説明

コンクリート防護粒子コロイド

コンクリート防護粒子コロイドは、主にケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムと水から構成される。その特徴は、ケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムは直径:1〜100nmの超微細固体粒子であり、ケイ酸ナトリウムと、ケイ酸カリウムの比率は、3.2〜4.2:1。コロイド中の超微細固体粒子の総量と水の総量の重量比は、26〜30%:74〜70%。
本発明の利点は、超微細固体粒子が高度分散されるコロイドは、コンクリート毛細孔中で水和化物と化学反応する主体であるイオンを超微細固体粒子に変えた。
コンクリート構造体に対して全体隔離層と局部隔離層の二重隔離保護層を作り出す。それを基礎とし、粒子コロイドの特性とゲルの特性を有機的に結合させ、全体に働きかけ、腐食媒質の侵入と侵食を抑止することにより、コンクリート構造物への長期かつ安定的に有効な保護を実現する。さらに、コンクリート構造の耐久性を向上させ、実際使用寿命を延ばし、メンテナンスコストを軽減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート防護材に関連するものである。この防護材は外塗装浸透型製品であり、一種のコロイド型コンクリート防護材である。
【背景技術】
【0002】
現在、コンクリート構造物を防護するためにコンクリート表層部に塗布する材料を採用する方法は多々ある。
【0003】
主に防水箇所と修繕箇所にケイ酸ナトリウムを主成分とした浸透材の材料を注入或いは塗布することによって、コンクリート構造を保護する目的に達する。しかし、当材料の主体はメタケイ酸ナトリウムであり、コンクリートの中での反応速度が速く、浸透性は低く、表面に膜状物質を生成し、磨損破壊しやすいなどの問題が存在する。
【0004】
上述の問題に対して、改良したのはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液である。例えば、出願特許公開により、アルカリ金属シリケートの中のケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムのうち、任意で2種類を選択し組み合わせ、モル比1:1に準じて水を混入し、アルカリ金属のケイ酸塩水溶液(以下混合水溶液と称す)を作り出す。さらに水酸化ナトリウムを添加し、水酸化ナトリウムの添加量を調節することにより、混合水溶液がコンクリートの中でのゲル化の速度を調整する。
【0005】
この混合水溶液をコンクリート構造物の表面に塗布後、当該材料はコンクリートの空隙にゲル化し、空隙を塞ぎ、コンクリート内部に水分が浸入するのを抑止することを可能とする。この改良後の混合水溶液は、ゲル化の速度調整により混合水溶液のゲル化の速度を遅らせ、混合水溶液をコンクリート内部に深く浸透させることに大きな役割を果たしている。しかし、浸透結晶型防護材はコンクリート構造への総合防護においては、反応生成したゲル-結晶の品質はコンクリート構造防水防護の決定的な要素である。
【0006】
当材料がアルカリ金属ケイ酸塩の混合水溶液であるため、溶液の性質により、反応生成したゲルの品質に欠陥があり、解決すべき問題は残る。
【0007】
コンクリート構造の有効保護を実現するための混合水溶液に関する未解決課題:
1.コンクリート孔隙中に生成したゲルは不安定である。
生成したゲルが再度水に触れると水溶液の状態に戻る。ゲルは水の作用でゲル→水溶液→ゲルの変化が発生する。つまり可逆性を持っている。従って、混合水溶液がコンクリート内部に生成したゲルは不安定であり、防護効果が低い。これは、自然環境の中にあるコンクリート構造の防護に対して極めて不利である。
【0008】
2.コンクリート孔隙中に生成したゲル自身の力学性能が良くない。
混合水溶液がコンクリートの孔隙中に生成したゲルは、固体組織が無く直接反応して生成された。そのため、ゲルが固体骨格組織の支えがないので力学的な性能は良くない。そして、水の浸透に対する抵抗力も良くない。さらに、コンクリートの変形に対する抵抗力も弱い。従って、コンクリート構造物の保護に対しては不利である。
【0009】
3.コンクリート孔隙中に生成したゲルの孔構造が良くない。
ゲルは固体骨格組織が無いので、ゲル層の孔構造は良くない。孔径は大きく、しかも孔の分散度は小さい。そのため、ゲル層の比表面積は小さく、表面吸着能力も小さくなる。従って、ゲル層は気態の水(湿気)と腐食媒質に対する吸着能力も弱くなり、コンクリートへの保護能力は低下する。
【0010】
4.混合水溶液のコンクリートへの保護は不十分である。
混合水溶液のコンクリート構造物に対する保護は、ゲルでコンクリート内部に侵食されやすい成分の一つである水酸化カルシウム(Ca(OH)2)のカルシウムイオン(Ca2+)を固定することのみにより、実現しようとする。しかし、コンクリートの構造物への全面保護の見地から見れば、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)は浸食され易い成分の一部にすぎない。コンクリートの中には同じような腐食媒質に侵食される成分がまだある。
【0011】
例えば、コンクリート中のセメント鉱物C3A(3CaO・SiO2)の中の水和産物の水和アルミ酸カルシウム(4CaO・Al2O3・19H2O)とカルシウムサルフォアルミネート(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)は硫酸塩に侵食され易く、コンクリートを膨張性破壊する可能性がある;C-S-H (3CaO・2SiO2・3H2O)は炭素化可能な物質であり、二酸化炭素により腐食されやすく、コンクリートを中性化破壊すること可能性がある。混合水溶液はコンクリート中にある腐食媒質により侵食され易い他の成分に対して保護ができないため、腐食媒質がコンクリート中の保護されていない、かつ侵食され易い他の成分を侵食し、コンクリートを腐食させる可能性がある。従って、混合水溶液におけるコンクリート構造物の腐食媒質侵食に対する抵抗性から言えば、これだけでは不完全である。
【0012】
5.ゲル層自身の凍結融解に対する抵抗性が無い。
混合水溶液がコンクリート内部を一定の乾燥状態に保つことで、凍結融解破壊を抑制することが出来る。但し、ゲル層自身の多孔性により毛細作用による吸水をし、氷点下の時吸水後のゲル自身が凍結するので、コンクリートのゲル層が凍結融解で破壊される。従って、コンクリートへの保護効果は失われることになる。
【0013】
つまり、混合水溶液はコンクリート内部に生じる凍結融解破壊を阻止できるが、コンクリートのゲル層自身の凍結融解破壊を防ぐことは出来ない。しかし、コンクリートの凍結融解破壊は一般的に表面から内面に及ぶので、混合水溶液の凍結融解破壊への抑制効果は低いと言える。
【発明の内容】
【0014】
本発明は、混合水溶液のコンクリート構造物への防護に関する上述の問題に対して、もっと全面的、有効的にコンクリートを保護し、コンクリート構造物の耐久性を向上させることを目的として、コンクリート防護粒子コロイドを研究開発した。
【0015】
本発明であるコンクリート防護粒子コロイドは、主にケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムと水により構成されている。その特徴は、前述のケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムは直径:1〜100nmの超微細固体粒子である。ケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムの比率は3.2〜4.2:1、コロイド中の超微細固体粒子の総量と水の総量の重量比は26〜30%:74〜70%。コロイド中、ケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムの成分比率は次の通りである。
【0016】
ケイ酸ナトリウム 重量比 SiO2 : Na2O = 3.20〜3.40
モル比 SiO2 : Na2O = 3.30〜3.50
ケイ酸カリウム 重量比 SiO2 : K2O = 2.10〜2.30
モル比 SiO2 : K2O = 3.20〜3.25
本発明のコンクリート防護粒子コロイドの物理化学指標:
・溶解度 : 350g/100g(20℃)
・沸点 : 100℃
・密度 : 1.13±0.03/20℃(g/ml)
・粘度 : 1-5CPS/20℃
・pH値 : 11.4
・固体粒子直径 : 1〜100nm
【0017】
本発明のコンクリート防護粒子コロイドの利点
コンクリート構造物が、外的要因で各種の腐食媒質の侵食を受け、あるいは構造物自体の性能劣化で起きたコンクリート構造物の工作性、安全性の低下や耐久力の低減などの問題に対して、本発明のコンクリート防護粒子コロイドは、コンクリート構造に対して全体隔離層(コンクリート外部環境中の腐食媒質及び水の侵食を全体的に隔離する)と局部隔離層(コンクリート内部に侵食され易い成分を保護する)の二重隔離保護層を作り出す。それを基礎とし、粒子コロイドの特性とゲルの特性を有機的に結合させ、全体に働きかけ、腐食媒質の侵入と侵食を抑止することにより、コンクリート構造物への長期かつ安定的に有効な保護を実現する。さらに、コンクリート構造の耐久性を向上させ、実際使用寿命を延ばし、メンテナンスコストを軽減する。
【0018】
本発明のコンクリート防護粒子コロイドは根本的に“溶液”型材料の性質を変えた。つまり、イオン状の溶液を超微細固体粒子が高度分散されるコロイドに改良した。すなわち、コンクリート毛細孔中で水和化物と化学反応する主体であるイオンを超微細固体粒子に変えた。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明はナノテクノロジーを導入し、ケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムを直径1〜100nmの超微細固体粒子にする。その成分比率は以下の通りである。
【0020】
ケイ酸ナトリウム 重量比 SiO2 : Na2O = 3.20〜3.40
モル比 SiO2 : Na2O = 3.30〜3.50
ケイ酸カリウム 重量比 SiO2 : K2O = 2.10〜2.30
モル比 SiO2 : K2O = 3.20〜3.25
【0021】
超微細固体粒子のケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムは3.2〜4.2:1の比率で、分散媒質である水の中で分散し、水と混合する。これにより、超微細固体粒子のケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムは水の中に高度分散し、コロイドとなる。コロイド中、超微細固体粒子の総量と水の総量の重量比は26〜30%:74〜70%。
【0022】
具体的な実施例:200kgのコンクリート防護粒子コロイドを作り出す例を挙げて説明する。
1.直径が1〜100nmのケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムの超微細固体粒子原料を、ケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムの重量比3.2〜4.2:1に準じて、26〜30kgの混合物を作り出す。
ケイ酸ナトリウム : ケイ酸カリウム = 19.81〜24.23:5.0〜7.14(単位:kg)
2.1.の混合物に水を70〜74kg入れる。
3.2.を常温、常圧で一時間ほど充分に攪拌する。
4.攪拌後の混合液を3μmの分子篩にかけ濾過し、100kgの2倍濃縮粒子コロイドが得られる。
5.4.に対して、等倍の水で希釈する事で、200kgのコンクリート防護粒子コロイドを得ることが出来る。
【0023】
ここで得られたコンクリート防護粒子コロイドは以下の物理化学指標を持つ。
・溶解度 : 350g/100g(20℃)
・沸点 : 100℃
・密度 : 1.13±0.03/20℃(g/ml)
・粘度 : 1-5CPS/20℃
・pH値 : 11.4
・固体粒子直径 : 1〜100nm
【0024】
当コンクリート防護粒子コロイドの特徴:
1.このコンクリート防護粒子コロイドの特徴はナノテクノロジーを導入し、原料の粒子の分散度を粒子直径1〜100nmのナノレベルに高めた。ナノテクノロジーは原材料の分子と原子の構造を変えたため、超微細粒子は表面効果と体効果が生じた。その表面効果と体効果がさらに超微細粒子に原材料の性質と異なる新たな化学及び物理特性を与えた。従って、超微細固体粒子は極めて大きな比表面積、優れた化学反応活性、融点が低い、磁性が強いなどの特性を持つようになる。
【0025】
2.直径1〜100nm分散相の超微細固体粒子を分散媒質である水の中に分散し、粒子コロイド型のコンクリート防護材が得られる。このコロイド材料は拡散、ブラウン運動、沈殿、動電現象(electrokinetic phenomena)等の特性を持つ。コロイド中の超固体微粒子が分子運動理論に適し、動力学の相対安定性と高度分散性を持つ。
【0026】
3.粒子コロイドとセメントの水和産物とが反応し生成したゲルは、化学結合で剛性質点を連結することにより構成された三次元的網状骨格組織の剛性ゲル(rigidgel)である。構造は非常に安定し、たとえ脱水乾燥後に水を加えて加熱しても両方向性を示さない。従って、不可逆ゲルとなる。剛性ゲルは一定の幾何的な外形を持つため、固体的な力学性質を示す。すなわち、一定の強度、弾性、屈服値等を持つ。
【0027】
上述のコンクリート防護粒子コロイドをコンクリート構造の表面に塗布すると、その利点は以下の通りである。
【0028】
1.コンクリート防護粒子コロイドのコンクリート内部での反応は、非常に優良な化学反応活性を示す。
この防護材の超微細粒子表面の原子数と総原子数の比率は粒子直径が小さくなるにつれ、急激に増加し、超微細粒子の表面効果が発生する。同時に、超微細粒子表面の原子数は増加したため、粒子内部に含まれる原子数は減少してしまう。従って、エネルギー帯の中のエネルギー準位の間隔は増大し、さらに、電子運動に影響を与え、超微細粒子は体効果が発生する。表面効果と体効果はコンクリート防護粒子コロイドに優良な化学反応活性を持たせたため、ゲル保護層の生成に非常に有利である。
【0029】
2.コンクリート防護粒子コロイドのコンクリート内部における反応は、遅延性を有する。
コンクリート防護粒子コロイドの配合技術は、当該材料がコンクリート内部の水和産物と反応する時間を材料の浸透時間よりも遅延させることが出来る。従って、当該材料はコンクリート内部において、最大の浸透深度に達するができ、コンクリートゲル保護層の厚みを増加させるのに有利である。
【0030】
3.コンクリート防護粒子コロイドがコンクリート内部における反応は、一致性を示す。
コロイドが持つ動力学相対安定性と高度分散などの特性に従い、当該材料はコンクリート内部に質量同等の化学反応が発生できる。質量同等のゲル保護層の生成に有利である。
【0031】
4.コンクリート防護粒子コロイドが生成したゲル保護層の利点:
コンクリート防護粒子コロイドは直径1〜100nmの多分散相粒子で構成される。その中、異なる直径の粒子は、コンクリートの孔隙内部の水和産物と反応しゲルを生成する時に、異なる役割を持つ。大きな粒子を主にとし、化学反応過程において剛性三次元網状骨格が形成され、ゲル層に一定の幾何的な外形を持たせ、固体的な力学性質、すなわち、一定の強度、弾性、屈服値等を示す。中粒子、小粒子は三次元網状骨格と孔隙壁の間に密着し、空隙を充填する、孔隙内に三次元網状骨格の延長することにより、コンクリート中の大きな孔隙率を減少させ、ゲル層を緻密化にする。反応生成したC-S-Hゲルは化学結合で各粒子の表面と孔隙壁を包み込み、各粒子と孔隙壁を粘着させることにより、非常に安定した構造で、不可逆性と固体的力学性質をもつゲル層を形成する。C-S-Hゲルと異なる直径の粒子及びコンクリートの孔隙壁を有機的な結合させることにより、ゲル層に良い孔構造と大きい孔分散度を持たせる。従って、比表面積は大きく、優れた表面吸着能力を持つ。
【0032】
5.コンクリート防護粒子コロイドが生成したゲル保護層は二重隔離防護の利点を持つ。
5.1 ゲルはコンクリートに対して全体隔離保護層を形成する。
本発明のコンクリート防護粒子コロイドは、コンクリートの毛細孔と微細クラックのなかで反応し、生成したゲルで毛細孔や微細クラックを塞ぎ、コンクリートの密度を向上させる。外部環境の中の気体或いは液体の水をコンクリート内部に浸入する事を有効に阻止する。コンクリートに対して全体隔離層を形成する。毛細孔と微細クラックの中に存在しているゲルは、超微細ゲル孔で構成された剛性網状物質であるため、極めて大きな比表面積を持ち、非常に強い吸着能力を示す。
【0033】
ゲルは乾燥状態の時、外部環境の湿気が孔隙内に浸入すると、湿気をゲル層に吸着し、ゲル層内部の孔隙中に孔隙水膜は形成されないように働きかける。従って、腐食媒質が孔隙水膜中に移り拡散を阻止しコンクリート内部へ侵入する経路を遮断する。ゲル層が吸着する湿気の量が増えるに従い、ゲル孔を密閉するのに充分な量に達したとき、コンクリートの孔隙はゲルによって密閉される。従って、コンクリートの表面から、外部環境の中の湿気が浸入する事を完全に遮断することが出来る。
【0034】
外部環境の中の液態(体)水がコンクリート孔隙内に浸入すると、ゲル層は液態水を吸着し微膨張した後、ゲル孔を密閉する。従って、後続の液態水の浸入する事を阻止して、外部環境の中の液態(体)水を完全に遮断することが出来る。液態水が続けてコンクリートの表面から浸入することを完全に防げる。
【0035】
コンクリート防護粒子コロイドが反応後生成したゲルは、固体力学的性質を持つ。化学結合によってコンクリートの孔隙内壁と一体化し、コンクリートの孔隙内に安定的に存在する。従って、ゲル層は高い耐水圧比を持ち、コンクリートのゲル隔離層の信頼性を示すことができる。
【0036】
コンクリート防護粒子コロイドは湿気或いは液態水がコンクリートへの浸入を確実に有効的に遮断することが可能であるため、異なる水環境の中でも、コンクリートのゲル層内部は常に乾燥状態を保持できる。腐食媒質が湿気或いは液態水を媒体にしてコンクリート内部に浸入するのは不可能となる。さらに、腐食反応が発生する必須条件とする水と固体―液体界面の条件も存在しない。従って、コンクリートの腐食反応が発生する必要条件の一つを破壊した。コンクリート全体隔離保護の見地からみれば、コンクリートへの保護は出来るといえよう。
【0037】
5.2 ゲルは侵食されやすい成分に対して局部隔離保護層を形成する。
コンクリート防護粒子コロイドはコンクリート毛細孔と微細クラックの中の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と化学反応した後、C-S-Hゲルが生成される。ゲルはコンクリート孔隙内の溶解・遊離した水酸化カルシウム(Ca(OH)2)をゲルの成分にしながら保護する。同時に、反応後生成したC-S-Hゲルが化学結合によって、各粒子の表面と孔隙壁を包み込み、その包み込む作用が孔隙壁上の侵食されやすいアルミ化合物が含まれる物質の表面に保護膜を形成する。保護膜が時間の経過と共に反応が持続することで、より厚く緻密になり、アルミ化合物が含まれる物質の表面を貝殻のような保護膜を形成する。このような状況で、外部から腐食媒質がコンクリート孔隙内に浸入しても、或いはコンクリート内部に他の添加成分から分解された腐食媒質があったとしても、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)とアルミ化合物表面にある保護膜により、侵食反応の対象が無くなり、侵食反応が進行する条件が揃えない。従って、保護膜はコンクリート内部の侵食されやすい成分に対して局部隔離層を形成する。コンクリート内部の局部隔離層はコンクリートの腐食反応に必要とされるもうひとつの条件をなくし、コンクリート内部の侵食されやすい組成分を局部隔離することによりコンクリートは保護される。
【0038】
コンクリート構造物はコンクリート防護粒子コロイドの外部腐食媒質と水からの全体隔離、およびコンクリート内部に侵食されやすい組成分の保護の局部隔離、という二重保護により、さらに、腐食媒質は下記の原因で
1. 湿気、液態水を媒体にしてコンクリートの内部に浸入出来ない
2. コンクリート内部に腐食できる対象が無い
3. コンクリート内部が乾燥し、侵食反応を満たす条件が無いため、コンクリート構造物に対する侵食破壊の可能性が大幅に減少する。或いは、腐食媒質はコンクリート構造に対する侵食速度率は大幅に低減される。
【0039】
従って、コンクリート構造物は当初のアルカリ度(pH>11.5)を保持することが可能となり、腐食媒質に対する総合保護能力を増進し、コンクリート構造物の耐久性を向上させる。
【0040】
6.コンクリート防護粒子コロイドが生成したゲル層自身が凍結融解破壊に対する抵抗性を持つ。
コンクリート防護粒子コロイドがコンクリート内部に生成したゲル層は、ゲルの剛性質点により三次元網状骨格を形成し、ゲル孔から構成された多孔性物質である。ゲルはコンクリートの緻密度を高め、大きな毛細孔を微細な毛細孔とゲル孔に変える。ゲルでコンクリートの緻密度を高めた後に、水がコンクリートに浸入した際、ゲル層が最初の水を吸着し、三次元網状骨格は微膨張し緻密な湿潤ゲルとなり、それ以降に浸入してくる外部の水の経路を塞ぐ。コンクリート内部はゲル層の保護により、常に乾燥状態を維持しているため、凍結融解破壊の必要条件である水飽和は成立させない。
【0041】
一方、コンクリート毛細孔内部に反応生成したゲルはゲル孔から構成された多孔ゲル層である。多孔ゲルはコンクリートの毛細孔の直径を大幅に縮小したため、水がゲル孔に浸入した際、水分子の形でしかゲル孔の孔壁表面に物理的に吸着することができない。コンクリートの毛細孔の直径が大幅に縮小され、ゲル孔の直径になるとともに、ゲル層内に吸着した水の氷結点も大幅に下げられ、不凍水層になる。
【0042】
コンクリート防護粒子コロイドがコンクリート内部にゲル層を作ることで、コンクリート内部及びゲル層の氷結条件を無くし、凍結融解によるコンクリート構造物への破壊を有効に防ぐ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート防護粒子コロイドは、主にケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムと水から構成される。その特徴は、ケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムは直径:1〜100nmの超微細固体粒子であり、ケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムの比率は、3.2〜4.2:1で、コロイド中の超微細固体粒子の総量と水の総量の重量比は、26〜30%:74〜70%。
【請求項2】
請求項1で述べたコンクリート防護粒子コロイド、一つ目の特徴は以下である。
ケイ酸ナトリウム 重量比 SiO2 : Na2O = 3.20〜3.40
モル比 SiO2 : Na2O = 3.30〜3.50
【請求項3】
請求項1で述べたコンクリート防護粒子コロイド、二つ目の特徴は以下である。
ケイ酸カリウム 重量比 SiO2 : K2O = 2.10〜2.30
モル比 SiO2 : K2O = 3.20〜3.25
【請求項4】
請求項1で述べたコンクリート防護粒子コロイド、三つ目の特徴は以下である。粒子コロイドの主な物理化学指標は
・溶解度 : 350g/100g(20℃)
・沸点 : 100℃
・密度 : 1.13±0.03/20℃(g/ml)
・粘度 : 1-5CPS/20℃
・pH値 : 11.4
・固体粒子直径 : 1〜100nm

【公表番号】特表2009−545508(P2009−545508A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522072(P2009−522072)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/CN2007/002274
【国際公開番号】WO2008/017240
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509021708)
【氏名又は名称原語表記】ZHU,Xiangxiang
【Fターム(参考)】