するため、第1のブロック層のブロックと第2のブロック層のブロックとの係合が安定したものとなると共に、施工時に嵌入部と脚部の傾斜した側面がガイドの役目をはたし、その結果、自重によって上下のブロックが互いに所定の位置に誘導されるので、施工が容易となる。第3のブロック層以降は第2のブロック層と同様にコンクリートブロックを積み上げて構築する。
【0121】
図16には、第2のブロック層の基本コンクリートブロック110Eを、実線で1個のみ描いた。図16において、第1のブロック層を構成する基本コンクリートブロック110A,110B,110C,110Dの上脚部4や上嵌入部8A,8B,8C,8Dを示した線(破線)と、第2のブロック層の基本コンクリートブロック110Eを示した実線にはずれがあり、一致していない。土木工事においては、構築すべき場所の地形が様々であり、また地盤の整地が不充分であることもある。したがって、常に計算通りにブロックを配置できるものではない。よって、多少のずれを許容したブロック形状の設計が必要である。本発明の基本コンクリートブロック110においては、上嵌入部8及び下嵌入部11の深さが、それぞれ、下脚部5及び上脚部4の高さよりも大きく、上嵌入部8及び下嵌入部11の広さは、それぞれ、4本の下脚部5,5,5,5及び4本の上脚部4,4,4,4を、切欠き面13を中心にして集結させた大きさよりも広い。このような事情が、前記した実線と破線とのずれとして、図16に示されているのである。このずれは、構築場所の起伏等に起因する寸法の不一致を吸収し、現実のマスコンクリート構造物の構築作業を容易にする。
【0122】
図17は、ブロック層とブロック層との境界を示した縦断面の透視図である。破線で示してある部分は、第2のブロック層の、第1のブロック層及び第3のブロック層に隠れている部分である。第1のブロック層及び第3のブロック層には、基本コンクリートブロック110を4個並べた。第2のブロック層については、3個の基本コンクリートブロック110の中心線断面部が見えている。なお、図17では、吊り金具収納部15の記載は省略した。また、第2のブロック層については、両端部の基本コンクリートブロック110の記載を省略した。第2のブロック層の貫通孔12は、第1のブロック層及び第3のブロック層の見掛け上の貫通孔14,14と連通しており、したがって、マスコンクリート構造物全体の最上層から最下層まで、孔が貫通していることになる。これらの貫通孔及び見掛け上の貫通孔の全部又は一部に剛性棒を通せば、マスコンクリート構造物の上下方向の結合をより一層強固にすることができる。剛性棒とは、例えばステンレス綱製等の各種綱棒や鉄棒をいう。なお、剛性棒の挿入方法等については、後記する。
【0123】
図17においても、第1のブロック層を構成するブロック110の上脚部4の内側の二側面9a,9bの傾斜角度と、第2のブロック層を構成するブロック110の下嵌入部11の側面7b1,7b2の傾斜角度とはほぼ一致しているが、両者の間に隙間がある。図16について説明したように、この隙間が、何層ものブロックを積み上げていく場合に避けることができない多少のずれを吸収するのである。
【0124】
図16に示した例においては、第2のブロック層の外周の位置は、第1のブロック層を構成するブロックであって最外部に位置するブロックの外周の位置から、ブロックの横断面における一辺の長さの1/2だけ、内側に寄った個所となる。すなわち、マスコンクリート構造物の外縁部は、階段状又はピラミッド状となっている。
【0125】
図16に示された例とは逆に、ブロック層一層につき、縦横各々で、ブロックの横断面における一辺の長さの1/2ずつ増加するように、すなわち上方に向かって広くなるように、コンクリートブロックを配置することもできる。換言すれば、第2のブロック層を積むと、上方からは第1のブロック層の外縁部が見えなくなるような、外縁部が逆階段状となるような積み方であってもよい。ここで、外縁部を構成する四辺すべてが、階段状又は逆階段状となっていなければならないということではない。谷地形の場合の上下流方向やダムの軸方向等、マスコンクリート構造物を構築する現場の地形や構造物に合わせて、各辺につき、階段状又は逆階段状とすればよい。
【0126】
次に、マスコンクリート構造物の外縁壁が鉛直である、すなわち各層の平面の面積及び形状が同一であるマスコンクリート構造物の構築方法について、図18を参照しながら説明する。図18においては、第1のブロック層の配置を破線で示し、第2のブロック層の配置を実線で示した。
【0127】
第1のブロック層は、多数の基本コンクリートブロック110(図5乃至図8を参照のこと)を、同側面3,3同士を接触させて縦横に並べることによって構築する。第2のブロック層については、端辺には図13に示す端辺用のブロック120を、ブロックの平面形状の長方形において短辺となる側面二つの中で、その中央に貫通孔12の1/2を有する側面(すなわち切断面)を外側にして並べる。図18の図面上の左最上部には、図15に示した角部用のブロック140を、図18の図面上の左最下部には、図14に示した角部用のブロック130を、それぞれ配置する。これにより、第1のブロック層と同一面積、同一形状の第2のブロック層を得ることができる。
【0128】
第3のブロック層以降については、奇数層には第1層の配置を、偶数層には第2層の配置を用いればよい。なお、図18における第2のブロック層の配置を奇数層の配置とし、第1のブロック層の配置を偶数層の配置としても差支えない。
【0129】
基本コンクリートブロック110に、1.5体の端辺用コンクリートブロック120、角部用コンクリートブロック130,140を組み合わせて使用することにより、マスコンクリート構造物の両側面が鉛直な外縁壁であり、その幅が、基本コンクリートブロック110の幅の1.5倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍………等のマスコンクリート構造物を構築することが可能となる。
【0130】
基本コンクリートブロック110に、1.5体の端辺用コンクリートブロック120、角部用コンクリートブロック130,140を組み合わせて使用することにより、ブロックの層間の幅の相違、すなわち小段幅を、基本コンクリートブロック110の幅の0.5倍、1.0倍、1.5倍、2.0倍………等とすることができる。また、マスコンクリート構造物の外縁壁勾配の形状を、自由に設計することができる。マスコンクリート構造物の形状を、小段幅が大きくなるように設計すれば、マスコンクリート構造物の外縁の見かけ上の勾配を緩やかにすることもできる。一方、何層かのブロック層を外縁が鉛直となるように積み上げる毎に、基本コンクリートブロックの幅の0.5倍の小段を設けることにより、外縁の見かけ上の勾配が急勾配であるマスコンクリート構造物を構築することも可能となる。
【0131】
以上の説明において取り上げた基本コンクリートブロックの大部分は、本体部2が、その平面形状が正方形の直方体のものの例である。しかし、これは一例であり、本体部2が、その平面形状が長方形の直方体のもの、例えば図31乃至図33に記載したものも、本発明に包含される。但し、この場合には方向性が生じるため、端辺用のブロックは、2個の基本コンクリートブロックを辺の長さが長い方の側面同士で連結し、その後、一方のブロックを連結した面と平行な面で且つ中央で切断した形状のものと、2個の基本コンクリートブロックを辺の長さが短い方の側面同士で連結し、その後、一方のブロックを連結した面と平行な面で且つ中央で切断した形状のものとの2種類を要し、角部用ブロックは、この2種類の端辺用のブロックの各々を、連結した面と直交する面で且つ中央で切断した形状のもの、すなわち4種類を必要とする。しかも、ブロックの打設、組立てにあたって、常に方向性に気を配る必要が生じる。また、図30及び図32に記載した例のように、上脚部4や下脚部5の平面形状が長方形のものも、本発明に包含される。このような基本コンクリートブロックを採用した場合にも、端辺用や角部用のブロックの製造やブロックの打設、組立てにあたって、同様に方向性に気を配る必要が生じる。
【0132】
次に、小段用コンクリートブロックを用いた、マスコンクリート構造物の構築方法について、図28及び図29を参照しながら説明する。なお、これらの図においては、図を分かり易くするため、上下の層のブロック同士が噛み合う個所について、記載を簡略化している。すなわち、正確には、上層のブロックの端部(例えば下嵌入部11の側面7b1)を示す線と、下層のブロックの端部(例えば上脚部4の側面9a)を示す線の両者を記載すべきであるが、これらが重なっているように、すなわち1本の線で記載している。また、これらの図において、切欠き面13,13aを示す縦線は省略している。小段用コンクリートブロック170(図19乃至23を参照のこと)及び1.5体の小段用コンクリートブロック180(図24乃至27を参照のこと)は、堰堤水通し部において使用する。
【0133】
図28に示すように、第1層及び第3層のすべてと、第2層、第4層及び第5層の左側端部を除くマスコンクリート構造物の内側に、基本コンクリートブロック150(図9及び図10を参照のこと)を使用した場合、小段用コンクリートブロック170は、奇数層である第5層の最外列に、傾斜部70の側面80Aが外側となるように配列する。また、図29に示すように、第1層及び第3層のすべてと、第2層及び第4層の左側端部を除くマスコンクリート構造物の内側に、基本コンクリートブロック150(図9及び図10を参照のこと)を使用した場合、1.5体の小段用コンクリートブロック180は、偶数層である第4層において、最外列に、傾斜部75の側面85Aが外側となるように配列する。このように小段用コンクリートブロック170,180を使用すると、堰堤水通し部において、落下水流や土石の衝撃を緩和することができる。
【0134】
続いて、剛性棒を使用するブロック層間の連結について説明する。剛性棒は、如何なる方法によって固定してもよい。例えば、貫通孔及び見掛け上の貫通孔(以下、まとめて単に「孔」ということがある)の横断面形状が正方形である場合、その対角線が最も長く、相対向する辺同士の間隔が最も短い。そこで、対角線の長さよりも短く且つ相対向する辺同士の間隔よりも長いという長さの鋼板2枚を用意し、それらを中央部で直交させて十字型とし、あるいは、鋼板を十字型に切断して又は十字型の鋳型に溶けた鋼を注入して制作した鋼材を、剛性棒の先端付近に固定すれば、孔の対角線部分を利用して、孔に剛性棒を容易に挿入することができる。剛性棒は、所定位置まで挿入され、約45度回転させられる。これにより、十字型の鋼板を、コンクリートブロックの下嵌入部上壁(又は吊金具収納部上端)に引っかけて、剛性棒を孔に固定することができる。
【0135】
なお、剛性棒の長さは、構築物の最下層から最上層までを一挙に連結することができる長さであってもよいし、3層のブロック層を連結することができる長さであってもよい。あるいは、剛性棒の長さは、5層のブロック層を連結することができる長さや7層のブロック層を連結することができる長さであってもよい。3層のブロック層を連結する場合、ブロック層を3段積み上げたところで、それら3層のブロック層の高さ(下層のブロックの下嵌入部上壁(又は吊り金具収納部上端)から、見掛け上の貫通孔を間に挟み、上層のブロックの貫通孔の上面までの長さ)にほぼ匹敵する長さの剛性棒を使用して、3層のブロック層を連結する。なお、剛性棒による連結は、全ての孔について行わなければならないというものではない。
【0136】
剛性棒挿入後の孔に残った空間は、そのままでもよいが、そのような空間に、水と混練して未だ硬化しないセメントやモルタル等の水硬性物質を流入させ、硬化させてもよい。また、剛性棒の長さ方向中間部に、中空の二つ割の鞘管であって、その外径が孔の一辺の長さよりもやや小さく、且つ、その内径が剛性棒の太さよりもやや大きいものを取付け、剛性棒の偏心を防止することによって、剛性棒を固定することも出来る。
【0137】
本発明の基本コンクリートブロック150(図9及び図10を参照のこと)又は基本コンクリートブロック160(図11及び図12を参照のこと)を使用するマスコンクリート構造物の構築方法は、基本コンクリートブロック110(図5乃至図8を参照のこと)を使用するマスコンクリート構造物の構築方法と同様である。
【0138】
次に、本発明の基本コンクリートブロック100(図1及び図4を参照のこと)を使用するマスコンクリート構造物の構築方法について説明する。なお、基本コンクリートブロック110(図5乃至図8を参照のこと)を使用する場合と概略同様であるため、図示は省略した。
【0139】
基本コンクリートブロック100を使用する場合に、基本コンクリートブロック110を使用する場合とは異なる点は、第1のブロック層の構築にあたり、4個の基本コンクリートブロックからなる一単位を構成させるに際に、各ブロックの切欠き面13の代わりに、各ブロックにおいて二側面の境界である4本の辺の中の1本が中央付近に来るように、ブロックを集結させることのみである。これ以外は、貫通孔及び見掛け上の貫通孔が無いことを除き、基本コンクリートブロック110を使用する場合のマスコンクリート構造物の構築方法の説明が、同様にあてはまる。
【0140】
本発明の基本コンクリートブロックの大きさは、特に限定されないが、一例を示すと、次のとおりである。ブロックの設計寸法は、本体部2の直方体の寸法が、縦、横各120cm、高さ60cmであり、その製作寸法は、本体部2の直方体の寸法が、縦、横各114cm、高さ60cmであり、本体部2の上面19の枠幅(上嵌入部8の上端の外周を構成する辺と、本体部2の上面19の外周を構成する辺との間の距離)が27cmであり、上脚部4の底面(正方形)の一辺の長さが27cmであり、本体部2の下面20の枠幅(下嵌入部11の下端の外周を構成する辺と、本体部2の下面20の外周を構成する辺との間の距離)が27cmであり、下脚部5の天井(正方形)の一辺の長さが27cmであり、上脚部4及び下脚部5の高さが14cmであり、上嵌入部8の上端(正方形)の一辺の長さ及び下嵌入部11の下端(正方形)の一辺の長さが60cmであり、上嵌入部8及び下嵌入部11の深さが16cmである。
【0141】
本発明において使用するコンクリートブロックは、配筋されたものであってもよい。コンクリートブロックにかかる曲げ外部応力や引張外部応力がコンクリート許容応力よりも大きくなることが予想される場合には、鉄筋などの耐引張応力性に優れた材料を用いて配筋することが好ましい。また、海水などの作用により、鉄筋の腐食が想定される場合には、耐腐食性のある材料(ステンレス綱や高強度プラスチック)や、塗装鉄筋等の錆防止対策を施してなる物を使用することが好ましい。
【0142】
コンクリートブロックの角部(偶部)は、特に角部を構成する二面間の角度が110度より小さい鋭角の場合には、面取りを施すことが好ましい。これにより、角部の欠けやクラックを予防乃至低減できる。なお、コンクリートブロックの製造に際しては、面取りを施すのが通常であるが、コンクリートブロックの形状を図示するに際しては、実際には面取りが施されていても、図面には単なる角部として描画されている場合が多い。本件明細書に添付した図面においても、面取りは省略している。
【符号の説明】
【0143】
2: 基本コンクリートブロックの本体部
2a: 本体部2の1/2とした部分であって実質的に上嵌入部8を有さない部分
2b: 本体部2の1/2とした部分であって上嵌入部8を有さない部分
3,3A,3B: 本体部2の側面
3B’ : 水撥ね部の側面
3C: 本体部2の側面3Aに平行な中央の面
4: 上脚部
5: 下脚部
6a: 上嵌入部の底面
6b: 下嵌入部の天井
6c: 吊り金具収納部の天井
7a1,7a2: 上嵌入部の側面
7b1,7b2: 下嵌入部の側面
8: 上嵌入部
9a,9b: 上脚部内側の側面
9c,9d: 上脚部外側の側面
10a,10b: 下脚部内側の側面
10c,10d: 下脚部外側の側面
11: 下嵌入部
12: 貫通孔
12a: 切欠き面13aを二つ結合したものと同様の部分
13: ブロック四隅の切欠き面
13a: ブロック隅の切欠き面
14: 見掛け上の貫通孔
15: 吊り金具収納部
16: 上脚部内側の切欠き面
17: 下脚部内側の切欠き面
18: 基本コンクリートブロック2体を連結した面
19: 本体部の上面
19b: 1/2とした部分2bの上面
20: 本体部の下面
26: 上嵌入部の側面角部のハンチ面
27: 下嵌入部の側面角部のハンチ面
31: 上脚部内側の二側面9a,9bの境界を成す辺
32: 下脚部内側の二側面10a,10bの境界を成す辺
41: 上脚部外側の二側面9c,9dの境界を成す辺
42: 下脚部外側の二側面10c,10dの境界を成す辺
50,55: 水撥ね部
60: 基本コンクリートブロックの他の1/2残部
70,75: 傾斜部
80A,80B,80C,85A,85B,85C: 水撥ね部の側面
80D,85D: 水撥ね部の上面
80E: 水撥ね部の貫通孔に繋がる鉛直方向の凹部
100,110,150,160: 基本コンクリートブロック
115: 基本コンクリートブロックの1/2断片
120: 1.5体の端辺用コンクリートブロック
130,140: 角部用コンクリートブロック
170: 小段用コンクリートブロック
180: 1.5体の小段用コンクリートブロック
【技術分野】
【0001】
本発明は、堰堤、コンクリート堤防、擁壁、堤防法面下部の土留擁壁等のマスコンクリート構造物を構築するためのコンクリートブロックであって、コンクリートブロック同士を前後左右及び上下に密に接触させて配置することができ、且つ互いに上下方向に堅固に嵌合させることで、これらを堅牢に固定することが可能なコンクリートブロック(以下、単に「ブロック」と称することがある)と、そのようなコンクリートブロックを、堅固に、安全に、短期間に、簡単に積み上げるマスコンクリート構造物の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に山間部は地形条件が悪く、交通の便が悪く、資材の運搬やコンクリートの打設作業も困難である。また、山間僻地の治山、治水作業現場は、急斜面や狭い谷底であり、転落、斜面崩壊、落石、鉄砲水などが発生する可能性のある危険な場所である。従来は、このような危険な場所に人が立入り、堰堤や擁壁等のマスコンクリート構造物を構築していた。これは非常に危険な作業であり、短期間に作業を終了させることが安全に繋がっていた。また、災害緊急対策工事等の場合には、現地における作業ヤードの確保が困難であるとか、現地における作業可能な時間が非常に短い等、悪条件下での作業が必要とされることが多かった。また、演習場内の工事では、1年間に確保できる工期が大変短く、小規模な工事でも竣工までに数年を要していた。そこで、予め別の作業条件の良い場所でコンクリートブロックを製造し、それを現場に運搬して積み上げれば、現地での作業が安全に、しかも簡単且つ短時間で済むようになる。
【0003】
上記の観点から、別の場所で製造されたコンクリートブロックを積み上げることによって構築物とする技術が提案された。例えば特許文献1乃至3には、上面に二つの凸部、下面に二つの凹部を有し、それらのブロックの凸部と凹部とを係合させて積み上げる、擁壁や護岸壁形成用のコンクリートブロックが開示されている。特許文献1乃至3には、これらのブロックを上下段で半単位(幅方向半分)ずつずらして積み上げることにより、擁壁や護岸壁等の壁面を構築することも記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1乃至3に開示されたブロックは、いずれも上下及び左右にのみ積み上げられるもの、すなわち壁面構築用のものであり、前後に、すなわち厚みが要求されるマスコンクリート構造物の構築における使用は考慮されておらず、したがって、そのような用途に使用するのに十分な構造となってはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−45797
【特許文献2】特開2000−291029
【特許文献3】特開平07−138968
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
治山、治水のためにマスコンクリート構造物を構築するに際し、その場所が山間部の急斜面や狭い谷底である場合には、転落、斜面崩壊、落石、鉄砲水などで、作業を行う場所自体が危険であり、作業を行う人が居るだけでも危険である。そこで、本発明者らは、作業工程を分析検討し、実際に人が現地で行わなければならない作業のみを現地で行うマスコンクリート構造物の構築方法について研究した。その結果、前後左右及び上下に密に接触させて配置することができ、互いに上下方向に堅固に嵌合可能な形状で、結果として前後左右のブロックも堅牢に固定でき、例えば軽トラックや小型トラックで運搬できる程度の大きさのブロックを、コンクリートの打設が容易な場所で製造すれば、現場では、そのようなブロックを単に載置する、或いは積み上げる作業のみを行うことで、堅固に、安全に、短期間に、簡単に、空隙率が小さく、堅牢で且つ見かけの比重が大きいマスコンクリート構造物を構築することができるとの結論に達した。
【0007】
そこで、本発明者らは、マスコンクリート構造物、特に、堅牢で且つ見かけの比重が大きいマスコンクリート構造物を構築するためのコンクリートブロックであって、各ブロックを前後左右及び上下に密に接触させて配置することができ、且つ互いに上下方向に堅固に嵌合することができるコンクリートブロックと、そのようなコンクリートブロックを用いる、隣接する上下の層ごとにブロックの平面形の位置を前後左右にブロック半個ずつずらせて配置すること、ブロック同士を上下方向に堅固に嵌合すること、及びブロック同士を前後左右及び上下に密に接触させて配置することができるマスコンクリート構造物の構築方法について鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、直方体形状の本体部2と、本体部2の上面19の四隅から延出する四角錐台形状の4本の上脚部4,4,4,4と、本体部2の下面20の四隅から延出する逆四角錐台形状の4本の下脚部5,5,5,5とを有する基本コンクリートブロックに関する。前記本体部2は、その上面19の中央部には逆四角錐台形状の上嵌入部8を、下面20の中央部には四角錐台形状の下嵌入部11を有する。前記4本の上脚部4,4,4,4は、互いに同形状且つ同じ大きさである。但し、方向は異なる。前記4本の上脚部4,4,4,4の各々は、本体部2の側面3A,3Bに各々共通する側面9c,9dと、側面9cに隣接する内側の側面9b及び側面9dに隣接する内側の側面9aとを有する。前記4本の下脚部5,5,5,5の各々は、本体部2の側面3A,3Bに各々共通する側面10c,10dと、側面10cに隣接する内側の側面10b及び側面10dに隣接する内側の側面10aとを有する。但し、本体部2は、ブロックの配置に方向性が出ないために、その水平横断面(又は平面)形状が正方形の直方体であり、且つ、上脚部4及び下脚部5、上嵌入部8及び下嵌入部11も、各々、その水平横断面(又は平面)形状が正方形であることが好ましい。
【0009】
前記本発明の基本コンクリートブロックにおいて、上嵌入部8の底面6aは、本体部2の上面19と平行であり、上嵌入部8の上端である外周の位置は、上嵌入部8が上脚部4,4,4,4と重ならず且つ当該外周を形成する四辺すべての外側に上面19が存在することが必要であり、上嵌入部8の側面7a1,7a2の傾斜角は、各々、下脚部5の内側の側面10a,10bの傾斜角と同一の角度である。ここで、上脚部4,4,4,4が上面19の四隅から延出しているとの記載からも明らかなように、「上面19」の定義には、上脚部4,4,4,4が存在する部分、換言すれば、上脚部4の底面も含まれる。また、「上嵌入部8が上脚部4,4,4,4と重ならず」とは、上脚部4,4,4,4の下に上嵌入部8が潜り込まないことをいう。
【0010】
同様に、下嵌入部11の天井6bは、本体部2の下面20と平行であり、下嵌入部11の下端である外周の位置は、下嵌入部11が下脚部5,5,5,5と重ならず且つ当該外周を形成する四辺すべての外側に下面20が存在することが必要であり、下嵌入部11の側面7b1,7b2の傾斜角は、各々、上脚部4の内側の側面9a,9bの傾斜角と同一の角度である。ここで、下脚部5,5,5,5が下面20の四隅から延出しているとの記載からも明らかなように、「下面20」の定義には、下脚部5,5,5,5が存在する部分、換言すれば、下脚部5の天井も含まれる。また、「下嵌入部11が下脚部5,5,5,5と重ならず」とは、下脚部5,5,5,5の上に下嵌入部8が潜り込まないことをいう。
【0011】
上嵌入部8の上端である外周の位置は、4本の上脚部4,4,4,4の中、隣り合う2本の上脚部4,4の底面の内側角部x,x同士を結ぶ直線と同じであるか又はそれよりも内側であることが好ましく、内側角部x,x同士を結ぶ直線と同じであることが特に好ましい。また、下嵌入部11の下端である外周の位置は、4本の下脚部5,5,5,5の中、隣り合う2本の下脚部5,5の天井面の内側角部y,y同士を結ぶ直線と同じであるか又はそれよりも内側であることが好ましく、内側角部y,y同士を結ぶ直線と同じであることが特に好ましい。
【0012】
前記本発明の基本コンクリートブロックにおいて、上嵌入部8の形状は、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部5,5,5,5を、下脚部5の外側の二側面10c,10dの境界である辺42が中央に来るように集結させたものの形状とほぼ同じである。上嵌入部8の深さは、下脚部5の高さよりも大きく(好ましくはやや大きく)、上嵌入部8の大きさは、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部5,5,5,5を、下脚部5の外側の二側面10c,10dの境界である辺42が中央に来るように集結させた大きさよりも大きく(好ましくはやや大きく)、したがって、上嵌入部8には、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部5,5,5,5を、下脚部5の外側の二側面10c,10dの境界である辺42が中央に来るように集結させて挿入することができる。また、下嵌入部11の形状は、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部4,4,4,4を、上脚部4の外側の二側面9c,9dの境界である辺41が中央に来るように集結させたものの形状とほぼ同じである。下嵌入部11の深さは、上脚部4の高さよりも大きく(好ましくはやや大きく)、下嵌入部11の大きさは、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部4,4,4,4を、上脚部4の外側の二側面9c,9dの境界である辺41が中央に来るように集結させた大きさよりも大きく(好ましくはやや大きく)、したがって、下嵌入部11には、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部4,4,4,4を、上脚部4の外側の二側面9c,9dの境界である辺41が中央に来るように集結させて挿入することができる。
【0013】
上記の上嵌入部8の深さと下脚部5の高さとの関係、及び、上嵌入部8の容積と4本の下脚部5,5,5,5の総容積との関係は、上嵌入部8に4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部5,5,5,5が上記のように挿入できるという条件の下、略同一であること、具体的には、上嵌入部8の深さが下脚部5の高さよりもやや大きく、上嵌入部8の大きさが4本の下脚部5,5,5,5の総容積よりもやや大きいことが好ましい。すなわち、土木工事の施工の観点から、これらの関係が全く同一の大きさであると、マスコンクリート構造物を構築するブロックの積み上げ作業に当たって、上嵌入部8に4個の下脚部5,5,5,5を挿入することが殆ど困難となるが、一方、大きさの相違が大きすぎると、すなわち、上嵌入部8の大きさに対して相対的に下脚部5の大きさが小さすぎると、下脚部5のせん断強度が不足したり、コンクリートブロックを上下方向に嵌合させたときに空隙が多すぎて、マスコンクリート構造物全体としての比重が小さくなってしまうからである。基本コンクリートブロックを積み上げたマスコンクリート構造物の容積空隙率は、当該構造物の見掛けの比重を大きくし且つ安定性を大きくするため、ブロックの製作誤差、ブロックを配置する基礎面の凹凸、及びブロックの積上げ施工に必要な余裕に配慮すると、5乃至15容積%であることが好ましく、5乃至10容積%であることがさらに好ましい。なお、マスコンクリート構造物の見掛けの比重を大きくするためには、工事施工に支障が生じないことを条件に、上記容積空隙率を0容積%に近付けることが特に好ましい。
【0014】
ここで、上脚部4の形状は四角錐台、下脚部5の形状は逆四角錐台と規定しているが、後記するように、直線で切り欠かれた切欠き面を有する態様では、その切欠いた個所も一辺と数えれば(逆)五角錐台又は(逆)六角錐台ということができる。また、曲線で切り欠かれた切欠き面を有する態様は、厳密には角錐台と呼称することはできない。しかし、本願明細書においては、上脚部4や下脚部5の形状の名称に関しては、切欠き面(これは、「面取り」ということもできる)は一辺としては数えずに、四角錐台、逆四角錐台と呼称する。
【0015】
上記基本コンクリートブロックにおいて、下嵌入部11を更に深く穿設して吊り金具収納部15を設けてもよい。
【0016】
上記基本コンクリートブロックは、上嵌入部8の中心には、その横断面形状が上嵌入部8の底面6aの4辺と斜角で、すなわち、ある角度をもって交わる直線によって囲まれた四辺形の貫通孔12が、下嵌入部11の天井6bに達するように又は吊り金具収納部15の天井6cに達するように穿設され、本体部2の四隅と上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位には、各々が貫通孔12の一辺と平行な直線で切欠かれた4個所の切欠き面13,13,13,13が設けられているものであってもよい。また、貫通孔12の各辺と底面6aの各辺との角度、及び、切欠き面13とブロックの外周面を構成する各辺との角度は、45°であることが最も好ましい。
【0017】
上記基本コンクリートブロックは、上嵌入部8の中心には、その横断面形状が円形又は楕円形の貫通孔12が、下嵌入部11の天井6bに達するように又は吊り金具収納部15の天井6cに達するように穿設され、本体部2の四隅と上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位には、各々が内側に向かって凸となっている円又は楕円の1/4の円弧状の切欠き面13,13,13,13が設けられているものであってもよい。
【0018】
上記基本コンクリートブロックは、上嵌入部8の中心には、その横断面形状が上嵌入部8の底面6aの4辺と斜角で、すなわち、ある角度(好ましくは45°)をもって交わる直線によって囲まれた四辺形の貫通孔12が、下嵌入部11の天井6bに達するように又は吊り金具収納部15の天井6cに達するように穿設され、本体部2の四隅と上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位には、各々が内側に向かって凸となっている円又は楕円の1/4の円弧状の切欠き面13,13,13,13が設けられているものであってもよい。
【0019】
上記基本コンクリートブロックは、上嵌入部8の中心には、その横断面形状が円形又は楕円形の貫通孔12が、下嵌入部11の天井6bに達するように又は吊り金具収納部15の天井6cに達するように穿設され、本体部2の四隅と上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位には、各々が直線で切欠かれた切欠き面13,13,13,13が設けられているものであってもよい。
【0020】
上記の切欠き面13,13,13,13が設けられている基本コンクリートブロックが、さらに、各上脚部4には内側の二側面9a,9bの境界である辺31を通り且つ側面9aと側面9bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面16があり、各下脚部5には内側の二側面10a,10bの境界である辺32を通り且つ側面10aと側面10bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面17があり、上嵌入部8は、その側面の四隅の各々に、すなわち、側面7a1と側面7a2との境界部に、下脚部5の切欠き面17に対応するハンチ面26を有し、下嵌入部11は、その側面の四隅の各々に、すなわち、側面7b1と側面7b2との境界部に、上脚部4の切欠き面16に対応するハンチ面27を有するものであってもよい。
【0021】
ここで、「ハンチ部面27」は、「上脚部4の切欠き面16に対応する」のであるが、これは、4本の上脚部4,4,4,4が下嵌入部11に入ることができるという条件の下、ハンチ面27の形状が上脚部4の切欠き面16の形状と略同一であり、ハンチ面27の大きさが上脚部4の切欠き面16の大きさよりもやや大きく、ハンチ面27の傾斜角度は上脚部4の切欠き面16の傾斜角度と略同一であることを意味する。また、「下脚部(5)の切欠き面17に対応するハンチ面26」も同様である。
【0022】
本発明は、上記いずれかの基本コンクリートブロックであって同じもの2体を、同形状且つ同寸法の一側面を共通にして連結した後、一方の基本コンクリートブロックを、連結した面と平行な面で且つ中央で切断した形状を有する、基本コンクリートブロック1.5体の端辺用コンクリートブロックにも関する。なお、切断する個所は「中央」であるが、これは、「厳密に中央」である場合のみならず、「中央付近」である場合をも含み、したがって、「1.5体」も「約1.5体」を意味する。
【0023】
さらに、本発明は、上記の端辺用コンクリートブロックを、基本コンクリートブロック同士を連結した面と直交する面で且つ中央で切断した形状を有する、角部用コンクリートブロックにも関する。角部用コンクリートブロックには、切断した面に対して対称な二種類が存在する。「中央」の意味は、端辺用コンクリートブロックの場合と同様である。
【0024】
上記の本発明に係るコンクリートブロックは、粗骨材の一部又は全部に電気炉酸化スラグを使用してなるもの、及び/又は、細骨材の一部又は全部に銅スラグを使用してなるものであってもよい。
【0025】
本発明は、マスコンクリート構造物の建設地に、本発明の基本コンクリートブロックであって、本体部の四隅に切欠き面を有さないコンクリートブロックであって同じもの4個を、各ブロックにおいて二側面の境界である4本の辺の中の1本が中央に来るように集結させて一単位を構成させて第1のブロック層を構築し、ここで、第1のブロック層は、一単位以上を備えるものであり、且つ、一単位の平面形状は長方形(ここでは、「正方形」を含む意味で使用されている)であり、次いで、第1のブロック層の各コンクリートブロックの上嵌入部に、第2のブロック層の構成要素となる1乃至4個のコンクリートブロックであって第1のブロック層を構成するものと同じものの各々に由来する1乃至4本の下脚部を挿入し且つ第2のブロック層の構成要素となる各コンクリートブロックの下嵌入部に、第1のブロック層の1乃至4個のコンクリートブロックの各々に由来する1乃至4本の上脚部を挿入して第2のブロック層を構築し、第3のブロック層以降は第2のブロック層と同様にコンクリートブロックを積み上げることを特徴とするコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法に関する。
【0026】
本発明は、マスコンクリート構造物の建設地に、本体部の四隅に切欠き面を有する本発明の基本コンクリートブロックであって同じもの4個を、各ブロックの本体部四隅の切欠き面を集結させることにより、その横断面形状が四辺形、円形又は楕円形の見掛け上の貫通孔を形成させて一単位を構成させ、第1のブロック層を構築し、ここで、第1のブロック層は、一単位以上を備えるものであり、且つ、一単位の平面形状は切欠き面を有する長方形(ここでは、「正方形」を含む意味で使用されている)であり、次いで、第1のブロック層の各コンクリートブロックの上嵌入部に、第2のブロック層の構成要素となる1乃至4個のコンクリートブロックであって第1のブロック層を構成するものと同じものの各々に由来する1乃至4本の下脚部を挿入し且つ第2のブロック層の構成要素となる各コンクリートブロックの下嵌入部に、第1のブロック層の1乃至4個のコンクリートブロックの各々に由来する1乃至4本の上脚部を挿入して第2のブロック層を構築し、これにより、第1のブロック層の貫通孔の上に、第2のブロック層のコンクリートブロックの見掛け上の貫通孔が重なり、第3のブロック層以降は第2のブロック層と同様にコンクリートブロックを積み上げることを特徴とするコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法にも関する。
【0027】
上記いずれの構築方法であっても、構築されるマスコンクリート構造物は、コンクリートブロック層の縦横の端部それぞれにおいて、コンクリートブロック層一層につき、下層から上層に向かって基本コンクリートブロックの幅の1/2ずつ減少しているか又は増加しているものとなる。即ち、マスコンクリート構造物の外縁部は、階段状又は逆階段状となる。
【0028】
さらに、本発明のコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法は、上記いずれかの構築方法において、偶数層のブロック層を積み上げるにあたり、マスコンクリート構造物の端辺には、前記基本コンクリートブロック1.5体の端辺用コンクリートブロックを、その側面の中、基本コンクリートブロックの中央で切断した切断面に相当する側面がマスコンクリート構造物の端辺を構成するように配置し、マスコンクリート構造物の角部には前記角部用コンクリートブロックを配置することを包含する方法であってもよい。このような方法では、その外縁壁が鉛直であるマスコンクリート構造物を構築することができる。
【0029】
本発明は、上記した基本コンクリートブロックの中のいずれかの、本体部2をその一側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる本体部2の1/2とした部分であって実質的に上嵌入部8を有さない部分2a(以下、「1/2とした部分2a」という)と、二つの下脚部5,5と、前記1/2とした部分2aの上面19上に形成された傾斜部70とを有する水撥ね部50と、上記した基本コンクリートブロックの中のいずれか(但し、1/2とした部分2aを提供した基本コンクリートブロックと同じもの)をその一側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる他の1/2残部60とを有し、水撥ね部50と他の1/2残部60とが切断面同士で結合されてなる小段用コンクリートブロックにも関する。他の1/2残部60は、基本コンクリートブロックを側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる基本コンクリートブロックの1/2とした部分であるから、それぞれ2本の上脚部4,4及び下脚部5,5と、上嵌入部8の半分及び下嵌入部11の半分を有する1/2本体部2からなる。
【0030】
上記の小段用コンクリートブロックにおいて、傾斜部70は、1/2とした部分2aの側面3Aから延出した側面80Aと、1/2とした部分2aの側面3Aの両側に位置する側面3B’,3B’の各々から延出した側面80B,80Bと、二つの側面80B,80Bを繋ぐ側面80Cと、上面80Dとを有する。基本コンクリートブロックが貫通孔12を有する場合には、側面80Cの幅方向中央部に、当該貫通孔12の大きさ及び形状を変化させないための鉛直方向の凹部80Eを有する。また、側面80Aは、その少なくとも一部(例えばその下方を除いた部分、或いはその上方を除いた部分)、好ましくは全部が内側に傾斜しており、二つの側面80B,80Bの各々は、1/2とした部分2aの側面3B’,3B’に共通する側面であり、側面80Cは、他の1/2残部60の内側の面(切断面)と水撥ね部50の1/2とした部分2aの内側の面(切断面)とが結合された位置よりも、水撥ね部50の内側に若干後退した位置にある。また、側面80Cは、上嵌入部8の底面6aまで延出している。小段用コンクリートブロックの上嵌入部8は、他の1/2残部60側から、水撥ね部50の1/2とした部分2a側に、側面80Cに結合するように若干延長されている。換言すれば、水撥ね部50の1/2とした部分2aには、上嵌入部8は、前記結合された位置と前記若干後退した位置との間にのみ存在する。なお、側面80Aの下端は、1/2とした部分2aの上端より下方に存在していてもよい。
【0031】
前記基本コンクリートブロックが切欠き面13を有するものである場合には、水撥ね部50の外周の二隅には、側面3Aと側面3B’との境界である辺を通り、側面3Aと側面3B’との角度を二等分する鉛直面に対して左右対称であり、且つ切欠き面13と同一の幅を有する切欠き面13aが、下脚部5から側面80Aの下端までの部分に存在している。そして、傾斜部70の高さは、通常は1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/3であり、好ましくは1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/2であり、且つ、傾斜面80Aの勾配(すなわち、水平面からの立ち上がり勾配)は、35度乃至70度であることが望ましく、45度乃至60度であることがさらに望ましい。
【0032】
本発明は、上記した基本コンクリートブロックの中のいずれかと同形状の基本コンクリートブロック部と、当該基本コンクリートブロック部の本体部2をその一側面3Aに平行で且つ中央の面3Cで縦に切断してなる本体部2の1/2とした部分であって上嵌入部8を有さない部分2b(以下、「1/2とした部分2b」という)、二つの下脚部5,5、及び1/2とした部分2bの上面19上に形成された傾斜部75とを有する水撥ね部55とを有し、前記基本コンクリートブロック部の一側面3Aと水撥ね部55の一側面3Aとが結合されてなる1.5体の小段用コンクリートブロックにも関する。
【0033】
上記の1.5体の小段用コンクリートブロックにおいて、基本コンクリートブロック部が貫通孔12を有する場合には、水撥ね部55の前記面3C(これは、小段用のコンクリートブロックにおいては外側面に位置する)の幅方向中央部に、後記する切欠き面13aを二つ結合したものと同様の部分12aを有する。この部分12aは、見掛け上の貫通孔14を構成することとなる。
【0034】
傾斜部75は、前記面3Cから延出した側面85Aと、前記面3Cの両側に位置する側面3B’,3B’の各々から延出した側面85B,85Bと、二つの側面85B,85Bを直接又は間接的に繋ぎ且つ前記の結合された面3Aに平行な側面85Cと、上面85Dとを有し、ここで、側面85Aは、その少なくとも一部(例えばその下方を除いた部分、或いはその上方を除いた部分)、好ましくは全部が内側に傾斜しており、二つの側面85B,85Bの各々は、1/2とした部分2bの側面3B’,3B’に共通する側面であり、側面85Cは、前記の結合された面3Aよりも水撥ね部55側において内側に若干後退した位置にあり、したがって、基本コンクリートブロック部の水撥ね部55との結合部側に存在する、二つの上脚部4,4と上面部19は、水撥ね部55の側面85Cに結合するように延長されている。但し、側面85Aの下端は、1/2とした部分2bの上端より下方に存在していてもよい。
【0035】
前記基本コンクリートブロック部が切欠き面13を有するものである場合には、水撥ね部55には、前記の結合された面3Aと側面3B’との境界である辺を通り、側面3Aと側面3B’との角度を二等分する鉛直面に対して左右対称であり且つ切欠き面13と同一の幅を有する切欠き面13aが存在する。切欠き面13及び13aは見掛け上の貫通孔となる。その切欠き面13aは、下脚部5から1/2とした部分2bを通って傾斜部75の上端までの部分に存在している。そして、傾斜部75の高さは、通常は、1/2とした部分2bの高さと同一乃至その1/3であり、好ましくは1/2とした部分2bの高さと同一乃至その1/2であり、且つ、傾斜面85Aの勾配(すなわち、水平面からの立ち上がり勾配)は、35度乃至70度であることが望ましく、45度乃至60度であることがさらに望ましい。
【0036】
さらに、本発明は、上記したマスコンクリート構造物の構築方法において、堰堤水通し部には、上記した小段用コンクリートブロックと1.5体の小段用コンクリートブロックのいずれか又は両者を配置することを特徴とするマスコンクリート構造物の構築方法にも関する。
【0037】
本発明に係るコンクリートブロックの寸法や形状は、土木工事での使用に支障のない限り、正確でなくてもよい。また、上記のマスコンクリート構造物の構築方法は、土木工事であるから、例えば、相互のブロックの同形状の側面同士を互いに接触させるに際し、側面同士が完全に接触せず、概ね接触している状態であってもよく、コンクリートブロックの層を建設する際のコンクリートブロックの配置も、完全に水平ではなく、概ね水平に配置されていればよい。さらに、例えば、第一のブロック層における貫通孔の位置と第二のブロック層における見掛け上の貫通孔の位置とは、概ね同じ位置であればよい。また、上嵌入部の側面の傾斜角と下脚部の内側の二側面の傾斜角とは、マスコンクリート構造物の構築に支障のない範囲で略同一であればよい。下嵌入部の側面の傾斜角と上脚部の内側の二側面の傾斜角との関係も同様である。さらに、上脚部や下脚部の内側の切欠き面と、下嵌入部や上嵌入部のハンチ面との対応関係も、コンクリート構造物の構築に支障のない範囲で、下嵌入部に上脚部を、また上嵌入部に下脚部を挿入することができるような同一性、対応性があればよい。加えて、「直方体」、「長方形」、「四辺形」、「円」、「楕円」等の形状を示す用語や、「平行」、「同一」、「中央」等の位置を表す用語も、それらの用語の厳密な意味のみではなく、土木工事での使用に支障のない限りにおいて、大凡そのような形状であるとか大凡そのような位置である場合を含む用語として用いている。
【0038】
上記いずれかのマスコンクリート構造物の構築方法において、本体部の四隅に切欠き面を有するコンクリートブロックを用いた場合には、第1のブロック層の貫通孔の平面位置は、第3のブロック層の貫通孔の平面位置に重なる。したがって、本体部の四隅に切欠き面を有するコンクリートブロックを用いた場合には、一段おきに交互に重なった貫通孔と見掛け上の貫通孔を通して、剛性棒を挿入することが出来るので、さらに、少なくとも3層の連続するブロック層において、見掛け上の貫通孔を中に挟んで、上層の貫通孔の上端と下層の貫通孔の下端とを結んで剛性棒を挿入し、上下方向のブロックを連結する工程を実施することが好ましい。
【0039】
具体的には、例えば、マスコンクリート構造物を積み上げた後、貫通孔及び見掛け上の貫通孔に、剛性棒を全ての層を貫通するように挿入する工程を実施する。或いは、コンクリートブロック層を3層積み上げる毎に、貫通孔及び見掛け上の貫通孔に剛性棒を挿入する、すなわち3層を一組として上下のコンクリートブロックを剛性棒で連結する工程を実施する。平面的にみると、貫通孔と見掛け上の貫通孔とが交互に現れる。従って、3層を一組としてコンクリートブロックを剛性棒で連結する場合、選択される3層(一組)は、隣接する孔間で、一層ずれる。なお、剛性棒で連結するのは3層又は全ての層に限定されず、例えば5層や7層を一組として剛性棒で連結してもよいことは勿論である。
【0040】
また、例えば、あるブロック層において、ある貫通孔を有するブロックが、剛性棒によってそのブロック層よりも下に位置するブロック層のブロックと結合される場合、その隣に位置するブロックは、剛性棒によってそのブロック層よりも上に位置するブロック層のブロックと結合されるというように、一つの層の中に、その層よりも上層のブロックと結合されたブロックと、その層よりも下層のブロックと結合されたブロックとが存在するように、剛性棒での連結を行うことも好ましい。より具体的に説明すると、剛性棒は、第1のブロック層の貫通孔、第2のブロック層の見掛け上の貫通孔及び第3のブロック層の貫通孔を貫通してそれらの層を構成するブロックを連結するが、他の剛性棒は、第3のブロック層の貫通孔、第4のブロック層の見掛け上の貫通孔及び第5のブロック層の貫通孔を貫通してそれらの層を構成するブロックを連結するというような構成である。
【発明の効果】
【0041】
本発明により、危険な場所で人間が作業する時間を極端に短縮でき、安全性を大幅に向上させることに成功した。本発明に係るコンクリートブロックを使用すれば、軽トラックや小型トラックを用いて、或いはロープと滑車とを用いて、場合によってはヘリコプターを用いて、ブロックを運搬し、現場では、単に載置する、或いは積み上げる作業のみを行っても、全体が一体化した、堅固な堰堤、擁壁、堤防あるいは堤防法面下部の土留擁壁等のマスコンクリート構造物を構築することができる。そして、本発明の構築方法は、コンクリートが硬化しがたい寒冷地や作業可能な時間が1日の中の短時間に限定されている、例えば災害の緊急・応急復旧工事や山間僻地や演習場のような場所での工事にも対応することができる。さらに、構築されたマスコンクリート構造物は、必要な場合にはクレーン作業のみで解体することも可能である。本発明のマスコンクリート構造物の構築方法では、上脚部は上層に隣接するブロックの下嵌入部に、下脚部は下層に隣接するブロックの上嵌入部に挿入されるので、ブロック同士が互いに堅固に上下方向に嵌合しあっており且つブロック同士が前後左右及び上下に密に接触して配置された堅牢なマスコンクリート構造物が、安全に、短期間に、簡単に構築される。この際、ブロックを密に積み上げて容積空隙率を小さくすれば、見かけの比重の大きなマスコンクリート構造物を構築することができる。
【0042】
本発明の方法では、使用する一つ一つのコンクリートブロックは、マスコンクリート構造物全体の大きさと比べると、非常に小さい(例えば、重量を2t以下とすることができる)ので、現場では、ロボットによる施工も可能である。本発明のマスコンクリート構造物の構築方法では、コンクリートブロック同士が堅固に上下方向に嵌合しあうので、堅牢なマスコンクリート構造物を構築することができる。また、コンクリートブロックの製造に際し、コンクリートブロック同士を嵌合させた後の容積空隙率(具体的には、基礎地盤面の凹凸均しやブロックの前後左右上下の隙間を少なくする組み立て施工精度の他、上嵌入部の容積と4本の下脚部の総容積との差の、上嵌入部の容積に対する割合や、同様に、下嵌入部の容積と4本の上脚部の総容積との差の、下嵌入部の容積に対する割合を考慮したもの)が小さくなるように、究極的には、ブロック製作及び施工における精度を高めれば、見掛け比重が大きいマスコンクリート構造物を構築することが可能となる。そのため、マスコンクリート構造物の横断面積を、従来のものに比べて小さくすることができ、これは、コスト削減にも繋がる。そして、本発明の方法で構築された構造物は、一つの大きな一体化したコンクリート構造物に近い強度を発揮し得る。
【0043】
さらに、本発明のコンクリートブロックを用いれば、マスコンクリート構造物の工事現場において、その現場の形状や大きさ(広さ)に応じて、随時、マスコンクリート構造物の形状や大きさを自由自在に設計できると共に、工事完成後においても設計変更が可能である。具体的には、使用するコンクリートブロックの数を増減させたり、端辺用や角部用のコンクリートブロックを使用したりしなかったりすることで、現場に応じた任意の高さ・法勾配・断面のマスコンクリート構造物を構築することができる。
【0044】
本発明の方法の実施のために使用するコンクリートブロックの製造に際し、使用する型枠片はかなりの部分が共通しているため、型枠片を効率的に使用することができる。
【0045】
コンクリートブロックの製造に際し、粗骨材として電気炉酸化スラグを配合したり、細骨材として銅スラグを配合することにより、コンクリート自体の比重を高めることができる。このようなコンクリートブロックを使用すれば、マスコンクリート構造物の比重が増大し、より安定なものとなる。また、コンクリート自体の比重を大きくすれば、構築するマスコンクリート構造物の横断面積を従来のものに比べてさらに小さくすることが可能となるので、設計・施工コストをさらに低減させることも可能となる。
【0046】
貫通孔を有するコンクリートブロックを使用し、この貫通孔と見掛け上の貫通孔を貫通するように綱棒を挿入する態様においては、上下のコンクリートブロック間の結合が一層強固となる。
【0047】
また、本体部四隅の切欠き面や上脚部及び下脚部の内側の二側面の境界を中心として切り欠いた切欠き面を有するコンクリートブロックや、あるいは上嵌入部や下嵌入部の角部にハンチ面を有するコンクリートブロックを使用した場合には、角部における応力集中が緩和されるので、コンクリートブロック角部の欠けやクラックを、防止又は減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の基本コンクリートブロックの一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のコンクリートブロックの平面図である。
【図3】図3は、図1のコンクリートブロックの中心線断面図である(脚部の傾斜角θを表示)。
【図4】図4は、図1のコンクリートブロックの側面図である。
【図5】図5は、本発明の基本コンクリートブロックであって、貫通孔、吊り金具収納部及び四隅の切欠き面を有するものの一例を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5のコンクリートブロックの平面図である。
【図7】図7は、図5のコンクリートブロックの中心線断面図である。
【図8】図8は、図5のコンクリートブロックの側面図である。
【図9】図9は、本発明の基本コンクリートブロックであって、その四隅に切欠き面を有すると共に、上脚部及び下脚部の内側の二側面の境界を中心とする切欠き面、上嵌入部及び下嵌入部の二側面の境界を中心とするハンチ面、平面形状が正方形の貫通孔をも有するものの一例を示す斜視図である。
【図10】図10(1)は、図9のコンクリートブロックの上面図であり、図10(2)は、その底面図である。
【図11】図11は、本発明の基本コンクリートブロックであって、その四隅に1/4円弧の切欠き面を有すると共に、上脚部及び下脚部の内側の二側面の境界を中心とする切欠き面及び平面形状が円形の貫通孔をも有するものの他の一例を示す上面図である。
【図12】図12は、図11のコンクリートブロックの底面図である。
【図13】図13は、図5の基本コンクリートブロックと共に使用される本発明の端辺用コンクリートブロックの一例を示す平面図である。
【図14】図14は、図5の基本コンクリートブロックと共に使用される本発明の角部用コンクリートブロックの一例を示す平面図である。
【図15】図15は、図14に示したコンクリートブロックに対して、切断面に対して対称な角部用コンクリートブロックを示す平面図である。
【図16】図16は、マスコンクリート構造物の構築に際し、第1のブロック層のブロックの配列を破線で示し、第2のブロック層についてはブロック1個のみを実線で示した平面説明図である。
【図17】図17は、マスコンクリート構造物の一部の縦方向断面の透視図である。
【図18】図18は、外縁部を鉛直に積み上げてマスコンクリート構造物を構築する際し、第1のブロック層のブロックの配列を破線で示し、第2のブロック層のブロックの配列は実線で示した平面説明図である。
【図19】図19は、本発明の小段用コンクリートブロックの一例を示す斜視図である。
【図20】図20は、図19の小段用コンクリートブロックの、図19とは180°異なる角度から俯瞰した斜視図である。
【図21】図21は、図19及び図20のコンクリートブロックの上面図である。
【図22】図22は、図19乃至図21のコンクリートブロックの変形例の斜視図である。
【図23】図23は、図19乃至図21のコンクリートブロックの他の変形例の斜視図である。
【図24】図24は、本発明の1.5体の小段用コンクリートブロックの一例を示す斜視図である。
【図25】図25は、図24の1.5体の小段用コンクリートブロックの、図24とは180°異なる角度から俯瞰した斜視図である。
【図26】図26は、図24及び図25の1.5体の小段用コンクリートブロックの平面(上面)図である。
【図27】図27は、図24及び図25の1.5体の小段用コンクリートブロックの側面図である。
【図28】図28は、図19乃至図21の小段用コンクリートブロックを使用したマスコンクリート構造物の一部の縦(鉛直)方向断面の透視図である。
【図29】図29は、図24乃至図27の1.5体の小段用コンクリートブロックを使用したマスコンクリート構造物の一部の縦(鉛直)方向断面の透視図である。
【図30】図30は、本発明の基本コンクリートブロックにおいて、ブロックの平面形状が正方形で、脚部及び嵌入部の平面形状が長方形(ここでは、「正方形」を含まない意味で使用している)である場合の、上嵌入部の底面及び上嵌入部の上端である外周が形成する四辺形の形状及び大きさと、本体部の上面の形状及び大きさとの関係を説明するための平面図である。
【図31】図31は、本発明の基本コンクリートブロックにおいて、ブロックの平面形状が長方形(ここでは、「正方形」を含まない意味で使用している)で、脚部及び嵌入部の平面形状が正方形である場合の、上嵌入部の底面及び上嵌入部の上端である外周が形成する四辺形の形状及び大きさと、本体部の上面の形状及び大きさとの関係を説明するための平面図である。
【図32】図32は、本発明の基本コンクリートブロックにおいて、ブロックの平面形状、脚部及び嵌入部の平面形状がいずれも長方形(ここでは、「正方形」を含まない意味で使用している)である場合の、上嵌入部の底面及び上嵌入部の上端である外周が形成する四辺形の形状及び大きさと、本体部の上面の形状及び大きさとの関係を説明するための平面図である。
【図33】図33は、本発明の基本コンクリートブロックにおいて、ブロックの平面形状が長方形(ここでは、「正方形」を含まない意味で使用している)で、脚部及び嵌入部の平面形状が正方形であるが、上面と下面の脚部及び嵌入部大きさが異なる場合を示す。図33(1)は、上嵌入部の底面及び上嵌入部の上端である外周が形成する四辺形の形状及び大きさと、本体部の上面の形状及び大きさとの関係を説明するための平面図であり、図33(2)は、下嵌入部の天井及び下嵌入部の下端である外周が形成する四辺形の形状及び大きさと、本体部の下面の形状及び大きさとの関係を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明に使用するコンクリートにおいて、使用するセメントは特に限定がなく、普通ポルトランドセメント、高強度ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、スラグセメント、シリカセメント等の各種セメントを使用することができる。
【0050】
本発明に係るコンクリートブロックを、山間部における山崩れや火山噴火による災害に備え、火山泥流、土石流、熔岩流等の流れを変更させて、人家の密集地を避けて流れるように、且つ、これらの流れが山地斜面の浅いガリー浸蝕谷を堰き止めて人家の密集地の方向に流れて行かないように、誘導する目的で構築する堰堤や導流堤等のマスコンクリート構造物の構築に使用する場合には、通常の水流よりも比重が大きく且つ高速で破壊エネルギーの大きい上記のような流れに対抗するため、高比重のコンクリートブロックが好ましい。そのような高比重コンクリートを製造する場合には、骨材として電気炉酸化スラグや銅スラグを配合することが好ましい。
【0051】
電気炉酸化スラグは、鉄鉱石ではなく屑鉄を原料とするため有害物質を含有するおそれが殆どなく、しかも比重は3.5〜3.6と高い。銅スラグも同様に比重が高く、有害金属を殆ど含有しないことが確認されている。電気炉酸化スラグは比較的粒度が大粒であるため、主として粗骨材に配合して使用されるが、粒径の小さいものは細骨材に配合してもよい。銅スラグは比較的粒度が小粒であるため、主として細骨材に配合して使用されるが、大粒のものは粗骨材に配合してもよい。粗骨材、細骨材をこれらのスラグのみで構成してもよい。しかし、例えばこれらスラグの粒度分布がコンクリートの骨材として好ましくない場合には、好ましい粒度分布とするために、他の骨材と共に使用する。これらのスラグ類の使用は、廃棄物の有効利用につながると共に、泥流、土石流、熔岩流等により押し流されるおそれの小さい、堅牢で比重の大きいマスコンクリート構造物の構築を可能とする。
【実施例】
【0052】
次に、図面を参照して、本発明に係るコンクリートブロックの形状を説明する。
(1)基本コンクリートブロック(その1)
図1は、本発明の基本コンクリートブロックの平面形状が正方形の場合の一例を示す斜視図であり、図2はその平面図であり、図3は、その中心線断面図であり、図4は、その側面図である。
【0053】
図1乃至図4に示すように、本発明の基本コンクリートブロック100は、図1において、上側と下側の破線−実線−破線で区切られている直方体形状の本体部2と、本体部2の上面19の四隅から延出する四角錐台形状の4本の上脚部4,4,4,4と、本体部2の下面20の四隅から延出する逆四角錐台形状の4本の下脚部5,5,5,5とを有する。なお、破線は仮想線であり、実際には破線の個所における分離はない。
【0054】
上脚部4は、本体部2の側面3A,3Bと各々共通する側面9c,9dと、側面9cに隣接する内側の側面9b及び側面9dに隣接する内側の側面9aとを有し、下脚部5は、本体部2の側面3A,3Bと各々共通する側面10c,10dと、側面10cに隣接する内側の側面10b及び側面10dに隣接する内側の側面10aとを有する。ここで、「側面3A,3Bと各々共通する側面9c,9d(又は10c,10d)」とは、側面9c(又は10c)は、側面3Aをそのまま延出していったときに形成される側面であり、側面9d(又は10d)は、側面3Bをそのまま延出していったときに形成される側面であるという意味である。また、本明細書において、直方体の定義には立方体が包含される。
【0055】
基本コンクリートブロック100は、その平面(又は上面)形状が正方形である。上脚部4は、4本が同形状且つ同寸法の四角錐台形状である。この四角錐台の四側面9a,9b,9c,9dの中で、内側の二側面9a,9bは、互いに同形状(具体的には台形)且つ同寸法であり、それらの境界である辺31を通り且つ側面9aと側面9bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して対称であり、各々が本体部2の上面19に対して鈍角θの斜面(図3を参照のこと、θ=100乃至150度程度)であり、外側の二側面9c,9dは、互いに同形状(具体的には台形)且つ同寸法であり、それらの境界である辺41を通り且つ側面9cと側面9dとの間の角度を二等分する鉛直面に対して対称であり、前記したように、本体部2の側面3A,3Bと各々共通する側面(すなわち鉛直な側面)である。
【0056】
同様に、下脚部5も、4本が同形状且つ同寸法の四角錐台形状である。但し、下脚部5の上面はその下面よりも面積が大きいので、逆四角錐台と称している。下脚部5の四側面10a,10b,10c,10dの中で、内側の二側面10a,10bは、互いに同形状(具体的には台形)且つ同寸法であり、それらの境界である辺32を通り且つ側面10aと側面10bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して対称であり、各々が本体部2の下面20に対して鈍角θの斜面(図3を参照のこと、θ=100乃至150度程度)であり、外側の二側面10c,10dは、互いに同形状(具体的には台形)且つ同寸法であり、それらの境界である辺42を通り且つ側面10cと側面10dとの間の角度を二等分する鉛直面に対して対称であり、前記したように、本体部2の側面3A,3Bと各々共通する側面(すなわち鉛直な側面)である。
【0057】
図1乃至図4に示された例では、上脚部4と下脚部5は、上下は逆向きではあるが、同形状且つ同寸法である。しかし、後記するように、上脚部4の形状及び寸法は下嵌入部11の形状及び寸法との関係で、また、下脚部5の形状及び寸法は上嵌入部8の形状及び寸法との関係で規定される。したがって、上脚部4と下脚部5とは、異なる形状、寸法であってもよい。但し、上脚部4と下脚部5とが、同形状、同寸法であることが好ましい。
【0058】
本体部2の上面19の中央部には、上嵌入部8が形成されている。上嵌入部8の形状は、逆四角錐台である。この形状は、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部5,5,5,5を、下脚部5の外側の二側面10c,10dの境界である辺42が中央(但し、厳密に中央である必要はなく、中央付近でよい)に来るように集結させたものの形状及び大きさとほぼ同じである。但し、4本の下脚部5,5,5,5が余裕を持って上嵌入部8に入るような形状及び大きさである。「余裕を持って」とはいっても、前記したように、上嵌入部8の容積に対する、上嵌入部8の容積と4本の下脚部5,5,5,5の総容積との差の割合は、小さいことが好ましい。
【0059】
基本コンクリートブロック100では、上嵌入部8の上端である外周は、上脚部4,4,4,4の底面の内側角部である点x,x,x,xで、上脚部4,4,4,4と接触している。上嵌入部8の底面6aは、本体部2の上面19と平行である。上嵌入部8の底面6aの形状は正方形(1)、上嵌入部8の上端である外周が形成する形状は正方形(2)、且つ、本体部2の上面19の形状は正方形(3)である。そして、正方形(1)のいずれかの辺と正方形(2)のいずれかの辺とは、互い平行な関係にあるが、同時に、それらの辺は、正方形(3)のいずれかの辺とも平行な位置関係にある。上嵌入部8の四つの側面7a1,7a2,7a1,7a2は、いずれも同一の傾斜角を有する。また、下脚部5の内側の二側面10a,10bの傾斜角は、それぞれ、上嵌入部8の側面7a1,7a2とほぼ同一の傾斜角を有する。
【0060】
図1乃至図4に示す例では、上嵌入部8の底面6aの形状、上嵌入部8の上端である外周が形成する形状及び本体部2の上面19の形状は、いずれも正方形であるが、本発明において、これらは正方形である必要はなく、長方形(ここでは、「正方形」を含む概念)であればよい。また、図1乃至図4に示す例では、上嵌入部8の上端である外周の位置は点x,x,x,xを結ぶ線と一致しているが、本発明では、上嵌入部8の上端である外周の位置は、その外周を形成している四辺すべての外側に上面19(上脚部4が存在している個所も含む)が存在し、且つ、上嵌入部8が上脚部4,4,4,4と重ならなければ(上嵌入部8が上脚部4,4,4,4の下に潜り込まなければ)よい。但し、上嵌入部8の上端である外周の位置は、点x,x,x,xを結ぶ線と一致していることが望ましい。
【0061】
図1乃至図4に示す基本コンクリートブロック100は、その高さ方向中央の横断面(水平断面)に対し、上半分と下半分とが面対称となっている。したがって、本体部2の下面20の中央部には、下脚部5,5,5,5の天井面の内側角部の点y,y,y,yで下脚部5,5,5,5と接触する下嵌入部11を有する。下嵌入部11の形状は四角錐台である。下嵌入部11の天井6bは、本体部2の下面20と平行である。天井6bの形状は正方形であり、下嵌入部11の下端である外周(点y,y,y,yを結ぶ線)が形成する形状も正方形である。上嵌入部8の底面6aと下嵌入部11の天井6bとの間の鉛直高さ寸法は、コンクリートブロックが所望の強度を示すかぎり、特に限定されないが、本体部2の高さの1/4乃至2/3であることが好ましく、2/5乃至3/5であることがさらに好ましい。
【0062】
本体部2の下面20の中央部には、下嵌入部11が形成されている。下嵌入部11の形状は、四角錐台である。この形状は、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部4,4,4,4を、上脚部4の外側の二側面9c,9dの境界である辺41が中央(但し、厳密に中央である必要はなく、中央付近でよい)に来るように集結させたものの形状及び大きさとほぼ同じである。但し、4本の上脚部4,4,4,4が余裕を持って下嵌入部11に入るような形状及び大きさである。「余裕を持って」とはいっても、前記したように、下嵌入部11の容積に対する、下嵌入部11の容積と4本の上脚部4,4,4,4の総容積との差の割合は、小さいことが好ましい。下嵌入部11の四つの側面7b1,7b2,7b1,7b2は、いずれも同一の傾斜角を有する。また、上脚部4の内側の二側面9a,9bの傾斜角は、それぞれ、下嵌入部11の側面7b1,7b2とほぼ同一の傾斜角を有する。
【0063】
図1乃至図4に示す例では、下嵌入部11の天井6bの形状、下嵌入部11の下端である外周が形成する形状及び本体部2の下面20の形状は、いずれも正方形であるが、本発明において、これらは正方形である必要はなく、長方形(ここでは、「正方形」を含む概念)であればよい。また、図1乃至図4に示す例では、下嵌入部11の下端である外周の位置は、下脚部5,5,5,5の天井面の内側角部の点y,y,y,yを結ぶ線と一致しているが、本発明では、下嵌入部11の下端である外周の位置は、その外周を形成している四辺すべての外側に下面20(下脚部5が存在している個所も含む)が存在し、且つ、下嵌入部11が下脚部5,5,5,5と重ならなければ(下嵌入部11が下脚部5,5,5,5の上に存在しなければ)よい。但し、下嵌入部11の下端である外周の位置は、下脚部5,5,5,5の天井面の内側角部の点y,y,y,yを結ぶ線と一致していることが望ましい。
【0064】
上脚部4及び下脚部5の高さは、それぞれ、下嵌入部11及び上嵌入部8の深さとの関係で規定されるのみであるが、上脚部4及び下脚部5の高さは、それぞれ、本体部2の高さの1/6乃至3/8であることが好ましく、1/5乃至3/10であることがさらに好ましい。
【0065】
次に、上嵌入部8の形状及び大きさ、下脚部5の形状及び大きさ、そしてブロックの平面(又は上面)形状の変形例について、図30乃至図33を参照して説明する。
【0066】
図30に、基本コンクリートブロック101の上面図を示す。基本コンクリートブロック101は、その本体部の平面(又は上面)形状は正方形であるが、上脚部4及び下脚部5、上嵌入部8及び下嵌入部11の形状は長方形(ここでは、「正方形」を含まない概念)である。加えて、上脚部4,4,4,4と下脚部5,5,5,5とが、同形状且つ同寸法であり、上嵌入部8と下嵌入部11とが、同形状且つ同寸法である。上嵌入部8内に示した破線は、下脚部5,5,5,5が挿入された状態を示すためのものである。上嵌入部8の底面6aは、辺j1,k1,j2,k2で囲まれた長方形であり、上嵌入部8の上端の外周は、辺p1,n1,p2,n2で囲まれた長方形である。辺j1と辺p1、辺k1と辺n1、辺j2と辺p2、辺k2と辺n2は、各々、平行の位置にある。また、辺j1、辺p1、辺j2及び辺p2は、いずれもブロックの上面19の外周を構成する辺mと平行の位置にあり、辺k1、辺n1、辺k2及び辺n2は、いずれもブロックの上面19の外周を構成する辺l(エル)と平行の位置にある。この場合、コンクリートブロックを積み上げるに当たって、ブロックの平面の方向を一致させる必要がある。また、この例では、一つのブロックにおける本体部2の上面19と上脚部4,4,4,4との接合面積及び下面20と下脚部5,5,5,5との接合面積が小さくなり、ブロック脚部のせん断抵抗力が小さくなるので、脚部のせん断強度をその分大きくすることが望ましい。
【0067】
辺j1及び辺j2の長さは、いずれも、下脚部5の底面の形状である長方形の短辺の長さ(=上脚部4の上面の形状である長方形の短辺の長さs1)のほぼ2倍(但し、2倍以下であってはならない)であり、辺k1及び辺k2の長さは、いずれも、下脚部5の底面の形状である長方形の長辺の長さ(=上脚部4の上面の形状である長方形の長辺の長さt1)のほぼ2倍(但し、2倍以下であってはならない)である。辺p1及び辺p2の長さは、いずれも、下脚部5の天井の形状である長方形の短辺の長さ(=上脚部4の底面の形状である長方形の短辺の長さs2)のほぼ2倍(但し、2倍以下であってはならない)であり、辺n1及び辺n2の長さは、いずれも、下脚部5の天井の形状である長方形の長辺の長さ(=上脚部4の底面の形状である長方形の長辺の長さt2)のほぼ2倍(但し、2倍以下であってはならない)である。
【0068】
辺p1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x1,x2を結ぶ線上に、辺p2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x3,x4を結ぶ線上に存在するが、辺n1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x2,x3を結ぶ線よりも内側に、また、辺n2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x4,x1を結ぶ線よりも内側に存在する。
【0069】
図31に、基本コンクリートブロック102の上面図を示す。基本コンクリートブロック102は、その本体部の平面(又は上面)形状は長方形(ここでは、「正方形」を含まない概念)であるが、上脚部4及び下脚部5、上嵌入部8及び下嵌入部11の平面形状は正方形である。加えて、上脚部4,4,4,4と下脚部5,5,5,5とが、同形状且つ同寸法であり、上嵌入部8と下嵌入部11とが、同形状且つ同寸法である。上嵌入部8内に示した破線は、下脚部5,5,5,5が挿入された状態を示すためのものである。上嵌入部8の底面6aを構成する辺、上嵌入部8の上端の外周を構成する辺、ブロックの上面19の外周を構成する辺の相対的な位置関係は、基本コンクリートブロック101の場合と同様であるので、説明を省略する。また、上嵌入部8の各部分の大きさ(辺の長さ)と下脚部5の各部分の大きさ(辺の長さ)との関係も、基本コンクリートブロック101の場合と同様であるので、説明を省略する。この場合、コンクリートブロックを積み上げるに当たって、ブロックの平面の方向を一致させる必要がある。また、この例では、一つのブロックにおける本体部2の上面19と上脚部4,4,4,4との接合面積及び下面20と下脚部5,5,5,5との接合面積が小さくなり、ブロック脚部のせん断抵抗力が小さくなるので、脚部のせん断強度をその分大きくすることが望ましい。
【0070】
基本コンクリートブロック102において、辺p1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x1,x2を結ぶ線よりも内側に、また、辺p2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x3,x4を結ぶ線よりも内側に存在するが、辺n1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x2,x3を結ぶ線上に、また、辺n2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x4,x1を結ぶ線上に存在する。
【0071】
図32に、基本コンクリートブロック103の上面図を示す。基本コンクリートブロック103は、その本体部の平面(又は上面)形状は長方形(ここでは、「正方形」を含まない概念)であり、上脚部4及び下脚部5、上嵌入部8及び下嵌入部11の平面形状も長方形(ここでは、「正方形」を含まない概念)である。加えて、上脚部4,4,4,4と下脚部5,5,5,5とが、同形状且つ同寸法であり、上嵌入部8と下嵌入部11とが、同形状且つ同寸法である。上嵌入部8内に示した破線は、下脚部5,5,5,5が挿入された状態を示すためのものである。この場合、コンクリートブロックを積み上げるに当たって、ブロックの平面の方向を一致させる必要がある。また、この例では、ブロックを積み上げるにあたって、本体部2の上面19及び下面20が上層及び下層に隣接する他のブロックの本体部2の下面20及び上面19と接する面積が小さくなることと、本体部2の上面19及び下面20における一方の枠幅wが狭くなることから、ブロックの圧縮強度並びに曲げ強度をその分大きくすることが望ましい。
【0072】
基本コンクリートブロック103において、辺p1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x1,x2を結ぶ線よりも内側に、また、辺p2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x3,x4を結ぶ線よりも内側に存在するが、辺n1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x2,x3を結ぶ線よりも外側に、また、辺n2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x4,x1を結ぶ線よりも外側に存在する。しかし、この例でも、上嵌入部8は上脚部4,4,4,4のいずれとも重なってはおらず、且つ、上嵌入部8の外周を形成する四辺p1,n1,p2,n2のすべての外側に上面19が存在する。
【0073】
図33に示す基本コンクリートブロック104は、その本体部の平面(又は上面)形状は長方形(ここでは、「正方形」を含まない概念)であり、上脚部4及び下脚部5、上嵌入部8及び下嵌入部11の平面形状は正方形であるが、上脚部と下脚部との大きさ並びに上嵌入部と下嵌入部との大きさが異なる。4本の上脚部4,4,4,4は互いに同形状且つ同寸法であり、且つ、4本の下脚部5,5,5,5も、互いに同形状且つ同寸法である。このように、基本コンクリートブロック104は、上脚部4,4,4,4と下脚部5,5,5,5とは、同形状ではあるが寸法が異なり、したがって、上嵌入部8と下嵌入部11も同形状ではあるが寸法が異なる例である。図33(1)は、基本コンクリートブロック104の上面図であり、図33(2)は、その下面図である。この場合、コンクリートブロックを積み上げるに当たって、ブロックの脚部と嵌入部の形状が合うように、ブロックの上下方向を一致させる必要がある。また、コンクリートブロックを積み上げるに当たって、ブロックの平面の方向も一致させる必要がある。この例では、一つのブロックにおける本体部2の上面19と上脚部4,4,4,4との接合面積が小さく、ブロック上脚部4,4,4,4のせん断抵抗力が小さくなるので、上脚部4,4,4,4のせん断強度をその分大きくすることが望ましい。また、ブロックを積み上げるにあたって、一つのブロックの本体部2の上面19及び下面20が、その上層及び下層に隣接する他のブロックの本体部2の下面19及び上面20と接する面積が小さくなることと、本体部2の上面19の枠幅w1が狭くなることから、ブロックの圧縮強度並びに曲げ強度をその分大きくすることが望ましい。
【0074】
基本コンクリートブロック104において、上嵌入部8の上端の外周を構成する辺p1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x1,x2を結ぶ線上に、また、辺p2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x3,x4を結ぶ線上に存在するが、辺n1は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x2,x3を結ぶ線よりも外側に、また、辺n2は、二つの上脚部4,4の底面の内側角部である点x4,x1を結ぶ線よりも外側に存在する。しかし、この例でも、上嵌入部8は上脚部4,4,4,4のいずれとも重なってはおらず、且つ、上嵌入部8の外周を形成する四辺p1,n1,p2,n2のすべての外側に上面19が存在する。
【0075】
同様に、基本コンクリートブロック104において、下嵌入部11の下端の外周を構成する辺r1は、二つの下脚部5,5の天井の内側角部である点y1,y2を結ぶ線上に、また、辺r2は、二つの下脚部5,5の天井の内側角部である点y3,y4を結ぶ線上に存在するが、辺q1は、二つの下脚部4,4の天井の内側角部である点y2,y3を結ぶ線よりも外側に、また、辺q2は、二つの下脚部5,5の天井の内側角部である点y4,y1を結ぶ線よりも外側に存在する。しかし、この例でも、下嵌入部11は下脚部5,5,5,5のいずれとも重なってはおらず、且つ、下嵌入部11の外周を形成する四辺r1,q1,r2,q2のすべての外側に下面20が存在する。
【0076】
図30乃至図33において、符号s1は、上脚部4の上面の一辺(側面9a及び側面9cの一辺であって、上脚部4の上面を構成する辺)の長さであり、符号s2は、上脚部4の底面の一辺(側面9a及び側面9cの一辺であって、上脚部4の底面を構成する辺)の長さであり、符号s3は、下脚部5の下面の一辺(側面10a及び側面10cの一辺であって、下脚部5の下面を構成する辺)の長さであり、符号s4は、下脚部5の天井の一辺(側面10a及び側面10cの一辺であって、下脚部5の天井を構成する辺)の長さである。符号t1は、上脚部4の上面の一辺(側面9b及び側面9dの一辺であって、上脚部4の上面を構成する辺)の長さであり、符号t2は、上脚部4の底面の一辺(側面9b及び側面9dの一辺であって、上脚部4の底面を構成する辺)の長さであり、符号t3は、下脚部5の下面の一辺(側面10b及び側面10dの一辺であって、下脚部5の下面を構成する辺)の長さであり、符号t4は、下脚部5の天井の一辺(側面10b及び側面10dの一辺であって、下脚部5の天井を構成する辺)の長さである。
【0077】
本発明のブロックの実際の寸法(「製作寸法」ということがある)において、ブロックの一辺の長さに対する上脚部4や下脚部5の、その一辺上に存在する辺の長さの比率、すなわち、s2/辺m,t2/辺l(エル),s4/辺m,t4/辺l(エル)は、0.15乃至0.35であることが好ましく、0.15乃至0.30であることが更に好ましく、0.20乃至0.25であることがさらにより好ましく、0.22乃至0.24であることが特に好ましい。
【0078】
図30乃至図33において、符号v,v1は、上面19の枠幅、すなわち、上面19の辺mと上嵌入部8の上端である外周の、辺mに平行な辺p1(又は辺p2)との間の長さであり、符号w,w1は、上面19のもう一つの枠幅、すなわち、上面19の辺l(エル)と上嵌入部8の上端である外周の、辺l(エル)に平行な辺n1(又は辺n2)との間の長さであり、符号v2は、下面20の枠幅、すなわち、下面20の辺mと下嵌入部11の下端である外周の、辺mに平行な辺r1(又は辺r2)との間の長さであり、符号w2は、下面20のもう一つの枠幅、すなわち、下面20の辺l(エル)と下嵌入部11の下端である外周の、辺l(エル)に平行な辺q1(又は辺q2)との間の長さである。一辺l(エル)の長さに対する枠幅v,v1,v2の比率は、0.15乃至0.35であることが好ましく、0.15乃至0.30であることが更に好ましく、0.20乃至0.25であることがさらにより好ましく、0.22乃至0.24であることが特に好ましい。また、一辺mの長さに対する枠幅w,w1,w2の比率は、0.15乃至0.35であることが好ましく、0.15乃至0.30であることが更に好ましく、0.20乃至0.25であることがさらにより好ましく、0.22乃至0.24であることが特に好ましい。なお、図1乃至図4に示す基本コンクリートブロック100では、一辺l(エル)又はmに対する枠幅の比率は、0.25弱である。基本コンクリートブロック100の平面図は製作寸法での図であるが、基本コンクリートブロックの設計寸法(設計寸法とは、ブロック内の各部の寸法にブロックの積上げ施工に必要な余裕を配慮してブロックを製作するための製作寸法を決める以前におけるブロックの基本的な寸法をいう)において、上嵌入部6aの上端を構成する辺及び下嵌入部6bの下端を構成する辺の長さは、いずれも設計寸法におけるブロック外周を構成する辺の長さの約1/2であり、望ましくは1/2であるが、製作寸法におけるブロック上面19及び下面20の枠幅は、ブロック製作時の製作誤差、ブロックを設置する基礎面の凹凸及びブロック積み上げ施工における僅かの余裕の必要性に配慮して、製作寸法におけるブロック外周を構成する辺の長さに対して、0.15乃至0.35であることが好ましく、0.15乃至0.30であることが更に好ましく、0.20乃至0.25であることがさらにより好ましく、0.22乃至0.24であることが特に好ましい。
【0079】
(2)基本コンクリートブロック(その2)
図5は、その平面形状が後記するように切欠き面13を有するために正確な正方形ではない、即ち略正方形の本発明の基本コンクリートブロック110であって、本体部の四隅と、上脚部及び下脚部の本体部の四隅から延出する個所に切欠き面13を有し、且つ、貫通孔12及び吊り金具収納部15を有するものの一例を示す斜視図であり、図6はその平面図であり、図7は、その中心線断面図であり、図8は、その側面図である。以下の説明では、図1乃至図4に示した基本コンクリートブロック100と同様の個所については説明を省略する。
【0080】
図5乃至図8に示す本発明の切欠き面13を有する基本コンクリートブロック110は、基本コンクリートブロック100に、四隅の切欠き面13,13,13,13と、下嵌入部11の上に位置する吊り金具収納部15と、上嵌入部8の中心の位置であって吊り金具収納部15の天井6cにまで到達する貫通孔12とを設けたものである。
【0081】
貫通孔12は、上嵌入部8の中心に設けられており、その横断面形状は、上嵌入部8の底面6aの4辺と45°の角度で交わる直線によって囲まれた正方形である。ここで、貫通孔12の横断面形状は、正方形でなくてもよく、上嵌入部8の底面6aの4辺と斜角で交わる直線によって囲まれた四辺形であればよい。斜角の角度は限定されないが、30乃至60°が好ましく、40乃至50°が寄り好ましく、45°±2°であると、貫通孔の横断面形状が正方形に近い形状となるので特に好ましい。本明細書では、この正方形に近い形状を、「略正方形」という場合がある。
【0082】
基本コンクリートブロック110では、貫通孔12は、吊り金具収納部15の天井6cに達するように穿設されている。基本コンクリートブロックが吊り金具収納部15を有さないものである場合には、貫通孔12は、下嵌入部11の天井6bに達するように穿設される。
【0083】
本発明に係るコンクリートブロックを運搬、設置するためには、当該ブロックをクレーン等で吊り上げる必要がある。吊り金具は、通常、コンクリートブロックの4本の上脚部に設けられ、吊り金具収納部15は、そのような吊り上げに使用される金具を収納するための空間である。したがって、吊り金具が収納できる大きさであればよい。
【0084】
本体部2の四隅と、上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位には、各々、貫通孔12の一辺と平行であり且つその一辺の長さよりも少し大きい幅を有する切欠き面13が設けられている。4個の基本コンクリートブロック110,110,110,110を、2個ずつ2列にそれらの側面同士を接触させて並べると、中心部に貫通孔12とほぼ同形状であり、且つ、少し大きい寸法の見掛け上の貫通孔14(図16乃至図18を参照のこと)ができる。なお、その横断面形状が四辺形の見掛け上の貫通孔14を提供する切欠き面13は、四隅を貫通孔12の一辺と平行な直線で切欠いた形状であればよい。
【0085】
図5乃至図8に記載した例では、貫通孔12は、その横断面形状が正方形であり、切欠き面13は直線で切欠かかれている。この他、図11及び12を参照して後述するように、貫通孔の横断面形状が円形であり、四隅には内側に向かって凸となっている1/4円の円弧で切欠いて形成された切欠き面が存在するものも、本発明の基本コンクリートブロックに包含される。さらには、貫通孔の横断面形状が楕円形であり、四隅には内側に向かって凸となっている楕円の1/4円弧で切欠いて形成された切欠き面が存在するものも、本発明の基本コンクリートブロックに包含される。貫通孔の横断面形状と見掛け上の貫通孔の横断面形状が、いずれも円形(又はいずれも楕円形)である必要はない。円と楕円との組合せも可能である。
【0086】
貫通孔の横断面形状である円や楕円の面積と、4個の基本コンクリートブロックの切欠き面を集結させることによって形成される見掛け上の貫通孔の横断面形状である円や楕円の面積とは、必ずしも同一である必要はない。しかし、施工の観点からは、貫通孔の横断面形状である円又は楕円の面積と、見掛け上の貫通孔の横断面形状である円又は楕円の面積とを比べた場合に、見掛け上の貫通孔の横断面形状である円又は楕円の面積の方がやや大きいことが好ましい。
【0087】
なお、貫通孔の横断面形状を円形又は楕円形とし、切欠き面は直線で切り欠いて形成する(すなわち、見掛け上の貫通孔の横断面形状は四辺形である)ことは可能であり、逆に、貫通孔の横断面形状を四辺形とし、切欠き面は円又は楕円の1/4円弧で切り欠いて形成する(すなわち、見掛け上の貫通孔の横断面形状は円形又は楕円形である)ことも可能である。
【0088】
(3)基本コンクリートブロック(その3)
図9は、その平面形状が後記するように切欠き面13を有するために正確な正方形ではない、即ち略正方形の本発明の基本コンクリートブロック150であって、その本体部2、上脚部4及び下脚部5の平面形状は各々略正方形であり、その四隅に直線で切り欠いた切欠き面13を有すると共に、上脚部4の内側の二側面9a,9bの境界である辺31を通り且つ側面9aと側面9bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の切欠き面16及び下脚部5の内側の二側面10a,10bの境界である辺32を通り且つ側面10aと側面10bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の切欠き面17をも有するものの一例を示す斜視図であり、図10(1)はその上面図、図10(2)はその底面図である。また、図11及び図12は、本発明の基本コンクリートブロック160であって、その本体部2、上脚部4及び下脚部5の平面形状は各々略正方形であり、その四隅に曲線(1/4円)で切り欠いた切欠き面13を有すると共に、上脚部4の内側の二側面9a,9bの境界である辺31を通り且つ側面9aと側面9bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の切欠き面16及び下脚部5の内側の二側面10a,10bの境界である辺32を通り且つ側面10aと側面10bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の切欠き面17をも有するものの一例を示す上面図及び底面図である。
【0089】
図9及び図10に示す本発明の基本コンクリートブロック150は、図5乃至図8に示す基本コンクリートブロック110(但し、吊り金具収納部15は形成していない)において、上脚部4の内側の二側面9a,9bの境界である辺31を通り且つ側面9aと側面9bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面16を設け、下脚部5の内側の二側面10a,10bの境界である辺32を通り且つ側面10aと側面10bとの間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面17を設け、そして、上嵌入部8の側面7aの四隅には下脚部5の切欠き面17に対応するハンチ面26を設け、下嵌入部11の側面7bの四隅には上脚部4の切欠き面16に対応するハンチ面27を設けたものに相当する。したがって、上脚部4及び下脚部5の形状は、厳密には六角錐台であるといえる。
【0090】
図11及び図12に示す本発明の基本コンクリートブロック160の、図9及び図10に示す本発明の基本コンクリートブロック150との相違は、上嵌入部8の中心に、下嵌入部11に通じるように穿設された貫通孔12の横断面形状が円形であることと、本体部2の四隅と、上脚部4及び下脚部5の本体部2の四隅から延出する部位に設けられた切欠き面13の形状が、内側に向かって凸となっている円の1/4の円弧状であるという点である。
【0091】
次に、本発明のマスコンクリート構造物を構築する場合に、その端部に配置される1.5体の端辺用コンクリートブロックと、その角部に配置される角部用コンクリートブロックについて説明する。ここでは、図5乃至図8に示した貫通孔12及び切欠き面13を有する基本コンクリートブロック110と共に使用されるものについて説明するが、基本コンクリートブロック100(図1乃至4を参照のこと),150(図9及び10を参照のこと)及び160(図11及び12を参照のこと)と共に使用されるものも同様である。
【0092】
図13は、本発明のマスコンクリート構造物を構築する場合に、その端部に配置される1.5体の端辺用コンクリートブロック120の平面図である。コンクリートブロック120は、2体の基本コンクリートブロック110,110を、同形状且つ同寸法の一側面を共通にして連結した後、一方の基本コンクリートブロックを、連結した面18と平行な面で且つ中央で切断した形状である。「中央」は、厳密に、すなわち正に中央でなくともよい。切断され、ほぼ1/2となった基本コンクリートブロックを、符号115で示した。また、連結した面18は、実際には繋がっていて存在しないので、破線で示した。
【0093】
図14及び図15は、本発明のマスコンクリート構造物を構築する場合に角部に配置される、角部用コンクリートブロック130及び140の平面図である。コンクリートブロック130及び140は、端辺用コンクリートブロック120を、前記連結した面18と直交する面で且つ中央で切断した形状を有する。「中央」は、厳密に、すなわち正に中央でなくともよい。したがって、これらのコンクリートブロック130及び140は、互いにほぼ面対称である。
【0094】
後述するように、鉛直な側面を有するマスコンクリート構造物を構築する場合に、上記端辺用コンクリートブロック120と、角部用コンクリートブロック130及び140が使用される。
【0095】
次に、本発明のマスコンクリート構造物を構築する場合に、例えば堰堤水通し部に配置され得る、小段用コンクリートブロックについて説明する。このコンクリートブロックは、落下水流や土石の小段部への衝撃を緩和するものである。ここでは、先ず、基本コンクリートブロック150と共に使用される、図19乃至図21に示した貫通孔12、切欠き面13及び切欠き面16を有する小段用コンクリートブロックについて説明する。
【0096】
図19及び図20は、本発明の小段用コンクリートブロックの一例を示す斜視図である。図19と図20とは、その俯瞰した方向が180度異なっている。また、図21は、図19及び図20のコンクリートブロックの上面図である。
【0097】
本発明の小段用コンクリートブロック170は、基本コンクリートブロック150の、本体部2をその一側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる本体部2の1/2とした部分であって実質的に上嵌入部8を有さない部分2aと、二つの下脚部5,5と、1/2とした部分2aの上面19上に形成された傾斜部70とを有する水撥ね部50(図19において、一点鎖線より奥側、図21において、一点鎖線より下側)と、他の1/2残部60とが、切断面同士で結合されてなるものである。他の1/2残部60は、基本コンクリートブロック150を側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる基本コンクリートブロック150の1/2とした部分であって、それぞれ2本の上脚部4,4及び下脚部5,5と、上嵌入部8の半分及び下嵌入部11の半分を有する1/2本体部2からなる。
【0098】
傾斜部70は、本体部2の側面3Aから延出した側面80Aと、本体部2の側面3Aの両側に位置する側面3B’,3B’の各々から延出した側面80B,80Bと、二つの側面80B,80Bを繋ぐ側面80Cと、上面80Dとを有する。
【0099】
側面80Aは、下方に位置し、形状が長方形で本体部2の側面3Aに共通する側面80A(1)と、側面80A(1)に続いてその上方に存在し、内側に向かって傾いている側面80A(2)とからなる(図20参照)。二つの側面80B,80Bの各々は、本体部2の側面3B’に共通する側面であり、その下方は長方形部分80B(1)であり、長方形部分80B(1)に続いてその上方に存在する部分は略台形部分80B(2)である。
【0100】
側面80Cは、他の1/2残部60の内側の面(切断面)と、水撥ね部50の1/2とした部分2aの内側の面(切断面)とが結合された位置(図19乃至図21において、一点鎖線で示されている位置)よりも、水撥ね部50の内側に若干後退した位置にある。上嵌入部8は、他の1/2残部60と、それから延長された水撥ね部50の一部に存在する。より具体的には、側面80Cに結合するように延長されている。したがって、水撥ね部50には、上嵌入部8が、前記結合された位置と前記若干後退した位置の側面80Cとの間にのみ存在する。したがって、「実質的に上嵌入部8を有さない」と表現している。なお、側面80Cの位置をこのように設計したのは、側面80Cを、前記結合された位置と同じ個所に形成すると、ブロック製作時の製作誤差、ブロックを配置する基礎面の凹凸及びブロック積み上げ施工における僅かの余裕の必要性が満たされず、施工時に上嵌入部8に下脚部5が挿入され得ない事態を招来する可能性があり、それを防ぐためである。また、側面80Cは、上嵌入部8の底面6aまで延出している。
【0101】
水撥ね部50には、側面3Aと側面3B’との境界である辺を通り、側面3Aと側面3B’との角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の切欠き面13aが存在し、その切欠き面13aは、下脚部5から1/2とした部分2aを通って傾斜部70の側面80A(1)まで、及び、同じく下脚部5から1/2とした部分2aを通り、さらに傾斜部70の長方形部分80B(1)を通って略台形部分80B(2)の一部にまで続いている(図20参照)。
【0102】
小段用コンクリートブロック170は、貫通孔12を有する。したがって、側面80Cの幅方向中央には、当該貫通孔12の大きさ及び形状を変化させないための鉛直方向の凹部80Eが形成されている。「貫通孔12の大きさ及び形状を変化させない」とは、凹部80Eが、貫通孔12に剛性棒を挿入することができるような空間を与えていることをいう。また、傾斜部70の高さは、通常は1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/3であり、好ましくは1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/2である。
【0103】
図19乃至図21に示された傾斜部70の側面80Aは、その一部(符号80A(2)で示されている部分)が内側に傾斜しており、残部(符号80A(1)で示されている下の方の部分)は傾斜していない。しかし、下の方の部分が鉛直ではなく、その上方(符号80A(2)で示されている部分)とは異なる角度で傾斜していてもよい。また、図22や図23に示された例のように、傾斜部70の側面80Aは、その全部が内側に傾斜していてもよい。さらに、その一部が内側に傾斜している態様として、側面80Aの下方が内側に傾斜しており、上方は鉛直である又は下方とは異なる角度で傾斜しているような態様であってもよい。
【0104】
図23に示された例のように、側面80Aの下端は、本体部2の1/2とした部分2aの上端(図23における側面3B’と側面80Bとの境界の破線で示されている位置)より下方に存在していてもよい。これは、側面3Aの上部が側面80Aの下方として内側に傾斜している態様ということもできる。
【0105】
本発明の小段用コンクリートブロックの「基本コンクリートブロックxxをその一側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる他の1/2残部60」は、基本コンクリートブロックxxを、ブロックの中央で、その一側面3Aに平行な面で縦に切断して1/2としたものと、形状及び大きさが同一である。したがって、切欠き面及び貫通孔のない基本コンクリートブロック100(図1乃至4を参照のこと)や、切欠き面13及び貫通孔12が存在する基本コンクリートブロック110(図5乃至8を参照のこと)に対応する小段用コンクリートブロックも、本発明の外周部用コンクリートブロックである。
【0106】
次に、同じく基本コンクリートブロック150(図9及び10を参照のこと)と共に使用される、図24乃至図27に示した貫通孔12、切欠き面13、切欠き面13a、切欠き面16、切欠き面17、ハンチ面26及びハンチ面27を有する1.5体の小段用コンクリートブロックについて説明する。図24は、基本コンクリートブロック150の1.5倍の大きさの、本発明の1.5体の小段用コンクリートブロックの一例を示す斜視図であり、図25は、図24とは180°異なる角度から俯瞰した斜視図であり、図26は上面図であり、図27は側面図である。
【0107】
小段用のコンクリートブロック180は、基本コンクリートブロック部150(図26及び図27において、一点鎖線よりも左側)と、水撥ね部55(図26及び図27において、一点鎖線よりも右側)とが、各々の一側面3A同士で結合されてなる。水撥ね部55は、基本コンクリートブロック150の本体部2をその一側面3Aに平行で且つ中央の面3Cで縦に切断してなる本体部2の1/2とした部分であって上嵌入部8を有さない部分2bと、二つの下脚部5,5と、1/2とした部分2bの上面19b(図24及び図26を参照のこと)上に形成された傾斜部75とを有する。前記基本コンクリートブロック部150の一側面3Aと水撥ね部55の一側面3Aとが結合されている。
【0108】
基本コンクリートブロック部150(図9及び10を参照のこと)が貫通孔12を有するので、水撥ね部55には、本体部2を中央で縦に切断した結果現れた面(1.5体の小段用コンクリートブロック180の外側面)3Cの幅方向中央部に、切欠き面13aを二つ結合したものと同様の部分12aを有する。この部分12aは、見掛け上の貫通孔14を構成することとなる。
【0109】
傾斜部75は、本体部2の中央で縦に切断してなる面(1.5体の小段用コンクリートブロック180の外側面)3Cから延出した側面85Aと、面3Cの両側に位置する側面3B’,3B’の各々から延出した側面85B,85Bと、二つの側面85B,85Bを切欠き面13a,13aを介して間接的に繋ぎ且つ結合面3Aに平行な側面85Cと、上面85Dとを有する。ここで、1.5体の小段用コンクリートブロック180では、側面85Aは、その全部が内側に傾斜しており、また、その下端は、1/2とした部分2bの上端(図27における上方の水平破線部の位置)と一致している。しかし、小段用コンクリートブロック170についての説明に記載したように、側面85Aは、その一部のみが内側に傾斜しているものであってもよいし、また、その下端は、1/2とした部分2bの上端より下方に存在していてもよい。
【0110】
二つの側面85B,85Bの各々は、側面3B’に共通する側面である。側面85Cは、基本コンクリートブロック部150との結合面3Aよりも、1/2とした部分2b側において、若干内側に後退した位置にある。これは、側面80Cを、結合面3Aと同じ個所に形成すると、ブロック製作時の製作誤差、ブロックを配置する基礎面の凹凸及びブロック積み上げ施工における僅かの余裕の必要性が満たされず、基本コンクリートブロック部150の上嵌入部8に下脚部5が挿入され得ない事態を招来する可能性があり、それを防ぐためである。なお、図24乃至図27に示した例は、切欠き面13aを有するため、側面85Cは二つの側面85B,85Bを間接的に繋いでいるが、切欠き面13並びに13aを有さない態様の場合には、側面85Cは二つの側面85B,85Bを直接繋ぐ。
【0111】
傾斜部75の高さは、通常は1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/3であり、好ましくは1/2とした部分2aの高さと同一乃至その1/2である。
【0112】
基本コンクリートブロック100(図1乃至4を参照のこと)に対応する小段用コンクリートブロックの場合には、貫通孔12及び凹部80Eが存在しない。基本コンクリートブロック110(図5乃至8を参照のこと)に対応する小段用のコンクリートブロックの場合には、傾斜部70の形状及び大きさは、小段用コンクリートブロック170の傾斜部70と同様である。異なるのは、基本コンクリートブロックの形状及び大きさに対応した部分、即ち、「基本コンクリートブロックxxをその一側面3Aに平行な面で且つ中央で縦に切断してなる他の1/2残部60」の形状及び大きさである。
【0113】
端辺用コンクリートブロック120をその基本形状とする、小段用コンクリートブロックもある。この場合には、図13において符号115で示された1/2部分の代わりに、水撥ね部55を設ける。
【0114】
続いて、本発明のマスコンクリート構造物の構築方法について説明する。先ず、図5乃至図8に示した貫通孔12及び切欠き面13を有する基本コンクリートブロック110のみを使用する場合について説明し、次いで、基本コンクリートブロック110、端辺用のコンクリートブロック120及び角部用のコンクリートブロック130及び140を使用して、外縁壁が鉛直な又は外縁壁勾配が自由に設定可能なマスコンクリート構造物を構築する場合について説明する。
【0115】
図16は、マスコンクリート構造物の構築に際し、第1のブロック層の配置を破線で示し、第2のブロック層については、基本コンクリートブロック110Eを1個のみ実線で示した平面図である。図17は、第1乃至第3のブロック層を積み上げた状態を示す透視断面図である。第1のブロック層の構築のために、4個のコンクリートブロック110A,110B,110C,110Dを、各ブロックの切欠き面13,13,13,13を集結させることにより、その横断面形状が貫通孔12の横断面形状と同様の見掛け上の貫通孔14を形成させて一単位を構成させる。図16においては、見掛け上の貫通孔14は、第2のブロック層のコンクリートブロック110Eの貫通孔12の真下に位置している。第1のブロック層は、一単位以上を備えるものであるが、「一単位以上」とは、必ずしも整数単位を意味するものではなく、例えば6個の基本コンクリートブロック110を使用して第1のブロック層を構築すれば、1.5単位ということになる。
【0116】
一単位の平面形状は、略長方形である。略長方形の概念には、略正方形が包含される。「略」と称しているのは、切欠き面13に由来する凹部が存在し、厳密な意味での長方形ではないからである。また、「略長方形」と規定したのは、基本コンクリートブロック110の平面形状が長方形である場合に、4個のコンクリートブロックの側面同士を連結させると、その平面形状がT字型、I字型、風車型の集合体(一単位)も得られるが、それらを排除するためである。
【0117】
図16には、7個の基本コンクリートブロック110(図5乃至8を参照のこと)を使用して構築された第1のブロック層が記載されている。これは、4個の基本コンクリートブロック110D,110C,110,110を同形状且つ同寸法の側面同士を接触させて横に並べ、次いで、図16においてはその下列となる位置に、3個の基本コンクリートブロック110A,110B,110を横に並べたものである。
【0118】
第2のブロック層は、第1のブロック層の各基本コンクリートブロック110の上嵌入部8に、第2のブロック層となる1乃至4個の基本コンクリートブロック110に由来する1乃至4本の下脚部5を挿入し、且つ、第1のブロック層の1乃至4個の基本コンクリートブロック110に由来する1乃至4本の上脚部4を、第2のブロック層となる基本コンクリートブロック110の下嵌入部11に挿入して構築する。図16においては、第1のブロック層の基本コンクリートブロック110Aの上嵌入部8A、基本コンクリートブロック110Bの上嵌入部8B、基本コンクリートブロック110Cの上嵌入部8C及び基本コンクリートブロック110Dの上嵌入部8Dの各々に、第2のブロック層の基本コンクリートブロック110Eの下脚部5,5,5,5が1本ずつ挿入されている。
【0119】
第1のブロック層を構成するブロックであって、1個の基本コンクリートブロック110の上嵌入部8に、第2のブロック層の各々が異なる基本コンクリートブロック110に由来する4本の下脚部5,5,5,5が挿入されると、第1のブロック層の基本コンクリートブロック110の貫通孔12の上に、第2のブロック層の基本コンクリートブロック4個によって形成された見掛け上の貫通孔14が重なる。
【0120】
第2のブロック層を構成する各基本コンクリートブロック110は、第1のブロック層を構成する4個の基本コンクリートブロック110,110,110,110の各々の、上面の面積の1/4の部分の上に載ることになる。この際、図17から明らかなように、第1のブロック層の基本コンクリートブロック110の突出している上脚部4は、第2のブロック層の基本コンクリートブロック110の下嵌入部11中に嵌入する。上脚部4の内側面の傾斜角度と下嵌入部11の側面の傾斜角度は一致しているため、換言すれば、下嵌入部11の側面7b1,7b2は、上脚部4の内側の二側面9a,9bの傾斜角とほぼ同一の傾斜角を有するため、第1のブロック層のブロックと第2のブロック層のブロックとの係合が安定したものとなると共に、施工時に嵌入部と脚部の傾斜した側面がガイドの役目をはたし、その結果、自重によって上下のブロックが互いに所定の位置に誘導されるので、施工が容易となる。第3のブロック層以降は第2のブロック層と同様にコンクリートブロックを積み上げて構築する。
【0121】
図16には、第2のブロック層の基本コンクリートブロック110Eを、実線で1個のみ描いた。図16において、第1のブロック層を構成する基本コンクリートブロック110A,110B,110C,110Dの上脚部4や上嵌入部8A,8B,8C,8Dを示した線(破線)と、第2のブロック層の基本コンクリートブロック110Eを示した実線にはずれがあり、一致していない。土木工事においては、構築すべき場所の地形が様々であり、また地盤の整地が不充分であることもある。したがって、常に計算通りにブロックを配置できるものではない。よって、多少のずれを許容したブロック形状の設計が必要である。本発明の基本コンクリートブロック110においては、上嵌入部8及び下嵌入部11の深さが、それぞれ、下脚部5及び上脚部4の高さよりも大きく、上嵌入部8及び下嵌入部11の広さは、それぞれ、4本の下脚部5,5,5,5及び4本の上脚部4,4,4,4を、切欠き面13を中心にして集結させた大きさよりも広い。このような事情が、前記した実線と破線とのずれとして、図16に示されているのである。このずれは、構築場所の起伏等に起因する寸法の不一致を吸収し、現実のマスコンクリート構造物の構築作業を容易にする。
【0122】
図17は、ブロック層とブロック層との境界を示した縦断面の透視図である。破線で示してある部分は、第2のブロック層の、第1のブロック層及び第3のブロック層に隠れている部分である。第1のブロック層及び第3のブロック層には、基本コンクリートブロック110を4個並べた。第2のブロック層については、3個の基本コンクリートブロック110の中心線断面部が見えている。なお、図17では、吊り金具収納部15の記載は省略した。また、第2のブロック層については、両端部の基本コンクリートブロック110の記載を省略した。第2のブロック層の貫通孔12は、第1のブロック層及び第3のブロック層の見掛け上の貫通孔14,14と連通しており、したがって、マスコンクリート構造物全体の最上層から最下層まで、孔が貫通していることになる。これらの貫通孔及び見掛け上の貫通孔の全部又は一部に剛性棒を通せば、マスコンクリート構造物の上下方向の結合をより一層強固にすることができる。剛性棒とは、例えばステンレス綱製等の各種綱棒や鉄棒をいう。なお、剛性棒の挿入方法等については、後記する。
【0123】
図17においても、第1のブロック層を構成するブロック110の上脚部4の内側の二側面9a,9bの傾斜角度と、第2のブロック層を構成するブロック110の下嵌入部11の側面7b1,7b2の傾斜角度とはほぼ一致しているが、両者の間に隙間がある。図16について説明したように、この隙間が、何層ものブロックを積み上げていく場合に避けることができない多少のずれを吸収するのである。
【0124】
図16に示した例においては、第2のブロック層の外周の位置は、第1のブロック層を構成するブロックであって最外部に位置するブロックの外周の位置から、ブロックの横断面における一辺の長さの1/2だけ、内側に寄った個所となる。すなわち、マスコンクリート構造物の外縁部は、階段状又はピラミッド状となっている。
【0125】
図16に示された例とは逆に、ブロック層一層につき、縦横各々で、ブロックの横断面における一辺の長さの1/2ずつ増加するように、すなわち上方に向かって広くなるように、コンクリートブロックを配置することもできる。換言すれば、第2のブロック層を積むと、上方からは第1のブロック層の外縁部が見えなくなるような、外縁部が逆階段状となるような積み方であってもよい。ここで、外縁部を構成する四辺すべてが、階段状又は逆階段状となっていなければならないということではない。谷地形の場合の上下流方向やダムの軸方向等、マスコンクリート構造物を構築する現場の地形や構造物に合わせて、各辺につき、階段状又は逆階段状とすればよい。
【0126】
次に、マスコンクリート構造物の外縁壁が鉛直である、すなわち各層の平面の面積及び形状が同一であるマスコンクリート構造物の構築方法について、図18を参照しながら説明する。図18においては、第1のブロック層の配置を破線で示し、第2のブロック層の配置を実線で示した。
【0127】
第1のブロック層は、多数の基本コンクリートブロック110(図5乃至図8を参照のこと)を、同側面3,3同士を接触させて縦横に並べることによって構築する。第2のブロック層については、端辺には図13に示す端辺用のブロック120を、ブロックの平面形状の長方形において短辺となる側面二つの中で、その中央に貫通孔12の1/2を有する側面(すなわち切断面)を外側にして並べる。図18の図面上の左最上部には、図15に示した角部用のブロック140を、図18の図面上の左最下部には、図14に示した角部用のブロック130を、それぞれ配置する。これにより、第1のブロック層と同一面積、同一形状の第2のブロック層を得ることができる。
【0128】
第3のブロック層以降については、奇数層には第1層の配置を、偶数層には第2層の配置を用いればよい。なお、図18における第2のブロック層の配置を奇数層の配置とし、第1のブロック層の配置を偶数層の配置としても差支えない。
【0129】
基本コンクリートブロック110に、1.5体の端辺用コンクリートブロック120、角部用コンクリートブロック130,140を組み合わせて使用することにより、マスコンクリート構造物の両側面が鉛直な外縁壁であり、その幅が、基本コンクリートブロック110の幅の1.5倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍………等のマスコンクリート構造物を構築することが可能となる。
【0130】
基本コンクリートブロック110に、1.5体の端辺用コンクリートブロック120、角部用コンクリートブロック130,140を組み合わせて使用することにより、ブロックの層間の幅の相違、すなわち小段幅を、基本コンクリートブロック110の幅の0.5倍、1.0倍、1.5倍、2.0倍………等とすることができる。また、マスコンクリート構造物の外縁壁勾配の形状を、自由に設計することができる。マスコンクリート構造物の形状を、小段幅が大きくなるように設計すれば、マスコンクリート構造物の外縁の見かけ上の勾配を緩やかにすることもできる。一方、何層かのブロック層を外縁が鉛直となるように積み上げる毎に、基本コンクリートブロックの幅の0.5倍の小段を設けることにより、外縁の見かけ上の勾配が急勾配であるマスコンクリート構造物を構築することも可能となる。
【0131】
以上の説明において取り上げた基本コンクリートブロックの大部分は、本体部2が、その平面形状が正方形の直方体のものの例である。しかし、これは一例であり、本体部2が、その平面形状が長方形の直方体のもの、例えば図31乃至図33に記載したものも、本発明に包含される。但し、この場合には方向性が生じるため、端辺用のブロックは、2個の基本コンクリートブロックを辺の長さが長い方の側面同士で連結し、その後、一方のブロックを連結した面と平行な面で且つ中央で切断した形状のものと、2個の基本コンクリートブロックを辺の長さが短い方の側面同士で連結し、その後、一方のブロックを連結した面と平行な面で且つ中央で切断した形状のものとの2種類を要し、角部用ブロックは、この2種類の端辺用のブロックの各々を、連結した面と直交する面で且つ中央で切断した形状のもの、すなわち4種類を必要とする。しかも、ブロックの打設、組立てにあたって、常に方向性に気を配る必要が生じる。また、図30及び図32に記載した例のように、上脚部4や下脚部5の平面形状が長方形のものも、本発明に包含される。このような基本コンクリートブロックを採用した場合にも、端辺用や角部用のブロックの製造やブロックの打設、組立てにあたって、同様に方向性に気を配る必要が生じる。
【0132】
次に、小段用コンクリートブロックを用いた、マスコンクリート構造物の構築方法について、図28及び図29を参照しながら説明する。なお、これらの図においては、図を分かり易くするため、上下の層のブロック同士が噛み合う個所について、記載を簡略化している。すなわち、正確には、上層のブロックの端部(例えば下嵌入部11の側面7b1)を示す線と、下層のブロックの端部(例えば上脚部4の側面9a)を示す線の両者を記載すべきであるが、これらが重なっているように、すなわち1本の線で記載している。また、これらの図において、切欠き面13,13aを示す縦線は省略している。小段用コンクリートブロック170(図19乃至23を参照のこと)及び1.5体の小段用コンクリートブロック180(図24乃至27を参照のこと)は、堰堤水通し部において使用する。
【0133】
図28に示すように、第1層及び第3層のすべてと、第2層、第4層及び第5層の左側端部を除くマスコンクリート構造物の内側に、基本コンクリートブロック150(図9及び図10を参照のこと)を使用した場合、小段用コンクリートブロック170は、奇数層である第5層の最外列に、傾斜部70の側面80Aが外側となるように配列する。また、図29に示すように、第1層及び第3層のすべてと、第2層及び第4層の左側端部を除くマスコンクリート構造物の内側に、基本コンクリートブロック150(図9及び図10を参照のこと)を使用した場合、1.5体の小段用コンクリートブロック180は、偶数層である第4層において、最外列に、傾斜部75の側面85Aが外側となるように配列する。このように小段用コンクリートブロック170,180を使用すると、堰堤水通し部において、落下水流や土石の衝撃を緩和することができる。
【0134】
続いて、剛性棒を使用するブロック層間の連結について説明する。剛性棒は、如何なる方法によって固定してもよい。例えば、貫通孔及び見掛け上の貫通孔(以下、まとめて単に「孔」ということがある)の横断面形状が正方形である場合、その対角線が最も長く、相対向する辺同士の間隔が最も短い。そこで、対角線の長さよりも短く且つ相対向する辺同士の間隔よりも長いという長さの鋼板2枚を用意し、それらを中央部で直交させて十字型とし、あるいは、鋼板を十字型に切断して又は十字型の鋳型に溶けた鋼を注入して制作した鋼材を、剛性棒の先端付近に固定すれば、孔の対角線部分を利用して、孔に剛性棒を容易に挿入することができる。剛性棒は、所定位置まで挿入され、約45度回転させられる。これにより、十字型の鋼板を、コンクリートブロックの下嵌入部上壁(又は吊金具収納部上端)に引っかけて、剛性棒を孔に固定することができる。
【0135】
なお、剛性棒の長さは、構築物の最下層から最上層までを一挙に連結することができる長さであってもよいし、3層のブロック層を連結することができる長さであってもよい。あるいは、剛性棒の長さは、5層のブロック層を連結することができる長さや7層のブロック層を連結することができる長さであってもよい。3層のブロック層を連結する場合、ブロック層を3段積み上げたところで、それら3層のブロック層の高さ(下層のブロックの下嵌入部上壁(又は吊り金具収納部上端)から、見掛け上の貫通孔を間に挟み、上層のブロックの貫通孔の上面までの長さ)にほぼ匹敵する長さの剛性棒を使用して、3層のブロック層を連結する。なお、剛性棒による連結は、全ての孔について行わなければならないというものではない。
【0136】
剛性棒挿入後の孔に残った空間は、そのままでもよいが、そのような空間に、水と混練して未だ硬化しないセメントやモルタル等の水硬性物質を流入させ、硬化させてもよい。また、剛性棒の長さ方向中間部に、中空の二つ割の鞘管であって、その外径が孔の一辺の長さよりもやや小さく、且つ、その内径が剛性棒の太さよりもやや大きいものを取付け、剛性棒の偏心を防止することによって、剛性棒を固定することも出来る。
【0137】
本発明の基本コンクリートブロック150(図9及び図10を参照のこと)又は基本コンクリートブロック160(図11及び図12を参照のこと)を使用するマスコンクリート構造物の構築方法は、基本コンクリートブロック110(図5乃至図8を参照のこと)を使用するマスコンクリート構造物の構築方法と同様である。
【0138】
次に、本発明の基本コンクリートブロック100(図1及び図4を参照のこと)を使用するマスコンクリート構造物の構築方法について説明する。なお、基本コンクリートブロック110(図5乃至図8を参照のこと)を使用する場合と概略同様であるため、図示は省略した。
【0139】
基本コンクリートブロック100を使用する場合に、基本コンクリートブロック110を使用する場合とは異なる点は、第1のブロック層の構築にあたり、4個の基本コンクリートブロックからなる一単位を構成させるに際に、各ブロックの切欠き面13の代わりに、各ブロックにおいて二側面の境界である4本の辺の中の1本が中央付近に来るように、ブロックを集結させることのみである。これ以外は、貫通孔及び見掛け上の貫通孔が無いことを除き、基本コンクリートブロック110を使用する場合のマスコンクリート構造物の構築方法の説明が、同様にあてはまる。
【0140】
本発明の基本コンクリートブロックの大きさは、特に限定されないが、一例を示すと、次のとおりである。ブロックの設計寸法は、本体部2の直方体の寸法が、縦、横各120cm、高さ60cmであり、その製作寸法は、本体部2の直方体の寸法が、縦、横各114cm、高さ60cmであり、本体部2の上面19の枠幅(上嵌入部8の上端の外周を構成する辺と、本体部2の上面19の外周を構成する辺との間の距離)が27cmであり、上脚部4の底面(正方形)の一辺の長さが27cmであり、本体部2の下面20の枠幅(下嵌入部11の下端の外周を構成する辺と、本体部2の下面20の外周を構成する辺との間の距離)が27cmであり、下脚部5の天井(正方形)の一辺の長さが27cmであり、上脚部4及び下脚部5の高さが14cmであり、上嵌入部8の上端(正方形)の一辺の長さ及び下嵌入部11の下端(正方形)の一辺の長さが60cmであり、上嵌入部8及び下嵌入部11の深さが16cmである。
【0141】
本発明において使用するコンクリートブロックは、配筋されたものであってもよい。コンクリートブロックにかかる曲げ外部応力や引張外部応力がコンクリート許容応力よりも大きくなることが予想される場合には、鉄筋などの耐引張応力性に優れた材料を用いて配筋することが好ましい。また、海水などの作用により、鉄筋の腐食が想定される場合には、耐腐食性のある材料(ステンレス綱や高強度プラスチック)や、塗装鉄筋等の錆防止対策を施してなる物を使用することが好ましい。
【0142】
コンクリートブロックの角部(偶部)は、特に角部を構成する二面間の角度が110度より小さい鋭角の場合には、面取りを施すことが好ましい。これにより、角部の欠けやクラックを予防乃至低減できる。なお、コンクリートブロックの製造に際しては、面取りを施すのが通常であるが、コンクリートブロックの形状を図示するに際しては、実際には面取りが施されていても、図面には単なる角部として描画されている場合が多い。本件明細書に添付した図面においても、面取りは省略している。
【符号の説明】
【0143】
2: 基本コンクリートブロックの本体部
2a: 本体部2の1/2とした部分であって実質的に上嵌入部8を有さない部分
2b: 本体部2の1/2とした部分であって上嵌入部8を有さない部分
3,3A,3B: 本体部2の側面
3B’ : 水撥ね部の側面
3C: 本体部2の側面3Aに平行な中央の面
4: 上脚部
5: 下脚部
6a: 上嵌入部の底面
6b: 下嵌入部の天井
6c: 吊り金具収納部の天井
7a1,7a2: 上嵌入部の側面
7b1,7b2: 下嵌入部の側面
8: 上嵌入部
9a,9b: 上脚部内側の側面
9c,9d: 上脚部外側の側面
10a,10b: 下脚部内側の側面
10c,10d: 下脚部外側の側面
11: 下嵌入部
12: 貫通孔
12a: 切欠き面13aを二つ結合したものと同様の部分
13: ブロック四隅の切欠き面
13a: ブロック隅の切欠き面
14: 見掛け上の貫通孔
15: 吊り金具収納部
16: 上脚部内側の切欠き面
17: 下脚部内側の切欠き面
18: 基本コンクリートブロック2体を連結した面
19: 本体部の上面
19b: 1/2とした部分2bの上面
20: 本体部の下面
26: 上嵌入部の側面角部のハンチ面
27: 下嵌入部の側面角部のハンチ面
31: 上脚部内側の二側面9a,9bの境界を成す辺
32: 下脚部内側の二側面10a,10bの境界を成す辺
41: 上脚部外側の二側面9c,9dの境界を成す辺
42: 下脚部外側の二側面10c,10dの境界を成す辺
50,55: 水撥ね部
60: 基本コンクリートブロックの他の1/2残部
70,75: 傾斜部
80A,80B,80C,85A,85B,85C: 水撥ね部の側面
80D,85D: 水撥ね部の上面
80E: 水撥ね部の貫通孔に繋がる鉛直方向の凹部
100,110,150,160: 基本コンクリートブロック
115: 基本コンクリートブロックの1/2断片
120: 1.5体の端辺用コンクリートブロック
130,140: 角部用コンクリートブロック
170: 小段用コンクリートブロック
180: 1.5体の小段用コンクリートブロック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の本体部(2)と、本体部(2)の上面(19)の四隅から延出する、本体部(2)の側面(3A),(3B)に各々共通する側面(9c),(9d)及び側面(9c)に隣接する内側の側面(9b)、側面(9d)に隣接する内側の側面(9a)を有する四角錐台形状の4本の上脚部(4),(4),(4),(4)と、本体部(2)の下面(20)の四隅から延出する、本体部(2)の側面(3A),(3B)に各々共通する側面(10c),(10d)及び側面(10c)に隣接する内側の側面(10b)、側面(10d)に隣接する内側の側面(10a)を有する逆四角錐台形状の4本の下脚部(5),(5),(5),(5)とを有するコンクリートブロックであって、
本体部(2)は、その上面(19)の中央部には逆四角錐台形状の上嵌入部(8)を、下面(20)の中央部には四角錐台形状の下嵌入部(11)を有し、
ここで、上嵌入部(8)の底面(6a)は、本体部(2)の上面(19)と平行であり、上嵌入部(8)の上端である外周の位置は、上嵌入部(8)が上脚部(4),(4),(4),(4)と重ならず且つ当該外周を形成する四辺すべての外側に上面(19)が存在することが必要であり、上嵌入部(8)の側面(7a1),(7a2)の傾斜角は、各々、下脚部(5)の内側の側面(10a),(10b)の傾斜角と同一の角度であり、
下嵌入部(11)の天井(6b)は、本体部(2)の下面(20)と平行であり、下嵌入部(11)の下端である外周の位置は、下嵌入部(11)が下脚部(5),(5),(5),(5)と重ならず且つ当該外周を形成する四辺すべての外側に下面(20)が存在することが必要であり、下嵌入部(11)の側面(7b1),(7b2)の傾斜角は、各々、上脚部(4)の内側の側面(9a),(9b)の傾斜角と同一の角度であり、
上嵌入部(8)の深さは、下脚部(5)の高さよりも大きく、上嵌入部(8)の大きさは、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部(5),(5),(5),(5)を、下脚部(5)の外側の二側面(10c),(10d)の境界である辺(42)が中央に来るように集結させた大きさよりも大きく、したがって、上嵌入部(8)には、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部(5),(5),(5),(5)を、下脚部(5)の外側の二側面(10c),(10d)の境界である辺(42)が中央に来るように集結させて挿入することができ、そして、
下嵌入部(11)の深さは、上脚部(4)の高さよりも大きく、下嵌入部(11)の大きさは、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部(4)、(4),(4),(4)を、上脚部(4)の外側の二側面(9c),(9d)の境界である辺(41)が中央に来るように集結させた大きさよりも大きく、したがって、下嵌入部(11)には、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部(4),(4),(4),(4)を、上脚部(4)の外側の二側面(9c),(9d)の境界である辺(41)が中央に来るように集結させて挿入することができることを特徴とする基本コンクリートブロック。
【請求項2】
下嵌入部(11)を更に深く穿設して吊り金具収納部(15)を設けたことを特徴とする請求項1に記載する基本コンクリートブロック。
【請求項3】
上嵌入部(8)の中心には、その横断面形状が上嵌入部(8)の底面(6a)の4辺と斜角で交わる直線によって囲まれた四辺形の貫通孔(12)が、下嵌入部(11)の天井(6b)に達するように穿設され、本体部(2)の四隅と、上脚部(4)及び下脚部(5)の本体部(2)の四隅から延出する部位には、貫通孔(12)の一辺と平行な直線で切欠かれた切欠き面(13)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載する基本コンクリートブロック。
【請求項4】
上嵌入部(8)の中心には、その横断面形状が上嵌入部(8)の底面(6a)の4辺と斜角で交わる直線によって囲まれた四辺形の貫通孔(12)が、吊り金具収納部(15)の天井(6c)に達するように穿設され、本体部(2)の四隅と、上脚部(4)及び下脚部(5)の本体部(2)の四隅から延出する部位には、貫通孔(12)の一辺と平行な直線で切欠かれた切欠き面(13)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の基本コンクリートブロック。
【請求項5】
上嵌入部(8)の中心には、その横断面形状が円形又は楕円形の貫通孔(12)が、下嵌入部(11)の天井(6b)に達するように穿設され、本体部(2)の四隅と、上脚部(4)及び下脚部(5)の本体部(2)の四隅から延出する部位には、内側に向かって凸となっている円又は楕円の1/4の円弧状の切欠き面(13)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載する基本コンクリートブロック。
【請求項6】
上嵌入部(8)の中心には、その横断面形状が円形又は楕円形の貫通孔(12)が、吊り金具収納部(15)の天井(6c)に達するように穿設され、本体部(2)の四隅と、上脚部(4)及び下脚部(5)の本体部(2)の四隅から延出する部位には、内側に向かって凸となっている円又は楕円の1/4の円弧状の切欠き面(13)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の基本コンクリートブロック。
【請求項7】
上脚部(4)は、内側の二側面(9a),(9b)の境界である辺(31)を通り且つ側面(9a)と側面(9b)との間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面(16)を有し、下脚部(5)は、内側の二側面(10a),(10b)の境界である辺(32)を通り且つ側面(10a)と側面(10b)との間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面(17)を有し、上嵌入部(8)は、その側面(7a1)と側面(7a2)との境界部に下脚部(5)の切欠き面(17)に対応するハンチ面(26)を有し、下嵌入部(11)は、その側面(7b1)と側面(7b2)との境界部に上脚部(4)の切欠き面(16)に対応するハンチ面(27)を有する、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の基本コンクリートブロック。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載する基本コンクリートブロックであって同じもの2体を、同形状且つ同寸法の一側面を共通にして連結した後、一方の基本コンクリートブロックを連結した面と平行な面で且つ中央で切断した形状を有する、基本コンクリートブロック1.5体の端辺用コンクリートブロック。
【請求項9】
請求項8に記載する端辺用コンクリートブロックを、基本コンクリートブロック同士を連結した面と直交する面で且つ中央で切断した形状を有する、角部用コンクリートブロック。
【請求項10】
マスコンクリート構造物の建設地に、請求項1又は2に記載する基本コンクリートブロックであって同じもの4個を、各ブロックにおいて二側面の境界である4本の辺の中の1本が中央に来るように集結させて一単位を構成させて第1のブロック層を構築し、ここで、第1のブロック層は、一単位以上を備えるものであり、且つ、一単位の平面形状は長方形であり、
次いで、第1のブロック層の各コンクリートブロックの上嵌入部に、第2のブロック層の構成要素となる1乃至4個のコンクリートブロックであって第1のブロック層を構成するものと同じものの各々に由来する1乃至4本の下脚部を挿入し且つ第2のブロック層の構成要素となる各コンクリートブロックの下嵌入部に、第1のブロック層の1乃至4個のコンクリートブロックの各々に由来する1乃至4本の上脚部を挿入して第2のブロック層を構築し、
第3のブロック層以降は第2のブロック層と同様にコンクリートブロックを積み上げることを特徴とするコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法。
【請求項11】
マスコンクリート構造物の建設地に、請求項3乃至7のいずれかに記載する基本コンクリートブロックであって同じもの4個を、各ブロックの切欠き面を集結させることにより、その横断面形状が四辺形、円形又は楕円形の見掛け上の貫通孔を形成させて一単位を構成させ、第1のブロック層を構築し、ここで、第1のブロック層は、一単位以上を備えるものであり、且つ、一単位の平面形状は、切欠き面を有する長方形であり、
次いで、第1のブロック層の各コンクリートブロックの上嵌入部に、第2のブロック層の構成要素となる1乃至4個のコンクリートブロックであって第1のブロック層を構成するものと同じものの各々に由来する1乃至4本の下脚部を挿入し且つ第2のブロック層の構成要素となる各コンクリートブロックの下嵌入部に、第1のブロック層の1乃至4個のコンクリートブロックの各々に由来する1乃至4本の上脚部を挿入して第2のブロック層を構築し、これにより、第1のブロック層の貫通孔の上に、第2のブロック層のコンクリートブロックの見掛け上の貫通孔が重なり、
第3のブロック層以降は第2のブロック層と同様にコンクリートブロックを積み上げることを特徴とするコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載するコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法であって、偶数層のブロック層を積み上げるにあたり、マスコンクリート構造物の端辺には、請求項8に記載する端辺用コンクリートブロックを、その側面の中、基本コンクリートブロックの中央で切断した切断面に相当する側面がマスコンクリート構造物の端辺を構成するように配置し、マスコンクリート構造物の角部には請求項9に記載する角部用コンクリートブロックを配置することを特徴とする、マスコンクリート構造物の構築方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載する方法でのマスコンクリート構造物の構築方法において、請求項3乃至7のいずれか一項に記載する基本コンクリートブロックを用い、さらに、少なくとも3層の連続するブロック層において、上層及び下層の貫通孔及び中間層の見掛け上の貫通孔を貫通するように剛性棒を挿入する工程を実施する、マスコンクリート構造物の構築方法。
【請求項14】
請求項1乃至7のいずれかに記載する基本コンクリートブロックの、本体部(2)をその一側面(3A)に平行な面で且つ中央で縦に切断してなる本体部(2)の1/2とした部分であって実質的に上嵌入部(8)を有さない部分(2a)と、二つの下脚部(5),(5)と、1/2とした部分(2a)の上面(19)上に形成された傾斜部(70)とを有する水撥ね部(50)と、請求項1乃至7のいずれかに記載する基本コンクリートブロックであって1/2とした部分(2a)を提供したものと同じものをその一側面(3A)に平行な面で且つ中央で縦に切断してなる他の1/2残部(60)とを有し、水撥ね部(50)と他の1/2残部(60)とは、切断面同士で結合されてなる小段用コンクリートブロックであって、
傾斜部(70)は、1/2とした部分(2a)の側面(3A)から延出した側面(80A)と、1/2とした部分(2a)の側面(3A)の両側に位置する側面(3B’),(3B’)の各々から延出した側面(80B),(80B)と、二つの側面(80B),(80B)を繋ぐ側面(80C)と、上面(80D)とを有し、ここで、基本コンクリートブロックが貫通孔(12)を有する場合には、側面(80C)の幅方向中央部に、当該貫通孔(12)の大きさ及び形状を変化させないための鉛直方向の凹部(80E)を有し、
ここで、側面(80A)は、その少なくとも一部が内側に傾斜しており、二つの側面(80B),(80B)の各々は、1/2とした部分(2a)の側面(3B’),(3B’)に共通する側面であり、側面(80C)は、他の1/2残部(60)の内側の面と水撥ね部(50)の1/2とした部分(2a)の内側の面とが結合された位置よりも、水撥ね部50の内側に若干後退した位置にあり、したがって、水撥ね部(50)の1/2とした部分(2a)には、上嵌入部(8)は、前記結合された位置と前記若干後退した位置との間にしか存在せず、且つ、側面(80C)は、上嵌入部(8)の底面(6a)まで延出しており、
但し、側面(80A)の下端は、1/2とした部分(2a)の上端より下方に存在していてもよく、
前記基本コンクリートブロックが切欠き面(13)を有するものである場合には、水撥ね部(50)には、側面(3A)と側面(3B)との境界である辺を中心として左右対称であり且つ切欠き面(13)と同一の幅を有する切欠き面(13a)が存在し、その切欠き面(13a)は、下脚部(5)から側面(80A)の下端までの部分に存在しており、
そして、傾斜部(70)の高さは1/2とした部分(2a)の高さと同一乃至その1/3であることを特徴とする小段用コンクリートブロック。
【請求項15】
請求項1乃至7のいずれかに記載する基本コンクリートブロックと同形状の基本コンクリートブロック部と、その基本コンクリートブロック部の本体部(2)をその一側面(3A)に平行で且つ中央の面(3C)で縦に切断してなる本体部(2)の1/2とした部分であって上嵌入部(8)を有さない部分(2b)、二つの下脚部(5),(5)、及び前記1/2とした部分(2b)の上面(19)上に形成された傾斜部(75)を有する水撥ね部(55)とを有し、前記基本コンクリートブロック部の一側面(3A)と水撥ね部(55)の一側面(3A)とが結合されてなる小段用コンクリートブロックであって、
前記基本コンクリートブロック部が切欠き面(13)を有するものである場合には、水撥ね部(55)には、前記の結合された面(3A)と側面(3B’)との境界である辺を中心として左右対称であり且つ切欠き面(13)と同一の幅を有する切欠き面(13a)が、下脚部(5)から1/2とした部分(2b)を通って傾斜部(75)の上端までの部分に存在しており、
基本コンクリートブロック部が貫通孔(12)を有する場合には、水撥ね部(55)の前記面(3C)の幅方向中央部に、切欠き面(13a)を二つ結合したものと同様の部分(12a)を有し、
傾斜部(75)は、前記面(3C)から延出した側面(85A)と、前記面(3C)の両側に位置する側面(3B’),(3B’)の各々から延出した側面(85B),(85B)と、二つの側面(85B),(85B)を直接又は間接的に繋ぎ且つ前記の結合された面(3A)に平行な側面(85C)と、上面(85D)とを有し、
ここで、側面(85A)は、その少なくとも一部が内側に傾斜しており、二つの側面(85B),(85B)の各々は、1/2とした部分(2b)の側面(3B’),(3B’)に共通する側面であり、側面(85C)は、前記の結合された面(3A)よりも内側に若干後退した位置にあり、したがって、水撥ね部(55)との結合部側に存在する基本コンクリートブロック部の二つの上脚部(4),(4)と上面部(19)は、水撥ね部(55)の側面(85C)に結合するように延長されており、
但し、側面(85A)の下端は、1/2とした部分(2b)の上端より下方に存在していてもよく、
そして、傾斜部(75)の高さは、1/2とした部分(2b)の高さと同一乃至その1/3であることを特徴とする1.5体の小段用コンクリートブロック。
【請求項16】
請求項10又は11に記載する方法でのマスコンクリート構造物の構築方法において、堰堤水通し部には、請求項14に記載の小段用コンクリートブロック及び/又は請求項15に記載の1.5体の小段用コンクリートブロックを配置することを特徴とする請求項10又は11に記載するコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法。
【請求項1】
直方体形状の本体部(2)と、本体部(2)の上面(19)の四隅から延出する、本体部(2)の側面(3A),(3B)に各々共通する側面(9c),(9d)及び側面(9c)に隣接する内側の側面(9b)、側面(9d)に隣接する内側の側面(9a)を有する四角錐台形状の4本の上脚部(4),(4),(4),(4)と、本体部(2)の下面(20)の四隅から延出する、本体部(2)の側面(3A),(3B)に各々共通する側面(10c),(10d)及び側面(10c)に隣接する内側の側面(10b)、側面(10d)に隣接する内側の側面(10a)を有する逆四角錐台形状の4本の下脚部(5),(5),(5),(5)とを有するコンクリートブロックであって、
本体部(2)は、その上面(19)の中央部には逆四角錐台形状の上嵌入部(8)を、下面(20)の中央部には四角錐台形状の下嵌入部(11)を有し、
ここで、上嵌入部(8)の底面(6a)は、本体部(2)の上面(19)と平行であり、上嵌入部(8)の上端である外周の位置は、上嵌入部(8)が上脚部(4),(4),(4),(4)と重ならず且つ当該外周を形成する四辺すべての外側に上面(19)が存在することが必要であり、上嵌入部(8)の側面(7a1),(7a2)の傾斜角は、各々、下脚部(5)の内側の側面(10a),(10b)の傾斜角と同一の角度であり、
下嵌入部(11)の天井(6b)は、本体部(2)の下面(20)と平行であり、下嵌入部(11)の下端である外周の位置は、下嵌入部(11)が下脚部(5),(5),(5),(5)と重ならず且つ当該外周を形成する四辺すべての外側に下面(20)が存在することが必要であり、下嵌入部(11)の側面(7b1),(7b2)の傾斜角は、各々、上脚部(4)の内側の側面(9a),(9b)の傾斜角と同一の角度であり、
上嵌入部(8)の深さは、下脚部(5)の高さよりも大きく、上嵌入部(8)の大きさは、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部(5),(5),(5),(5)を、下脚部(5)の外側の二側面(10c),(10d)の境界である辺(42)が中央に来るように集結させた大きさよりも大きく、したがって、上嵌入部(8)には、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の下脚部(5),(5),(5),(5)を、下脚部(5)の外側の二側面(10c),(10d)の境界である辺(42)が中央に来るように集結させて挿入することができ、そして、
下嵌入部(11)の深さは、上脚部(4)の高さよりも大きく、下嵌入部(11)の大きさは、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部(4)、(4),(4),(4)を、上脚部(4)の外側の二側面(9c),(9d)の境界である辺(41)が中央に来るように集結させた大きさよりも大きく、したがって、下嵌入部(11)には、4個のコンクリートブロックにおける各々1本の上脚部(4),(4),(4),(4)を、上脚部(4)の外側の二側面(9c),(9d)の境界である辺(41)が中央に来るように集結させて挿入することができることを特徴とする基本コンクリートブロック。
【請求項2】
下嵌入部(11)を更に深く穿設して吊り金具収納部(15)を設けたことを特徴とする請求項1に記載する基本コンクリートブロック。
【請求項3】
上嵌入部(8)の中心には、その横断面形状が上嵌入部(8)の底面(6a)の4辺と斜角で交わる直線によって囲まれた四辺形の貫通孔(12)が、下嵌入部(11)の天井(6b)に達するように穿設され、本体部(2)の四隅と、上脚部(4)及び下脚部(5)の本体部(2)の四隅から延出する部位には、貫通孔(12)の一辺と平行な直線で切欠かれた切欠き面(13)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載する基本コンクリートブロック。
【請求項4】
上嵌入部(8)の中心には、その横断面形状が上嵌入部(8)の底面(6a)の4辺と斜角で交わる直線によって囲まれた四辺形の貫通孔(12)が、吊り金具収納部(15)の天井(6c)に達するように穿設され、本体部(2)の四隅と、上脚部(4)及び下脚部(5)の本体部(2)の四隅から延出する部位には、貫通孔(12)の一辺と平行な直線で切欠かれた切欠き面(13)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の基本コンクリートブロック。
【請求項5】
上嵌入部(8)の中心には、その横断面形状が円形又は楕円形の貫通孔(12)が、下嵌入部(11)の天井(6b)に達するように穿設され、本体部(2)の四隅と、上脚部(4)及び下脚部(5)の本体部(2)の四隅から延出する部位には、内側に向かって凸となっている円又は楕円の1/4の円弧状の切欠き面(13)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載する基本コンクリートブロック。
【請求項6】
上嵌入部(8)の中心には、その横断面形状が円形又は楕円形の貫通孔(12)が、吊り金具収納部(15)の天井(6c)に達するように穿設され、本体部(2)の四隅と、上脚部(4)及び下脚部(5)の本体部(2)の四隅から延出する部位には、内側に向かって凸となっている円又は楕円の1/4の円弧状の切欠き面(13)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の基本コンクリートブロック。
【請求項7】
上脚部(4)は、内側の二側面(9a),(9b)の境界である辺(31)を通り且つ側面(9a)と側面(9b)との間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面(16)を有し、下脚部(5)は、内側の二側面(10a),(10b)の境界である辺(32)を通り且つ側面(10a)と側面(10b)との間の角度を二等分する鉛直面に対して左右対称の台形状の切欠き面(17)を有し、上嵌入部(8)は、その側面(7a1)と側面(7a2)との境界部に下脚部(5)の切欠き面(17)に対応するハンチ面(26)を有し、下嵌入部(11)は、その側面(7b1)と側面(7b2)との境界部に上脚部(4)の切欠き面(16)に対応するハンチ面(27)を有する、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の基本コンクリートブロック。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載する基本コンクリートブロックであって同じもの2体を、同形状且つ同寸法の一側面を共通にして連結した後、一方の基本コンクリートブロックを連結した面と平行な面で且つ中央で切断した形状を有する、基本コンクリートブロック1.5体の端辺用コンクリートブロック。
【請求項9】
請求項8に記載する端辺用コンクリートブロックを、基本コンクリートブロック同士を連結した面と直交する面で且つ中央で切断した形状を有する、角部用コンクリートブロック。
【請求項10】
マスコンクリート構造物の建設地に、請求項1又は2に記載する基本コンクリートブロックであって同じもの4個を、各ブロックにおいて二側面の境界である4本の辺の中の1本が中央に来るように集結させて一単位を構成させて第1のブロック層を構築し、ここで、第1のブロック層は、一単位以上を備えるものであり、且つ、一単位の平面形状は長方形であり、
次いで、第1のブロック層の各コンクリートブロックの上嵌入部に、第2のブロック層の構成要素となる1乃至4個のコンクリートブロックであって第1のブロック層を構成するものと同じものの各々に由来する1乃至4本の下脚部を挿入し且つ第2のブロック層の構成要素となる各コンクリートブロックの下嵌入部に、第1のブロック層の1乃至4個のコンクリートブロックの各々に由来する1乃至4本の上脚部を挿入して第2のブロック層を構築し、
第3のブロック層以降は第2のブロック層と同様にコンクリートブロックを積み上げることを特徴とするコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法。
【請求項11】
マスコンクリート構造物の建設地に、請求項3乃至7のいずれかに記載する基本コンクリートブロックであって同じもの4個を、各ブロックの切欠き面を集結させることにより、その横断面形状が四辺形、円形又は楕円形の見掛け上の貫通孔を形成させて一単位を構成させ、第1のブロック層を構築し、ここで、第1のブロック層は、一単位以上を備えるものであり、且つ、一単位の平面形状は、切欠き面を有する長方形であり、
次いで、第1のブロック層の各コンクリートブロックの上嵌入部に、第2のブロック層の構成要素となる1乃至4個のコンクリートブロックであって第1のブロック層を構成するものと同じものの各々に由来する1乃至4本の下脚部を挿入し且つ第2のブロック層の構成要素となる各コンクリートブロックの下嵌入部に、第1のブロック層の1乃至4個のコンクリートブロックの各々に由来する1乃至4本の上脚部を挿入して第2のブロック層を構築し、これにより、第1のブロック層の貫通孔の上に、第2のブロック層のコンクリートブロックの見掛け上の貫通孔が重なり、
第3のブロック層以降は第2のブロック層と同様にコンクリートブロックを積み上げることを特徴とするコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載するコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法であって、偶数層のブロック層を積み上げるにあたり、マスコンクリート構造物の端辺には、請求項8に記載する端辺用コンクリートブロックを、その側面の中、基本コンクリートブロックの中央で切断した切断面に相当する側面がマスコンクリート構造物の端辺を構成するように配置し、マスコンクリート構造物の角部には請求項9に記載する角部用コンクリートブロックを配置することを特徴とする、マスコンクリート構造物の構築方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載する方法でのマスコンクリート構造物の構築方法において、請求項3乃至7のいずれか一項に記載する基本コンクリートブロックを用い、さらに、少なくとも3層の連続するブロック層において、上層及び下層の貫通孔及び中間層の見掛け上の貫通孔を貫通するように剛性棒を挿入する工程を実施する、マスコンクリート構造物の構築方法。
【請求項14】
請求項1乃至7のいずれかに記載する基本コンクリートブロックの、本体部(2)をその一側面(3A)に平行な面で且つ中央で縦に切断してなる本体部(2)の1/2とした部分であって実質的に上嵌入部(8)を有さない部分(2a)と、二つの下脚部(5),(5)と、1/2とした部分(2a)の上面(19)上に形成された傾斜部(70)とを有する水撥ね部(50)と、請求項1乃至7のいずれかに記載する基本コンクリートブロックであって1/2とした部分(2a)を提供したものと同じものをその一側面(3A)に平行な面で且つ中央で縦に切断してなる他の1/2残部(60)とを有し、水撥ね部(50)と他の1/2残部(60)とは、切断面同士で結合されてなる小段用コンクリートブロックであって、
傾斜部(70)は、1/2とした部分(2a)の側面(3A)から延出した側面(80A)と、1/2とした部分(2a)の側面(3A)の両側に位置する側面(3B’),(3B’)の各々から延出した側面(80B),(80B)と、二つの側面(80B),(80B)を繋ぐ側面(80C)と、上面(80D)とを有し、ここで、基本コンクリートブロックが貫通孔(12)を有する場合には、側面(80C)の幅方向中央部に、当該貫通孔(12)の大きさ及び形状を変化させないための鉛直方向の凹部(80E)を有し、
ここで、側面(80A)は、その少なくとも一部が内側に傾斜しており、二つの側面(80B),(80B)の各々は、1/2とした部分(2a)の側面(3B’),(3B’)に共通する側面であり、側面(80C)は、他の1/2残部(60)の内側の面と水撥ね部(50)の1/2とした部分(2a)の内側の面とが結合された位置よりも、水撥ね部50の内側に若干後退した位置にあり、したがって、水撥ね部(50)の1/2とした部分(2a)には、上嵌入部(8)は、前記結合された位置と前記若干後退した位置との間にしか存在せず、且つ、側面(80C)は、上嵌入部(8)の底面(6a)まで延出しており、
但し、側面(80A)の下端は、1/2とした部分(2a)の上端より下方に存在していてもよく、
前記基本コンクリートブロックが切欠き面(13)を有するものである場合には、水撥ね部(50)には、側面(3A)と側面(3B)との境界である辺を中心として左右対称であり且つ切欠き面(13)と同一の幅を有する切欠き面(13a)が存在し、その切欠き面(13a)は、下脚部(5)から側面(80A)の下端までの部分に存在しており、
そして、傾斜部(70)の高さは1/2とした部分(2a)の高さと同一乃至その1/3であることを特徴とする小段用コンクリートブロック。
【請求項15】
請求項1乃至7のいずれかに記載する基本コンクリートブロックと同形状の基本コンクリートブロック部と、その基本コンクリートブロック部の本体部(2)をその一側面(3A)に平行で且つ中央の面(3C)で縦に切断してなる本体部(2)の1/2とした部分であって上嵌入部(8)を有さない部分(2b)、二つの下脚部(5),(5)、及び前記1/2とした部分(2b)の上面(19)上に形成された傾斜部(75)を有する水撥ね部(55)とを有し、前記基本コンクリートブロック部の一側面(3A)と水撥ね部(55)の一側面(3A)とが結合されてなる小段用コンクリートブロックであって、
前記基本コンクリートブロック部が切欠き面(13)を有するものである場合には、水撥ね部(55)には、前記の結合された面(3A)と側面(3B’)との境界である辺を中心として左右対称であり且つ切欠き面(13)と同一の幅を有する切欠き面(13a)が、下脚部(5)から1/2とした部分(2b)を通って傾斜部(75)の上端までの部分に存在しており、
基本コンクリートブロック部が貫通孔(12)を有する場合には、水撥ね部(55)の前記面(3C)の幅方向中央部に、切欠き面(13a)を二つ結合したものと同様の部分(12a)を有し、
傾斜部(75)は、前記面(3C)から延出した側面(85A)と、前記面(3C)の両側に位置する側面(3B’),(3B’)の各々から延出した側面(85B),(85B)と、二つの側面(85B),(85B)を直接又は間接的に繋ぎ且つ前記の結合された面(3A)に平行な側面(85C)と、上面(85D)とを有し、
ここで、側面(85A)は、その少なくとも一部が内側に傾斜しており、二つの側面(85B),(85B)の各々は、1/2とした部分(2b)の側面(3B’),(3B’)に共通する側面であり、側面(85C)は、前記の結合された面(3A)よりも内側に若干後退した位置にあり、したがって、水撥ね部(55)との結合部側に存在する基本コンクリートブロック部の二つの上脚部(4),(4)と上面部(19)は、水撥ね部(55)の側面(85C)に結合するように延長されており、
但し、側面(85A)の下端は、1/2とした部分(2b)の上端より下方に存在していてもよく、
そして、傾斜部(75)の高さは、1/2とした部分(2b)の高さと同一乃至その1/3であることを特徴とする1.5体の小段用コンクリートブロック。
【請求項16】
請求項10又は11に記載する方法でのマスコンクリート構造物の構築方法において、堰堤水通し部には、請求項14に記載の小段用コンクリートブロック及び/又は請求項15に記載の1.5体の小段用コンクリートブロックを配置することを特徴とする請求項10又は11に記載するコンクリートブロックを用いたマスコンクリート構造物の構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2013−92005(P2013−92005A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235656(P2011−235656)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【特許番号】特許第5023236号(P5023236)
【特許公報発行日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【出願人】(511065392)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【特許番号】特許第5023236号(P5023236)
【特許公報発行日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【出願人】(511065392)
【Fターム(参考)】
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