説明

コンクリート用補強材とマーカーとのアッセンブリ

本発明は、コンクリート用繊維(12)と、「ここに存在している」情報をもたらすことができるRFIDマーカー(10)または任意の他の種類のマーカーと、のアッセンブリ、およびRFIDマーカーを有する補強または任意の他の目的のための繊維を含むコンクリートまたはコンクリート構造体(22)に関する。また、本発明は、RFIDマーカーを用いて、繊維コンクリートを製造するための繊維の種類および量を決定する方法、および繊維コンクリート内の繊維の種類、内容物、および/または分布を決定する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維コンクリートを製造するための繊維の量を決定する方法および繊維コンクリート内の繊維の含量および/または分布を決定する方法に関する。また、本発明は、コンクリート用繊維のアッセンブリおよび補強用繊維を含むコンクリート構造体にも関する。
【背景技術】
【0002】
繊維コンクリート、すなわち、補強繊維によって補強されたコンクリートの製造にとって、適正な量の補強繊維をモルタルまたはコンクリートの成分の混合物に供給または投入することは、極めて重要である。また、いったんコンクリート内に取り込まれると、繊維は、適正な補強および品質を確実にするために、均一な分布を有している必要がある。
【0003】
特許文献1〜9および多くの他の特許文献に記載されているような多くの解決策が、既に提案されている。
【0004】
正確な量および種類の繊維をコンクリート内に供給し、コンクリート内の繊維の分布の均一性を改良する多くの解決策が存在しているにも関わらず、コンクリート内への繊維の投入およびコンクリート内の繊維の分布をさらに改良することが、今もなお必要とされている。
【0005】
現状の他の欠点は、繊維がコンクリート内に入れられた時点において、そのコンクリートが生かまたは硬化されているかに関わらず、繊維補強コンクリートの品質、すなわち、用いられている繊維の正しい種類および量のみならず、特にコンクリート内の繊維の実際の分布を制御することが困難である点にある。適正な量の補強繊維がコンクリート内に投与され、かつ均一に分布されていることを確認するために、ウォッシュアウト試験が現場で行われている。これは、時間を浪費し、特別の機器を必要とし、かつ結果が送られてくるのが遅過ぎるおそれがある。
【0006】
非破壊磁場試験装置もあるが、この試験装置は、コンクリートを型内に注入する必要がある。硬化したコンクリート構造体の場合、この試験装置では、構造体の芯に孔を開けることがさらに必要である。しかも、これらの試験は、鋼繊維に制限されており、かつ連続的な測定を行うことができない。ポリプロピレン繊維のような非鋼繊維は、コンクリート構造体および他の構造体用の補強材としてますます広く用いられている。鋼補強コンクリートおよび非鋼補強コンクリートの適正な種類、量、および分布を、そのコンクリート構造体が長い年月を経ている場合であっても、チェックする管理機構が早急に必要とされている。
【0007】
特許文献10は、コンクリート部材に関する情報をもたらす無線ICタグであって、これによって、前記情報が失われることがなくなり、またコンクリート部材の外観および作業性が損なわれることもない、無線ICタグの使用を開示している。タグは、長年月の間に劣化する可能性があり、また誤作動を生じる可能性もあるので、2つ以上のタグがコンクリート部材内に埋設されている。これらのタグは、コンクリート内に配置される鋼ロッドに固着されていてもよいとされている。しかし、前記タグは、コンクリート部材自体に関する情報をもたらすことのみを目的として、用いられている。情報は、タグに予め記憶されている。これは、配合比および/または混合比が、タグに情報として記憶されているが、コンクリート内の実際の配合比および/または混合比についてのいかなる保証または検証をもたらすものでもないことを意味している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第522029号明細書(国際出願公開第91/14551号パンフレット)
【特許文献2】欧州特許出願公開第499572号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第499573号明細書
【特許文献4】独国実用新案第29714704号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第3412216号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第4427156号明細書
【特許文献7】仏国特許出願公開第2672045号明細書
【特許文献8】米国特許第4,284,667号明細書
【特許文献9】米国特許第6,945,686号明細書
【特許文献10】特開2005−330729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の特定の目的は、混合後および/または硬化後の繊維補強コンクリートに関する情報をもたらすことにある。
【0010】
本発明は、前述の欠点を回避することを意図している。
【0011】
本発明の目的は、繊維補強コンクリートおよび繊維補強コンクリート構造体に情報能力をもたらすことにある。
【0012】
また、本発明の目的は、繊維をコンクリート内に投入する簡単な方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、コンクリート補強材の内容物および品質、例えば、繊維の量、由来、分布、濃度、および/または種類を決定する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、コンクリート用の補強材と1つまたは複数のマーカー、例えば、RFIDマーカーとのアッセンブリに関している。マーカーは、少なくとも「ここに存在している(I am here)」情報を含む。本発明の全般的な文脈において、適切なマーカーは、少なくとも「ここに存在している」情報を有するマーカーである。
【0015】
さらに、本発明は、繊維および1つまたは複数のRFIDマーカーを含むコンクリートまたはコンクリート構造体に関している。
【0016】
また、本発明は、コンクリート用繊維の量を決定する方法において、a)繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーまたは任意の他の適切なマーカーとのアッセンブリを設けるステップであって、RFIDマーカーの量が繊維の量を表している、例えば、繊維の量に比例している、ステップと、b)前記RFIDマーカーを読み取るリーダー装置を設けるステップと、c)RFIDマーカーの量を計数するステップと、d)逆比例配分し、前記繊維の量を決定するステップとを含む方法に関する。
【0017】
また、本発明は、コンクリートまたはコンクリート構造体内の繊維の量を決定する方法において、a)繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体を設けるステップであって、前記RFIDマーカーが前記繊維の量を表している、例えば、前記繊維の量に比例している、ステップと、b)前記コンクリート構造体内のRFIDマーカーを読み取るリーダー装置を設けるステップと、c)RFIDマーカーの量を計数するステップと、d)前記量を逆比例配分し、前記繊維の量を決定するステップとを含む方法に関する。
【0018】
さらに、本発明は、コンクリートまたはコンクリート構造体内の繊維の分布を決定する方法において、a)繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体を設けるステップであって、前記RFIDマーカーの量が前記繊維の量に比例している、ステップと、b)前記コンクリート構造体内のRFIDマーカーを読み取るリーダー装置を設けるステップと、c)RFIDマーカーの分布を決定するステップと、d)前記分布を逆比例配分し、繊維の分布を決定するステップとを含む方法に関する。
【0019】
さらにまた、本発明は、コンクリートまたはコンクリート構造体内の繊維を識別する方法において、a)繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体を設けるステップであって、前記RFIDマーカーが前記繊維に関する情報を保持している、ステップと、b)前記コンクリート構造体内の前記RFIDマーカーの1つまたは複数の情報を読み取るリーダー装置を設けるステップと、c)前記情報に基づいて、前記繊維を識別するステップとを含む方法に関する。
【0020】
また、RFIDマーカーは、繊維の履歴、すなわち、繊維がいつ、どこで製造されたかに関する情報を保持していてもよく、これによって、品質管理を自動化することができ、かつ苦情を遡って突き止めることができる。
【0021】
本発明に用いられるマーカーは、コンクリート部材自体に関する情報のみならず、特に補強繊維に関する情報およびコンクリート内の前記繊維の位置/分布に関する情報も含む。前記情報は、外在的情報(例えば、繊維の種類)であってもよいし、または内在的情報(繊維およびマーカーが量に関して互いに関連していることを前提として、マーカーの分布または位置によって決定されるコンクリート内の繊維の分布または位置)であってもよい。
【0022】
特開2005−330729号公報におけるような先行技術のシステムでは、本発明と違って、配合比および/または混合比は、タグに情報として記憶されている。一方、本発明では、RFIDマーカーは、コンクリート混合物内に分布しているので、マーカーの存在/位置/分布は、コンクリート内の繊維の存在/位置/分布の実際の評価尺度になる。RFIDマーカーの単純な「ここに存在している」情報でも、前記マーカーの位置/分布を見つけるのに十分である。もしマーカーが補強繊維と同じようにコンクリート内に分散しているなら、マーカーは、補強コンクリート内の繊維の分布の評価尺度になる。
【0023】
先行技術システムのタグは、コンクリート部材内に制御された分布形態で分散されていないので、前述の目的を果たせないことになる。
【0024】
補強コンクリート内の繊維は、適正な補強品質を確実にするために、均一な分布を有している必要がある。本発明のRFIDマーカーの効果は、混合物の品質を実時間で、例えば、注入しながらチェックすることができ、また非破壊的に、すなわち、コンクリートが打設された後に、チェックすることができることにある。これは、コンクリート内のRFIDマーカーの情報自体ではなく、該マーカーの好ましい均一な分布をチェックすることによって、達成されるものである。これによって、不良コンクリート部材を即座に識別し、除去し、再び打設することができる。最も簡単な場合、RFIDマーカーは、例えば、「ここに存在している」を意味する「1」の情報しか含んでいない。本RFIDマーカーは、先行技術システムにおけるようなコンクリートのみに関する情報ではなく、繊維に関する情報を含む。
【0025】
「コンクリート構造体」という用語は、コンクリート構造体自体に関連しているが、最終場所(現場)で打設されていないコンクリート、すなわち、中間場所(プレキャストプラント)で成型されたコンクリートにも関連している。一例を挙げると、コンクリート構造体は、トラック内のコンクリート混合物でもある。これは、コンクリートが製造された後であるが、そのコンクリートから構造体が作製される前の状態である。従って、コンクリート構造体という用語は、硬化されていないコンクリートも含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】繊維と同じL/D比を有するRFIDマーカーの例を示す図である。
【図2】図2bに示されている互いに接着された繊維と同じL/D比を有するRFIDマーカーの他の例を示す図である。
【図3】繊維の量を決定するための本発明による方法の実施形態を示す図である。
【図4】本発明によるアッセンブリを含むコンクリート構造体内の繊維の内容物および/または分布を決定するための本発明による方法の実施形態を示す図である。
【図5】本発明によるアッセンブリを含むチェーンパッケージの例を示す図である。
【図6】リーダー装置がコンクリート内のRFIDマーカーおよび繊維の内容物を検出している、トラックからのコンクリートの荷降ろしを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の目的は、コンクリート用補強材と1つまたは複数のマーカーとのアッセンブリを提供することにある。マーカーは、前記コンクリート内に前記繊維と共に分布または分散されていてもよく、これによって、前記マーカーの存在が、前記コンクリート内の前記繊維の量および/または分布を決定することができる。一実施形態では、繊維は、補強特性、例えば、繊維補強コンクリート内のコンクリート補強のための補強特性を有している。
【0028】
また、本発明は、コンクリートの他の特性、例えば、コンクリートの材齢初期の収縮、耐火性、および耐衝撃性を改良する繊維にも適しているが、これらには限定されない。さらに、本発明は、任意の構造体の特性を改良する鋼または非鋼繊維または他の要素にも適している。
【0029】
本発明の繊維は、鋼、非鋼、またはそれらの組合せから作製される任意の繊維であってもよい。この例として、典型的には、鋼、ポリマー、炭素、PVA、ガラスなどから作製される繊維が挙げられる。
【0030】
一例を挙げると、前記繊維は、本出願人によって製造され、かつ販売されているコンクリート補強用のDRAMIX(登録商標)繊維とすることができる。本出願人による米国特許第6,945,986号明細書は、コンクリート用繊維のアッセンブリを開示している。
【0031】
コンクリート補強用の鋼繊維は、典型的には、3mmから60mmの範囲内の長さ、一般的に0.08mmから1.20mmの範囲内の厚み、800MPaよりも大きい、例えば、1200MPaよりも大きい、例えば、2000MPaよりも大きい引っ張り強度を有する。好ましくは、鋼繊維には、繊維をコンクリート内に機械的に係留させるための係留部が設けられている。長さ/厚み比は、典型的には、40から200の範囲内にある。コンクリート内の繊維の濃度は、10kg/mから80kg/mの範囲内にあってよく、特定の用途または超高性能コンクリートのようなコンクリートの場合は、さらに高い量であってもよい。
【0032】
鋼繊維の「厚み」という用語は、係留部のない真っ直ぐな鋼繊維の最少断面寸法を指している。
【0033】
「係留」という用語は、均一な横断面を有する真っ直ぐな鋼繊維の任意のずれに関連する用語であり、このずれが、コンクリート内の鋼繊維の係留を改良するのを助長することになる。繊維は、波状であってもよいし、または鉤状の端および/または変形した端を有していてもよい。
【0034】
鋼繊維には、真鍮または亜鉛のような金属皮膜、ポリアミドのような有機被膜、無機被膜、または金属皮膜とその上に施されるポリマー被膜との組合せが、設けられてもよいし、または設けられなくてもよい。
【0035】
鋼繊維以外に、非鋼繊維が、単独でまたは鋼繊維と組み合わせて、コンクリート内に用いられてもよい。これらの繊維の例として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、合成ポリマー(例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、またはポリスルホン)が挙げられる。例えば、合成ポリマー繊維は、国際出願公開第94/25702号パンフレットに開示されているように、互いに束ねられ、分散性のあるシュリンクラップ材料によって包み込まれてもよい。本発明は、構造体内の非鋼繊維の分布を検証するに、特に適している。
【0036】
繊維は、素地、例えば、コンクリート、モルタル、漆喰、またはアスファルト内に用いられるとよい。繊維は、例えば、補強または防火の理由から、コンクリート、モルタル、漆喰、またはアスファルトに混合されている。前述のように、繊維が構造体内に既知の内容または比率で均一に分布されることは、一般的な要求事項である。
【0037】
本発明による繊維は、円形繊維または三角繊維、ジグザグ状繊維、メッシュ状繊維、または繊維クラスター、またはコンクリートまたはコンクリート構造内の補強材として用いられるのに適している任意の他の形状の繊維のように、任意の形状または任意のL/D比を備えていてもよい。
【0038】
他の実施形態では、コンクリート補強用アッセンブリは、繊維以外の補強構造体、例えば、鋼バー/メッシュ、プレストレスケーブルまたはポストテンションケーブルを備えていてもよい。この場合、本発明によるRFIDマーカーは、コンクリート内の位置の近似またはまさにその存在のいずれかによる最も簡単な「ここに存在している」情報を意味する前記補強材の存在を検出するに用いられてもよいし、またはコンクリート構造内のこのような補強材の量または分布を検出するのに、用いられてもよい。このような適用は、例えば、補強コンクリートがさらに処理される必要がある場合および鋼補強材によって妨げられたくない場合に有用である。コンクリート構造体内の鋼補強材の位置を見つけ出すことは、あらゆる種類の用途において極めて有用である。1つまたは複数のRFIDマーカーは、例えば、コンクリート構造内の鋼ロッドの正確な位置を決定するために、鋼ロッドに沿って配置されてもよい。
【0039】
RFIDマーカーは、欧州特許第0719366B1号明細書および欧州特許第1528176B1号明細書に記載されているように、水平方向目地または垂直方向目地を補強するためのグリッド状補強帯片または補強クリップと組合せて、用いられてもよい。
【0040】
マーカーは、好ましくは、RFIDマーカーである。
【0041】
RFID、すなわち、無線自動識別(Radio−Frequency IDentification)は、RFIDマーカー、タグ、またはトランスポンダと呼ばれる装置を用いて、データを記憶し、かつ該データを遠隔的に検索することに依存する自動識別方法である。
【0042】
自動識別およびデータ取得技術(Automatic identification and Data Capture:AIDC)は、自動的に、すなわち、人が関与することなく、対象物を認識し、対象物のデータを収集し、そのデータをコンピュータに直接入力する方法を指している。一般的にAIDCの一部と見なされている技術として、バーコードが挙げられる。AIDCは、一般的に、「自動識別」、「自動ID」、および「自動データ取得」とも呼ばれている。RFIDは、自動化されたデータ収集、識別、および解析システムにおいて、世界的な標準になってきている。
【0043】
RFIDは、物流管理、標識化、保安、および生産管理のような領域において確立した技術になってきている。第1の用途は、建設業界に見られる。ここでは、この技術は、納品書を、コンクリート内に混在させるRFIDマーカーに代替するために用いられている。
【0044】
「RFIDマーカー」という用語は、前述したRFID技術によって、(所定の)受信信号に応じて(所定の)メッセージを送信する自動装置である任意のRFIDタグ、トランスポンダ、または任意の形式の他のマーカーをも意味している。また、本発明によるRFIDマーカーは、任意の受信機によっても取得される連続的な信号を送信するようになっていてもよい。
【0045】
「RFIDマーカー」という用語は、マーカーの存在(I am here)または位置を検出することを可能とする信号を少なくとも送信する能力を有する任意の他の適切なマーカーとしても幅広く理解されるべきである。これは、「1/0」情報または「オン/オフ」情報と呼ばれることもある。この用語は、例えば、コンクリート構造体内に組み入れられ、かつ前記コンクリート構造体の外部から十分な読取り範囲で検出され得る無線識別マーカー、ワイヤレスチップ、磁気材料、または任意の種類の極めて小さい装置をも含む。「RFIDマーカー」という用語は、前記マーカー、例えば、識別を可能とするRFIDマーカーと、量および分布の決定を可能とする軟磁性ワイヤとの組合せも意味している。
【0046】
タグは、典型的には、繊維または他の基板に接着されるかまたは固定されることになるが、これは、マーカーにとって必ずしも必要なものではない。
【0047】
RFIDマーカーは、電磁波によって読み取り可能な任意の種類の情報も含むことができる。
【0048】
RFIDマーカーは、電波を用いて識別することを目的として、物品に貼り付けられてもよいし、または物品内に組み入れられてもよい。
【0049】
受動的RFIDマーカーは、能動的RFIDマーカーよりも安価であり、保守を必要としない。内蔵電源がないので、RFIDマーカーは、著しく小型化されうる。従って、本発明の方法に極めて適している。
【0050】
RFIDマーカーチップは、不揮発性の保存可能なデータを含む。マーカーは、周波数および環境にもよるが、数メートル離れて、リーダーの見通し線を越えて読み取られうる。
【0051】
しかし、RFID技術に用いられる周波数に関して、いまだに世界標準規格が存在していない。従って、本発明の方法には、使用される国によって異なる種類のRFIDマーカーを用いることが必要である。
【0052】
RFIDマーカーは、あらゆる要求を同じように受け入れる無規制なものであってもよいし、または典型的なパスワード管理の認証と制限および安全キー分布の発行を必要とするセキュリィ保護されたものであってもよい。同様に、マーカーは、特定のリーダー指令に応じて作動されるようになっていてもよいし、または作動されないようになっていてもよい。
【0053】
RFIDマーカーに記憶されている情報は、種々の方法、すなわち、リードオンリー、ライトワンスリードメニー、およびリードライトによって、構築することができる。また、マーカーは、検知装置と組み合わされたときに多数の環境条件を監視し、測定し、かつ記録することができる能力も有しているとよい。
【0054】
検索されたデータは、実時間で解釈されてもよいし、またはコンピュータ装置に保存されてもよい。検索されたデータ(例えば、データID)は、インターネットまたは専門的なデータベースを介して検索されることになるさらに他の情報にリンクされてもよい。
【0055】
一実施形態では、RFIDマーカーは、例えば、「ここに存在している」信号を送信することによって、マーカー自体の検出を可能とする基本的な情報を保持している。この場合、チップレスRFID、またはRFID以外の他のマーカー、例えば、それらの存在を検出することを可能とする特別の磁気特性または任意の他の特性を有する材料が、用いられてもよい。他の実施形態では、RFIDマーカーは、繊維に関連する他の情報を有していてもよいし、または有していなくてもよい。
【0056】
本発明の目的は、コンクリート用繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリであって、前記RFIDマーカーが前記繊維に関する情報を保持している、アッセンブリを提供することにある。
【0057】
使用によって、アッセンブリは、1つまたは複数のRFIDマーカーを有していてもよい。例えば、アッセンブリ自体を検出するためには、またはアッセンブリ内のある種類の情報を識別するためには、1つのマーカーで十分である。しかし、例えば、繊維の量または分布を検出するためには、2つ以上のマーカーまたは他の種類のマーカーが必要である。
【0058】
RFIDマーカーは、典型的には、高周波数(例えば、13.56MHz)および超高周波(例えば、856〜960MHz)で機能するようになっている。他のタグまたは他のマーカーとして、低周波数(例えば、132KHz)を用いて、極めて広い読取範囲、例えば、100フィート×100フィートの読取範囲を有するものであってもよい。他の適切なマーカーとして、磁性材料、特別の磁気特性(例えば、軟磁性)を有する物質、化学処理された基板、などが挙げられる。
【0059】
コンクリートまたはコンクリート構造体に加えられる本発明のアッセンブリ内のRFIDマーカーは、コンクリートに関連する任意の種類の情報、特に補強繊維に関連する情報を記憶することもできる。その情報の例として、制限されないが、製品識別、長さL、直径D、L/D、由来、および種類が挙げられる。
【0060】
本発明のアッセンブリ内のRFIDマーカーは、RFIDマーカーのアッセンブリに関する「チェックサム」情報またはメタデータを記憶することもできる。これによって、コンクリート内にあるべき全てのマーカーが実際に通過されたかどうかを検証することができる。マーカーについての情報は、別の「チェックサム」マーカーまたはネットワーク内に記憶されるようになっていてもよい。メタデータは、消失または損傷する可能性のあるRFIDマーカーについての情報をもたらすものである。
【0061】
本発明のRFIDマーカーは、補強繊維に関連しない任意の種類の情報、例えば、コンクリート構造体の全体に関連する情報、または構造体の任意の他の態様、例えば、物流管理または製造に関連する情報、または任意の他の種類の情報も記憶することができる。
【0062】
さらに、本発明によるRFIDマーカーは、同一の情報を有していてもよいし、または異なる情報を有していてもよい。本発明によるアッセンブリは、例えば、同一の情報を有するいくつかのRFIDマーカー、および異なる情報を有する1つまたは複数のマーカーを備えていてもよい。
【0063】
RFIDマーカーは、同一のマーカーに1つまたは複数の種類の情報を記憶していてもよい。
【0064】
本発明は、「オン/オフ」情報のみを有する最も簡単で最も安価なRFIDマーカーを用いることができる。補強コンクリートに関する情報をもたらすものは、前記マーカーの位置/分布であり、これは、補強繊維(の分布)に関連している。この単純な機能をもたらすために、RFIDマーカー以外の任意の他の種類のマーカーが用いられてもよい。
【0065】
一実施形態では、本発明のアッセンブリは、繊維と同じL/D比を有するRFIDマーカーを備える。従って、RFIDマーカーの分布は、繊維の分布に対する良好な評価尺度になる。何故なら、マーカーは、繊維と同じようにコンクリート内に分散しているからである。他の実施形態では、本発明のアッセンブリは、繊維とは異なる形状のRFIDマーカーを備えている。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、RFIDマーカーは、繊維または繊維の集合と同一または同様の長さ/直径(L/D)比を有している。許容できる相似比は、10〜20%以内である。この理由については、以下に説明する。繊維のL/Dは、コンクリート内の繊維の分布に影響を与える重要なパラメータであることは、当技術分野において知られている。RFIDマーカーが繊維と同じL/D比を有していることによって、RFIDマーカーは、コンクリート内において繊維と同じように分散され、これによって、コンクリート内のRFIDマーカーの位置を決定することによって、コンクリート内の繊維の位置に関する情報が得られることになる。
【0067】
本発明の一実施形態では、予め定められた量および種類の補強繊維は、予め定められた量および種類の1つまたは複数のRFIDマーカーをさらに備えている。これによって、RFIDマーカーの量および/または種類は、繊維の量および/または種類の指標として機能することになる。本発明の一実施形態では、1つまたは複数の前記RFIDマーカーの量は、前記繊維の量に比例している。
【0068】
RFIDマーカーは、繊維とマーカーとのアッセンブリまたはパッケージに関連する任意の種類の情報も記憶することができる。典型的には、1つのRFIDマーカーが繊維のパッケージを識別し、所定量のRFIDマーカーが所定の量または種類の繊維を識別するようにすることができる。
【0069】
アッセンブリ内のRFIDマーカーは、1つまたは複数の繊維に固定または付着されてもよいし、または繊維から分離してアッセンブリに加えられてもよい。RFIDマーカーは、パッケージ内において互いにグループ化され、そのグループ化された状態でアッセンブリに加えられてもよい。
【0070】
一実施形態では、アッセンブリは、コンクリート混合物内に入れられたとき、初めてアッセンブリになるようにすることも可能である。すなわち、繊維とRFIDマーカーとの「理にかなった」アッセンブリが得られる限り、繊維が最初に添加され、その最中またはその後に、適切なRFIDマーカーが添加されてもよい。
【0071】
マーカー、特にタグは、繊維上に直接プリントされてもよいし、アッセンブリ上に同じようにプリントされてもよい。
【0072】
アッセンブリは、同一の繊維を備えていてもよいし、または異なる種類の繊維を備えていてもよい。アッセンブリは、同一のRFIDマーカーを備えていてもよいし、または異なる種類のマーカーを備えていてもよい。一例を挙げると、アッセンブリ内の異なる種類の繊維を識別するために、異なるRFIDマーカーが加えられてもよい。
【0073】
RFIDマーカーは、繊維内に、重量によって、例えば、1kgの繊維当たりに1つ、または2つ、または3つ以上のマーカーの比率で、分布されていてもよい。
【0074】
繊維およびマーカーの他の例について、以下に説明する。
【0075】
一例では、繊維ごとにまたは繊維の種類ごとに、該繊維を識別するRFIDマーカーを含んでなる。
【0076】
他の例では、繊維のサブパッケージごとに、該サブパッケージを識別する1つまたは複数のRFIDマーカーを含んでなる。サブパッケージは、本出願人による米国特許第4、284,667号明細書に記載されているように、互いに接着された一組の繊維とすることができる。また、RFIDマーカーは、サブパッケージ内に接着されてもよいし、またはサブパッケージ上にプリントされてもよい。
【0077】
他の例では、サブパッケージは、本出願人による米国特許第6,945,686号明細書に記載されているように、繊維のチェーンパッケージ内の単一の袋とすることができる。
【0078】
さらに他の実施形態では、1つまたは複数のRFIDマーカーは、同一の袋内に繊維と一緒に包まれていてもよいし、チェーンパッケージ内において規則的な間隔で離間した異なる袋内に包まれていてもよい。従って、RFIDマーカーは、間隔を隔てた先のパッケージまたは後のパッケージ内の繊維を識別することになる。
【0079】
廃棄可能な繊維包装材料の場合、RFIDマーカーは、この廃棄可能な包装材料に付着されてもよいし、またはプリントされてもよい。
【0080】
1つまたは複数のRFIDマーカーをいかに1つまたは複数の繊維と関連させてアッセンブリを形成するかについて、多数の例があることは、当業者には明らかである。
【0081】
RFIDマーカーまたはタグは、本発明の方法に適しているマーカーの単なる一例にすぎない。他の例では、同じ目的のために、RFIDマーカーに代わって、トランスポンダが用いられてもよい。他の例として、検出装置に対して、「ここに存在している」情報または「ここに存在しており、それ自体を識別している(I am here and I know who I am)」情報をもたらすのに適している任意の種類のマーカーが挙げられる。
【0082】
本発明のRFIDマーカーは、種々の形状を有することができる。
【0083】
本発明のRFIDトランスポンダは、多くの異なる方法によって、RFIDマーカー内に組み入れられてもよい。一例を挙げると、トランスポンダを基板に取り付けることによって、タグを形成することができる。他の例では、トランスポンダを接着層と紙ラベルとの間に挟み込むことによって、プリント可能なRFIDラベルまたはスマートラベルを形成することができる。トランスポンダは、熱条件、冷条件、または過酷な条件に耐えるために、プラスチックカードまたは特殊パッケージ内に埋設されてもよい。
【0084】
本発明の方法の目的のために、RFIDマーカーは、コンクリート環境に耐え抜くのに適しているべきである。本発明によるRFIDマーカーは、好ましくは、アルカリ環境に耐えることができ、かつ混合中、ポンプ作動中、および打込み中の高機械衝撃に耐えることができるものである。
【0085】
本発明のアッセンブリは、繊維およびRFIDマーカーを一緒に保持するために、バッグ、箱、チェーンパッケージ、ラップ、接着剤、または任意の他の手段により、まとめられていてもよい。
【0086】
典型的には、アッセンブリは、1100kgの鋼繊維の大型バッグまたは大型箱内に包まれていてもよい。
【0087】
他のパッケージとして、20kgの水溶性または非水溶性の中型バッグが挙げられる。
【0088】
100gから2kgまでの小型バッグが用いられてもよい。これらの小型バッグは、別々になっていてもよいし、チェーンパッケージを形成してもよい。
【0089】
RFIDマーカーおよびリーダーは、種々の周波数で利用可能である。本発明のRFIDマーカーは、環境および用途によって、低周波数、高周波数、超高周波数、マイクロ波、または他の周波数を用いることができる。
【0090】
本発明によるアッセンブリは、同じ周波数または異なる周波数を有するRFIDマーカーを備えていてもよい。
【0091】
本発明の方法における実際の読取距離は、選択された無線周波数およびアンテナ設計またはアンテナ寸法に依存して、約数cmから数mの範囲内にある。
【0092】
また、本発明の目的は、前述の繊維または分散コンクリート補強材と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体を提供することにある。
【0093】
一例を挙げると、コンクリート内の鋼繊維濃度は、10kg/m以上の範囲内にある。
【0094】
本発明の他の目的は、繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリをコンクリート構造体内に取り入れるかまたは混合させることによって、前記コンクリート構造体を製造する方法を提供することにある。
【0095】
「コンクリートまたはコンクリート構造体」という用語は、コンクリートの任意の状態、例えば、制限されないが、乾燥組成物または組成物の一部、生コンクリート、プレミックスコンクリート、プレキャストコンクリート、打設されたコンクリート、硬化したコンクリート、破断したコンクリート、損傷したコンクリート、破裂したコンクリート、地震に見舞われたコンクリート、または任意の状態または条件下におけるコンクリートの任意の破片を意味している。これらは、例えば、建設現場、工場、流通センタまたは製造拠点、混合トラック、コンクリート建造物、道路、または橋において、見られるものである。
【0096】
本発明の主目的は、コンクリート用繊維の量を決定する方法において、a)前述のアッセンブリを設けるステップであって、RFIDマーカーの量が繊維の量に比例している、ステップと、b)前記RFIDマーカーを読み取るリーダー装置を設けるステップと、c)RFIDの量を計数するステップと、d)前記量を逆比例配分し、繊維の量を決定するステップとを含む方法を提供することにある。
【0097】
本発明の他の目的は、コンクリート用繊維の品質または内容物を決定する方法において、a)前述のアッセンブリを設けるステップであって、RFIDマーカーが繊維に関する情報を保持している、ステップと、b)前記RFIDマーカーの情報を読み取るリーダー装置を設けるステップと、c)内容および/または品質に関するRFIDマーカーの情報を解釈するステップとを含む方法を提供することにある。
【0098】
本発明の方法は、繊維コンクリートを製造するのに必要な正確な量(数量)および内容(品質)の繊維を投入する自動化された方法を記載する。
【0099】
特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、コンクリートトラックからの荷降ろし中に、コンクリートの量および分布を決定することを含む。
【0100】
一例を挙げると、本発明の方法は、以下のように行われるとよい。繊維とRFIDマーカーとのアッセンブリが、例えば、ミキサーのシュートを通過するとき、RFIDマーカーの情報がリーダー装置によって読み取られ、および/または装置を通過するRFIDマーカーが計数されることになる。このリーダー装置は、トラックミキサーのシュートに設置される装置とすることができる。RFIDマーカーから読み取られた情報を解釈することによって、コンピュータ装置は、正確な量および種類の繊維がいつシュートを通過したかを判断することができ、これによって、ミキサーに加えられる繊維の供給を停止するために、ミキサーのシュートが持ち上げられる。リーダー装置は、RFIDマーカーを備えるいくつかの繊維パッケージをコンクリートに混合する前に、これらのパッケージを読み取り、これによって、混合のために加えられるパッケージの正確な量を決定することができる。読み取りは、リーダー装置の情報能力および複雑度によって、混合プロセスに組み入れて行われてもよいし、または混合の動作の前に単独で行われてもよい。
【0101】
本発明による他の例では、リーダー装置は、コンベヤベルト、ホース、パイプ、またはポンプに取り付けられてもよいが、これらには限定されない。
【0102】
繊維とRFIDマーカーとのアッセンブリは、互いに関連して、または互いに関連せずに、個別に供給される繊維およびRFIDを含んでいてもよい。
【0103】
一例を挙げると、コンクリートの好ましくは既知の量に対して投入される繊維の総量は、マーカーの計数値および1kgの繊維当たりのマーカーの数を読み取り、かつ解釈することによって、決定することができる。他の例では、マーカーの計数間の時間差を測定することによって、利用可能な繊維分布に関する情報をもたらすことができる。これは、例えば、コンクリートミキサー(例えば、中央ミキサーまたはトラックミキサー)から搬送装置内に荷降ろしするとき、またはコンクリートが搬送装置から注入されるかまたはミキサーまたはトラックミキサーから直接注入されるときに、用いることができる。荷降ろし速度が一定でない場合、2つのマーカー間の測定される時間差は、実際の体積流量を知ることによって、調整することができる。体積流量は、例えば、直接測定されてもよいし、または時間単位当たりのミキサーのドラム回転数から割り出されてもよい。
【0104】
コンピュータ装置は、単独で作動するようになっていてもよいし、またはリーダー装置と一体化して作動するようになっていてもよい。コンピュータ装置は、読み取り機能、例えば、通過した繊維の量を読み取る機能のみを有していてもよいし、または、例えば、所定量のコンクリートに必要な繊維の量および分布を視覚化し、計算し、かつ相互に関連付けることができる、より高度なデータ処理機能を有していてもよい。さらに、コンピュータ装置は、RFIDマーカーに保持されている情報を読み取り、および/または解釈するようになっていてもよい。コンピュータ装置は、建設現場または製造現場に配置されていてもよいし、または現場から離れて配置され、インターネットまたは任意の他のネットワークを介してリンクされていてもよい。また、コンピュータ装置は、コンピュータ装置の一体部品ではないセンサまたはアクチュエータから受信し、および/または該センサまたはアクチュエータへ送信するようになっていてもよい。このようなセンサは、例えば、トラックが荷降ろしを行うときに、体積流量を決定するためのドラムの回転速度を検出するのに必要とされることがある。
【0105】
コンピュータ装置は、RFIDマーカーに保持された情報をインターネットまたはデータベースにリンクしてもよく、これによって、データを用いて、事業価値を作り出すことができ、またはマーカーに記憶されていないさらなる情報を抽出することができる。例えば、顧客は、コンクリート繊維の種類および建造技術上の助言を見ることができると共に、繊維製造業者は、RFIDマーカーを含む所定の繊維コンクリートの内容および由来をチェックすることができる。
【0106】
コンクリートまたはモルタルに混合されたとき、繊維とコンクリートまたはモルタルとの混合物は、繊維がコンクリートまたはモルタル内に分散または分布されているのと同一または同様の分散した形態にある前記RFIDマーカーを含む。
【0107】
本発明の方法に特有の利点は、コンクリートまたはモルタル内に混合かつ浸漬された時点においても、補強繊維(の存在)が識別可能である点にある。識別可能な対象の例として、例えば、コンクリート内の繊維の種類、由来、および分布が挙げられるが、これらには限定されない。
【0108】
識別の程度は、RFIDマーカーに保持されている情報に依存している。一例を挙げると、例えば、製造日、製造ライン、および製造プロセスまたは物流管理プロセスにおいて繊維を完全に追跡するのに必要な任意の他の情報を記憶することによって、繊維の完全な追跡性が得られることになる。
【0109】
RFID技術によれば、パッケージまたは製品それ自体を介して、マーカーを読み取ることができる。マーカーは、マーカーの方位とは無関係に読み取り可能である。これらは、バーコードのラベル貼付けを上回る2つの主な利点である。
【0110】
繊維およびRFIDマーカーがコンクリート内に取り込まれた時点で、マーカーは、本発明のさらに別の方法によって、以下に述べる他の目的を果たすことができる。
【0111】
従って、本発明のさらに別の目的は、コンクリートまたはコンクリート構造体内の繊維の量を決定する方法において、a)繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体を設けるステップであって、前記RFIDマーカーの量が前記繊維の量を表しているかまたは該量に比例している、ステップと、b)前記コンクリート構造体内のRFIDマーカーを読み取るリーダー装置を設けるステップと、c)RFIDマーカーの量を計数するステップと、d)前記量を逆比例配分し、前記繊維の量を決定するステップとを含む方法を提供することにある。
【0112】
本発明の他の目的は、コンクリートまたはコンクリート構造体内の繊維を識別する方法において、a)繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体を設けるステップであって、前記RFIDマーカーが前記繊維に関する情報を保持している、ステップと、b)前記コンクリート構造体内の前記RFIDマーカーの1つまたは複数の情報を読み取るリーダー装置を設けるステップと、c)前記情報に基づいて、前記繊維を識別するステップとを含む方法を提供することにある。
【0113】
本発明のさらに他の目的は、コンクリート構造体内の繊維の分布を決定する方法において、a)繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体を設けるステップであって、前記RFIDマーカーの量が前記繊維の量を表しているかまたは該量に比例している、ステップと、b)前記コンクリート構造体内のRFIDマーカーを読み取るリーダー装置を設けるステップと、c)RFIDマーカーの分布を決定するステップと、d)前記分布を逆比例配分し、前記繊維の分布を決定するステップとを含む方法を提供することにある。
【0114】
コンクリートまたはコンクリート構造体内の繊維の分布を決定するための本発明による方法の変更例は、a)繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体を設けるステップであって、前記RFIDマーカーが前記繊維に関する情報を保持している、ステップと、b)前記コンクリート構造体内の前記RFIDマーカーの1つまたは複数の情報を読み取るリーダー装置を設けるステップと、c)RFIDマーカーの分布を決定するステップと、d)RFIDマーカーの情報および分布に基づいて、繊維の分布を決定するステップとを含む方法である。
【0115】
前述の2つの方法は、前記コンクリート構造体内の各RFIDマーカーの位置を視覚化するために、コンピュータ装置をさらに備えていてもよい。
【0116】
本発明のさらに他の目的は、コンクリートまたはコンクリート構造体内の繊維の由来を決定する方法において、a)繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体を設けるステップであって、前記RFIDの少なくとも1つが前記繊維の由来に関する情報を保持している、ステップと、b)前記由来の情報を読み取るリーダー装置を設けるステップとを含む方法を提供することにある。
【0117】
本発明のさらに他の目的は、コンクリートまたはコンクリート構造体内の繊維の種類を決定する方法において、a)繊維と1つまたは複数のRFIDマーカーとのアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体を設けるステップであって、前記RFIDの少なくとも1つが前記繊維の種類に関する情報を保持している、ステップと、b)前記種類の情報を読み取るリーダー装置を設けるステップとを含む方法を提供することにある。
【0118】
前述した本発明による方法は、コンクリート用繊維および繊維コンクリートに対する高度の品質管理および非破壊試験を可能にするものである。一例を挙げると、RFIDマーカーは、各繊維にプリントされるかまたは付着され、これによって、コンクリート内の繊維の分布または内容物の正確な決定が可能になる。コンピュータ視覚化によって、コンクリート内の各RFIDマーカー/繊維の正確な場所を表示することができる。
【0119】
[図面の説明]
以下、添付の図面を参照して、例を挙げて、本発明のいくつかの実施形態について説明する。
【0120】
図1は、繊維12と同一または同様のL/D比を有するRFIDマーカー10を示している。RFIDマーカーおよび繊維は、RFIDマーカーおよび繊維の同様の分布または分散を可能とするために、極めて類似の形状を有している。従って、RFIDマーカーの分布は、繊維の分布の客観的尺度になる。
【0121】
図2aは、図2bに示されている互いに接着された繊維16と同じL/D比を有する他の形状のRFIDマーカー14を示している。
【0122】
図3は、RFIDマーカー10と繊維12とのアッセンブリの通過を読み取るリーダー装置20を有するコンクリートミキサー18を示している。
【0123】
図4は、繊維12およびRFIDマーカー10を含むコンクリート構造体22を示している。リーダー装置20がRFIDマーカーの情報を読み取り、コンピュータ装置24がそのデータを解釈するようになっている。
【0124】
図5は、本出願人によって市販されているチェーンパッケージを示している。このチェーンパッケージでは、各サブパッケージ26は、複数の繊維12および1つのRFIDマーカー10を含む。
【0125】
図6は、トラック28からのコンクリートの荷降ろしを示している。リーダー装置20は、コンクリート内の内容物、すなわち、コンクリート内のRFIDマーカー10と繊維12とのアッセンブリの通過を検出している。RFIDマーカーまたは任意の他の適切なマーカーを読み取るのに適しているリーダー装置は、コンクリート内の繊維の総量および分布を決定することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート用補強材と、少なくとも「ここに存在している」情報を含む1つまたは複数のマーカーとのアッセンブリ。
【請求項2】
前記補強材が、コンクリート補強繊維から構成されている請求項1に記載のアッセンブリ。
【請求項3】
前記マーカーの量が、前記繊維の量に比例している請求項2に記載のアッセンブリ。
【請求項4】
前記マーカーが、RFIDマーカーである請求項1〜3のいずれかに記載のアッセンブリ。
【請求項5】
前記マーカーが、前記補強材に関する情報を含む請求項1〜4のいずれかに記載のアッセンブリ。
【請求項6】
前記マーカーが、前記繊維と同様のL/D比を有する請求項2〜5のいずれかに記載のアッセンブリ。
【請求項7】
前記繊維が、鋼、非鋼、またはそれらの組合せから作製されている請求項2〜6のいずれかに記載のアッセンブリ。
【請求項8】
2つ以上のマーカーが含まれており、前記マーカーの各々が、同じ情報または異なる情報を含む請求項1〜7のいずれかに記載のアッセンブリ。
【請求項9】
前記繊維に関する前記情報が、由来、製品識別、直径D、長さL、L/D、種類の少なくとも1つである請求項2〜8のいずれかに記載のアッセンブリ。
【請求項10】
前記マーカーが、同じ周波数または異なる周波数を有する請求項1〜9のいずれかに記載のアッセンブリ。
【請求項11】
前記アッセンブリが、バッグ、箱、チェーンパッケージ、ラップ、接着剤、または任意の他の手段によりまとめられ、前記繊維および前記マーカーを一緒に保持している請求項1〜10のいずれかに記載のアッセンブリ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のアッセンブリを含むコンクリートまたはコンクリート構造体。
【請求項13】
請求項12に記載のコンクリートまたはコンクリート構造体を製造する方法であって、
i)請求項1〜11のいずれかに記載のアッセンブリを設けるステップと、
ii)前記アッセンブリを前記コンクリートまたはコンクリート構造体内に取り入れるステップと
を含む方法。
【請求項14】
コンクリート用繊維の量またはコンクリート内の繊維の量を決定する方法であって、
a.請求項2〜11のいずれかに記載のアッセンブリを設けるステップであって、前記「ここに存在している」情報を提供することができる前記マーカーまたは任意の他の種類のマーカーの量が前記繊維の量に比例している、ステップと、
b.前記マーカーを読み取るリーダー装置を設けるステップと、
c.前記マーカーの量を計数するステップと、
d.逆比例配分し、前記繊維の量を決定するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−501704(P2011−501704A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527426(P2010−527426)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063008
【国際公開番号】WO2009/043833
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(592014377)ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム (81)
【氏名又は名称原語表記】N V BEKAERT SOCIETE ANONYME
【Fターム(参考)】