説明

コンクリート型枠用セパレータ端部の連結金具嵌め込み用工具

【課題】 コンクリート型枠内にセパレータを落し込んでセパレータ連結金具に組付ける際の施工性が向上する工具を提供する。
【解決手段】 直棒状の主体杆1の外側に打撃材6を先後移動自在に嵌め込み、該打撃材6を衝接させる被打撃材を軸線方向の中間部に設けた前記主体杆1の先端部の軸線上位置に、連結金具101上に載せたコンクリート型枠用セパレータ103端部を内側に係合する押圧縁8を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート躯体構築用の型枠間にセパレータを配するに際し、該セパレータの端部を、前記型枠に取付けた連結金具に、上方から嵌め込むときの作業具として用いる、コンクリート型枠用セパレータ端部の連結金具嵌め込み用工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、型枠に予め取り付けておいた連結金具(例えば、特許文献1参照)の受け部(連結部)にセパレータの端部を組付ける際、そのセパレータは上方から型枠内に落し込んで施工することになるが、型枠が外部からの作業が難しい程の高さがあったり、或いは、型枠内には鉄筋が配筋されていることから、手先だけでの落し込み作業を行うことは非常に困難である。
【0003】
そこで、通常は、連結具の受け部にセパレータの端部を置いた後、桟木などの棒材を用いて、その一端側の小口面でセパレータ端部を押さえた状態で、他端側の小口面を木槌などのハンマーで叩くことで連結金具とセパレータとを接続させ、落し込み作業を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−46325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ハンマー等で棒材の端面を叩く方法は、単純に棒材によってセパレータを押さえているだけなので、叩いた際にセパレータ(又は棒材)がずれてしまったり、また、その叩いた時の反発力(衝撃)によってセパレータが跳ね返ってしまい、結果的に一発で接続することができない。よって、作業者は、再度自らの手で、セパレータの端部を連結金具の受け部に置いて、接続を試みることになり、この方法は手間が掛かるものであった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するものであって、型枠内にセパレータを落し込んでセパレータ連結金具に組付ける際の施工性が向上する工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
直棒状の主体杆の外側に打撃材を先後移動自在に嵌め込み、該打撃材を衝接させる被打撃材を軸線方向の中間部に設けた前記主体杆の先端部の軸線上位置に、連結金具上に載せたコンクリート型枠用セパレータ端部を内側に係合する押圧縁を設けた構成とするのである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、主体杆の軸線上に位置する押圧縁の内側にセパレータ端部を係合して打撃材を被打撃材に衝接させることにより、前記端部を連結金具に嵌め込ませることができるので、従来のように、作業中、セパレータが跳ね返るようなこともなく、また、セパレータ端部に外力(打撃力)を確実に負荷させ、嵌め込み操作を円滑に行うことのできる工具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第一実施例の正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1の拡大図。
【図4】使用状態時の図2の拡大図。
【図5】セパレータに組合わせる直前の、第一実施例の一部斜視図。
【図6】セパレータに組付けた状態の、第一実施例の一部斜視図。
【図7】第二実施例の正面図。
【図8】図7の拡大図。
【図9】使用状態時の、第二実施例の拡大図。
【実施例】
【0010】
本発明に係るコンクリート型枠用セパレータ端部の連結金具嵌め込み用工具Aa,Ab(以下、嵌め込み用工具といい、Aaは第一実施例の嵌め込み用工具を、Abは第二実施例の嵌め込み用工具を示す)は、コンクリート型枠100の内面に突出させて設けた連結金具101の内側に端部を嵌め込んで組付けて、セパレータ103を前記コンクリート型枠100,100間に落とし込む際に用いるものである(図4、図9)。
【0011】
図中、1は嵌め込み工具Aa又はAbの主体杆で、主体杆1は、先後両端部にそれぞれ雄ねじ2a,2b、3a,3bを設けた長い棒杆部2と短い棒杆部3を、長い棒杆部2の後端側の前記雄ねじ2bと短い棒杆3の先端側の前記雄ねじ3aに高ナット4を螺合して接続し、該螺合状態を高ナット4を間において前記雄ねじ2b又は3aに螺合した先後の平ナット5,5´で保持させた棒杆体で構成し、高ナット4を長短の棒杆部2,3のいずれかの一方から取り外すことにより全体の長さを短くできるようにして保管、携帯に便利にしてある。
【0012】
この主体杆1の、後部側の棒杆部3側には、該短い棒杆部3を挿通させるようにして打撃材(スライドハンマー)6を組付けてある。
【0013】
打撃材6は、主体杆1の後端、すなわち、短い棒杆部3の後端の前記雄ねじ3bに螺合して組付けた緩み止めナット7で締付けた平ナット5Aにより棒杆部3の後端から抜けないようにしてあり、また、平ナット5Aと前記後側平ナット5´間を自在に移動し、平ナット5´を被打撃材としてこれに衝接する。
【0014】
なお、打撃材6の主体杆1後端からの抜け止め手段は実施例のようにナット7,5Aで構成する必要はない。
【0015】
そして、その衝接による圧力が主体杆1の先端、すなわち、長い棒杆部2の先端に設けた係止材9又は9Aに伝わり、係止材9,9Aは前記セパレータ103端部を押し下げ、端部が連結金具101の内側に嵌め込まれる。
【0016】
図1乃至図6で示す第一実施例の嵌め込み用工具Aaと、図7乃至図9で示す第二実施例の嵌め込み用工具Abは、この係止材9又は9Aの構成を異にし、残余の点は同一符号で示す通り、構成を同じくする。
【0017】
第一実施例の嵌め込み用工具Aaの係止材9は、金属板を屈曲して、中央部片9aと、その両側は相対設した側部片9b,9bとで成るコ形枠体で構成する。そして、係止材9は、中央部片9aに設けた透孔10に、平ナット5Bを螺合して組付けた、主体杆1の前記長い棒杆部2の先端側雄ねじ2aを挿通させ、透孔10より突出する雄ねじ2aの先端に組付けナット11を螺合して前記平ナット5Bとで挟持するようにして主体杆1(長い棒杆部2)に締付けたものである。
【0018】
この係止材9の前記側部片9b,9bには、側部片9b,9b同士の関係において、互いに反対側の関係にある側端を開口した切欠12をそれぞれ設け、該切欠12,12の互いに一致し、主体杆1の軸線上位置に配した奥端部12bに、切欠12の開口端12aを通じて前記セパレータ103の端部を係合させ、該奥端部12bの縁部を押圧縁8としてセパレータ103端部を押圧するようにしてある。
【0019】
第一実施例の嵌め込み用工具Aaは、コンクリート型枠100に設けた連結金具101上に載せたセパレータ103の、連結金具101より外れた部分の外側に、係止材9の側部片9b,9b間の間隙aを係合させて前記セパレータ103部分に各切欠12の、前記開口端12a,12aが位置するように配して工具Aaを回すと、各切欠12の奥端部12bが前記セパレータ103部分に配置され、工具Aaはセパレータ103に組合わされる。
【0020】
この状態で打撃材6を、主体杆1に沿わせて、上方から下方へと急激に降下させると、該打撃材6は前記平ナット5´で構成した被打撃材に衝接し、これを押圧することになり、該圧力が主体杆1を通して係止材9に設けた切欠12の押圧縁8に伝わり、セパレータ103に負荷され、セパレータ103を降下させることになる。
【0021】
そして、必要に応じて、打撃材6の前記降下操作の繰返しにより、セパレータ103端部は連結金具101に嵌め込まれるのである。
【0022】
図7乃至図9で示す第二実施例の嵌め込み用工具Abの係止材9Aは、棒状体で成り、後端に設けたねじ孔21に、主体杆1の前記長い棒杆部2の先端側雄ねじ2aを螺合させて主体杆1(長い棒杆部2)の先端に取付けたものである。
【0023】
この係止材9Aは、軸線上に互いに並べて設けた第一切欠12Aと第二切欠12Bを備え、作業者の好みに応じていずれかを選択してセパレータ103の連結金具に対する嵌め込み作業を行うようにしてある。そして、第一切欠12Aは、係止材9Aの先端面を開口して主体杆1の後方へ延ばして軸線上に設け、その奥端を、セパレータ103端部に対する押圧縁8Aとしたものである。
【0024】
第二切欠12Bは、第一切欠12Aの後方に位置して設けた軸線方向に長い長孔を、その一側を切り欠いて外部と連通させたような、全体として足の短いややT字形を成し、上端側の奥端縁をセパレータ103端部に対する押圧縁8Bとしたものである。
【0025】
そして、第二実施例の嵌め込み用工具Abは、第一実施例のものと同様に、第一切欠12A又は第二切欠12Bの内側にセパレータ103端部を嵌め込み、押圧縁8A又は8Bを該端部に当てるようにして主体杆1に沿う打撃材6の降下操作を行って被打撃材(実施例では平ナット5´)に衝接させることによって、セパレータ103端部の連結金具101に対する嵌め込み作業を行う。
【0026】
なお、第二実施例は、第一切欠12A側の押圧縁8Aを利用して嵌め込み作業を行うときは、セパレータ103端部の外側に該切欠12Aを上方から嵌め込むに対し、第二切欠12B側の押圧縁8Bを用いて嵌め込むときは、セパレータ103端部の外側に第二切欠12Bを側方から嵌め込むことができるので、コンクリート型枠100内の、鉄筋の配筋状態によっては、セパレータ103に対して縦方向と横方向のいずれかからも組付けられる、適用範囲の広い工具を提供できる。
【0027】
因みに、本発明でいう切欠は図示の形態に限定する必要のないことは勿論であり、要は、押圧縁によって押されたセパレータ端部が主体杆の軸線上位置を外れない形態であれば良い。
【符号の説明】
【0028】
1 主体杆
6 打撃材
8 押圧縁
101 連結金具
103 セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直棒状の主体杆の外側に打撃材を先後移動自在に嵌め込み、該打撃材を衝接させる被打撃材を軸線方向の中間部に設けた前記主体杆の先端部の軸線上位置に、連結金具上に載せたコンクリート型枠用セパレータ端部を内側に係合する押圧縁を設けた、コンクリート型枠用セパレータ端部の連結金具嵌め込み用工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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