説明

コンタクトホールの形成方法および電気光学装置の製造方法

【課題】シュリンク技術を利用して、コンタクトホールとして利用できる複数の凹部を1回のレジストマスク工程で異なる深さ寸法に形成することのできるコンタクトホールの形成方法、および電気光学装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】電気光学装置の素子基板10上にコンタクトホールを形成するにあたって、まず、第1開口部17aおよび第2開口部17bを備えたレジストマスク17を層間絶縁膜42の表面に形成した後、第1開口部17aおよび第2開口部17bから層間絶縁膜42および絶縁膜49をエッチングする。その後、シュリンク工程において、レジストマスク17を変形させて第2開口部17bを塞ぐ一方、第1開口部17aの開口面積を狭める。次に、第1開口部17aから層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2をエッチングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成するコンタクトホールの形成方法および電気光学装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶装置等の電気光学装置では、データ線から供給された画像信号を画素電極に供給するタイミングをスイッチング素子によって制御する。このため、電気光学装置では、基板の一方面に各種配線や電極が多層に形成されており、かかる配線や電極の電気的な接続は、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して行われる。このため、電気光学装置の製造工程では、フォトリソグラフィー工程によって絶縁膜の表面にレジストマスクを形成する工程、レジストマスクの開口部から絶縁膜をエッチングするエッチング工程、およびレジストマスク除去工程が繰り返し行われる。但し、層間絶縁膜に同じ深さのコンタクトホールを複数形成する場合は、1回のフォトリソグラフィー工程と1回のエッチング工程とによって複数のコンタクトホールを同時に形成する。
【0003】
これに対して、絶縁膜に深さの異なるコンタクトホールが形成されている場合がある(例えば、特許文献1参照)。この場合、従来は、エッチング工程およびレジストマスク除去工程を各々2回ずつ行うことになる。
【0004】
一方、レジストマスクの開口部については、開口面積が狭いほどコンタクトホールが占有する面積を小さくすることができるが、レジストマスクを露光する際の解像度には限界がある。そこで、レジストマスクを形成した後、レジストマスクを変形させて開口部を縮小化するシュリンク技術が提案されている(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−225034号公報
【特許文献2】国際公開第2004/100235号パンフレット
【特許文献3】特開2009−26980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の構成のように、絶縁膜に深さの異なるコンタクトホールを形成するにあたって、レジストマスク形成工程、エッチング工程、およびレジストマスク除去工程を各々2回ずつ行う方法では生産性が低くて製造コストが増大するという問題点があるが、特許文献2、3には、シュリンク技術を利用して、かかる問題を解決するという技術的思想が一切ない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、シュリンク技術を利用して、コンタクトホールとして利用できる複数の凹部を1回のレジストマスク工程で異なる深さ寸法に形成することのできるコンタクトホールの形成方法、および電気光学装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るコンタクトホールの形成方法では、第1開口部および該第1開口部より開口面積が小さな第2開口部を備えたレジストマスクを絶縁膜の表面に形成するレジストマスク形成工程と、前記第1開口部および前記第2開口部から前記絶縁膜をエッチングする第1エッチング工程と、前記レジストマスクを変形させて前記第2開口部を塞ぐ一方、前記第1開口部の開口面積を狭めるシュリンク工程と、該シュリンク工程により開口面積が狭くなった前記第1開口部から前記絶縁膜をエッチングする第2エッチング工程と、を有し、前記第1開口部からの前記第2エッチング工程により前記絶縁膜に形成された第1凹部、および前記第2開口部からの前記第1エッチング工程により前記絶縁膜に形成された第2凹部のうちの少なくとも一方の凹部の底部で導電層を露出させて当該凹部をコンタクトホールとして形成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る電気光学装置の製造方法では、第1開口部および該第1開口部より開口面積が小さな第2開口部を備えたレジストマスクを絶縁膜の表面に形成するレジストマスク形成工程と、前記第1開口部および前記第2開口部から前記絶縁膜をエッチングする第1エッチング工程と、前記レジストマスクを変形させて前記第2開口部を塞ぐ一方、前記第1開口部の開口面積を狭めるシュリンク工程と、該シュリンク工程により開口面積が狭くなった前記第1開口部から前記絶縁膜をエッチングする第2エッチング工程と、を有し、前記第1開口部からの前記第2エッチング工程により前記絶縁膜に形成された第1凹部、および前記第2開口部からの前記第1エッチング工程により前記絶縁膜に形成された第2凹部のうちの少なくとも一方の凹部の底部で導電層を露出させて当該凹部をコンタクトホールとして形成することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るコンタクトホールの形成方法、および電気光学装置の製造方法では、第1開口部および第2開口部を備えたレジストマスクを絶縁膜の表面に形成した後、第1開口部および第2開口部から絶縁膜をエッチングし、その後、シュリンク工程において、レジストマスクを変形させて第2開口部を塞ぐ一方、第1開口部の開口面積を狭める。その結果、レジストマスクは異なるパターンを有することになるので、第1開口部から絶縁膜にエッチングすれば、レジストマスクを再度、形成しなくても、深さの異なる第1凹部および第2凹部を形成することができる。また、第1凹部または第2凹部については底部で導電層を露出させればコンタクトホールとして利用できる。それ故、コンタクトホールとして利用できる複数の凹部を1回のレジストマスク工程で異なる深さ寸法に形成することができる。
【0011】
本発明において、前記第1凹部および前記第2凹部の双方の底部で導電層を露出させて前記第1凹部および前記第2凹部を各々コンタクトホールとして形成してもよい。
【0012】
本発明において、前記シュリンク工程では、例えば、前記レジストマスクと樹脂系のシュリンク剤とを反応させて前記レジストマスクを膨張させる方法を採用する。
【0013】
本発明において、前記シュリンク工程では、前記レジストマスクとフッ素含有ガスとを接触させて前記レジストマスクを膨張させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した電気光学装置の液晶パネルの説明図である。
【図3】本発明を適用した電気光学装置に用いた素子基板において隣り合う複数の画素の平面図である。
【図4】本発明を適用した電気光学装置の断面構成を示す説明図である。
【図5】本発明を適用した電気光学装置の製造工程のうち、コンタクトホールの形成工程を示す工程断面図である。
【図6】本発明を適用した電気光学装置の製造工程のうち、コンタクトホールの形成工程を示す工程断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る電気光学装置の断面構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。なお、電界効果型トランジスターを流れる電流の方向が反転する場合、ソースとドレインとが入れ替わるが、以下の説明では、便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとし、データ線が接続されている側をソースとして説明する。また、素子基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは素子基板の基板本体が位置する側とは反対側(対向基板が位置する側)を意味し、下層側とは素子基板の基板本体が位置する側を意味する。また、対向基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは対向基板の基板本体が位置する側とは反対側(素子基板が位置する側)を意味し、下層側とは対向基板の基板本体が位置する側を意味する。
【0016】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。図1において、電気光学装置100は、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの液晶パネル100pを備えた液晶装置であり、液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画像表示領域10a(画素配列領域/有効画素領域)を備えている。液晶パネル100pにおいて、後述する素子基板10(図2等を参照)では、画像表示領域10aの内側で複数本のデータ線6a(画像信号線)および複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交差部分に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、電界効果型トランジスターからなる画素トランジスター30、および後述する画素電極9aが形成されている。画素トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、画素トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、画素トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。
【0017】
素子基板10において、画像表示領域10aより外周側には走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101が設けられている。データ線駆動回路101は各データ線6aに電気的に接続しており、画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0018】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板20(図2等を参照)に形成された共通電極と液晶層を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に蓄積容量55が付加されている。本形態では、蓄積容量55を構成するために、素子基板10には、複数の画素100aに跨って延在する容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通している。
【0019】
(液晶パネル100pおよび素子基板10の構成)
図2は、本発明を適用した電気光学装置100の液晶パネル100pの説明図であり、図2(a)、(b)は各々、液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【0020】
図2に示すように、液晶パネル100pでは、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材107aが配合されている。液晶パネル100pにおいて、素子基板10と対向基板20との間のうち、シール材107によって囲まれた領域内には液晶層50が保持されている。本形態において、シール材107には、液晶注入口として利用される途切れ部分107cが形成されており、かかる途切れ部分107cは、液晶材料の注入後、封止材108によって塞がれている。
【0021】
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、液晶パネル100pの略中央には、図1を参照して説明した画像表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、画像表示領域10aの外側は、四角枠状の外周領域10cになっている。
【0022】
素子基板10において、外周領域10cでは、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0023】
詳しくは後述するが、素子基板10の一方面10sおよび他方面10tのうち、対向基板20と対向する一方面10sの側において、画像表示領域10aには、図1を参照して説明した画素トランジスター30、および画素トランジスター30に電気的に接続する画素電極9aがマトリクス状に形成されており、かかる画素電極9aの上層側には配向膜16が形成されている。
【0024】
また、素子基板10の一方面10sの側において、画像表示領域10aより外側の外周領域10cのうち、画像表示領域10aとシール材107とに挟まれた四角枠状の周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。ダミー画素電極9bは、隣り合うダミー画素電極9b同士が細幅の連結部(図示せず)で繋がっている。また、ダミー画素電極9bは、共通電位Vcomが印加されており、画像表示領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止する。なお、ダミー画素電極9bに電位を印加せず、ダミー画素電極9bを電位的にフロート状態とする場合もある。
【0025】
対向基板20の一方面20sおよび他方面20tのうち、素子基板10と対向する一方面20sの側には共通電極21が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。本形態において、共通電極21は、対向基板20の略全面に形成されている。
【0026】
また、対向基板20の一方面20sの側には、共通電極21の下層側に遮光層29が形成され、共通電極21の表面には配向膜26が積層されている。本形態において、遮光層29は、画像表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁部分29aとして形成されている。また、本形態において、遮光層29は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに重なるブラックマトリクス部29bとしても形成されている。ここで、額縁部分29aはダミー画素電極9bと重なる位置に形成されており、額縁部分29aの外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にある。従って、額縁部分29aとシール材107とは重なっていない。
【0027】
液晶パネル100pにおいて、シール材107より外側には、対向基板20の一方面20sの側の4つの角部分に基板間導通用電極部25tが形成されており、素子基板10の一方面10sの側には、対向基板20の4つの角部分(基板間導通用電極部25t)と対向する位置に基板間導通用電極部6tが形成されている。基板間導通用電極部6tは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通しており、定電位配線6sは、端子102のうち、共通電位印加用の端子102aに導通している。基板間導通用電極部6tと基板間導通用電極部25tとの間には、導電粒子を含んだ基板間導通材109が配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通用電極部6t、基板間導通材109および基板間導通用電極部25tを介して、素子基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられている。このため、シール材107は、略四角形である。但し、シール材107は、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通用電極部6t、25tを避けて内側を通るように設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
【0028】
かかる構成の電気光学装置100において、本形態では、画素電極9aおよび共通電極21がITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成されており、電気光学装置100は透過型の液晶装置である。かかる透過型の電気光学装置100では、対向基板20の側から入射した光が素子基板10を透過して出射される間に変調されて画像を表示する。なお、画素電極9aおよび共通電極21のうち、例えば、共通電極21を透光性導電膜により形成し、画素電極9aをアルミニウム膜等の反射性導電膜により形成する場合もあり、かかる構成によれば、反射型の電気光学装置100を構成することができる。かかる反射型の電気光学装置100では、素子基板10および対向基板20のうち、対向基板20の側から入射した光が素子基板10で反射して出射される間に変調されて画像を表示する。
【0029】
電気光学装置100は、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20あるいは素子基板10には、カラーフィルター(図示せず)が形成される。また、電気光学装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。さらに、電気光学装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各電気光学装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されない。
【0030】
本形態において、電気光学装置100が、後述する投射型表示装置においてRGB用のライトバルブとして用いられる透過型の液晶装置であって、対向基板20から入射した光が素子基板10を透過して出射される場合を中心に説明する。また、本形態において、電気光学装置100は、液晶層50として、誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を用いたVAモードの液晶パネル100pを備えている場合を中心に説明する。
【0031】
(画素の具体的構成)
図3は、本発明を適用した電気光学装置100に用いた素子基板10において隣り合う複数の画素の平面図である。図4は、本発明を適用した電気光学装置100の断面構成を示す説明図であり、図4(a)、(b)は、電気光学装置100のF−F′断面図、および深さの異なるコンタクトホール42a、42bを抜き出して示す説明図である。なお、図3では、各層を以下の線
下層側の遮光層8a=細くて長い破線
半導体層1a=細くて短い点線
走査線3a=太い実線
ドレイン電極4a=細い実線
データ線6aおよび中継電極6b=細い一点鎖線
容量線5b=太い一点鎖線
上層側の遮光層7aおよび中継電極7b=細い二点鎖線
画素電極9a=太い破線
で示してある。また、図3では、互いの端部が重なり合う層については、層の形状等が分かりやすいように、端部の位置をずらしてある。
【0032】
図3に示すように、素子基板10において対向基板20と対向する一方面10sには、複数の画素100aの各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。本形態において、画素間領域10fは縦横に延在しており、走査線3aは画素間領域10fのうち、X方向(第1方向)に延在する第1画素間領域10gに沿って直線的に延在し、データ線6aは、Y方向(第2方向)に延在する第2画素間領域10hに沿って直線的に延在している。また、データ線6aと走査線3aとの交差に対応して画素トランジスター30が形成されており、本形態において、画素トランジスター30は、データ線6aと走査線3aとの交差領域およびその付近を利用して形成されている。素子基板10には容量線5bが形成されており、かかる容量線5bには共通電位Vcomが印加されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aおよびデータ線6aに重なるように延在して格子状に形成されている。画素トランジスター30の上層側には遮光層7aが形成されており、かかる遮光層7aは、データ線6aに重なるように延在している。画素トランジスター30の下層側には遮光層8aが形成されており、かかる遮光層8aは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0033】
図4(a)に示すように、素子基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10wの液晶層50側の基板面(対向基板20と対向する一方面10s側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の画素トランジスター30、および配向膜16を主体として構成されている。対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶層50側の表面(素子基板10と対向する一方面20s)に形成された遮光層29、共通電極21、および配向膜26を主体として構成されている。
【0034】
素子基板10において、基板本体10wの一方面10s側には、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる下層側の遮光層8aが形成されている。本形態において、遮光層8aは、タングステンシリサイド(WSi)等の遮光膜からなり、電気光学装置100を透過した後の光が他の部材で反射した際、かかる反射光が半導体層1aに入射して画素トランジスター30で光電流に起因する誤動作が発生することを防止する。なお、遮光層8aを走査線として構成する場合もあり、この場合、後述するゲート電極3cと遮光層8aを導通させた構成とする。
【0035】
基板本体10wの一方面10s側において、遮光層8aの上層側には、透光性の絶縁膜12が形成されており、かかる絶縁膜12の表面側に、半導体層1aを備えた画素トランジスター30が形成されている。本形態において、絶縁膜12は、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG (ボロンリンシリケートガラス)等のシリコン酸化膜(シリケートガラスも含む。)や、シリコン窒化膜からなる。かかる絶縁膜12は、シランガス(SiH4)、2塩化シラン(SiCl22)、TEOS(テトラエトキシシラン/テトラ・エチル・オルソ・シリケート/Si(OC254)、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)等を用いた常圧CVD法、減圧CVD法、あるいはプラズマCVD法等により形成される。
【0036】
画素トランジスター30は、データ線6aの延在方向に長辺方向を向けた半導体層1aと、半導体層1aの長さ方向と直交する方向に延在して半導体層1aの長さ方向の中央部分に重なるゲート電極3cとを備えており、本形態において、ゲート電極3cは走査線3aの一部からなる。画素トランジスター30は、半導体層1aとゲート電極3cとの間に透光性のゲート絶縁層2を有している。半導体層1aは、ゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gを備えているとともに、チャネル領域1gの両側にソース領域1bおよびドレイン領域1cを備えている。本形態において、画素トランジスター30は、LDD構造を有している。従って、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、チャネル領域1gの両側に低濃度領域を備え、低濃度領域に対してチャネル領域1gとは反対側で隣接する領域に高濃度領域を備えている。
【0037】
半導体層1aは、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)等によって構成されている。ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層2aと、温度が700〜900℃の高温条件での減圧CVD法により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁層2bとの2層構造からなる。ゲート電極3cおよび走査線3aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ゲート電極3cは、導電性のポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との2層構造を有している。
【0038】
ゲート電極3cの上層側には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜41が形成され、層間絶縁膜41の上層には、ドレイン電極4aが形成されている。本形態において、層間絶縁膜41は、シリコン酸化膜からなる。ドレイン電極4aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ドレイン電極4aはチタン窒化膜からなる。ドレイン電極4aは、半導体層1aのドレイン領域1c(画素電極側ソースドレイン領域)と一部が重なるように形成されており、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール41aを介してドレイン領域1cに導通している。
【0039】
ドレイン電極4aの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性の絶縁膜49、および透光性の誘電体層40が形成されており、かかる誘電体層40の上層側には容量線5bが形成されている。誘電体層40としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等のシリコン化合物を用いることができる他、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、ニオブ酸化膜、ハフニウム酸化膜、ランタン酸化膜、ジルコニウム酸化膜等の高誘電率の誘電体層を用いることができる。容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、容量線5bは、チタン窒化膜、アルミニウム膜、およびチタン窒化膜との3層構造を有している。ここで、容量線5bは、誘電体層40を介してドレイン電極4aと重なっており、蓄積容量55を構成している。
【0040】
容量線5bの上層側には層間絶縁膜42が形成されており、かかる層間絶縁膜42の上層側には、データ線6aと中継電極6bとが同一の導電膜により形成されている。層間絶縁膜42はシリコン酸化膜からなる。データ線6aと中継電極6bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、データ線6aおよび中継電極6bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。データ線6aは、層間絶縁膜42、絶縁膜49、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42aを介してソース領域1b(データ線側ソースドレイン領域)に導通している。中継電極6bは、層間絶縁膜42および絶縁膜49を貫通するコンタクトホール42bを介してドレイン電極4aに導通している。
【0041】
データ線6aおよび中継電極6bの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜44が形成されており、かかる層間絶縁膜44の上層側には、遮光層7aおよび中継電極7bが同一の導電膜によって形成されている。層間絶縁膜44は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなり、その表面は平坦化されている。遮光層7aおよび中継電極7bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、遮光層7aおよび中継電極7bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。中継電極7bは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44aを介して中継電極6bに導通している。遮光層7aは、データ線6aと重なるように延在しており、遮光層として機能している。なお、遮光層7aを容量線5bと導通させて、シールド層として利用してもよい。
【0042】
遮光層7aおよび中継電極7bの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜45が形成されており、かかる層間絶縁膜45の上層側には、ITO膜等の透光性導電膜からなる画素電極9aが形成されている。本形態において、画素電極9aは、ITO膜からなる。層間絶縁膜45は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなり、表面は平坦化されている。
【0043】
画素電極9aは、中継電極7bと部分的に重なっており、層間絶縁膜45を貫通するコンタクトホール45aを介して中継電極7bに導通している。その結果、画素電極9aは、中継電極7b、中継電極6bおよびドレイン電極4aを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。
【0044】
画素電極9aの表面には、ポリイミド膜や無機配向膜等の配向膜16が形成されている。本形態において、配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜)からなる。
【0045】
(対向基板20の構成)
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w(透光性基板)の液晶層50側の表面(素子基板10に対向する一方面20s)には、遮光層29、シリコン酸化膜等からなる絶縁膜28、およびITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように、ポリイミド膜や無機配向膜等の配向膜26が形成されている。本形態において、共通電極21はITO膜からなる。また、配向膜26は、配向膜16と同様、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜)である。かかる配向膜16、26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を傾斜垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。
【0046】
なお、図1および図2を参照して説明したデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104には、nチャネル型の駆動用トランジスターとpチャネル型の駆動用トランジスターとを備えた相補型トランジスター回路等が構成されている。ここで、駆動用トランジスターは、画素トランジスター30の製造工程の一部を利用して形成されたものである。このため、素子基板10においてデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104が形成されている領域も、図4(a)に示す断面構成と略同様な断面構成を有している。
【0047】
(コンタクトホール42a、42bの詳細構成)
このように、電気光学装置100では、素子基板10の一方面10s側に各種配線や電極が多層に形成されており、かかる配線や電極の電気的な接続は、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して行われる。ここで、データ線6aとソース領域1bとを導通させるコンタクトホール42a、および中継電極6bとドレイン電極4aとを導通させるコンタクトホール42bは、いずれも層間絶縁膜42の表面で開口しているが、深さが大きく相違する。より具体的には、コンタクトホール42bは、層間絶縁膜42および絶縁膜49を貫通しているのに対して、コンタクトホール42aは、層間絶縁膜42および絶縁膜49に加えて、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通している。
【0048】
本形態では、コンタクトホール42a、42bを、図5および図6を参照して以下に説明した方法で形成したため、コンタクトホール42aは、層間絶縁膜42の表面で広い開口面積をもって開口しているのに対して、コンタクトホール42bは、層間絶縁膜42の表面において、コンタクトホール42aより小さな開口面積をもって開口している。
【0049】
また、コンタクトホール42bは、層間絶縁膜42および絶縁膜49を連続して貫通しているのに対して、コンタクトホール42aは、層間絶縁膜42および絶縁膜49に形成された上半部の穴42a1と、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2に形成された下半部の穴42a2とからなり、穴42a1の内径寸法は、穴42a2の内径寸法より大である。このため、コンタクトホール42aは、段付きの穴として形成されている。また、穴42a1の内径寸法と穴42a2の内径寸法との差は、コンタクトホール42bの内径寸法より大である。
【0050】
(電気光学装置100の製造方法およびコンタクトホール42a、42bの形成方法)
図5および図6は、本発明を適用した電気光学装置100の製造工程のうち、コンタクトホール42a、42bの形成工程を示す工程断面図である。
【0051】
本形態の電気光学装置100の製造工程のうち、コンタクトホール42a、42bの形成工程では、図5(a)に示すように、層間絶縁膜42を形成した後、レジストマスク形成工程において、層間絶縁膜42の表面にレジストマスク17を形成する。ここで、レジストマスク17は感光性樹脂からなり、層間絶縁膜42に感光性樹脂をスピンコート等により塗布した後、露光、現像してなる。レジストマスク17は、コンタクトホール42aの形成予定領域に第1開口部17aを備え、コンタクトホール42bの形成予定領域に第2開口部17bを備えている。本形態において、第2開口部17bは、第1開口部17aより開口面積が小さい。
【0052】
次に、図5(b)に示す第1エッチング工程において、第1開口部17aおよび第2開口部17bから層間絶縁膜42および絶縁膜49をエッチングする。かかるエッチングでは、ドライエッチングおよびウェットエッチングを用いることができ、本形態では、ドライエッチングとして、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)を行う。その結果、第1開口部17aからのエッチングにより、層間絶縁膜42および絶縁膜49を貫通する第1凹部42eが形成され、第2開口部17bからのエッチングにより、層間絶縁膜42および絶縁膜49を貫通する第2凹部42fが形成される。その際、第2開口部17bは、第1開口部17aより開口面積が小さいので、第2凹部42fの開口面積は、第1凹部42eの開口面積より小さい。
【0053】
ここで、第2凹部42fの底部では、ドレイン電極4aが露出しているので、第2凹部42fは、中継電極6bとドレイン電極4aとを導通させるコンタクトホール42bとして利用される。これに対して、第1凹部42eの底部では、層間絶縁膜41が存在しており、この時点では、コンタクトホール42aの上半部(穴42a1)のみが形成された段階にある。
【0054】
次に、図5(c)に示すシュリンク工程では、後述する方法により、レジストマスク17を変形させて第2開口部17bを塞ぐ一方、第1開口部17aの開口面積を狭める。
【0055】
次に、図6(a)に示す第2エッチング工程では、シュリンク工程により開口面積が狭くなった第1開口部17aから層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2をエッチングし、その後、図6(b)に示すように、レジストマスク17を除去する。図6(a)に示す第2エッチング工程では、ドライエッチングおよびウェットエッチングを用いることができ、本形態では、ドライエッチングとして、反応性イオンエッチングを行う。その結果、第1開口部17aからのエッチングにより、第1凹部42eは、第1開口部17aの開口面積と略同一の内径寸法をもって層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通する。
【0056】
このようにして第1凹部42eを形成すると、第1凹部42eの底部では、ソース領域1bが露出しているので、第1凹部42eは、データ線6aとソース領域1bとを導通させるコンタクトホール42aとして利用される。従って、図4(b)に示すように、層間絶縁膜41の表面にデータ線6aおよび中継電極6bを形成すれば、データ線6aとソース領域1bとはコンタクトホール42aを介して導通し、中継電極6bとドレイン電極4aとはコンタクトホール42bを介して導通する。
【0057】
ここで、コンタクトホール42aは、第1エッチング工程により層間絶縁膜42および絶縁膜49に形成された上半部(穴42a1)と、第2エッチング工程により層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2に形成された下半部(穴42a2)とからなり、穴42a1の内径寸法は、穴42a2の内径寸法より大である。また、穴42a1の内径寸法は、シュリンク工程前の第1開口部17aの内径寸法と略等しく、穴42a2の内径寸法は、シュリンク工程後の第1開口部17aの内径寸法と略等しい。このため、穴42a1の内径寸法と穴42a2の内径寸法との差は、シュリンク量(シュリンク工程前の第1開口部17aの内径寸法とシュリンク工程後の第1開口部17aの内径寸法との差)に対応している。また、シュリンク工程で第2開口部17bが塞がれることから、シュリンク量は、第2開口部17b(コンタクトホール42b)の内径寸法より大であり、それ故、穴42a1の内径寸法と穴42a2の内径寸法との差は、第2開口部17b(コンタクトホール42b)の内径寸法より大である。
【0058】
(シュリンク工程の第1例)
本形態の電気光学装置100の製造方法およびコンタクトホール42a、42bの形成方法において、シュリンク工程では、例えば、国際公開第2004/100235号パンフレットに記載されているように、レジストマスク17の表面に樹脂系のシュリンク剤を反応させてレジストマスク17を膨張させるRELACS法(Resolution Enhancement Lithography Assisted by Chemical Shrink)等を採用することができる。
【0059】
より具体的には、レジストマスク17として、ノボラック系フォトレジストを用い、かかるノボラック系フォトレジストにシュリンク剤を接触させてレジストマスク17を膨潤させる。ノボラック系フォトレジストは、基材樹脂としてのノボラック樹脂と、ナフトキノンジアジド系の感光剤とにより構成されたものであり、ノボラック系フォトレジストを露光・現像して第1開口部17aおよび第2開口部17bを形成すると、第1開口部17aおよび第2開口部17b端面は、親水性のフェノール基を含むノボラック樹脂の効果により、親水性となる。よって、第1開口部17aおよび第2開口部17bに親水性のレジストパターンを膨潤化する薬液(シュリンク剤)を作用させることで、親水性物質同士が物理化学的に吸着し、その後のベーキングによってミキシング・架橋反応が起こり、第1開口部17aおよび第2開口部17bの縮小(シュリンク)が発生する。
【0060】
また、ポリメチルメタクリレート系レジストの場合にも、同様の膨潤化処理が可能である。例えば、電子線描画等によりポリメチルメタクリレート系レジストに第1開口部17aおよび第2開口部17bを形成した後、例えば、第1開口部17aおよび第2開口部17bの上部より酸素アッシング処理を施す。その後、第1開口部17aおよび第2開口部17bにシュリンク剤を作用させることで、親水性物質同士が物理化学的に吸着し、その後のベーキングによってミキシング・架橋反応が起こり、第1開口部17aおよび第2開口部17bの縮小(シュリンク)が発生する。
【0061】
かかる方法において、第1開口部17aおよび第2開口部17bにシュリンク剤を作用させるにあたっては、シュリンク剤をレジストマスク17に塗布する。次に、例えば、85℃で60秒間の熱処理を行い、レジストマスク17とシュリンク剤とをなじませた後(ミキシング処理)、例えば、95℃で60秒間の熱処理を行い、レジストマスク17内部に浸透したシュリンク剤とレジスト材料との架橋反応を促進させる。その後、例えば、純水により60秒間の洗浄処理を行い、未架橋のシュリンク剤を除去する。
【0062】
ここで、シュリンク剤は、樹脂、架橋材および界面活性剤を含有しており、必要に応じて、水溶性芳香族化合物や芳香族化合物を一部に有する樹脂や有機溶剤等の材料を含有する。また、シュリンク剤は、水溶性あるいはアルカリ可溶性を有している。樹脂が水溶性樹脂である場合、水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等を例示することができる。樹脂がアルカリ可溶性である場合、アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、ビニルフェノール樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等を例示することができる。架橋剤としては、熱や酸によって架橋を生じる水溶性のものが好ましく、例えば、メラミン誘導体、ユリア誘導体、ウリル誘導体等のアミノ系架橋剤が挙げられる。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、アルコール系有機溶剤、鎖状エステル系有機溶剤、環状エステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、鎖状エーテル系有機溶剤、環状エーテル系有機溶剤等が挙げられる。
【0063】
(シュリンク工程の第2例)
本形態の電気光学装置100の製造方法およびコンタクトホール42a、42bの形成方法において、シュリンク工程では、特開2009−26980号公報に記載されているように、レジストマスク17とフッ素含有ガスとを接触させてレジストマスク17を膨張させてもよい。
【0064】
より具体的は、レジストマスク17として、炭素と水素を主元素とするレジスト膜を用い、レジスト膜をフッ化キセノンガス(XeF2ガス;フッ素含有ガス)の雰囲気に暴露することにより、レジスト膜を膨張させてシュリンクを行う。かかる方法によれば、レジストマスク17の表面がフッ化されることで膨張し、第1開口部17aおよび第2開口部17bの縮小(シュリンク)が発生する。
【0065】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のコンタクトホール42a、42bの形成方法、および電気光学装置100の製造方法では、まず、第1開口部17aおよび第2開口部17bを備えたレジストマスク17を層間絶縁膜42の表面に形成した後、第1開口部17aおよび第2開口部17bから層間絶縁膜42および絶縁膜49をエッチングする。その後、シュリンク工程において、レジストマスク17を変形させて第2開口部17bを塞ぐ一方、第1開口部17aの開口面積を狭める。その結果、レジストマスク17は異なるパターンを有することになるので、第1開口部17aから層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2をエッチングすれば、レジストマスク17を再度、形成しなくても、深さの異なる第1凹部42eおよび第2凹部42fを形成することができる。
【0066】
また、第1凹部42eおよび第2凹部42fの底部では、導電層(ソース領域1bおよびドレイン電極4a)が露出しているので、第1凹部42eおよび第2凹部42fを各々、コンタクトホール42a、42bとして利用できる。それ故、深さの異なるコンタクトホール42a、42b(第1凹部42eおよび第2凹部42f)を形成する場合でも、レジストマスク形成工程やレジストマスク除去工程が1回で済む。
【0067】
[他の実施の形態]
図7は、本発明の他の実施の形態に係る電気光学装置100の断面構成を示す説明図である。上記実施の形態では、データ線6aとソース領域1bとを導通させるコンタクトホール42a、および中継電極6bとドレイン電極4aとを導通させるコンタクトホール42bの形成に本発明を適用したが、他のコンタクトホールを形成する場合に本発明を適用してもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、第1凹部42eおよび第2凹部42fのいずれをもコンタクトホールとして構成したが、第1凹部42eおよび第2凹部42fのうちの一方の凹部をコンタクトホールとして構成し、他方の凹部をコンタクトホール以外に利用してもよい。
【0069】
例えば、図7に示す形態では、第2凹部42fは層間絶縁膜46、47の間に形成された導電層3sと層間絶縁膜47の表面に形成されたドレイン電極4aとを導通させるコンタクトホールとして用いられている。これに対して、第1凹部42eは、層間絶縁膜46を貫通して層間絶縁膜47の一部までエッチングされた凹部として形成されており、第1凹部42eの底部では層間絶縁膜47が露出している。ここで、第1凹部42eは、第2凹部42fに比して深くて内径が大である。また、第1凹部42eの内部では、底部および側面に沿ってドレイン電極4a、誘電体層40および容量線5bがこの順に形成されており、ドレイン電極4a、誘電体層40および容量線5bによって蓄積容量55が構成されている。
【0070】
かかる構成によれば、第1凹部42eの底部に加えて、側面も利用して蓄積容量55が構成されているので、蓄積容量55の静電容量が大きい。このような構成の場合でも、深さの異なる第1凹部42eおよび第2凹部42fを形成するのにレジストマスク形成工程やレジストマスク除去工程が1回で済む。
【0071】
[他の電気光学装置への適用例]
また、上記実施の形態では、電気光学装置100として液晶装置を例示したが、電気光学装置100が有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマ表示装置等である場合に本発明を適用してもよい。
【0072】
[電子機器への搭載例]
上述した実施形態に係る電気光学装置100を適用した電子機器としては、直視型の電子機器や投射型表示装置等を挙げることができ、投射型表示装置の場合、少なくとも、電気光学装置100に供給される光を出射する光源部と、電気光学装置100で変調された光を投射する投射光学系とが設けられる。また、直視型の電子機器としては、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0073】
2・・ゲート絶縁層(絶縁膜)、4a・・ドレイン電極、6a・・データ線、6b・・中継電極、9a・・画素電極、10・・素子基板、10a・・画像表示領域、17・・レジストマスク、17a・・第1凹部、17b・・第2凹部、41、42・・層間絶縁膜(絶縁膜)、42a、42b・・コンタクトホール、42e・・第1凹部、42f・・第2凹部、49・・絶縁膜、100・・電気光学装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口部および該第1開口部より開口面積が小さな第2開口部を備えたレジストマスクを絶縁膜の表面に形成するレジストマスク形成工程と、
前記第1開口部および前記第2開口部から前記絶縁膜をエッチングする第1エッチング工程と、
前記レジストマスクを変形させて前記第2開口部を塞ぐ一方、前記第1開口部の開口面積を狭めるシュリンク工程と、
該シュリンク工程により開口面積が狭くなった前記第1開口部から前記絶縁膜をエッチングする第2エッチング工程と、
を有し、
前記第1開口部からの前記第2エッチング工程により前記絶縁膜に形成された第1凹部、および前記第2開口部からの前記第1エッチング工程により前記絶縁膜に形成された第2凹部のうちの少なくとも一方の凹部の底部で導電層を露出させて当該凹部をコンタクトホールとして形成することを特徴とするコンタクトホールの形成方法。
【請求項2】
前記第1凹部および前記第2凹部の双方の底部で導電層を露出させて前記第1凹部および前記第2凹部を各々コンタクトホールとして形成することを特徴とする請求項1に記載のコンタクトホールの形成方法。
【請求項3】
前記シュリンク工程では、前記レジストマスクと樹脂系のシュリンク剤とを反応させて前記レジストマスクを膨張させることを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクトホールの形成方法。
【請求項4】
前記シュリンク工程では、前記レジストマスクとフッ素含有ガスとを接触させて前記レジストマスクを膨張させることを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクトホールの形成方法。
【請求項5】
第1開口部および該第1開口部より開口面積が小さな第2開口部を備えたレジストマスクを絶縁膜の表面に形成するレジストマスク形成工程と、
前記第1開口部および前記第2開口部から前記絶縁膜をエッチングする第1エッチング工程と、
前記レジストマスクを膨張させて前記第2開口部を塞ぐ一方、前記第1開口部の開口面積を狭めるシュリンク工程と、
該シュリンク工程により開口面積が狭くなった前記第1開口部から前記絶縁膜をエッチングする第2エッチング工程と、
を有し、
前記第1開口部からの前記第2エッチング工程により前記絶縁膜に形成された第1凹部、および前記第2開口部からの前記第1エッチング工程により前記絶縁膜に形成された第2凹部のうちの一方の凹部の底部で導電層を露出させて当該凹部をコンタクトホールとして形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1凹部および前記第2凹部の双方の底部で導電層を露出させて前記第1凹部および前記第2凹部を各々コンタクトホールとして形成することを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
前記シュリンク工程では、前記レジストマスクと樹脂系のシュリンク剤とを反応させて前記レジストマスクを膨張させることを特徴とする請求項5または6に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
前記シュリンク工程では、前記レジストマスクとフッ素含有ガスとを接触させて前記レジストマスクを膨張させることを特徴とする請求項5または6に記載の電気光学装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−110251(P2013−110251A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253723(P2011−253723)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】