説明

コンクリート打放し様仕上げ工法

【課題】鉄骨造や木造の建物の壁や床、天井、屋根などの表面を、型枠を用いていないにも関わらず、恰も型枠を用いて施工したときと同じようなコンクリート打放しの風合いを醸し出すようにした施工方法を提供する。
【解決手段】建築物あるいは構造物の表面をコンクリート打放し仕上げする場合において、少なくとも、先に形成した第1の区画面部1Aの縁部にマスキング部材3を装着し、次いで、隣接する下地面4に補修材を塗った後、面形成部材の硬化前にマスキング部材3を除去して第2の区画面部1Bを形成することにより、第1の区画面部1Aと第2の区画面部1Bとの境界部に、コンクリート打放しの風合いを醸し出す目違い10を形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物あるいは構造物の壁や床、天井、屋根などの表面がコンクリートの打放し様の仕上げとなるようにした施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モダンでお洒落な感覚を有するコンクリートの打放しの建築物あるいは構造物(以下、単に「建物」という。)の需要が、新築、リフォームを問わず高まってきている。このコンクリート打放し面は、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造、RC(鉄筋コンクリート)造の建物の場合は、型枠内にコンクリートを流し込んで成型した後、この型枠を取り外すことにより基本的に打放しの外観を得ることができる。
このように、SRC造、RC造の建物では、通常の施工方法により打放し面を形成することができるが、鉄骨造や木造の建物の場合は、コンクリート打放しに似た外観を有するように特別に施工している。
【0003】
例えば、面に木目に似た微小凹凸と気泡孔を有し、コンクリート色にある可撓性モルタルあるいは骨材着色による仕上塗材を化粧材とし、この化粧材をロール巻となった基材上へ塗布し、直後に木目に似た微小凹凸を有する離型紙により覆い、乾燥工程を経て、所望の大きさに裁断することにより表装材とし、この表装材を建物の表面に適用することにより打放し様に仕上り面を得るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、表面がコンクリート状を呈する仕上げ板と、この仕上げ板の裏側に接着された裏補強板とを有し、仕上げ板の所定の位置に孔を設け、孔を塞ぐように裏補強板を接着し、裏補強板を下地部材にあてがい、孔から露出されている裏補強板をビスで下地部材に固定した後、孔内に化粧モルタルを充填し、コンクリート打放し様に仕上げるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−1482号公報
【特許文献2】特開2000−291222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術は何れも表装材や仕上げ板といった壁材を施工面に取り付けるようにしたものであり、コンクリート打放し仕上げといっても、単に表面の色調だけがコンクリート風であり、実際のSRC造、RC造により打放しの施工したときのような風合いを醸し出すことはできなかった。
【0007】
また、上述した従来の方法では、特定の表装材や、仕上げ板及び裏補強材などを用いるため、その材料費だけでも高くなり、コストが嵩む一因となるという問題があった。
特に、木造建築は、SRC造、RC造よりも廉価でできることが特徴であるにもかかわらず、コストが嵩んでしまうと結局、木造建築等においてコンクリート打放し様にするメリットがなくなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであって、鉄骨造や木造の建物の壁や床、天井、屋根などの表面を、型枠を用いていないにも関わらず、恰も型枠を用いて施工したときと同じようなコンクリート打放しの風合いを醸し出すようにした施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、施工現場にて簡単にコンクリート打放し仕上げとするため、型枠を用いることなくとも、型枠を用いて施工した際にコンクリート面に現れる型枠(パネル)の繋ぎ目による目違いを現すようにすることにより、コンクリート打放しの風合いを醸し出すようにしたものである。
【0010】
すなわち、本発明のコンクリート打放し仕上げ工法は、建築物あるいは構造物の表面をコンクリート打放し様に仕上げるための工法であって、所定の区画に区切られた施工面のうちの一の区画に対して表面材を塗って第1の区画面部を形成する工程と、上記第1の区画面部の少なくとも一つの縁部に沿って、第1の区画面部上にマスキング部材を装着する工程と、上記マスキング部材を装着した第1の区画面部の縁部に沿って、上記第1の区画面部と隣接する区画の施工面に表面材を塗って第2の区画面部を形成する工程と、上記第1の区画面部に装着されているマスキング部材を除去する工程とを有することを特徴とする。
【0011】
ここで、建築物あるいは構造物の表面とは、鉄骨造または木造の建物の内壁や外壁に限らず、床や天井、屋根などを含むものである。また、第1及び第2の区画面部とは、互いに隣接することとなる区画面の形成施工面において生じる表面材塗布の時間的差異から区別したものである、先に施工された区画面部を第1とし、この第1の区画面部の隣に後から施工された区画面部を第2とするものである。さらに、マスキング部材とは、表面材が施工する所定の区画域からはみ出ないように、その隣接面を被覆保護する部材をいう。
【0012】
このように、先に形成した第1の区画部面の縁部にマスキング部材を装着し、この第1の区画面部に隣接する施工下地面に後から表面材を塗布して第2の区画面部を形成することにより、マスキング部材に沿う第1の区画面の縁部と第2の区画面の縁部との境界部に、厚みの差異(段差)を生じさせることができる。したがって、この厚みの差異(段差)が、型枠(パネル)を用いて施工した際に現れる枠板の繋ぎ目による目違いと同様の外観を呈し、コンクリート打放し仕上げの風合いを醸し出すものとなる。また、マスキング部材により、表面材の施工の際、表面材が所定の区画域から多少はみ出しても、このマスキング部材の上面である限りマスキング部材と共に簡単に除去することができる。
【0013】
また、前記第1の区画面部は、施工面の所定区画の外縁部にマスキング部材を装着し、上記マスキング部材の内側に補修材を塗ることにより形成してもよい。
すなわち、第1の区画面部は、最初から下地面にマスキング部材を装着し、このマスキング部材の内側に表面材を塗布した後、塗布した表面材が硬化する前にマスキング部材を除去することにより形成するようにしても良い。これにより、第1の区画面の縁部がきれいに形成され、後から塗布する第2の区画面部用の表面材の塗布作業がしやすくなると共に、第1及び第2の各区画面部の大きさが揃うこととなって境界部の仕上りがきれいなものとなる。
【0014】
この際、第1及び第2の各区画面部は、下地面に防水シートを設置した後、上記防水シートの上にモルタルを塗布し、さらに上記モルタルの上に補修材を塗布することにより形成するようにしても良い。そして、必要に応じて補修材の上に刷毛やスポンジ等で水性ペンキによるパターン付けを行い、その後、撥水剤を塗布するようにしても良い。
【0015】
また、表面材を塗布する下地面にマスキング部材を装着して第1の区画面部を形成する場合、マスキング部材は、所定の厚みを有するものとしても良い。この所定の厚みとは、施工面に塗布する表面材の厚みと等しくなるように決定するものであり、このマスキング部材を施工面に塗布する表面材の厚みと等しくなるようにすることにより、施工面の縁部での表面材の塗布作業がし易くなる。
【0016】
また、本発明のコンクリート打放し仕上げ工法は、格子状の区画に区切られた施工面に対して、先に間欠的に補修材を塗ることにより前記第1の区画面部を千鳥状に形成し、次いで、補修材が塗られていない区画に補修部材を塗ることにより前記第2の区画面部を形成することもできる。
【0017】
そして、第1及び第2の各区画面部の形成後、これら区画面部の上面を円形凹状に切欠して窪ませ、Pコン跡を形成するようにしても良い。なお、このPコン跡とは、鉄筋や型枠(コンクリートを流し込む型)の間隔を保持する部材であるPコンが設置されていた跡のことを言う。これにより、目違いと併せて一層コンクリート打放し仕上げの風合いを醸し出すことができるものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、施工上型枠を用いることの無い鉄骨造や木造の建物であっても、その壁や床、天井、屋根などの表面を、RC造やSRC造の打放しと同様な風合いを醸し出すコンクリート打放し仕上げとすることが簡単にできるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコンクリート打放し仕上げ工法により施工した壁面を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るコンクリート打放し仕上げ工法を簡単に示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るコンクリート打放し仕上げ工法を順次説明する工程図である。
【図4】本発明の別の形態に係る区画面部の形成方法を順次説明する工程図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るコンクリート打放し仕上げ工法に用いる他のマスキング部材を示す説明図である。
【図6】本発明の更に別の実施の形態に係る区画面部の形成方法を示す説明図である。
【図7】本発明の更に別の実施の形態に係る区画面部の形成方法を用いて第1の区画面部を効率良くまとめて形成する工法を示す説明図である。
【図8】本発明の更に別の実施の形態に係る区画面部の形成方法を用いて第2の区画面部を効率良くまとめて形成する工法を示す説明図である。
【図9】図7及び図8に示すコンクリート打放し仕上げ工法により施工した壁面を示す概略図である。
【図10】本発明のコンクリート打放し仕上げ工法により施工した壁に形成するPコン跡を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明にかかる一の形態として、木造建物の壁面を施工した場合について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコンクリート打放し様の仕上げ工法により施工した壁面を示す概略図である。図1に示す壁面は、建物において屋内となる支柱2,2の間の内側に形成されたものであり、本実施の形態では、この支柱2,2の間を3つの区画に分けて施工し、各区画同士の境界部に目違い10を形成させたものである。そして、この区画面のPコン跡20を設けることによりコンクリート打放し様の打放し面1とした。なお、コンクリート打放し仕上げ工法としない側には、樹脂製や金属性のサイディングボードを取り付けてもよい。
【0021】
打放し面1は、例えば図2に示すようにして施工することができる。図2は、本実施の形態に係るコンクリート打放し仕上げ工法を簡単に示す説明図である。まず、施工面を3区画に分割した中央区画部分に表面材としての補修材を塗布して、先に第1の区画面部1Aを形成する。この補修材としては、例えば、セメントと硅砂などを所定の割合で配合したものや市販の補修材を使用することができる。
【0022】
そして、この第1の区画面部1A上の両側の縁部に沿って、マスキング部材3をそれぞれ装着する。これにより、第1の区画面部1Aのうち隣接する第2の区画面部1Bに接する。
【0023】
次いで、第1の区画面部1Aに隣接する両側の施工下地面4,4に、補修材を塗ることにより第2の区画面部1Bを形成する。この際、たとえ、補修材が第2の区画面部1Bをはみ出したとしても、マスキング部材3が装着されているため第1の区画面部1A上に補修材が塗られることはない。
そして、第2の区画面部1B全体に対する補修材の塗りが完了することにより、先の形成された第1の区画面部1Aの補修材の厚さと、第2の区画面部1Bの補修材の厚さに僅かな差が生じ、この段差がコンクリート打放しの際の目違い10のようになる。
【0024】
このコンクリート打放し面1の施工方法について、図3を参照して詳しく説明する。
図3は、本発明にかかるコンクリート打放し様の仕上げ工法を適用した一例を示した工程図である。
まず、支柱2,2の間の3つの区画に分ける。そして、施工下地面4上の第1の区画面部1Aを形成する区画(図示中央の区画)の左右両側2箇所にマスキング部材3,3を垂直に装着する(図3(ア)参照)。この区画の決め方としては、例えば、コンクリートの打放しと同様に型枠を形成する板の大きさ(例えば、1800mm×900mm)としてもよく任意である。
【0025】
そして、この二つのマスキング部材3,3の間、すなわち、3つの区画に分けたうちの真ん中の区画部分に補修材を塗って、第1の区画面部1Aを形成する(図3(イ)参照)。
【0026】
次いで、施工下地面4上に装着していたマスキング部材3,3を補修材が硬化しないうちに除去する。
補修材が硬化して第1の区画面部1Aが形成された後、この第1の区画面部1Aの両側縁部に沿ってマスキング部材3,3を装着する(図3(ウ)参照)。これにより、隣接する第2の区画面部1Bとの境界縁部にマスキング部材3,3が装着される。
【0027】
そして、先に形成された第1の区画面部1Aに隣接する両側の施工下地面4に補修材を塗ることにより、第2の区画面部1Bを形成する(図3(エ)参照)。
その後、第1の区画面部1Aの両側縁部に装着していたマスキング部材3,3を除去し、第2の区画面部1Bを構成する補修材を硬化させる。
これにより、第1の区画面部1Aと第2の区画面部1Bとの間に僅か段差が生じ、この段差により第1の区画面部1Aと第2の区画面部1Bの境界部に目違い10が形成されたコンクリート打放し面1とすることができる(図3(オ)参照)。
【0028】
以上のような施工方法により、鉄骨造や木造の建物の壁面を、型枠を用いて施工したときのような風合いを醸し出すコンクリート打放し仕上げとすることが施工現場にて簡単にできる。
また、特殊なボードなどを必要としないため、材料費などを節減することができ、コストを削減することが可能となる。
【0029】
また、マスキング部材3を用いることにより、第1の区画面1Aの縁部がきれいに形成することができる。これにより、後から第2の区画面部1B用の補修材を塗る作業がしやすくなるし、第1及び第2の区画面部1A、1Bの大きさが揃うこととなり、境界部の仕上りがきれいなものとなって目違い10を整ったものとすることができる。
なお、上述の例では、第1の区画面部1Aを形成する際にもマスキング部材3を用いたものについて説明したがマスキング部材3は必須ではない。
【0030】
また、施工下地面4上に装着していたマスキング部材3,3を補修材が硬化しないうちに除去する例について説明したが、マスキング部材3を除去せずそのままにし、その上から第2の区画面部1Bを構成する補修材を塗ることも可能である。
【0031】
また、第1の区画面部1Aを形成する場合、施工下地面4に装着するマスキング部材3は、片面(施工面に装着する)側に粘着層を有する細幅薄厚帯状体をしたテープではなく、図5に示すような所定の厚さを有する細幅帯状体をしたマスキング部材13としても良い。これにより、第1の区画面部1Aを形成するための補修材を塗布する厚さをマスキング部材13の厚みと等しくなるようにすれば、補修材を容易に塗ることができる。しかも、マスキング部材13を用いて形成された第1の区画面部1Aの縁部は、崩れることなくきれいに形成することができる。したがって、その後の第2の区画面部1Bを構成する補修材の塗布がし易く、整った目違いを形成することができる。
【0032】
次に、本発明にかかるコンクリート打放し様仕上げ工法を適用した一例について図4を参照して説明する。図4は、第1及び第2の区画面部の形成方法を順次説明する工程図である。第1及び第2の区画面部1A、1Bは、何れもそれぞれ次のように形成することができる。まず、施工下地面4の上に防水シート5を装着する。(図4(ア)参照)。この防水シート5としては、例えばグラスウールとすることができる。
【0033】
次いで、この防水シート5の上に、モルタル6を塗る(図4(イ)参照)。モルタル6の塗った後、その上に補修材7を塗る。(図4(ウ)参照)。この補修材7としては、例えばセメントに硅砂を混ぜたものとすることができる。さらに、補修材7の上にペーパーをかけて平坦とした後、水性塗料によりパターン付けを施して全面をコンクリート色にする(図4(エ)参照)。
【0034】
この水性塗料としては、例えばアクリル酸アルキルエステル共重合体系エマルジョン、スチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体系エマルジョン、ポリエステル樹脂系エマルジョン、シリコン樹脂系エマルジョン、フッ素樹脂系エマルジョン、ウレタン樹脂系エマルジョンといった、水性樹脂を水に分散したエマルジョン塗料に着色顔料を配合した塗料を使用することができる。この中でも特にシリコン樹脂系エマルジョン及びフッ素樹脂系エマルジョンは、耐候性、耐久性、耐水性等の性能や、仕上がり性に優れた効果を発揮することから非常に好ましい。
このように水性塗料を用いることで、水性塗料が適度に滲むことでコンクリートの打ちっ放しの質感を出すことができる。
【0035】
なお、水性ペンキの塗布方法は特に限定されないが、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り、流し塗り等の手段で行なうことができる。また、コンクリートの質感と同じになるように水性ペンキを含ませたスポンジ等で表面を叩きながら塗装するようにしても良い。
また、青や黄色などの所定の色の水性ペンキを用いても良いし、また色粉を配合して所望の色合いを出すようにしてもよい。
【0036】
そして、全面に撥水剤の塗布をすることでコンクリート打放し面1とすることができる。(図4(オ)参照)。なお、この際パターン付け及び撥水剤の塗布は、第1及び第2の区画面部1A、1Bの区別無く、補修材を塗った後まとめて行うようにする。
【0037】
これにより、マスキング部材に沿う第1の区画面の縁部と第2の区画面の縁部との境界部に、厚みの差異(段差)を生じさせることができ、この厚みの差異(段差)が、型枠(パネル)を用いて施工した際に現れる枠板の繋ぎ目による目違いと同様の外観を呈し、コンクリート打放し仕上げの風合いを醸し出すものとなる。そして、区画面部にパターン付けを施すことで、一層コンクリート打放し仕上げに似た外観を有するようにすることができる。
【0038】
また、図6に示すように、補修材を塗る施工下地面4の上に、四方がマスキング部材3・・3で囲まれた区画域を作り、この区画域の内側に補修材を塗ることで、第1の区画面1Aを先に形成することもできる。そして、周囲をマスキング部材3で囲んで区画面部を形成する方法を用いることにより、区画面部を効率良くまとめて形成するようにしても良い。
【0039】
この区画面部を効率良くまとめて形成する別の方法としては、例えば図7及び図8に示すようにして行うことができる。図7は、まとめて区画面部を効率良く形成する方法を用いて第1の区画面部を形成する工法を示す説明図であり、図8は、まとめて区画面部を効率良く形成する方法を用いて第2の区画面部を形成する工法を示す説明図である。
【0040】
まず、第1の区画面部1Aを先に形成するように、補修材を塗る施工下地面4の上に、四方がマスキング部材3・・3で囲まれた矩形状の区画域を千鳥状に形成する。次いで、四方がマスキング部材3・・3で囲まれたこの区画域に内部に補修材を塗って第1の区画面部1Aを先に形成する。これにより千鳥状に第1の区画面部1Aが形成される(図7参照)。
【0041】
次いで、施工下地面4上に装着していたマスキング部材3,3を補修材が硬化しないうちに除去し、補修材が硬化して第1の区画面部1Aが形成された後、この第1の区画面部1Aの両側縁部にマスキング部材3,3を装着する。そして、先に形成された第1の区画面部1Aに隣接する両側の施工下地面4に補修材を塗ることにより、第2の区画面部1Bを形成させる(図8参照)。
【0042】
その後、第1の区画面部1Aの両側縁部に装着していたマスキング部材3,3を除去し、第2の区画面部1Bとの間の境界部に、僅かな段差を有する目違い10が格子状に形成されたコンクリート打放し様の面11とすることができる(図9参照)。
【0043】
これにより、区画面部を効率良くまとめて形成し、目違いを有するものとすることができるだけでなく、任意の大きさの区画面部を有するコンクリート打放し仕上げ面を容易に形成することができる。
【0044】
なお、上記実施の形態では、四方をマスキング部材3・・3で囲むことにより、矩形状をした区画面による千鳥模様によって格子状の目知賀を形成させたが、これに限らず、三方をマスキング部材3・3で囲むことにより、三角形状をした区画面によるミツウロコ模様によって積層する山ひだ状の目違いとしたり、六方マスキング部材3・・3で囲むことにより、六角形状をした区画面による亀甲模様によって蜂の巣状の目違いとしたりすることも任意に行うことができる。
【0045】
そして、本実施の形態においては、何れも区画面部を形成し、その上面に補修材を前面に塗った後は、さらに、図10に示すように区画面にドリルなどで円形凹状に切欠して窪ませたPコン跡(セパレータの跡)を付すと良い。これにより、一層効果的にコンクリート打放し仕上げの外観とすることができるものとなる。
【0046】
なお、本地子の形態においては、木造の建物の壁面を施工する場合について説明するが、本発明はこれに限らず、鉄骨造の建物の壁面を施工することができるものである。また、施工場所も壁面に限らず、木造や鉄骨造とした建物の床や天井、屋根などの表面を施工することができるものである。さらに、本実施の形態においては、壁面の一方(内)側だけをコンクリート打放し様の仕上げとしたが、他方(外)側にも施工することができるものである。
【符号の説明】
【0047】
1,11・・・コンクリートの打放し面、1A・・・第1の区画面部、1B・・・第2の区画面部、2・・・支柱、3,13・・・マスキング部材、4・・・施工下地面、5・・・防水シート、6・・・モルタル、7・・・補修材、8・・・パターン付け材、9・・・撥水剤、10・・・目違い、20・・・Pコン跡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物あるいは構造物の表面をコンクリートで打放し様に仕上げるための工法であって、
所定の区画に区切られた施工面のうちの一の区画に対して表面材を塗って第1の区画面部を形成する工程と、
上記第1の区画面部の少なくとも一つの縁部に沿って、第1の区画面部上にマスキング部材を装着する工程と、
上記マスキング部材を装着した第1の区画面部の縁部に沿って、上記第1の区画面部と隣接する区画の施工面に表面材を塗って第2の区画面部を形成する工程と、
上記第1の区画面部に装着されているマスキング部材を除去する工程と、
を有することを特徴とするコンクリート打放し様仕上げ工法。
【請求項2】
前記第1の区画面部は、施工面の所定区画の外縁部にマスキング部材を装着し、上記マスキング部材の内側に補修材を塗ることにより形成する、
請求項1記載のコンクリート打放し様仕上げ工法。
【請求項3】
前記マスキング部材は、所定の厚みを有する、
請求項1又は2記載のコンクリート打放し様仕上げ工法。
【請求項4】
格子状の区画に区切られた施工面に対して、先に間欠的に補修材を塗ることにより前記第1の区画面部を千鳥状に形成し、次いで、補修材が塗られていない区画に補修部材を塗ることにより前記第2の区画面部を形成する、
請求項1から3の何れかに記載のコンクリート打放し様仕上げ工法。
【請求項5】
前記第1及び第2の各区画面部は、施工面に防水シートを敷設した後、上記防水シートの上にモルタルを塗って施工下地面を形成し、さらに上記モルタルの上に表面材を塗ることにより形成される、
請求項1から請求項4の何れかに記載のコンクリート打放し様仕上げ工法。
【請求項6】
前記第1及び第2の各区画面部の形成後、上記コンクリート表面部に塗料を塗布することによりパターンを形成する、
請求項1から6何れかに記載のコンクリート打放し様仕上げ工法。
【請求項7】
上記パターンの形成は、水性塗料により行う、
請求項6記載のコンクリート打放し様仕上げ工法。
【請求項8】
前記第1及び第2の各区画面部の形成後、上記区画面部の上面を円形凹状に切欠して窪ませたPコン跡を形成する、
請求項1から7の何れかに記載のコンクリート打放し様仕上げ工法。
【請求項9】
上記建築物あるいは構造物は、鉄骨造または木造である、
請求項1から8の何れかに記載のコンクリート打放し様仕上げ工法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate