説明

コンクリートブロック製造型枠、擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法

【課題】擁壁用L字型コンクリートブロックの効率的な製造
【解決手段】コンクリートブロック製造型枠は、成形基板と、成形基板を載置する載置架台とを有し、成形基板を載置架台に載置した状態で、垂直部及び傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロック形状を成形するためのコンクリート打設空間が形成されるようにする。コンクリートを打設し、一次養生を行ってコンクリートが半凝固した状態で、コンクリートと成形基板を一体的に載置架台から取り外し、二次養生(例えば水養生)を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば宅地造成の境界壁、道路の路肩等土木工事で切り取った崖、或いは盛り土等を保持するために使用する擁壁用L字型コンクリートブロックの製造に用いるコンクリートブロック製造型枠、及び擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特許第2896763号公報
【背景技術】
【0003】
上記特許文献1には、宅地造成の境界壁工事等に使用する土留め用のコンクリートブロックを製造するための型枠として、加熱装置を設けたコンクリートブロック製造型枠の構造が記載されている。
このコンクリートブロック製造型枠によって形成されるコンクリートブロックは、垂直部及び垂直部に連続する傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロックである。
【0004】
特許文献1に開示されているコンクリートブロック製造型枠は、基本的な構造として、型枠架台の上部に、鉛直板部型枠を設け、その一端縁部に傾斜底板部箱枠が連設されたものである。このような型枠にコンクリートを打ち込み、凝固させて略L字型のコンクリートブロックを成形する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなコンクリートブロック製造型枠を用いたL字型のコンクリートについては、より効率的な製造手法が求められている。
【0006】
コンクリートブロック製造型枠に打ち込まれたコンクリートは、コンクリートブロック製造型枠内で、例えば二日ほど養生する。
コンクリートブロック製造型枠は1つのコンクリートブロックを製造するために二日ほど使用されることから、例えば短期的に大量に擁壁用L字型コンクリートブロックを製造する場合、多数のコンクリートブロック製造型枠を用意しなければならない。
ところが、コンクリートブロック製造型枠を多数用意することは、コスト的にも、またコンクリートブロック製造型枠を設置するスペース的にも、負担が大きい。
このことから結局、擁壁用L字型コンクリートブロックは、短期間に大量に製造することが困難となっている。
【0007】
そこで本発明では、効率的な製造を行うことができるコンクリートブロック製造型枠、及びコンクリートブロック製造型枠を用いた製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンクリートブロック製造型枠は、垂直部及び上記垂直部に連続する傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロックの製造に用いるコンクリートブロック製造型枠であって、成形基板と、上記成形基板を載置する載置架台とを有する。そして上記成形基板を上記載置架台に載置した状態で、上記垂直部及び上記傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロック形状を成形するためのコンクリート打設空間が形成されるとともに、上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートが半凝固した状態で、該コンクリートと上記成形基板を一体的に、上記載置架台から取り外すことが可能に形成されている。
【0009】
また上記成形基板には、上記載置架台からの取り外しの際に用いる吊り下げ部材が形成されている。
また上記コンクリート打設空間は、上記成形基板を上記載置架台に載置した状態において、上記成形基板と、上記垂直部の側面を規定する上記載置架台に設けられた側壁部と、上記傾斜底板部の一面を規定する傾斜底板成形板とによって形成される。そして上記側壁部は、上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートから離間可能に形成され、また上記傾斜底板成形板は、上記成形基板に対して着脱可能とされている。上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートと上記成形基板を一体的に上記載置架台から取り外す際には、上記傾斜底板成形板が上記成形基板から取り外され、かつ上記側壁部が上記垂直部の側面から離間された状態で、上記吊り下げ部材を用いて吊り下げられることで、上記載置架台からの取り外しが行われる構造とされている。
【0010】
本発明の擁壁用L字型コンクリートブロックの製造方法は、垂直部及び上記垂直部に連続する傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロックの製造方法である。そして、成形基板と載置架台とを有するコンクリートブロック製造型枠において、上記成形基板を上記載置架台に載置した状態で形成される、上記垂直部及び上記傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロック形状を成形するためのコンクリート打設空間に、コンクリートを打設し、該打設した状態で一次養生を行う工程と、上記一次養生によって上記コンクリートが半凝固した状態で、該コンクリートと上記成形基板を一体的に、上記載置架台から取り外す工程と、上記成形基板と一体的に取り外された上記コンクリートを二次養生する工程とを少なくとも有する。
また上記一次養生は3時間から4時間である。
また上記二次養生は、上記コンクリートを上記成形基板と一体的に水中に配置する水養生である。
【0011】
このような本発明では、コンクリートブロック製造型枠は、載置架台上に成形基板を配置する構成を採る。成形基板は載置架台から取り外すことができる。
成形基板を載置架台に載置した状態で、コンクリートを打設するコンクリート打設空間が形成される。このコンクリート打設空間は、垂直部とその垂直部に連続する傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロックの形状を規定する。
コンクリートブロック製造型枠にコンクリートを打設した後は、例えば3〜4時間程度の一次養生させて、半凝固した状態とする。なお、ここでいう半凝固とは、形が崩れない程度に半乾き状態となったことをいう。
この半凝固の状態となったら、成形基板ごとコンクリートを載置架台から取り外して搬送し、二次養生を行う。
成形基板とコンクリートが一体的に取り外された載置架台は、次のコンクリートブロック製造に用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、載置架台に対して成形基板が取り外し可能とされ、一次養生で半凝固したコンクリートを成形基板ごと載置架台から取り外して、二次養生を行うことができる。このため、載置架台は3時間から4時間程度の一次養生が済めば、次のコンクリートブロック製造に使用できる。
このことから、コンクリートブロック製造型枠の配置スペースに限度があっても、4時間程度のサイクルで効率的にコンクリートブロック製造を繰り返していくことができるという効果があり、設置スペース面、及びコスト面で非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態で製造される擁壁用L字型コンクリートブロックの斜視図である。
【図2】本実施の形態で製造される擁壁用L字型コンクリートブロックの使用形態の説明図である。
【図3】実施の形態のコンクリートブロック製造型枠を構成する成形基板の斜視図である。
【図4】実施の形態のコンクリートブロック製造型枠の斜視図である。
【図5】実施の形態のコンクリートブロック製造型枠において載置架台から成形基板及び傾斜底板成形板を取り外した状態の斜視図である。
【図6】実施の形態において一次養生から二次養生へ移行する様子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
<1.擁壁用L字型コンクリートブロックの構成>
<2.コンクリートブロック製造型枠の構造>
<3.製造手順>
【0015】
<1.擁壁用L字型コンクリートブロックの構成>

まず図1,図2で、本実施の形態で製造される擁壁用L字型コンクリートブロックの構成を説明する。
図1A、図1Bは擁壁用L字型コンクリートブロック1を前面側及び背面側から見た斜視図である。
また図2Aは、擁壁用L字型コンクリートブロック1が盛り土の土留めに使用されている様子を示し、図2Bは複数の擁壁用L字型コンクリートブロック1が並べて配置された状態を示している。
【0016】
図1A、図1Bに示すように、擁壁用L字型コンクリートブロック1は、主として垂直部2と傾斜底板3が連続して一体に形成されて成る。
垂直部2は、図2Aのように垂直に配置されて土留めのための壁を構成する。この垂直部2に対して、傾斜底板3は、例えば105度程度の角度をもって形成されている。
【0017】
図2Aに示すように、擁壁用L字型コンクリートブロック1は、垂直部2を地面100に対して垂直に立てる。そして図2Bに示すように、複数の擁壁用L字型コンクリートブロック1を並べて配置する。
このように配置した擁壁用L字型コンクリートブロック1に対して、傾斜底板3の上面に盛り土101が置かれることで土留めがなされる。
【0018】
垂直部2の一端は垂直壁基部4となる。垂直壁基部4は施工時に支点となる部位である。
図1A、図1Bに示すように、垂直部2の両側部には、嵌合凹部2a、嵌合凸部2bが形成されている。この嵌合凹部2a、嵌合凸部2bは、図2Bのように擁壁用L字型コンクリートブロック1が並べられて設置される際に、隣り合う擁壁用L字型コンクリートブロック1どうしで、嵌合凹部2aと嵌合凸部2bが嵌合するように形成されている。
【0019】
図1Bからわかるように、傾斜底板3の両側部はテーパー部3aとされている。テーパー部3aが形成されているのは、図2Bのように複数の擁壁用L字型コンクリートブロック1を並べる際に、多少傾斜が異なっても問題ないようにするためである。
【0020】
また図1B、図2Aに示すように、擁壁用L字型コンクリートブロック1の内側は、垂直部1から傾斜底板3にかけて補強リブ5が形成されている。
補強リブ5の所定部位には2つのテーパー孔5a,5bが設けられている。このテーパー孔は、複数の擁壁用L字型コンクリートブロック1が並べられた際に、図2Bのように連結棒90を挿入して隣合う擁壁用L字型コンクリートブロックどうしを連結するために用いられる。
【0021】
<2.コンクリートブロック製造型枠の構造>

上記のような擁壁用L字型コンクリートブロック1の製造に用いる実施の形態のコンクリートブロック製造型枠の構造を図3、図4、図5で説明する。
実施の形態のコンクリートブロック製造型枠は、大きく分けて成形基板10と、傾斜底板成形板20と、載置架台30とから成る。
図3は成形基板10の斜視図である。
図4は載置架台30上に成形基板10を載置し、かつ傾斜底板成形板20を取り付けた状態のコンクリートブロック製造型枠の斜視図である。
図5は、成形基板10と傾斜底板成形板20とを、載置架台30から取り外した状態で示した斜視図である。なお、図5においては成形基板10と一体となっているコンクリート50(つまり擁壁用L字型コンクリートブロック1)も示している。
【0022】
図3に示すように、成形基板10は、垂直部成形基部11、傾斜底板成形基部12、傾斜底板成形枠部13、補強リブ型枠部14、テーパーピン15a、15b、天端部16、吊り下げ用フック17、接合フック18を有する。
この成形基板10は、例えば鉄板で形成される。
【0023】
垂直部形成基部11は、擁壁用L字型コンクリートブロック1の垂直部2の背面(補強リブ形成側)を成形する面とされる。
天端部16は、垂直部2の上面(図2Aの設置状態で上端となる面)を成形する面とされる。
傾斜底板成形基部12は、擁壁用L字型コンクリートブロック1の傾斜底板3の背面(補強リブ形成側)を成形する面とされる。
この傾斜底板成形基部12の周囲三方には、傾斜底板成形枠部13が形成されており、これは傾斜底板3の両テーパー面3a、3a及び端面を成形する面となる。
【0024】
垂直部形成基部11から傾斜底板成形基部12にかけて補強リブ型枠部14が形成されている。
この補強リブ型枠部14は、補強リブ5を成形する空間を形成している。
補強リブ型枠部14内には、テーパーピン15a、15bが取り付けられている。テーパーピン15aによって補強リブ5にテーパー孔5a,5bが形成される。
【0025】
天端部16には、吊り下げ部材として図示のように2つの吊り下げ用フック17が取り付けられている。吊り下げ用フック17は、後述するように載置架台30から成形基板10を取り外す際に、クレーンにより持ち上げるためのものである。
なお、ここでは吊り下げ用フック17が2つ設けられている例を示しているが、少なくとも1以上の吊り下げ用フックが設けられれば良い。
またフック形状は図示の形状に限られない。さらには、いわゆるフックではなく、吊り下げのために手がかりとなる係止部材、接合部材、磁気固着部などが設けられていても良い。即ち、クレーン等を用いて吊り下げる際に、クレーン側の吊り下げ部材に対応して係止、接合、固着される構造の吊り下げ部材が形成されていればよい。
【0026】
このような成形基板10は、図4に示すように、載置架台30の上面に載置される。
載置架台30は、図4、図5に示すように、支持架31が箱状に組み付けられて形成されている。なお、支持架31による骨組みの形態は図示のものに限られない。また骨組みに代えて周囲を板状部材で覆うように形成してもよい。
【0027】
載置架台30の上部両側には、側壁部32、33が設けられる。
この側壁部32,33のそれぞれは、載置架台30の骨組みを形成している断面L字状の渡し部材35,36に対して、蝶番38で取り付けられており、図4のように側壁を形成する状態と、図5のように水平に開いた状態とで開閉可能とされている。
側壁部32,33は、擁壁用L字型コンクリートブロック1の垂直部2の両側面を成形する面となる。上述のように垂直部2の両側面には嵌合凹部2aと嵌合凸部2bが形成されている。嵌合凹部2aを形成するために、側壁部32には、凸部32aが形成されており、また嵌合凸部2bを形成するために、側壁部33には、凹部33aが形成されている。
図4のように載置架台30上に成形基板10が載置され、また側壁部32,33が閉じられていることで、擁壁用L字型コンクリートブロック1の垂直部2を成形する空間が形成されることになる。
【0028】
また載置架台30の上部には、成形基板10の天端部16と当接して、成形基板10の載置位置を規定する天端止め部34が形成される。
また天端止め部34から一段下がった位置に、成形基板10を載置するための基板載置部37が形成されている。
【0029】
図4では載置架台30上に成形基板10が載置され、さらに傾斜底板成形板20とが取り付けられた状態を示している。
傾斜底板成形板20は、図5に示すように、傾斜底板成形面部21と、擁壁用L字型コンクリートブロック1の垂直壁基部4を成形する垂直壁基部成形面部22を有する形状とされる。
この傾斜底板成形板20は、成形基板10の傾斜底板成形基部12に対面するように取り付けられる。即ち傾斜底板成形板20の側面にはピン23が形成されており、このピン23が、成形基板10の傾斜底板成形枠部13に取り付けられた接合フックで係止されることで、傾斜底板成形板20が成形基板10に固定される。
傾斜底板成形板20が成形基板10に固定された状態で、図3に示した傾斜底板成形基部12、傾斜底板成形枠部13と、この傾斜底板成形板20の傾斜底板成形面部21によって、擁壁用L字型コンクリートブロック1の傾斜底板3を成形する空間が形成される。
【0030】
以上の説明からわかるように、本実施の形態のコンクリートブロック製造型枠は、図4のように載置架台30に成形基板10が載置され、また成形基板10に傾斜底板成形板20が取り付けられることで、その内面側がコンクリート打設空間となる。このコンクリートブロック製造型枠に打設されたコンクリート50が凝固すると、図1に示した形状の擁壁用L字型コンクリートブロック1となる。
【0031】
<3.製造手順>

上記のような本実施の形態のコンクリートブロック製造型枠を用いた擁壁用L字型コンクリートブロック1の製造手順について説明する。
実施の形態の製造手順は、次の(1)〜(4)の工程を有する。
【0032】
(1)コンクリート打設及び一次養生
(2)コンクリート及び成形基板10の取り外し及び搬送
(3)二次養生
(4)コンクリートの成形基板10からの取り外し
【0033】
以下、各工程を説明する。
(1)コンクリート打設及び一次養生
まずコンクリートブロック製造型枠を図4の状態とする。即ち載置架台30上に成形基板10を載置する。成形基板10には、傾斜底板成形板20が取り付けられている状態とする。
上述のように、図4の状態としたコンクリートブロック製造型枠には、擁壁用L字型コンクリートブロック1の成形空間、即ちコンクリート打設空間が形成されている。このコンクリート打設空間にコンクリート50を打設する。即ちコンクリートブロック製造型枠の上面側から非凝固状態のコンクリート50を打ち込む。
この状態で、一次養生を行う。例えば3〜4時間程度放置し、コンクリート50が半凝固状態(形が崩れない程度の半乾き状態)とする。
【0034】
(2)コンクリート及び成形基板10の取り外し及び搬送
一次養生によりコンクリート50が半凝固状態となったら、コンクリート50及び成形基板10を一体的に取り外して搬送する。
図6に模式的に取り外し及び搬送の様子を示す。
まず図6Aのように、傾斜底板成形板20を成形基板10から取り外す。また載置架台30における側壁部32、33を図5に示したように開いた状態とする。これにより側壁部32,33がコンクリート50(擁壁用L字型コンクリートブロック1)における垂直部2の側面となる面から離間された状態となるようにする。
このようにした図6Aの状態で、吊り下げ用フック17に、クレーン側のワイヤー200の先端のフック201を係止し、吊り下げ可能な状態とする。
そして図6Bのようにクレーンにより吊り下げを行うことで、コンクリート50が乗った状態の成形基板10を、載置架台30から取り外して搬送する。
【0035】
なお、成形基板10における垂直部成形基部11、傾斜底板成形基部12、傾斜底板成形枠部13、補強リブ型枠部14、テーパーピン15a、15b、天端部16は、後述する二次養生の後に、打設されたコンクリート(擁壁用L字型コンクリートブロック1)を取り外すための剥離剤が塗布されていることが好適である。
吊り下げて搬送する場合は、テーパーピン15a、15bがコンクリート50のテーパー孔5a,5bとなる部分に挿通している状態であるので、コンクリート50が搬送中に成形基板10から剥離することはない。
【0036】
(3)二次養生
コンクリート50が乗った成形基板10を、クレーンによって、図6Cに示すように水槽300にまで搬送し、水中に配置する。そして二次養生(水養生)を例えば二日ほど行う。
なお、二次養生は、必ずしも水養生でなくてもよく、コンクリート50が乗った成形基板10を、載置架台30から取り外した状態で大気中に放置して行ってもよい。但し、コンクリートの養生として、強度を向上させるためには水養生を行うことが有効である。その点では、二次養生として水養生を行うことが好ましい。
【0037】
(4)コンクリートの成形基板10からの取り外し
水養生を終えたら、再びクレーンを用いて水槽から取り出す。そして成形基板10からコンクリート50を剥離する。このとき、テーパーピン15a、15bを外して剥離することになる。
剥離されたコンクリート50は、即ち擁壁用L字型コンクリートブロック1となる。
【0038】
以上の実施の形態によれば、次のような効果が得られる。
実施の形態によれば、載置架台30に対して成形基板10が取り外し可能とされ、一次養生で半凝固したコンクリート50を成形基板10ごと載置架台30から取り外して、二次養生を行うことができる。
特にコンクリートが半凝固状態であっても、成形基板10と一体的に取り扱われることで、搬送中や二次養生の際にコンクリートの形状が崩れることもない。
このため、載置架台30は3時間から4時間程度の一次養生が済めば、次のコンクリートブロック製造に使用できる。
このことから、コンクリートブロック製造型枠(載置架台30)の配置スペースに限度があっても、4時間程度のサイクルで効率的にコンクリートブロック製造を繰り返していくことができるという効果がある。
よって載置架台30を配置するスペースが狭く、載置架台30をあまり多量に配置できない場合でも、成形基板10を多数用意しておくことで、短時間に効率よくコンクリートブロック1の生産が可能となる。従って、設置スペース面で非常に有利である。
また、載置架台30や傾斜底板成形板20の数は、少なくてすむため製造設備コストの点でも有利である。
【0039】
また擁壁用L字型コンクリートブロック1の傾斜底板3の成形空間は、上述のように成形基板10の傾斜底板成形基部12、傾斜底板成形枠部13と、傾斜底板成形板20の傾斜底板成形面部21によって形成される。
傾斜底板成形板20が、成形空間の一部を形成するため、成形基板10の構成が簡略化される。これによって成形基板10の軽量化、及び製造コストの低減を図ることができる。
【0040】
以上実施の形態について説明してきたが、本発明のコンクリートブロック製造型枠の構成や製造方法は上記例に限定されず、多様な変形が可能である。
コンクリートブロック製造型枠については、少なくとも成形基板10が、コンクリート50を載せた状態で載置架台30から取り外して搬送できる構成であれば、どのような構成でも良い載置架台の組み立て、細部の構造等は任意に考えられる。また成形基板10や傾斜底板成形板20、或いは載置架台30の側壁部32、33等、擁壁用L字型コンクリートブロック1の形状を規定する部位の形状は、当然ながら製造する擁壁用L字型コンクリートブロック1の形状に応じて適切に設定、変更されるべきものである。
【0041】
製造方法としては、上記の(1)コンクリート打設及び一次養生、(2)コンクリート及び成形基板10の取り外し及び搬送、(3)二次養生を含む方法であれば、本発明の効果は得られる。二次養生の具体的手法や、その後の取り外し、さらに三次養生等については各種の例が考えられる。
【符号の説明】
【0042】
1 擁壁用L字型コンクリートブロック
2 垂直部
3 傾斜底板
4 垂直壁基部
10 成形基板
11 垂直部成形基部
12 傾斜底板成形基部
13 傾斜底板成形枠部
14 補強リブ型枠部
15a,15b テーパーピン15a、15b
16 天端部
17 吊り下げ用フック
18 接合フック
20 傾斜底板成形板
21 傾斜底板成形面部
22 垂直壁基部成形面部
23 ピン
30 載置架台
31 支持架
32,33 側壁部
34 天端止め部
35,36 渡し部材
37 基板載置部
50 コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直部及び上記垂直部に連続する傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロックの製造に用いるコンクリートブロック製造型枠であって、
成形基板と、
上記成形基板を載置する載置架台と、
を有し、
上記成形基板を上記載置架台に載置した状態で、上記垂直部及び上記傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロック形状を成形するためのコンクリート打設空間が形成されるとともに、
上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートが半凝固した状態で、該コンクリートと上記成形基板を一体的に、上記載置架台から取り外すことが可能に形成されているコンクリートブロック製造型枠。
【請求項2】
上記成形基板には、上記載置架台からの取り外しの際に用いる吊り下げ部材が形成されている請求項1に記載のコンクリートブロック製造型枠。
【請求項3】
上記コンクリート打設空間は、
上記成形基板を上記載置架台に載置した状態において、上記成形基板と、上記垂直部の側面を規定する上記載置架台に設けられた側壁部と、上記傾斜底板部の一面を規定する傾斜底板成形板とによって形成され、
上記側壁部は、上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートから離間可能に形成され、
また上記傾斜底板成形板は、上記成形基板に対して着脱可能とされており、
上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートと上記成形基板を一体的に上記載置架台から取り外す際には、上記傾斜底板成形板が上記成形基板から取り外され、かつ上記側壁部が上記垂直部の側面から離間された状態で、上記吊り下げ部材を用いて吊り下げられることで、上記載置架台からの取り外しが行われる構造とされている請求項2に記載のコンクリートブロック製造型枠。
【請求項4】
垂直部及び上記垂直部に連続する傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロックの製造方法として、
成形基板と載置架台とを有するコンクリートブロック製造型枠において、上記成形基板を上記載置架台に載置した状態で形成される、上記垂直部及び上記傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロック形状を成形するためのコンクリート打設空間に、コンクリートを打設し、該打設した状態で一次養生を行う工程と、
上記一次養生によって上記コンクリートが半凝固した状態で、該コンクリートと上記成形基板を一体的に、上記載置架台から取り外す工程と、
上記成形基板と一体的に取り外された上記コンクリートを二次養生する工程と、
を少なくとも有する擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法。
【請求項5】
上記一次養生は3時間から4時間である請求項4に記載の擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法。
【請求項6】
上記二次養生は、上記コンクリートを上記成形基板と一体的に水中に配置する水養生である請求項4に記載の擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−14102(P2013−14102A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149654(P2011−149654)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(512129192)株式会社弘基 (1)
【Fターム(参考)】