説明

コンクリート構造体及び建物

【課題】建物への電気的な影響を少なくできるととともに建物の耐たわみ性能、耐火性能を向上でき、しかも建物の低コスト化を可能とするコンクリート構造体を提供する。
【解決手段】本発明のコンクリート構造体1は、一方の面51と一方の面と対向する他方の面52とを備え、鉄筋6により形成された鉄筋構造部3及び電気絶縁性能を有する絶縁筋5により形成された絶縁筋構造部2の周りがコンクリート部4で囲まれて形成されたコンクリート構造体であって、一方の面51に近い側に絶縁筋構造部2を備え、他方の面52に近い側に鉄筋構造部3を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物への電気的な影響を少なくできるとともに、建物の耐たわみ性能、耐火性能を向上でき、しかも建物の低コスト化が可能なコンクリート構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋の代わりに、アラミド繊維を用いて形成された電気絶縁性能を有する絶縁筋を用いたコンクリート構造体によって構築された建物が知られている。
【特許文献1】特開平8−277645号公報
【特許文献2】特開平9−218227号公報
【特許文献3】特開2003−56097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンクリートに内蔵させるすべての鉄筋の代わりに上記絶縁筋を用いたコンクリート構造体で建物を構築すれば、建物への電気的な影響を排除できると考えられる。しかしながら、上記絶縁筋は、鉄筋に比べて引っ張り強度は大きいが弾性係数は小さいため、両者に同じ荷重を加えた場合、絶縁筋の方が伸び量が大きくなる。即ち、絶縁筋の方が耐たわみ性能が低い。また、絶縁筋の方が耐火性能が低い。さらに、絶縁筋の方がコストが高い。よって、鉄筋コンクリートに内蔵させるすべての鉄筋の代わりに上記絶縁筋を用いたコンクリート構造体で建物を構築することは、鉄筋を用いたコンクリート構造体で建物を構築する場合に比べて、耐たわみ性能、耐火性能、コストの点で課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のコンクリート構造体は、一方の面と一方の面と対向する他方の面とを備え、鉄筋により形成された鉄筋構造部及び電気絶縁性能を有する絶縁筋により形成された絶縁筋構造部の周りがコンクリート部で囲まれて形成されたコンクリート構造体であって、一方の面に近い側に絶縁筋構造部を備え、他方の面に近い側に鉄筋構造部を備えたことを特徴とする。
一方の面と一方の面と対向する他方の面とを備え、鉄筋により形成された鉄筋構造部及び電気絶縁性能を有する絶縁筋により形成された絶縁筋構造部の周りがコンクリート部で囲まれて形成されたコンクリート構造体であって、鉄筋構造部を備えたプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体と、絶縁筋構造部を備えて鉄筋コンクリート構造体と結合された絶縁筋コンクリート構造体とにより構成され、絶縁筋コンクリート構造体が一方の面を形成し、鉄筋コンクリート構造体が他方の面を形成したことも特徴とする。
鉄筋構造部は、配筋された鉄筋同士が互いに電気的に絶縁された構造を備えたことも特徴とする。
鉄筋構造部は、一方の面に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋からなる第1鉄筋群と、一方の面に沿った方向であって一方向と交差する方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋からなる第2鉄筋群と、第1鉄筋群の鉄筋と第2鉄筋群の鉄筋とが交差する部分に介在された絶縁材とを備え、第1鉄筋群と第2鉄筋群とが電気的に絶縁された状態に結合された構造であることも特徴とする。
鉄筋構造部は、一方の面に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋からなる鉄筋群と、一方の面に沿った方向であって一方向と交差する方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の電気絶縁性能を有する絶縁筋からなる絶縁筋群と備え、鉄筋群と絶縁筋群とが結合された構造であることも特徴とする。
鉄筋構造部は、一方の面に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋からなる鉄筋群により構成されたことも特徴とする。
鉄筋コンクリート構造体と絶縁筋コンクリート構造体との間にコンクリート重量軽減部を備えたことも特徴とする。
本発明の建物は、上述したコンクリート構造体により構築された建物であって、コンクリート構造体の一方の面が室内に近い側に向けられて構築されたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のコンクリート構造体によれば、一方の面に近い側に絶縁筋構造部を備え、一方の面と対向する他方の面に近い側に鉄筋構造部を備えたので、コンクリート構造体の一方の面を室内に近い側に向けて建物を構築することによって、絶縁筋構造体が電気的な絶縁部となり、室内側から見て絶縁筋構造体より外側に位置する鉄筋構造部の鉄筋を伝わってくる誘導雷、迷走電流などの電気的なノイズが室内に設置された電子機器に伝わるのを防止できる建物を提供できる。
鉄筋構造部を備えたプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体を用いたコンクリート構造体で建物を構築することにより、プレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体を、絶縁筋コンクリート構造体を形成するためのコンクリート型枠として利用できるので、型枠設置作業の手間を少なくできる。
コンクリート構造体は、配筋された鉄筋同士が互いに電気的に絶縁された構造の鉄筋構造部を備えたので、電磁波遮蔽性能が向上し、電磁波遮蔽性能の高い建物を提供できる。
鉄筋構造部が、絶縁材によって互いに電気的に絶縁された第1鉄筋群と第2鉄筋群とにより形成されたので、電磁波遮蔽性能が向上するとともに、耐たわみ性能も向上した建物を提供できる。
鉄筋構造部が、鉄筋群と絶縁筋群とが結合された構造により形成されたので、鉄筋群の鉄筋と絶縁筋群の絶縁筋とが交差する部分に絶縁体を介在させなくともよくなるので、鉄筋構造部の形成作業を容易とできる。
鉄筋構造部は、一方の面に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋からなる鉄筋群により構成された構造とした場合は、鉄筋構造部の形成作業を容易とできる。
鉄筋コンクリート構造体と絶縁筋コンクリート構造体との間にコンクリート重量軽減部を備えた場合には、鉄筋の加わる荷重負担を小さくできるので、鉄筋量を減らすことができて低コスト化が図れる。
本発明の建物は、上述したコンクリート構造体により構築された建物であって、コンクリート構造体の一方の面が室内に近い側に向けられて構築されたことにより、電気的なノイズが室内に設置された電子機器に伝わるのを防止できる建物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
最良の形態1
図1乃至図4は最良の形態1を示す。図1はコンクリート構造体の構造を断面で示し、図2はコンクリート構造体で構築された建物の構造を断面で示し、図3はコンクリート構造体で構築されたビルやマンションのような建物の構造を断面で示し、図4はコンクリート構造体で構築された建物の床構造を断面で示す。
【0007】
図1を参照し、コンクリート構造体1の構造を説明する。コンクリート構造体1は、絶縁筋構造部2と鉄筋構造部3とコンクリート部4とを備える。即ち、コンクリート構造体1は、絶縁筋構造部2及び鉄筋構造部3の周りがコンクリート部4で囲まれて、絶縁筋構造部2とコンクリート部4とが互いに結合され、鉄筋構造部3とコンクリート部4とが互いに結合された構成である。コンクリート構造体1は、矩形板状の一方の面51に近い側に絶縁筋構造部2を備え、一方の面51と対向する他方の面52に近い側に鉄筋構造部3を備える。
【0008】
絶縁筋構造部2は、電気絶縁性能を有する複数の絶縁筋5により形成される。
絶縁筋5としては、アラミド繊維、ガラスなどの絶縁体により鉄筋のような棒状に形成されたもの、あるいは、鉄筋の周囲がアラミド繊維、ガラスなどの絶縁体で覆われて鉄筋のような棒状に形成されたものが用いられる。
絶縁筋構造部2は、一方の面51に沿った一方向(例えば、図1の左右の方向)に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の絶縁筋5からなる第1絶縁筋群53と、一方の面51に沿った方向であって一方向と交差する方向(例えば、図1の紙面に直交する方向)に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の絶縁筋5からなる第2絶縁筋群54とを備え、第1絶縁筋群53と第2絶縁筋群54とが図外の結束線により互いに結合された構造である。
【0009】
鉄筋構造部3は、複数の鉄筋6により形成される。
鉄筋構造部3は、一方の面51に沿った一方向(例えば、図1の左右の方向)に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋6からなる第1鉄筋群63と、一方の面51に沿った方向であって一方向と交差する方向(例えば、図1の紙面に直交する方向)に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋6からなる第2鉄筋群64と、第1鉄筋群63の鉄筋6と第2鉄筋群64の鉄筋6とが交差する部分に介在された絶縁材としての絶縁スペーサ7とを備え、第1鉄筋群63と第2鉄筋群64とが図外の絶縁結束線によって互いに電気的に絶縁された状態に結合された構造である。
【0010】
コンクリート構造体1の形成方法の一例を説明する。図外の型内の底側において鉄筋構造部3を形成する。即ち、複数の鉄筋6を型の底壁に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べて第1鉄筋群63を形成し、第1鉄筋群63の上に複数の鉄筋6を型の底壁に沿った方向であって上記一方向と交差する方向に所定の間隔を隔てて並べて第2鉄筋群64を形成する。そして、第1鉄筋群63の鉄筋6と第2鉄筋群64の鉄筋6とが交差する部分に絶縁スペーサ7を介在させた状態でこの交差する部分及びその他の部分で第1鉄筋群63の鉄筋6と第2鉄筋群64の鉄筋6とを図外の絶縁結束線により結束することによって、上下の鉄筋6;6同士が互いに接触せず電気的に絶縁された構造の鉄筋構造部3を形成する。即ち、鉄筋6を配置(配筋)することによって格子網板状の鉄筋構造部3を形成する。以上のように構成された鉄筋構造部3の上方、即ち、型内の上部側に絶縁筋構造部2を形成する。即ち、複数の絶縁筋5を型の底壁に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べて第1絶縁筋群53を形成し、第1絶縁筋群53の上に複数の絶縁筋5を型の底壁に沿った方向であって上記一方向と交差する方向に所定の間隔を隔てて並べて第2絶縁筋群54を形成する。そして、第1絶縁筋群53の絶縁筋5と第2絶縁筋群54の絶縁筋5とが交差する部分及びその他の部分で上下の絶縁筋5;5同士を図外の結束線により結束する。即ち、絶縁筋5を配置(配筋)することによって格子網板状の絶縁筋構造部2を形成する。
上述のように、型内に鉄筋6を配筋して鉄筋構造部3を形成するとともに絶縁筋5を配筋して絶縁筋構造部2を形成した後に、生コンクリートと呼ばれるコンクリート流動体を流し込み、所定時間放置することにより、コンクリート構造体1を形成する。
【0011】
図1において想像線(二点鎖線)で示したように、型内に鉄筋6を配筋して鉄筋構造部3を形成した後にコンクリート流動体を流し込んで所定時間放置することによって鉄筋コンクリート構造体8を形成した後に、この鉄筋コンクリート構造体8の上に絶縁筋5を配筋して絶縁筋構造部2を形成し、絶縁筋構造部2を覆うようにコンクリート流動体を流し込んで所定時間放置することによって絶縁筋コンクリート構造体9を形成することによって、コンクリート構造体1を形成してもよい。
【0012】
図2を参照し、コンクリート構造体1により構築された建物10を説明する。尚、ここでは、建築現場においてコンクリート型枠を使用して上述した鉄筋コンクリート構造体8を形成した後に絶縁筋コンクリート構造体9を形成することによって構築されたコンクリート構造体1による建物10の構造及び形成方法を説明する。
建物10は、室内11側に位置する絶縁筋コンクリート構造体9と、絶縁筋コンクリート構造体9の外面12を覆うように形成された鉄筋コンクリート構造体8とからなるコンクリート構造体1により構築される。
建物10の形成方法の一例を説明する。地面20上に、図外のコンクリート型枠を設置して建物10の地面側の鉄筋コンクリート構造体81(8)を形成する。その後、地面20側の鉄筋コンクリート構造体81(8)の上に建物10の外面21側に位置する壁部、柱部、梁部となる鉄筋コンクリート構造体82(8)を形成する。そして、鉄筋コンクリート構造体81,82の内面21uに、建物10の室内11側に位置する床部となる絶縁筋コンクリート構造体91(9)、建物10の室内11側に位置する壁部、柱部、梁部となる絶縁筋コンクリート構造体92(9)を形成する。その後、建物10の室内11側に位置する天井部となる絶縁筋コンクリート構造体93(9)を形成した後、絶縁筋コンクリート構造体93(9)及び鉄筋コンクリート構造体82(8)の上に建物10の屋上部となる鉄筋コンクリート構造体83(8)を形成する。
【0013】
尚、建物10の床を形成する鉄筋コンクリート構造体81(8)及び絶縁筋コンクリート構造体91(9)からなるコンクリート構造体1を一緒に形成し、建物10の壁、柱、梁を形成する鉄筋コンクリート構造体82(8)及び絶縁筋コンクリート構造体92(9)からなるコンクリート構造体1を一緒に形成し、建物10の屋上及び天井を形成する鉄筋コンクリート構造体83(8)及び絶縁筋コンクリート構造体93(9)からなるコンクリート構造体1を一緒に形成することによって、建物10を構築してもよい。
【0014】
即ち、建物10は、コンクリート構造体1の一方の面51が室内11に近い側に向けられて構築された構造である。
【0015】
コンクリート構造体1により構築された建物10によれば、室内11側に絶縁筋コンクリート構造体9を備えるので、絶縁筋コンクリート構造体9の絶縁筋構造部2が電気的な絶縁部となり、室内11側から見て絶縁筋コンクリート構造体9より外側に位置する鉄筋6を伝わってくる誘導雷、迷走電流などの電気的なノイズが室内11に設置された電子機器15に伝わるのを防止できる建物10を提供できる。
また、第1鉄筋群63と第2鉄筋群64とからなる建物鉄筋構造部3を備えたコンクリート構造体1を用いて建物10を構築したので、耐たわみ性能に優れた建物10を提供できる。さらに、建物鉄筋構造部3の第1鉄筋群63の鉄筋6と第2鉄筋群64の鉄筋6とが互いに接触されて電気的に絶縁されていない構造とした場合には、空中を伝播してくる特定の周波数の外来電磁波を室外から室内11に通過させてしまうが、本形態による鉄筋構造部3は、鉄筋構造部3を構成する各鉄筋6が互いに接触せず電気的に絶縁された構成としたので、電磁波遮蔽性能が向上し、電磁波遮蔽性能の高い建物10を提供できる。
【0016】
本形態のコンクリート構造体1を用いることにより、図3に示す、ビルやマンションのような建物を構築できる。
【0017】
次に、図4を参照し、本形態のコンクリート構造体1を用いたビルやマンションのような建物の床の構造及び形成方法の一例を説明する。
床は、工場などで形成されたプレキャスト製のコンクリート版(以下、PC版という)からなる鉄筋コンクリート構造体8と、現場にてコンクリート型枠を用いて形成された絶縁筋コンクリート構造体9とを備える。鉄筋コンクリート構造体8と絶縁筋コンクリート構造体9との間にはコンクリート重量軽減部25を備える。
床の形成方法を説明する。梁26;26間にPC版からなる鉄筋コンクリート構造体8を掛け渡たすように設置し、その上、鉄板などで中空箱状に形成された空間形成材や発泡スチロールのような軽量材などの図外の重量軽減部形成材を設置した後に、鉄筋コンクリート構造体8、梁26、重量軽減部形成材の上に絶縁筋構造部2を形成し、絶縁筋構造部2を覆うようにコンクリート流動体を流し込んで所定時間放置することによって絶縁筋コンクリート構造体9を形成し、この絶縁筋コンクリート構造体9とPC版からなる鉄筋コンクリート構造体8とが互いに結合されたコンクリート構造体1からなる床を形成する。
【0018】
即ち、この場合の床を形成するコンクリート構造体1は、鉄筋構造部3を備えたPC版からなる鉄筋コンクリート構造体8と、絶縁筋構造部2を備えて鉄筋コンクリート構造体8と結合された絶縁筋コンクリート構造体9とにより構成され、絶縁筋コンクリート構造体9が一方の面51を形成し、鉄筋コンクリート構造体8が他方の面52を形成し、さらに、鉄筋コンクリート構造体8と絶縁筋コンクリート構造体9との間にコンクリート重量軽減部25を備えた構造である。
【0019】
PC版からなる鉄筋コンクリート構造体8を使用した場合、PC版からなる鉄筋コンクリート構造体8をコンクリート型枠として利用できるので、型枠設置作業の手間を少なくできる。
さらに、PC版からなる鉄筋コンクリート構造体8の上に重量軽減部形成材を設置してコンクリート流動体を打設することによってコンクリート重量軽減部25を容易に形成できる。
【0020】
また、重量軽減部25を設けたことによって、鉄筋の加わる荷重負担を小さくできるので、鉄筋量を減らすことができて低コスト化が図れる。
【0021】
尚、梁26;26間にPC版からなる絶縁筋コンクリート構造体9を掛け渡たすように設置し、この絶縁筋コンクリート構造体9の上に、コンクリート型枠を設置して、鉄筋コンクリート構造体8とこの鉄筋コンクリート構造体8の上に位置する絶縁筋コンクリート構造体9とからなるコンクリート構造体1を構築することによって床を形成してもよい。
【0022】
最良の形態2
図5に示すように、コンクリート構造体1の鉄筋構造部3が、一方の面51に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋6からなる鉄筋群65と、一方の面51に沿った方向であって一方向と交差する方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の電気絶縁性能を有する絶縁筋5からなる絶縁筋群55と備え、鉄筋群65と絶縁筋群55とが結合された構造としてもよい。この場合、鉄筋群65の鉄筋6と絶縁筋群55の絶縁筋5とが交差する部分に絶縁スペーサ7を介在させなくともよくなるので、鉄筋構造部3の形成作業を容易とできる。
【0023】
最良の形態3
図6に示すように、鉄筋構造部3は、一方の面51に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋6からなる鉄筋群65により構成された構造としてもよい。この場合、一方向に複数の鉄筋6を並べるだけで良いので、鉄筋構造部3の形成作業を容易とできる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
最良の形態2;3の構成の鉄筋構造部3を採用する場合、上述したコンクリート重量軽減部25を設けることによって鉄筋構造部3の荷重負担を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】コンクリート構造体の構造を示す断面図(最良の形態1)。
【図2】コンクリート構造体で構築された建物の構造を示す断面図(最良の形態1)。
【図3】コンクリート構造体で構築されたビルやマンションのような建物の構造を示す断面図(最良の形態1)。
【図4】コンクリート構造体で構築された建物の床構造を示す断面図(最良の形態1)。
【図5】コンクリート構造体の構造を示す断面図(最良の形態2)。
【図6】コンクリート構造体の構造を示す断面図(最良の形態3)。
【符号の説明】
【0026】
1 コンクリート構造体、2 絶縁筋構造部、3 鉄筋構造部、
4 コンクリート部、5 絶縁筋、6 鉄筋、7 絶縁スペーサ(絶縁材)、
8 鉄筋コンクリート構造体、9 絶縁筋コンクリート構造体、10 建物、
11 室内、25 コンクリート重量軽減部、51 一方の面、52 他方の面、
55 絶縁筋群、63 第1鉄筋群、64 第2鉄筋群、65 鉄筋群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面と一方の面と対向する他方の面とを備え、鉄筋により形成された鉄筋構造部及び電気絶縁性能を有する絶縁筋により形成された絶縁筋構造部の周りがコンクリート部で囲まれて形成されたコンクリート構造体であって、一方の面に近い側に絶縁筋構造部を備え、他方の面に近い側に鉄筋構造部を備えたことを特徴とするコンクリート構造体。
【請求項2】
一方の面と一方の面と対向する他方の面とを備え、鉄筋により形成された鉄筋構造部及び電気絶縁性能を有する絶縁筋により形成された絶縁筋構造部の周りがコンクリート部で囲まれて形成されたコンクリート構造体であって、鉄筋構造部を備えたプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体と、絶縁筋構造部を備えて鉄筋コンクリート構造体と結合された絶縁筋コンクリート構造体とにより構成され、絶縁筋コンクリート構造体が一方の面を形成し、鉄筋コンクリート構造体が他方の面を形成したことを特徴とするコンクリート構造体。
【請求項3】
鉄筋構造部は、配筋された鉄筋同士が互いに電気的に絶縁された構造を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造体。
【請求項4】
鉄筋構造部は、一方の面に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋からなる第1鉄筋群と、一方の面に沿った方向であって一方向と交差する方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋からなる第2鉄筋群と、第1鉄筋群の鉄筋と第2鉄筋群の鉄筋とが交差する部分に介在された絶縁材とを備え、第1鉄筋群と第2鉄筋群とが電気的に絶縁された状態に結合された構造であることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート構造体。
【請求項5】
鉄筋構造部は、一方の面に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋からなる鉄筋群と、一方の面に沿った方向であって一方向と交差する方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の電気絶縁性能を有する絶縁筋からなる絶縁筋群と備え、鉄筋群と絶縁筋群とが結合された構造であることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート構造体。
【請求項6】
鉄筋構造部は、一方の面に沿った一方向に向けて所定の間隔を隔てて並べられた複数の鉄筋からなる鉄筋群により構成されたことを特徴とする請求項3に記載のコンクリート構造体。
【請求項7】
鉄筋コンクリート構造体と絶縁筋コンクリート構造体との間にコンクリート重量軽減部を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載のコンクリート構造体。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のコンクリート構造体により構築された建物であって、コンクリート構造体の一方の面が室内に近い側に向けられて構築されたことを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−19618(P2008−19618A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−191995(P2006−191995)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(505142562)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(000003090)東邦テナックス株式会社 (246)
【出願人】(598072180)ファイベックス株式会社 (24)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】