説明

コンダクタンスの制御が改良された弁組立体

流路及び該流路を取り囲む環状面を有するハウジングと、閉じた位置まで可動であるスライド板と、環状面とスライド板との間に配置されたシールリングとを有する弁組立体である。シールリングは、第一の側部と、第二の側部と、該第一の側部と第二の側部との間を伸び且つ、ハウジングの環状面に面する第一の面と、第一の面から軸方向に隔てられ且つ、第一の側部と第二の側部との間を伸び、スライド板に面する第二の面とを有している。第二の面は、シールリングがスライド板に対して偏倚されたとき、スライド板と接触し、連続的な環状の密封部分とスライド板との間に流体密のシールが形成されるようにする連続的な環状の密封部分と、環状の密封部分と第二の側部との間に配置された少なくとも1つの通路とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、弁組立体、より具体的には、改良されたコンダクタンスの制御を提供する通路を有する新規且つ改良された弁組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
スライド弁又は仕切弁組立体は、全体として、入口と出口との間を伸びる流路を画成するハウジングを有している。スライド弁組立体は、例えば、プロセスチャンバと真空ポンプとの間に接続されて、例えば、133.332Pa(1トル)以下の程度の圧力のような極めて低い圧力(高真空圧)にて行われる半導体製造過程又はその他の薄膜の被覆過程にて使用されるもののような、高純度気体の供給システムの一部分を形成することができる。かかる場合、弁組立体の入口のフランジは、プロセスチャンバに固定される一方、弁組立体の出口のフランジは、真空ポンプに固定される。
【0003】
スライド弁組立体は、開いた位置と閉じた位置との間にて弁組立体の軸線に対して横方向に動くスライド板を有している。振子型スライド弁組立体において、スライド板は、ピボットアームにより回転可能な軸に接続されている。完全に開いた位置において、スライド板は、ハウジングの経路から外れるように動いて、流体が流路に自由に入り且つ流路から出ることができる一方、閉じた位置において、スライド板は、弁組立体の出口を取り囲む弁座又は環状面と密着するように動き、このため、流路を通るコンダクタンスが制限される。
【0004】
振子型弁組立体において、スライド板の動きは、通常、完全に開いた位置と中間位置との間にて回転(すなわち、回動又は横方向)動作を必要とし、また、その次に、中間位置からスライド板が出口の弁座と密着する位置まで少なくとも幾つかの長手方向(すなわち、平行移動、直線状又は軸方向)動作を必要とする。この回転動作と平行移動動作との組み合わせを得るため、幾つかの先行の振子弁は、典型的に、多数のアクチュエータ要素を使用している。振子弁組立体は、流路から外れる第一の開いた位置と、流路内の第二の閉じた位置と、弁座に対して制御可能な最小コンダクタンス位置との間にてスライド板の位置を制御することによりプロセスチャンバと真空ポンプとの間にて気体の流れを制御するのを助ける。
【0005】
幾つかの既存の振子弁は、シールリングがスライド板に対し独立的に作動されるとき、完全な密封(隔離)効果を提供するためシールリングを利用する。完全な密封は、例えば、プロセスチャンバをクリーニングする間、有用であり、また、通常、半導体の製造工程の間でのみ生じる。例えば、ヴァットホールディング(VAT Holding)AGに譲渡されたブライダ(Brida)に対する米国特許第5,577,707号明細書には、流路を有するハウジングと、通路を通る流れを制御するスライド板と、流路を取り囲むシールリングとを備える振子型スライド弁が開示されている。シールリングは、スライド板が閉じた位置まで回動するとき、スライド板に向けて且つ、スライド板から離れるよう可動である。シールリングは、スライド板がその閉じた位置にあるとき、ばね又は圧縮空気を使用してスライド板に対して偏倚され、スライド板を弁座に対して緊密に閉じ且つ、スライド板とシールリングとの間にシールを形成する。シールリングは、典型的に、弁組立体の隔離機能を提供するものであり、コンダクタンスを制御するため使用されない。通常、シールリングは、静止状態に保持され、また、スライド板は動いてコンダクタンスを制御する。
【0006】
プロセスチャンバと真空ポンプとの間の距離は、例えば、加工装置の製造スペースを保存し且つ、プロセスチャンバと真空ポンプとの間のコンダクタクスを最大にするといった色々な理由のため、可能な限り短くすることが好ましいことを理解すべきである。従って、振子型組立体及びその他の型式のスライド弁又は仕切弁には、入口及び出口の外側フランジ間に可能な限り最小の寸法(すなわち、フランジからフランジへの寸法)が与えられる。
【特許文献1】米国特許第5,577,707号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
幾つかの既存の仕切弁又は振子型における1つの短所は、弁は、弁が最初に開く間、流れ(コンダクタンス)の制御が不良な点である。例えば、仕切りが弁ハウジングの開口部から分離し始めると、コンダクタンスは急激に増大する。一般に、仕切りと開口部との間に重なり合い部分がある(すなわち、仕切りは開口部よりも大きい直径を有する)ので、仕切りが最初に動く結果、コンダクタンスの変化は、僅かにあるにしても殆ど無い。このため、全体的なコンダクタンスは、コンダクタンスの変化を殆ど含まず、その後、コンダクタンスは極めて急速に変化し(仕切りが閉じられたときは、その逆となる)、その結果、この弁の作動範囲にてコンダクタンスの制御は不良となる。
【0008】
1つの既存の振子弁組立体は、コンダクタンスの制御を改良するため回転するカム機構を利用する。本発明の譲受人に譲渡され且つ、参考として引用し本明細書に含めた、オルムステッド(Olmsted)に対する米国特許明細書6,089,537号には、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間にてスライド板の回転及び平行移動動作を正確に制御する簡単な回転カム機構を使用する改良された振子弁組立体が開示されている。全て本発明の譲受人に譲渡され且つ、参考として引用し本明細書に含めた米国特許明細書6,161,576号、米国特許明細書6,328,051号及び米国特許明細書6,409,149号にも改良された振子弁組立体及びシステムが開示されている。
【0009】
しかし、弁組立体のフランジからフランジへの寸法を増すことを必要とせずに、改良されたコンダクタンスを提供する振子弁組立体が更に望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、弁組立体のフランジからフランジの寸法を増大させることを必要とせずに、改良されたコンダクタンスを提供する新規且つ改良された弁組立体を提供するものである。新規且つ改良された弁組立体は、流路及び該流路を取り囲む環状面を有するハウジングと、該ハウジング内に配置されたスライド板であって、スライド板が流路を通る流れを妨害する閉じた位置と、スライド板が流路を通る流れを許容する開いた位置との間にて流路の軸線に対して横方向に可動である上記スライド板と、ハウジングの環状面とスライド板との間に配置されたシールリングとを有している。シールリングは、流路の軸線に対し全体として平行に伸びる第一の側部と、第一の側部から半径方向外方に隔てられ且つ、流路の軸線に対し全体として平行に伸びる第二の側部と、第一及び第二の側部間を伸び且つ、ハウジングの環状面に面する第一の面と、第一の面から軸方向に隔てられ且つ、第一及び第二の側部間を伸び、また、スライド板に面する第二の面とを有している。
【0011】
1つの一例としての実施の形態に従い、シールリングの第二の面は、シールリングがスライド板に対して偏倚されるとき、スライド板と接触する連続的な環状の密封部分を有しており、このため、連続的な環状の密封部分とスライド板との間に流体密のシールを形成することができ、また、スライド板がシールリングに対して動く間、シールリングとスライド板との間のコンダクタンスを増大させるため環状の密封部分と第二の側部との間に配置された少なくとも1つの通路を有している。
【0012】
その他の形態及び有利な効果の内、本発明の弁組立体は、スライド板の制御可能な最小コンダクタンスの位置(minimum controllable conductance position)付近にコンダクタンスの更なる制御を実現する通路を有する振子弁組立体を提供する。特に、弁が開いたとき、スライド板がシールリングに向けて動く際、コンダクタンスの制御を改良し得るよう通路がシールリング内に設けられている。これらの通路は、弁組立体のフランジからフランジへの寸法を増大させることを必要とせずに、改良されたコンダクタンスを有益に提供する。
【0013】
別の一例としての実施の形態に従い、シールリングに面するスライド板の面は、シールリングがスライド板に対して偏倚されるとき、シールリングと接触し、このため、連続的な環状の密封部分とシールリングとの間に流体密のシールを形成することができる連続的な環状の密封部分と、スライド板がシールリングに対して動く間、シールリングとスライド板との間のコンダクタンスを増大させ得るよう摺動板の環状の密封部分と半径方向外側部との間に配置された少なくとも1つの通路とを有している。
【0014】
更なる一例としての実施の形態に従い、弁組立体は、シールリング無しにて提供され、スライド板及びハウジングの環状面の一方は、スライド板が動く間、スライド板と環状面との間のコンダクタンスを増大させる少なくとも1つの通路を有している。
【0015】
本発明の更なる形態及び有利な効果は、本発明を実施するため考えられる最良の形態を単に一例として示す、本発明の一例としての実施の形態を示し且つ説明する、以下の詳細な説明から当該技術分野の当業者に容易に明らかになるであろう。理解し得るように、本発明は、その他の及び異なる実施の形態が可能であり、また、その幾つかの詳細は色々な明白な点にて形態変更可能であり、これらは全て本発明の範囲から逸脱するものではない。従って、図面及び説明は、性質上一例であり、限定的なものではないとみなすべきである。
【0016】
全体を通じて同一の参照番号を有する要素は同様の要素を示す添付図面に関して本発明を説明する。
【好ましい実施の形態の詳細な説明】
【0017】
図1、図3及び図4を参照すると、先行技術に従って製造された振子弁組立体10の一例としての実施の形態は、全体として、入口18と出口20との間を伸びる流路14を画成するハウジング12を有している。弁座22、24が開口部18、20の端縁の周りにてハウジングの12の流路14内に設けられている。図示するように、該組立体は、ハウジング内に作用可能に取り付けられた振子弁16を有しており、該振子弁は、図3に示すように流路14から完全に出る第一の開いた位置と流路14内の第二の開いた位置との間にて回動可能に動くこととができるスライド板26を有している。該スライド板26は、流路14内の第二の開いた位置にあるとき、出口20を通る流体の流れを減少することを許容する。スライド板26は、図4に示すように流路14内の第二の開いた位置から出口20の弁座24に対する制御可能な最小コンダクタンス位置まで側方向に又は軸方向に更に動いて、出口20を通る流体の流れを実質的に防止することができる。この僅かに閉じた位置において、板26は、出口20の弁座24と物理的に接触することができ又は接触しなくてもよく、また、僅かな空隙が存在する。
【0018】
図示しないが、振子弁組立体10の入口18は、例えば、プロセスチャンバに接続することができ、出口20は、真空ポンプに接続して、例えば133.332Pa(1トル)以下程度の圧力のような極めて低い圧力(高真空圧)にて行われる半導体の製造又はその他の薄膜被覆過程にて使用されるもののような高純度気体の供給システムの一部分を形成することができる。全体として、半導体ウェハのような加工物がチャンバ内に配置される一方、プロセス気体は、チャンバ内に導入されて加工物と所定の要領にて化学的に反応する。
【0019】
振子弁組立体10は、図3に示すように流路14から完全に出た第一の開いた位置と流路14内の第二の開いた位置との間にてスライド板26の位置を制御することにより、プロセスチャンバと真空ポンプとの間のコンダクタンスを制御し、また、図4に示すように、出口20の弁座24に対する制御可能な最小コンダクタンス位置を制御することを助ける。これにより、振子弁組立体10は、コンダクタンスを制御することにより、プロセスチャンバ内の圧力を制御すべく使用することができる。プロセスチャンバと真空ポンプとの間の距離は、可能な限り短くし、振子弁組立体10に対し入口18と出口20との間の最小寸法(すなわち「フランジからフランジへの寸法」)が与えられるようにすることが好ましいことを理解すべきである。
【0020】
また、図2を参照すると、弁組立体10は、流路14を同軸状に取り囲むと共に、スライド板26と入口18の弁座22との間にてハウジング12の入口18内に配置されたシールリング30を更に有している。図3及び図4に最も良く示すように、シールリング30は、入口18に面する第一の面38と、出口20及びスライド板26に面する第二の面40と、第一の面38から入口18内に伸びるニップル32とを有している。ニップル32を受け入れるため入口18の内面19と入口18の弁座22との間に肩部21が設けられている。シールリング30は、エラストマー的材料にて形成され且つ、シールリング30に形成されたそれぞれの溝内に配置された2つのOリング34、36を支持している。1つのOリング34は、シールリング30とスライド板26との間にて第二の面の溝内に配置される一方、他方のOリング36は、ニップル32と入口18の肩部との間にてニップル32の溝内に配置される。
【0021】
図示しないが、シールリング30は、スライド板26から遠方の第一の面38にて、周方向に順次配置された複数の穴を有している。これらの穴は、それぞれ弁座22に形成された穴と整合されている。弁座22の穴は、流れ通路14を同軸状に取り囲む環状部材52まで伸びている。図示しない複数の締結具が弁座22の穴を通って伸び且つ、シールリング30の相応する穴内に固定されている。Oリングを備える環状ピストンが通路52内に配置され且つ、締結具に固定されている。チャンバ52は、貫通して流れる圧縮空気のような流体が締結具に固定されたピストン54の第一の側部にのみ作用するようピストン54に対して配置された入口導管を有する。締結具から遠方の環状ピストン54の反対側部に作用する複数のばね58が更に設けられる(これと代替的に、環状チャンバ52内に開放する2つの入口導管を設け、流体圧力が環状ピストン54の両側部に作用し、これによりばねを廃止することができるようにしてもよい)。かかる配置の一例は、本発明の譲受人に譲渡され且つ、その内容の全体を参考として引用し本明細書に含めた、2003年2月20日付けにて出願された振子弁組立体用のシールリング(Seal Ring for Pendulum Valve Assembly)という名称の米国特許出願明細書10/369,952号に詳細に記載されている。
【0022】
スライド板26が流れ通路14内に回動したが、図3に示すように開いた位置に止まるとき、シールリング30は、弁座22に接して配置された状態に止まる。このシールリング30の位置において、圧力媒体は、環状チャンバ52内に流れ、このため、環状ピストン54はシールリング30と共に、ばね58の偏倚力に抗して変位される。スライド板26が図4に示すように、弁座24に接し(又は極めて近接して)その制御可能な最小コンダクタンス、すなわち「軟らかく」閉じた位置にあるとき、シールリング30は、弁座22に接して配置されたままである。しかし、閉じた摺動板26を完全に密封するためには、圧力流体が、環状チャンバ52から排出され、このため、ばね58は、取り付けた締結具60及び密封リング30と共に環状ピストン54をスライド板26に押し付けることができ、該スライド板は、弁座24に強く押し付けられ「硬く」閉じた位置を提供する。閉じたスライド板26は、例えば、半導体加工が行われていない、プロセスチャンバをクリーニングする間、シールリング30により完全に密封される。
【0023】
スライド板26の開放は逆に行われる。圧力流体が環状チャンバ52内に供給され、環状ピストン54は、締結具と共にスライド板26から動いて離れ、シールリング30をスライド板26から動かして離す。次に、スライド板26は、同時に持ち上げられ且つ、流れ通路14から外れるように回動する。
【0024】
図1に示すように、組立体10は、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間にてスライド板26の回転及び長手方向への動きを正確に制御する回転カム機構62を有することができる。適宜な回転カム機構の一例は、本発明の譲受人に譲渡され且つ、その内容の全体を参考として引用し本明細書に含めた、米国特許明細書6,089,537号に示されている。回転カム機構は、スライド板26の閉じた位置付近にてコンダクタンスの精密な制御を有益に実現する。
【0025】
本発明に従って製造された新規且つ、改良された振子弁組立体100は、図7、図9及び図10に示されている。弁組立体100は、図1、図3及び図4の弁組立体10と同様であり、このため、同様の要素は同一の参照番号で示されている。しかし、図8及び図13に示すように、弁組立体100は、本発明に従った構造とされた新規且つ、改良されたシールリング200の一例としての実施の形態を含む。
【0026】
シールリング200は、流路の軸線に対し全体として平行に伸びる第一の側部202と、第一の側部202から半径方向外方に隔てられ且つ、流路14の軸線に対し全体として平行に伸びる第二の側部204と、第一の側部202と第二の側部204との間を伸び且つ、弁座22に面する第一の面206と、第一の面206から軸方向に隔てられ、また、第一の側部202と第二の側部204との間を伸び且つ、スライド板26に面する第二の面208とを有している。第二の面208は、密封リング200がスライド板26に対し偏倚されたとき、スライド板26と接触し、連続的な環状の密封部分210とスライド板26との間に流体密のシールを形成することができるようにする連続的な環状の密封部分210を有している。
【0027】
図7ないし図10及び図13を参照すると、本発明の密封リング200には、環状の密封部分210と第二の側部204との間に配置された少なくとも1つの通路212が設けられている。該通路212は、スライド板がシールリングに向けて動いたとき、環状の密封部分210がスライド板26に接触する前に、シールリング200とスライド板26との間のコンダクタンスを許容するためのものである。通路212は、実際のシールがスライド板26と密封リング200との間に形成される前に、スライド板26が密封リング200に対しどの程度、正確に配置されるかに関係なく、スライド板26とシールリング200との間のコンダクタンス流れよりもスライド板26と弁座24との間のコンダクタンス流れが小さく、これにより一層正確に制御することを保証する(スライド板26の半径方向外面と通路212の半径方向内方に面する面との間の距離は、スライド板26と弁座24との間の距離よりも長くなり、このため、スライド板26と弁座24との間のコンダクタンス流れが小さくなることを理解すべきである)。
【0028】
図8に最も良く示すように、シールリング200の一例としての実施の形態における第二の面208は、環状の密封部分210と第二の側部204との間に配置された複数の通路212を有し、スライド板26が環状の密封部分210と接触する前に、シールリング200とスライド板26との間のコンダクタンスを許容する。通路212は寸法が等しく且つ、シールリング200の第二の面208の周りにて環状のパターンに連続的に隔てられている。通路212は、環状ピストン54の締結具に固定するシールリング200の部分の間に配置され、シールリングの取り付け箇所が強力なままであるようにすることが好ましい。しかし、これと代替的に、シールリング200は、環状の密封部分210と第二の側部204との間にてリングの周りを連続的に伸びる単一の通路を有するか、又は寸法又は形状が異なる複数の隔てられた通路を有するようにしてもよい。
【0029】
図7ないし図10及び図13に示した一例としての実施の形態において、通路は、シールリング200の第二の面208に、シールリングの第二の側部204まで完全に伸びる凹所212を備えている。しかし、通路はその他の形態をとることもできる。例えば、図15の実施の形態において、通路は、シールリング200の第二の面208に、第二の面の環状の密封部分とシールリングの第二の側部との間に配置される、すなわち、シールリングの第二の側部204まで完全に伸びてない凹所312を備えている。図16の実施の形態において、通路412は、取り囲まれている、すなわち、表面の凹所又は溝と異なり、導管を形成し且つ、シールリング200の第二の面208とシールリングの第一の面206との間を伸びている。図17の実施の形態において、通路512は取り囲まれている、すなわち、導管を形成し且つ、シールリング200の第二の面208とシールリングの第二の側部204との間を伸びている。
【0030】
図示した一例としての実施の形態において、シールリング200は、また第一の面206から伸びるニップル220と、第二の面208における環状の密封部分210の溝内に配置されたOリング34と、ニップル220の溝内に配置されたOリング36とを有している。しかし、シールリング200は、図14に示した実施の形態にて示すように、Oリング無しに設けることも可能であることを理解すべきである。その代わり、Oリングは、弁組立体100のハウジング12の溝及びスライド板26の溝内に配置することができる。
【0031】
図5は、図1の弁組立体10を通る軸方向コンダクタンス対スライド板26と図1の弁組立体10の弁座24との間の距離(「軸方向空隙」)の曲線aを示すグラフであり、一方、図11は、図7の弁組立体100を通る軸方向コンダクタンス対スライド板26と図7の弁組立体の弁座24との間の距離(「軸方向空隙」)の曲線a´を示すグラフである。これらのグラフは、図7の弁組立体100が最初に開いたとき、弁組立体100が図1の弁組立体10よりも大きい軸方向コンダクタンスを提供することを示す。
【0032】
図6は、図1の弁組立体10を通る全コンダクタンス対図1の弁組立体10のスライド板26の回動位置を表す曲線aを示し且つ、遷移点cにて曲線aに接続された曲線bを更に示すグラフである。図12は、図7の弁組立体100を通る全コンダクタンス対図7の弁組立体100のスライド板26の回動位置を表す曲線a´を示し且つ、遷移点c´にて曲線a´に接続された曲線b´を更に示すグラフである。これらのグラフは、図7の弁組立体100が、曲線a´、b´の間にてより滑らかな明確でない遷移点c´を提供することを示し、このことは、閉ループシステムにて特に有益なことである。
【0033】
このように、本発明に従った構造とされた新規且つ、改良された振子弁組立体100について説明した。本明細書にて説明した一例としての実施の形態は、限定的ではなくて、単に一例として掲げたものであり、そのより広い形態及び特許請求の範囲に記載された本発明の精神又は範囲の何れからも逸脱せず、当該技術分野の当業者は、色々な形態変更例、組み合わせ、及び置換を具体化することが可能である。例えば、本発明は、振子型スライド弁に限定されず、線形の変位可能なスライド板又は仕切弁にも適用可能である。
【0034】
更に、シールリング200に示した通路212は、同様に又は代替的にスライド板26内に又は弁座22内に配置してもよい。例えば、シールリング200に面するスライド板26の面には、スライド板が動く間、シールリングとスライド板との間のコンダクタンスを増す少なくとも1つの通路を設けることができる。弁組立体がシールリング無しに提供される場合、ハウジングのスライド板26及び環状面22の一方には、スライド板が動く間、スライド板26と環状面22との間のコンダクタンスを増す少なくとも1つの通路を設けることが可能である。
【0035】
本明細書に開示された本発明の弁組立体100及びその全ての構成要素は、特許請求の範囲の少なくとも1つの範囲内に包含される。当該開示された弁組立体に示さない要素は権利放棄することを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】弁組立体のスライド板及びシールリングを示す、先行技術に従った構造とされた弁組立体の一例としての実施の形態における一部分の底面斜視図である。
【図2】図1の振子弁組立体のシールリングを示す拡大底面斜視図である。
【図3】シールリングがスライド板から偏倚された状態にて、弁組立体の出口の弁座から隔てられた部分的に開いた位置にある弁組立体のスライド板を示す、図1における弁組立体の一部分の断面斜視図である。
【図4】シールリングがスライド板から偏倚された状態にて、弁組立体の出口の弁座に対して閉じた位置にあるスライド板を示す、図1における弁組立体の一部分の断面斜視図である。
【図5】図1の弁組立体を通る軸方向コンダクタンス対図1における弁組立体のスライド板と出口の弁座との間における軸方向距離(「軸方向空隙」)を示すグラフである。
【図6】図1の弁組立体を通る全コンダクタンス対図1における弁組立体のスライド板の回動位置又は角度を示すグラフである。
【図7】弁組立体のスライド板及びシールリングを示す、本発明に従った構造とされた弁組立体の一例としての実施の形態における一部分の底面斜視図である。
【図8】図7における振子弁組立体のシールリングを示す拡大底面斜視図である。
【図9】シールリングがスライド板から偏倚された状態にて弁組立体の出口の弁座から隔てられた部分的に開いた位置にある弁組立体のスライド板を示す、図7における弁組立体の一部分の断面斜視図である。
【図10】シールリングがスライド板から偏倚された状態にて弁組立体の出口の弁座に対して閉じた位置にあるスライド板を示す、図7における弁組立体の一部分の断面斜視図である。
【図11】図7の弁組立体を通る軸方向コンダクタンス対図7の弁組立体のスライド板と出口の弁座との間における軸方向距離(「軸方向空隙」)を示すグラフである。
【図12】図7の弁組立体を通る全コンダクタンス対図7における弁組立体のスライド板の回動位置又は角度を示すグラフである。
【図13】図7における振子弁組立体のシールリングの一部分を示す拡大断面図である。
【図14】図7の振子弁組立体と共に使用される本発明に従った構造とされたシールリングの別の一例としての実施の形態における一部分を示す拡大断面図である。
【図15】図7の振子弁組立体と共に使用される本発明に従った構造とされたシールリングの追加的な一例としての実施の形態における一部分を示す拡大断面図である。
【図16】図7の振子弁組立体と共に使用される本発明に従った構造とされたシールリングの更なる一例としての実施の形態における一部分を示す拡大断面図である。
【図17】図7の振子弁組立体と共に使用される本発明に従った構造とされたシールリングの更なる別の一例としての実施の形態による一部分を示す拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁組立体において、
流路及び該流路を取り囲む環状面を有するハウジングと、
該ハウジング内に配置され且つ、スライド板が流路を通る流れを妨害する閉じた位置とスライド板が流路を通る流れを許容する開いた位置との間にて流路の軸線に対し横方向に可動であるスライド板と、
ハウジングの環状面とスライド板との間に配置されたシールリングとを備え、
スライド板及びシールリングの少なくとも一方は、スライド板とシールリングとの間のコンダクタンスを増す少なくとも1つの通路を有する、弁組立体。
【請求項2】
請求項1に記載の弁組立体において、前記シールリングは、流路の軸線に対し全体として平行に伸びる第一の側部と、第一の側部から半径方向外方に隔てられ且つ、流路の軸線に対し全体として平行に伸びる第二の側部と、第一の側部と第二の側部との間を伸び且つ、ハウジングの環状面に面する第一の面と、第一の面から軸方向に隔てられ、また第一の側部と第二の側部との間を伸び且つ、スライド板に面する第二の面とを有し、
前記第二の面は、シールリングがスライド板に対して偏倚されたとき、スライド板と接触し、連続的な環状の密封部分とスライド板との間に流体密のシールが形成されるようにする連続的な環状の密封部分を有し、
前記少なくとも1つの通路が、環状の密封部分がスライド板と接触する前に、シールリングとスライド板との間のコンダクタンスを増し得るようシールリングの環状の密封部分と第二の側部との間に配置される、弁組立体。
【請求項3】
請求項2に記載の弁組立体において、通路は、等しい寸法であり且つ、シールリングの周りにて環状の形態にて連続的に隔てられる、弁組立体。
【請求項4】
請求項2に記載の弁組立体において、シールリングの通路は、シールリングの第二の面とシールリングの第二の側部との間を伸びる、弁組立体。
【請求項5】
請求項4に記載の弁組立体において、シールリングの通路の各々は、シールリングの第二の面に、シールリングの第二の側部まで伸びる凹所を備える、弁組立体。
【請求項6】
請求項2に記載の弁組立体において、シールリングの通路の各々は、シールリングの第二の面に、シールリングの第二の側部とシールリングの第二の面の環状の密封部分との間に配置される凹所を備える、弁組立体。
【請求項7】
請求項2に記載の弁組立体において、シールリングの通路の各々は、シールリングの第二の面とシールリングの第一の面との間を伸びる、弁組立体。
【請求項8】
請求項1に記載の弁組立体において、シールリングは、流路内に同軸状に伸びるニップルを有する、弁組立体。
【請求項9】
請求項8に記載の弁組立体において、ニップルは、該ニップルの外面に環状溝を有し、Oリングは該溝内に配置される、弁組立体。
【請求項10】
請求項2に記載の弁組立体において、シールリングの第二の面の環状の密封部分は環状溝を有し、Oリングは該溝内に配置される、弁組立体。
【請求項11】
請求項1に記載の弁組立体において、スライド板は流路内に回動可能に動くことができる、弁組立体。
【請求項12】
請求項11に記載の弁組立体において、スライド板は、流路から外れた位置とスライド板がスライド通路内に回動するが、ハウジングの弁座から非係合状態となる開いた位置との間にて回動可能に動くことができ、次に、流路の軸線に対して横方向に動いて弁座と係合する閉じた位置となることができる、弁組立体。
【請求項13】
請求項12に記載の弁組立体において、軸から全体として横方向に伸びる回動アームを通してスライド板に固定状態に連結された軸を更に備え、該軸は、軸の長手方向軸線の周りにて回転し、スライド板が流路内に回転して開いた位置となるのを許容するようハウジング内に少なくとも部分的に取り付けられ、また、流路の軸線に対し実質的に平行に摺動してスライド板が開いた位置と閉じた位置との間にて長手方向に動くのを許容する、弁組立体。
【請求項14】
請求項13に記載の弁組立体において、軸とハウジングとの間に連結されて軸の回転動作と摺動動作との組み合わせを提供するカム機構を更に有する、弁組立体。
【請求項15】
請求項14に記載の弁組立体において、カム機構は、
ハウジングにより画成されたカム面と、
軸に固定され且つ、ハウジングのカム面と係合するカム従動子とを備える、弁組立体。
【請求項16】
請求項1に記載の弁組立体において、ハウジングの環状面における複数の穴内に変位可能に配置された複数の締結具を更に備え、スライド板は該締結具に固定される、弁組立体。
【請求項17】
請求項16に記載の弁組立体において、スライド板は締結具に除去可能に固定される、弁組立体。
【請求項18】
請求項16に記載の弁組立体において、ハウジングは、流路を同軸状に取り囲む環状チャンバを更に有し、環状面に形成された穴が該環状チャンバ内に開き、また、環状チャンバ内に配置され且つ、締結具に接続された環状ピストンを更に備える、弁組立体。
【請求項19】
請求項18に記載の弁組立体において、ハウジングは、環状チャンバと流体的に連通した少なくとも1つの導管を更に有する、弁組立体。
【請求項20】
請求項18に記載の弁組立体において、チャンバ内に保持され且つ、ピストンをシールリングに向けて偏倚される複数のばねを更に備える、弁組立体。
【請求項21】
請求項1に記載の弁組立体を有する高純度気体の供給システムにおいて、弁組立体を介して真空ポンプに接続されたプロセスチャンバを更に有する、高純度気体の供給システム。
【請求項22】
弁組立体において、
入口及び出口を有する流路を備えるハウジングと、
該入口と該出口との間に配置されたシールリングとを備え、該シールリングは、
対向する第一の側部及び第二の側部と、
該第一の側部と該第二の側部との間を伸び且つ、ハウジングの入口に面する第一の面と、
該第一の面から軸方向に隔てられ、また、第一の側部と第二の側部との間を伸び且つ、ハウジングの出口に面する第二の面とを有し、第二の面は、連続的な環状の密封部分と、該環状の密封部分と第二の側部との間に配置された少なくとも1つの通路とを有する、弁組立体。
【請求項23】
請求項22に記載の弁組立体において、シールリングの第二の面は、環状の密封部分と第二の側部との間に配置された複数の通路を有する、弁組立体。
【請求項24】
請求項23に記載の弁組立体において、通路は寸法が等しく且つ、シールリングの第二の面の周りにて環状のパターンに連続的に隔てられる、弁組立体。
【請求項25】
請求項22に記載の弁組立体において、シールリングの通路は、シールリングの第二の面とシールリングの第二の側部との間を伸びる、弁組立体。
【請求項26】
請求項25に記載の弁組立体において、シールリングの通路は、シールリングの第二の面に、シールリングの第二の側部まで伸びる凹所を備える、弁組立体。
【請求項27】
請求項22に記載の弁組立体において、シールリングの通路は、シールリングの第二の面に、シールリングの第二の側部と第二の面の環状の密封部分との間に配置された凹所を備える、弁組立体。
【請求項28】
請求項22に記載の弁組立体において、シールリングの通路は、シールリングの第二の面とシールリングの第一の面との間を伸びる、弁組立体。
【請求項29】
請求項22に記載の弁組立体において、シールリングは、シールリングの第一の面から伸びるニップルを有する、弁組立体。
【請求項30】
請求項29に記載の弁組立体において、ニップルは、該ニップルの外面における環状溝を有し、Oリングは、該溝内に配置され、シールリングの第二の面の環状密封部分は環状溝を有し、Oリングは該溝内に配置される、弁組立体。
【請求項31】
請求項22に記載の弁組立体において、シールリングの第二の面の環状密封部分は環状溝を有し、Oリングは該溝内に配置される、弁組立体。
【請求項32】
シールリングにおいて、
対向する第一及び第二の側部と、
該第一の側部と第二の側部との間を伸びる第一の面と、
第一の面から軸方向に隔てられ且つ、第一の側部と第二の側部との間を伸びる第二の面であって、連続的な環状の密封部分と、該環状の密封部分と第二の側部との間に配置された少なくとも1つの通路とを有する前記第二の面とを備える、シールリング。
【請求項33】
請求項32に記載のシールリングにおいて、第二の面は、環状密封部分と第二の側部との間に配置された複数の通路を有する、シールリング。
【請求項34】
請求項33に記載のシールリングにおいて、通路は、等しい寸法であり且つ、第二の面の周りにて環状のパターンに連続的に隔てられる、シールリング。
【請求項35】
請求項32に記載のシールリングにおいて、通路は、第二の面と第二の側部との間を伸びる、シールリング。
【請求項36】
請求項35に記載のシールリングにおいて、通路は、第二の面に、第二の側部まで伸びる凹所を備える、シールリング。
【請求項37】
請求項32に記載のシールリングにおいて、通路は、シールリングの第二の面に、第二の側部と環状密封部分との間に配置される凹所を備える、シールリング。
【請求項38】
請求項32に記載のシールリングにおいて、通路は、第二の面と第一の面との間を伸びる、シールリング。
【請求項39】
請求項22に記載のシールリングにおいて、第一の面から伸びるニップルを備える、シールリング。
【請求項40】
請求項39に記載のシールリングにおいて、ニップルはOリングを受け入れる環状溝を有し、第二の面の環状密封部分はOリングを受け入れる環状溝を有する、シールリング。
【請求項41】
弁組立体において、
流路及び該流路を取り囲む環状面とを有するハウジングと、
該ハウジング内に配置され且つ、スライド板が流路を通る流れを妨害する閉じた位置とスライド板が環状面に向けて動き且つ、流路を通る増大した流れを許容する開いた位置との間にて流路の軸線に対し横方向に可動であるスライド板とを備え、
スライド板及び環状面の少なくとも一方は、スライド板と環状面との間のコンダクタンスを増す少なくとも1つの通路を有する、弁組立体。
【請求項42】
請求項41に記載の弁組立体において、通路は環状面内に提供される、弁組立体。
【請求項43】
請求項42に記載の弁組立体において、環状面は複数の通路を備える、弁組立体。
【請求項44】
請求項41に記載の弁組立体において、通路はスライド板に提供される、弁組立体。
【請求項45】
請求項44に記載の弁組立体において、スライド板は複数の通路を有する、弁組立体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2007−507670(P2007−507670A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527988(P2006−527988)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/025888
【国際公開番号】WO2005/036034
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】