説明

コンテナおよび荷役車両

【課題】コンテナの積込動作の開始初期の段階で脚部の収納状態を検出することが可能なコンテナおよびこれを搭載した荷役車両の提供。
【解決手段】荷役車両に脱着可能な塵芥収集用コンテナであって、下部に突出および格納可能な脚部16と、脚部16の地面への接地状態を検出する脚部接地センサ21と、脚部16の格納状態を検出する脚部格納センサ22と、脚部接地センサ21により脚部16が地面から離れていることが検出され、かつ、脚部格納センサ22により脚部16が格納されていないことが検出されている場合に、警報を発する警報装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両に脱着可能なコンテナに係り、特に塵芥収集用コンテナなどの水平保持用脚部を有するコンテナおよびこれを搭載した荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リフトアーム機構によってコンテナを脱着可能な荷役車両が知られているが、近年、この荷役車両に搭載されるコンテナとして塵芥収集用コンテナがある。この塵芥収集用コンテナは略直方体形状の塵芥収容箱の後部に塵芥投入箱が連結された構成であるが、塵芥投入箱は作業者の投入動作を容易にするため、その投入口が低位置に設定されており、塵芥投入箱の下端は塵芥収容箱よりも下方に大きく突出している。
【0003】
このような塵芥収集用コンテナを荷役車両に搭載して運搬し、地上へ降ろして設置する場合、塵芥投入箱の下端に突出部分があるため、コンテナが前下がりとなる。そこで、この種の塵芥収集用コンテナには、塵芥収容箱の前端下部に突出および格納可能な脚部が配設されたものがあり、コンテナを地上に設置するときだけ脚部を突出させ、コンテナをほぼ水平に保持するようにしている。
【0004】
ところが、この脚部はコンテナを荷役車両に積み込むときには邪魔になるので、積み込み時には必ず格納しておく必要があるが、脚部の格納は手作業で行うため、作業者の不注意で脚部を収納せずに積み込みを行ってしまう可能性がある。脚部を突出させたまま積み込みを行った場合、脚部が荷役車両のコンテナ積載部後端部に衝突して脚部またはコンテナ積載部を損傷することがある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1に記載のように、コンテナの脚部と荷役車両のコンテナ積載部の後端のうち、いずれか一方に検知部を配設するとともに、他方に検知部に対応した被検知部を設け、コンテナ積込動作において、検知部が被検知部を検知した場合に、当該検知結果に基づいて、リフトアーム機構の積込動作を停止させ、かつ、コンテナ積込動作において、検知部が被検知部を検知しない場合には、リフトアーム機構の積込動作が継続されるように構成した制御回路を設けたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3843341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記のように検知部が被検知部を検知した場合にリフトアーム機構の積込動作を停止させるものでは、リフトアーム機構による積込動作が進行して、コンテナの脚部と荷役車両のコンテナ搭載部の後端が接近しなければ検知部が被検知部を検知しないため、リフトアーム機構の動作によっては検知された際に勢い余ってコンテナの脚部と荷役車両のコンテナ積載部の後端とが接触してしまう可能性がある。
【0008】
そこで、本発明においては、コンテナの積込動作の開始初期の段階で脚部の収納状態を検出することが可能なコンテナおよびこれを搭載した荷役車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンテナは、荷役車両に脱着可能なコンテナであって、下部に突出および格納可能な脚部と、脚部の地面への接地状態を検出する脚部接地センサと、脚部の格納状態を検出する脚部格納センサと、脚部接地センサにより脚部が地面から離れていることが検出され、かつ、脚部格納センサにより脚部が格納されていないことが検出されている場合に、警報を発する警報装置とを有するものである。
【0010】
本発明のコンテナが荷役車両に脱着可能に搭載される際、コンテナが持ち上げられ、脚部接地センサにより脚部が地面から離れ、かつ脚部格納センサにより脚部が格納されていないことが検出されると、警報装置により警報が発せられる。そして、脚部が格納され、脚部格納センサにより脚部が格納されていることが検出されると、警報装置による警報は発せられない。一方、コンテナが地面に設置されている状態においては、脚部接地センサにより脚部が地面に接地していることが検出されるので、警報装置による警報は発せられない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、脚部接地センサにより脚部が地面から離れ、かつ脚部格納センサにより脚部が格納されていないことが検出されると、警報装置により警報が発せられるので、コンテナの積込動作の開始初期の段階で脚部の収納状態を検出することが可能となり、コンテナの脚部と荷役車両のコンテナ積載部の後端とが接触するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における塵芥収集用コンテナを搭載した荷役車両の側面図である。
【図2】図1の塵芥収集用コンテナの地上への設置状態を示す側面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図2の背面図である。
【図5】図2の塵芥収集用コンテナの脚部の拡大図であって、(a)は地上への設置状態を示す図、(b)は脚部が地面から離れた状態を示す図、(c)は脚部の格納状態を示す図である。
【図6】図1の塵芥収集用コンテナの積み降ろしの様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の実施の形態における塵芥収集用コンテナを搭載した荷役車両の側面図、図2は図1の塵芥収集用コンテナの地上への設置状態を示す側面図、図3は図2の正面図、図4は図2の背面図、図5は図2の塵芥収集用コンテナの脚部の拡大図であって、(a)は地上への設置状態を示す図、(b)は脚部が地面から離れた状態を示す図、(c)は脚部の格納状態を示す図である。
【0014】
図1において、本発明の実施の形態における塵芥収集用コンテナ1は、荷役車両2上に脱着可能に搭載されて輸送されるものである。荷役車両2は、シャーシ3上に、運転室4と、塵芥収集用コンテナ1を積み降ろしするための荷役装置5とを備える。荷役装置5は、上端部に塵芥収集用コンテナ1を係合するフック6を有する略L字状のアーム7と、伸縮することによってアーム7を持ち上げおよび引き下げるためのリフトシリンダ(図示せず。)と、伸縮することによってアーム7を前進および後進させるためのスライドシリンダ(図示せず。)とを備えている。
【0015】
図2〜図4に示すように、塵芥収集用コンテナ1は、内部に塵芥が収容される塵芥収容箱10と、この塵芥収容箱10の後端の後方開口部12に連設された塵芥投入箱11とから構成される。塵芥投入箱11は、後方開口部12の上方で投入箱支持ピン10aにより軸支されており、この投入箱支持ピン10aを中心に傾動自在となっている。
【0016】
塵芥投入箱11の後部には、塵芥を投入するための略矩形状の塵芥投入口13が開口されている。また、塵芥投入箱11には、この塵芥投入口13を開閉する開閉扉としてのテールゲート14が設けられている。テールゲート14は上下にスライド可能となっており、塵芥投入口13の上方へ移動することにより、塵芥投入口13を開放することが可能である。塵芥投入箱11の内部には、塵芥投入口13を通じて塵芥投入箱11内に投入された塵芥を塵芥収容箱10に積み込む塵芥積込装置(図示せず。)が装備されている。
【0017】
また、塵芥収集用コンテナ1の前面上部には、前述の荷役装置5のフック6が係脱する係合ピン15が設けられている。また、塵芥収集用コンテナ1の塵芥収容箱10の底面前部には、地上に設置された際に塵芥収集用コンテナ1をほぼ水平に保持するための脚部16が設けられている。さらに、塵芥収集用コンテナ1(塵芥投入箱11)の底面後部には、塵芥収集用コンテナ1を支持するための回転自在なローラ17が設けられている。
【0018】
図5に示すように、脚部16は、塵芥収容箱10の下面に軸部材20によって回動可能に設けられており、塵芥収集用コンテナ1を地上に設置する際には、同図(c)に示すように折り畳んだ状態から同図(b)に示すように下方に伸ばした状態とするものである。また、塵芥収集用コンテナ1を荷役車両2上に積み込む際には、同図(c)に示すように、脚部16は折り畳んで、荷役車両2に干渉しないようにする。また、脚部16は、折り畳んだ状態と伸ばした状態のそれぞれの状態において、抜き差し自在な固定ピン23にて固定される。
【0019】
また、脚部16には、脚部16の地面への接地状態を検出する脚部接地センサ21が設けられている。脚部接地センサ21は、脚部16に設けられるガイド部21cと、ガイド部21cに対し進退自在に設けられた折り曲げ棒状の進退部材21aと、進退部材21aの近接を検出する近接センサ21bとを有している。ガイド部21cは、脚部16の先端部側面に設けられており、進退部材21aを当該側面に沿って移動可能に保持する。進退部材21aは、同図(a),(b)に示すように地面への当接により進退するように構成されている。
【0020】
より具体的には、進退部材21aは、例えば略I字状に形成されている。この進退部材21aは、その長い直線状部分がガイド部21cに設けられた孔部21dに挿通されている。また、進退部材21aには、ガイド部21cより上方の先端に、近接センサ21bの感度を確実にするための平面部が設けられている。進退部材21aには、脚部16の先端(接地面)から進退部材21aの下端が突出した所定位置で、それ以上、進退部材21aが脚部16の先端側へ移動しないようにするためのストッパ部21eが設けられている。進退部材21aは、ストッパ部21eを介してスプリング21fにて脚部16の先端側に付勢されている。
【0021】
脚部16の先端が地面に接触している同図(a)の状態では、進退部材21aがスプリング21fの付勢力に抗して上方へ移動され、進退部材21aの下端が脚部16の先端面と略同一の高さ位置となる。一方、脚部16の先端が地面に接触していない同図(b)の状態においては、進退部材21aがスプリング21fによって下方へ付勢され、ストッパ部21eがガイド部21cに当接する位置まで下方へ移動する。
【0022】
近接センサ21bは、ガイド部21cよりも脚部16の基端側の位置において脚部16の側面に取り付けられている。近接センサ21bは、同図(a)に示すように脚部16が地面に接触している状態においては進退部材21aの上端の近接を検出し、同図(b)に示すように脚部16が地面に接触していない状態においては進退部材21aの上端の近接を検出しない。
【0023】
また、塵芥収容箱10の下面には、脚部16の格納状態を検出する脚部格納センサ22が設けられている。脚部格納センサ22は、脚部16の近接を検出する近接センサからなる。脚部格納センサ22は、同図(c)に示すように脚部16が格納されている状態においては脚部16の近接を検出し、同図(a),(b)に示すように脚部16が格納されていない状態においては脚部16の近接を検出しない。
【0024】
そして、塵芥収容箱10の前部には、脚部接地センサ21により脚部16が地面から離れていることが検出され、かつ脚部格納センサ22により脚部16が格納されていないことが検出されている場合に、警報を発するブザー18やランプ19等の警報装置(図3参照。)が設けられている。警報装置は、ブザー18やランプ19等の音や光等で、脚部16が格納されていないことを作業者に知らしめるものである。なお、ブザー18は、風雨に曝されないように塵芥収容箱10の内部に設けられている。ランプ19は塵芥収容箱10の外側の運転席からも見える位置に設けられている。
【0025】
また、本実施形態における塵芥収集用コンテナ1は、塵芥収容箱10の前部に、前述の塵芥積込装置を作動させるための駆動装置が設けられている。駆動装置は、図3に示すように、制御ボックス30、独立エンジン31、独立エンジン31により駆動されるオルタネータ32、制御ボックス30等へ電力を供給するとともにオルタネータ32により充電されるバッテリ33、独立エンジン31により駆動される油圧ポンプ34、独立エンジン31を駆動するための燃料を貯留する燃料タンク35、スイッチボックス36や制御バルブ37などを備え、独立エンジン31により油圧ポンプ34を駆動させて発生させた圧油を、制御バルブ37を通じて塵芥積込装置の各種油圧シリンダ等に供給することで、塵芥積込装置を作動させるようにしている。前述の脚部接地センサ21、脚部格納センサ22や、ブザー18、ランプ19等の警報装置等は、この駆動装置のバッテリ33の電力により動作する。
【0026】
上記構成の荷役車両2では、地上に置かれた塵芥収集用コンテナ1に対し(図6の(A)の位置)、アーム7をスライドシリンダの収縮により後退させ、さらにリフトシリンダの伸長により後方へ回動させ、フック6に係合させる。そして、リフトシリンダを収縮させてアーム7を若干持ち上げ、塵芥収集用コンテナ1の脚部16を地面から離す。このとき、脚部接地センサ21により脚部16が地面から離れていることが検出され、かつ脚部格納センサ22により脚部16が格納されていないことが検出されるので、警報装置により警報が発せられる。
【0027】
ここで、脚部16を折り畳み、格納位置へ格納すると、脚部接地センサ21により脚部16が地面から離れていることが検出された状態で、かつ脚部格納センサ22により脚部16が格納されていることが検出されるので、警報装置による警報が停止する。次いで、リフトシリンダをさらに収縮させて塵芥収集用コンテナ1をシャーシ3上に引き上げ(図6の(B)の位置)、スライドシリンダの伸長によりアーム7を前進させる。これにより、塵芥収集用コンテナ1は荷役車両2上に搭載され(図6の(C)の位置)、輸送可能となる。
【0028】
以上のように、本実施形態における塵芥収集用コンテナ1では、脚部接地センサ21により脚部16が地面から離れ、かつ脚部格納センサ22により脚部16が格納されていないことが検出されると、警報装置により警報が発せられるので、塵芥収集用コンテナ1の積込動作の開始初期の段階で脚部16の収納状態を検出することが可能となり、塵芥収集用コンテナ1の脚部16と荷役車両2のコンテナ積載部の後端とが接触するのを防止することができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、荷役車両2に塵芥収集用コンテナ1を脱着する構成について説明したが、折り畳み可能な脚部を有するその他のコンテナにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のコンテナは、荷役車両に脱着可能なコンテナとして有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 塵芥収集用コンテナ
2 荷役車両
3 シャーシ
4 運転室
5 荷役装置
6 フック
7 アーム
10 塵芥収容箱
10a 投入箱支持ピン
11 塵芥投入箱
12 後方開口部
13 塵芥投入口
14 テールゲート
15 係合ピン
16 脚部
17 ローラ
18 ブザー
19 ランプ
20 軸部材
21 脚部接地センサ
21a 進退部材
21b 近接センサ
21c ガイド部
21d 孔部
21e ストッパ部
21f スプリング
22 脚部格納センサ
23 固定ピン
30 制御ボックス
31 独立エンジン
32 オルタネータ
33 バッテリ
34 油圧ポンプ
35 燃料タンク
36 スイッチボックス
37 制御バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役車両に脱着可能なコンテナであって、
下部に突出および格納可能な脚部と、
前記脚部の地面への接地状態を検出する脚部接地センサと、
前記脚部の格納状態を検出する脚部格納センサと、
前記脚部接地センサにより前記脚部が地面から離れていることが検出され、かつ、前記脚部格納センサにより前記脚部が格納されていないことが検出されている場合に、警報を発する警報装置と
を有するコンテナ。
【請求項2】
前記脚部接地センサは、前記脚部に設けられるガイド部と、前記ガイド部に対し進退自在に設けられ、前記地面への当接により進退する進退部材と、前記進退部材の近接を検出する近接センサとを有する請求項1記載のコンテナ。
【請求項3】
前記脚部格納センサは、前記脚部の格納位置を検出する近接センサである請求項1または2に記載のコンテナ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のコンテナが脱着可能に搭載された荷役車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−71736(P2013−71736A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210141(P2011−210141)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】