コンクリート構造物の品質情報管理システム
【課題】 コンクリートの品質に関わる情報を、過去に遡って迅速に探索し、かつ、その情報を誰もが見やすいように提供できるシステムを提供する。
【解決手段】 品質情報管理システム10は、図形データDB11と、図形データ登録部18と、図形データDB11からデータを取り出してコンクリート躯体の三次元モデルを作成して情報ユニットを作成する情報ユニット作成部12と、情報ユニットを格納する情報ユニットDB13と、コンクリート諸データDB16と、コンクリート躯体の諸データをコンクリート諸データDB16に登録するコンクリート諸データ登録部14と、情報ユニットDB13とコンクリート諸データDB16とを連係させるDB連係部19と、コンクリート諸データ登録部14から所定の情報を検索するデータ検索部17と、画像生成出力部15とを備えるものである。
【解決手段】 品質情報管理システム10は、図形データDB11と、図形データ登録部18と、図形データDB11からデータを取り出してコンクリート躯体の三次元モデルを作成して情報ユニットを作成する情報ユニット作成部12と、情報ユニットを格納する情報ユニットDB13と、コンクリート諸データDB16と、コンクリート躯体の諸データをコンクリート諸データDB16に登録するコンクリート諸データ登録部14と、情報ユニットDB13とコンクリート諸データDB16とを連係させるDB連係部19と、コンクリート諸データ登録部14から所定の情報を検索するデータ検索部17と、画像生成出力部15とを備えるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の品質情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートを用いた施工では、工程管理、品質管理、安全管理、労務管理など、様々な管理が行われる。特に、最近では、構造物の性能指標の1つとなるコンクリートの品質について、厳格な管理が求められるようになってきている。施工現場では、建設会社の現場職員が専業者を指揮しながらコンクリート打設の準備を進め、型枠・鉄筋組みからコンクリート打設、養生、型枠脱型、諸計測といった作業を行っており、さらに、要所では発注者側からの検査も受ける。
コンクリート構造物の品質は、このような作業が規定通りに間違いなく行われているかどうか、打設されるコンクリートが設計通りの強度を発現する配合で正しく製造されて現場に供給されているか、そして、打設後の丁寧な養生ができているかという大きく三点で決まると言っても過言ではない。
【0003】
したがって、施工後に発注者や将来の使用者から、コンクリート構造物の品質を問われた場合、上記の三点についての説明責任を果たす必要がある。そのため、発注者検査の帳票や品質試験シート等も含めて文書などで施工履歴を残しておくことが重要であり、これらの施工履歴は、紙への出力情報として管理保管されてきた。
しかしながら、このような情報は、竣工図書としてファイルに綴られ、倉庫に保管された時点で、当該工事に関わった者以外の技術者にとっては、全く関知できない資料へと変化し、埋没していくという状況にあった。
【0004】
施工履歴の埋没を防ぎ、品質情報のトレーサビリティを高めるために、紙情報をスキャナーやマニュアル入力などによりデジタル化することが考えられているが、この場合にも、デジタル化された品質情報がデータサーバー等のいわゆる、電子的な倉庫の中で埋もれてしまう懸念は免れない。このような情報の埋没を防ぐため、3次元CAD、帳票管理技術、情報検索技術を使用することが考えられている。
【0005】
しかしながら、三次元CADでは、1つ1つの描画部品に対応して、色や線種などの描画属性を持つような仕組みを持っているが、三次元的に表現された構造物の細かな部材に対して、作業情報や品質情報を持たせる仕組みが無いという問題がある。
また帳票管理技術では、施工箇所を細分化したような三次元モデルをインデックスにして、作業情報や品質情報を系統立てて管理できる仕組みが無いという問題がある。
さらに、データベースに蓄積された作業情報や品質情報から、必要な情報を検索抽出する技術はたくさんあるが、その検索結果は表形式で表現することが主流であり、それがどの位置の情報か視覚的に認識することができないという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような現状を鑑みて本発明の課題は、コンクリートの品質に関わる情報を、過去に遡って迅速に探索し、かつ、その情報を誰もが見やすいように提供できるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、コンクリート構造物の図形データからコンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルを作成し、一回のコンクリート打設工程により打設可能な範囲を最小単位とするように当該二次元モデル又は三次元モデルを細分化し、当該細分化された二次元モデル又は三次元モデル毎に諸データを登録可能な情報ユニットを作成する手段と、当該情報ユニット作成手段により作成された情報ユニットを格納する手段と、前記コンクリート躯体を設計、構築及び維持管理する過程で得られた諸データを前記情報ユニットに登録する手段と、前記情報ユニットを格納する手段から所定の情報を検索して画像を生成して出力する手段と備えることを特徴とするコンクリート構造物の品質情報管理システムが提供される。
【0008】
また本発明では、図形データを格納する手段と、コンクリート躯体の設計時に作成された図形データを前記図形データ格納手段に登録する手段と、前記図形データ格納手段に登録された図形データからコンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルを作成し、一回のコンクリート打設工程により打設可能な範囲を最小単位とするように当該二次元モデル又は三次元モデルを細分化して情報ユニットを作成する手段と、当該情報ユニット作成手段により作成された情報ユニットを格納する手段と、コンクリート諸データを格納する手段と、前記コンクリート躯体を設計、構築及び維持管理する過程で得られた諸データを前記コンクリート諸データ格納手段に登録する手段と、前記情報ユニット格納手段と前記コンクリート諸データ格納手段とを連係させる手段と、当該連係手段を介して前記コンクリート諸データ格納手段から所定の情報を検索する手段と、当該情報検索手段により検索された情報を前記情報ユニットと伴に画像として生成して出力する手段と備えることを特徴とするコンクリート構造物の品質情報管理システムが提供される。
【0009】
ここで、前記コンクリート構造物の図形データは設計図面を含み、例えば、二次元や三次元のベクトルデータがData exchange file等の所定のファイル形式で格納されたCADデータを挙げることができる。
このような図形データからコンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルを作成し、一回のコンクリート打設工程により打設可能な範囲を最小単位とするように当該二次元モデル又は三次元モデルを細分化して情報ユニットを作成する手段、コンクリート躯体を設計、構築及び維持管理する過程で得られた諸データをコンクリート諸データ格納手段に登録する手段、情報ユニット格納手段とコンクリート諸データ格納手段とを連係させる手段、所定のコンクリート諸データを検索する手段、情報検索手段により検索された情報を情報ユニットと伴に画像として生成して出力する手段は、1つ又は複数に構築されたコンピュータソフトウェアを使用することが可能であり、例えば、汎用CADソフトウェアを用いてCADデータを二次元又は三次元的に細分化したり、プログラム開発で多用する汎用のソフトウェアツールに組み込まれたGUI(グラフィック・ユーザー・インタフェイス)のような機能を使用することが可能である。
また前記情報ユニットを格納する手段としては、コンピュータのハードデスクやデータサーバを挙げることができる。
【0010】
前記一回のコンクリート打設工程により打設可能な範囲とは、降雨などの天候変化や日没等の外的要因により途中で中断することなく連続して一回でコンクリート打設された範囲であって、品質等に関する情報が同じコンクリートにより形成された範囲を意味する。
【0011】
前記コンクリート躯体を設計、構築及び維持管理する過程で得られた諸データとは、下記種別のような情報であり、下記種別はさらに下記項目の情報からなり、これら諸データが情報ユニット毎に登録される。なお、コンクリート躯体の維持管理は、コンクリート養生から、コンクリート躯体の構築後にコンクリートが硬化して供用を開始し、さらにコンクリート構造物の供用中の維持メンテナンスに至るまでの管理を含む。
(1)コンクリート材料:使用したコンクリートや骨材などの種別
(2)コンクリート製造:製造日時、製造工場名、製造ホッパ名、使用薬品、製造量等
(3)コンクリート運搬:アジテータ車番号、出荷時刻、経由点通過時刻、現場到着時刻等
(4)コンクリート打設:使用ポンプ車番号、打設開始時刻・終了時刻、打設量等
(5)コンクリート養生:養生方法、養生期間等
(6)コンクリート検査:当該工事で指定された自主検査結果及び発注者検査結果
(型枠検査、鉄筋検査、電子化された検査帳票、写真データ等)
(7)コンクリート試験:配合試験、現地試験、施工後の試験結果の各種データ
(8)設計情報:配合設計に関わる諸数値(設計強度や使用材料の量など)
(9)維持管理情報:点検作業結果(日時、担当者、症状など)、修繕作業結果(日時、担当者、修理方法など)、これらの作業に関わる電子化された作業帳票、写真データ等
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンクリート構造物の品質情報管理システムは、コンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルを細分化し、諸データが登録可能なようにした情報ユニットを有するので、コンクリートに関する諸データは、工事進捗(施工日時の経過、施工位置の移動)に合わせて、情報ユニットに登録することが可能であり、情報の散逸が防止できる。
また情報ユニットには、コンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルの細分化された図形情報が関連付けられているので、情報検索結果が二次元モデル又は三次元的に視認できて、工事関係者の意思疎通が図りやすい。また情報検索の範囲がコンクリート構造物において、いつ、なにを、どこに、施工したかの検索が可能となり、コンクリート躯体のトレーサビリティと構造物の品質保証・施工保証が可能になる。
施工中に問題点や不具合が発生した場合、あるいは、竣工後供用後に瑕疵が発生した場合、設計情報から打設工程全般や試験結果まで広い範囲を対象とする情報検索により、原因追及のための判断情報を比較的容易に抽出することができ、効果的な事後対策を取ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態にかかる品質情報管理システムの概略を示したブロック図である。図1の品質情報管理システム10は、二次元や三次元のベクトルデータが所定のファイル形式で格納されたCADデータからなる図形データDB11と、コンクリート躯体の設計時に作成された図形データを図形データDB11に登録する図形データ登録部18と、図形データDB11からデータを取り出してコンクリート躯体の二次元や三次元モデルを作成し、細分化して情報ユニットを作成する情報ユニット作成部12と、情報ユニット作成部12により作成された情報ユニットを格納する情報ユニットDB13と、コンクリート躯体を構築及び管理する過程で得られた諸データをコンクリート諸データDB16に登録するコンクリート諸データ登録部14と、情報ユニットDB13とコンクリート諸データDB16とを連係させるDB連係部19と、DB連係部19を介してコンクリート諸データDB16から所定の情報を検索するデータ検索部17と、データ検索部17により検索された情報を情報ユニットと伴に画像として生成して出力する画像生成出力部15とを備えている。
【0015】
前記図形データDB11、前記情報ユニット作成部12、前記情報ユニットDB13、前記データ登録部14及び前記画像生成・出力部15、コンクリート諸データDB16、データ検索部17、図形データ登録部18、DB連係部19とは、全てが1つ又は複数のコンピュータソフトウェアとして構築されたものが使用され、これらのコンピュータソフトウェアが単独又は複数のコンピュータ(図示せず)に導入されて品質情報管理システム10が実現される。この単独又は複数のコンピュータは、さらに通信ターミナルとしてのサーバー(図示せず)に接続してインターネット等の通信回線により他の端末からの接続が可能なように展開することも可能である。
【0016】
コンクリート構造物の品質情報管理システム10では、コンクリート構造物のコンクリート躯体を打設ブロックごとに細分化して二次元化又は三次元化し、二次元化又は三次元化したモデル、すなわち情報ユニットの一つ一つにID番号を付与し、その形状を表現できる頂点座標や表示色属性を持たせる。
なお、可能な限り、情報ユニットは三次元モデルとするのが好ましいが、二次元モデルを使用することも可能である。
【0017】
次に、図2〜図17は、コンクリート構造物の品質情報管理システム10における諸データの登録画面、情報閲覧の画面、情報検索の画面又は情報検索結果の画面の例である。
【0018】
図2は或る橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の登録画面の例であり、この橋脚下部工事ではコンクリートの打設を13工程に分けて実施したため、情報ユニットは13個になった。図2では、13個の情報ユニット全体(すなわち、橋脚下部全体)が三次元化された図で画面の左側領域に表され、一つの情報ユニットとして打設ブロック第6リフトが他と異なる色で表示されている。管理情報を登録するための領域(登録エリア)は画面の右側に設けられ、左側領域において異なる色で表示された情報ユニット(打設ブロック第6リフト)の管理情報の項目が登録可能に表示される。
【0019】
図3は護岸築造工事に適用したときの登録画面の例であり、ここではFA(フライアッシュ)モルタル躯体のモデルを二次元化して画面の左側領域に表わし、これを細分化して情報ユニットを作成した。図3では、登録対象の情報ユニットとして、表示ブロック1−56が他と異なる色で表示され、同様に、管理情報を登録するための領域(登録エリア)が画面の左側に設けられている。
【0020】
品質情報管理システム10では、図4に示したように、登録エリアにおける各項目をマニュアルでそれぞれ入力するか、または帳票から読み込んで一括入力する。一括入力は、図5に示したように画面に一括登録ボタンを設け、これをクリックすることにより、諸データを帳票から読み込む。
【0021】
図6は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の材料情報の登録画面の例であり、ここでは、コンクリートの製造時に使用された材料の情報が登録される。材料情報として、セメント、骨材、混和材に関する情報、それら個別の材料品質試験結果等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0022】
図7は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の製造情報の登録画面の例であり、ここでは、コンクリートの製造情報として、製造工場名、製造ホッパ名、使用薬品、製造日、バッチャー番号、製造数量、製造開始時刻、製造終了時刻、単位水量、単位FA量、単位セメント量などの基本材料の使用量等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0023】
図8は、図2、図4〜図7とは異なる海底トンネル築造工事に、品質情報管理システム10を適用した際のコンクリート運搬情報の登録画面の例である。この例では、コンクリートの打設を26工程に分けて実施したため、情報ユニットは26個になり、隣接する情報ユニットを異なる色で表示した。登録対象となる情報ユニットは、画面の左側領域の三次元図面において点滅したり、あるいは当初表示色から色調を変えて表示され、画面右側の登録エリアでは、情報ユニットのIDが打設区画で表示される。
この登録画面では、コンクリート運搬情報として、打設日、打設区画、コンクリート運搬車両番号、積載コンクリート数量、製造開始時刻、製造完了時刻、現場到着時刻、ポンプ車番号、コンクリート可使時間、荷卸し開始時刻、荷卸し完了時刻等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0024】
図9は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の打設情報の登録画面の例であり、ここでは、コンクリートの打設情報としてコンクリート運搬時の積載数量、コンクリート運搬時の出荷時刻、現場到着時刻、打設開始時刻、打設終了時刻等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0025】
図10は、図3と同じ護岸築造工事に品質情報管理システム10を適用した際のコンクリートの養生情報の登録画面の例である。ここでは、養生情報として、養生開始日、養生終了日、養生方法、養生中の温湿度、養生中のコンクリートの性状等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0026】
図11(a)は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の検査情報の登録画面の例であり、ここでは、型枠検査、鉄筋検査、型枠出来形検査等の自主検査結果及び発注者検査結果が検査情報として登録される。この登録画面には、検査写真データの登録ファイルの一覧表にリンクするボタンが設けられ、このリンクボタンをクリックすることにより、図11(b)の一覧表が図11(a)の登録画面に重ねて表示される。この一覧表には、各ファイル名に対応する検査写真データにリンクするボタンが設けられ、このリンクボタンをクリックすることにより、図11(c)の検査写真が図11(b)の一覧表の上に重ねて表示される。
同様に、図11(a)の登録画面には、図11(d)のような検査帳票の登録ファイルの一覧表にリンクするボタンが設けられ、この一覧表には各ファイル名に対応する図11(e)のような検査帳票の画像データにリンクするボタンが設けられ、それぞれのリンクボタンをクリックすることにより、一覧表や検査帳票の画像データが重ねて表示される。
【0027】
図12は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の試験情報の登録画面の例であり、ここでは、試験情報として、打設日、使用車両番号、天候、配合、工場試験(スランプ、空気量、コンクリート温度、塩化物含有量)、現場試験(スランプ、空気量、コンクリート温度、塩化物含有量、外気温、単位水量)、圧縮強度試験の結果を登録することができる。
【0028】
図13は設計情報の登録画面の例であり、ここでは、設計情報として、設計段階で考えられたコンクリート配合の諸数値(スランプ、空気量など)を登録することができる。また、その配合により実現できるコンクリート強度や設計図、施工図についても登録が可能である。
【0029】
図14は維持管理情報の登録画面の例であり、ここでは、維持管理情報として、コンクリート表面の点検の結果やその作業の日時、担当者、修繕作業の内容やその作業の日時、担当者等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0030】
図15は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際に、情報閲覧した結果として示される画面の例である。これは、例えば、図2、図3又は図8の登録画面の情報ユニット全体像のような二次元又は三次元化された画像が示された画面(図示せず)において、閲覧者の希望する部位(情報ユニット)をクリックすることにより、図15のような情報閲覧結果の画面にリンクするものである。図15では、閲覧する情報ユニットとして第5リフトが選択され、登録した情報の全てが閲覧可能になっている。
コンクリート構造物の品質情報管理システム10では、情報ユニットが、このようにコンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルの細分化された一つの図形情報と、コンクリートの品質情報とを関連付けたものであるため、情報閲覧の結果が三次元的に視認できるという利点がある。
【0031】
図16は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用したものであり、既に登録された情報を検索するために使用される画面の例である。登録画面の項目が全て空欄で示され、所定の空欄に検索キーワードを入力し、全ての検索キーワード間でAND検索又はOR検索を実行する。ここでは、検索キーワードとして、例えば、スランプ13、空気量4、単位水量199を入力し、検索しようとするものである。
【0032】
図17は情報検索の結果を示す画面の例であり、ここでは、情報検索操作では検索キーワードに合致したID番号を抽出し、そのID番号に対応する情報ユニット(ここでは、細分化された三次元モデル)が点滅表示され、同時に一覧表としても表示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態の品質情報管理システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における登録画面の例である。
【図3】図2とは異なる実施形態における登録画面の例である。
【図4】本発明の一実施形態におけるマニュアル入力用の登録画面の例である。
【図5】本発明の一実施形態における一括入力用の登録画面の例である。
【図6】本発明の一実施形態における材料情報の登録画面の例である。
【図7】本発明の一実施形態における製造情報の登録画面の例である。
【図8】本発明の一実施形態における運搬情報の登録画面の例である。
【図9】本発明の一実施形態における打設情報の登録画面の例である。
【図10】本発明の一実施形態における養生情報の登録画面の例である。
【図11】本発明の一実施形態における検査情報の登録画面の例である。
【図12】本発明の一実施形態における試験情報の登録画面の例である。
【図13】本発明の一実施形態における設計情報の登録画面の例である。
【図14】本発明の一実施形態における維持管理情報の登録画面の例である。
【図15】本発明の一実施形態における情報閲覧の画面の例である。
【図16】本発明の一実施形態における情報検索の画面の例である。
【図17】本発明の一実施形態における情報検索結果を示す画面の例である。
【符号の説明】
【0034】
10 品質情報管理システム
11 図形データDB
12 情報ユニット作成部
13 情報ユニットDB
14 コンクリート諸データ登録部
15 画像生成出力部
16 コンクリート諸データDB
17 データ検索部
18 図形データ登録部
19 DB連係部
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の品質情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートを用いた施工では、工程管理、品質管理、安全管理、労務管理など、様々な管理が行われる。特に、最近では、構造物の性能指標の1つとなるコンクリートの品質について、厳格な管理が求められるようになってきている。施工現場では、建設会社の現場職員が専業者を指揮しながらコンクリート打設の準備を進め、型枠・鉄筋組みからコンクリート打設、養生、型枠脱型、諸計測といった作業を行っており、さらに、要所では発注者側からの検査も受ける。
コンクリート構造物の品質は、このような作業が規定通りに間違いなく行われているかどうか、打設されるコンクリートが設計通りの強度を発現する配合で正しく製造されて現場に供給されているか、そして、打設後の丁寧な養生ができているかという大きく三点で決まると言っても過言ではない。
【0003】
したがって、施工後に発注者や将来の使用者から、コンクリート構造物の品質を問われた場合、上記の三点についての説明責任を果たす必要がある。そのため、発注者検査の帳票や品質試験シート等も含めて文書などで施工履歴を残しておくことが重要であり、これらの施工履歴は、紙への出力情報として管理保管されてきた。
しかしながら、このような情報は、竣工図書としてファイルに綴られ、倉庫に保管された時点で、当該工事に関わった者以外の技術者にとっては、全く関知できない資料へと変化し、埋没していくという状況にあった。
【0004】
施工履歴の埋没を防ぎ、品質情報のトレーサビリティを高めるために、紙情報をスキャナーやマニュアル入力などによりデジタル化することが考えられているが、この場合にも、デジタル化された品質情報がデータサーバー等のいわゆる、電子的な倉庫の中で埋もれてしまう懸念は免れない。このような情報の埋没を防ぐため、3次元CAD、帳票管理技術、情報検索技術を使用することが考えられている。
【0005】
しかしながら、三次元CADでは、1つ1つの描画部品に対応して、色や線種などの描画属性を持つような仕組みを持っているが、三次元的に表現された構造物の細かな部材に対して、作業情報や品質情報を持たせる仕組みが無いという問題がある。
また帳票管理技術では、施工箇所を細分化したような三次元モデルをインデックスにして、作業情報や品質情報を系統立てて管理できる仕組みが無いという問題がある。
さらに、データベースに蓄積された作業情報や品質情報から、必要な情報を検索抽出する技術はたくさんあるが、その検索結果は表形式で表現することが主流であり、それがどの位置の情報か視覚的に認識することができないという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような現状を鑑みて本発明の課題は、コンクリートの品質に関わる情報を、過去に遡って迅速に探索し、かつ、その情報を誰もが見やすいように提供できるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、コンクリート構造物の図形データからコンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルを作成し、一回のコンクリート打設工程により打設可能な範囲を最小単位とするように当該二次元モデル又は三次元モデルを細分化し、当該細分化された二次元モデル又は三次元モデル毎に諸データを登録可能な情報ユニットを作成する手段と、当該情報ユニット作成手段により作成された情報ユニットを格納する手段と、前記コンクリート躯体を設計、構築及び維持管理する過程で得られた諸データを前記情報ユニットに登録する手段と、前記情報ユニットを格納する手段から所定の情報を検索して画像を生成して出力する手段と備えることを特徴とするコンクリート構造物の品質情報管理システムが提供される。
【0008】
また本発明では、図形データを格納する手段と、コンクリート躯体の設計時に作成された図形データを前記図形データ格納手段に登録する手段と、前記図形データ格納手段に登録された図形データからコンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルを作成し、一回のコンクリート打設工程により打設可能な範囲を最小単位とするように当該二次元モデル又は三次元モデルを細分化して情報ユニットを作成する手段と、当該情報ユニット作成手段により作成された情報ユニットを格納する手段と、コンクリート諸データを格納する手段と、前記コンクリート躯体を設計、構築及び維持管理する過程で得られた諸データを前記コンクリート諸データ格納手段に登録する手段と、前記情報ユニット格納手段と前記コンクリート諸データ格納手段とを連係させる手段と、当該連係手段を介して前記コンクリート諸データ格納手段から所定の情報を検索する手段と、当該情報検索手段により検索された情報を前記情報ユニットと伴に画像として生成して出力する手段と備えることを特徴とするコンクリート構造物の品質情報管理システムが提供される。
【0009】
ここで、前記コンクリート構造物の図形データは設計図面を含み、例えば、二次元や三次元のベクトルデータがData exchange file等の所定のファイル形式で格納されたCADデータを挙げることができる。
このような図形データからコンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルを作成し、一回のコンクリート打設工程により打設可能な範囲を最小単位とするように当該二次元モデル又は三次元モデルを細分化して情報ユニットを作成する手段、コンクリート躯体を設計、構築及び維持管理する過程で得られた諸データをコンクリート諸データ格納手段に登録する手段、情報ユニット格納手段とコンクリート諸データ格納手段とを連係させる手段、所定のコンクリート諸データを検索する手段、情報検索手段により検索された情報を情報ユニットと伴に画像として生成して出力する手段は、1つ又は複数に構築されたコンピュータソフトウェアを使用することが可能であり、例えば、汎用CADソフトウェアを用いてCADデータを二次元又は三次元的に細分化したり、プログラム開発で多用する汎用のソフトウェアツールに組み込まれたGUI(グラフィック・ユーザー・インタフェイス)のような機能を使用することが可能である。
また前記情報ユニットを格納する手段としては、コンピュータのハードデスクやデータサーバを挙げることができる。
【0010】
前記一回のコンクリート打設工程により打設可能な範囲とは、降雨などの天候変化や日没等の外的要因により途中で中断することなく連続して一回でコンクリート打設された範囲であって、品質等に関する情報が同じコンクリートにより形成された範囲を意味する。
【0011】
前記コンクリート躯体を設計、構築及び維持管理する過程で得られた諸データとは、下記種別のような情報であり、下記種別はさらに下記項目の情報からなり、これら諸データが情報ユニット毎に登録される。なお、コンクリート躯体の維持管理は、コンクリート養生から、コンクリート躯体の構築後にコンクリートが硬化して供用を開始し、さらにコンクリート構造物の供用中の維持メンテナンスに至るまでの管理を含む。
(1)コンクリート材料:使用したコンクリートや骨材などの種別
(2)コンクリート製造:製造日時、製造工場名、製造ホッパ名、使用薬品、製造量等
(3)コンクリート運搬:アジテータ車番号、出荷時刻、経由点通過時刻、現場到着時刻等
(4)コンクリート打設:使用ポンプ車番号、打設開始時刻・終了時刻、打設量等
(5)コンクリート養生:養生方法、養生期間等
(6)コンクリート検査:当該工事で指定された自主検査結果及び発注者検査結果
(型枠検査、鉄筋検査、電子化された検査帳票、写真データ等)
(7)コンクリート試験:配合試験、現地試験、施工後の試験結果の各種データ
(8)設計情報:配合設計に関わる諸数値(設計強度や使用材料の量など)
(9)維持管理情報:点検作業結果(日時、担当者、症状など)、修繕作業結果(日時、担当者、修理方法など)、これらの作業に関わる電子化された作業帳票、写真データ等
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンクリート構造物の品質情報管理システムは、コンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルを細分化し、諸データが登録可能なようにした情報ユニットを有するので、コンクリートに関する諸データは、工事進捗(施工日時の経過、施工位置の移動)に合わせて、情報ユニットに登録することが可能であり、情報の散逸が防止できる。
また情報ユニットには、コンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルの細分化された図形情報が関連付けられているので、情報検索結果が二次元モデル又は三次元的に視認できて、工事関係者の意思疎通が図りやすい。また情報検索の範囲がコンクリート構造物において、いつ、なにを、どこに、施工したかの検索が可能となり、コンクリート躯体のトレーサビリティと構造物の品質保証・施工保証が可能になる。
施工中に問題点や不具合が発生した場合、あるいは、竣工後供用後に瑕疵が発生した場合、設計情報から打設工程全般や試験結果まで広い範囲を対象とする情報検索により、原因追及のための判断情報を比較的容易に抽出することができ、効果的な事後対策を取ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態にかかる品質情報管理システムの概略を示したブロック図である。図1の品質情報管理システム10は、二次元や三次元のベクトルデータが所定のファイル形式で格納されたCADデータからなる図形データDB11と、コンクリート躯体の設計時に作成された図形データを図形データDB11に登録する図形データ登録部18と、図形データDB11からデータを取り出してコンクリート躯体の二次元や三次元モデルを作成し、細分化して情報ユニットを作成する情報ユニット作成部12と、情報ユニット作成部12により作成された情報ユニットを格納する情報ユニットDB13と、コンクリート躯体を構築及び管理する過程で得られた諸データをコンクリート諸データDB16に登録するコンクリート諸データ登録部14と、情報ユニットDB13とコンクリート諸データDB16とを連係させるDB連係部19と、DB連係部19を介してコンクリート諸データDB16から所定の情報を検索するデータ検索部17と、データ検索部17により検索された情報を情報ユニットと伴に画像として生成して出力する画像生成出力部15とを備えている。
【0015】
前記図形データDB11、前記情報ユニット作成部12、前記情報ユニットDB13、前記データ登録部14及び前記画像生成・出力部15、コンクリート諸データDB16、データ検索部17、図形データ登録部18、DB連係部19とは、全てが1つ又は複数のコンピュータソフトウェアとして構築されたものが使用され、これらのコンピュータソフトウェアが単独又は複数のコンピュータ(図示せず)に導入されて品質情報管理システム10が実現される。この単独又は複数のコンピュータは、さらに通信ターミナルとしてのサーバー(図示せず)に接続してインターネット等の通信回線により他の端末からの接続が可能なように展開することも可能である。
【0016】
コンクリート構造物の品質情報管理システム10では、コンクリート構造物のコンクリート躯体を打設ブロックごとに細分化して二次元化又は三次元化し、二次元化又は三次元化したモデル、すなわち情報ユニットの一つ一つにID番号を付与し、その形状を表現できる頂点座標や表示色属性を持たせる。
なお、可能な限り、情報ユニットは三次元モデルとするのが好ましいが、二次元モデルを使用することも可能である。
【0017】
次に、図2〜図17は、コンクリート構造物の品質情報管理システム10における諸データの登録画面、情報閲覧の画面、情報検索の画面又は情報検索結果の画面の例である。
【0018】
図2は或る橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の登録画面の例であり、この橋脚下部工事ではコンクリートの打設を13工程に分けて実施したため、情報ユニットは13個になった。図2では、13個の情報ユニット全体(すなわち、橋脚下部全体)が三次元化された図で画面の左側領域に表され、一つの情報ユニットとして打設ブロック第6リフトが他と異なる色で表示されている。管理情報を登録するための領域(登録エリア)は画面の右側に設けられ、左側領域において異なる色で表示された情報ユニット(打設ブロック第6リフト)の管理情報の項目が登録可能に表示される。
【0019】
図3は護岸築造工事に適用したときの登録画面の例であり、ここではFA(フライアッシュ)モルタル躯体のモデルを二次元化して画面の左側領域に表わし、これを細分化して情報ユニットを作成した。図3では、登録対象の情報ユニットとして、表示ブロック1−56が他と異なる色で表示され、同様に、管理情報を登録するための領域(登録エリア)が画面の左側に設けられている。
【0020】
品質情報管理システム10では、図4に示したように、登録エリアにおける各項目をマニュアルでそれぞれ入力するか、または帳票から読み込んで一括入力する。一括入力は、図5に示したように画面に一括登録ボタンを設け、これをクリックすることにより、諸データを帳票から読み込む。
【0021】
図6は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の材料情報の登録画面の例であり、ここでは、コンクリートの製造時に使用された材料の情報が登録される。材料情報として、セメント、骨材、混和材に関する情報、それら個別の材料品質試験結果等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0022】
図7は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の製造情報の登録画面の例であり、ここでは、コンクリートの製造情報として、製造工場名、製造ホッパ名、使用薬品、製造日、バッチャー番号、製造数量、製造開始時刻、製造終了時刻、単位水量、単位FA量、単位セメント量などの基本材料の使用量等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0023】
図8は、図2、図4〜図7とは異なる海底トンネル築造工事に、品質情報管理システム10を適用した際のコンクリート運搬情報の登録画面の例である。この例では、コンクリートの打設を26工程に分けて実施したため、情報ユニットは26個になり、隣接する情報ユニットを異なる色で表示した。登録対象となる情報ユニットは、画面の左側領域の三次元図面において点滅したり、あるいは当初表示色から色調を変えて表示され、画面右側の登録エリアでは、情報ユニットのIDが打設区画で表示される。
この登録画面では、コンクリート運搬情報として、打設日、打設区画、コンクリート運搬車両番号、積載コンクリート数量、製造開始時刻、製造完了時刻、現場到着時刻、ポンプ車番号、コンクリート可使時間、荷卸し開始時刻、荷卸し完了時刻等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0024】
図9は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の打設情報の登録画面の例であり、ここでは、コンクリートの打設情報としてコンクリート運搬時の積載数量、コンクリート運搬時の出荷時刻、現場到着時刻、打設開始時刻、打設終了時刻等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0025】
図10は、図3と同じ護岸築造工事に品質情報管理システム10を適用した際のコンクリートの養生情報の登録画面の例である。ここでは、養生情報として、養生開始日、養生終了日、養生方法、養生中の温湿度、養生中のコンクリートの性状等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0026】
図11(a)は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の検査情報の登録画面の例であり、ここでは、型枠検査、鉄筋検査、型枠出来形検査等の自主検査結果及び発注者検査結果が検査情報として登録される。この登録画面には、検査写真データの登録ファイルの一覧表にリンクするボタンが設けられ、このリンクボタンをクリックすることにより、図11(b)の一覧表が図11(a)の登録画面に重ねて表示される。この一覧表には、各ファイル名に対応する検査写真データにリンクするボタンが設けられ、このリンクボタンをクリックすることにより、図11(c)の検査写真が図11(b)の一覧表の上に重ねて表示される。
同様に、図11(a)の登録画面には、図11(d)のような検査帳票の登録ファイルの一覧表にリンクするボタンが設けられ、この一覧表には各ファイル名に対応する図11(e)のような検査帳票の画像データにリンクするボタンが設けられ、それぞれのリンクボタンをクリックすることにより、一覧表や検査帳票の画像データが重ねて表示される。
【0027】
図12は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際の試験情報の登録画面の例であり、ここでは、試験情報として、打設日、使用車両番号、天候、配合、工場試験(スランプ、空気量、コンクリート温度、塩化物含有量)、現場試験(スランプ、空気量、コンクリート温度、塩化物含有量、外気温、単位水量)、圧縮強度試験の結果を登録することができる。
【0028】
図13は設計情報の登録画面の例であり、ここでは、設計情報として、設計段階で考えられたコンクリート配合の諸数値(スランプ、空気量など)を登録することができる。また、その配合により実現できるコンクリート強度や設計図、施工図についても登録が可能である。
【0029】
図14は維持管理情報の登録画面の例であり、ここでは、維持管理情報として、コンクリート表面の点検の結果やその作業の日時、担当者、修繕作業の内容やその作業の日時、担当者等の諸データやそれらに関連した管理帳票や写真データ等がそれぞれ項目ごとに登録される。
【0030】
図15は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用した際に、情報閲覧した結果として示される画面の例である。これは、例えば、図2、図3又は図8の登録画面の情報ユニット全体像のような二次元又は三次元化された画像が示された画面(図示せず)において、閲覧者の希望する部位(情報ユニット)をクリックすることにより、図15のような情報閲覧結果の画面にリンクするものである。図15では、閲覧する情報ユニットとして第5リフトが選択され、登録した情報の全てが閲覧可能になっている。
コンクリート構造物の品質情報管理システム10では、情報ユニットが、このようにコンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルの細分化された一つの図形情報と、コンクリートの品質情報とを関連付けたものであるため、情報閲覧の結果が三次元的に視認できるという利点がある。
【0031】
図16は、図2と同じ橋脚下部工事に品質情報管理システム10を適用したものであり、既に登録された情報を検索するために使用される画面の例である。登録画面の項目が全て空欄で示され、所定の空欄に検索キーワードを入力し、全ての検索キーワード間でAND検索又はOR検索を実行する。ここでは、検索キーワードとして、例えば、スランプ13、空気量4、単位水量199を入力し、検索しようとするものである。
【0032】
図17は情報検索の結果を示す画面の例であり、ここでは、情報検索操作では検索キーワードに合致したID番号を抽出し、そのID番号に対応する情報ユニット(ここでは、細分化された三次元モデル)が点滅表示され、同時に一覧表としても表示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態の品質情報管理システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における登録画面の例である。
【図3】図2とは異なる実施形態における登録画面の例である。
【図4】本発明の一実施形態におけるマニュアル入力用の登録画面の例である。
【図5】本発明の一実施形態における一括入力用の登録画面の例である。
【図6】本発明の一実施形態における材料情報の登録画面の例である。
【図7】本発明の一実施形態における製造情報の登録画面の例である。
【図8】本発明の一実施形態における運搬情報の登録画面の例である。
【図9】本発明の一実施形態における打設情報の登録画面の例である。
【図10】本発明の一実施形態における養生情報の登録画面の例である。
【図11】本発明の一実施形態における検査情報の登録画面の例である。
【図12】本発明の一実施形態における試験情報の登録画面の例である。
【図13】本発明の一実施形態における設計情報の登録画面の例である。
【図14】本発明の一実施形態における維持管理情報の登録画面の例である。
【図15】本発明の一実施形態における情報閲覧の画面の例である。
【図16】本発明の一実施形態における情報検索の画面の例である。
【図17】本発明の一実施形態における情報検索結果を示す画面の例である。
【符号の説明】
【0034】
10 品質情報管理システム
11 図形データDB
12 情報ユニット作成部
13 情報ユニットDB
14 コンクリート諸データ登録部
15 画像生成出力部
16 コンクリート諸データDB
17 データ検索部
18 図形データ登録部
19 DB連係部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の図形データからコンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルを作成し、一回のコンクリート打設工程により打設可能な範囲を最小単位とするように当該二次元モデル又は三次元モデルを細分化し、当該細分化された二次元モデル又は三次元モデル毎に諸データを登録可能な情報ユニットを作成する手段と、
当該情報ユニット作成手段により作成された情報ユニットを格納する手段と、
前記コンクリート躯体を設計、構築及び維持管理する過程で得られた諸データを前記情報ユニットに登録する手段と、
前記情報ユニットを格納する手段から所定の情報を検索して画像を生成して出力する手段と備えることを特徴とするコンクリート構造物の品質情報管理システム。
【請求項1】
コンクリート構造物の図形データからコンクリート躯体の二次元モデル又は三次元モデルを作成し、一回のコンクリート打設工程により打設可能な範囲を最小単位とするように当該二次元モデル又は三次元モデルを細分化し、当該細分化された二次元モデル又は三次元モデル毎に諸データを登録可能な情報ユニットを作成する手段と、
当該情報ユニット作成手段により作成された情報ユニットを格納する手段と、
前記コンクリート躯体を設計、構築及び維持管理する過程で得られた諸データを前記情報ユニットに登録する手段と、
前記情報ユニットを格納する手段から所定の情報を検索して画像を生成して出力する手段と備えることを特徴とするコンクリート構造物の品質情報管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−157739(P2009−157739A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336533(P2007−336533)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)平成19年8月30日に2007年度日本建築学会大会(九州)における情報システム技術部門の研究協議会資料を発行 (2)平成19年10月20日に地理情報システム学会講演論文集Vol.16/2007を発行 (3)平成19年10月21日に第16回地理情報システム学会学術研究発表大会にて発表
【出願人】(303057365)株式会社間組 (138)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)平成19年8月30日に2007年度日本建築学会大会(九州)における情報システム技術部門の研究協議会資料を発行 (2)平成19年10月20日に地理情報システム学会講演論文集Vol.16/2007を発行 (3)平成19年10月21日に第16回地理情報システム学会学術研究発表大会にて発表
【出願人】(303057365)株式会社間組 (138)
[ Back to top ]