説明

コンタクト手段を直接コンタクティングする装置および圧力測定セル用の付属の接続装置

【課題】後加工のための製作手間を最小限に抑え、貴金属コストを減少させる。
【解決手段】コンタクトキャリヤ3に配置された第1のコンタクト手段12と、該第1のコンタクト手段に所定のコンタクト力Fで作用する第2のコンタクト手段5とを備え、コンタクトキャリヤ3は、電気メッキ可能な第1のプラスチック13と電気メッキ不可能な第2のプラスチック11とから成るプラスチック前射出成形体から成り、第1のプラスチック13は規定された弾性特性を有し、第1のコンタクト手段12は金属層12.1により形成されており、該金属層は電気メッキプロセス中に第1のプラスチック13に被着可能であり、第1のプラスチック13の弾性特性および金属層の寸法は、コンタクト力Fの作用を受けて、第1のコンタクト手段12に第2のコンタクト手段5を案内する微小凹部12.2が生ぜしめるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトキャリヤに配置された第1のコンタクト手段と、
該第1のコンタクト手段に所定のコンタクト力で作用する第2のコンタクト手段とを備え、
前記コンタクトキャリヤは、電気メッキ可能な第1のプラスチックと電気メッキ不可能な第2のプラスチックとから成る少なくとも1つのプラスチック前射出成形体(プラスチックプレ射出成形体)から成っている、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、回路キャリヤを備えた、圧力測定セル用の付属の接続装置であって、前記回路キャリヤは円筒状の第1のキャリヤ部分と、円筒状の第2のキャリヤ部分とを有し、該第1のキャリヤ部分と該第2のキャリヤ部分とは方形の中央部分を介して互いに結合されており、前記第2のキャリヤ部分に少なくとも1つの第1の導電性接着剤ドームが配置されており、該第1の導電性接着剤ドームは適当な結合技術と結合剤とによって圧力測定セルとコンタクティング可能であり、前記中央部分に少なくとも1つの第2の導電性接着剤ドームが配置されており、該第2の導電性接着剤ドームは適当な結合技術と結合剤とによって、少なくとも1つの電子構成部品および/または少なくとも1つの電子構成部品を備えたプリント配線板とコンタクティング可能であり、前記第2のキャリヤ部分および前記中央部分は、前記第1の導電性接着剤ドームを前記第2の導電性接着剤ドームに電気的に接続するために、少なくとも1つの、外側に位置する三次元の導体路を有し、前記第1のキャリヤ部分に直接コンタクティングするための少なくとも1つのコンタクト手段が配置されており、前記第1のキャリヤ部分および前記中央部分は、前記第2の導電性接着剤ドームを前記コンタクト手段に電気的に接続するために、少なくとも1つの、外側に位置する三次元の別の導体路を有し、前記回路キャリヤは、電気メッキ可能な第1のプラスチックと電気メッキ不可能な第2のプラスチックとから成る少なくとも1つのプラスチック前射出成形体から成っており、前記導体路と前記第1および第2の導電性接着剤ドームとは、電気メッキプロセスによって、前記電気メッキ可能な第1のプラスチックに金属製の表面被覆体として被着されている形式の接続装置に関する。
【背景技術】
【0003】
国際公開第2009/007286号に基づき、たとえば圧力測定セル用の接続ユニットが公知である。この公知の接続ユニットは、特にハイドロリックブロックの圧力を検出する少なくとも1つの圧力測定セルと、少なくとも1つの回路キャリヤ(回路成形部品)とを有する。この回路キャリヤには、少なくとも1つの電子構成素子および/または電子構成素子を備えたプリント配線板を配置することができる。圧力測定セルは少なくとも1つの接続点を有し、この接続点を介して少なくとも1つの電気的な出力信号が圧力測定セルから取出し可能となる。回路キャリヤはこの接続点を電子構成素子とコンタクティングするために、外側に位置する少なくとも1つの導体路を有する。さらに、少なくとも1つのコンタクト手段が設けられており、このコンタクト手段を介して電子構成素子の出力信号が取出し可能となる。この場合、この電子構成素子は回路キャリヤに設けられた、外側に位置する少なくとも1つの導体路を介して前記コンタクト手段に接続されている。圧力測定セルと回路キャリヤとの間のコンタクティングもしくは回路キャリヤとプリント配線板もしくは電子構成素子との間のコンタクティングは、相応する導電性接着剤結合部を介して行われる。導電性接着剤結合部を形成するためには、回路キャリヤが、導電性接着剤ドームを有し、圧力測定セルもしくはプリント配線板もしくは電子構成素子が、対応する導電性接着剤面を有する。回路キャリヤは好ましくは、電気メッキ可能な第1のプラスチックと、電気メッキ不可能な第2のプラスチックとから成る、少なくとも1つのプラスチック前射出成形体から成っている。この場合、前記導体路および前記導電性接着剤ドームは、電気メッキプロセスにおいて金属製の表面被覆体として、電気メッキされたプラスチック上に形成される。この接続ユニットを取付け制御装置と解離可能に直接コンタクティングするためには、相応するコンタクト手段が、好ましくはコンタクトリベットとして形成されている。コンタクトリベットは導電性接着剤によって、前記導体路に接続された所定の開口内に接着固定される。取付け制御装置への直接コンタクティングの他には、当該接続ユニットに別の電気的な接続を形成するために、導電性接着剤のような付加的な結合剤が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/007286号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、後加工のための製作手間を最小限に抑えることを可能にすると共に、貴金属コストを減少させることを可能にするような、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置ならびに圧力測定セル用の所属の接続ユニットもしくは接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために本発明の、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置の構成では、冒頭で述べた形式の装置において、コンタクトキャリヤの前記電気メッキ可能な第1のプラスチックは、規定された弾性特性を有し、前記第1のコンタクト手段は、規定された寸法を有する金属層により形成されており、該金属層は電気メッキプロセス中にコンタクトキャリヤの前記電気メッキ可能な第1のプラスチックに被着可能であり、前記電気メッキ可能な第1のプラスチックの弾性特性および前記金属層の寸法は、前記所定のコンタクト力の作用を受けて、前記第1のコンタクト手段に前記第2のコンタクト手段を案内する微小凹部を生ぜしめるようにした。
【0007】
さらに上記課題を解決するために本発明の接続装置の構成では、冒頭で述べた形式の接続装置において、前記少なくとも1つのコンタクト手段は第1のコンタクト手段として、請求項1から5までのいずれか1項記載の、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置を介して、第2のコンタクト手段とコンタクティングされているようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明による、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置ならびに圧力測定セル用の対応する接続ユニットには、従来のものに比べて次のような利点がある。すなわち、MID回路キャリヤの直接コンタクティングのための金属から成る付加的なコンタクト構成部分を不要にすることができる。なぜならば、本発明により構成されたMIDコンタクト面が直接コンタクティングのために使用されるからである。MID回路キャリヤの全ての導電性コンポーネント、たとえば導体路、導電性接着剤ドームおよびコンタクト手段が同じ作業工程で電気メッキされるので、本発明の構成は、後加工のための製作手間を最小限に抑えることを可能にすると共に、前記MIDコンタクト面の小さな金層厚さに基づいて貴金属コストを減少させることを可能にするので有利である。
【0009】
使用される電気メッキ可能な第1のプラスチックは、好ましくは金属基板よりもはるかに良好な流れ特性もしくは射出成形特性を有し、そして射出成形のプロセスによって金属基板よりも大きな形状デザイン自由度を有する。これにより、コンタクト面ならびに信号路を形成するために、金属基板を用いるよりもはるかに多くの可能性が得られる。さらに、被覆されたMIDコンタクト面の使用により、重量節約およびコンタクトインタフェースの低減が得られる。なぜならば、被覆されたMIDコンタクト面は同時に、直接コンタクティングのためのコンタクト部位となるからである。MIDコンタクト面は、たとえば分離ウェブによって互いに分離され得る。分離ウェブは射出成形過程の間、電気メッキ不可能な第2のプラスチックから製造される。分離ウェブは好ましくは、一層良好な電位分離を可能にし、そして導電性のダスト、たとえば金属チップにより生ぜしめられる恐れのある、MIDコンタクト面の間の短絡を阻止することができる。
【0010】
被着された金属層のコンタクト硬度には、電気メッキ層列および/または層厚さにより影響を与えることができる。好ましくは、本発明による、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置の構成は、既存の全てのコンタクトジオメトリ(コンタクト幾何学的形状)、たとえばコンタクトリベット、コンタクトプレート等を形成することができる。
【0011】
本発明の構成は、コンタクトキャリヤに配置された第1のコンタクト手段と、この第1のコンタクト手段に所定のコンタクト力で作用する第2のコンタクト手段とを有する、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置を提供する。コンタクトキャリヤは少なくともプラスチックプレ射出成形体もしくはプラスチック前射出成形体から成っており、このプラスチック前射出成形体は、電気メッキ可能な第1のプラスチックと電気メッキ不可能な第2のプラスチックとから成っている。本発明によれば、コンタクトキャリヤの電気メッキ可能な第1のプラスチックは、規定された弾性特性を有し、第1のコンタクト手段は、規定された寸法を有する金属層により形成されており、この金属層は電気メッキプロセス中にコンタクトキャリヤの電気メッキ可能な第1のプラスチックに被着可能である。この場合、電気メッキ可能な第1のプラスチックの弾性特性および前記金属層の寸法は、前記所定のコンタクト力の作用を受けて、第1のコンタクト手段に第2のコンタクト手段を案内するためのマイクロ凹部もしくは微小凹部を生ぜしめる。
【0012】
本発明の構成は、プラスチックキャリヤの弾性特性と金属層の剛性とを有利に組み合わせる。このことは、金属層の厚さを設定する際に、所定の限界値を設定し、この限界値が超えられないように金属層の厚さが設定されることを意味する。この限界値が超えられてしまうと、金属層によってのみコンタクトエレメントの剛性特性が決定され、微小凹部がもはや形成されなくなる。プラスチックキャリヤの弾性特性の他に、作用するコンタクト力や金属層の有効面も、金属層の厚さの限界値に影響を与える。
【0013】
本発明による、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置の構成は、形成された微小凹部の案内特性に基づき、コンタクト移動を減少させ、ひいては金属層の表面の摩耗を減少させるので有利である。これにより、本発明による、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置は、圧力測定セルと取付け制御装置との、ほぼ摩耗のない電気的および機械的な接続を寿命にわたって可能にするので有利である。この場合、たとえば取付け制御装置を交換するために、取付け制御装置に対する接続をいつでも解離させることができる。
【0014】
さらに、本発明の構成により、回路キャリヤを備えた、圧力測定セル用の接続装置が提供される。回路キャリヤは円筒状の第1のキャリヤ部分と、円筒状の第2のキャリヤ部分とを有し、第1のキャリヤ部分と第2のキャリヤ部分とは方形の中央部分を介して互いに結合されている。第2のキャリヤ部分には、少なくとも1つの第1の導電性接着剤ドームが配置されており、この第1の導電性接着剤ドームは適当な結合技術と結合剤とによって圧力測定セルとコンタクティング可能である。中央部分には、少なくとも1つの第2の導電性接着剤ドームが配置されており、この第2の導電性接着剤ドームは適当な結合技術と結合剤とによって、少なくとも1つの電子構成部品および/または少なくとも1つの電子構成部品を備えたプリント配線板とコンタクティング可能である。さらに、第2のキャリヤ部分および中央部分は、第1の導電性接着剤ドームを第2の導電性接着剤ドームに電気的に接続するために、少なくとも1つの、外側に位置する三次元の導体路を有する。第1のキャリヤ部分には、直接コンタクティングのための少なくとも1つのコンタクト手段が配置されており、第1のキャリヤ部分および中央部分は、第2の導電性接着剤ドームをコンタクト手段に電気的に接続するために、少なくとも1つの、外側に位置する三次元の別の導体路を有する。回路キャリヤは少なくともプラスチック前射出成形体から成っており、このプラスチック前射出成形体は、電気メッキ可能な第1のプラスチックと電気メッキ不可能な第2のプラスチックとから成っている。この場合、導体路と導電性接着剤ドームとは、電気メッキプロセスによって、電気メッキ可能な第1のプラスチックに金属製の表面コーティングもしくは表面被覆体として被着されている。本発明の構成では、前記少なくとも1つのコンタクト手段が、第1のコンタクト手段として、上で述べた、コンタクト手段を直接コンタクティングする本発明による装置を介して、第2のコンタクト手段とコンタクティングされている。
【0015】
回路キャリヤは、たとえばMID−2色技術によって製造することができる。すなわち、射出成形された回路キャリヤ、つまり回路成形部品(Moulded Interconnected Device)は、2色、つまり2成分から成り、両成分は電気メッキ可能な第1のプラスチックと、この電気メッキ可能な第1のプラスチックに部分的に被さるように射出成形される電気メッキ不可能な第2のプラスチックとから成っている。前射出成形体の部分的に突出した表面は、電気メッキプロセスにおいて金属製の表面で被覆されるので、外側に位置する導体路、導電性接着剤ドームおよびMIDコンタクト手段が形成される。このように射出形成されたMID回路キャリヤの使用は本使用事例において特に好適となる。なぜならば、改善されたデザイン自由度および電気的な機能と機械的な機能との統合に基づいて、圧力測定セル用の接続ユニットの小型化を推し進めることができるからである。
【0016】
選択的に、回路キャリヤは、レーザによって直接に構造化されるMIDによって製造することもできる。その場合、MID回路キャリヤは、導体路の部位がレーザによって構造化され、その後に電気メッキプロセスにより金属製の表面で被覆され、これにより外側に位置する導体路、導電性接着剤ドームおよびMIDコンタクト手段が形成されるような射出成形部品から成っている。
【0017】
請求項2以下に記載の特徴および改良形により、請求項1に記載の、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置ならびに請求項6に記載の、圧力測定セル用の接続装置の有利な改良が可能となる。
【0018】
本発明による装置の有利な構成では、金属層の層厚さが、約10〜30μmの範囲にある。対応するコンタクト力は、たとえば1〜2.5Nの範囲にある。
【0019】
本発明による装置の別の有利な構成では、金属層を、たとえば銅および/またはニッケルおよび/または金から形成することができる。金属層は好ましくは、それぞれ約5〜20μmの範囲の厚さを有する銅層およびニッケル層を含む。この場合、まず最初に銅層が形成され、次いで閉鎖層として約0.05〜0.2μmの範囲の厚さを有する金層が形成される。このことは、たいてい0.8μmよりも大きな金層厚さを有する、金で被覆された慣用のコンタクトエレメントの場合よりもはるかに小さい。
【0020】
本発明による接続装置の有利な構成では、第1のコンタクト手段の金属層が、正しい向きを調整するための方向付けのための特徴を備えた、規定された形状を有する。すなわち、金属層は、たとえば小幅の端部と広幅の端部とを備えた「涙形状」または「滴形状」を有することができる。改善された向き調整手段の他に、涙形状または滴形状には、次のような利点がある。すなわち、必要となる円形のコンタクト面が、貫通コンタクティング部のために必要となる面によって制約されない。なぜならば、貫通コンタクティング部を金属層の小幅の端部の範囲に配置することができるからである。付加的に、または択一的に、複数の前記第1のコンタクト手段が、規定された位置決め部によって第1のキャリヤ部分に配置されており、この場合、前記位置決め部は、方向付けのための特徴を成す。すなわち、2つの隣接し合う涙形の金属層はたとえば、それぞれ両小幅の端部または両広幅の端部が互いに向かい合わされるように、あるいは小幅の端部が広幅の端部に向かい合わされるように配置することができる。
【0021】
本発明による接続装置のさらに別の有利な構成では、第1の導電性接着剤ドームが、たとえばろう接結合および/または接着結合および/またはボンディング結合によって圧力測定セルとコンタクティング可能である。同様に、第2の導電性接着剤ドームも、ろう接結合および/または接着結合および/またはボンディング結合によって、少なくとも1つの電子構成部品および/または少なくとも1つの電子構成部品を備えたプリント配線板とコンタクティングされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置の概略的な断面図である。
【図2】圧力測定セル用の本発明による接続装置に用いられる回路キャリヤの概略的な斜視図である。
【図3】圧力測定セル用の本発明による接続装置に用いられる回路キャリヤの別の概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。図面中、同一の機能もしくは同様の機能を実施するコンポーネントもしくは構成要素は同じ符号で示されている。
【0024】
図1から判るように、コンタクト手段を直接コンタクティングする本発明による装置1は、コンタクトキャリヤ3に配置された第1のコンタクト手段12と、第2のコンタクト手段5とを有する。第2のコンタクト手段5は、たとえばコンタクトばねとして形成されていて、予め規定されたコンタクト力Fで第1のコンタクト手段12に作用している。コンタクトキャリヤ3は少なくとも1つのプラスチック前射出成形体(プレ射出成形体)を有し、このプラスチック前射出成形体は電気メッキ可能な第1のプラスチック13と、電気メッキ不可能な第2のプラスチック11とから成っている。
【0025】
本発明によれば、コンタクトキャリヤ3の電気メッキ可能な第1のプラスチック13が、規定された弾性特性を有し、第1のコンタクト手段12は規定された寸法を有する金属層12.1により形成されている。この金属層12.1は電気メッキプロセスにおいて、コンタクトキャリヤ3の電気メッキ可能な第1のプラスチック13に被着可能である。この場合、電気メッキ可能な第1のプラスチック13の弾性特性および金属層12.1の寸法に基づき、規定されたコンタクト力Fの作用を受けて、第2のコンタクト手段5を第1のコンタクト手段12内に案内する微小凹部(破線で示す)12.2が生ぜしめられる。金属層12.1の層厚さDは、好ましくは約10〜30μmの範囲にあり、コンタクト力Fは1〜2.5Nの範囲にある。図示の金属層厚さは、本発明を分かり易くすべく、縮尺通りに描かれておらず、大幅に拡大されて描かれている。
【0026】
図示の実施形態では、金属層12.1は、銅から成る基層と、ニッケルから成る中間層と、金から成る閉鎖層とから形成されている。銅層およびニッケル層は、それぞれ約5〜20μmの範囲の厚さを有する。金層は、約0.05〜0.2μmの範囲の厚さを有する。
【0027】
好ましくは、コンタクト手段を直接コンタクティングする本発明による装置1は、図2および図3に図示されている回路キャリヤ7を備えた圧力測定セル用の接続装置に設けられた取付け制御装置を備えた、分離可能な外部コンタクティング部のために使用される。
【0028】
図2および図3から判るように、回路キャリヤ7の図示の実施形態は、円筒状の第1のキャリヤ部分10と、円筒状の第2のキャリヤ部分30とを有する。第1第2の両キャリヤ部分10,30は方形の中央部分20を介して互いに結合されている。回路キャリヤ7は少なくともプラスチック前射出成形体から成っており、このプラスチック前射出成形体は、図2および図3には見えていない電気メッキ可能な第1のプラスチック13と、電気メッキ不可能な第2のプラスチック11とから成っている。第2のキャリヤ部分30には、4つの第1の導電性接着剤ドーム32が配置されている。これらの導電性接着剤ドーム32は、適当な結合技術と結合剤とを用いて、圧力測定セル(図示しない)とコンタクティング可能である。中央部分20には、8つの第2の導電性接着剤ドーム22が配置されている。これらの第2の導電性接着剤ドーム22は適当な結合技術と結合剤とを用いて、少なくとも1つの電子構成部品(図示しない)および/または少なくとも1つの電子構成部品を備えたプリント配線板(図示しない)とコンタクティング可能である。さらに、第2のキャリヤ部分30および中央部分20は、第1の導電性接着剤ドーム32を第2の導電性接着剤ドーム22に電気的に接続するために、外側に位置する三次元のそれぞれ少なくとも1つの導体路24,34を有する。第1のキャリヤ部分10には、直接コンタクティングのための4つの第1のコンタクト手段12が配置されている。これらの第1のコンタクト手段12はそれぞれ、規定の寸法を有する金属層12.1として形成されていて、電気メッキプロセスにおいてコンタクトキャリヤ3の電気メッキ可能な弾性的な第1のプラスチック13に被着されている。さらに、第1のキャリヤ部分10および中央部分20は、第2の導電性接着剤ドーム22を第1のコンタクト手段12に電気的に接続するために、少なくとも1つの別の、外側に位置する三次元の導体路14,24を有する。導体路14,24,34および導電性接着剤ドーム22,32も、金属製の表面被覆体として電気メッキプロセスにより、電気メッキ可能な第1のプラスチック13に被着され、この場合、回路キャリヤ7のコンポーネント12,14,24,34の電気メッキは1回の作業工程で実施される。
【0029】
回路キャリヤ7は、好ましくはいわゆる「MID−2K技術」で形成される。回路キャリヤ7はプラスチックから成る射出成形された回路キャリヤ7としてMID技術(Moulded Interconnected Device)で製造されていて、特に2成分(2K)射出成形で製造されている。MID技術により、三次元の回路構造を実現することができる。電気メッキ可能な第1のプラスチック13から成るプラスチック前射出成形体を部分的に覆うように、電気メッキ不可能な第2のプラスチック11が射出成形される。前射出成形体の部分的に突出した表面は、電気メッキプロセスによって金属製の表面で被覆されるので、三次元の、外側に位置する導体路14,24,34、導電性接着剤ドーム22,32および第1のコンタクト手段12が形成される。回路キャリヤ7は、高いデザイン自由度、特に電気的な機能と機械的な機能との統合の点ですぐれている。これにより、圧力測定セル用の接続ユニットを特にコンパクトに形成することができる。
【0030】
圧力測定セルの構造および作用様式は、公知先行技術に基づき十分に知られている(たとえば冒頭で挙げた国際公開第2009/007286号参照)ので、詳しい説明は省略する。
【0031】
回路成形部品である回路キャリヤ7は、図示されていない圧力測定セルに装着される。この場合、ほぼ円筒状に形成された第2のキャリヤ部分30の形状および寸法は、圧力測定セルの形状および寸法に適合されている。第2のキャリヤ部分30は、回転位置を位置調整しかつ圧力測定セルに機械的に位置固定するための2つのウェブ38を有する。圧力測定セルのコンタクト点(接点)を回路キャリヤ7の導体路34と電気的にコンタクティングさせるためには、4つの第1の導電性接着剤ドーム32が形成されている。これらの第1の導電性接着剤ドーム32の上面には、圧力測定セルと回路キャリヤ7との電気的なコンタクティングおよび機械的な固定のために、導電性接着剤を被着させることができる。組付け時では、上で述べたウェブ38により、圧力測定セルに設けられた対応するコンタクト面に対する4つの第1の導電性接着剤ドーム32の回転位置適正な位置決めが可能となる。さらに、相応する接着面を備えたウェブ38を圧力測定セルに接着することができる。回路キャリヤ7の円筒状の第2のキャリヤ部分30は、互いに向かい合って位置する2つのセンタリングウェブ37によって閉じられる。これらのセンタリングウェブ37は、第1の導電性接着剤ドーム32とは逆向きの軸方向に張り出している。回路キャリヤ7の円筒状の第2のキャリヤ部分30は上方に向かって、プリント配線板(図示しない)を収容するための方形の中央部分20へ移行している。この中央部分20の一方の側には、真ん中の区分に沿って軸方向にセンタウェブ26が配置されている。このセンタウェブ26の、外側に位置する面には、プリント配線板を回路キャリヤ7に固定するための固定用接着剤を被着させることができる。さらに、回路キャリヤ7の方形の中央部分20の、プリント配線板の収容のために働く側には、8つの第2の導電性接着剤ドーム22が配置されている。これらの第2の導電性接着剤ドーム22は中央部分20の方形の基体に対して少しだけ外側へ向かって張り出している。これらの第2の導電性接着剤ドーム22には、プリント配線板を導体路24と電気的にコンタクティングさせるために、導電性接着剤が施与される。
【0032】
上方へ向かって、回路キャリヤ7は円筒状の第1のキャリヤ部分10で終わっている。すなわち、回路キャリヤ7の上端部は円筒状の第1のキャリヤ部分10を有している。図3から判るように、4つの第1のコンタクト手段12の金属層12.1は、小幅の端部12.3と広幅の端部12.4とを備えた「涙形状」もしくは「滴形状」を有する。この場合、小幅の端部および広幅の端部は、回路キャリヤ7を回転方向で正しい位置で取り付けるための方向付けのための特徴として用いられる。付加的に、小幅の端部には、それぞれ対応する導体路14に対する貫通コンタクティング部16が設けられており、これにより向き調整が容易となると共に、取付け制御装置に設けられた第2のコンタクト手段に関連して好ましくは円形に形成されている所要の有効コンタクト面が制限されなくなる。向き調整は、4つの第1のコンタクト手段12の図示の位置決めによって一層改善され得る。すなわち、図示の実施形態において、図面で見て下側の、2つの隣接した涙形の第1のコンタクト手段12は、たとえば両広幅の端部が互いに向かい合わされるように配置されている。図面で見て上側の2つの隣接した涙形の第1のコンタクト手段12は、たとえば両小幅の端部が互いに向かい合わされるように配置されている。4つの第1のコンタクト手段12は、分離ウェブ15によって互いに分離されている。これらの分離ウェブ15は射出成形過程の際に、電気メッキ不可能な第2のプラスチック11から製作される。分離ウェブ15は好ましくは電位分離の改善を可能にすると共に、導電性の汚れ、たとえば金属チップにより生ぜしめられる恐れのある、第1のコンタクト手段12の間での短絡を阻止することができる。
【0033】
回路キャリヤ7の円筒状の第1のキャリヤ部分10には、センタウェブ26に対する延長上に、真ん中のセンタリングウェブ28が配置されている。このセンタリングウェブ28はプリント配線板に設けられた対応するセンタリング補助手段と協働する。プリント配線板には、電子構成素子、たとえば集積回路、抵抗、コンデンサ等を装備させることができる。さらに、プリント配線板は側方の切欠きを有し、これらの切欠きは回路キャリヤ7に設けられた外側のセンタリングウェブ37と協働する。プリント配線板の裏面には、8つの導電性接着剤面が設けられており、これらの導電性接着剤面を介して、圧力測定セルの入力信号および出力信号が案内され、出力信号は第1のコンタクト手段12に伝送される。回路キャリヤ7の方形の中央部分20に設けられた第2の導電性接着剤ドーム22および導体路24と、回路キャリヤ7の第2のキャリヤ部分30に設けられた導体路34および第1の導電性接着剤ドーム32とを介して、プリント配線板の導電性接着剤面は、圧力測定セルのコンタクト点に、相応する導電性接着剤結合により導電接続される。同様にして、プリント配線板の集積回路の出力信号は第1のコンタクト手段12へ案内される。すなわち、出力信号はやはり、相応する導電性接着剤面を介して導電性接着剤によって第2の導電性接着剤ドーム22とコンタクティングされる。各導電性接着剤ドーム22と電気的にコンタクティングされた、外側に位置する導体路24は、中央部分20に沿って第1のキャリヤ部分10の第1のコンタクト手段12の方向に案内される。その場合、金属層12.1として形成された第1のコンタクト手段12は、分離可能な電気的な接続のためのコンタクト面を形成する。図示されていない対応部分は、たとえばコンタクトばねまたはばねピンとして形成された4つの第2のコンタクトエレメント5から成っている。これら4つの第2のコンタクトエレメント5は電気的な制御装置内に固定されていて、規定されたコンタクト力Fで第1のコンタクト手段12に作用する。
【0034】
圧力測定セル用の前記接続ユニットは、特に自動車内のブレーキシステムにおける使用のために適しているが、しかしこれに限定されるものではない。特に、プレミアムクラスのブレーキシステムにおいては、極めて制約された構成スペース内で多数の圧力センサが使用される。したがって、構成スペースを最小限に抑えられた圧力センサが、他ならぬこのような使用のために適している。
【符号の説明】
【0035】
1 装置
3 コンタクトキャリヤ
5 第2のコンタクト手段
7 回路キャリヤ
10 第1のキャリヤ部分
11 第2のプラスチック
12 第1のコンタクト手段
12.1 金属層
12.2 微小凹部
12.3 小幅の端部
12.4 広幅の端部
13 第1のプラスチック
14 導体路
15 分離ウェブ
16 貫通コンタクティング部
20 中央部分
21 導体路
22 第2の導電性接着剤ドーム
24 導体路
26 センタウェブ
28 センタリングウェブ
30 第2のキャリヤ部分
32 第1の導電性接着剤ドーム
34 導体路
37 センタリングウェブ
38 ウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトキャリヤ(3)に配置された第1のコンタクト手段(12)と、
該第1のコンタクト手段(12)に所定のコンタクト力(F)で作用する第2のコンタクト手段(5)とを備え、
前記コンタクトキャリヤ(3)は、電気メッキ可能な第1のプラスチック(13)と電気メッキ不可能な第2のプラスチック(11)とから成る少なくとも1つのプラスチック前射出成形体から成っている、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置において、
コンタクトキャリヤ(3)の前記電気メッキ可能な第1のプラスチック(13)は、規定された弾性特性を有し、前記第1のコンタクト手段(12)は、規定された寸法を有する金属層(12.1)により形成されており、該金属層(12.1)は電気メッキプロセス中にコンタクトキャリヤ(3)の前記電気メッキ可能な第1のプラスチック(13)に被着可能であり、前記電気メッキ可能な第1のプラスチック(13)の弾性特性および前記金属層(12.1)の寸法は、前記所定のコンタクト力(F)の作用を受けて、前記第1のコンタクト手段(12)に前記第2のコンタクト手段(5)を案内する微小凹部(12.2)を生ぜしめるようになっていることを特徴とする、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置。
【請求項2】
前記金属層(12.1)の層厚さ(D)が、約10〜30μmの範囲にある、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記コンタクト力(F)は1〜2.5Nの範囲にある、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記金属層は銅および/またはニッケルおよび/または金から形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記金属層(12.1)は、それぞれ約5〜20μmの範囲の厚さを有する銅層およびニッケル層を有し、さらに前記金属層(12.1)は閉鎖層として約0.05〜0.2μmの範囲の厚さを有する金層を有する、請求項4記載の装置。
【請求項6】
回路キャリヤ(7)を備えた、圧力測定セル用の接続装置であって、前記回路キャリヤ(7)は円筒状の第1のキャリヤ部分(10)と、円筒状の第2のキャリヤ部分(30)とを有し、該第1のキャリヤ部分(10)と該第2のキャリヤ部分(30)とは方形の中央部分(20)を介して互いに結合されており、前記第2のキャリヤ部分(30)に少なくとも1つの第1の導電性接着剤ドーム(32)が配置されており、該第1の導電性接着剤ドーム(32)は適当な結合技術と結合剤とによって圧力測定セルとコンタクティング可能であり、前記中央部分(20)に少なくとも1つの第2の導電性接着剤ドーム(22)が配置されており、該第2の導電性接着剤ドーム(22)は適当な結合技術と結合剤とによって、少なくとも1つの電子構成部品および/または少なくとも1つの電子構成部品を備えたプリント配線板とコンタクティング可能であり、前記第2のキャリヤ部分(30)および前記中央部分(20)は、前記第1の導電性接着剤ドーム(32)を前記第2の導電性接着剤ドーム(22)に電気的に接続するために、少なくとも1つの、外側に位置する三次元の導体路(14,24)を有し、前記第1のキャリヤ部分(10)に直接コンタクティングするための少なくとも1つのコンタクト手段(12)が配置されており、前記第1のキャリヤ部分(10)および前記中央部分(20)は、前記第2の導電性接着剤ドーム(22)を前記コンタクト手段(12)に電気的に接続するために、少なくとも1つの、外側に位置する三次元の別の導体路(24,34)を有し、前記回路キャリヤ(7)は、電気メッキ可能な第1のプラスチック(13)と電気メッキ不可能な第2のプラスチック(11)とから成る少なくとも1つのプラスチック前射出成形体から成っており、前記導体路(14,24,34)と前記第1および第2の導電性接着剤ドーム(22,32)とは、電気メッキプロセスによって、前記電気メッキ可能な第1のプラスチック(13)に金属製の表面被覆体として被着されている形式の接続装置において、
前記少なくとも1つのコンタクト手段(12)は第1のコンタクト手段(12)として、請求項1から5までのいずれか1項記載の、コンタクト手段を直接コンタクティングする装置を介して、第2のコンタクト手段(5)とコンタクティングされていることを特徴とする、圧力測定セル用の接続装置。
【請求項7】
前記第1のコンタクト手段(12)の金属層(12.1)は、方向付けのための特徴を備えた、規定された形状を有する、請求項6記載の接続装置。
【請求項8】
複数の前記第1のコンタクト手段(12)は、規定された位置決めによって前記第1のキャリヤ部分(10)に配置されており、前記位置決めが、方向付けのための特徴を成している、請求項6または7記載の接続装置。
【請求項9】
前記第1の導電性接着剤ドーム(32)は、ろう接結合および/または接着結合および/またはボンディング結合によって圧力測定セルとコンタクティング可能である、請求項6から8までのいずれか1項記載の接続装置。
【請求項10】
前記第2の導電性接着剤ドーム(22)は、ろう接結合および/または接着結合および/またはボンディング結合によって、少なくとも1つの電子構成部品および/または少なくとも1つの電子構成部品を備えたプリント配線板とコンタクティング可能である、請求項6から9までのいずれか1項記載の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−96994(P2013−96994A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237754(P2012−237754)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】