説明

コンクリート連続体の養生装置および養生方法

【課題】コンクリート表面のひび割れ、剥離、剥落を防止して品質、耐久性に優れたトンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体を実現できる、コンクリート連続体の養生装置および養生方法を提供する。
【解決手段】移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に、コンクリート連続体3の内側面形状と類似する形状の噴霧アーム11を備えた養生剤噴霧装置2が設けられており、前記養生剤噴霧装置2は、移動式コンクリート打設型枠装置1の移動速度に応じて養生剤18の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を備えており、脱型した移動式コンクリート打設型枠装置1の移動にしたがい、噴霧アーム11に設備した噴霧ノズル13から、コンクリート連続体3のコンクリート表面3aへ養生剤18を均一に噴霧する構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体の養生装置および養生方法の技術分野に属し、更に云えば、コンクリート表面のひび割れ、剥離、剥落を防止して品質、耐久性に優れたコンクリート連続体を実現できるコンクリート連続体の養生装置および養生方法に関する。
前記コンクリート連続体とは、前記トンネル覆工コンクリートのほか、大型のボックスカルバートなどを指す。
【背景技術】
【0002】
コンクリート連続体(特には、トンネル覆工コンクリート)の養生装置および養生方法に関する技術は、以下のように既に種々知られている。
(1)コンクリート表面を保温するためにシートで覆って養生する技術(例えば、特許文献1、2を参照)。
(2)コンクリートの水和反応を促進するために自動散水設備によりコンクリート表面に散水して養生する技術(例えば、特許文献3を参照)。
(3)コンクリートの水和反応を促進するために噴霧機構によりコンクリート表面に水を噴霧して養生する技術(例えば、特許文献4を参照)。
(4)コンクリートの水和反応を促進するためにコンクリート表面を所定の間隔をあけてシートで覆い、コンクリート表面とシートの隙間に水または水蒸気を噴霧することにより、コンクリート表面全体を湿潤状態で養生する技術(例えば、特許文献5、6を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−291690号公報
【特許文献2】特開2007−239320号公報
【特許文献3】特開2001−248398号公報
【特許文献4】特開2006−89995号公報
【特許文献5】特開2000−73696号公報
【特許文献6】特開2004−285803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記(1)に係る技術は、コンクリートの水和反応時に必要な水分の供給がないので、コンクリート表面のひび割れ抑制の効果が小さいという問題がある。
【0005】
前記(2)に係る技術は、コンクリートの水和反応時に必要な水分を供給するので、前記(1)に係る技術と比して、ひび割れ抑制の効果を期待できるように見える。
しかしながら、コンクリート表面に点在する水滴が蒸発するとコンクリートの表面温度が部分的に低下するので、水和反応に対し温度差が生じてひび割れ発生率が逆に高くなる虞がある。加えて、散水管をトンネルの長手方向へ往復移動させて散水する構成であるが故にコンクリート表面をムラなく一定温度に維持するのは至難であり、やはり、水和反応に対し温度差が生じる虞があり、ひび割れ抑制の効果は期待できない。
【0006】
前記(3)に係る技術は、コンクリート表面に水を噴霧して水分を供給するので、水滴の付着を抑制できる。よって、前記(2)に係る技術と比して、ひび割れ抑制の効果はある。
しかしながら、前記散水管と同様に、噴霧機構をトンネルの長手方向へ往復移動させて噴霧する構成に変わりはなく、コンクリート表面をムラなく一定温度に維持するのは至難であり、よって、水和反応に対し温度差が生じる虞があり、ひび割れ抑制の効果はあまり期待できない。
【0007】
前記(4)に係る技術は、コンクリート表面全体を同時に水または水蒸気を噴霧して湿潤状態で養生することにより、安定した状態で連続的な水和反応の持続を維持できるので、前記(1)〜(3)に係る技術に生じる問題をすべて解消している点が注目される。
しかしながら、一般的に行われる養生日数は通常7日間であり、7日以降は養生台車が撤去されコンクリート表面は一気に外気に晒される。そうするとコンクリート表面は、通風による急激な温度変化や乾燥に対応しきれず、ひび割れが発生する虞があった。
よって、この(4)に係る技術は、コンクリート表面のひび割れを抑制する効果は認められるものの、万全とは言い難く、改善する余地が残されている。
【0008】
ところで、一般的なコンクリートやモルタルの効果的な養生手段として、乾燥収縮低減剤等の被膜型コンクリート表面養生剤(いわゆる養生剤)をコンクリート表面に均一に塗布する技術が知られている。
この技術は、建物躯体等に利用するコンクリートやモルタルの養生には好適に実施できるものの、作業員の手作業によるため、大規模で特殊形状のトンネル覆工コンクリートを養生する場合には、作業員の技量によって養生剤の塗布ムラが発生し易く、品質が均一にならない場合が多いので、積極的に実施されていないのが実情である。
【0009】
本発明の目的は、大規模で特殊形状のトンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体のコンクリート表面に対しても養生剤を均一に噴霧(塗布)できる養生剤噴霧装置を利用してコンクリート表面を養生することにより、コンクリート表面のひび割れ、剥離、剥落を防止して品質、耐久性に優れたコンクリート連続体を実現できるコンクリート連続体の養生装置および養生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るコンクリート連続体の養生装置は、図1〜図6に示したように、移動式コンクリート打設型枠装置1を用いて成形したトンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体3の養生装置10であって、
移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に、前記コンクリート連続体3の内側面形状と類似する形状の噴霧アーム11を備えた養生剤噴霧装置2が設けられており、
前記養生剤噴霧装置2は、移動式コンクリート打設型枠装置1の移動速度に応じて養生剤18の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を備えており、脱型した移動式コンクリート打設型枠装置1の移動にしたがい、前記噴霧アーム11に設備した噴霧ノズル13から、コンクリート連続体3のコンクリート表面3aへ養生剤18を均一に噴霧する構成とされていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載した発明に係るコンクリート連続体の養生装置は、図7、図8に示したように、移動式コンクリート打設型枠装置1を用いて成形したトンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体3の養生装置であって、
移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に、前記コンクリート連続体3のコンクリート表面3aを湿潤状態として一定期間養生する養生台車20が連結され、前記養生台車20の後部に、前記コンクリート連続体3の内側面形状と類似する形状の噴霧アーム11を備えた養生剤噴霧装置2が設けられており、
前記養生剤噴霧装置2は、養生台車20の移動速度に応じて養生剤18の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を備えており、前記養生台車20の移動にしたがい、前記噴霧アーム11に設備した噴霧ノズル13から、コンクリート連続体3のコンクリート表面3aへ養生剤18を均一に噴霧する構成とされていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載したコンクリート連続体の養生装置において、前記養生剤噴霧装置2は、図5と図6に示したように、先行する移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に着脱自在に連結された台車6に設置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載した発明は、請求項2に記載したコンクリート連続体の養生装置において、前記養生剤噴霧装置2は、図8に示したように、先行する養生台車20の後部に着脱自在に連結された台車6に設置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載したコンクリート連続体の養生装置において、前記養生剤噴霧装置は、例えば図3に示したように、前記噴霧アーム11と噴霧ノズル13と噴霧量調整機構とから成り、
前記噴霧アーム11は、複数の養生剤供給管11aを連結してアーチ形状に形成されていること、
前記噴霧ノズル13は、前記噴霧アーム11の一端部から他端部にわたりほぼ等間隔に設けられていること、
前記噴霧量調整機構は、タコメーター等の速度センサー14と、圧力ポンプ16と、前記速度センサー14で感知した速度に対応する圧力を前記圧力ポンプ16に指示できるソフトを組み込んだ速度反応ユニット15と、養生剤18を貯留する養生剤タンク17とで構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載した発明に係るコンクリート連続体の養生方法は、図1〜図6に示したように、移動式コンクリート打設型枠装置1を用いて成形したトンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体3の養生方法であって、
移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に、前記コンクリート連続体3の内側面形状と類似する形状の噴霧アーム11を有する養生剤噴霧装置2を設け、
前記養生剤噴霧装置2は、移動式コンクリート打設型枠装置1の移動速度に応じて養生剤の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を有しており、脱型した移動式コンクリート打設型枠装置1の移動にしたがい、前記噴霧アーム11に設備した噴霧ノズル13から、コンクリート連続体3のコンクリート表面3aへ養生剤18を均一に噴霧することを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載した発明に係るコンクリート連続体の養生方法は、図7、図8に示したように、移動式コンクリート打設型枠装置1を用いて成形したトンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体3の養生方法であって、
移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に、前記コンクリート連続体3のコンクリート表面3aを湿潤状態として一定期間養生する養生台車20を連結し、前記養生台車20の後部に、前記コンクリート連続体3の内側面形状と類似する形状の噴霧アーム11を有する養生剤噴霧装置2を設け、
前記養生剤噴霧装置2は、養生台車の移動速度に応じて養生剤18の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を有しており、前記コンクリート表面3aを湿潤状態として一定期間の養生を終えた養生台車20の移動にしたがい、前記噴霧アーム11に設備した噴霧ノズル13から、コンクリート連続体3のコンクリート表面3aへ養生剤18を均一に噴霧することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るコンクリート連続体の養生装置および養生方法によれば、養生剤噴霧装置により、脱型後のコンクリート連続体のコンクリート表面の全面を外気に晒すことなく養生剤により均一に噴霧(塗布)できる。
よって、コンクリート表面は、通風による急激な温度変化等の悪影響を受ける虞が一切なく養生できるので、コンクリート表面のひび割れを大幅に低減することができ、コンクリート連続体の強度および耐久性の向上を図ることができる。ひいては、将来の維持管理等のライフサイクルコストの低減を図ることができる。
特に、請求項2および請求項7に係るコンクリート連続体の養生装置および養生方法によれば、脱型後のコンクリート連続体のコンクリート表面の全面を外気に晒すことなく養生台車によりコンクリートの水和反応を積極的に促進してコンクリート表面を緻密化させた上で、さらに、養生剤噴霧装置により、コンクリート表面の全面を外気に晒すことなく養生剤で均一に噴霧(塗布)できる。
よって、コンクリート表面は、通風による急激な温度変化等の悪影響を受ける虞が一切なく養生できることはもとより、養生台車による養生効果も奏することができるので、コンクリート表面のひび割れをほぼ完璧に防止することができ、コンクリート連続体の強度および耐久性を飛躍的に高めることができる。ひいては、将来の維持管理等のライフサイクルコストの大幅な低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明に係るコンクリート連続体の養生装置および養生方法の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1〜図4は、実施例1に係るコンクリート連続体の養生装置10の概要を示している。
図示例に係る養生装置10は、移動式コンクリート打設型枠装置1(所謂セントル)を用いて成形したトンネル覆工コンクリート(コンクリート連続体)3のコンクリート表面3aを養生するための装置であり、移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に、前記トンネル覆工コンクリート3の内側面形状と類似するアーチ形状の噴霧アーム11を備えた養生剤噴霧装置2が設けられて成る。
また、前記養生剤噴霧装置2は、移動式コンクリート打設型枠装置1の移動速度に応じて養生剤18の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を備えており、脱型した移動式コンクリート打設型枠装置1の移動にしたがい、前記噴霧アーム11に設備した噴霧ノズル13から、トンネル覆工コンクリート3のコンクリート表面3aへ養生剤18を均一に噴霧(塗布)する構成とされている。
【0020】
この養生剤噴霧装置2は、前記噴霧アーム11と噴霧ノズル13と噴霧量調整機構とから成り、前記噴霧アーム11は、複数の養生剤供給管11aを連結して前記トンネル覆工コンクリート3の周方向に沿ってアーチ形状に形成されている。
前記噴霧ノズル13は、前記アーチ形状の噴霧アーム11の一端部から他端部にわたりほぼ等間隔(図示例では、500mm毎)に設けられている。
前記噴霧量調整機構は、タコメーター等の速度センサー14と、圧力ポンプ16と、前記速度センサー14で感知した速度に対応する圧力を前記圧力ポンプ16に指示できるソフトを組み込んだ速度反応ユニット15と、養生剤18を貯留する養生剤タンク17とで構成されている。
【0021】
具体的に、この実施例1に係る養生剤噴霧装置2の噴霧アーム11は、移動式コンクリート打設型枠装置1の後部にバランスよく設けた(図示例では、噴霧アーム11のアーチ形状に沿う配置に設けた)取付部材4を介して溶接等の接合手段で取り付けている。前記速度反応ユニット15、圧力ポンプ16、および養生剤タンク17は、移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に備えた受け台等に設置している。また、前記速度センサー14は、移動式コンクリート打設型枠装置1の最後尾の車輪1aの走行速度を感知するように取り付けている。
なお、前記養生剤噴霧装置2の取り付け作業は、移動式コンクリート打設型枠装置1の組み立て作業と同時期に行うと合理的である。
【0022】
前記噴霧アーム11は、図2に示したように、アーチ形状を保持する支保部材5で支持された状態で、トンネル覆工コンクリート3のコンクリート表面3aから均等に100〜400mm(図示例では300mm)離れた位置に位置決めされている。
この噴霧アーム11を前記コンクリート表面3aから100〜400mmの範囲内に位置決めする意義は、100mmより近い位置に設定すると噴霧ノズル13を狭い間隔で無駄に多く取り付ける必要があるなど不経済であり、400mmより遠い位置に設定すると、噴霧ノズル13を噴霧するための圧力を無駄に高くする必要があり不経済であるほか、トンネル坑内を作業車等が通過するために必要な空間を確保しづらいからである。
ちなみに、この実施例1に係る噴霧アーム11を構成する養生剤供給管11aの管径は100mmで実施しているが勿論これに限定されず、コンクリート表面3aの周方向の全面に均一に噴霧するのに必要な噴霧圧、噴霧量等の構造設計に応じて適宜設計変更可能である。
【0023】
また、前記噴霧アーム11には、二股アダプタ12を介して2個の噴霧ノズル13がそれぞれ、コンクリート表面3aの周方向の全面に対し均一に噴霧するのに好適な角度に傾けて取り付けられている(図3、図4参照)。
前記噴霧ノズル13は、平均粒径20〜40ミクロンで噴霧できるチェックバルブ付き(作動圧0.3MPa)の均等扇形ノズル(噴霧角度80度)が好適に用いられる。ただし、噴霧ノズル13はこれに限定されるものではなく、コンクリート表面3aの周方向の全面に養生剤18を均一に噴霧できる性能を有していればよい。
なお、前記二股アダプタ12を用いることなく1個の噴霧ノズル13で噴霧作業を行う場合は、必然的に、噴霧ノズル13の設置間隔を図示例より狭くして(例えば、300mm毎に設置して)行う。
ちなみに図示例では、コンクリート表面3aと噴霧ノズル13の先端部との距離は200mm程度離して実施している。
【0024】
前記噴霧ノズル13(二股アダプタ12)の設置間隔は、養生剤18の噴霧量および移動式コンクリート打設型枠装置1の移動速度等に応じて適宜設計変更される。実験結果によると、養生剤18の噴霧量を150g/mに設定し、移動式コンクリート打設型枠装置1の移動速度を2.1m/minに設定した場合に、二股アダプタ12に装着された2個の噴霧ノズル13、13を500mm毎に設置すると、コンクリート表面3aの周方向の全面に養生剤18をムラなく均一に噴霧するための角度等の調整をスムーズに行い得ることが分かっている。
ちなみに、図示例に係る二股アダプタ12に設けた2個の噴霧ノズル13、13は、100mmの間隔をあけてトンネル周方向に設けられ、コンクリート表面3aに対して直角となる姿勢から、互いに10度ずつ外向きに傾斜させた角度で設置することにより、全体としてコンクリート表面3aの周方向の全面に効率よく養生剤18を噴霧する工夫が施されている。
【0025】
前記速度センサー14は、例えば、車輪の角速度から走行速度を求めるタコメーター14が好適に用いられる。図示例に係る速度センサー14は、移動式コンクリート打設型枠装置1の走行速度を感知するべく、同型枠装置1の最後尾の車輪1aに取り付けて実施している。
【0026】
前記速度反応ユニット15は、前記速度センサー14で感知した速度に対応する適正な圧力を算出して圧力ポンプ16へ指令を送るソフトを内蔵しており、圧力ポンプ16と連動して噴霧アーム11へ養生剤18を供給する際の適正な圧力を、移動式コンクリート打設型枠装置1の走行速度に応じて調整し、養生剤18の噴霧量を自動的に調整する役割を果たしている。
【0027】
前記圧力ポンプ16は、噴霧ノズル13の粒径(性能)および設置数量に応じて適正な能力を選定する。実験結果によると、通常のトンネル断面積(60〜94m)の範囲内で、前記噴霧ノズル13を用い、養生剤18の噴霧量を150g/mに設定し、移動式コンクリート打設型枠装置1の移動速度を2.1m/minに設定した場合に、噴霧量を2リットル/minに制御可能な三相200V・750Wの圧力ポンプ(高圧ポンプ)16が好適であることが分かっている。
【0028】
前記養生剤タンク17は、移動式コンクリート打設型枠装置1の移動速度にあわせてコンクリート表面3aの全面を塗布し得る量を一時的に貯めることができる量とし、具体的には、100リットル用タンクで十分である。
【0029】
前記養生剤18は、市販の乾燥収縮低減剤等の被膜型コンクリート表面養生剤、或いは浸透型コンクリート表面養生剤が好適に用いられる。養生剤の効能については、コンクリート表面3aに浸透しコンクリート表面3aを緻密化してコンクリートそのものの品質を改善するものや、メンテナンスフリーを目的として汚れを付着しにくくすることにより将来の維持管理性を向上させるものなど、近年多様化しているが、本実施例ではこれらの養生剤を当然に含む。ただし、コンクリート打設後の適切な時期に噴霧してコンクリート表面3aの水分の蒸発を防ぎ、乾燥収縮ひび割れを防止することを目的するトンネル覆工コンクリートの施工条件を鑑みると、溶液濃度はある程度薄い方が好ましい。
【0030】
したがって、上述した構成の養生装置10を用いて行う養生方法は、以下のような手順で行われる。
【0031】
養生剤18の噴霧作業を開始するにあたり、予め、前記噴霧アーム11の全体を養生シート(図示省略)で覆う。勿論、噴霧ノズル13は養生シートからコンクリート表面3a側へ突き出した構成とする。その他、噴霧アーム11の内部を養生剤18で充満させておく。噴霧ノズル13はチェックバルブを備えているのでこの段階で噴霧ノズル13から養生剤18が溢れることはない。
【0032】
そして、トンネル覆工コンクリートを成形し、脱型した移動式コンクリート打設型枠装置1をトンネルの奥行き方向(図1中の符号X参照)へ移動させる。そうすると、同型枠装置1の最後尾の車輪1aに取り付けた速度センサー(タコメーター)14が同型枠装置1の走行速度(本実施例では2.1m/min)を感知する。
【0033】
速度センサー14により感知した前記移動式コンクリート打設型枠装置1の走行速度に対応する適正な圧力を前記速度反応ユニット15が算出して圧力ポンプ16へ指令を送る。このように、前記速度反応ユニット15は、前記圧力ポンプ16と連動して噴霧アーム11へ養生剤18を供給する際の適正な圧力を調整し、養生剤18の噴霧量(本実施例では2リットル/min)を自動的に調整する。
【0034】
そうすると、養生剤タンク17内の養生剤18が、調整された適正な圧力で圧送され、ホース(ヘッダー)19を通じて噴霧アーム11へ供給される。噴霧アーム11内へ供給された養生剤18は、二股アダプタ12を経由してすべての噴霧ノズル13…から同時に均等に150g/m(〜300g/m)程度で噴霧されて、コンクリート表面3の周方向の全面を均一に塗布する。
なお、実施例では、図3に概略的に示したように、噴霧アーム11の右側の端部から養生剤18を供給する構成で実施しているが勿論これに限定されず、噴霧アーム11の両端部から養生剤18を供給する構成で実施することもできるし、噴霧アーム11の両端部および中間部から養生剤18を供給する構成で実施することもできる。
【0035】
かくして、アーチ形状の噴霧アーム11の一端部から他端部にわたり500mm間隔毎に設置された複数の噴霧ノズル13…を通じて、養生剤18が、トンネル覆工コンクリート3のコンクリート表面3aの周方向の全面を均一に塗布しながら、移動式コンクリート打設型枠装置1の移動(通常の移動距離は10.5m〜31.5m)に伴い、前記コンクリート表面3aの全体を均一に塗布することができるのである。
なお、噴霧ノズル13の性能、設置数量、および設置角度については、もちろん本実施例に限定されるものではなく、コンクリート表面3aに養生剤18を均一に噴霧できることを条件に、成形するトンネルの規模はもとより、移動式コンクリート打設型枠装置1の走行速度、コンクリート表面3aから噴霧ノズル13の先端部までの距離等に応じて適宜設計変更可能である。
【0036】
したがって、この実施例1に係るコンクリート連続体の養生装置および養生方法によれば、前記した構成の養生剤噴霧装置2により、脱型した直後のコンクリート連続体3のコンクリート表面3aの全面を外気に晒すことなく養生剤18により均一に噴霧(塗布)できるので、コンクリート表面3aのひび割れを大幅に低減することができ、コンクリート連続体3の強度および耐久性の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0037】
図5、図6は、請求項1に記載したコンクリート連続体の養生装置の異なる実施例を示している。
上記実施例1に係る養生装置10は、前記養生剤噴霧装置2を、謂わば移動式コンクリート打設型枠装置1の付属品としてその後部に取り付けた構成で実施しているが、図5と図6に示したように、移動式コンクリート打設型枠装置1とは独立した構成として実施することもできる。
【0038】
すなわち、この実施例2に係る養生剤噴霧装置2は、先行する移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に着脱自在に連結された台車6に設置した構成で実施している。要するに、前記養生剤噴霧装置2を、前面側に噴霧アーム11を備え、縦桟7、横桟8等を用いて枠状に組み立てて台車形式にしたものが実施例2である。
以下、養生剤噴霧装置2を構成する噴霧アーム11の形状、噴霧ノズル13の性能、取付態様などは上記実施例1と同様なので(例えば、図4参照)、同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0039】
この実施例2に係る養生剤噴霧装置2は、前記移動式コンクリート打設型枠装置1と、連結部材19を介してボルト・ナット等の接合手段で着脱自在に連結されている。
また、この養生剤噴霧装置2は、その構成要素である速度反応ユニット15、圧力ポンプ16、養生剤タンク17を、同噴霧装置2に備えた受け台9に設置して実施している。速度センサー(タコメーター)14は、同噴霧装置2に備えた車輪6aに取り付けて実施しているが、先行する移動式コンクリート打設型枠装置1の車輪1aに取り付けて実施することもできる。
ちなみに、図示例に係る台車6の車輪6aについて、通常、トンネル内には移動式コンクリート打設型枠装置1を移動させる手段としてガイドレールが敷設されているが、当該ガイドレール上をスムーズに走行できる配置および形式で実施することが好ましい。
【0040】
よって、この実施例2に係る養生装置10を用いて行う養生方法は、前記養生剤噴霧装置2を移動式コンクリート打設型枠装置1の付属品として実施するか、独立した台車形式として実施するかの違いはあるものの、上記実施例1で説明した手順と同様の手順で行うことができる(上記段落[0031]〜[0034]参照)。
【0041】
したがって、この実施例2に係るコンクリート連続体の養生装置および養生方法によれば、上記実施例1と同様に、前記養生剤噴霧装置2により、脱型した直後のコンクリート連続体3のコンクリート表面3aの全面を外気に晒すことなく養生剤18により均一に噴霧(塗布)できるので、コンクリート表面3aのひび割れを大幅に低減することができ、コンクリート連続体3の強度および耐久性の向上を図ることができる。
加えて、養生剤噴霧装置2を移動式コンクリート打設型枠装置1とは独立した台車形成で構成するので、養生剤18を噴霧する際に連結し、噴霧作業が終われば容易に撤去できるなど、汎用性に優れている。また、移動式コンクリート打設型枠装置1の構造に一切影響を受けることなく必要に応じて噴霧アーム11を前後に並設した構成で実施できるなど、フレキシブルな設計変更を行うことができる。
【実施例3】
【0042】
図7は、請求項2に記載したコンクリート連続体の養生装置を示している。
上記実施例1と実施例2に係る養生装置は、前記養生剤噴霧装置2を、移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に設けた構成で実施しているのに対し、この実施例3に係る養生装置は、前記養生剤噴霧装置2を、前記移動式コンクリート打設型枠装置1に牽引される養生台車20の後部に設けた構成で実施している点が相違する。
この場合、養生剤噴霧装置2の構成要素である速度反応ユニット15、圧力ポンプ16、養生剤タンク17は、養生台車20に設置している。また、速度センサー14は、養生台車20の最後尾の車輪20aに取り付けている。
【0043】
すなわち、この実施例3に係る養生装置は、移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に、トンネル覆工コンクリート(コンクリート連続体)3のコンクリート表面3aを湿潤状態として一定期間養生する養生台車20が取付部材21を介して連結され、前記養生台車20の後部に、前記トンネル覆工コンクリート3の内側面形状と類似するアーチ形状の噴霧アーム11を備えた養生剤噴霧装置2が設けられている。
また、前記養生剤噴霧装置2は、養生台車20の移動速度に応じて養生剤18の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を備えており、前記養生台車20の移動にしたがい、前記噴霧アーム11に設備した噴霧ノズル13から、トンネル覆工コンクリート3のコンクリート表面3aへ養生剤18を均一に噴霧する構成とされている。
【0044】
要するに、この実施例3に係る養生装置は、移動式コンクリート打設型枠装置1により成形したトンネル覆工コンクリート3のコンクリート表面3aの全面を、先ず、養生台車20により湿潤状態として一定期間(通常7日間)養生し、コンクリートの水和反応を積極的に促進してコンクリート表面3aを緻密化させた上で、さらに、前記養生剤噴霧装置2により、前記コンクリート表面3aに養生剤18を均一に噴霧する装置である。
以下、養生剤噴霧装置2を構成する噴霧アーム11の形状、噴霧ノズル13の性能、取付態様などは上記実施例1と同様なので(図2〜図4参照)、同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0045】
前記養生台車20によりコンクリート表面3aを湿潤状態で一定期間(通常7日間)養生する養生技術は、上述した[背景技術]の項でも説明したように種々知られている。
本発明では、養生台車20の後部に前記養生剤噴霧装置2を取り付けることができれば、いずれの養生技術にも適用可能であるが、この中でも、[背景技術]の(4)に係る技術(例えば、特開2004−285803号公報の図3参照)が好適である。
すなわち、図7に示したように、養生台車20の前後を防水シート22で密閉して、コンクリート表面3aと養生シート(図示省略)との間に密閉空間を形成し、コンクリート表面3aを安定した状態で連続的な水和反応の持続を維持できる養生技術が好適に採用される。以下の実施例4についても同様の技術的思想とする。
【0046】
よって、この実施例3に係る養生装置を用いて行う養生方法は、先行するものが移動式コンクリート打設型枠装置1であるか、養生台車20であるかの違いはあるものの、おおよそ上記実施例1で説明した手順と同様の手順で行うことができる(上記段落[0031]〜[0034]参照)。
【0047】
したがって、この実施例3に係るコンクリート連続体の養生装置および養生方法によれば、脱型後のコンクリート連続体3のコンクリート表面3aの全面を外気に晒すことなく前記養生台車20によりコンクリートの水和反応を積極的に促進してコンクリート表面3aを緻密化させた上で、さらに、前記養生剤噴霧装置2により、コンクリート表面3aの全面を外気に晒すことなく養生剤18で均一に噴霧(塗布)できる。よって、コンクリート表面3aのひび割れをほぼ完璧に防止することができ、コンクリート連続体3の強度および耐久性を飛躍的に高めることができる。
【実施例4】
【0048】
図8は、請求項2に記載したコンクリート連続体の養生装置の異なる実施例を示している。
上記実施例3に係る養生装置は、前記養生剤噴霧装置2を、謂わば養生台車20の付属品としてその後部に取り付けた構成で実施しているが、図8に示したように、養生台車20とは独立した構成として実施することもできる。
【0049】
すなわち、この実施例4に係る養生剤噴霧装置2は、先行する養生台車20の後部に着脱自在に連結された台車6に設置した構成で実施している。要するに、前記養生剤噴霧装置2を、前面側に噴霧アーム11を備え、縦桟7、横桟8等を用いて枠状に組み立てて台車形式にしたものが実施例4である。
以下、養生剤噴霧装置2を構成する噴霧アーム11の形状、噴霧ノズル13の性能、取付態様、養生台車20の形態などは上記実施例3と同様なので、同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0050】
この実施例4に係る養生剤噴霧装置2は、前記養生台車20と、連結部材19を介してボルト・ナット等の接合手段で着脱自在に連結されている。
また、この養生剤噴霧装置2は、その構成要素である速度反応ユニット15、圧力ポンプ16、養生剤タンク17を、同噴霧装置2に備えた受け台9に載置して実施している(図6を援用して参照)。速度センサー(タコメーター)14は、同噴霧装置2に備えた車輪6aに取り付けて実施しているが、先行する養生台車20の車輪20aに取り付けて実施することもできる。
ちなみに、図示例に係る台車6の車輪6aについて、通常、トンネル内には移動式コンクリート打設型枠装置1および養生台車20を移動させる手段としてガイドレールが敷設されているが、当該ガイドレール上をスムーズに走行できる配置および構成で実施することが好ましい。
【0051】
よって、この実施例4に係る養生装置を用いて行う養生方法は、前記養生剤噴霧装置2を牽引するものが移動式コンクリート打設型枠装置1であるか、養生台車20であるかの違いはあるものの、おおよそ上記実施例1で説明した手順と同様の手順で行うことができる(上記段落[0031]〜[0034]参照)。
【0052】
したがって、この実施例4に係るコンクリート連続体の養生装置および養生方法によれば、上記実施例3と同様に、脱型後のコンクリート連続体3のコンクリート表面3aの全面を外気に晒すことなく前記養生台車20によりコンクリートの水和反応を積極的に促進してコンクリート表面3aを緻密化させた上で、さらに、前記養生剤噴霧装置2により、コンクリート表面3aの全面を外気に晒すことなく養生剤18で均一に噴霧(塗布)できる。よって、コンクリート表面3aのひび割れをほぼ完璧に防止することができ、コンクリート連続体3の強度および耐久性を飛躍的に高めることができる。
加えて、養生剤噴霧装置2を養生台車20とは独立した台車形成で構成するので、養生剤18を噴霧する際に連結し、噴霧作業が終われば容易に撤去できるなど、汎用性に優れている。また、養生台車20の構造に一切影響を受けることなく必要に応じて噴霧アーム11を前後に並設した構成で実施できるなど、フレキシブルな設計変更を行うことができる。
さらに、前記養生剤噴霧装置2は、養生台車20と着脱可能な構成で実施しているので、必要に応じて、容易に、上記実施例2の実施形式(移動式コンクリート打設型枠装置1の後部に養生剤噴霧装置2を連結する形式)に設計変更できる利点もある。
【0053】
以上に実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、上記実施例1〜実施例4では、コンクリート連続体3としてトンネル覆工コンクリートを想定して説明しているがこれに限定されず、噴霧アーム11を門形に形成する等の形式的な設計変更は伴うものの、大型のボックスカルバートの養生にも本発明は同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1に係るコンクリート連続体(トンネル覆工コンクリート)の養生装置を側面方向から見た立断面図である。
【図2】実施例1に係るコンクリート連続体(トンネル覆工コンクリート)の養生装置を正面方向から見た立断面図である。
【図3】養生装置を構成する養生剤噴霧装置の主要部を示した概略図である。
【図4】噴霧アームの上部構造を拡大して示した立面図である。
【図5】実施例2に係るコンクリート連続体(トンネル覆工コンクリート)の養生装置を側面方向から見た立断面図である。
【図6】実施例2に係るコンクリート連続体(トンネル覆工コンクリート)の養生装置を正面方向から見た立断面図である。
【図7】実施例3に係るコンクリート連続体(トンネル覆工コンクリート)の養生装置を側面方向から見た立断面図である。
【図8】実施例4に係るコンクリート連続体(トンネル覆工コンクリート)の養生装置を側面方向から見た立断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 移動式コンクリート打設型枠装置
1a 車輪
2 養生剤噴霧装置
3 トンネル覆工コンクリート(コンクリート連続体)
3a コンクリート表面
4 取付部材
5 支保部材
6 台車
6a 車輪
7 縦桟
8 横桟
9 受け台
10 養生装置
11 噴霧アーム
11a 養生剤供給管
12 二股アダプタ
13 噴霧ノズル
14 速度センサー(タコメーター)
15 速度反応ユニット
16 圧力ポンプ(高圧ポンプ)
17 養生剤タンク
18 養生剤
19 連結部材
20 養生台車
20a 車輪
21 取付部材
22 防水シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式コンクリート打設型枠装置を用いて成形したトンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体の養生装置であって、
移動式コンクリート打設型枠装置の後部に、前記コンクリート連続体の内側面形状と類似する形状の噴霧アームを備えた養生剤噴霧装置が設けられており、
前記養生剤噴霧装置は、移動式コンクリート打設型枠装置の移動速度に応じて養生剤の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を備えており、脱型した移動式コンクリート打設型枠装置の移動にしたがい、前記噴霧アームに設備した噴霧ノズルから、コンクリート連続体のコンクリート表面へ養生剤を均一に噴霧する構成とされていることを特徴とする、コンクリート連続体の養生装置。
【請求項2】
移動式コンクリート打設型枠装置を用いて成形したトンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体の養生装置であって、
移動式コンクリート打設型枠装置の後部に、前記コンクリート連続体のコンクリート表面を湿潤状態として一定期間養生する養生台車が連結され、前記養生台車の後部に、前記コンクリート連続体の内側面形状と類似する形状の噴霧アームを備えた養生剤噴霧装置が設けられており、
前記養生剤噴霧装置は、養生台車の移動速度に応じて養生剤の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を備えており、前記養生台車の移動にしたがい、前記噴霧アームに設備した噴霧ノズルから、コンクリート連続体のコンクリート表面へ養生剤を均一に噴霧する構成とされていることを特徴とする、コンクリート連続体の養生装置。
【請求項3】
前記養生剤噴霧装置は、先行する移動式コンクリート打設型枠装置の後部に着脱自在に連結された台車に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載したコンクリート連続体の養生装置。
【請求項4】
前記養生剤噴霧装置は、先行する養生台車の後部に着脱自在に連結された台車に設置されていることを特徴とする、請求項2に記載したコンクリート連続体の養生装置。
【請求項5】
前記養生剤噴霧装置は、前記噴霧アームと噴霧ノズルと噴霧量調整機構とから成り、 前記噴霧アームは、複数の養生剤供給管を連結してアーチ形状に形成されていること、
前記噴霧ノズルは、前記噴霧アームの一端部から他端部にわたりほぼ等間隔に設けられていること、
前記噴霧量調整機構は、タコメーター等の速度センサーと、圧力ポンプと、前記速度センサーで感知した速度に対応する圧力を前記圧力ポンプに指示できるソフトを組み込んだ速度反応ユニットと、養生剤を貯留する養生剤タンクとで構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載したコンクリート連続体の養生装置。
【請求項6】
移動式コンクリート打設型枠装置を用いて成形したトンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体の養生方法であって、
移動式コンクリート打設型枠装置の後部に、前記コンクリート連続体の内側面形状と類似する形状の噴霧アームを有する養生剤噴霧装置を設け、
前記養生剤噴霧装置は、移動式コンクリート打設型枠装置の移動速度に応じて養生剤の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を有しており、脱型した移動式コンクリート打設型枠装置の移動にしたがい、前記噴霧アームに設備した噴霧ノズルから、コンクリート連続体のコンクリート表面へ養生剤を均一に噴霧することを特徴とする、コンクリート連続体の養生方法。
【請求項7】
移動式コンクリート打設型枠装置を用いて成形したトンネル覆工コンクリート等のコンクリート連続体の養生方法であって、
移動式コンクリート打設型枠装置の後部に、前記コンクリート連続体のコンクリート表面を湿潤状態として一定期間養生する養生台車を連結し、前記養生台車の後部に、前記コンクリート連続体の内側面形状と類似する形状の噴霧アームを有する養生剤噴霧装置を設け、
前記養生剤噴霧装置は、養生台車の移動速度に応じて養生剤の噴霧量を調整する噴霧量調整機構を有しており、前記コンクリート表面を湿潤状態として一定期間の養生を終えた養生台車の移動にしたがい、前記噴霧アームに設備した噴霧ノズルから、コンクリート連続体のコンクリート表面へ養生剤を均一に噴霧することを特徴とする、コンクリート連続体の養生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−84387(P2010−84387A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253561(P2008−253561)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)
【出願人】(505356491)株式会社マシノ (10)
【Fターム(参考)】