説明

コンクリート製管体及びその製造方法

【課題】 分割式のコンクリート製管体において、簡易な構造で以って継手部に高いシール性を確保すること。
【解決手段】 コンクリート躯体の軸方向に沿った分割面で分割した複数の分割ピース10A,10Bと、各分割ピース10A,10Bの周長と異なる長さに分割した複数の分割シール材40a,40bとにより構成し、分割ピース10A,10Bの接合位置に対して分割シール材40a,40bの接合位置を周方向に変位させて複数の分割ピース10A,10Bを組立てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボックスカルバート、ヒューム管、推進管等(以下「コンクリート製管体」という)の管体に関し、より詳細にはインロー継手を具備した分割式のコンクリート製管体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボックスカルバートやヒューム管は軸方向への延長に対応するため、特許文献1に開示されているような雄型と雌型を対としたインロー継手を具備している。
また止水性を確保するために継手部の周方向に向けてシール材を取り付けることも知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−247677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリート製の管体の断面が小口径である場合は特別問題とならないが、3mを越えるような大口径になると、大重量となって運搬性や取扱性が悪くなる。
そこで、出願人はコンクリート製の管体を軸方向に沿って複数に分割し、分割した形態で搬送したピースを現場で所定の形状に組み立てできるコンクリート製の管体を先に提案した。
この分割式のコンクリート製管体にあっては、コンクリート製の分割ピースの間は強固に接合できるものの、シール材を分割ピースの分割位置に合わせて分割すると、分割したシール材の接合位置が分割ピースとの接合位置と合致するのでシール性の犠牲を強いられる。
また一般にシール材は後付けが困難であることから、分割ピースの成形時に一体に組み付ける必要があるが、好適な製造技術がまだ確立されていない。
このように分割式のコンクリート製管体を製品化するにあたっては継手部におけるシール性の確保と、実用に適した分割ピースの製造技術の提案が切望されている。
【0005】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは分割式のコンクリート製管体において、簡易な構造で以って継手部に高いシール性を確保できる、シール技術を提案することにある。
さらに本発明の目的は、継手部に高いシール性を確保しつつ製作性に優れたコンクリート製管体の製造技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するために、本願の第1発明は、少なくともインロー嵌合可能な雄型継手または雌型継手を具備し、前記何れか一方の継手の周面を囲繞するようにシール材を付設したコンクリート製管体であって、コンクリート躯体の軸方向に沿った分割面で分割した複数の分割ピースと、前記各分割ピースの周長と異なる長さに分割し、継手の周面に付設される複数の分割シール材とにより構成したことを特徴とする、コンクリート製管体である。
【0007】
本願の第2発明は、前記第1発明において、前記複数の分割ピースが、継手の周方向の両端部から延出する長さの延出部を形成した分割シール材を付設した一方の分割ピースと、継手の周方向の両端部に、前記延出部を収容可能な収容溝を形成するように継手の周面両端より後退する長さの分割シール材を付設した他方の分割ピースとにより構成し、前記複数の分割ピースの接合位置に対して前記複数の分割シール材の両端部間の接合位置を周方向に変位させて複数の分割ピースを組立てたことを特徴とする、コンクリート製管体である。
【0008】
本願の第3発明は、前記第2発明において、収容溝を形成した他方の分割ピースの継手の周方向両端部には、突き合わせた前記分割シール材の両端部間に跨って保持するシール材保持具を設け、前記シール材保持具はシール材の基部を収容して保持する収容溝を形成していると共に、継手に対して着脱可能な外方シール保持体を具備することを特徴とする、コンクリート製管体である。
【0009】
本願の第4発明は、前記第3発明において、前記シール材保持具に外部から収容溝内に接着剤を注入する流路を形成したことを特徴とする、コンクリート製管体である。
【0010】
また本願発明は、前記第3発明において、前記シール材保持具はシール材の基部を収容して保持する収容溝の一部を形成していると共に、継手に対して着脱可能な外方シール保持体と、継手に埋設され、シール材の基部を収容して保持する収容溝の一部を形成している内方シール保持体と、前記両シール保持体を連結する手段とにより構成することを特徴とする、コンクリート製管体である。
【0011】
また本願発明は、前記第1乃至4発明の何れかにおいて、複数の分割ピースがコンクリート躯体を軸方向に沿って偶数組に分割して構成することを特徴とする、コンクリート製管体である。
【0012】
また本願発明は、前記第1乃至4発明の何れかにおいて、複数の分割ピースがコンクリート躯体を軸方向に沿って二組に分割して構成することを特徴とする、コンクリート製管体である。
【0013】
本願の第5発明は、前記第2〜4発明の何れかに記載のコンクリート製管体の製造方法であって、継手の周長より短い長さの分割シール材を付設し、継手の周方向の両端部に収容溝を有する他方の分割ピースを先行して形成し、前記先行して形成した他方の分割ピースの分割面を型枠面に利用して、延出部を有する分割シール材を付設して一方の分割ピースを形成したことを特徴とする、コンクリート製管体の製造方法である。
【0014】
本願の第6発明は、前記第3または4発明の何れかに記載のコンクリート製管体の製造方法であって、継手の周方向に分割シール材を付設し、継手の周方向の両端部にシール材保持具を位置させて他方の分割ピースを先行して形成し、前記先行して製作した他方の分割ピースの分割面を型枠面に利用すると共に、前記シール材保持具に延出部を収容させて分割シール材を継手に付設した一方の分割ピースを形成したことを特徴とする、コンクリート製管体の製造方法である。
【0015】
また本願発明は、前記第6発明において、前記シール材保持具はシール材の基部を収容して保持する収容溝の一部を形成していると共に、継手に対して着脱可能な外方シール保持体と、継手に埋設され、シール材の基部を収容して保持する収容溝の一部を形成している内方シール保持体と、前記両シール保持体を連結する手段とにより構成し、前記他方の分割ピースの形成時に外方シール保持体を付設し、前記一方の分割ピースの脱型時に外方シール保持体を取り外すことを特徴とする、コンクリート製管体の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は次の特有の効果を得ることができる。
(1)コンクリート躯体とシール材を単に複数に分割して構成しただけでなく、分割ピースの接合位置に対して分割シール材の両端部間の接合位置を周方向に変位させるだけの簡易な構造で以って継手部に高いシール性を確保することができる。
したがって、運搬性や取扱性だけでなくシール性の面で制約があった大口径のコンクリート管体の分割化が可能となる。
(2)収容溝を形成した分割ピースの継手の周方向両端部にシール材保持具を設けることで、突き合わせた分割シール材の間に跨ってシールできので、突き合わせた分割シール材の間に高いシール性を確保することができる。
(3)シール材保持具の外方シール保持体を取り外した状態で、分割シール材の延出部を収容し、その後に外方シール保持体を組み付けるだけの簡単な操作で以って、分割シール材の両端部を接続できるので、分割シール材の接続作業を簡単かつ確実に行える。
(4)シール材保持具に形成した流路を通じて外部から収容溝内に接着剤を注入できるので、シール材保持具とシール材の間だけでなく分割シール材の端面間におけるシール性がより高くなる。高耐圧用途のコンクリート管体に好適である。
(5)先行して形成した他方の分割ピースの分割面を型枠面に利用して、一方の分割ピースを形成するので、両分割ピースの分割面(接合面)を隙間なく成形できるうえに、着脱式のシール材保持具を利用することで、コンクリート躯体の破損を防止しながら延出部を形成した分割シール材の脱型を行うことができる。
(6)断面形状が円形や方形を呈する各種形状のコンクリート管体に適用できて、汎用性に富む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(1)コンクリート製管体
図1〜図6に方形の断面形状を呈する分割式のコンクリート製管体10の一例を示す。
コンクリート製管体10は、一方端にコンクリート躯体の外周面を
凹設して形成した雄型継手20と、他方端にコンクリート躯体の内周面を凹設して形成した雌型継手30を夫々具備していて、これらの継手20,30は相互に軸方向に嵌合させてインロー継手を構成する。
本発明では例えばコンクリート製管体10の両端に雄型継手20を形成した形態も含むもので、要は少なくも一端に雄型継手20を具備していればよい。
またコンクリート製管体10の断面形状は、方形に限定されるものではなく、その他に円形、楕円、方形、多角形等でもよく、コンクリート製管体10のサイズや用途に応じて、その分割数や分割位置も適宜選択する。
【0019】
コンクリート製管体10はコンクリート躯体を軸方向に沿った分割面で複数に分割して形成した断面略コ字形を呈する複数の分割ピース10A,10Bにより構成される。
コンクリート製管体10の分割数は偶数組が好適であり、特に実用面を考慮すると二組の分割形態が最適である。
【0020】
図1では分割ピース10A,10Bの分割面(接合面)間の連結手段の図示を省略しているが、例えばトンネル用セグメントをボルトナットで連結する公知の連結手段を適用でき、分割面に近い位置でコンクリート躯体の内外の片側又は両側から一体に連結し得るようになっている。
【0021】
(2)分割ピース
各分割ピース10A,10Bを構成するコンクリート躯体の両端の各継手20,30も前記分割面で同様に分割されている。
各分割ピース10A,10Bの一端に形成される雄型継手20の外周面には、該雄型継手20を囲繞可能な長さの環状のシール材40を複数に分割した分割シール材40a,40bが夫々コンクリート躯体に埋設状態で付設されている。
シール材40は、コンクリート躯体に埋設される基部41と、この基部41に沿って一体に形成した複数のリップ42とよりなる公知の樹脂シール材で、その基部41をコンクリート躯体に埋設して付設される。
【0022】
図1,2に示すように本発明では、各分割シール材40a,40bの端面の接合位置が分割ピース10A,10Bの接合位置と一致しないように両部材の接合位置を周方向にずらすことで、継手部に高いシール性を付与することとした。
すなわち、シール材40を均等の長さに分割せずに、分割した各ピースの雄型継手20の周長に対して長短の差を設け、この周長と異なる長さに分割することで、上位の分割ピース10Aでは、分割シール材40aの両端部を雄形継手20のコンクリート躯体から所定長だけ延出させて延出部43,43を形成する。下位の分割ピース10Bでは、分割シール材40bの両端部を雄形継手20のコンクリート躯体の接合面から前記所定長だけ後退させて付設する。
【0023】
分割シール材40bを付設した下位の分割ピース10Bのコンクリート躯体には、上位の分割ピース10Aのコンクリート躯体から延出した分割シール材40aの一対の突出部43,43を収容可能な収容溝55,55が形成されている。
この収容溝55の形成長は上位の分割ピース10Aのコンクリート躯体から延出した分割シール材40aの突出長と一致させるか、或いは僅かに短い長さに設定して、両分割シール材40a,40bの端部の接合面が隙間なく当接するようにする。
要は分割ピース10A、10Bのうち何れか一方のピースはその周方向の両端から分割シール材40aの両端部が夫々飛び出していて、また分割ピース10A、10Bの何れか他方のピースの分割シール材40bが周方向の両端部で夫々後退した組み合わせになっていればよい。
【0024】
(3)雄型継手の端部の構造
図3に分割ピース10A,10Bの組立前の斜視図を示し、図4に組立後の斜視図を示す。
本発明はコンクリート製管体10の製作性、組立性およびシール性を考慮して、分割シール材40bの端部を後退させた他方の分割ピース10Bの雄型継手20に以下のような改良を加えた。
【0025】
雄型継手20の周方向の端部の外周面には、分解及び組立可能なシール材保持具50が付設されていて、雄型継手20の周方向の端部で所定長だけ後退させた分割シール材40bの端部と、一方の分割ピース10Aから延出した分割シール材40aの突出部43とを一緒に収容して固定できるようになっている。
【0026】
シール材保持具50はシール材40の基部41を把持可能な収容溝を有する二つ割した治具で、内方シール保持体51と、外方シール保持体52と、外方シール保持体52を内方シール保持体51に固定する手段とより構成される。
両シール保持体51,52は共に分割ピース10Bの雄型継手20の外周面において周方向に沿って設けられ、一方の内方シール保持体51はジベル51aを介してコンクリート躯体に埋設して固定され、他方の外方シール保持体52は固定手段であるボルト53を貫通して内方シール保持体51の側面に固定される。
また両シール保持体51,52は共にその表面が雄型継手20の外周面と同一面上に位置して設けられる。
【0027】
本例では一方の内方シール保持体51が単独部品である場合について説明するが、コンクリート躯体を成形する際にコンクリートで一体に形成して代用してもよい。この場合、ボルト53を螺着するためにボルト穴はインサート式ナットを埋設するか、或いは穿孔して形成する。
【0028】
要は、分割シール材40bを後退させた側の分割ピース10Bにおいて、雄型継手20の周方向の端部位置で、分割シール材40a,40bに跨ってその側方から外方シール保持体52を着脱可能な構造になっていることが重要である。
着脱式のシール材保持具50を採用した他の理由は、次に説明するコンクリート製管体10の製作性に因るものである。
【0029】
(4)コンクリート製管体の製造方法
【0030】
[分割ピースの製作順序]
分割ピース10A,10bを夫々個別に製造する手法が考えられるが、この方法は製造公差等により高精度に製作することが難しい。
また分割シール材40の両端部を延出させた一方の分割ピース10Aを先行して製作し、その後にこの分割ピース10Aを基にして残りの分割ピース10Bを製作する方法も考えられるが、この方法は脱型時に分割シール材40の延出部が相手側の分割ピース10Bのコンクリート躯体に一体に付着するために、分割ピース10B側の雄型継手20の角部のコンクリート躯体が破壊されたり、分割ピース10A側の分割シール材40の延出部が剥がれてしまうといった難点がある。
本発明では上記のような不都合を解消するために、他方の分割ピース10B(分割シール材40の両端部を後退させたピース)を先行して製作し、その後に分割ピース10Bに合わせて残りの一方の分割ピース10A(分割シール材40の両端部を延出させたピース)を製作することとした。
【0031】
[分割ピース10Bの先行製作]
分割ピース10Bは図1に示した形態の雄型継手20が上位にして縦向きにして型枠で成形する。
図5は分割ピース10Bを成形するための型枠上部の縦断面図を示すもので、図中の符号60は外型枠、61は内型枠、62は外型枠60に固定した雄型継手20の凹部を形成するための型材である。尚、妻板用型枠は図示を省略するが、内外型枠60,61の両側を閉鎖して設けられる。
【0032】
以上は従来同様であるが、外型枠60の型材62に隣接させて挟持板63を設けると共に、これらの型材62と挟持板63の間で、水平に配置した分割シール材40bの全長を把持する。
型材62と挟持板63の間で分割シール材40bを把持する際、図6に示すような分割シール材40bと断面形状が略同形の擬似シール材44を、分割シール材40bの端面に隣接させた状態で一緒に把持する。
さらに、これらの分割シール材40bの端部と擬似シール材44の基部に跨ってその側方から内外シール保持体51,52を挟み込んだ後にボルト53を螺着して、シール材保持具50を予め取り付けておく。このとき外方シール保持体52が最上位に位置するようにシール材保持具50を取り付ける。
最終的に、シール材保持具50は外型枠60に支持させ、またシール材保持具50における分割シール材40bの欠落部分の収容溝21の内空は擬似シール材44で補完してコンクリートの入り込みを防止する。
【0033】
図示を省略するが、下方の雌型継手を成形する型材は従来と同様に脱型性に優れたゴム製のものを内型枠61に取り付けて対応する。
そして、内外型枠60,61内にコンクリートを充填し、所定の養生期間の経過を待って脱型する。
【0034】
図6は内外型枠60,61の脱型を終えた分割ピース10Bの雄型継手20の斜視図で、シール材保持具50は分割シール材40bの端部と擬似シール材44を把持した状態で、コンクリート躯体に埋設されて固着される。
最後に、シール材保持具50の外方シール保持体52と共に擬似シール材44を取り外して分割ピース10Bの先行製作を完了する。
【0035】
[分割ピース10Aの後行製作]
分割ピース10Aの製作方法は、図5に示した擬似シール材44とシール材保持具50を用いないだけで、他は先行製作した分割ピース10Bの製作工程と同様であるのでその詳しい説明は省略する。
分割ピース10Aの後行製作に当たり異なる点は、先行製作した分割ピース10Bの分割面を型枠面として利用して分割ピース10Aの分割面と合致した面に形成できることと、分割シール材40aの延出部43,43を、分割ピース10Bの各シール材保持具50の収容溝54,54内に収容した状態で、後行の分割ピース10A用のコンクリートを打設することである。
分割シール材40aの延出部43をシール材保持具50の収容溝54に収容するときは、外方シール保持体52を組み付けておく。また、後行製作の分割ピース10Aを脱型するときは、シール材保持具50の外方シール保持体52を取り外してから行う。
【0036】
殊に、先行製作した分割ピース10Bの分割面を型枠成形面に利用して分割ピース10Aを製作するので、先行製作した分割ピース10Bの分割面に多少の凹凸や寸法誤差があったとしても、これに合う形状に先行製作の分割ピース10Bの分割面を形成できるので、コンクリート製管体10を組み立てた際に、接合面の間に隙間を生じさせずに密着した接合が可能となる。
また後行製作する分割ピース10Aの製作時に、分割シール材40aの延出部43はシール材保持具50で覆われてコンクリートに直接触れないので、コンクリートとの付着の心配がない。
さらに、後行製作する分割ピース10Aの脱型時においては、外方シール保持体52を取り外すだけで、分割シール材40aの延出部43が開放されるので、延出部43に引きずられて先行製作した分割ピース10Bのコンクリート躯体の角部が破損したり、分割シール材40aがコンクリート躯体から引き剥がされてしまうといった心配もない。
【0037】
(5)コンクリート製管体の組立
図3に示すように外方シール保持体52を先行製作した分割ピース10Bから取り外しておく。
この状態で、相対向して配置した両分割ピース10A,10Bの分割面を当接させて接合し、公知の連結手段で両ピース10A,10B間を固定する。
次に、図4に示すように後行製作した分割ピース10Aから延出する分割シール材40aの延出部43を、対向する分割ピース10Bに露出したシール材保持具50の収容溝55内に収容して、再び外方シール保持体52を組み付けて、両分割シール材40a,40bを接合する。
両分割シール材40a,40bの大半は共にコンクリート躯体に埋設されてシール性が確保され、またそれ以外の箇所はシール材保持具50に面接触されてシール性が確保されることになる。
上記したシール性の要因に加えて、分割ピース10A,10Bの接合位置に対して各分割シール材40a,40bの端面の接合位置が周方向にずれているので、雄型継手部20のシール性は格段によくなる。
【0038】
(6)変更例
図7に示すように、シール材保持具50の内部に注入孔56を穿設すると共に、内方シール保持体51の底面に分散溝57を形成し、これらを連通させるように構成してもよい。
このように構成すれば、両分割シール材40a,40bの組付け後に、注入孔56と分散溝57を経由して接着剤を外部から注入できるので、シール材保持具50とシール材40の間、および分割シール材40a,40bの端面の間におけるシール性をより高めることが可能となる。
【0039】
また図8に示すように、シール材保持具50と分割シール材40a,40bを使用した継手のシール構造を、雄型継手20に設けた場合と同様の形態と製作工程合により、雌型継手30の内周面に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のコンクリート製管体の組立図
【図2】雄型継手側からのコンクリート製管体の正面図
【図3】コンクリート製管体の組立工程の説明図
【図4】コンクリート製管体の組立後の継手部の斜視図
【図5】分割ピースの製造方法を説明するための型枠上部の縦断面図
【図6】シール材保持具に擬似シール材を把持させた状態の説明図
【図7】接着剤を注入するシール材保持具の変形例の説明図
【図8】雌型継手に適用した他の変形例の説明図
【符号の説明】
【0041】
10・・・・・・コンクリート製管体
10A・・・・・・分割ピース(後行製作ピース)
10B・・・・・分割ピース(先行製作ピース)
20・・・・・・雄型継手
30・・・・・・雌型継手
40・・・・・・シール材
40a・・・・・分割シール材
40b・・・・・分割シール材
50・・・・・・シール材保持具
51・・・・・・内方シール保持体
52・・・・・・外方シール保持体
53・・・・・・ボルト
55・・・・・・擬似シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともインロー嵌合可能な雄型継手または雌型継手を具備し、前記何れか一方の継手の周面を囲繞するようにシール材を付設したコンクリート製管体であって、
コンクリート躯体の軸方向に沿った分割面で分割した複数の分割ピースと、
前記各分割ピースの周長と異なる長さに分割し、継手の周面に付設される複数の分割シール材とにより構成したことを特徴とする、
コンクリート製管体。
【請求項2】
請求項1において、前記複数の分割ピースが、継手の周方向の両端部から延出する長さの延出部を形成した分割シール材を付設した一方の分割ピースと、継手の周方向の両端部に、前記延出部を収容可能な収容溝を形成するように継手の周面両端より後退する長さの分割シール材を付設した他方の分割ピースとにより構成し、前記複数の分割ピースの接合位置に対して前記複数の分割シール材の両端部間の接合位置を周方向に変位させて複数の分割ピースを組立てたことを特徴とする、コンクリート製管体。
【請求項3】
請求項2において、収容溝を形成した他方の分割ピースの継手の周方向両端部には、突き合わせた前記分割シール材の両端部間に跨って保持するシール材保持具を設け、前記シール材保持具はシール材の基部を収容して保持する収容溝を形成していると共に、継手に対して着脱可能な外方シール保持体を具備することを特徴とする、コンクリート製管体。
【請求項4】
請求項3において、前記シール材保持具に外部から収容溝内に接着剤を注入する流路を形成したことを特徴とする、コンクリート製管体。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4の何れかに記載のコンクリート製管体の製造方法であって、
継手の周長より短い長さの分割シール材を付設し、継手の周方向の両端部に収容溝を有する他方の分割ピースを先行して形成し、
前記先行して形成した他方の分割ピースの分割面を型枠面に利用して、延出部を有する分割シール材を付設して一方の分割ピースを形成したことを特徴とする、
コンクリート製管体の製造方法。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載のコンクリート製管体の製造方法であって、
継手の周方向に分割シール材を付設し、継手の周方向の両端部にシール材保持具を位置させて他方の分割ピースを先行して形成し、
前記先行して製作した他方の分割ピースの分割面を型枠面に利用すると共に、前記シール材保持具に延出部を収容させて分割シール材を継手に付設した一方の分割ピースを形成したことを特徴とする、
コンクリート製管体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−257720(P2006−257720A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75354(P2005−75354)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000229128)日本ゼニスパイプ株式会社 (31)
【Fターム(参考)】