説明

コンタクトレンズ保存ケース

【課題】コンタクトレンズを出し入れするに際してレンズ後面への指先の接触が軽減され得る、新規な構造のコンタクトレンズ保存ケースを提供すること。
【解決手段】支持プレート22のレンズ支持面42上に、一対のガイド部52,52を設けると共に、かかる一対のガイド部52,52の対向面に開口する一対のガイド溝54,54を設けることにより、コンタクトレンズ12を一対のガイド溝54,54に差し入れることで保持可能とし、且つレンズ支持面42上を滑動させ、一対のガイド溝54,54から抜き出し可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズをレンズ保存液へ浸漬させて保存するのに用いられるコンタクトレンズ保存ケースに係り、特に酸素透過性レンズなどのハードコンタクトレンズの保存に用いられるコンタクトレンズ保存ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズには、大別してハードタイプとソフトタイプとがある。ハードコンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズに比して乱視への対応が容易であったり、角膜障害の進行予防が可能であり、オルソケラトロジーにも適用できるなどといった特徴があり、従来からの使用者も多い。
【0003】
ところで、ハードコンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズに比して比較的長期間に亘る使用に対応することが出来る。それ故、コンタクトレンズ使用者は、就寝前に取り外して保存しておいたコンタクトレンズを起床後に装用することで、同じコンタクトレンズを繰り返して使用することとなる。
【0004】
そして、就寝時に取り外したコンタクトレンズは、コンタクトレンズ保存ケースに入れて保存される。その際、例えば特開2001−228号公報(特許文献1)に示されている如きレンズ保存液を収容するコンタクトレンズ保存ケースが用いられ、コンタクトレンズを滅菌状態に維持したり親水性を保持するために、コンタクトレンズがレンズ保存液への浸漬状態で保存される。また、レンズ保存液には酵素などの適当な添加物が含まれることがあり、それによって、例えば装用時に付着したタンパク質や脂質の除去等の処理も行われ得る。
【0005】
ところが、上記特許文献1に示されている従来構造のコンタクトレンズケースは、内周凹溝を有する先窄まりの円弧形状をもって軟質樹脂で形成されたチューリップと呼ばれるレンズ保持部を採用しており、内周凹溝に対してコンタクトレンズの外周縁部を半周以上の周方向長さで差し入れて保持するようになっている。そのために、レンズ保持部にコンタクトレンズを出し入れする際、コンタクトレンズを前後両面から指先で挟んで摘まみ、コンタクトレンズを指先で持ちつつレンズ保持部を押し広げて操作する必要がある。
【0006】
それ故、コンタクトレンズを出し入れする毎にコンタクトレンズの前後両面に対して指先が直接に触れることが避けられない。特に装用時に角膜に接するレンズ後面に対して指先が触れることで、指先の雑菌が装用前のコンタクトレンズの後面に付着してしまい、それが角膜炎症の原因になるおそれもあった。
【0007】
また、コンタクトレンズを出し入れするに際してコンタクトレンズを指先で持ちつつレンズ保持部を押し広げる操作には、慣れが必要とされて面倒であると共に、押し広げたレンズ保持部が弾性で復元する際にコンタクトレンズが弾かれて飛んでしまって紛失するおそれもあったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、コンタクトレンズを出し入れするに際してレンズ後面への指先の接触が軽減され得る、新規な構造のコンタクトレンズ保存ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様は、コンタクトレンズをレンズ保持部材で保持せしめた状態でレンズ保存液へ浸漬させて保存するコンタクトレンズ保存ケースであって、前記コンタクトレンズの後面が重ね合わされるレンズ支持面を備えた支持プレートにおいて、該レンズ支持面の両側に一対のガイド部が設けられていると共に、該一対のガイド部の各対向面に開口して延びる一対のガイド溝が形成されており、前記コンタクトレンズが該支持プレート上を滑動させられて径方向両側部分が該一対のガイド溝に差し入れられることにより該レンズ支持面上に該コンタクトレンズが保持可能とされて前記レンズ保持部材が構成されているコンタクトレンズ保存ケースを、特徴とする。
【0011】
本態様のコンタクトレンズ保存ケースでは、支持プレートの表面に沿って滑らせるようにコンタクトレンズを移動させて、コンタクトレンズの径方向両側部分を一対のガイド溝に対して出し入れすることにより、コンタクトレンズを支持状態に収納したり取り出したりすることができる。それ故、支持プレートの表面に後面(凹面)を重ね合わせて置かれたコンタクトレンズの前面(凸面)に指先を押し当てて移動させるだけで、コンタクトレンズを取り出すことが可能になり、コンタクトレンズの後面への指先の接触が軽減または回避されることで、角膜の炎症などの不具合の発生原因が効果的に抑えられ得る。
【0012】
また、一対のガイド部に形成された一対のガイド溝も、コンタクトレンズの出し入れに際して弾性変形して広がる必要がないことから、コンタクトレンズが弾き飛ばされるおそれがなく、安定して且つ容易にコンタクトレンズを取り出すことができるのである。
【0013】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコンタクトレンズ保存ケースであって、前記支持プレートにおいて、前記一対のガイド溝の長さ方向両側にそれぞれ前記コンタクトレンズの抜け出しを防止する抜止手段が設けられていると共に、該抜止手段の少なくとも一方が解除可能とされており、該抜止手段を解除した状態下で該コンタクトレンズを該一対のガイド溝の長さ方向に移動させて該一対のガイド溝から抜き出すことにより、該レンズ保持部材から該コンタクトレンズが取出可能とされているものである。
【0014】
本態様のコンタクトレンズ保存ケースでは、支持プレート上の所定位置に保持されたコンタクトレンズの予期しない抜け出しが、抜止手段によって防止されることで、支持プレートによるコンタクトレンズの支持状態の安定化が図られ得る。しかも、抜止手段が解除可能とされていることで、装用等に際してコンタクトレンズを意図的に取り出す際には、抜止手段で邪魔されることなくコンタクトレンズを取り出すことが出来る。
【0015】
本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係るコンタクトレンズ保存ケースであって、前記支持プレートの前記レンズ支持面上において、前記一対のガイド溝の延長方向に外れた位置で該支持プレートの表面から突出する抜止突起によって前記抜止手段が構成されていると共に、該抜止突起が変形により該支持プレートの表面からの突出を解除可能とされているものである。
【0016】
本態様のコンタクトレンズ保存ケースでは、変形によって突出が解除される抜止突起を採用したことにより、コンタクトレンズの抜け出しを阻止する抜止突起を、例えば手指で押圧変形させる等してコンタクトレンズを容易に取り出すことができる。また、抜止突起を突出状態と突出解除状態とに繰り返して容易に変更することも可能となる。
【0017】
本発明の第四の態様は、前記第三の態様に係るコンタクトレンズ保存ケースであって、前記支持プレートに形成された貫通窓内に舌片状に延び出す弾性片に対して突部が形成されることによって前記抜止突起が構成されており、該弾性片の弾性変形により該支持プレートの表面からの該突部の突出が解除可能とされているものである。
【0018】
本態様のコンタクトレンズ保存ケースでは、弾性片の弾性変形を巧く利用して、弾性変形により突部の突出を解除することで、抜止突起によるコンタクトレンズの抜け止めを解除してコンタクトレンズを取り出すことが許容され得る。また、コンタクトレンズを取り出した後は、弾性片の弾性により突部が突出して抜止突起の突出状態へ自動的に復帰されることから、毎々の抜止突起の復帰操作が不要となって操作も容易となる。
【0019】
本発明の第五の態様は、前記第三の態様に係るコンタクトレンズ保存ケースであって、前記支持プレートに形成された前記貫通窓内で該貫通窓の対向縁部間に亘って設けられ、該貫通窓の開口方向両側に択一的に屈曲変形されて突出せしめられるで屈曲板によって前記抜止突起が構成されているものである。
【0020】
本態様のコンタクトレンズ保存ケースでは、抜止突起を構成する屈曲板が、その屈曲変形に基づいて、支持プレートのレンズ支持面側における凸状態と凹状態とに選択的に変形保持され得る。それ故、コンタクトレンズを取り出す際に抜止突起が解除状態に安定して保持され得て、コンタクトレンズを一層容易に取り出すことが可能となる。
【0021】
本発明の第六の態様は、前記第二〜五の何れかの態様に係るコンタクトレンズ保存ケースであって、前記支持プレートに対して、前記一対のガイド溝を形成する前記一対のガイド部と前記抜止手段とが一体形成されているものである。
【0022】
本態様のコンタクトレンズ保存ケースでは、支持プレートの製造が容易となり、支持プレートの寸法精度の向上も図られ得る。なお、一対のガイド部や抜止手段が一体形成された支持プレートは、例えば合成樹脂材料による一体成形によって好適に実現され得る。
【0023】
本発明の第七の態様は、前記第一〜六の何れかの態様に係るコンタクトレンズ保存ケースであって、前記支持プレートにおいて、前記レンズ支持面から前記一対のガイド溝の長さ方向に外れた位置で、該一対のガイド溝から抜き出されて取り出されるコンタクトレンズの滑動面上に突出して該コンタクトレンズを該支持プレートの表面から浮き上がらせる持上突部が設けられているものである。
【0024】
本態様のコンタクトレンズ保存ケースでは、支持プレートの表面を滑らせて一対のガイド溝からコンタクトレンズを抜き出して取り出すに際し、コンタクトレンズが支持プレートの表面に対してレンズ保存液の表面張力等で付着することが効果的に解消され得る。それ故、コンタクトレンズの取り出しに際して、支持プレートの表面を滑らせるだけで、そこに設けられた持上突部により、特別な操作を必要とすくことなく、コンタクトレンズを支持プレートの表面から浮き上がらせて手指での摘み取り等で取り出し易い状態とすることができる。
【0025】
本発明の第八の態様は、前記第一〜七の何れかの態様に係るコンタクトレンズ保存ケースにおいて、前記レンズ保存液を収容する収容領域が上方に開口して形成されたケース本体と、該ケース本体の開口部を覆蓋する蓋体とを含んで構成されており、該ケース本体の該開口部から前記支持プレートが差し入れられて該開口部が該蓋体で覆蓋された状態下で、該支持プレートで保持された前記コンタクトレンズが該収容領域に収容された該レンズ保存液への浸漬状態に保持されるようになっているものである。
【0026】
本態様のコンタクトレンズ保存ケースでは、レンズ保存液を収容するケース本体に対して上方の開口部を通じて支持プレートを出し入れすることで、コンタクトレンズをレンズ保存液から取り出し又は浸漬することが容易となる。また、ケース本体の上方の開口部を覆体で覆蓋することにより、例えばレンズ保存液へのコンタクトレンズの浸漬状態を安定して維持することもできる。好適には、蓋体は、ケース本体の開口部を流体密に覆蓋して、レンズ保存液の漏れ出しを防止するようにされる。
【0027】
本発明の第九の態様は、前記第八の態様に係るコンタクトレンズ保存ケースにおいて、前記支持プレートおよび前記蓋体が別体とされていると共に、該支持プレートが前記レンズ保存液より比重が小さくされており、該蓋体を外した状態で該レンズ保存液の液面から該支持プレートの上端部分が浮上せしめられるようになっているものである。
【0028】
本態様のコンタクトレンズ保存ケースでは、支持プレートを保存ケースおよび蓋体の何れからも独立した状態で取り扱うことができるから、支持プレートの取り扱いが容易となる。例えば、支持プレートからコンタクトレンズを取り出す際、支持プレートを片手で持ったり、支持プレートを机上に載置したりすることも、容易に行うことが出来、コンタクトレンズの取り出し操作も容易となる。
【0029】
しかも、ケース本体に収容されたレンズ保存液の液面から支持プレートの上端部分が浮上されることから、支持プレートが蓋体から別体とされていても、ケース本体の開封状態で、支持プレートの上端を手指で摘んで容易に取り出すことが出来、取扱作業も良好とされる。
【0030】
本発明の第十の態様は、前記第一〜九の何れかの態様に係るコンタクトレンズ保存ケースであって、前記支持プレートにおいて、前記一対のガイド溝を形成する前記一対のガイド部が二つ並設されることにより、右用コンタクトレンズおよび左用コンタクトレンズが保持されるようになっているものである。
【0031】
本態様のコンタクトレンズでは、一つの支持プレートで左右のコンタクトレンズの両方を同時に支持せしめることが出来、左右のコンタクトレンズの保存ケースを全体としてコンパクトに構成することができる。なお、支持プレートにおける一対のガイド部は、支持プレートの一方の面に並んで形成されることにより支持プレートの同じ面に左右のコンタクトレンズのレンズ支持面が形成されていても良いし、支持プレートの両方の面に表裏で並んで形成されることにより支持プレートの互いに異なる面に左右のコンタクトレンズのレンズ支持面が形成されていても良い。
【発明の効果】
【0032】
本発明に従う構造とされたコンタクトレンズ保存ケースにおいては、支持プレートの表面を滑らせるようにしてコンタクトレンズを取り出すことが出来、角膜炎症等の原因の一つと推定されるレンズ後面への指先の接触の回避が図られ得ると共に、出し入れするコンタクトレンズがケース弾性等で弾き飛ばされる問題も効果的に防止され得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのコンタクトレンズ保存ケースの構成部品を示す斜視図。
【図2】図1に示したコンタクトレンズ保存ケースの正面図。
【図3】図2における右側面図。
【図4】図2におけるIV−IV断面図。
【図5】図2におけるV−V断面図。
【図6】図1に示したコンタクトレンズ保存ケースの支持プレートにおける抜止手段の作動を説明するための図4における要部拡大説明図。
【図7】図1に示されたコンタクトレンズ保存ケースにおけるコンタクトレンズの収容状態を示す縦断面図。
【図8】本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズ保存ケースの構成部品である支持プレートを示す斜視図。
【図9】本発明の第三の実施形態としてのコンタクトレンズ保存ケースの構成部品である支持プレートを示す斜視図。
【図10】図9に示された支持プレートにおける抜止手段の解除状態を示す斜視図。
【図11】本発明の第四の実施形態としてのコンタクトレンズ保存ケースの構成部品である支持プレートを示す斜視図。
【図12】図11に示された支持プレートにおける抜止手段の抜止作用状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。先ず、図1〜7には、本発明の第一の実施形態としてのコンタクトレンズ保存ケース10が示されている。このコンタクトレンズ保存ケース10は、コンタクトレンズ12をレンズ保存液14に浸漬せしめて収容するレンズ保存領域16を協働して形成するケース本体18および蓋体20と、かかるレンズ保存領域16に収容されてコンタクトレンズ12を保持するレンズ保持部材21とを含んで構成されている。本実施形態では、レンズ保持部材21は、後述するレンズ支持面42を備えた支持プレート22と、後述する一対のガイド部52,52及び一対のガイド溝54,54を有している。
【0035】
より詳細には、ケース本体18は、底壁24と周壁26とによって収容領域27が画成された中空のカップ形状とされている。そして、内部に形成された収容領域27が、ケース本体18の上端部に設けられた開口部28を通じて上方に開口されている。なお、収容領域27は、略一定の横断面形状をもって深さ方向に延びており、横断面の略全体が開口部28を通じて上方に開放されている。また、ケース本体18の底壁24の下面は、机等の水平面に載置できるように平面形状とされている。
【0036】
特に本実施形態では、ケース本体18の収容領域27が、所定の内法寸法で図2の左右幅方向に広がる扁平形状とされている。また、収容領域27の左右幅方向の中央には、ケース本体18の底壁24から開口部28に向かって立ち上がる仕切壁30が、開口部28に至らない高さで形成されている。そして、この仕切壁30を挟んだ収容領域27の左右両側が、左右各一方のコンタクトレンズ12の収容領域27a,27bとされている。
【0037】
また、ケース本体18には、上端部に対して蓋体20が取り外し可能に装着されるようになっている。かかる蓋体20は、中空の逆カップ形状とされており、ケース本体18と略同じ横断面形状の周壁32と上底壁34とによって、下方に向かって開口する浅底の内部空間が形成されている。
【0038】
そして、ケース本体18の開口部28に対して、蓋体20が被せられて、両方の開口部同士を合わせるようにして、ケース本体18の周壁26の上端部に対して蓋体20の周壁32の下端部を外嵌することで、固定的に組み付けられるようになっている。なお、ケース本体18の周壁26の上端部外周面と、蓋体20の周壁32の下端部内周面とには、それぞれ周方向に延びる嵌合凹凸36,38が形成されている。これら嵌合凹凸36,38の嵌合作用で、蓋体20のケース本体18への組付状態が安定して保持されるようになっている。
【0039】
また、ケース本体18と蓋体20の組付状態では、嵌合凹凸36,38の嵌合部分に流体密なシール性が付与されることが望ましい。具体的には、ケース本体18と蓋体20の弾性的な密着作用に基づいてシール性が実現されるようにケース本体18および蓋体20の材質を設定することも可能であり、また、ケース本体18と蓋体20の嵌合凹凸36,38の嵌合部位にOリングなどのシール部材を配設しても良い。
【0040】
すなわち、本実施形態では、ケース本体18に蓋体20を組み付けることにより、ケース本体18の開口部28が蓋体20で流体密に覆蓋されて、外部空間に対して実質的に密封状態とされたレンズ保存領域16が形成されるようになっている。
【0041】
さらに、このようにして形成されたレンズ保存領域16には、支持プレート22が収容配置されるようになっている。かかる支持プレート22は、レンズ保存領域16よりも一回り小さい外周形状を有する略平板形状とされている。特に本実施形態では、支持プレート22の高さ方向(図2中の上下方向)の寸法が、ケース本体18の収容領域27の深さ寸法より大きくされている。これにより、支持プレート22が収容領域27の底部に当接する状態で収容されていても、支持プレート22の上端部分が、ケース本体18の開口部28から上方に所定高さで突出されるようになっている。
【0042】
また、支持プレート22の幅方向中央には、下端縁部から上方に向かって所定長さで延びる切欠部40が形成されている。この切欠部40の長さ寸法は、ケース本体18の仕切壁30の高さ寸法より僅かに大きくされており、切欠部40に仕切壁30が差し入れられるようにして、支持プレート22が収容領域27に収容されるようになっている。
【0043】
換言すれば、支持プレート22は、下側部分が切欠部40で左右両側に分けられた分割構造とされている一方、上側部分が左右で連結された一体構造とされている。そして、左右に分割された下側部分には、支持プレート22の一方の表面(図3中の左側面)において、左右のコンタクトレンズ12,12を保持せしめる一対のレンズ支持面42,42が形成されている。
【0044】
各レンズ支持面42は、コンタクトレンズ12の平面形状よりも大きな領域に亘って略矩形状で広がる略平坦面とされており、コンタクトレンズ12が凹形後面をレンズ支持面42に向けて載置され得るようになっている。また、レンズ支持面42の略中央には、板厚方向に貫通する中央連通孔50が形成されており、この中央連通孔50を通じて、支持プレート22の表裏間でレンズ保存液14が流通可能とされている。
【0045】
さらに、レンズ支持面42の左右幅方向両側には、それぞれ、高さ方向に略平行に延びる一対のガイド部52,52が突出形成されている。一対のガイド部52,52の対向面間距離は、コンタクトレンズ12の外径寸法(DIA)よりも小さくされている。
【0046】
更にまた、一対のガイド部52,52の対向面には、それぞれ、高さ方向で直線的に延びて、各対向面に開口する一対のガイド溝54,54が形成されている。そして、コンタクトレンズ12の径方向一方向の両側部分が、かかる一対のガイド溝54,54に差し入れられることにより、レンズ支持面42上での離隔変位が阻止されてコンタクトレンズ12がレンズ支持面42への載置状態で保持されるようになっている。
【0047】
なお、本実施形態では、レンズ支持面42における幅方向両側部分のガイド溝54,54の形成部位にも、支持プレート22を板厚方向に貫通する両側連通孔56,56が形成されている。これにより、ガイド溝54が、支持プレート22の裏側に開放されていると共に、ガイド部52,52が対向方向に向かって突出する庇形状とされている。
【0048】
また、一対のガイド部52,52の長さ方向一方の側である下側端部では、一対のガイド溝54,54の開口が封止されており、袋状の行き止まり構造とされている。加えて、レンズ支持面42の下端縁部には、一対のガイド部52,52の対向面間において、レンズ支持面42上に突出する抜止手段としての抜止壁60が設けられている。そして、一対のガイド部52,52に差し入れられてレンズ支持面42上に保持されたコンタクトレンズ12が、レンズ支持面42から下方に抜け出すことが、これらガイド溝54,54の下端行き止まり構造と抜止壁60とによって阻止されるようになっている。
【0049】
これにより、支持プレート22において左右に連結された一体構造の上側部分には、一対のレンズ支持面42,42の上方に位置して一対のレンズ滑動面としての一対のレンズ案内面62,62が形成されている。そして、かかるレンズ案内面62に重ね合わされたコンタクトレンズ12が、レンズ案内面62に沿ってレンズ支持面42に向けて下方に滑動されることにより、コンタクトレンズ12の径方向左右両側部分が一対のガイド溝54,54に差し入れられてレンズ支持面42に載置された保持状態とされるようになっている。また一方、かかる保持状態にあるコンタクトレンズ12が、レンズ支持面42からレンズ案内面62に向かって上方に滑動されることにより、コンタクトレンズ12の左右両側部分を一対のガイド溝54,54から抜け出させてレンズ案内面62上に移動させて取り出すことができるようになっている。
【0050】
さらに、支持プレート22における各レンズ案内面62には、中央部分に位置して支持プレート22を板厚方向に貫通する貫通窓64が形成されている。本実施形態では、かかる貫通窓64が上下方向に長い矩形状とされており、この貫通窓64内に抜止突起66が設けられている。そして、この抜止突起66により、一対のガイド部52,52の長さ方向他方の側である上側において、一対のガイド部52,52からのコンタクトレンズ12の上方への抜け出しを解除可能に阻止する抜止手段が構成されている。
【0051】
かかる抜止突起66は、貫通窓64内で上下の対向縁部間に亘って設けられた屈曲板で構成されている。抜止突起66は、上下の長さ方向中間部分が薄肉で屈曲可能とされた中央屈曲部68とされており、平板形状の展開状態における上下の長さ方向寸法が貫通窓64の上下の対向縁部間の対向間距離よりも大きくされている。そして、抜止突起66は、中央屈曲部68で屈曲された山形又は谷形の状態で、その長さ方向両端部が貫通窓64の上下の対向縁部に対してそれぞれ連結されている。また、貫通窓64の上下の対向縁部に対する抜止突起66の連結部が、何れも薄肉で屈曲可能とされた端部屈曲部70,72とされている。
【0052】
これにより、抜止突起66は、中央屈曲部68および端部屈曲部70,72における屈曲方向を反転させることにより、支持プレート22においてレンズ支持面42が設けられた表面側に山形で突出する突出状態と、レンズ支持面42とは反対の裏面側に山形で突出して表面側では凹形となって突出しない突出解除状態とに、択一的に変形可能とされている。なお、抜止突起66を突出状態と突出解除状態との間で変形させるには、指先で抜止突起66の突出側の頂点付近(中央屈曲部68付近)を押圧することによって行うことが出来る。
【0053】
そして、支持プレート22のレンズ案内面62上に抜止突起66が突出状態とされることにより、レンズ支持面42上に保持されたコンタクトレンズ12を上方に移動させて一対のガイド溝54,54から抜き出そうとした際、コンタクトレンズ12が抜止突起66に当接して一対のガイド溝54,54からの抜け出しが阻止されて、保持状態に維持され得るようになっている。一方、抜止突起66を反転変形させて、レンズ案内面62上への突出を解除することにより、コンタクトレンズ12は、抜止突起66で阻止されることなく、一対のガイド溝54,54の長さ方向の移動が許容されて、レンズ支持面42上の一対のガイド溝54,54からのコンタクトレンズ12の取り出しが可能とされる。
【0054】
また、レンズ案内面62には、貫通窓64を挟んだ左右両側に位置して、一対の持上突部74,74が形成されている。かかる持上突部74,74は、貫通窓64の左右両側で、コンタクトレンズ12をレンズ支持面42に対して出し入れするに際して、レンズ案内面62を移動させられるコンタクトレンズ12の移動方向となる上下方向に延びる一対の突条形態を呈している。特にレンズ案内面62からの持上突部74の突出高さが、レンズ支持面42側の下端部から上方に向かって次第に大きくされており、持上突部74の突出先端面が傾斜面とされている。
【0055】
これにより、コンタクトレンズ12を一対のガイド溝54,54から取り出す際、レンズ支持面42からレンズ案内面62を滑動して、支持プレート22の上方に向かって移動させられるコンタクトレンズ12が、一対の持上突部74,74の突出先端面上を滑動することで、支持プレート22の表面から次第に浮き上がるようにして離隔せしめられるようになっている。このようにして、コンタクトレンズ12が、支持プレート22の表面から浮き上がることで、コンタクトレンズ12と支持プレート22との間の表面張力等による張り付きが解消されると共に、手指で摘まみ取り易くなり、コンタクトレンズ12の取り出しが容易とされる。
【0056】
また、支持プレート22は、左右両眼用のコンタクトレンズ12,12を、左右一対のレンズ支持面42,42に載置せしめた状態で保持することが出来る。そして、図7に示されているように、ケース本体18の収容領域27に所定のレンズ保存液14を注入して収容せしめた状態下、かかる支持プレート22を、ケース本体18の開口部28から収容領域27に差し入れることで、左右のコンタクトレンズ12,12を、一対のレンズ支持面42,42で保持せしめたままレンズ保存液14に浸漬することが出来るようになっている。
【0057】
さらに、レンズ保存液14と支持プレート22を収容せしめたケース本体18には、蓋体20が装着されて、開口部28が覆蓋されることにより、外部空間から密閉されてコンタクトレンズ12,12を収容保存するレンズ保存領域16が形成されるようになっている。
【0058】
なお、支持プレート22は、全体としてレンズ保存液14よりも比重が小さい材質で形成されていることが望ましい。これにより、蓋体20を開封した状態で、その浮力によって支持プレート22の全体が底壁24から上方に浮き上がって、レンズ保存液14の液面から上方に充分に突出せしめられるようにされる。その結果、ケース本体18の開口部28から突出した支持プレート22の上端部を手指で摘んでケース本体18から抜き取り易くされ得る。なお、支持プレート22の材質としては、ポリプロピレンやABS等の合成樹脂材料が好適に採用されうる。
【0059】
本実施形態のコンタクトレンズ保存ケース10においては、支持プレート22にレンズ後面を重ね合わせて平置状に載置されてコンタクトレンズ12が保持される。そして、かかるコンタクトレンズ12を取り出すには、コンタクトレンズ12のレンズ前面(凸面)に例えば人差指の指先を押し当てて、支持プレート22の表面に沿ってレンズ支持面42からレンズ案内面62に向かって移動させて一対のガイド溝54,54を外れた位置にまで導くだけで良い。レンズ案内面62上に移動させたコンタクトレンズ12は、押し当てた人差指の側方から親指を近づけて、それら二本の指先でレンズ前面(凸面)側だけを摘まむことにより、支持プレート22からコンタクトレンズ12だけを取り出すことが出来る。それ故、コンタクトレンズ12のレンズ後面への指先の接触が効果的に回避され得て、角膜の炎症などの不具合の発生原因も効果的に抑えられることとなる。
【0060】
また、このように指先で抑えたコンタクトレンズ12を支持プレート22上で移動させてから、支持プレート22上で摘まみ上げる操作でコンタクトレンズ12を取り出すことが出来ることから、従来構造のコンタクトレンズ保存ケースのように弾性でコンタクトレンズ12が弾かれてしまう問題も完全に回避されうる。
【0061】
特に本実施形態のコンタクトレンズ保存ケース10では、コンタクトレンズ12を取り出すに際して、コンタクトレンズ12をレンズ案内面62上に移動させるのに伴って、一対の持上突部74,74でコンタクトレンズ12がレンズ案内面62から離れて持ち上げられることから、コンタクトレンズ12の取り出し操作が一層容易となる。
【0062】
また、本実施形態のコンタクトレンズ保存ケース10では、レンズ支持面42上に保持されたコンタクトレンズ12に対して拘束力が常時作用することなく、一対のガイド溝54,54や抜止突起66、抜止壁60により、コンタクトレンズ12の移動端が制限されているだけである。それ故、コンタクトレンズ12が、強制的に変形させられた状態で保存されることなく、自由状態でレンズ保存液14中に浸漬されて保存されることから、コンタクトレンズ12における歪み等の発生も可及的に軽減され得る。
【0063】
更に、本実施形態において、支持プレート22上における、一対のレンズ支持面42,42、ガイド部52,52、レンズ案内面62,62及び持上突部74,74、更に抜止壁60や抜止突起66等の抜止手段は、全て一体成形により形成されている。それにより、例えば、レンズ支持面42からレンズ案内面62に亘るコンタクトレンズ12の出し入れ経路を段差等のない平滑な面で形成して、一対のガイド溝54,54からのコンタクトレンズ12の出し入れの際等において、コンタクトレンズ12が支持プレート22に引っ掛かるおそれを低減することが出来る。また、支持プレート22は一体成形により形成されるため、容易に製造することが可能となる。
【0064】
以上、本発明の第一の実施形態について詳述してきたが、本発明は、かかる実施形態の構造や具体的説明によって限定的に解釈されるものでない。例えば、図8には、本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズ保存ケースを構成する支持プレート80が示されている。なお、本実施形態では、ケース本体および蓋体として、第一の実施形態と実質的に同じものが採用可能であることから、それらの図示および説明を省略すると共に、図8中、第一の実施形態と同様な構造とされた部位についても、第一の実施形態と同じ符号を付することにより、詳細な説明を省略する。
【0065】
すなわち、図8に示された支持プレート80では、ガイド溝54,54からの上方へのコンタクトレンズ12の抜け出しを阻止する解除可能な抜止手段として、第一の実施形態における抜止突起66に代えて、弾性突起82が採用されている。また、コンタクトレンズ12を取り出すに際して、レンズ案内面62上を移動せしめられるコンタクトレンズ12をレンズ案内面62から離隔させて浮き上がらせる持上突部として、第一の実施形態における一対の持上突部74,74に代えて、持上突部84が採用されている。なお、本実施形態の支持プレート80を収容するケース本体としては、仕切壁30を有さない構造が採用される。
【0066】
より詳細には、弾性突起82は、レンズ支持面42からレンズ案内面62にまで上方に延び出して形成された貫通窓64において、レンズ案内面62側の上端縁部から下方に向かって貫通窓64内に延び出した舌片状の弾性片86を備えている。なお、この弾性片86は、支持プレート80に一体形成されており、支持プレート80を形成する樹脂板の弾性に基づいて板厚方向両側に所定量だけ弾性変形可能とされている。
【0067】
さらに、弾性片86には、延出方向の先端部分において、レンズ案内面62側に突出する抜止突起88が設けられている。そして、弾性片86の非変形状態下において、抜止突起88が、レンズ支持面42およびレンズ案内面62に対して所定高さで突出していることにより、レンズ支持面42上に保持されたコンタクトレンズ12が一対のガイド溝54,54に沿って上方に移動した際、その移動端が抜止突起88への当接で制限されることで、コンタクトレンズ12の抜け出しが阻止されるようになっている。
【0068】
一方、コンタクトレンズ12を取り出すに際しては、例えば抜止突起88の頂部付近を手指等で押圧せしめて弾性片86を、支持プレート80の裏面側に向けて弾性変形させることにより、抜止突起88のレンズ案内面62からの突出を解消させてコンタクトレンズ12の抜け出し方向への移動を許容することができる。特に本実施形態では、抜止突起88の突出先端面が、コンタクトレンズ12の移動方向となる支持プレート80の上下方向両側に向かって次第に低くなる山形状とされている。それ故、コンタクトレンズ12の前面(凸面)に手指を重ねて押し付けつつ、出入方向に移動させることにより、かかる押し付け力で抜止突起88を押圧して弾性片86を弾性変形させて、そのまま抜止突起88を乗り越えさせるようにしてコンタクトレンズ12を出し入れすることも可能となっている。
【0069】
このような弾性変形により解除が可能な弾性片86および抜止突起88からなる抜止手段を採用することにより、第一の実施形態の抜止突起66のように突出方向を毎々手動で反転させて突出と解除を行う必要もなく、操作の簡便化が図られる。
【0070】
また、本実施形態の持上突部84は、レンズ案内面62上で、コンタクトレンズ12の出入れに際しての滑動方向となる支持プレート80の上下方向に対して直交して、左右方向に延びる突条によって構成されている。なお、持上突部84の長さ寸法は、コンタクトレンズ12の外径(DIA)よりも大きくされており、コンタクトレンズ12を取り出す際に、コンタクトレンズ12の全体が持上突部84に乗り上げて乗り越えるだけの長さ寸法とされている。
【0071】
このような持上突部84を採用することにより、レンズ案内面62を取出方向に滑動されるコンタクトレンズ12を、持上突部84に乗り上げさせてレンズ案内面62から離隔させることができる。特に本実施形態では、コンタクトレンズ12を持上突部84に乗り上げさせることにより、コンタクトレンズ12の前面を二本の指先で摘まみ取ることが一層容易となる。
【0072】
また、第一及び第二の実施形態では、一対のコンタクトレンズ12,12を保持せしめる一対のレンズ支持面42,42及びガイド部52,52が支持プレート22,80の一方の面上で左右平行に設けられていたが、例えば支持プレートの表裏各一方の面に対して一対のレンズ支持面42,42及びガイド部52,52を各別に形成して、支持プレートの表裏両方の面上で一対のレンズ支持面42,42及びガイド部52,52を平行に形成することも可能である。上述のように、一対のレンズ支持面42,42及びガイド部52,52を左右或いは表裏で並設することにより、支持プレート22,80、ひいてはコンタクトレンズ保存ケース10の小型化の効果が期待される。特に、一対のコンタクトレンズ12,12を表裏で保持し、第二の実施形態のような抜止手段を用いる場合には、一つの弾性片86の表裏両側に抜止突起88を設けることで、同様の効果が得られ、支持プレートの構造をより簡単にすることが出来る。
【0073】
更に、第一及び第二の実施形態には明示されていないが、支持プレート22,80において一つのコンタクトレンズ12だけを保持可能に構成することも可能であり、その場合には、ケース本体および蓋体も、右眼コンタクトレンズの保存ケースと左眼コンタクトレンズの保存ケースとを各別に構成することができる。
【0074】
具体的には、例えば図9〜10に記載の第三の実施形態としてのレンズ保持部材21を構成する支持プレート90のように、支持プレート90の幅方向中央に一つのレンズ支持面42が形成される。そして、第一の実施形態と同様に、レンズ支持面42の幅方向両側には一対のガイド部52,52が形成されており、レンズ支持面42に載置されたコンタクトレンズ12の径方向両側部分が差し入れられる一対のガイド溝54,54が形成されている。なお、本実施形態では、レンズ支持面42においてレンズ出入方向に延びる一対の平行な突条部92,92が形成されており、これら突条部92,92の突出先端面にコンタクトレンズ12が載置されて支持されることにより、滑動時の摩擦抵抗の低減等が図られている。
【0075】
また、本実施形態では、コンタクトレンズ12のガイド溝54,54から上方への抜け出しを阻止してコンタクトレンズ12を安定して保持するための抜止手段として、スライド突起94が採用されている。このスライド突起94は、プレート形状を有しており、レンズ案内面62に突出形成された一対の持上突部74,74の間に位置して、レンズ案内面62に載置されている。更に、レンズ案内面62には、上下方向に延びる案内孔96,96が形成されていると共に、案内孔96,96の内面には、長さ方向中間部分に、節度用突起97,97が形成されている。一方、スライド突起94には、レンズ案内面62側に突出する係合脚部98,98が一体形成されている。そして、スライド突起94の係合脚部98,98が、支持プレート90の案内孔96,96に差し入れられることにより、案内孔96,96による係合脚部98,98への案内作用が発揮されて、スライド突起94が、一対の持上突部74,74間で、レンズ案内面62上をコンタクトレンズ12の出し入れ方向に所定距離だけスライド変位可能とされている。また、スライド突起94が変位する際に、スライド突起94の係合脚部98,98が、節度用突起97,97を乗り越えるようにすることにより、スライド変位の節度感が保たれる。
【0076】
而して、スライド突起94が、レンズ支持面42側の移動端(下端)に位置せしめられることにより、コンタクトレンズ12における一対のガイド溝54,54からの上方への抜け出しを、該スライド突起94へのコンタクトレンズ12の当接作用によって阻止し得るようになっている。一方、スライド突起94を、レンズ支持面42と反対側の移動端(上端)に移動させて位置せしめることにより、コンタクトレンズ12の抜止機能が解除されて、コンタクトレンズ12を一対のガイド溝54,54から上方に抜き出して取り出すことができるようになっている。また、節度用突起97,97により、予期しない抜止機能の解除を防ぐことができるようになっている。
【0077】
特に本実施形態では、一対の持上突部74,74の長さ方向における突出高さの変化量が、持上突部74の長さ方向中間部分で異ならされており、レンズ支持面42に近い部分では傾斜角度の大きいスロープが形成されていると共に、レンズ支持面42から離れた部分では傾斜角度の小さい凸状部とされている。そして、スライド突起94の厚さ寸法(レンズ支持面42からの突出高さ)が、かかる持上突部74における凸状部の突出高さ以下に設定されている。これにより、スライド突起94を上端に移動させた状態では、側方視において一対の持上突部74,74間にスライド突起94が隠れることとなり、一対の持上突部74,74の突出先端面に沿って案内されるコンタクトレンズ12の取り出し操作に対してスライド突起94が支障ないようにされている。
【0078】
また、本発明に係る支持プレートでは、コンタクトレンズ12をレンズ支持面42上に保持するための抜止手段として、第三の実施形態におけるスライド突起94に代えて、例えば図11〜12に記載の第四の実施形態に示されている如き係脱突起99を採用することも可能である。なお、第四の実施形態では、第三の実施形態と同様な構造とされた部材および部位について、図中に第三の実施形態と同じ符号を付することで詳細な説明を省略する。
【0079】
すなわち、第四の実施形態の支持プレート100には、レンズ案内面62における一対の持上突部74,74の間に位置して係止孔102が形成されている。また、支持プレート100の上側端縁部には、屈曲変形可能とされたヒンジ連結部104を介して、プレート状の係脱突起99が外方に延び出して一体的に形成されている。この係脱突起99には、延出方向の先端部分に係止爪を備えた係止突部106が一体形成されている。
【0080】
そして、図12に示されているように、ヒンジ連結部104で折り曲げ変形されて、係脱突起99が折り返されることにより、支持プレート100の裏面側から係止孔102に臨むようにして係脱突起99が変形位置せしめられる。これにより、係脱突起99の一部が係止孔102に入り込むと共に、係止孔102におけるレンズ支持面42側の端縁部に対して係止突部106の係止爪が係止されて、係止突部106が、支持プレート100のレンズ案内面62上に所定高さで突出した状態に保持されるようになっている。
【0081】
かかる状態下において、コンタクトレンズ12における一対のガイド溝54,54からの上方への抜け出しを、該係脱突起99における係止突部106へのコンタクトレンズ12の当接作用によって阻止し得るようになっている。一方、係止孔102の端縁部に対する係止突部106の係止爪の係止を解除して、係脱突起99を係止孔102から支持プレート100の裏面側に移動させることにより、コンタクトレンズ12の抜止機能が解除されて、コンタクトレンズ12を一対のガイド溝54,54から上方に抜き出して取り出すことができるようになっている。
【0082】
さらに、前記第一及び第二の実施形態では、ケース本体18中央の仕切壁30の高さ寸法よりも、レンズ保存液14の深さ寸法が大きくされて、仕切壁30がレンズ保存液14中に液没されており、左右のコンタクトレンズ12,12の収容領域27でレンズ保存液14が流動可能に連通状態とされていたが、左右の収容領域27a,27bを相互に独立形成して、相互間でのレンズ保存液14の相互流動を阻止した構造も採用可能である。これにより、例えば一方の収容領域27a(27b)から他方の収容領域27b(27a)への雑菌などの移動を阻止することも可能となる。なお、左右のコンタクトレンズ12,12の収容領域27を独立させる場合には、支持プレート22,80も、左右のコンタクトレンズ12,12用に分割構造とすることも可能である。
【0083】
また、前記第一及び第二の実施形態では、支持プレート22,80と蓋体20は別体とされていたが、支持プレート22,80は、その上端部において蓋体20に固着されていても良く、例えば蓋体20と支持プレート22,80が一体形成されていても良い。
【0084】
更にまた、支持プレート22,80の具体的形状や大きさなどは限定されるものでなく、例えば前記実施形態で示されている中央連通孔50や両側連通孔56,56などは、本発明において必須のものでない。
【0085】
また、本発明はコンタクトレンズ保存ケース10に係る発明であるが、単にコンタクトレンズ12を保存するだけでなく、レンズ保存液14に適当な薬剤を添加等することにより、コンタクトレンズ12の保存中に殺菌処理や脱タンパク,脱脂質の処理などを行うための多目的なケースとして利用することが可能である。
【0086】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0087】
10:コンタクトレンズ保存ケース、12:コンタクトレンズ、14:レンズ保存液、18:ケース本体、20:蓋体、21:レンズ保持部材、22,80,90,100:支持プレート、27a,27b:収容領域、28:開口部、42:レンズ支持面、52:ガイド部、54:ガイド溝、64:貫通窓、66,88:抜止突起、74,84:持上突部、86:弾性片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズをレンズ保持部材で保持せしめた状態でレンズ保存液へ浸漬させて保存するコンタクトレンズ保存ケースであって、
前記コンタクトレンズの後面が重ね合わされるレンズ支持面を備えた支持プレートにおいて、該レンズ支持面の両側に一対のガイド部が設けられていると共に、該一対のガイド部の各対向面に開口して延びる一対のガイド溝が形成されており、前記コンタクトレンズが該支持プレート上を滑動させられて径方向両側部分が該一対のガイド溝に差し入れられることにより該レンズ支持面上に該コンタクトレンズが保持可能とされて前記レンズ保持部材が構成されていることを特徴とするコンタクトレンズ保存ケース。
【請求項2】
前記支持プレートにおいて、前記一対のガイド溝の長さ方向両側にそれぞれ前記コンタクトレンズの抜け出しを防止する抜止手段が設けられていると共に、該抜止手段の少なくとも一方が解除可能とされており、該抜止手段を解除した状態下で該コンタクトレンズを該一対のガイド溝の長さ方向に移動させて該一対のガイド溝から抜き出すことにより、該レンズ保持部材から該コンタクトレンズが取出可能とされている請求項1に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
【請求項3】
前記支持プレートの前記レンズ支持面上において、前記一対のガイド溝の延長方向に外れた位置で該支持プレートの表面から突出する抜止突起によって前記抜止手段が構成されていると共に、該抜止突起が変形により該支持プレートの表面からの突出を解除可能とされている請求項2に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
【請求項4】
前記支持プレートに形成された貫通窓内に舌片状に延び出す弾性片に対して突部が形成されることによって前記抜止突起が構成されており、該弾性片の弾性変形により該支持プレートの表面からの該突部の突出が解除可能とされている請求項3に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
【請求項5】
前記支持プレートに形成された前記貫通窓内で該貫通窓の対向縁部間に亘って設けられ、該貫通窓の開口方向両側に択一的に屈曲変形されて突出せしめられる屈曲板によって前記抜止突起が構成されている請求項3に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
【請求項6】
前記支持プレートに対して、前記一対のガイド溝を形成する前記一対のガイド部と前記抜止手段とが一体形成されている請求項2〜5の何れか1項に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
【請求項7】
前記支持プレートにおいて、前記レンズ支持面から前記一対のガイド溝の長さ方向に外れた位置で、該一対のガイド溝から抜き出されて取り出されるコンタクトレンズの滑動面上に突出して該コンタクトレンズを該支持プレートの表面から浮き上がらせる持上突部が設けられている請求項1〜6の何れか1項に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
【請求項8】
前記レンズ保存液を収容する収容領域が上方に開口して形成されたケース本体と、該ケース本体の開口部を覆蓋する蓋体とを含んで構成されており、該ケース本体の該開口部から前記支持プレートが差し入れられて該開口部が該蓋体で覆蓋された状態下で、該支持プレートで保持された前記コンタクトレンズが該収容領域に収容された該レンズ保存液への浸漬状態に保持されるようになっている請求項1〜7の何れか1項に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
【請求項9】
前記支持プレートおよび前記蓋体が別体とされていると共に、該支持プレートが前記レンズ保存液より比重が小さくされており、該蓋体を外した状態で該レンズ保存液の液面から該支持プレートの上端部分が浮上せしめられるようになっている請求項8に記載のコンタクトレンズ保存ケース。
【請求項10】
前記支持プレートにおいて、前記一対のガイド溝を形成する前記一対のガイド部が二つ並設されることにより、右用コンタクトレンズおよび左用コンタクトレンズが保持されるようになっている請求項1〜9の何れか1項に記載のコンタクトレンズ保存ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−78437(P2013−78437A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219480(P2011−219480)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】