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コンジュゲートタンパク質
説明

コンジュゲートタンパク質

本発明は、凝血因子など、治療用修飾タンパク質に関する。特に、本発明は、例えば、疎水性側鎖基を含むFVII、FVIII、またはFIXなど、コンジュゲート因子VIII分子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾タンパク質に関する。特に、本発明は、例えば、疎水性側鎖基とコンジュゲートされる凝血因子などのタンパク質に関する。本発明はさらに、このような分子の使用、ならびにこのような分子を生成させる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
血友病Aとは、凝血因子VIII(FVIII)活性の欠損または機能不全により引き起こされる、遺伝性の出血障害である。その臨床症状は、一次止血に関するものではなく(血栓の形成は正常に行われる)、二次的なトロンビン形成が行われないために、血栓が不安定なことである。血友病Aは、血液から単離するか、または組換えを介して生成させる凝血因子FVIIIの静脈内注射により治療する。FVIII阻害剤を伴う血友病A患者は、因子VIIa(FVIIa)のオンデマンド投与により治療することができる。血友病Bは、凝血因子IX(FIX)活性の欠損または機能不全により引き起こされ、患者は、因子IX(FIX)のオンデマンド投与により治療することができる。
【0003】
現在の治療に関する推奨は、従来のオンデマンド治療から、予防へと推移しつつある。フォンウィレブランド因子に結合した内因性FVIIIの循環における半減期は、12〜14時間であり、したがって、患者が実質的に無症状の生存を享受するには、毎週複数回にわたり予防治療を実施するべきである。内因性因子VIIの循環における半減期は、2時間未満である。内因性因子IXの循環における半減期は、19〜24時間である。多くの患者、とりわけ、小児および若年者にとって、静脈内投与は、大きな不都合および/または痛みを随伴する。したがって、当技術分野では、組換え凝血因子の循環における半減期を延長する必要が存在する。当技術分野ではまた、他の多くの治療用タンパク質および治療用ペプチドの半減期を、部位指向的な形で延長し、好ましくは、その結果として、比較的均質であり、効能が明確な医薬品をもたらす必要も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO07031559
【特許文献2】EP0319315
【特許文献3】WO2005/012347A2
【特許文献4】WO2009/115469A1
【特許文献5】US7220555B2
【特許文献6】WO2009/108806A1
【特許文献7】WO2007/056191A2
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Wardら、(1989)、Nature 341 :544〜546頁
【非特許文献2】M. Kjalke、Thromb. Heamostasis 78、1202〜1208頁、1997
【非特許文献3】Person、PNAS 98(24)、13583〜13588頁、2001
【非特許文献4】McGrawら(1985)、PNAS、82:2847頁
【非特許文献5】Biggs(1972、「Human Blood Coagulation Haemostasis and Thrombosis」、(1版)、Oxford、Blackwell Scientific、614頁)
【非特許文献6】ProctorおよびRapaport(Amer. J. Clin. Path. 36:212頁(1961))
【非特許文献7】T. Fujita、J. Iwasa、およびC. Hansch、J. Am. Chem. Soc. 86、5175〜5180頁(1964)、「A New Substituent Constant, Pi, Derived from Partition Coefficients」
【非特許文献8】C. A. Lipinskiら、Advanced Drug Delivery Reviews、23、3〜25頁(1997)、「Experimental and Computational Approaches to Estimate Solubility and Permeability in Drug Discovery and Development Settings」
【非特許文献9】I. Moriguchi、S. Hirono、I. Nakagome、H. Hirano、Chem. Pharm. Bull. 42、976〜978頁(1994)、「Comparison of Reliability of logP Values for Drugs Calculated by Several Methods」
【非特許文献10】Weberら、Anal. Biochem. 225:135頁(1995)
【非特許文献11】Klausenら、J. Chromatog. 718:195頁(1995)
【非特許文献12】Morrisら、「Mass Spectrometry of Biological Materials」、McEwenら編、Marcel Dekker (1990)、137〜167頁
【非特許文献13】Conboyら、Biol. Mass Spectrom. 21:397頁、1992
【非特許文献14】Hellerqvist、Meth. Enzymol. 193:554頁(1990)
【非特許文献15】Suttonら、Anal. Biohcem. 318:34頁(1994)
【非特許文献16】Harveyら、Organic Mass Spectrometry 29:752頁(1994)
【非特許文献17】Boons and Hale、「Organic Synthesis with Carbohydrates」、Sheffield Academic Press、2000、Sheffield、England
【非特許文献18】Stoll, V. S.およびBlanchard, J. S.、「Methods of Enzymology」、182、1990、Academic Press、24〜38頁
【非特許文献19】GE Healthcare instruction leaflet 71-7006-00 AT
【非特許文献20】M. M. Kurfurst、Anal.Biochem. 200(2):244〜248頁、1992
【非特許文献21】Agilent Technologies, note 5968-5658E
【非特許文献22】Thimら、Haemophilia (2010)、16、349頁
【非特許文献23】Kjalke Eur J Biochem、234、773頁
【非特許文献24】ChristensenおよびEgebjerg、Bio-technol. Appl. Biochem.、41、225〜231頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
循環における半減期を著明に延長した凝血因子の開発、および医薬用タンパク質一般の開発には、多様な方法が用いられている。これらの方法の多くは、例えば、PEG(ポリエチレングリコール)などの親水性ポリマーとのコンジュゲーションに関する。その一方で、疎水性側鎖基は、in vivoにおいて完全に分解しうるという事実のために、このような鎖とのコンジュゲーションが、魅力的な手法を構成している。他方で、1または複数の明確に規定された疎水性部分とのタンパク質のコンジュゲーションは、例えば、FVIIIなどの凝血因子を含めた、比較的大型のタンパク質の半減期を延長するための魅力的な手法を、これまでのところは構成していない。実際、このような疎水性部分のタンパク質へのコンジュゲーションは、1)FVIIIなどの大型のタンパク質が安定的であるのは、有機溶媒を欠いた水性緩衝液中に限られること;2)このような水性緩衝液中では、脂肪酸などの親油性部分が不溶性であること;3)比較的小型の親油性部分の結合が、例えば、FVIIIなど、はるかに大型のタンパク質の寿命を何らかの形で著明に延長する結果をもたらすことは疑わしいこと;4)親油性部分は、通常親水性であるタンパク質表面に結合すると、凝集またはエネルギー的には好ましいが破壊的なアンフォールディングのために、それらの安定性を撹乱しうること;および5)タンパク質の、その天然の結合パートナーとの相互作用も、同様の形で撹乱され、生物学的活性の低下をもたらしうることのために、現実的な手法であるとは考えられないであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シアル酸を介して、共有結合により少なくとも1つの疎水性側鎖基にコンジュゲートされる、例えば、抗体の抗原結合断片、FVII、FVIII、およびFIXなどの組換えタンパク質分子に関する。本発明はさらに、このようなコンジュゲートを生成させる方法、ならびにこのようなコンジュゲートの使用にも関する。
【0008】
このようなコンジュゲートは、循環における半減期が改変され、比較的均質の構造を有することが好ましい。コンジュゲートはさらに、生物学的活性を保持し、有機溶剤を用いずに生成させることが好ましい。しかし、微量の有機溶媒の使用を含む、このような分子を作製する方法を用いることも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義:
タンパク質
本発明の範囲内のタンパク質およびペプチドは、治療的処置に適するタンパク質/ペプチドであることが好ましい。このようなタンパク質には、血清タンパク質、例えば、血液凝固因子、ヘモグロビン、免疫グロブリン、抗体、Fab断片など、抗体の抗原結合断片、インターロイキン、アルファ-インターフェロン、ベータ-インターフェロン、ガンマ-インターフェロン、例えば、DR3、TNF1R、TNF2R、CD27、およびCD30など、TNF受容体ファミリーのメンバー、顆粒球コロニー刺激因子を含めたコロニー刺激因子、血小板由来増殖因子、およびホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)などのサイトカインが含まれるがこれらに限定されない。他のタンパク質には、インスリン、GLP-1、GLP-2、レクチンおよびリシンなどの植物タンパク質、腫瘍壊死因子および類縁の対立遺伝子、腫瘍壊死因子受容体の可溶性形態、インターロイキン受容体およびインターロイキン受容体の可溶性形態、ヒト増殖ホルモン、TGFaまたはTGFpなどの組織増殖因子、上皮増殖因子などの増殖因子、ホルモン、ソマトメジン、エリスロポエチン、色素細胞刺激ホルモン(pigmentary hormone)、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛ゴナドトロピン、濾胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲンアクチベーターなどが含まれる。対象の免疫グロブリンには、IgG、IgE、IgM、IgA、IgD、およびこれらの断片が含まれる。
【0010】
本発明によるタンパク質は、天然タンパク質と構造的に類似する可能性があり、天然タンパク質のC末端およびN末端の一方または両方に1または複数のアミノ酸を付加することにより、天然アミノ酸配列内の1または多数の異なる部位において1または複数のアミノ酸を置換することにより、天然タンパク質の一方の端部もしくは両方の端部において、またはアミノ酸配列の1もしくは複数の部位において、1または複数のアミノ酸を欠失させることにより、あるいは天然アミノ酸配列内の1または複数の部位に1または複数のアミノ酸を挿入することにより、天然タンパク質から誘導することができる。
【0011】
本明細書で用いられる「抗体」、「モノクローナル抗体」、および「mAb」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を有する、免疫グロブリン分子およびそれらの断片を指すことを意図する。全長抗体とは、ジスルフィド結合により相互に連結されている、2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖である、4本のポリペプチド鎖を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)と、重鎖定常領域とを含む。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびCH3の3つのドメインを含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略される)と、軽鎖定常領域とを含む。軽鎖定常領域は、CLという1つのドメインを含む。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称するより保存的な領域を散在させる、相補性決定領域(CDR)と称する、超可変性領域へとさらに細分することができる。各VH鎖およびVL鎖は、アミノ末端からカルボキシ末端へと、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置される、3つずつのCDRおよび4つずつのFRから構成される。全長抗体は通常、二価(bi-valent/di-valent)抗体である、すなわち、両方の「アーム」により抗原に結合する能力を有する。これに対し、本発明による一価抗体は、抗原に特異的な結合部位をただ1つだけ含む。
【0012】
「Fab領域」/「Fabドメイン」/「Fab断片」は、抗体が結合する特異的標的を規定する可変区画を含有する。Fab断片は、本発明による一特異性抗体/一価抗体の例である。本発明によるコンジュゲートFab断片は、翻訳後修飾されていないFab断片と比較して、循環における半減期が著明に延長されていることが多い。したがって、抗体のFab断片および他の抗原結合断片は、免疫系の調節に特に有用であり、したがって、例えば、癌、および、例えば、自己免疫疾患(乾癬、I型糖尿病、グレーブス病、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、多発性硬化症、関節リウマチ(RA)、自己免疫性心筋炎、川崎病、冠動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、自己免疫性甲状腺炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、全身性硬化症、乾癬性関節炎、骨関節炎、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑、移植片対宿主病、シェーグレン症候群、自己免疫性腎炎、グッドパスチャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、アレルギー、喘息、および他の自己免疫疾患を含めた)などの免疫関連障害の治療に特に有用である。
【0013】
本発明による一価抗体の例には、(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、およびCH1ドメインからなる一価断片である、Fab断片;(ii)例えば、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結された、それらのうちの1つだけがその抗原に特異的である、2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VHドメインおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一のアームのVLドメインおよびVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Wardら、(1989)、Nature 341 :544〜546頁);(vi)単離相補性決定領域(CDR);ならびに(vii)その抗原に対して一価である二重特異性抗体が含まれる。
【0014】
凝血因子:凝血因子は、二次血栓の形成に関与する。凝血因子には、vWF、因子I、因子II(プロトロンビン)、因子V、因子VII、因子VIII、因子IX、因子X、因子XI、因子XII、および因子XIIIが含まれる。本発明による凝血因子変異体は、凝血因子活性を有する、すなわち、該分子の活性は、天然の凝血因子活性の少なくとも25%であり、天然の凝血因子活性の好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、および最も好ましくは少なくとも90%である。
【0015】
因子VII(FVII)とは、肝臓で主に生成する糖タンパク質である。成熟タンパク質は、406アミノ酸残基からなり、相同性により規定される4つのドメインから構成される。N末端のGlaドメインに、2つの上皮増殖因子(EGF)様ドメイン、およびC末端のセリンプロテアーゼドメインが後続する。FVIIは、単鎖分子として、血漿中を循環する。活性化FVII(FVIIa)へと活性化すると、該分子は、残基Arg152と残基Ile153との間で切断され、ジスルフィド結合により一体に保持される2本鎖タンパク質が結果としてもたらされる。軽鎖が、GlaドメインおよびEGF様ドメインを含有するのに対し、重鎖は、プロテアーゼドメインである。FVIIaは、生物学的に活性となるのに、その細胞表面共因子である組織因子への結合を必要とする。
【0016】
因子VII(a)は、血漿に由来する場合もあり、よく知られた生成法および精製法を用いて、組換えにより生成させる場合もある。グリコシル化、ガンマ-カルボキシル化、および他の翻訳後修飾の程度および位置は、選択される宿主細胞およびその増殖条件に応じて変化しうる。「因子VIIポリペプチド」という用語は、因子VIIのザイモゲンならびに因子VIIの活性化形態を指す場合がある。本明細書では、「因子VII(a)ポリペプチド」という用語が、野生型の因子VIIa分子のほか、FVII(a)変異体、FVII(a)誘導体、およびFVII(a)コンジュゲートを指す。このような変異体、誘導体、およびコンジュゲートは、野生型のヒト因子VIIaと比べて、実質的に同じであるか、または改善された生物学的活性を示しうる。
【0017】
本発明による「FVII/FVII変異体」は、配列番号1の配列を有する因子FVIIを含み、親タンパク質のうちの1もしくは複数のアミノ酸が、別のアミノ酸により置換されており、かつ/または親タンパク質のうちの1もしくは複数のアミノ酸が、欠失しており、かつ/または1もしくは複数のアミノ酸が、タンパク質に挿入されており、かつ/または1もしくは複数のアミノ酸が親タンパク質に付加されている。FVII変異体は、野生型の因子VIIaと比べて、実質的に同じであるか、または改善された生物学的活性を示し、親ペプチドのうちの1または複数のアミノ酸が、アルキル化、グリコシル化、PEG化、アシル化、エステル形成、ジスルフィド結合形成、またはアミド形成などにより、遺伝子的に、かつ/または化学的に、かつ/または酵素的に修飾されている、FVIIポリペプチドをさらに含む。
【0018】
配列番号1:野生型のヒト凝血因子VII
ANAFLγγLRPGSLγRγCKγγQCSFγγARγIFKDAγRTKLFWISYSDGDQCASSPCQNGGSCKDQLQSYICFCLPAFEGRNCETHKDDQLICVNENGGCEQYCSDHTGTKRSCRCHEGYSLLADGVSCTPTVEYPCGKIPILEKRNASKPQGRIVGGKVCPKGECPWQVLLLVNGAQLCGGTLINTIWVVSAAHCFDKIKNWRNLIAVLGEHDLSEHDGDEQSRRVAQVIIPSTYVPGTTNHDIALLRLHQPVVLTDHVVPLCLPERTFSERTLAFVRFSLVSGWGQLLDRGATALELMVLNVPRLMTQDCLQQSRKVGDSPNITEYMFCAGYSDGSKDSCKGDSGGPHATHYRGTWYLTGIVSWGQGCATVGHFGVYTRVSQYIEWLQKLMRSEPRPGVLLRAPFP
γ:ガンマ-カルボキシル化Glu(「E」)残基を表わす。
【0019】
以下の通りに、FVIIaコンジュゲート活性を決定することができる:
阻害剤の混合物によりプロトロンビンおよびFXを処理して、微量の活性酵素を中和する。FV(135nMの最終濃度)、プロトロンビン(1.2uM)、TF経路阻害剤(0.1ug/ml)、および抗トロンビン抗体(AT、2.5uM)を、CaCl2(3mM)と混合し、4℃で一晩にわたり保存する。健常ボランティア被験者に由来する末梢血を、クエン酸中に入れる。M. Kjalke、Thromb. Heamostasis 78、1202〜1208頁、1997において説明される通りに、密度勾配遠心分離およびゲル濾過により血小板を単離し、37℃で15分間にわたり、50ug/mlのトロンビン受容体アゴニストペプチド(SFLLRN)と共にインキュベーションすることにより活性化する。血小板懸濁液のアリコートをTruCount試験管(Becton Dickinson)へと移し、製造元により説明される通り、FACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson)上で、蛍光ビーズを基準物質として用いることにより、血小板密度を決定する。約100,000個/ulの最終血小板密度を用いる。因子V(7ug/mlの最終濃度)を、タンパク質/Ca2+混合物に添加する。次いで、FVIIaコンジュゲート(50nM)を添加した後、血小板を添加して、200ulの最終容量を得る。150mMのNaCl、1mg/mlのBSA、1mMのEDTA、および50uMのPefabloc Xa(Pentapharm、Basel)を含有する、pH7.4の20mM Hepes中に0.5mMのChromozym TH(Roche Molecular Biochemicals)90ulに、10ulずつのアリコートを、時間間隔を置いて移す。20分後に、50%の酢酸100ulを添加することにより、基質の加水分解を停止させ、405nmにおける吸光度を測定する。トロンビン検量線から、トロンビン濃度を計算する。FVIIa活性を特徴づけるためのさらなるアッセイは、WO07031559;またはPerson、PNAS 98(24)、13583〜13588頁、2001;および本明細書で引用される参考文献において見出すことができる。
【0020】
因子VIII分子:FVIII/因子VIIIとは、肝細胞が主に生成させる、大型の複合体糖タンパク質である。FVIIIは、シグナルペプチドを含めた2351アミノ酸からなり、相同性により規定される複数の異なるドメインを含有する。3つのAドメイン、単独のBドメイン、および2つのCドメインが存在する。ドメインの順序は、NH2-A1-A2-B-A3-C1-C2-COOHと列挙することができる。FVIIIは、B-A3間境界で分離される2本の鎖として、血漿中を循環する。該鎖は、二価金属イオン結合により連結される。A1-A2-B鎖を重鎖(HC)と称するのに対し、A3-C1-C2を軽鎖(LC)と称する。
【0021】
in vivoにおいて、内因性の因子VIII分子は、多様なサイズのBドメインを伴う分子プールとして循環する。in vivoにおいておそらく生じることは、段階的なBドメインの酵素的除去であり、この結果、多様なサイズのBドメインを伴う分子のプールがもたらされる。Bドメインの最後の部分が除去される、740位における切断は、トロンビンの活性化と連関して生じると一般に考えられている。しかし、例えば、740位における切断部位が損なわれた因子VIIIの変異体が、活性でありうることも除外できない。
【0022】
本明細書で用いられる「因子VIII」または「FVIII」とは、内因性凝血経路のメンバーであり、血液凝固に不可欠である、ヒト血漿糖タンパク質を指す。「天然FVIII」は、配列番号2(アミノ酸1〜2332)に示される、全長ヒトFVIII分子である。Bドメインは、配列番号2のアミノ酸741〜1648にわたる。
【0023】
配列番号2:
ATRRYYLGAVELSWDYMQSDLGELPVDARFPPRVPKSFPFNTSVVYKKTLFVEFTDHLFNIAKPRPPWMGLLGPTIQAEVYDTVVITLKNMASHPVSLHAVGVSYWKASEGAEYDDQTSQREKEDDKVFPGGSHTYVWQVLKENGPMASDPLCLTYSYLSHVDLVKDLNSGLIGALLVCREGSLAKEKTQTLHKFILLFAVFDEGKSWHSETKNSLMQDRDAASARAWPKMHTVNGYVNRSLPGLIGCHRKSVYWHVIGMGTTPEVHSIFLEGHTFLVRNHRQASLEISPITFLTAQTLLMDLGQFLLFCHISSHQHDGMEAYVKVDSCPEEPQLRMKNNEEAEDYDDDLTDSEMDVVRFDDDNSPSFIQIRSVAKKHPKTWVHYIAAEEEDWDYAPLVLAPDDRSYKSQYLNNGPQRIGRKYKKVRFMAYTDETFKTREAIQHESGILGPLLYGEVGDTLLIIFKNQASRPYNIYPHGITDVRPLYSRRLPKGVKHLKDFPILPGEIFKYKWTVTVEDGPTKSDPRCLTRYYSSFVNMERDLASGLIGPLLICYKESVDQRGNQIMSDKRNVILFSVFDENRSWYLTENIQRFLPNPAGVQLEDPEFQASNIMHSINGYVFDSLQLSVCLHEVAYWYILSIGAQTDFLSVFFSGYTFKHKMVYEDTLTLFPFSGETVFMSMENPGLWILGCHNSDFRNRGMTALLKVSSCDKNTGDYYEDSYEDISAYLLSKNNAIEPRSFSQNSRHPSTRQKQFNATTIPENDIEKTDPWFAHRTPMPKIQNVSSSDLLMLLRQSPTPHGLSLSDLQEAKYETFSDDPSPGAIDSNNSLSEMTHFRPQLHHSGDMVFTPESGLQLRLNEKLGTTAATELKKLDFKVSSTSNNLISTIPSDNLAAGTDNTSSLGPPSMPVHYDSQLDTTLFGKKSSPLTESGGPLSLSEENNDSKLLESGLMNSQESSWGKNVSSTESGRLFKGKRAHGPALLTKDNALFKVSISLLKTNKTSNNSATNRKTHIDGPSLLIENSPSVWQNILESDTEFKKVTPLIHDRMLMDKNATALRLNHMSNKTTSSKNMEMVQQKKEGPIPPDAQNPDMSFFKMLFLPESARWIQRTHGKNSLNSGQGPSPKQLVSLGPEKSVEGQNFLSEKNKVVVGKGEFTKDVGLKEMVFPSSRNLFLTNLDNLHENNTHNQEKKIQEEIEKKETLIQENVVLPQIHTVTGTKNFMKNLFLLSTRQNVEGSYDGAYAPVLQDFRSLNDSTNRTKKHTAHFSKKGEEENLEGLGNQTKQIVEKYACTTRISPNTSQQNFVTQRSKRALKQFRLPLEETELEKRIIVDDTSTQWSKNMKHLTPSTLTQIDYNEKEKGAITQSPLSDCLTRSHSIPQANRSPLPIAKVSSFPSIRPIYLTRVLFQDNSSHLPAASYRKKDSGVQESSHFLQGAKKNNLSLAILTLEMTGDQREVGSLGTSATNSVTYKKVENTVLPKPDLPKTSGKVELLPKVHIYQKDLFPTETSNGSPGHLDLVEGSLLQGTEGAIKWNEANRPGKVPFLRVATESSAKTPSKLLDPLAWDNHYGTQIPKEEWKSQEKSPEKTAFKKKDTILSLNACESNHAIAAINEGQNKPEIEVTWAKQGRTERLCSQNPPVLKRHQREITRTTLQSDQEEIDYDDTISVEMKKEDFDIYDEDENQSPRSFQKKTRHYFIAAVERLWDYGMSSSPHVLRNRAQSGSVPQFKKVVFQEFTDGSFTQPLYRGELNEHLGLLGPYIRAEVEDNIMVTFRNQASRPYSFYSSLISYEEDQRQGAEPRKNFVKPNETKTYFWKVQHHMAPTKDEFDCKAWAYFSDVDLEKDVHSGLIGPLLVCHTNTLNPAHGRQVTVQEFALFFTIFDETKSWYFTENMERNCRAPCNIQMEDPTFKENYRFHAINGYIMDTLPGLVMAQDQRIRWYLLSMGSNENIHSIHFSGHVFTVRKKEEYKMALYNLYPGVFETVEMLPSKAGIWRVECLIGEHLHAGMSTLFLVYSNKCQTPLGMASGHIRDFQITASGQYGQWAPKLARLHYSGSINAWSTKEPFSWIKVDLLAPMIIHGIKTQGARQKFSSLYISQFIIMYSLDGKKWQTYRGNSTGTLMVFFGNVDSSGIKHNIFNPPIIARYIRLHPTHYSIRSTLRMELMGCDLNSCSMPLGMESKAISDAQITASSYFTNMFATWSPSKARLHLQGRSNAWRPQVNNPKEWLQVDFQKTMKVTGVTTQGVKSLLTSMYVKEFLISSSQDGHQWTLFFQNGKVKVFQGNQDSFTPVVNSLDPPLLTRYLRIHPQSWVHQIALRMEVLGCEAQDLY
【0024】
本発明による因子VIII分子は、配列番号2の残基1670〜1684のvWF結合領域内には1または複数の変化もまた存在しうるが、残りのドメインは、配列番号2のアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に示される配列に緊密に対応する、Bドメイン末端欠失型因子FVIII分子でありうる。本発明による好ましいBドメインリンカー(21アミノ酸)を、配列番号4(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQR)に示す。本発明によるFVIII分子は、配列番号2に示される配列と若干異なりうるが、これは、例えば、vWF結合能を低減する目的で、突然変異を導入しうる事実のために、残りのドメイン(すなわち、3つのAドメインおよび2つのCドメイン)が、配列番号2に示されるアミノ酸配列(アミノ酸1〜740および1649〜2332)とは若干、例えば、約1%、2%、または3%など、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸以上異なりうることを意味する。さらに、例えば、LRP、各種の受容体、他の凝血因子、細胞表面など、他の各種の構成要素、グリコシル化部位の導入および/または除去などにより、因子VIIIの結合能を修飾するために、分子内の他の位置にアミノ酸修飾(置換、欠失など)を導入することが妥当である。
【0025】
本発明による因子VIII分子は、因子VIII活性を有するが、これは、凝血カスケード内で、FVIIIと機能的に類似するかまたは同等の形で機能し、活性化血小板においてFIXaと相互作用することによりFXaの形成を誘導し、血栓の形成を支援する能力を意味する。活性化は、in vitroにおいて、例えば、血栓解析、内因性トロンビンポテンシャル解析など、当技術分野でよく知られる技法により評価することができる。本発明による因子VIII分子は、天然ヒトFVIIIのFVIII活性の少なくとも約10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、および100%であるか、または100%をさらに超えるFVIII活性を有する。
【0026】
内因性の全長FVIIIは、単鎖前駆体分子として合成される。分泌される前に、前駆体は、重鎖および軽鎖へと切断される。組換えBドメイン欠失FVIIIは、2つの異なる戦略により生成させることができる。Bドメインのない重鎖および軽鎖を2つの異なるポリペプチド鎖として個別に合成する(2本鎖戦略)か、またはBドメイン欠失FVIIIを、単鎖前駆体ポリペプチド鎖として合成し(単鎖戦略)、これを、全長FVIII前駆体と同じ形で重鎖および軽鎖へと切断する。
【0027】
Bドメイン欠失FVIII前駆体ポリペプチドでは、重鎖部分と軽鎖部分とが通常、リンカーにより隔てられている。Bドメイン欠失FVIII内に免疫原性エピトープを導入する危険性を最小化するために、リンカー配列は、FVIIIのBドメインに由来することが好ましい。少なくとも、リンカーは、Bドメイン欠失FVIII前駆体ポリペプチドを重鎖および軽鎖へと切断するプロテアーゼの認識部位を含まなければならない。全長FVIIIのBドメインでは、アミノ酸1644〜1648が、この認識部位を構成する。Bドメイン欠失FVIIIが活性化するとリンカーの除去をもたらすトロンビン部位は、重鎖内に配置される。したがって、リンカーのサイズおよびアミノ酸配列が、トロンビンの活性化による、残りのFVIII分子からのリンカーの除去に影響を与える可能性は低い。Bドメインの欠失は、FVIIIを生成させるのに有利である。にも関わらず、生成能を低下させることなく、Bドメインの一部をリンカー内に組み入れることもできる。生成能に対するBドメインの負の影響が、Bドメインの特定のサイズまたは配列に帰せられたことはない。
【0028】
末端欠失型Bドメインは、複数のO-グリコシル化部位を含有しうる。しかし、好ましい実施形態によれば、該分子が、末端欠失型Bドメイン内に含むO結合オリゴ糖は、1つ、代替的に、2つ、3つ、または4つだけである。好ましい実施形態によれば、末端欠失型Bドメインが含む潜在的なO-グリコシル化部位は1つだけであり、1または複数の疎水性部分が、好ましくはリンカーを介して、共有結合によりこのO-グリコシル化部位にコンジュゲートされる。因子VIII分子はまた、多数のN結合オリゴ糖も含有し、これらのうちの各々は、疎水性側鎖基を結合させるためのアンカーとして潜在的に用いることができる。
【0029】
野生型のFVIII分子におけるBドメインの長さは、約907アミノ酸である。本発明による分子における末端欠失型Bドメインの長さは、例えば、約12〜500アミノ酸、約12〜400アミノ酸、12〜300アミノ酸、12〜200アミノ酸、15〜100アミノ酸、15〜75アミノ酸、15〜50アミノ酸、15〜45アミノ酸、20〜45アミノ酸、20〜40アミノ酸、または20〜30アミノ酸など、例えば、約10アミノ酸〜約700アミノ酸など、約10〜約800アミノ酸で変化しうる。末端欠失型Bドメインは、重鎖および/もしくは軽鎖の断片、ならびに/または野生型FVIII分子内には見出されない、人工的に導入された配列の断片を含みうる。本明細書では、「Bドメイン末端欠失」および「Bドメイン欠失」という用語を互換的に用いることができる。
【0030】
フォンウィレブランド因子(vWF):vWFは、血漿中に存在する大型の単量体/多量体糖タンパク質であり、内皮(バイベル-パラーデ小体)、巨核細胞(血小板のα顆粒)、および内皮下結合組織において構成的に生成する。その主要な機能は、他のタンパク質、特に、因子VIIIへの結合であり、創傷部位への血小板の接着において重要である。因子VIIIは、vWFに結合するが、循環中では不活性である。因子VIIIは、vWFに結合しないと、急速に分解されるか、または除去される。したがって、FVIIIにおけるvWF結合能の低減または除去は、これまでのところ、循環における半減期が延長された因子FVIIIの変異体を得るのにまったく望ましくない手法であると考えられてきた。
【0031】
本明細書では、「vWFへの結合能の低減」という用語が、vWFへの結合能を、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは100%低下させた、因子VIIIの変異体を包含することを意図する。vWFに対するFVIIIの結合は、ELISA様のアッセイにより測定することもでき、表面プラズモン共鳴を用いる固定化vWFへの直接的な結合として測定することもできる。EP0319315において開示されている通り、vWFへの結合の原因となる因子VIII内の領域は、残基1670〜1684にわたる領域である。この領域に関わる、因子VIIIの点突然変異体および/または欠失突然変異体は、vWFに対する結合能を変化させると予測される。本発明により特に好ましい点突然変異の例には、以下の点突然変異:Y1680F、Y1680R、Y1680N、およびE1682T、およびY1680Cのうちの1または複数を含む変異体が含まれる。理論により拘束されることなく述べると、疎水性側鎖基を、vWF結合能が正常である因子VIII分子に結合させるのではなく、このような側鎖基を、vWF結合能を低下させた因子VIII分子に結合させることが有利でありうる理由は、大型の因子VIII/vWF複合体においては、該側鎖基のサイズが、比較的小さくなることであると予測される。比較的大きな側鎖基は、遊離因子VIIIの除去を遮断するのにより効果的に機能すると仮定される。
【0032】
因子IX:因子IXa(FIXa)は、テナーゼ複合体の一部として、凝血における適正なトロンビンの形成を支援するのに必要とされる因子Xaの大半を生成させることにより、止血における重要な役割を果たす、トリプシン様のセリンプロテアーゼである(HoffmanおよびMonroe、2001において総説されている)。因子IX(FIX)は、因子VII、プロトロンビン、因子X、およびプロテインCと構造的に類似する、ビタミンK依存性の凝血因子である。循環するザイモゲン形態は、N末端のγ-カルボキシグルタミン酸に富む(Gla)ドメイン、2つのEGFドメイン、およびC末端のトリプシン様セリンプロテアーゼドメインを含む、4つの異なるドメインへと分けられる、415アミノ酸からなる。FIXの活性化は、35アミノ酸の断片である、いわゆる活性化ペプチド(SchmidtおよびBajaj、2003)を放出する、Arg145-Ala146およびArg180-Val181における限定的なタンパク質分解により生じる。活性化ペプチドは、高度にグリコシル化され、2つのN結合グリカン、および最大4つのO結合グリカンを含有する。
【0033】
本明細書で用いられる「因子IX」または「FIX」とは、内因性の凝血経路のメンバーであり、血液凝固に不可欠である、ヒト因子IX糖タンパク質を指す。「因子IX(a)」には、個体によっては存在および発生する場合もある、天然のFIX(a)の対立遺伝子変異体が含まれる。因子IX(a)は、血漿に由来する場合もあり、よく知られた作製法および精製法を用いて、組換えにより生成させる場合もある。グリコシル化、ガンマ-カルボキシル化、および他の翻訳後修飾の程度および位置は、選択される宿主細胞およびその増殖条件に応じて変化しうる。別段に指定または指示しない限り、因子IXとは、その任意の断片、類似体、および誘導体を含め、凝血におけるその通常の役割において機能的な任意のヒト因子IXタンパク質分子を意味する。「野生型FIX」の1つの例は、配列番号3に示される、全長ヒトFIX分子である。
【0034】
本明細書で用いられる「類似体(analogue)」、もしくは「類似体(analogues)」、または「変異体」とは、配列番号3の配列を有する因子FIXを名指すことを意図し、親タンパク質のうちの1もしくは複数のアミノ酸が、別のアミノ酸により置換されており、かつ/または親タンパク質のうちの1もしくは複数のアミノ酸が、欠失しており、かつ/または1もしくは複数のアミノ酸が、タンパク質に挿入されており、かつ/または1もしくは複数のアミノ酸が親タンパク質に付加されている。このような付加は、親タンパク質のN末端またはC末端の一方で生じる場合もあり、これらの両方で生じる場合もある。この定義における「類似体(analogue)」または「類似体(analogues)」は、その活性化形態におけるFIX活性をなおも有する。一実施形態では、変異体が、配列番号3の配列と少なくとも90%同一である。さらなる実施形態では、変異体が、配列番号3の配列と少なくとも95%同一である。本明細書で用いられる、特定の位置に対する任意の言及は、配列番号3における対応する位置を指す。
【0035】
別段に指定しない限り、因子IXのドメインには、以下のアミノ酸残基:残基Tyr1〜残基Lys43の領域であるGlaドメイン;残基Gln44〜残基Leu84の領域であるEGF1;残基Asp85〜残基Arg145の領域であるEGF2;残基Ala146〜残基Arg180の領域である活性化ペプチド;および残基Val181〜残基Thr414の領域であるプロテアーゼドメインが含まれる。軽鎖が、Glaドメイン、EGF1、およびEGF2を包含する領域を指すのに対し、重鎖は、プロテアーゼドメインを指す。
【0036】
配列番号3:野生型のヒト凝血因子IX
YNSGKLγγFVQGNLγRγCMγγKCSFγγARγVFγNTγRTTγFWKQYVDGDQCESNPCLNGGSCKDDINSYECWCPFGFEGKNCELDVTCNIKNGRCEQFCKNSADNKVVCSCTEGYRLAENQKSCEPAVPFPCGRVSVSQTSKLTRAEAVFPDVDYVNSTEAETILDNITQSTQSFNDFTRVVGGEDAKPGQFPWQVVLNGKVDAFCGGSIVNEKWIVTAAHCVETGVKITVVAGEHNIEETEHTEQKRNVIRIIPHHNYNAAINKYNHDIALLELDEPLVLNSYVTPICIADKEYTNIFLKFGSGYVSGWGRVFHKGRSALVLQYLRVPLVDRATCLRSTKFTIYNNMFCAGFHEGGRDSCQGDSGGPHVTEVEGTSFLTGIISWGEECAMKGKYGIYTKVSRYVNWIKEKTKLT
【0037】
γ:ガンマ-カルボキシル化Glu(「E」)が存在することを表わす。完全なガンマ-カルボキシル化FIXでは、最初の12のGlu残基が、ガンマ-カルボキシル化されるが、観察されるガンマ-カルボキシル化がより低度な変異体(とりわけ、組換えFIX産物の場合)も存在する。
【0038】
FIXの148位には、AlaまたはThrのいずれでもありうる二型性が存在することに注意されたい(McGrawら(1985)、PNAS、82:2847頁を参照されたい)。N9-GP(糖PEG化rFIX)およびBeneFIXにはAlaが存在するのに対し、Biogen Idec製のFIX:Fcは、Thrを保有する。したがって、本発明によるFIX分子も、148位においてAla残基を有する場合もあり、Thr残基を有する場合もある。
【0039】
FIXコンジュゲートの活性の決定は、例えば、Biggs(1972、「Human Blood Coagulation Haemostasis and Thrombosis」、(1版)、Oxford、Blackwell Scientific、614頁)において説明されている、一段階活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイなど、当技術分野で説明されている方法を用いて実施することができる。略述すると、本明細書で説明される因子IX分子の生物学的活性をアッセイするには、等量の活性化部分トロンボプラスチン試薬、当技術分野でよく知られる滅菌瀉血法を用いて血友病B患者から単離した、因子IXを欠損する血漿、もしくは因子IXを免疫枯渇させた血漿(例えば、Helena LaboratoriesまたはILSから市販されている)、基準物質としての正常なプール血漿、または試料、および25mMのカルシウムを伴うアッセイを実施することができる。このアッセイでは、1単位の活性を、正常なプール血漿1ミリリットル中に存在する量として定義する。代替的には、活性を、WHOヒトFIX基準物質(NIBSC)に対して較正した、正常ヒト血漿プールに対して測定することもできる。さらに、例えば、ProctorおよびRapaport(Amer. J. Clin. Path. 36:212頁(1961))において説明される通りに、因子IXが、因子IXを欠損する患者に由来する血漿の血栓形成時間を、正常まで短縮する能力に基づく、生物学的活性についてのアッセイも実施することができる。
【0040】
融合タンパク質:融合タンパク質/キメラタンパク質とは、元は個別のタンパク質をコードする、2つ以上の遺伝子を接合することにより創出されるタンパク質である。この融合遺伝子が翻訳されると、元のタンパク質の各々に由来する機能的特性を伴う単一のポリペプチドが結果としてもたらされる。例えば、本発明による凝血因子分子などの治療用タンパク質を、別のポリペプチド、例えば、Fc受容体など、例えば、抗体結合ポリペプチドへと融合することができる。本発明によるタンパク質はまた、Fcドメイン、好ましくは、エフェクター機能を結果として低下させる突然変異、および/または新生児型Fc受容体に対するアフィニティーを結果として増大させる突然変異を含むFcドメインへと融合させることもできる。例えば、因子VIIIなどの凝血因子と比較すると、抗体は、半減期が極めて長い。したがって、凝血因子によるFc受容体融合タンパク質と、循環する抗体との間で、共有結合を介さない複合体を形成させることにより、例えば、因子VII、因子VIII、および因子IXなどの凝血因子の半減期を著明に延長することが可能となりうる。
【0041】
循環における半減期の改変:本発明によるタンパク質は、野生型のタンパク質分子と比較して、循環における半減期が改変され、循環における半減期が延長されることが好ましい。循環における半減期は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも100%、より好ましくは少なくとも125%、より好ましくは少なくとも150%、より好ましくは少なくとも175%、より好ましくは少なくとも200%、および最も好ましくは少なくとも250%または300%延長されることが好ましい。このような分子は、循環における半減期が、少なくとも400%、500%、600%、またはさらに700%延長されることがなおより好ましい。
【0042】
疎水性側鎖/疎水性側鎖基:本発明によるタンパク質は、側鎖基とコンジュゲートされる。これに関して、「側鎖基」とは、性質の大半が疎水性であり、天然では該タンパク質分子の一部ではない側鎖基として理解すべきである。
【0043】
タンパク質にコンジュゲートされると、このような疎水性側鎖基は、コンジュゲートされないタンパク質と比較して、該タンパク質のin vivoの循環における半減期を延長しうる。本明細書では、これらの疎水性側鎖基を「アルブミン結合剤」と称する場合があり、これには、脂肪酸の誘導体が含まれうる。これらの基は、in vitroまたはin vivoにおいて、アルブミンに対する親和性を有する場合もあり、アルブミンに対する親和性を有さない場合もある。タンパク質またはペプチドに対するアルブミン結合剤の結合は、前記タンパク質またはペプチドの血漿における半減期を延長する可能性があることが示されている。アルブミンは、高度に疎水性の分子に結合することが可能であるため、典型的なアルブミン結合剤のクラスは、脂肪酸に由来する。したがって、本発明の文脈では、-(CH2)12-部分を有する化合物が、潜在的なアルブミン結合剤である。このような結合剤が、タンパク質またはペプチドに結合し、前記タンパク質またはペプチドの血漿における半減期を結果として延長するならば、該アルブミン結合剤は、アルブミンに結合することにより、かつ/または他の機構により、血漿における半減期の全体的な延長に寄与しうる。一実施形態では、アルブミン結合剤-タンパク質コンジュゲートが、単一のアルブミン結合剤が該タンパク質に結合している分子である。他の実施形態では、2つ、3つ、4つ、5つ以上など、複数のアルブミン結合剤がタンパク質に結合している。
【0044】
アルブミン結合部分は、アルブミンへの結合に特に関与性であり、これにより、血流における循環の延長に特に関与性である部分を含む場合があり、したがって、半減期延長部分と称することができる。半減期延長部分は、ペプチドへの結合点として用いられる部分の反対側の端部に存在するか、またはこの近傍に存在することが好ましい。アルブミン結合部分の残りの部分、すなわち、半減期延長部分と、ペプチドへの結合点として用いられる部分との間の部分は、リンカー部分、リンカー、スペーサーなどと称することができる。しかし、リンカーの存在は任意選択であり、したがって、アルブミン結合部分は、半減期延長部分と同一でありうる。
【0045】
特定の実施形態では、アルブミン結合部分および/または半減期延長部分が、親油性であり、かつ/または生理学的pH(7.4)で負に帯電する。好ましい実施形態では、アルブミン結合部分および/または半減期延長部分が、場合によってはリンカーを介して、アミド結合により、シアル酸残基またはシアル酸誘導体のアミノ基に共有結合する。本発明の高度に好ましい実施形態によれば、例えば、シアリルトランスフェラーゼの使用を伴う方法など、酵素的方法を用いて、アルブミン結合剤を、糖タンパク質に結合する。
【0046】
本発明の目的では、「アルブミン結合部分」、「半減期延長部分」、および「リンカー」という用語が、これらの分子の非反応形態ならびに反応形態を包含する。一方の形態または他方の形態のいずれが意味されているかどうかは、その用語が用いられる文脈から明らかである。「脂肪酸」という用語は、4〜28個の炭素原子を有する、脂肪族モノカルボン酸を指し、炭素原子が非分枝性および/または偶数個であることが好ましく、飽和脂肪酸の場合もあり、非飽和脂肪酸の場合もある。「脂肪族二塩基酸」という用語は、上記で定義される脂肪酸を指すが、オメガ位にさらなるカルボン酸基を伴う。したがって、脂肪族二塩基酸とは、ジカルボン酸である。命名法は当技術分野における通常の通りであり、例えば、-COOHならびにHOOC-がカルボキシを指し、-C6H4-がフェニレンを指し、-CO-ならびに-OC-がカルボニル(O=C<)を指し、C6H5-O-がフェノキシを指す。
【0047】
好ましい実施形態では、本発明のアルブミン結合部分が、リンカー、およびシアル酸残基、またはシアル酸誘導体を介して、ペプチドまたはタンパク質に連結された、脂肪アシル基(-(CH2)n-CO- [式中、n=1、2、3、...40])、またはオメガ-カルボキシ脂肪アシル基(H02C-(CH2)n-CO- [式中、n=1、2、3、...40])を含む。
【0048】
好ましい実施形態では、存在する場合、リンカー部分が、2〜80個のC原子、好ましくは5〜70個のC原子を有する。さらなる好ましい実施形態では、存在する場合、リンカー部分が、4〜60個のヘテロ原子、好ましくは2〜40個のヘテロ原子、より好ましくは3〜30個のヘテロ原子を有する。ヘテロ原子の特に好ましい例は、N原子、O原子、およびS原子である。H原子およびC原子は、ヘテロ原子ではない。
【0049】
別の実施形態では、リンカーが、少なくとも1つのOEG分子、および/もしくは少なくとも1つのグルタミン酸残基、またはそうではなくて対応するラジカル(OEGとは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸、すなわちこの分子のラジカル:-NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-を名指すものである)を含む。
【0050】
好ましい一実施形態では、リンカー部分が、アミド結合によりシアル酸残基に連結される、ジカルボキシアミド部分を含む。好ましい例では、ジカルボキシアミド残基が、2〜30個のC原子、好ましくは4〜20個のC原子、より好ましくは4〜10個のC原子を有する。さらなる好ましい実施形態では、ジカルボキシアミド残基が、0〜10個のヘテロ原子、好ましくは0〜5個のヘテロ原子を有する。
【0051】
別の好ましい例では、リンカー部分が、その遠位カルボキシル基を介して、アミド結合によりシアル酸残基に連結された、アミノ基および遠位カルボキシル基の両方を含有する基を含む。好ましい一実施形態では、この基が、OEG基である。
【0052】
アミノ酸であるグルタミン酸(Glu)は、2つのカルボン酸基を含む。そのガンマ-カルボキシ基は、シアル酸残基もしくはシアル酸誘導体のアミノ基とのアミド結合、または存在する場合は、OEG分子のアミノ基とのアミド結合、または存在する場合は別のGlu残基のアミノ基とのアミド結合を形成するのに用いられることが好ましい。Gluのアミノ基は、半減期延長部分のカルボキシ基とのアミド結合、または存在する場合はOEG分子のカルボキシ基とのアミド結合、または存在する場合は別のGluのガンマ-カルボキシ基とのアミド結合を形成する。このようなGluの組入れを、場合によって簡単に、「ガンマ-Glu」と称する。
【0053】
したがって、本発明による個別のタンパク質は、親水性および疎水性両方の側鎖基を含みうる。したがって、本発明によるタンパク質を、疎水性側鎖基のほか、性質が必ずしも疎水性ではない1または複数の側鎖基、例えば、親水性基、ポリペプチドなどとコンジュゲートすることもさらに可能である。
【0054】
広範な態様では、本発明が、a)1もしくは複数のN結合グリカン、および/またはb)1もしくは複数のO結合グリカンを含むタンパク質に対する安定的なコンジュゲートに関し、この場合、疎水性側鎖基(アルブミン結合残基)が、場合によって、親水性スペーサー、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを介して、前記タンパク質における前記1または複数のグリカンに連結される。グリカンは、天然の場合もあり、本発明によるタンパク質へと遺伝子操作される場合もある。
【0055】
一実施形態では、側鎖が、そのN結合グリカンのうちの1または複数を介して、タンパク質へと連結される。別の実施形態では、側鎖が、そのO結合グリカンのうちの1または複数を介して、タンパク質へと連結される。さらなる実施形態では、側鎖が、そのN結合グリカンおよびそのO結合グリカンの両方を介して、タンパク質へと連結される。好ましい実施形態では、タンパク質が、凝血因子である。
【0056】
本発明の一実施形態では、親水スペーサーが、LogP<0である。
【0057】
親水性スペーサーの可溶性は、そのlogP値により記載することができる。分配係数としてもまた知られるlogPはと、平衡にある2つの不混和性溶媒の混合物の2つの相における化合物の濃度比の対数である。溶媒のうちの1つが水であるのに対し、第2の溶媒は、オクタン-1-オール、クロロホルム、シクロヘキサン、およびプロピレングリコールジペラルゴネート(PGDP)から選択されることが典型的である。これらの異なる溶媒中で測定されるlogP値は、主に、水素結合の効果のために、差違を示す。オクタノールが、水素結合を与えかつ受け取るのに対し、シクロヘキサンは不活性である。クロロホルムが水素結合を与えうるのに対し、PGDPは水素結合を受け取りうるのみである。
【0058】
本発明の別の実施形態では、親水性スペーサーの、オクタン-1-オール、クロロホルム、シクロヘキサン、またはプロピレングリコールジペラルゴネート(PGDP)におけるLogPが、-0.5未満である。さらなる実施形態では、親水性スペーサーの、オクタン-1-オール、クロロホルム、シクロヘキサン、またはプロピレングリコールジペラルゴネート(PGDP)におけるlogPが、-1未満である。
【0059】
代替的に、公表されているアルゴリズム(T. Fujita、J. Iwasa、およびC. Hansch、J. Am. Chem. Soc. 86、5175〜5180頁(1964)、「A New Substituent Constant, Pi, Derived from Partition Coefficients」;C. A. Lipinskiら、Advanced Drug Delivery Reviews、23、3〜25頁(1997)、「Experimental and Computational Approaches to Estimate Solubility and Permeability in Drug Discovery and Development Settings」;ならびにI. Moriguchi、S. Hirono、I. Nakagome、H. Hirano、Chem. Pharm. Bull. 42、976〜978頁(1994)、「Comparison of Reliability of logP Values for Drugs Calculated by Several Methods」)を用いて、アルブミン結合剤部分または親水性スペーサー部分のmLogPおよび/またはcLogPとして、LogP値を計算することもできる。さらなる実施形態では、リンカーを介して、タンパク質を1つのアルブミン結合残基へと連結する。
【0060】
別の実施形態では、タンパク質の各種のグリカンを、1または2以上のリンカーを介して、1または2以上のアルブミン結合残基へと連結する。これらのアルブミン結合残基は、同一の場合もあり、同一でない場合もある。また、これらのリンカーが同一の場合もあり、同一でない場合もある。したがって、一例では、1または2以上のアルブミン結合残基が、1つのリンカーを介して、タンパク質の1種類のグリカンに連結され、加えて、1または2以上のアルブミン結合残基が、リンカーを介して、タンパク質の別の種類のグリカンへと連結される。代替的に、アルブミン結合残基は、例えば、天然のシステイン残基もしくは組換えにより導入されたシステイン残基、一方もしくは両方のN末端、一方もしくは両方のC末端、グルタミン残基、またはリシン残基など、タンパク質の他の部位に加えて、1または複数種のグリカンを介しても連結される。このようなグリカンの好ましい例は、二分枝型複合体であるN-グリカンおよびコア1型O-グリカンである。
【0061】
別の実施形態では、天然タンパク質より多くのグリカンを含有するように、タンパク質を組換え操作している。これらのグリカンは、本発明のアルブミン結合残基による修飾に適する。
【0062】
さらなる実施形態では、タンパク質が、疎水性側鎖基に加えて、1または複数の修飾を有する。したがって、タンパク質を、例えば、PEG、ポリシアル酸、ヒドロアルキルデンプン、デキストラン、デンドリマーなどであるがこれらに限定されない、1または複数の親水性ポリマーに連結することができる。一実施形態では、親水性ポリマーを、タンパク質のグリカンのうちの1つに連結する一方で、疎水性側鎖基を、タンパク質の別のグリカンに連結する。特定の実施形態では、親水性ポリマーが、FVIII分子のO-グリカンに連結されるPEGであるのに対し、疎水性側鎖は、前記FVIII分子のN-グリカンに連結される。別の特定の実施形態では、親水性ポリマーが、FVIII分子のN-グリカンに連結されるPEGであるのに対し、疎水性側鎖は、前記FVIII分子のO-グリカンに連結される。
【0063】
さらなる態様では、本発明が、タンパク質コンジュゲートに関し、該コンジュゲートは、式(I):
(A-W-B1-B2)z-アシアロタンパク質 (I)
[式中、
アシアロタンパク質は、末端のシアル酸が、グリカンから除去されているタンパク質を表わし、zは、値が1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数である。
B2は、構造
【0064】
【化1】

【0065】
[式中、
R1、R1'、R2、R3、R4、R5、およびR6は、B2をB1または水素と連結する結合であり、*は、アシアロ凝血因子への連結を指す。したがって、*で終わる結合は、結合だけ、すなわち、開かれた結合を表わす]
を伴うグリシル-シアル酸を表わす。
B1は、リンカーを表わす。
Wは、AとB1とを連結する化学基であり、
Aは、アルブミン結合疎水性側鎖基;ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、およびプロドラッグを表わす。
好ましい実施形態では、Aが、アルキレン鎖*-(CH2)n-*[式中、n=8〜26であり、場合によって、アリール置換基、およびカルボン酸、スルホン酸、スルフェン酸、スルフィン酸、ホスホン酸、またはホスフィン酸、アシルスルホンアミド、テトラゾール、ヒドロキシオキサゾールなどのカルボン酸等価体など、負に帯電した基に連結される]などの疎水性基を含む。
さらなる実施形態では、Aが、構造
【0066】
【化2】

【0067】
[式中、*は、Wを介するB1への結合を示し、したがって、*で終わる結合は、結合だけ、すなわち、開かれた結合を表わす。
R7は、水素、-COOH、テトラゾリル、または-C(=O)-NHS(=O)2-R7a、
【0068】
【化3】

【0069】
である。
nは、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、および25から選択され、R7aは、C1〜6アルキル、フェニル、またはC1〜6アルキルフェニルから選択され、*は、基Aの残りの部分に対する結合を示す。さらなる実施形態では、R7が、-COOHである。別の実施形態では、nが、14、16、および18から選択される。さらなる実施形態では、R7が、-COOHであり、nが、14、16、および18から選択される]
を有する]
を有する。
【0070】
さらなる実施形態では、Aが、以下のリスト
【0071】
【化4】

【0072】
ならびにCH3-(CH2)n-*基[式中、n=8〜26である]
[式中、*は、Wを介するB1への結合を示し、したがって、*で終わる結合は、結合だけ、すなわち、開かれた結合を表わす]
から選択される。
【0073】
さらなる実施形態では、Wが、-CONH-、
【0074】
【化5】

【0075】
[式中、q=0〜10およびr=0または1である]、
【0076】
【化6】

【0077】
[式中、p=1〜20である]、
【0078】
【化7】

【0079】
[式中、t=0〜10である]
であり、場合によって、窒素原子を介してB1の構造的要素を相互連結するか、またはB2のアミンに連結される。
【0080】
さらなる実施形態では、B1が、以下のリスト
【0081】
【化8−1】

【化8−2】

【化8−3】

【0082】
[式中、*は、B2およびWへの結合を示す]
から選択される。
【0083】
特定の実施形態では、R1、R1'、R3、R4、R5、およびR6が水素であり、R2が、B1に連結される。さらなる特定の実施形態では、R1'、R2、R3、R4、R5、およびR6が水素であり、R1が、B1に連結される。
【0084】
さらなる実施形態ではタンパク質コンジュゲートが、以下のリスト
【0085】
【化9−1】

【化9−2】

【0086】
[式中、タンパク質分子1つ当たり、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの側鎖を結合させる(z=1、2、3、4、または5)]
から選択される。特定の実施形態では、1つ、2つ、3つ、または4つの側鎖を、タンパク質のN-グリカンに結合させる。別の実施形態では、側鎖を、O-グリカンに結合させる。別の実施形態では、側鎖を、FVIIIのO-グリカンに結合させることに加えて、1つ、2つ、3つ、または4つの側鎖を、FVIIIのN-グリカンに結合させる。さらなる実施形態では、40kDaのPEGを、FVIIIのO-グリカンに結合させることに加えて、1つ、2つ、3つ、または4つの側鎖を、FVIIIのN-グリカンに結合させる。さらなる実施形態では、1つ、2つ、3つ、または4つの側鎖を、FVIIaのN-グリカンのうちの1または2以上に結合させる一方で、別のグリカンをPEGで修飾する。別の実施形態では、1つ、2つ、3つ、または4つの側鎖を、FIXのN-グリカンのうちの1または2に結合させる一方で、別のグリカンまたは同じ(分枝した)グリカンをPEGで修飾する。
【0087】
糖タンパク質:「糖タンパク質」という用語は、「骨格」アミノ酸配列のうちの1または複数のアミノ酸残基に結合した、1または複数のオリゴ糖(グリカン)を含有する、ペプチド、オリゴペプチド、およびポリペプチドを包含することを意図する。グリカンは、N結合グリカンでもO結合グリカンでもよい。グリカンは、天然の場合もあり、本発明によるタンパク質へと遺伝子操作される場合もある。
【0088】
N結合オリゴ糖およびO結合オリゴ糖:本明細書で用いられる「グリカン」または互換的な「オリゴ糖鎖」とは、共有結合により単一のアミノ酸残基に連結される、全オリゴ糖構造を指す。グリカンは通常、N結合グリカンまたはO結合グリカンである、例えば、グリカンは、アスパラギン残基に連結される(N結合グリコシル化)か、またはセリン残基もしくはトレオニン残基に連結される(O結合グリコシル化)。N結合オリゴ糖鎖は、例えば、二分岐型、三分岐型、または四分岐型など、多分岐型である可能性があり、Man3-GlcNAc-GlcNAc-のコア構造を含有することが極めて多い。
【0089】
N-グリカンおよびO-グリカンはいずれも、タンパク質を生成させる細胞を介して、タンパク質に結合する。細胞内のN-グリコシル化機構は、新たに生成するタンパク質が、リボソームから小胞体へと移出されるときに、アミノ酸鎖内のN-グリコシル化コンセンサスモチーフ(N-X-S/Tモチーフ)を認識およびグリコシル化する(Kielyら、1976;Glabeら、1980)。
【0090】
in situのヒトにおいて生成する場合、一部の糖タンパク質は、末端シアル酸残基または「キャッピング」シアル酸残基を伴うグリカン構造を有する、すなわち、各分岐の末端の糖は、α2→3連結またはα2→6連結を介してガラクトースへと連結される、N-アセチルノイラミン酸である。他の糖タンパク質は、他の糖残基によりグリカン端がキャッピングされている。しかし、他の状況下で生成すると、糖タンパク質は、例えば、シアル酸残基を欠く;N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)残基を含有する;ガラクトースの代わりに、末端N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)残基を含有するなど、それらの分岐のうちの1または複数において異なる末端構造を有するオリゴ糖鎖を含有しうる。N結合オリゴ糖および/またはO結合オリゴ糖のパターンは、限定なしに、高速液体クロマトグラフィー(HPLC);キャピラリー電気泳動(CE);核磁気共鳴(NMR);高速原子衝突、エレクトロスプレー、またはマトリックス支援レーザー脱離(MALDI)などのイオン化法を用いる質量分析(MS);ガスクロマトグラフィー(GC);およびアニオン交換(AIE)-HPLC、サイズ除外クロマトグラフィー(SEC)、質量分析(MS)、ゲル電気泳動(SDS-PAGE、CE-PAGE)、ゲル等電点電気泳動、またはキャピラリー等電点電気泳動(CE-IEF)を伴う、エクソグリコシダーゼによる処理を含めた、当技術分野において知られる任意の方法を用いて決定することができる。例えば、Weberら、Anal. Biochem. 225:135頁(1995);Klausenら、J. Chromatog. 718:195頁(1995);Morrisら、「Mass Spectrometry of Biological Materials」、McEwenら編、Marcel Dekker (1990)、137〜167頁;Conboyら、Biol. Mass Spectrom. 21:397頁、1992;Hellerqvist、Meth. Enzymol. 193:554頁(1990);Suttonら、Anal. Biohcem. 318:34頁(1994);Harveyら、Organic Mass Spectrometry 29:752頁(1994)を参照されたい。
【0091】
したがって、「末端シアル酸」または互換的な「末端ノイラミン酸」とは、グリカンまたはオリゴ糖鎖内の末端糖残基として連結されたシアル酸残基を包含することを意図する、すなわち、各分岐の末端の糖は、α2→3連結またはα2→6連結を介してガラクトースへと連結されたN-アセチルノイラミン酸である。
【0092】
「ガラクトースまたはその誘導体」という用語は、天然のD-ガラクトースなどのガラクトース残基、またはN-アセチルガラクトサミン残基など、その誘導体を意味する。
【0093】
「末端ガラクトースまたはその誘導体」という用語は、グリカンまたはオリゴ糖鎖内の末端糖残基として連結された、ガラクトースまたはその誘導体を意味し、例えば、各分岐の末端糖が、ガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである。
【0094】
「アシアロ糖タンパク質」という用語は、1または複数の末端シアル酸残基が、例えば、シアリダーゼによる処理を介して、または基底をなすガラクトースもしくはN-アセチルガラクトサミンの「層」から、少なくとも1つのガラクトース残基またはN-アセチルガラクトサミン残基を露出させる(「露出されたガラクトース残基」)化学的処理を介して除去された糖タンパク質を包含することを意図する。
【0095】
一般に、N-X-S/Tモチーフを得るように、アミノ酸の突然変異を導入することにより、N結合グリカンを導入することができる。本発明のタンパク質分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10以上のN結合グリカンを含有する。N結合グリカンの構造は、高マンノース形態または複合体形態である。高マンノースグリカンは、グリカンの非還元性端部に、末端マンノース残基を含有する。複合体のN-グリカンは、非還元性端部に、シアル酸、ガラクトース、またはN-アセチルグルコサミンを含有する。
【0096】
同様に、O-グリカンは、アミノ酸鎖内の特定のO-グリコシル化部位へと結合させるが、O-グリコシル化を誘発するモチーフは、N-グリコシル化シグナルよりはるかに異質性であり、アミノ酸配列内のO-グリコシル化部位を予測する能力は、いまだ不十分である(Juleniusら、2004)。したがって、人工的なO-グリコシル化部位の構築は、ある不確実性を随伴する。
【0097】
本発明のコンジュゲートでは、N結合グリカンまたはO結合グリカン内のシアル酸に側鎖を連結する。
【0098】
疎水性側鎖基の連結:
基をタンパク質へと連結する化学的方法は、部位選択的なものもあるが、非選択的となる傾向にある。しかし、大半の方法で一般的なのは、洗浄剤または有機溶媒など、有害な添加剤を添加しない限り、水性緩衝液中では、疎水性基を含有する試薬を用いることができないという事実である。水性環境におけるそれらの不溶性のために、疎水性基をタンパク質に連結することは元来困難である一方で、タンパク質が可溶性であるのは、水性環境内に限られる。
【0099】
酵素的手法の使用に随伴する利点は多い。本発明による好ましい酵素的方法に従えば、[疎水性側鎖基]-シアリル-CMP基質を、化学的に調製することができる。シアリルトランスフェラーゼ酵素を用いて、この基質を、アシアロタンパク質に存在するグリカンへと酵素的に転移させることができる。本発明の発明者らは、この酵素的手法が、驚くべきことに、有機溶媒を添加せずに実施しうることを発見した。例えば、生物学的活性の喪失、環境上の懸念、有機溶媒の完全な除去を確認するためのさらなるステップの実施など、有機溶媒の使用に随伴する欠点は多い。FVIIIタンパク質の操作では、緩衝液にグリセロール、例えば、5〜30%のグリセロール、好ましくは10〜20%のグリセロールを添加することが有利でありうる。グリセロールが存在すると、例えば、凍結/融解工程において因子VIII分子が安定化すると考えられ、また、因子VIIIによる凝集物の形成も阻止することができる。グリセロールは高度に親水性であり、それ自体、有機溶媒とは考えられない。さらに、その性質が高度に親水性であるために、グリセロールは、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジン、ジメチルスルホキシドなど、他の有機溶媒について観察される、タンパク質の安定性に対する負の影響を免れている。したがって、酵素的コンジュゲーションにおいて存在させるグリセロールは、コンジュゲーション工程が完了した後も除去する必要がない。
【0100】
シアリルトランスフェラーゼ:シアリルトランスフェラーゼは、シアル酸を、新たに生成するオリゴ糖へと転移させる酵素である。各シアリルトランスフェラーゼは、特定の糖ヌクレオチドのドナー基質に特異的である。シアリルトランスフェラーゼは、シアル酸を、糖脂質(ガングリオシド)、または糖タンパク質のN結合グリカンもしくはO結合グリカンにおける末端のガラクトースに付加する。それらが作用するアクセプター基質、およびそれらが形成する糖連結の種類に基づき、約20の異なるシアリルトランスフェラーゼを識別することができる。連結は、シアル酸の2位と、ガラクトースの3位または6位との間で形成されることが典型的である。本発明による好ましいシアリルトランスフェラーゼは、EC2.4.99クラスの酵素に属する。非限定的な例は、ST3GAL-I(O-グリカンに特異的)、およびST3Gal-III(N-グリカンに特異的)、およびST6GalNAc-Iである。したがって、例えば、特定のグリコシル化パターンにより特定のシアリルトランスフェラーゼを選択することにより、かつ/または特定のグリコシルパターンによりタンパク質を操作することにより、本発明によるコンジュゲートタンパク質の構造を操作することが可能である。
【0101】
アクセプター基質:アクセプターまたはアクセプター基質という用語は、シアリルトランスフェラーゼを介する反応におけるグリコシド結合により、ドナー基質に連結される求核基質を指す(例えば、Boons and Hale、「Organic Synthesis with Carbohydrates」、Sheffield Academic Press、2000、Sheffield、Englandを参照されたい)。アクセプターは、単糖もしくはオリゴ糖、またはこれらの誘導体である。アクセプターの反応性部分は、このような単糖もしくはオリゴ糖または誘導体内に含有されるヒドロキシル基である。シアリルトランスフェラーゼを介する反応における反応性ヒドロキシル基は、末端ガラクトースまたは非末端ガラクトースにおけるヒドロキシル基であることが典型的である。反応性ヒドロキシル基は、末端ガラクトースにおける3-ヒドロキシル基または6-ヒドロキシル基であることが典型的である。反応性ヒドロキシル基の別の種類は、末端シアル酸の8-ヒドロキシル基である。
【0102】
ドナー基質:ドナーまたはドナー基質という用語は、シアリルトランスフェラーゼを介する反応におけるグリコシド結合により、アクセプター基質に連結される求電子基質を指す(例えば、Boons and Hale、「Organic Synthesis with Carbohydrates」、Sheffield Academic Press、2000、Sheffield、Englandを参照されたい)。ドナー基質は、ルロワール型の糖ヌクレオチドの場合もあり、ルロワール型以外の糖ヌクレオチドの場合もある。本発明の好ましい糖ヌクレオチドは、置換基が、シアル酸のN-アセチル基に連結された、シアル酸シチジン一リン酸である。
【0103】
組換えタンパク質を生成させる宿主細胞は、該分子が、フォールディングおよび翻訳後修飾、例えば、グリコシル化および硫酸化において適正にプロセシングされることを確保するため、哺乳動物起源であることが好ましい。本発明を実施する場合、細胞は哺乳動物細胞であり、より好ましくは、限定なしに、CHO細胞系、ベビーハムスター腎(BHK)細胞系、およびHEK293細胞系を含め、確立された哺乳動物細胞系である。
【0104】
現在のところ好ましい細胞は、HEK293細胞、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、および骨髄腫細胞であり、特に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0105】
医薬組成物:本明細書では、医薬組成物が、例えば、RTU(ready-to-use)滅菌水性組成物、または、例えば、水中もしくは水性緩衝液中で再構成しうる乾燥滅菌組成物など、非経口投与に適する、本発明によるタンパク質分子を含む組成物を包含することを意味することが好ましい。本発明による組成物は、各種の薬学的に許容される賦形剤、安定化剤などを含みうる。
【0106】
このような組成物中のさらなる成分には、保湿剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、等張性調整剤、キレート化剤、金属イオン、油性媒体、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン、またはタンパク質)、および双性イオン(例えば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リシン、およびヒスチジンなどのアミノ酸)が含まれうる。このようなさらなる成分が、本発明の医薬製剤の全体的な安定性に有害な影響を与えるべきでないことは当然である。非経口投与は、シリンジ、場合によって、ペン型シリンジによる皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、または静脈内注射を介して実施することができる。代替的に、非経口投与は、注入ポンプにより実施することもできる。さらなる選択肢は、鼻腔内スプレーまたは肺内スプレーの形態でタンパク質を投与するための溶液または懸濁液でありうる組成物である。なおさらなる選択肢として、医薬組成物はまた、例えば、注射針なしの注射による、もしくはパッチ、場合によって、イオントフォレーシスパッチによる経皮投与、または経粘膜投与、例えば、口腔内投与にも適合させうる。
【0107】
本明細書で用いられる「治療」という用語は、それを必要とする任意のヒト対象または他の動物対象に対する医学的治療を指す。前記対象は、前記特定の治療の使用が、前記ヒト対象または他の動物対象の健康に有益であることを示す一時的または決定的な診断を施した治療者による身体検診を受けていることが期待される。前記治療のタイミングおよび目的は、対象の健康状態に従い、個体により異なりうる。したがって、前記治療は、予防的治療の場合もあり、緩和的治療の場合もあり、対症的治療の場合もあり、かつ/または治癒的治療の場合もある。
【0108】
したがって、第1の態様によれば、本発明が、共有結合により少なくとも1つの疎水性側鎖基にコンジュゲートされる組換えタンパク質であって、前記疎水性側鎖基が、シアル酸を介して前記タンパク質に連結される組換えタンパク質に関する。疎水性側鎖基は、場合によって、リンカーを介してタンパク質にコンジュゲートされる。
【0109】
一実施形態では、タンパク質が、例えば、FVII(FVII(a))、FVIII、またはFIXなどの凝血因子である。別の実施形態では、タンパク質が、抗体の抗原結合断片である。
【0110】
本発明による好ましい実施形態では、疎水性側鎖基(「アルブミン結合剤」)が、脂肪酸および脂肪族二塩基酸からなる群のうちの1または複数から選択される。別の好ましい実施形態では、疎水性側鎖基が、シアル酸を介して因子VIIIに連結される。さらに別の好ましい実施形態では、因子VIII分子が、少なくとも1つのグリカンを含み、前記少なくとも1つのグリカンが、シアル酸に連結され、前記シアル酸が、疎水性側鎖基に連結される。
【0111】
本発明による特に興味深い実施形態では、因子VIII分子のvWF結合能が調整されており、好ましくは低減されている。さらに別の興味深い実施形態では、因子VIII分子が、好ましくは、Bドメインリンカーが、配列番号4に示される配列を有する、Bドメイン末端欠失型変異体である。特に好ましい実施形態によれば、疎水性側鎖基が、共有結合により、因子VIII分子の末端欠失型Bドメイン内に位置するO-グリカンにコンジュゲートされ、因子VIIIが活性化する結果として、疎水性側鎖基が除去される。別の実施形態では、Bドメイン内のO-グリカンを、例えば、PEG、HES、もしくはPSAなどの親水性ポリマー、または、例えば、アルブミンなどのペプチドとコンジュゲートする。配列番号4に示されるBドメインと類似するBドメイン内のO結合グリカンを、親水性ポリマーへとコンジュゲートする場合は、1または複数の疎水性側鎖基を、N結合グリカンにコンジュゲートすることが好ましく、この逆もまた成り立つ。親水性ポリマーはまた、化学的方法または酵素的方法を用いても、N結合グリカンおよび/またはO結合グリカンにおけるシアル酸を介して、FVIIIへとコンジュゲートすることができる。親水性ポリマーはまた、当技術分野において知られる他の方法を用いても、該分子へとコンジュゲートすることができる。
【0112】
本発明によるさらに別の興味深い実施形態では、因子VIIIポリペプチドを、例えば、Fcドメイン(好ましくは、エフェクター機能を低下させ、かつ/または新生児型Fc受容体に対するアフィニティーを増大させた、突然変異したFcドメイン)、または抗体結合タンパク質など、別のポリペプチドに融合する。
【0113】
別の態様は、本発明による分子を作製する方法であって、疎水性側鎖基の組換え因子VIII分子への結合を含む方法に関する。好ましい実施形態では、疎水性側鎖基を、シアリルトランスフェラーゼ触媒反応を介して結合させる。特に好ましい実施形態では、シアリルトランスフェラーゼを、ST3Gal-IおよびST3Gal-IIIからなる群から選択する。さらに別の実施形態では、シアリルトランスフェラーゼが、ST6GalNAc-Iである。特に、本発明は、このような方法により得られるか、または得ることが可能な分子にさらに関する。酵素的方法は、このような反応の有効性をそれほど減殺することなく、微量(すなわち1%未満)を添加することも可能でありうるが、好ましくは有機溶媒の添加を用いない。
【0114】
第3の態様は、血友病、炎症性疾患、または癌を治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の、本発明による分子を投与するステップを含む方法に関する。
【0115】
本発明の第4の態様は、本発明による方法を介して得ることができるか、または得られるタンパク質に関する。
【0116】
第5の態様は、血友病、炎症性疾患、および癌を治療するための、本発明による分子の使用に関する。
【0117】
最後の態様は、本発明による分子を含む医薬組成物に関する。
【0118】
略号:
CV=カラム容量
FLD=蛍光検出
MQ=MilliQ水(高純度精製水)
m/z=質量対電荷比
MS=質量分析
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
RP=逆相
LC-MS=液体クロマトグラフィー-質量分析
NMR=核磁気共鳴分光法
rtまたはRT=室温
Boc=tertブチルオキシカルボニル
O-f-Bu=tertブチルエステル
f-Bu=tertブチル
CMP=シチジン一リン酸
DCM=ジクロロメタン、CH2Cl2、塩化メチレン
DIC=ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF=N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
Fmoc=9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル
Lys(Mtt)-OH=(S)-6-[(ジフェニル-p-トリル-メチル)アミノ]-2-アミノ-ヘキサン酸
Thx=trans-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸
GSC=グリシルシアル酸CMPエステル
MBP=マンノース結合タンパク質
NAN=N-アセチルノイラミン酸
NMP=N-メチルピロリジン-2-オン
OEG=(2[2-(アミノ)エトキシ]エトキシ)酢酸
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TIPS=トリイソプロピルシラン
UM=4-メチルウンベリフェリル
Lac=ラクトシルまたはラクトース
HC=重鎖
LC=軽鎖
SC=単鎖(HCとLCとが、共有結合により連結されている)
PSC=ポリエチレングリコールシアル酸CMPエステル
wt=野生型
アミノ酸の略号は、IUPACの慣用法に従う。
緩衝液の略号は、Stoll, V. S.およびBlanchard, J. S.、「Methods of Enzymology」、182、1990、Academic Press、24〜38頁に従う。
【0119】
(実施例)
全体的手順
HPLC
Agilent ZorbaxシリカカラムまたはVydac C18シリカカラム(典型的には、4.6mm×50mm、5μm、300Å)を用いるAgilent 1100システムにおいて、RP-HPLC解析を実施した。検出は、214nmおよび280nmにおけるUVにより行った。標準的な水/0.1%TFAの(A)緩衝液およびアセトニトリル/TFAの(B)緩衝液による適切な勾配を用いて、溶出を実施した。
【0120】
解析システムと類似の勾配、および2cmもしくは5cmのC18カラムを用いる、Watersシステム(2545型勾配ポンプおよび2489型検出器)、またはGilsonシステム(321型勾配ポンプ、155型UV/VIS検出器、およびGX-271型液体ハンドラー)において、調製的RP-HPLCを実施した。場合によっては、10mM NH4HCO3(水溶液)、10%の10mM NH4HCO3(水溶液)を伴う90%のアセトニトリルを、それぞれ、A緩衝液およびB緩衝液として用いる、中性システムも使用した。
【0121】
LC-MS
2つのPerkin Elmer Series 200 Microポンプ、Perkin Elmer Series 200オートサンプラー、Applied Biosystems 785A UV検出器を装備した、PE-Sciex API 150質量分析器において、LC-MS解析を実施した。HPLCシステムの場合と同じ緩衝液を用いて、室温、1.5ml/分、3.0mm×50mmで5μmのWaters Xterra C18シリカカラムを溶出させた。5%のB緩衝液でカラムを平衡化し、5%のB緩衝液で1.0分間にわたり、次いで、7分間で5〜90%にわたるB緩衝液の直線勾配で溶出させた。検出は、214nmにおけるUV検出、および全イオン流により行った。カラム溶出物の画分を、PE-Sciex API 100質量分析器のイオンスプレーインターフェースへと導入した。試行中2秒ごとに、100〜800amuの質量範囲を走査した。
【0122】
タンパク質の精製
Akta Explorerクロマトグラフィーシステム、およびGE Health Care製のカラムにおいて、タンパク質のクロマトグラフィーを実施した。
【0123】
GE Healthcare instruction leaflet 71-7006-00 ATに従い、6-モノデオキシ-6-モノアミノ-ベータ-シクロデキストリン(Sigma;型番M2314)を、NHS Hitrapカラム(GE Healthcare;CV 1ml;型番17-0716-01)へと固定化することにより調製したカラムを用いて、シクロデキストリンアフィニティークロマトグラフィーを実施した。20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、150mMのNaCl、pH7.3、10%のグリセロールを出発緩衝液として用い、20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、150mMのNaCl、pH7.3、10%のグリセロール、20mMのヒドロキシプロピルシクロデキストリンを溶出緩衝液として用いて、クロマトグラフィーを実施した。
【0124】
SDS-PAGE
NuPAGE 7%トリスアセテートゲル(Invitrogen)を用いて、SDSポリアクリルアミドゲルによる電気泳動を実施した。ゲルは、クーマシー染色(Invitrogen;LC6065)または銀染色(SilverQuest染色キット;Invitrogen)し、必要な場合はまた、M. M. Kurfurst、Anal.Biochem. 200(2):244〜248頁、1992により説明される通りに、ヨウ化バリウムでPEGについて染色した。
【0125】
LDS処理の前に、場合によって、FVIII試料およびFVIIIコンジュゲート試料を、トロンビン(2μl;各試料1μlにつき20U/mlずつ)で処理した。トロンビンとのインキュベーションを、37℃で10分間にわたり実施した。次いで、標準的なSDS PAGE手順に従い、試料を処理した。これらの解析では、トロンビンに対応するバンドが、ゲルの低分子量範囲に現れた。
【0126】
タンパク質濃度の決定
減衰係数を14.6(1%)とするUV測定(280nmの吸光度)により、FVIIIおよびFVIIIコンジュゲートの濃度を決定した。代替的に、必要な場合は、HPLC法も用いた。粒子サイズを5mm、流速を200mL/分とする、Grace Vydac(Mikrolab、Aarhus、Denmark)214TP5215 C4カラム(2.1×150mm)を40℃で用いるAgilent 1100システムにおいて、解析を実施した。溶媒は、Milli-Q水中に0.07%のトリフルオロ酢酸(TFA)(溶媒A)、およびアセトニトリル中に0.1%のTFA(溶媒B)であった。60分間で40%〜55%にわたる溶媒Bの直線勾配により、因子VIIIタンパク質を溶出させた。個々の試料のタンパク質濃度は、HPLCクロマトグラムにおける面積を積分し、因子VIIIの基準物質と比較することにより決定した。基準物質における因子VIII濃度は、110℃の6N HCl中で24時間にわたる加水分解後におけるアミノ酸解析により決定した。本質的に、製造元(Agilent Technologies, note 5968-5658E)により説明される通りに、蛍光標識を用いて、HP1100 HPLCにおいて試料を解析した。
【0127】
実験で用いるGSC出発物質
GSC(グリシルシアル酸シトシン5'-一リン酸エステル)は、解析的HPLC(Zorbax C18 4.6×50mm;A:10mMの重炭酸アンモニウム水溶液;B:90%のアセトニトリル+10%のA;流速:1ml/分;勾配:16分間で0〜100%にわたるB;40℃のオーブン温度;UV(214nm、280nm)検出;GSC:反応時間=0.5分間)により、純度74%で、Albany Molecular Research Inc.から購入した。
【0128】
(実施例1)
組換えBドメイン末端欠失型O-グリコシル化因子VIIIの生成
細胞系および培養工程
因子VIIIのcDNAを用いて、哺乳動物用の発現プラスミドを構築した。プラスミドは、Bドメイン欠失因子VIII、全長ヒト因子VIIIのアミノ酸1〜740を含む因子VIII重鎖、および全長ヒト因子VIIIのアミノ酸1649〜2332を含む因子VIII軽鎖(本明細書では、この分子を「N8」と称する場合がある;Thimら、Haemophilia(2010)、16、349頁を参照されたい)をコードする。重鎖配列および軽鎖配列は、全長ヒト因子VIIIのアミノ酸741〜750および1638〜1648による配列を含む21アミノ酸のリンカー(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQR:配列番号4)により連結した。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に、このプラスミドをトランスフェクトし、ジヒドロ葉酸レダクターゼ系により選択し、最終的に、動物成分非含有培地中で培養されるクローン懸濁液生成細胞をもたらした。
【0129】
工程の第1のステップは、作業用の細胞バンクバイアルに由来する細胞バイアルを、化学的に規定された、動物成分非含有増殖培地へと接種することである。まず融解後、細胞を、T型フラスコ内でインキュベートする。融解の1または2日後、細胞をシェーカーフラスコへと移し、細胞密度を0.2〜3.0×106個/mlに維持するために、培養物容量を系列希釈により拡張する。次のステップは、シェーカーフラスコ中の培地を、種培養用バイオリアクターへと移すことである。ここで培養物容量をさらに拡張してから、最終的に生成用バイオリアクターへと移す。化学的に規定された、同じ、動物成分非含有培地を、すべての接種物拡張ステップに用いる。生成用バイオリアクターへと移した後で、培地に、生成物濃度を増大させる成分を補充する。生成用バイオリアクターでは、サイクル時間を3日間とする反復バッチ工程で細胞を培養する。回収時には、培養物容量の80〜90%を、回収タンクへと移す。次いで、初期細胞密度を得るために、残りの培養液を、新鮮な培地で希釈し、次いで、新規の増殖期を開始する。遠心分離および濾過により回収バッチを洗浄し、保持タンクへと移してから、精製工程を開始する。保持タンク内の細胞を含まない回収物に緩衝液を添加し、pHを安定化させる。
【0130】
生成試行が終了するまでに、細胞バンクの生成を終了させるために、細胞を回収して凍結させる。この細胞バンクを、マイコプラズマ、滅菌性、およびウイルス汚染について検査する。
【0131】
精製
細胞培養培地から、Bドメイン欠失因子VIII(Y1680F)を単離するために、Capto MMCカラムにおける濃縮ステップ、ELISA(immunoabsorbent)およびクロマトグラフィーによるステップ、アニオン交換クロマトグラフィーステップ、ならびに最後のゲル濾過ステップを含めた、4ステップの精製手順を用いた。典型的には、以下の手順を使用した:11リットルの滅菌濾過培地を、緩衝液A:20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、50mMのNaCl、0.02%のTween 80、pH=7.5中で平衡化したCapto MMC(GE Healthcare、Sweden)によるカラム(1.6×12cm)へと、流速15ml/分で送入した。75mlの緩衝液Aでカラムを洗浄した後、1.5MのNaClを含有する75mlの緩衝液Aで洗浄した。20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、2.5MのNaCl、8Mのエチレングリコール、pH=7.5により、流速1ml/分でタンパク質を溶出させた。8mlの画分を回収し、因子VIII活性についてアッセイした(比色アッセイ)。因子VIIIを含有する画分をプールし、通常約50mlのプール容量を得た。
【0132】
因子VIIIに対するモノクローナル抗体を発生させた(Kjalke Eur J Biochem、234、773頁)。エピトープマッピング(結果は示さない)により、この抗体F25は、アミノ酸残基725〜740の重鎖最C末端配列を認識することが判明した。本質的に、製造元により説明される通りに、ゲル1ml当たり2.4mgの密度で、F25抗体を、NHS活性化セファロース4 FF(GE Healthcare, BioSciences AB、Uppsala、Sweden)に連結した。前出の工程によるプールを、20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、pH=7.3で10倍に希釈し、20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、150mMのNaCl、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH7.3で平衡化したF25 Sepharoseカラム(1.6×9.5cm)へと、流速0.5ml/分で適用した。UVシグナルが一定となるまで、カラムを平衡化緩衝液で洗浄し、次いで、UVシグナルが一定となるまで、再度、20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.65MのNaCl、pH7.3で洗浄した。20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、2.5MのNaCl、50%のエチレングリコール、pH=7.3により、流速1ml/分で、因子VIIIを溶出させた。1mlの画分を回収し、因子VIII活性についてアッセイした(比色アッセイ)。因子VIIIを含有する画分をプールし、通常約25mlのプール容量を得た。
【0133】
イオン交換ステップのために、緩衝液A:20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3および緩衝液B:20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、1MのNaCl、pH=7.3を調製した。85%の緩衝液A/15%の緩衝液Bにより、流速2ml/分で、Macro-Prep 25Q Support(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA、USA)によるカラム(1×10cm)を平衡化した。前出の工程によるプールを、緩衝液Aで10倍に希釈し、流速2ml/分でカラムへと送入した。85%の緩衝液A/15%の緩衝液Bにより、流速2ml/分でカラムを洗浄し、流速2ml/分で120mlの15%緩衝液B〜70%緩衝液Bにわたる直線勾配により、因子VIIIを溶出させた。2mlの画分を回収し、因子VIII活性についてアッセイした(比色アッセイ)。因子VIIIを含有する画分をプールし、通常約36mlのプール容量を得た。
【0134】
前出の工程によるプールを、20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、150mMのNaCl、pH=7.3で平衡化した調製グレードのSuperdex 200(GE Healthcare, Bio-Ssiences AB、Uppsala、Sweden)カラム(2.6×60cm)へと1ml/分で適用し、溶出させた。3mlの画分を回収し、因子VIII活性についてアッセイした(比色アッセイ)。因子VIIIを含有する画分をプールし、通常約57mlのプール容量を得た。因子VIIIを含有するプールを、-80℃で保存した。
【0135】
発色活性およびELISAの測定により判定される通り、上記の4ステップの精製手順を用いることにより、約15%の全収量が得られた。
【0136】
実施例1で得られた、組換えN8因子VIII分子は、Bドメインに1つのO結合グリカンを存在させている(Thimら、Haemophilia(2010)、16、349頁を参照されたい)。したがって、このO-グリカンに疎水性側鎖基を特異的に結合させることにより、均一の構造を有する分子の生成が可能となる。さらに、該分子が活性化すると、Bドメインおよび疎水性側鎖基は除去され、したがって、活性化した分子は、活性化した内因性の因子VIIIと類似の構造を有する。
【0137】
(実施例2)
C16脂肪族二塩基酸γ-Glu NHSエステルをGSCへと連結して、シアリルトランスフェラーゼの基質1を得る
【0138】
【化10】

【0139】
GSC(グリシルシアル酸のCMPエステル)(7.5mg、11マイクロモル)を、トリス緩衝液(100mM、pH8.4、50μl)およびアセトニトリル50μlの混合物中に溶解させた。2層系を得た。C16脂肪族二塩基酸であるγ-Glu NHSエステル(7mg;類似のC18化合物の調製については、WO2005/012347A2の実施例5を参照されたい)を、THF(50μl)中に溶解させ、次いで、トリス緩衝液(50μl)を添加して、清明な溶液を得た。この溶液を、GSC溶液へと添加した。清明な溶液を得た。約4時間の反応時間後、真空中で試料を濃縮して、有機溶媒のバルクを除去し、次いで、-20℃で凍結させた。HPLCおよびLC-MSにより、生成物(1)を同定した。
【0140】
中性緩衝液系およびC4 Jupiter 10×250cmカラムを用いるRP-HPLCによる精製。流速:5ml/分;勾配:2%/分のB緩衝液。生成物1を含有する後期溶出画分を回収した。該画分を濃縮して乾燥させた。C4カラムにおいて比較的良好に保持されたにもかかわらず、生成物は、完全な水溶性を示し、10mMのNH4HC03中で再溶解した。溶液中の生成物の濃度は、GSCを基準物質として用いる、272nm(CMP基)におけるUV測定により、4.1μMと決定された。収量:4.2mg(50%)。LCMSにより、生成物の内容を確認した。生成物溶液は、-20℃で保存した。上記のプロトコールを用いて、疎水性側鎖基を保有する、シアリルトランスフェラーゼ基質を調製した。基質1は、水性緩衝液中で、完全に可溶性であることが分かった。
【0141】
(実施例3)
アルブミン結合剤であるNHSエステル2の調製
【0142】
【化11】

【0143】
CEM Libertyマイクロウェーブペプチド合成器における合成には、Rink-Amide樹脂(Novabiochem、0.4g、0.25ミリモル)を用いた。以下のアミノ酸をその順序で用いる(すべての溶液は、0.3MのHOAtを含有するNMP中に7等量のアミノ酸を伴う)、標準的なFmoc化学反応プロトコールを用いた。
1. Fmoc-Lys(Mtt)-OH:6ml中に1.12g
2. Fmoc-OEG-OH:12ml中に1.39g(2つの連結)
3. Fmoc-Glu-OtBu:6ml中に0.77g
4. Fmoc-Thx-OH:6ml中に0.68g
5. C16二酸モノt-ブチルエステル(WO2005/012347A2の実施例4を参照されたい):6ml中に0.62g
【0144】
すべての連結は、7等量のDICを添加することにより実施した。
【0145】
これらの連結の後、Liberty合成器から樹脂を除去し、洗浄し、水気を切り、5mlのヘキサフルオロイソプロパノールで10分間にわたり処理した。次いで、樹脂をDCMで洗浄し、水気を切った。次いで、ヘキサフルオロイソプロパノールによる処理、およびDCMによる洗浄を反復した。
【0146】
スベリン酸ビス-NHSエステル(368mg)を、NMP(10ml;0.5mMのブロモフェノールブルーを伴う)中に溶解させ、DIPEA(170μl)を添加した。この溶液を、水気を切った樹脂に添加し、一晩にわたり反応させた。連結後、樹脂をNMPで洗浄し、次いで、DCMで洗浄し、水気を切った。水気を切った樹脂に、94:1:2.5:2.5のTFA:TIPS:メルカプトエタノール:H2O混合物を添加し、周囲温度で2時間にわたり、樹脂を振とうした。樹脂を75mlの氷冷ジエチルエーテル中にゆっくりと入れて水気を切り、その結果として生成物を沈殿させた。室温で0.5時間にわたりさらに振とうし、遠心分離することにより、固体としての生成物を得、これを、ジエチルエーテルで2回にわたり洗浄し、真空中で乾燥させた。粗生成物を、HPLC用のA緩衝液およびB緩衝液の混合物中に溶解させ、調製用RP-HPLCにより精製した。HPLCおよびLCMSにより、生成物の内容および純度を確認した。
【0147】
上記のプロトコールを用いて、高度に複合体化したアルブミン結合側鎖を、NHSエステルとして調製した。この化合物を、実施例4におけるGSCと反応させるように準備する。
【0148】
(実施例4)
NHSエステルをGSCへと連結して、基質3を得る
【0149】
【化12】

【0150】
実施例3のNHSエステル2(20mg)を、THF(500μl)中に溶解させ、トリス緩衝液(100mM、pH8.4、1500μl)を添加した。GSC(20mg)を秤量し、NHSエステル溶液へと添加し、室温で30分間にわたり反応させた。実施例2で概観した通りに、反応混合物を、MQ水により4mlまで希釈し、RP HPLCにより精製した。勾配:10→50%のB緩衝液。LCMSにより関与性の画分を同定し、凍結乾燥させた。ここでもまた、生成物は、優れた水溶性を示した。収量:7.7mg。LCMSにより、生成物を同定した。
【0151】
上記のプロトコールを用いて、複合体のアルブミン結合疎水性側鎖を保有するシアリルトランスフェラーゼ基質を調製した。基質3は、水性緩衝液中で完全に可溶性であることが分かった。
【0152】
(実施例5)
基質1の蛍光標識ラクトースへの連結
【0153】
【化13】

【0154】
反応に用いられる試薬:
緩衝液:HEPES 100mM、pH 7.5
酵素:CalBiochem製(型番566218)のラット組換えα2,3-(N)-シアリルトランスフェラーゼ。該酵素を、緩衝液中で希釈し、10kDaのMillipore Biomax限外濾過デバイスにより約10倍に濃縮した:100μlを2台のデバイスの各々に分注し、室温、12.000Gで2+6分間にわたり遠心分離した。最終容量を、約8〜10μlずつ(各デバイス)とし、濃度を、1700mU/mlとした。反応には、12.5mU、7.5μlを用いた。
アクセプター:Lac-UM。トリス50mM、pH7.4+1mM CaCl2中に0.5mg/ml(1mM)の溶液。各反応では、容量2.5μl(2.5ナノモル)を用いた。
ドナーである基質1:各反応では、12.5ナノモル、3μlを用いた。
対照ドナー:CMP-NAN 1.4mg、すなわち、4.1mMのHEPES 540μl、pH 7.5中に2.2マイクロモル。各反応では、12.5ナノモル、すなわち、3μlを用いた。
【0155】
2つの反応を、エッペンドルフ試験管内で実施し、その後、RP HPLCを行った。以下のHPLC法:カラム:C18、2.1×50mm;緩衝液:A:純水、B:純粋なMeCN;流速:0.2ml/分;カラム温度:40℃。検出UV:214nmおよび254nm;蛍光検出:励起波長:315nm、発光波長:375nmを用いた。蛍光検出トレースを追跡することにより、反応を定量化した。
【0156】
反応1:アクセプター+ドナー+酵素。20時間後に、反応は、生成物への81%の転換に到達した。生成物は、LCMSにより確認した。
【0157】
反応2:アクセプター+対照ドナー+酵素。20時間後に、反応は、生成物への97%の転換に到達した。
【0158】
酵素を伴わない対照反応は、20時間後においても、生成物の形成をもたらさなかった。
【0159】
この反応を用いて、基質1が、アクセプターとしての蛍光標識ラクトース(アシアロタンパク質のグリカンにおける末端GalNAc-Glc二糖の模倣体であるGal-Glc)との、シアリルトランスフェラーゼ触媒連結反応におけるドナーとして反応する能力を検証した。すべての反応は、水性緩衝液中で実施した。
【0160】
(実施例6)
C18脂肪族二塩基酸γGlu-OEG-OEG NHSエステルをGSCに連結して、シアリルトランスフェラーゼ基質4を得る
【0161】
【化14】

【0162】
17-((S)-1-カルボキシ-3-{2-[2-({2-[2-(2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルオキシカルボニルメトキシ)-エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸(300mg;0.36ミリモル;この化合物の調製については、WO2009/115469A1を参照されたい)を、THF(6ml)およびpH7.5の100mM HEPES緩衝液(4.5ml)による混合物中で溶解させた。THF(4.5ml)およびpH7.5の100mM HEPES緩衝液(6ml)による混合物中のGSC(グリシルシアル酸シトシン5'-一リン酸エステル;252mg;0.397ミリモル)溶液を添加した。反応混合物を、1時間にわたりインキュベートした。HPLCは、GSC出発物質の完全な転換を示した。調製的HPLC(C18、50×200mm;A:水、B:アセトニトリル、C:100mMの重炭酸アンモニウム水溶液;流速:50ml/分;勾配:8分間にわたり、90(A):0(B):10(C)で均一濃度;次いで、40分間にわたり、60(A):30(B):10(C)へと直線的に変化させる;基質4:反応時間=36分間)における複数回の試行により、反応混合物を精製した。解析的HPLCにより、画分を解析した。純粋な画分をプールし、凍結乾燥させて、重炭酸アンモニウムを除去した。凍結乾燥粉末を水中に溶解させ、それに、Dowex 59W X2短型カラム(そのナトリウム形態にある)中を流過させることにより、アンモニウム対イオンを、ナトリウムカチオンと交換した。水性溶出物を今一度凍結乾燥させて、合計278mgの基質4を得た。LC-MS(エレクトロスプレー)AP13000(300〜2000Da):反応時間=3.98分、m/z=1345。1H-NMR (DMSO; 400MHz; 選択ピーク): δ 1.22 ppm (bs; 28H); 1.40 (bs, 4H); 1.72 (m, 1H); 1.86 (m, 1H); 2.07 (m, 4H); 5.75 (m, 2H); 6.77 (bs, 1H); 7.02 (bs, 1H); 7.23 (bs, 1H); 7.55 (m, 1H); 7.68 (m, 1H); 7.95 (s, 1H); 8.48 (s, 1H)。
【0163】
(実施例7)
基質3の蛍光標識ラクトースへの連結
【0164】
【化15】

【0165】
アクセプター:Lac-UM。トリス緩衝液50mM、pH7.4+1mM CaCl2中に0.5mg/ml(1mM)の溶液。各反応では、容量2.5μl(2.5ナノモル)を用いた。
酵素:ラットMBP-ST3Gal-III、1.06U/mg;0.9mg/ml(0.954mU/μl)。各反応では、2.6μl(2.5mU)を用いた(この酵素については、US7220555B2を参照されたい)。
ドナーである基質3:イミダゾール緩衝液中に2.5μg/μl;各反応では、10μl(13.4ナノモル)を用いた。
対照ドナー:4.1mM HEPES緩衝液中に1.4mgのCMP-NAN
反応1:アクセプター(2.5μl)+ドナー(10μl)+酵素(2.6μl)
反応2:アクセプター(2.5μl)+対照ドナー(4μl)+酵素(2.6μl)
反応3:アクセプター(2.5μl)+ドナー(10μl)(酵素なし)
【0166】
3つの反応を、エッペンドルフ試験管内で実施し、アクセプター+ドナー+酵素を混合し、37℃でインキュベートした。
【0167】
反応は、以下のHPLC法:カラム:C18、2.1×50mm;緩衝液:A:水中に0.1%のTFA、B:MeCN中に0.1%のTFA;流速:0.2ml/分;カラム温度:40℃;ダイオードアレイ検出器:214nmおよび254nm;蛍光検出:励起波長:315nm、発光波長:375nmを用いるHPLCによりモニタリングした。
【0168】
結果:
反応1:2時間後にほぼ完全に生成物へと転換した。
反応2:1時間後にほぼ完全に生成物へと転換した。
反応3:反応は生じなかった。
生成物は、LCMSにより同定した。
【0169】
この反応を用いて、基質3が、アクセプターとしての蛍光標識ラクトース(アシアロタンパク質のグリカンにおける末端GalNAc-Glc二糖の模倣体であるGal-Glc)との、シアリルトランスフェラーゼ触媒連結反応におけるドナーとして反応する能力を検証した。すべての反応は、水性緩衝液中で実施した。
【0170】
(実施例8)
ST3Gal-IIIを用いて、基質1を、野生型Bドメイン欠失FVIIIのN-グリカン(「N8」)へと連結する
野生型Bドメイン欠失FVIII:150μlの緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、500mMのNaCl、1Mのグリセロール、pH7.3)中に0.3mg
シアリダーゼ/ノイラミニダーゼ:アガロース上に60μl(約72mU)(Sigma製のVI-A型ウェルシュ菌(C. perfringens)N-5254株;ゲル1ml当たり0.6〜1.8U)(懸濁液)
基質1:4μl、4.1mM;10mM NH4HC03中に16ナノモル
ST3Gal-III:300μl(0.9mg/ml)。実施例7で用いたのと同じバッチ。
【0171】
【表1】

【0172】
遠心分離用のミニ濾過デバイス(Pierce)内で、シアリダーゼを洗浄した:水により2回(2×200μl)、次いで、緩衝液(HEPES;100mM、pH7.5)により3回にわたる。最後に、該デバイスの水気を切った。FVIII(約150μlの緩衝液中に0.3mg)を添加し、混合した。15分間おきに、反応物をピペットで混合した。3時間にわたる反応の後、混合物を濾過し、試料を採取して、SDS PAGE解析にかけた。濾過物の半分を用いて、さらなる反応を行った(70μl)。10kDa Millipore Biomax限外濾過デバイス(約6分間にわたり、12,000g)を用いて、ST3Gal-III(300μl)を、約30μlへと濃縮した。基質1(4μl)およびST3Gal-III(10μlの濃縮物質)を、濾過物へと添加した。混合物を、32℃でインキュベートした。1時間後および23時間後に試料を採取し、SDS PAGEにかけた。
【0173】
試料のSDS PAGE解析(非還元)
100μlのFVIII緩衝液により、1μlの試料を希釈した。各試料から25μlずつを2連で採取し、トロンビンによる前処理を伴う解析、またはトロンビンによる前処理を伴わない解析にかけた。
SilverQuestにより、ゲルを染色した。
レーン(2〜5および7〜12は、それぞれ、トロンビンによる前処理を伴ったレーン、またはトロンビンによる前処理を伴わなかったレーンである):
2:野生型Bドメイン欠失FVIII:2つの強いバンドが、重鎖および軽鎖に対応し、強度の低いバンドが単鎖に対応する。
3:シアリダーゼを伴う3時間後における反応混合物:レーン1と同一。
4および5:基質1およびST3Gal-IIIを伴う1時間後と23時間後における反応混合物:レーン2と同一であるが、ST3Gal-IIIに対応するさらなるバンドを伴う。
7:野生型Bドメイン欠失FVIII:軽鎖(A3-C1-C2ドメイン)、A1ドメイン、およびA2ドメインに対応する一連のバンド。
8:シアリダーゼを伴う3時間後における反応混合物:レーン7と同一。
9および10:基質1およびST3Gal-IIIを伴う1時間後と23時間後における反応混合物。レーン7および8と酷似するが、脂肪酸部分による基質1の修飾に対応して、A1バンドおよびA3-C1-C2バンドが、高分子量側へとわずかにシフトしていたことが注目される。
【0174】
SDS PAGE解析は、C16ガンマGluシアル酸の1〜4基が、野生型Bドメイン欠失FVIIIのアシアロ-N-グリカンに結合する証拠をもたらした。
【0175】
この例は、基質1が、FVIIIに連結されうることを示す。高度に疎水性の脂肪酸含有基質が、水に遊離して可溶性であり、緩衝液中の操作も容易であることは、驚くべきことである。
【0176】
(実施例9)
基質1とST3Gal-IIIとによる反応を介する、N-グリカン修飾野生型Bドメイン欠失FVIII(「N8」):化合物5の調製
アシアロ野生型Bドメイン欠失FVIII(1mg;800μlの緩衝液(ヒスチジン(1.5mg/ml)、CaCl2(0.25mg/ml)、Tween 80(0.1mg/ml)、NaCl(500mM)、スクロース(3mg/ml))中に5.6ナノモル)を、ST3Gal-III(500μl;50μl、500mUへと濃縮する)および基質1(20μl、80ナノモル)で処理した。反応物を、32℃で22時間にわたりインキュベートした。試料を採取して、SDS PAGE解析にかけた。次いで、CMP-NAN溶液(2mg;20μlの緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、500mMのNaCl、1Mのグリセロール、pH=7.3)中に3.1マイクロモル)を添加し、32℃で1時間にわたりインキュベートした。
【0177】
反応混合物を、約18mlの緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3)により19mlまで希釈した。そのときの塩濃度は、約28mMであった。溶液を、10mlの緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3)で平衡化したAIECスピンカラム(Vivapure Q Mini M、強力なアニオン交換カラム)へと投入した。次いで、カラムを、1.2倍濃度の緩衝液10ml(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3)、2.2倍濃度の緩衝液10ml(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3、50mMのNaCl)、3.2倍濃度の緩衝液10ml(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3、200mMのNaCl)で洗浄した。
【0178】
最後に、FVIIIコンジュゲートを、20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3、1MのNaClで溶出させた。コンジュゲート(700μg)を1ml中に回収した。回収したコンジュゲートを、Superdex 200 10/30 GLゲル濾過カラムに適用し、ヒスチジン(1.5mg/ml)、CaCl2(0.25mg/ml)、Tween 80(0.1mg/ml)、NaCl(18mg/ml)、スクロース(3mg/ml)で溶出させた。溶出物は、約0.4カラム容量に1つのピーク、および約0.60カラム容量に別のピークを含有した。最初のピークは、SDS PAGEにより、ST3Gal-III酵素(おそらく、凝集形態にある)として同定された。第2のピークは、3.5ml中に226μgとして単離されたコンジュゲート(5)を含有した。トロンビンによりあらかじめ切断させた状態で、非還元SDS PAGEにより生成物を特徴づけたが、これによれば、修飾グリカンを含有するA1およびA3-C1-C2に対応するバンドが、高分子量側へとわずかにシフトした。この例では、基質1がFVIIIのN-グリカンに連結され、クロマトグラフィーステップにより、コンジュゲートが単離された。連結は、容易に実施された。
【0179】
(実施例10)
基質3とST3Gal-IIIとによる反応を介する、N-グリカン修飾野生型Bドメイン欠失FVIII:化合物6の調製
アシアロ野生型Bドメイン欠失FVIII(1mg;800μlの緩衝液(ヒスチジン(1.5mg/ml)、CaCl2(0.25mg/ml)、Tween 80(0.1mg/ml)、NaCl(500mM)、スクロース(3mg/ml))中に5.6ナノモル)を、ST3Gal-III(500μl;50μl、500mUへと濃縮する)および基質3(45μl、60ナノモル)で処理した。反応物を、32℃で21.5時間にわたりインキュベートした。試料を採取して、SDS PAGE解析にかけた。次いで、CMP-NAN溶液(2mg;20μlの緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、500mMのNaCl、1Mのグリセロール、pH=7.3)中に3.1マイクロモル)を添加し、32℃で1時間にわたりインキュベートした。
【0180】
反応混合物を、約18mlの緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3)で19mlまで希釈した。そのときの塩濃度は、約28mMであった。次いで、実施例9で概観した通りに、生成物を、AIECスピンカラムにより精製した。コンジュゲート(820μg)を1ml中に回収した。回収したコンジュゲートを、Superdex 200 10/300 GLゲル濾過カラムに適用し、ヒスチジン(1.5mg/ml)、CaCl2(0.25mg/ml)、Tween 80(0.1mg/ml)、NaCl(18mg/ml)、スクロース(3mg/ml)で溶出させた。溶出物は、約0.43カラム容量に1つのピーク、および約0.58カラム容量に別のピークを含有した。最初のピークは、SDS PAGEにより、ST3Gal-III酵素(おそらく、凝集形態にある)として同定された。第2のピークは、2.5ml中に273μgとして単離されたコンジュゲート(6)を含有した。トロンビンによりあらかじめ切断させた状態で、非還元SDS PAGEにより生成物を特徴づけたが、これによれば、修飾グリカンを含有するA1およびA3-C1-C2に対応するバンドが、高分子量側へと明確にシフトした。
【0181】
この例では、基質3がFVIIIのN-グリカンに連結され、クロマトグラフィーステップにより、コンジュゲートが単離された。
【0182】
(実施例11)
基質3とST3Gal-Iとによる反応を介する、O-グリカン修飾野生型Bドメイン欠失FVIII:化合物7の調製
緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3、500mMのNaCl)中の野生型Bドメイン欠失FVIII(5.7mg/ml、352μl、10.2ナノモル)を、シアリダーゼ(アルトロバクター・ウレアファシエンス(A. ureafaciens)、12μl、0.43mg/ml、130U/ml;ChristensenおよびEgebjerg、Bio-technol. Appl. Biochem.、41、225〜231頁を参照されたい)、HIS-ST3Gal-I(21.6U/mg、100μl)および基質3(150μl、200ナノモル)と混合した。混合物を32℃で2.5時間にわたりインキュベートし、その後、シクロデキストリンアフィニティークロマトグラフィーにより、コンジュゲートFVIIIを単離した。この物質を、固定化シクロデキストリンカラムへと投入し、18mlの出発緩衝液で洗浄した。100%の溶出緩衝液までの段階として溶出を実施したところ、2.5ml中に730μgとして、生成物が溶出された。次いで、生成物を、CMP-NAN(40μl、34mg/ml)およびMBP-SBD-ST3Gal-III(200μl、0.33mg/ml、約0.5U/ml)により、32℃で1時間にわたり処理し、凍結させた。融解後、実施例9で概観した通りに、生成物を、AIECスピンカラムにより精製し、5倍濃度の緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3、1MのNaCl)350μlで最終的な溶出を実施し、700ul中に586μgのコンジュゲートを得た。得られたコンジュゲートを、Superdex 200 10/30 GLゲル濾過カラムに適用し、ヒスチジン(1.5mg/ml)、CaCl2(0.25mg/ml)、Tween 80(0.1mg/ml)、NaCl(18mg/ml)、スクロース(3mg/ml)で溶出させた。溶出物は、0.58カラム容量に1つの主要なピークを含有し、これを回収したところ、2.5ml中に348μgのコンジュゲート(7)を含有した。非還元SDS PAGEにより生成物を特徴づけたが、これにより、修飾グリカンを含有するHCに対応するバンドが、高分子量側へとわずかにシフトしたことが示される。また、野生型Bドメイン欠失FVIIIをスパイクした解析的シクロデキストリンアフィニティークロマトグラフィー、およびこれをスパイクしない解析的シクロデキストリンアフィニティークロマトグラフィーにより、該コンジュゲートは、シクロデキストリンに結合するが、野生型Bドメイン欠失FVIIIは、シクロデキストリンに結合しないことが分かった。
【0183】
(実施例12)
O-グリカンをPEG化し/N-グリカンを疎水性側鎖基により修飾した野生型Bドメイン欠失FVIII:化合物8の調製
WO2009/108806A1において説明される通りに、野生型Bドメイン欠失FVIII(1mg、5.6ナノモル)を、シアリダーゼ(アルトロバクター・ウレアファシエンス)、ST3Gal-I、および40kDaのPSC(この化合物の説明については、WO2007/056191A2を参照されたい)を用いるPEG化反応にかけた。反応の完了後、生成物を、Superdex 200 10/30 GLゲル濾過カラムに適用し、20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3、25mMのNaClで溶出させた。PEG化FVIIIを含有する生成物は、0.38〜0.54カラム容量における、部分的に分離した2つのピークとして溶出した。実施例9で概観した通りに、このプールを、AIECスピンカラムにより精製し(ステップ3を省略する)、3倍濃度の緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3、1MのNaCl)300μl、により最終的な溶出を実施し、PEG化FVIIIを600μl中240μgとした。次に、生成物を、MBP-SBD-ST3Gal-III(125μl、0.33mg/ml、約0.5U/ml)および基質3(15μl、20ナノモル)で処理した。反応混合物を32℃で20時間にわたりインキュベートし、その後、CMP-NAN(34mg/ml、14μl)を添加し、32℃で1時間にわたり反応させた。次いで、反応混合物を、-80℃で凍結させた。融解させた試料を、25mlの緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3)で希釈し、実施例9で概観した通りに、AIECスピンカラム上で精製した。3倍濃度の緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、1Mのグリセロール、pH=7.3、1MのNaCl)250μlにより最終的な溶出を実施した。プールを、Superdex 200 10/30 GLゲル濾過カラムに適用し、ヒスチジン(1.5mg/ml)、CaCl2(0.25mg/ml)、Tween 80(0.1mg/ml)、NaCl(18mg/ml)、スクロース(3mg/ml)で溶出させた。溶出物は、非PEG化FVIIIを含有する0.58カラム容量における1つのピーク、および約0.43カラム容量付近における2つの非分離ピークを含有した。早期におけるこれらの2つのピークの溶出が、おそらくST3Gal-III(凝集形態にある)であるのに対し、後期における溶出ピークは所望の化合物を含有した。低量のST3Gal-IIIと共に所望の化合物(8)を含有する画分を回収した(2.5ml中に50μg)ところ、非還元SDS PAGEは、HCが高分子量側へとシフトすることを示したが、これは、PEGのO-グリカンへの結合と符合した。トロンビンによりあらかじめ切断させた状態での非還元SDS PAGEは、修飾グリカンを含有する、A1およびA3-C1-C2に対応するバンドが、高分子量側へとシフトすることを示したが、これは、基質3のN-グリカンへの結合と符合した。
【0184】
(実施例13)
アシアロ野生型Bドメイン欠失FVIII
アシアロ野生型Bドメイン欠失FVIIIは、2つの経路を介して、野生型Bドメイン欠失FVIIIをシアリダーゼで処理することにより得た。第1の経路は、シアリルトランスフェラーゼを介して、FVIIIのO-グリカンまたはN-グリカンに修飾基を連結する直前または連結するのと同時に(ワンポット)、野生型Bドメイン欠失FVIIIをシアリダーゼで処理することを包含した。これは、実施例8、11、および12で説明されている。
【0185】
代替的に、アシアロ野生型Bドメイン欠失FVIIIは、以下の方式で(実施例9および10)も得られた。WO2009/108806A1において説明される通りに、野生型Bドメイン欠失FVIIIを、シアリダーゼ(アルトロバクター・ウレアファシエンス)、ST3Gal-I、および40kDaのPSCを用いるPEG化反応にかけた。反応の完了後、AIECにより、(非PEG化)アシアロFVIIIを、PEG化FVIIIから分離した。最後に、MonoQ AIECカラムを用いて、アシアロFVIIIを緩衝液交換した。82mlの緩衝液中でAIECから単離された合計37.4mgのアシアロFVIIIを、MQ水(150ml)で希釈して、12mS/cmの導電性を得、緩衝液(ヒスチジン(1.5mg/ml)、CaCl2(0.25mg/ml)、Tween 80(0.1mg/ml)、NaCl(50mg/ml)、スクロース(3mg/ml)で平衡化したカラムへと投入した。緩衝液(ヒスチジン(1.5mg/ml)、CaCl2(0.25mg/ml)、Tween 80(0.1mg/ml)、NaCl(1M)、スクロース(3mg/ml)の勾配を用いて、生成物を溶出させた。約500mMのNaClで生成物を溶出させた。
【0186】
(実施例14)
基質4のアシアロトランスフェリンへの酵素的連結。N-グリカン修飾トランスフェリンの調製
基質4(2.7mg、2.0ナノモル)を、20%(w/v)HPCDを含有する100μlのイミダゾール緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、0.02%のTween 80、150mMのNaCl、1Mのグリセロール、pH=7.3)中で溶解させた。200μlのイミダゾール緩衝液中のアシアロトランスフェリン(0.4mg)溶液を添加した後、20μlのHepes緩衝液(14mMのHepes;140mMのNaCl、50%(v/v)のグリセロール、pH7.0)中のMBP-SBD-ST3Gal-III酵素(0.33mg/ml)を添加した。混合物に、さらなるイミダゾール緩衝液(80μl)を添加して、全反応物容量を400μlとし、次いで、室温で2時間にわたりインキュベートした。LC/MSD TOF(Agilent technology(商標))により、反応混合物を解析し、300〜2000Daで測定したスペクトルに、デコンボリューションアルゴリズムを適用した。ピーク強度(収量;m/z)に基づき生成物の分布:非反応アシアロトランスフェリン(28%;78386.3869Da);モノ誘導体化アシアロトランスフェリン(48%;79409.8768Da);二重誘導体化アシアロトランスフェリン(24%;80440.8368Da)を計算した。この例は、基質4の疎水性側鎖基が、ポリペプチド(トランスフェリン)のアシアログリカンへと転移したことを検証するために、形成された生成物の質量を示す解析データを、後に得ることが可能であることを示す。
【0187】
(実施例15)
疎水性側鎖基とコンジュゲートされたFVIIIのアルブミン結合
GE Healthcare instruction leaflet 71-7006-00 ATに従い、HiTrap NHSカラム(GE Healthcare;CV 1ml;型番17-0716-00 AT)を用いて、セファロース-HSA(ヒト血清アルブミン)カラムを調製した。置換は、10マイクロモル/mlであった。SigmaによるHSA(A1653)を用いた。1mlの緩衝液中に1mgの量を、連結に用いた。上述の指示書冊子において説明されるプロトコールにより、連結効率を、71%と決定した。
【0188】
以下の条件で、カラムを用いた:
流速:0.5ml/分
平衡化緩衝液:A緩衝液:20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、150mMのNaCl、pH7.3、10%のグリセロール
溶出緩衝液:B緩衝液:A緩衝液中に20mMのヒドロキシプロピルシクロデキストリン
温度:22℃
検出:蛍光検出;励起波長:315nm、発光波長:375nm
0%〜20%(保持時間:3分)から、60%(5.25分)を経て、100%(7.5分)へと段階を踏む、B緩衝液の段階的勾配を用いた。
【0189】
3つの試料を、次の方式:
1)ブランク試料:ピークではなく、ヒドロキシルプロピルシクロデキストリンの段階的勾配に対応する、強度が低く幅の広いシグナルを示すこと;
2)野生型Bドメイン欠失FVIII(「N8」)試料:保持時間2.5分において、カラムの空容量に対応するピークを示すので、このタンパク質は、カラムに対するアフィニティーを有さないこと;
3)実施例10の化合物6と同様に調製されたアルブミン結合剤とのFVIIIコンジュゲートの粗反応混合物試料:20%のB緩衝液における溶出に対応する、保持時間7.5分のピークに加えて、保持時間2.5分において、カラムの空容量に対応するピークを示す。したがって、該タンパク質の画分は、カラムに結合した。この画分を単離したところ、化合物6に対応する、疎水性側鎖により修飾されたFVIIIであることが判明した。これは、SDS PAGE解析における、軽鎖および重鎖に対応するバンドのシフトを観察することにより決定したこと;
により調べた。
【0190】
類似の実験では、試料2または3のタンパク質のうちのいずれも、固定化タンパク質を含有しないカラムには結合しないことが判明した。
【0191】
この例は、実験の条件下では、野生型Bドメイン欠失FVIIIが、HSAに結合しないのに対し、化合物6に対応する、疎水性側鎖で修飾したFVIII誘導体は、HSAに結合することを示す。
【0192】
(実施例16)
疎水性側鎖とコンジュゲートされたFVIIIの、in vitroにおける活性(FVIII:C)の特徴づけ
以下の通りに、Coatest SP試薬(Chromogenix)を用いるFVIII比色アッセイにおいて、FVIII誘導体5〜8のFVIII活性(FVIII:C)を評価した:Coatestアッセイ緩衝液(防腐剤を伴う、50mMのトリス、150mMのNaCl、1%のBSA、pH7.3)中で、FVIII試料およびFVIII基準物質(例えば、NIBSCによる、国際FVIII基準物質第7版に照らして較正した精製野生型rFVIII)を希釈した。50μlの試料、基準物質、および緩衝液による陰性対照を、96ウェルマイクロ滴定プレート(Nunc)に二連で添加した。Coatest SPキットによる因子IXa/因子X試薬、リン脂質試薬、およびCaCl2を、5:1:3(容量:容量:容量)で混合し、このうちの75μlを、ウェルに添加した。室温で15分間にわたるインキュベーション後、50μlの因子Xa基質S-2765/トロンビン阻害剤I-2581ミックスを添加し、反応物を室温で10分間にわたりインキュベートしてから、pH3の1Mクエン酸25μlを添加した。620nmにおける吸光度を基準波長として用いるSpectramaxマイクロ滴定プレートリーダー(Molecular Devices)上で、415nmにおける吸光度を測定した。陰性対照による値を、すべての試料から減じ、FVIII濃度と対比してプロットした吸光度値の線形回帰により、検量線を作成した。試料の活性を、HPLCにより決定されるタンパク質濃度で除することにより、比活性を計算した。
【0193】
【表2】

【0194】
(実施例17)
一段階血栓アッセイにおいて測定されたFVIII:C
以下の通り、一段階FVIII血栓アッセイにより、FVIII誘導体5〜8のFVIII:Cをさらに評価した。HBS/BSA緩衝液(1%のBSAを伴う、20mMのhepes、150mMのNaCl、pH7.4)中で、FVIII誘導体試料およびFVIII基準物質(例えば、NIBSCによる、国際FVIII基準物質第7版に照らして較正した精製野生型rFVIII)を、約10U/mlまで希釈した後、VWF(Dade Behring)を含有するFVIII欠損血漿中で10倍に希釈した。その後、試料を、HBS/BSA緩衝液中で希釈した。単一因子プログラムを用いて、ACL300R測定器またはACL5000測定器(Insturumentation Laboratory)上で、APTT血栓形成時間を測定した。VWF(Dade Behring)を伴うFVIII欠損血漿をアッセイ血漿として用い、SynthASil(HemosIL(商標);Instrumentation Laboratory)をaPTT試薬として用いた。血栓測定器では、希釈した試料または基準物質を、37℃で、FVIII欠損血漿およびaPTT試薬と混合した。塩化カルシウムを添加し、血栓形成までの時間を、濁度により決定した。FVIII基準物質の希釈液による血栓形成時間の検量線に基づき、試料中のFVIII:Cを計算した。Table 2(表3)におけるデータは、FVIII誘導体5〜8に対する血栓アッセイにより測定されたFVIII:Cの比活性が、良好〜極めて良好であったことを裏付ける。
【0195】
【表3】

【0196】
(実施例18)
疎水性側鎖とコンジュゲートされたFVIIIの薬物動態的特徴づけ
rFVIII変異体の薬物動態を、FVIII欠損マウス(Taconic M&Bにおいて飼育された、C57Bl/6のバックグラウンドを有する、FVIIIエクソン16ノックアウト(KO)マウス)またはvWF欠損マウス(Charles River、Germanyで飼育された、C57Bl/6のバックグラウンドを有する、vWFエクソン4+ 5 KOマウス)において評価した。vWF-KOマウスのFVIII:Cが13%で正常であったのに対し、FVIII-KOマウスは、FVIII:Cが検出可能でなかった。体重約25グラムで16〜28週齢の範囲の雄および雌の混合集団(約1:1)を用いた。マウスには、尾静脈に単回の静脈内rFVIII(280IU/kg)注射を施した。投与の64時間後までの時点において、コーティングなしのガラス細管を用いて、眼窩静脈叢から血液を採取した。各マウスから3回ずつ試料を採取し、各時点において2〜4例ずつの試料を採取した。クエン酸ナトリウムにより、血液を速やかに安定化させ、4倍濃度のFVIII Coatest SP緩衝液(実施例16を参照されたい)中で希釈してから、4000×gで5分間にわたる遠心分離にかけた。希釈した血液から得た血漿を、ドライアイス上で凍結させ、-80℃で保存した。実施例16で説明した通り、比色アッセイにおいて、FVIII:Cを決定した。WinNonlin Pro version 4.1ソフトウェアを用いる、ノンコンパートメント法(NCA)により、薬物動態解析を実施した。Table 3(表4)は、薬物動態パラメータ:半減期(t1/2)、クリアランス(CL)、および平均滞留時間(MRT)についての推定値を示す。データは、FVIIIが疎水性側鎖とコンジュゲートされると、クリアランスが減少し、半減期および平均滞留時間が延長されることを示す。
【0197】
【表4】

【0198】
(実施例19)
N-グリカンを疎水性側鎖で修飾したFVIIaの調製
以下の試薬を用いた。
アシアロFVIIa(内部バッチ):Gly-Gly緩衝液、pH6中(1.39mg/ml);500μl、13ナノモルを用いた。
基質1(アルブミン結合剤-GSC):(分子量:1869):2mg/ml;30μlまたは32ナノモルを用いた。
MBP-SBP-ST3Gal-III:1.2U/ml;100μlを用いた。
【0199】
アシアロFVIIaとは、シアリダーゼで前処理され、精製された、組換えFVIIaを指した。アシアロFVIIaを融解させ、基質1およびST3Gal-IIIを添加した。混合物を、32℃でインキュベートした。110分後、試料を、シクロデキストリンアフィニティークロマトグラフィーにより分離した。クロマトグラムは、2つのピークを含有した。SDS-PAGEを用いて、FVIIa重鎖およびFVIIa軽鎖の分子量の増大により示される通り、最初の溶出ピークは、非修飾アシアロFVIIaに対応し、最後の溶出ピークは、アルブミン結合剤で修飾したアシアロFVIIaに対応した。
【0200】
この例は、FVIIaの、そのN-グリカンにおける、基質3の疎水性側鎖による修飾が可能であることを示す。
【0201】
(実施例20)
N-グリカンを疎水性側鎖で修飾したFIXの調製
以下の試薬を用いた:
FIX(内部バッチ):10mMのヒスチジン、3mMのCaCl2、50mMのNaClによる緩衝液、pH6中(11mg/ml)。
緩衝液(20mMのイミダゾール、10mMのCaCl2、150mMのNaCl、pH7.3、10%のグリセロールpH7.3)により、100μl(20ナノモル)を1mlまで希釈した。100μl(2ナノモル)を用いた。
基質1(アルブミン結合剤-GSC、分子量:1869):2mg/ml;7.5μl(8ナノモル)を用いた。
MBP-SBP-ST3Gal-III:1.2U/ml;25μlを用いた。
シアリダーゼ/ノイラミニダーゼ:アガロース上に50μl(6.7mU)(Sigma製のVI-A型ウェルシュ菌N-5254株;ゲル1ml当たり0.6〜1.8U)(懸濁液)
【0202】
Pierceスピンカラムを用いて、シアリダーゼをスピンダウンし、500μlの水で2回にわたり洗浄し、次いで、緩衝液(50mMのHEPES、100mMのNaCl、10mMのCaCl2、pH7)により3回にわたり洗浄した。洗浄したシアリダーゼをスピンダウンし、これを、融解させたFIXに添加した。反応物を、室温で一晩にわたり静かに振とうし、次いで、Pierceスピンカラムを用いて濾過した。アシアロFIXを含有する、結果として得られる濾過物に、基質1およびST3Gal-IIIを施し、32℃で46時間にわたりインキュベートした。反応混合物の試料を、シクロデキストリンアフィニティークロマトグラフィーにより分離した。クロマトグラムは、2つのピークを含有した。SDS-PAGEを用いて、FVIIa重鎖およびFVIIa軽鎖の分子量の増大により示される通り、最初の溶出ピークは、非修飾アシアロFVIXに対応し、最後の溶出ピークは、アルブミン結合剤で修飾したアシアロFIXに対応した。ゲルはまた、FIXが自己活性化することにより生成する少量のFIXaの存在も示した。
【0203】
この例は、FIXの、そのN-グリカンにおける、基質3の疎水性側鎖による修飾が可能であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有結合により少なくとも1つの疎水性側鎖基にコンジュゲートされる組換えタンパク質であって、前記疎水性側鎖基が、シアル酸を介して前記タンパク質に連結される組換えタンパク質。
【請求項2】
凝血因子である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
FVII分子である、請求項2に記載の凝血因子。
【請求項4】
FVIII分子である、請求項2に記載の凝血因子。
【請求項5】
FVIX分子である、請求項2に記載の凝血因子。
【請求項6】
抗体の抗原結合断片である、請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項7】
疎水性側鎖基が、脂肪酸および脂肪族二塩基酸からなる群のうちの1または複数から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項8】
vWF結合能を低下させた、請求項4に記載のFVIII分子。
【請求項9】
疎水性側鎖基が、シアル酸を介して、共有結合によりO-グリカンにコンジュゲートされ、前記O-グリカンが、末端欠失型Bドメインに位置し、因子FIIIの活性化が、前記疎水性側鎖基の除去を結果としてもたらす、請求項4および請求項8のいずれか一項に記載のFVIII分子。
【請求項10】
少なくとも1つの親水性ポリマーとさらにコンジュゲートされる、請求項4、および8から9のいずれか一項に記載のFVIII分子。
【請求項11】
シアリルトランスフェラーゼ触媒反応を介する、疎水性側鎖基の組換えタンパク質への結合を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の分子を作製する方法。
【請求項12】
薬物としての、請求項1から10のいずれか一項に記載の分子の使用。
【請求項13】
炎症性疾患を治療するための、請求項6に記載の抗体の抗原結合断片の使用。
【請求項14】
血友病を治療するための、請求項1から5、および7から10のいずれか一項に記載の分子の使用。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の分子を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2013−519698(P2013−519698A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553263(P2012−553263)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051889
【国際公開番号】WO2011/101277
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(509091848)ノヴォ ノルディスク アー/エス (42)
【Fターム(参考)】