説明

コンセント

【課題】 不使用時にコンセントの受刃に電流が流れるのを阻止して、感電事故や漏電事故を防ぐ。
【解決手段】 コンセントのケース体2に、スイッチ9と表示灯10とを設ける。スイッチ9の入力端子9aは、コンセントの給電線20用の接続端子20aに接続する。スイッチ9の出力端子9bは、受刃3用の接続端子3aに接続する。スイッチ9の切換つまみ14を切り換えることにより、入力端子9aと出力端子9bとの間を導通し、あるいは遮断して、必要時に限って受刃3に電流を流せるようにする。表示灯10は、受刃3が通電状態にあるときに点灯する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、壁面や床面等に配置される電源プラグ用のコンセントに関する。
【0002】
【従来の技術】壁面等に埋設したコンセントは、内蔵する受刃(接続端子)に電流が常時印加されている。そのため、誤って金属片等をプラグ穴に差し込むと感電するおそれがある。こうした事故を防ぐために、コンセントの外面に防護蓋を設け、あるいは電源プラグをコンセントに差し込んだ状態においてのみ、受刃に通電するようにしたコンセントがある(特開昭56−19877号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】日常的に継続使用する電気機器においては、電源プラグを一度コンセントに接続した後は、機器側の電源スイッチをオン・オフ操作する程度で、たとえ長期間にわたって電気機器を使用しない場合でも、電源プラグをコンセントから抜き外すことは殆どない。そのため、電源プラグと電源コードとは常時通電状態にあり、感電事故や漏電事故の一因となっている。電源プラグとコンセントとの間に堆積した塵埃が接続端子に付着する場合には、塵埃を媒体にして空中放電を生じ、その火花によって塵埃が発火して火災の原因になることもある。
【0004】電気機器の不使用時に、電源プラグをコンセントから抜き外すことを徹底すれば、上記の事故は確実に避けることができる。しかし、電気機器を使用するごとに電源プラグを抜き差しするのは煩わしいため、一般的には長期旅行時などにサーキットブレーカーを遮断する程度の対応が殆どである。先に述べた通り、電源プラグを抜き外しても、コンセントの受刃は依然として通電状態にあり、このことも感電や通電を一掃できない一因になっている。
【0005】本発明の目的は、受刃への通電状態をオン・オフ状態に切り換えるスイッチをコンセントに設けておき、たとえ電源プラグがコンセントに常時接続してあったとしても、スイッチを切り換え操作するだけで受刃以降の給電系への給電状態をオフにできるようにし、これにより電源プラグやそのコードおよび受刃に電流が印加されていることに基づく、感電事故や漏電事故等の発生を一掃することにある。この発明の他の目的は、受刃が通電状態にあるか否かを容易に確認できるようにして、使用者の注意を喚起でき、これにより不使用時の給電系への通電停止を促進し感電等の事故を未然に防止できるコンセントを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明のコンセントは、電源プラグ12が差し込み接続されるケース体2を有し、ケース体2には給電線20に接続される受刃3と、受刃3に通じるプラグ穴11とが設けてある。ケース体2には受刃3への給電状態をオン状態とオフ状態に切り換えるスイッチ9を設ける。スイッチ9の入力端子9aと出力端子9bとは、給電線20用の接続端子20aと、受刃3用の接続端子3aとに接続する。
【0007】具体的には、ケース体2の外面に、受刃3の通電状態に応じて点灯する表示灯10を設ける。ケース体2に複数組の受刃3とプラグ穴11とを設け、各受刃3ごとにスイッチ9を設ける。ケース体2は、取付穴内部のブラケット4に固定されるフレーム5と、フレーム5に装着固定される主ケース6と、主ケース6の外面を覆う化粧カバー7とを含み、主ケース6に受刃3、スイッチ9および表示灯10が組み込まれている。
【0008】
【作用および発明の効果】スイッチ9をオン操作すると、給電線20と受刃3とが導通されて、受刃3に電流が印加される。逆にスイッチ9をオフ操作すると、給電線20と受刃3との間の導通が遮断される。そのため、受刃3に電源プラグ12が接続してあったとしても、受刃3以降の給電路に電流が流れることはない。従って、この発明のコンセントによれば、不使用時にスイッチ9をオフ操作しておくことにより、電源プラグ12やそのコードの芯線および受刃3に誤って接触するようなことがあっても、感電することはなく、漏電を招くこともない。スイッチ9をオン状態とオフ状態に切り換えるだけで、受刃3以降の給電路への給電状態を変更できるので、電源プラグ12の抜き差しによって給電状態を変更する場合に比べて、より簡単にしかも迅速に給電状態を変更でき、その手間を著しく軽減できる。
【0009】ケース体2に表示灯10を備えていると、受刃3の導通状態を表示灯10で明確に知ることができるので、使用者の注意を喚起して、使用していない電気機器への通電停止を促進できる。
【0010】複数組の受刃3を備えているコンセントにおいては、各受刃3ごとにスイッチ9を設けておくことによって、使用中の給電系とそうではない給電系ごとに給電状態をオン・オフできるので、使い勝手がよい。電源プラグ12が接続されていないプラグ穴11に誤って金属片を差し込むようなことがあっても、スイッチ9がオフ状態に切り換わっている限り感電することもない。
【0011】主ケース6に受刃3、スイッチ9および表示灯10を組み込んでおくと、スイッチ9や表示灯10を別途組み付け、さらにスイッチ9および表示灯10と、給電線20および受刃3との間を結線する作業を省くことができ、その分だけコンセントの取り付け工事に要する手間とコストを軽減できる。
【0012】
【実施例】図1ないし図3はこの発明を壁用のコンセントに適用した実施例を示す。図1において、コンセントは、壁に開口した取付穴1(図3参照)に埋設されるケース体2を有する。ケース体2の内部には給電線20に接続される2組の受刃3・3が設けられている。ケース体2は、取付穴1の内部のブラケット4にビス止めされる金属板製のフレーム5と、フレーム5に圧嵌装着される主ケース6と、主ケース6の外面を覆う化粧カバー7などで構成されている。
【0013】主ケース6は絶縁性に富むプラスチック材を用いた射出成形品からなり、その内部に、受刃3・3と、各受刃3への給電状態をオン状態とオフ状態とに切り換えるスイッチ9と、受刃3の通電状態を表示する表示灯10とを組む。主ケース6には各受刃3に通じる一対ずつのプラグ穴11が設けてある。このプラグ穴11に電源プラグ12のプラグ刃13を差し込むことにより、プラグ刃13を受刃3に接続できる。
【0014】スイッチ9は、オン状態とオフ状態とをそれぞれ自己保持できる倒伏型の切り換えスイッチからなり、図2に示すように給電線20と各受刃3との間の給電路に設ける。詳しくは、スイッチ9の入力端子9aを給電線20用の接続端子20aに接続したうえで、スイッチ9の出力端子9bを受刃3用の接続端子3aに接続する。スイッチ9には切換つまみ14が設けてあり、これをオン側とオフ側へ傾倒させることにより、入力端子9aと出力端子9bとの間を導通し、あるいは遮断できる。なお、図2では片方の受刃3と給電線20との接続状態のみを示している。
【0015】表示灯10は、発光ダイオードや小形電球からなり、受刃3用の接続端子3a間に設けた電源調整回路15の出力電流を受けて、受刃3に電流が印加されている状態でのみ点灯する。電源プラグ12の抜き差しの邪魔になるのを避け、さらに電源プラグ12をコンセントに差し込んだ状態においても点灯状態を確認できるようにするために、各表示灯10はそれぞれプラグ穴11の左側外方に配置する。同様に、先の各スイッチ9もプラグ穴11の右側外方に配置する。
【0016】図3において化粧カバー7は、取付穴1内に配置したケースにビス止めされる角枠状の内枠体7aと、内枠体7aに圧嵌装着される外カバー7bとからなる。外カバー7bには、主ケース6や、スイッチ9および表示灯10をカバー外面に露出させるための窓や通口が設けてある。
【0017】以上のように構成したコンセントによれば、スイッチ9の切換つまみ14をオフ側へ傾倒するだけで、受刃3への通電を遮断できる。従って、各受刃3に電源プラグ12が差し込み接続してあっても、受刃3以降の給電路に電流が印加されるのを阻止できる。このとき、表示灯10は消灯して、受刃3が電流遮断状態にあることを表示する。電源プラグ12がコンセントに差し込んであるか否かを問わず、受刃3が通電状態にあるときは、表示灯10が点灯するので、使用者の注意を喚起し、不必要な通電状態を遮断するよう促すことができる。
【0018】上記の実施例以外に、スイッチ9は、押しボタン型、切換つまみ14が回動するロータリ型、切換つまみが往復スライドするスライド型などのスイッチを用いることができる。必要があれば、スイッチ9がコンタクトブレーカーを兼ねていてもよい。スイッチ9および表示灯10のレイアウトは自由に変更できるので、実施例で説明した配置には限定されない。ケース体2の構成も限定しない。この発明は、壁用以外に床用のコンセントや、延長コード付きのテーブルタップ等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンセントの正面図である。
【図2】コンセント内部の結線状態を示す模式図である。
【図3】ケース体の分解側面図である。
【符号の説明】
2 ケース体
3 受刃
6 主ケース
9 スイッチ
10 表示灯
11 プラグ穴
12 電源プラグ
14 切換つまみ
20 給電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電源プラグ12が差し込み接続されるケース体2を有し、ケース体2に給電線20に接続される受刃3と、受刃3に通じるプラグ穴11とが設けてあるコンセントであって、ケース体2に受刃3への給電状態をオン状態とオフ状態とに切り換えるスイッチ9が設けられており、スイッチ9の入力端子9aと出力端子9bとが、給電線20用の接続端子20aと、受刃3用の接続端子3aとに接続してあるコンセント。
【請求項2】 ケース体2の外面に、受刃3の通電状態に応じて点灯する表示灯10が設けてある請求項1記載のコンセント。
【請求項3】 ケース体2に複数組の受刃3とプラグ穴11とが設けられており、各受刃3ごとにスイッチ9が設けてある請求項1又は2記載のコンセント。
【請求項4】 ケース体2が、取付穴内部のブラケット4に固定されるフレーム5と、フレーム5に装着固定される主ケース6と、主ケース6の外面を覆う化粧カバー7とを含んでおり、主ケース6に受刃3、スイッチ9および表示灯10が組み込んである請求項1又は2又は3記載のコンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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