説明

コンクリート中詰め鋼製セグメント

【課題】主桁近傍のコンクリートへのひび割れ発生をより強固に防止する。
【解決手段】両側面を形成する外主桁11と、外主桁11間の少なくとも外周面側を被覆するスキンプレート12と、外主桁11の端部間を結合する継手板13と上記外主桁間を結合する縦リブを有する鋼殻10の内部にコンクリート23が中詰めされたコンクリート中詰め鋼製セグメントにおいて、コンクリート23の高さは、少なくとも外主桁11への接触面において外主桁11の高さ以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼殻の内部にコンクリートが中詰めされたコンクリート中詰め鋼製セグメントに関し、特に、シールドマシン掘進時の推進反力がセグメントに作用した際に主桁近傍のコンクリートへのひび割れ発生を防止可能なコンクリート中詰め鋼製セグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
シールドトンネル等の円筒状構造物を構成するセグメントの一種に、主桁、スキンプレート、継手板及び縦リブを有する鋼殻の内部にコンクリートが中詰めされたコンクリート中詰め鋼製セグメントが知られている。かかるコンクリート中詰め鋼製セグメントは、シールドマシン推進時のジャッキ推力による圧縮荷重に対してはコンクリートが抵抗するとともに、完成時の土水圧などの荷重に対しては鋼殻及びコンクリートが抵抗することにより高強度かつ高剛性を得ることが可能となる。
【0003】
図17は、このコンクリート中詰め鋼製セグメント7の構成例を示している。この鋼製セグメント7は、主桁71間を所定間隔を開けて配置する複数の縦リブ72で結合すると共に、主桁71の端部間を継手板73で結合し、さらに主桁71と継手板73の外側にスキンプレート74を結合して鋼殻70を形成している。この鋼殻70の内部には中詰めコンクリート75が充填されている。
【0004】
ところで、このようなコンクリート中詰め鋼製セグメント7を実際に製作する際には、主桁71や縦リブ72、継手板73及びスキンプレート74を互いの接触面において溶接により固着させることにより、鋼殻70を形成していくことになる。このとき、溶接により実際に鋼殻70が熱歪みにより変形してしまう。図18(a)は、図17に示す主桁71と縦リブ72との交差位置(B部)の側断面図を、また図18(b)は、縦リブ72aと隣り合う縦リブ72bとの中間部の主桁71とコンクリートとの接触部(I部)における側断面図を示しており、セグメント組み立て時の隣接リングのセグメントとの接触状態を示している。
【0005】
実際に鋼殻70を形成させる上で例えば縦リブ72と主桁71とを溶着させる際に熱収縮による熱歪みが生じるが、B部では、図18(a)に示すように、主桁71は、これに溶接されたスキンプレート74及び縦リブ72に変形が拘束される。一方、I部では、図18(b)の点線で示すように外周面側はスキンプレート74に溶接されていることから、熱歪みに基づく変形が拘束されるが、内空面側はスキンプレート74が存在しないため、図18(b)の2点鎖線に示すように主桁71の内空面側が凹むように変形が生じてしまう。
【0006】
図19は、複数のコンクリート中詰め鋼製セグメント7をトンネル軸方向Cに連結させる際の平面的な形態を略図で示しており、千鳥状に接合、組み立てられたセグメント7(7a、7b、7c)をトンネル内面側から見た図である。主桁71は、縦リブ72、継手板73及びスキンプレート74と溶接により連結される構成とされている。この図19には縦リブ72及び継手板73と主桁71との溶接による熱ひずみによる主桁71のトンネル内面側の変形が波状になる様子が波状の曲線で示されている。溶接の熱ひずみにより、特にI部において主桁71の内空面側が凹むように変形するため、トンネル軸方向Cに隣り合って配置されるセグメント7a及び7b、7cの主桁71a、71b、71c同士が、接触されるように配置される。
【0007】
このため、図18に示すように主桁71において変形が入った状態のコンクリート中詰め鋼製セグメント7を軸方向Cに向けて互いに連結しようとしたとき、かかる主桁71の変形により、互いに面接触させるはずの隣接する主桁71が、B部を介して線接触することになる。さらに加工精度によっては点接触する場合もある。そして、鋼製セグメント7間を軸方向Cに連結させる際にジャッキ推力を負荷すると、点接触又は線接触されたB断面の主桁71の内空側端面付近のコンクリート75と主桁71との接触部において応力集中Dが発生し、ひいては中詰めコンクリート75に対してひび割れ76や欠けが生じてしまうことになる。また、このような応力集中Dが生じた状態の下で鋼製セグメント7を軸方向Cに連結させてしまうと、トンネル内の応力分布が不均一になり、トンネル全体の耐力を低下させてしまう問題が生じる可能性もある。
【0008】
なお、図示省略するが、鋼板から切り出した主桁71を曲げ加工した場合は、主桁71のトンネル外周側よりもトンネル内周側が厚くなるように変形してしまうが、これも上述した断面Bにおいて主桁71のトンネル内空側端面付近が接触する効果を助長する場合がある。
【0009】
また、図20、21に示すようなウエブ81と内空面側のフランジ82a、外周面側のフランジ82bとからなる主桁8を有する場合には、主桁8と縦リブ83が接合される部位(B’部)では主桁8に、溶接部位88を介して溶接された縦リブ83及びスキンプレート84により主桁8の変形は拘束される。これに対して、B’部と断面B’部の中間における主桁8とコンクリート85の接触面H’部では外周面側のフランジ82bはスキンプレート84により変形自体が拘束されるものの、図21(b)の2点鎖線に示すように内空面側のフランジ82aは変形してしまい、シールドマシン掘進時のジャッキ推力が作用した場合、図21(a)に示すように、その近傍にある中詰めコンクリート85に応力集中Dが生じてしまう。その結果、当該応力集中Dが生じた箇所からひび割れ86等が生じてしまうことになる。なお、上述した問題点は外周面側のフランジ82bがなく、内周面側のフランジ82a、ウエブ81、スキンプレート84、及び縦リブ83が溶接部位88を介した溶接によって接合された場合でも溶接部位88に対する溶接により熱ひずみによる変形が生じて、同様の問題点が生じる。
【0010】
さらに、内空面側にフランジ82aを有する場合は、外周面側のフランジ82bの有無によらず、溶接部位88の熱歪みによる変形を矯正して、その変形を防止できた場合であっても、シールドマシン掘進時のジャッキ推力によるトンネル軸方向Cの圧縮力による応力が作用した場合、内周面側フランジ82aの端面82cと接触しているコンクリート、特に端面82cの角部に応力集中が生じるため、ひび割れを生じることがある。
【0011】
このようなコンクリートセグメントに対するひび割れの発生を防止するために、例えば特許文献1に開示されている技術が提案されている。
【0012】
即ち、この特許文献1における開示技術は、図22に示すように、軸方向の両端部に形成された接続面95aと、周方向の両端部に形成された接続面95bとを備え、例えば鋼板等のコンクリートより延性の高い材料からなる応力分散板91をセグメント本体95の軸方向の接続面95aの外周側に設けている。この応力分散板91における径方向の幅は、セグメント本体95の径方向の幅の半分程度に形成されている。応力分散板91は、セグメント本体95の曲率とほぼ同じであり、湾曲するように形成されている。
【0013】
特許文献1の開示技術では、セグメント本体の端面に集中力が作用した場合においてもかかる応力分散板91自体が変形することにより、応力を分散させ、ひいてはセグメント本体のひび割れや欠け等の発生を防止することが可能となると示されている。
【特許文献1】特開2004−353393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、あくまでセグメント外面に鋼板などの応力分散板91を貼り付ける構成としているため、ハンドリングの際に応力分散板91が脱落してしまう場合や疵が入ってしまう場合もある。かかる場合には、上述した応力分散板91本来の機能を発揮させることができず、セグメントのひび割れ等を防止することができなくなるという問題点がある。さらに、応力分散板としてはハンドリング時の衝撃荷重等に抵抗するため、コンクリートより固い材料、例えば鋼板など、が用いられるので、ジャッキ推力作用時のトンネル軸方向の圧縮力に対しては、上記応力分散板の角部付近のコンクリートに生じる応力集中によりコンクリートにひび割れが生じやすい問題がある。
【0015】
また、コンクリートセグメントよりもハンドリング時の接触などによる外荷重に対してひび割れが生じにくいセグメントとしては、セグメントの外面を構成するスキンプレート(多くはトンネル外面のみに形成)や主桁、継手板及びセグメント内部に縦リブが溶接されて組み立てられた鋼殻の内部にコンクリートを充填したコンクリート中詰め鋼製セグメント等が既に供用されている。
【0016】
上記コンクリート中詰め鋼製セグメントにおいて、コンクリートの打設高さは、セグメントトンネル内面側の鋼材、すなわち主桁や継手板縦リブ、スキンプレート等の鋼材の防食性確保や、完成時のトンネル内面の平滑性の確保等のために、主桁、継手板、縦リブよりも高い位置まで打設されている。
【0017】
しかしながら、このような構成では、セグメントの運搬、組み立てといったハンドリング時のひび割れを防止する効果を奏するものの、シールドマシン掘進時のジャッキ推力作用時のトンネル軸方向の圧縮力による主桁鋼板の角部や主桁のフランジ鋼板角部、特に主桁に溶接による熱歪みによる変形により、主桁と継手板との溶接部位の主桁のトンネル内周面側付近のコンクリートの応力集中が生じ、主桁内面近傍のコンクリートのひび割れやひび割れに起因するコンクリートの剥落が生じる問題があった。
【0018】
すなわち、上記コンクリートセグメントやコンクリート中詰め鋼製セグメントでは、鋼材やコンクリートより延性の高い応力分散板とコンクリートとが接触し、ジャッキ推力作用時のトンネル軸方向の圧縮力により、鋼材や応力分散板の角部付近のコンクリートに生じる応力集中によりコンクリートにひび割れが生じる構成となっており、これを解決する構成が従来より望まれていた。
【0019】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、シールドマシン推進時のジャッキ推力による主桁内面近傍のコンクリートへのひび割れ発生を強固に防止することが可能なコンクリート中詰め鋼製セグメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋼殻の内部にコンクリートを中詰めする際に、そのコンクリートの高さを、少なくとも外主桁への接触面において外主桁の高さ以下に調整することにより、主桁近傍のコンクリートへのひび割れ発生をより強固に防止できることを見出した。
【0021】
即ち、請求項1に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、両側面を形成する外主桁と、上記外主桁間の少なくとも外周面側を被覆するスキンプレートと、上記外主桁の端部間を結合する継手板と、上記外主桁間を結合する縦リブとを有する鋼殻の内部にコンクリートが中詰めされたコンクリート中詰め鋼製セグメントにおいて、上記コンクリートの高さは、少なくとも上記外主桁への接触面において上記外主桁の高さ以下であることを特徴とする。
【0022】
請求項2に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、請求項1記載の発明において、上記鋼殻は、上記外主桁間において上記外主桁と並行に配置された中主桁を有し、上記コンクリートの高さは、上記中主桁への接触面において、上記中主桁の高さ以下であることを特徴とする。
【0023】
請求項3に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、請求項1又は2記載の発明において、上記コンクリートの高さは、上記縦リブ及び/又は継手板と上記外主桁及び/又は中主桁との溶接部位周囲において、上記外主桁及び/又は上記中主桁の高さ以下であることを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、請求項1〜3のうち何れか1項記載の発明において、上記外主桁は、ウエブと当該ウエブの少なくとも内空面側に形成されたフランジとを有し、上記コンクリートの高さは、少なくとも上記外主桁への接触面において上記内空面側に形成されたフランジの鋼殻内側下面以下であることを特徴とする。
【0025】
請求項5に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、両側面を形成する外主桁と、上記外主桁間の少なくとも外周面側を被覆するスキンプレートと、上記外主桁の端部間を結合する継手板と、上記外主桁間を結合する縦リブとを有する鋼殻の内部にコンクリートが中詰めされたコンクリート中詰め鋼製セグメントにおいて、上記コンクリートと上記外主桁の内空面側角部との間に、当該コンクリートより低弾性率の弾性材を介装させてなることを特徴とする。
【0026】
請求項6に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、請求項5記載の発明において、上記鋼殻は、上記外主桁間において上記外主桁と並行に配置された中主桁を有し、上記コンクリートは、上記中主桁の内空面側角部との間に、当該コンクリートより低弾性率の弾性材を介装させてなることを特徴とする。
【0027】
請求項7に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、請求項5又は6記載の発明において、少なくとも上記縦リブ及び/又は継手板と上記外主桁及び/又は中主桁との溶接部位近傍に上記コンクリートよりも低弾性率の弾性材を介装させてなることを特徴とする。
【0028】
請求項8に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、請求項5〜7のうち何れか1項記載の発明において、上記外主桁は、ウエブと当該ウエブの少なくとも内空面側に形成されたフランジとを有し、上記コンクリートと上記内空面側に形成されたフランジの少なくとも側端部との間で弾性材を介装させてなることを特徴とする。
【0029】
請求項9に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、請求項5〜8のうち何れか1項記載の発明において、上記コンクリートよりも低弾性率の弾性材は、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ビニルエステル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリルゴム樹脂、ポリブタジエンゴム系樹脂、クロロプレンゴム系樹脂およびポリエステル樹脂の何れかであることを特徴とする。
【0030】
請求項10に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、請求項1〜9のうち何れか1項記載の発明において、上記コンクリートの打設高さは、上記外主桁及び/又は上記中主桁への接触面以外において、上記外主桁及び/又は上記中主桁の高さ以上に亘り充填されていることを特徴とする。
【0031】
請求項11に記載のコンクリート中詰め鋼製セグメントは、請求項1〜10のうち何れか1項記載の発明において、上記コンクリートの打設高さは、少なくとも上記外主桁及び/又は上記中主桁への接触面において上記外主桁及び/又は上記中主桁の高さより1〜5mm低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
上述した構成からなる本発明では、主桁のトンネル内面側、すなわちトンネル内空面側においてコンクリートが接触されていない状態とされている。このため、主桁のトンネル内面側において波状の変形が生じた場合においても、当該トンネル内面側の鋼板角部にはコンクリートが接触されていない、又は当該トンネル内面側の鋼板角部とコンクリートの接触面を含む近傍にコンクリートよりも低弾性率の弾性材が介装されていることから、当該コンクリートへの応力集中が無くなる。その結果、従来技術の如く主桁のトンネル内面側と接触するコンクリートに対して応力集中が生じるのを防止することが可能となり、ひいてはコンクリートに対してひび割れや欠けが生じてしまうのを防止することが可能となる。
【0033】
また本発明では、コンクリートと主桁との接触面において応力集中が存在しない状態の下でセグメントを軸方向Eに連結させることができることから、トンネル内の応力分布が均一になり、トンネル全体の耐力を向上させることができる。
【0034】
さらに、本発明では、鋼板等の応力分散板を設ける場合において発生していたハンドリング時における脱落等のリスクや応力分散板角部付近のコンクリートの応力集中も生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、鋼殻の内部にコンクリートが中詰めされたコンクリート中詰め鋼製セグメントについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
本発明の対象となるコンクリート中詰め鋼製セグメントは、鋼板を組立て製造された鋼殻内に中詰めコンクリートを充填させた鋼製セグメント、並びに鋼殻の内部にコンクリートを充填してなる合成セグメントである。
【0037】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、複数のセグメントを千鳥状に連結するためのセグメントの連結構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明に係るコンクリート中詰め鋼製セグメントが適用されるシールドトンネル3の例を示している。この図1に示すように、シールドトンネル3は、複数の円弧状のセグメント4をセグメント継手部65においてリング状に連結した覆工体をトンネル内面に組み立てて構築される。このシールドトンネルにおいては、シールドトンネル3全体の構造耐力及び剛性を向上させるべく、隣接するセグメントリング間でセグメント4を千鳥配置に連結し、かつセグメントリング間を軸方向Eへ向けて結合することで、かかる連結をより強固にしている。実際にシールドトンネル3を構成するためには、底部においてコンクリートが打設されて平坦な床fが構成されることもある。
【0039】
セグメント4は、図2に示すように両側面を形成する2本の外主桁11と、外主桁11間の少なくとも外周面側を被覆するスキンプレート12と、外主桁11の端部間を結合する継手板13とを有し、外主桁11間には縦リブ14が設けられている鋼殻10を備えている。また、この鋼殻の周囲には、周方向、軸方向に隣接するセグメントを連結するためのボルト孔98が設けられている。この鋼殻10内には後述するようにコンクリートが中詰めされることになる。
【0040】
外主桁11は、上記セグメントリング2の周方向に分割した形状で構成され、所定の曲率で湾曲した形状からなる。この外主桁11は、鋼板を加工することによって得られる。この外主桁11には、軸方向に隣接する他のセグメント4との間で連結を行うためのボルト挿入孔や図示しない継手等が所定ピッチで形成されていてもよい。
【0041】
継手板13は、2本の外主桁11に対して略垂直方向に延長され、当該外主桁11の端部間を連結可能な長さに予め加工され、それぞれ溶接により固着されている。この継手板13には、周方向に隣接する他のセグメント4との間で連結することでセグメントリングを構成するためのボルト挿通孔21が設けられている。
【0042】
スキンプレート12は、外主桁11、継手板13及び縦リブ14に対して溶接により固定されている。このスキンプレート12は、セグメントリングの外周側鋼板をなすものであって、円筒周面形状に湾曲された形状で構成されている。
【0043】
縦リブ14は、外主桁11間を所定間隔を開けて配置されるものである。この縦リブ14は、継手板13に対して略平行となる方向で配置される。この縦リブ14は、外主桁11及びスキンプレート12に対して溶接により固着されている。図2に示す例において、この縦リブ14の高さは、外主桁11や継手板13に対して低くなるように設定した場合を示しているがこれに限定されるものではなく、略同一高さとなるように構成するようにしてもよい。
【0044】
図3は、上述の如き構成からなる鋼殻10に対してコンクリート23を中詰めした状態を示している。また、図4は、この図3におけるF−F´断面を示している。ちなみに、このF−F´断面は、縦リブ14が設けられた位置に沿った断面の構成を示しているが、仮にこのF−F´断面が縦リブ14と離間した位置にある場合には図4において縦リブ14の構成は省略されるものとなる。
【0045】
コンクリート23は、鋼殻10における内空面側から打設され、固化させることにより鋼殻10内に充填されるものである。また、トンネル軸方向、周方向に隣接する他のセグメントとの間でボルト接合するためのボルトボックス99がそれぞれ形成されている。このとき、図4に示すように、充填されるコンクリート23のスキンプレート12からの高さをh1とし、さらに、このコンクリート23の外主桁11との接触面11aにおける高さをh2とする。また、外主桁11の高さをh3とする。このとき、少なくともコンクリート23の高さh2は、外主桁11の高さh3以下に構成されているものとする。即ち、このコンクリート23における外主桁11の接触面11aのトンネル内面側は、いわゆる面取りが施された状態となる。ちなみに、この面取りの形態としては、図4に示すように外主桁11が立設されている略鉛直方向に対して斜めに傾斜された形で構成されていてもよい。また、この面取りの形態としては、例えば図5に示すように、外主桁11における接触面11aから水平方向に向けてセグメント内側へと延長される水平面23aと、この水平面23aから上方に傾斜された傾斜面23bとが形成されるようにコンクリート23を充填するようにしてもよい。その結果、外主桁11のトンネル内面側角部11bにおいてコンクリート23が接触されていない状態を作り出すことが可能となる。
【0046】
このような構成からなる本発明では、以下に説明するような効果を奏する。上述の構成からなるセグメントを組み立てる際に、外主桁11は、縦リブ14や継手板13、スキンプレート12に対して溶接されて互いに固着させて鋼殻10の一構成要素となり得る。このとき、溶接により実際に鋼殻10が熱歪みにより変形してしまう。この状態を図6(a)〜(d)により説明する。図6(a)、(c)は、図2においてコンクリートを充填した状態のF−F’断面、すなわち図3におけるF−F’断面であり、溶接部位108に対する溶接により縦リブ14と外主桁11及びスキンプレート12が溶接されている。一方、図6(b)、(d)は図2においてコンクリートを充填した状態のG−G’断面、すなわち図3におけるG−G’断面が変形した状態を示している。ちなみに、図6(a)、(b)は、図4に示す面取りの形態に対応するものであり、図6(c)、(d)は、図5に示す面取りの形態に対応するものである。
【0047】
図6(a)、(c)に示すF−F’断面では外主桁11は溶接部位108に対する溶接による熱ひずみにより変形しようとするがスキンプレート12及び縦リブ14により変形を拘束されているため外主桁11の変形は微小である。
【0048】
これに対して、図6(b)、(d)に示すG−G’断面では外主桁11のトンネル内空面側はF−F’断面における外主桁11と縦リブ14との溶接による熱歪みによって外主桁11はセグメント内側に面外変形を起こす。ちなみに、この図6(b),(d)では、外主桁11について溶接前の状態を点線で表示し、溶接後の状態を実線で表している。これに対し、トンネル外周面側にはスキンプレート12が結合されていることから、熱歪みに基づく変形が拘束される。従って、図6(b),(d)に示すように外主桁11のトンネル内面側のみがセグメント内側に変形してしまう。
【0049】
しかしながら、本発明においては、外主桁11のトンネル内面側のトンネル内面側角部11bにおいてコンクリート23が接触されていない状態とされている。このため、外主桁11が面外に変形した場合においても、当該トンネル内面側のトンネル内面側角部11bにはコンクリート23が接触されていないことから、シールドマシン掘進時のジャッキ推力が作用した場合に、F−F‘断面近傍においてコンクリート23は、外主桁11と縦リブ14とは面接触となる。このとき、外主桁11のトンネル内面側角部11bはコンクリートと接触しない。その結果、従来技術の如く外主桁のトンネル内面側と接触するコンクリート23に対して応力集中が生じるのを防止することが可能となり、ひいてはコンクリート23に対してひび割れや欠けが生じてしまうのを防止することが可能となる。
【0050】
また本発明では、コンクリート23と外主桁11との接触面11aにおいて応力集中が存在しない状態の下でセグメント4を軸方向Eに連結させることができることから、トンネル内の応力分布が均一になり、トンネル全体の耐力を向上させることができる。
【0051】
さらに、本発明では、応力を分散させる上で、応力分散板等をはじめとした特段の構成を設ける必要もなくなることから、製造労力を低減でき、製作コスト低減にも寄与する。また、鋼板等の応力分散板を設ける場合において発生していたハンドリング時における脱落等のリスクや応力分散板角部付近のコンクリートの応力集中も生じない。
【0052】
なお、シールドトンネルの掘進に伴い、ジャッキ推力が負荷された場合、従来技術において生じていたコンクリート23と外主桁11との接触面11aにおいて応力集中の根源となるジャッキ推力に基づく荷重はそれほど大きなものではない。このため、本発明の如く外主桁11のトンネル内面側角部11bにおいてコンクリート23が接触されていない状態とし、当該箇所において荷重を負担することができない構造としても、上述したジャッキ推力に基づく荷重自体がそれほど大きなものではないため、実際のところ特段の不都合は生じない。
【0053】
なお、本発明においては、コンクリートの高さh2が、外主桁11の高さh3以下に構成されていることを要件としているが、上述した所期の効果を確実に奏するためには、h2がh3に対して1〜5mm程度低いことが望ましい。これにより、熱歪みにより主桁11に波状の変形が発生した場合においても、当該トンネル内面側角部11bよりも1〜5mm程度まで高さh2を低く設定したコンクリート23に対しては応力集中が生じることなく、ひいては、ひび割れ等の発生もより効果的に低減させることが可能となる。
【0054】
図7は、鋼殻10の中央において周方向に延長された中主桁18を設けた形態を示している。この図7において、上述した図2と同一の構成要素、部材に関しては同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。この中主桁18は、外主桁11間において外主桁11と並行に配置されたものである。この中主桁18は、外主桁11と同様に、セグメントリング2の周方向に分割した形状で構成され、所定の曲率で湾曲した形状からなる。
【0055】
図8は、この中主桁18を設けた鋼殻10に対してコンクリート23を充填した状態を示している。充填されるコンクリート23のスキンプレート12からの高さをh1とし、さらに、このコンクリート23の中主桁18との接触面18aにおける高さをh4とする。また、中主桁18の高さをh5とする。このとき、コンクリート23の高さh4は、少なくとも中主桁18の高さh5以下に構成されているものとする。即ち、このコンクリート23における中主桁18の接触面18aの上端も同様に面取りが施された状態となる。ちなみに、この面取りの形態としては、図8に示すように中主桁18が立設されている略鉛直方向に対して斜めに傾斜された形で構成されていてもよい。また、この面取りの形態としては、例えば図9に示すように、中主桁18における接触面18aから水平方向に向けて内側へと延長される水平面23aと、この水平面23aから上方に傾斜された傾斜面23bとが形成されるようにコンクリート23を充填するようにしてもよい。その結果、中主桁18のトンネル内面側角部18bにおいてコンクリート23が接触されていない状態を作り出すことが可能となる。
【0056】
中主桁18は継手板13や縦リブ14と左右対称に溶接されるよう設計されるため、実際は加工時の手順や溶接精度に起因する入熱が中主桁18の左右で多少異なるようなことがあっても溶接による熱ひずみは外主桁より小さい。このように中主桁18の熱ひずみによる変形は小さいが、中主桁18はトンネル内面側角部18b近傍でコンクリート23と接触している場合は、コンクリート23と縦リブ14や継手板13との剛性の違いから、コンクリート23にはジャッキ推力による応力集中が作用することになり、やはりコンクリート23にひび割れが生じやすい。これに対し、本発明では、中主桁18はトンネル内面側角部18b近傍でコンクリート23と接触していないため、同様にコンクリート23に対して応力集中が大幅に軽減され、コンクリート23に対してひび割れ等が生じるのを防止することが可能となる。
【0057】
図10は、コンクリート23を低くした溝部31を所定間隔で形成させた例を示している。溝部31は、少なくとも縦リブ14と外主桁11間の溶接部位周囲のみにおいて形成されている。外主桁11における外側への変形は、外主桁11における縦リブ14の連結部位において所定間隔で生じる。また、トンネル軸方向に隣接する他のセグメントとの間でボルト接合するためのボルトボックス99がそれぞれ形成されている。このため、かかる外主桁11と縦リブ14との連結部位周囲のみに焦点を当てて当該箇所について溝部31を設ける。このとき、この溝部31における主桁11の接触位置が主桁11の高さ以下とされていることが条件となる。これにより、コンクリート23の高さは、少なくとも縦リブ14の溶接部位周囲のみにおいて、外主桁11の高さ以下とすることが可能となる。かかる構成においても、同様に外主桁11において発生した熱歪みに基づく変形が起きても、コンクリート23に対してひび割れ等が発生するのを防止することが可能となる。なお、この溝部31の幅は、縦リブ14から20〜50mm程度で構成されていてもよい。
【0058】
なお、本発明は、図11に示すようなウエブ41と内空面側のフランジ42a、外周面側のフランジ42bとからなる外主桁40を有する場合においても適用可能である。鋼殻39は、この外主桁40の外周面側を被覆するスキンプレート12と、外主桁40端部間を結合する図示しない継手板とを備えており、この鋼殻39内においてコンクリート23が充填されている。ちなみに、この図11(a)は、縦リブ14が設けられた位置に沿った断面の構成を示しており、図11(b)は縦リブ14と離間した位置にある断面を示している。図11(b)に示すこの外主桁40において、溶接前の状態を点線で、また溶接後の状態を実線で示している。この外主桁40は、トンネル内周面側にフランジ42aがあるため、このようなフランジ42aが無い外主桁11と比べるとその変形量は小さいが、縦リブ14と離間した位置においては、ほぼ同様に変形してしまう。
【0059】
ここで、コンクリート23の主桁40と接触する部位におけるスキンプレート12からの高さをh7とし、内空面側のフランジ42aの下面を構成する鋼殻内側下面46におけるスキンプレート12からの高さをh8としたとき、コンクリート23の高さh7は、鋼殻内側下面46の高さh8以下とされている。
【0060】
ちなみに、コンクリート23は、フランジ42aから離間する方向へ向けて水平に延長され、その後上方に傾斜される構成としているがこれに限定されるものではない。図12は、上述した外主桁40に接触する中詰めコンクリート23の形態の他の例を示している。図12(a)では、フランジ42aの鋼殻内側かつ下側の角部42dから直接コンクリート23を上方に傾斜させたものであり、図12(b)の例では、フランジ42aの鋼殻内面下側46からコンクリート23をそのまま水平に延長した構成としたものである。
【0061】
このようなウエブ41とフランジ42とを有する外主桁40は、図12(a)、(b)に示したように、内面側フランジ42aのコンクリート側の角部42c及び角部42dとコンクリート23との当接部では応力集中が生じやすい、また図11(b)に示したように、縦リブ14と隣接する縦リブ14の間の断面では内空面側のフランジ42a及びウエブ41が熱歪みにより変形するため外主桁40はやはり波状に変形してしまう。しかしながら、本発明においてコンクリート23は、かかるフランジ42aにおける鋼殻内面46を超える高さにまで充填されていないことから、フランジ42a及びウエブ41の該変形に基づくコンクリート23のひび割れの発生を抑えることが可能となる。
【0062】
なお、安全率の観点から、このコンクリート23の高さh7は、鋼殻内側下面46の高さh8よりも1〜2mm程度低く設定することが望ましい。
【0063】
なお、本発明は、上述した構成の代替として、外主桁11とコンクリート23との間に弾性体を介装させるようにしてもよい。
【0064】
図13は、かかる弾性材を介装させるセグメント5の斜視図を、また図14(a)は、図13のH−H´断面を示している。このセグメント5において上述したセグメント4と同一の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。
【0065】
弾性体32は、外主桁11の内空面側のトンネル内面側角部11bとコンクリート23の間に介装される。即ち、外主桁11におけるトンネル内面側角部11bがコンクリート23と直接接触することが無いように、弾性体32がこれらの間に介装されている必要がある。
【0066】
弾性体32は、防食効果を発揮するエポキシ樹脂、ウレタンエラストマー、ウレタンフォーム、ポリエチレンの何れかで構成されている場合を想定しているが、これらに限定されるものではなく、弾性係数が小さい弾性材であればいかなるものを適用するようにしてもよい。ちなみに、コンクリート23はアルカリ性であることから、これに対応すべく弾性体32は対アルカリ性であることが望ましい。また、この弾性体32としては、例えばエラストマーやフォーム等の有機樹脂シートを適用するようにしてもよい。ちなみに、この弾性体の断面形状は、本実施形態において矩形状としているがこれに限定されることなくいかなる断面形状で具体化されていてもよいことは勿論である。
【0067】
また、図14(a)に示すように、この弾性体32は、コンクリート23内に埋め込まれているが、これに限定されることなく、弾性体32とコンクリート23とが互いに同一表面を共有する形態とされていてもよい。
【0068】
実際にこの弾性体32を配設する際には、コンクリート23を充填する前に予めこの弾性体32を外主桁11に対して貼着させておいてもよい。
【0069】
図14(b)は、中主桁18を有する鋼殻10に対する弾性体32の配設例を示している。中主桁18に対しても同様に、弾性体32は中主桁18のトンネル内面側角部18bとコンクリート23との間に介装される。
【0070】
このような構成からなる本発明を適用したセグメント5では、以下に説明するような効果を奏する。即ち、このセグメント5は、外主桁11のトンネル内面側角部11bとコンクリート23との間にはコンクリートよりも低弾性率の弾性体32が介在された状態となっている。このため、コンクリート23は外主桁11のトンネル内面側角部11bに対して直接的に接触されていない状態となっている。このため、外主桁11のトンネル内面側角部11bとコンクリート23との間に介装されている弾性体32が弾性変形をすることにより当該変形を吸収することができる。このため、コンクリート23に対して主桁11の波状の変形に基づく応力集中が大幅に軽減される。その結果、従来技術の如く外主桁のトンネル内面側角部11bと接触するコンクリートに対して応力集中が生じるのを防止することが可能となり、ひいてはコンクリート23に対してひび割れや欠けが生じてしまうのを防止することが可能となる。中主桁18が配設されている場合も同様であり、仮にトンネル内面側角部18bの周囲に設けられた弾性体32がこれを吸収することが可能となり、ひいては、コンクリート23に応力集中が生じるのを防止することが可能となる。
【0071】
また、このセグメント5では、図15(a)に示すように弾性体32を局所的に設けることにより、弾性体32に寄与する材料コストを抑えるようにしてもよい。この例において弾性体32は、少なくとも縦リブ14と外主桁11間の溶接部位周囲のみにおいて形成されている。外主桁11における外側への変形は、外主桁11における縦リブ14の連結部位において所定間隔で生じる。このため、かかる外主桁11と縦リブ14との連結部位周囲のみに焦点を当てて当該箇所について弾性体32を設ける。なお、この図15(a)の例では、弾性体32の表面と、コンクリート23における内空面側表面とが同一面を構成する場合を想定している。
【0072】
図15(b)は、かかる弾性体32の形成位置における拡大斜視図を示している。弾性体32は、縦リブ14のトンネル内面側でかつ外主桁11におけるトンネル内面側角部11bに接触して設けられている。このため、縦リブ14のトンネル内面側が完全に弾性体32により被覆されている状態となり、縦リブ14と外主桁11が交差する部位の主桁11のトンネル内面側角部11b近傍のコンクリート23において、ジャッキ推力により作用する応力を分散し応力集中が大幅に軽減される。この構成においても上述した本発明の所期の効果を奏することになる。ちなみに、この弾性体32を介在させた外主桁11とコンクリート23の間隔は、1〜10mm程度となるように構成されていることが望ましい。その理由として、応力分散を十分に行うためには、この弾性体32を介在させた外主桁11とコンクリート23の間隔をほぼ1〜10mm程度とすれば十分であるためである。
【0073】
なお、この弾性体32を設けるセグメント5は、図16に示すようなウエブ41と内空面側のフランジ42a、外周面側のフランジ42bとからなる外主桁40を有する場合においても同様に適用可能である。
【0074】
かかる場合において内空面側のフランジ42aの側端部47とコンクリート23との間で弾性体32が介装されている。このとき、弾性体32は、フランジ42aの側端部47の角部42cや下端角部42dがコンクリートに埋没する部分において被覆されていればよい。すなわち、図16の例においては少なくとも下端角部42dにおいて被覆されていればよい。
【0075】
このようなウエブ41とフランジ42とを有する外主桁40は、ウエブ41及び内空面側のフランジ42aが熱歪みにより変形し、セグメント幅方向に波状に変形することになるが、本発明では、少なくとも側端部47は弾性体32により被覆され、当該弾性体32は、側端部47とコンクリート23との間に介装されている構成とされているため、かかる側端部47の変形は弾性体32を介して吸収されることになる。これにより、フランジ42aの変形に基づくコンクリート23のひび割れの発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係るコンクリート中詰め鋼製セグメントが適用されるシールドトンネルの例を示す図である。
【図2】発明に係るコンクリート中詰め鋼製セグメントを構成する鋼殻の構成について説明するための図である。
【図3】上述の如き構成からなる鋼殻に対してコンクリートを中詰めした状態を示す図である。
【図4】図3におけるF−F´断面図である。
【図5】面取りの他の形態について説明するための図である。
【図6】外主桁において熱歪みが発生した状態を示す図である。
【図7】鋼殻の中央において周方向に延長された中主桁を設けた形態を示す図である。
【図8】中主桁を設けた鋼殻に対してコンクリートを充填した状態を示す断面図である。
【図9】中主桁を設けた鋼殻に対してコンクリートを充填した状態を示す他の断面図である。
【図10】コンクリートを低くした溝部を所定間隔で形成させた例を示す図である。
【図11】本発明をNMセグメントに適用した例について示す図である。
【図12】上述した外主桁に接触する中詰めコンクリートの形態の他の例を示す図である。
【図13】弾性材を介装させるセグメントの斜視図である。
【図14】図13のG−G´断面図である。
【図15】弾性体を局所的に設けた構成について説明するための図である。
【図16】本発明をNMセグメントに適用する際に弾性体を設ける構成について説明するための図である。
【図17】コンクリート中詰め鋼製セグメントの構成例について示す図である。
【図18】主桁と縦リブとの交差位置における側断面図である。
【図19】コンクリート中詰め鋼製セグメントを軸方向Cに連結させる際の平面的な形態を示す図である。
【図20】内空面側、外周面側にそれぞれフランジを有する主桁の場合の従来技術の問題点について説明するための図である。
【図21】NMセグメントにおける応力集中Dが生じた箇所からひび割れ76等が生じた例について示す図である。
【図22】応力分散板をセグメント本体の外周側に設けた例を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
2 セグメントリング
3 シールドトンネル
4、5 セグメント
7 コンクリート中詰め鋼製セグメント
8 主桁
10 鋼殻
11、40 外主桁
11a 外主桁のコンクリートとの接触面
11b 外主桁のトンネル内面側角部
12 スキンプレート
13 継手板
14 縦リブ
18 中主桁
18a 中主桁のコンクリートとの接触面
18b 中主桁のトンネル内面側角部
21 ボルト挿通孔
23 コンクリート
31 溝部
32 弾性体
41、81 ウエブ
42 フランジ
42a トンネル内空側フランジ
42b トンネル外周側フランジ
42c トンネル内空側フランジの鋼殻内側の上部の角部
42d トンネル内空側フランジの鋼殻内側の下部の角部
46 鋼殻内側下面
47 側端部
65 セグメント継手部
70 鋼殻
71 主桁
72 縦リブ
73 継手板
74 スキンプレート
75 中詰めコンクリート
82a 内空面側のフランジ
82b 外周面側のフランジ
88 溶接部位
83 縦リブ
84 スキンプレート
88 溶接部
91 応力分散板
95a、95b 接続面
98 ボルト孔
99 ボルトボックス
108 溶接部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側面を形成する外主桁と、上記外主桁間の少なくとも外周面側を被覆するスキンプレートと、上記外主桁の端部間を結合する継手板と、上記外主桁間を結合する縦リブとを有する鋼殻の内部にコンクリートが中詰めされたコンクリート中詰め鋼製セグメントにおいて、
上記コンクリートの高さは、少なくとも上記外主桁への接触面において上記外主桁の高さ以下であること
を特徴とするコンクリート中詰め鋼製セグメント。
【請求項2】
上記鋼殻は、上記外主桁間において上記外主桁と並行に配置された中主桁を有し、
上記コンクリートの高さは、上記中主桁への接触面において、上記中主桁の高さ以下であること
を特徴とする請求項1記載のコンクリート中詰め鋼製セグメント。
【請求項3】
上記コンクリートの高さは、上記縦リブ及び/又は継手板と上記外主桁及び/又は中主桁との溶接部位周囲において、上記外主桁及び/又は上記中主桁の高さ以下であること
を特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート中詰め鋼製セグメント。
【請求項4】
上記外主桁は、ウエブと当該ウエブの少なくとも内空面側に形成されたフランジとを有し、
上記コンクリートの高さは、少なくとも上記外主桁への接触面において上記内空面側に形成されたフランジの鋼殻内側下面以下であること
を特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項記載のコンクリート中詰め鋼製セグメント。
【請求項5】
両側面を形成する外主桁と、上記外主桁間の少なくとも外周面側を被覆するスキンプレートと、上記外主桁の端部間を結合する継手板と、上記外主桁間を結合する縦リブとを有する鋼殻の内部にコンクリートが中詰めされたコンクリート中詰め鋼製セグメントにおいて、
上記コンクリートと上記外主桁の内空面側角部との間に、当該コンクリートより低弾性率の弾性材を介装させてなること
を特徴とするコンクリート中詰め鋼製セグメント。
【請求項6】
上記鋼殻は、上記外主桁間において上記外主桁と並行に配置された中主桁を有し、
上記コンクリートは、上記中主桁の内空面側角部との間に、当該コンクリートより低弾性率の弾性材を介装させてなること
を特徴とする請求項5記載のコンクリート中詰め鋼製セグメント。
【請求項7】
少なくとも上記縦リブ及び/又は継手板と上記外主桁及び/又は中主桁との溶接部位近傍に上記コンクリートよりも低弾性率の弾性材を介装させてなること
を特徴とする請求項5又は6記載のコンクリート中詰め鋼製セグメント。
【請求項8】
上記外主桁は、ウエブと当該ウエブの少なくとも内空面側に形成されたフランジとを有し、
上記コンクリートと上記内空面側に形成されたフランジの少なくとも側端部との間で弾性材を介装させてなること
を特徴とする請求項5〜7のうち何れか1項記載のコンクリート中詰め鋼製セグメント。
【請求項9】
上記コンクリートよりも低弾性率の弾性材は、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ビニルエステル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリルゴム樹脂、ポリブタジエンゴム系樹脂、クロロプレンゴム系樹脂およびポリエステル樹脂の何れかであること
を特徴とする請求項5〜8のうち何れか1項記載のコンクリート中詰め鋼製セグメント。
【請求項10】
上記コンクリートの打設高さは、上記外主桁及び/又は上記中主桁への接触面以外において、上記外主桁及び/又は上記中主桁の高さ以上に亘り充填されていること
を特徴とする請求項1〜9のうち何れか1項記載のコンクリート中詰め鋼製セグメント。
【請求項11】
上記コンクリートの打設高さは、少なくとも上記外主桁及び/又は上記中主桁への接触面において上記外主桁及び/又は上記中主桁の高さより1〜5mm低いこと
を特徴とする請求項1〜10のうち何れか1項記載のコンクリート中詰め鋼製セグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−249841(P2009−249841A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95914(P2008−95914)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】