説明

コンクリート枕木用物品止着具

【課題】 コンクリート枕木の周辺に特定の使用目的の下に設置する物品(機器)と無関係に枕木に止着でき、前記物品は枕木に対して間接的に取付けられるようにして、汎用性の有るコンクリート枕木用物品止着具を提供する。
【解決手段】 挫屈防止板などの物品を取付けて支持する支持板3を止着基枠1に設ける。この止着基枠に横部片11と縦部片12とから成る略L字形の、一対の挟持枠2,2を、前記両部片11,12の交差部2xにおいて横軸揺動自在に枢着して、しかも、コンクリート枕木mの係合間隙aを存して相対設する。そして、該挟持枠2の前記横部片11にねじ孔14を縦設し、該ねじ孔14に、前記コンクリート枕木m上に載せる、前記基枠の部片6を介して前記コンクリート枕木に先端が圧接する操作ボルト16を螺合する。また、挟持枠2の縦部片12の先端部には、前記部片6とで前記コンクリート枕木mの下面に係止する係止部片を折り曲げ状にして設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道レールのコンクリート枕木の周辺に配する、挫屈防止板や、レール交換時に用いるレール移動用のローラなどの物品のコンクリート枕木用止着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート枕木の周辺にレールの挫屈防止板などの物品(機器)を設置する際、枕木に組付けてその設置の安定化を図ることがあり、例えば、特許文献1に所載の通り、挫屈防止板に設けた当接部片と、挫屈防止板と別体の固定材とでコンクリート枕木を挟持せしめ、該挟持状態を挫屈防止板と固定材をボルトとナットとで締付けて保持するようにして、前記挫屈防止板をコンクリート枕木に固着するようにした構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−78506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例は、枕木の周辺に設置する物品(機器)である挫屈防止板それ自体に、枕木に対する固着手段を設けたものであるから、当該挫屈防止板以外の物品の、枕木に対する止着に、当然のことながら適用できる構造のものではない。
【0005】
本発明は、枕木の周辺に特定の使用目的の下に設置する物品(機器)と無関係にコンクリート枕木に止着でき、前記物品は枕木に対して間接的に取付けられるようにして、汎用性の有るコンクリート枕木用物品止着具を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
挫屈防止板などの物品を取付けて支持する支持板を設けた止着基枠に、横部片と縦部片とから成る略L字形の、一対の挟持枠を、前記両部片の交差部において横軸揺動自在に枢着して、しかも、コンクリート枕木の係合間隙を存して相対設し、該挟持枠の前記横部片にねじ孔を縦設し、該ねじ孔に、前記コンクリート枕木上に載せる、前記基枠の部片を介して前記コンクリート枕木に先端が圧接する操作ボルトを螺合すると共に、挟持枠の縦部片の先端部には、前記部片とで前記コンクリート枕木の下面に係止する係止部片を折り曲げ状にして設けた構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作ねじを操作することにより挟持枠は揺動して縦部片の、先端の係止部片がコンクリート枕木下面と相対する位置に配され、この掛止部片と前記ねじ操作によりコンクリート枕木の上面に圧接される基枠部片とでコンクリート枕木を上下(高さ)方向に挟持して枕木に確実に止着でき、物品はコンクリート枕木とは無関係に基枠に備えた支持板に取付けることで、コンクリート枕木に間接的に取付けることになるから、種々の物品の取付けに適用できる汎用性の有る、利用範囲の広い止着具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】コンクリート枕木に固着した状態を示す一部欠截正面図。
【図2】図1のx−x線断面図。
【図3】コンクリート枕木に組付ける前の状態を示す一部欠截正面図。
【図4】一使用状態を示す側面図。
【図5】他の使用状態を示す側面図。
【実施例】
【0009】
図面は本発明に係るコンクリート枕木用物品止着具の一実施例を示し、物品止着具Aは、止着基枠1と、一対の挟持枠2とを互いに組付けて構成したものである。
【0010】
止着基枠1は、長方形状の前面板3と後面板4を、長手方向の両端位置に配した一対の上側仲介板5,5と、該上側仲介板5,5間中央部に配した下側仲介板6を介して互いに接続して(熔接して)構成して、上面を額縁状にして窓口7を備えた金属製枠体で成り、前、後面板3,4の、長手方向の両端の上部には支軸8を受支する支持孔9,9´を設け、前面板3側の支持孔9をねじ孔とし、この支持孔9,9´間の前記前面板3部には、上下一対を一組とする螺合孔10B,10´Bと該螺合孔10B,10´Bの左右に等間隔を置いて、各一対の螺合孔10A,10´A、10C,10´Cを対称的に並設して構成してある。
【0011】
なお、実施例の前面板3は、これら螺合孔10A等を備えることにより「請求項」でいう「支持板」を構成する。また、前面板3(支持板)に設けた螺合孔(ねじ孔)10A等の数、配置態様は自由に選択すれば良く、例えば、あり溝を当該前面板3に設けて、該あり溝に物品を摺嵌して、物品を前面板3(支持板)に取付け、支持させるようにしても良い。従って、物品の取付け手段は、螺合孔10A等に限らず自由に選択すれば良い。
【0012】
前記一対の挟持枠2,2は、横部片11と縦部片12とから成り、止着基枠1の前、後面板3,4間の間隙7x幅よりわずかに狭い奥行幅を備えた、ほぼL字形の金属製枠体で成り、横部片11と縦部片12の交差部2xに前記支軸8を挿通させる軸孔13を設けると共に、横部片11の、止着基枠1の前記下側仲介板6に上下方向に重なり合う先端部には、縦方向のねじ孔14を設け、また、縦部片12の先端部(下端部)には折り曲げ状にして係止部片15を設けて成るものである。因みに、止着基枠1と挟持枠2は鋼材で構成してある。
【0013】
そして、止着基枠1の前記前面板3と後面板4との間の前記間隙7x内に、挟持枠2を、縦部片12において差し込むようにして組合わせ、挟持枠2の軸孔13と止着基枠1側の支持孔9,9´を互いに一致させて、一方の支持孔9´側よりボルトで成る支軸8を貫通させ、軸孔13より突出する支軸8の先端を、他方の支持孔9´(ねじ孔で構成した)に螺合して締付けることにより、止着基枠1に一方の挟持枠2を取付け、また、他方の挟持枠2を同様に、一方の挟持枠2に対してコンクリート枕木mの係合間隙aを存して止着基枠1に取付けることにより、一対の挟持枠2が止着基枠1に対称的に組付けられ、この組付け状態を得て、前記窓口6を通じて操作ボルト16を、各挟持枠2のねじ孔14に螺合組付けることにより実施例の物品止着具Aを得られる。すなわち、止着基枠1に、横部片11と縦部片12とから成る、ほぼL字形の、一対の挟持枠2,2を、前記両部片11,12の交差部2xにおいて横軸(支軸8で構成する)回動自在に相対して枢着して構成した実施例の物品止着具Aを得られるのである。
【0014】
そして、操作ボルト16を回すと、該操作ボルト16はねじ孔14に螺合してあるので、ねじ孔14に沿って前進(降下)し、その先端が止着基枠1の前記下側仲介板6(「請求項」でいう「基枠の部片」に対応)に接して前進が規制され、この規制状態時に前記の回し操作を継続すると、操作ボルト16は下側仲介板6との接触位置にあって回転するだけであるので、該操作ボルト16が螺合するねじ孔14が操作ボルト16(のねじ)に沿って上昇することになり、その結果、該ねじ孔14を備えた挟持枠2は支軸8を中心にして揺動し、該挟持枠2の縦部片12の先端に備えた係止部片15はコンクリート枕木mの下面との対向位置に移動され、最終的には、該係止部片15と下側仲介板6とでコンクリート枕木mを挟持し、物品止着具Aは枕木mに止着されることになる。
【0015】
なお、各挟持枠2,2は、同時又は異時に対応する操作ボルト16を操作することにより枕木mはその係止部片15が係止し、該一対の挟持枠2,2と基枠1は枕木mを抱持されたような態様で枕木mに止着される。
【0016】
各挟持枠2の内端縁の形状を図1や図2の2点鎖線で示す通り、コンクリート枕木mの外周形に近似させ、又は近似させないまでも、内端縁の一部が枕木mの外周縁に接触させるようにすると、止着具は枕木mにより強固に止着される。
【0017】
そして、この止着状態において、止着基枠1の前面板3(「請求項」でいう「支持板」)に設けた螺合穴10A,10´A、10B,10´B、10C,10´Cの適宜のものに、挫屈防止板B(図4)の組付け板B1やレール移動用ローラR(図5)の取付け板R1を通じて取付けボルトbを螺合することにより挫屈防止板B等はコンクリート枕木mに止着され、道床上に設置される。
【0018】
なお、止着基枠1に対する物品(図示では挫屈防止板Bとレール移動用ローラを示すが)の取付け手段は自由で、前記の通り、実施例のように螺合孔10A等を用いる必要はない。
【0019】
本発明はレールに止着具を止着し、該止着具に物品を取付けて、該止着具を介して物品をレールに取付けられるところに利点があるものである。図中、20は吊上げ用のフックである。
【符号の説明】
【0020】
1 止着基枠
2 挟持枠
3 止着基枠の前面板
11 横部片
12 縦部片
14 ねじ孔
15 係止部片
16 操作ボルト
a 係合間隙
m コンクリート枕木

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挫屈防止板などの物品を取付けて支持する支持板を設けた止着基枠に、横部片と縦部片とから成る略L字形の、一対の挟持枠を、前記両部片の交差部において横軸揺動自在に枢着して、しかも、コンクリート枕木の係合間隙を存して相対設し、該挟持枠の前記横部片にねじ孔を縦設し、該ねじ孔に、前記コンクリート枕木上に載せる、前記基枠の部片を介して前記コンクリート枕木に先端が圧接する操作ボルトを螺合すると共に、挟持枠の縦部片の先端部には、前記部片とで前記コンクリート枕木の下面に係止する係止部片を折り曲げ状にして設けた、コンクリート枕木用物品止着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41791(P2012−41791A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185923(P2010−185923)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(391030125)保線機器整備株式会社 (39)