説明

コンクリート用収縮低減剤組成物

【課題】他の混和材料との組合せを必要とせず、安価で、コンクリート硬化物の強度低下を抑制し、さらにコンクリート硬化物の収縮を十分に低減することにより優れたひび割れ防止効果を発現する、汎用性の高いコンクリート用収縮低減剤組成物を提供すること。
【解決手段】本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、ポリオキシアルキレン鎖を分子内に3本以上含む分岐構造を有する分岐化合物(A)を主成分とし、AE剤(C)および消泡剤(D)を含有する、コンクリート用収縮低減剤組成物であって、AE剤(C)と消泡剤(D)を、固形分換算で、(C)/(D)=90/10〜20/80の重量比で含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート用収縮低減剤組成物に関する。より詳細には、コンクリート硬化体の乾燥収縮を低減してひび割れ発生を抑制するための収縮低減剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水硬性材料は、強度や耐久性等に優れた硬化物を与えることから、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等として広く用いられており、土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。このような水硬性材料では、硬化した後に、外気温や湿度条件等により、内部に残った未反応水分の逸散が起こり、これに起因すると考えられる乾燥収縮が進行し、硬化物中にひび割れが生じて強度および耐久性が低下するという問題がある。土木・建築構造物等の強度や耐久性等が低下すると、安全性の低下や修復コストの増大等の重大な問題が生じることになる。
【0003】
このような問題に対して、法規制が強化されようとしている。例えば、1999年6月に成立した住宅の品質確保の促進に関する法律では、コンクリートのひび割れも瑕疵保証の対象となる。また。2009年2月に改訂された、鉄筋コンクリート造に関する建築工事標準仕様書(JASS 5(日本建築学会))においても耐用年数が長期(50年以上)にわたるコンクリートにおいては26週での収縮ひずみを800×10−6以下に規制されようとしている。さらに、コンクリート硬化物の収縮を低減する方法の一つとして、水硬性材料の硬化物中における乾燥収縮の進行を抑制する水硬性材料用収縮低減剤の重要性が認識され、JASS 5の改訂と同時に建築学会基準の制定が予定されている。
【0004】
このようなセメント配合物の収縮を低減させることを目的とした収縮低減剤として、例えば、特許文献1には炭素数1〜4のアルコールのアルキレンオキシド付加物、特許文献2には2〜8価のアルコールのエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共付加物、特許文献3には低級アルキルアミンのアルキレンオキシド付加物、特許文献4にはオリゴマー領域のポリプロピレングリコール、特許文献5には低分子量アルコール類、特許文献6には2−エチルヘキサノールのアルキレンオキシド付加物が開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの収縮低減剤では、コンクリートに使用した場合に強度が低下するため、強度を保つためにセメントペースト分を多くする必要があり、コンクリートコストが高くなる問題がある。さらにこれらの収縮低減剤を使用することにより耐凍結融解性が著しく低下することから、特に寒冷地での使用が制限されることから普及の妨げとなっている。
【0006】
これら強度を保持する方法として、例えば、特許文献7、特許文献8には、それぞれ2〜8価のアルコールのアルキレンオキシド付加物の使用が開示されているが、いずれの場合も粉末樹脂または膨張材等、他の混和材料との組合せが必須であり、コンクリートコストの上昇を抑制するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭56−51148号公報
【特許文献2】特公平1−53214号公報
【特許文献3】特公平1−53215号公報
【特許文献4】特開昭59−152253号公報
【特許文献5】特公平6−6500号公報
【特許文献6】特許第2825855号公報
【特許文献7】特開平9−301758号公報
【特許文献8】特開2002−68813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、他の混和材料との組合せを必要とせず、安価で、コンクリート硬化物の強度低下を抑制し、さらにコンクリート硬化物の収縮を十分に低減することにより優れたひび割れ防止効果を発現する、汎用性の高いコンクリート用収縮低減剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、ポリオキシアルキレン鎖を分子内に3本以上含む分岐構造を有する分岐化合物(A)を主成分とし、AE剤(C)および消泡剤(D)を含有する、コンクリート用収縮低減剤組成物であって、AE剤(C)と消泡剤(D)を、固形分換算で、(C)/(D)=90/10〜20/80の重量比で含む。
好ましい実施形態においては、上記分岐化合物(A)は、トリメチロールアルカンのアルキレンオキシド付加物、ペンタトリオールのアルキレンオキシド付加物、およびソルビトールのアルキレンオキシド付加物から選ばれる少なくとも1種である。
好ましい実施形態においては、上記分岐化合物(A)は、該分岐化合物(A)中の水酸基1モルに対してエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドが5〜150モル付加している。
好ましい実施形態においては、本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体(B)を含む。
好ましい実施形態においては、上記分岐化合物(A)、上記AE剤(C)、および上記消泡剤(D)の合計と、上記重合体(B)の重量比が、固形分換算で、((A)+(C)+(D))/(B))=99.9/0.1〜50/50である。
好ましい実施形態においては、上記重合体(B)が、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン基を有する単量体(I)と、一般式(2−1)〜(2−3)で表される単量体の中から選ばれる少なくとも1種の単量体(II)とを共重合して得られる共重合体である。
【化1】

(式中、R、Rはそれぞれ水素原子またはメチル基を表す。Rは水素原子または−(CH(CO)O(AO)Xを表す。mは0〜2の数を表す。pは0または1の数を表す。AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表し2〜300である。Xは水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基を表す。)
【化2】

(式中、R、RおよびRは同一でも異なっていても良く、水素原子、メチル基、または−(CHCOOMである。−(CHCOOMは、COOMまたは他の−(CHCOOMと無水物を形成していても良く、その場合、それらの基のM、Mは存在しない。M、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、または置換アルキルアンモニウム基を表す。rは0〜2の数を表す。)
【化3】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Zは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、または置換アルキルアンモニウム基を表す。)
【化4】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rは炭素数2〜12のアルキレン基を表す。sは1〜30の数を表す。M、Mはそれぞれ水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、または置換アルキルアンモニウム基を表す。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、他の混和材料との組合せを必要とせず、安価で、硬化物の強度低下を抑制し、優れた収縮低減機能を有する、汎用性の高い収縮低減剤組成物を提供することができる。さらには、コンクリート硬化体の乾燥収縮を低減してひび割れ発生を抑制し、耐凍結融解性を付与することによりコンクリート硬化体の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
≪分岐化合物(A)≫
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、ポリオキシアルキレン鎖を分子内に3本以上含む分岐構造を有する分岐化合物(A)を主成分とする。本発明において、主成分とは、組成物中に50重量%以上含まれる成分を意味する。
【0012】
分岐化合物(A)中のポリオキシアルキレン鎖としては、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基からなることが好ましい。上記オキシアルキレン基は1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。上記オキシアルキレン基は、より好ましくは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素原子数2〜3のオキシアルキレン基であり、特に好ましくはオキシエチレン基である。上記オキシアルキレン基として少なくともオキシエチレン基が用いられる場合は、付加されるオキシアルキレン基中、オキシエチレン基が50〜100モル%含まれていることが好ましく、70〜100モル%含まれていることがより好ましく、90〜100モル%含まれていることがさらに好ましい。
【0013】
分岐化合物(A)としては、例えば、トリメチロールエタンのアルキレンオキシド付加物、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物、1,3,5−ペンタトリオールのアルキレンオキシド付加物、4価以上の多価アルコールのアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。上記アルキレンオキシド付加物は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタトリオール、または4価以上の多価アルコールに、アルキレンオキシドを付加させることによって得られる、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物である。上記4価以上の多価アルコールとしては、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、ポリグリセリン、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、マンノース、インドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、プシコース、アルトロース、アラビノース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、リキソース、トレオース、エリトルロース、ラムノース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュウクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトースなどが挙げられる。
【0014】
分岐化合物(A)としては、好ましくは、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタトリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリグリセリンに、アルキレンオキシドを付加させることによって得られる、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物であり、さらに耐凍結融解性を付与できる点で、好ましくは、トリメチロールアルカンのアルキレンオキシド付加物、ペンタトリオールのアルキレンオキシド付加物、またはソルビトールのアルキレンオキシド付加物である。
【0015】
分岐化合物(A)が、上記多価アルコールのアルキレンオキシド付加物である場合には、アルキレンオキシドの平均付加モル数は、該多価アルコールの水酸基1モルあたり、好ましくは1〜500モルであり、より好ましくは5〜300モルであり、さらに好ましくは5〜150モルであり、特に好ましくは10〜100である。上記多価アルコールの水酸基1モルあたりのアルキレンオキシドの平均付加モル数が1モルより小さいと、著しい凝結遅延が起こって強度が低下するおそれがある。上記多価アルコールの水酸基1モルあたりのアルキレンオキシドの平均付加モル数が500モルより大きいと、十分な収縮低減性が得られないおそれがある。
【0016】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物中の分岐化合物(A)の含有割合は、50重量%以上であり、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物中の分岐化合物(A)の含有割合の上限値は、好ましくは99重量%、より好ましくは98重量%である。
【0017】
≪AE剤(C)≫
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、AE剤(Air Entraining剤)(C)を必須成分として含む。
【0018】
AE剤(C)としては、例えば、樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステルまたはその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート、ベタイン、イミダゾリンベタイン等が挙げられる。なかでも、樹脂石鹸、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステルまたはその塩が好ましい。
【0019】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物中のAE剤(C)の含有割合は、目的に応じて、任意の適切な割合を採用し得る。本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物中のAE剤(C)の含有割合は、セメント100重量部に対して、固形分換算で、好ましくは0.000001重量%以上、より好ましくは0.00001重量%以上である。本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物中のAE剤(C)の含有割合の上限値は、好ましくは10重量%、より好ましくは5重量%である。
【0020】
≪消泡剤(D)≫
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、消泡剤(D)を必須成分として含む。
【0021】
消泡剤(D)としては、例えば、鉱油系消泡剤、油脂系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、オキシアルキレン系消泡剤、アルコール系消泡剤、アミド系消泡剤、リン酸エステル系消泡剤、金属石鹸系消泡剤、シリコーン系消泡剤などが挙げられる。なかでも、オキシアルキレン系消泡剤が好ましい。
【0022】
鉱油系消泡剤としては、例えば、燈油、流動パラフィン等が挙げられる。
【0023】
油脂系消泡剤としては、例えば、動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0024】
脂肪酸系消泡剤としては、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0025】
脂肪酸エステル系消泡剤としては、例えば、グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等が挙げられる。
【0026】
オキシアルキレン系消泡剤としては、例えば、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数8以上の高級アルコールや炭素数12〜14の2級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド;等が挙げられる。
【0027】
アルコール系消泡剤としては、例えば、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等が挙げられる。
【0028】
アミド系消泡剤としては、例えば、アクリレートポリアミン等が挙げられる。
【0029】
リン酸エステル系消泡剤としては、例えば、リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等が挙げられる。
【0030】
金属石鹸系消泡剤としては、例えば、アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等が挙げられる。
【0031】
シリコーン系消泡剤としては、例えば、ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等が挙げられる。
【0032】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物中の消泡剤(D)の含有割合は、目的に応じて、任意の適切な割合を採用し得る。本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物中の消泡剤(D)の含有割合は、セメント100重量部に対して、固形分換算で、好ましくは0.000001重量%以上、より好ましくは0.00001重量%以上である。本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物中の消泡剤(D)の含有割合の上限値は、好ましくは10重量%、より好ましくは5重量%である。
【0033】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、AE剤(C)と消泡剤(D)とを、固形分換算で、(C)/(D)=90/10〜20/80の重量比で含む。好ましくは、(C)/(D)=90/10〜30/70であり、より好ましくは、(C)/(D)=80/20〜40/60である。C成分とD成分の比率を上記範囲内に制御することにより、他の混和材料との組合せを必要とせず、安価で、コンクリート硬化物の強度低下を抑制し、優れた収縮低減機能を有する、汎用性の高い収縮低減剤組成物を提供することができる。さらには、コンクリート硬化体の乾燥収縮を低減してひび割れ発生を抑制し、耐凍結融解性を付与することによりコンクリート硬化体の耐久性を向上させることができる。
【0034】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、分岐化合物(A)、AE剤(C)、および消泡剤(D)のみからなっていても良いし、本発明の効果を損なわない範囲で、他の任意の適切な成分を含んでいても良い。他の任意の適切な成分としては、例えば、水が挙げられる。
【0035】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物中の、分岐化合物(A)、AE剤(C)、および消泡剤(D)の合計量の割合は、上記他の任意の適切な成分の種類によって変動し得る。例えば、分岐化合物(A)、AE剤(C)、および消泡剤(D)の相溶性の度合い、使用条件、使用対象などによって適宜設定される。分岐化合物(A)は1種のみでも良いし、2種以上を併用しても良い。AE剤(C)は1種のみでも良いし、2種以上を併用しても良い。消泡剤(D)は1種のみでも良いし、2種以上を併用しても良い。
【0036】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、任意の適切な方法で調製すれば良い。例えば、分岐化合物(A)、AE剤(C)、消泡剤(D)、および任意の他の成分を、任意の適切な方法で混合すれば良い。
【0037】
≪ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体(B)≫
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体(B)をさらに含むことが好ましい。重合体(B)のアニオン性基としては、優れた収縮低減機能と優れた減水機能を併せ持つ水硬性材料用収縮低減剤組成物を提供し得る点で、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基のいずれかが好ましい。
【0038】
ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体(B)の具体例としては、
3−メチル−3−ブテン−1−オール等の特定の不飽和アルコールにエチレンオキシド等を付加したアルケニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、これらの単量体と共重合可能な単量体、から得られる共重合体および/またはその塩(特開昭62−68806号公報、特開平10−236858号公報、特開2001−220417号公報参照);
(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステルあるいはポリエチレン(プロピレン)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)、から得られる共重合体(特開昭62−216950号公報参照);
(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)、から得られる共重合体(特開平1−226757号公報参照);
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体(特開平4−149056号公報参照);
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アリルスルホン酸(塩)あるいはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)、から得られる共重合体(特開平6−191918号公報参照);
アルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体あるいはその加水分解物またはその塩(特開平5−43288号公報参照);
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、これらの単量体と共重合可能な単量体、から得られる共重合体(特公昭59−18338号公報参照);
スルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび必要に応じてこれと共重合可能な単量体、から得られる共重合体またはその塩(特公昭62−119147号公報参照);
アルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物(特開平6−298555号公報参照);
ポリアルキレングリコールモノエステル系単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、および(メタ)アリルスルホン酸系単量体の中から選ばれる1種以上の単量体、から得られる共重合体(特開平7−223852号公報参照);
スチレンスルホン酸、スルホアルキル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノリン酸エステルから選ばれる1種以上の単量体、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、および不飽和カルボン酸系単量体、から得られる共重合体またはその塩(特開平11−79811号公報参照);
(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノビニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、および(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート、から得られる共重合体(特開平2004−307590号公報参照);
(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、リン酸モノエステル系単量体、およびリン酸ジエステル系単量体、から得られる共重合体またはその塩(特開2006−52381号公報参照);
不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体と不飽和モノカルボン酸系単量体との共重合体(特開2002−121055号公報、特開2002−121056号公報参照);
などが挙げられる。
【0039】
これらの中でも、3−メチル−3−ブテン−1−オール等の特定の不飽和アルコールにエチレンオキシド等を付加したアルケニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、これらの単量体と共重合可能な単量体から得られる共重合体および/またはその塩(特開昭62−68806号公報、特開平10−236858号公報、特開2001−220417号公報参照);ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体(特開平4−149056号公報参照);アルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体あるいはその加水分解物またはその塩(特開平5−43288号公報参照);ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、これらの単量体と共重合可能な単量体、から得られる共重合体(特公昭59−18338号公報参照);ポリアルキレングリコールモノエステル系単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、および(メタ)アリルスルホン酸系単量体の中から選ばれる1種以上の単量体、から得られる共重合体(特開平7−223852号公報参照);(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノビニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、および(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート、から得られる共重合体(特開2004−307590号公報参照);(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、リン酸モノエステル系単量体、およびリン酸ジエステル系単量体、から得られる共重合体またはその塩(特開2006−52381号公報参照);不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体と不飽和モノカルボン酸系単量体との共重合体(特開2002−121055号公報、特開2002−121056号公報参照);が好ましい。
【0040】
重合体(B)は、特に、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン基を有する単量体(I)と、上記一般式(2−1)、(2−2)、または(2−3)で表される単量体の中から選ばれる少なくとも1種の単量体(II)とを共重合して得られる共重合体であることが好ましい。
【0041】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物においては、上記分岐化合物(A)、上記AE剤(C)、および上記消泡剤(D)の合計と、上記重合体(B)の重量比が、固形分換算で、((A)+(C)+(D))/(B)=99.9/0.1〜50/50であることが好ましい。より好ましくは、((A)+(C)+(D))/(B)=99.5/0.5〜65/35であり、さらに好ましくは((A)+(C)+(D))/(B)=99/1〜75/25であり、特に好ましくは((A)+(C)+(D))/(B)=98.5/1.5〜80/20であり、最も好ましくは((A)+(C)+(D))/(B)=98/2〜90/10である。A成分とB成分とC成分とD成分の比率を上記範囲内に制御することにより、他の混和材料との組合せを必要とせず、安価で、コンクリート硬化物の強度低下を抑制し、優れた収縮低減機能を有する、汎用性の高い収縮低減剤組成物を提供することができる。さらには、コンクリート硬化体の乾燥収縮を低減してひび割れ発生を抑制し、耐凍結融解性を付与することによりコンクリート硬化体の耐久性を向上させることができる。
【0042】
≪単量体(I)≫
単量体(I)において、上記一般式(1)中のRは水素原子が好ましく、オキシアルキレン基AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基からなることが好ましく、該オキシアルキレン基AOとしてオキシエチレン基を含むことがより好ましく、該オキシアルキレン基AO全体に対するオキシエチレン基の含有割合が70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、90モル%以上であることが特に好ましく、該オキシアルキレン基AO全体がオキシエチレン基であることが最も好ましい。該オキシアルキレン基AOは、pが0の場合は(CHとエーテル結合し、pが1の場合はエステル結合を形成する。p=1が好ましい。mは0〜2の数であり、m=0が好ましい。また、Rは水素原子または炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基がより好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、水素原子または炭素数1、2のアルキル基が特に好ましく、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0043】
単量体(I)は、具体的には、例えば、ω−メトキシポリオキシアルキレンメタクリル酸エステル、ω−メトキシポリオキシアルキレンアクリル酸エステル等を挙げることができ、ω−メトキシポリオキシアルキレンメタクリル酸エステルがより好ましい。
【0044】
ここで、上記一般式(1)中のnは2〜300であり、重合体の水硬性組成物に対する分散性と粘性低減効果の点で、好ましくは4〜120であり、より好ましくは4〜80であり、さらに好ましくは4〜50であり、特に好ましくは4〜30である。また、平均n個の繰り返し単位中には、オキシアルキレン基AOが異なるものでランダム付加またはブロック付加またはこれらの混在となっているものが含まれていても良い。オキシアルキレン基AOは、オキシエチレン基を含むことが好ましいが、オキシプロピレン基等を含んでいても良い。
【0045】
単量体(I)は、例えば、アルコキシポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化によって得ることができる。単量体(I)の具体例としては、例えば、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端低級アルキル基封鎖ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸、マレイン酸との(ハーフ)エステル化物や、(メタ)アリルアルコールとのエーテル化合物、及び、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、(メタ)アリルアルコールへのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物が挙げられる。単量体(I)としては、アルコキシポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物が好ましく、メトキシポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物がより好ましい。
【0046】
≪単量体(II)≫
上記一般式(2−1)で表される単量体(II−1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体またはこれらの塩(例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等);などが挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸またはこれらのアルカリ金属塩である。
【0047】
上記一般式(2−2)で表される単量体(II−2)としては、例えば、(メタ)アリルスルホン酸またはこれらの塩(例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等)が挙げられる。
【0048】
上記一般式(2−3)で表される単量体(II−3)において、sは1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
【0049】
単量体(II−3)としては、具体的には、例えば、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステル、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)アクリル酸エステル、ポリアルキレレングリコールモノ(メタ)アクリレートアシッドリン酸エステル等が挙げられる。なかでも、製造の容易さ及び製造物の品質安定性の観点から、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステルが好ましい。また、これらの化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩などであっても良い。
【0050】
≪収縮低減剤組成物≫
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、本発明の作用効果を奏する限り、必要に応じて、その他の成分を含んでいても良い。その他の成分としては、例えば、水溶性高分子物質、高分子エマルジョン、遅延剤、早強剤・促進剤、界面活性剤、防水剤、防錆剤、ひび割れ低減剤、膨張材、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、他の乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石膏が挙げられる。これらは1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。しかしながら、本発明の収縮低減剤組成物は、他の混和材料との組合せを必要とせず、安価で、硬化物の強度低下を抑制し、優れた収縮低減機能を有するという効果を発現できるので、上記に挙げたようなその他の成分は、必要でなければ、特に用いなくても良い。
【0051】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物の製造方法については、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、各成分を適宜混合して製造することができる。
【0052】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物は、優れた収縮低減機能と優れた減水機能を併せ持つ。本発明の収縮低減剤組成物は、経時安定性が優れており、分離沈殿することなく相溶性に優れ、水/セメント比の適用範囲が広く、水/セメント比(重量比)で、好ましくは60%〜15%のコンクリートまで製造が可能である。従って、汎用性が高く、種々の用途のセメント組成物に添加して用いることが可能である。
【0053】
本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物を用いたセメント組成物とは、好ましくは、セメント、細骨材、および水からなるモルタル、さらに粗骨材からなるコンクリート等のセメント組成物に、本発明のコンクリート用収縮低減剤組成物を所定の割合で添加したものである。
【0054】
セメント組成物の製造に用いるセメントとしては、例えば、普通、低熱、中庸熱、早強、超早強、耐硫酸塩等のポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、エコセメント、シリカヒュームセメントが挙げられる。また、セメント組成物中の粉体として、例えば、シリカヒューム、フライアッシュ、石灰石微粉末、高炉スラグ微粉末、膨張材、その他の鉱物質微粉末等が挙げられる。細骨材としては、例えば、川砂、山砂、海砂、砕砂、重量骨材、軽量骨材、スラグ骨材、再生骨材が挙げられる。粗骨材としては、例えば、川砂利、砕石、重量骨材、軽量骨材、スラグ骨材、再生骨材が挙げられる。水としては、例えば、JIS A 5308付属書9に示される上水道水、上水道水以外の水(河川水、湖沼水、井戸水など)、回収水が挙げられる。
【0055】
コンクリート組成物中には、任意の適切な添加剤を加えても良い。例えば、硬化促進剤、凝結遅延剤、防錆剤、防水剤、防腐剤が挙げられる。
【0056】
コンクリート組成物の製造方法、運搬方法、打設方法、養生方法、管理方法などについては、任意の適切な方法を採用し得る。
【0057】
セメント組成物における、本発明の収縮低減剤組成物の添加量は、目的に応じて任意の適切な量を採用し得る。例えば、セメント100重量部に対して0.5〜6.0重量%とすることが好ましい。また、セメント組成物100容量部当たりのセメント容量が14容量%を超える場合は、好ましくは0.5〜6.0重量%、より好ましくは1.0〜5.0重量%とすることが好ましい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は重量基準である。
【0059】
〔コンクリート配合に用いる各成分の固形分測定〕
コンクリート物性評価に用いる各成分の固形分測定は下記のように行った。
1.アルミ皿を精秤した。
2.精秤したアルミ皿上に固形分を測定する成分を載せて精秤した。
3.窒素雰囲気下、130℃に調温した乾燥機内に、上記2で精秤した成分を1時間入れた。
4.1時間後、上記成分を乾燥機から取り出し、デシケーター内で15分間放冷した。
5.15分後、乾燥後の上記成分をデシケーターから取り出し、アルミ皿と乾燥後の上記成分を精秤した。
6.下記式により、固形分を算出した。
固形分(%)={〔(上記5の精秤で得られた重量)−(上記1の精秤で得られた重量)〕/〔(上記2の精秤で得られた重量)−(上記1の精秤で得られた重量)〕}×100
【0060】
〔コンクリート物性評価〕
≪フレッシュコンクリートの評価≫
得られたフレッシュコンクリートについて、スランプ値、空気量の測定を以下の方法により実施した。
スランプ値:JIS A 1101−1998
空気量 :JIS A 1128−1998
【0061】
≪乾燥収縮低減性の評価≫
得られたフレッシュコンクリートをゲージピン付の10×10×40cmの供試体型枠に入れ2日間20℃にて封緘養生後脱型し、さらに5日間20℃の静水中で水中養生した後乾燥収縮低減性の評価を開始した。乾燥収縮低減性の評価は、JIS A 1129−3(モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法 第3部:ダイヤルゲージ方法)に準拠して実施した。静水中で5日間養生した供試体の表面の水を紙タオルでふき取った後、直ちに供試体の長さを測定し、この時点の長さを基準とした。その後、温度20℃、湿度60%に設定した恒温恒湿室内に保存し、適時測長した。この際、長さ変化比は、下記式(イ)で示されるように、収縮低減剤(A成分)を含まないコンクリート(基準コンクリート)の収縮量に対する、収縮低減剤(A成分)を添加したコンクリートの収縮量の比とし、値が小さいほど収縮を低減できることを示す。
長さ変化比=
{(収縮低減剤添加コンクリートの収縮量)/(基準コンクリートの収縮量)}×100
・・・(イ)
【0062】
≪気泡間隔係数の測定≫
AE剤および消泡剤を用いて所定の空気量のコンクリートを混練した後、6mm以上の骨材を取り除いたモルタルについてエアボイドアナライザー(AVA;商品名、ジャーマンインストゥルメンツ社製)にて耐凍結融解性の指標となる気泡間隔係数の測定を行った。
まず、20℃に調温したAVA測定用溶液250mlと水約2000mlを測定用カラムに充填した後、モルタル20mlを採取し、カラムの底部に注入した。注入後、モルタルを30秒間攪拌し液中にモルタルの連行空気を十分に液中に放出させた。放出された気泡を経時で測定することにより、気泡間隔係数の計算を行った。気泡間隔係数の計算に際して、コンクリート全体積より6mm以上の骨材の占める体積を除いた値(モルタル容積率)を64.3%とした。
【0063】
≪耐凍結融解性の評価≫
得られたフレッシュコンクリートを10×10×40cmの供試体型枠に入れ、2日間20℃にて封緘養生後脱型し、さらに28日間20℃の静水中で水中養生した後、耐凍結融解性の評価を実施した。
耐凍結融解性の評価は、JIS A 1148−2001中のA法に従い、30サイクルごとにJIS A 1127−2001に従い一次共鳴振動数および供試体重量を測定することにより実施した。
この際、30サイクルごとの耐凍結融解性は、下記式(1)で示されるように、凍結融解サイクル開始前(0サイクル)の一次共鳴振動数に対する、各サイクル終了時点の一次共鳴振動数から相対動弾性係数を算出して評価を実施した。凍結融解サイクルは最大300サイクルとし、300サイクル以前に相対動弾性係数が60%以下となった時点で評価を終了した。また、最終的な耐凍結融解性については、下記式(2)で示す耐久性指数を算出することにより評価を実施した。これらの値はいずれも100に近いほど良好な耐凍結融解性を有することを示す。
相対動弾性係数(%)=(f/f)×100 ・・・(1)
:凍結融解nサイクル後の一次共鳴振動(Hz)
:凍結融解0サイクル後の一次共鳴振動(Hz)
耐久性指数=(P×N)/300 ・・・(2)
P:凍結融解Nサイクル時の相対動弾性係数(%)
N:相対動弾性係数が60%以下となった凍結融解サイクル数、または300サイクルのいずれか小さいほう
【0064】
〔製造例1〕:共重合体(1)、(2)の合成
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管および還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に水200.2gを仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)225.2g、メタクリル酸44.8g、水450gおよび連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2.2gを混合したモノマー水溶液を4時間、並びに5.2%過硫酸アンモニウム水溶液60gを5時間かけて反応容器に滴下し、5.2%過硫酸アンモニウム水溶液滴下終了後、さらに1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して重量平均分子量22600の共重合体水溶液(共重合体(1))を得た。
【0065】
一方、温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管および還流冷却装置を備えた別のガラス製反応装置に水200.2gを仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25)239.9g、メタクリル酸20.1g、水450gおよび連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸2.2gを混合したモノマー水溶液を4時間、並びに5.2%過硫酸アンモニウム水溶液60gを5時間かけて反応容器に滴下し、5.2%過硫酸アンモニウム水溶液滴下終了後、さらに1時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させ、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して重量平均分子量35600の共重合体水溶液(共重合体(2))を得た。
【0066】
〔製造例2〕:ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体PC−1の合成
製造例1で得られた共重合体(1)および共重合体(2)を、固形分換算の重量比で、共重合体(1)/共重合体(2)=30/70の割合で混合し、ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体(B)に相当する共重合体水溶液PC−1を得た。
【0067】
〔製造例3〕:共重合体(3)、(4)の合成
温度計、撹拌機、滴下装置、窒素導入管および還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水を14.66重量部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル単量体(IPN50)を49.37重量部仕込み、撹拌下、反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、2%過酸化水素水溶液2.39重量部を添加し、アクリル酸3.15重量部およびイオン交換水0.79重量部からなる水溶液を3.0時間、ならびに、3−メルカプトプロピオン酸0.13重量部、L−アスコルビン酸0.06重量部、およびイオン交換水15.91重量部からなる水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持した後、冷却して重合反応を終了させ、48%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整し、重量平均分子量が37700の共重合体水溶液(共重合体(3))を得た。
【0068】
一方、温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管および還流冷却装置を備えた別のガラス製反応装置に、イオン交換水を42.43重量部、IPN50を49.37重量部仕込み、撹拌下、反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、2%過酸化水素水溶液4.12重量部を添加し、アクリル酸3.11重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.90重量部、およびイオン交換水2.26重量部からなる水溶液を3.0時間、ならびに、3−メルカプトプロピオン酸0.33重量部、L−アスコルビン酸0.11重量部、およびイオン交換水15.91重量部からなる水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持した後、冷却して重合反応を終了させ、48%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整し、重量平均分子量が31900の共重合体水溶液(共重合体(4))を得た。
【0069】
〔製造例4〕:ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体PC−2の合成
製造例3で得られた共重合体(3)および共重合体(4)を、固形分換算の重量比で、共重合体(3)/共重合体(4)=30/70の割合で混合し、ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体(B)に相当する共重合体水溶液PC−2を得た。
【0070】
〔製造例5〕:TMP50の合成
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、市販のトリメチロールプロパン120gおよび水酸化ナトリウム2.1gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃以上まで昇温させた後、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド1969.9gを添加し、トリメチロールプロパンの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ16.7モルずつ付加された化合物(以下、TMP50と称する)を得た。
【0071】
〔製造例6〕:TMP150の合成
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、TMP50を900g仕込んだ。次いで、反応系を120℃以上まで昇温させた後、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド1696.6gを添加し、トリメチロールプロパンの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ50モルずつ付加された化合物(以下、TMP150と称する)を得た。
【0072】
〔製造例7〕:TMP225の合成
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、TMP50を600gおよび水酸化ナトリウムを0.4g仕込んだ。次いで、反応系を120℃以上まで昇温させた後、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド1979.4gを添加し、トリメチロールプロパンの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ75モルずつ付加された化合物(以下、TMP225と称する)を得た。
【0073】
〔製造例8〕:SB600の合成
攪拌機、圧力計、および温度計を備えた圧力容器中に、市販のソルビトール100gおよび水酸化ナトリウム0.8gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃以上まで昇温させた後、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド1450.8gを添加し、ソルビトールの活性水素にエチレンオキシドがそれぞれ10モルずつ付加された化合物(以下、SB600と称する)を得た。
【0074】
〔実施例1〜4、比較例1〜2〕
≪コンクリート配合≫
以下に示すコンクリート配合割合により、練り混ぜ量が30Lとなるようにそれぞれの材料を計量し、パン型強制練りミキサーを使用して材料の混錬を実施した。なお、セメントは太平洋セメント社、住友大阪セメント社、および宇部三菱セメント社製普通ポルトランドセメント(比重3.16)を均等に混合して使用した。この際、細骨材には掛川産陸砂および君津産陸砂、粗骨材には青梅硬質砂岩をそれぞれ使用した。また、市販の空気量調整剤(AE剤およびオキシアルキレン系消泡剤)を使用してコンクリートのフロー値=28±2cm、空気量=4.5±1.5%となるように調整した。
<コンクリート配合割合>
単位セメント量:350kg/m
単位水量 :175kg/m
単位細骨材量 :841kg/m
単位粗骨材量 :905kg/m
(水セメント比(W/C):50.0%、細骨材率(s/a):49.0%)
≪材料の練り混ぜ≫
粗骨材および使用する半量の細骨材をミキサーに投入し5秒間空練り後、回転を止めセメントおよび残りの細骨材を投入し、さらに5秒間空練りを行った後再び回転を止めて、分岐化合物(A)、重合体(B)、AE剤(C)および消泡剤(D)を含む水を加え、90秒間混錬した後、ミキサーからコンクリートを取り出した。
≪評価≫
取り出したコンクリート(フレッシュコンクリート)について、コンクリート物性の評価を行った。使用した配合物を表1に示し、評価結果を表2に示した。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
表2には、フレッシュコンクリートの空気量および気泡間隔係数の測定結果を示している。この値が小さいほどコンクリート中に連行された気泡が細かく密に分散している(良質の気泡をコンクリート中に連行している)ことを示し、耐凍結融解性に優れていると考えられる。
【0078】
いずれの組合せにおいてもコンクリート中に一定量の空気を連行させることはできるが、使用する分岐化合物(A)の種類およびAE剤(C)/消泡剤(D)の配合比率により、気泡間隔係数にバラツキが見られた。比較例1に示すようにAE剤のみで空気量調整を実施した場合や、比較例2に示すように分子内に1本のポリオキシアルキレン鎖しか持たないSRA−1を用いた場合には、気泡間隔係数は大きいことから、コンクリート中に連行された気泡の質は良くないと言える。
【0079】
一方、実施例1〜4に示すようにポリオキシアルキレン鎖を分子内に3本以上含む分岐構造を有する分岐化合物(A)、AE剤(C)および消泡剤(D)を使用することにより、空気量を保ち、かつ気泡間隔係数の小さい、良質の空気をコンクリート中に連行できることから、耐凍結融解性についても改良されていると言える。
【0080】
〔実施例5〜8、比較例3〜5〕
表3に示した配合で、実施例1〜4および比較例1〜2で行ったのと同様の方法で、フレッシュコンクリート(空気量=5.0±0.5%)を調製し、気泡間隔係数、耐久性指数を測定した。結果を表3に示した。
【0081】
【表3】

【0082】
実施例5〜8に示すように、ポリオキシアルキレン鎖を分子内に3本以上含む分岐構造を有する分岐化合物(A)、AE剤(C)および消泡剤(D)を適量配合することにより、コンクリート中に良質の気泡が連行され、耐凍結融解性が改良されていることが判る。
【0083】
一方、比較例3、5に示すように、AE剤(C)および消泡剤(D)の配合比率(C)/(D)が適切でない場合、良好な耐凍結融解性が得られないことが判る。さらに、AE剤(C)および消泡剤(D)の配合比率(C)/(D)が適切な比率であっても、比較例4に示すように、ポリオキシアルキレン鎖を分子内に1本しか持たないSRA−1を用いた場合、耐久性指数は低くなり、耐凍結融解性が低下していることが判る。
【0084】
〔実施例9〜14、比較例6〕
≪コンクリート配合≫
以下に示すコンクリート配合割合により、練り混ぜ量が30Lとなるようにそれぞれの材料を計量し、強制2軸練りミキサーを使用して材料の混錬を実施した。なお、セメントは太平洋セメント社、住友大阪セメント社、および宇部三菱セメント社製普通ポルトランドセメント(比重3.16)を均等に混合して使用した。この際、細骨材には掛川産陸砂および君津産陸砂、粗骨材には青梅硬質砂岩をそれぞれ使用した。また、高性能AE減水剤、空気量調整剤(AE剤および消泡剤)を使用してコンクリートのスランプ値=8±1cm、空気量=5±1%となるように調整した。
<コンクリート配合割合>
単位セメント量:301kg/m
単位水量 :160kg/m
単位細骨材量 :824kg/m
単位粗骨材量 :1002kg/m
(水セメント比(W/C):53.1%、細骨材率(s/a):46.0%)
≪材料の練り混ぜ≫
粗骨材および使用する半量の細骨材をミキサーに投入し5秒間空練り後、回転を止めセメントおよび残りの細骨材を投入し、さらに5秒間空練りを行った後再び回転を止めて、収縮低減剤、空気量調整剤および高性能AE減水剤を含む水を加え、90秒間混錬した後、ミキサーからコンクリートを取り出した。
≪評価≫
取り出したコンクリート(フレッシュコンクリート)について、耐久性指数、収縮低減性能を測定した。使用した配合物を表4に示し、評価結果を表5に示した。
【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
実施例9〜14に示すように、ポリオキシアルキレン鎖を分子内に3本以上含む分岐構造を有する収縮低減剤(A成分)、AE剤(C成分)、および消泡剤(D成分)を適量配合することにより、コンクリート中に適量の良質な気泡が連行され、耐凍結融解性が改良されていることが判る。
【0088】
一方、比較例6に示すように、AE剤(C成分)および消泡剤(D成分)の配合比率(C成分)/(D成分)が適切な比率でない場合、コンクリートの空気量調整が困難であり、結果として、コンクリート中に連行される気泡の質および耐凍結融解性が低下していることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、他の混和材料との組合せを必要とせず、安価で、硬化物の強度低下を抑制し、優れた収縮低減機能を有する、汎用性の高い収縮低減剤組成物を提供することができる。さらには、コンクリート硬化体の乾燥収縮を低減しひび割れ発生を抑制し、耐凍結融解性を付与することによりコンクリート硬化体の耐久性を向上させることができるので、これらは、セメント添加剤やコンクリート混和剤として有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシアルキレン鎖を分子内に3本以上含む分岐構造を有する分岐化合物(A)を主成分とし、AE剤(C)および消泡剤(D)を含有する、コンクリート用収縮低減剤組成物であって、
AE剤(C)と消泡剤(D)を、固形分換算で、(C)/(D)=90/10〜20/80の重量比で含む、
コンクリート用収縮低減剤組成物。
【請求項2】
前記分岐化合物(A)は、トリメチロールアルカンのアルキレンオキシド付加物、ペンタトリオールのアルキレンオキシド付加物、およびソルビトールのアルキレンオキシド付加物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のコンクリート用収縮低減剤組成物。
【請求項3】
前記分岐化合物(A)は、該分岐化合物(A)中の水酸基1モルに対してエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドが5〜150モル付加している、請求項1または2に記載のコンクリート用収縮低減剤組成物。
【請求項4】
ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体(B)を含む、請求項1から3までのいずれかに記載のコンクリート用収縮低減剤組成物。
【請求項5】
前記分岐化合物(A)、前記AE剤(C)、および前記消泡剤(D)の合計と、前記重合体(B)の重量比が、固形分換算で、((A)+(C)+(D))/(B)=99.9/0.1〜50/50である、請求項4に記載のコンクリート用収縮低減剤組成物。
【請求項6】
前記重合体(B)が、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン基を有する単量体(I)と、一般式(2−1)〜(2−3)で表される単量体の中から選ばれる少なくとも1種の単量体(II)とを共重合して得られる共重合体である、請求項4または5に記載のコンクリート用収縮低減剤組成物。
【化1】

(式中、R、Rはそれぞれ水素原子またはメチル基を表す。Rは水素原子または−(CH(CO)O(AO)Xを表す。mは0〜2の数を表す。pは0または1の数を表す。AOは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基AOの平均付加モル数を表し2〜300である。Xは水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基を表す。)
【化2】

(式中、R、RおよびRは同一でも異なっていても良く、水素原子、メチル基、または−(CHCOOMである。−(CHCOOMは、COOMまたは他の−(CHCOOMと無水物を形成していても良く、その場合、それらの基のM、Mは存在しない。M、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、または置換アルキルアンモニウム基を表す。rは0〜2の数を表す。)
【化3】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Zは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、または置換アルキルアンモニウム基を表す。)
【化4】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rは炭素数2〜12のアルキレン基を表す。sは1〜30の数を表す。M、Mはそれぞれ水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、または置換アルキルアンモニウム基を表す。)


【公開番号】特開2010−53025(P2010−53025A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175022(P2009−175022)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】