説明

コンタクトレンズ消毒用組成物および方法

【発明の詳細な説明】
発明の背景 本発明は、コンタクトレンズ消毒用組成物および方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、コンタクトレンズの消毒における過酸化水素の作用を促進するのに有用であり、かつ過酸化水素の作用により消毒されたコンタクトレンズを含む水性液体媒体中に存在する残留過酸化水素を破壊するのに有用である組成物および方法に関する。
コンタクトレンズの装用に伴って起こりうる感染または目の健康への他の有害な影響を防止する為に、コンタクトレンズは、使用者によって定期的に洗浄および消毒されなければならない。現在、使用者が装用と装用との間にコンタクトレンズを洗浄および消毒するのを可能にするシステムおよび方法が幾つかある。これら従来の洗浄および消毒システムは、「熱」システムと「冷」システムとに分けることができる。熱システムは、コンタクトレンズを消毒するのに加熱を必要とし、一方、冷システムは化学消毒剤を用いて常温でコンタクトレンズを消毒する。
過酸化水素消毒システムは、冷消毒システムの範囲に含まれる。過酸化水素消毒用溶液は、コンタクトレンズを汚染するバクテリア、菌類および酵母の多くを死滅させるのに有用である。しかし、ある種の微生物は、過酸化水素の作用に対して耐性がある。
過酸化水素の殺滅効果に耐性を示す1種の微生物は、アカンスアメーバのシスト形である。イズミ(Y.Izumi)ら著「ジ・エフィカシー・オブ・ディスインフェクション・システム・ユージング・ハイドロジェン・パーオキサイド・アゲインスト・アカンスアメーバ」(The Efficacy of Disinfection System Using Hydrogen Peroxide Against Acanthamoeba),ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・コンタクト・レンズ・ソサエティ(J.Japanese Contact Lens Society)1991;33(4):282−6には、過酸化水素に2時間接触させたこの種のシストは、2週間後にも生存していたことが報告されている。この論文は、過酸化水素溶液にリゾチームを含ませることにより、30分ですべてのシストを死滅できたことを開示している。この論文は、この観察を利用するためのコンタクトレンズ消毒システムを何ら提案していない。リゾチームは、主要な涙蛋白質であるので、この酵素を、コンタクトレンズを含む液体媒体に意図的に添加することは、コンタクトレンズ上に蛋白質沈積物を形成する結果になるであろう。実際、リゾチームを含む過酸化水素溶液によりコンタクトレンズを処理すると、蛋白質沈積物によりレンズが汚染されるか、レンズが有害な影響を受けるという結果を招くことになろう。更に、リゾチームを含む過酸化水素溶液によりコンタクトレンズを消毒しても、レンズを消毒した後に残る潜在的に有害な残留過酸化水素の破壊には役に立たない。
消毒されたコンタクトレンズ上の残留過酸化水素は、破壊、すなわち分解、中和、不活性化または化学的還元されないと、目に刺激、灼熱感または外傷を引き起こす。従って、消毒されたコンタクトレンズを含む液体媒体中の残留過酸化水素の破壊は、消毒されたコンタクトレンズを安全かつ快適に装用できるようにするのに必要である。
コンタクトレンズ消毒システムにおける過酸化水素の破壊の問題に関連するのは、簡便な使用および使用者の順守(compliance)の問題である。使用者の順守と使用の簡便さを高めるため、一段階の消毒および過酸化水素破壊について幾つかの研究がなされてきた。これに関して、コア錠剤と被覆を有する時差放出錠剤が提案された。クルース(Kruse)らの米国特許第4,767,559号は、完全に水に溶解するように設計された一段階コンタクトレンズ洗浄消毒錠剤を開示している。過酸化水素還元剤と触媒を含むコアが提供される。過酸化水素発生成分を含むジャケット混合物が提供され、コアを包囲する。この場合、ジャケット混合物は溶解して過酸化水素を発生し、コンタクトレンズを消毒する。その後、錠剤のコアを包んでいる薄い塗料被覆が溶解し、それにより還元剤と触媒が放出される。
ケイ(Kay)の英国特許出願第2151039Aは、持続放出錠剤組成物を開示しており、この錠剤からは、コンタクトレンズを消毒するのに使用された過酸化水素含有溶液の存在下に過酸化水素不活性化剤、例えば亜硫酸ナトリウムが徐々に溶出する。溶出された過酸化水素不活性化剤以外の錠剤全体は、そのまま、すなわち溶液に溶けずに残る。
カスパー(Kaspar)らの米国特許第4,568,517号は、コンタクトレンズを過酸化水素水溶液中で消毒し、消毒後、過酸化水素還元成分、例えば亜硫酸ナトリウムまたはチオ硫酸ナトリウムを有するコアと、過酸化物溶液にゆっくりと完全に溶解して還元剤を放出する被覆とを含む錠剤を添加することにより過酸化水素を還元するシステムを開示している。
過酸化水素消毒剤および過酸化水素還元剤を含む組み合わせ錠剤などについての他の多くの提案が、シャファー(Schafer)らのヨーロッパ特許出願86 109 361.5に開示されている。これら特許および特許出願のいずれも、過酸化水素の抗菌作用を促進する成分の使用については記載していない。
そこでなお、消毒されているコンタクトレンズに有害な影響、例えば汚染および/または他の害を与えることなくコンタクトレンズを汚染する過酸化水素耐性微生物を死滅させ、かつコンタクトレンズを消毒するのに使用された液体媒体中の残留過酸化水素を破壊する新規で、安全で、効能のあるシステムが求められている。
発明の概要 コンタクトレンズを消毒するのに有用な新しい組成物および方法が見い出された。本発明は、過酸化水素耐性微生物を過酸化水素の作用により死滅するのを促進する。さらに、これは、消毒されているコンタクトレンズに実質的に損傷を与えることなることなく達成される。加えて、消毒が行われた後に残留している過酸化水素は、効果的かつ好都合に破壊され、従って、レンズを安全かつ快適に装用することができる。
広い意味で本発明は、セルロースおよび/またはキチン分解酵素成分(以下、CDECと略称する)、例えばリゾチームの有効量、および過酸化水素破壊成分(以下、HPDCと略称する)の有効量を含んでなる組成物に関する。このような組成物は、HPDCが液体媒体に放出される前にCDECが液体媒体に放出されるように構成される。好ましくは、CDECは、CDECが存在しない実質的に同等の液体媒体中で過酸化水素により死滅されるよりも液体媒体中に存在するアカンスアメーバシストが過酸化水素によってより死滅されやすくなるのに有効な量で存在する。好ましくは、HPDCは、液体媒体に含まれる過酸化水素すべてを破壊するにに有効な量で存在する。
コンタクトレンズを消毒する方法も提供され、この方法では、本明細書に記載するように、組成物の存在下に、コンタクトレンズ消毒有効量の過酸化水素を含む液体媒体にコンタクトレンズを接触させる。
本発明では、好ましくは、CDEC/HPDC含有組成物を最初に過酸化水素含有液体媒体(以下、HPLMと略称する)に接触させ、同時に消毒すべきコンタクトレンズを最初に液体媒体に接触させる。例えば、本発明の組成物と消毒すべきコンタクトレンズは、実質的に同時にHPLMに添加することができる。この特徴により、レンズを効果的に消毒し、残留過酸化水素を破壊するに必要な使用者の時間および注意を大幅に少なくできる。使用者のより良好な順守と、使用者の目に対するより優れた安全性が達成される。好ましくは、本発明は、過酸化水素耐性微生物に対してもHPDCの放出前に過酸化水素の作用によって効果的にコンタクトレンズを消毒できるように、遅延放出特性を持つ。
1つの態様において、過酸化水素耐性微生物の殺滅を促進するのに比較的低いCDEC濃度が使えるよう、HPDCの放出は、十分長く、好ましくは少なくとも約1時間、より好ましくは約2時間遅らせる。そのようなCDECの比較的低い濃度は、処理されるコンタクトレンズ上の蛋白質沈積物の形成が少なくなるという利点を伴う。
本発明の組成物は、沈積物を除去する、例えばレンズを清浄するために洗浄酵素成分の有効量を含んでいてよい。この態様では、より高いCDEC濃度を用いて、過酸化水素の殺滅効果を高めることができる。従って、たとえCDECが消毒中にコンタクトレンズ上に沈積物を形成したとしても、洗浄酵素成分が、この沈積物および他の沈積物質をコンタクトレンズから除去するのに効果的な量で存在する。好ましくは、CDECは、洗浄酵素成分が放出される前に液体媒体中に放出される。
発明の詳細な説明 本発明は、すべての種類のレンズ、例えば定期的な消毒により利益があるコンタクトレンズを消毒するのに過酸化水素が使用される場合、重要である。そのようなレンズ、例えば、通常のハードコンタクトレンズおよびソフトコンタクトレンズは、適当な材料または材料の組み合わせから作られ、過酸化水素、本発明の組成物または本発明の方法によって実質的に悪影響を受けない適当な形状を有する。
本発明は、過酸化水素耐性微生物により汚染されたコンタクトレンズを消毒し、コンタクトレンズを消毒するのに使用されたHPLM中の残留過酸化水素を破壊するのに特に有用である。
本発明においてコンタクトレンズを消毒するのに使用される液体媒体は、消毒量の過酸化水素を含む。消毒量の過酸化水素とは、好ましくは、微生物負荷を3時間で1log減少させるような量を意味する。更に好ましくは、過酸化水素濃度は、微生物負荷を1時間で1log減少させるような量である。特に好ましい過酸化水素濃度は、微生物負荷を10分間またはそれ以内で1log減少させるような量である。比較的穏和な過酸化水素水溶液、好ましくは約0.5%〜約6%(w/v)の過酸化水素を含む水溶液が、コンタクトレンズ用消毒溶液として有効であることが知られている。このような水溶液は、コンタクトレンズに見られ得るバクテリア、菌類及び酵母を死滅するのに有効である。
さらに、本発明は、コンタクトレンズを汚染することがある、ある種の過酸化水素耐性微生物、例えばアカンスアメーバシストを死滅するのを促進する。しかしながら、一旦コンタクトレンズを消毒したなら、残留過酸化水素、例えばレンズ上に残った過酸化水素は、レンズを安全かつ快適に目に装用できるよう、破壊しなければならない。もし残留過酸化水素をレンズ装用前に破壊しなければ、目への刺激または不快な装用感が生ずることがある。
そこで、本発明の組成物は、好ましくは消毒すべきコンタクトレンズと実質的に同時にHPLMとまず接触させるのであるが、コンタクトレンズが過酸化水素耐性微生物により汚染されている場合でも、レンズを消毒するのに有効であり、加えて、HPLMに残っている残留過酸化水素を効果的に破壊して、消毒されたレンズを液体媒体から取り出し、直接目にはめて安全かつ快適に装用できるようにする。本発明の組成物は、好ましくは固体形、例えば錠剤、ピルなどの形で存在する。組成物は、コア層、被覆層および外層を含む少なくとも1個の物品、例えば錠剤の形で存在していてよい。被覆層は、遅延放出成分を含み、好ましくは、HPDCを含んでいるコア層を実質的に包囲する。CDECは、好ましくは外層中に存在する。
過酸化水素耐性微生物、好ましくはアカンスアメーバシストの殺滅作用を促進または向上するのに有効である限り、あらゆる適当なCDECを用いることができる。本発明をいかなる作用理論に限定することも意図するものではないが、CDECは、過酸化水素耐性微生物の保護細胞壁を攻撃し、および/または分解し、および/または劣化させ、それにより微生物をHPLM中の過酸化水素と効果的に接触させて死滅させることができる。
CDECは、過酸化水素の消毒作用、消毒されているレンズまたはコンタクトレンズの装用者に過度の不利な影響を与えないように、選択され、使用される。有用なCDECの例は、リゾチーム、イソリゾチーム、セルラーゼなど、およびこれらの混合物である。本発明において使用されるCDECの量は、多くの因子、例えば使用される特定のCDEC、死滅すべき特定の過酸化水素耐性微生物、および消毒されるコンタクトレンズに依存する。
使用に際して、CDECは、コンタクトレンズの消毒に使用される液体媒体に対して約0.001%またはそれ以下から約1%(w/v)またはそれ以上の量で存在してよい。CDECをHPLM中に存在させると、CDECを含まない実質的に同等のHPLMに比べて、好ましくは少なくとも約2倍、より好ましくは少なくとも約5〜10倍の速度で、アカンスアメーバシストを死滅する効果がある。しかし、過剰量のCDECを用いないように注意する必要がある。過剰量のCDECは、無駄であり、付加的な微生物殺滅効果を与えず、処理しているコンタクトレンズにひどい汚染および/または他の損傷を与えることがある。
ある場合には、使用するCDECは、コンタクトレンズ上に蛋白質沈積物質を形成する成分でありうる。そのようなCDECの特に有用な例は、リゾチームである。これは、主要な涙蛋白質である。
この沈積形成の問題を避けるため、コンタクトレンズ上へのCDECから誘導される沈積物の形成を最小にするのに十分なように、CDECの濃度を低下してよい。CDECの低下した濃度あるいは蛋白質沈積物非形成濃度は、過酸化水素耐性微生物の殺滅を促進するのに、少なくともいくらかは有効である。
低い濃度のCDECを用いようとする場合、HPDCが液体媒体中に放出される前に比較的長い時間、過酸化水素をレンズに接触させることがしばしば必要である。特に有用な態様では、HPDCが液体媒体中に放出される30分以上前に、CDECを液体媒体中に放出させる。より好ましくは、この時間は、少なくとも約1時間前、より好ましくは少なくとも約2時間前である。このような時間は、過酸化水素の作用により過酸化水素耐性微生物を死滅させるのを、CDEC、例えば低下した濃度のCDECにより効果的に促進するのに有用である。
本発明で使用する組成物は、洗浄酵素成分を、コンタクトレンズ上に例えばCDECから形成されうる蛋白質沈積物のような沈積物を除去するのに有効な量で含んでいてよい。洗浄酵素成分は、CDECとは別に離れて、組成物中に存在させるのが好ましい。例えば先に記載した層状組成物では、洗浄酵素成分は、HPDCと共にコア中に、あるいはコアに直接隣接した被覆として、含まれてよい。この態様では、CDECは、例えば組成物が最初に液体媒体に接触したほぼ直後に液体媒体中に放出され、液体媒体中での過酸化水素による過酸化水素耐性微生物の殺滅を促進する。レンズを好ましく消毒する時間の後、洗浄酵素成分が液体媒体中に放出される。このような洗浄酵素成分は、最初からコンタクトレンズ上に存在していた沈積物および/または先に液体媒体中に放出されたCDECから形成された沈積物を効果的に除去する。
先に記載したいずれの場合にも、過酸化水素耐性微生物、例えばアカンスアメーバシストは、効果的に殺滅され、コンタクトレンズは、顕著にまたは過度に不利な影響をレンズに与えることなく、例えばCDECによるレンズの汚染を引き起こすことなく、効果的に消毒される。
本発明の組成物には、適切なHPDCのいずれが含まれていてもよい。そのようなHPDCは、残留過酸化水素を効果的に破壊し、消毒されたレンズにまたは消毒されたレンズがはめられる目に過度に不利な影響を与えない。有用なHPDCは、過酸化水素還元剤、パーオキシダーゼ(その中にカタラーゼを含む)、およびそれらの混合物である。
本発明において有用な過酸化水素還元剤の例は、アルカリ金属(特にナトリウム)チオスルフェート、チオ尿素、アルカリ金属(特にナトリウム)スルファイト、チオグリセロール、N−アセチルシステイン アルカリ金属(特にナトリウム)ホルミエート、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、グリオキシル酸、これらの混合物などである。特に有用なパーオキシダーゼは、カタラーゼである。パーオキシダーゼ、特にカタラーゼは、妥当な時間、例えばHPDCが最初にHPLMに放出されてから約5分〜12時間、好ましくは約1〜5時間で、液体媒体から過酸化水素を実質的に除去するのに有効であるので、本発明において非常に有利である。
使用されるHPDCの量は、好ましくは、HPDCが加えられるHPLM中に存在する過酸化水素全量を破壊するのに十分な量である。過剰のHPDCを用いることもできる。例えば、HPLM中に存在する過酸化水素全量を破壊するのに必要なHPDCの量よりも約40%まで、またはそれ以上過剰のHPDCを用いてもよい。より大過剰のHPDCは避けなければならない。なぜなら、HPDC自体が、消毒されたコンタクトレンズ、および/または消毒されたコンタクトレンズの安全かつ快適な装用性に問題を生じることがあるからである。HPDCとしてカタラーゼを用いた場合、1mlのHPLM当たり、HPLM中の過酸化水素の1パーセント(w/v)当たり、好ましくはカタラーゼ活性約100〜250単位、より好ましくは約150〜200単位の量で存在する。例えば、約3%(w/v)の過酸化水素を含む水溶液中で使用するカタラーゼの特に有用な量は、溶液1ml当たりカタラーゼ活性約520単位である。
HPDCは、例えば層状錠剤のコア中において、1種またはそれ以上の他の成分と組み合わされてよい。そのような他の成分には、例えば充填剤、バインダー、等張化剤、コンタクトレンズ調節(conditioning)/湿潤剤、緩衝剤、潤滑剤などが含まれる。これら成分それぞれは、存在するなら、その指定された機能を発揮するのに有効な量で存在する。このような種類の成分それぞれの例は、当該技術分野で通常のものであり、周知である。従って、これら成分の詳細な記載は、省略する。典型的なHPDC含有コア錠剤は、次ぎの組成を有していてよい: 重量% HPDC 1−30 充填剤 15−90 等張化剤 1−30 緩衝剤 2−50 潤滑剤 0−30 有用な等張化剤には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、デキストロース、グリセリン、プロピレングリコールおよびこれらの混合物が包含されるが、これらに限定されない。
有用なコンタクトレンズ調節/湿潤剤には、ポリビニルアルコール、ポリオキサマー、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびこれらの混合物が包含されるが、これらに限定されない。
本発明のある種の被覆組成物は、HPLMに溶解された後、1つまたそれ以上の他の有用な機能を発揮することがある。
有用な緩衝剤には、アセテート緩衝剤、シトレート緩衝剤、ホスフェート緩衝剤およびボレート緩衝剤が包含されるが、これらに限定されない。本発明の組成物のpHを調節するために、必要に応じて、酸および塩基を用いてよい。
有用な潤滑剤には、ポリアルキレングリコール、例えば、好ましくは約500〜10000の分子量を持つポリエチレングリコールが包含されるが、これに限定されない。眼科において許容される錠剤において潤滑剤として通常使用される他の物質を、本発明において使用することができる。
そのような1種またはそれ以上の他の成分を本発明の組成物に含ませることは、本発明の組成物および方法の機能を向上させるのに重要であり得る。例えば、液体水性媒体のpHおよび/または浸透圧をある範囲内に維持することが、例えば好ましい酵素活性、遅延放出成分の溶解性および/または生理的受容性を達成するために、望ましいことがある。そのような1種またはそれ以上の他の成分は、本発明の被覆または層状要素に含まれていてよい。また、そのような他の成分は、本発明の組成物に、本発明の被覆または層状要素とは別個に独立して含まれていてよい。
特に有用な態様において、HPDCは、汚れ、例えば蛋白質系汚れを除去するのに有効な洗浄酵素成分と組み合わされてよい。通常の使用中にコンタクトレンズ上に形成される汚れの種類は、蛋白質系汚れ、ムチン系汚れ、脂質系汚れおよび炭水化物系汚れである。1種またはそれ以上の汚れが、1枚のコンタクトレンズ上に存在し得る。
使用される洗浄酵素成分は、コンタクトレンズの酵素洗浄に通常使用されている酵素群、例えば過酸化物活性酵素から選択されてよい。例えばフース(Huth)らの米国再発行特許第32,672号およびカラゲオジアン(Karageozian)らの米国特許第3,910,296号に開示されている多くの洗浄酵素が、本発明において有用である。これら特許を、参照して本明細書に組み込む。有用な洗浄酵素は、蛋白質分解酵素、リパーゼ、炭水化物活性(炭水化物分解)酵素およびこれらの混合物である。
好ましい蛋白質分解酵素は、スルフヒドリル基またはジスルフィド結合を実質的に含まない酵素である。このような基または結合が存在すると、HPLM中の活性酵素と反応して、酵素の活性が損なわれることがある。メタロプロテアーゼ(蛋白質に結合したカルシウム、マグネシウムまたは亜鉛のような二価金属イオンを含む酵素)を使用することもできる。
より好ましい蛋白質分解酵素は、セリンプロテアーゼ、特にバチルス(Bacillus)およびストレプトミセス属(Storeptomyces)バクテリアおよびアスペルギルス(Aspergillus)菌から得られる蛋白質分解酵素である。これらの種類の中で、より好ましい酵素は、一般にスブチリシン酵素と呼ばれているアルカリプロテアーゼである。これについては、ディール(Deayl,L.)、モザー(Moser,P.W.)およびウィルディ(Wildi,B.S.)、「プロテアージズ・オブ・ザ・ジーナス・バシルス.II アルカライン・プロテアージズ」(Proteases of the Genus Bacillus.II alkaline Proteases]バイオテクノロジー・アンド・バイオエンジニアリング(Biotechnology and Bioengineering)第XII巻、213−249頁(1970)ならびにキー(Keay,L.)およびモザー、「ディファレンシエイション・オブ・アルカライン・プロテアージズ・フロム・バシルス・スピーシーズ」(Differentiation of Alkaline Proteases from Bacillus Species)バイオテクノロジー・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケイションズ(Biotechnology and Biophysical Research Comm.)第34巻第5号、600−604頁(1969)を参照することができる。
スブチリシン酵素は、2つのサブクラス、スブチリシンAおよびスブチリシンBに分類される。スブチリシンAには、バチルス・ズブチリス(B.subtilis)、バチルス・リヘニホルミス(B.licheniformis)およびバチルス・プミリス(B.pumilis)から得られる酵素が含まれる。このサブクラスの微生物は、中性プロテアーゼまたはアミラーゼをほとんどまたは全く産生しない。スブチリシンBサブクラスには、バチルス・ズブチリス(B.subtilis)、バチルス・ズブチリス・ヴァル・アミロサッカリチクス(B.subtilis var.amylosaccariticus)、バチルス・アミロリクェファシエンス(B.amyloliquefaciens)およびバチルス・ズブチリスNRRL B3411が含まれる。これら微生物は、中性プロテアーゼおよびアミラーゼを、アルカリプロテアーゼとほぼ匹敵するレベルで産生する。スブチリシンAサブクラスからの1種またはそれ以上の酵素が特に有用である。
加えて、他の好ましい酵素は、例えばパンクレアチン、トリプシン、コラギナーゼ、ケラチナーゼ、カルボキシラーゼ、アミノペプチダーゼ、エラスターゼ、並びにアスペルギロ−ペプチダーゼAおよびB、プロナーゼE(エス.グリセウス(S.griseus)から)、並びにディスパーゼ(バチルス・ポリミクサ(B.polymixa)から)である。
洗浄酵素成分の有効量が、本発明の実施に際して使用される。そのような量は、妥当な時間(例えば、一夜)に、通常に装用されたレンズから少なくとも1種の汚れ、例えば蛋白質沈積物を実質的にすべて除去する量である。この基準は、通常の汚れ付着パターンを経験するコンタクトレンズ装用者について言えることであって、1度でも非常に早い速度で汚れが付着し、毎日もしくは2日または3日毎に洗浄を勧められている非常に少数の人には当てはまらない。
有効な洗浄剤を調製するのに必要な洗浄酵素成分の量は、酵素の本質的な活性および存在する過酸化水素との相互作用の程度を含むいくつかの因子に依存する。
基本的な基準として、作用溶液は、1回のレンズ処理毎に、約0.001〜3アンソン単位、好ましくは約0.01〜1アンソン単位の活性を与えるのに十分な酵素を含むべきである。より多いまたはより少ない量を用いてもよい。
酵素活性はpH依存性であるので、所定の酵素について、その酵素が最良に機能する特定のpH範囲がある。そのような範囲は、既知の技術により容易に決定することができる。
多層(コアおよび被覆層を含む)錠剤またはピルが好ましいが、本発明の遅延放出型組成物は、他の適当な物質、例えば粉末の塊、顆粒などの形で存在することもできる。遅延放出技術は、この分野では周知であり、コントロールド・ドラッグ・デリバリー(Controlled Drug Delivery)第2版、ジョセフ・アール・ロビンソン(Joseph R.Robinson)およびヴィンセント・エッチ・エル・リー(Vincent H.L.Lee)編(マーセル・デッカー・インコーポレイテッド(MarcelDekker,Inc.)1987を例示することができる。
時間をおいて逐次的に成分を放出する物質は周知であり、通常の技術により製造することができる。従って、そのような物質の詳細および製造技術は、ここでは記載しない。しかし、そのような物質は、液体媒体中にHPDCが放出される前に、CDECがある時間、好ましくはHPLM中でレンズを消毒するのに十分な時間存在するように設計される。言い換えれば、そのような物質または組成物は、液体媒体との最初の接触とHPDCの放出との間に十分な時間が経過してCDECがその機能を発揮できるように設計される。そのよな十分な時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは約1時間以上、さらに好ましくは約2時間以上である。そのような時間は、好ましくは約6時間未満である。
1つの有用な態様において、通常の打錠装置を用いてコア錠剤処方を直接圧縮する。遅延放出成分を含む液体、例えば溶液は、通常の被覆装置(例えば、フィルム被覆パン、流動床など)を用いて、コア錠剤に適用、例えば噴露される。被覆パン装置は、ドイツのドリアム(Driam)、米国のトーマス・エンジニアリング(Thomas Engineering)、ヴェクター・コーポレイション(Vector Corporation)およびキー・インダストリーズ(Key Industries)から市販され、流動床装置は、グラット・エア・テクニークス(Glatt Air Techniques)、ヴェクター・コーポレイションおよびエアロマチック(Aeromatic)などから市販されている。適当は被覆パラメータ(これは、例えば遅延放出成分含有溶液、使用する装置およびコア錠剤のサイズに依存する)を用いて、適当な量の遅延放出成分をコア錠剤に適用して、所望の遅延時間を達成する。次いで、CDECが遅延放出成分の外表面に、例えば噴霧、浸漬、他の被覆方法により適用される。
どのような遅延放出成分またはそれらの組み合わせも、ここに記載したように機能し、CDEC、HPDC(および存在するなら、洗浄酵素成分)、処理されているレンズ、並びに処理されたレンズを装用する哺乳類、例えばヒトに対して不利な影響を実質的に持たないかぎり、使用することができる。遅延放出成分は、好ましくは少なくとも部分的に、より好ましくは完全に、水溶性である。遅延放出成分は、好ましくは少なくとも1種のポリマー物質の主要量を含む。有用な遅延放出成分の例は、溶解性セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、メチルヒドロキシルプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロース)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテートフタレートおよびヒドロキシルプロピルメチルセルロースフタレート)、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルの少なくとも1種から誘導されるポリマー[例えば、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー(ローム・ファーマ(Rohm Pharma)から商標ユードラギット(Eudragit)L100として販売のコポリマー)およびメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー(ローム・ファーマから商標ユードラギットL30Dとして販売のコポリマー)]、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸から誘導されるポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなど、並びにこれらの混合物であるが、これらに限定されるものではない。
本発明の、レンズ、好ましくはコンタクトレンズの消毒方法は、消毒すべきレンズを、効果的なレンズ消毒条件下で、HPLMと接触させることを含む。HPLMは、記載したように、CDEC、HPDCおよび遅延放出成分を含む組成物と接触される。この方法を用い、レンズを消毒し、HPLM中の残留過酸化水素を効果的に破壊することができる。そこで、HPDCがHPLM中に放出され、残留HPDCを効果的に破壊するように作用した後、レンズは、安全かつ快適に、消毒を行った液体媒体から直接取り出すことができる。
特に有用な態様では、消毒すべきコンタクトレンズを、CDEC/HPDC含有組成物と実質的に同時に、HPLM中に入れる。コンタクトレンズを消毒する所定時間後、HPDCがHPLM中に放出され、残留過酸化水素を破壊する。
洗浄酵素成分が組成物中に存在する場合、液体媒体中のコンタクトレンズからは、少なくとも1種の沈積物質、例えば蛋白質系汚れも効果的に洗浄される。この洗浄作用は、好ましくはレンズが消毒された後に生じ、CDECが放出された後、HPDCがHPLM中に放出される前または同時あるいはその後に、洗浄酵素成分が放出されることにより生じる。
HPLM中の実質的にすべての残留過酸化水素が、HPLM中へのHPDCの最初の放出から約12時間以内、より好ましくは約6時間以内、更に好ましくは約4時間以内に破壊されるのが好ましい。
消毒接触は、好ましくは液体媒体を実質的に液体に保つ温度で行うのが好ましい。例えば、液体媒体が水系である場合、接触温度は、約0℃〜約100℃の範囲、より好ましくは約10℃〜約60℃の範囲、更に好ましくは約15℃〜約30℃の範囲にあるのが好ましい。室温またはその上下の温度で接触させるのが、非常に便利であり、有用である。接触は、好ましくは大気圧またはその近辺の圧力で行う。この接触は、好ましくは消毒すべきレンズを実質的に完全に消毒するのに十分な時間行う。そのような接触時間は、約30分、または30分〜約12時間、あるいはそれ以上であってよい。
以下の実施例により本発明を説明する。
実施例1 コア錠剤、それを包囲する遅延放出層およびそれを被覆するリゾチーム含有外層を有する3層錠剤を調製する。3層錠剤は、約5〜10mgのリゾチームを含む。コア錠剤および遅延放出層は、以下の組成を有する:コア錠剤 結晶カタラーゼ(1) 1 mg 塩化ナトリウム 89 mg 二塩基性リン酸ナトリウム(無水)12.5mg 一塩基性リン酸ナトリウム一水和物1 mg ポリエチレングリコール(分子量約3350)
1 mg ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10〜20mg 被覆層 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 6〜10mg (1)添加したカタラーゼの量は、使用する製品バッチの分析により決定した。直接圧縮により製造されるコア錠剤は、それぞれ少なくとも3000単位で7280単位を越えないカタラーゼ活性を有していた。
実施例2 実施例1の3層錠剤を用い、次のようにして、通常のソフトコンタクトレンズを消毒した。
過酸化水素の3%(w/v)水溶液10mlを室温で用意する。消毒されるコンタクトレンズは、アカンスアメーバシストにより汚染されており、3層錠剤と同時に溶液に入れる。約2〜2.5時間、溶液は実質的に静かである。すなわち、実質的に発泡(ガス発生)しない。次の約2時間、溶液は発泡する。その後、溶液は静かになる。コンタクトレンズを最初に溶液に浸けてから5時間後、コンタクトレンズを溶液から取り出し、塩水で濯ぎ、装用者の目に装着する。4時間後にコンタクトレンズは効果的に消毒されたことが分かる。また、レンズ装用者は、消毒したコンタクトレンズを装着することにより不快感や目の刺激を感じなかった。溶液の発泡は、過酸化水素の破壊が起こっていることの指標となる。過酸化水素が完全に破壊されたことの指標は、発泡の停止である。
実施例3 十分なスブチリシンAをコア錠剤に含ませてこの酵素10ppm(重量)をコア錠剤に供給する以外は実施例1と同様に3層錠剤を調製した。
この酵素含有錠剤を用いて、アカンスアメーバシストにより汚染され、蛋白質系汚れが付いたソフトコンタクトレンズを、以下のようにして消毒および洗浄した。
過酸化水素の3%(w/v)水溶液10mlを室温で用意する。消毒洗浄されるコンタクトレンズと洗浄酵素含有3層錠剤とを同時に溶液に入れる。約2〜2.5時間、溶液は実質的に静かである。次の約2時間、溶液は発泡する。その後、溶液は静かになる。コンタクトレンズを最初に溶液に浸けてから10時間後、コンタクトレンズを溶液から取り出し、塩水で濯ぎ、装用者の目に装着した。10時間後にコンタクトレンズは効果的に消毒され、蛋白質系汚れは洗浄されたことが分かる。また、レンズ装用者は、消毒洗浄したコンタクトレンズを装着することにより不快感や目の刺激を感じなかった。
本発明を様々な実施例や態様により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、以下の請求の範囲の技術的範囲の中で種々変更して実施することができることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】セルロース分解酵素成分、過酸化水素破壊成分、洗浄酵素成分が放出された液体媒体中に存在するコンタクトレンズから、コンタクトレンズが液体媒体中に存在する前から該コンタクトレンズ上に存在する蛋白質汚れおよび該セルロース分解酵素成分からコンタクトレンズ上に形成される蛋白質沈積物を含む蛋白質汚れを除去するのに有効な量の洗浄酵素成分、および遅延放出成分を含む組成物であって、該組成物は固体であり、該過酸化水素破壊成分が液体媒体に放出される前に該セルロース分解酵素成分が液体媒体に放出されるよう構成されており、該洗浄酵素成分は、該過酸化水素破壊成分が該液体媒体中に放出されるのと実質的に同時に該液体媒体中に放出され、該セルロース分解酵素成分は、セルロース分解酵素成分が存在しない実質的に同等の液体媒体中で過酸化水素によって死滅されるよりも液体媒体中に存在するアカンスアメーバシストが過酸化水素によってより死滅されやすくなるのに有効であり、かつ該コンタクトレンズ上に過酸化水素の存在下に該セルロース分解酵素成分から蛋白質沈積物を形成するような量で存在し、該過酸化水素破壊成分は、液体媒体に含まれる全過酸化水素を破壊するのに有効な量で存在し、遅延放出成分が、該組成物と実質的に同時に該液体媒体中に導入されたコンタクトレンズが消毒されるのに充分な時間、該液体媒体中への該過酸化水素破壊成分の放出を遅延させるのに有効な量で存在する、組成物。
【請求項2】該過酸化水素破壊成分が該液体媒体中へ放出される少なくとも約1時間前に該セルロース分解酵素成分が液体媒体に放出されるように構成されている請求の範囲1記載の組成物。
【請求項3】該過酸化水素破壊成分が該液体媒体中へ放出される少なくとも約2時間前に該セルロース分解酵素成分が液体媒体に放出されるように構成されている請求の範囲1記載の組成物。
【請求項4】該セルロース分解酵素成分はリゾチームを含む請求の範囲1記載の組成物。
【請求項5】錠剤またはピルの形状である請求の範囲1記載の組成物。
【請求項6】該セルロース分解酵素成分は、該組成物が最初に該液体媒体に接触した実質的に直後に、該液体媒体に放出されるように配置され、該遅延放出成分は、該組成物が最初に該液体媒体に接触した後30分以上該過酸化水素破壊成分の該液体媒体への放出を遅延させるのに有効な量で存在する請求の範囲1記載の組成物。
【請求項7】該遅延放出成分は、該過酸化水素破壊成分を実質的に包囲している被覆中に存在する請求の範囲1記載の組成物。
【請求項8】該遅延放出成分は、セルロースエーテル、セルロースエステル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルの少なくとも1種から誘導されるポリマー、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸から誘導されるポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される請求の範囲1記載の組成物。
【請求項9】該過酸化水素破壊成分は、該液体媒体中で過酸化水素を化学的に還元できる還元剤、カタラーゼおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求の範囲1記載の組成物。
【請求項10】セルロース分解酵素成分、洗浄酵素成分、および過酸化水素破壊成分を含む組成物の存在下に、コンタクトレンズ消毒有効量の過酸化水素を最初に含む液体媒体とコンタクトレンズを接触させることからなるコンタクトレンズの消毒方法であって、該組成物は、該過酸化水素破壊成分が液体媒体に放出される前に該セルロース分解酵素成分が液体媒体に放出され、コンタクトレンズが消毒された後に該洗浄酵素成分が放出されるよう構成されており、該セルロース分解酵素成分は、セルロース分解酵素成分が存在しない実質的に同等の液体媒体中で過酸化水素によって死滅されるよりも液体媒体中に存在するアカンスアメーバシストが過酸化水素によってより死滅されやすくなるのに有効な量で存在し、該洗浄酵素成分は、該接触の前にコンタクトレンズ上に存在する蛋白質沈積物と該接触の間に該セルロース分解酵素成分から形成される蛋白質沈積物をコンタクトレンズから除去するのに有効な量で存在し、該過酸化水素破壊成分は、液体媒体に含まれる全過酸化水素を破壊するのに有効な量で存在し、該接触は、該コンタクトレンズを消毒し、該コンタクトレンズ上に該セルロース分解酵素成分から蛋白質沈積物を形成し、該接触の前にコンタクトレンズ上に存在する蛋白質沈積物と該接触の間に該セルロース分解酵素成分から形成される蛋白質沈積物をコンタクトレンズから除去するのに有効である方法。
【請求項11】該組成物は、該組成物と実質的に同時に該液体媒体中に導入されたコンタクトレンズが消毒されるのに充分な時間、該液体媒体中への該過酸化水素破壊成分の放出を遅延させるのに有効な量の遅延放出成分を含む請求の範囲10記載の方法。
【請求項12】該過酸化水素破壊成分が該液体媒体中へ放出される少なくとも約2時間前に該セルロース酵素成分が液体媒体に放出されるように、該組成物が構成されている請求の範囲10記載の方法。
【請求項13】該コンタクトレンズは、該接触前にアカンスアメーバシストにより汚染されている請求の範囲10記載の方法。
【請求項14】該セルロース分解酵素成分がリゾチームを含む請求の範囲10記載の方法。

【特許番号】特許第3381172号(P3381172)
【登録日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【発行日】平成15年2月24日(2003.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−517270
【出願日】平成6年1月21日(1994.1.21)
【公表番号】特表平8−509136
【公表日】平成8年10月1日(1996.10.1)
【国際出願番号】PCT/US94/00875
【国際公開番号】WO94/016743
【国際公開日】平成6年8月4日(1994.8.4)
【審査請求日】平成11年2月9日(1999.2.9)
【出願人】(999999999)アラーガン、インコーポレイテッド
【参考文献】
【文献】特開 昭62−63916(JP,A)
【文献】特開 平4−352728(JP,A)
【文献】特開 平3−161091(JP,A)
【文献】特開 昭61−270700(JP,A)
【文献】特開 昭60−68858(JP,A)
【文献】特開 昭63−199799(JP,A)
【文献】特開 昭50−28853(JP,A)
【文献】特開 昭62−59918(JP,A)
【文献】特表 昭62−502245(JP,A)
【文献】米国特許5145644(US,A)
【文献】米国特許4889689(US,A)
【文献】米国特許4986963(US,A)
【文献】国際公開90/11786(WO,A1)
【文献】国際公開91/12826(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開426489(EP,A1)