説明

コンクリート吹付け機及び油圧削孔機

【課題】トンネル坑内や地下構造物等内に於いて、火災の発生の虞がなく、排気ガスを発生させず、作業員に良好な空気環境を提供することができるコンクリート吹付け機を提供する。
【解決手段】下部走行体2上に車体本体3が搭載され、車体本体3の前部にブーム・アーム4が俯仰自在に枢着され、ブーム・アーム4の先端部に吹付けノズル5が着脱自在に配設され、車体本体3にエアーコンプレッサー6、コンクリートポンプ7、急結剤添加装置8、及び、ケーブルリール9が搭載されている、コンクリート吹付け作業を行なうためのコンクリート吹付け機1であって、車体本体3には、更に、充電及び蓄電を行う充電・蓄電装置31と、充電・蓄電装置31からの給電により作動して下部走行体2を駆動させ走行させる、減速機付きモータから成る駆動装置32とを搭載している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル坑内や地下構造物等内に於いて、火災の発生の虞がなく、排気ガスを発生させず、作業員に良好な空気環境を提供することができるコンクリート吹付け機及び油圧削孔機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネルや地下構造物等の構築、補修、補強等に際して、コンクリート材料を吹き付けるためにコンクリート吹付け機が用いられている。
此種従来のコンクリート吹付け機は、例えば、下部走行体上に車体本体が搭載され、車体本体の前部にブーム・アームが俯仰自在に枢着され、ブーム・アームの先端部に吹付けノズルが着脱自在に配設され、車体本体に内燃機関、エアーコンプレッサー、コンクリートポンプ、急結剤添加装置、及び、ケーブルリールが搭載されており、下部走行体は内燃機関により駆動されて走行するように構成されている。
一例として、特許文献1のコンクリート吹付機も走行装置がエンジン(内燃機関)により駆動されて走行するものである。
【0003】
又、従来、トンネルや地下構造物等に、例えば、直径3〜4cm程度のダイナマイトを埋め込む孔、或いは、ロックボルトを挿入する孔等を削孔するために油圧削孔機が用いられている。
此種従来の油圧削孔機は、例えば、車体本体下部に車輪が配設され、車体本体下部の四隅部の車輪外方にアウトリガーが配設され、車体本体の前部にブーム・アームが俯仰自在に枢着され、ブーム・アームの先端部に削孔装置と、作業員が搭乗するバスケットとが配設され、車体本体に内燃機関、及び、ケーブルリールが搭載されており、車輪は内燃機関により駆動されて走行するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−97198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、従来のコンクリート吹付け機及び油圧削孔機は内燃機関を搭載しており、トンネルや地下構造物等内では、内燃機関により下部走行体又は車輪が駆動されて走行するが、内燃機関は軽油等の燃料を収納する燃料タンクを搭載するので、火災の発生の虞があり、特に、コンクリート吹付け機又は油圧削孔機が作業を行なうトンネル坑内や地下構造物等内で火災が発生すると、重大な災害を引き起こす虞がある。又、内燃機関の排気ガスは、特にトンネル坑内や地下構造物等内に於いて、作業員の健康に悪影響を及ぼす虞がある。
【0006】
以上の現状に鑑み、本発明は、トンネル坑内や地下構造物等内に於いて、火災の発生の虞がなく、排気ガスを発生させず、作業員に良好な空気環境を提供することができるコンクリート吹付け機及び油圧削孔機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、下部走行体上に車体本体が搭載され、前記車体本体の前部にブーム・アームが俯仰自在に枢着され、前記ブーム・アームの先端部に吹付けノズルが着脱自在に配設され、前記車体本体にエアーコンプレッサー、コンクリートポンプ、急結剤添加装置、及び、ケーブルリールが搭載されたコンクリート吹付け作業を行なうコンクリート吹付け機であって、
前記車体本体は、
充電及び蓄電を行う充電・蓄電装置と、
前記充電・蓄電装置からの給電により作動して前記下部走行体を駆動させる、モータから成る駆動装置とを搭載し、
前記下部走行体は、前記充電・蓄電装置から給電される前記駆動装置の駆動によって走行するように構成されたことを特徴とするコンクリート吹付け機を提供するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記駆動装置は、前記下部走行体を構成する左右下部走行体を夫々駆動する左右駆動装置から成ることを特徴とする請求項1記載のコンクリート吹付け機を提供するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記駆動装置は、減速機付きモータであることを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート吹付け機を提供するものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記充電・蓄電装置は、前記エアーコンプレッサー、コンクリートポンプ、及び、急結剤添加装置が電源ケーブルに接続される時、同時に前記電源ケーブルに接続され蓄電されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一に記載のコンクリート吹付け機を提供するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、車体本体下部に車輪が配設され、車体本体の前部にブーム・アームが俯仰自在に枢着され、前記ブーム・アームの先端部に削孔装置が配設され、前記車体本体にケーブルリールが搭載された削孔を行うための油圧削孔機であって、
前記車体本体は、
充電及び蓄電を行う充電・蓄電装置と、
前記充電・蓄電装置からの給電により作動して前記車輪を駆動させる、モータから成る駆動装置とを搭載し、
前記車輪は、前記充電・蓄電装置から給電される前記駆動装置の駆動によって走行するように構成されたことを特徴とする油圧削孔機を提供するものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記駆動装置は、左右後輪を夫々駆動する左右駆動装置から成ることを特徴とする請求項5記載の油圧削孔機を提供するものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、前記駆動装置は、減速機付きモータであることを特徴とする請求項5又は6記載の油圧削孔機を提供するものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、前記充電・蓄電装置は、前記削孔装置が電源ケーブルに接続される時、同時に前記電源ケーブルに接続され蓄電されるように構成されていることを特徴とする請求項5乃至7のうちいずれか一に記載の油圧削孔機を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1記載の発明によれば、下部走行体が、充電・蓄電装置から給電される駆動装置の駆動によって走行するように構成され、車体本体に内燃機関及びその燃料タンクを搭載しないので、トンネル坑内や地下構造物等内に於いて、火災の発生の虞がなく、又、排気ガスを発生させず、作業員に良好な空気環境を提供することができるコンクリート吹付け機を提供することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、駆動装置は、走行体を構成する左右下部走行体を夫々駆動する左右駆動装置から成るので、左右下部走行体を夫々直接駆動できることにより、左右下部走行体の夫々の駆動力を高めることができると共に、左右下部走行体の回転数を夫々個別に且つ容易に変更できるので、コンクリート吹付け機の走行時の方向転換が容易に行なえる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加え、駆動装置は、減速機付きモータであるので、コンクリート吹付け機の走行速度を適正な速度に設定できる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至3のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、充電・蓄電装置は、エアーコンプレッサー、コンクリートポンプ、及び、急結剤添加装置が電源ケーブルに接続される時、同時に電源ケーブルに接続され蓄電されるので、コンクリート吹付け作業時やその前後に充電・蓄電装置が充分に蓄電されることにより、コンクリート吹付け作業後に、コンクリート吹付け機がトンネルや地下構造物等の外側に迅速に移動できる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、車輪が、充電・蓄電装置から給電される駆動装置の駆動によって走行するように構成され、車体本体に内燃機関及びその燃料タンクを搭載しないので、トンネル坑内や地下構造物等内に於いて、火災の発生の虞がなく、又、排気ガスを発生させず、作業員に良好な空気環境を提供することができる油圧削孔機を提供することができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明の効果に加え、駆動装置は、左右後輪を夫々駆動する左右駆動装置から成るので、左右後輪を夫々直接駆動できることにより、左右後輪の夫々の駆動力を高めることができると共に、左右後輪の回転数を夫々個別に且つ容易に変更できるので、油圧削孔機の走行時の方向転換が容易に行なえる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、請求項5又は6記載の発明の効果に加え、駆動装置は、減速機付きモータであるので、油圧削孔機の走行速度を適正な速度に設定できる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、請求項5乃至7のうちいずれか一に記載の発明の効果に加え、充電・蓄電装置は、削孔装置が電源ケーブルに接続される時、同時に電源ケーブルに接続され蓄電されるので、削孔作業時やその前後に充電・蓄電装置が充分に蓄電されることにより、削孔作業後に、油圧削孔機がトンネルや地下構造物等の外側に迅速に移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)本発明のコンクリート吹付け機の正面図である。(b)本発明のコンクリート吹付け機の平面図である。(c)本発明のコンクリート吹付け機の側面図である。
【図2】(a)本発明のコンクリート吹付け機の車体本体及び車体本体に搭載した一部搭載部品の正面図である。(b)本発明のコンクリート吹付け機の車体本体の平面図である。
【図3】本発明のコンクリート吹付け機の電気回路図である。
【図4】(a)本発明の油圧削孔機の正面図である。(b)本発明の油圧削孔機の平面図である。
【図5】本発明の油圧削孔機の電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1に於いて、1は、本発明の第1実施例のコンクリート吹付け作業を行なうためのコンクリート吹付け機であり、コンクリート吹付け機1は、クローラ式キャリア等の下部走行体2上に車体本体3が搭載され、車体本体3の前部にブーム・アーム4が俯仰自在に枢着され、ブーム・アーム4の先端部に吹付けノズル5が着脱自在に配設され、車体本体3にエアーコンプレッサー6、コンクリートポンプ7、急結剤添加装置8、及び、ケーブルリール9が搭載されている。
尚、図1に於いて、10はオイルクーラー、11は制御盤、12は運転席である。
【0025】
そして、更に、図2に示すように、車体本体3は、充電及び蓄電を行う充電・蓄電装置31と、充電・蓄電装置31からの給電により作動して下部走行体2を駆動させる、減速機付きモータから成る駆動装置32とを搭載する。従って、本発明のコンクリート吹付け機1の下部走行体2による走行は、全て充電・蓄電装置31からの給電により作動する、減速機付きモータから成る駆動装置32の駆動によって行われ、車体本体3には、内燃機関(エンジン)及びその燃料タンクを搭載していない。
尚、充電・蓄電装置31は、図示しない変圧器、A/Dコンバーター等を備える充電部と、バッテリーから成る蓄電部とを具備するものである。
【0026】
前記駆動装置32は、下部走行体2を構成する左右下部走行体2a,2bを夫々駆動する左右駆動装置32a,32bで構成されている。
左右駆動装置32a,32bは、左右下部走行体2a,2bを夫々直接駆動できることにより、左右下部走行体2a,2bの夫々の駆動力を高めることができると共に、左右下部走行体2a,2bの回転数を夫々個別に且つ容易に変更できるので、コンクリート吹付け機1の走行時の方向転換が容易に行なえる。
【0027】
図2に於いて、33は、ケーブルリール9に、適宜、巻き取り巻き戻しされると共に、外部電源(図示せず)に接続される200Vの電源ケーブルである。
電源ケーブル33は、図3に示す如く、充電・蓄電装置31に接続されて、充電・蓄電装置31を蓄電すると共に、エアーコンプレッサー6、コンクリートポンプ7、及び、急結剤添加装置8に接続されてそれらの装置を稼動させる。尚、図3に示すように、充電・蓄電装置31は駆動装置32に接続されて駆動装置32を作動させると共に、駆動装置32は機械的に動力を伝達して下部走行体2を駆動させる。
そして、本発明のコンクリート吹付け機1に於いては、電源ケーブル33が、エアーコンプレッサー6、コンクリートポンプ7、及び、急結剤添加装置8に接続された時、同時に充電・蓄電装置31にも接続され、充電・蓄電装置31の蓄電を行うように構成されている。尚、前述の充電・蓄電装置31への同時接続は、例えば、電気回路上、又は、図示しない制御回路上の構成によって自動的に行なわれる。或いは、充電・蓄電装置31への蓄電は、前記電源ケーブル33がコンクリート吹付け機1に接続されている時、即ち、電源ケーブル33が外されていない時、行われるように構成しても良い。
【0028】
次に、トンネル坑内で作業を行なう場合に於ける、前記コンクリート吹付け機1の操作方法の一例について順を追って説明する。
(1)コンクリート吹付け機1の待機場所での待機中に、電源ケーブル33を介して充電・蓄電装置31に充分蓄電する。
(2)コンクリート吹付け機1をトンネル坑内の作業位置に移動させる場合は、充電・蓄電装置31への電源ケーブル33からの電力供給を停止させ、電源ケーブル33を外し、充電・蓄電装置31に蓄電された電力を左右駆動装置32a,32bに供給し、左右駆動装置32a,32bの作動により左右下部走行体2a,2bを駆動してコンクリート吹付け機1を走行させ、トンネル坑内の作業位置に移動させる。
【0029】
(3)作業位置に到着したら、エアーコンプレッサー6、コンクリートポンプ7、及び、急結剤添加装置8に電源ケーブル33を接続して電力を供給し、それらの装置を稼動させ、コンクリート吹付け作業を行なわせる。
一方、エアーコンプレッサー6、コンクリートポンプ7、及び、急結剤添加装置8が電源ケーブル33に接続される時、同時に充電・蓄電装置31にも電源ケーブル33を接続し、充電・蓄電装置31に電力を供給して蓄電を行う。
(4)コンクリート吹付け作業が完了したら、エアーコンプレッサー6、コンクリートポンプ7、及び、急結剤添加装置8を停止させ、電源ケーブル33への電力供給を停止させ、更に、充電・蓄電装置31への電力供給を停止させ、電源ケーブル33を外し、充電・蓄電装置31に蓄電された電力を左右駆動装置32a,32bに供給し、左右駆動装置32a,32bの作動により左右下部走行体2a,2bを駆動することによりコンクリート吹付け機1を走行させ、トンネル坑外の待機場所に移動させる。
【0030】
図4に於いて、41は、本発明の第2実施例の、トンネルや地下構造物等にダイナマイトを埋め込む孔、或いは、ロックボルトを挿入する孔等を直径3〜4cm程度の大きさで削孔するための油圧削孔機であり、油圧削孔機41は、車体本体42下部の前後左右に4つの車輪43,43…が配設され、車体本体42下部の四隅部の車輪43,43…外方に4つのアウトリガー44,44…が配設され、車体本体42の前部にブーム・アーム45が俯仰自在に枢着され、ブーム・アーム45の先端部に削孔を行う削孔装置46と、作業員が搭乗するバスケット47とが配設され、車体本体42後部にケーブルリール48が搭載されている。
【0031】
そして、更に、前記車体本体42は、充電及び蓄電を行う充電・蓄電装置61と、充電・蓄電装置61からの給電により、車輪43,43…を駆動させる、減速機付きモータから成る駆動装置62とを搭載する。
従って、本発明の油圧削孔機41の車輪43,43…による走行は、全て充電・蓄電装置61からの給電により作動する、減速機付きモータから成る駆動装置62の駆動によって行われ、車体本体42には、内燃機関(エンジン)及びその燃料タンクを搭載しない。
【0032】
前記充電・蓄電装置61は、図示しない変圧器、A/Dコンバーター等を備える充電部と、バッテリーから成る蓄電部とを具備するものである。
前記駆動装置62は、車輪43,43…のうち左右後輪43a,43bを夫々駆動させる、減速機付きモータから成る2つの左右駆動装置62a,62bで構成されている。
これによって、左右駆動装置62a,62bは、左右後輪43a,43bを夫々直接駆動できることにより、左右駆動装置62a,62bの駆動力を高めることができると共に、左右後輪43a,43bの回転数を個別に且つ容易に変更できるので、油圧削孔機41の走行時の方向転換が容易に行なえる。
尚、前記左右駆動装置62a,62bに代えて、1つの駆動装置62を搭載しても良く、或いは、4つの車輪43,43…を夫々駆動させる4つの駆動装置62,62…を搭載しても良い。又、前記左右駆動装置62a,62bは左右後輪43a,43bを夫々駆動する後輪駆動方式であるが、左右前輪43,43を駆動する前輪駆動方式にすることも可能である。
更に、前記充電・蓄電装置61、駆動装置62は、夫々、前記充電・蓄電装置(図1に於いて31)、前記駆動装置(図1に於いて32)と同じものであっても良いが、その大きさや能力は、搭載する機械の大きさや、能力に対応させたものを用いるものとする。
【0033】
図4に於いて、63は、ケーブルリール48に、適宜、巻き取り巻き戻しされると共に、外部電源(図示せず)に接続される200Vの電源ケーブルである。
電源ケーブル63は、図5に示す如く、充電・蓄電装置61に接続されて、充電・蓄電装置61を蓄電すると共に、削孔装置46に接続されて削孔装置46を稼動させる。尚、図5に示すように、充電・蓄電装置61は駆動装置62に接続されて駆動装置62を作動させると共に、駆動装置62は機械的に動力を伝達して車輪43を駆動させる。
そして、本発明の油圧削孔機41に於いては、電源ケーブル63が、削孔装置46に接続された時、同時に充電・蓄電装置61にも接続され、充電・蓄電装置61の蓄電を行うように構成されている。尚、前述の充電・蓄電装置61への同時接続は、例えば、電気回路上、又は、図示しない制御回路上の構成によって自動的に行なわれる。或いは、充電・蓄電装置61への蓄電は、前記電源ケーブル63が油圧削孔機41に接続されている時、即ち、電源ケーブル63が油圧削孔機41から外されていない時、行われるように構成しても良い。
尚、図4に於いて、64は運転席であり、65は照明である。
【0034】
次に、トンネル坑内で作業を行なう場合に於ける、前記油圧削孔機41の操作方法の一例について順を追って説明する。
(1)油圧削孔機41の待機場所での待機中に、電源ケーブル63を介して充電・蓄電装置61に充分蓄電する。
(2)油圧削孔機41をトンネル坑内の作業位置に移動させる場合は、充電・蓄電装置61への電源ケーブル63からの電力供給を停止させ、電源ケーブル63を外し、充電・蓄電装置61に蓄電された電力を左右駆動装置62a,62bに供給し、左右駆動装置62a,62bの作動により左右後輪43a,43bを駆動して油圧削孔機41を走行させ、トンネル坑内の作業位置に移動させる。
【0035】
(3)作業位置に到着したら、削孔装置46に電源ケーブル63を接続して電力を供給し、削孔装置46を稼動させ、例えば、ダイナマイトを埋め込む孔、或いは、ロックボルトを挿入する孔等を直径3〜4cm程度の大きさで削孔させる。
一方、削孔装置46が電源ケーブル63に接続される時、同時に充電・蓄電装置61にも電源ケーブル63を接続し、充電・蓄電装置61に電力を供給して蓄電を行う。
(4)削孔作業が終了したら、削孔装置46を停止させ、電源ケーブル63への電力供給を停止させ、更に、充電・蓄電装置61への電力供給を停止させ、電源ケーブル63を外し、充電・蓄電装置61に蓄電された電力を左右駆動装置62a,62bに供給し、左右駆動装置62a,62bの作動により左右後輪43a,43bを駆動することにより油圧削孔機41を走行させ、トンネル坑外の待機場所に移動させる。
【0036】
尚、前述した本発明のコンクリート吹付け機及び油圧削孔機は、コンクリート吹付け機又は油圧削孔機の車体本体に充電・蓄電装置と駆動装置とを搭載し、充電・蓄電装置から給電される駆動装置の駆動によって走行するように構成されたものであるが、同様に、トンネルや地下構造物等内で作業を行なう他の作業機械に於いても、その車体本体に充電・蓄電装置と駆動装置とを搭載し、充電・蓄電装置から給電される駆動装置の駆動によって走行するように構成しても良い。その場合に於いても、トンネル坑内や地下構造物等内に於いて、作業機械による火災の発生の虞がなく、又、排気ガスを発生させず、作業員に良好な空気環境を提供することが可能であるという本発明と同様の効果が期待できる。
【符号の説明】
【0037】
1 コンクリート吹付け機
2 下部走行体
2a 左下部走行体
2b 右下部走行体
3,42 車体本体
4,45 ブーム・アーム
5 吹付けノズル
6 エアーコンプレッサー
7 コンクリートポンプ
8 急結剤添加装置
9,48 ケーブルリール
31,61 充電・蓄電装置
32,62 駆動装置
32a,62a 左駆動装置
32b,62b 右駆動装置
33,63 電源ケーブル
41 油圧削孔機
43 車輪
43a 左後輪
43b 右後輪
46 削孔装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体上に車体本体が搭載され、前記車体本体の前部にブーム・アームが俯仰自在に枢着され、前記ブーム・アームの先端部に吹付けノズルが着脱自在に配設され、前記車体本体にエアーコンプレッサー、コンクリートポンプ、急結剤添加装置、及び、ケーブルリールが搭載されたコンクリート吹付け作業を行なうコンクリート吹付け機であって、
前記車体本体は、
充電及び蓄電を行う充電・蓄電装置と、
前記充電・蓄電装置からの給電により作動して前記下部走行体を駆動させる、モータから成る駆動装置とを搭載し、
前記下部走行体は、前記充電・蓄電装置から給電される前記駆動装置の駆動によって走行するように構成されたことを特徴とするコンクリート吹付け機。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記下部走行体を構成する左右下部走行体を夫々駆動する左右駆動装置から成ることを特徴とする請求項1記載のコンクリート吹付け機。
【請求項3】
前記駆動装置は、減速機付きモータであることを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート吹付け機。
【請求項4】
前記充電・蓄電装置は、前記エアーコンプレッサー、コンクリートポンプ、及び、急結剤添加装置が電源ケーブルに接続される時、同時に前記電源ケーブルに接続され蓄電されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一に記載のコンクリート吹付け機。
【請求項5】
車体本体下部に車輪が配設され、車体本体の前部にブーム・アームが俯仰自在に枢着され、前記ブーム・アームの先端部に削孔装置が配設され、前記車体本体にケーブルリールが搭載された削孔を行うための油圧削孔機であって、
前記車体本体は、
充電及び蓄電を行う充電・蓄電装置と、
前記充電・蓄電装置からの給電により作動して前記車輪を駆動させる、モータから成る駆動装置とを搭載し、
前記車輪は、前記充電・蓄電装置から給電される前記駆動装置の駆動によって走行するように構成されたことを特徴とする油圧削孔機。
【請求項6】
前記駆動装置は、左右後輪を夫々駆動する左右駆動装置から成ることを特徴とする請求項5記載の油圧削孔機。
【請求項7】
前記駆動装置は、減速機付きモータであることを特徴とする請求項5又は6記載の油圧削孔機。
【請求項8】
前記充電・蓄電装置は、前記削孔装置が電源ケーブルに接続される時、同時に前記電源ケーブルに接続され蓄電されるように構成されていることを特徴とする請求項5乃至7のうちいずれか一に記載の油圧削孔機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate