説明

コンクリート型枠用セパレータ連結金具

【課題】セパレータが抜け出し難い、コンクリート型枠用セパレータ連結金具を提供すること。
【解決手段】連結金具本体11の前側面114の両側にセパレータ支持溝部114Cの中心に向かって突出する一対の突部114L1,114R1を設ける際、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向において、左側前側面114Lにおける突部114L1の設置位置を、右側前側面114Rにおける突部114R1の設置位置より高くずらしている。そして、一対の突部114L1,114R1の先端部間の最小間隔を、ナット2cより内側のセパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径より小さくして、セパレータ2の軸部2aの抜け止めを行うように形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータにおいて、ナットが螺着されたコンクリート型枠用セパレータの両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、梁型枠などの所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具について、本件出願人は以前出願して公開されており(例えば、特許文献1参照。)、また、他者からも出願されて公開・意匠登録等されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−046325号公報
【特許文献2】特開2007−154515号公報
【特許文献3】意匠登録第1140137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来のコンクリート型枠用セパレータ連結金具は、基本的には一対の折り曲げ片のみで抜け止めを行うものである。ところが、コンクリート型枠用セパレータを接続する際の極端な施工誤差や、コンクリート打設中のバイブレータなど、想定を超えた使用条件下では、連結金具からコンクリート型枠用セパレータが抜け出すおそれがあり、改善の余地があった。
【0005】
すなわち、一般的に、一対のコンクリート型枠内面のそれぞれの対向位置に一対の連結金具を設ける場合、必ず、多少の施工誤差が生じ、厳密な同一直線上には取り付けられない。例えば、一組の連結金具の一方が上下方向に大きくずれて取り付けられた場合、コンクリート型枠用セパレータの一方側(先入れ側)の端部を連結金具に打ち込んだ後、他方側(後入れ側)の端部を打ち込む際に、一方側(先入れ側)が、テコの反力によって外れてしまうことがある。
【0006】
また、上記特許文献2,3の従来技術であっても、左右の両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げて形成したメインストッパーである一対の突部の他に、連結金具本体の前側面のセパレータ支持溝に突起等のサブストッパーを設けてコンクリート型枠用セパレータの抜け出しを抑制するようにしているが、単に上方からコンクリート型枠用セパレータを抑えているに過ぎないため、コンクリートの打設中に、バイブレータ等がコンクリート型枠用セパレータに当たると、その振動によって、コンクリート型枠用セパレータが外れることがあった。特に、壁厚が施工誤差等によりプラスになった場合、上方からコンクリート型枠用セパレータが浮き易く、簡単に外れることがあった。
【0007】
また、コンクリート型枠用セパレータ連結金具は、コンクリート型枠の外側からフォームタイ(登録商標)等の型枠締付金具により、そのネジ棒を締め付けてコンクリート型枠の内側に固定しているが、その際、コンクリート型枠用セパレータ連結金具が供回りをしてコンクリート型枠に対し斜めに取付けられることがあり、このような場合、上手くコンクリート型枠用セパレータを連結金具本体の前側面のセパレータ支持溝に入れないと、さらに、コンクリート型枠用セパレータ連結金具が緩む方向に回転してしまい、コンクリート型枠用セパレータが外れるおそれがある、という問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、コンクリート型枠用セパレータが抜け出し難い、コンクリート型枠用セパレータ連結金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のコンクリート型枠用セパレータ連結金具は、所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具であって、コンクリート型枠に挿入され、型枠締付金具により当該コンクリート型枠の外側から締め付け固定されるネジ棒と、上記ネジ棒先端に取り付けられた後側面と、左右両側面と、底面と、前側面とを有する上部開放形状で、上記コンクリート型枠用セパレータ端部を支持する連結金具本体とを有し、上記連結金具本体は、上記セパレータ端部のナットを収容するナット収容部と、上記前側面の中央を縦方向に長尺状に切り欠くことにより形成され、上記ナットより内側の上記コンクリート型枠用セパレータ端部を支持する長尺状のセパレータ支持溝部と、上記セパレータ支持溝部の両側の前側面それぞれにおける上記セパレータ支持溝部の長手方向の高さが異なる位置に、上記セパレータ支持溝部の中央に向かって突出して設けられ、それらの先端部間の最小間隔が上記ナットより内側の上記コンクリート型枠用セパレータ端部の外径より小さく、上記ナットより内側の上記コンクリート型枠用セパレータ端部の抜け止めを行う一対の突部と、を有することを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具である。
ここで、上記連結金具本体は、さらに、上記左右両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げ、上記左右両側面それぞれから上記連結金具本体内に突出し、その最小間隔が上記コンクリート型枠用セパレータの端部の外径より小さい間隙を有し、かつ、その先端部により上記ナットより外側に突出する上記コンクリート型枠用セパレータ端部の抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部を有する、ようにしても勿論よい。
また、上記一対の突部のうち、上記セパレータ支持溝部の長手方向における高さの高い方の突部は、上記側面折り曲げ部の先端部より低い位置になるように設ける、ようにしても勿論よい。
また、上記一対の突部のうち、上記ネジ棒に対する上記型枠締付金具による締め付けによる上記連結金具本体の回転方向とは反対側の突部の上記セパレータ支持溝部の長手方向における高さを高くする、ようにしても勿論よい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンクリート型枠用セパレータ連結金具では、連結金具本体の前側面の中央に形成した長尺状のセパレータ支持溝部の両側に一対の突部を設けると共に、その一対の突部は、セパレータ支持溝部の長手方向の高さが異なる位置にずらして設けたので、一対の突部を同じ高さに設ける従来の場合より、一対の突部の先端部間の間隔を狭くすることができる。その結果、コンクリート型枠用セパレータを係止する際に、コンクリート型枠用セパレータが上方へ抜け出ようとしても、セパレータ支持溝部の長手方向の高さが異なる位置に設けた一対の突部により、コンクリート型枠用セパレータの抜け出しを効果的に抑止することができるので、従来よりセパレータを強固に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具とセパレータとをコンクリート型枠に配置した状態を示す断面図である。
【図2】図1におけるA部分の部分断面図である。
【図3】本発明にかかる実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具とセパレータとの外観を示す斜視図である。
【図4】(a),(b)は、それぞれ、実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体の正面図、平面図の一例を示す図である。
【図5】(a),(b)は、それぞれ、図4に示す実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体のB−B線断面図、C−C線断面図である。
【図6】実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体の回転方向等を示す図である。
【図7】実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体が傾いた場合の作用を示す図である。
【図8】実施の形態の他の例による連結金具本体が傾いた場合の作用を示す図である。
【図9】実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るコンクリート型枠用セパレータ連結金具の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1と、セパレータ2とを一対のコンクリート型枠4,4に配置した状態を示す断面図、図2は、図1におけるA部分の部分断面図、図3は、本発明にかかる実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1とコンクリート型枠用セパレータ(以下、セパレータと略す。)2との外観を示す斜視図である。
【0014】
図1および図2に示すように、実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1は、所定間隔離され、鉄筋5が配筋された対向する一対のコンクリート型枠4,4に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠4,4間に挿入されるセパレータ2の両端部を支持するものである。なお、図1において、6はコンクリート型枠板4の外側からコンクリート型枠用セパレータ連結金具1を取り付けるフォームタイ、7,8はバタ材である。
【0015】
コンクリート型枠用セパレータ連結金具1は、図2および図3に示すように、両コンクリート型枠板4,4の内側に取り付けられ、それぞれナット2cが螺合されているセパレータ2の両端部を支持する連結金具本体11と、その連結金具本体11に取付けられてその端部がコンクリート型枠板4を貫通して外側に伸びるネジ棒12と、そのネジ棒12に貫通して設けられる金属製円錐台状のコーン部材13を有する。
【0016】
連結金具本体11は、図2および図3に示すように、ネジ棒12先端に取り付けられる後側面111と、左側面112Lと、右側面112Rと、底面113と、前側面114とを有する上部開放形状で構成されている。
【0017】
連結金具本体11の後側面111には、図2や後述する図5(b)に示すように、係合溝111aが設けられており、その係合溝111aに、ネジ棒12の一端に設けたくびれ部12cが回転可能に支持される。そして、ネジ棒12先端の円盤部12aが連結金具本体11内に収納された状態で取り付けられ、その円盤部12aが連結金具本体11の後側面111に当り、連結金具本体11からのネジ棒12の抜け止めを図っている。なお、本発明では、ネジ棒12にくびれ部12cを設けるか否かは任意である。
【0018】
また、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rには、図3に示すように、それぞれの一部に上端から底面113に向かって切り込みを入れ、かつ、内側に折り曲げて、左右の両側面112L,112Rそれぞれから連結金具本体11内に突出し、その最小間隔がセパレータ2先端のネジ部2bの外径より小さく、かつ、その先端部によりセパレータ2先端のネジ部2bを狭持する一対の側面折り曲げ部112L1,112R1を有する。
【0019】
そして、図2および図3に示すように、その一対の側面折り曲げ部112L1,112R1と、左右の両側面112L,112Rと、前側面114とにより、セパレータ2先端のナット2cを収容するナット収容部11aを形成している。
【0020】
また、連結金具本体11の前側面114には、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1とほぼ同じであるか、わずかに大きく、図上鉛直方向であって長尺状に切り欠かかれ、セパレータ2の軸部2aを支持するセパレータ支持溝部114Cと、そのセパレータ支持溝部114Cの上部に突出して設けられ、その最小間隔がセパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1より小さくセパレータ2の抜け止めを行う前側面抜け止め部である一対の突部114L1,114R1とを設けている。なお、本実施形態の特徴部分である一対の突部114L1,114R1の関係については、後で詳述する。また、本発明では、セパレータ2の軸部2aに、係止溝2a1を設けるか否か任意である。
【0021】
また、連結金具本体11の底面113には、図2および後述する図4(b)に示すように、水抜き孔113aが形成されている。
【0022】
また、ネジ棒12の他端には、図2および図3に示すように、ネジ部12bが形成されており、図2に示すように、コンクリート型枠板4に形成された通し穴4aから外側に突出して、図1に示すように、コンクリート型枠板4の外側に設けたフォームタイ6やバタ材7,8を介してコンクリート型枠板4に固定される。
【0023】
コーン部材13は、図2等に示すように、プレス加工等により形成され、その内側端13aが連結金具本体11の後側面111に接し、外側端13bがコンクリート型枠板4の内面に接して、連結金具本体11をコンクリート型枠板4に対して所定間隔離すものである。
【0024】
セパレータ2は、図2および図3に示すように、軸部2aの両端に、それぞれ、ネジ部2bが設けられており、ネジ部2bにはナット2cが取り付けられている。そして、セパレータ2を連結金具本体11の上に仮置きし、ハンマー等により叩いて、ナット2cを連結金具本体11のナット収容部11aに嵌め込み本置きする場合、このネジ部2bが、図2及び図3に示すように、一対の側面折り曲げ部112L1,112R1間に圧入され、その下方空間に嵌め込まれる。また、前述したように、セパレータ2の軸部2aとネジ部2bの境界部分の外周には、係止溝2a1が形成されており、この軸部2aの係止溝2a1が、突部114L1,114R1との間に圧入され、セパレータ支持溝部114C内に嵌め込まれる。
【0025】
図4(a),(b)は、それぞれ、実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1の連結金具本体11の正面図、平面図の一例を示す図、図5(a),(b)は、それぞれ、図4(b)におけるB−B線断面図、C−C線断面図である。
【0026】
図4(a)に示すように、連結金具本体11の前側面114は、その中央部分を縦方向に、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1とほぼ同じか、わずかに大きく切り欠かれた、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1を支持する図上鉛直方向に長尺状のセパレータ支持溝部114Cが形成され、右側前側面114Rと、左側前側面114Lとに区分されている。
【0027】
そして、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a)に示すように、右側前側面114Rと左側前側面114Lそれぞれにおける、セパレータ支持溝部114Cの長手方向の高さが異なる位置に、セパレータ支持溝部114Cの中心に向かって突出する一対の突部114L1,114R1を設けている。
【0028】
ここで、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a)から明らかなように、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向において、左側前側面114Lにおける突部114L1の設置位置を、右側前側面114Rにおける突部114R1の設置位置より高くずらしている。そして、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、一対の突部114L1,114R1の先端部間の最小間隔を、ナット2cより内側のセパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径より小さくして、セパレータ2の軸部2aの抜け止めを行うように形成している。
【0029】
ここで、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、一対の突部114L1,114R1の先端部間の水平方向の最小間隔は、その一対の突部114L1,114R1をセパレータ支持溝部114Cの長手方向の高さが異なる位置にずらして設けているので、一対の突部を同じ高さに設ける従来の場合より、その一対の突部114L1,114R1の先端部間の間隔を狭くすることができる。その結果、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1によれば、一対の側面折り曲げ部112L1,112R1と一対の突部114L1,114R1との2箇所でセパレータ2を係止する際に、セパレータ2が上方へ抜け出ようとしても効果的に抑止することができるので、従来よりセパレータを強固に支持することができ、バイブレータ等が当ったとしても、セパレータが抜け出し難くなる。
【0030】
なお、本発明では、セパレータ支持溝部114Cの短手方向、すなわち図上水平方向における突部114R1の突出高さと、同方向における突部114L1の突出高さは、同じでも、異なっていてもどちらでも良いが、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、説明の便宜上、同じものとして説明する。
【0031】
また、図4(a),(b)に示すように、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rそれぞれの一部に対称に切り込みを入れ、その後、内側に折り曲げて湾曲させ、左右の両側面112L,112Rそれぞれから連結金具本体11内に突出し、セパレータ2先端のネジ部2bを支持するほぼ対称形状の一対の側面折り曲げ部112L1,112R1を設けている。ここで、側面折り曲げ部112L1,112R1間の最小間隔、すなわちそれらの先端部間の間隔h3は、突部114L1,114R1先端間の水平間隔h21と同様に、セパレータ2のネジ部2bの外径φ2より小さくしている。ここで、本発明では、側面折り曲げ部112R1,112Lの形状は、直線的に折り曲げるだけでなく、湾曲させても勿論よい。また、本発明では、左右の両側面112L,112Rに設ける一対の側面折り曲げ部112L1,112R1は、左右の両側面112L,112Rそれぞれの上方から折り曲げずに、左右の両側面112L,112Rのそれぞれにおいて、途中部分に縦方向に2本の切り込みと、それらの下端側をつなぐ切り込みを入れて、その下端側が内側に張り出すように折り曲げた形状でも良い。なお、本発明では、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rに側面折り曲げ部112L1,112R1を設けることは任意であり、側面折り曲げ部112L1,112R1を省略しても良い。
【0032】
ここで、例えば、左右の前側面114R,114Lの内縁間の距離h1を、8.5mm、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1を6.2mm、セパレータ2のネジ部2bの最大外径φ2を7.9mm、軸部2aの係止溝2a1部分以外の外径を6.9mmとする。すると、本実施の形態の場合、セパレータ支持溝部114Cの短手方向、すなわち図上水平方向における突部114R1および突部114L1の突出高さを1.6mmとすると、突部114L1,114R1の先端部間の図上水平方向の水平間隔h21は、5.3mmとなる。ただし、突部114L1,114R1の先端部間を結ぶ斜めの直線間隔h2’は、ほぼ5.9mmとなり、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1の6.2mm以下とする。
【0033】
なお、側面折り曲げ部112L1,112R1の最小間隔、すなわちそれらの先端部間の間隔h3は、7.8mmとして、セパレータ2のネジ部2bの最大外径φ2の7.9mm以下とする
【0034】
これにより、セパレータ2をハンマー等により叩く等して、セパレータ2両端が、それぞれ側面折り曲げ部112L1,112R1および突部114L1,114R1のそれぞれの隙間の水平間隔h3,h21を、それらの素材の弾性に抗しながら乗り越えて連結金具本体11内の所定位置に嵌め込まれた本置き状態では、セパレータ支持溝部114Cの長手方向の設置高さが異なる突部114L1,114R1と、同方向に設置高さが同じ側面折り曲げ部112L1,112R1とにより、セパレータ2の上方への抜け止めを図ることになる。
【0035】
ところで、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1の連結金具本体11は、図1や図2に示すように、コンクリート型枠4の外側で、ネジ棒12にフォームタイ6を取付け、図6に示すように、フォームタイ6を矢印Dの方向に回転させてコンクリート型枠用セパレータ連結金具1をコンクリート型枠4に取り付けている。そのため、例えば、図7に示すように、D方向へのフォームタイ6の回転により、連結金具本体11もD方向に供回りして傾くことがある。
【0036】
ここで、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a)や、図6および図7に示すように、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向において、ネジ棒12に対するフォームタイ6による締め付けにより連結金具本体11の回転方向Dとは反対側である、左側前側面114Lにおける突部114L1の設置位置を、右側前側面114Rにおける突部114R1の設置位置より高く形成しているので、連結金具本体11がD方向に供回りして図7に示すように傾いた場合、突部114R1の先端部と、突部114L1の先端部とを結ぶ直線の傾きがさらに大きくなり、突部114R1の先端部と、突部114L1の先端部との水平間隔h22が、図6に示す連結金具本体11が傾いていない場合の水平間隔h21と比較して小さくなる。
【0037】
そのため、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、D方向へのフォームタイ6の回転により、連結金具本体11もD方向に供回りして傾いて取り付けられていた際に、セパレータ2両端がそれぞれ側面折り曲げ部112L1,112R1および突部114L1,114R1のそれぞれの隙間の水平間隔h3,h22を、それらの素材の弾性に抗しながら乗り越えて連結金具本体11内の所定位置に嵌め込まれた本置きされた場合、突部114R1の先端部と、突部114L1の先端部との水平間隔h22(図7参照。)が、連結金具本体11が傾いていない場合の水平間隔h21(図6参照。)と比較して小さくなるので、連結金具本体11が傾いていない場合よりも、よりセパレータ2の上方への抜け止めを図ることができることになる。
【0038】
なお、本実施の形態とは異なり、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向において、ネジ棒12に対するフォームタイ6による締め付けにより連結金具本体11の回転方向D側とは反対方向E側の左側前側面114Lにおける突部114L2の設置位置を、右側前側面114Rにおける突部114R2の設置位置より低く形成した場合には、図8に示すように、突部114R1の先端部と、突部114L1の先端部とを結ぶ直線の傾きがいったん水平方向に近付こうとするので、突部114R1の先端部と、突部114L1の先端部との水平間隔h23が、図6に示す連結金具本体11が傾いていない場合の水平間隔h21より大きくなるので、連結金具本体11が傾いていない場合よりも、セパレータ2が上方へ抜け易くなる。
【0039】
また、セパレータ2を連結金具本体11に本置きする際に、連結金具本体11が傾いていると、仮置きしたセパレータ2が簡単に落下したり、仮置きしたセパレータ2をハンマー等により叩いた際に、連結金具本体11もさらにD方向へ回転して、セパレータ2を本置きできない場合がある。特に、連結金具本体11がさらにD方向に回転すると、連結金具本体11の取り付けが緩むことになるので、連結金具本体11がD方向とは逆のE方向に戻すことができると、連結金具本体11の取り付けが強固になり、連結金具本体11の取り付けの点でも望ましい。
【0040】
また、本実施の形態コンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a)や、図6および図7等に示すように、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向において、左側前側面114Lにおける突部114L1の設置位置を、右側前側面114Rにおける突部114R1の設置位置より高く形成しているので、側面折り曲げ部112L1,112R1先端部間に仮置きされたセパレータ2を下方にハンマー等により叩いて本置きする場合、セパレータ2は、両側面112L,112Rの先端部間に仮置きされた状態からセパレータ支持溝部114Cの長手方向の取付け位置の高い左側前側面114Lの突部114L1に先に当ることになる。すると、ハンマー等により叩かれたセパレータ2は、セパレータ支持溝部114Cの長手方向の取付け位置の高い突部114L1を介して、連結金具本体3全体をD方向とは逆方向のE方向に回転するように押すことになる。これにより、連結金具本体11が締め付け方向のE方向に回転して、連結金具本体11がより強固にコンクリート型枠4に取り付けられることになり、連結金具本体11の取り付けがより強固になることも期待できることになる。なお、図8に示すように、本実施の形態とは異なり、左側前側面114Lにおける突部114L1の設置位置を、右側前側面114Rにおける突部114R1の設置位置より低く形成した場合には、セパレータ支持溝部114Cの長手方向の取付け位置の高い右側前側面114Rの突部114R4に先に当ることになるので、連結金具本体11がさらにD方向に回転して、連結金具本体11の取り付けが緩むおそれがある。
【0041】
従って、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向において、一対の突部114R,114Lのうち、ネジ棒12に対するフォームタイ6による締め付けにより連結金具本体11の回転方向Dとは反対側である、左側前側面114Lにおける突部114L1の設置位置を、右側前側面114Rにおける突部114R1の設置位置より高く形成しているので、一対の突部を同じ高さに設ける従来の場合より、一対の突部114R,114Lの先端部間の間隔を狭くすることができるので、従来よりもセパレータ2が上方へ抜けることを抑制することができると共に、たとえ、フォームタイ6のD方向への回転により、連結金具本体11もD方向に供回りして傾いて取り付けられていた場合でも、突部114L1および突部114R1の取り付け位置が同じ従来の支持方法と較べて、より強固にセパレータ2が上方へ抜けることを抑制することができる。
【0042】
特に、本実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、同じコンクリート型枠用セパレータ連結金具1を左右両側のコンクリート型枠板4,4にそれぞれ取り付けると、左側のコンクリート型枠板4の取り付けられたコンクリート型枠用セパレータ連結金具1と、右側のコンクリート型枠板4の取り付けられたコンクリート型枠用セパレータ連結金具1とでは、前後方向で逆側、すなわち対角線となる左側前側面114Lにおける突部114L1の設置位置が右側前側面114Rにおける突部114R1の設置位置より高くなるので、この点でも、よりさらに強固にセパレータ2が上方へ抜けることを抑制することが可能となる。
【0043】
また、本実施の形態では、図4(a)に示すように、突部114L1,114R1のうち、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向における高さの高い左側前側面114Lにおける突部114L1の先端部を、側面折り曲げ部112L1,112R1の先端部より低い位置になるように設けている。これにより、本実施の形態では、セパレータ2を連結金具本体11に仮置きした場合、セパレータ2は、セパレータ支持溝部114Cの長手方向の設置高さが同じ側面折り曲げ部112L1,112R1上に仮置きされ、セパレータ支持溝部114Cの長手方向の設置高さが異なる突部114L1,114R1上に仮置きされることはないので、セパレータ支持溝部114Cの長手方向における突部114L1,114R1の設置高さを異なるようにしても、セパレータ2を連結金具本体11に安定して仮置きすることが可能となる。
【0044】
なお、本発明では、突部114L1,114R1のうち、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向における高さの高い左側前側面114Lにおける突部114L1の先端部を、側面折り曲げ部112L1,112R1の先端部より低い位置になるように設けることは、任意であるが、安定した仮置きのことを考慮すると、突部114L1,114R1の先端部は、側面折り曲げ部112L1,112R1の先端部と同じ高さか、側面折り曲げ部112L1,112R1の先端部より低い位置にすることが望ましい。
【0045】
また、前記実施の形態では、連結金具本体11本体の前側面部114にセパレータ支持溝部114Cの長手方向で設置位置の異なる一対の突部114L1,114R1を設けると共に、左右両側面部112R,112Lに側面折り曲げ部112L1,112R1を設けて説明したが、本発明では、これに限らず、左右両側面部112R,112Lに側面折り曲げ部112L1,112R1を設けるか否かは任意であり、側面折り曲げ部112L1,112R1を省略しても勿論よい。
【0046】
また、本発明では、供回り等による連結金具本体11のD方向への傾きを考慮しないのであれば、図8に示すように、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向において、連結金具本体11の回転方向D側とは反対方向E側の左側前側面114Lにおける突部114L2の設置位置を、右側前側面114Rにおける突部114R2の設置位置より低く形成するようにしても勿論よい。
【0047】
また、本発明では、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向において、左側前側面114Lにおける突部の設置位置と、右側前側面114Rにおける突部の設置位置とを変えれば十分であるので、図9に示すように、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向において、左側前側面114Lにおける突部114L3の設置位置を、右側前側面114Rにおける突部114R3の設置位置より高くしつつも、突部114R3,114L3の底辺114R31,114L31を水平線とするようにしても勿論良い。
【符号の説明】
【0048】
1 コンクリート型枠用セパレータ連結金具
11 連結金具本体
11a ナット収容部
111 外側面
112L 左側面
112R 右側面
112L1,112R1 側面折り曲げ部
113 底面
114 前側面
114L1〜6,114R1〜6 突部(前側面抜け止め部)
114C セパレータ支持溝部
12 ネジ棒
13 コーン部材
2 コンクリート型枠用セパレータ
2a 軸部
2b ネジ部
2c ナット
4 ,4 コンクリート型枠板
5 鉄筋
6 フォームタイ(型枠締付金具)
7,8 バタ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具であって、
コンクリート型枠に挿入され、型枠締付金具により当該コンクリート型枠の外側から締め付け固定されるネジ棒と、
上記ネジ棒先端に取り付けられた後側面と、左右両側面と、底面と、前側面とを有する上部開放形状で、上記コンクリート型枠用セパレータ端部を支持する連結金具本体とを有し、
上記連結金具本体は、
上記セパレータ端部のナットを収容するナット収容部と、
上記前側面の中央を縦方向に長尺状に切り欠くことにより形成され、上記ナットより内側の上記コンクリート型枠用セパレータ端部を支持する長尺状のセパレータ支持溝部と、上記セパレータ支持溝部の両側の前側面それぞれにおける上記セパレータ支持溝部の長手方向の高さが異なる位置に、上記セパレータ支持溝部の中央に向かって突出して設けられ、それらの先端部間の最小間隔が上記ナットより内側の上記コンクリート型枠用セパレータ端部の外径より小さく、上記ナットより内側の上記コンクリート型枠用セパレータ端部の抜け止めを行う一対の突部と、
を有することを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【請求項2】
請求項1に記載のコンクリート型枠用セパレータ連結金具において、
上記連結金具本体は、さらに、
上記左右両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げ、上記左右両側面それぞれから上記連結金具本体内に突出し、その最小間隔が上記コンクリート型枠用セパレータの端部の外径より小さい間隙を有し、かつ、その先端部により上記ナットより外側に突出する上記コンクリート型枠用セパレータ端部の抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部を有する、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【請求項3】
請求項2に記載のコンクリート型枠用セパレータ連結金具において、
上記一対の突部のうち、上記セパレータ支持溝部の長手方向における高さの高い方の突部は、
上記側面折り曲げ部の先端部より低い位置になるように設ける、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一の請求項に記載のコンクリート型枠用セパレータ連結金具において、
上記一対の突部のうち、上記ネジ棒に対する上記型枠締付金具による締め付けによる上記連結金具本体の回転方向とは反対側の突部の上記セパレータ支持溝部の長手方向における高さを高くする、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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