説明

コンクリート構造物の補修方法

【課題】ひび割れ部13の生じた鉄筋コンクリート構造物ではひび割れ部13を通じて水分などの侵入があり、この水分などがコンクリートの劣化を促進し、内部にある鉄筋の腐食を進行させる原因となっているので、これを解決することを目的とする。
【解決手段】シラン系およびシラン・シロキサン系等を主成分とした浸透性吸水防止材をコンクリート構造物のひび割れ部13に注入し、この浸透性吸水防止材を、ひび割れ部13内のコンクリート表面に吸収させ、このコンクリート表面の表層に吸水防止層18を形成して防水機能を発揮させる。その後に、加水状態の無機系充填材19を注入すると、コンクリート表面への水分の吸収を防止できるため、流動性を損なうことなく無機系充填材19を隅々にまで充填することができる。無機系充填材19は、コンクリートの劣化を抑制でき、内部にある鉄筋の腐食を遅らせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の劣化原因がアルカリ骨材反応(以下ASRという)、塩害、凍結融解、中性化などにより生じたひび割れ部において水分の浸透や炭酸ガスの侵入が助長され劣化が促進される場合の劣化抑制のためのコンクリート構造物の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ASRによるコンクリートの劣化は反応性の骨材がコンクリート中の水分によって膨潤しひび割れ部を発生する。コンクリート表面のひび割れ部からは雨水や地下水による水分の浸透によってさらにひび割れ部が分散拡大する。ASRの対策工としては亜硝酸リチュウムの充填が有効であるといわれている(例えば、特許文献1、2参照)。そして、この亜硝酸リチュウムの充填には、0.5Mpaの圧力で10〜60日間にわたって注入作業が行われることが報告されている。
【0003】
塩害によるコンクリート構造物の劣化は塩分の侵入によって鉄筋の不動態被膜が消失し鉄筋が錆びて膨潤する際、コンクリートにひび割れ部を発生させることによって生じる。ひび割れ部からの塩分や水分の侵入は鉄筋の錆びの増大を助け劣化は進行する。塩害の対策工としてはひび割れ部に対して樹脂を注入し(例えば、特許文献3参照)、また、長期的な対策としては電気防食を行うことが一般に行われている(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
凍結融解によるコンクリートの劣化はコンクリート中に侵入した水が凍って体積膨張を起こしコンクリートを剥離、剥落するもので、ひび割れ部があると侵入水の膨張によって劣化は進行する。凍結融解の対策工としては表面被覆工法が一般に行われている(例えば、特許文献5参照)。
【0005】
中性化は空気中の炭酸ガスの作用でコンクリートがアルカリ性から中性に変化する現象で、コンクリートが中性化すると内部の鉄筋の不動態被膜が消失し錆が発生する。塩害と同様に、コンクリートにひび割れ部を発生させ水分の侵入によって劣化を助長する。
【0006】
このようにコンクリート構造物の劣化原因はひび割れ部の発生とそこから侵入する水分や炭酸ガスの影響が大部分を占めるのは明白である。中性化の対策工は表面被覆工や再アルカリ化工法で対処するのが一般的である。
【特許文献1】特開2005−060144号公報(第1頁、図2)
【特許文献2】特開2005−248637号公報(第1頁、図3)
【特許文献3】特開2002−357000号公報(第1頁、図1)
【特許文献4】特開2003−301533号公報(第1頁、図1)
【特許文献5】特開2007−169100号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
背景技術で指摘したように、コンクリート構造物の劣化はひび割れ部の発生によって助長されることは明らかであり、このひび割れ部に充填し、水分などの侵入を遮断するために、従来からひび割れ部内に樹脂系充填材やセメント系充填材を注入することが行われている。
【0008】
樹脂の注入における問題点は、樹脂の弾性係数がコンクリートの約1/10と小さいため応力の伝達の均一性にかけること、およびコンクリートと樹脂の接着面でひび割れ部が伸縮を繰り返すと再剥離現象を起こし元のひび割れ部に戻ってしまって効果が消失することである。
【0009】
セメント系材料の注入においては事前に十分水通しを行ってその後注入しないと、途中でセメントミルクの水分がコンクリートに吸収されて流動性が低下し、細部のひび割れ部まで注入できない。
【0010】
また、コンクリートとの付着力が小さいため引張り強度が期待できないのでひび割れ部が伸縮を繰り返すところへの適用は困難である。
【0011】
要約すると、第1の課題は、ひび割れ部にたとえ樹脂材料で充填できたとしても、ひび割れ部が伸縮を繰り返す場合には再度ひび割れ部が発生し、劣化要因である水などの侵入を止めることができない点である。第2の課題は、ひび割れ部にコンクリートと同質のセメント系材料を注入する場合には流動性の確保が困難であり、この2点を解決する必要がある。
【0012】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、コンクリート構造物のひび割れ部に水分が浸透することによる劣化を抑えることができるコンクリート構造物の補修方法を提供することを第1の目的とし、この補修方法を前提として、ひび割れ部の隅々まで充填材を充填させることを可能とし、ひび割れ部に空気(酸素や炭酸ガス)が侵入することによる劣化を抑えることができるコンクリート構造物の補修方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載された発明は、母材コンクリートに生じたひび割れ部の表面を目止めシールで塞ぎ、浸透性吸水防止材を、ひび割れ部の内部に注入し、ひび割れ部内のコンクリート表面に浸透性吸水防止材を浸透させて吸水防止層を形成したコンクリート構造物の補修方法である。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載のコンクリート構造物の補修方法において、母材コンクリートに生じたひび割れ部を貫通して母材コンクリートの内部に注入孔を穿孔し、この注入孔から、浸透性吸水防止材を注入する補修方法である。
【0015】
請求項3に記載された発明は、請求項1記載のコンクリート構造物の補修方法において、母材コンクリートに生じたひび割れ部の表面に注入治具を設置し、この注入治具から、浸透性吸水防止材を注入する補修方法である。
【0016】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3のいずれか記載のコンクリート構造物の補修方法により吸水防止層が形成されたひび割れ部内に、加水により流動性を有する充填材を注入するコンクリート構造物の補修方法である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、コンクリート構造物のひび割れ部内のコンクリート表面に浸透性吸水防止材を浸透させて形成した吸水防止層により、ひび割れ部に侵入した水分が母材コンクリート中に浸透するおそれを防止できるので、水分の浸透によるアルカリ骨材反応、塩害、凍結融解、中性化などのひび割れ劣化原因を抑えることができる。
【0018】
請求項2に記載された発明によれば、母材コンクリートに生じたひび割れ部を貫通して母材コンクリートの内部に注入孔を穿孔し、この注入孔から浸透性吸水防止材を注入するので、深いひび割れ部に対しても浸透性吸水防止材を確実に注入できる。
【0019】
請求項3に記載された発明によれば、母材コンクリートに生じたひび割れ部が表面から浅い場合は、このひび割れ部の表面に対して注入治具を簡単に設置できるので、この注入治具から浸透性吸水防止材を容易に注入できる。
【0020】
請求項4に記載された発明によれば、浸透性吸水防止材により吸水防止層が形成されたひび割れ部内のコンクリート表面は、水分を吸収しにくいため、加水により流動性を有する充填材の水分がひび割れ部内のコンクリート表面中に吸収されることを防ぎ、充填材の流動性を確保できるので、微細ひび割れ部には不向きとされてきた充填材の注入が可能となった。また、加水により流動性を有する充填材は、有機溶剤を使用していないので安全性が高く、環境に配慮したものである。そして、微細ひび割れ部まで充填材を充填できるので、水分だけでなく空気(酸素や炭酸ガス)がひび割れ部から母材コンクリートへ侵入するおそれも防止でき、水分および空気(酸素や炭酸ガス)によるコンクリート劣化を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を、図1乃至図6に示された一実施の形態、図7に示された他の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1に示されるように、鉄筋コンクリート製のコンクリート構造物11における母材コンクリート12の天端面に生じたひび割れ部13に対して、図2に示されるように、母材コンクリート12の側面から、ひび割れ部13を貫通して母材コンクリート12の内部まで注入孔14を穿孔し、図3に示されるように、天端面のひび割れ部13の表面を目止めシール15で塞ぐとともに、側面の注入孔14に注入ノズル16を取付け、この注入ノズル16に加圧供給されたシラン系またはシラン・シロキサン系等を主成分とする浸透性吸水防止材17を、注入孔14から母材コンクリート12内のひび割れ部13の内部に、ひび割れ部13の状況に応じて低圧〜高圧で注入すると、図4に示されるように、浸透性吸水防止材17は、ひび割れ部13の内部のコンクリート表面に浸透して、吸水防止層18を形成する。
【0023】
浸透性吸水防止材17は、本来はコンクリート表面に塗布してコンクリート表面に浸透性吸水防止効果を付与する表面含浸材である。シラン系表面含浸材は、シランモノマー、シランオリゴマーまたはこれらの混合物を主成分とするもので、水系と溶剤系とを選択できるが、環境上は水系を用いることが好ましい。
【0024】
このシラン系表面含浸材を、ひび割れ部13内のコンクリート表面に含浸させることで、コンクリート表面から数mm〜十数mmの厚みの撥水層である吸水防止層18が形成される。要するに、目止めシール15によりコンクリート表面のコンクリートひび割れ部13を塞ぐだけでなく、コンクリート劣化の最大原因であるひび割れ部13内のコンクリート表面にも吸水防止層18を形成して、主に水分の侵入を防止する。
【0025】
そして、図1乃至図4に示されるように、コンクリート構造物11のひび割れ部13内のコンクリート表面に浸透性吸水防止材17を浸透させて形成した吸水防止層18により、ひび割れ部13に侵入した水分が母材コンクリート12中に浸透するおそれを防止できるので、水分の浸透によるアルカリ骨材反応、塩害、凍結融解、中性化などのひび割れ劣化原因を抑えることができる。
【0026】
さらに、母材コンクリート12に生じたひび割れ部13を貫通して母材コンクリート12の内部に注入孔14を穿孔し、この注入孔14から浸透性吸水防止材17を注入するので、深いひび割れ部13に対しても浸透性吸水防止材17を確実に注入できる。
【0027】
次に、図5に示されるように、上記注入ノズル16を用いて、注入孔14から、上記補修方法により吸水防止層18が形成されたひび割れ部13内に、加水により流動性を有する充填材としての無機系充填材19、例えばセメント系充填材を注入すると、ひび割れ部13の表面部分が目止めシール15で遮断されているため、ひび割れ部13の内部に無機系充填材19が充満する。
【0028】
このとき、ひび割れ部13内のコンクリート表面には吸水防止層18が形成されているので、無機系充填材19中の水分がひび割れ部13内のコンクリート表面へ吸収されることを、この吸水防止層18によって妨げる。
【0029】
ひび割れ部13内のコンクリート表面で水分が吸収されなくなったので、無機系充填材19の流動性を低下させることなく、微細ひび割れ部13の隅々まで無機系充填材19を充填可能であり、図6に示されるように、施工完了後は、従来に比べて信頼性の高い充填性により水や空気(酸素や炭酸ガス)の侵入を防止することができる。
【0030】
要するに、従来は水分が母材コンクリート12に吸収されるため、微細ひび割れ部13には不向きとされてきたセメント系などの無機系充填材19の注入が可能となった。この無機系充填材19は、水分および炭酸ガスのひび割れ部13内への侵入を防止して、コンクリートの劣化を抑制でき、内部にある鉄筋の腐食を遅らせることができる。
【0031】
加水により流動性を有する充填材としては、無機系充填材19だけでなく、例えば樹脂充填材などを用いることも可能であるが、母材コンクリート12との同質性を考慮すると、無機系充填材19の方が好ましい。
【0032】
この無機系充填材19としては、セメント系に限定されるものではなく、石膏、シリカヒューム、フライアッシュ、高炉スラグ、ベントナイトまたはゼオライトなどを成分とする充填材を用いても良い。
【0033】
そして、図1乃至図6に示された一連の実施の形態によれば、浸透性吸水防止材17により吸水防止層18が形成されたひび割れ部13内のコンクリート表面は、水分を吸収しにくいため、加水により流動性を有する充填材の水分がひび割れ部内のコンクリート表面中に吸収されることを防ぎ、充填材の流動性を確保できるので、微細ひび割れ部13には不向きとされてきた充填材の注入が可能となった。また、加水により流動性を有する充填材は、有機溶剤を使用していないので安全性が高く、環境に配慮したものである。そして、微細ひび割れ部13まで充填材を充填できるので、水分だけでなく空気(酸素や炭酸ガス)がひび割れ部13から母材コンクリート12内へ侵入するおそれも防止でき、水分および空気(酸素や炭酸ガス)によるコンクリート劣化を抑制できる。
【0034】
また、樹脂系充填材は弾性係数がコンクリートに比べて小さいため、圧縮側コンクリートへの使用には難点があったのに対して、無機系充填材は母材コンクリート12と同質であり、構造計算上は同一に扱うことができる。
【0035】
以上のように、従来コンクリートの劣化原因の主原因であったひび割れ部13を浸透性吸水防止材17と無機系充填材19を注入することによって、母材コンクリート12と同等以上の機能を有するまでに回復することができる。
【0036】
ひび割れ部13内のコンクリート表面に吸水防止層18を形成させることによって、無機系充填材19はひび割れ部13の細部にまで充填可能で品質の信頼性が高い。
【0037】
コンクリート内部まで注入孔14を穿孔し、この注入孔14からひび割れ部13内に圧力をかけて浸透性吸水防止材17および無機系充填材19を注入するので、ひび割れ部13の隅々まで確実に充填でき、また、浸透性吸水防止材17も無機系充填材19も同じ注入孔14を使用できるので効率がよい。
【0038】
有機溶剤等を使用していないので安全性が高く、環境に配慮した補修方法である。
【0039】
ASRの対策工として有効とされる亜硝酸リチュウムの注入に比べて安価であり、経済的である。
【0040】
次に、具体的な数値を上げて説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0041】
前記注入孔14は、直径5〜32mm程度に穿孔することが望ましい。
【0042】
浸透性吸水防止材17は、有効成分5%以上のシラン系およびシラン・シロキサン系を主成分とするものを用いると良い。
【0043】
無機系充填材19のセメント粒子は、10μm以下、望ましくは20nm程度のものが良い。なお、1nm程度の無機系充填材を用いることも可能である。
【0044】
浸透性吸水防止材17の注入方法として、微細なひび割れ部13の内部に浸透性吸水防止材17を確実に注入するには、数日間、高圧で連続的に注入して、圧力が低下したら再注入する方法を採用すると良いが、1回で加圧注入するようにしても良い。
【0045】
浸透性吸水防止材17の注入から無機系充填材19の注入まで一定の時間を置き、コンクリート中への浸透性吸水防止材17の浸透を確実にする。
【0046】
次に、図7は、厚みが例えば20〜30cm程度の比較的薄いコンクリート構造物の補修方法として適した他の実施の形態を示す。
【0047】
図7(a)に示されるように、母材コンクリート12に生じたひび割れ部13の表面に沿って、図7(b)に示されるように、所定間隔ごとに注入治具としての注入プラグ21を接着するなどして設置し、各注入プラグ21間のひび割れ部13の表面を目止めシール15で塞ぐ。各注入プラグ21は、逆止弁を内蔵しており、外部からひび割れ部13の内部に流動物を注入することは可能であるが、内部から外部への流動物の漏出は防止できる。
【0048】
さらに、図7(c)に示されるように、注入ノズル16を注入プラグ21に接続し、この注入プラグ21から浸透性吸水防止材17を、ひび割れ部13の内部に注入し、図7(d)に示されるように、ひび割れ部13内のコンクリート表面に浸透性吸水防止材17を浸透させて吸水防止層18を形成する。
【0049】
この図7に示された一連の吸水防止層形成工程の後に、上記注入プラグ21から図5および図6に示された充填材注入工程を実施することで、ひび割れ部13内に、加水により流動性を有する充填材としての無機系充填材を注入する。
【0050】
この補修方法によれば、母材コンクリート12に生じたひび割れ部13が表面から浅い場合は、このひび割れ部13の表面に対して複数の注入プラグ21を簡単に設置できるので、これらの注入プラグ21から浸透性吸水防止材17および無機系充填材を容易に注入できる。
【0051】
なお、本発明のコンクリート構造物11は、鉄筋コンクリートが一般的であるが、鉄筋に限定されるものではなく、繊維強化複合材料などで強度を確保されたコンクリート構造物も含む。また、充填材としては、樹脂系充填材より無機系充填材19の方が優れているが、樹脂系充填材に対しても一定の効果は得られる。例えば、ひび割れ部13内のコンクリート表面に浸透性吸水防止材17を浸透させて吸水防止層18を形成することで、ひび割れ部13内のコンクリート表面を滑らかにすることができるので、後から充填する樹脂系充填材との間の摩擦抵抗を減らして流動性を確保できる効果が得られる。
【0052】
本発明は、道路、橋梁、建物などのコンクリート構造物の補修に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る補修方法の一実施の形態を説明するための、補修の対象となるひび割れ部が入ったコンクリート構造物を示す立体的断面図である。
【図2】同上実施の形態における、ひび割れ部を貫通して注入孔を穿孔した工程を示すコンクリート構造物の立体的断面図である。
【図3】同上実施の形態における、注入孔よりひび割れ部に浸透性吸水防止材を注入した工程を示すコンクリート構造物の立体的断面図である。
【図4】同上実施の形態における、ひび割れ部内のコンクリート表面に浸透性吸水防止材を浸透させて吸水防止層を形成した工程を示すコンクリート構造物の立体的断面図である。
【図5】同上実施の形態における、吸水防止層が形成されたひび割れ部内に充填材を注入する工程を示すコンクリート構造物の立体的断面図である。
【図6】同上実施の形態における、ひび割れ部内に充填材が注入された状態を示すコンクリート構造物の立体的断面図である。
【図7】本発明に係る補修方法の他の実施の形態を示す工程図であり、(a)は補修方法の対象となるひび割れ部が入ったコンクリート構造物を示す側面図、(b)はひび割れ部に注入治具を設置した状態を示す側面図、(c)は注入治具よりひび割れ部に浸透性吸水防止材を注入した状態を示すコンクリート構造物の断面図、(d)はひび割れ部内のコンクリート表面に浸透性吸水防止材を浸透させて吸水防止層を形成したコンクリート構造物の断面図である。
【符号の説明】
【0054】
12 母材コンクリート
13 ひび割れ部
14 注入孔
15 目止めシール
17 浸透性吸水防止材
18 吸水防止層
19 充填材としての無機系充填材
21 注入治具としての注入プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材コンクリートに生じたひび割れ部の表面を目止めシールで塞ぎ、
浸透性吸水防止材を、ひび割れ部の内部に注入し、
ひび割れ部内のコンクリート表面に浸透性吸水防止材を浸透させて吸水防止層を形成した
ことを特徴とするコンクリート構造物の補修方法。
【請求項2】
母材コンクリートに生じたひび割れ部を貫通して母材コンクリートの内部に注入孔を穿孔し、
この注入孔から、浸透性吸水防止材を注入する
ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の補修方法。
【請求項3】
母材コンクリートに生じたひび割れ部の表面に注入治具を設置し、
この注入治具から、浸透性吸水防止材を注入する
ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の補修方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか記載のコンクリート構造物の補修方法により吸水防止層が形成されたひび割れ部内に、加水により流動性を有する充填材を注入する
ことを特徴とするコンクリート構造物の補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−249943(P2009−249943A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100399(P2008−100399)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(397027787)カジマ・リノベイト株式会社 (9)
【出願人】(501165628)株式会社ティ・エス・プランニング (7)
【Fターム(参考)】