説明

コンタクトレンズ洗浄装置

【課題】 コンタクトレンズの表面及び内部に付着した有機物及び雑菌を除去することができる小型のコンタクトレンズ洗浄装置を提供する。
【解決手段】 コンタクトレンズ収納容器7内に、コンタクトレンズ5を保持するコンタクトレンズホルダ4と、コンタクトレンズ5の両側から電界を印加する1対のダイヤモンド化学電極2a及び2bとを設け、この1対のダイヤモンド化学電極2a及び2bを夫々電源部6に接続する。また、収納容器1の上部には、処理中に発生したガスを外部に放出するためのガス放出孔8を設ける。そして、レンズホルダ4によりコンタクトレンズ5を保持した状態で、ダイヤモンド化学電極2a及び2bの間にコンタクトレンズ5を配置し、収納容器1内に処理溶液3を入れた後、電源部6によりダイヤモンド化学電極2a及び2b間に直流又は交流電圧を印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズに付着した有機物及び雑菌を除去するコンタクトレンズ洗浄装置に関し、特に、ダイヤモンド電極を使用したコンタクトレンズ洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、眼鏡に代わってコンタクトレンズが普及しているが、コンタクトレンズは長時間眼球に直接接触させるため、日常的な洗浄及び殺菌・滅菌処理が必要である。このため、従来、種々のタイプのコンタクトレンズ洗浄装置が開発されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。例えば、特許文献1には、煮沸洗浄用のコンタクトレンズ洗浄装置が開示されている。また、特許文献2及び3には超音波を利用したコンタクトレンズ洗浄装置が開示されている。この特許文献2に記載のコンタクトレンズ洗浄装置は、超音波振動子によって洗浄漕内の洗浄液に超音波振動を与えることにより、コンタクトレンズに付着した有機質汚れ及び雑菌を除去している。一方、特許文献3に記載のコンタクトレンズ洗浄装置は、傷付及び紛失を防止するため、2枚の軟質フォーム洗浄体の間にコンタクトレンズを収納し、この軟質フォーム洗浄体の少なくとも一方を電気機械的に振動させることにより、洗浄及びすすぎ連続して行っている。
【0003】
更に、特許文献4に記載のコンタクトレンズ洗浄装置は、コンタクトレンズ収納容器内の溶液に電界を印加して電界水を発生させている。図3(a)は特許文献4に記載のコンタクトレンズ洗浄装置を示す斜視図であり、図3(b)は図3(a)に示すA−A線による断面図である。図3(a)及び図3(b)に示すように、特許文献4に記載のコンタクトレンズ洗浄装置11には、コンタクトレンズ15を保持するコンタクトレンズホルダ14と、コンタクトレンズ15の両側から電界を印加する1対の電極12a及び12bとが設けられており、電極12a及び12bは夫々電源部16の両極に接続されている。
【0004】
そして、洗浄を行う際は、コンタクトレンズホルダ14にコンタクトレンズ15を設置し、コンタクトレンズ収納容器17内に水等の処理溶液13を満たして蓋18をした後、電源部16により電極12a及び12b間に電圧を印加する。これにより、コンタクトレンズ15の付近に電界水が発生し、この電界水によりコンタクトレンズ15が洗浄される。電界水はクラスターが極めて小さいいため、付着物とレンズの間及び酸素透過性コンタクトレンズにおける酸素透過孔等に入り込みやすく、コンタクトレンズの細部まで洗浄することができる。
【0005】
【特許文献1】特開平4−138412号公報
【特許文献2】特開昭59−182418号公報
【特許文献3】特開平1−121818号公報
【特許文献4】特開平8−327955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の従来の技術には以下に示す問題点がある。一般ユーザー用のコンタクトレンズ洗浄装置として、旅行等にも携帯可能な小型の装置が求められているが、現在このような小型のコンタクトレンズ洗浄装置は、特許文献2及び3に記載されているような超音波を利用した装置が市販されているのみであり、洗浄力が十分ではないという問題点がある。
【0007】
具体的には、特許文献1に記載のコンタクトレンズ洗浄装置は、産業用の装置であり、一般ユーザー向けではない。また、特許文献2及び3に記載のコンタクトレンズ洗浄装置のように超音波を利用した装置には、コンタクトレンズの表面に付着した固形物質は除去できるが、コンタクトレンズ内部までは洗浄及び殺菌できないという問題点がある。更に、特許文献4に記載のコンタクトレンズ洗浄装置は、電界水のクラスターが極めて小さいことを利用しているにすぎず、電界水が単にコンタクトレンズ内を通過しただけでは内部の汚れを除去することはできないという問題点がある。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、コンタクトレンズの表面及び内部に付着した有機物及び雑菌を除去することができる小型のコンタクトレンズ洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンタクトレンズ洗浄装置は、コンタクトレンズを処理溶液に浸漬した状態で収納する収納容器と、前記収納容器内に配置された1対の電極と、前記1対の電極間に電圧を印加する電源と、を有し、前記1対の電極のうち少なくとも一方はダイヤモンド電極であることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、1対の電極の少なくとも一方をダイヤモンド電極としているため、処理溶液中に有機物を酸化分解するヒドロキシイオン(OH)が生成し、このヒドロキシイオン(OH)により、コンタクトレンズの表面、内部及び酸素・水透過孔等に付着した有機物の分解除去及び雑菌の滅菌・殺菌・分解等を行うことができる。また、このコンタクトレンズ洗浄装置は、電極間に印加する電圧が低く、乾電池等の小型電源で動作させることができるため、小型化することが可能である。
【0011】
前記1対の電極はいずれもダイヤモンド電極であってもよい。これにより、洗浄及び殺菌性能を向上させることができる。また、前記ダイヤモンド電極は、例えば、基材の表面に導電性ダイヤモンド層が形成されたものである。その場合、前記ダイヤモンド層にはホウ素(B)がドープされていてもよい。これにより、ダイヤモンド層に金属的又はp型半導体的な導電性を付与することができる。また、前記ダイヤモンド層の表面は、(111)結晶面により形成されていてもよく、その場合、前記(111)結晶面が面内で一方向に配列していることが好ましい。これにより、Bを高濃度でドープすることができる。又は、前記ダイヤモンド層の表面は、(111)単結晶により形成されていてもよい。これにより、ダイヤモンド層の表面に粒界が存在しなくなるため、粒界による電気抵抗がなくなり、電気損失を最小限に抑制することができる。
【0012】
また、このコンタクトレンズ洗浄装置は、前記1対の電極における前記コンタクトレンズが配置される側の表面が平面であり、前記1対の電極間に前記コンタクトレンズが配置されていてもよい。このように、例えば電極を平板状にすることにより、電極の製造が容易になる。又は、前記1対の電極における前記コンタクトレンズが配置される側の表面には、前記コンタクトレンズと曲率半径が等しい曲面が形成されており、この1対の電極及びコンタクトレンズは対向する面同士が相互に平行になるように配置することもできる。これにより、電極とコンタクトレンズとの距離が略一定になるため、より均一に洗浄及び殺菌することができる。更に、前記1対の電極は、水平方向に相互に対向するように配置されていてもよい。これにより、処理中にガスが発生した場合でも、容易に外部に放出することができる。
【0013】
更に、前記電極を、メッシュ構造又は複数の線状電極が相互に平行に配列されているリニアアレイ構造にしてもよい。これにより、処理中にガスが発生したとしても、そのガスが電極内を通過することができるため、容易に外部に放出することができる。更にまた、本発明のコンタクトレンズ洗浄装置は、前記1対の電極間に電圧を印加しても、前記ダイヤモンド電極の表面においてガスは生成しない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、1対の電極のうち少なくとも一方をダイヤモンド電極としているため、処理溶液中に有機物を酸化分解するヒドロキシイオンが生成し、このヒドロキシイオンによりコンタクトレンズに付着した有機物及び雑菌を除去することができる。また、電極間に印加する電圧が低いため、装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るコンタクトレンズ洗浄装置について、添付の図面を参照して具体的に説明する。本発明者等は、前述の課題を解決するために、鋭意実験研究を行った結果、処理溶液中で導電性ダイヤモンド薄膜を使用した化学電極(以下、ダイヤモンド化学電極という)に電圧を印加すると、処理溶液中に多量のヒドロキシイオン(OH)が発生して、コンタクトレンズ表面に付着した有機物の分解除去、コンタクトレンズの酸素・水透過孔、コンタクトレンズの表面及び内部に付着した雑菌の滅菌・殺菌・分解等の従来困難であった処理が可能になることを見出した。
【0016】
ダイヤモンドは、硬さ及び熱伝導率が物質中で最も高く、耐熱性が優れ、赤外から紫外領域まで光学的に透明であり、ホウ素(B)をドーピングすることによりp型半導体又は金属的導電性を示し、電子及び正孔の移動度が大きく、負の電子親和力により電子放出率が高い等の優れた特徴がある。
【0017】
また、ダイヤモンド膜は、マイクロプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法、熱フィラメントCVD法、高周波プラズマCVD法、アークジェットCVD法及び燃焼法等により形成することができ、これらの方法により形成されたダイヤモンド膜の形態には、多結晶膜、高配向膜及びヘテロエピタキシャル膜等がある。
【0018】
更に、通常のダイヤモンド膜は、配向がランダムなダイヤモンド粒子の集合体である多結晶膜であるが、基板に(111)結晶面をもつ単結晶白金(Pt)を使用すると、基板面に対して略平行に{111}結晶面が積層され、且つダイヤモンド膜表面が面内で一方向に配列した(111)結晶面をもつダイヤモンド融合膜を作製することができる。このダイヤモンド(111)結晶面はB原子を取り込みやすく、高濃度にBがドープされた低抵抗ダイヤモンド膜を合成することができる。
【0019】
このようなダイヤモンドの特性を利用したダイヤモンド化学電極としては、本発明者等により、ダイオキシン等の有害物質を分解する電気化学処理用電極が提案されている(特開2003−43876号公報及び特開2004−35908号公報参照)。
【0020】
以下、本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置について詳細に説明する。図1は本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置1は、コンタクトレンズ収納容器7内に、コンタクトレンズ5を保持するコンタクトレンズホルダ4と、コンタクトレンズ5の両側から電界を印加する1対のダイヤモンド化学電極2a及び2bとが設けられている。この1対のダイヤモンド化学電極2a及び2bは、夫々コントローラーを備えた電源部6に接続されている。また、収納容器1の上部には、処理中に発生したガスを外部に放出するためのガス放出孔8が設けられている。
【0021】
このコンタクトレンズ洗浄装置1におけるダイヤモンド化学電極2a及び2bは、例えばダイヤモンドにBが1×1019乃至1×1020cm−3程度ドープされた高濃度ドープダイヤモンド膜により形成されている。前述のように、高濃度ドープダイヤモンド膜は金属的導電性を示すため、高濃度ドープダイヤモンド膜によりダイヤモンド化学電極2a及び2bを形成することによって、発熱による電力損失を抑制することができる。その場合、ダイヤモンド化学電極2a及び2bを形成するダイヤモンド膜は、一般的な多結晶膜でもよいが、高濃度にBをドープするためには、ダイヤモンド膜の表面が(111)結晶面により構成されていることが望ましく、特に、この(111)結晶面が面内で一方向に配列したダイヤモンド膜、又は表面に粒界が存在しない(111)単結晶ダイヤモンド膜であることがより望ましい。ダイヤモンドの(111)結晶面はB原子を取り込みやすいため、表面が(111)結晶面により構成されているダイヤモンド膜は、より高濃度でBをドープすることが可能になる。更に、(111)結晶面が面内で一方向に配列したダイヤモンド膜及び(111)単結晶ダイヤモンド膜は、粒界に起因する電気抵抗が小さくなるため、電力損失を最小限に抑制することができる。特に(111)単結晶ダイヤモンド膜は、表面に粒界が存在しないため、電力損失を抑制する効果が高い。
【0022】
また、これらのダイヤモンド膜は、自立膜でもよいが、Nb及びSi等からなる基板上に形成されていてもよい。但し、Si基板上にダイヤモンド化学電極となるダイヤモンド膜を形成した場合は、Siが電極として作用することを防止するため、Si基板表面におけるダイヤモンド膜が形成されていない領域を樹脂で封止することが好ましい。
【0023】
更に、ダイヤモンド化学電極2a及び2bの形状は、特に限定されるものではないが、製造上の面からは平板状であることが好ましい。また、図1に示すように、ダイヤモンド化学電極2a及び2bをコンタクトレンズ5と同等の曲率で湾曲した形状にし、更に、これらの対向する面同士が相互に平行になるように配置すると、ダイヤモンド化学電極2a及び2bと、コンタクトレンズ5との距離が略一定になるため、より均一に洗浄及び殺菌することができる。なお、ダイヤモンド化学電極2a及び2bとコンタクトレンズ5との距離はできるだけ近い方が好ましく、具体的には、ダイヤモンド化学電極2a及び2bとコンタクトレンズ5との距離が5mm以下であることが好ましい。これにより、洗浄効率を向上させることができる。
【0024】
更に、ダイヤモンド化学電極2a及び2bを、メッシュ構造又は複数の線状電極が相互に平行に配列されているリニアアレイ構造にすると、電極の表面積が増大するため、洗浄及び殺菌効果をより向上させることができる。また、処理中に水が電気分解されて水素及び酸素等のガスが発生した場合でも、ダイヤモンド化学電極2a及び2bがリニアアレイ構造及びメッシュ構造の場合は、これらのガスがダイヤモンド化学電極2a及び2bを通過することができるため、ガス放出孔8を介して容易に処理容器1の外部に放出することができる。
【0025】
本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置1においては、ダイヤモンド化学電極2a及び2bを、図2に示す特許文献4に記載のコンタクトレンズ洗浄装置11のようにコンタクトレンズの上下に配置するのではなく、図1に示すように、コンタクトレンズ5の左右に配置している。即ち、ダイヤモンド化学電極2a及び2bは、水平方向に対向するように配置されている。このため、処理中にガスが発生したとしても、ガスはコンタクトレンズ5及びダイヤモンド化学電極2a及び2bにより遮られることなく、容易に外部に放出することができる。
【0026】
次に、上述の如く構成された本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置1の動作、即ち、コンタクトレンズ洗浄装置1によりコンタクトレンズ5を洗浄する方法について説明する。先ず、レンズホルダ4にコンタクトレンズ5を設置し、ダイヤモンド化学電極2aとダイヤモンド化学電極2bとの間にコンタクトレンズ5を配置する。次に、収納容器1内を、一般的なコンタクトレンズ洗浄液、生理食塩水、NaSO水溶液、KSO水溶液、NaNO水溶液及びKNO水溶液等の処理溶液3で満たし、ダイヤモンド化学電極2a及び2b並びにコンタクトレンズ5をこの処理溶液3に浸漬する。そして、電源部6により、ダイヤモンド化学電極2a及び2b間に、夫々、例えば3V程度の直流又は交流電圧を印加する。
【0027】
一般に、ダイヤモンド化学電極は過電圧が高いため、水の電気分解が起こりにくく、酸素、水素及び塩素等のガスが発生しにくい。これらのガスは処理容器7外に排出しなければならないため、できるだけ発生しないことが好ましい。図2(a)は横軸に電位をとり、縦軸に電流密度をとって、ダイヤモンド電極のサイクリックボルタンメトリー測定結果を示すグラフ図であり、図2(b)は横軸に電位をとり、縦軸に電流密度をとって、白金電極のサイクリックボルタンメトリー測定結果を示すグラフ図である。図2(b)に示すように、白金電極を使用した場合、1対の電極間に2V程度の電圧を印加すると酸素ガス(O)及び水素ガス(H)が発生するが、図2(a)に示すように、ダイヤモンド化学電極を使用すると、1対の電極間に5V程度の電圧を印加しないと酸素ガス及び水素ガスは発生しない。このように、本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置1においては、酸素、水素及び塩素等のガスを発生させることなく、ダイヤモンド化学電極2a及び2b間に2V以上の電圧を印加することができるため、処理溶液3中により多くのヒドロキシイオン(OH)を生成させることができる。
【0028】
ヒドロキシイオン(OH)は、処理溶液3中の水が電離することにより生成するが、従来のコンタクトレンズ洗浄装置ように、白金等の金属材料からなる電極を使用すると、ヒドロキシイオン(OH)は陽極で還元されてOが発生する。このため、処理溶液中にはヒドロキシイオン(OH)は殆ど存在しない。一方、本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置1においては、ダイヤモンド化学電極2a及び2bを使用しているため、陽極においてヒドロキシイオン(OH)が還元されにくく、処理溶液3中により多くのヒドロキシイオン(OH)が存在する。このヒドロキシイオン(OH)は有機物を酸化する効果があり、これにより、コンタクトレンズ5の表面、内部及び酸素・水透過孔等を洗浄及び殺菌することができる。
【0029】
図2に示す特許文献4に記載のコンタクトレンズ洗浄装置11の場合、クラスターが極めて小さい電界水がコンタクトレンズ内部に流入しているだけであるが、本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置1は、処理溶液3中に有機物を酸化分解するヒドロキシイオン(OH)を生成させ、このヒドロキシイオン(OH)によりコンタクトレンズ内部に付着した有機物を分解除去すると共に雑菌を殺菌している。このように、本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置1は、能動的な洗浄を行うことができるため、従来のコンタクトレンズ洗浄装置に比べて、洗浄及び殺菌効果が優れている。
【0030】
また、本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置1においては、ダイヤモンド化学電極2a及び2bに印加する電位は、夫々+3V及び−3V程度であるため、電源として、例えば乾電池が4個程度、100Vから+3V及び−3Vに変換する小型変圧器、カーバッテリー等を使用することができる。その結果、旅行等にも携帯可能な程度に小型化することができる。
【0031】
なお、本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置1においては、1対のダイヤモンド化学電極2a及び2bを設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンタクトレンズの両側に配置される化学電極のうち、少なくとも陽極がダイヤモンド化学電極であればよい。但し、コンタクトレンズの両面を洗浄及び殺菌することを考慮すると、化学電極は両方ともダイヤモンド化学電極であることが望ましい。
【0032】
また、コンタクトレンズ洗浄装置1においては、1対の化学電極2a及び2b間にコンタクトレンズ5を配置しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、収納容器内に1対の化学電極及びコンタクトレンズが配置されていればよい。但し、コンタクトレンズを化学電極間以外の場所に配置する場合は、化学電極間には直流電圧を印加しなければならず、また、コンタクトレンズを化学電極間に配置した場合に比べて、洗浄効率が低下するため洗浄時間が長くなる。従って、コンタクトレンズは化学電極間に配置することが望ましい。これにより、化学電極間に交流電圧を印加することが可能になると共に、洗浄効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態のコンタクトレンズ洗浄装置を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)は横軸に電位をとり、縦軸に電流密度をとって、ダイヤモンド電極のサイクリックボルタンメトリー測定結果を示すグラフ図であり、(b)は横軸に電位をとり、縦軸に電流密度をとって、白金電極のサイクリックボルタンメトリー測定結果を示すグラフ図である。
【図3】(a)は特許文献4に記載のコンタクトレンズ洗浄装置を示す斜視図であり、(b)は(a)に示すA−A線による断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1、11;コンタクトレンズ洗浄装置
2a、2b;ダイヤモンド化学電極
3、13;処理溶液
4、14;コンタクトレンズホルダ
5、15;コンタクトレンズ
6、16;電源部
7、17;収納容器
8;ガス放出孔
12a、12b;電極
18;蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズを処理溶液に浸漬した状態で収納する収納容器と、前記収納容器内に配置された1対の電極と、前記1対の電極間に電圧を印加する電源と、を有し、前記1対の電極のうち少なくとも一方はダイヤモンド電極であることを特徴とするコンタクトレンズの洗浄装置。
【請求項2】
前記1対の電極はいずれもダイヤモンド電極であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。
【請求項3】
前記ダイヤモンド電極は、基材の表面に導電性ダイヤモンド層が形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。
【請求項4】
前記ダイヤモンド層にはホウ素がドープされていることを特徴とする請求項3に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。
【請求項5】
前記ダイヤモンド層の表面は、(111)結晶面により形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。
【請求項6】
前記(111)結晶面が面内で一方向に配列していることを特徴とする請求項5に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。
【請求項7】
前記ダイヤモンド層の表面は、(111)単結晶により形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。
【請求項8】
前記1対の電極における前記コンタクトレンズが配置される側の表面は平面であり、前記1対の電極間に前記コンタクトレンズが配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。
【請求項9】
前記1対の電極における前記コンタクトレンズが配置される側の表面には、前記コンタクトレンズと曲率半径が等しい曲面が形成されており、この1対の電極及びコンタクトレンズは対向する面同士が相互に平行になるように配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。
【請求項10】
前記1対の電極は、水平方向に相互に対向するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。
【請求項11】
前記電極は、リニアアレイ構造又はメッシュ構造であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。
【請求項12】
前記1対の電極間に電圧を印加した際に、前記ダイヤモンド電極の表面においてはガスが生成しないことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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