説明

コンクリート製キュービポッドを製造するための鋳型

キュービポッドは、海岸などにおける堤防マントルや防波堤を保護する手段として使用される重いコンクリート製の物体であって、キュービポッドの面(3)の上に突起を有する立方体または六面体の形状をしている。上記突起(2)の数、位置、幾何学形状は変化し得る。鋳型はプレート(6)付きのテーブル(4)を備え、上記プレート(6)は上記キュービポッド(1)の下部突起に対応した中が空洞の凹部(5)を備える。上記テーブル(4)は剛堅な台座(10)上に支持脚(9)を有する。上部ベースの無いキュービポッド(1)の形状をしたプリズム状のケーシング(11)が、テーブル(4)上に置かれる。上部突起を形成するためのフード(17)が付いた型材(18,19)のフレームは、上部縁と蝶番で連結されている。鋳型の取り外しは、上記突起(2)と上記ケーシングの下部とを形成する幾つかの二面角表面(14〜15)を取り去った後、上記ケーシング(11)を持ち上げることによって行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の目的)
本発明は、この明細書の記載に表明された内容にしたがって、コンクリート製キュービポッドを製造するための鋳型に関する。このキュービポッドは、立方体または八面体の形状をして、キュービポッドの面またはその一部において、好ましくは、四角いベースの、ピラミッドの先端を切り取った形状の隆起または突起を有する。また、キュービポッドには、ピラミッドや半球などの他の幾何学形態を採用することができる。
【0002】
上記突起は、その中心が立方体または直平行六面体の面にある。また、上記突起の位置および数は共に変えてもよい。
【0003】
これらのキュービポッドは、大きなサイズの重い構成要素であって、コンクリートから構築される。キュービポッドを用いて、波のうねりに対して海岸やその他の海洋構造物(防波堤や桟橋)を保護するために、傾斜提のマントル(覆い)なるものが形成される。その組立作業は、キュービポッドを無作為に配置することによって、また、上記構造物の異なる層においてキュービポッドを良好に結合させることによって行われる。キュービポッドの面どうしの結合は、突起によって阻止される。
【0004】
本発明の目的は、キュービポッドを容易に且つ素早く構築できる鋳型であって、鋳型の取り外しを単純な作業にする鋳型を提供することにある。
【背景技術】
【0005】
(発明の背景)
発明特許出願番号200501750には、堤防マントルを形成するための構成要素が開示され、この構成要素を用いて、海岸の避難所や防護施設を保護する人工の防波堤を製造する際に、既知の問題を解決することが試みられている。なお、これらは、前述したタイプの構成要素であって、要素間の良好な結合を達成する。
【発明の概要】
【0006】
(発明の説明)
一般に、コンクリート製キュービポッドを製造するための鋳型は、突起に対応する適当な箇所に、鋳型またはフレームワークを取付けるだけで、この種の異なる形状と大きさの構成要素を製造することができる。そして、フレームワークは、鋳型に注入されたコンクリートが凝結した時点で、移動可能な装置によって容易に取り外すことができる。この取り外しは、その主要部や重量部を移動させることなく、好適な専用工具を用いてフレームワークを単に持ち上げるのみで行われ、金属製側壁が、形成されたコンクリート製ブロックから引き離される。
【0007】
検討中の鋳型は、テーブルを形成する剛堅な支持構造を含む。上記テーブルは、台座に固定された金属製の脚の上に配置されるプレートと型材とを備える。上記テーブルの形状は、形成される鋳型の基部(底部)またはラグ(突起)を含めたブロックの基部面によって決定される。説明を簡単にするために、突起付きの立方体の構造に言及する。上記突起は、好ましい実施形態に見られるように、立方体の面上に中心があって、ピラミッドの先端を切り取った形状をしている。このベース(土台部)は、コンクリートで形成された要素の残りの移動式フレームワークの重量を支える。
【0008】
移動式フレームワークは、(水平と垂直の両方向の)強化積層金属型材付きのシートケーシングまたはプリズム状の表面(立方体の一側面)である。上記強化積層金属型材は、アセンブリ(組立品)に適当な剛性と力を与える。このケーシングは、テーブルに嵌め込まれて、適合するピンで結合される。上記ケーシングには、その壁にシート状のラグまたは突起が設けられる。上記シート状のラグまたは突起は、鋳型の取り外しを容易にするために、ピラミッドの先端を少し切り取った形状になっている。凹部を定める上記シート状のラグまたは突起は、コンクリートで充填されて、突起を構築する。
【0009】
フレームワークを持ち上げることによってそれを取外すことができるように、ピラミッドの先端を切り取った形状の突起の基部面と、突起の下方に位置する立方体矩形部とが、二面角を成す面を形成する。上記二面角を成す面は、上記突起の小ベースにおいて、蝶番で連結される。したがって、フレームワークを取り壊したり分解したりする必要がなく、閉位置に保持していた固定ピンを外すのみでよい。
【0010】
上部ベースの突起は、最終段階で形成される。すなわち、上部ベースの突起は、新鮮なコンクリートがケーシングまたは「ゼリーモールド」の周縁まで鋳型に充填されたことによりコンクリートの注入が達成された時点で、形成される。上部周縁の一つは型材のフレームに蝶番で連結される。上記型材のフレームには、形成される突起の形状を有するピラミッドの先端を切り取った形状のフードが、連結される。上記フードは、折り畳んで所定の位置に配置し、ピンで固定して、注入される新しいコンクリートで充填される。
【0011】
この構成の下、上記鋳型を用いたキュービポッドの製造プロセスは、次のようになる。
【0012】
ケーシングまたはゼリーモールドが、テーブル上に配置され、適合するピンを用いて固定される。フレームワークが清掃される。ラグまたは突起の基部の二面角を成すプレートまたは側部移動パネルが閉じられる。そして必要な場合、その内側の全ての部分は、コンクリート離型剤で含浸される。
【0013】
新鮮なコンクリートが、(重力またはポンプによって)鋳型の内側の上端周縁まで、適当に振動させながら注入される。
【0014】
ピラミッドの先端を切り取った形状のフードを支持する移動式フレームは、傾斜され、ピンによって固定される。上記フードを用いて上部のラグまたは突起が形成される。
【0015】
コンクリートが、上記フード内の上面まで、注入またはポンプ投入される。そして、コンクリートは、振動を与えて他のブロック(塊)と結合させる。
【0016】
コンクリートの硬化または凝結に対応した時間が経過した後、二面角を成す移動式プレートが(上部突起と側部突起の両方から)取り外される。鋳型は、専用の工具を用いて引っ張られて、ブロックの金属製側壁から分離される。
【0017】
キュービポッドのコンクリート内の強度が、リスクを伴うことなく完全な状態で、鋳型の取外しができるに適したものになった時点で、上記鋳型は、適切な工具を用いて持ち上げられ、次の製造のために別のテーブルに置かれる。
【0018】
ブロックのコンクリート内強度が取扱いに適したものになった時点で、ブロックは、保管およびテーブルの清掃のために、持ち上げられる。
【0019】
テーブルは清掃され、そして次のブロックに対応できるように準備される。
【0020】
上記鋳型は、また、プラットフォームや通路や手摺りなど、鋳型の部分的な開口や配置およびその他の手段のための適当な機構を備えて、作業者が鋳型上で作業するのを容易にする。
【0021】
本発明の特徴を理解し易くするために、この明細書に不可欠な図面が添付されている。しかし、これらの図面は一例に過ぎず本発明の特徴を限定するものではない。図には下記事項が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の鋳型品を用いて構築されるキュービポッドの斜視図である。
【図2】本発明の鋳型品の支持ベースまたはテーブルの斜視図である。
【図3】コンクリートを注入するために準備された全ての鋳型の斜視図である。
【図4】鋳型がコンクリートで充填された図3と同様の図である。
【図5】立方体の上部突起を形成するために、ピラミッドの先端を切り取った形状のフードが下に降ろされた図4と類似の図である。
【図6】上記フードがコンクリートで充填された図5と同様の図である。
【図7】鋳型を取外す前の段階を示す斜視図である。
【図8】図7の後の段階を示す斜視図であって、コンクリートの凝結時間が経過した後に移動式フレームワークまたは鋳型ケーシングが取外された時の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(好ましい形態の説明)
特に図1に関して、図において採用されている番号の付け方に言及する。図1には、好ましい実施形態として本発明の鋳型品で作られた物体または部品が示されているが、上述した如く定義されるキュービポッドは、遍く番号1を用いて言及されている。そして、上記キュービポッドは、立方体または六面体の形状を呈して、ピラミッドの先端を切り取った形状の突起または嵩高部2を有し、上記突起または嵩高部2は、四角いベースを有して面3の中心に位置していることが分かる。
【0024】
同様に、本発明の鋳型品が図2〜図8に示されている。上記鋳型品はテーブル4(図2)によって形成され、上記テーブル4は、立方体または直平行六面体(この例では立方体)のベースの寸法を有するとともに、面に設けられる突起(この例では中心に一つ存在する)に対応したシート状の凹部を有する。プレート6は窓7を有し、上記窓7は、この例では、ピラミッドの先端を切り取った形状の倒置された面と一体に結合して、凹部5を形成する。プレート6は、金属製の脚9が台座10に固定された状態で、型材8のフレーム上に置かれる。
【0025】
図3において、残りのフレームワークまたは鋳型を構成する番号11で言及されているケーシングが、テーブル4の上に結合されていること、および、ピラミッドの先端を切り取った形状の突起2を形成するために、対応する凹部5を含む本体1の立方形状の側面を具体化していることが分かる。
【0026】
上記ケーシング11は、ピンでテーブル4に固定された水平の型材12と垂直の型材13とによって、剛堅化される。また、上記凹部5は、剛堅化シートと型材とを用いて形成されるが、それらは特殊性を有していて、台形のベース面14(図7を参照)が、ケーシング11の対応する面である矩形ベース15(図7)と一緒になって、二面角を成す表面を形成し、上記二面角表面は、軸16において蝶番で上方に動くプレートによって具体化されている。図3において、この二面角部分は、閉じて凹部5と鋳型の側壁となり、それらはピンで固定される。鋳型を取外すときは、鋳型が捕捉された状態で、ピンが解除され、図7に示すように、二面角を成すプレートが分離される。こうして、図8との関連でより明確に理解できるように、鋳型を持ち上げるのを邪魔するものは存在しない。ピラミッドの先端を切り取った形状の突起2が、鋳型を持ち上げる動作を妨げることがないからである。構築されたコンクリート製のブロックは、テーブル4の上にある。
【0027】
図3に戻ると、ピラミッドの先端を切り取った形状のフード17が、持ち上げ位置で、型材18,19の剛堅フレームと一体に結合され、ケーシング11の口先部に半軸蝶番20で連結されていることが分かる。この配置において、図4に示すように、鋳型は周縁まで充填される。次に、このフレームは、図5に示すように、引き離して、フード17と結合したままにして、ピン21で固定し、最後の上部突起を形成できるように準備する。次に、フード17が一杯になるまでコンクリートが注がれる。コンクリートは残りのブロックと完全に結合するよう振動される。
【0028】
図7において、鋳型の取り外しは、先ずフード17を持ち上げることによって始められる。次に、前述した如く、二面角を成すプレート14、15を解放した時点で、ケーシングまたは鋳型を持ち上げる。
【0029】
上記ケーシング11は、安全手摺り23付きの作業プラットフォーム22と外側で一体に結合している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海岸などにおける堤防マントルや防波堤を保護するための重い構成要素であるコンクリート製キュービポッドであって、上記キュービポッドの面の中央に位置してピラミッドの先端を少し切り取った形状をした少なくとも1つの突起または嵩高部を有する立方体形または六面体形によって形成される上記キュービポッドを製造するための鋳型において、
上記鋳型はテーブル(4)を備え、上記テーブル(4)は、コンクリートブロックのベースに対応するプレート(6)によって形成されるとともに、型材(8)のフレームワークまたはフレームの上に支持され、上記型材(8)は台座(10)に固定された脚(9)の上に置かれ、上記プレート(6)は、小ベースによって閉じられているピラミッドの先端を切り取った形状の倒置された面のベースに対応する窓(7)を有し、上記窓(7)は上記プレートと一体に結合され、上記プレートは、上記キュービポッドの基部面の上記ピラミッドの先端を切り取った形状の突起(2)のためのフレームワークを具体化し、
上記鋳型は、上記テーブル(4)の上に取付けられるとともに上記テーブル(4)にピンで固定されるケーシング(11)を備え、上記ケーシング(11)は、面(3)と上記ピラミッドの先端を切り取った形状の突起(2)とを含む上記キュービポッド(1)の幾何学形状を完全なものとし、上記ケーシング(11)は、プリズム状の側面から成るピラミッドの先端を切り取った形状の突起(2)の基部面と、基部周縁に対応するケーシング(11)の矩形部とを想定して、強化型材(12,13)を用いて剛堅化され、上記基部面と上記矩形部とは、上記ピラミッドの先端を切り取った形状の突起(2)の小ベースに蝶番で連結された二面角表面(14,15)を定め、
コンクリートの凝結時点で、上記二面角表面を回転または持ち上げ、上記ケーシング(11)を持ち上げることにより、注入されたコンクリートの鋳型を取外すことができる
ことを特徴とするコンクリート製キュービポッドを製造するための鋳型。
【請求項2】
請求項1に記載の鋳型において、
上記キュービポッド(1)の上記ケーシング(11)または上記プリズム状の側面は、上記鋳型の取り外しを容易にするために、ピラミッドの先端を少し切り取った形状になっている
ことを特徴とするコンクリート製キュービポッドを製造するための鋳型。
【請求項3】
請求項1に記載の鋳型において、
上記キュービポッドの上面(3)または上記鋳型の充填口は、ピンで所定の位置に固定される型材(18,19)のフレームに蝶番で連結され、
上記キュービポッドの上面(3)に形成されるプリズム状の突起(2)に一致するピラミッドの先端を切り取った形状のフード(17)が、上記型材(18,19)に一体に連結され、
上記鋳型が上部ベースの無い上記ケーシング(11)の周縁まで充填された時点で、新たなコンクリートを注入することにより上記上部突起(2)を形成する
ことを特徴とするコンクリート製キュービポッドを製造するための鋳型。
【請求項4】
請求項1に記載の鋳型において、
上記ケーシング(11)は、その外周部に、作業員のためのプラットフォーム(22)と作業用の手摺り(23)とを有している
ことを特徴とするコンクリート製キュービポッドを製造するための鋳型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−537857(P2010−537857A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523543(P2010−523543)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際出願番号】PCT/ES2008/000330
【国際公開番号】WO2009/030787
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(510063948)ソシエダッド・アノニマ・トラバホス・イ・オブラス (1)
【Fターム(参考)】