説明

コンクリート・ポール

【課題】電波を伝播する高さ15〜20mの鉛直独立柱体であって、高剛性、高強度、耐久性にすぐれ、施工が容易なコンクリート・ポールを提供する。
【解決手段】複数のプレストレストプレキャストコンクリート管体11,12,13を衝合連結して形成され、衝合連結は管体11,12,13の端部に固着したフランジに外嵌してフランジをポール10の軸方向に締めつける2つ割りの第1のリングと、第1のリングの外周の円錐テーパと合致する内周円錐テーパをもち第1のリングに外嵌してフープ締付力を付与する第2のリングとから成る構造を有する継手14,15とし、頂部にアンテナ25の装着部26を備え、鉛直独立柱体として用いるコンクリート・ポール10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート・ポールに関し、さらに詳しくは、電波を中継伝達するアンテナを頂部に装着したコンクリート・ポールに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート・ポールとしては、長手方向にテーパを付した長尺1体の円筒状のコンクリート電柱が知られている。このようなコンクリート電柱は耐腐食性に富み、遠心成形によって容易に製作することができるものであるが、高さの高い場合には強度に限界があるものである。
【0003】
また、プレキャストブロックを積重して長手方向にプレストレスを導入して立設する風力発電風車用のポール等も知られている。このような風力発電用のポールは、非常に高さが高く、地震や強風等に耐える大強度が必要なものである。
【0004】
コンクリート杭の接合技術として杭の端板フランジに外嵌するリングで接続する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この技術は、接続すべき杭の端部に固着した上下フランジと、上下フランジに外嵌し、フランジを杭長手方向に締め付ける傾斜を有し、外径に円筒テーパを設けた2つ割りの内リングと、該内リングに外嵌し、杭軸方向に押圧して前記内リングを締め付けて杭を一体に接合する内径テーパを有する外リングとから成る継手構造で、強度が高く剛性のすぐれた構造である。
(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−190020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は主として、放送波や携帯電話等の電波を伝播する15〜20mの高さの鉛直独立柱体であって、十分な剛性と強度を有すると共に耐久性にすぐれ、施工が容易なコンクリート・ポールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、次の技術手段を講じたことを特徴とするコンクリート・ポールである。すなわち、本発明は、複数のプレストレストプレキャストコンクリート管体を衝合連結して成る柱体であって、柱体の頂部にアンテナ装着部を備え、鉛直独立柱体として用いることを特徴とするコンクリート・ポールである。
【0008】
本発明のコンクリート・ポールは、コンクリート電柱とは異なり、全長に亘って同一直径のプレストレストプレキャストコンクリート管体を用い、複数の管体を剛結結合したもので、剛性が高く、高強度であると共に耐久性にすぐれたものである。
【0009】
本発明のコンクリート・ポールは高さ15〜20m、直径400〜500mmの柱体であって、頂部に電波中継用のアンテナを備えている。このコンクリート・ポールは、鉛直独立柱体であって、支線等を設けることなく、バー状アンテナを装備したものでは鉛直度は±4°以内、パラボラアンテナを装着したものでは鉛直度は±2°以内を常時確保する必要がある。このため、高剛性、高強度が要求される。
【0010】
また、耐食性、耐候性を充分に備えたものであることを要する。このため、管体のPC鋼材の定着部、管体の衝合連結リング、昇降用足場ボルト、アンテナ支持部、アンテナ、電線係止金具その他一切の金具等はすべて、例えば電気メッキ等により防食処理を施したものを用いる。
【0011】
本発明における前記管体の衝合連結は、前記管体の端部に固着したフランジに外嵌して該フランジをポール軸方向に締めつける2つ割りの第1のリングと、該第1のリングの外周円錐テーパと合致する内周円錐テーパをもち、第1のリングに外嵌してフープ締付力を付与する一体の第2のリングとから成る構造とすれば、施工が容易で剛性と強度に富む連結体を得ることができるので好適である。
【0012】
前記アンテナ装着部は、前記柱体の端板フランジとボルト結合する蓋体を備え、アンテナを正確に強固に保持すると共に、柱体内への両水の浸入を防止する。この蓋体、連結ボルト等も防食処理を施す。
【0013】
下端側管体はポール長手方向補助鋼材をコンクリート内に内蔵し、地震、風力等に対するポール長手方向の応力の均一化、局部ひび割れの防止等に対して適切に対応するように設計する必要がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の高さ15〜20mの電波中継用コンクリート・ポールは、剛性及び強度が高く、耐食性、耐久性に富み、施工が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のコンクリート・ポールは、次の(1)〜(3)を特徴としている。
(1)複数のプレストレストプレキャストコンクリート管体を衝合連結して成る柱体である。プレストレストコンクリート管体はプレテンション方式のPC管でよく、両端のフランジ間にPC鋼材を緊張して取付け、遠心成形によりコンクリートを打設した後PC鋼材によりプレストレスを付与して製造することができる。衝合連結には、上述の参考文献に示した本出願人の所有する技術を適用する。
(2)柱体の頂部にアンテナ装着部を備えている電波中継用柱体である。
(3)高剛性、高強度で鉛直独立柱体として用いる。前述のようにきびしい鉛直度を保持することが要求される。
【0016】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は本発明の1実施例を示すコンクリート・ポール10の側面図である。
【0018】
このコンクリート・ポール10は外径450mmφの一様径の3本のプレストレストプレキャストコンクリート管11,12,13(長さ5m,5m,6m)を連結して形成したものである。ポール全長は16mで地中基礎中に下端が埋設され、ポール地上高さは14.49mである。コンクリート管11,12,13の連結継手部14,15は後述の剛性継手となっている。
【0019】
コンクリート・ポール10の頂部には頂部蓋21とFWAアンテナ25を支持するアンテナ支持柱26を備えている。
【0020】
図2は頂部蓋21の平面図(図1のA−A矢視図)である。頂部蓋21は、ボルト孔23を備えたフランジ24と補強リブ22及び避雷針取付鋼管27を備えている。頂部蓋21はコンクリート・ポール10の最上端の管端フランジにボルトによって取り付けられる。頂部蓋21はアンテナ支持柱26を支持すると共に、コンクリート・ポール10の最上端の管端を塞ぎ、雨水の浸入防止蓋を兼ねる。
【0021】
図3は図1のB−B矢視図である。コンクリート管12は管長手方向にプレストレスを付与するPC鋼材16を内蔵している。外部に昇降用ステップボルト17を取付けている。このステップボルト17はコンクリート管12の本体に設けたインサートに取付けられている。また、地面に近い高さ位置にステンレスパイプを埋め込んで管内外を貫通する水抜き孔18を設けている。
【0022】
図4は別の実施例を示すもので、頂部アンテナ部30の形状、構造が異なる例である。コンクリート管11,12,13は図1と同様である。この頂部アンテナ部30はコンクリート・ポール10の蓋21より上方に約5m延出したものである。
【0023】
頂部アンテナ30の詳細を図5に示した。頂部アンテナ30は電気亜鉛メッキ鋼管31,32から成り、上側の鋼管31の頂部に板状アンテナ33が取付けられている。上下鋼管31,32はフランジ結合されている。下側の鋼管32はコンクリート・ポールの頂部蓋21に固着され、この頂部蓋21を貫通して下方に延長されている。この延長部32aはコンクリート管11の内部に挿入されコンクリート管と同軸を保つ構造になっている。
【0024】
図6は、この頂部アンテナ30を支持する頂部蓋21の側面図、図7はその平面図である。この頂部蓋21はコンクリート管11の端板に取付けるフランジ24、リブ22、鋼管32が挿通される鋼管28、その上端のフランジ26を備え、アンテナ30を一体に固定する。
【0025】
図8は、コンクリート・ポール10の基礎40の一例を示す側面図、図9はその平面図である。4本の地中杭41の上端に一体に結合した鉄筋コンクリート42中にコンクリート管13の下端部が挿入固定されている。この基礎の一例を挙げると、地中杭は216.3mmφ×長さ10mL×4本、鉄筋コンクリート42は3000mm角、高さ1850mm、コンクリート管13は450mmφ、挿入長さ1700mmである。
【実施例】
【0026】
図1に示す本発明のコンクリート・ポールの実施例の設計例を表1に示した。この例は外径450mmφのプレキャストプレストレスト管を用い、設計荷重として風速37m/sの横風に対応している。頂部のプレキャストプレストレストコンクリート管11は、緊張鋼材として10.7mmφPC鋼材12本を用いている。中間部のコンクリート管12は10.7mmφPC鋼材16本を用いている。最下部のコンクリート管13はこれにさらに、下端より5mまでに10.7mmφPC鋼材4本、さらに下端より3mまでに10.7mmφPC鋼材4本を追加して内蔵している。有効プレストレスは頂部のコンクリート管体で7.85N/mm、中間部のコンクリート管及び最下部のコンクリート管は10.47N/mmを導入している。
【0027】
表1に示すように、このコンクリート・ポールは0.25mmひび割れモーメント及び破壊モーメントの何れに対しても安全である。
【0028】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例の側面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図である。
【図4】別の実施例の側面図である。
【図5】図4の実施例のアンテナ部の側面図である。
【図6】頂部蓋の側面図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】基礎の例を示す断面図である。
【図9】図8の平面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 コンクリート・ポール
11,12,13 コンクリート管体
14 連結継手部
15 剛性継手
16 鋼材
17 昇降用ステップボルト
18 水抜き孔
21 頂部蓋
22 リブ
23 ボルト孔
24 フランジ
25 アンテナ
26 アンテナ支持柱
27 避雷針取付鋼管
28 鋼管
30 頂部アンテナ
31 上側の鋼管
32 下側の鋼管
32a 延長部
33 板状アンテナ
40 基礎
41 地中杭
42 鉄筋コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレストレストプレキャストコンクリート管体を衝合連結して成る柱体であって、柱体の頂部にアンテナ装着部を備え、鉛直独立柱体として用いることを特徴とするコンクリート・ポール。
【請求項2】
前記管体の衝合連結は、前記管体の端部に固着したフランジに外嵌して該フランジをポール軸方向に締めつける2つ割りの第1のリングと、該第1のリングの外周の円錐テーパと合致する内周円錐テーパをもち第1のリングに外嵌してフープ締付力を付与する一体の第2のリングとから成る構造であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート・ポール。
【請求項3】
前記アンテナ装着部は、前記柱体の端板フランジとボルト結合する蓋体を備えたことを特徴とする請求項1記載のコンクリート・ポール。
【請求項4】
下端側の管体はポール長手方向補助鋼材をコンクリート内に内蔵したことを特徴とする請求項1記載のコンクリート・ポール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−197554(P2009−197554A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43318(P2008−43318)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(591197699)日本高圧コンクリート株式会社 (20)