コンクリート型枠用セパレータ連結金具
【課題】セパレータが抜け出し難い、コンクリート型枠用セパレータ連結金具を提供すること。
【解決手段】連結金具本体の左右の両側面112L,112Rそれぞれに、その上辺から下辺に向かいその途中まで二条の切り込みを入れ、その後、その上辺を左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の折曲げ角度θL1より、右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の折曲げ角度θR1の方を大きくして、図上鉛直方向における右側面112R側の側面折り曲げ部112R1先端部の高さより、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1先端部の高さが高くなるように内側に折り曲げ、左右の両側面112L,112Rそれぞれから連結金具本体11内に突出し、セパレータ2先端部のネジ部2bの抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部112L1,112R1を設ける。
【解決手段】連結金具本体の左右の両側面112L,112Rそれぞれに、その上辺から下辺に向かいその途中まで二条の切り込みを入れ、その後、その上辺を左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の折曲げ角度θL1より、右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の折曲げ角度θR1の方を大きくして、図上鉛直方向における右側面112R側の側面折り曲げ部112R1先端部の高さより、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1先端部の高さが高くなるように内側に折り曲げ、左右の両側面112L,112Rそれぞれから連結金具本体11内に突出し、セパレータ2先端部のネジ部2bの抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部112L1,112R1を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、梁型枠などの所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具について、本件出願人は以前出願して公開されており(例えば、特許文献1参照。)、また、他者からも出願されて公開・意匠登録等されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−046325号公報
【特許文献2】特開2007−154515号公報
【特許文献3】意匠登録第1140137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来のコンクリート型枠用セパレータ連結金具は、基本的には一対の折り曲げ片のみで抜け止めを行うものである。ところが、コンクリート型枠用セパレータを接続する際の極端な施工誤差や、コンクリート打設中のバイブレータなど、想定を超えた使用条件化では、連結金具からコンクリート型枠用セパレータが抜け出すおそれがあり、改善の余地があった。
【0005】
すなわち、一般的に、一対のコンクリート型枠内面のそれぞれの対向位置に一対の連結金具を設ける場合、必ず、多少の施工誤差が生じ、厳密な同一直線上には取り付けられない。例えば、一組の連結金具の一方が上下方向に大きくずれて取り付けられた場合、コンクリート型枠用セパレータの一方側(先入れ側)の端部を連結金具に打ち込んだ後、他方側(後入れ側)の端部を打ち込む際に、一方側(先入れ側)が、テコの反力によって外れてしまうことがある。
【0006】
また、上記特許文献2,3の従来技術であっても、左右の両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げて形成したメインストッパーである一対の側面折り曲げ部の他に、連結金具本体の前側面のセパレータ支持溝に突起等のサブストッパーを設けてコンクリート型枠用セパレータの抜け出しを防止するようにしているが、単に上方からコンクリート型枠用セパレータを抑えているに過ぎないため、コンクリートの打設中に、バイブレータ等がコンクリート型枠用セパレータに当たると、その振動によって、コンクリート型枠用セパレータが外れることがあった。特に、壁厚が施工誤差等によりプラスになった場合、上方からコンクリート型枠用セパレータが浮き易く、簡単に外れることがあった。
【0007】
また、コンクリート型枠用セパレータ連結金具は、コンクリート型枠の外側からフォームタイ(登録商標)等の型枠締付金具により、そのネジ棒を締め付けてコンクリート型枠の内側に固定しているが、その際、コンクリート型枠用セパレータ連結金具が供回りをしてコンクリート型枠に対し斜めに取付けられることがあり、このような場合、上手くコンクリート型枠用セパレータを連結金具本体の前側面のセパレータ支持溝に入れないと、さらに、コンクリート型枠用セパレータ連結金具が緩む方向に回転してしまい、コンクリート型枠用セパレータが外れるおそれがある、という問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、コンクリート型枠用セパレータが抜け出し難い、コンクリート型枠用セパレータ連結金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のコンクリート型枠用セパレータ連結金具は、所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具であって、コンクリート型枠に挿入され、型枠締付金具により当該コンクリート型枠の外側から締め付け固定されるネジ棒と、上記ネジ棒先端に取り付けられた後側面と、左右両側面と、底面と、前側面とを有する上部開放形状で、上記コンクリート型枠用セパレータ端部のナットを収容すると共に、上記前側面の上辺のほぼ中央から上記底面に向かって切り欠かれたセパレータ支持溝部により上記ナットより内側の上記コンクリート型枠用セパレータの軸部を支持する連結金具本体とを有し、上記連結金具本体の上記左右両側面には、上記左右両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げ、上記左右両側面それぞれから上記連結金具本体内に突出し、その最小間隔が上記ナットより外側に突出する上記コンクリート型枠用セパレータ先端部の外径より小さい間隙により,上記コンクリート型枠用セパレータ先端部の抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部が形成され、上記セパレータ支持溝部の長手方向における上記一対の側面折り曲げ部の先端部の高さが異なる、ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具である。
ここで、上記一対の側面折り曲げ部のうち、上記ネジ棒に対する上記型枠締付金具による締め付けにより上記連結金具本体の回転方向とは反対側となる側面折り曲げ部の先端部の高さを、上記連結金具本体の回転方向側となる側面折り曲げ部の先端部の高さより高くする、ようにしても勿論よい。
また、上記連結金具本体の上記前側面には、上記セパレータ支持溝部の両側からその中心に向かって突出して設けられ、それらの先端部間の最小間隔が上記ナットより内側の上記セパレータの軸部の外径より小さく、当該軸部の抜け止めを行う一対の突部を有する、ようにしても勿論よい。
また、上記セパレータ支持溝部の長手方向における上記一対の側面折り曲げ部の先端部の高さより、上記一対の突部の先端部の高さの方が高い、ようにしても勿論よい。
なお、上記一対の側面折り曲げ部は、上記連結金具本体の左右の両側面それぞれの上辺から底面に向かって途中まで二条の切り込みを入れ、かつ、その切り込み間の上端部を内側に折り曲げ、左右の両側面それぞれから連結金具本体内に突出させて形成される、ようにしても勿論よい。また、上記一対の側面折り曲げ部は、上記セパレータ支持溝部の長手方向における上記連結金具本体の左右の両側面それぞれのほぼ中央部分から上辺に向かい途中まで二条の切り込みを入れると共に、その中央部分の切り込み開始地点の2箇所を結ぶように切込みを入れ、かつ、その下端部を内側に折り曲げことにより形成される、ようにしても勿論よい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンクリート型枠用セパレータ連結金具では、連結金具本体の左右両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げて、その先端部によりナットより外側に突出するコンクリート型枠用セパレータ端部の抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部を設けているが、その一対の側面折り曲げ部の先端部のセパレータ支持溝部の長手方向における高さをずらしたので、高さを同一にする従来の場合と較べて、その先端部間の間隔を小さくすることができる。その結果、コンクリート型枠用セパレータが上方へ抜けようとしたときに効果的に抑止することが可能となり、従来よりセパレータを強固に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具とセパレータとをコンクリート型枠に配置した状態を示す断面図である。
【図2】図1におけるA部分の部分断面図である。
【図3】本発明に係る実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具とセパレータとの外観を示す斜視図である。
【図4】(a),(b)は、それぞれ、実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体の正面図、平面図の一例を示す図である。
【図5】(a),(b)は、それぞれ、図4に示す実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体のB−B線断面図、C−C線断面図である。
【図6】本発明に係る実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の供回りの方向等を示す断面図である。
【図7】本発明に係る実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体が傾いた場合の作用等を示す断面図である。
【図8】本発明に係る実施の形態1の変形例のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体が傾いた場合の作用等を示す断面図である。
【図9】(a)〜(c)は、それぞれ、実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の他の例を示す断面図である。
【図10】(a),(b)は、それぞれ、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の斜視図、および一対の側面折り曲げ部の折れ曲がり状態を示す断面図である。
【図11】(a)〜(c)は、それぞれ、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の他の例を示す断面図である。
【図12】実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”の連結金具本体の前側面部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るコンクリート型枠用セパレータ連結金具の実施の形態1〜3を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1と、セパレータ2とを一対のコンクリート型枠4,4に配置した状態を示す断面図、図2は、図1におけるA部分の部分断面図、図3は、本発明に係る実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1とコンクリート型枠用セパレータ(以下、セパレータと略す。)2との外観を示す斜視図である。
【0014】
図1および図2に示すように、実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1は、所定間隔離され、鉄筋5が配筋された対向する一対のコンクリート型枠4,4に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠4,4間に挿入されるセパレータ2の両端部を支持するものである。なお、図1において、6はコンクリート型枠板4の外側からコンクリート型枠用セパレータ連結金具1を取り付けるフォームタイ、7,8はバタ材(通しバタ)である。
【0015】
コンクリート型枠用セパレータ連結金具1は、図2および図3に示すように、両コンクリート型枠板4,4の内側に取り付けられ、それぞれナット2cが螺合されているセパレータ2の両端部を支持する連結金具本体11と、その連結金具本体11に取付けられてその端部がコンクリート型枠板4を貫通して外側に伸びるネジ棒12と、そのネジ棒12に貫通して設けられる金属製円錐台状のコーン部材13を有する。
【0016】
連結金具本体11は、図2および図3に示すように、ネジ棒12先端に取り付けられる後側面111と、左側面112Lと、右側面112Rと、底面113と、前側面114とを有する上部開放形状で構成されている。
【0017】
連結金具本体11の後側面111には、図2や後述する図5(b)に示すように、図上鉛直方向に延びる係合溝部111aが設けられており、その係合溝部111aに、ネジ棒12の一端に設けたくびれ部12cが回転可能に支持される。そして、ネジ棒12先端部の円盤部12aが連結金具本体11内に収納された状態で取り付けられ、その円盤部12aが連結金具本体11の後側面111に当り、連結金具本体11からのネジ棒12の抜け止めを図っている。なお、本発明では、ネジ棒12にくびれ部12cを設けるか否かは任意である。
【0018】
また、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rには、図3に示すように、それぞれの一部に上辺(上端)から底面113に向かって途中まで二条の切り込みを入れ、かつ、その切り込み間の上端部を先端部として内側に折り曲げて、左右の両側面112L,112Rそれぞれから連結金具本体11内に突出させ、その先端部間の最小間隔がセパレータ2先端部のネジ部2bの外径より小さく形成した一対の側面折り曲げ部112L1,112R1を有する。なお、本実施の形態1における一対の側面折り曲げ部112L1,112R1の特徴については後述する。
【0019】
そして、図2および図3に示すように、その一対の側面折り曲げ部112L1,112R1と、左右の両側面112L,112Rと、前側面114とにより、セパレータ2先端部のナット2cを収容するナット収容部11aを形成している。
【0020】
また、連結金具本体11の前側面114には、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1とほぼ同じであるか、わずかに大きく、図上鉛直方向であって長尺形状に切り欠かれ、セパレータ2の軸部2aを支持するセパレータ支持溝部114Cと、そのセパレータ支持溝部114Cの両側に突出して設けられ、その最小間隔がセパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1より小さい一対の突部114L1,114R1とを設けている。なお、セパレータ2の軸部2aに係止溝2a1を設けるか否かは任意である。
【0021】
また、連結金具本体11の底面113には、図2および後述する図4(b)に示すように、水抜き孔113aが形成されている。
【0022】
また、ネジ棒12の他端には、図2および図3に示すように、ネジ部12bが形成されており、図2に示すように、コンクリート型枠板4に形成された通し穴4aから外側に突出して、図1に示すように、コンクリート型枠板4の外側に設けたフォームタイ6やバタ材7,8を介してコンクリート型枠板4に固定される。
【0023】
コーン部材13は、図2等に示すように、プレス加工等により形成され、その内側端13aが連結金具本体11の後側面111に接し、外側端13bがコンクリート型枠板4の内面に接して、連結金具本体11をコンクリート型枠板4に対して所定間隔離すものである。
【0024】
セパレータ2は、図2および図3に示すように、軸部2aの両端に、それぞれ、ネジ部2bが設けられており、ネジ部2bにはナット2cが取り付けられている。そして、セパレータ2を連結金具本体11の上に仮置きし、ハンマー等により叩いて、ナット2cを連結金具本体11のナット収容部11aに嵌め込み本置きする場合、このネジ部2bが、図2及び図3に示すように、一対の側面折り曲げ部112L1,112R1間に圧入され、その下方空間に嵌め込まれる。また、前述したように、セパレータ2の軸部2aとネジ部2bの境界部分の外周には、係止溝2a1が形成されており、この軸部2aの係止溝2a1が、突部114L1,114R1との間に圧入され、セパレータ支持溝部114C内に嵌め込まれる。
【0025】
図4(a),(b)は、それぞれ、実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1の連結金具本体11の正面図、平面図の一例を示す図、図5(a),(b)は、それぞれ、図4(b)におけるB−B線断面図、C−C線断面図である。
【0026】
図4(a)に示すように、連結金具本体11の前側面114は、その中央部分を縦方向に、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1とほぼ同じか、わずかに大きく切り欠かれた、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1を支持する図上鉛直方向に長尺形状のセパレータ支持溝部114Cが形成され、右側前側面114Rと、左側前側面114Lとに区分されている。
【0027】
そして、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a)に示すように、右側前側面114Rと左側前側面114Lそれぞれに、セパレータ支持溝部114Cの中心に向かって突出して一対の突部114L1,114R1を設けている。なお、本発明では、連結金具本体11の前側面114に一対の突部114L1,114R1を設けることは任意で、省略しても良く、また、セパレータ支持溝部114Cの短手方向、すなわち図上水平方向における突部114R1の突出高さと、同方向における突部114L1の突出高さは、同じでも、異なっていてもどちらでも良いが、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、説明の便宜上、同じものとして説明する。
【0028】
また、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a),(b)および図5(a),(b)に示すように、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rそれぞれに、その上辺から下辺に向かいその途中まで二条の切り込みを入れ、その後、その上辺を内側に折り曲げて、左右の両側面112L,112Rそれぞれから連結金具本体11内に突出し、セパレータ2先端部のネジ部2bの抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部112L1,112R1を設けている。
【0029】
ここで、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、一対の側面折り曲げ部112L1,112R1は、次のような特徴と効果を有している。以下、分説する。
【0030】
(1)一対の側面折り曲げ部112L1,112R1それぞれの先端部の高さがずれている特徴とその効果。
【0031】
つまり、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a),(b)および図5(a),(b)に示すように、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rそれぞれに同じ長さの二条の切り込みを入れるもの、内側に折り曲げる角度を変えて、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向における右側面112R側の側面折り曲げ部112R1先端部の高さより、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1先端部の高さが高くなるように設けている。
【0032】
具体的には、図4(a)および図5(b)に示すように、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の折曲げ角度θL1より、右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の折曲げ角度θR1の方を大きくして、図上鉛直方向における右側面112R側の側面折り曲げ部112R1先端部の高さより、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1先端部の高さを高くしている。
【0033】
そのため、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、一対の側面折り曲げ部を対称形状に折り曲げてそれらの先端部を同じ高さにする場合と比較して、図上鉛直方向における一対の側面折り曲げ部112L1,112R1先端部の高さがずれるので、それらの先端部間の間隔を小さくすることができる。その結果、セパレータ2をハンマー等により叩く等して、セパレータ2両端が、それぞれ側面折り曲げ部112L1,112R1の隙間h31を、それらの素材の弾性に抗しながら乗り越えて連結金具本体11内の所定位置に嵌め込まれた本置き状態では、一対の側面折り曲げ部を対称形状に折り曲げてそれらの先端部を同じ高さにする場合よりも、連結金具本体11に本置きされたセパレータ2の上方への抜け止めを防止することが可能となる。
【0034】
例えば、図4(a)に示すように、セパレータ2のネジ部2bの最大外径φ2の8.0mm以下とし、側面折り曲げ部112L1,112R1先端部間の斜め方向の間隔h31’を7.8mmとすると、側面折り曲げ部112L1,112R1の図上水平方向の最小間隔h31は7.5mmとなり、側面折り曲げ部112L1,112R1先端部間の斜め方向の間隔h31’の7.8mmより小さくなる。そのため、この点からも、図上鉛直方向における一対の側面折り曲げ部112L1,112R1先端部の高さをずらしたことにより、連結金具本体11に本置きされたセパレータ2の上方への抜け止めを防止の強化がわかることになる。
【0035】
(2)回転方向D側とは反対側の側面折り曲げ部112L1先端部の高さの方が高いという特徴とその効果。
【0036】
ところで、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1の連結金具本体11は、図1や図2に示すように、コンクリート型枠4の外側で、ネジ棒12にフォームタイ6を取付け、図6に示すように、フォームタイ6をD方向に回転させてコンクリート型枠用セパレータ連結金具1をコンクリート型枠4に取り付けている。そのため、例えば、D方向へのフォームタイ6の回転により、図7に示すように、連結金具本体11もD方向に供回りして傾いて取り付けられることがある。
【0037】
ここで、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図5(b)に示すように、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の折曲げ角度θL1より、右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の折曲げ角度θR1の方を大きくすることにより、図上鉛直方向における、回転方向D側となる右側面112R側の側面折り曲げ部112R1先端部の高さより、それとは反対側となる左側面112L側の側面折り曲げ部112L1先端部の高さを高くしている。
【0038】
これにより、図7に示すように、連結金具本体11がD方向に供回りして傾いた場合、右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の先端部と、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の先端部とを結ぶ直線の傾きがさらに大きくなる。そのため、連結金具本体11が傾いていない場合における右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の先端部と左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の先端部との間の水平距離h31(図6参照。)より、連結金具本体11が回転方向D側に傾いた場合における右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の先端部と左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の先端部との間の水平距離h32(図7参照。)の方が小さくなる。
【0039】
その結果、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、フォームタイ6のD方向への回転により、連結金具本体11もD方向に供回りして傾いて取り付けられた状態で、セパレータ2が側面折り曲げ部112L1,112R1の素材の弾性に抗しながら乗り越えて連結金具本体11内の所定位置に嵌め込まれた場合、連結金具本体11が傾いていない場合よりも、セパレータ2の上方への抜け止めをより確実に防止することができる。なお、本実施の形態1とは異なり、図8に示すように、左側面112L側の側面折り曲げ部112L2の折曲げ角度θL2と、右側面112R側の側面折り曲げ部112R2の折曲げ角度θR2とを逆にして、右側面112R側の側面折り曲げ部112R2先端部の高さを左側面112L側の側面折り曲げ部112L2先端部の高さより高くした場合には、側面折り曲げ部112R2先端部と側面折り曲げ部112L2先端部とを結ぶ直線の傾きがいったん水平方向に近付こうとするので、側面折り曲げ部112R2先端部と側面折り曲げ部112L2先端部との間の水平距離h33が、連結金具本体11が傾いていない場合の同水平距離h31(図6参照。)と比較して大きくなり、返ってセパレータ2が上方へ抜け易くなる。
【0040】
(3)回転方向D側とは反対側の側面折り曲げ部112L1先端部の方がセパレータ支持溝部114Cの中心に近いという特徴とその効果。
【0041】
本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図5(b)および図6等に示すように、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の折曲げ角度θL1より、右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の折曲げ角度θR1の方を大きくしているので、側面折り曲げ部112L1,112R1を形成するための左右両側面112L,112Rに対する図上鉛直方向の二条の切り込み量が同じ、すなわち側面折り曲げ部112L1,112R1の長さが同じとすれば、側面折り曲げ部112R1先端部よりも側面折り曲げ部112L1先端部の方がセパレータ支持溝部114Cの中心に近くなり、側面折り曲げ部112L1,112R1先端部間の中心γが、左右両側面112L,112R間の中心αから偏心することになる。
【0042】
そのため、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a)に示したように、側面折り曲げ部112L1,112R1それぞれの先端部間の中心γが、右側面112Rと左側面112Lの内側面間の中心αと同じとなる一対の突部114L1,114R1先端部間の中心β1から偏心することになるので、先端部間の中心γ,β1がずれている側面折り曲げ部112L1,112R1と突部114L1,114R1とにより、セパレータ2の上方への抜け止めを図るので、この点でも、従来より強固にセパレータ2の上方への抜け止めを図ることができることになる。
【0043】
なお、本発明では、要は、側面折り曲げ部112L1,112R1先端部の高さがずれれば十分であるので、例えば、図9(a)に示すように、右側面112Rと左側面112Lの内側面間の中心αを通る中心線αaに近い方の側面折り曲げ部112L3をカットして、側面折り曲げ部112L3,112R3先端部間の中心γが両側面112L,112R間の中心線αa上に位置するようにしても良いし、さらには、図9(b)に示すように、側面折り曲げ部112L4,112R4を形成するための両側面112L,112Rに対する図上鉛直方向の二条の切り込みの切り込み量を、側面折り曲げ部112R4の方を長くするものの、折り曲げる角度,θL3,θR3は同一にして、側面折り曲げ部112L4,112R4先端部の高さを変えても良いし、さらには、図9(c)に示すように、側面折り曲げ部112L5,112R5を単に折り曲げるだけでなく湾曲させるようにしても勿論よい。また、さらに、供回り等による連結金具本体11のD方向への傾きを考慮しないのであれば、図8に示すように、連結金具本体11の回転方向D側とは反対方向E側の側面折り曲げ部112L2の方を深く折り曲げて、右側面112R側の側面折り曲げ部112R2先端部の高さを、それとは反対側となる左側面112L側の側面折り曲げ部112L2先端部の高さより高くしたものでも勿論よい。
【0044】
実施の形態2.
上記実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rに、上辺(上端)から底面113に向かって途中まで二条の切り込みを入れ、かつ、その切り込み間の上端を内側に折り曲げて先端部の高さの異なる一対の側面折り曲げ部112L1,112R1を形成して説明したが、本実施の形態2では、これとは異なる方法で一対の側面折り曲げ部を形成したものである。
【0045】
図10(a),(b)は、それぞれ、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1’の斜視図、および一対の側面折り曲げ部112L6,112R6の折れ曲がり状態を示す断面図である。なお、側面折り曲げ部112L6,112R6以外の形状は、上記実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1と同じなので、側面折り曲げ部112L6,112R6以外については、上記実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1の構成および符号を使用して説明する。
【0046】
図10(a),(b)に示すように、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1’では、係合溝部111aまたはセパレータ支持溝114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向における、結金具本体11の左右の両側面112L,112Rの中央部分から上辺(上端)に向かい途中まで図上鉛直方向の二条の切り込みを入れると共に、その中央部分の切り込み開始地点の2箇所を結ぶように図上水平方向の切込みを入れ、かつ、その水平方向の切込み開始先端部を内側に折り曲げて側面折り曲げ部112L6,112R6を形成している。なお、両側面112L,112Rに図上鉛直方向に形成する二条の切り込みの長さは、同じにして、側面折り曲げ部112L6,112R6の長さを同じにしている。
【0047】
そして、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1’では、係合溝部111aの長手方向、すなわち図上鉛直方向における、側面折り曲げ部112L6,112R6の先端部の高さをずらすため、側面折り曲げ部112L6,112R6を折り曲げる角度,θL4,θR4をそれぞれ変えている。具体的には、図10(b)に示すように、左側の側面折り曲げ部112L6の折り曲げ角度θL4を、右側の側面折り曲げ部112R6の折り曲げ角度θR4より大きくしている。
【0048】
これにより、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1’では、係合溝部111aの長手方向、すなわち図上鉛直方向における、左側の側面折り曲げ部112L6の先端部の高さを、右側の側面折り曲げ部112R6の先端部の高さより高くしている。しかも、両側面112L,112Rに図上鉛直方向に形成する二条の切り込みの長さは、同じにしているので、実施の形態1の側面折り曲げ部112L1,112R1と同様に、右側の側面折り曲げ部112R6先端部よりも、左側の側面折り曲げ部112L6先端部の方が係合溝部111aの中心、すなわちセパレータ支持溝部114Cの中心に近く、側面折り曲げ部112L6,112R6先端部間の中心γが偏心しているということになる。
【0049】
従って、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1’の側面折り曲げ部112L6,112R6によっても、実施の形態1の側面折り曲げ部112L1,112R1と同様に、上記(1)〜(3)の効果が得られる。
【0050】
なお、本実施の形態2では、図10(a),(b)に示すように、側面折り曲げ部112L6,112R6先端部間の中心γを両側面112L,112R間の中心αを通る中心線αaに対し偏心させて形成しているが、本発明では、要は、側面折り曲げ部112L6,112R6の先端部の高さがずれれば十分であるので、例えば、図11(a)に示すように、中心線αaに近い方の側面折り曲げ部112L7をカットして、側面折り曲げ部112L7,112R7先端部間の中心γが両側面112L,112R間の中心線αa上に位置するようにしても良いし、さらには、図11(b)に示すように、側面折り曲げ部112L8,112R8を形成するための両側面112L,112Rに対する図上鉛直方向の二条の切り込み開始位置を左側面112Lの方を高くするものの、切り込み量と折り曲げ角度θL5,θR5は同一にして、側面折り曲げ部112L8先端部の高さを、側面折り曲げ部112R8先端部の高さより高くしても良いし、さらには、図11(c)に示すように、側面折り曲げ部112L9,112R9を単に折り曲げるだけでなく、湾曲させた上で側面折り曲げ部112L9,112R9の先端部の高さをずらすようにしても勿論よい。
【0051】
実施の形態3.
実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”では、セパレータ2の仮置きを考慮して、側面折り曲げ部の高さと、連結金具本体11の前側面114に設ける一対の突部114L2,114R2の高さとの関係を規定したものである。なお、本実施の形態3では、側面折り曲げ部の形状および高さ等については、上記実施の形態1,2のどれでも良いが、ここでは、説明の便宜上、側面折り曲げ部112L1,112R1を一例に説明する。
【0052】
図12は、実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”の正面図である。
【0053】
図12に示すように、実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”では、両側面112L,112Rに設ける側面折り曲げ部112L1,112R1先端部の高さより、連結金具本体11の前側面114に設ける一対の突部114L2,114R2先端部の高さを高くしたことを特徴としている。また、実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”では、前側面114に設ける一対の突部114L2,114R2は、それらの大きさが同じで、先端部の高さ(突出量)が同じであり、先端部間の中心β2がセパレータ支持溝部114Cの中心、すなわち左右両側面112L,112R間の中心αを通る中心線αa上に位置するように形成している。それ以外の構成は、上記実施の形態1,2と同様である。
【0054】
従って、本実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”では、実施の形態1と同様に、上記(1)〜(3)の効果が得られると共に、セパレータ2をこの実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”の連結金具本体11に仮置きした場合に、セパレータ2は、先端部の高さのずれた側面折り曲げ部112L1,112R1ではなく、先端部の高さが同じで、かつ、先端部間の中心β2もセパレータ支持溝部114Cの中心、すなわち左右両側面112L,112R間の中心αを通る中心線αa上となる一対の突部114L2,114R2の上に仮置きされるので、セパレータ2を連結金具本体11に安定して仮置きすることが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1,1’,1” コンクリート型枠用セパレータ連結金具
11 連結金具本体
11a ナット収容部
111 後側面
111a 係合溝部
112R 右側面
112L 左側面
112L1〜9,112R1〜9 側面折り曲げ部
113 底面
114 前側面
114L1,114R1,114R2,114L2 突部
114C セパレータ支持溝部
12 ネジ棒
13 コーン部材
2 コンクリート型枠用セパレータ
2a 軸部
2b ネジ部
2c ナット
4,4 コンクリート型枠板
5 鉄筋
6 フォームタイ(型枠締付金具)
7,8 バタ材(通しバタ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、梁型枠などの所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具について、本件出願人は以前出願して公開されており(例えば、特許文献1参照。)、また、他者からも出願されて公開・意匠登録等されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−046325号公報
【特許文献2】特開2007−154515号公報
【特許文献3】意匠登録第1140137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来のコンクリート型枠用セパレータ連結金具は、基本的には一対の折り曲げ片のみで抜け止めを行うものである。ところが、コンクリート型枠用セパレータを接続する際の極端な施工誤差や、コンクリート打設中のバイブレータなど、想定を超えた使用条件化では、連結金具からコンクリート型枠用セパレータが抜け出すおそれがあり、改善の余地があった。
【0005】
すなわち、一般的に、一対のコンクリート型枠内面のそれぞれの対向位置に一対の連結金具を設ける場合、必ず、多少の施工誤差が生じ、厳密な同一直線上には取り付けられない。例えば、一組の連結金具の一方が上下方向に大きくずれて取り付けられた場合、コンクリート型枠用セパレータの一方側(先入れ側)の端部を連結金具に打ち込んだ後、他方側(後入れ側)の端部を打ち込む際に、一方側(先入れ側)が、テコの反力によって外れてしまうことがある。
【0006】
また、上記特許文献2,3の従来技術であっても、左右の両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げて形成したメインストッパーである一対の側面折り曲げ部の他に、連結金具本体の前側面のセパレータ支持溝に突起等のサブストッパーを設けてコンクリート型枠用セパレータの抜け出しを防止するようにしているが、単に上方からコンクリート型枠用セパレータを抑えているに過ぎないため、コンクリートの打設中に、バイブレータ等がコンクリート型枠用セパレータに当たると、その振動によって、コンクリート型枠用セパレータが外れることがあった。特に、壁厚が施工誤差等によりプラスになった場合、上方からコンクリート型枠用セパレータが浮き易く、簡単に外れることがあった。
【0007】
また、コンクリート型枠用セパレータ連結金具は、コンクリート型枠の外側からフォームタイ(登録商標)等の型枠締付金具により、そのネジ棒を締め付けてコンクリート型枠の内側に固定しているが、その際、コンクリート型枠用セパレータ連結金具が供回りをしてコンクリート型枠に対し斜めに取付けられることがあり、このような場合、上手くコンクリート型枠用セパレータを連結金具本体の前側面のセパレータ支持溝に入れないと、さらに、コンクリート型枠用セパレータ連結金具が緩む方向に回転してしまい、コンクリート型枠用セパレータが外れるおそれがある、という問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、コンクリート型枠用セパレータが抜け出し難い、コンクリート型枠用セパレータ連結金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のコンクリート型枠用セパレータ連結金具は、所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具であって、コンクリート型枠に挿入され、型枠締付金具により当該コンクリート型枠の外側から締め付け固定されるネジ棒と、上記ネジ棒先端に取り付けられた後側面と、左右両側面と、底面と、前側面とを有する上部開放形状で、上記コンクリート型枠用セパレータ端部のナットを収容すると共に、上記前側面の上辺のほぼ中央から上記底面に向かって切り欠かれたセパレータ支持溝部により上記ナットより内側の上記コンクリート型枠用セパレータの軸部を支持する連結金具本体とを有し、上記連結金具本体の上記左右両側面には、上記左右両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げ、上記左右両側面それぞれから上記連結金具本体内に突出し、その最小間隔が上記ナットより外側に突出する上記コンクリート型枠用セパレータ先端部の外径より小さい間隙により,上記コンクリート型枠用セパレータ先端部の抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部が形成され、上記セパレータ支持溝部の長手方向における上記一対の側面折り曲げ部の先端部の高さが異なる、ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具である。
ここで、上記一対の側面折り曲げ部のうち、上記ネジ棒に対する上記型枠締付金具による締め付けにより上記連結金具本体の回転方向とは反対側となる側面折り曲げ部の先端部の高さを、上記連結金具本体の回転方向側となる側面折り曲げ部の先端部の高さより高くする、ようにしても勿論よい。
また、上記連結金具本体の上記前側面には、上記セパレータ支持溝部の両側からその中心に向かって突出して設けられ、それらの先端部間の最小間隔が上記ナットより内側の上記セパレータの軸部の外径より小さく、当該軸部の抜け止めを行う一対の突部を有する、ようにしても勿論よい。
また、上記セパレータ支持溝部の長手方向における上記一対の側面折り曲げ部の先端部の高さより、上記一対の突部の先端部の高さの方が高い、ようにしても勿論よい。
なお、上記一対の側面折り曲げ部は、上記連結金具本体の左右の両側面それぞれの上辺から底面に向かって途中まで二条の切り込みを入れ、かつ、その切り込み間の上端部を内側に折り曲げ、左右の両側面それぞれから連結金具本体内に突出させて形成される、ようにしても勿論よい。また、上記一対の側面折り曲げ部は、上記セパレータ支持溝部の長手方向における上記連結金具本体の左右の両側面それぞれのほぼ中央部分から上辺に向かい途中まで二条の切り込みを入れると共に、その中央部分の切り込み開始地点の2箇所を結ぶように切込みを入れ、かつ、その下端部を内側に折り曲げことにより形成される、ようにしても勿論よい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンクリート型枠用セパレータ連結金具では、連結金具本体の左右両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げて、その先端部によりナットより外側に突出するコンクリート型枠用セパレータ端部の抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部を設けているが、その一対の側面折り曲げ部の先端部のセパレータ支持溝部の長手方向における高さをずらしたので、高さを同一にする従来の場合と較べて、その先端部間の間隔を小さくすることができる。その結果、コンクリート型枠用セパレータが上方へ抜けようとしたときに効果的に抑止することが可能となり、従来よりセパレータを強固に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具とセパレータとをコンクリート型枠に配置した状態を示す断面図である。
【図2】図1におけるA部分の部分断面図である。
【図3】本発明に係る実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具とセパレータとの外観を示す斜視図である。
【図4】(a),(b)は、それぞれ、実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体の正面図、平面図の一例を示す図である。
【図5】(a),(b)は、それぞれ、図4に示す実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体のB−B線断面図、C−C線断面図である。
【図6】本発明に係る実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の供回りの方向等を示す断面図である。
【図7】本発明に係る実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体が傾いた場合の作用等を示す断面図である。
【図8】本発明に係る実施の形態1の変形例のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の連結金具本体が傾いた場合の作用等を示す断面図である。
【図9】(a)〜(c)は、それぞれ、実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の他の例を示す断面図である。
【図10】(a),(b)は、それぞれ、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の斜視図、および一対の側面折り曲げ部の折れ曲がり状態を示す断面図である。
【図11】(a)〜(c)は、それぞれ、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具の他の例を示す断面図である。
【図12】実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”の連結金具本体の前側面部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るコンクリート型枠用セパレータ連結金具の実施の形態1〜3を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1と、セパレータ2とを一対のコンクリート型枠4,4に配置した状態を示す断面図、図2は、図1におけるA部分の部分断面図、図3は、本発明に係る実施の形態のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1とコンクリート型枠用セパレータ(以下、セパレータと略す。)2との外観を示す斜視図である。
【0014】
図1および図2に示すように、実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1は、所定間隔離され、鉄筋5が配筋された対向する一対のコンクリート型枠4,4に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠4,4間に挿入されるセパレータ2の両端部を支持するものである。なお、図1において、6はコンクリート型枠板4の外側からコンクリート型枠用セパレータ連結金具1を取り付けるフォームタイ、7,8はバタ材(通しバタ)である。
【0015】
コンクリート型枠用セパレータ連結金具1は、図2および図3に示すように、両コンクリート型枠板4,4の内側に取り付けられ、それぞれナット2cが螺合されているセパレータ2の両端部を支持する連結金具本体11と、その連結金具本体11に取付けられてその端部がコンクリート型枠板4を貫通して外側に伸びるネジ棒12と、そのネジ棒12に貫通して設けられる金属製円錐台状のコーン部材13を有する。
【0016】
連結金具本体11は、図2および図3に示すように、ネジ棒12先端に取り付けられる後側面111と、左側面112Lと、右側面112Rと、底面113と、前側面114とを有する上部開放形状で構成されている。
【0017】
連結金具本体11の後側面111には、図2や後述する図5(b)に示すように、図上鉛直方向に延びる係合溝部111aが設けられており、その係合溝部111aに、ネジ棒12の一端に設けたくびれ部12cが回転可能に支持される。そして、ネジ棒12先端部の円盤部12aが連結金具本体11内に収納された状態で取り付けられ、その円盤部12aが連結金具本体11の後側面111に当り、連結金具本体11からのネジ棒12の抜け止めを図っている。なお、本発明では、ネジ棒12にくびれ部12cを設けるか否かは任意である。
【0018】
また、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rには、図3に示すように、それぞれの一部に上辺(上端)から底面113に向かって途中まで二条の切り込みを入れ、かつ、その切り込み間の上端部を先端部として内側に折り曲げて、左右の両側面112L,112Rそれぞれから連結金具本体11内に突出させ、その先端部間の最小間隔がセパレータ2先端部のネジ部2bの外径より小さく形成した一対の側面折り曲げ部112L1,112R1を有する。なお、本実施の形態1における一対の側面折り曲げ部112L1,112R1の特徴については後述する。
【0019】
そして、図2および図3に示すように、その一対の側面折り曲げ部112L1,112R1と、左右の両側面112L,112Rと、前側面114とにより、セパレータ2先端部のナット2cを収容するナット収容部11aを形成している。
【0020】
また、連結金具本体11の前側面114には、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1とほぼ同じであるか、わずかに大きく、図上鉛直方向であって長尺形状に切り欠かれ、セパレータ2の軸部2aを支持するセパレータ支持溝部114Cと、そのセパレータ支持溝部114Cの両側に突出して設けられ、その最小間隔がセパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1より小さい一対の突部114L1,114R1とを設けている。なお、セパレータ2の軸部2aに係止溝2a1を設けるか否かは任意である。
【0021】
また、連結金具本体11の底面113には、図2および後述する図4(b)に示すように、水抜き孔113aが形成されている。
【0022】
また、ネジ棒12の他端には、図2および図3に示すように、ネジ部12bが形成されており、図2に示すように、コンクリート型枠板4に形成された通し穴4aから外側に突出して、図1に示すように、コンクリート型枠板4の外側に設けたフォームタイ6やバタ材7,8を介してコンクリート型枠板4に固定される。
【0023】
コーン部材13は、図2等に示すように、プレス加工等により形成され、その内側端13aが連結金具本体11の後側面111に接し、外側端13bがコンクリート型枠板4の内面に接して、連結金具本体11をコンクリート型枠板4に対して所定間隔離すものである。
【0024】
セパレータ2は、図2および図3に示すように、軸部2aの両端に、それぞれ、ネジ部2bが設けられており、ネジ部2bにはナット2cが取り付けられている。そして、セパレータ2を連結金具本体11の上に仮置きし、ハンマー等により叩いて、ナット2cを連結金具本体11のナット収容部11aに嵌め込み本置きする場合、このネジ部2bが、図2及び図3に示すように、一対の側面折り曲げ部112L1,112R1間に圧入され、その下方空間に嵌め込まれる。また、前述したように、セパレータ2の軸部2aとネジ部2bの境界部分の外周には、係止溝2a1が形成されており、この軸部2aの係止溝2a1が、突部114L1,114R1との間に圧入され、セパレータ支持溝部114C内に嵌め込まれる。
【0025】
図4(a),(b)は、それぞれ、実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1の連結金具本体11の正面図、平面図の一例を示す図、図5(a),(b)は、それぞれ、図4(b)におけるB−B線断面図、C−C線断面図である。
【0026】
図4(a)に示すように、連結金具本体11の前側面114は、その中央部分を縦方向に、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1の外径φ1とほぼ同じか、わずかに大きく切り欠かれた、セパレータ2の軸部2aの係止溝2a1を支持する図上鉛直方向に長尺形状のセパレータ支持溝部114Cが形成され、右側前側面114Rと、左側前側面114Lとに区分されている。
【0027】
そして、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a)に示すように、右側前側面114Rと左側前側面114Lそれぞれに、セパレータ支持溝部114Cの中心に向かって突出して一対の突部114L1,114R1を設けている。なお、本発明では、連結金具本体11の前側面114に一対の突部114L1,114R1を設けることは任意で、省略しても良く、また、セパレータ支持溝部114Cの短手方向、すなわち図上水平方向における突部114R1の突出高さと、同方向における突部114L1の突出高さは、同じでも、異なっていてもどちらでも良いが、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、説明の便宜上、同じものとして説明する。
【0028】
また、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a),(b)および図5(a),(b)に示すように、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rそれぞれに、その上辺から下辺に向かいその途中まで二条の切り込みを入れ、その後、その上辺を内側に折り曲げて、左右の両側面112L,112Rそれぞれから連結金具本体11内に突出し、セパレータ2先端部のネジ部2bの抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部112L1,112R1を設けている。
【0029】
ここで、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、一対の側面折り曲げ部112L1,112R1は、次のような特徴と効果を有している。以下、分説する。
【0030】
(1)一対の側面折り曲げ部112L1,112R1それぞれの先端部の高さがずれている特徴とその効果。
【0031】
つまり、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a),(b)および図5(a),(b)に示すように、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rそれぞれに同じ長さの二条の切り込みを入れるもの、内側に折り曲げる角度を変えて、セパレータ支持溝部114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向における右側面112R側の側面折り曲げ部112R1先端部の高さより、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1先端部の高さが高くなるように設けている。
【0032】
具体的には、図4(a)および図5(b)に示すように、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の折曲げ角度θL1より、右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の折曲げ角度θR1の方を大きくして、図上鉛直方向における右側面112R側の側面折り曲げ部112R1先端部の高さより、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1先端部の高さを高くしている。
【0033】
そのため、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、一対の側面折り曲げ部を対称形状に折り曲げてそれらの先端部を同じ高さにする場合と比較して、図上鉛直方向における一対の側面折り曲げ部112L1,112R1先端部の高さがずれるので、それらの先端部間の間隔を小さくすることができる。その結果、セパレータ2をハンマー等により叩く等して、セパレータ2両端が、それぞれ側面折り曲げ部112L1,112R1の隙間h31を、それらの素材の弾性に抗しながら乗り越えて連結金具本体11内の所定位置に嵌め込まれた本置き状態では、一対の側面折り曲げ部を対称形状に折り曲げてそれらの先端部を同じ高さにする場合よりも、連結金具本体11に本置きされたセパレータ2の上方への抜け止めを防止することが可能となる。
【0034】
例えば、図4(a)に示すように、セパレータ2のネジ部2bの最大外径φ2の8.0mm以下とし、側面折り曲げ部112L1,112R1先端部間の斜め方向の間隔h31’を7.8mmとすると、側面折り曲げ部112L1,112R1の図上水平方向の最小間隔h31は7.5mmとなり、側面折り曲げ部112L1,112R1先端部間の斜め方向の間隔h31’の7.8mmより小さくなる。そのため、この点からも、図上鉛直方向における一対の側面折り曲げ部112L1,112R1先端部の高さをずらしたことにより、連結金具本体11に本置きされたセパレータ2の上方への抜け止めを防止の強化がわかることになる。
【0035】
(2)回転方向D側とは反対側の側面折り曲げ部112L1先端部の高さの方が高いという特徴とその効果。
【0036】
ところで、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1の連結金具本体11は、図1や図2に示すように、コンクリート型枠4の外側で、ネジ棒12にフォームタイ6を取付け、図6に示すように、フォームタイ6をD方向に回転させてコンクリート型枠用セパレータ連結金具1をコンクリート型枠4に取り付けている。そのため、例えば、D方向へのフォームタイ6の回転により、図7に示すように、連結金具本体11もD方向に供回りして傾いて取り付けられることがある。
【0037】
ここで、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図5(b)に示すように、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の折曲げ角度θL1より、右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の折曲げ角度θR1の方を大きくすることにより、図上鉛直方向における、回転方向D側となる右側面112R側の側面折り曲げ部112R1先端部の高さより、それとは反対側となる左側面112L側の側面折り曲げ部112L1先端部の高さを高くしている。
【0038】
これにより、図7に示すように、連結金具本体11がD方向に供回りして傾いた場合、右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の先端部と、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の先端部とを結ぶ直線の傾きがさらに大きくなる。そのため、連結金具本体11が傾いていない場合における右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の先端部と左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の先端部との間の水平距離h31(図6参照。)より、連結金具本体11が回転方向D側に傾いた場合における右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の先端部と左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の先端部との間の水平距離h32(図7参照。)の方が小さくなる。
【0039】
その結果、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、フォームタイ6のD方向への回転により、連結金具本体11もD方向に供回りして傾いて取り付けられた状態で、セパレータ2が側面折り曲げ部112L1,112R1の素材の弾性に抗しながら乗り越えて連結金具本体11内の所定位置に嵌め込まれた場合、連結金具本体11が傾いていない場合よりも、セパレータ2の上方への抜け止めをより確実に防止することができる。なお、本実施の形態1とは異なり、図8に示すように、左側面112L側の側面折り曲げ部112L2の折曲げ角度θL2と、右側面112R側の側面折り曲げ部112R2の折曲げ角度θR2とを逆にして、右側面112R側の側面折り曲げ部112R2先端部の高さを左側面112L側の側面折り曲げ部112L2先端部の高さより高くした場合には、側面折り曲げ部112R2先端部と側面折り曲げ部112L2先端部とを結ぶ直線の傾きがいったん水平方向に近付こうとするので、側面折り曲げ部112R2先端部と側面折り曲げ部112L2先端部との間の水平距離h33が、連結金具本体11が傾いていない場合の同水平距離h31(図6参照。)と比較して大きくなり、返ってセパレータ2が上方へ抜け易くなる。
【0040】
(3)回転方向D側とは反対側の側面折り曲げ部112L1先端部の方がセパレータ支持溝部114Cの中心に近いという特徴とその効果。
【0041】
本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図5(b)および図6等に示すように、左側面112L側の側面折り曲げ部112L1の折曲げ角度θL1より、右側面112R側の側面折り曲げ部112R1の折曲げ角度θR1の方を大きくしているので、側面折り曲げ部112L1,112R1を形成するための左右両側面112L,112Rに対する図上鉛直方向の二条の切り込み量が同じ、すなわち側面折り曲げ部112L1,112R1の長さが同じとすれば、側面折り曲げ部112R1先端部よりも側面折り曲げ部112L1先端部の方がセパレータ支持溝部114Cの中心に近くなり、側面折り曲げ部112L1,112R1先端部間の中心γが、左右両側面112L,112R間の中心αから偏心することになる。
【0042】
そのため、本実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、図4(a)に示したように、側面折り曲げ部112L1,112R1それぞれの先端部間の中心γが、右側面112Rと左側面112Lの内側面間の中心αと同じとなる一対の突部114L1,114R1先端部間の中心β1から偏心することになるので、先端部間の中心γ,β1がずれている側面折り曲げ部112L1,112R1と突部114L1,114R1とにより、セパレータ2の上方への抜け止めを図るので、この点でも、従来より強固にセパレータ2の上方への抜け止めを図ることができることになる。
【0043】
なお、本発明では、要は、側面折り曲げ部112L1,112R1先端部の高さがずれれば十分であるので、例えば、図9(a)に示すように、右側面112Rと左側面112Lの内側面間の中心αを通る中心線αaに近い方の側面折り曲げ部112L3をカットして、側面折り曲げ部112L3,112R3先端部間の中心γが両側面112L,112R間の中心線αa上に位置するようにしても良いし、さらには、図9(b)に示すように、側面折り曲げ部112L4,112R4を形成するための両側面112L,112Rに対する図上鉛直方向の二条の切り込みの切り込み量を、側面折り曲げ部112R4の方を長くするものの、折り曲げる角度,θL3,θR3は同一にして、側面折り曲げ部112L4,112R4先端部の高さを変えても良いし、さらには、図9(c)に示すように、側面折り曲げ部112L5,112R5を単に折り曲げるだけでなく湾曲させるようにしても勿論よい。また、さらに、供回り等による連結金具本体11のD方向への傾きを考慮しないのであれば、図8に示すように、連結金具本体11の回転方向D側とは反対方向E側の側面折り曲げ部112L2の方を深く折り曲げて、右側面112R側の側面折り曲げ部112R2先端部の高さを、それとは反対側となる左側面112L側の側面折り曲げ部112L2先端部の高さより高くしたものでも勿論よい。
【0044】
実施の形態2.
上記実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1では、連結金具本体11の左右の両側面112L,112Rに、上辺(上端)から底面113に向かって途中まで二条の切り込みを入れ、かつ、その切り込み間の上端を内側に折り曲げて先端部の高さの異なる一対の側面折り曲げ部112L1,112R1を形成して説明したが、本実施の形態2では、これとは異なる方法で一対の側面折り曲げ部を形成したものである。
【0045】
図10(a),(b)は、それぞれ、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1’の斜視図、および一対の側面折り曲げ部112L6,112R6の折れ曲がり状態を示す断面図である。なお、側面折り曲げ部112L6,112R6以外の形状は、上記実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1と同じなので、側面折り曲げ部112L6,112R6以外については、上記実施の形態1のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1の構成および符号を使用して説明する。
【0046】
図10(a),(b)に示すように、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1’では、係合溝部111aまたはセパレータ支持溝114Cの長手方向、すなわち図上鉛直方向における、結金具本体11の左右の両側面112L,112Rの中央部分から上辺(上端)に向かい途中まで図上鉛直方向の二条の切り込みを入れると共に、その中央部分の切り込み開始地点の2箇所を結ぶように図上水平方向の切込みを入れ、かつ、その水平方向の切込み開始先端部を内側に折り曲げて側面折り曲げ部112L6,112R6を形成している。なお、両側面112L,112Rに図上鉛直方向に形成する二条の切り込みの長さは、同じにして、側面折り曲げ部112L6,112R6の長さを同じにしている。
【0047】
そして、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1’では、係合溝部111aの長手方向、すなわち図上鉛直方向における、側面折り曲げ部112L6,112R6の先端部の高さをずらすため、側面折り曲げ部112L6,112R6を折り曲げる角度,θL4,θR4をそれぞれ変えている。具体的には、図10(b)に示すように、左側の側面折り曲げ部112L6の折り曲げ角度θL4を、右側の側面折り曲げ部112R6の折り曲げ角度θR4より大きくしている。
【0048】
これにより、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1’では、係合溝部111aの長手方向、すなわち図上鉛直方向における、左側の側面折り曲げ部112L6の先端部の高さを、右側の側面折り曲げ部112R6の先端部の高さより高くしている。しかも、両側面112L,112Rに図上鉛直方向に形成する二条の切り込みの長さは、同じにしているので、実施の形態1の側面折り曲げ部112L1,112R1と同様に、右側の側面折り曲げ部112R6先端部よりも、左側の側面折り曲げ部112L6先端部の方が係合溝部111aの中心、すなわちセパレータ支持溝部114Cの中心に近く、側面折り曲げ部112L6,112R6先端部間の中心γが偏心しているということになる。
【0049】
従って、実施の形態2のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1’の側面折り曲げ部112L6,112R6によっても、実施の形態1の側面折り曲げ部112L1,112R1と同様に、上記(1)〜(3)の効果が得られる。
【0050】
なお、本実施の形態2では、図10(a),(b)に示すように、側面折り曲げ部112L6,112R6先端部間の中心γを両側面112L,112R間の中心αを通る中心線αaに対し偏心させて形成しているが、本発明では、要は、側面折り曲げ部112L6,112R6の先端部の高さがずれれば十分であるので、例えば、図11(a)に示すように、中心線αaに近い方の側面折り曲げ部112L7をカットして、側面折り曲げ部112L7,112R7先端部間の中心γが両側面112L,112R間の中心線αa上に位置するようにしても良いし、さらには、図11(b)に示すように、側面折り曲げ部112L8,112R8を形成するための両側面112L,112Rに対する図上鉛直方向の二条の切り込み開始位置を左側面112Lの方を高くするものの、切り込み量と折り曲げ角度θL5,θR5は同一にして、側面折り曲げ部112L8先端部の高さを、側面折り曲げ部112R8先端部の高さより高くしても良いし、さらには、図11(c)に示すように、側面折り曲げ部112L9,112R9を単に折り曲げるだけでなく、湾曲させた上で側面折り曲げ部112L9,112R9の先端部の高さをずらすようにしても勿論よい。
【0051】
実施の形態3.
実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”では、セパレータ2の仮置きを考慮して、側面折り曲げ部の高さと、連結金具本体11の前側面114に設ける一対の突部114L2,114R2の高さとの関係を規定したものである。なお、本実施の形態3では、側面折り曲げ部の形状および高さ等については、上記実施の形態1,2のどれでも良いが、ここでは、説明の便宜上、側面折り曲げ部112L1,112R1を一例に説明する。
【0052】
図12は、実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”の正面図である。
【0053】
図12に示すように、実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”では、両側面112L,112Rに設ける側面折り曲げ部112L1,112R1先端部の高さより、連結金具本体11の前側面114に設ける一対の突部114L2,114R2先端部の高さを高くしたことを特徴としている。また、実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”では、前側面114に設ける一対の突部114L2,114R2は、それらの大きさが同じで、先端部の高さ(突出量)が同じであり、先端部間の中心β2がセパレータ支持溝部114Cの中心、すなわち左右両側面112L,112R間の中心αを通る中心線αa上に位置するように形成している。それ以外の構成は、上記実施の形態1,2と同様である。
【0054】
従って、本実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”では、実施の形態1と同様に、上記(1)〜(3)の効果が得られると共に、セパレータ2をこの実施の形態3のコンクリート型枠用セパレータ連結金具1”の連結金具本体11に仮置きした場合に、セパレータ2は、先端部の高さのずれた側面折り曲げ部112L1,112R1ではなく、先端部の高さが同じで、かつ、先端部間の中心β2もセパレータ支持溝部114Cの中心、すなわち左右両側面112L,112R間の中心αを通る中心線αa上となる一対の突部114L2,114R2の上に仮置きされるので、セパレータ2を連結金具本体11に安定して仮置きすることが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1,1’,1” コンクリート型枠用セパレータ連結金具
11 連結金具本体
11a ナット収容部
111 後側面
111a 係合溝部
112R 右側面
112L 左側面
112L1〜9,112R1〜9 側面折り曲げ部
113 底面
114 前側面
114L1,114R1,114R2,114L2 突部
114C セパレータ支持溝部
12 ネジ棒
13 コーン部材
2 コンクリート型枠用セパレータ
2a 軸部
2b ネジ部
2c ナット
4,4 コンクリート型枠板
5 鉄筋
6 フォームタイ(型枠締付金具)
7,8 バタ材(通しバタ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具であって、
コンクリート型枠に挿入され、型枠締付金具により当該コンクリート型枠の外側から締め付け固定されるネジ棒と、
上記ネジ棒先端に取り付けられた後側面と、左右両側面と、底面と、前側面とを有する上部開放形状で、上記コンクリート型枠用セパレータ端部のナットを収容すると共に、上記前側面の上辺のほぼ中央から上記底面に向かって切り欠かれたセパレータ支持溝部により上記ナットより内側の上記コンクリート型枠用セパレータの軸部を支持する連結金具本体とを有し、
上記連結金具本体の上記左右両側面には、
上記左右両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げ、上記左右両側面それぞれから上記連結金具本体内に突出し、その最小間隔が上記ナットより外側に突出する上記コンクリート型枠用セパレータ先端部の外径より小さい間隙により,上記コンクリート型枠用セパレータ先端部の抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部が形成され、
上記セパレータ支持溝部の長手方向における上記一対の側面折り曲げ部の先端部の高さが異なる、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【請求項2】
請求項1に記載のコンクリート型枠用セパレータ連結金具において、
上記一対の側面折り曲げ部のうち、上記ネジ棒に対する上記型枠締付金具による締め付けにより上記連結金具本体の回転方向とは反対側となる側面折り曲げ部の先端部の高さを、上記連結金具本体の回転方向側となる側面折り曲げ部の先端部の高さより高くする、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンクリート型枠用セパレータ連結金具において、
上記連結金具本体の上記前側面には、
上記セパレータ支持溝部の両側からその中心に向かって突出して設けられ、それらの先端部間の最小間隔が上記ナットより内側の上記セパレータの軸部の外径より小さく、当該軸部の抜け止めを行う一対の突部を有する、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【請求項4】
請求項3に記載のコンクリート型枠用セパレータ連結金具において、
上記セパレータ支持溝部の長手方向における上記一対の側面折り曲げ部の先端部の高さより、上記一対の突部の先端部の高さの方が高い、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【請求項1】
所定間隔離された一対のコンクリート型枠に取り付けられ、当該一対のコンクリート型枠間に挿入されるコンクリート型枠用セパレータのナットが螺着された両端部を支持するコンクリート型枠用セパレータ連結金具であって、
コンクリート型枠に挿入され、型枠締付金具により当該コンクリート型枠の外側から締め付け固定されるネジ棒と、
上記ネジ棒先端に取り付けられた後側面と、左右両側面と、底面と、前側面とを有する上部開放形状で、上記コンクリート型枠用セパレータ端部のナットを収容すると共に、上記前側面の上辺のほぼ中央から上記底面に向かって切り欠かれたセパレータ支持溝部により上記ナットより内側の上記コンクリート型枠用セパレータの軸部を支持する連結金具本体とを有し、
上記連結金具本体の上記左右両側面には、
上記左右両側面それぞれの一部に切り込みを入れて内側に折り曲げ、上記左右両側面それぞれから上記連結金具本体内に突出し、その最小間隔が上記ナットより外側に突出する上記コンクリート型枠用セパレータ先端部の外径より小さい間隙により,上記コンクリート型枠用セパレータ先端部の抜け止めを行う一対の側面折り曲げ部が形成され、
上記セパレータ支持溝部の長手方向における上記一対の側面折り曲げ部の先端部の高さが異なる、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【請求項2】
請求項1に記載のコンクリート型枠用セパレータ連結金具において、
上記一対の側面折り曲げ部のうち、上記ネジ棒に対する上記型枠締付金具による締め付けにより上記連結金具本体の回転方向とは反対側となる側面折り曲げ部の先端部の高さを、上記連結金具本体の回転方向側となる側面折り曲げ部の先端部の高さより高くする、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンクリート型枠用セパレータ連結金具において、
上記連結金具本体の上記前側面には、
上記セパレータ支持溝部の両側からその中心に向かって突出して設けられ、それらの先端部間の最小間隔が上記ナットより内側の上記セパレータの軸部の外径より小さく、当該軸部の抜け止めを行う一対の突部を有する、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【請求項4】
請求項3に記載のコンクリート型枠用セパレータ連結金具において、
上記セパレータ支持溝部の長手方向における上記一対の側面折り曲げ部の先端部の高さより、上記一対の突部の先端部の高さの方が高い、
ことを特徴とするコンクリート型枠用セパレータ連結金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−127104(P2012−127104A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279121(P2010−279121)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]