説明

コンクリートブロック施工方法

【課題】 大重量コンクリートブロックでは、既設側と接続側の各コンクリートブロックの接続端面同士を正常に接触(全面接触)させるのが難しかった。
【解決手段】 コンクリートブロック側面における前後各接続端面寄り位置に所定高差Hをもたせた状態で各雌ネジ14,15を形成し、2つのコンクリートブロックの接続端面11,12同士を接続させた状態での2つの雌ネジ間の直線距離と同じ間隔で各ボルト挿通穴31,32を形成した連結プレート3と、各雌ネジに螺合されるボルト4,5を使用し、接続側コンクリートブロック1Bの低位置雌ネジ側の接続端面を既設側コンクリートブロック1Aの接続端面に近接させ、各側の雌ネジを連結プレートで仮連結し、接続側コンクリートブロックを接地するまで降下させた後、両ボルトを強く緊締することで、両コンクリートブロックを簡単且つきれいに接続させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複数個のコンクリートブロック(プレキャスト製品)を順次水平方向に連続させて一連のコンクリートブロック構造物(例えば擁壁、側溝、下水路等)を構築する際のコンクリートブロック施工方法に関するものである。尚、構築されるコンクリートブロック構造物として、擁壁の場合は例えばL形のコンクリートブロックを使用され、側溝の場合は例えばU形(又は逆U形)のコンクリートブロックが使用され、下水路の場合は例えばボックスカルバート(又はアーチカルバート)が使用される。
【背景技術】
【0002】
図15〜図16には、従来から一般に行われているコンクリートブロック施工方法を示しているが、この従来例ではコンクリートブロック(101A,101B)としてボックスカルバートを使用している。この種のボックスカルバート(コンクリートブロック)は、1個の重量が小さいものでも500Kg程度あり、大きいものでは10t(トン)超のものがある。
【0003】
そして、このような大重量のコンクリートブロック101A,101Bを複数個使用して一連のコンクリートブロック構造物を構築するには、次のように行われる。即ち、図16に示すように設置面(基礎コンクリート)107上の所定位置に先順のコンクリートブロック101Aを据付けた後、その既設側コンクリートブロック101Aの接続端面(後端面)111に接続側コンクリートブロック101Bの接続端面(前端面)112を接合させた状態で据付け、順次同様に後続の各コンクリートブロックを接続させていく。
【0004】
接続側コンクリートブロック101Bを既設側コンクリートブロック101Aに接続させるには、接続側コンクリートブロック101Bをクレーン(吊りフック109)で吊持して既設側コンクリートブロック101Aの近傍に近づけ、図16に鎖線図示するように接続側コンクリートブロック101B′の前端面112を既設側コンクリートブロック101Aの後端面111に接合させた状態で該接続側コンクリートブロックを接地させるが、接続側コンクリートブロック101Bを吊り降ろし作業だけでは既設側コンクリートブロックと接続側コンクリートブロックの各接続端面111,112同士を全面(全周)に亘ってきれいに接合させることは非常に難しい(両接続端面111,112間に隙間ができ易い)。又、接続側コンクリートブロック101Bを一旦接地させると、該コンクリートブロック101Bが大重量であるために容易に動かせなくなり、両接続端面の接合補修作業が困難になる。尚、既設側コンクリートブロック101Aと接続側コンクリートブロック101Bの各接続端面111,112間には、パッキンを介設したり、目地モルタルやコーキング材を充填したりすることが多いが、その場合でも両コンクリートブロックの接続端面111,112同士をきれいに接合させておくことが好ましい。
【0005】
ところで、このように複数個のコンクリートブロックを接続してなるコンクリートブロック構造物では、地震によって設置地盤に不等沈下が発生したり自動車走行による振動を受けたりすると、各コンクリートブロックの接合部分に隙間が発生し易くなる。
【0006】
そこで、従来から、接続された両コンクリートブロック101A,101Bを連結するのに、図17〜図19に示すような各種の連結構造が採用されている。
【0007】
図17(第1従来例)の連結構造は、連結ボルト(ボルト120及びナット121)を使用して両コンクリートブロック101A,101Bを緊締するようにしたものであるが、この場合は、図17(A)に示すように予めコンクリートブロック101A,101Bの接続端面111,112寄りの各側面にそれぞれボルト120又はナット121を収容するための凹部116,117を形成しておく。そして、既設側コンクリートブロック101Aに接続側コンクリートブロック101Bを接続させた状態で、図17(B)に示すように、一方の凹部116内にボルト120を横向き姿勢で収納し、他方の凹部117内からナット121で螺合・緊締することで、両コンクリートブロック101A,101Bを引き寄せて連結するようにしている。尚、この種のボルト・ナットによる両コンクリートブロックの連結構造としては、例えば特開2001−164559号公報(特許文献1)の図4に示されるものがある。
【0008】
図18(第2従来例)の連結構造は、長尺のPC鋼材122を使用して両コンクリートブロック101A,101Bを緊締するようにしたものであるが、この場合は、予め各コンクリートブロック101A,101BにそれぞれPC鋼材挿通用の貫通穴118,118を形成しておく。そして、既設側コンクリートブロック101Aに接続側コンクリートブロック101Bを接続させた状態で、連通する各貫通穴118,118内に長尺のPC鋼材122を挿通し、該PC鋼材122の両端部にそれぞれナット123,124を螺合・緊締することで、両コンクリートブロック101A,101Bを引き寄せて連結するようにしている。尚、この種のPC鋼材による両コンクリートブロックの連結構造としては、例えば特開平8−177133号公報(特許文献2)の図1に示されるものがある。
【0009】
図19(第3従来例)の連結構造は、連結プレート103と2本のボルト104,105使用して両コンクリートブロック101A,101Bを連結するようにしたものであるが、この場合は、予め各コンクリートブロック101A,101Bの接続端面寄りの各側面にそれぞれ雌ネジ114,115を形成しておく(雌ネジ筒を埋め込んでおく)。そして、既設側コンクリートブロック101Aに接続側コンクリートブロック101Bを接続させた状態で、連結プレート103を各コンクリートブロック101A,101Bの両側面に跨がってあてがい、該連結プレート103を介して各ボルト104,105を各側の雌ネジ114,115に螺合・緊締することで、両コンクリートブロック101A,101Bを連結するようにしている。尚、図19において符号110は両コンクリートブロック101A,101Bの接続端面間に介設したパッキンである。
【0010】
【特許文献1】特開2001−164559号公報の図4
【特許文献2】特開平8−177133号公報の図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、複数個のコンクリートブロック101A,101Bを順次接合状態で設置する際には、両コンクリートブロックの接続端面111,112同士の接合精度と、両コンクリートブロック101A,101Bの連結強度とが重要である。
【0012】
そして、図15〜図16に示すように、既設側コンクリートブロック101Aに対して接続側コンクリートブロック101Bを吊持・移動させて、各接続端面111,112同士を単に接合させるだけのものでは、両接続端面111,112の接合精度が不十分になり易い(隙間ができ易い)とともに、地震や振動に対して両コンクリートブロックの連結強度が不十分となる。
【0013】
又、図17〜図19に示す第1〜第3従来例の各連結構造では、それぞれ次のような問題がある。
【0014】
図17(第1従来例)に示す連結ボルト使用による連結構造では、各コンクリートブロック101A,101Bの側面に連結ボルト(ボルト120、ナット121)を収容するために複雑な形状の凹部116,117を形成しておく必要があるが、この場合はコンクリートブロック成型用型枠の構造が複雑となるとともに、型抜きが面倒となる。又、ボルト120とナット121の緊締作業を狭隘な凹部116,117内で行う必要があるので、その緊締作業がしにくい。さらに、コンクリートブロックが大重量(例えば5〜10t)のものでは、接地した状態でボルト・ナットで緊締しても接続側コンクリートブロック101Bを両接続端面が正常に接合するまで引き寄せられないことがある(両接続端面間に隙間が残る)。
【0015】
図18(第2従来例)に示すPC鋼材使用による連結構造では、各コンクリートブロック101A,101Bにそれぞれ貫通穴118を形成しておく必要があるので、コンクリートブロックの成型が面倒であるとともに、長尺のPC鋼材122が高価であるのでコスト高になる。又、この場合も、コンクリートブロックが大重量(例えば5〜10t)のものでは、接地した状態でナット124を緊締しても接続側コンクリートブロック101Bを両接続端面が正常に接合するまで引き寄せられないことがある(両接続端面間に隙間が残る)。
【0016】
図19(第3従来例)に示す連結プレート使用による連結構造では、連結プレート103を取付けるのに各ボルト104,105をコンクリートブロックの側面の外側から各雌ネジ114,115に螺合させ得るので、その連結作業は簡単であるが、この場合は接続側コンクリートブロック101Bを既設側コンクリートブロック101A側に引き寄せる機能はない。従って、両コンクリートブロックの接続端面間に隙間が残ったままになり易い。
【0017】
そこで、本願発明は、既設側コンクリートブロックに対して接続側コンクリートブロックを吊持しながら接続させる際に、両コンクリートブロックの接続端面同士を良好に接合させ得るとともに、両コンクリートブロックの連結強度も確保し得るようにしたコンクリートブロック施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0019】
本願発明は、複数個のコンクリートブロックを順次水平方向に連続させて一連のコンクリートブロック構造物を構築する際のコンクリートブロック施工方法を対象にしている。尚、以下の説明において、前後とは各コンクリートブロックの接続方向のことであって、既設側コンクリートブロックが前側で接続側コンクリートブロックが後側となる。又、このコンクリートブロック施工方法では、既設側コンクリートブロックの接続端面に接続側コンクリートブロックの接続端面を接合させるが、以下の説明では、既設側コンクリートブロックの接続端面を後端面といい、接続側コンクリートブロックの接続端面を前端面ということがある。さらに本願の説明において「2つのコンクリートブロックの接続端面同士を正規の設置姿勢で接続させた状態」とは、両コンクリートブロックが同高さにおいてそれぞれ設置面に着座し、且つ両コンクリートブロックの接続端面同士が全面に亘って接合している状態のことである。
【0020】
本願発明のコンクリートブロック施工方法で使用するコンクリートブロックには、その側面における前後各接続端面寄り位置に所定高差をもたせた状態でそれぞれ雌ネジを形成しておく。又、このコンクリートブロック施工方法では、2つのコンクリートブロックの接続端面同士を正規の設置姿勢で接続させた状態でその接続部分の両側に位置する2つの雌ネジ間の直線距離と同じ間隔でそれぞれボルト挿通穴を形成した連結プレートと、各雌ネジに螺合可能な2本のボルトを使用する。
【0021】
コンクリートブロック側面の前後各雌ネジの形成位置は、コンクリートブロックの大きさにもよるが、コンクリートブロックの前後各接続端面(前端面及び後端面)から水平方向に例えば10〜20cmだけ離間した位置で、両雌ネジの高差が例えば5〜15cm程度あるように設定される。尚、これらの数値は特に限定するものではなく、後述の機能を達成させ得るものであれば適宜に設計変更可能である。
【0022】
又、この各雌ネジは、使用するコンクリートブロックの厚さが薄いものではコンクリートブロックの左右片方の側面だけに形成したものでもよいが、該各雌ネジはコンクリートブロックの左右両側面にそれぞれ形成しておくことが好ましい。尚、この各雌ネジは、コンクリートブロック成型時に型枠内面に雌ネジ筒を装着しておくことで、コンクリートブロック側面に形成できる。
【0023】
そして、2つのコンクリートブロックの接続端面同士を正規の設置姿勢で接続させた状態では、その接続部分の両側に位置する2つの雌ネジ(既設側コンクリートブロックの後端面側にある高位置雌ネジと、接続側コンクリートブロックの前端面側にある低位置雌ネジ)を結ぶ仮装直線が既設側から接続側に向けて所定角度(例えば角度20〜40°程度)だけ下降傾斜するようになる。
【0024】
連結プレートは、細長板状のもの(例えば長さが30〜40cm、幅が5〜8cm、厚さが0.5〜1cm程度)や適宜太さの棒状のもの(例えば長さが30〜40cm、太さが2〜3cm程度)等で、強度のある材料製(例えば鋼材製やプラスチック製)のものが使用される。この連結プレートには長さ方向の両端寄り位置にそれぞれボルト挿通穴を形成しているが、この各ボルト挿通穴は、使用するボルトのネジ部外径(例えば25mm)よりごく僅かに大きい程度の穴径(例えば25.5〜26mm)に設定されている。従って、ボルト挿通穴にボルトネジ部を挿通させた状態では、該ボルト挿通穴とボルトネジ部間にほとんどガタツキが生じないようになっている。
【0025】
連結プレートの2つのボルト挿通穴(中心)間の間隔は、2つのコンクリートブロックの接続端面同士を正規の設置姿勢で接続させた状態でその接続部分の両側に位置する2つの雌ネジ(中心)間の直線距離と同じに設定されている。
【0026】
そして、本願発明のコンクリートブロック施工方法は、次のように行われる。尚、このコンクリートブロックが設置される設置面には、基礎コンクリートが打設されており、さらに該基礎コンクリートの上面に均しモルタルを敷設して上面を平滑面としている。
【0027】
まず、設置面の所定位置に、先順側のコンクリートブロックを高位置雌ネジ側の接続端面(後端面)が後続のコンクリートブロックの設置側に向く姿勢で据付ける。尚、コンクリートブロックの移動・据付けは、クレーンの吊りフックで吊持して行う。
【0028】
次に、接続側コンクリートブロックを、該接続側コンクリートブロックの低位置雌ネジ側の接続端面(前端面)が既設側コンクリートブロックの接続端面(後端面)側に向く姿勢で吊持して、接続側コンクリートブロックの低位置雌ネジ側の接続端面(前端面)を既設側コンクリートブロックの接続端面(後端面)に対して、既設側コンクリートブロックの高位置雌ネジと接続側コンクリートブロックの低位置雌ネジとの直線距離が連結プレートの両ボルト挿通穴間の間隔と同じになる位置まで近接させる。このとき、接続側コンクリートブロックの低位置雌ネジが既設側コンクリートブロックの高位置雌ネジとほぼ同高さに位置し、且つ接続側コンクリートブロックの前端面が既設側コンクリートブロックの後端面から僅かに(例えば3cm程度)離間しているとともに、該接続側コンクリートブロックの下面が設置面から所定高さ(例えば10cm程度)離間している。又、接続側コンクリートブロックを既設側コンクリートブロックに近接させる際に、両コンクリートブロックの接続端面間に所定幅(例えば3cm幅)のスペーサを介在させるようにすれば、接続側コンクリートブロックの位置決めが容易となる。
【0029】
続いて、一方のボルトを連結プレートの一方のボルト挿通穴を通して既設側コンクリートブロックの高位置雌ネジに非緊締状態で螺合させる一方、他方のボルトを連結プレートの他方のボルト挿通穴を通して接続側コンクリートブロックの低位置雌ネジに非緊締状態で螺合させて、両コンクリートブロックの各雌ネジ部分を連結プレートで仮連結する。尚、連結プレートの一端側を既設側コンクリートブロックの高位置雌ネジ部分に連結(枢着)した状態で、連結プレートの自由端側のボルト挿通穴を接続側コンクリートブロックの低位置雌ネジに合致できない位置関係にあるときには、吊持している接続側コンクリートブロックをクレーンにより上下(又は左右)に微調整させて、該ボルト挿通穴と低位置雌ネジとを合致させればよい。又、前後各雌ネジをコンクリートブロックの左右両側面に設けているものでは、両コンクリートブロックを左右各側から同様に連結プレートで連結する。尚、両コンクリートブロック間に上記スペーサを介在させている場合は、連結プレートで両コンクリートブロックを仮連結した後に該スペーサを抜き外す。
【0030】
次に、この仮連結状態で、吊持している接続側コンクリートブロックをその下面が設置面上に接地するまで降下させる。このとき、接続側コンクリートブロックは、既設側コンクリートブロックに対して連結プレートで仮連結されており、該連結プレートは既設側コンクリートブロックの高位置雌ネジ部分を中心にして上下に揺動するように規制されているので、接続側コンクリートブロックを降下させると、該接続側コンクリートブロックが既設側コンクリートブロックの後端面側に近づきながら下動するようになる。そして、接続側コンクリートブロックの下面が設置面上に接地した時点では、両コンクリートブロックの各雌ネジの位置関係と連結プレートの両ボルト挿通穴の位置関係とにより、接続側コンクリートブロックの前端面が既設側コンクリートブロックの後端面に全面接合し、接続側コンクリートブロックが自動的に正規の設置姿勢で接続される。
【0031】
そして、この状態で、両ボルトをそれぞれ強く緊締することで、1つのコンクリートブロックの施工作業は完了する。尚、後続の各コンクリートブロックは、設置済みのコンクリートブロック列の後端に位置する既設側コンクリートブロックに対して上記手順で接合させる。
【発明の効果】
【0032】
本願発明のコンクリートブロック施工方法では、上記のように連結プレートで既設側と接続側の両コンクリートブロックを仮連結した状態で、接続側コンクリートブロックを接地するまで降下させることで、該接続側コンクリートブロックを既設側コンクリートブロックに対して正規の設置姿勢で接続できるので、その接続作業が非常に簡単となり、且つ接続側コンクリートブロックの接続状態が常に正常となる(両コンクリートブロックの接続端面同士が全面接合した状態で連続する)という効果がある。
【0033】
又、連結プレートは、上記のように接続側コンクリートブロックを既設側コンクリートブロックに対して正規の設置姿勢に接続させる機能のほかに、設置状態において両コンクリートブロックを連結する機能を有しており、該連結プレートを有効利用できるという効果がある。
【実施例】
【0034】
本願発明は、複数個のコンクリートブロックを順次水平方向に連続させて一連のコンクリートブロック構造物を構築する際のコンクリートブロック施工方法を対象にしたものであり、図1〜図14を参照して本願のいくつかの実施例を説明すると、図1〜図8には第1実施例、図9には第2実施例、図10には第3実施例、図11〜図12には第4実施例、図13〜図14には第5実施例のコンクリートブロック施工方法がそれぞれ示されている。
【0035】
本願で構築されるコンクリートブロック構造物としては、例えば擁壁、側溝、下水路等があるが、擁壁の場合は例えばL形のコンクリートブロックを使用され、側溝の場合は例えばU形(又は逆U形)のコンクリートブロックが使用され、下水路の場合は例えばボックスカルバート(又はアーチカルバート)が使用される。そして、本願の各実施例では、コンクリートブロックとしてボックスカルバートを使用して、下水路を構築する場合を示している。尚、この各実施例では、コンクリートブロック1A,1Bとして、1個当たりの重量が5〜10t(トン)程度のかなり大型のものを適用している。
【0036】
本願各実施例のコンクリートブロック施工方法は、既設側コンクリートブロック1Aの接続端面11に接続側コンクリートブロック1Bの接続端面12を接合させて一連のコンクリートブロック構造物を構築するものであるが、各実施例の説明でも、既設側コンクリートブロック1Aの接続端面11を後端面といい、接続側コンクリートブロック1Bの接続端面12を前端面ということがある。又、以下の説明中、前後とは各コンクリートブロック1A,1Bの接続方向のことであり、左右とはコンクリートブロック1A,1Bの対向側面13,13側のことである。
【0037】
図1〜図8の第1実施例
この第1実施例のコンクリートブロック施工方法では、既設側と接続側の各コンクリートブロック1A,1Bとして、図1〜図3に示すように左右各側面13,13における前後各接続端面11,12寄り位置に所定高差Hをもたせた状態でそれぞれ雌ネジ14,15を形成したものを使用している一方、各コンクリートブロック1A,1Bの各雌ネジ14,15を連結するための連結プレート3(2セット)と、各雌ネジ14,15に螺合される2本1組のボルト4,5(2セット)とを使用する。尚、既設側コンクリートブロックと接続側コンクリートブロックは同じものであるが、説明上、既設側コンクリートブロックに符号1Aを付し、接続側コンクリートブロックに符号1Bを付している。
【0038】
各コンクリートブロック1A,1Bの各雌ネジ14,15は、コンクリートブロックにおける左右の各側面13,13に一対ずつ形成されており、従って2つのコンクリートブロック1A,1Bを連結するのに連結プレート3及び2本1組のボルト4,5も左右2組ずつ使用される。尚、各雌ネジ14,15及び各ボルト4,5は、この実施例ではネジ径が25mmのものを使用している。
【0039】
この第1実施例で使用されるコンクリートブロック1A,1Bでは、後端面11寄り位置の雌ネジ14が高位置雌ネジとなり、前端面12寄り位置の雌ネジ15が低位置雌ネジとなっている。又、高位置雌ネジ14と低位置雌ネジ15とは、図1に示すようにコンクリートブロックの側面13の高さ方向のほぼ中央位置において左右各側面13,13の対向位置にそれぞれ一対ずつ形成されている。尚、この各雌ネジ14,15は、コンクリートブロックの成型時に型枠内面の所定位置に雌ネジ筒を装着しておくことで、各コンクリートブロック側面13,13の所定位置に埋設状態で形成できる。
【0040】
連結プレート3は、細長鋼板製で、この実施例では長さが40cm、幅が5cm、厚さが1cm程度の比較的高強度のものが使用されている。尚、連結プレート3のこれらの寸法は特に限定するものではなく、適宜に設計変更可能である。
【0041】
連結プレート3の長さ方向両端部寄り位置には、それぞれボルト挿通穴31,32が形成されている。尚、この各ボルト挿通穴31,32の穴径は、ボルト4,5のネジ径(25mm)よりごく僅かに大きい程度(25.5〜26mm)に設定されている。
【0042】
連結プレート3の各ボルト挿通穴31,32間の間隔Mは、各雌ネジ14,15の形成位置によって次のように設定される。尚、以下に示す各寸法は、この実施例のものであって特に限定するものではない。
【0043】
この第1実施例では、高位置雌ネジ14と低位置雌ネジ15との高差Hを13cmとし、各雌ネジ14,15から各接続端面11,12までの水平距離を13.5cmとしている。そして、図3に示すように、既設側コンクリートブロック1Aの後端面11と接続側コンクリートブロック1Bの前端面12とを水平な設置面7上において正規の設置姿勢で接続させた状態では、既設側コンクリートブロック1A側の高位置雌ネジ14と接続側コンクリートブロック1B側の低位置雌ネジ15との高差Hが13cmで、該両雌ネジ14,15間の水平距離が計算上27cmとなる(実際にはこれより数mm程度長くなる)。このとき両雌ネジ14,15を結ぶ仮装線が水平線より角度a(角度a=25°〜26°)だけ下降傾斜しており、このときの両雌ネジ14,15間の直線距離Lが約30cmになる。従って、この場合、連結プレート3として、各ボルト挿通穴31,32間の間隔Mを30cmに設定したものを使用する。尚、連結プレート3の両ボルト挿通穴31,32間の間隔Mは、コンクリートブロック側面13に形成される各雌ネジ14,15の形成位置によって、上記条件(2つのコンクリートブロックを正規の設置姿勢で接続させた状態での両雌ネジ14,15間の直線距離L)に適合するように設定される。
【0044】
この第1実施例で使用されるコンクリートブロック1A,1Bには、その側面13,13における各雌ネジ14,15の形成部分に、連結プレート3を半分長さずつ収容するための傾斜凹溝16,17が形成されている。この各傾斜凹溝16,17は、連結プレート3の幅(5cm)と同幅かそれよりごく僅かに広幅で、連結プレート3の厚さ程度(例えば1cm)の深さを有している。又、この各傾斜凹溝16,17は、図3に示すように両コンクリートブロック1A,1Bを正規の設置姿勢で連続させた状態では両傾斜凹溝16,17が角度a(25°〜26°)の傾斜姿勢で直線状に連続するようになっている。そして、両傾斜凹溝16,17が直線状に連続した状態では、その連続傾斜凹溝16,17内に連結プレート3の全長を収容でき、且つ連結プレート3が各傾斜凹溝16,17に対して幅方向にほとんど余裕がない状態で収容できるようになっている。
【0045】
第1実施例のコンクリートブロック施工方法は、上記構成のコンクリートブロック1A,1Bと、連結プレート3(2セット)、2本のボルト4,5(2セット)とを使用して、図4〜図8に示すようにして行われる。尚、このコンクリートブロック1A,1Bが設置される設置面7には、基礎コンクリートが打設されており、さらに該基礎コンクリートの上面に均しモルタルを敷設して上面を平滑面としている。
【0046】
まず、図4に示すように、設置面7上の所定位置に、先順側のコンクリートブロック1Aを高位置雌ネジ14側の接続端面(後端面)11が後続のコンクリートブロック1Bの設置側に向く姿勢で据付ける。尚、コンクリートブロックの移動・据付けは、クレーンの吊りフック9で吊持して行う。
【0047】
次に、図4に実線図示するように、接続側コンクリートブロック1Bを、該接続側コンクリートブロック1Bの低位置雌ネジ15側の接続端面(前端面)12が既設側コンクリートブロック1Aの接続端面(後端面)11側に向く姿勢で吊持して、図4に鎖線図示するように接続側コンクリートブロック1B′の前端面12′を既設側コンクリートブロック1Aの後端面11に近接させる。
【0048】
このとき、既設側コンクリートブロック1Aの後端面11に所定幅S(例えば3cm幅)のスペーサ10をあてがっておくとよい。このスペーサ10の幅Sは、接続側コンクリートブロック1B′の低位置雌ネジ15′が既設側コンクリートブロック1Aの高位置雌ネジ14に対してほぼ同高さに位置したときに、両雌ネジ14,15間の直線距離(図3の距離L)が連結プレート3の両ボルト挿通穴31,32間の間隔(図3の間隔M)と同じになるように設定されている。尚、このスペーサ10は、図6に鎖線図示(符号10)するような棒状のものが好ましく、且つ左右各側からそれぞれ引き抜き可能状態で配置させておくとよい。
【0049】
そして、各スペーサ10,10を既設側コンクリートブロック1Aの後端面11にあてがった状態で、接続側コンクリートブロック1Bを吊持して該接続側コンクリートブロック1Bの前端面12がスペーサ10に衝合するまで前方移動させ、続いて接続側コンクリートブロック1Bを上下動させて接続側コンクリートブロック1Bの低位置雌ネジ15が既設側コンクリートブロック1Aの高位置雌ネジ14とほぼ同高さに位置するように調整する(接続側コンクリートブロックが図4の鎖線図示状態となる)。接続側コンクリートブロック1Bが図4の鎖線図示状態では、既設側コンクリートブロック1Aの高位置雌ネジ14と接続側コンクリートブロック1B′の低位置雌ネジ15′との直線距離(図3の距離L)が連結プレート3の両ボルト挿通穴31,32間の間隔(図3の間隔M)と同じになり、且つ接続側コンクリートブロック1B′の前端面12′が既設側コンクリートブロック1Aの後端面11から小間隔S(例えばS=3cm程度)だけ離間しているとともに、該接続側コンクリートブロック1B′の下面が設置面7から所定高さT(例えば10cm程度)だけ離間している。
【0050】
続いて、図5及び図6に示すように、一方のボルト4を連結プレート3の一方のボルト挿通穴31を通して既設側コンクリートブロック1Aの高位置雌ネジ14に非緊締状態で螺合させる一方、他方のボルト5を連結プレート3の他方のボルト挿通穴32を通して接続側コンクリートブロック1Bの低位置雌ネジ15に非緊締状態で螺合させて、両コンクリートブロック1A,1Bの各雌ネジ部分を連結プレート3で仮連結する。尚、連結プレート3による仮連結作業は、両コンクリートブロック1A,1Bの左右各側から同様に行う。この各連結プレート3,3による仮連結状態では、図6に示すように各連結プレート3,3がそれぞれコンクリートブロック側面13,13の外側近接(又は接触)位置にあって上下に姿勢変更可能となっている。又、連結プレート3の一端側のボルト挿通穴31を既設側コンクリートブロック1Aの高位置雌ネジ14部分に連結した状態で、連結プレート3の自由端側のボルト挿通穴32を接続側コンクリートブロック1Bの低位置雌ネジ15に合致できない位置関係にあるときには、吊持している接続側コンクリートブロック1Bをクレーンにより上下に微調整させて、該ボルト挿通穴32と低位置雌ネジ15とを合致させればよい。そして、各連結プレート3,3で両コンクリートブロック1A,1Bを仮連結した後、各スペーサ10,10を抜き外す。
【0051】
次に、図5及び図6に示す仮連結状態で、吊持している接続側コンクリートブロック1Bをその下面が設置面7上に接地するまで降下させる。このとき、接続側コンクリートブロック1Bは、既設側コンクリートブロック1Aに対して各側の連結プレート3,3で仮連結されており、該各連結プレート3,3は既設側コンクリートブロック1Aの高位置雌ネジ14部分を中心にして上下に揺動するように規制されているので、接続側コンクリートブロック1Bを降下させると、該接続側コンクリートブロック1Bが既設側コンクリートブロック1Aの後端面11側に近づきながら下動するようになる。このとき、接続側コンクリートブロック1Bが大重量であると、該コンクリートブロックの自重で該接続側コンクリートブロック1Bの前端面12が既設側コンクリートブロック1Aの後端面11に強く圧接するよになる。そして、接続側コンクリートブロック1Bの下面が設置面7上に接地した時点では、図7に示すように両コンクリートブロック1A,1Bの各雌ネジ14,15の位置関係と連結プレート3の両ボルト挿通穴31,32の位置関係とにより、接続側コンクリートブロック1Bの前端面12が既設側コンクリートブロック1Aの後端面11に全面接合し(図8参照)、接続側コンクリートブロック1Bが自動的に正規の設置姿勢で接続される。又、このとき、接続部の両側にある各傾斜凹溝16,17は、傾斜状態(図3の角度a)で直線状に連続しており、該連続傾斜凹溝16,17内に連結プレート3を嵌入させ得るようになっている。
【0052】
そして、この状態で、左右各側の両ボルト14,15をそれぞれ螺入させると、図8に示すように連結プレート3が連続傾斜凹溝16,17内に嵌入していくとともに、該両ボルト4,5を強く緊締することで2つのコンクリートブロック1A,1Bを強固に連結することができる。尚、後続の各コンクリートブロックは、設置済みのコンクリートブロック列の後端に位置する既設側コンクリートブロックに対して上記手順で接合させていき、一連のコンクリートブロック構造物を構築する。
【0053】
この第1実施例のコンクリートブロック施工方法では、上記のように接続側コンクリートブロック1Bを吊持して既設側コンクリートブロック1Aに対して所定位置まで近接させ、該接続側コンクリートブロック1Bを宙吊り状態で連結プレート3,3により両コンクリートブロック1A,1Bを連結し、その状態で接続側コンクリートブロック1Bを接地するまで降下させるという作業で、接続側コンクリートブロック1Bを既設側コンクリートブロック1Aに対して正規の設置姿勢で接続できる。
【0054】
従って、接続側コンクリートブロック1Bを既設側コンクリートブロック1Aに対して正規の設置姿勢で接続させるのに、その接続作業が非常に簡単となり、且つ接続側コンクリートブロックBの接続状態が常に正常となる(両コンクリートブロック1A,1Bの接続端面同士が全面接合した状態で連続する)。
【0055】
又、連結プレート3は、上記のように接続側コンクリートブロック1Bを既設側コンクリートブロック1Aに対して正規の設置姿勢に接続させる機能のほかに、設置状態において両コンクリートブロック1A,1Bを連結する機能を有しており、該連結プレート3を有効利用できる。
【0056】
さらに、この第1実施例のコンクリートブロック施工方法では、コンクリートブロック1A,1Bの各雌ネジ形成部分に、連結プレート3を嵌入させる傾斜凹溝16,17を形成しており、両コンクリートブロック1A,1Bの連結状態において連続傾斜凹溝16,17内に連結プレート3を嵌入させるようになっているが、連結プレート3が連続傾斜凹溝16,17内に嵌入した状態では、該各傾斜凹溝16,17の側縁部によって連結プレート3が上下揺動変位不能にガードされている。従って、例えば地震によって設置地盤に不等沈下が発生したり自動車走行による振動を受けたときでも(両コンクリートブロック1A,1Bが相対変位し易くなる)、連結プレート3が各傾斜凹溝16,17内で上下揺動変位不能にガードされているので、両コンクリートブロック1A,1Bが相対変位(位置ずれ)しにくくなるという機能がある。
【0057】
図9の第2実施例
この第2実施例では、設置面7上にコンクリートブロック1A,1Bを設置する際に、設置面7上における前後2つのコンクリートブロック1A,1Bの接合部下面(各接続端面11,12の下面)に跨がる位置に小幅の敷板8を設置している。そして、この各敷板8,8により、コンクリートブロックの下面が直接設置面7に接触しない状態で施工することができ、各コンクリートブロック1A,1Bの水平出しを容易に行えるようにしている。尚、この第2実施例のコンクリートブロック施工方法は、敷板8を使用する以外は、上記第1実施例と同じである。
【0058】
因に、上記第1実施例のように、設置面7上に直接コンクリートブロック1A,1Bの下面を載せる場合には、設置面7におけるコンクリートブロック下面が接触する部分の全面をきれいな平滑面としておく必要があり、例えば設置面7とコンクリートブロック下面の間に異物(例えば小粒の石)が介在したり、あるいは設置面7の上面の平滑精度が悪いと、そこに設置されるコンクリートブロックの水平出しが難しくなる(前後コンクリートブロック1A,1Bの接続端面11,12同士の接合精度が悪くなる)。
【0059】
そこで、図9に示す第2実施例のように、各コンクリートブロック1A,1Bの前後各端寄り下面に敷板8,8を敷設し、且つ前後のコンクリートブロック1A,1Bの接合部に跨がる部分を1枚の敷板8で共用することで、連続させる各コンクリートブロック1A,1Bをそれぞれ水平姿勢に維持させることができるとともに、両コンクリートブロック1A,1Bの接続端面同士の接合精度を良好にし得る。
【0060】
図10の第3実施例
図9に示す第3実施例では、上記第1実施例における連結プレート3による連結部分を左右各側面とも上下2段ずつ設けている。上下2箇所の各連結部分は、それぞれボルト4,5で仮連結した状態において、4つのボルトの各螺合位置が平行四辺形の各頂点に位置するようになっている。尚、この第2実施例のコンクリートブロック施工方法は、連結プレート3による連結部分を上下2段に設けたこと以外は、上記第1実施例と同じである。
【0061】
この第2実施例の場合は、2つのコンクリートブロック1A,1Bを、左右各側においてそれぞれ連結プレート3により上下2箇所で連結するようにしているので、両コンクリートブロック1A,1Bの接合部分を上下2箇所で仮連結した状態では、既設側コンクリートブロック1Aと接続側コンクリートブロック1Bの接続端面同士の平行度を高精度に維持できる。即ち、接続側コンクリートブロック1Bを宙吊り状態で既設側コンクリートブロック1Aに対して上下2箇所で連結すると、接続側コンクリートブロック1Bの接続端面が既設側コンクリートブロック1Aの接続端面に対して平行移動しかできない。
【0062】
従って、この第3実施例のコンクリートブロック施工方法では、連結箇所が多くなるものの、仮連結後に各コンクリートブロック1A,1Bの接続端面同士の平行度が崩れることがないので、接続側コンクリートブロック1Bを最終位置まで下降させた際に両コンクリートブロック1A,1Bの接続端面同士が確実に全面接合するようになる。
【0063】
図11〜図12の第4実施例
この第4実施例では、2つのコンクリートブロック1A,1Bを連結設置した状態で接続側コンクリートブロック1Bが上方に変位するのを阻止するためのたの手段を採用している。
【0064】
即ち、この第4実施例では、各雌ネジ14,15の入口側端部をそれぞれコンクリートブロック側面13と面一状に位置させた状態で形成している一方、高位置雌ネジ14の上側直近位置に傾斜突起18と低位置雌ネジ15の下側直近位置に傾斜突起19を側面13にそれぞれ一体成形している。尚、各側の傾斜突起18,19は、上記第1実施例の各傾斜凹溝16,17に代わるものである。
【0065】
そして、この第4実施例のコンクリートブロック施工方法でも、接続側コンクリートブロック1Bを注吊り状態で連結プレート3により両コンクリートブロック1A,1Bを仮連結し、接続側コンクリートブロック1Bをその下面が設置面7上に接地するまで下降させた後に、各ボルト4,5をそれぞれ雌ネジに対して強く緊締させることで両コンクリートブロック1A,1Bを接続させる。
【0066】
この第4実施例において、図12に示すように両コンクリートブロック1A,1Bを接続完了させた状態では、高位置雌ネジ14側の傾斜突起18の下面が連結プレート3の右半分の上面部分にほぼ近接(又は接触)し、低位置雌ネジ15側の傾斜突起19の上面が連結プレートの左半分の下面部分にほぼ近接(又は接触)するようになっている。
【0067】
ところで、両コンクリートブロック1A,1Bの各雌ネジ14,15を単に連結プレート3で連結しただけでは(各傾斜突起18,19がない状態では)、図12に示す設置状態において、接続側コンクリートブロック1Bが既設側コンクリートブロック1Aに対して上側にのみ変位可能となっている(連結プレート3が高位置雌ネジ側ボルト4部分を中心として上方に弧回動可能となる)。ところが、この第4実施例では、連結プレート3が高位置雌ネジ側ボルト4部分を中心にして上方に弧回動しようとする(連結プレート3が水平姿勢に向こうとする)と、該連結プレート3が各傾斜突起18,19に衝合して弧回動不能となる。従って、この第4実施例のコンクリートブロック連結構造では、連結プレート3と各傾斜突起18,19により、両コンクリートブロック1A,1Bの上下位置ずれを阻止する機能が発生する。
【0068】
図13〜図14の第5実施例
この第5実施例は、上記第4実施例における、2つのコンクリートブロック1A,1Bを連結設置した状態で接続側コンクリートブロック1Bが上方に変位するのを阻止するための他の手段を採用している。
【0069】
この第5実施例でも、接続側コンクリートブロック1Bを既設側コンクリートブロック1Aに接続する際に使用される、連結プレート3と両雌ネジ14,15と2つのボルト4,5からなる施工手段を有しているが、各雌ネジ(高位置雌ネジ14、低位置雌ネジ15)の入口側端部はそれぞれコンクリートブロック側面13と面一状態で形成している。
【0070】
この第5実施例では、接続施工用の連結手段(高位置雌ネジ14、低位置雌ネジ15、連結プレート3、各ボルト4,5)とは別に、接続施工後用の連結手段を有している。即ち、この接続施工後用の連結手段は、図13に示すように、コンクリートブロックの側面13の上部寄りで前後各接続端面寄り位置に、接続施工用の連結手段の各雌ネジ(高位置雌ネジ14と低位置雌ネジ15)とは高差が逆の低位置雌ネジ25と高位置雌ネジ24をそれぞれ形成しているとともに、該低位置雌ネジ25と高位置雌ネジ24とを連結する別の(図14に鎖線図示する)連結プレート3(2セット)と2本のボルト(2セット)とを有している。尚、ボルトは図示省略している。
【0071】
そして、この第5実施例では、接続側コンクリートブロック1Bを既設側コンクリートブロック1Aに対して接続施工用の連結手段(高位置雌ネジ14、低位置雌ネジ15、連結プレート3、各ボルト4,5)で、上記各実施例と同様に図13の状態を経て図14に示す接続設置状態に施工した後(連結プレート3が右側に下降傾斜している)、両コンクリートブロック1A,1Bの接合部の上部寄り位置にある高位置雌ネジ14と低位置雌ネジ25を連結プレート3で連結する。
【0072】
このように、接続施工用の連結手段(下側)と接続施工後用の連結手段(上側)とで両コンクリートブロック1A,1Bを連結した状態では、図14に示すように下側連結手段の連結プレート3が右側に下降傾斜している一方、上側連結手段の連結プレート(鎖線図示)3が左側に下降傾斜している。従って、接続側コンクリートブロック1Bが既設側コンクリートブロック1Aに対して上動しようとしても、その上動動作が上側連結手段の連結プレート3によって規制され(接続側コンクリートブロック1Bの前端面12の上部寄り位置が既設側コンクリートブロック1Aの後端面11の上部寄り位置に衝合する)、両コンクリートブロック1A,1Bは、いずれもが上下に相対移動することができないようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本願第1実施例のコンクリートブロック施工方法で使用される各部材の斜視図である。
【図2】図1の一部拡大斜視図である。
【図3】図1の両コンクリートブロックを接合させた状態を示す拡大側面図である。
【図4】図1のコンクリートブロック施工方法の初期段階を示す説明図である。
【図5】図4からの状態変化図である。
【図6】図5のVI−VI拡大断面図である。
【図7】図5からの状態変化図(接続完了図)である。
【図8】図7のVIII−VIII拡大断面図である。
【図9】本願第2実施例のコンクリートブロック施工方法の説明図である。
【図10】本願第3実施例のコンクリートブロック施工方法の説明図である。
【図11】本願第4実施例のコンクリートブロック施工方法で使用される各部材の一部拡大斜視図である。
【図12】図11のコンクリートブロックを使用して施工した接続完了図である。
【図13】本願第5実施例のコンクリートブロック施工方法の説明図である。
【図14】図13からの状態変化図(接続完了図)である。
【図15】従来のコンクリートブロック施工方法を示す斜視図である。
【図16】図15のコンクリートブロック施工方法の側面図である。
【図17】第1従来例のコンクリートブロック連結構造図である。
【図18】第2従来例のコンクリートブロック連結構造図である。
【図19】第3従来例のコンクリートブロック連結構造図である。
【符号の説明】
【0074】
1Aは既設側コンクリートブロック、1Bは接続側コンクリートブロック、3は連結プレート、4,5はボルト、7は設置面、9は吊りフック、10はスペーサ、11は接続端面(後端面)、12は接続端面(前端面)、13は側面、14は雌ネジ(高位置雌ネジ)、15は雌ネジ(低位置雌ネジ)、31,32はボルト挿通穴である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のコンクリートブロック(1A,1B)を順次水平方向に連続させて一連のコンクリートブロック構造物を構築する際のコンクリートブロック施工方法であって、
使用するコンクリートブロック(1A,1B)の側面(13)における前後各接続端面(11,12)寄り位置に所定高差(H)をもたせた状態でそれぞれ雌ネジ(14,15)を形成しておく一方、2つのコンクリートブロック(1A,1B)の接続端面(11,12)同士を正規の設置姿勢で接続させた状態でその接続部分の両側に位置する2つの雌ネジ(14,15)間の直線距離(L)と同じ間隔(M)でそれぞれボルト挿通穴(31,32)を形成した連結プレート(3)と、前記各雌ネジ(14,15)に螺合可能な2本のボルト(4,5)を使用し、
先順側のコンクリートブロック(1A)を高位置雌ネジ(14)側の接続端面(11)が後続のコンクリートブロック(1B)の設置側に向く姿勢で設置面(7)上に据付けておき、
接続側コンクリートブロック(1B)を該接続側コンクリートブロック(1B)の低位置雌ネジ(15)側の接続端面(12)が既設側コンクリートブロック(1A)の接続端面(11)側に向く姿勢で吊持して、
接続側コンクリートブロック(1B)の低位置雌ネジ(15)側の接続端面(12)を既設側コンクリートブロック(1A)の接続端面(11)に対して、既設側コンクリートブロック(1A)の高位置雌ネジ(14)と接続側コンクリートブロック(1B)の低位置雌ネジ(15)との直線距離(L)が連結プレート(3)の両ボルト挿通穴(31,32)間の間隔(M)と同じになる位置まで近接させ、
一方のボルト(4)を連結プレート(3)の一方のボルト挿通穴(31)を通して既設側コンクリートブロック(1A)の高位置雌ネジ(14)に非緊締状態で螺合させる一方、他方のボルト(5)を連結プレート(3)の他方のボルト挿通穴(32)を通して接続側コンクリートブロック(1B)の低位置雌ネジ(15)に非緊締状態で螺合させて、両コンクリートブロック(1A,1B)を連結プレート(3)で仮連結し、
その状態で接続側コンクリートブロック(1B)をその下面が設置面(7)上に接地するまで降下させた後、両ボルト(4,5)をそれぞれ強く緊締する、
ことを特徴とするコンクリートブロック施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−291810(P2007−291810A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123539(P2006−123539)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(502443105)有限会社アスラック (15)
【Fターム(参考)】