説明

コンソールボックス

【課題】見栄えがよく、リッドの操作が容易で、安価で製造が容易なコンソールボックスを提供することにある。
【解決手段】ボックス本体10に設けられた開口部50と、開口部50の後側に設けられガイドボックス30と、ガイドボックス30およびボックス本体10に摺動可能に設けられ、開口部50の前側を覆う略板状の収納箱リッド40と、ガイドボックス30上に設けられ、ガイドボックス30の開口部32を覆うリッド2と、ボックス本体10、ガイドボックス30及びリッド2のそれぞれの後端に回転軸が設けられ、軸挿入部18、軸挿入部28、軸挿入部38を連通する回転軸12を有するコンソールボックスにおいて、収納箱リッド40は、ボックス本体10に設けられたガイド溝14と、ガイドボックス30に設けられたガイド溝34の間を摺動し、ガイドボックス内に収納されるようなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の中央に設けられ物品に収納に用いられる、コンソールボックスの収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンソールボックスに関し、そのリッドに開閉方法について多くの特許出願がなされている。
その中で近年以下に挙げるような要求があり、実際に具現化されているものもある。たとえば、アタッシュケースやハンドバックが置けるくらいの大容量化したものや、使用頻度の高い収納箱のリッドの操作方法として、筋肉負荷が少なく且つ開口面積が広い構成として、部分的に蛇腹タイプとするものも提案されている。(特許文献1)
また、収納箱のリッド上面の加飾の要求や、シンプルな構造で安価な製品の要求もある。
【0003】
しかし、これらの要求を具現化する上では、色々な課題が存在する。たとえば、大容量の収納を確保しようとすると、上部に設けられるリッドが大きなものとなってしまい、乗員員がリッドを操作する(開閉)時の負荷が大きくなってしまうという問題があった。
また、全体または一部を蛇腹タイプとするものでは、上面の加飾の要求を満足させるには特殊な構成を必要とし、結果としてコスト高となっていた。
【0004】
筋肉負荷を低減する構成として、リッドがスライドすると共に、後端で回転し収納部開放するものも実施されているが、スライドしてその後回転するための構成は、全体として複雑となり、スムースに操作できるようにするためには、高価な部品を使用する必要がある。そして、その操作性を確保するためには、十分な設計時の検討及び生産工程を考慮した部品設計の必要性、及び生産工程の管理が必要となるため、全体として高価のものとなってしまう。(特許文献2)
【0005】
リッドの構成を簡略した構成として、リッドを前蓋と後蓋に分割し前蓋がスライドして後蓋内に収納され構成となっている。この前蓋が収納された状態で後蓋後端側のヒンジにより回動しリッドを開けるようになっている。この構成では、前蓋が後蓋内に収納されるため、回動半径が小さくなり、乗員は操作しやすくなっているが、大きな蓋体となるため十分な剛性を有するヒンジ機構が必要となる。(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−255323号公報
【特許文献2】特開2006−151293号公報
【特許文献3】特開平11−268586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のコンソールボックスのリッド開閉機構では乗員の操作性を考慮した場合、構造が複雑で高価なものとなってしまうか、簡略化により見栄えがよくないものとなっていた。
【0008】
本発明の目的は、このような問題点に着目してなされたものであり、見栄えがよく、リッドの操作が容易で、安価で製造が容易なコンソールボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の発明は、ボックス本体と、ボックス本体に設けられた開口部と、開口部の後側に設けられガイドボックスと、ガイドボックスおよびボックス本体に摺動可能に設けられ、開口部の前側を覆う略板状の収納箱リッドと、ガイドボックス上に設けられ、ガイドボックスの開口を覆うリッドと、ボックス本体、ガイドボックス及びリッドのそれぞれの後端に回転軸が設けられたコンソールボックスにおいて、収納箱リッドは、ボックス本体に設けられたガイド溝と、ガイドボックスに設けられたガイド溝の間を摺動し、ガイドボックス内に収納されるようなっていることを特徴とする。
上記構成により、本発明のコンソールボックスは、コンソールボックスの開口部をガイドボックス上に設けられたリッド及びガイドボックスに収納可能な収納箱リッドに覆われる構成となっており、乗員の操作も容易で見栄えが良い。また、ボックス本体、ガイドボックス、リッド及び収納箱リッドは、簡単な構成であり、製造が容易で安価なコンソールボックスを得ることができる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、リッドは、ボックス状のリッドボックスと該リッドボックスの開口を覆うリッド本体から構成されていることを特長とする。
上記構成により、本発明のコンソールボックスは、リッドボックスに更に収納部を有するので、小物等を収納することが可能となる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、収納箱リッドの下に、小物やカップ等を収納するためのスライド収納部材を更に有することを特徴とする。
上記構成により、本発明のコンソールボックスは、収納箱リッドの下に更に小物やカップ等を収納するためのスライド収納部を有するので、簡単な構成で色々な小物等の収納を確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンソールボックスは、乗員の操作も容易で見栄えが良く、製造が容易で安価なコンソールボックスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るコンソールボックスの分解斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明に係るコンソールボックスの収納箱リッドを閉じた状態を示す説明図である。(実施例1)
【図3】本発明に係るコンソールボックスの収納箱リッドを開いた状態を示す説明図である。(実施例1)
【図4】本発明に係るコンソールボックスの収納箱リッドをガイドボックス内にスライドさせリッド及びガイドボックスを開けた状態を示す説明図である。(実施例1)
【図5】本発明に係るコンソールボックスの収納箱リッドをボックス本体の前側にスライドさせ、リッドを開け更に仕切りを立てて後側収納部を利用できる状態を示す説明図である。(実施例1)
【図6】本発明に係るコンソールボックスの分解斜視図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態のコンソールボックスを示す。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明に係るコンソールボックスの分解斜視図である。(実施例1)
このコンソールボックスは、車両の中央に配置され運転手、助手席の乗員が収納具として利用できるようになっている。
コンソールボックス1は、仕切り16により収納部60を前側収納部61と後側収納部62の2つに分割できるようにしたボックス本体10と、ボックス本体10後側に軸支されたガイドボックス30と、ガイドボックス30及びボックス本体10に摺動可能に設けられ、前側を覆う略板状の収納箱リッド40と、ガイドボックス30上を覆うリッド2と、これらを一体に軸支する回転軸12から構成されている。なお、リッド2は、小物等を収納できるリッドボックス24とリッド本体20で構成されている。リッドボックス24とリッド本体20の後端で軸支されており(図面では詳細省略)、リッド本体20は、リッド本体20の前側に設けられた開口22に乗員が指を挿入することにより、開閉可能になっている。さらに、リッド2は、リッドボックス24の前側に設けられた開口26に乗員が指を挿入することにより開閉可能になっている。
【0016】
ボックス本体10は、仕切り16によりボックス本体10の収納部60を前側収納部61と後側収納部62に分割できるように構成されている。仕切り16は、下側でボックス本体10に軸支されており、前側収納部61と後側収納部62とを分割して使用しない時には、ボックス本体10の後側に設けられた段差部17内に倒されて、ボックス本体10の底面が面一になるようになっている。(図4参照)
【0017】
ボックス本体10の前側収納部61と後側収納部62の開口部50は、各リッド部材により覆われる構成となっている。開口部50の前側開口部51は、ボックス本体10の摺動可能な収納箱リッド40により覆われるようになっている。開口部50の後側開口部52は、ガイドボックス30の開口部32に連通し、その上方に設けられたリッド2により覆われるようになっている。
【0018】
ボックス本体10の後側開口部52の上に配置されるガイドボックス30は、後側でボックス本体10に回転軸12で軸支されている。回転軸12は、ボックス本体10、リッド2、ガイドボックス30のそれぞれに設けられた、軸挿入部18、軸挿入部28、軸挿入部38に挿入され、各部材を軸支するようになっている。また、回転軸12は、ボックス本体10の一端側から挿入される組付構成となっており容易に軸支され、製造が容易なものとなっている。
【0019】
ガイドボックス30は、収納箱リッド40がスライドさせるためのガイド溝34が設けられている。このガイド溝34は凹状をなし、収納箱リッド40に設けられた凸状部分と嵌合する構成となっている。また、ボックス本体10にも同様な形状を有すガイド溝14が設けられており、ガイド溝34と連続するようになっている。ガイドボックス30がボックス本体10上にあるときは、収納箱リッド40をガイドボックス30とボックス本体10間を、容易にスライド移動されることができる。収納箱リッド40がボックス本体10のガイド溝14にあるときには、ボックス本体10の前側収納部61を覆い閉じた状態となる。収納箱リッド40をガイドボックス30のガイド溝34にスライドさせガイドボックス30内に収納させた状態では、ボックス本体10の前側収納部61を開いた状態とし、前側収納部61への物品等の収納又は取出しが可能となる。
ガイドボックス30の前側には、保持部36が設けられており、乗員が保持部36を把持してガイドボックス30の開閉操作を行うことができる。
【0020】
ガイドボックス30上には、リッド2が設けられており、ガイドボックス30の開口部32を覆うようになっている。収納箱リッド40が前側収納部61上にあるときに、リッド2を開けることにより、ガイドボックス30の開口部32を通して、後側収納部への物品等の収納又は取出しが可能となる。
【0021】
次に、本発明のコンソールボックスの使用態様について、図2〜図4の説明図により説明する。
図2に示す態様では、ボックス本体10の収納部60が閉じられた状態を示す。この状態では、乗員からリッド2及ぶ収納箱リッド40の上面が認識され、この部分に乗員が好みの装飾又は加飾を行うことにより、見栄えの良いコンソールボックスとすることができる。
【0022】
図3に示す態様では、ボックス本体10の前側収納部61が開放された状態を示し、前側収納部61に物品等の収納又は取出しが可能となっている。この状態では、図2で前側収納部61の前側開口部51を覆っていた収納箱リッド40を、ガイドボックス30内にスライドさせ収納した状態としている。これは乗員にとっては簡単な操作であり、前側収納部への物品等の収納又は取出しを容易に行うことができる。
【0023】
図4に示す態様は、図2の状態からリッド2を後側の軸を中心に回動させて開いた状態を示す。この状態では、後側収納部62がガイドボックス30の開口部32を通して
利用が可能となり、物品等の収納又は取出しが可能となる。
【0024】
図5に示す態様は、図3の状態からリッド2と共にガイドボックス30を後側の軸を中心に回動させて開くと共に、収納部の略中央に設けられた仕切りを倒した状態を示す。
この状態では、ボックス本体10の収納部60の前側収納部61と後側収納部62を一体的に利用することができ、たとえば大型バック等を収納することが可能となる。
【実施例2】
【0025】
図6は、本発明に係るコンソールボックスの分解斜視図である。(実施例2)
この実施例2の構成は、ガイドボックス30に収納可能にスライドし取り付けられるスライド収納部材が異なるのみである。共通する構成に関しては説明を省略し、特徴部分の構成について説明を行う。なお、実施例1と同様な構成の部材に関しては、同じ符号を使用している。
【0026】
ガイドボックス30に収納可能にスライドし取り付けられるスライド収納部材として、スライド小物入れ42及びスライドカップホルダ44が設けられている。収納箱リッド40に下側にスライド小物入れ42が設けられ、さらにその下にスライドカップホルダ44が設けられている。これらの部材は、実施例1に示す収納箱リッド40と同様に、ガイドボックス30とボックス本体10に連通してガイド溝34、ガイド溝14が設けられている。
【0027】
スライド小物入れ42は、上部に設けられた収納箱リッド40をスライドさせることにより、ボックス本体10の前側収納部61の上部または、後側収納部62の上部の何れでも使用することができる。たとえば、スライド小物入れ42が、前側収納部61の上部にある場合、収納箱リッド40を後側収納部62方向にスライドされることにより、物品等の収納又は取出しが可能となる。また、スライド小物入れ42が、後側収納部62の上部にあり、収納箱リッド40が前側収納部61側の上部にある場合は、リッド2を回動させて開くことにより、スライド小物入れ42内の物品等の収納又は取出しが可能となる。
【0028】
スライドカップホルダ44は、通常前側収納部61の上部にスライドさせ、その上のスライド小物入れ42及び収納箱リッド40の両方を後側収納部62方向にスライドされることによりスライドカップホルダ44の開口45にカップなどを載置することができる。なお、前側収納部61内の収納状態によっては、スライドカップホルダを後側収納部62の上部にスライドさせて、リッド2を開いた状態で、開口45にカップを載置して使用することもできる。
【0029】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態とすることもできる。
・ボックス本体10、リッド2及びガイドボックス30を、それぞれの後端の設けられた軸挿入部18、軸挿入部28、軸挿入部38及び回転軸により回動する構成としたが、別体のヒンジ部材にボックス本体10、リッド2及びガイドボックス30を組付け、ヒンジ部材の回転軸により回動する構成としても良い。
【0030】
・仕切り16は、下側でボックス本体10に軸支されていたが、ボックス本体10の収納部60の内面の中央側面に溝を形成し、仕切り16を上方から挿入する構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本件実施例では、車両の中央に設けられるコンソールボックスに適用したもので説明を行ったが、その他飛行機などの乗員が利用する収納具に適用することも可能であり、さらに家庭用、たとえばソファーの間に設けられる収納具として適用することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 コンソールボックス
2 リッド
10 ボックス本体
12 回転軸
14 ガイド溝
16 仕切り
17 段差部
18 軸挿入部
20 リッド本体
22 開口
24 リッドボックス
26 開口
28 軸挿入部
30 ガイドボックス
32 開口部
34 ガイド溝
36 保持部
38 軸挿入部
40 収納箱リッド
42 スライド小物入れ
44 スライドカップホルダ
45 開口
50 開口部
51 前側開口部
52 後側開口部
60 収納部
61 前側収納部
62 後側収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス本体と、
前記ボックス本体に設けられた開口部と、
前記開口部の後側に設けられガイドボックスと、
前記ガイドボックスおよび前記ボックス本体に摺動可能に設けられ、前記開口部の前側を覆う略板状の収納箱リッドと、
前記ガイドボックス上に設けられ、該ガイドボックスの開口を覆うリッドと
ボックス本体、ガイドボックス及びリッドのそれぞれの後側に回転軸が設けられたコンソールボックスにおいて、
前記収納箱リッドは、前記ボックス本体に設けられたガイド溝と、前記ガイドボックスに設けられたガイド溝の間を摺動し、該ガイドボックス内に収納されるようなっていることを特徴とするコンソールボックス。
【請求項2】
前記リッドが、ボックス状のリッドボックスと該リッドボックスの開口を覆うリッド本体から構成されていることを特長とする請求項1に記載のコンソールボックス。
【請求項3】
前記収納箱リッドの下に、小物やカップ等を収納するためのスライド収納部材を更に有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンソールボックス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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