コンタクトレンズパッケージ
【課題】コンタクトレンズを収容して市場に提供する流通用パッケージ等として好適に用いられ得る、新規なコンタクトレンズパッケージを提供すること。
【解決手段】パッケージ本体14の収容領域20に保存液22と共に収容されたコンタクトレンズ24を、巻くように丸めることで外形寸法を小さくした湾曲変形状態とした、新規な構造のコンタクトレンズパッケージ10。
【解決手段】パッケージ本体14の収容領域20に保存液22と共に収容されたコンタクトレンズ24を、巻くように丸めることで外形寸法を小さくした湾曲変形状態とした、新規な構造のコンタクトレンズパッケージ10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズを保存液と共に収容するコンタクトレンズパッケージに係り、特にソフトコンタクトレンズを市場へ流通させる際に好適に用いられるコンタクトレンズパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズは、レンズメーカーで製造され、コンタクトレンズパッケージに密封状態で収容されて市場に流通されて、販売店からユーザーに提供される。
【0003】
ところで、含水性ソフトコンタクトレンズなどは、一般に、保存液と共にコンタクトレンズパッケージに収容して提供される。かかるコンタクトレンズパッケージとしては、従来から、特開平7−322911号公報(特許文献1)や米国特許第4691820号公報(特許文献2)に記載されているように、硬質樹脂製で剛性の高い容器本体に形成された窪みに保存液とコンタクトレンズを収容してカバーフィルムで封止したブリスターパッケージが採用されている。
【0004】
しかしながら、このような従来構造のブリスターパッケージは、コンタクトレンズを平衡状態(外力による変形の無い状態)で収容するために窪みを充分な深さで形成しなければならず、コンパクト化が難しい。そのために、例えば多数のコンタクトレンズをストックしたり、複数のコンタクトレンズを持ち歩いたりする際に嵩張ってしまい、取り扱いに不便を感ずることが多かった。
【0005】
そこで、本出願人は、先に特許第4586121号公報(特許文献3)において、コンタクトレンズを高さ方向(軸方向)に押圧変形させて小さくした加圧状態で収容せしめた新規な構造のコンタクトレンズパッケージを提案した。この特許文献3で提案したコンタクトレンズパッケージでは、ソフトコンタクトレンズの柔軟性や弾性を利用することで、特許文献1,2に記載の如き従来構造のブリスターパッケージでは実現不可能なサイズにまでコンパクト化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−322911号公報
【特許文献2】米国特許第4691820号公報
【特許文献3】特許第4586121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3で提案したコンタクトレンズパッケージについて、本発明者が更なる実験や検討を重ねた結果、コンタクトレンズの材質や押圧変形の程度などの条件によっては、コンタクトレンズパッケージを開封してコンタクトレンズを取り出した際にコンタクトレンズに残留する歪が、コンタクトレンズの装用直後に悪影響を及ぼすおそれがあるとの知見を得た。
【0008】
すなわち、コンタクトレンズの材質による粘性(粘弾性)等の物性や温度等の環境条件によっては、押圧変形させたパッケージ状態における歪が開封後に残留して回復に時間を要する場合のあることがわかった。そして、歪の回復に要する時間が長い場合には、コンタクトレンズパッケージの開封直後にコンタクトレンズを装用すると、ユーザーによって見え方が悪いと感ずるおそれもある。
【0009】
本発明は、上述の事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、コンタクトレンズを変形状態で収容することで小型化を図りつつ、開封直後における残留歪による見え方の低下を可及的に回避することができる新規な構造のコンタクトレンズパッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様は、コンタクトレンズが保存液と共にパッケージに収容されたコンタクトレンズパッケージであって、前記コンタクトレンズが巻かれて湾曲されることで径方向一方向における外形寸法が装用時の展張状態に比して小さくされた湾曲変形状態で収容されているコンタクトレンズパッケージにある。
【0011】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、コンタクトレンズが一方向に巻かれるようにして丸められることで、収容された湾曲変形状態下では、丸められた方向の径方向寸法が装用時の展張状態(平衡状態に略等しい)に比して小さくされていることから、かかる方向でコンタクトレンズパッケージの寸法を小さくすることが可能となる。なお、コンタクトレンズにおいて、丸められた方向に直交する径方向寸法も平衡状態と略等しいままで、収容容器(パッケージ)の容積やサイズが全体として大きくなることはない。それ故、本態様のコンタクトレンズパッケージでは、コンタクトレンズを湾曲変形状態で収容したことにより、従来構造のブリスターパッケージに比してコンパクト化が可能となる。
【0012】
しかも、パッケージ内への収容状態下において、コンタクトレンズは湾曲変形されているものの丸められているだけなので、丸められた方向で略均等な応力と歪が全体に生ぜしめられることとなる。それ故、コンタクトレンズの光学中心軸方向に押し潰すように変形させる場合に比して、局部的に大きな屈曲や皺が発生して集中的に過大な応力や歪が発生することが防止される。その結果、上述のようにコンタクトレンズを変形させてコンパクトにして収容しても、応力や歪の最大値を小さくすることが出来、開封直後に装用しても残留歪による見え方の不具合が効果的に回避されるのである。
【0013】
加えて、パッケージ内で丸められた状態にあるコンタクトレンズは、平たい状態にある場合に比して、外力に対する座屈等の変形強度が大きくされる。それ故、たとえパッケージの剛性が小さくて外力により変形する程度に軟質の場合でも、コンタクトレンズの折れ曲がり等の過大な変形が効果的に防止されることとなり、外力等の作用による局所的に大きな変形や好ましくない歪みの発生の回避効果も発揮され得る。
【0014】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコンタクトレンズパッケージにおいて、前記コンタクトレンズの前記パッケージへの当接力によって、該コンタクトレンズが前記湾曲変形状態に保持されているものである。
【0015】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、コンタクトレンズを所定の湾曲変形状態に保持するための特別な部材が不要となり構造の簡略化が図られ得る。また、パッケージの内面を、湾曲変形させたコンタクトレンズに当接させることで、コンタクトレンズパッケージのサイズの更なる小型化が実現可能となる。
【0016】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るコンタクトレンズパッケージであって、前記パッケージにおける前記コンタクトレンズの取出用の開封口が、該コンタクトレンズの外形寸法が小さくされた前記径方向一方向に対して直交するコンタクトレンズの径方向側に設けられているものである。
【0017】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、収容されたコンタクトレンズを開封口に向けて一層容易に且つ安定した形状をもって変位させることが可能となり、パッケージからコンタクトレンズを一層容易に取り出すことができる。
【0018】
本発明の第四の態様は、前記第一〜三の何れかの態様に係るコンタクトレンズパッケージにおいて、前記パッケージが手指による押圧力で変形可能とされており、該パッケージを変形させることにより前記コンタクトレンズが押し出し変位せしめられる側に該コンタクトレンズの取出用の開封口が形成されているものである。
【0019】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、コンタクトレンズを直接に手指で摘み上げる必要なく開封したパッケージから開封口を通じて押し出すことが可能となる。特に、収容状態のコンタクトレンズが丸められることで外力への変形抵抗力および反発力が向上されていることから、手指による押圧力でコンタクトレンズを開封口に向けて容易に且つ著しい変形を回避しつつ押出変位させることが出来る。
【0020】
本発明の第五の態様は、前記第一〜四の何れかの態様に係るコンタクトレンズパッケージであって、前記コンタクトレンズが一周に達せずに巻かれており、湾曲方向で両端部分が重ならない湾曲変形状態で収容されているものである。
【0021】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、コンタクトレンズの異なる部位が互いに重なり合うことがない湾曲変形状態とされることから、コンタクトレンズの部分的な重なりによる密着や擦れ等の懸念が回避される。湾曲変形状態下でのコンタクトレンズの湾曲の程度を比較的小さな曲率に抑えつつ、湾曲された径方向での外形寸法を小さくしてコンタクトレンズパッケージのコンパクト化を図ることが可能となる。
【0022】
本発明の第六の態様は、前記第一〜五の何れかの態様に係るコンタクトレンズパッケージであって、前記パッケージにおいて、前記コンタクトレンズの巻かれた周方向端部に対して係止力を及ぼして該コンタクトレンズの周方向変位を規制する位置決め部が設けられているものである。
【0023】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、収容状態にあるコンタクトレンズのパッケージ内での変位を制限して、コンタクトレンズのパッケージへの干渉や擦れ等による不具合の発生を可及的に防止することが可能となる。特に本態様では、収容されたコンタクトレンズが巻かれた湾曲変形状態にあることに着目し、その巻き方向の端部に係止力を及ぼすことで、コンタクトレンズに対する変位規制力を容易に且つ効果的に及ぼすことが可能となる。
【0024】
なお、第六の態様は、前記第五の態様と組み合わせることが好適である。蓋し、第五の態様のように、コンタクトレンズが一周に達せずに巻かれており、湾曲方向で両端部分が重ならない湾曲変形状態で収容されている場合には、巻き方向の両端部に係止力を容易に及ぼすことができる。これにより、コンタクトレンズを巻き方向となる周方向の両側で変位規制する位置決め部が容易に実現可能となる。また、ユーザーは、収容されたコンタクトレンズを取り出す際に、コンタクトレンズの表裏の向きをより明確に知ることが可能となることから、コンタクトレンズの装用がスムーズになるばかりか、表裏判定のための操作によってレンズ表面に発生するキズや、埃などの異物および浮遊微生物のレンズ表面への付着リスクを低減できる。
【0025】
本発明の第七の態様は、前記第一〜六の何れかの態様に係るコンタクトレンズパッケージであって、前記パッケージにおいて、前記コンタクトレンズを外部から視認可能とする透明な確認壁部が設けられているものである。
【0026】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、その製造段階や出荷段階、流通段階、販売段階、使用段階等の必要な段階で、パッケージを開封することなくコンタクトレンズの収容の有無を容易に且つ速やかに確認することができる。
【発明の効果】
【0027】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたコンタクトレンズパッケージにおいては、コンタクトレンズの外形寸法が丸められることにより小さくされてパッケージの小型化が図られると共に、丸められた方向で略均等な応力と歪が全体に生ぜしめられて過大な応力や歪の局部的な発生が回避される。それ故、収容状態でのコンタクトレンズにおける応力や歪を小さくして、開封直後の光学特性も良好に確保しつつ、コンタクトレンズパッケージをコンパクト化することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージの斜視説明図。
【図2】図1に示されたコンタクトレンズパッケージを開封してコンタクトレンズを取り出す操作を(a)〜(c)に時系列的に示す説明図。
【図3】本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージを示す図であって、(a)は斜視説明図であり、(b)はコンタクトレンズを取り出す操作を示す説明図。
【図4】本発明の第三の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージを示す図であって、(a)は斜視説明図であり、(b)はコンタクトレンズを取り出す操作を示す説明図。
【図5】本発明の第四の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージを示す正面図。
【図6】図5におけるVI−VI断面図。
【図7】図5に示されたコンタクトレンズパッケージの開封状態を示す斜視図。
【図8】図1に示されたコンタクトレンズパッケージにおいて採用可能なパッケージ本体の形状の別例を(a)〜(c)として示す斜視説明図。
【図9】図1に示されたコンタクトレンズパッケージにおいて採用可能なパッケージ本体の形状の更に別例を(a)〜(c)として示す斜視説明図。
【図10】本発明の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージの別例を(a),(b)にそれぞれ示す分解斜視説明図。
【図11】本発明の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージの更に別例を示す分解斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1には、本発明の一実施形態としてのコンタクトレンズパッケージ10が示されている。
【0030】
本実施形態のコンタクトレンズパッケージ10は、収容凹所12を有する中空構造のパッケージ本体14を備えている。特に本実施形態では、パッケージ本体14が、中空の円錐形状とされており、円錐底面の略全体に亘って収容凹所12が開口されることによりコンタクトレンズ取出用に円形の開封口16が構成されている。
【0031】
また、パッケージ本体14の大径側端面には、シート状の蓋体18が重ね合わされて溶着や接着等により固着されている。これにより、パッケージ本体14の収容凹所12の開封口16が蓋体18で流体密に覆蓋されて、外部空間に対して密閉された収容領域20が形成されている。
【0032】
そして、この収容領域20に保存液22が封入されていると共に、ソフトタイプのコンタクトレンズ24が、保存液22に浸漬されて収容されている。
【0033】
ここにおいて、収容領域20は、その内径寸法が、開口側の最大値でも、収容されたコンタクトレンズ24の外径寸法(DIA)よりも小さくされている。特に本実施形態では、収容領域20が円錐形状とされていることから、コンタクトレンズ24が収容位置せしめられる深さ方向(パッケージ本体14の中心軸方向)の中間部分では、収容領域20の内径寸法がコンタクトレンズ24のDIAよりも充分に小さく(好適には90%以下、より好適には80%以下)されている。
【0034】
一方、収容領域20の深さ寸法は、コンタクトレンズ24のDIA以上の大きさとされている。特に本実施形態では、円錐形状の収容領域20とされているために頂部近くは狭くてコンタクトレンズが収容され難い。それ故、コンタクトレンズ24が入り得る深さ領域だけでDIA以上の大きさとなるように、収容領域20の深さ寸法がDIAの110%以上、より好適には120%以上に設定されている。
【0035】
そして、図1に示されているように、コンタクトレンズ24は、平置きの平衡状態から径方向一方向で対向位置する両側部分を同じ面側(レンズ裏面側又はレンズ表面側)に持ち上げてカールするようにして丸めた湾曲変形状態とすることによって、収容領域20に収容されている。換言すれば、かかるコンタクトレンズ24は、一方向に丸められるようにして湾曲されることにより、径方向一方向における外径寸法(最大幅寸法)が、装用時の展張状態(平衡状態に略等しい)に比して小さくされている。なお、丸められた方向に直交する径方向寸法は、丸められていないから装用時の寸法と殆ど変わらないままで、著しく大きくなることがない。
【0036】
また、本実施形態では、コンタクトレンズ24を丸めた湾曲変形状態に保持せしめて、平衡状態に近い展開形状へ復元することを妨げる保持力が、パッケージ本体14の周壁への当接力によって、コンタクトレンズ24に及ぼされている。
【0037】
すなわち、コンタクトレンズ24は、任意のソフトコンタクトレンズ用材料で形成され得るが、所定の弾性(粘弾性を含む)を有していることから、湾曲変形状態から展開形状への復元力を有する。ここにおいて、本実施形態では、例えば、コンタクトレンズ24を適当な曲率で丸めて湾曲形状として、パッケージ本体14の開封口16から収容領域20に差し入れることにより、保存液22に浸漬された状態で収容することが出来る。その後に、開封口16を蓋体18で覆蓋することにより、目的とするコンタクトレンズパッケージ10が得られる。このような構造とされたコンタクトレンズパッケージ10では、丸められたコンタクトレンズ24が弾性により広がろうとするが、パッケージ本体14の周壁に当接することでそれ以上の広がりが防止されることとなり、コンタクトレンズ24が湾曲変形状態を保たれて収容されることとなる。
【0038】
また、本実施形態では、コンタクトレンズ24が、中空の円錐形状とされたパッケージ本体14の周方向で丸められて湾曲されており、かかる湾曲変形で小さくされた径方向(パッケージ本体14の径方向)に対して直交する径方向(パッケージ本体14の中心軸方向)側に、開封口16が設けられている。これにより、コンタクトレンズ24を収容領域20に対して差し入れる際および取り出す際の何れにおいても、コンタクトレンズ24を、その湾曲方向に直交する径方向、換言すれば湾曲変形されたコンタクトレンズ24の湾曲中心軸方向に移動させるようにされている。
【0039】
なお、本実施形態においてパッケージを構成する、パッケージ本体14と蓋体18の材質は、特に限定されるものでなく、各種の合成樹脂材料や金属材料等を用いることが可能である。好適には、パッケージ本体14としては、目的形状への成形の容易さや流体の不透過性等からポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリアミド等の合成樹脂材料が採用される。更に、軟質樹脂フィルムやアルミニウム層にポリプロピレン等の樹脂層を被着したラミネートフィルム、或いはこれらの複合材料も適用することができる。また、蓋体18としては、密封処理や開封操作の容易さ等から軟質樹脂フィルムやアルミニウム層にポリプロピレン等の樹脂層を被着したラミネートフィルムなどが好適に採用される。更に、パッケージ本体14と蓋体18との一方又は両方において、収容領域20を画成する壁部の少なくとも一部に透明な確認壁部を設けることにより、密閉された収容領域20に収容されたコンタクトレンズ24を外部から目視確認可能とすることもできる。
【0040】
特に本実施形態では、パッケージ本体14が手指の押圧力で変形可能な可撓性を有している。これにより、例えば図2において、(a)に示すように摘み部25をもって蓋体18を引っ張ってパッケージ本体14から引き剥がすことで開封口16を開放させた後に、(b)に示すようにパッケージ本体14の周壁を手指で挟むようにして矢印の方向に押圧力を及ぼして押しつぶすように挟圧することで、コンタクトレンズ24を、パッケージ本体14の底部から開封口16に向かって移動させ、開封口16から取り出すことにより、(c)に示されている如きコンタクトレンズ24の単体を得ることが出来るようになっている。なお、本実施形態のパッケージ本体14であっても、挟圧変形させることなく、例えば図2(a)に示されている開封口16を開放させた後に、コンタクトレンズ24を指先で引っ掛ける等してパッケージ本体14から引っ張り出すようにして、開封口16からコンタクトレンズ24を取り出すことも、勿論可能である。
【0041】
ここにおいて、かかるコンタクトレンズ24は、弾性変形可能であれば良く、その材質や光学特性に関して特に限定されるものでない。例えば、HEMA系イオン性高含水ソフトコンタクトレンズの他、シリコーン成分を有するシリコーンハイドロゲルソフトコンタクトレンズ等のように粘性が比較的大きい材質からなるコンタクトレンズも採用可能である。
【0042】
かかるコンタクトレンズ24は、周知のとおり、装用者の角膜表面形状に略対応した形状とされており、具体的には、例えば図2(c)に示されているように、保存液等の比重が略等しい溶液中に浸漬されて外力が及ぼされていない平衡状態下でのコンタクトレンズ24の単体形状が略球冠形状とされている。このコンタクトレンズ24には、装用者の瞳孔を覆う中央部分に、視力矯正機能を発揮する中央光学部が形成されていると共に、中央光学部の外周側が、装用安定性等に寄与する周辺部とされている。
【0043】
このようなコンタクトレンズ24では、前述のように巻かれて丸められた収容状態下において径方向一方向の外形寸法(図2(a)中のB)が、平衡状態にあるコンタクトレンズ24のDIAよりも小さくされているが、かかる収容状態下でも、中央光学部における最大歪が抑えられている。即ち、コンタクトレンズ24の表面と裏面との何れか一方の側に湾曲中心が設定されることにより一方向に丸められたコンタクトレンズ24では、丸められた方向で引張又は圧縮となる略均等な応力と歪が全体に生ぜしめられることとなる。
【0044】
それ故、コンタクトレンズ24の光学中心軸方向に押し潰すように変形させる場合に比して、局部的に大きな屈曲や皺が発生して集中的に過大な応力や歪が発生することが防止される。特に本実施形態では、パッケージ本体14の断面形状が円形とされており、収容凹所12の内周面への当接力で湾曲変形状態に保持されたコンタクトレンズ24が略円形に丸められて、コンタクトレンズ24の湾曲中心軸(曲率中心軸)が収容凹所12の中心軸方向に略一致することとなり、コンタクトレンズ24の歪が湾曲方向の略全体に分散される。
【0045】
その結果、上述のようにコンタクトレンズ24の収容状態下での外形寸法(B)を充分に小さくしてパッケージ本体14に収容することを可能と為しつつ、収容状態下でのコンタクトレンズ24に生ずる応力や歪の最大値を小さくすることが出来るのであり、それ故、コンタクトレンズ24を開封直後に装用しても、著しい変形が残留することがなく、残留歪による見え方の不具合が効果的に回避されるのである。
【0046】
加えて、パッケージ本体14内で湾曲変形状態にあるコンタクトレンズ24は、上述のように張力等の応力が大きくされていること等により、平たい平衡状態にある場合に比して、外力に対する座屈等の変形強度が大きくされている。それ故、たとえパッケージ本体14の剛性が小さくて外力により変形する程度に軟質の場合でも、外力等の作用により、収容状態下におけるコンタクトレンズ24に対する局所的に大きな変形や好ましくない歪の発生が軽減されて保護作用が発揮される。また、前述の図2(b)に示されるようにコンタクトレンズパッケージ10の開封後にパッケージ本体14の周壁を押しつぶすように挟圧してコンタクトレンズ24を開封口16に移動させることで取り出す際にも、コンタクトレンズ24の弾性反撥力が大きくされて容易に押し出すことが可能となる。
【0047】
さらに、レンズの取り出しを一層容易とするため、パッケージ内部に充填する保存液(22)は、界面活性剤を含んでいても良い。この場合、使用される界面活性剤種に限定はないが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体及びポリオキシエチレンポリシロキサンエーテルブロック共重合体などの非イオン性界面活性剤が好適に使用される。
【0048】
以上、本発明の第一の実施形態について詳述してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載及び以下に追加的に例示する他の実施形態における具体的な記載などによって限定的に解釈されるものでない。なお、以下に記載する実施形態の説明中、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に付することにより、それらの詳細な説明を割愛する。
【0049】
図3(a)には、本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージ30が示されている。本実施形態のコンタクトレンズパッケージ30では、第一の実施形態と同様に中空円錐形状のパッケージ本体14に対して、収容凹所12を画成する周壁の内周面に突出して位置決め部としての位置決め突部32が固定的に設けられている。特に本実施形態では、かかる位置決め突部32が、収容凹所12の周壁内面を母線方向に直線的に且つ連続して延びる凸形状とされている。また、位置決め突部32の断面は、パッケージ本体14の底部から頂部に行くに従って次第に小さくされており、収容凹所12の内部領域の確保が図られている。
【0050】
また、本実施形態では、収容領域20に湾曲変形状態で収容されたコンタクトレンズ24が、湾曲方向の両端部が互いに重ならないで周方向に所定距離を隔てて離隔した一周未満の巻き状態で丸められている。そして、この湾曲変形状態のコンタクトレンズ24の湾曲方向の両端部間の周方向対向間寸法に比して、位置決め突部32の周方向幅寸法が小さくされている。これにより、収容領域20への収容状態下、コンタクトレンズ24の湾曲方向の両端部間に位置決め突部32が入り込んで位置している。
【0051】
このような本実施形態のコンタクトレンズパッケージ30では、収容領域20に収容されたコンタクトレンズ24が、湾曲方向の端部における位置決め突部32へ当接することで、収容領域20内でのコンタクトレンズ24の周方向(湾曲方向)への移動に対する係止力が発揮される。これにより、収容領域20内での保存状態下におけるコンタクトレンズ24の移動が阻止されて、コンタクトレンズ24のパッケージ本体14への擦れ等に起因する不具合の発生が防止される。また、図3(b)に示されているように、パッケージ本体14の収容領域20を開封して、コンタクトレンズ24を取り出す際にも、コンタクトレンズ24の周方向位置が安定することから、コンタクトレンズ24の取扱いも容易となる。
【0052】
さらに、図4には、本発明の第三の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージ34が示されている。本実施形態のコンタクトレンズパッケージ34は、上記第二の実施形態のコンタクトレンズパッケージ30に比して、位置決め部の別態様を例示するものである。
【0053】
すなわち、本実施形態のコンタクトレンズパッケージ34のパッケージ本体36は、その周上の一部が内方に山形断面で屈曲して突出している。そして、この内方への突出部分が収容凹所12の周壁を母線方向に直線的に且つ連続して延びることにより、収容凹所12の内方に突出する位置決め突部38が構成されている。
【0054】
このようにパッケージ本体36の周壁を部分的に内方に屈曲形状に突出させた位置決め突部38でも、前記第二の実施形態と同様に、図4(a)に示されているコンタクトレンズ24の収容状態下で周方向の位置決め作用が発揮されると共に、(b)に示されているように、開封口16から取り出されるコンタクトレンズ24に対しても周方向の位置決め作用を発揮し得る。
【0055】
また、図5〜6には、本発明の第四の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージ40が示されている。本実施形態のコンタクトレンズパッケージ40のパッケージ42は、第一のパッケージシート44と第二のパッケージシート46とが互いに重ね合わされて構成されている。これら第一及び第二のパッケージシート44,46は、第一の実施形態におけるパッケージ本体や蓋体と同様に合成樹脂シートやラミネートフィルム等からなるものが好適に採用される。
【0056】
そして、第一のパッケージシート44と第二のパッケージシート46とが、中央部分において重ね合わせ方向で互いに離隔して外方に膨らんでいることで、外部空間に対して流体密とされて保存液22とコンタクトレンズ24とが封入された袋状収容領域48が形成されている。なお、袋状収容領域48の周囲には、第一のパッケージシート44と第二のパッケージシート46が、相互に密着状態となるように溶着等で固着された封止領域50が形成されている。
【0057】
また、かかる袋状収容領域48は、図5中の左右方向となる幅寸法に比して上下方向となる高さ寸法が大きくされており、コンタクトレンズ24が、第一の実施形態と同様に丸められて図5中の左右方向の外形寸法が小さくされた状態で収容されている。なお、本実施形態では、図6に示されているように、収容状態下のコンタクトレンズ24が、一周以上に巻かれて丸められることにより、湾曲周方向の両端部分が互いに重ね合わされた状態で、第一及び第二のパッケージシート44,46への当接力で保持されている。
【0058】
さらに、第一及び第二のパッケージシート44,46からなるパッケージ42には、袋状収容領域48の長さ方向(図5中の上下方向)で一方の端部側(図5中の上側)に偏倚した部分において、外周縁部から内方に向かう開放用切欠52が設けられている。この開放用切欠52に対して、手指で剪断力を及ぼすことにより、開放用切欠52を契機としてパッケージ42が、図5中の左右方向に延びる切断線に沿って切断されて、図5中の上下方向の両側に分離されることにより、図7に示されているように袋状収容領域48に開封口54が形成されるようになっている。
【0059】
このようにして開封されたパッケージ42では、袋状収容領域48の底部側から手指で挟圧力を及ぼすことにより、第一の実施形態と同様に、丸められたコンタクトレンズ24を開封口54に向かって移動させて押し出して取り出すことが出来るようになっている。
【0060】
更にまた、前記第一実施形態では、円錐形状のパッケージ本体14が採用されて収容領域20が円形断面とされていたが、これに限定されるものでない。例えば図8(a)に示されているように、四角形の他に三角形や五角形等の多角形の断面形状を有する多角錐形状のパッケージ本体60を採用しても良いし、図8(b)に示されている星形や図8(c)に示されている弓形等の異形断面形状を有する錐形状のパッケージ本体62,64を採用しても良い。このように、多角形や異形の断面形状を有するパッケージ本体60,62,64を採用することにより、丸められた湾曲変形状態で収容されたコンタクトレンズ24の周方向端部に対して係止力を及ぼして周方向の変位を阻止する位置決め部が、図4に示された前記第三の実施形態と同様に、パッケージ本体によって構成され得る。
【0061】
さらに、本発明におけるパッケージ本体14は、円錐や角錐等の錐形状や、図5に示された前記第四の実施形態の如き袋形状に限定されるものでない。例えば、図9(a)に示されている円錐台形状のパッケージ本体70や、図9(b)に示されている円筒形状のパッケージ本体72、図9(c)に示されている四角筒等の多角筒形状のパッケージ本体74等も採用可能である。
【0062】
なお、図9(a),(b)の如き筒形状のパッケージ本体の場合には、有底筒形状として軸方向一方の開口部を、例えば前記第一の実施形態と同様に蓋体で封止しても良いが、例えば図10(a),(b)に示されているように、有底筒形状のパッケージ本体80,82の開口部(開封口16)に対して嵌め入れられる嵌合部84を備えた嵌着蓋体86,88を採用しても良い。
【0063】
また、図11に示されているように、有底円筒形状のパッケージ本体90における開口部(開封口16)の外周面に被せられて封止する外挿蓋体92を採用しても良い。なお、外挿蓋体92は、パッケージ本体90の開口部外周面に対して、必要に応じて溶着や接着、螺着等によって固定され得る。
【0064】
その他、一々列挙はしないが、本発明には、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得る。例えば、コンタクトレンズ24を丸めた湾曲変形状態に保持するために、筒状のフィルムに内挿する等して弾性による拡開を阻止せしめた状態で、前記実施形態の如き各種のパッケージ本体に収容することも可能である。
【0065】
また、図5に示されたコンタクトレンズパッケージ40において、第一のパッケージシート44に対して凹形状のレンズ収容部を形成して、そこに丸めて湾曲変形状態としたコンタクトレンズ24を収容し、第二のパッケージシート46をフラットな平面形状として、かかるレンズ収容部を流体密に覆蓋せしめても良い。なお、その場合には、第一のパッケージシート44として、硬質樹脂材料からなるブリスター構造体を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
10,30,34,40:コンタクトレンズパッケージ、16:開封口、22:保存液、24:コンタクトレンズ、32,38:位置決め突部(位置決め部)、42:パッケージ、54:開封口
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズを保存液と共に収容するコンタクトレンズパッケージに係り、特にソフトコンタクトレンズを市場へ流通させる際に好適に用いられるコンタクトレンズパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズは、レンズメーカーで製造され、コンタクトレンズパッケージに密封状態で収容されて市場に流通されて、販売店からユーザーに提供される。
【0003】
ところで、含水性ソフトコンタクトレンズなどは、一般に、保存液と共にコンタクトレンズパッケージに収容して提供される。かかるコンタクトレンズパッケージとしては、従来から、特開平7−322911号公報(特許文献1)や米国特許第4691820号公報(特許文献2)に記載されているように、硬質樹脂製で剛性の高い容器本体に形成された窪みに保存液とコンタクトレンズを収容してカバーフィルムで封止したブリスターパッケージが採用されている。
【0004】
しかしながら、このような従来構造のブリスターパッケージは、コンタクトレンズを平衡状態(外力による変形の無い状態)で収容するために窪みを充分な深さで形成しなければならず、コンパクト化が難しい。そのために、例えば多数のコンタクトレンズをストックしたり、複数のコンタクトレンズを持ち歩いたりする際に嵩張ってしまい、取り扱いに不便を感ずることが多かった。
【0005】
そこで、本出願人は、先に特許第4586121号公報(特許文献3)において、コンタクトレンズを高さ方向(軸方向)に押圧変形させて小さくした加圧状態で収容せしめた新規な構造のコンタクトレンズパッケージを提案した。この特許文献3で提案したコンタクトレンズパッケージでは、ソフトコンタクトレンズの柔軟性や弾性を利用することで、特許文献1,2に記載の如き従来構造のブリスターパッケージでは実現不可能なサイズにまでコンパクト化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−322911号公報
【特許文献2】米国特許第4691820号公報
【特許文献3】特許第4586121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3で提案したコンタクトレンズパッケージについて、本発明者が更なる実験や検討を重ねた結果、コンタクトレンズの材質や押圧変形の程度などの条件によっては、コンタクトレンズパッケージを開封してコンタクトレンズを取り出した際にコンタクトレンズに残留する歪が、コンタクトレンズの装用直後に悪影響を及ぼすおそれがあるとの知見を得た。
【0008】
すなわち、コンタクトレンズの材質による粘性(粘弾性)等の物性や温度等の環境条件によっては、押圧変形させたパッケージ状態における歪が開封後に残留して回復に時間を要する場合のあることがわかった。そして、歪の回復に要する時間が長い場合には、コンタクトレンズパッケージの開封直後にコンタクトレンズを装用すると、ユーザーによって見え方が悪いと感ずるおそれもある。
【0009】
本発明は、上述の事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、コンタクトレンズを変形状態で収容することで小型化を図りつつ、開封直後における残留歪による見え方の低下を可及的に回避することができる新規な構造のコンタクトレンズパッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様は、コンタクトレンズが保存液と共にパッケージに収容されたコンタクトレンズパッケージであって、前記コンタクトレンズが巻かれて湾曲されることで径方向一方向における外形寸法が装用時の展張状態に比して小さくされた湾曲変形状態で収容されているコンタクトレンズパッケージにある。
【0011】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、コンタクトレンズが一方向に巻かれるようにして丸められることで、収容された湾曲変形状態下では、丸められた方向の径方向寸法が装用時の展張状態(平衡状態に略等しい)に比して小さくされていることから、かかる方向でコンタクトレンズパッケージの寸法を小さくすることが可能となる。なお、コンタクトレンズにおいて、丸められた方向に直交する径方向寸法も平衡状態と略等しいままで、収容容器(パッケージ)の容積やサイズが全体として大きくなることはない。それ故、本態様のコンタクトレンズパッケージでは、コンタクトレンズを湾曲変形状態で収容したことにより、従来構造のブリスターパッケージに比してコンパクト化が可能となる。
【0012】
しかも、パッケージ内への収容状態下において、コンタクトレンズは湾曲変形されているものの丸められているだけなので、丸められた方向で略均等な応力と歪が全体に生ぜしめられることとなる。それ故、コンタクトレンズの光学中心軸方向に押し潰すように変形させる場合に比して、局部的に大きな屈曲や皺が発生して集中的に過大な応力や歪が発生することが防止される。その結果、上述のようにコンタクトレンズを変形させてコンパクトにして収容しても、応力や歪の最大値を小さくすることが出来、開封直後に装用しても残留歪による見え方の不具合が効果的に回避されるのである。
【0013】
加えて、パッケージ内で丸められた状態にあるコンタクトレンズは、平たい状態にある場合に比して、外力に対する座屈等の変形強度が大きくされる。それ故、たとえパッケージの剛性が小さくて外力により変形する程度に軟質の場合でも、コンタクトレンズの折れ曲がり等の過大な変形が効果的に防止されることとなり、外力等の作用による局所的に大きな変形や好ましくない歪みの発生の回避効果も発揮され得る。
【0014】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコンタクトレンズパッケージにおいて、前記コンタクトレンズの前記パッケージへの当接力によって、該コンタクトレンズが前記湾曲変形状態に保持されているものである。
【0015】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、コンタクトレンズを所定の湾曲変形状態に保持するための特別な部材が不要となり構造の簡略化が図られ得る。また、パッケージの内面を、湾曲変形させたコンタクトレンズに当接させることで、コンタクトレンズパッケージのサイズの更なる小型化が実現可能となる。
【0016】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るコンタクトレンズパッケージであって、前記パッケージにおける前記コンタクトレンズの取出用の開封口が、該コンタクトレンズの外形寸法が小さくされた前記径方向一方向に対して直交するコンタクトレンズの径方向側に設けられているものである。
【0017】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、収容されたコンタクトレンズを開封口に向けて一層容易に且つ安定した形状をもって変位させることが可能となり、パッケージからコンタクトレンズを一層容易に取り出すことができる。
【0018】
本発明の第四の態様は、前記第一〜三の何れかの態様に係るコンタクトレンズパッケージにおいて、前記パッケージが手指による押圧力で変形可能とされており、該パッケージを変形させることにより前記コンタクトレンズが押し出し変位せしめられる側に該コンタクトレンズの取出用の開封口が形成されているものである。
【0019】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、コンタクトレンズを直接に手指で摘み上げる必要なく開封したパッケージから開封口を通じて押し出すことが可能となる。特に、収容状態のコンタクトレンズが丸められることで外力への変形抵抗力および反発力が向上されていることから、手指による押圧力でコンタクトレンズを開封口に向けて容易に且つ著しい変形を回避しつつ押出変位させることが出来る。
【0020】
本発明の第五の態様は、前記第一〜四の何れかの態様に係るコンタクトレンズパッケージであって、前記コンタクトレンズが一周に達せずに巻かれており、湾曲方向で両端部分が重ならない湾曲変形状態で収容されているものである。
【0021】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、コンタクトレンズの異なる部位が互いに重なり合うことがない湾曲変形状態とされることから、コンタクトレンズの部分的な重なりによる密着や擦れ等の懸念が回避される。湾曲変形状態下でのコンタクトレンズの湾曲の程度を比較的小さな曲率に抑えつつ、湾曲された径方向での外形寸法を小さくしてコンタクトレンズパッケージのコンパクト化を図ることが可能となる。
【0022】
本発明の第六の態様は、前記第一〜五の何れかの態様に係るコンタクトレンズパッケージであって、前記パッケージにおいて、前記コンタクトレンズの巻かれた周方向端部に対して係止力を及ぼして該コンタクトレンズの周方向変位を規制する位置決め部が設けられているものである。
【0023】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、収容状態にあるコンタクトレンズのパッケージ内での変位を制限して、コンタクトレンズのパッケージへの干渉や擦れ等による不具合の発生を可及的に防止することが可能となる。特に本態様では、収容されたコンタクトレンズが巻かれた湾曲変形状態にあることに着目し、その巻き方向の端部に係止力を及ぼすことで、コンタクトレンズに対する変位規制力を容易に且つ効果的に及ぼすことが可能となる。
【0024】
なお、第六の態様は、前記第五の態様と組み合わせることが好適である。蓋し、第五の態様のように、コンタクトレンズが一周に達せずに巻かれており、湾曲方向で両端部分が重ならない湾曲変形状態で収容されている場合には、巻き方向の両端部に係止力を容易に及ぼすことができる。これにより、コンタクトレンズを巻き方向となる周方向の両側で変位規制する位置決め部が容易に実現可能となる。また、ユーザーは、収容されたコンタクトレンズを取り出す際に、コンタクトレンズの表裏の向きをより明確に知ることが可能となることから、コンタクトレンズの装用がスムーズになるばかりか、表裏判定のための操作によってレンズ表面に発生するキズや、埃などの異物および浮遊微生物のレンズ表面への付着リスクを低減できる。
【0025】
本発明の第七の態様は、前記第一〜六の何れかの態様に係るコンタクトレンズパッケージであって、前記パッケージにおいて、前記コンタクトレンズを外部から視認可能とする透明な確認壁部が設けられているものである。
【0026】
本態様のコンタクトレンズパッケージでは、その製造段階や出荷段階、流通段階、販売段階、使用段階等の必要な段階で、パッケージを開封することなくコンタクトレンズの収容の有無を容易に且つ速やかに確認することができる。
【発明の効果】
【0027】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたコンタクトレンズパッケージにおいては、コンタクトレンズの外形寸法が丸められることにより小さくされてパッケージの小型化が図られると共に、丸められた方向で略均等な応力と歪が全体に生ぜしめられて過大な応力や歪の局部的な発生が回避される。それ故、収容状態でのコンタクトレンズにおける応力や歪を小さくして、開封直後の光学特性も良好に確保しつつ、コンタクトレンズパッケージをコンパクト化することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージの斜視説明図。
【図2】図1に示されたコンタクトレンズパッケージを開封してコンタクトレンズを取り出す操作を(a)〜(c)に時系列的に示す説明図。
【図3】本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージを示す図であって、(a)は斜視説明図であり、(b)はコンタクトレンズを取り出す操作を示す説明図。
【図4】本発明の第三の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージを示す図であって、(a)は斜視説明図であり、(b)はコンタクトレンズを取り出す操作を示す説明図。
【図5】本発明の第四の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージを示す正面図。
【図6】図5におけるVI−VI断面図。
【図7】図5に示されたコンタクトレンズパッケージの開封状態を示す斜視図。
【図8】図1に示されたコンタクトレンズパッケージにおいて採用可能なパッケージ本体の形状の別例を(a)〜(c)として示す斜視説明図。
【図9】図1に示されたコンタクトレンズパッケージにおいて採用可能なパッケージ本体の形状の更に別例を(a)〜(c)として示す斜視説明図。
【図10】本発明の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージの別例を(a),(b)にそれぞれ示す分解斜視説明図。
【図11】本発明の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージの更に別例を示す分解斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1には、本発明の一実施形態としてのコンタクトレンズパッケージ10が示されている。
【0030】
本実施形態のコンタクトレンズパッケージ10は、収容凹所12を有する中空構造のパッケージ本体14を備えている。特に本実施形態では、パッケージ本体14が、中空の円錐形状とされており、円錐底面の略全体に亘って収容凹所12が開口されることによりコンタクトレンズ取出用に円形の開封口16が構成されている。
【0031】
また、パッケージ本体14の大径側端面には、シート状の蓋体18が重ね合わされて溶着や接着等により固着されている。これにより、パッケージ本体14の収容凹所12の開封口16が蓋体18で流体密に覆蓋されて、外部空間に対して密閉された収容領域20が形成されている。
【0032】
そして、この収容領域20に保存液22が封入されていると共に、ソフトタイプのコンタクトレンズ24が、保存液22に浸漬されて収容されている。
【0033】
ここにおいて、収容領域20は、その内径寸法が、開口側の最大値でも、収容されたコンタクトレンズ24の外径寸法(DIA)よりも小さくされている。特に本実施形態では、収容領域20が円錐形状とされていることから、コンタクトレンズ24が収容位置せしめられる深さ方向(パッケージ本体14の中心軸方向)の中間部分では、収容領域20の内径寸法がコンタクトレンズ24のDIAよりも充分に小さく(好適には90%以下、より好適には80%以下)されている。
【0034】
一方、収容領域20の深さ寸法は、コンタクトレンズ24のDIA以上の大きさとされている。特に本実施形態では、円錐形状の収容領域20とされているために頂部近くは狭くてコンタクトレンズが収容され難い。それ故、コンタクトレンズ24が入り得る深さ領域だけでDIA以上の大きさとなるように、収容領域20の深さ寸法がDIAの110%以上、より好適には120%以上に設定されている。
【0035】
そして、図1に示されているように、コンタクトレンズ24は、平置きの平衡状態から径方向一方向で対向位置する両側部分を同じ面側(レンズ裏面側又はレンズ表面側)に持ち上げてカールするようにして丸めた湾曲変形状態とすることによって、収容領域20に収容されている。換言すれば、かかるコンタクトレンズ24は、一方向に丸められるようにして湾曲されることにより、径方向一方向における外径寸法(最大幅寸法)が、装用時の展張状態(平衡状態に略等しい)に比して小さくされている。なお、丸められた方向に直交する径方向寸法は、丸められていないから装用時の寸法と殆ど変わらないままで、著しく大きくなることがない。
【0036】
また、本実施形態では、コンタクトレンズ24を丸めた湾曲変形状態に保持せしめて、平衡状態に近い展開形状へ復元することを妨げる保持力が、パッケージ本体14の周壁への当接力によって、コンタクトレンズ24に及ぼされている。
【0037】
すなわち、コンタクトレンズ24は、任意のソフトコンタクトレンズ用材料で形成され得るが、所定の弾性(粘弾性を含む)を有していることから、湾曲変形状態から展開形状への復元力を有する。ここにおいて、本実施形態では、例えば、コンタクトレンズ24を適当な曲率で丸めて湾曲形状として、パッケージ本体14の開封口16から収容領域20に差し入れることにより、保存液22に浸漬された状態で収容することが出来る。その後に、開封口16を蓋体18で覆蓋することにより、目的とするコンタクトレンズパッケージ10が得られる。このような構造とされたコンタクトレンズパッケージ10では、丸められたコンタクトレンズ24が弾性により広がろうとするが、パッケージ本体14の周壁に当接することでそれ以上の広がりが防止されることとなり、コンタクトレンズ24が湾曲変形状態を保たれて収容されることとなる。
【0038】
また、本実施形態では、コンタクトレンズ24が、中空の円錐形状とされたパッケージ本体14の周方向で丸められて湾曲されており、かかる湾曲変形で小さくされた径方向(パッケージ本体14の径方向)に対して直交する径方向(パッケージ本体14の中心軸方向)側に、開封口16が設けられている。これにより、コンタクトレンズ24を収容領域20に対して差し入れる際および取り出す際の何れにおいても、コンタクトレンズ24を、その湾曲方向に直交する径方向、換言すれば湾曲変形されたコンタクトレンズ24の湾曲中心軸方向に移動させるようにされている。
【0039】
なお、本実施形態においてパッケージを構成する、パッケージ本体14と蓋体18の材質は、特に限定されるものでなく、各種の合成樹脂材料や金属材料等を用いることが可能である。好適には、パッケージ本体14としては、目的形状への成形の容易さや流体の不透過性等からポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリアミド等の合成樹脂材料が採用される。更に、軟質樹脂フィルムやアルミニウム層にポリプロピレン等の樹脂層を被着したラミネートフィルム、或いはこれらの複合材料も適用することができる。また、蓋体18としては、密封処理や開封操作の容易さ等から軟質樹脂フィルムやアルミニウム層にポリプロピレン等の樹脂層を被着したラミネートフィルムなどが好適に採用される。更に、パッケージ本体14と蓋体18との一方又は両方において、収容領域20を画成する壁部の少なくとも一部に透明な確認壁部を設けることにより、密閉された収容領域20に収容されたコンタクトレンズ24を外部から目視確認可能とすることもできる。
【0040】
特に本実施形態では、パッケージ本体14が手指の押圧力で変形可能な可撓性を有している。これにより、例えば図2において、(a)に示すように摘み部25をもって蓋体18を引っ張ってパッケージ本体14から引き剥がすことで開封口16を開放させた後に、(b)に示すようにパッケージ本体14の周壁を手指で挟むようにして矢印の方向に押圧力を及ぼして押しつぶすように挟圧することで、コンタクトレンズ24を、パッケージ本体14の底部から開封口16に向かって移動させ、開封口16から取り出すことにより、(c)に示されている如きコンタクトレンズ24の単体を得ることが出来るようになっている。なお、本実施形態のパッケージ本体14であっても、挟圧変形させることなく、例えば図2(a)に示されている開封口16を開放させた後に、コンタクトレンズ24を指先で引っ掛ける等してパッケージ本体14から引っ張り出すようにして、開封口16からコンタクトレンズ24を取り出すことも、勿論可能である。
【0041】
ここにおいて、かかるコンタクトレンズ24は、弾性変形可能であれば良く、その材質や光学特性に関して特に限定されるものでない。例えば、HEMA系イオン性高含水ソフトコンタクトレンズの他、シリコーン成分を有するシリコーンハイドロゲルソフトコンタクトレンズ等のように粘性が比較的大きい材質からなるコンタクトレンズも採用可能である。
【0042】
かかるコンタクトレンズ24は、周知のとおり、装用者の角膜表面形状に略対応した形状とされており、具体的には、例えば図2(c)に示されているように、保存液等の比重が略等しい溶液中に浸漬されて外力が及ぼされていない平衡状態下でのコンタクトレンズ24の単体形状が略球冠形状とされている。このコンタクトレンズ24には、装用者の瞳孔を覆う中央部分に、視力矯正機能を発揮する中央光学部が形成されていると共に、中央光学部の外周側が、装用安定性等に寄与する周辺部とされている。
【0043】
このようなコンタクトレンズ24では、前述のように巻かれて丸められた収容状態下において径方向一方向の外形寸法(図2(a)中のB)が、平衡状態にあるコンタクトレンズ24のDIAよりも小さくされているが、かかる収容状態下でも、中央光学部における最大歪が抑えられている。即ち、コンタクトレンズ24の表面と裏面との何れか一方の側に湾曲中心が設定されることにより一方向に丸められたコンタクトレンズ24では、丸められた方向で引張又は圧縮となる略均等な応力と歪が全体に生ぜしめられることとなる。
【0044】
それ故、コンタクトレンズ24の光学中心軸方向に押し潰すように変形させる場合に比して、局部的に大きな屈曲や皺が発生して集中的に過大な応力や歪が発生することが防止される。特に本実施形態では、パッケージ本体14の断面形状が円形とされており、収容凹所12の内周面への当接力で湾曲変形状態に保持されたコンタクトレンズ24が略円形に丸められて、コンタクトレンズ24の湾曲中心軸(曲率中心軸)が収容凹所12の中心軸方向に略一致することとなり、コンタクトレンズ24の歪が湾曲方向の略全体に分散される。
【0045】
その結果、上述のようにコンタクトレンズ24の収容状態下での外形寸法(B)を充分に小さくしてパッケージ本体14に収容することを可能と為しつつ、収容状態下でのコンタクトレンズ24に生ずる応力や歪の最大値を小さくすることが出来るのであり、それ故、コンタクトレンズ24を開封直後に装用しても、著しい変形が残留することがなく、残留歪による見え方の不具合が効果的に回避されるのである。
【0046】
加えて、パッケージ本体14内で湾曲変形状態にあるコンタクトレンズ24は、上述のように張力等の応力が大きくされていること等により、平たい平衡状態にある場合に比して、外力に対する座屈等の変形強度が大きくされている。それ故、たとえパッケージ本体14の剛性が小さくて外力により変形する程度に軟質の場合でも、外力等の作用により、収容状態下におけるコンタクトレンズ24に対する局所的に大きな変形や好ましくない歪の発生が軽減されて保護作用が発揮される。また、前述の図2(b)に示されるようにコンタクトレンズパッケージ10の開封後にパッケージ本体14の周壁を押しつぶすように挟圧してコンタクトレンズ24を開封口16に移動させることで取り出す際にも、コンタクトレンズ24の弾性反撥力が大きくされて容易に押し出すことが可能となる。
【0047】
さらに、レンズの取り出しを一層容易とするため、パッケージ内部に充填する保存液(22)は、界面活性剤を含んでいても良い。この場合、使用される界面活性剤種に限定はないが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体及びポリオキシエチレンポリシロキサンエーテルブロック共重合体などの非イオン性界面活性剤が好適に使用される。
【0048】
以上、本発明の第一の実施形態について詳述してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載及び以下に追加的に例示する他の実施形態における具体的な記載などによって限定的に解釈されるものでない。なお、以下に記載する実施形態の説明中、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に付することにより、それらの詳細な説明を割愛する。
【0049】
図3(a)には、本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージ30が示されている。本実施形態のコンタクトレンズパッケージ30では、第一の実施形態と同様に中空円錐形状のパッケージ本体14に対して、収容凹所12を画成する周壁の内周面に突出して位置決め部としての位置決め突部32が固定的に設けられている。特に本実施形態では、かかる位置決め突部32が、収容凹所12の周壁内面を母線方向に直線的に且つ連続して延びる凸形状とされている。また、位置決め突部32の断面は、パッケージ本体14の底部から頂部に行くに従って次第に小さくされており、収容凹所12の内部領域の確保が図られている。
【0050】
また、本実施形態では、収容領域20に湾曲変形状態で収容されたコンタクトレンズ24が、湾曲方向の両端部が互いに重ならないで周方向に所定距離を隔てて離隔した一周未満の巻き状態で丸められている。そして、この湾曲変形状態のコンタクトレンズ24の湾曲方向の両端部間の周方向対向間寸法に比して、位置決め突部32の周方向幅寸法が小さくされている。これにより、収容領域20への収容状態下、コンタクトレンズ24の湾曲方向の両端部間に位置決め突部32が入り込んで位置している。
【0051】
このような本実施形態のコンタクトレンズパッケージ30では、収容領域20に収容されたコンタクトレンズ24が、湾曲方向の端部における位置決め突部32へ当接することで、収容領域20内でのコンタクトレンズ24の周方向(湾曲方向)への移動に対する係止力が発揮される。これにより、収容領域20内での保存状態下におけるコンタクトレンズ24の移動が阻止されて、コンタクトレンズ24のパッケージ本体14への擦れ等に起因する不具合の発生が防止される。また、図3(b)に示されているように、パッケージ本体14の収容領域20を開封して、コンタクトレンズ24を取り出す際にも、コンタクトレンズ24の周方向位置が安定することから、コンタクトレンズ24の取扱いも容易となる。
【0052】
さらに、図4には、本発明の第三の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージ34が示されている。本実施形態のコンタクトレンズパッケージ34は、上記第二の実施形態のコンタクトレンズパッケージ30に比して、位置決め部の別態様を例示するものである。
【0053】
すなわち、本実施形態のコンタクトレンズパッケージ34のパッケージ本体36は、その周上の一部が内方に山形断面で屈曲して突出している。そして、この内方への突出部分が収容凹所12の周壁を母線方向に直線的に且つ連続して延びることにより、収容凹所12の内方に突出する位置決め突部38が構成されている。
【0054】
このようにパッケージ本体36の周壁を部分的に内方に屈曲形状に突出させた位置決め突部38でも、前記第二の実施形態と同様に、図4(a)に示されているコンタクトレンズ24の収容状態下で周方向の位置決め作用が発揮されると共に、(b)に示されているように、開封口16から取り出されるコンタクトレンズ24に対しても周方向の位置決め作用を発揮し得る。
【0055】
また、図5〜6には、本発明の第四の実施形態としてのコンタクトレンズパッケージ40が示されている。本実施形態のコンタクトレンズパッケージ40のパッケージ42は、第一のパッケージシート44と第二のパッケージシート46とが互いに重ね合わされて構成されている。これら第一及び第二のパッケージシート44,46は、第一の実施形態におけるパッケージ本体や蓋体と同様に合成樹脂シートやラミネートフィルム等からなるものが好適に採用される。
【0056】
そして、第一のパッケージシート44と第二のパッケージシート46とが、中央部分において重ね合わせ方向で互いに離隔して外方に膨らんでいることで、外部空間に対して流体密とされて保存液22とコンタクトレンズ24とが封入された袋状収容領域48が形成されている。なお、袋状収容領域48の周囲には、第一のパッケージシート44と第二のパッケージシート46が、相互に密着状態となるように溶着等で固着された封止領域50が形成されている。
【0057】
また、かかる袋状収容領域48は、図5中の左右方向となる幅寸法に比して上下方向となる高さ寸法が大きくされており、コンタクトレンズ24が、第一の実施形態と同様に丸められて図5中の左右方向の外形寸法が小さくされた状態で収容されている。なお、本実施形態では、図6に示されているように、収容状態下のコンタクトレンズ24が、一周以上に巻かれて丸められることにより、湾曲周方向の両端部分が互いに重ね合わされた状態で、第一及び第二のパッケージシート44,46への当接力で保持されている。
【0058】
さらに、第一及び第二のパッケージシート44,46からなるパッケージ42には、袋状収容領域48の長さ方向(図5中の上下方向)で一方の端部側(図5中の上側)に偏倚した部分において、外周縁部から内方に向かう開放用切欠52が設けられている。この開放用切欠52に対して、手指で剪断力を及ぼすことにより、開放用切欠52を契機としてパッケージ42が、図5中の左右方向に延びる切断線に沿って切断されて、図5中の上下方向の両側に分離されることにより、図7に示されているように袋状収容領域48に開封口54が形成されるようになっている。
【0059】
このようにして開封されたパッケージ42では、袋状収容領域48の底部側から手指で挟圧力を及ぼすことにより、第一の実施形態と同様に、丸められたコンタクトレンズ24を開封口54に向かって移動させて押し出して取り出すことが出来るようになっている。
【0060】
更にまた、前記第一実施形態では、円錐形状のパッケージ本体14が採用されて収容領域20が円形断面とされていたが、これに限定されるものでない。例えば図8(a)に示されているように、四角形の他に三角形や五角形等の多角形の断面形状を有する多角錐形状のパッケージ本体60を採用しても良いし、図8(b)に示されている星形や図8(c)に示されている弓形等の異形断面形状を有する錐形状のパッケージ本体62,64を採用しても良い。このように、多角形や異形の断面形状を有するパッケージ本体60,62,64を採用することにより、丸められた湾曲変形状態で収容されたコンタクトレンズ24の周方向端部に対して係止力を及ぼして周方向の変位を阻止する位置決め部が、図4に示された前記第三の実施形態と同様に、パッケージ本体によって構成され得る。
【0061】
さらに、本発明におけるパッケージ本体14は、円錐や角錐等の錐形状や、図5に示された前記第四の実施形態の如き袋形状に限定されるものでない。例えば、図9(a)に示されている円錐台形状のパッケージ本体70や、図9(b)に示されている円筒形状のパッケージ本体72、図9(c)に示されている四角筒等の多角筒形状のパッケージ本体74等も採用可能である。
【0062】
なお、図9(a),(b)の如き筒形状のパッケージ本体の場合には、有底筒形状として軸方向一方の開口部を、例えば前記第一の実施形態と同様に蓋体で封止しても良いが、例えば図10(a),(b)に示されているように、有底筒形状のパッケージ本体80,82の開口部(開封口16)に対して嵌め入れられる嵌合部84を備えた嵌着蓋体86,88を採用しても良い。
【0063】
また、図11に示されているように、有底円筒形状のパッケージ本体90における開口部(開封口16)の外周面に被せられて封止する外挿蓋体92を採用しても良い。なお、外挿蓋体92は、パッケージ本体90の開口部外周面に対して、必要に応じて溶着や接着、螺着等によって固定され得る。
【0064】
その他、一々列挙はしないが、本発明には、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得る。例えば、コンタクトレンズ24を丸めた湾曲変形状態に保持するために、筒状のフィルムに内挿する等して弾性による拡開を阻止せしめた状態で、前記実施形態の如き各種のパッケージ本体に収容することも可能である。
【0065】
また、図5に示されたコンタクトレンズパッケージ40において、第一のパッケージシート44に対して凹形状のレンズ収容部を形成して、そこに丸めて湾曲変形状態としたコンタクトレンズ24を収容し、第二のパッケージシート46をフラットな平面形状として、かかるレンズ収容部を流体密に覆蓋せしめても良い。なお、その場合には、第一のパッケージシート44として、硬質樹脂材料からなるブリスター構造体を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
10,30,34,40:コンタクトレンズパッケージ、16:開封口、22:保存液、24:コンタクトレンズ、32,38:位置決め突部(位置決め部)、42:パッケージ、54:開封口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズが保存液と共にパッケージに収容されたコンタクトレンズパッケージであって、
前記コンタクトレンズが巻かれて湾曲されることで径方向一方向における外形寸法が装用時の展張状態に比して小さくされた湾曲変形状態で収容されていることを特徴とするコンタクトレンズパッケージ。
【請求項2】
前記コンタクトレンズの前記パッケージへの当接力によって、該コンタクトレンズが前記湾曲変形状態に保持されている請求項1に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項3】
前記パッケージにおける前記コンタクトレンズの取出用の開封口が、該コンタクトレンズの外形寸法が小さくされた前記径方向一方向に対して直交するコンタクトレンズの径方向側に設けられている請求項1又は2に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項4】
前記パッケージが手指による押圧力で変形可能とされており、該パッケージを変形させることにより前記コンタクトレンズが押し出し変位せしめられる側に該コンタクトレンズの取出用の開封口が形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項5】
前記コンタクトレンズが一周に達せずに巻かれており、湾曲方向で両端部分が重ならない湾曲変形状態で収容されている請求項1〜4の何れか1項に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項6】
前記パッケージにおいて、前記コンタクトレンズの巻かれた周方向端部に対して係止力を及ぼして該コンタクトレンズの周方向変位を規制する位置決め部が設けられている請求項1〜5の何れか1項に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項7】
前記パッケージにおいて、前記コンタクトレンズを外部から視認可能とする透明な確認壁部が設けられている請求項1〜6の何れか1項に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項1】
コンタクトレンズが保存液と共にパッケージに収容されたコンタクトレンズパッケージであって、
前記コンタクトレンズが巻かれて湾曲されることで径方向一方向における外形寸法が装用時の展張状態に比して小さくされた湾曲変形状態で収容されていることを特徴とするコンタクトレンズパッケージ。
【請求項2】
前記コンタクトレンズの前記パッケージへの当接力によって、該コンタクトレンズが前記湾曲変形状態に保持されている請求項1に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項3】
前記パッケージにおける前記コンタクトレンズの取出用の開封口が、該コンタクトレンズの外形寸法が小さくされた前記径方向一方向に対して直交するコンタクトレンズの径方向側に設けられている請求項1又は2に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項4】
前記パッケージが手指による押圧力で変形可能とされており、該パッケージを変形させることにより前記コンタクトレンズが押し出し変位せしめられる側に該コンタクトレンズの取出用の開封口が形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項5】
前記コンタクトレンズが一周に達せずに巻かれており、湾曲方向で両端部分が重ならない湾曲変形状態で収容されている請求項1〜4の何れか1項に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項6】
前記パッケージにおいて、前記コンタクトレンズの巻かれた周方向端部に対して係止力を及ぼして該コンタクトレンズの周方向変位を規制する位置決め部が設けられている請求項1〜5の何れか1項に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項7】
前記パッケージにおいて、前記コンタクトレンズを外部から視認可能とする透明な確認壁部が設けられている請求項1〜6の何れか1項に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−213421(P2012−213421A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78962(P2011−78962)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】
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