説明

コンタクトレンズ用ポリマー

本発明は(a)少なくとも1種のポリエチレングリコール、(b)少なくとも1種のジイソシアネート、(c)少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオール及び(d)少なくとも1種の式(I)のジオール(式中、nは1〜25の整数である)を含む混合物から調製され、前記ポリエチレングリコール、ジイソシアネート、ポリジアルキルシロキサンジオール及びジオールは実質的に無水条件下に反応したものである、ポリウレタンに関する。本発明のさらなる態様はポリウレタンの調製方法に関する。本発明は、また、成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルの調製方法であって、(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート、少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオール及び少なくとも1種の上記のとおりの式Iのジオールを含む反応混合物を調製すること、(ii)工程(i)にて形成された反応混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、及び(iii)前記ポリウレタンキセロゲルを射出成形して、成形品を形成することの工程を含む、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンタクトレンズ技術の分野に用途を有する熱可塑性ポリウレタン系ポリマーに関する。本発明は、また、このような材料の調製方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ソフトコンタクトレンズは、近視、遠視及び乱視などの視覚的欠陥の補正のための眼鏡に代わる実行可能な代替品となる。初期のレンズは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)に基づくポリマーから製造されていた。これらのレンズは幾分かの快適さを提供したが、角膜低酸素症に関連する問題を防ぐために十分な酸素透過性を提供しなかった。この問題に対処しようとする試みには、メタクリル酸及びN−ビニルピロリドンなどの親水性モノマーとHEMAを共重合させることが含まれた。これらのポリマーは酸素透過性レベルを増加したが、これらのコモノマーの導入により、タンパク質及び脂質の付着、角膜乾燥、汚染及びレンズ脱水などの問題をももたらす。
【0003】
より最近では、新世代のポリマーが酸素レベルをさらに上げるために開発されている。これらの材料は、親水性コモノマーとシリコーンメタクリレートの共重合に基づく。これらの材料から作られるレンズは当初、長期間装着のために設計された。それでも1日装着用製品は現在も存在している。DKのさらなる増加に成功しているが、これらの新しい材料は、なおも脂質結合及び乾燥などの制約に苦しんでおり、そのすべてがレンズの目に対する装着の際の快適性を低減している。
【0004】
それゆえ、1日装着の間の正常な角膜代謝のために十分な酸素レベルを提供しかつ一日をとおした高レベルの快適性を提供する新たなコンタクトレンズ用ポリマーの必要性がなおも存在する。
【0005】
新規コンタクトレンズ材料にかなりの有望性がある1つのクラスのポリマーはPEGをベースとするポリウレタンである。ウレタン化学は、バイオメディカルデバイスの分野で広く研究されてきた。たとえば、米国特許第3,786,034号明細書は多官能イソシアネートと特定のポリオールを反応させることにより形成された硬質親水性ポリウレタン材料を開示している。米国特許第3,821,186号明細書は同様のこのような材料を教示している。同様に、米国特許第4,136,250号明細書は、2モル当量のイソホロンジイソシアネートと高分子量ポリジメチルシロキサンジオールを反応させ、その後、過剰量のヒドロキシル含有モノマーと反応させることにより形成されるポリマーを教示している。さらに、ウレタンコポリマーは米国特許第4,454,309号明細書及び米国特許第4,359,553号明細書に開示されている。
【0006】
米国特許第6,930,196号明細書は(a)少なくとも1種の多官能化合物、(b)少なくとも1種のジイソシアナート、及び、(c)少なくとも1種のジオールを反応させることにより製造されるプレポリマーから調製されたポリウレタンヒドロゲルコンタクトレンズを開示している。そのように形成されたプレポリマーを、その後、過剰量の水と反応させ、コンタクトレンズとしての使用に適したヒドロゲルポリマーを形成する。
【0007】
米国特許第4,644,033号明細書は、非水性溶剤中でのポリオキシエチレンと多官能イソシアネートとの反応から形成されたポリウレタンヒドロゲルを開示している。その材料はコンタクトレンズへと成形されうる。
【0008】
米国特許第5,932,200号明細書はジオール成分及び有機ジイソシアネートを、反応混合物及びジオール成分中の水の量を厳格に選択して反応させることから形成されたポリウレタンを開示している。ポリウレタンは、火傷/創傷ケアドレッシングにおける、また、外科インプラントとしての用途を有するゲルの形態である。
【0009】
米国特許4,885,966号及び米国特許第5,175,229号明細書は、本質的にすべてのOH基がポリイソシアネートによりキャップされている、約7000〜約30,000の分子量を有するイソシアネートキャップされたオキシエチレンをベースとするジオール又はポリオールであるプレポリマーから調製した親水性ポリマーソフトコンタクトレンズを開示している。プレポリマーを水和し、非特異的タンパク質吸着に耐性のある非イオン性表面を有することを特徴とするポリ尿素−ポリウレタンポリマーを形成する。
【0010】
米国特許第4,989,710号明細書は、ポリプロピレングリコールの単位を組み合わせたポリウレタン/尿素ポリエチレングリコールを含有する線状ポリマーを開示している。ポリプロピレングリコールの存在により、より高い弾性率及び引張強度がもたらされる。
【0011】
米国特許第5,563,233号明細書はポリオキシアルキレングリコール、グリコール及び有機ジイソシアナートの反応生成物である親水性ポリエーテルポリウレタンポリマーを開示している。同様に、米国特許第5,932,200号及び同第5,120,816号明細書はポリエチレングリコール及びジイソシアナートの反応生成物から誘導されるヒドロゲルから作られたコンタクトレンズを開示している。反応混合物に定性的に測定した量の水を入れることにより、主鎖中に尿素基を導入する。各場合に、水の存在下により主鎖中に尿素基の生成がもたらされ、それにより、コンタクトレンズ業界では望ましくない弾性率値に増加する。
【0012】
シリコーン含有ポリマーの使用はよりずっと高い酸素透過性を示すコンタクトレンズをもたらした。しかしながら、シリコーンの導入は表面湿潤化能の問題などの他のの悪い性能特性をもたらしうる。
【0013】
コンタクトレンズ技術に適するシリコーン含有材料は米国特許第6,312,706号明細書に開示されており、それは(a)重合性エチレン系不飽和有機基でエンドキャッピングされたポリシロキサン含有ウレタンプレポリマー、(b)トリス−(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート及び(c)親水性コモノマーを含むコモノマー混合物の重合生成物であるヒドロゲル材料を開示している。
【0014】
米国特許第4,136,250号明細書はモノオレフィン系モノマーを、主要量の分子量が約400〜約800であるジオレフィンもしくはトリオレフィン系ポリシロキサンベースマクロマーにより架橋されたものから形成されるポリマーを教示している。
【0015】
米国特許第4,962,178号明細書は酸素透過性メンブレン又は眼科デバイスとしての使用に適するシロキサン−ウレタンポリマーであって、総計ウレタン基を基準として、50〜80%の−C−NH−COO−C−基及び50〜20%の−C−NH−COO−Si−基を有し、(a)80〜95質量%のポリイソシアネートキャップされた直鎖もしくは枝分かれポリシロキサンプレポリマー及び20〜50質量%の末端シロキサノール基を有する直鎖ポリジアルキルもしくはポリジフェニル−シロキサンジシラノールの重合生成物から本質的になるものを開示している。
【0016】
米国特許第4,983,702号明細書は眼科デバイスの形態での架橋シロキサン−ウレタンポリマーを開示しており、そのポリマーは(a)ジ−もしくはポリヒドロキシアルキル置換アルキルポリシロサン及び(b)脂肪族、脂環式もしくは芳香族ジ−もしくはトリイソシアネートの重合生成物から本質的になり、ここで、成分(a)中のヒドロキシル基の合計数は成分(b)中のイソシアネート基の合計数と化学量論的に等しいが、ただし、(a)及び(b)の有効架橋量は存在し、そして2よりも大きい官能価を有する。
【0017】
米国特許第4,711,943号明細書は改良された酸素透過性及び安定性を有する非繊維性ポリマーコンタクトレンズ材料を開示しており、該材料は親水性でかつ−CO−N−もしくは−O−CO−N−(アクリルアミド)から選ばれる側鎖官能基を含む湿潤化能を増加する第一部分と、シロキサンを含む酸素透過性を増加する第二部分を有するモノマーを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は新規シリコーン含有ポリウレタン系材料で、コンタクトレンズ産業における使用に適する材料を提供しようとするものである。本発明のシリコーン含有ポリウレタン系材料は弾性率、酸素透過性、光透過性、表面濡れ性及び長期間にわたる装着者快適性などの面で模範的な物理的特性を示す熱可塑性コポリマーである。有利には、本明細書に記載された熱可塑性樹脂材料は従来の射出成形装置での使用に適しており、それにより、コンタクトレンズの高スループット生産を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の記載
本発明の第一の態様は、
(a)少なくとも1種のポリエチレングリコール、
(b)少なくとも1種のジイソシアネート、
(c)少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオール、
(d)少なくとも1種の式Iのジオール、
【0020】
【化1】

【0021】
(上式中、nは1〜25の整数であり、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4である)
を含む混合物から調製され、前記ポリエチレングリコール、ジイソシアネート、ポリジアルキルシロキサンジオール及びジオールは実質的に無水条件下に反応したものである、ポリウレタンキセロゲルに関する。
【0022】
1つの実施形態によると、ポリジアルキルシロキサンジオールは1個又は2個の末端カルビノール基を含み、通常、2個の末端カルビノール基を含む。有利には、本発明は、反応体として水を意図的に導入する当該技術分野に知られている方法とは対照的に、実質的に無水条件下に反応体を反応させ、すなわち、反応体として水を添加することなく反応させて、ポリウレタンキセロゲルを形成することを含む。尿素基の導入(反応混合物中に存在する水から形成される)は、材料の弾性率値を増加させ、そのことはコンタクトレンズ業界での使用のための材料では望ましくない。有利なことには、本発明は反応混合物から実質的に水を排除し、それにより、ポリマー主鎖中での尿素基の生成を最少限にし、より低い、より望ましい弾性率値を有する材料を生じるようにする。今回請求している材料は射出成形及び圧縮成形に適する熱可塑性ポリマーである。その材料は、コンタクトレンズを製造するために従来の非熱可塑性材料がキャスト成形されるのと同様にキャスト成形にも適する。
【0023】
本発明の第二の態様は水和状態の上記のとおりのポリウレタンキセロゲルを含むポリウレタンヒドロゲルに関する。
【0024】
本発明の第三の態様は、
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート、少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオール及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【0025】
【化2】

【0026】
(上式中、nは1〜25の整数であり、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4である)を含む混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、
を含む、ポリウレタンキセロゲルの調製方法に関する。
【0027】
本発明の第四の態様は上記の方法により得ることができるポリウレタンキセロゲルに関する。
【0028】
本発明の第五の態様は、上記のとおりのポリウレタンキセロゲルを調製すること、及び、前記ポリウレタンキセロゲルを水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成することを含む、ポリウレタンヒドロゲルの調製方法に関する。
【0029】
本発明の第六の態様は、上記の方法により得ることができるポリウレタンヒドロゲルに関する。
【0030】
本発明の第七の態様は、
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート、少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオール及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【0031】
【化3】

【0032】
(上式中、nは1〜25の整数であり、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4である)を含む反応混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された反応混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、及び、
(iii)前記ポリウレタンキセロゲルを射出成形して、成形品を形成すること、
の工程を含む、成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルの調製方法に関する。
【0033】
本発明の第八の態様は、上記のとおりの成形品の形態でポリウレタンキセロゲルを調製すること、及び、前記成形品を水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成することをを含む、成形品の形態でのポリウレタンヒドロゲルの調製方法に関する。
【0034】
本発明の第九の態様は上記のとおりのポリウレタンキセロゲル又はポリウレタンヒドロゲルの製造品に関する。
【0035】
本発明の第十の態様は上記のとおりのポリウレタンキセロゲル又はポリウレタンヒドロゲルを含むコンタクトレンズの調製における使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
定義
化合物の官能価は反応混合物中で反応することができる官能基の数を示すために用いる。そのため、「ジオール」は反応混合物中で反応することができる2個のヒドロキシル官能基を含む化合物を示し、「ジイソシアネート」は反応混合物中で反応することができる2個のNCO官能基を含む化合物を示すために用いる。
【0037】
「DK」はバーラー単位で提供される材料の酸素透過係数の測定値であり、ここで、1バーラー=10−11cm.mL.mmHgである。
【0038】
用語「ヒドロゲル」は10wt%以上の水を含むポリマーを示すために本明細書中に用いる。一般に、水性媒体中のヒドロゲルは、水を吸収し、そして元の乾燥形状を保持しているが、拡大されるであろう。ヒドロゲルは、有意に分解されなければ、水中に溶解して流体溶液を形成することはないであろう。
【0039】
用語「キセロゲル」は十分な水と接触したときにヒドロゲルを形成することができるポリマー材料を示すために用いる。一般に、キセロゲルは乾燥しており、5wt%未満の水を含む。
【0040】
用語「実質的に無水及び/又は脱水」は水の量が実質的に尿素基を有しないポリウレタン主鎖を生じるために十分に低い条件を示すために本明細書中に用いる。好ましくは、反応混合物中の水の量は約0.3wt%未満であり、より好ましくは約0.1wt%未満であり、さらにより好ましくは約0.05wt%未満である。
【0041】
用語「カルビノール」は炭素原子に結合したヒドロキシル官能基を示すために用いる。炭素原子は炭素原子(特に、炭化水素基の一部を形成する炭素原子)、Si、N及びOを含む非炭素原子に結合されてよい。
【0042】
用語「小さいアルキル基」は1〜6個の炭素原子、通常、1〜4個の炭素原子の炭素主鎖を有するアルキル基を示す。
【0043】
ポリマー材料
本発明はコンタクトレンズとしての使用に適するシリコーン含有ポリウレタンキセロゲル又はヒドロゲルに関する。そのポリマー材料はポリエチレングリコール、式Iのジオール、ポリジアルキルシロキサンジオール及び少なくとも1種のジイソシアネートを上記の条件下に反応させることにより調製される。
【0044】
好ましくは、本発明のポリマー材料は熱可塑性であり、すなわち、ポリマーは熱及び圧力に暴露されたときに軟化しそして流動化することができる。本明細書中に記載される熱可塑性ポリマーは反応キャスト成形に頼る方法と比較して大規模でレンズのコスト効率的な製造を行うことが可能であるから、コンタクトレンズ業界での使用に理想的である。
【0045】
さらに、水の不在(実際上達成されるかぎり)はポリマー主鎖中に尿素基の生成を最少限にし、それにより、より低い、コンタクトレンズ業界にとってより望ましい弾性率値を有する材料を提供する。
【0046】
有利には、組成物は第二級OH基を全く含まない。それゆえ、得られるポリマーは、高い熱安定性及び耐酸化分解性を示す。好ましくは、組成物は水不溶性である。
好ましくは、本発明のポリウレタンキセロゲルはコンタクトレンズの形態である。
【0047】
ポリエチレングリコール
本発明は少なくとも1種のポリエチレングリコール(PEG)の使用を伴う。
好ましくは、ポリエチレングリコールは分子量が約500〜約100,000であり、より好ましくは約1000〜約50,000であり、さらにより好ましくは約3000〜約10,000であり、なおもより好ましくは約5000〜約8000である。
【0048】
1つの非常に好ましい実施形態において、ポリエチレングリコールはPEG6000である。別の非常に好ましい実施形態において、PEGはPEG6088、PEG3350及びPEG1000から選択される。
【0049】
種々の分子量のポリエチレングリコールは市販されており、そして本発明のポリマー材料を提供するために使用されうる。2種以上の異なる分子量のポリエチレングリコールのブレンドも使用できる。
【0050】
好ましくは、ポリエチレングリコールは反応体の約20〜約80wt%の量、より好ましくは約30〜約70wt%、より好ましくは約35〜約60wt%、なおもより好ましくは反応体の約40〜約60wt%の量で使用される。
【0051】
ジオール
本発明のポリマー組成物は式Iのジオールである少なくとも1種の連鎖延長剤を用いて調製される。
【0052】
【化4】

【0053】
上式中、nは1〜25、好ましくは2〜25、適切には2〜10、より適切には2〜4の整数である。nが2以上である場合には、ジオールは1個以上のエーテル基を含む。このようなエーテル基の存在により、得られる組成物の親水性が増加する。
1つの実施形態において、ジオールはエチレングリコール(EG)であり、すなわち、nは1である。
1つの非常に好ましい実施形態において、ジオールはジエチレングリコール(DEG)であり、すなわち、nは2である。
1つの非常に好ましい実施形態において、ジオールはトリエチレングリコール(TEG)であり、すなわち、nは3である。有利なことには、TEGから得られる組成物は熱加工性ポリマーを製造し、それは完全に水で膨潤した状態で高い光透過率を示す。
1つの非常に好ましい実施形態において、ジオールはテトラエチレングリコール(TTEG)であり、すなわち、nは4である。
【0054】
好ましくは、ジオールは反応体の5〜約45wt%の量で使用され、より好ましくは反応体の約10〜約25wt%の量で使用される。
ジオールがEGである場合には、好ましくは、それは反応体の約2〜約10wt%の量で使用され、より好ましくは反応体の約2〜約6wt%の量で使用される。
ジオールがDEGである場合には、好ましくは、それは反応体の約5〜約20wt%の量で使用され、より好ましくは反応体の約10〜約16wt%の量で使用される。
ジオールがTEGである場合には、好ましくは、それは反応体の約8〜約45wt%の量で使用され、より好ましくは反応体の約14〜約30wt%の量で使用され、さらにより好ましくは反応体の約15〜約25wt%で使用される。
ジオールがTTEGである場合には、好ましくは、それは反応体の約20〜約30wt%の量で使用される。
【0055】
所与の組成物の範囲内のジオールの割合は材料の特性に影響を及ぼすことがある。ジオールはNCO基(たとえば、Desmodur W)と反応して、得られるポリマーマトリックス内に「ハード」ブロックを形成し、このハードブロックは材料に強度(引張特性)を与える。当業者は、このように、所与のジオールの割合が得られる材料の引張特性及びその他の特性を微調整するように調節されうるものと評価するであろう。
【0056】
好ましくは、式Iのジオールは、所与の組成物中において、PEGの量に対して約2〜約60モル当量の量で使用され、好ましくはPEGに対して約5〜約30当量、さらにより好ましくは約15〜約22モル当量の量で使用される。
【0057】
ジイソシアネート
本発明のポリマー組成物は少なくとも1種のジイソシアネートを用いて調製される。好ましくは、ジイソシアネートは有機ジイソシアネートである。ジイソシアネートは幾つかの異なる機能を発揮する。第一に、それはソフトセグメントを生じるポリエチレングリコール成分のカップリング剤として作用する。第二に、それはウレタンリッチのハードセグメントを生じるジオール成分のカップリング剤として作用する。第三に、それは得られるポリマーの分子量の増加のためのソフトセグメントとハードセグメントとのカップング剤として作用する。
【0058】
ジイソシアネートは好ましくは脂肪族ジイソシアネートである。周囲温度で流体である脂肪族ジイソシアネートは特に好ましい。
【0059】
好ましくは、ジイソシアネートは式OCN−R−NCO(式中、Rは直鎖もしくは枝分かれC−C18−アルキレン、未置換もしくはC−C−アルキル置換もしくはC−C−アルコキシ置換C−C10−アリーレン、C−C18−アラルキレン、C−C10−アリーレン−C−C−アルキレン−C−C10−アリーレン、C−C−シクロアルキレン、C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレン、C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレン−C−C−シクロアルキレン又はC−C−アルキレン−C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレンである)を有する。
【0060】
特に好ましいジイソシアネートの例としては、メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネートとトルエン−2,6−ジイソシアネートとの混合物、エチレンジイソシアネート、エチリデンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、4,4”−ビフェニレンジイソシアネート、3,3”−ジクロロ−4,4”−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、クメン−2,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,5−フルオレンジイソシアネート、ポリマー4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0061】
1つの非常に好ましい実施形態において、ジイソシアナート、デスモジュールW(Desmodur W)(メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、MW=262.5)である。
【0062】
好ましくは、ジイソシアネートは反応体の約0.05〜約55、より好ましくは約10〜約40、より好ましくは約20〜約40wt%の量で使用される。任意の所与の組成物中のジイソシアネートの量は関連するコンタクトレンズ特性/属性を変更させるように調節されうる。
【0063】
反応混合物の化学量論比(OH/NCO比)は得られるポリマーの特性を決定するのに重要な役割を果たし、たとえば、材料の分子量/弾性率は1:1のNCO:OH化学量論比では比較的により高いことが期待され、そしてこのような材料は、また、非化学量論比(たとえば、OH基>NCO基)を有する組成物により与えられるポリマーよりも比較的に低い水和時含水率を与えることが期待される。このように、当業者は所望の弾性率を有しそしてある程度の含水率を有する材料を得るようにNCO:OH化学量論比を調節することができるものと評価するであろう。
【0064】
1つの特に好ましい実施形態において、ポリエチレングリコール、連鎖延長剤及びジイソシアネートを、全体としてのNCO/OH比が1.2未満、好ましくは0.8〜約1.1、より好ましくは約0.85〜約0.99、より好ましくは約0.95〜約0.98となるような割合で用いる。
【0065】
好ましくは、触媒の存在下に反応を行う。触媒は重合反応を加速するために使用でき、そして当業者によって通常に使用されるいかなる触媒も使用できる。たとえば、適切な触媒としては、ジブチルスズジラウレート、FeCl、オクタン酸第一スズ、トリエチルアミンなどの第三級アミンなどが挙げられる。1つの非常に好ましい実施形態において、触媒はジブチルスズジラウレート(DBTDL)である。
【0066】
好ましくは、触媒は反応体の約0.01wt%〜約2.0wt%又は約0.01wt%〜約1.0wt%、より好ましくは約0.03〜約0.8wt%、さらにより好ましくは約0.05wt%〜約0.5wt%、なおもより好ましくは約0.05wt%〜約0.2wt%、より好ましくは約0.05wt%〜約0.1wt%の量で使用される。1つの非常に好ましい実施形態において、触媒は反応体の約0.05wt%の量で使用される。
【0067】
好ましくは、反応混合物は乾燥混合物の形態であり、すなわち、混合物は実質的に無水であり、そして実質的に水を排除している。好ましくは、反応混合物の成分は周囲温度で液体である。
【0068】
本発明の反応はジイソシアネートがランダムにPEG、ジオール及びポリジアルキルシロキサンジオールと反応して進行し、最終的に熱可塑性ポリマーマトリックス/材料を形成する。有利なことには、得られたポリマーマトリックスにより、高い酸素流束が可能となり、高DKレンズとなる。
【0069】
ポリジアルキルシロキサンジオール
本発明のポリマー材料は少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオールから調製される。
【0070】
本発明の反応はポリジアルキルシロキサンジオール、ジオール及びPEG成分のOH基をイソシアネート基と反応させ、ポリウレタンを形成することを含む。ポリジアルキルシロキサンは実質的に疎水性であり、一方、ジオール成分は実質的に親水性である。いかなる可能性として存在する相容性の問題をも克服するために、下記のとおり、最初に、ポリジアルキルシロキサン水素化末端物をヒドロシリル化反応においてアリルポリグリコールと反応させて、ポリジアルキルシロキサンジオール(以下において、「シリコーンマクロマー」とも呼ぶ)を形成する。
【0071】
【化5】

(上式中、Rはアルキルであり、pは1〜110の整数であり、そしてxは1〜324の整数である)
【0072】
上記の反応において、式IVの化合物の代わりに、他のアリルグリコールを用いてもよい。たとえば、代わりの反応体として下記のものが挙げられる。
【0073】
【化6】

【0074】
(上式中、qは1〜40の整数であり、rは1〜10の整数であり、そしてsは1〜25の整数である)
【0075】
好ましくは、ヒドロシリル化は触媒の存在下に行う。より好ましくは、触媒は白金触媒である。さらになおもより好ましくは、白金触媒はキシレン中の白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液(Pt約2%)である。
【0076】
ヒドロシリル化反応はポリジアルキルシロキサンの疎水性の性質を、OH官能基を有する比較的に親水性の反応性モノマーへと変性する。これにより、反応混合物中の他の共反応体との相容性が改良される。
【0077】
1つの特に好ましい実施形態において、ポリジアルキルシロキサンジオールはポリジメチルシロキサン水素化末端物(PDMS)を、ポリエチレングリコールモノアリルなどのアリルポリグリコールと反応させることにより調製される。
【0078】
1つの実施形態によると、ポリジアルキルシロキサンジオールは1個又は2個の末端カルビノール基を含む。
【0079】
特に、ポリジアルキルシロキサンジオールはシロキサン基とカルビノール基又は各カルビノール基との間にヒドロカルビル基を含んでよい。そのヒドロカルビル基は置換されていても又は未置換であってもよく、通常、1個以上の小さいアルキル基をにより置換されている。代わりに又は追加的に、ヒドロカルビル基は1個以上のエーテルもしくはエステル基を含んでよい。通常、ヒドロカルビル基は未置換である。又は、ヒドロカルビル基はエーテル基を含む。さらなる実施形態によると、ヒドロカルビル基はエステル基を含む。
【0080】
ヒドロカルビル基は、通常、5〜150個の炭素原子の炭素主鎖を有する。1つの実施形態によると、ヒドロカルビル基は未置換であり、そして1〜10個の炭素原子の炭素主鎖を有し、一般には、1〜5個の炭素原子、通常、3〜5個の炭素原子の炭素主鎖を有する。
【0081】
又は、ヒドロカルビル基はエーテル基を含み、そして5〜50個の炭素原子、通常、5〜40個の炭素原子の炭素主鎖を有する。
【0082】
さらなる実施形態によると、ヒドロカルビル基はエステル基を含み、そして90〜150個の炭素原子、通常、100〜150個の炭素原子の炭素主鎖を有する。
【0083】
一般に、ポリジアルキルシロキサンジオールは分子量が500〜10000、通常、1000〜7000である。
【0084】
通常、ポリジアルキルシロキサンジオールのアルキル基は小さいアルキル基である。1つの実施形態によると、ポリジアルキルシロキサンジオールはポリジメチルシロキサンジオールである。
【0085】
用語「シリコーンマクロマー」又は「カルビノール末端ポリジアルキルシロキサン」は、一般に、ジヒドロキシ末端ブロックコポリマーオキシエチレン−ジメチルシロキサン−オキシエチレン(たとえば、この文献に記載される式V)又はオキシプロピレン−ジメチルシロキサン−オキシプロピレンオキシド又はカプロラクトン−ジメチルシロキサン−カプロラクトンであって、異なる質量%の非シロキサン単位を含む異なる分子量のものを示すために使用する。幾つかのこのような化合物は、また、市販されており、たとえば、Gelest Inc.は分子量が約1000でかつ非シロキサン含有量が約20wt%であるDMS-C15、分子量が約3500〜4500でかつ非シロキサン含有量が約60wt%であるDBE-C25、分子量が約2500〜3200でかつ非シロキサン含有量が約45〜55wt%であるDBP-C22、分子量が約5700〜6900でかつ非シロキサン含有量が約50wt%であるDBL-31などの化合物を供給している。
【0086】
ポリジアルキルシロキサンジオールは、通常、式Vの構造を有する。
【化7】

【0087】
又は、ポリジアルキルシロキサンジオールは式VIの構造を有する。
【化8】

【0088】
(上式中、Rは小さいアルキル基であり、通常、メチルであり、Yはアルキル基(一般に、1〜25個の炭素原子、通常、1〜6個の炭素原子の炭素主鎖を有する)であり、pは1〜110の整数であり、xは1〜324の整数であり、そしてAは1〜25の整数であり、通常、1〜10であり、一般に3〜7であり、適切には5である)
【0089】
1つの実施形態によると、ポリジアルキルシロキサンジオールは式Vの構造を有しそして分子量(associated molecular weight)が600〜10000である。
【0090】
さらなる実施形態によると、ポリジアルキルシロキサンジオールは式VIの構造を有しそして分子量(molecular weight)が5500〜7000である。
【0091】
1つの実施形態によると、ポリジアルキルシロキサンジオールはオキシエチレン−ジメチルシロキサン−オキシエチレンブロックコポリマーである。又は、ポリジアルキルシロキサンジオールはオキシプロピレン−ジメチルシロキサン−オキシプロピレンブロックコポリマーである。さらなる実施形態によると、ポリジアルキルシロキサンジオールはカプロラクトン−ジメチルシロキサン−カプロラクトンブロックコポリマーである。
【0092】
ポリジアルキルシロキサンジオールは、上記の1種を超える化合物の混合物を含んでよい。具体的には、ポリジアルキルシロキサンジオールは1種を超える式V及び/又は式VIの化合物で、異なる分子量を有するものを含んでよい。
【0093】
1つの好ましい実施形態において、ポリジアルキルシロキサンジオールはヒドロキシエトキシプロピル末端PDMSである。
【0094】
1つの非常に好ましい実施形態において、ポリジアルキルシロキサンジオールはポリジメチルシロキサンジオールであり、すなわち、式III中でRがメチルである。
【0095】
好ましくは、出発のポリジアルキルシロキサン二水素化末端物は分子量が約200〜約12,000であり、さらにより好ましくは約500〜2000である。
【0096】
好ましくは、アリルポリグリコールは分子量が約200〜約2000であり、さらにより好ましくは約500〜約1200である。
【0097】
1つの特に好ましい実施形態において、シリコーンマクロマーはアリルポリグリコール1100及びPDMS水素化末端物(Mw=580)から製造されている2780である。
【0098】
別の特に好ましい実施形態において、シリコーンマクロマーはアリルポリグリコール500及びPDMS水素化末端物(Mw=580)から製造されている1580である。
【0099】
同様に、カルビノール(ヒドロキシル)末端ポリジメチルシロキサン、たとえば、一般構造が(オキシエチレン)−(ジメチルシロキサン)−(オキシエチレン)、(オキシプロピレン)−(ジメチルシロキサン)−(オキシプロピレン)及び(カプロラクトン)−(ジメチルシロキサン)−(カプロラクトン)であるコポリマーであって、異なる分子量を有しそして異なる非シロキサン含有分を有するものは使用できる。単純化のために、これらのいずれをも明細書中でシリコーンマクロマーと呼ぶことにする。
【0100】
反応の第二工程はポリジアルキルシロキサンジオール、PEG及びジオール成分のOH基をイソシアネートと反応させて、ポリウレタンを形成することを含む。本発明の反応はジイソシアネートがランダムにPEG、ジオール及びシリコーンマクロマーと反応して進行し、ポリマーマトリックスを形成する。有利なことには、得られたポリマーマトリックスにより、高い酸素流束が可能となり、高DKレンズとなる。
【0101】
触媒はポリウレタン生成を加速するために使用でき、そして当業者によって通常に使用されるいかなる触媒も使用できる。たとえば、適切な触媒としては、ジブチルスズジラウレート、オクタン酸第一スズ、トリエチルアミンなどの第三級アミンなどが挙げられる。1つの非常に好ましい実施形態において、触媒はジブチルスズジラウレート(DBTDL)である。
【0102】
好ましくは、触媒は反応体の約0.02wt%〜約1.0wt%、より好ましくは約0.05wt%〜約0.5wt%、なおもより好ましくは約0.05wt%〜約0.2wt%の量で使用される。
【0103】
追加成分
1つの好ましい実施形態において、組成物は1種以上の酸化防止剤をさらに含む。適切な酸化防止剤としてはBHA(ブチル化ヒドロキシルアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)及びアスコルビン酸が挙げられる。好ましくは、酸化防止剤はBHAである。
【0104】
好ましくは、酸化防止剤は任意の所与の組成物中の反応体の約0.01wt%〜約10wt%、より好ましくは反応体の約0.1〜約5wt%、さらにより好ましくは約0.2〜約1wt%の量で使用される。
【0105】
本発明の1つの実施形態によると、酸化防止剤は反応体の約1.0〜約3.0wt%の量で存在する。
【0106】
本発明の1つの好ましい実施形態において、組成物は、1種以上の追加成分、たとえば、弾性率変性剤、可塑剤、保湿剤、潤滑剤、加工助剤、粘度低下剤、相容性改良剤及び/又はポリマーマトリックス構造変性剤をさらに含む。好ましくは、追加成分は、反応体の0〜約20wt%、より好ましくは約2.5〜約10wt%、なおもより好ましくは約4〜約6wt%の量で存在する。
【0107】
適切な弾性率変性剤としては、ポリウレタンの弾性率特性を変更し、酸素透過特性をも変更しうる成分が挙げられる。1つの特に好ましい実施形態において、追加成分はポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(PEG DME)であり、それは弾性率変性剤、可塑剤、保湿剤/潤滑剤、加工助剤、粘度低下剤、相容性改良剤及びポリマーマトリックス構造変性剤として作用することができる。様々な分子量(たとえば、250、500、1000、2000)のPEG DMEは市販されており、本発明での使用に適している。好ましくは、本発明の目的のために、PEG DMEは1000の分子量を有する(たとえば、PEG DME−1000)。代わりとして、ポリエチレングリコールジブチルエーテルを使用することもできる。
【0108】
有利なことに、本発明のポリマー組成物にPEG DMEを導入することにより、低減された弾性率のレンズがもたらされる。好ましくは、本発明のポリマー組成物から調製されたレンズの弾性率は約0.1〜約1.2 MPa、より好ましくは約0.3〜約0.8MPa、さらにより好ましくは約0.4〜約0.5 MPaである。
【0109】
1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物は1種以上の着色剤をさらに含む。例として、コンタクトレンズ業界で一般に使用される適切な着色剤として下記のものが挙げられる:ベンゼンスルホン酸、4−(4,5−ジヒドロ−4−((2−メトキシ−5−メチル−4−((2−(スルホオキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アゾ−3−メチル−5−オキソ−1H−ピラゾール−1−イル)、[2−ナフタレンスルホン酸、7−(アセチルアミノ)−4−ヒドロキシル−3−((4−((スルホオキシエチル)スルホニル)フェニル)アゾ)−]、[5−((4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ−4−ヒドロキシ−3−((1−スルホ−2−ナフタレニル)アゾ−2,7−ナフタレンジスルホン酸三ナトリウム塩]、[銅、29H,31H−フタロシアニナト(2−)-N29,N30,N31,N32)−スルホ((4−((2−スルホオキシ)エチル)スルホニル)−フェニル)アミノ)スルホニル誘導体]及び[2,7−ナフタレンスルホン酸、4−アミノ−5−ヒドロキシ−3,6−ビス((4−((2−(スルホオキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アゾ)-四ナトリウム塩]。
【0110】
本発明における使用のための特に好ましい着色剤は、フタロシアニンブルー及びふタロシアニングリーンなどのフタロシアニン顔料、クロム−アルミナ−コバルト酸化物、酸化クロム、及び、赤、黄色、褐色及び黒色のための種々の酸化鉄、クロモフタールバイオレット及びクロモフタール酸化物グリーンである。有機顔料の使用、特にフタロシアニン顔料、特に、銅フタロシアニン顔料、さらにより具体的には銅フタロシアニンブルー顔料(たとえば、カラーインデックスピグメントブルー15、構成番号74160)の使用が好ましい。二酸化チタンなどの不透明化剤も含まれてよい。特定の用途では、着色剤の混合物は自然の虹彩の外観のより優れたシミュレーションに用いることができる。
1つの好ましい実施形態において、着色剤はリアクティブブルー4などのハンドリング着色剤である。
【0111】
好ましくは、着色剤の質量百分率は約0.0001%〜約0.08%、より好ましくは、0.0001%〜約0.05%である。1つの好ましい実施形態において、着色剤は、約0.005〜約0.08wt%の量で存在する。1つの好ましい実施形態において、着色剤の質量百分率は反応体の約0.0001%〜約0.04wt%、より好ましくは約0.0001%〜約0.03%である。
【0112】
1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物は1種以上のUV遮蔽剤又はUV吸収剤をさらに含む。UV吸収剤は、たとえば、約320〜380ナノメートルの範囲のUV−A範囲において比較的高い吸収値を示す強力なUV吸収剤であってよいが、約380nmより上では比較的透明である。好ましくは、UV遮蔽剤はAEHB(アクリルオキシエトキシヒドロキシベンゾフェノンC1816)など市販のUV遮蔽剤である。
【0113】
一般的に言えば、UV吸収剤は、存在する場合は、反応体の約0.5wt%〜約1.5wt%の量で提供される。特に好ましいのは約0.6wt%〜約1.0wt%のUV吸収剤を含み、より好ましくは反応体の約1.0wt%を構成する組成物である。
【0114】
着色剤及び/又はUV遮蔽剤は射出/圧縮成形によるレンズの形成後に、重合後のレンズ水和段階でレンズ中に装填されうる。又は、添加剤(たとえば、着色剤、UV遮蔽剤など)は溶融ポリマーと混合され、ペレット化の前に押出成形されうる。
【0115】
方法
本発明の別の態様は、
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート、少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオール及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【0116】
【化9】

【0117】
(上式中、nは1〜25の整数であり、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜4の整数である)を含む混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、
を含む、ポリウレタンキセロゲルの調製方法に関する。
【0118】
好ましくは、ポリウレタンキセロゲルは、その後、処理されて、コンタクトレンズなどの成形品を形成する。適切な処理技術はキャスト成形、射出成形、圧縮成形、スピンキャスト成形及び旋盤加工が挙げられる。さらに、ポリマー材料のシートを製造し、そしてデバイスを打ち抜くことができる。材料のシートは2枚のプレート(たとえば、テフロンプレート)の間に熱可塑性樹脂材料を圧縮することにより、また、有機溶剤中の材料の溶液から製造されうる。後者の場合には、溶剤を蒸発させる必要がある。
【0119】
有利には、本発明の方法は、反応体として水を添加せずに、実質的に無水条件下で反応体を反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成することを含む。これにより、当該技術分野において知られた方法とは対照的に、尿素基を実質的に含まないポリウレタン主鎖となる。水の不在(実施可能な限り)は膨潤水弾性率をコンタクトレンズのために望ましくない程度にまで増加しうる尿素基の有意な生成を抑制する。
【0120】
本明細書中で使用されるときに、「実質的に無水」という用語は、水の量が尿素基を実質的に含まないポリウレタン主鎖を生成するように十分に低い条件を指す。
【0121】
好ましくは、反応は実施上達成可能なかぎり少量の水を含んで行われる。より好ましくは、反応は実施上達成可能なかぎり少量の水を含んで行われる。より好ましくは、反応混合物中の水の量は、反応体の約0.3質量%未満であり、より好ましくは約0.1質量%未満、さらにより好ましくは、約0.05質量%未満である。
【0122】
本発明のさらなる態様は、上述の方法により得ることができるポリウレタンキセロゲルに関する。
【0123】
本発明の別の態様は、上記のとおりのポリウレタンキセロゲルを調製すること、及び、該ポリウレタンキセロゲルを水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成することを含む、ポリウレタンヒドロゲルを調製する方法に関する。
【0124】
本発明のなおも別の態様は、上記の方法により得ることができるポリウレタンヒドロゲルに関する。
【0125】
1つの好ましい態様において、触媒は反応混合物に添加される。適切な触媒(適切な量に関する指針とともに)は上記のとおりである。1つの非常に好ましい実施形態において、触媒は、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)である。
【0126】
追加の成分、たとえば、上記のとおりの弾性率変性剤、可塑剤、保湿剤、潤滑剤、加工助剤、粘度低下剤、着色剤、相容性改良剤及び/又はポリマーマトリックス構造変性剤も反応混合物中に存在してよい。
【0127】
上述のとおり、重合反応は実質的に無水条件下で行われる。好ましくは、反応体は可能な限り水含有分を減らすために真空下で脱水される。好ましくは、反応体(たとえば、ジオール成分及びPEG成分など)を、ロータリーエバポレータを用いて高温で真空下に脱水される。より好ましくは、反応体は少なくとも80℃、より好ましくは少なくとも95℃での温度で、真空下で脱水される。好ましくは、反応体は少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、さらにより好ましくは少なくとも4時間以上、高温にて真空下で脱水される。この脱水工程の後に、カールフィッシャーによって測定される反応体の水含有分は好ましくは<0.050%、より好ましくは、<0.035%である。脱水プロセスの条件及びタイミングは使用される機器及び脱水される材料の質量に依存するであろう。一般的に、より多量の材料は脱水により長い時間がかかる。場合により、他の方法は、たとえば、凍結乾燥などを脱水するために使用することもできる。
【0128】
1つの好ましい実施形態において、脱水されたジオール(及び、場合により、酸化防止剤及び/又は可塑剤)を炉内のビーカー中に入れ、そしてそれに、脱水された溶融状態のPEGを添加する。好ましくは、その後、必要量の触媒(たとえば、ジブチルスズジラウレート)を混合物に添加し、カールフィッシャー滴定を用いて湿分を決定する。通常、温度は約73℃±2℃に到達される。ビーカーを、その後、ヒュームフードに移し、内容物を徹底的に攪拌し、均質混合物を与える。必要量のジイソシアナート(たとえば、デスモジュールW(Desmodur W))を、その後、混合物に添加し、そして透明になるまで攪拌する。次いで、通常、この混合物を、蓋で密封した予熱済みポリプロピレンタブ中に分配し、通風室にある炉内で反応させる。
【0129】
1つの好ましい態様において、反応は約70℃〜約120℃、より好ましくは約80℃〜約110℃の温度で行う。1つの非常に好ましい実施形態において、反応は約90℃〜約100℃で行う。
【0130】
好ましくは、混合物を約0.5〜約24時間、より好ましくは約3〜約12時間反応させる。さらにより好ましくは、混合物を少なくとも約5〜約12時間、より好ましくは約8時間反応させる。得られる生成物のFTIRスペクトルにおける2260cm−1のNCO吸収帯の消失は反応が完了していることを示す。
製品を周囲温度に冷却し、そして、必要に応じて低温に冷却した後に、離型する。
好ましくは、製品を炉から取り出し、そして周囲温度に冷却させる。
1つの好ましい実施形態において、製品を成形型から取り出す前に、製品を約−30℃〜約−120℃に冷却する。
好ましくは、製品をフリーザ中で冷却する。なおもより好ましくは、製品を約−50℃〜約90℃、さらにより好ましくは約−60℃〜約−90℃の温度に冷却する。なおもさらに好ましくは、製品を約−80℃の温度に冷却する。好ましくは、製品を少なくとも20分、より好ましくは少なくとも60分間冷却する。
【0131】
有利には、冷却プロセスは、ポリマーマトリックス/材料を収縮させそして界面での相互作用を低減して、製品の離型性を向上させるガラス転移未満の温度をポリマー鎖に達成させることができる。また、冷却プロセスは、次いで行う材料の粒状化を促進/容易にし、粒状化では射出成形機に供給するのに適した顆粒を生成する。
【0132】
さらに別の態様は、コンタクトレンズの製造における、本発明に係るポリウレタンキセロゲル又はポリウレタンヒドロゲルの使用に関する。
【0133】
成形品の調製方法
本発明の別の態様は、
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート、少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオール及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【0134】
【化10】

【0135】
(上式中、nは1〜25、より好ましくは2〜10、より好ましくは2〜4の整数である)を含む反応混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された反応混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、及び、
(iii)前記ポリウレタンキセロゲルを射出成形して、成形品を形成すること、
の工程を含む、成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルの調製方法に関する。
【0136】
1つの好ましい実施形態において、工程(ii)において形成されたポリウレタンキセロゲルを、射出成形の前に、グライディング又はペレットの形成により粒状化し(通常、射出成形に適したペレットを形成するように押出しそしてチョッピングすることによる)、そして場合により真空下で乾燥させる。射出成形は、好ましくは、当業者に知られている従来の射出成形装置(たとえば、BOY 50M)を使用して行う。
【0137】
本発明のさらなる態様は、上記のとおりの成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルを調製すること、及び、該成形品を水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成することを含む、成形品の形態でのポリウレタンヒドロゲルの調製方法に関する。
【0138】
製造品
本発明の別の態様は、上記のとおりのポリマーを含む製造品に関する。
好ましくは、製造品はコンタクトレンズの形態である。
【0139】
コンタクトレンズは、レンズが通常の角膜の代謝を促進するために酸素透過性でなければならない。好ましくは、本発明のポリマー組成物を用いて調製したコンタクトレンズは、少なくとも10バーラー、より好ましくは少なくとも20バーラー、さらにより好ましくは少なくとも30バーラーのDK値を示す。なおもより好ましくは、レンズは少なくとも約40バーラー以上のDKを有する。
1つの好ましい実施形態において、レンズは約15〜約40バーラー、より好ましくは約25〜約40バーラーのDKを有する。
【0140】
コンタクトレンズは視覚的な欠陥を補正するには有効に機能するために、可視領域の光を透過させることができなければならない。好ましくは、本発明のポリマー組成物を用いて調製したコンタクトレンズは、光透過率が少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%又は97%である。好ましくは、光透過率は、約90〜約100%、より好ましくは約95〜約100%であり、なおもより好ましくは100%である。
【0141】
好ましくは、本発明のポリマー組成物を用いて調製したコンタクトレンズは、弾性率が約0.1〜約1.25MPaであり、より好ましくは約0.25〜約0.75MPaである。
【0142】
コンタクトレンズの弾性率は、ソフトコンタクトレンズの機械特性を制御するのに重要な役割を果たす。さらに、眼上での性能は弾性率により直接的に影響を受ける。1.25MPaを超える値は角膜汚染を生じさせる可能性があり、一方、0.1MPaを下回る弾性率は低い取り扱い特性を有するレンズをもたらす可能性がある。
【0143】
好ましくは、本発明のポリマー組成物を用いて調製したコンタクトレンズは、水含有分が10〜約90質量%、より好ましくは約20〜約80質量%、より好ましくは約25〜約75質量%、さらにより好ましくは約30〜約70質量%、なおもより好ましくは約40〜約70質量%である。
【0144】
レンズの平衡含水率は材料特性の関数であり、レンズのバルク、機械及び物理特性を決定する上で重要な役割を果たす。水は酸素を通過させるための媒体を提供し、弾性率はレンズの眼上での特性/性能を支配する。
【実施例】
【0145】
本発明は下記の非限定的な実施例を参照してさらに説明される。

例1:シリコーンマクロマー1580の調製
成分及び実際の質量を下記に規定する。
-ポリジメチルシロキサン水素化末端物(Aldrich 423785)
-ポリエチレングリコールモノアリル(ポリグリコール(Polyglycol)A500及びA1100、Clariant)
-キシレン中の白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液、Pt約2wt%(Aldrich 479519)(白金触媒)
20.050gのポリジメチルシロキサン水素化末端物を3つ口フラスコに添加し、そしてオイルバス中に入れた。その後、白金触媒を添加した。内容物の温度が50℃のときに、ポリエチレングリコールモノアリルA500(34.527g)を50分にわたってシリンジ針をとおして滴下して加え、その間、フラスコの内容物をマグネティックスターラにより攪拌した。反応混合物の温度は65℃に上昇し、そしてその温度に維持した。モノアリルポリエチレングリコールの添加の後に、反応温度を65℃に維持し、さらに2時間反応を続けさせた。その後、フラスコをオイルバスから持ち上げて取り出し、放置して周囲温度へと冷却した。
【0146】
例2:シリコーンマクロマー2780の調製
40.012gのポリジメチルシロキサン水素化末端物を3つ口フラスコに添加し、そしてオイルバス中に入れた。その後、白金触媒を添加した。内容物の温度が50℃のときに、溶融したポリエチレングリコールモノアリルA1100(151.692g)を約1時間にわたってシリンジ針をとおして滴下して加え、その間、フラスコの内容物をマグネティックスターラにより攪拌した。さらに4時間反応を続けさせ、そして温度を65±2℃に維持した。その後、フラスコをオイルバスから持ち上げて取り出した。生成物は乳白色に見え、そして室温で固化した。
【0147】
例3:シリコーンマクロマー1580をベースとするPEG−Si IMポリマーの製造方法
PEG 6000(Clariant)であるポリ(エチレングリコール)を95℃で真空下に4時間脱水した。その数平均分子量(Mn)は末端基分析によって測定した。分析により数平均分子量Mn=6088を得た。同様に、数平均分子量は使用した他のポリエチレングリコールについても測定し、下記の表で表示された例で参照した。
【0148】
ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、テトラエチレングリコール(TTEG)及びエチレングリコール(Aldrich)をカールフィッシャーにより、湿分含量につきチェックし、湿分含量が<0.035%であるならば、これらの材料は実質的に無水状態であると考え、さらなる脱水を行わずに使用し、さもなければ、ロータリーエバポレータを用いて95℃で最低で2時間、これらを真空下で脱水した。ClariantからのPEG3350(Mn=3350)を、真空下で95℃で4時間、又は、通常、<0.050%である低レベルの湿分含量が達成されるまで脱水を行った。
【0149】
Mettler Toledo(AG 285)天秤を用いて、BHA(0.1836g)を秤量ボート上で秤量し、そしてクイックフィット250mlフラスコ中に添加し、その後、シリコーンマクロマー1580(14.1421g)を同フラスコに添加した。フラスコに栓をして、炉内に95℃で15分間置き、BHAを溶解させた。脱水されたTEG(16.186g)をフラスコに添加し、バス温度95℃でロータリーエバポレータに接続し、フラスコの内容物を脱気し、慎重に回転させ、気泡の大部分が消失するまで1又は2回転最初に与え、その後、約5分間にわたって回転させて完全に脱気した。一旦脱気されると、シリンジ及び微細針をとおしてDBTDL(0.0576g)を添加し、フラスコの内容物を渦旋回させることにより混合した。脱水された溶融状態のPEG3350(30.48g)をフラスコに添加し、それを再び約5分間脱気した。最後にデスモジュールW (Desmodur W)(33.316g)を適切量含むシリンジをとおしてフラスコに添加した。フラスコに栓をし、フラスコをゆっくりと回転させることにより内容物を混合し、気泡の生成を抑制した。
【0150】
その後、この混合物を通常の方法によりレンズ成形型中に分配し、そして閉止した。別途、残りの材料を、予熱されたポリプロピレンカップに分配し、それをスクリューキャップ蓋により覆った。レンズ成形型及びポリプロピレンカップを95℃の炉内に入れ、5時間反応させた。得られた生成物はキャスト成形されたレンズの形態であり、フリーザー中で−80℃で30分間冷却することによりポリプロピレンカップから離型した。レンズを塩類溶液を含むガラスバイアルに直接入れた。
【0151】
これらのレンズは水和の24時間後に透明に見え、550nmのUV透過率が>95%となった。レンズを弾性率を決定するためにも使用した。
【0152】
ポリプロピレンカップからの生成物を、SG造粒機(たとえば、Shini Plastic Technologies Inc.)を用いて粒状化した。これらの粒状物を市販の射出成形機(BOY 50M)に装填し、そして標準レンズ成形型ツールを使用して雌型部品へ成形した。これらの成形品は水和時に透明のままであった。
【0153】
粒状物を圧縮成形により幾つかのレンズ成形品を製造するために用いた。これらのレンズ状成形品を用いて材料のDKを決定した。
【0154】
これらの結果は材料の熱可塑性を証明する。成形品の水分含有分も決定した。
【0155】
例4
上記と同一の方法を用いてこの組成物を製造したが、反応体の量を表1に示す値にしたがって変更した。レンズ製品は水和の後に透明に見え、550nmのUV透過率が>95%となった。
【0156】
ポリプロピレンカップからの製品を成形サイクルに付し、そして成形品を上手く成形した。これらの結果は材料の熱可塑性を確認した。材料は、また、圧縮成形によりレンズ状成形品を製造するために用い、報告された材料の特性を決定するために使用した。
【0157】
水分含量
含水率は下記式を用いることでレンズの乾燥重量及び水和重量の測定後に計算される。
含水率(%)=(Whydrated lens−Wdry lens)/Whydrated lens×100
【0158】
過剰な表面水を除去した5つの水和レンズを分析用天秤で別々に秤量し、そして平均値をWhydrated lensとした。レンズを、その後、炉内で75℃にて2時間乾燥し、そして別々に再度秤量した。平均値をWdry lensとした。
【0159】
%透過率
%透過率は、ダブルビームUV分光光度計(Jasco V530)を使用してISO8599の指示の下で決定した。標準塩類溶液を含むキュベット中にレンズを入れる。キュベットをサンプルコンパートメント中に配置する。塩類溶液を含む対照用キュベットをUV分光光度計の参照コンパートメントに配置し、スペクトルを%透過率として200〜780nmで記録した。試験をさらに4回繰り返し、550nmでの平均値(%透過率)を記録した。
このように製造したコンタクトレンズを従来の方法によりスチーム滅菌し、又は、UV滅菌技術を含む他の方法により滅菌することができる。
【0160】
DK測定
以下に簡単に記載するとおりのポーラログラフ技術を用いてDK測定(すなわち、酸素透過係数)を行った。10個のレンズを35±0.5℃に設定したガレンカンプインキュベータに24時間入れた。10個の各レンズの中心厚(CT)をRehder ET-3電子厚みゲージにより測定し、そしてこれらのレンズを以下のとおりに積層した:単一レンズスタック、2つのレンズスタック、3つのレンズスタック、4つのレンズスタック。各スタックのCTを3回測定し、それぞれの平均値を計算し、その方法用に特に開発されたスプレッドシートに入れた。また、周囲圧力もスプレッドシートに記録した。レンズのスタックを、35±0.5℃及び湿度>98%に設定したインキュベータに再び入れた。
各スタックを電極上に置き(8.7 mmの電極を有するRehder Permeometer)、レンズと電極との間に閉じ込められた気泡が存在しないことを確認した。電流がその最低点に達したときに、読み取り値をスプレッドシートの該当セクションに記録した。このテストを、すべてのスタックに対して繰り返した。
酸素が電極をとおして通過できないときの測定装置の暗電流読み取り値(バックグラウンド)を記録し、すべてのテスト材料の電流値から差し引いた。酸素分圧及び使用したポーラログラフセンサの表面積を考慮してデータを分析し、そして最終的に縁効果を補正した。その後、DK/t補正値vs.厚さ(cm)のグラフをプロットし、最良適合の傾きの逆数を取って、レンズ材料の透過係数(DK)を示す。
【0161】
弾性率データ
マーリンソフトウェアを含むInstron 5842引張試験システムを使用した引張試験により、本発明に従って調製されたコンタクトレンズの弾性率データを測定した。
基準/規制の相関:ISO 9001 :2008 (品質基準: Par 7.6; ISO 13485:2003 メディカルデバイスディレクティブ(Medical Device Directive): Par 7.6; FDA Part 820 QS 規制サブパートG: 検査、モニタリング及び試験装置の制御(Control of inspection, monitoring and test equipment) 820.72。
【0162】
サンプル調製
各レンズに対する厚さ読み取り値をET-3厚さゲージを使用して得た。レンズを切断マット上に平らに置き、2つの長い試料片を、カミソリ刃を用いて平面レンズの中央付近から切り出した。これらの切断した片をサンプル皿中の塩水溶液中に入れた。ピンセットを慎重に用いて、最初に上部クランプに、その後に、下部クランプに接触するようにして、サンプルをクランプに装着した。クランプ間のギャップを、目盛り付きノギスを用いて10mmに設定した。一度設定したら、「ゲージ長さ」を設定するために「リセットGL」ボタンを押した。一度サンプルを装着したら、バランス荷重を0.000Nに設定し、コンソールコントロールを使用して試験した。
【0163】
表1は現在請求しているPEG−Si−射出成形(PEG−Si−IM)組成物の例を示す。組成物4及び5の550nmでのUV透過率は>95%であった。
【0164】
表2は現在請求しているPEG−Si−IM組成物のさらなる例を示す。
【0165】
本発明の記載した態様の様々な変更及び変形は本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者に明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載されてきたが、特許請求される本発明はそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことは理解されるべきである。実際、本発明を実施するのに記載された実施形態であって、関連分野の当業者に明らかである様々な変更は特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0166】
【表1】

【0167】
【表2】

【0168】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のポリエチレングリコール、
(b)少なくとも1種のジイソシアネート、
(c)少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオール、及び、
(d)少なくとも1種の式Iのジオール、
【化1】

(上式中、nは1〜25の整数である)
を含む混合物から調製され、前記ポリエチレングリコール、ジイソシアネート、ポリジアルキルシロキサンジオール及びジオールは実質的に無水条件下に反応したものである、ポリウレタンキセロゲル。
【請求項2】
前記ジイソシアネートは脂肪族ジイソシアネートである、請求項1記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項3】
前記ジイソシアネートは式OCN−R−NCO(式中、Rは直鎖もしくは枝分かれC−C18−アルキレン、C−C−シクロアルキレン、C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレン、C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレン−C−C−シクロアルキレン又はC−C−アルキレン−C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレンである)を有する、請求項1又は2記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項4】
前記ジイソシアネートはメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(Desmodur W)である、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項5】
前記ジオールはトリエチレングリコール(TEG)である、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項6】
前記ジオールはジエチレングリコール(DEG)である、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項7】
前記ジオールは式Iを有し、そしてnは2〜25の整数である、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項8】
前記ジオールはテトラエチレングリコール(TTEG)である、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項9】
前記ポリジアルキルシロキサンジオールはカルビノール末端を有する、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリマー。
【請求項10】
前記ポリジアルキルシロキサンジオールは式V
【化2】

(上式中、Rはアルキルであり、pは1〜110の整数であり、そしてxは1〜324の整数である)を有する、請求項9記載のポリマー。
【請求項11】
式Vのポリジアルキルシロキサンジオールは、式IIIのポリジアルキルシロキサン水素化末端物を、式IVのアリルポリグリコールと反応させることにより調製されるものである、請求項10記載のポリマー。
【化3】

【請求項12】
前記ポリジアルキルシロキサンジオールは式VI
【化4】

(上式中、Rは小さいアルキル基であり、典型的にメチルであり、Yはアルキル基であり、pは1〜110の整数であり、xは1〜324の整数であり、そしてAは1〜25の整数である)を有する、請求項9記載のポリマー。
【請求項13】
1種以上の酸化防止剤、より好ましくは、BHA(ブチル化ヒドロキシルアニソール)をさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項14】
前記混合物は1〜3wt%の酸化防止剤を含む、請求項13記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項15】
前記混合物は触媒をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項16】
前記触媒はスズ、亜鉛、ビスマス及びジルコニウム触媒などの遷移金属触媒、アミン又はポリアミンである、請求項15記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項17】
前記触媒は、ジブチルスズジラウレート、FeCl、オクタン酸第一スズ、トリエチレンアミンから選ばれ、好ましくは、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)である、請求項16記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項18】
1種以上の着色剤、より好ましくは、リアクティブブルー4(Reactive Blue 4)をさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項19】
1種以上のUV遮蔽剤、より好ましくは、AEHB(アクリルオキシエトキシヒドロキシベンゾフェノン)をさらに含む、請求項1〜18のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項20】
弾性率変性剤、可塑剤、保湿剤及び/又は潤滑剤、より好ましくはPEG DME1000及び/又はPEG DME250をさらに含む、請求項1〜19のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲルを水和状態で含む、ポリウレタンヒドロゲル。
【請求項22】
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート、少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオール及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【化5】

(上式中、nは1〜25の整数である)を含む混合物を調製すること、及び、
(ii)工程(i)にて形成された混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、
を含む、ポリウレタンキセロゲルの調製方法。
【請求項23】
請求項22の方法により得ることができる、ポリウレタンキセロゲル。
【請求項24】
請求項22記載のポリウレタンキセロゲルを調製すること、及び、該ポリウレタンキセロゲルを水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成すること、
を含む、ポリウレタンヒドロゲルの調製方法。
【請求項25】
請求項24の方法により得ることができるポリウレタンヒドロゲル。
【請求項26】
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート、少なくとも1種のポリジアルキルシロキサンジオール及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【化6】

(上式中、nは1〜25の整数である)を含む反応混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された反応混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、及び、
(iii)前記ポリウレタンキセロゲルを射出成形して、成形品を形成すること、
の工程を含む、成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルの調製方法。
【請求項27】
工程(ii)にて形成されたポリウレタンキセロゲルを射出成形の前に粒状化させる、請求項26記載の方法。
【請求項28】
工程(iii)を成形型中で行い、そして工程(iii)の後に、該成形型からコンタクトレンズを取り出す前に、該成形型を約−30℃〜約−120℃の温度に冷却する、請求項26及び27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
請求項26〜28のいずれか1項記載の成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルを調製すること、及び、前記成形品を水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成することを含む、成形品の形態でのポリウレタンヒドロゲルの調製方法。
【請求項30】
前記成形品はコンタクトレンズである、請求項26〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
請求項1〜20もしくは請求項23のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル、又は、請求項21もしくは請求項25記載のポリウレタンヒドロゲルを含む、製造品。
【請求項32】
コンタクトレンズの形態である、請求項31記載の製造品。
【請求項33】
請求項1〜20もしくは請求項23のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル、又は、請求項21もしくは請求項25記載のポリウレタンヒドロゲルのコンタクトレンズの調製における使用。

【公表番号】特表2013−510217(P2013−510217A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537440(P2012−537440)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/GB2010/002020
【国際公開番号】WO2011/055108
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(512115922)オキュテック リミティド (2)
【Fターム(参考)】