説明

コンクリート構造物の深穴形成方法およびその検査方法ならびにその補修方法

【課題】穴明作業と清掃作業を別々に行うことなく、25mm以内の小径の穴径で、その穴径の10倍以上の深穴を形成でき、穴内にクラックがあった場合でもそのクラックを確実に検査して補修することができるコンクリート構造物の深穴形成方法を提供すること。
【解決手段】深穴明機100の基台11を作業面10に固定する第1ステップS1と、深穴明機の支柱に沿って移動する工具回転駆動機構に取り付けた削穴工具のシャフトを作業面の近傍位置で回転自在に支持する第2ステップS2と、冷却水を前記削穴工具の先端側に供給する第3ステップS3と、削穴工具で深穴を形成するときに、冷却水とコンクリート削粉の懸濁水を、作業面の穴周囲を囲った液溜めから吸引して排出する第4ステップS4と、排出した懸濁水を濾過して前記冷却水として供給するように循環させシャフトの長さに対応する深穴を形成する第5ステップS5と、を含む手順で行う深穴形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の床面あるいは壁面等の作業面に深穴を形成するコンクリート構造物の深穴形成方法およびコンクリート構造物に形成した深穴の内部状態を検査するコンクリート構造物の検査方法ならびにコンクリート構造物に形成した深穴から補修を行うコンクリート構造物の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄筋コンクリートで形成された橋脚、建築物等の鉄筋コンクリート構造物は、雨水あるいは酸性雨の浸入によるによる劣化、二酸化炭素による中性化、経時変化による劣化等の発生により、耐震強度を向上させるため、あるいは、コンクリートの内部を診断するために、コンクリートに穴明を行いコンクリート内部を検査あるいは補修することが必要となっている。そして、鉄筋コンクリート構造物の穴明作業には、ダイヤモンドコアビットが使用されている。
【0003】
ダイヤモンドコアビットは、現状では、直径が45mm〜25mmの大径のコアビットが標準として使用されている。ダイヤモンドコアビットを使用する場合、円筒形のコアビットの内側に円柱状のコンクリートの塊が切出される状態で、コンクリート構造物に穴が形成されている。
【0004】
そして、コンクリート構造物に検査あるいは補修用の穴が形成されると、例えば、形成した穴に液体を充填すると共に、超音波振動を加えて穴内を清掃して、検査あるいは補修し易くすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、コンクリート構造物を、検査あるいは補修する方法として、穴を2箇所以上明けて、その明けた一方の穴に接触子を挿入し、他方の穴に電気、熱、振動、音のいずれかを発生させて、接触子に伝達された電気、熱、振動、音を測定してコンクリートの状態を検査するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−22540号公報(段落番号0029〜0049、図1〜図9)
【特許文献2】特開2006−38752号公報(段落番号0015〜0035、図1〜図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のコンクリート構造物に穴を明ける場合、ダイヤモンドコアビットを使用すると、穴径が大きくなるためコンクリート構造物の強度を低下させてしまい、また、鉄筋を切断する可能性もあった。そのため、穴径を小さくして深くまで穿孔したい要望に応えることができなかった。また、小さな穴径となる削穴工具も知られているが、シャフトが細くそのまま使用したのでは、深穴をコンクリートに形成することができなかった。なお、ここでいう穴径を小さくとは、例えば、25mm以内をいい、また、深穴とは、例えば、穴径に対して10倍以上の深さをいう。
【0007】
そして、コンクリート構造物に形成した穴内を清掃する構成では、穴明作業と清掃作業と、が別工程で行われることから、穴明装置と清掃装置の取替え作業等の労力あるいは作業時間が余計にかっていた。
また、一旦、穴を形成した後に、その穴に液体等を挿入して清掃する手順であると、穴内にひび割れがあった場合、穴明作業時に発生したコンクリート切粉が穴内のひび割れ内に入り込んでしまうため、清掃作業にも時間がかかり、また、ひび割れ内に入り込んだコンクリート切粉の排除ができない場合もあった。
さらに、コンクリート構造物に穴を明けて内部を検査あるいは補修する場合、深穴を小径で明けることができないため、コンクリート構造物の表面側しか検査あるいは補修することができなかった。
【0008】
本発明は、従来の問題点に鑑みて創案されたもので、穴明作業と清掃作業を別々に行うことなく、25mm以内の小径の穴径で、かつ、その穴径の10倍以上の深穴をコンクリート構造物に形成でき、さらに、穴内にひび割れがあった場合でもそのひび割れが切粉で詰まらせることなく、かつ、穴内のひび割れを確実に検査して補修することができるコンクリート構造物の深穴形成方法、その検査方法およびその補修方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンクリート構造物の深穴形成方法は、課題を解決するため以下のような手順とした。
すなわち、コンクリート構造物の深穴形成方法は、コンクリート構造物に深穴明機により穴径25mm以下で、前記穴径の10倍以上の深穴を形成するコンクリート構造物の深穴形成方法であって、前記深穴明機の支柱を設けた基台を前記コンクリート構造物の作業面に固定する第1ステップと、前記深穴明機の支柱に沿って上下移動させる工具回転駆動機構に取り付けた削穴工具のシャフトを作業面の近傍位置で回転自在に支持する第2ステップと、前記シャフト内に形成した流路を介して冷却水を前記削穴工具の先端側に供給する第3ステップと、前記削穴工具で前記作業面となるコンクリートに深穴を形成するときに、供給した前記冷却水とコンクリート削粉が懸濁した懸濁水を、前記作業面の穴周囲を囲った液溜めから吸引して排出する第4ステップと、前記排出した懸濁水を濾過して前記冷却水として供給するように循環させると共に、前記作業面に前記シャフトの長さに対応する前記深穴を形成する第5ステップと、を含む手順とした(請求項1)。
【0010】
このような手順により、コンクリート構造物の深穴形成方法では、作業面の近傍位置で削穴工具のシャフトを回転自在に支持しているため、25mm以下の削穴工具に用いるシャフトであっても、シャフトのブレを抑えることができ、また、穴明作業を行うときに、シャフト内の流路により削穴工具に冷却水を供給している。そのため、冷却水が回転する削穴工具により掘った穴の側壁に散水されることになり、また、削られたコンクリート削粉が冷却水に混ざって懸濁することで、穴内にひび割れがある場合にそのひび割れに目詰まりすることがない。
【0011】
また、前記コンクリート構造物の深穴形成方法は、前記第5ステップの後に、前記シャフトを回転させる工具回転駆動機構を一旦停止して、前記工具回転駆動機構から前記シャフトを取り外す第6ステップと、前記シャフトを延長するための延長シャフトの一端を当該シャフトに接続すると共に、前記延長シャフトの他端を前記工具回転駆動機構に取り付ける第7ステップと、前記第5ステップから前記第7ステップまでを繰り返し、前記深穴を形成する第8ステップと、をさらに含む手順とした(請求項2)。
【0012】
このような手順により、コンクリート構造物の深穴形成方法では、作業面の近傍位置でシャフトを回転自在に支持していると共に、延長シャフトを継ぎ足して穴明作業を行っているので、1m以上の深穴を形成することができる。
【0013】
さらに、前記コンクリート構造物の深穴形成方法は、前記第2ステップにおいて、前記基台に所定角度に傾斜自在に設けた前記支柱を、前記深穴の傾斜角度に合わせて傾斜した位置で固定し、前記作業面の近傍位置で回転自在に支持するときに、前記支柱が傾斜することに伴い傾斜した前記シャフトに円筒状のガイドブッシュを挿入し前記ガイドブッシュで前記シャフトを回転自在に保持して、当該ガイドブッシュを前記作業面の前記液溜め上に設置した工具ガイド機構で着脱自在に支持するようにしている(請求項3)。
【0014】
このような手順により、コンクリート構造物の深穴形成方法では、作業面を水平面あるいは垂直面としたときに、固定した基台に支持ピンで所定角度に傾斜させた支柱を固定した状態とし、その作業面に対して、所定角度の深穴を形成することができる。
【0015】
そして、本発明に係るコンクリート構造物の検査方法は、深穴形成方法により第1ステップ〜第5ステップ、あるいは、第1ステップから第8ステップにより深穴を形成し、形成した前記深穴に、前記冷却水の供給と懸濁水の吸引を所定時間行い循環洗浄作業を行う循環洗浄ステップと、前記削穴工具を前記シャフトと共に、あるいは、前記削穴工具を前記シャフトおよび延長シャフトと共に、形成した前記深穴から抜き取り、かつ、長尺コードの先端に接続した内視鏡またはスキャナを、前記作業面に形成した前記深穴に挿入する内視鏡挿入ステップと、前記内視鏡またはスキャナにより表示される観察画像を、前記長尺コードに接続された表示モニタを有する観察表示装置により観察する観察ステップと、を含む手順とした(請求項4)。また、本発明に係るコンクリート構造物の検査方法は、深穴が作業面に対して傾斜している場合には、シャフトに回転自在に支持するブッシュガイドを介して工具ガイド機構で保持して作業面の近傍位置で支持することとしている。
【0016】
このような手順により、コンクリート構造物の検査方法では、深穴を形成するときに、冷却水の供給と懸濁水の吸引を行うことによる穴内での冷却水による流れを発生させ、かつ、目的の深穴が形成された段階において、さらに、冷却水を供給して所定時間において穴内を冷却水により循環させている。そのため、深穴の壁面の凹凸あるいはひび割れにコンクリート削粉が目詰まりすることがないので、内視鏡により観察したときに、深穴の壁面の状態が適切に観察してひび割れ等の有無を検査できる。
【0017】
また、本発明に係るコンクリート構造物の補修方法は、深穴形成方法により第1ステップ〜第5ステップ、あるいは、第1ステップから第8ステップにより深穴を形成し、冷却水の供給と懸濁水の吸引を行い循環洗浄作業を所定時間行う循環洗浄ステップと、前記削穴工具を前記シャフトと共に、あるいは、前記削穴工具を前記シャフトおよび延長シャフトと共に、形成した前記深穴から抜き取り、かつ、長尺コードの先端に接続した内視鏡またはスキャナを、前記作業面に形成した前記深穴に挿入する内視鏡挿入ステップと、前記内視鏡またはスキャナにより表示される観察画像を、前記長尺コードに接続された表示モニタを有する観察表示装置により観察する観察ステップと、前記深穴に挿入した内視鏡またはスキャナを抜き取り、前記深穴にコンクリートの内部を改質するひび割れ内部改質剤または充填材料を充填する充填ステップと、を含む手順とした(請求項5)。また、本発明に係るコンクリート構造物の補修方法は、深穴が作業面に対して傾斜している場合には、シャフトに回転自在に支持するブッシュガイドを介して工具ガイド機構で保持して作業面の近傍位置で支持することとしている。
【0018】
このような手順により、コンクリート構造物の補修方法では、深穴を形成するときに、冷却水の供給と懸濁水の吸引を行うことによる深穴内での冷却水による流れを発生させ、かつ、目的の深穴が形成された段階において、さらに、冷却水を供給して所定時間において穴内を冷却水により循環洗浄させている。そのため、深穴の壁面の凹凸あるいはひび割れにコンクリート削粉が目詰まりすることがないので、深穴内の欠陥が内視鏡による画像で検査でき、欠陥があった場合には、ひび割れ内部改質剤を充填し、その後、充填材料により深穴を埋め戻す作業を行う。
【0019】
さらに、前記コンクリート構造物の補修方法は、前記コンクリート構造物の作業面の表面にひび割れが発生している場合に、前記ひび割れの一端側に沿って前記深穴を形成すると共に、前記充填ステップにおいて、前記ひび割れに対して、シール設置ステップと、充填材料ステップと、を行うこととした(請求項6)。また、作業面が傾斜面あるいは垂直面である場合には、傾斜面の下方側または垂直面の下方側から傾斜面の上方側または垂直面の上方側に向かって順次、シール設置ステップと充填材料ステップを行うこととした(請求項7)。
【0020】
このような手順により、コンクリート構造物の補修方法では、充填ステップにおいて、シール設置ステップにより、深穴を形成した位置に対応する前記ひび割れの一端部から所定間隔で当該ひび割れの表面を不連続にシールして、前記ひび割れにシール部分と非シール部分を形成する。そして、充填材料ステップにより、形成した深穴に、充填材料を充填して、前記シール部分の隣接する非シール部分から前記充填材料が表面に排出されるまで当該充填材料の充填を行っている。そして、これらのシール設置ステップと、充填材料ステップをひび割れの一端部(下方側)から他端部(上方側)に向かって順次行うことで、ひび割れの補修を隙間なく行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るコンクリート構造物の深穴形成方法、コンクリート構造物の検査方法、コンクリート構造物の補修方法は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
コンクリート構造物の深穴形成方法は、作業面の近傍位置で削穴工具のシャフトを回動自在に支持した状態で穴明作業を行うと共に、冷却水をシャフトの内側の流路から削穴工具に供給している。したがって、シャフトが細くても穴明作業においてぶれることがなく、深穴をコンクリート構造物に形成することが可能となると共に、形成した深穴の壁面が冷却水の供給および懸濁水の吸引により発生する流路に晒されることになる。そのため、深穴の壁面にひび割れ等があった場合に、コンクリート削粉が目詰まりすることがない状態で深穴を形成することができる。
【0022】
また、コンクリート構造物の深穴形成方法は、延長シャフトを継ぎ足して穴明作業を行うことから、穴径が7〜25mmであるときに、現在、深さが1〜5mとなる深穴を形成することが可能となり、また、さらに5mより深い穴を形成することが可能である。また、作業面に対して深穴が所定角度に形成される場合でも、作業面の近傍位置でシャフトを傾斜させた状態で回転自在に支持しているため、垂直方向の深穴と同様に形成することが可能となる。
【0023】
コンクリート構造物の検査方法は、形成した深穴の壁面が冷却水の供給および懸濁水の吸引により発生する流路に晒されることになるため、ひび割れ等が存在した場合に、目詰まりがない状態で内視鏡により観察することできる。そのため、深穴の壁面の状態からコンクリート構造物の状態が正確に観察することが可能となる。
【0024】
コンクリート構造物の補修方法は、深穴を形成したときにひび割れ等が発生していた場合に、そのひび割れに目詰まりすることなく深穴を形成できるので、そのひび割れ内に確実にコンクリートのひび割れ内部改質剤を充填し、その後、充填材料を充填して行き届かせることができる。なお、深穴にひび割れ内部改質剤を入れる場合には、コンクリート構造物の強度を損なうことがない小径で深い穴が形成できるため、コンクリート構造物の表面から深い位置まで改質させることができる。
【0025】
また、コンクリート構造物の補修方法は、充填ステップにおいて、シール設置ステップと段階充填ステップとを、ひび割れの一端部(下方側)から他端部(上方側)に向かって順次行っているため、隙間なくひび割れに沿ってコンクリート構造物の補修および改質を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明に係るコンクリート構造物の深穴形成方法、その検査方法およびその補修方法を実施するための最良の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。
図1は、深穴形成方法、検査方法および補修方法の手順の一例を示すフローチャート、図2は、深穴形成方法で使用される一例の深穴明機を示す斜視図、図3(a)、(b)は、深穴形成方法で使用される一例の深穴明機を示す縦断面図、図4は、深穴形成方法で使用される一例の深穴明機の工具ガイド機構を一部断面にして示す斜視図である。
【0027】
コンクリート構造物の深穴形成方法SAは、図1に示すように、第1ステップS1〜第5ステップS5までにより、あるいは、第1ステップS1〜第8ステップS8までによりコンクリート構造物に深穴を形成する。
第1ステップS1では、コンクリー構造物のコンクリート床面において検査あるいは補修したい作業面10に深穴明機100の基台11を固定する。なお、基台11を固定する場合、真空吸引により固定する場合、あるいは、アンカーボルトにより固定する場合等、固定手段を介して固定している。
【0028】
この深穴形成方法SAで使用される深穴明機100は、図2ないし図4に示すように、作業面10上に配置される基台11と、この基台11に設けた支柱14と、この支柱14の固定機構40と、支柱14に沿って移動する案内部材15と、この案内部材15に保持され回転工具17を取り付ける工具回転駆動機構16と、この工具回転駆動機構16を案内部材を介して支柱14に沿って昇降させる昇降機構50と、基台11に隣接する位置で基台11に沿って上下に移動するガイド基台60と、このガイド基台60に沿って作業面に平行に移動する工具ガイド機構30と、を基本構成としている。
以下、深穴明機100の構成について、はじめに説明する。
【0029】
図2および図3に示すように、基台11は、その底面に凹状に形成された凹部11aと、この凹部11aの上部に取り付けられるフレーム11bと、凹部11aを囲むように設けた弾性変形自在なバキュームパット12とを備えている。そして、凹部11aは、基台11を貫通して穴明けされた導通孔12aに、フレキシブルホース12bを介して真空吸引装置13に接続されている。そのため、基台11は、コンクリートのように表面に凹凸のある加工対象物にも気密性を保持できる。また、凹部11aは、そのほぼ中央の上面に上方に立設した固定ボルト11dを有している。
【0030】
フレーム11bは、その上面に支柱14の下端部をピンで軸支し傾斜自在に支持する固定機構40を一体に備えている。このフレーム11bは、凹部11aに対して、移動可能に載置されている。すなわち、フレーム11bは、凹部11aに立設した固定ボルト11dに対応する位置に長穴11cを形成しており、長穴11cに固定ボルト11dが係合したときに、その長穴11cに沿って移動できるように構成されている。そして、凹部11aとフレーム11bは、ナット11eと固定ボルト11dが締結されることで固定されている。
【0031】
支柱14を所定角度で固定する固定機構40は、一対の扇形の角度割出板41,41と、この角度割出板41,41に形成した円弧状の円弧溝42に設けた固定ボルト43とを備えている。
そして、支柱14は、フレーム11b上に設けた角度割出板41,41の間に配置され、角度割出板41,41に貫通して軸支するピン(支軸)14aにより所定傾斜角度に自在に設定できるように支持されており、かつ、固定ボルト43により所定傾斜角度の位置で固定されるように構成されている。この支柱14は、金属製の中空な角中空体形状に形成され、柱面に昇降機構50の一部であるラック14cが設けられ、後記する工具回転駆動機構16を搭載した案内部材15が移動自在に摺動(移動)するように構成されている。
【0032】
なお、支柱14は、図2に示すように、基柱14Aと、この基柱14Aの上方に連結手段14Cを介して柱軸周りに回転する回転支柱14Bとを備える構成であっても構わない。支柱14は、回転支柱14Bを備えることで、穴明作業を行って、回転工具17のシャフト17bを長いものに取り替える場合あるいは穴内からシャフト17bを抜き取る場合に、案内部材15の工具回転駆動機構16を形成している穴の真上から移動させることで、シャフト17bの取り出しを容易にできる。
【0033】
図2および図3に示すように、案内部材15の内側には、支柱14に設けたラック14cに噛合するピニオン51を昇降機構50の一部として設けている。なお、昇降機構50は、ここでは、支柱14に設けたラック14cと、このラック14cに噛合するピニオン51と、このピニオン51を操作するためのハンドル21とを備えている。
【0034】
案内部材15は、ピニオン51を収納する空間を有すると共に、ラック14cが形成されていない支柱14の他の柱面に当接してスライドするように形成された筐体部分と、この筐体部分に連続して工具回転駆動機構16を着脱自在に設置する設置部分とを備えている。また、図2および図3に示すように、案内部材15で工具回転駆動機構16を保持している所定位置には、後記する給排水装置20の給水室18が設置可能に設けられている。なお、案内部材15には図示省略した蝶ボルトを螺合し、支柱14に対して押圧し、案内部材15の移動を固定することができる。
【0035】
工具回転駆動機構16は、モータ16aと、このモータ16aの駆動軸16b(図9参照)に連続して設けた工具把持部19とを備えている。そして、工具把持部19により回転工具17のシャフト17bを保持したときに、その保持されたシャフト17bの側面に貫通して形成された給水用の孔17eの位置が、給水室18内に位置するように保持されている。
【0036】
また、回転工具17は、工具把持部19に把持されるシャフト(シャフト部)17bと、このシャフト17bの先端に着脱自在に設けた削穴工具17aと、を備えている。なお、回転工具17は、シャフト17bの先端に削穴工具17aを交換可能に螺合するようにネジが形成されている。さらに、回転工具17には、冷却水を刃先まで案内する貫通孔17cを形成し、後記する給排水装置20から送られる冷却水が、給排水装置20内のポンプ24から供給ホース22aにより給水室18を介して、シャフト17b側面に設けた孔17e(図3参照)および貫通孔17cを経て、回転工具17の先端に供給するようにしている。また、削穴工具17aは、例えば、ダイヤモンドドリルビットまたは超硬金属をロウ付けしたロングドリル等が用いられ、その一例を、図4を参照して説明する。
【0037】
図4に示すように、削穴工具17aは、中空にして流路7gを有する回転軸7aと、この回転軸7aの先端面に取り付けられ、流路7gに連通する溝部7cを有する研削部7bとを備えている。そして、溝部7cは、研削部7bの軸方向に直交する断面の円周の少なくとも一部が開放されるように、当該研削部7bの中心軸を含む深さで先端面から基端面まで形成されている。さらに、溝部7cの基端面近傍には、当該研削部7bの先端面から見たとき、当該溝部7cの底部から回転軸7aの流路7gを隠す高さまで当該溝部7c内に突出する突出部7dを有している。この突出部7dは、基端面側に、流路7gに向かって傾斜する傾斜面7eが形成されている。なお、削穴工具17aには、流路7gから突出部7dを介して冷却水が供給されるので、穴壁面の周方向に冷却水をシャワーするようになり(図5(a)参照)、穴壁面の洗浄作業が深穴形成と共に、十分に行うことができる。
【0038】
図1および図2に示すように、ガイド基台60は、基台11に設けたアリ溝14dに沿って垂直方向に移動可能に設けられている。このガイド基台60は、その中央にガイド基台60の水平(作業面に平行)なガイド面に沿って水平移動可能な工具ガイド機構30を備えている。また、図3に示すように、工具ガイド機構30は、ガイド基台60の下方に突出する高さに形成されており、下端部分が床上面に当接するように形成されている。なお、ガイド基台60がアリ溝14dにより上下に移動できることで、作業床面に段差があっても作業できるように構成されている。
【0039】
図1および図4に示すように、工具ガイド機構30は、ガイド基台60の両端側に形成した直線案内溝38,38に沿って、案内されるボルト付ガイドピン30c,30cが取り付けられ、蝶ナット30d,30dを締め上げることにより、当該工具ガイド機構30が、ガイド基台60に固定される。
【0040】
そして、工具ガイド機構30は、工具ガイド基台31と、この工具ガイド基台31に嵌合した球面ガイド部材32b(図4参照)と、この球面ガイド部材32bの球面部に回動自在に嵌挿される球面軸受32aと、この球面軸受32aに嵌合し、中心部にブッシュ穴33を設けた工具ガイド部材32と、この工具ガイド部材32のブッシュ穴33に着脱自在に取付けられ、回転工具17のシャフト17bをガイドするガイドブッシュ52と、このガイドブッシュ52を固定する固定具39aとを備えている。この工具ガイド機構30は、回転工具17のシャフト17bをコンクリート床面である作業面10の近傍位置で回動自在に支持することで穿孔方向にガイドするものである。
【0041】
工具ガイド基台31は、中央部に凹部31a(図4参照)を設けている。そのため、切削を終えたコンクリート粉の混ざった懸濁水はこの凹部31aにより形成される排水室37に一時プールされ、排水ホース22bを経て給排水装置20に戻される。戻された懸濁水は、給排水装置20内のフィルタで濾過され、再び冷却水として使用されるように構成されている。
【0042】
図4に示すように、工具ガイド基台31には、工具ガイド基台31の中央に設けた球面ガイド部材32bが設置され、この球面ガイド部材32bの球面部に回動自在に嵌挿される球面軸受32aを傾斜自在に支持している。そして、球面軸受32aは、中心部にブッシュ穴33を設けた工具ガイド部材32を嵌合して支持している。また工具ガイド部材32のブッシュ穴33には、回転工具17のシャフト17bをガイドするガイド穴52aを形成したガイドブッシュ52が着脱自在に取付けられている。さらに、ガイドブッシュ52は、側面(上面)から固定具39aにより押圧されて工具ガイド部材32に固定するように設置されている。固定具39aは、例えば、偏芯ボルトであり、ボルト頭がボルトを締めるときに偏心してガイドブッシュ52の上面を押圧するように構成されている。
【0043】
また、工具ガイド部材32は、ここでは、径の異なる環状部材が同心円状に形成されており、中央に設けた貫通穴の部分でその貫通穴の外側から内側に向かって球面ガイド部材32b、球面軸受32a、および、ガイドブッシュ52が設置されるように構成されている。そして球面軸受32aは、左右からボルト35,35により軸支されて傾斜できるように設置されている。また、ボルト35,35の周囲には、リング35a,35aが設けられており、リング35a,35aの周面には、角度を示す目盛35bが設けられている。リング35aの上面には、ボルト36を介して移動レバー34が掛け渡すように設けられている。
【0044】
このような構成により、図4に示すように、球面軸受32aは、ボルト35,35のネジで押圧して傾斜角度を固定できる。工具ガイド機構30は移動レバー34を手で持ち上げ、水平方向に移動するとき、および球面軸受32aの角度を調整する場合に用いられる。球面軸受32aの角度を調整する場合には、ボルト35を緩め、移動レバー34を持ち上げ、リング35aに付した目盛35bを指針35cに合わせるようにして行う。工具ガイド基台31は、工具ガイド部材32が所定傾斜角度で設定されたときに、ボルト35によりその傾斜位置を固定している。
なお、ボルト35の設置位置は、工具ガイド基台31がガイド基台60の直線案内溝38,38に沿って移動したいずれの位置であっても外部から操作できる位置であることが好ましい。
【0045】
図2および図4に示すように、工具ガイド基台31の上部には、その円筒部に、矩形のガイドプレート30fを載せ、このガイドプレート30fと工具ガイド基台31をボルト30gで4箇所締結し、ガイドプレート30fの左右の上面にはそれぞれ、ボルト付きのボルト付ガイドピン30cが2箇所固定されている。ボルト付ガイドピン30c、30cは、ガイド基台60に設けた直線案内溝38,38にそれぞれ挿入され、直線ガイドされる。工具ガイド基台31を取付けたガイドプレート30fをガイド基台60に固定する場合は、蝶ナット30dを締め上げることにより行われる。
【0046】
工具ガイド基台31は、図4に示すように、その底面に凹状に形成された凹部31aと、この凹部31aを囲むように設けた弾性変形自在なリング状のスポンジ31gとを備えている。そして、凹部31aは、図3に示すように、工具ガイド基台31を貫通した導通孔22cに、フレキシブルホースである排水ホース22bを介して接続されている。そのため、工具ガイド基台31は、コンクリートのように表面に凹凸のある加工対象物にも気密性を保持できる。
【0047】
また、ガイドブッシュ52は、図4に示すように、中央に回転工具17のシャフト17bを嵌合するためのガイド穴52aが予め形成されている。そして、削穴工具17aの直径はガイド穴52aより大きく形成されている。そのため、このガイドブッシュ52は、シャフト17bから削穴工具17aを取り外した状態で嵌合させておき、シャフト17bに嵌合した状態で工具ガイド部材32のブッシュ穴33に嵌合される。そして、工具ガイド部材32に設置されたガイドブッシュ52は、固定具(偏芯ボルト)39aにより押圧されて固定される。この固定具は、工具ガイド部材32の上面に取り付けられることにより、ガイドブッシュ52の側面を当該固定具の一部で押圧して、ガイドブッシュ52を固定している。なお、削穴工具17aの直径は、ガイド穴52aの直径より小さい。
【0048】
工具ガイド部材32は、単独で傾斜角度を設定する場合と、回転工具17側と連動して傾斜角度を設定する場合とがある。単独で傾斜角度を設定する場合は、移動レバー34を介してガイド基台60に沿って工具ガイド部材32を移動させ、リング35aの目盛35bに指針35cを合わせて傾斜角度を設定しボルト35を締めて固定する。
【0049】
また、回転工具17側と連動して工具ガイド部材32の傾斜角度の設定を行う場合は、回転工具17のシャフト17bより太いガイドシャフト(図示せず)を用いている。すわなち、シャフト17bにブッシュガイドと同径で長いガイドシャフト(図示せず)を嵌合した状態で、支柱14を操作して(図3(a)から図3(b)の状態になるように)設定する。
【0050】
つぎに、給排水装置の一例の構成を図2および図3を参照して説明する。図2および図3に示すように、給排水装置20は、供給ホース22aおよび給水室18を介して冷却水を回転工具17に供給し、かつ、工具ガイド基台31の排水室(液溜め)37に溜まった汚水を、排水ホース22bを介して給排水装置20に戻し、濾過して再度冷却水にして循環させるものである。この給排水装置20は、その装置本体内にポンプ24および図示しないフィルタ等の濾過機構を備えており、作業現場を水浸しにすることなく、冷却水を供給して排水を濾過することが可能となる。
【0051】
なお、この給排水装置20は、給水室18に冷却水を供給すると共に、排水室37から強制的に吸引している。そのため、冷却水は、給排水装置20から供給ホース22a、給水室18、孔17e、回転工具17の貫通孔17c、削穴工具17a、深穴、排水室37、排水ホース22bの間を循環することとなり、削穴工具17aにより削られたコンクリート削粉は、冷却水に混ざった懸濁水として、形成されている深穴のシャフト17bと深穴hの側壁の間から上方に送られ、排水室37に溜まった状態において吸引されて排水ホース22bを介して給排水装置20に送られ、図示しないフィルタ等により濾過される。
【0052】
また、観察表示装置の一例について、図5(c)および図6を参照して説明する。図6および図5(c)に示すように、観察表示装置3は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ(ノートパソコン)であり、観察表示装置3にUSB(Universal Serial Bus)2.0などで接続できる長尺コード3bの先端に接続された内視鏡(カメラあるいはスキャナ)3aと、その内視鏡3aからの映像あるいは画像を表示する表示モニタ3cと、この表示モニタ3cに表示した映像あるいは画像を記憶する記憶手段3dと、マウスあるいはキーボード等の入力手段3eとを備えている。なお、内視鏡3aの代わりに棒状のスキャナを接続して、スキャナにより読み込まれた画像を表示モニタ3cに表示する構成としても構わない。観察表示装置3は、表示モニタ3cに深穴hの内壁の状態が表示されるため、深穴hの内壁にひび割れCKの有無や、内壁に形成された「す」の有無を目視で観察して検査することができ、欠陥の有無が判断できる。
【0053】
さらに、深穴内を検査した後に深穴内に充填材料を充填する充填装置は、特に図示しないが、無機材料である無機系高炉スラグセメントや、また、エポキシ樹脂注入剤、アクリル樹脂注入剤等を、穴内に圧送することで充填することができる一般的な装置が使用される。なお、形成した深穴内からコンクリート内部に浸透させてコンクリートの改質を行うひび割れ内部改質剤を注入する装置も一般的な構成のものが使用される。なお、ひび割れ内部改質剤としては、例えば、亜硝酸リチウム、水ガラス系材料、シラン系材料、シランシロキサン系材料等が使用される。
【0054】
次に、深穴形成方法SAにおいて、その一例として説明した深穴明機100および給排水装置20を使用して深穴形成方法SAの手順、検査方法SBの手順および補修方法SCの手順について、図1および図7を主に適宜、図2〜図6を参照して説明する。
<深穴の形成手順>
(1)コンクリート構造物の作業面10上の指定された穴位置に、工具先端が合うように深穴明機100を仮置きする。
(2)真空吸引装置13を作動して、基台11を作業面10に固定する(第1ステップS1)。
【0055】
(3)基台11上のフレーム11bに設けた固定ボルト11dを緩めて、フレーム11bを移動し、工具先端位置を調整する(図3(a)参照)。
(4)指定された穴位置に、工具ガイド機構30をガイド基台60の直線案内溝38により移動させて芯出しを行う。
(5)工具ガイド機構30を蝶ナット30dで固定する。このとき、深穴が傾斜している場合には、工具ガイド部材32を所定の角度に傾斜させてボルト35で固定する。なお、工具ガイド部材32は、目盛35bを指針35cに合わせることで、正確な傾斜角度を設定することができる(図3(a)、(b)、図4参照)。
【0056】
(6)シャフト17bの先端の削穴工具17aを外し、ガイドブッシュ52をシャフト17bに挿通した状態で削穴工具17aを取り付ける。ここで使用する削穴工具17aは、形成する穴径を7mmあるいは9mmとして形成できるサイズである(図4参照)。
(7)ハンドル21を操作して、工具ガイド部材32の真上に位置させ、工具ガイド部材32のブッシュ穴33にガイドブッシュ52を挿入して、固定具(偏芯ボルト)39aで固定することでシャフト17bを作業面10の近傍位置に回転自在に支持する(第2ステップS2)(図5(a)参照)。
【0057】
(8)工具回転駆動機構16のモータ16aを駆動し、回転工具17を回転させる。それと共に、給排水装置20のポンプ24を作動し、回転工具17の削穴工具17aの先端側に冷却水を供給する(第3ステップS3)(図5(a)、(b)参照)。
(9)冷却水は、ポンプ24により供給ホース22aから給水室18に送られ、給水室18内に送られた冷却水は、シャフト17bの孔17eからシャフト17bの貫通孔17cを介して削穴工具17aまで送られ、作業位置に冷却水を供給する。
【0058】
(10)ハンドル21を操作して送りをかけながら、削穴工具17aを作業面10に向かって送り込む。
(11)作業面10の穴明作業が始まるとコンクリート削粉と冷却水が混ざった懸濁水が穴内から送り出され穴の周囲を囲んだ排出室(液溜め)37に溜まり、給排水装置20により強制的に吸引されて給排水装置20に送られる(第4ステップS4)。
(12)シャフト17bの長さが例えば50cm〜1mであれば、そのシャフト17bの長さにおいて深穴を形成する(第5ステップS5)。
【0059】
このとき、削穴工具17aで削穴されることにより排出されるコンクリート粉の混ざった懸濁水は、工具ガイド基台31の排水室37から給排水装置20のポンプ24により排水ホース22bを介して再び給排水装置20に送り戻される。そして、給排水装置20に、回収された懸濁水は、フィルタで濾過され、再び冷却水として再循環して使用される。
また、削穴工具17aがコンクリート構造物の作業面10に深穴hを形成するときに、シャフト17bはガイドブッシュ52により作業面10の近傍位置でガイドされているため、削穴工具17aは振れることなく安定して切削することができる。
【0060】
なお、作業面10の近傍位置とは、ここでは、作業面から10cm以内をいい、好ましい位置としては作業面10から5cm以内をいい、最も好ましい位置として作業面10から3cm以内をいう。また、作業面に工具ガイド機構30あるいは工具ガイド基台31が埋没する深さの設置穴を形成して作業することで、作業面と同等あるいは作業面より深い位置でシャフト17bをガイドすることができ、作業面より下に近傍位置としても構わない。つまり、作業面の近傍位置とは作業面を基準0としてその上下(例えば、基準0に対して+10cmから−10cm)に近い位置をいう。なお、図2および図3で説明した深穴明機100では、設置穴を形成して作業する場合には、ガイド基台60から工具ガイド機構30等を取り外し(図4参照)、図11(a)、(b)に示すように、設置穴に工具ガイド機構30をフレーム体Fに固定し、そのフレーム体Fを作業面にボルト等で固定した状態で使用することになる。
【0061】
(13)そして、所定の加工深さに到達したら工具回転駆動機構16を停止して(あるいは停止せずに、ハンドル21による送りを行わないまま)、給排水装置20を引き続き作動させ冷却水の供給および懸濁水の吸引を行い、形成した深穴h内の懸濁水が浄化されるまで循環洗浄作業を行う(循環洗浄ステップS9)。なお、懸濁水が浄化されたかどうかは、予め設定された時間において、例えば、1〜3分の間循環作業を行うことで浄化されたと判断することや、あるいは、作業者が目視により濁りがなくなったと判断して行うこととしてもよい。
(14)循環作業が終了すると、給排水装置20を停止すると共に、回転工具17をコンクリート構造物の作業面10から抜き取り深穴形成を終了すると共に、深穴の清掃作業を終了する。
【0062】
(15)そして、深穴形成作業が終了すると、つぎに、形成した深穴hに、接続コードの先に接続した内視鏡あるいは棒状のスキャナを挿入する(内視鏡挿入ステップS10)。図5(c)および図6参照)この内視鏡あるいはスキャナをゆっくり深穴に挿入して降下させるときに、その内視鏡およりスキャナにより取り込んだ映像あるいは画像を表示モニタ3cに表示して、ひび割れ等のコンクリート構造物の劣化している状況を目視により観察する(観察ステップS11)。例えば、表示モニタ3cに映し出される画像において、壁面にひび割れCKあるいは大きな空隙が視認されたら欠陥として判断する(検査)(検査方法SB)。
【0063】
なお、内視鏡あるいはスキャナは、カメラあるいはセンサと合わせて内部を照らすLED等のライトが設置されている構成であることが望ましい。観察した画像は、例えば、図6に示すように、画像として表示モニタ3cに表示されるため、深穴h内の状態が良く観察することができる。ちなみに、図6の上側の画像は深穴h内を上から下に向かって撮影された状態を示し、図6の下側の画像は深穴hの側壁を撮影した状態を示し、側壁にひび割れCKが形成された状態を示している。
【0064】
また、深穴hをコンクリート構造物の複数の位置に形成して、そのコンクリート構造物のどの位置の画像であるかを入力手段3eにより入力して画像との関連性をつけて、記憶媒体等の記憶手段3dに記憶させておくこともできる。コンクリート構造物のフロア毎、あるいは壁面毎等で検査作業を行い、コンクリート構造物の全体において複数個所で行うことで、コンクリート構造物の全体の劣化状態が把握することが可能となる。
【0065】
(16)検査作業あるいは観察作業が終了したら、つぎに、形成した深穴に充填材料を充填する充填作業を行う(充填ステップS12)
(17)充填作業は、挿入した内視鏡あるいはスキャナをはじめに抜き取る。そして、充填材料(あるいはひび割れ内部改質剤)としての無機材料を深穴内に充填するための充填用ホースを挿入し、その充填ホースの外側と深穴との間に隙間が生じないように穴布あるいはゴム等のパッキンを取り付けた状態とする。そして、充填用ホースから無機材料を圧送することで深穴内に無機材料を充填する(図7(d)参照)。なお、深穴hを形成して内部の状態にひび割れCK等の異常がない場合には、深穴hの底まで充填用ホースを挿入して埋め戻す逆打ち工法により形成した深穴hの修復を行うことが好ましい。
【0066】
(18)作業面にひび割れCKが確認できる状態である場合には、図7(c)に示すように、ひび割れCKの一端部から間欠的(不連続)に、そのひび割れCKの表面を覆うシール部分se(se1、se2…)と、非シール部分nsとを設置するシール設置作業を行う(シール設置ステップS13)(図7(c)参照)。
(19)そして、ひび割れCKの一端部となるシール部分se(se1)に対応する位置に形成した深穴hに、充填用ホースを挿入して充填ホースと深穴の間にパッキンを取り付け、充填ホースを深穴hに固定する。さらに、無機材料を充填ホースから圧送して充填し、シール部分se(se1)に隣接する非シール部分ns(ns1)から充填した無機材料が溢れ出るまで充填作業を行う(充填材料ステップS14)(図7(d)参照)。
【0067】
なお、ひび割れCKが表面に確認できる場合には、そのひび割れCKに沿って、そのひび割れCKから所定間隔において離間した位置に深穴hを形成することで、ひび割れCKの深さや規模を確認する。そして、ひび割れCKを修復する場合には、形成した深穴hの開口に充填用ホースを固定して充填材料等を充填し、ひび割れCKを空気の抜け穴として利用することで、前記した作業(図7(a)〜(d))を行っている。また、ひび割れCKがコンクリート構造物の表面から裏面まで貫通して裏面から背水圧がかかっている場合には、深穴hの開口に充填用ホースを固定して充填材慮等を充填することで、貫通しているひび割れCKに対して前記した作業(図7(a)〜(d))を行うことで、ひび割れCKの大部分の部位に、充填材料等を充填することができる。
【0068】
(20)このように、図1および図7で示すように、シール設置ステップS13および充填材料ステップS14を、ひび割れCKの一端部から他端部に向かって順次行うことで、コンクリート構造物の表面に認識されるひび割れCKを補修している。なお、コンクリート構造物の作業面10が、傾斜面あるいは垂直面であった場合には、傾斜面の下方側または垂直面の下方側から傾斜面の上方側または垂直面の上方側に向かって深穴形成ステップ(S1〜S5、S9またはS1〜S9)、シール設置ステップS13、および、充填材料ステップS13を行うことで、ひび割れCKを隙間なく補修している(補修方法SC)。
【0069】
作業面10が傾斜面あるいは垂直面である場合、傾斜面の下方側から上方側または垂直面の下方側から上方側に向かって充填材料ステップS14を行うことで、充填された材料とつぎに充填された材料との間に、重力で隙間なく充填できる。
また、形成した深穴にひび割れ内部改質剤を充填し、その後、その深穴を塞ぐために充填剤を入れる作業を行うこともある。ひび割れ内部改質剤としては、亜硝酸リチウム、水ガラス系材料、シラン系材料、シランシロキサン系材料等が使用される。また、充填材料としては、無機材料である無機系高炉スラグセメントや、また、無機材料以外の材料であるエポキシ樹脂注入剤、アクリル樹脂注入剤等を、作業の目的および用途に合わせて使用している。
【0070】
つぎに、回転工具17のシャフト17bが、図8および図9に示すように、延長シャフト17Lおよび係合シャフト17Kを使用する場合について説明する。図8(a)、(b)は、深穴形成方法で使用する一例の深穴明機における給水機構および延長シャフトを用いる回転工具の構成を示す分解斜視図、図9(a)、(b)、(c)は、深穴形成方法における深穴明機のシャフトを継ぎ足す状態を模式的に説明する断面図はである。なお、すでに説明した同じ符号の部材は同じ構成を示す。
【0071】
回転工具17Aは、図8に示すように、削穴工具17aと、シャフト17bとして、延長シャフト17Lと、係合シャフト17Kとを備える構成としてもよい。延長シャフト17Lは、その両端に設けたネジ部(ここでは雄ネジおよび雌ネジ)17j,17fを有しており、内部に貫通して貫通孔17cが形成されている。また、係合シャフト17Kは、一端に工具把持部19と係合するネジ部17g(ここでは雌ネジ)と、他端にシャフト17bのネジ部17jと係合するネジ部17h(ここでは雄ネジ)とを有しており、内部に貫通して貫通孔17cが形成されている。このシャフト17bは、形成する深穴が、100cmを超える寸法である場合に使用されると都合がよい。
【0072】
このような延長シャフト17Lを使用する場合には、図1および図9で示すように、第5ステップS5と、循環洗浄ステップS9との間において、第6ステップS6〜第7ステップS7を行い、所定深さの深穴が形成されまで第5ステップS5から第7ステップS7が繰り返し行われる(第8ステップS8)。すなわち、図9(a)に示すように、はじめに工具回転駆動機構16に取り付けられた係合シャフト17Kよりその係合シャフト17Kの長さに対応する深穴を形成する。
【0073】
つぎに、図9(b)に示すように、工具回転駆動機構16から係合シャフト17Kの延長部分を取り外し、延長シャフト17Lを工具回転駆動機構16と係合シャフト17Kに接続する。そして、図9(c)に示すように、延長シャフト17Lの長さを追加した状態での深穴を形成する。この図9(a)、(b)、(c)の手順を繰り返して所定穴深さの深穴を形成する。なお、図9(a)の状態に対応するステップが図1の第5ステップS5であり、図9(b)の状態に対応するステップが図1の第6ステップS6であり、図9(c)の状態に対応するステップが図1の第7ステップS7である。
【0074】
以上説明したように、深穴明機100を用いては、支柱14が傾斜することと、工具ガイド機構30を有するため、垂直穴から傾斜穴まで傾斜角度を自在に設定して穴明作業を行うことができる。また、深穴明機100は、垂直穴あるいは傾斜穴を開ける場合に、ガイドブッシュ52が回転工具17のシャフト17bを作業面10の近傍位置においてガイドした状態で作業できるため、安定した穴明作業を行うことができる。
【0075】
なお、以上説明したように、コンクリート構造物の深穴形成方法、その検査方法およびその補修方法では、給水室18の構成、工具把持部19Aの構成は、図8に示すような構成であっても構わない。すなわち、図8に示すように、工具回転駆動機構16の駆動軸16bに第1接続部材9Aおよび第2接続部材9Bを用いて給水室である給水機構18Aから係合シャフト17Kおよび延長シャフト17Lを介して、削穴工具17aの先端側に冷却水を供給するようにしても構わない。
【0076】
図8(a)に示すように、給水室18である給水機構18Aは、ここでは、階段状に形成されている案内部材15の最下段となる位置に形成した支持凹部15aに設置される。
そして、設置された給水機構18Aは、ホース接続部18bが案内部材15の開口部15cからホース接続部18bが突出するように取り付けられている。
【0077】
この給水機構18Aは、図8(a)、(b)に示すように、筒体18a内において段状に軸受設置部8a,8bおよびシール設置部8c,8dが形成されており、冷却水の供給空間としてシールする第1オイルシール18c,第2オイルシール18dと、第1オイルシール18c,第2オイルシール18dの外側に第1軸受19k,第2軸受19mを配置して、それらを貫通するように設置される第1接続部材9Aおよび第2接続部材9Bからなる工具把持部19Aにより構成される。
【0078】
第1接続部材9Aは、工具回転駆動機構16の駆動軸16bに螺合する雌ネジが形成されたボルト頭状のドリル接続部19cと、このドリル接続部19cに連続して設けられ当該ドリル接続部19cより縮径した軸状の接続軸部19dと、を備えている。
第2接続部材9Bは、軸本体19eの一端側に形成され第1接続部材9Aの接続軸部19dに着脱自在に螺合する雄ネジ部19fと、軸本体19eの他端側に形成され、回転工具の接続部分に着脱自在に螺合する工具接続部19gと、この工具接続部19gより軸中央側の位置で軸本体19eに設けられ、外部からレンチあるいはスパナ等により螺合操作を行うための工具操作部19hと、この工具操作部19hより軸中央側の位置で、軸本体19eの側面に形成した連通穴19jと、を備えている。
【0079】
なお、軸本体19eは、連通穴19jから工具接続部19gまで連続して貫通する貫通穴が形成されている。そして、工具接続部19gは、その外周に回転工具17の雌ネジ部分が螺合するように雄ネジが形成されている。
そして、工具把持部19Aが筒体18a内に貫通する状態として、工具回転駆動機構16の駆動軸16bに着脱自在に第1接続部材9Aを接続すると共に、この第1接続部材9Aに一端側を着脱自在に接続して、さらに、他端側に回転工具17を接続するように第2接続部材9Bにより取付けられる。
【0080】
なお、給水機構18Aは、第1オイルシール18c、第2オイルシール18dおよび筒体18aで囲繞されるエリアが冷却水の供給空間となり、工具把持部19Aの連通穴19jの周りに冷却水を供給することとなる。そして、工具把持部19Aの連通穴19jから、シャフト17bの軸線方向に貫通して形成された貫通孔17cを介して、給水室18から供給される冷却水を、削穴工具17aに供給している。
【0081】
また、この深穴形成方法に用いられる深穴明機として、図10に示すように、深穴明機101の構成としてもよい。なお、すでに説明した部材と同一の構成については同じ符号を付して説明は省略する。この深穴明機101では、ガイド基台60が支柱14の傾斜する方向と工具ガイド機構30が移動する方向とが対面する位置で平行に配置されている点が図2の構成と異なるものであり、支柱14を傾斜するときに、工具ガイド機構30の移動距離が図2の構成と比較して小さくて済む。
【0082】
さらに、この深穴形成方法で用いられる深穴明機は、作業面の近傍位置でシャフトを回動自在に支持することができるものであれば、前記した構成に限定されるものではない、また、形成された深穴に挿入して壁面状態を検査できるものであれば、カメラ、スキャナ以外の超音波発信機および赤外線センサ等、側壁の状態が検査できるものであれば、特に限定されるものではない。そして、削穴工具、あるいは、形成された深穴に充填される充填材料あるいはひび割れ内部改質剤についても既存のものであれば構わない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る深穴形成方法、検査方法および補修方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る深穴形成方法で使用される一例の深穴明機を示す斜視図である。
【図3】(a)、(b)は、本発明に係る深穴形成方法で使用される一例の深穴明機を示す縦断面図である。
【図4】本発明に係る深穴形成方法で使用される一例の深穴明機の工具ガイド機構を一部断面にして示す斜視図である。
【図5】(a)、(b)、(c)は、本発明に係る検査方法の一例を断面として示す模式図である。
【図6】本発明に係る検査方法において深穴を表示モニタにより観察する状態を模式的に示す模式図である。
【図7】(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明に係る深穴形成方法、検査方法およい補修方法を作業面を断面にして模式的に示す模式図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明に係る深穴形成方法で使用する一例の深穴明機における給水機構および延長シャフトを用いる回転工具の構成を示す分解斜視図である。
【図9】(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明に係る深穴形成方法における深穴明機のシャフトを継ぎ足す状態を模式的に説明する断面図である。
【図10】本発明に係る深穴形成方法で使用される他の一例の深穴明機を示す斜視図である。
【図11】(a)、(b)本発明に係る深穴形成方法で使用される工具ガイド機構の他の使用例を示す斜視図および断面図である。
【符号の説明】
【0084】
SA 深穴形成方法 SB 検査方法
SC 補修方法 S9 循環作業ステップ
S1〜S8 第1ステップ〜第8ステップ S10 内視鏡挿入ステップ
S11 観察ステップ S12 充填ステップ
S13 シール設置ステップ S14 充填材料ステップ
7 削穴工具 7a 回転軸
7b 研削部 7c 溝部
7d 突出部 7e 傾斜面
7e 斜面 7f 異径部
8a 軸受設置部 8c シール設置部
8e ネジ穴 9A 第1接続部材
9B 第2接続部材 11 基台
10 作業面(コンクリート構造物面) 11a 凹部(固定手段)
11b フレーム 12 バキュームパット
12a 導通孔 12b フレキシブルホース
13 真空吸引装置(固定手段) 14 支柱
14A 基柱 14B 回転支柱
14C 連結手段 14D 係合機構
14a ピン 14c ラック
14d アリ溝 15 案内部材
15a 支持凹部 15b 開口部
15c 切欠溝 15d 固定ネジ穴
16 工具回転駆動部(回転駆動機構) 16a モータ
16b 駆動軸 16c 支持ロッド
17 回転工具 17a 削穴工具
17b シャフト(シャフト部) 17c 貫通孔
17e 孔 18、18A 給水室、給水機構
18a 筒体 18b ホース接続部
18c 第1オイルシール 18d 第2オイルシール
19A 工具把持部 19d 接続軸部(軸部)
19e 軸本体(軸部) 20 給排水装置
21 ハンドル 22a 供給ホース
22b 排水ホース 24 ポンプ
30 工具ガイド機構 30c ボルト付ガイドピン
30d 蝶ナット 30f ガイドプレート
30g スポンジ 31 工具ガイド基台
32 工具ガイド部材 32a 球面軸受
32b 球面ガイド部材 33 ブッシュ穴
35 ボルト(固定ボルト) 35a リング
35b 目盛 36 ボルト
37 排水室(液溜め) 38 直線案内溝
39a 固定具(偏芯ボルト) 40 固定機構
41 角度割出板(支持部材) 42 円弧溝
43 固定ボルト 50 昇降機構
51 ピニオン 52 ガイドブッシュ
52a ガイド穴 55 中空スリーブ
60 ガイド基台 70 固定フレーム
71 フレーム体 72 支持枠
73 接続口 90 深穴明ガイド装置
100 深穴明機 101 深穴明機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物に深穴明機により穴径25mm以下で、前記穴径の10倍以上の深穴を形成するコンクリート構造物の深穴形成方法であって、
前記深穴明機の支柱を設けた基台を前記コンクリート構造物の作業面に固定する第1ステップと、
前記深穴明機の支柱に沿って上下移動させる工具回転駆動機構に取り付けた削穴工具のシャフトを作業面の近傍位置で回転自在に支持する第2ステップと、
前記シャフト内に形成した流路を介して冷却水を前記削穴工具の先端側に供給する第3ステップと、
前記削穴工具で前記作業面となるコンクリートに深穴を形成するときに、供給した前記冷却水とコンクリート削粉が懸濁した懸濁水を、前記作業面の穴周囲を囲った液溜めから吸引して排出する第4ステップと、
前記排出した懸濁水を濾過して前記冷却水として供給するように循環させると共に、前記作業面に前記シャフトの長さに対応する前記深穴を形成する第5ステップと、
を含むことを特徴とするコンクリート構造物の深穴形成方法。
【請求項2】
前記第5ステップの後に、前記シャフトを回転させる工具回転駆動機構を一旦停止して、前記工具回転駆動機構から前記シャフトを取り外す第6ステップと、
前記シャフトを延長するための延長シャフトの一端を当該シャフトに接続すると共に、前記延長シャフトの他端を前記工具回転駆動機構に取り付ける第7ステップと、
前記第5ステップから前記第7ステップまでを繰り返し、前記深穴を形成する第8ステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の深穴形成方法。
【請求項3】
前記第2ステップにおいて、前記基台に所定角度に傾斜自在に設けた前記支柱を、前記深穴の傾斜角度に合わせて傾斜した位置で固定し、前記作業面の近傍位置で回転自在に支持するときに、前記支柱が傾斜することに伴い傾斜した前記シャフトに円筒状のガイドブッシュを挿入し前記ガイドブッシュで前記シャフトを回転自在に保持して、当該ガイドブッシュを前記作業面の前記液溜め上に設置した工具ガイド機構で着脱自在に支持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート構造物の深穴形成方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の深穴形成方法により第1ステップから第5ステップまたは第1ステップから第8ステップにより形成した深穴を検査するコンクリート構造物の検査方法において、
前記第5ステップまたは前記第8ステップの後に、形成した前記深穴に、前記冷却水の供給と懸濁水の吸引を所定時間行い循環洗浄作業を行う循環洗浄ステップと、
前記削穴工具を前記シャフトと共に、あるいは、前記削穴工具を前記シャフトおよび延長シャフトと共に、形成した前記深穴から抜き取り、かつ、長尺コードの先端に接続した内視鏡またはスキャナを、前記作業面に形成した前記深穴に挿入する内視鏡挿入ステップと、
前記内視鏡またはスキャナにより表示される観察画像を、前記長尺コードに接続された表示モニタを有する観察表示装置により観察する観察ステップと、
を含むことを特徴とするコンクリート構造物の検査方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の深穴形成方法により第1ステップから第5ステップまたは第1ステップから第8ステップにより形成した深穴に内視鏡またはスキャナを挿入して深穴内の欠陥を検査する請求項4に記載の検査方法を行った後に補修を行うコンクリート構造物の補修方法において、
前記深穴に挿入した内視鏡またはスキャナを抜き取り、前記深穴にコンクリートの内部に欠陥があった場合には、コンクリートに浸透して改質するひび割れ内部改質剤を充填しその後、充填材料を充填する充填ステップと、
を含むことを特徴とするコンクリート構造物の補修方法。
【請求項6】
前記コンクリート構造物の作業面の表面にひび割れが発生している場合に、前記ひび割れの一端側に沿って前記深穴を形成すると共に、
前記充填ステップにおいて、前記深穴を形成した位置に対応する前記ひび割れの一端部から所定間隔で当該ひび割れの表面を不連続にシールして、前記ひび割れにシール部分と非シール部分を形成するシール設置ステップと、
前記深穴に、前記充填材料を充填して、前記シール部分の隣接する非シール部分から前記充填材料が表面に排出されるまで当該充填材料の充填を行う充填材料ステップと、を行い、
前記深穴を前記ひび割れに沿って所定間隔で形成し、かつ、前記シール設置ステップおよび前記充填材料ステップを、前記ひび割れに沿って当該ひび割れの一端部から他端部に向かって順次行うことを特徴とする請求項5に記載のコンクリート構造物の補修方法。
【請求項7】
前記作業面が傾斜面または垂直面であった場合に、前記深穴の形成、前記シール設置ステップおよび前記充填材料ステップを、前記傾斜面の下方側または前記垂直面の下方側から前記傾斜面の上方側または前記垂直面の上方側に向かって順次行うことを特徴とする請求項6に記載のコンクリート構造物の補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−160780(P2009−160780A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340691(P2007−340691)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000142919)株式会社呉英製作所 (21)
【出願人】(501165628)株式会社ティ・エス・プランニング (7)
【Fターム(参考)】